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Title:
CERIUM-CONTAINING COMPLEX OXIDE, METHOD OF PRODUCING THE SAME, PM COMBUSTION CATALYST AND DIESEL PARTICULATE FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044736
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a cerium-containing complex oxide which contains Bi and Pr and has an oxygen absorption/desorption capability at 300oC of 500 μmol/g or more; a PM combustion catalyst using this cerium-containing complex oxide; and a diesel particulate filter wherein the PM combustion catalyst is loaded on a filter matrix.

Inventors:
WATAJIMA AKIHISA (JP)
YUZAKI KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067748
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DOWA ELECTRONICS MATERIALS CO (JP)
WATAJIMA AKIHISA (JP)
YUZAKI KOICHI (JP)
International Classes:
C01G29/00; B01D53/94; B01J23/18; B01J37/03
Domestic Patent References:
WO2005085137A12005-09-15
Foreign References:
JP2005521617A2005-07-21
JP2004113936A2004-04-15
JP2006159021A2006-06-22
JPH06211525A1994-08-02
JPH06279027A1994-10-04
JP2005162914A2005-06-23
JP2003238159A2003-08-27
JP2006224032A2006-08-31
JP2008105871A2008-05-08
JP2651993B21997-09-10
Other References:
See also references of EP 2210861A4
Attorney, Agent or Firm:
ANIYA, Setuo et al. (4-6-1 IidabashiChiyoda-k, Tokyo 72, JP)
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Claims:
 BiとPrとを含み、300℃における酸素吸収放出能が500μmol/g以上あることを特徴とするセリウム含有複合酸化物。
 BiとPrとを含み、H 2 を2%以上含有する雰囲気下において、300℃における酸素放出速度が0.1μmol/g・sec以上であることを特徴とする請求項1に記載のセリウム含有複合酸化物。
 Ce,Bi,Prのモル比をCe:Bi:Pr=(1-x-y):x:yと表記するとき、0<x≦0.3、0<y≦0.5であることを特徴とする請求項1または2に記載のセリウム含有複合酸化物。
 Pt、RhおよびPdから選ばれた少なくとも1種の白金族元素が担持されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセリウム含有複合酸化物。
 前記白金族元素の担持量が5%未満であることを特徴とする請求項4に記載のセリウム含有複合酸化物。
 CeとBiとPrとを含む溶液へ沈殿剤を加え、Ceと、Biと、Prより構成される混合物を沈殿させ、得られた沈殿物を熱処理することでCeとBiとPrとを含む複合酸化物を合成することを特徴とするセリウム含有複合酸化物の製造方法。
 請求項1~5のいずれか1項に記載のセリウム含有複合酸化物を使用することを特徴とするPM燃焼用触媒。
 請求項7に記載のPM燃焼用触媒をフィルタ母材へ担持したことを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルタ。
 さらに白金族元素を担持させたことを特徴とする請求項8に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
Description:
セリウム含有複合酸化物および の製造方法、PM燃焼用触媒、並びに、ディ ゼルパティキュレートフィルタ

 本発明は、セリウム含有複合酸化物およ その製造方法、PM燃焼用触媒、並びに、デ ーゼルパティキュレートフィルタに関する

 酸化セリウムは、排ガス浄化用触媒として 用されている。これは、酸化雰囲気下で酸 を吸収し、還元雰囲気下で酸素を放出する いう酸化セリウムの特性を利用して、自動 排ガス成分であるHC、CO、NOxの浄化、ディー ゼルエンジンの排ガスに含まれる炭素を主体 とする粒子状物質(本発明において、「PM」(Pa ticulate Matter)と記載する場合がある。)に対す る浄化率の向上を目的としたものである(例 ば、特許文献1参照)。

特許第2651993号公報

 ディーゼルエンジンの排ガスが有する問題 しては、特に窒素酸化物(NO x )とPMが挙げられる。なかでも、PMはカーボン 主体とする微粒子であり、現時点において く用いられている除去方法として、排気ガ 流路に多孔質体セラミックスからなるディ ゼル・パーティキュレート・フィルタ(DPF) 設置してPMを捕集する方法が挙げられる。捕 集されたPMは外部ヒーター等を用いて間欠的 たは連続的に燃焼処理され、当該DPFはPM捕 前の状態に再生される。

