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Patent Searching and Data


Title:
MOTION ASSISTING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044501
Kind Code:
A1
Abstract:
A device for assisting a motion of a user so that the rhythm and scale of the user's motion are made to match a target rhythm and scale while balancing the rhythm and scale of the user's motion. The device (200) for assisting a motion comprises a means (150) for creating an assistant oscillator (z) including a first assistant oscillator (η1) representative of the elastic force exerted by a virtual elastic element for assisting the user's motion on the basis of a second natural angular velocity (ω2) determined according to a first motion oscillator (φ1) and a first oscillator (ξ1) created from a first model and a second oscillator (ξ2) created from a second motion oscillator (φ2) and a second model so that the value of a third motion oscillator (φ3) may be close to target values (φ0+, φ0-) corresponding to the user's target motion scale and a means (160) for regulating the first assistant oscillator (η1) sequentially to bring the user's motion index value close to a reference value.

Inventors:
YASUHARA KEN (JP)
SHIMADA KEI (JP)
ENDO YOSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002233
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
August 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
YASUHARA KEN (JP)
SHIMADA KEI (JP)
ENDO YOSUKE (JP)
International Classes:
A61H3/00; A61F2/70; A63B23/04; A63B71/06
Foreign References:
JP2007061217A2007-03-15
Attorney, Agent or Firm:
SATO, Tatsuhiko et al. (1-1 Yoyogi 2-chom, Shibuya-ku Tokyo 53, JP)
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Claims:
補助振動子に応じてユーザの運動を補助するための装置であって、
 前記ユーザの身体運動に応じて時間変化するパラメータとしての第1および第2運動振動子と、前記ユーザの身体運動に応じて時間変化する、前記ユーザの運動スケールを表すパラメータとしての第3運動振動子とを測定する運動振動子測定手段と、
 入力振動信号と相互に引き込み合うことで第1固有角速度に基づいて定まる角速度で時間変化する出力振動信号を生成する第1モデルに、前記運動振動子測定手段により測定された前記第1運動振動子を前記入力振動信号として入力することにより、前記出力振動信号として第1振動子を生成する第1振動子生成手段と、
 前記運動振動子測定手段により測定された前記第1運動振動子と前記第1振動子生成手段により生成された前記第1振動子との位相差である第1位相差に基づき、相互作用しながら第2位相差をもって周期的に変化する第1仮想振動子と第2仮想振動子とが表現されている仮想モデルに従って、前記第2位相差が目標位相差に近づくように前記第2仮想振動子の角速度を第2固有角速度として設定する固有角速度設定手段と、
 入力振動信号に基づき、前記固有角速度設定手段により設定された前記第2固有角速度に基づいて定まる角速度で時間変化する出力振動信号を生成する第2モデルに、前記運動振動子測定手段により測定された前記第2運動振動子を前記入力振動信号として入力することにより、前記出力振動信号として第2振動子を生成する第2振動子生成手段と、
 前記第2振動子生成手段により生成された前記第2振動子と、前記固有角速度設定手段により設定された前記第2固有角速度とに応じて、前記運動振動子測定手段により測定された前記第3運動振動子の値を前記ユーザの目標運動スケールに応じた目標値に近付けるように前記ユーザの運動を補助するための仮想的な弾性要素による弾性力を表す第1補助振動子を生成し、前記第1補助振動子を含む前記補助振動子を生成する補助振動子生成手段と、
 前記ユーザの運動のリズムとスケールとのバランスに関する運動指標値を取得する運動指標値取得手段と、
 前記運動指標値取得手段により取得された前記運動指標値を基準値に近付けさせるように、前記補助振動子生成手段により生成される前記第1補助振動子を逐次調整する補助振動子調整手段と
を備えることを特徴とする運動補助装置。
請求項1記載の運動補助装置において、
 前記補助振動子生成手段は、前記仮想的な弾性要素の弾性係数としての、前記固有角速度設定手段により設定された前記第2固有角速度と第1パラメータとの関数である第1係数、前記第3運動振動子の値と前記目標値との偏差と第3パラメータとの関数である第3係数、及び前記第2振動子との積として算出される振動子が含まれている前記第1補助振動子を生成するものであり、
 前記補助振動子調整手段は、前記運動指標値と、前記運動指標値の前記基準値との偏差に基づき、前記運動指標値を前記基準値に近付けさせるように、前記第1係数を算出するための前記第1パラメータ、および前記第3係数を算出するための前記第3パラメータのうち少なくともいずれか一つを逐次調整することを特徴とする運動補助装置。
請求項1記載の運動補助装置において、
 前記ユーザからの操作又は前記ユーザの運動状態に応じて前記運動指標値の前記基準値を設定する手段を備えることを特徴とする運動補助装置。
請求項1記載の運動補助装置において、
 前記ユーザの目標運動スケールに応じた前記目標値を、前記運動指標値の前記基準値に基づいて設定する手段を備えることを特徴とする運動補助装置。
請求項1記載の運動補助装置において、
 前記ユーザの運動は前記ユーザの左部と右部とでそれぞれ行われるものであり、
 前記補助振動子調整手段は、前記ユーザの左部と右部との運動のそれぞれについて、前記ユーザの運動指標値を基準値に近付けさせるように、前記第1補助振動子を逐次調整することを特徴とする運動補助装置。
請求項1記載の運動補助装置において、
 前記ユーザの運動は屈曲方向の運動と伸展方向の運動とからなり、
 前記補助振動子調整手段は、前記ユーザの屈曲方向の運動と伸展方向の運動とのそれぞれについて、前記ユーザの運動指標値を基準値に近付けさせるように、前記第1補助振動子を逐次調整することを特徴とする運動補助装置。
Description:
運動補助装置

 本発明は、ユーザの運動を補助するため 装置に関する。

 近年、ユーザの身体に対して脚体関節(股 関節、膝関節、足関節)回りのトルクを付与 ることにより、このユーザの歩行運動を補 する装置が提案されている。そして、この うな装置において、ユーザの歩行運動リズ に変化に追従しながらも、歩行補助装置に る歩行誘導リズムに自律性を持たせるよう 、この歩行補助装置を制御するシステムが 案されている(文献1:日本国 特開2004-73649号 報参照)。

 この文献1の装置では、歩行補助装置によ る歩行補助リズムが適当なものであっても、 補助力やその作用距離に過不足が生じ、歩幅 や脚体関節角度が過大または過小となってし まう可能性があった。すなわち、ユーザの運 動を誘導するリズムが、その運動のリズムを 目標リズムに一致させるものである一方、ユ ーザの運動を誘導するための補助力やその作 用距離が、その運動のスケールを目標スケー ルから乖離させるものとなり、ユーザに違和 感等を覚えさせる可能性があった。そこで、 ユーザの運動のリズムおよびスケールをその 目標とするリズムおよびスケールにそれぞれ 一致させるようにユーザの運動を補助しうる 装置が提案されている(文献2:日本国 特開2007 -61217号公報参照)。

 この文献2の装置では、ユーザの運動を測 定して生成された第1振動子に基づいて、ユ ザの運動のリズムが目標リズムに合致する うに第2振動子を生成し、この生成された第2 振動子に基づいて、仮想的なバネ等の弾性要 素モデルを用いて運動スケールが目標スケー ルから乖離しないように補助振動子を生成し て、この補助振動子に応じたトルクをユーザ に付与するよう制御を行う。

 ところで、歩行補助装置において、ユー の運動のリズムとスケールとのバランスが れるように、ユーザの歩行が補助されるこ がより望ましい。特に、例えばユーザの歩 運動のトレーニングを目的とする場合、歩 比等のユーザの運動のスケールとリズムと バランスを示す指標値が所定の基準値とな ように歩行することが望ましい。

 しかしながら、文献2の装置では、運動の リズムを目標リズムに一致させることに加え て、運動のスケールを目標スケールに一致さ せるように制御が行われるものの、運動のリ ズムとスケールとのバランスについては考慮 されていない。このため、弾性要素モデルの 影響の度合によっては、運動のリズムとスケ ールとのバランスが適切なバランスとならな い可能性がある。

 本発明は、かかる背景に鑑みてなされた のであり、ユーザの運動のリズムおよびス ールをその目標とするリズムおよびスケー にそれぞれ一致させるようにユーザの運動 補助しうると共に、ユーザの運動のリズム スケールとのバランスが取れるように運動 補助しうる運動補助装置を提供することを 的とする。

 第1発明の運動補助装置は、補助振動子に 応じてユーザの運動を補助するための装置で あって、前記ユーザの身体運動に応じて時間 変化するパラメータとしての第1および第2運 振動子と、前記ユーザの身体運動に応じて 間変化する、前記ユーザの運動スケールを すパラメータとしての第3運動振動子とを測 定する運動振動子測定手段と、入力振動信号 と相互に引き込み合うことで第1固有角速度 基づいて定まる角速度で時間変化する出力 動信号を生成する第1モデルに、前記運動振 子測定手段により測定された前記第1運動振 動子を前記入力振動信号として入力すること により、前記出力振動信号として第1振動子 生成する第1振動子生成手段と、前記運動振 子測定手段により測定された前記第1運動振 動子と前記第1振動子生成手段により生成さ た前記第1振動子との位相差である第1位相差 に基づき、相互作用しながら第2位相差をも て周期的に変化する第1仮想振動子と第2仮想 振動子とが表現されている仮想モデルに従っ て、前記第2位相差が目標位相差に近づくよ に前記第2仮想振動子の角速度を第2固有角速 度として設定する固有角速度設定手段と、入 力振動信号に基づき、前記固有角速度設定手 段により設定された前記第2固有角速度に基 いて定まる角速度で時間変化する出力振動 号を生成する第2モデルに、前記運動振動子 定手段により測定された前記第2運動振動子 を前記入力振動信号として入力することによ り、前記出力振動信号として第2振動子を生 する第2振動子生成手段と、前記第2振動子生 成手段により生成された前記第2振動子と、 記固有角速度設定手段により設定された前 第2固有角速度とに応じて、前記運動振動子 定手段により測定された前記第3運動振動子 の値を前記ユーザの目標運動スケールに応じ た目標値に近付けるように前記ユーザの運動 を補助するための仮想的な弾性要素による弾 性力を表す第1補助振動子を生成し、前記第1 助振動子を含む前記補助振動子を生成する 助振動子生成手段と、前記ユーザの運動の ズムとスケールとのバランスに関する運動 標値を取得する運動指標値取得手段と、前 運動指標値取得手段により取得された前記 動指標値を基準値に近付けさせるように、 記補助振動子生成手段により生成される前 第1補助振動子を逐次調整する補助振動子調 整手段とを備えることを特徴とする。

