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Patent Searching and Data


Title:
LEAD STORAGE BATTERY AND PROCESS FOR PRODUCING THE LEAD STORAGE BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/142220
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lead storage battery comprising a positive plate, a negative plate, and an electrolysis solution.  The negative plate comprises a negative electrode current collector comprising an edge part installed consecutively to the edge of a grating part and an ear part for current collection, which is protruded from the edge part.  A surface layer containing a Pb-Sn alloy, a Pb-Sb alloy, a Pb-Sn-Sb alloy, or Sn is provided on the surface of the edge part and the ear part.  Also disclosed is a process for producing the lead storage battery. The lead storage battery has an improved cycle life over a lead storage battery not provided with the surface layer but cannot suppress a stratified phenomenon of the electrolysis solution.  Accordingly, the lower part of the electrode plate cannot be effectively utilized, and disadvantageously, sometimes the cycle life cannot be satisfactorily improved. The problem can be solved, for example, by incorporating sodium ion, potassium ion, magnesium ion, aluminum ion, phosphoric acid, or boric acid in the electrolysis solution in the lead storage battery.

Inventors:
INAGAKI SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059225
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
GS YUASA CORP (JP)
INAGAKI SATOSHI (JP)
International Classes:
H01M10/06; H01M4/68; H01M4/73
Domestic Patent References:
WO2006049295A12006-05-11
Foreign References:
JP2006185678A2006-07-13
JP2007035339A2007-02-08
JPS63244568A1988-10-12
JP2006210059A2006-08-10
JPS6435867A1989-02-06
JPS63213263A1988-09-06
JP2006156371A2006-06-15
JP2006185743A2006-07-13
Other References:
See also references of EP 2280443A4
Attorney, Agent or Firm:
AKATSUKI UNION PATENT FIRM (JP)
Patent business corporation dawn joint patent firm (JP)
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Claims:
 正極板と負極板と電解液とを備える鉛蓄電池であって、
 前記負極板は、格子状をなす格子部と、前記格子部の縁に連設された縁部と、前記縁部から突出形成された集電のための耳部とを有する負極集電体を備え、
 前記縁部及び前記耳部のうち少なくとも一方の表面には
Pb-Sn系合金、Pb-Sb系合金、Pb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれる合金または金属を含む表面層が形成され、
 かつ、前記電解液には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、及びアルミニウムイオン、リン酸及びホウ酸から選ばれる一種以上が含まれることを特徴とする鉛蓄電池。
 前記表面層は、PbとSnとを含みSnを10質量%以上の割合で含む層、PbとSbとを含みSbを10質量%以上の割合で含む層、PbとSnとSbとを含み、Sn及びSbを合計で10質量%以上の割合で含む層、または、Snからなる層であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の鉛蓄電池。
 前記電解液には、0.42mol/l以下のマグネシウムイオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオン、および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる一種以上が含まれることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の鉛蓄電池。
 前記電解液には、0.42mol/l以下のマグネシウムイオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオン、および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる一種以上が含まれることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の鉛蓄電池。
 前記表面層は、前記縁部の全域および前記耳部の全域に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の鉛蓄電池。
 前記表面層は、前記縁部の全域および前記耳部の全域に形成されていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の鉛蓄電池。
 前記表面層は、前記縁部の全域および前記耳部の全域に形成されていることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の鉛蓄電池。
 前記表面層は、前記縁部の全域および前記耳部の全域に形成されていることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の鉛蓄電池。
 前記表面層の厚みは、5μm以上200μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第8項のうちいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
 正極板、負極板、セパレータ、および電解液を備え、前記負極板は、格子状をなす格子部と、前記格子部の縁に連設された縁部と、前記縁部から突出形成された集電のための耳部とを有する負極集電体を備える鉛蓄電池の製造方法であって、
 鉛を含む板状の基材の両面に、Pb-Sn系合金、Pb-Sb系合金、Pb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれる合金または金属を含むシートを積層した積層体を圧延して圧延シートを作製する工程と、
 前記圧延シートを前記縁部および前記耳部のうち少なくとも一方に相当する部分に配して展開することにより得られる負極集電体を用いて負極板を作製する工程と、
 前記負極板と正極板とをセパレータを介して積層または巻回してなる極板群を電槽に収容する工程と、
 前記極板群を収容した電槽に、前記ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、リン酸及びホウ酸から選ばれる一種以上を含む電解液を注液する工程と、を含むことを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
 前記圧延シートを作製する工程において、前記基材に積層するシートには、Snの含有量が10質量%以上のPb-Sn系合金、Sbの含有量が10質量%以上のPb-Sb系合金、Sn及びSbの含有量の合計が10質量%以上のPb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれる合金又は金属が含まれることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記電解液には、0.42mol/l以下のマグネシウムイオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオン、および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる一種以上が含まれることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記電解液には、0.42mol/l以下のマグネシウムイオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオン、および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる一種以上が含まれることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記負極板を作製する工程において、前記圧延シートを前記縁部の全域および前記耳部の全域に相当する部分に配して展開することにより得られる負極集電体を用いたことを特徴とする請求の範囲第10項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記負極板を作製する工程において、前記圧延シートを前記縁部の全域および前記耳部の全域に相当する部分に配して展開することにより得られる負極集電体を用いたことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記負極板を作製する工程において、前記圧延シートを前記縁部の全域および前記耳部の全域に相当する部分に配して展開することにより得られる負極集電体を用いたことを特徴とする請求の範囲第12項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記負極板を作製する工程において、前記圧延シートを前記縁部の全域および前記耳部の全域に相当する部分に配して展開することにより得られる負極集電体を用いることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
 前記負極板を作製する工程において、厚みが5μm以上200μm以下の前記圧延シート由来の層が表面に形成された負極集電体を用いることを特徴とする請求の範囲第10項ないし第17項のうちいずれか1項に記載の鉛蓄電池の製造方法。
Description:
鉛蓄電池及びその製造方法