 このDPF再生処理には、上述のように電気ヒ ターやバーナー等、外部からの強制加熱に りPMを燃焼させる方法、DPFよりもエンジン に酸化触媒を設置し、排ガス中に含まれるNO を酸化触媒によりNO 2 にし、当該NO 2 の酸化力によりPMを燃焼させる方法などが一 的に用いられている。しかし、電気ヒータ やバーナーなどで作用させるには外部に動 源を設置する必要があり、それらを確保、 作するための機構等が別途必要になるため ステムそのものが複雑化する。
 また、酸化触媒については触媒活性が十分 揮されるほど排ガス温度が高くないことや ある一定の運転状況下でなければPM燃焼に 要なNOが排ガス中に含まれてこないことなど 、解決すべき種々の問題がある。

 そのような中、DPFそのものに触媒を担持 せ、その触媒作用によりPMの燃焼開始温度 低下させた上で、究極的な目標としては排 ス温度にて連続的に燃焼させる方法が望ま いとされている。

 本発明は、このような従来技術の有する 題に鑑みてなされたものであり、その目的 するところは、燃焼開始温度を低減でき、 つ燃焼に要する時間を低減できるセリウム 有複合酸化物およびその製造方法、PM燃焼 触媒、並びに、ディーゼルパティキュレー フィルタを提供することにある。

 本発明者らは、上述の課題を解決するた 鋭意研究をおこなった結果、燃焼開始温度 低減は、従来に提案しているBiおよびCeの複 合酸化物に加えて第三の成分を添加すること により上記課題が解決できることを見出し、 本発明を完成するに至った。

 即ち、上述の課題を解決するための第1の発 明は、
 BiとPrとを含み、300℃における酸素吸収放出 能が500μmol/g以上あることを特徴とするセリ ム含有複合酸化物である。

 第2の発明は、
 BiとPrとを含み、H 2 を2%以上含有する雰囲気下において、300℃に ける酸素放出速度が0.1μmol/g・sec以上である ことを特徴とする第1の発明に記載のセリウ 含有複合酸化物である。

 第3の発明は、
 Ce,Bi,Prのモル比をCe:Bi:Pr=(1-x-y):x:yと表記する とき、0<x≦0.3、0<y≦0.5であることを特徴 とする第1または第2の発明に記載のセリウム 有複合酸化物である。

 第4の発明は、
 Pt、RhおよびPdから選ばれた少なくとも1種の 白金族元素が担持されていることを特徴とす る第1~第3の発明のいずれかに記載のセリウム 含有複合酸化物である。

 第5の発明は、
 前記白金族元素の担持量が5%未満であるこ を特徴とする第4の発明に記載のセリウム含 複合酸化物である。

 第6の発明は、
 CeとBiとPrとを含む溶液へ沈殿剤を加え、Ce 、Biと、Prより構成される混合物を沈殿させ 得られた沈殿物を熱処理することでCeとBiと Prとを含む複合酸化物を合成することを特徴 するセリウム含有複合酸化物の製造方法で る。

 第7の発明は、
 第1~第5の発明のいずれかに記載のセリウム 有複合酸化物を使用することを特徴とするP M燃焼用触媒である。

 第8の発明は、
 第7の発明に記載のPM燃焼用触媒をフィルタ 材へ担持したことを特徴とするディーゼル ティキュレートフィルタである。

 第9の発明は、
 さらに白金族元素を担持させたことを特徴 する第8の発明に記載のディーゼルパティキ ュレートフィルタである。

 本発明によれば、BiおよびCeの複合酸化物 に加えて第三の成分を添加するセリウム含有 複合酸化物としたため、燃焼開始温度を低減 でき、かつ燃焼に要する時間を低減できる。

[本発明に係るセリウム含有複合酸化物]
 以下、本発明に係るセリウム含有複合酸化 について詳細に説明する。尚、本明細書に いて「%」は、特記しない限り「質量%」を すものとする。

 本発明に係るセリウム含有複合酸化物は BiとPrとを含むセリウム含有複合酸化物であ る。かかる複合酸化物は、蛍石型構造をもつ 酸化セリウム構造体の一部のCeを、Bi、Prが置 換した構造の酸化物相を有する。当該セリウ ム含有複合酸化物は、300℃において、500μmol/ g以上という大容量の酸素吸収放出能を有す 。