 第1発明の運動補助装置によれば、主に次 の理由により、ユーザの運動リズムをその目 標とするリズムに一致させるようにユーザの 運動が補助されうる。

 すなわち第1運動振動子が入力振動信号と して第1モデルに入力されることにより、第1 デルの出力振動信号としての第1振動子が生 成される。「第1モデル」は入力振動信号と 互に引き込み合うことで固有角速度に基づ て定まる角速度で時間変化する出力振動信 を生成するモデルである。これにより、「 1振動子」は「第1運動振動子」との「相互引 き込み」の効果によってユーザの第1運動振 子のリズムと調和しながら、固有角速度に づいて定まる自律的なリズムまたは角速度 もって振動する。なお、第1運動振動子とし 、後述の第2運動振動子の時間微分が測定さ れてもよい。ここで「振動」とは、現実的ま たは仮想的なものがほぼ一定の周期を持って 揺れ動くことのほか、広く時間変化すること を含む概念である。また「振動子」とは、値 が時間変化する電気信号や、ソフトウェアに おいて値が時間変化するものとして定義され た関数等を含む概念である。しかるに、第1 動子は、ユーザの運動リズムと運動補助装 による誘導リズムとの調和を図りながら、 ーザの運動リズムを目標リズムに一致させ 観点から、ユーザの運動振動子と不適当な 相差を有している可能性がある。したがっ 、第1振動子から直接的に補助振動子が生成 れた場合、この補助振動子によって補助さ たユーザの運動リズムが、目標リズムから 離してしまうおそれがある。

 そこで、第1運動振動子と第1振動子との 相差である第1位相差に基づき、相互作用し がら第2位相差をもって周期的に変化する第 1仮想振動子と第2仮想振動子とが表現されて る仮想モデルに従って、前記第2位相差が目 標位相差に近づくように前記第2仮想振動子 角速度が第2固有角速度として設定される。 れにより、第2固有角速度は第1運動振動子 より特定されるユーザの運動リズムとの目 位相差に応じた調和を図りつつ、ユーザの 動リズムを目標運動リズムに一致させるよ にユーザの運動を補助するという観点から 当な振動子の角速度に相当するものになり る。これにより、ユーザの運動リズムが急 変化した場合でも、この変化への補助振動 の追従性を、ユーザに違和感等を与えない 点から適当なものとし、ユーザの運動リズ を目標リズムに適度なペースで徐々に一致 せることができる。

 続いて、第2運動振動子が入力振動信号と して第2モデルに入力され、第2モデルからの 力振動信号として第2振動子が生成される。 「第2モデル」は入力振動信号に基づき、第2 有角速度に基づいて定まる角速度で時間変 する出力振動信号を生成するモデルである これにより、当該第2固有角速度に基づいて 定まる角速度で時間変化する「第2振動子」 生成される。さらに第2振動子に基づいて「 助振動子」が生成される。これにより、補 振動子によって補助されたユーザの運動リ ムと補助振動子のリズムとを調和させなが 、ユーザの運動リズムを目標運動リズムに 致させることができる。ユーザの運動リズ と補助振動子のリズムとの調和により、運 補助装置による誘導リズムがユーザの運動 ズムに調和し、かつ、ユーザの運動リズム 運動補助装置による誘導リズムに調和する いったようにユーザ(人間)と装置(機械)との 調和(相互の歩み寄り)が図られる。

 また、第1発明の運動補助装置によれば、 主に次の理由により、ユーザの運動スケール をその目標とするスケールに一致させるよう にユーザの運動が補助されうる。

 ユーザの運動スケールに応じた第3運動振 動子をその目標値に近付けるように当該ユー ザの運動を補助するための仮想的なバネ等の 弾性要素の弾性力を表している「第1補助振 子」が生成され、この第1補助振動子を含む 助振動子が生成される。なお、第3運動振動 子として第2運動振動子が測定されてもよい 仮想的な弾性要素の弾性力は、ユーザの運 リズムとの調和を図りつつ、ユーザの運動 ズムを目標リズムに一致させるようにユー の運動を補助するという観点から適当な振 子の角速度に相当する新たな固有角速度に じている。したがって、第1補助振動子を含 補助振動子に応じてユーザの運動が補助さ ることで、ユーザの運動リズムと補助振動 のリズムとの調和、およびユーザの運動リ ムと目標リズムとの一致を図り、かつ、ユ ザの運動スケールに応じた第3運動振動子の 値が目標値に近づくように、すなわち、ユー ザの運動スケールが目標スケールに近付くよ うにユーザの運動が補助されうる。

 さらに、第1発明の運動補助装置によれば 、運動指標値取得手段により、ユーザの運動 のリズムとスケールとのバランスに関する運 動指標値(例えば、歩行比、歩幅など)が取得 れる。そして、補助振動子調整手段により ユーザの運動指標値を基準値に近付けさせ ように第1補助振動子が逐次調整される。す なわち、ユーザの運動のリズムを目標リズム に一致させるように生成された第2振動子に して、ユーザの運動のスケールを目標スケ ルに一致させるようにユーザの運動を補助 るための仮想的な弾性要素による弾性力が ユーザの運動のリズムとスケールとのバラ スに関する運動指標値を基準値に近付けさ るように逐次調整されることとなる。この うに、ユーザの運動指標値を基準値に近付 させるように第1補助振動子を調整すること 、生成される補助振動子におけるリズムと ケールとのバランスが調整されるので、補 振動子によるユーザの運動の補助が適切な ランスで行われうる。

 以上のように、本発明の運動補助装置に れば、ユーザの運動のリズムおよびスケー をその目標とするリズムおよびスケールに れぞれ一致させるようにユーザの運動を補 しうると共に、ユーザの運動のリズムとス ールとのバランスが取れるように運動を補 しうる。

 なお、ユーザの運動のリズムとスケール のバランスに関する運動指標値として、ユ ザの運動のリズムとスケールとのバランス 直接的に示す値(例えば、歩行比など)を用 、例えば、ユーザの運動から測定された歩 比を、基準歩行比に近付けさせるように第1 助振動子が調整されるものとしてもよい。 た、ユーザの運動のリズムとスケールとの ランスに関する運動指標値として、ユーザ 運動のリズムとスケールとのバランスを直 的に示す値(例えば、歩行比など)に関連し 値(例えば、歩幅など)を用い、例えば、ユー ザの運動から測定された歩幅を、基準歩行比 から得られる基準歩幅に近付けさせるように 第1補助振動子が調整されるものとしてもよ 。

 ユーザの運動には、歩行、走行、ものづ りに伴う手作業等、種々の運動が含まれ得 。たとえば、自動車等の製品の製造に関す 手作業が補助される場合、ユーザは補助振 子にしたがうことで、目標とする動きのリ ムおよび動きの大きさ(または力加減)をも て作業することができる。目標となる運動 リズムおよびスケールが、熟練作業者等の 作業に基づいて設定されている場合、この ーザに熟練作業者の微妙な手の動きや力加 等を実感させ、その技術を早期に修得させ ことができる。

 第2発明の運動補助装置は、第1発明の運 補助装置において、前記補助振動子生成手 は、前記仮想的な弾性要素の弾性係数とし の、前記固有角速度設定手段により設定さ た前記第2固有角速度と第1パラメータとの関 数である第1係数、前記第3運動振動子の値と 記目標値との偏差と第3パラメータとの関数 である第3係数、及び前記第2振動子との積と て算出される振動子が含まれている前記第1 補助振動子を生成するものであり、前記補助 振動子調整手段は、前記運動指標値と、前記 運動指標値の前記基準値との偏差に基づき、 前記運動指標値を前記基準値に近付けさせる ように、前記第1係数を算出するための前記 1パラメータ、および前記第3係数を算出する ための前記第3パラメータのうち少なくとも ずれか一つを逐次調整することを特徴とす 。

 第2発明の運動補助装置によれば、第1補 振動子が、第1係数を弾性係数(バネ係数)と 、かつ、ユーザの運動スケールに応じた第3 動振動子(例えば、股関節角度)の値を目標 (例えば、目標股関節角度)に復元させる仮想 的なバネ等の弾性要素(第3係数)による弾性力 として表現される。これにより、筋肉の収縮 状態から伸展状態への移行時の弾性力等、ユ ーザの身体の弾性要素が反映されたリズムお よびスケールをもってユーザの運動が補助さ れうる。このとき、補助振動子調整手段によ り、運動指標値を基準値に近付けさせるよう に、第1係数を算出するための第1パラメータ および第3係数を算出するための第3パラメ タのうち少なくともいずれか一つが逐次調 される。これにより、ユーザの運動を補助 るための仮想的な弾性要素による弾性力に 運動指標値を基準値に近付けさせるような 整が逐次加えられる。

 なお、前記第1パラメータ及び第3パラメ タが、複数のパラメータからなるパラメー の組である場合、パラメータの組に含まれ 各パラメータをそれぞれ逐次調整しうる。

 第3発明の運動補助装置は、第1発明の運 補助装置において、ユーザからの操作又は ーザの運動状態に応じて前記運動指標値の 記基準値を設定する手段を備えることを特 とする。

 第3発明の運動補助装置によれば、例えば 歩行運動のトレーニング等のための、運動指 標値の基準値(例えば、歩行比などの基準値) 、ユーザが操作して指定したり、ユーザの 動状態に応じて選択的に設定したりするこ を容易に行いうる。

 第4発明の運動補助装置は、第1発明の運 補助装置において、前記ユーザの目標運動 ケールに応じた前記目標値を、前記運動指 値の前記基準値に基づいて設定する手段を えることを特徴とする。