 本発明は、鉛蓄電池及びその製造方法に する。

 鉛蓄電池は、比較的低価格で安定した性能 有することから、近年では、自動車用の電 やバックアップ用の電池などとして需要が い。
 一般的な鉛蓄電池は、正極板と負極板とを セパレータを介して積層または巻回して電 に収納し、この電槽に希硫酸水溶液を主成 とする電解液を注液することにより製造さ る。

 鉛蓄電池の正極板および負極板としては 鉛製または鉛合金製の格子状の集電体に活 質を保持したものが用いられる。一般的な 蓄電池に用いる集電体は、格子状をなす格 部と、その格子部の縁に連設された縁部と 縁部から突出形成された集電のための耳部 を有している。

 このような鉛蓄電池を寿命に至らせる原因 一つとしては、以下のことが知られている 鉛蓄電池において、充放電が繰り返される 、正極板から脱落した微細な正極活物質(遊 離活物質)が充電時に発生したガスによって 解液中を浮遊し、負極集電体の耳部や縁部 付着し、付着が進行して、スポンジ状の鉛[ ス(moss)と呼ばれる]が堆積する。このモスが 堆積しつづけると、正極板にまで達し短絡を 引き起こすおそれがあり、これによって、鉛 蓄電池は寿命に至ってしまうという問題があ る。
 この問題を解決するものとして、特許文献1 においては、耳部と縁部とに所定の組成の表 面層が形成された負極集電体が提案されてい る。

日本国特開2006-156371号公報

(発明が解決しようとする課題)
 上記特許文献1に記載の発明においては、表 面に所定の組成の層(表面層という)が形成さ た負極集電体を用いるので、耳部と縁部に スが堆積するのを防止することができる。 の結果、特許文献1に記載の発明によれば、 表面層を備えない負極集電体を用いた電池よ りも、サイクル寿命を向上させることができ る。

 ところで、サイクル用途で使用する鉛蓄 池では、電解液の比重が極板の下部ほど高 なる成層化現象がおきて、硫酸鉛が蓄積さ ることがある。サイクル寿命を向上させる めに上述したような表面層を有する負極集 体を用いただけでは、電解液の成層化現象 抑制できないので、極板の下部に硫酸鉛が 積しやすくなって、極板下部が有効に利用 れない場合がある。このような場合には、 蓄電池のサイクル寿命を十分に向上させる とができない。

 このような電解液の成層化現象を抑制する 法としては、電解液にシリカ微粒子と硫酸 ルミニウムを添加することが知られている( 例えば特許文献2を参照)。しかし、シリカ微 子と硫酸アルミニウムを添加した電解液を いただけでは、正極から脱落する遊離活物 が増えるため、負極集電体へのモスの堆積 防止できず、鉛蓄電池が早期に寿命に至っ しまう。
 本発明は上記のような事情に基づいて完成 れたものであって、サイクル寿命を十分に 上させた鉛蓄電池を提供することを目的と る。