 また、さらに低温度域でのPM燃焼効果を高 るためには、上記セリウム含有複合酸化物 蓄積された酸素は、H 2 を2%以上含有する雰囲気下において、300℃に 、0.1μmol/g・sec以上の酸素放出能を有するこ とが好ましい。

 更に、上記セリウム含有複合酸化物は、C e、BiおよびPrの全量に対し、Biを0~30at%、好ま くは1~25at%、より好ましくは2~20at%含有し、Pr を0~50at%、好ましくは1~45at%、より好ましくは2 ~40at%含有し、残部がセリウムで構成される複 合酸化物である。

 本発明に係るセリウム含有複合酸化物に まれるBiは、当該複合酸化物において、酸 吸収放出能の向上をもたらすとともにPM燃焼 温度の低減をことが知見されていたが、Biの 有量割合が高い場合には、当該複合酸化物 溶融反応が起こり、結果として触媒性能が 下してしまうことがあった。これに対して セリウム含有複合酸化物は、Bi量が、Ce、Bi よびPrの全量に対し上述の範囲内にあるた 、当該複合酸化物が高温に曝されたときで っても、当該複合酸化物が溶融してしまう とを回避できる。

 即ち、低融点元素であるBiの添加量を、 ル比でBi<Ceと設定することにより、セリウ ム含有複合酸化物の融点の低下を回避する構 成に想到したものである。詳細には、セリウ ム含有複合酸化物中のBi量を上述の範囲内と たことである。Bi量を上述の範囲内とした とで、当該複合酸化物が高温に曝されたと 、Biが蛍石型構造より遊離し、Bi酸化物や、B iと添加元素との複合物などの異相を生成す ことによる、当該複合酸化物の融点低下を 避出来たと考えられる。

 一方、セリウム含有複合酸化物へのPrの 有は、酸素吸収放出能の向上、PM燃焼触媒お よびディーゼルパティキュレートフィルタと しての耐熱性向上に寄与している。Pr量は、C e,Bi,Prの全量に対し50at%を超えても良い。しか し、発明者の検討により、Prの含有量が50at% 下の方が、PM燃焼活性が改善する傾向がある ことがわかった。従って、Prの構成割合とし は、Ce,Bi,Prの全量に対し、0超~50at%、好まし は1~45at%、より好ましくは2~40at%である。

 つまり、上記セリウム含有複合酸化物を 成する金属元素のモル比については、Ce,Bi,P rのモル比をCe:Bi:Pr=(1-x-y):x:yと表記するとき、 0<x≦0.3、0<y≦0.5を満たすことが好適であ る。当該構成により、大容量の酸素吸収放出 能を発揮させうるようになる。

 また、本セリウム含有複合酸化物に、Pt Pd、Rhといった白金族元素のうちいずれか1種 以上を担持させれば、酸素放出速度をより高 めることができる。ただし、こうした白金族 元素の担持はコスト増大要因となる。そこで 、コスト増大を抑えつつ低温PM燃焼を達成さ る観点からは、白金族元素の担持量は5%未 、より好ましくは3%未満、一層好ましくは1% 満とすることがよい。

[本発明に係るセリウム含有複合酸化物の製 方法]
 上述したセリウム含有複合酸化物は、湿式 で得られた沈殿生成物質を焼成することで 適に合成することができる。
 例えば、Ce、Bi、Prそれぞれの水溶性塩の混 溶液からCe塩、Bi塩、Pr塩の混合物を沈殿剤 より沈殿させ、得られた沈殿物を60~200℃の で乾燥させることで前駆体を生成し、その 駆体を300~1000℃の間で、0.5~100時間、熱処理 ることにより複合酸化物を合成することが きる。

 具体的には、Ceと、Biと、Prとを含む溶液 、沈殿剤としてアルカリを加えて反応させ 沈殿を生成する。沈殿生成物をろ過、洗浄 乾燥することで前駆体を得る。沈殿を生成 せる液中のCe、Bi、Prのイオン濃度は溶解度 よって上限が決まる。水溶性塩の液中濃度 濃すぎると、攪拌時に均一に反応が生じず 均一になる可能性があり、また攪拌時に装 への付加が過大になる場合があるので、適 な濃度に設定することが好ましい。