 第4発明の運動補助装置によれば、ユーザ の運動を補助するための仮想的な弾性要素に よる弾性力を表す第1補助振動子が、第3運動 動子の値をユーザの運動指標値の基準値に づいた目標値に近付けるように生成される これにより、ユーザの運動指標値を基準値 近付かせ、ユーザの運動のリズムとスケー とのバランスが取れるように運動を補助し る。

 第5発明の運動補助装置は、第1発明の運 補助装置において、前記ユーザの運動は前 ユーザの左部と右部とでそれぞれ行われる のであり、前記補助振動子調整手段は、前 ユーザの左部と右部との運動のそれぞれに いて、前記ユーザの運動指標値を基準値に 付けさせるように、前記第1補助振動子を逐 調整することを特徴とする。

 第5発明の運動補助装置によれば、ユーザ の運動が、例えば歩行運動のように、ユーザ の左部と右部とでそれぞれ行われるものであ る場合に、ユーザの左部と右部との運動のそ れぞれについて、第1補助振動子を独立に調 可能である。よって、ユーザの運動を補助 るための仮想的な弾性要素による弾性力が ユーザの運動指標値を基準値に近付けさせ ように、より緻密に逐次調整されうる。

 第6発明の運動補助装置は、第1発明の運 補助装置において、前記ユーザの運動は屈 方向の運動と伸展方向の運動とからなり、 記補助振動子調整手段は、前記ユーザの屈 方向の運動と伸展方向の運動とのそれぞれ ついて、前記ユーザの運動指標値を基準値 近付けさせるように、前記第1補助振動子を 次調整することを特徴とする。

 第6発明の運動補助装置によれば、ユーザ の運動が、例えば歩行運動のように、屈曲方 向の運動と伸展方向の運動とからなる場合に 、ユーザの屈曲方向の運動と伸展方向の運動 とのそれぞれについて、第1補助振動子を独 に調整可能である。よって、ユーザの運動 補助するための仮想的な弾性要素による弾 力が、ユーザの運動指標値を基準値に近付 させるように、より緻密に逐次調整されう 。

本発明の運動補助装置の外観図 図1の運動補助装置の制御システムの機 能ブロック図 図1の運動補助装置の全体的な作動を示 すフローチャート 補助振動子生成に関する仮想的な弾性 素の説明図 第1補助振動子を生成する処理を示すフ ローチャート

 本発明の運動補助装置の実施形態につい 図面を用いて説明する。以下、脚体等の左 を区別するためにパラメータに添字「L」お よび「R」を付記するが、左右を区別する必 がない場合や左右成分を有するベクトルを 現する場合には当該添字を省略する。

 図1に示されている歩行補助装置(運動補 装置)10は、第1装具11と、左右一対の第2装具1 2と、左右一対のアクチュエータ14と、バッテ リ16と、第1制御装置100と、股関節角度センサ 102とを備えている。

 第1装具11および第2装具12は、ともに剛性 ある素材と柔軟性のある繊維等の素材とが み合わせられて形成されている。第1装具11 、人間(ユーザ)Pの腰部または胴体下部(第1 体部分)の後側に装着される。第2装具12は、 間Pの大腿部または脚体上部(第2身体部分)の 前側および後側に装着される。第2装具12は左 右両側ではなく左右片側のみに設けられても よい。

 アクチュエータ14はモータにより構成さ 、必要に応じてモータに加え減速機および ンプライアンス機構のうち一方または両方 より構成される。アクチュエータ14は第1装 11が腰部に取り付けられたとき、腰部の左右 両側に配置されるように第1装具11に連結され ている。アクチュエータ14は、連結部材15を して大腿部の前後それぞれに装着される第2 具12に連結されている。連結部材15は軽量の 硬質プラスチック等の定形性のある素材によ り形成され、第1装具11が腰部に取り付けられ 、かつ、第2装具12が大腿部に取り付けられた とき、腰部の横から大腿部の横外側に沿って 下方に延びた後で大腿部の前後両側に沿うよ うに枝状に分かれた形状に形成されている。 これにより、アクチュエータ14が動作するこ で、腰部および大腿部の相対運動が補助さ るように腰部および大腿部の両方に力が作 する。腰部および大腿部の相対運動には、 床している脚体の大腿部の腰部に対する前 運動が含まれ、着床している脚体に対する 部の前後運動が含まれる。

 バッテリ16は第1装具11に収納されており( とえば、第1装具11を構成する複数枚の素材 間に固定されており)、アクチュエータ14お び第1制御装置100等に対して電力を供給する 。

 股関節角度センサ102は人間Pの腰部の横に 配置されるロータリエンコーダにより構成さ れ、股関節角度に応じた信号を出力する。

 なお、バッテリ16および後述の第1制御装 100はそれぞれ、第1装具11ではなく第2装具12 収納されていてもよいし、第1装具11および 2装具12と別体で設けられていてもよい。

 第1制御装置100は、第1装具11に収納された コンピュータ(CPU、ROM、RAM、信号入力回路、 号出力回路等により構成される。)と、この ンピュータのメモリまたは記憶装置に格納 れているソフトウェアとにより構成されて る。当該ソフトウェアを当該コンピュータ 実行することにより第1制御装置100の諸機能 が実現される。

 第1制御装置100は、バッテリ16からアクチ エータ14への供給電力を調節することによ 、アクチュエータ14の動作または出力(トル )を制御する。

 図2に示されているように、第1制御装置10 0は、運動振動子測定手段110と、第1振動子生 手段120と、固有角速度設定手段130と、第2振 動子生成手段140と、補助振動子生成手段150と 、目標運動設定手段111と、補助振動子調整手 段160と、運動指標値取得手段161とを備えてい る。各手段はそれぞれ別個のCPU等により構成 されていてもよく、共通のCPU等により構成さ れていてもよい。

 運動振動子測定手段110は股関節角度センサ1 02の出力に基づき、左右の股関節のそれぞれ 角速度および角度のそれぞれを第1運動振動 子φ 1 および第2運動振動子φ 2 のそれぞれとして測定する。第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 は人間Pの周期的な運動に応じて周期的に変 するパラメータに該当する。運動振動子を 定するとはパラメータの周期的な変化パタ ンを測定することを意味する。「周期的」 は振幅および位相、さらには位相の1回時間 分値である角速度を定義することができる とを意味しており、必ずしも振幅や位相が 定であることを意味するものではない。

 なお、第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 の組み合わせとして、人間Pの周期的な運動 応じて周期的に変化する任意の異なるパラ ータの組み合わせが適当なセンサを用いて 定されてもよい。たとえば、一方の運動振 子として股関節、膝関節、足関節、肩関節 肘関節等の任意の関節の角度、大腿部、足 部、上腕部、手部、腰部の位置(人間Pの重心 を基準とした前後方向の位置または上下方向 の位置など)が測定され、他方の運動振動子 して同じ関節の角速度、角加速度または同 部位の前後方向への変位速度、加速度等の 間微分値が測定される等、同一部位の周期 な動きのリズム(周期またはその逆数に比例 る角速度により特定される。)を表わすリズ ムでそれぞれ周期的に変化するパラメータが 第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 (=d n φ 1 /dt n (n=1,2,‥))として測定されてもよい。

 また、一方の運動振動子として第1関節の角 度または第1部位の位置が測定され、他方の 動振動子として第1関節とは異なる第2関節の 角速度、角加速度または第1部位とは異なる 2部位の速度、加速度等の時間微分値が測定 れる等、異なる部位の周期的な動きのリズ を表わすリズムでそれぞれ周期的に変化す パラメータが第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 として測定されてもよい。

 さらに、左右の脚体の着床するときに生じ 音、呼吸音、意図的な発声音等、歩行運動 ズムと連関したリズムで変動する種々のパ メータが第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 のうち一方または両方として測定されてもよ い。

 後述するように第1運動振動子φ 1 および第2運動振動子φ 2 のそれぞれは、補助振動子ηの生成基礎とな 、人間Pの運動の速さ(運動リズム)を表わす 4運動振動子φ 4 および人間Pの運動の大きさ(運動スケール)を 表わす第3運動振動子φ 3 のそれぞれにも該当する。第3運動振動子φ 3 としては、運動補助装置10により人間Pが実際 に補助される部分(補助力が付加される部分) 運動の大きさが測定される。なお、第4運動 振動子φ 4 として第1運動振動子φ 1 とは異なる周期的に変化するパラメータが測 定されてもよく、第3運動振動子φ 3 として第2運動振動子φ 2 とは異なる周期的に変化するパラメータが測 定されてもよい。

 また、後述するように第4運動振動子φ 4 および第3運動振動子φ 3 のそれぞれは、第1補助振動子η 1 の調整基礎となる、人間Pの運動のリズムと ケールとのバランスを示す運動指標値(歩行 )Rの算出に用いられる第5運動振動子φ 5 にも該当する。なお、第5運動振動子φ 5 として第4運動振動子φ 4 および第3運動振動子φ 3 とは異なる周期的に変化するパラメータが測 定されてもよい。

 目標運動設定手段111は、人間Pの目標運動と するリズムおよびスケールに関する値を設定 する。具体的には、目標運動設定手段111は、 当該目標リズムおよびスケールに関する係数 、目標位相差δθ 0 、人間Pの目標運動スケールに応じた目標値( 実施形態では目標股関節角度φ 0 )、および人間Pの運動指標値の基準値(本実施 形態では基準歩行比R 0 )を設定する。設定された目標位相差δθ 0 は固有角速度設定手段130で用いられる。また 、設定された係数、目標値φ 0 、人間Pの運動指標値の基準値R 0 は、補助振動子生成手段150および補助振動子 調整手段160で用いられる。