[本発明に係るセリウム含有複合酸化物のデ ーゼル排ガス浄化触媒への適用]
 上述したセリウム含有複合酸化物は、300℃ 上で500μmol/g以上という大容量の酸素吸収放 出能を発揮しうるので、PM燃焼用触媒として いれば、元来、外的な熱を加えて強制燃焼 せていた機構の簡素化、あるいは機構その のの省略をすることも可能である。また、 のPM低減効果、および酸素放出速度を高め ため、セリウム含有複合酸化物へさらに白 族元素を担持させることも好ましい。

 上記白金族元素としては、Pt,Rh,Pd,Ir,Ruお びOsが挙げられ、これらの1種以上を任意に 択して使用できる。白金族元素の担持形態 しては、複合酸化物の粒子表面に白金族元 を付着させても良いし、複合酸化物の結晶 造の中に固溶させる形で存在させても良い

[ディーゼル排ガス浄化触媒のディーゼルパ ィキュレートフィルタへの適用]
 上記セリウム含有複合酸化物、または、白 族金属を担持させたセリウム含有複合酸化 であるPM燃焼用触媒を、フィルタ母材に担 することで、PMを効率よく燃焼処理できるデ ィーゼルパティキュレートフィルタが得られ る。フィルタ母材としては、従来から自動車 排ガス用に用いられている、コーディライト やSiCといった素材により作成されたDPFを使用 することが好ましい。

 以下、実施例を用いて本発明を詳述する 、本発明はこれらの実施例に限定されるも ではない。

(実施例1)
1.セリウム含有複合酸化物の製造
 Ce源として硝酸セリウム六水和物(Ce(NO 3 ) 3 ・6H 2 O)、Bi源として硝酸ビスマス五水和物(Bi(NO 3 ) 3 ・5H 2 O)を用意した。Pr源としては酸化プラセオジ (Pr 6 O 11 )の粉末を濃硝酸溶液に溶解してPrの硝酸溶液 を用意した。

 上記各硝酸塩とPrの硝酸溶液とを、Ce,Bi,Pr のモル比が5:1:4となる割合で混合し原料水溶 を得た。この水溶液を30℃で攪拌しながら ここへ沈殿剤として炭酸アンモニウム水溶 を1.0~5.1当量添加した。その後30分間攪拌を 続することにより、沈殿反応を十分に進行 せた。得られた沈殿物をろ過、水洗し、125 で約15時間乾燥して、乾燥粉末を得た。得ら れた粉末を前駆体とする。次にこの前駆体を 大気雰囲気下800℃で2時間焼成して、BiとPrと 含むセリウム含有複合酸化物を得た。

2.酸素吸収放出能の測定
 得られたセリウム含有複合酸化物サンプル 、0.1g採取し、石英製のセル中に導入した。 当該石英製のセルを流通系の反応器にセット し、He雰囲気下において測定温度である300℃ で昇温した。温度が安定した後、10%H 2 ガスにより10分間の還元処理を行った。またH e雰囲気下へ切り替え、そこへ一定体積のO 2 を間欠的に導入した。サンプル出口側のO 2 量を観察し、出口O 2 量が一定となるまでO 2 の間欠添加を行った。O 2 吸収量の総和から300℃における酸素吸収放出 能を評価した。測定装置としてはユアサアイ オニクスのChemBET測定装置を用いた。

 次に、測定温度を500℃とした以外は、上述 た酸素吸収放出能の評価操作と同様の操作 おこなって、得られたセリウム含有複合酸 物サンプルの500℃における酸素吸収放出能 評価した。
 この結果を表1および図1に示す。尚、図1は 縦軸に300℃における酸素吸収放出能をとっ 棒グラフである。

3.酸素放出速度の算出
 得られた実施例1に係るセリウム含有複合酸 化物サンプルを0.002g採取し、アルミナ製のセ ル中に装填した。当該アルミナ製のセルをTG/ DTA測定装置にセットし、N 2 ガス雰囲気中で300℃まで昇温した。温度が安 定した後、セリウム含有複合酸化物サンプル に対し、2%H 2 ガスを流して還元処理を行った。そして、当 該還元処理によるセリウム含有複合酸化物サ ンプルの重量減少を測定し、重量減少曲線の 傾きから酸素放出速度を算出した。尚、測定 装置としてはセイコーインスツルメンツ(株) TG/DTA測定装置を用いた。
 この結果を表1および図2に示す。尚、図2は 縦軸に酸素放出速度をとった棒グラフであ 。