 第1振動子生成手段120は、運動振動子測定手 段110により測定された第1運動振動子φ 1 を入力振動信号として第1モデルに入力する とにより、出力振動信号として第1振動子ξ 1 を生成する。振動子を生成するとはパラメー タの周期的な変化パターンを定めることを意 味する。「第1モデル」は、入力振動信号と 互に引き込み合うことで第1固有角速度ω 1 に基づいて定まる角速度で変化する出力振動 信号を生成するモデルである。なお、第1振 子設定手段120は、固有角速度設定手段130に り設定された最新の第2固有角速度ω 2 を最新の第1固有角速度ω 1 として採用することにより第1モデルを逐次 定義し、以後の第1運動振動子φ 1 を入力振動信号として当該定義後の第1モデ に入力することにより、出力振動信号とし 以後の第1振動子ξ 1 を生成してもよい。

 固有角速度設定手段130は、第1位相差δθ 1 に基づき、仮想モデルにしたがって、第2位 差δθ 2 が目標位相差δθ 0 に近づくように第2固有角速度ω 2 を設定する。第1位相差δθ 1 は、運動振動子測定手段110により測定された 第1運動振動子φ 1 と、第1振動子生成手段120により生成された 1振動子ξ 1 との位相差である。「仮想モデル」は、第1 動振動子φ 1 (広義には人間Pの運動に伴って周期的に時間 化するパラメータ)が第1仮想振動子ψ 1 として表現され、運動補助装置10の動作に伴 て周期的に変化する補助振動子η(または第1 振動子ξ 1 )が第2仮想振動子ψ 2 として表現され、かつ、第1運動振動子φ 1 と補助振動子ηとの位相差が、第1仮想振動子 ψ 1 と第2仮想振動子ψ 2 との位相差である第2位相差δθ 2 として表現されているモデルである。

 固有角速度設定手段130は、第1位相差設定手 段131と、第2位相差設定手段132と、相関係数 定手段133と、第1角速度設定手段134と、第2角 速度設定手段135とを備えている。第1位相差 定手段131は第1運動振動子φ 1 と第1振動子ξ 1 との位相差を第1位相差δθ 1 として設定する。第2位相差設定手段132は「 想モデル」において定義されている第1仮想 動子ψ 1 と第2仮想振動子ψ 2 との位相差を第2位相差δθ 2 として設定する。相関係数設定手段133は、第 2位相差設定手段132により設定された第2位相 δθ 2 が、第1位相差設定手段131により設定された 1位相差δθ 1 に近づくように第1仮想振動子ψ 1 と第2仮想振動子ψ 2 との相関係数εを設定する。第1角速度設定手 段134は、相関係数設定手段133により設定され た相関係数εに基づき、第1仮想振動子ψ 1 の角速度ω 1/ を設定する。

 第2角速度設定手段135は、第1角速度設定手 134により設定された第1仮想振動子ψ 1 の角速度ω 1/ に基づき、第2位相差設定手段132により設定 れた第2位相差δθ 2 が目標位相差δθ 0 に近づくように第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ を設定する。固有角速度設定部130は第2仮想 動子ψ 2 の角速度ω 2/ を第2固有角速度ω 2 として設定する。

 第2振動子生成手段140は、運動振動子測定手 段110により測定された第2運動振動子φ 2 を入力振動信号として第2モデルに入力する とにより、出力振動信号として第2振動子ξ 2 を生成する。「第2モデル」は入力振動信号 基づき、固有角速度設定手段130により設定 れた第2固有角速度ω 2 に基づいて定まる角速度で変化する出力振動 信号を生成するモデルである。

 補助振動子生成手段150は、第2振動子生成手 段140により生成された第2振動子ξ 2 に基づき、運動補助装置10のアクチュエータ1 4により大腿部pに与えられるトルクを定める 助振動子ηを生成する。

 補助振動子生成手段150は、第1補助振動子 生成手段151と、第2補助振動子生成手段152と 補助振動子調整手段とを備えている。

 運動指標値取得手段161は、運動振動子測定 段110により測定された第5運動振動子φ 5 に基づいて、人間Pの運動のリズムとスケー とのバランスを示すユーザの運動指標値を 得する。本実施形態では、股関節角速度お び股関節角度に基づき、人間Pの運動のリズ とスケールとのバランスに関する運動指標 として、歩行比R(=歩幅W/歩行率U)を取得する 。なお、運動指標値としては、人間Pの運動 リズムとスケールとのバランスを示す歩行 Rに関連する値として、歩幅Wを用いてもよい 。さらに、運動指標値として、歩幅Wに代え 、屈曲方向と伸展方向とで独立に設定され 歩幅や股関節角度等を用いてもよい。

 補助振動子調整手段160は、補助振動子生成 段150が後述の第1補助振動子η 1 を生成するために用いる、目標運動設定手段 111により設定された係数を調整する。このと き、補助振動子調整手段160は、運動指標値取 得手段161により取得された運動指標値(歩行 )Rと、目標運動設定手段111により設定された 運動指標値の基準値(基準歩行比)R 0 との偏差に基づいて、係数を調整する。

 補助振動子生成手段150は、第2振動子生成手 段140により生成された第2振動子ξ 2 に基づき、運動補助装置10のアクチュエータ1 4により大腿部pに与えられるトルクを定める 助振動子ηを生成する。詳細には、補助振 子生成手段150は、第2振動子ξ 2 に基づき、固有角速度設定手段130により設定 された第2固有角速度ω 2 と、運動振動子測定手段110により測定された 第3運動振動子φ 3 と、補助振動子調整手段160により調整された 係数とを用いて、第1補助振動子η 1 を生成する。また、補助振動子生成手段150は 、第2振動子ξ 2 に基づき、固有角速度設定手段130により設定 された第2固有角速度ω 2 と、運動振動子測定手段110により測定された 第3運動振動子φ 3 と第4運動振動子φ 4 と、目標運動設定手段111により設定された係 数とを用いて、第2補助振動子η 2 を生成する。そして、補助振動子生成手段150 は、第1補助振動子η 1 と第2補助振動子η 2 を含む補助振動子ηを生成する。

 前記構成の歩行補助装置10により人間Pの 行運動が補助されるが、その補助方法につ て図2~図4を用いて説明する。

 第1制御装置100により歩行補助装置10の動作 次に説明するように制御される。まず、人 Pが歩行運動を開始すると運動振動子測定手 段110が、股関節角度センサ102の出力に基づき 、人間Pの左右の股関節角速度を第1運動振動 φ 1 =(φ 1L 1R )および第4運動振動子φ 4 =(φ 4L 4R )のそれぞれとして測定する(図3/S011)。また、 運動振動子測定手段110が、股関節角度センサ 102の出力に基づき、人間Pの左右の股関節角 を第2運動振動子φ 2 =(φ 2L 2R )および第3運動振動子φ 1 =(φ 3L 3R )として測定する(図3/S012)。

 さらに、第1振動子生成手段120が、運動振動 子測定手段110により測定された第1運動振動 φ 1 を入力振動信号として第1モデルに入力する とにより、出力振動信号として第1振動子ξ 1 を生成する(図3/S020)。第1モデルは左右の脚体 等、複数の第1要素の相関関係を表現するモ ルであり、前記のように入力振動信号と相 に引き込み合うことで第1固有角速度ω 1 =(ω 1L 1R )に基づいて定まる角速度で変化する出力振 信号を生成するモデルである。第1モデルは とえば式(10)で表わされるファン・デル・ポ ル(van der Pol)方程式によって定義される。

 

 “A”は第1振動子ξ 1 およびその1回時間微分値(dξ 1 /dt)がξ 1 -(dξ 1 /dt)平面で安定なリミットサイクルを描くよ に設定される正の係数である。“g”は人間P の左右の脚体等、異なる身体部分の相関関係 を、第1振動子ξ 1 の左右各成分の相関関係(複数の第1要素の出 振動信号の相関関係)に反映させるための第 1相関係数である。“K 1 ”は第1運動振動子φ 1 に応じたフィードバック係数である。

 第1振動子ξ 1 =(ξ 1L 1R )はルンゲ・クッタ法にしたがって算定また 生成される。第1振動子ξ 1 の成分ξ 1L およびξ 1R のそれぞれの角速度は、左右の脚体のそれぞ れの運動を補助する仮定的なリズムを表わし ている。また、第1振動子ξ 1 はファン・デル・ポル方程式の1つの性質で る「相互引き込み」により、実際の歩行運 リズムとほぼ同じ角速度またはリズムで変 する第1運動振動子φ 1 のリズムと調和しながらも第1固有角速度ω 1 に基づいて定まる自律的な角速度またはリズ ムをもって周期的に変化または振動するとい う性質がある。

 なお、式(10)で表現されたファン・デル・ポ ル方程式とは異なる形のファン・デル・ポル 方程式によって第1モデルが表現されてもよ 、入力振動信号との相互引き込みを伴い、 1固有角速度ω 1 に基づいて定まる角速度で周期的に変化する 出力振動信号が生成されるあらゆる方程式に よって第1モデルが表現されてもよい。また 測定対象となる第1運動振動子φ 1 の数が増やされてもよい。第1モデルに入力 れる第1運動振動子φ 1 が多くなるほど、この第1モデルを定義する ァン・デル・ポル方程式等の第1振動子ξ 1 の生成に応じた非線形微分方程式における相 関項は多くなるが、当該相関係数の調節によ って人間Pの身体の様々な部分の動きに鑑み 一層緻密な運動の補助が実現される。

 続いて、目標運動設定手段111が、人間Pの目 標運動とするリズムおよびスケールに関する 値として、目標位相差δθ 0 =(θ 0L 0R )、を設定する(図3/S030)。目標位相差δθ 0 としては、予め定められた値が用いられる。 このとき、目標運動設定手段111は、歩行補助 装置10に設けられている設定ボタン(図示略) 操作を通じて、人間Pによって設定された値 、目標位相差δθ 0 として設定してもよい。また、目標運動設定 手段111は、運動振動子測定手段110により測定 された1つ以上の運動振動子に基づいて人間P 歩行状態を判定し、この判定した歩行状態 応じて、予め定められた複数の値のうちか 目標位相差δθ 0 を選択して設定してもよい。具体的には、目 標運動設定手段111は、歩行状態と、股関節角 速度φ 4 を含むn(n=1、2、‥)個の運動振動子によってn 元空間に描かれる軌道パターンとの、予め められた対応関係をメモリから読み込む。 して、目標運動設定手段111は、読み込んだ 応関係と、測定されたn個の運動振動子によ ってn次元空間に描かれるパターンとに基づ 「歩行状態」を判定する。