4.PM燃焼活性の測定
 得られた実施例1および比較例2、4に係るセ ウム含有複合酸化物サンプルと、カーボン ラックとを、質量比で200:1となるよう採取 た。当該採取物を、ライカイ機を用いて20分 間混合し、セリウム含有複合酸化物サンプル とカーボンブラックとの混合粉を作った。得 られた混合粉を成型器で錠剤状サンプルに成 型した。この錠剤状サンプルを解砕し、ふる いを用いて0.5~1.0mmのペレットとした。当該ペ レットを固定床流通式反応装置内に1.0g装填 、雰囲気を10%O 2 に制御した。当該固定床流通式反応装置を10 /minで昇温し、カーボンブラックの燃焼によ り発生したCO 2 量を、FT-IRを用いて測定することでPM燃焼活 を評価した。混合したカーボンブラックが10 %燃焼した温度を10%カーボン燃焼温度(T 10 )とし、50%燃焼した温度を50%カーボン燃焼温 (T 50 )として燃焼活性の指標とした。この結果を 1および図3に示す。尚、図3は、横軸にサン ル温度(℃)、縦軸にCO 2 濃度(ppm)をとったグラフで、実施例1のデータ を実線で示す。

(実施例2)
 Pt源としてジニトロジアンミン白金溶液(Pt(N H 3 ) 2 ・(NO 2 ) 2 )を用意した。このジニトロジアンミン白金 液を純水に溶解し、ここへ、上記セリウム 有複合酸化物を添加した。そして、ロータ エバポレーター中において、80℃にて蒸発乾 固させることで、粒子に0.1%のPtが担持された Bi,Prを含有するセリウム含有複合酸化物を得 以外は、実施例1と同様の操作を行った。そ して、実施例1で説明した、2.酸素吸収放出能 の測定、3.酸素放出速度の算出を行った。
 この結果を表1、図1、2に示す。

(実施例3)
 上記各硝酸塩と、Prの硝酸溶液とを、Ce:Bi:Pr のモル比が7:2:1となる割合で混合し、原料溶 とした以外は、実施例1と同様の操作を行っ てBiとPrとを含むセリウム含有複合酸化物を た。そして、実施例1で説明した、2.酸素吸 放出能の測定を行った。
 この結果を表1、図1に示す。

(実施例4)
 上記各硝酸塩と、Prの硝酸溶液とを、Ce:Bi:Pr のモル比が6:3:1となる割合で混合し、原料溶 とした以外は、実施例1と同様の操作を行っ てBiとPrとを含むセリウム含有複合酸化物を た。そして、実施例1で説明した、2.酸素吸 放出能の測定を行った。
 この結果を表1、図1に示す。

(比較例1)
 原料溶液としてCe硝酸塩のみを用い、それ 外は実施例1と同様の工程および条件でCeを 成分とする酸化物を得た。
 得られたセリウム酸化物サンプルに対し、 施例1で説明した、2.酸素吸収放出能の測定 4.PM燃焼活性の測定を行った。
 この結果を表1、図1に示す。

(比較例2)
 原料溶液として、CeとBiとのモル比を9:1とな る割合で混合したものを調製した。それ以外 は実施例1と同様の工程および条件で、Biを含 むセリウム含有複合酸化物を得られたBiを含 セリウム含有複合酸化物に対し、実施例1で 説明した、2.酸素吸収放出能の測定、4.PM燃焼 活性の測定を行った。
 この結果を表1、図1、3(破線)に示す。

(比較例3)  
 市販のセリア・ジルコニア複合酸化物(第一 稀元素化学製、CeとZrとのモル比が14:86で合成 されたもの)を準備した。
 当該市販のセリア・ジルコニア複合酸化物 用いて、実施例1で説明した、2.酸素吸収放 能の測定、3.酸素放出速度の算出、4.PM燃焼 性の測定を行った。
 この結果を表1、図1、2に示す。

(比較例4)
 比較例3で説明したセリア・ジルコニア複合 酸化物に対して、実施例2で説明したのと同 の操作を行って、0.1%のPtを担持させた。
 当該0.1%のPtが担持された市販のセリア・ジ コニア複合酸化物を用いて、実施例1で説明 した、2.酸素吸収放出能の測定、3.酸素放出 度の算出、4.PM燃焼活性の測定を行った。
 この結果を表1、図1~3(一点鎖線)に示す。

 上述の測定により10%カーボン燃焼温度T 10 、50%カーボン燃焼温度T 50 について測定した結果を、実施例1と比較例2 4で比較してみる。
 すると、表1および図3より本発明に係るBiと Prとを含むセリウム含有複合酸化物は、従来 Biを含むセリウム含有複合酸化物(比較例2) 比べ、10%カーボン燃焼温度T 10 で15℃、50%カーボン燃焼温度T 50 で6℃の低下が確認された。また、本発明に る複合酸化物は、セリア・ジルコニア複合 化物(比較例4)に比べ、10%カーボン燃焼温度T 10 で71℃、50%カーボン燃焼温度T 50 で99℃の低下が確認された。

 本発明に係るBiとPrとを含むセリウム含有複 合酸化物において、燃焼開始温度T 10 、50%カーボン燃焼温度T 50 の低下した理由については、十分に解明され ていない。しかし、本発明に係る複合酸化物 においては、上述した300℃(低温域)の酸素吸 放出能の向上により、放出された活性な酸 量が増加した為、10%カーボン燃焼温度T 10 、50%カーボン燃焼温度T 50 が低下し、燃焼速度の増加に寄与したものと 考えられる。

 上記の事象をふまえ、前記酸素吸収放出能 測定で得られた吸収能について、実施例1~4 比較例1~4とを比較してみる。
 表1および図1から明らかなように、300℃お び500℃において本発明に係るBiとPrとを含む リウム含有複合酸化物(実施例1)は、従来のB iを含むセリウム含有複合酸化物(比較例2)に べ、大容量の酸素吸収放出能を示した。一 、セリウム酸化物(比較例1)およびセリア・ ルコニア複合酸化物(比較例3,4)は、300℃にお いて殆ど酸素吸収放出能を発揮せず、500℃に おいても僅かな酸素吸収放出能を発揮するに 留まった。

 次に、上記酸素放出速度の測定で得られた 出速度について、実施例1、2と比較例3、4と を比較してみる。
 図2から明らかなように、300℃、H 2 を2%以上含有する雰囲気下での、BiとPrとを含 むセリウム含有複合酸化物(実施例1)の酸素放 出速度は、従来のセリア・ジルコニア複合酸 化物(比較例3)、およびPtを担持したセリア・ ルコニア複合酸化物(比較例4)に比べ、3倍程 度高い。また、Ptを担持したBiとPrとを含むセ リウム含有複合酸化物(実施例2)は、従来のセ リア・ジルコニア複合酸化物(比較例3)、およ びPtを担持したセリア・ジルコニア複合酸化 (比較例4)に比べ、5倍程度の酸素放出速度を 示す。 

 本発明に係るBiとPrとを含むセリウム含有複 合酸化物の酸素吸収放出能および酸素放出速 度が、従来のBiを含むセリウム含有複合酸化 と比較して増加した理由は、現時点では十 に解明されていない。しかし、酸素吸収放 の基本的な機構は、従来のBiを含むセリウ 含有複合酸化物において考えられる機構と 様であると思われる。
 すなわち、Ce原子を主とするセリウム含有 合酸化物中の陽イオンが見かけ上の価数変 を起こし、酸素を脱離する。またBi,Prと、Ce はイオン半径が異なる種類の原子である。 って、本発明に係るセリウム含有複合酸化 のCeサイトが、Bi,Prで置換されることにより 格子歪が生成すると考えられる。すると、当 該格子歪に起因して、格子中の酸素が格子外 に放出されやすい状態となり、本発明に係る BiとPrとを含むセリウム含有複合酸化物の酸 吸収放出能が向上したと考えられる。

 上記の事象をふまえて考察すると、本明 書に開示した本発明に係る粒子がPM燃焼活 にすぐれているのは、上述のような酸素吸 放出能や酸素放出速度が高いことに起因す と考えられ、これらの性質を満たす複合酸 物は、PM燃焼用触媒として好適であることが わかった。

 本発明に係るBiとPrとを含むセリウム含有 複合酸化物は、優れた酸素吸収放出能を有す るので、ディーゼルエンジンから排出される PM除去に好適に用いられる。

実施例1~4、比較例1~4の300℃における酸 吸収放出能を示すグラフである。 実施例1、2、比較例3、4の300℃、2%H 2 存在下での酸素放出速度を示すグラフである 。 実施例1、比較例2、4のPM燃焼活性を示 グラフである。