 人間Pの歩行状態には、人間Pがほぼ平坦 床面を歩行する「平地歩行状態」、人間Pが または階段を昇る「上昇歩行状態」および 間Pがある坂または階段を下る「下降歩行状 態」並びに人間Pがゆっくりと歩行する「ス ー歩行状態」および人間Pが速く歩行する「 イック歩行状態」等が含まれ得る。

 なお、歩行状態判定用の運動振動子とし 、人間Pの股関節角度や、膝関節、足関節、 肩関節、肘関節の角度や角速度、角加速度、 脚体の一部の位置、さらには歩行者の着地音 、呼吸音、意図的な発声音等、歩行運動リズ ムと連関したリズムで変動する種々のパラメ ータが測定されてもよい。

 続いて、固有角速度設定手段130が、運動振 子測定手段110により測定された第1運動振動 子φ 1 と第1振動子生成手段120により生成された第1 動子ξ 1 とに基づき、第1運動振動子φ 1 と第1振動子ξ 1 との位相差である第1位相差δθ 1 に基づき、第2位相差δθ 2 が目標位相差δθ 0 に近づくように第2固有角速度ω 2 を設定する。

 具体的には、第1位相差設定手段131が、運動 振動子測定手段110により測定された第1運動 動子φ 1 と、第1振動子設定手段120により生成された 1振動子ξ 1 との位相差を第1位相差δθ 1 として設定する(図3/s031)。たとえば、φ 1 =0かつ(dφ 1 /dt)>0となる時刻と、ξ 1 =0かつ(dξ 1 /dt)>0となる時刻との時間差に基づいて第1 相差δθ 1 が算定または設定される。

 また、第2位相差設定手段132が、最近の3歩 周期にわたって第1位相差δθ 1 が一定であることまたは第1位相差δθ 1 の変動が許容範囲内に収まっていることを要 件として、第2位相差δθ 2 を設定する(図3/S032)。具体的には、式(21)およ び(22)により定義され仮想モデルにおいて定 される第1仮想振動子ψ 1 =(ψ 1L 1R )と第2仮想振動子ψ 2 =(ψ 2L 2R )との位相差を式(23)にしたがって第2位相差δ 2 として設定する。第1仮想振動子ψ 1 は、仮想モデルにおいて第1運動振動子φ 1 を擬似的に表現する。第2仮想振動子ψ 2 は仮想モデルにおいて補助振動子ηを擬似的 表現する。

 

 


 

 “ε=(ε L R )”の各成分は第1仮想振動子ψ 1 の各成分および第2仮想振動子ψ 2 の各成分の相関関係を表わす相関係数である 。“ω 1/ =(ω 1/L 1/R )”は第1仮想振動子ψ 1 の各成分の角速度である。“ω 2/ =(ω 2/L 2/R )”は第2仮想振動子ψ 2 の各成分の角速度である。

 続いて、相関係数設定手段133が、第1位相差 設定手段131により設定された第1位相差δθ 1 と第2位相差設定手段132により設定された第2 相差δθ 2 との偏差が最小になるように相関係数εを設 する(図3/S033)。

 具体的には式(24)にしたがって、左右各成分 について第1運動振動子φ 1 が0となる各時刻t i における相関係数ε(t i )が逐次設定される。

 

 “B=(B L ,B R )”の各成分は、第1位相差δθ 1 の各成分と、第2位相差δθ 2 の左右各成分とを近づけるポテンシャルV=(V L ,V R )の安定性を表す係数である。

 次に、第1角速度設定手段134が、相関係数設 定手段133により設定された相関係数εに基づ 、第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ が一定であるという条件下で、各成分につい て第1位相差δθ 1 および第2位相差δθ 2 の偏差が最小となるように第1仮想振動子ψ 1 の角速度ω 1/ を式(25)にしたがって設定する(図3/S034)。

 

 “α=(α L R )”の各成分は系の安定性を表す係数である

 続いて第2角速度設定手段135が各成分につい て、第1角速度設定手段134により設定された 1仮想振動子ψ 1 の角速度ω 1/ に基づき、第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ を設定する(図3/S035)。具体的には、第2角速度 設定手段135が、各成分について第2位相差δθ 2 が目標位相差δθ 0 に近づくように、式(26)にしたがって第2仮想 動子ψ 2 の角速度ω 2/ =(ω 2/L 2/R )を設定する。そして、第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ が第2固有角速度ω 2 として設定される(図3/S036)。

 

 “β=(β L R )”の各成分は系の安定性を表す係数である

 また、第2振動子生成手段140が、運動振動子 測定手段110により測定された第2運動振動子φ 2 を入力振動信号として第2モデルに入力する とにより、出力振動信号として第2振動子ξ 2 =(ξ 2L+ 2L- 2R+ 2R- )を生成する(図3/S040)。第2モデルは各脚体の 曲方向(前方)への動きおよび伸展方向(後方) の動きを司る神経要素等、複数の第2要素の 相関関係を表現するモデルであり、前記のよ うに入力振動信号に基づき、固有角速度設定 手段130により設定された第2固有角速度ω 2 に基づいて定まる角速度で変化する出力振動 信号を生成するモデルである。第2モデルは とえば式(30)により表現される連立微分方程 により定義される。当該連立微分方程式に 左大腿部の屈曲方向(前方)および伸展方向( 方)のそれぞれへの運動を支配する神経要素 L+およびL-、並びに右大腿部の屈曲方向およ 伸展方向のそれぞれへの運動を支配する神 要素R+およびR-の膜電位の変動に対応する状 変数u i (i=L+,L-,R+,R-)と、神経要素iの順応効果を表現 るための自己抑制因子v i とが含まれている。

 

 “τ 1i ”は状態変数u i の変化特性を規定する時定数であり、ω依存 を有する係数t(ω)と、定数γ=(γ L R )とを用いて式(31)により表現されるが、第2固 有角速度ω 2 に依存して変化する。

 

 “τ 2i ”は自己抑制因子v i の変化特性を規定する時定数である。“w i/j ”は人間Pの左右各脚体の屈曲方向および伸 方向への動きを司る神経要素の相関関係を 2振動子ξ 2 の各成分の相関関係(複数の第2要素の出力振 信号の相関関係)に反映させるための負の第 2相関係数である。“λ L ”および“λ R ”は慣れ係数である。“K 2 ”は第2運動振動子φ 2 に応じたフィードバック係数である。

 “f 1 ”は正の係数cを用いて式(32)により定義され 第2固有角速度ω 2 の1次関数である。“f 2 ”は係数c 0 ,c 1 およびc 2 を用いて式(33)により定義される第2固有角速 ω 2 の2次関数である。

 

 

 第2振動子ξ 2i は、状態変数u i の値が閾値u th 未満である場合は0、状態変数u i の値が閾値u th 以上である場合は1とする。このu i の値をとる。あるいは、第2振動子ξ 2i は、シグモイド関数fsによって定義されてい (式(30)参照)。これにより、大腿部の屈曲方 (前方)への動きについてはこの動きを支配 る第2要素(神経要素)L+、R+の出力である第2振 動子ξ 2L+ およびξ 2R+ が、他の第2要素の出力よりも大きくなる。 た、大腿部の伸展方向(後方)への動きについ てはこの動きを支配する第2要素L-、R-の出力 ある第2振動子ξ 2L- およびξ 2R- が、他の第2要素の出力よりも大きくなる。 体(大腿部)の前方または後方への動きは、た とえば、股関節角速度の極性によって識別さ れる。

 なお、測定対象となる第2運動振動子φ 2 の数が増やされてもよい。第2モデルに入力 れる第2運動振動子φ 2 が多くなるほど、この第2モデルを定義する 立微分方程式における相関項は多くなるが 当該相関係数の調節によって人間Pの身体の 々な部分の動きに鑑みた一層緻密な運動の 助が実現される。

 次に、補助振動子生成手段150が、運動振動 測定手段110によって測定された第3運動振動 子φ 3 および第4運動振動子φ 4 と、第2振動子生成手段140により生成された 2振動子ξ 2 と、固有角速度設定手段130によって設定され た第2固有角速度ω 2 とに基づき、補助振動子η=(η L R )を設定する。前記のように第2運動振動子φ 2 と同じく第3運動振動子φ 3 として測定される股関節角度と、第1運動振 子φ 1 と同じく第4運動振動子φ 4 として測定される股関節角速度とに基づいて 補助振動子ηが設定される。

 具体的には、第3運動振動子φ 3 と、第2振動子ξ 2 と、第2固有角速度ω 2 とに基づき、式(40)にしたがって第1補助振動 η 1 =(η 1L 1R )が生成される(図3/S051)。

 

 “g 1+ ”は係数a k+ (k=0~3)を用いて式(41)により定義される第2固有 角速度ω 2 の3次関数である。“g 1- ” は係数a k- (k=0~3)を用いて式(42)により定義される第2固有 角速度ω 2 の3次関数である。“g + ”は係数c i+ (i=1,2)および第3運動振動子φ 3 の値の正方向の目標値(股関節角度の屈曲方 の目標値)φ 0+ を用いて式(43)により定義される第3運動振動 φ 3 の3次関数である。“g - ” は係数c i- (i=1,2)および第3運動振動子φ 3 の値の負方向の目標値(股関節角度の伸展方 の目標値)φ 0- を用いて式(44)で定義される第3運動振動子φ 3 の3次関数である。

 

 


 


 

 なお、g 1+ ,g 1- は本発明の第1係数に相当し、a k+ ,a k- (k=0~3)は本発明の第1パラメータに相当する。 た、g + ,g - は本発明の第3係数に相当し、c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- は本発明の第3パラメータに相当する。

 第1補助振動子η 1 は第1係数g 1+ およびg 1- をそれぞれ弾性係数とする、第3運動振動子φ 3 の値を正方向の目標値φ 0+ および負方向の目標値φ 0- のそれぞれに復元させる、図4に示されてい 2つの仮想的な弾性要素(たとえばバネ)G 1+ およびG 1- による弾性力として表現されている。この第 1補助振動子η 1 に基づいて人間Pの歩行運動が補助されるこ により、筋肉の収縮状態から伸展状態への 行時の弾性力等、人間Pの筋肉等の弾性要素 挙動特性に鑑みて適切な運動スケールが実 されるようにこの人間Pの歩行運動が補助さ れうる。

 第1補助振動子η 1 のうち“g 1+ 2L )g + 3L 2L+ ”および“g 1+ 2R )g + 3R 2R+ ”は、弾性係数g 1+ に応じて第3運動振動子φ 3 の値を正方向の目標値φ 0+ に近付けるように人間Pの大腿部に作用する 一方の仮想的な弾性要素G 1+ の弾性力を表現している(式(40)(41)(43)、図4参 )。すなわち、当該項は第3運動振動子(股関 角度)φ 3 の値が正方向の目標値φ 0+ 未満である場合、大腿部を前方に動かす一方 、第3運動振動子φ 3 の値が正方向の目標値φ 0+ を超えた場合、大腿部を後方に動かすような 弾性要素G 1+ の弾性力を表現している。一方、第1補助振 子η 1 のうち“-g 1- 2L )g - 3L 2L- ”および“-g 1- 2R )g - 3R 2R- ”は、弾性係数g 1- に応じて第3運動振動子φ 3 の値を負方向の目標値φ 0- に近付けるように人間Pの大腿部に作用する 一方の仮想的な弾性要素G 1- の弾性力を表現している(式(40)(42)(44)、図4参 )。すなわち、当該項は第3運動振動子(股関 角度)φ 3 の値が負方向の目標値φ 0- より大きい場合、大腿部を後方に動かす一方 、第3運動振動子φ 3 の値が負方向の目標値φ 0- を下回った場合、大腿部を前方に動かすよう な弾性要素G 1- の弾性力を表現している。

 また、前記のように大腿部の前方への動き よび後方への動きの別に応じて複数の第2要 素i(=L+,L-,R+,R-)のうち一部から偏重的に出力が あるので、2つの仮想的な弾性要素G 1+ およびG 1- のそれぞれの弾性力が相殺される事態が回避 される。たとえば、左の大腿部が前方に動い ているとき、この動きを支配する第2要素L+に 応じた第2振動子ξ 2L+ の値が他の第2要素L-に応じた第2振動子ξ 2L- の値より大きくなるので、式(40)により表現 れる第1補助振動子η 1L が式(45)により近似的に表現される。すなわ 、左の大腿部が前方に動いているとき、第1 助振動子η 1 は両方の弾性要素G 1+ およびG 1- の弾性力の和ではなく、第3運動振動子φ 3 の値を正方向の目標値φ 0+ に近付けるように人間Pの左の大腿部に作用 る一方の弾性要素G 1+ の弾性力として近似的に表現される。これは 右の大腿部についても同様である。これによ り、2つの仮想的な弾性要素G 1+ およびG 1- のそれぞれの弾性力が相殺される事態が回避 される。

 

 また、たとえば、左の大腿部が後方に動い いるとき、この動きを支配する第2要素L-の 力が他の第2要素L+の出力より大きくなり、 れによって第2要素L-に応じた第2振動子ξ 2L- の値が第2要素L+に応じた第2振動子ξ 2L+ の値より大きくなって、式(40)により表現さ る第1補助振動子η 1L は式(46)により近似的に表現される。すなわ 、左の大腿部が後方に動いているとき、第1 助振動子η 1 は両方の弾性要素G 1+ およびG 1- の弾性力の和ではなく、第3運動振動子φ 3 の値を負方向の目標値φ 0- に近付けるように人間Pの左の大腿部に作用 る一方の弾性要素G 1- の弾性力として近似的に表現される。これは 右の大腿部についても同様である。これによ り、2つの仮想的な弾性要素G 1+ およびG 1- のそれぞれの弾性力が相殺される事態が回避 される。

 

 第3運動振動子φ 3 の値の目標値φ 0+ およびφ 0- は歩幅等の目標運動スケールに応じて人間P 股関節角速度を含む脚体の姿勢を特定する めの幾何学的特徴にしたがって設定される また、第2固有角速度ω 2 の関数である第1係数g 1+ 2 )およびg 1- 2 )のそれぞれに含まれる係数a k+ およびa k- は歩行率(=単位時間当たりの歩数)等の目標運 動リズムに応じた係数として設定されうる。 なお、第3運動振動子φ 3 の値の目標値φ 0+ およびφ 0- は運動補助装置10に設けられている設定ボタ (図示略)の操作を通じて、人間Pの歩行運動 観察する者等によって設定された目標運動 ケールに基づき、人間Pの股関節角度を含む 脚体の姿勢の幾何学的条件にしたがって設定 されてもよい。また、第1係数g 1+ 2 )およびg 1- 2 )のそれぞれに含まれる係数a k+ およびa k- は、運動補助装置10に設けられている設定ボ ン(図示略)の操作を通じて、人間Pによって 定された目標とする「歩行率」に応じて設 されてもよい。

 ここで、上述の第1補助振動子η 1 を生成する処理(図3/s051)について、図5のフロ ーチャートを参照して説明する。

 まず、運動指標値取得手段161が、運動振動 測定手段110により測定された第5運動振動子 (股関節角度および股関節角速度)φ 5 に基づいて、人間Pの歩行比R(人間Pの運動指 値)を取得する(図5/s201)。具体的には、測定 れた股関節角度に基づいて、人間Pの脚体の 勢の幾何学的条件にしたがって歩幅Wを測定 する。また、測定された股関節角速度の時系 列データから歩行率U(=歩数/分)を測定する。 お、例えば、加速度センサ等を備えて歩数 測定することで、歩行率Uが直接的に測定さ れるようにしてもよい。そして、運動指標値 取得手段161は、測定された歩幅Wと歩行率Uと 用いて、歩行比R(=歩幅W/歩行率U)を取得する 。なお、歩幅Wおよび歩行率Uとしては、制御 期毎に測定された歩幅W及び歩行率Uの所定 数分の制御周期における平均値を用いても い。

 次いで、目標運動設定手段111が、基準歩行 (人間Pの運動指標値の基準値)R 0 を設定する(図5/s202)。基準歩行比R 0 としては、予め定められた値が用いる。この とき、目標運動設定手段111は、人間Pの歩行 態を判定し、この判定した歩行状態に応じ 、予め定められた複数の値のうちから基準 行比R 0 を選択して設定してもよい。また、目標運動 設定手段111は、歩行補助装置10に設けられて る設定ボタン(図示略)の操作を通じて、人 Pによって設定された値を、基準歩行比R 0 として設定してもよい。

 次いで、目標運動設定手段111が、上記式(41) (42)で示される第2固有角速度ω 2 の関数である第1係数g 1+ 2 )およびg 1- 2 )のそれぞれに含まれる、目標となる運動リ ム(歩行率)に応じた係数(第1パラメータ)a k+ およびa k- を設定する。これと共に、目標運動設定手段 111が、上記式(43)(44)で示される股関節角度(第 3運動振動子)φ 3 の関数である第3係数g + 3 )およびg - 3 )のそれぞれに含まれる、目標となる運動ス ール(歩幅)に応じた係数(第3パラメータ)c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を設定する(図5/s203)。

 このとき、目標運動設定手段111は、人間Pの 歩行状態を判定し、この判定した歩行状態に 応じて、予め定められた複数の値のうちから 第1パラメータa k+ ,a k- 、第3パラメータc 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を選択して設定してもよい。また、目標運動 設定手段111は、歩行補助装置10に設けられて る設定ボタン(図示略)の操作を通じて、人 Pによって設定された目標とする「歩行比」 応じて、第1パラメータa k+ ,a k- 、第3パラメータc 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を設定してもよい。

 次いで、目標運動設定手段111が、S202で設定 された基準歩行比R 0 に基づいて、人間Pの股関節角度を含む脚体 姿勢の幾何学的条件にしたがって、第3運動 動子(股関節角度)φ 3 の目標値φ 0+ およびφ 0- を設定する(図5/S204)。具体的には、まず、目 運動設定手段111は、S201で測定された歩行率 Uと、S202で設定された基準歩行比R 0 に基づいて、歩幅Wの目標値W 0 (=基準歩行比R 0 *歩行率U)を算出する。このとき、歩行率Uと ては、制御周期毎に測定された歩行率Uを、 定回数分の制御周期で平均した平均値を用 てもよい。

 次いで、目標運動設定手段111は、測定され 第3運動振動子(股関節角度)φ 3 から得られる、伸展方向の最大股関節角度φ m+ に基づいて、伸展方向の歩幅W + を算出する。このとき、伸展方向の最大股関 節角度φ m+ としては、制御周期毎に測定された伸展方向 の最大股関節角度φ m+ を、所定回数分の制御周期で平均した平均値 を用いてもよい。

 次いで、目標運動設定手段111は、算出され 目標歩幅W 0 から、算出された伸展方向の歩幅W + を減じて、屈曲方向の歩幅W - の目標値W 0- を算出する。

 次いで、目標運動設定手段111は、算出され 屈曲方向の目標歩幅W 0- から、人間Pの股関節角度を含む脚体の姿勢 幾何学的条件にしたがって、屈曲方向の股 節角度の目標値φ 0+ を算出する。

 なお、目標運動設定手段111は、伸展方向の 関節角度の目標値φ 0- としては、人間Pの股関節角度を含む脚体の 勢の幾何学的条件にしたがった、予め定め れた上限値を用いる。なお、上限値は、人 Pの歩行状態に応じて設定されてもよい。ま 、上限値は、歩行補助装置10に設けられて る設定ボタン(図示略)の操作を通じて、人間 Pによって設定された目標とする「歩幅」に づいて設定されてもよい。

 また、基準歩行比R 0 に基づいて屈曲方向の股関節角度の目標値φ 0+ を設定し、伸展方向の股関節角度の目標値φ 0- は、予め定められた上限値を用いるものとし たが、基準歩行比R 0 に基づいて伸展方向の股関節角度の目標値φ 0+ を設定し、屈曲方向の股関節角度の目標値φ 0- は、予め定められた上限値を用いるものとし てもよい。また、運動指標値が、例えば、屈 曲方向と伸展方向とで独立に設定された歩幅 や股関節角度等である場合には、屈曲・伸展 方向にそれぞれ対応するバネモデルで、屈曲 方向と伸展方向とで独立に股関節角度の目標 値φ 0+ およびφ 0- を設定しうる。

 次いで、補助振動子調整手段160が、S203で設 定された第1パラメータa k+ ,a k- (k=0~3)、第3パラメータc 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を調整する(図5/S205)。このとき、補助振動子 整手段160は、S201で取得された歩行比Rと、S2 02で設定された基準歩行比R 0 との偏差に基づいて、パラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を調整する。具体的には、上記式(24)にした って第1位相差δθ 1 と第2位相差δθ 2 との偏差が最小になるように相関係数εを逐 設定した手法と同様に、歩行比Rと基準歩行 比R 0 との偏差が最小になるようにパラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- とが逐次設定される。すなわち、補助振動子 調整手段160は、歩行比Rを基準歩行比R 0 に近付けさせるように、パラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を設定値から変分させる。なお、パラメータ a k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- の調整は、制御周期毎(1歩毎)でなく、所定回 数分の制御周期毎(例えば、3歩毎)に行うもの とする。

 また、補助振動子調整手段160は、複数のパ メータからなるパラメータの組である第1パ ラメータ及び第3パラメータについて、第1パ メータa k+ ,a k- のそれぞれ、、第3パラメータc 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- のそれぞれのうち、少なくともいずれか一つ を逐次調整しうる。

 また、運動指標値として、人間Pの運動のリ ズムとスケールとのバランスを示す歩行比R 関連する歩幅Wを用いた場合、補助振動子調 手段160は、歩幅Wを、基準歩行比R 0 から得られた基準歩幅W 0 に近付けさせるように、パラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- を調整する。また、運動指標値として、屈曲 方向と伸展方向とで独立に設定された歩幅や 股関節角度等を用いた場合、屈曲方向と伸展 方向とで独立にパラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- が調整される。

 次いで、補助振動子生成手段150が、第3運動 振動子(股関節角度)φ 3 と、第2固有角速度ω 2 と、S204で設定された股関節角度の目標値φ 0+ およびφ 0- と、S205で調整されたパラメータa k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- とを、上記式(41)~(44)に代入して、第1係数g 1+ ,g 1- 、第3係数g +, g - を算出する。そして、この算出した第1係数g 1+ ,g 1- 、第3係数g +, g - と、ξ 2i と、第2固有角速度ω 2 を、上記式(40)に代入して、第1補助振動子η 1 を生成する(図5/S206)。

 以上が第1補助振動子η 1 を生成する処理である。

 なお、第3運動振動子φ 3 の値を変数とするシグモイド関数fs(式(30)参 )が第1係数g 1+ ,g 1- に組み込まれ、これにより第3運動振動子φ 3 の1回時間微分値dφ 3 /dtの極性により特定される大腿部の前後への 動きの別に応じて、複数の第2要素iの出力と ての第2振動子ξ 2i のうち一部が偏重的に反映された形で第1補 振動子η 1 が生成されてもよい。これによっても2つの 想的なバネG 1+ およびG 1- のそれぞれの弾性力が相殺される事態が回避 されうる。

 さらに、運動振動子測定手段110により測定 れた第4運動振動子φ 4 と、第2振動子生成手段140により生成された 2振動子ξ 2 と、固有角速度設定手段130により設定された 第2固有角速度ω 2 とに基づき、式(50)にしたがって第2補助振動 η 2 が設定される(図3/S052)。

 

 “g 2+ ”は係数b k+ (k=0~3)を用いて式(51)により定義される第2固有 角速度ω 2 の3次関数である。“g 2- ”は係数b k- (k=0~3)を用いて式(52)により定義される第2固有 角速度ω 2 の3次関数である。“H + ”は式(53)により定義される第4運動振動子φ 4 の1回時間積分値の関数である。“H - ”は式(54)により定義される第4運動振動子φ 4 の1回時間積分値の関数である。

 

 


 


 

 第2補助振動子η 2 は、第2係数g 2+ およびg 2- をそれぞれ減衰係数とし、第4運動振動子φ 4 に応じてその時間積分値の絶対値の増大を抑 制する、図5に示されている2つの仮想的な減 要素(たとえばダンパ)G 2+ およびG 2- の減衰力として表現されている。この第1補 振動子η 1 に基づいて人間Pの歩行運動が補助されるこ により、筋肉の収縮状態から伸展状態への 行時の減衰力等、人間Pの筋肉等の減衰要素 挙動特性に鑑みて適切な運動スケールが実 されるようにこの人間Pの歩行運動が補助さ れうる。

 第2補助振動子η 2 のうち“-g 2+ 2L 4L H + (∫dtφ 4L 2L+ ”および“-g 2+ 2R 4R H + (∫dtφ 4R 2R+ ”は、減衰係数g 2+ および第4運動振動子φ 4 の値に応じて、正方向の第4運動振動子φ 4 の時間積分値の絶対値の増大を抑制するよう に人間Pの大腿部に作用する、一方の仮想的 弾性要素G 2+ の弾性力を表現している(式(50)(51)(53)、図4参 )。すなわち、当該項は第4運動振動子(股関 角速度)φ 4 の値が正方向に大きいほど、大腿部の前方へ の動きを強く抑制するような減衰要素G 2+ の減衰力を表現している。一方、第2補助振 子η 1 のうち“g 2- 2L 4L H - (∫dtφ 4L 2L- ”および“g 2- 2R 4R H - (∫dtφ 4R 2R- ”は、減衰係数g 2- に応じて、負方向の第4運動振動子φ 4 の時間積分値の絶対値の増大を抑制するよう に人間Pの大腿部に作用する、他方の仮想的 弾性要素G 2- の弾性力を表現している(式(50)(52)(54)、図4参 )。すなわち、当該項は第4運動振動子(股関 角速度)φ 4 の値が負方向に大きいほど、大腿部の後方へ の動きを強く抑制するような減衰要素G 2+ の減衰力を表現している。

 また、第2補助振動子η 2 には、股関節角度φ H の関数としての階段関数H + ,H - が含まれている。したがって、2つの仮想的 ダンパG 2+ およびG 2- のそれぞれの減衰力が相殺される事態が回避 される。

 第2固有角速度ω 2 の関数である第2係数g 2+ 2 )およびg 2- 2 )のそれぞれに含まれる係数b k+ およびb k- は歩行率等の目標運動リズムに応じた係数と して設定されうる。なお、当該係数b k+ およびb k- は、運動補助装置10に設けられている設定ボ ン(図示略)の操作を通じて、人間Pにより設 されてもよい。

 さらに、補助振動子生成手段150が、第1補助 振動子生成手段151により生成された第1補助 動子η 1 =(η 1L 1R )と、第2補助振動子生成手段152により生成さ た第2補助振動子η 2 =(η 2L 2R ) との合計を補助振動子η(=η 1 2 )として生成する(図3/S053)。そして、第1制御 置100により補助振動子ηに基づいてバッテリ 16から左右のアクチュエータ14(またはこれを 成するモータ)にそれぞれ供給される電流I=( I L ,I R )が調節される。電流Iは補助振動子ηに基づ 、たとえばI(t)=G 1 ・η(t)(G 1 は定数)と表現される。これにより、第1装具1 1および第2装具12を介して運動補助装置10から 人間Pに与えられる、腰部(第1身体部分)に対 て左右の大腿部(第2身体部分)を相対的に前 方向に動かすような力または股関節回りの ルクT=(T L ,T R )が調節される(図3/S060)。トルクTは電流Iに基 き、たとえばT(t)=G 2 ・I(t)(G 2 は定数)と表現される。また、バッテリ16の残 電量が閾値以下になったこと、動作スイッチ がONからOFFに切り替えられたこと等の制御終 条件が満たされているか否かが判定される( 図3/S062)。制御終了条件が満たされていない 判定された場合(図3/S062‥NO)、前記一連の処 が繰り返される(図3/S011,S012,S020,‥等参照)。 これにより、腰部(第1身体部分)および左右の 大腿部(第2身体部分)の相対的な運動を伴う人 間Pの歩行運動が運動補助装置10によって継続 的に補助される。一方、制御終了条件が満た されていると判定された場合(図3/S062‥YES)、 記一連の処理が終了する。

 前記機能を発揮する本発明の歩行補助シ テム1によれば、運動補助装置10により人間P の腰部(第1身体部分)および大腿部(第2身体部 )のそれぞれにアクチュエータ14の出力が与 られる。これにより、当該2つの部分の相対 運動を伴う人間Pの歩行運動が、運動リズム 目標運動リズムに一致させ、かつ、運動ス ールを目標運動スケールに一致させるよう 補助される。

 具体的には、次の理由により、人間Pの運動 リズムをその目標とする運動リズムに一致さ せるように人間Pの運動が運動補助装置10によ って補助されうる。すなわち、第1運動振動 φ 1 に基づき、第1モデルにしたがって生成され 第1振動子ξ 1 は、この第1モデルの性質である「相互引き み」の効果によってこの第1運動振動子φ 1 の角速度と調和しながら、第1固有角速度ω 1 に基づいて定まる角速度で周期的に変化する (式(10)、図3/S020参照)。したがって、第1振動 ξ 1 に基づいて補助振動子ηが直接的に生成され ことにより、第1運動振動子φ 1 により表現される人間Pの周期的な運動と調 するような補助振動子ηがただちに生成され うる。

 しかるに、第1運動振動子φ 1 により表現される人間Pの周期的な運動と、 助振動子ηにより表わされる運動補助装置10 よる周期的な動作との位相差は、運動補助 置10の動作に対する人間Pの運動態様を定め ものである。たとえば、この位相差が正で る場合、人間Pは運動補助装置10を先導する うな形態で運動することができる。一方、 の位相差が負である場合、人間Pは運動補助 装置10によって先導されるような形態で運動 ることができる。このため、第1振動子ξ 1 の第1運動振動子φ 1 に対する位相差(第1位相差)δθ 1 が目標位相差δθ 0 から乖離していると、人間Pの運動態様が判 になりやすい。その結果、補助振動子ηに応 じた角速度で周期的に変化するトルクTによ て腰部および大腿部の相対的運動が補助さ る人間Pの運動リズムが、目標運動リズムか 乖離してしまう可能性が高い。

 そこで、第2振動子ξ 2 が生成された上で、第1振動子ξ 1 ではなく第2振動子ξ 2 に基づいて補助振動子ηが生成されるが(図3/S 040,S051~S053参照)、第1運動振動子φ 1 と第1振動子ξ 1 との相互調和性を維持しつつも、人間Pの運 リズムを目標運動リズムに一致させる観点 ら、第2振動子ξ 2 の角速度を定める適当な第2固有角速度ω 2 が設定される。すなわち、歩行補助装置10に る補助リズムを人間Pの運動リズムに調和さ せながら、この人間Pの運動リズムを目標運 リズムに一致させるため、歩行補助装置10の 補助リズムと人間Pの運動リズムとの適切な 相差を実現する観点から、適当な第2固有角 度ω 2 が設定される。

 具体的には、第1運動振動子φ 1 と第1振動子ξ 1 との位相差(第1位相差)δθ 1 と、第1仮想振動子ψ 1 と第2仮想振動子ψ 2 との位相差(第2位相差)δθ 2 との偏差が最小になるように仮想モデルの特 性を定める相関係数εおよび第1仮想振動子ψ 1 の角速度ω 1/ が設定される(図3/S033,S034参照)。これにより 第1運動振動子φ 1 および第1振動子ξ 1 の相互調和性(第1モデルの性質)に鑑みて、第 1仮想振動子ψ 1 および第2仮想振動子ψ 2 のそれぞれの挙動状態が適当に表現されるよ うに仮想モデルが構築される。すなわち、第 1仮想振動子ψ 1 により表現される第1運動振動子φ 1 と、第2仮想振動子ψ 2 により表現される補助振動子ηまたはその生 基礎である第2振動子ξ 2 とが第2位相差δθ 2 をもって相互に調和しながら周期的に変化す るように仮想モデルが構築される。また、第 2位相差δθ 2 が目標位相差δθ 0 に近づくように第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ が設定される(図3/S035参照)。これにより、第1 仮想振動子ψ 1 により表現されている第1運動振動子φ 1 と、第2仮想振動子ψ 2 により表現されている補助振動子ηまたはそ 生成基礎である第2振動子ξ 2 とが前記のように相互調和性を維持しつつも 、第1運動振動子φ 1 と、補助振動子ηまたはその生成基礎である 2振動子ξ 2 との位相差を目標位相差δθ 0 に近づける観点から、第2仮想振動子ψ 2 の適当な角速度ω 2/ が設定される。そして、第2仮想振動子ψ 2 の角速度ω 2/ が、この第2仮想振動子ψ 2 により擬似的に表現されている補助振動子η 生成基礎となる第2振動子ξ 2 の角速度を定める第2固有角速度ω 2 として設定される(図3/S035,S051,S052参照)。

 また、第2固有角速度ω 2 に基づいて定まる角速度で周期的に変化する 第2振動子ξ 2 に基づいて生成される補助振動子ηも、第2固 有角速度ω 2 に基づいて定まる角速度で周期的に変化する (式(309(40)(50)、図3/S040,S050参照)。したがって 補助振動子ηに基づくトルクTが人間Pに与え れることにより(図3/S060参照)、人間Pの運動 ズムと運動補助装置10の動作リズムとを調 させ、かつ、運動リズムを目標運動リズム 一致させるようにこの人間Pの歩行運動が補 される。

 また、次の理由により、人間Pの運動スケー ルを目標運動スケールに一致させるように人 間Pの運動が運動補助装置10によって補助され うる。すなわち、前記のように第1補助振動 η 1 は、第3運動振動子(股関節角度)φ 3 を正目標値φ 0+ および負目標値φ 0- のそれぞれに近付けるように左右大腿部に作 用する仮想的な弾性要素の弾性力を表す(式(4 0)~(46)参照)。また、前記のように第2補助振動 子η 2 に含まれている第2係数g 2+ ,g 2- は、第4振動子(股関節角速度)φ 4 の1回時間積分値(股関節角度)の絶対値の増大 を、第4振動子φ 1 の値に応じて抑制するように左右大腿部に作 用する仮想的な減衰要素の減衰力を表す。し たがって、第1補助振動子η 1 および第2補助振動子η 2 の和である補助振動子ηに基づくトルクTが人 間Pに与えられることにより、第3運動振動子 3 により表現される人間Pの運動スケールが、 目標値φ 0+ および負目標値φ 0- により表現される目標運動スケールに近付く ように、かつ、第4運動振動子φ 4 により表現される仮想的な抑制力により人間 Pの運動リズムが目標運動リズムから乖離し いように人間Pの運動が補助されうる。

 このとき、人間Pの運動のリズムとスケール とのバランスに関する運動指標値の基準値に 基づいて、人間Pの目標運動スケールに応じ 目標値φ 0+ およびφ 0- が設定される(図5/S204)。これと共に、人間Pの 運動指標値を基準値に近付けさせるように、 第1補助振動子η 1 を算出する際に用いられる第1係数、第3係数 パラメータ(a k+ ,a k- ,c 1+ ,c 2+ ,c 1- ,c 2- )が逐次調整される(図5/S205)。すなわち、人間 Pの運動を補助するための仮想的な弾性要素 よる弾性力が、人間Pの運動のリズムとスケ ルとのバランスに関する運動指標値を基準 に近付けさせるように逐次調整されること なる。

 以上のように、本発明の歩行補助装置(運 動補助装置)10によれば、ユーザの運動のリズ ムおよびスケールをその目標とするリズムお よびスケールにそれぞれ一致させるようにユ ーザの運動を補助しうる。これと共に、本発 明の運動補助装置10によれば、ユーザの運動 スケールを目標スケールに一致させるよう ユーザの運動を補助するための仮想的な弾 要素による弾性力を表す第1補助振動子を、 ユーザの運動のリズムとスケールとのバラン スに関する運動指標値を基準値に近付けさせ るように逐次調整することで、ユーザの運動 のリズムとスケールとのバランスが取れるよ うにユーザの運動を補助しうる。

 なお、本実施形態では、補助振動子ηに応 た左右の股関節回りのトルクT=(T L ,T R )がユーザの身体に作用させられたが、他の 施形態として、膝関節、足関節、肩関節、 関節、手根関節等、種々の関節回りのトル がユーザの身体に作用させされてもよい。 ルク作用対象となる関節の組合せは、ユー に応じてさまざまに変更されてもよい。

 また、他の実施形態として、ヘッドホン の聴覚装置(図示略)を介して歩行者が聴覚 に知覚可能な補助振動子ηに応じた周期的な 音や、ゴーグル等の視覚装置(図示略)を介し 知覚可能な補助振動子ηに応じた周期的な または標識や、マッサージ機器等により歩 者が背中や肩等の身体の一部の触覚を介し 知覚可能な補助振動子ηに応じた周期的な叩 き(ノック)等がユーザに対して付与されても い。

 また、本実施形態では、人間Pの歩行運動 が補助されるように運動補助装置10が構成さ ているが(図1参照)、他の実施形態として人 Pのさまざまな身体部分に装着されうるよう に第1装具11および第2装具12の形状や素材等が 変更されることにより、歩行運動以外のさま ざま運動が補助されるように運動補助装置10 構成されてもよい。たとえば、人間Pの大腿 部(第1身体部分)および上下腿部(第2身体部分) のそれぞれに第1装具11および第2装具12のそれ ぞれが装着され、大腿部に対する下腿部の周 期的な相対運動を運動が補助されてもよい。 また、人間Pの上腕部(第1身体部分)および大 部(第2身体部分)のそれぞれに第1装具11およ 第2装具12のそれぞれが装着され、上腕部に する大腿部の周期的な相対運動を運動が補 されてもよい。さらに、人間Pの肩部(第1身 部分)および上腕部(第2身体部分)のそれぞれ 第1装具11および第2装具12のそれぞれが装着 れ、肩部に対する上腕部の周期的な相対運 を運動が補助されてもよい。また、自動車 の製品の製造に関する手作業が補助される うに運動補助装置10が構成されていてもよ 。これにより、人間Pは補助振動子にしたが ことで、目標とする動きのリズムおよび動 のスケール(または力加減)をもって作業す ことができる。さらに、目標となる運動の ズムおよびスケールが、熟練作業者等の手 業に基づいて設定されている場合、人間Pに 練作業者の微妙な手の動きや力加減等を運 補助装置10の動作を通じて実感させ、その 術を早期に修得させることができる。

 また、他の実施形態として、運動補助装 が、人間Pに上向きの力を作用させ、この力 を調節する体重免荷装置を備えていてもよい 。この体重免荷装置としては、たとえば人間 Pに取り付けられたワイヤの張力が調節され ことにより、人間Pに上向きに作用する力の 弱が調節される構成の装置が採用されうる 当該構成の運動補助システム1によれば、体 重免荷装置により人間Pに調節可能な上向き 力が与えられることにより、この人間Pの体 を支えるための脚体の負担を軽減すること できる。

 また、他の実施形態として、運動補助装 がトレッドミルを備え、このトレッドミル 上で人間Pが歩行運動してもよい。トレッド ミルは2つのローラと、2つのローラにかけま された環状のベルトと、ベルトの裏側から 間Pの体重を支えるための支持部材と、2つ ローラのうち一方を駆動する駆動機構と、 動機構の動作を制御する制御装置とを備え いる。トレッドミルの使用により比較的狭 スペースであっても人間Pの歩行運動または 行訓練が実施されうる。