日本国特開2006-185743号公報

(課題を解決するための手段)
 本発明者は、上記課題を解決するために鋭 検討を行った結果、表面に所定の組成の層 形成された負極集電体を用い、かつ、ナト ウムイオン、カリウムイオン、マグネシウ イオン、アルミニウムイオン、リン酸、お びホウ酸から選ばれる一種以上を含む電解 を用いることにより、極板下部に硫酸鉛が 積するのを抑制し、顕著なサイクル寿命向 効果が得られるということを見出した。

 すなわち、本発明は、正極板と負極板と 解液とを備える鉛蓄電池であって、前記負 板は、格子状をなす格子部と、前記格子部 縁に連設された縁部と、前記縁部から突出 成された集電のための耳部とを有する負極 電体を備え、前記縁部及び前記耳部のうち なくとも一方の表面には、Pb-Sn系合金、Pb-Sb 系合金、Pb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれ 合金または金属を含む表面層が形成され、 つ、前記電解液には、ナトリウムイオン、 リウムイオン、マグネシウムイオン、及び ルミニウムイオン、リン酸及びホウ酸から ばれる一種以上が含まれることを特徴とす 鉛蓄電池である。

 また、本発明は、正極板、負極板、セパ ータ、および電解液を備え、前記負極板は 格子状をなす格子部と、前記格子部の縁に 設された縁部と、前記縁部から突出形成さ た集電のための耳部とを有する負極集電体 備える鉛蓄電池の製造方法であって、鉛を む板状の基材の両面に、Pb-Sn系合金、Pb-Sb系 合金、Pb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれる 金または金属を含むシートを積層した積層 を圧延して圧延シートを作製する工程と、 記圧延シートを前記縁部および前記耳部の ち少なくとも一方に相当する部分に配して 開することにより得られる負極集電体を用 て負極板を作製する工程と、前記負極板と 極板とをセパレータを介して積層または巻 してなる極板群を電槽に収容する工程と、 記極板群を収容した電槽に、前記ナトリウ イオン、カリウムイオン、マグネシウムイ ン、アルミニウムイオン、リン酸及びホウ から選ばれる一種以上を含む電解液を注液 る工程と、を含むことを特徴とする鉛蓄電 の製造方法である。

 本発明によれば、耳部及び縁部の少なく も一方に、所定の組成の表面層が形成され 負極集電体と、上記の金属イオン、リン酸 よびホウ酸のうちの一種を含む電解液とを えるから、極板下部に硫酸鉛が蓄積するの 抑制し、サイクル寿命を十分に向上した鉛 電池を提供することができる。

本発明の鉛蓄電池においては、以下の構成が 好ましい。
 表面層としては、PbとSnとを含みSnを10質量% 上の割合で含む層、PbとSbとを含みSbを10質 %以上の割合で含む層、PbとSnとSbとを含み、S n及びSbを合計で10質量%以上の割合で含む層、 または、Snからなる層が好ましい。
 表面層は、縁部の全域および耳部の全域に 成されているのが好ましい。
 表面層の厚みは、5μm以上200μm以下であるの が好ましい。
 また、電解液には、0.42mol/l以下のマグネシ ムイオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオ 、および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる 種以上が含まれているのが好ましい。

 また本発明の鉛蓄電池の製造方法において 、以下の構成が好ましい。
 圧延シートを作製する工程において用いる 材の両面に積層するシートとしては、Snの 有量が10質量%以上のPb-Sn系合金、Sbの含有量 10質量%以上のPb-Sb系合金、Sn及びSbの含有量 合計が10質量%以上のPb-Sn-Sb系合金、およびSn から選ばれる合金又は金属が含まれるものが 好ましい。
 電槽に注液する電解液としては、0.42mol/l以 のマグネシウムイオン、0.29mol/l以下のアル ニウムイオン、および0.20mol/l以下のリン酸 ら選ばれる一種以上が含まれるものが好ま い。
 負極板を作製する工程において用いる負極 電体としては、圧延シートを縁部の全域お び耳部の全域に相当する部分に配して展開 ることにより得られるものが好ましい。ま 、負極集電体としては、厚みが5μm以上200μm 以下の圧延シート由来の層が表面に形成され たものが好ましい。
(発明の効果)

 本発明によれば、サイクル寿命を十分に 上させた鉛蓄電池を提供することができる

本発明の鉛蓄電池に用いる負極集電体 一例を示す模式図

 1...負極集電体
 2...縁部
 3...格子部
 4...耳部

 本発明の鉛蓄電池は、正極板と負極板とし 、重力鋳造法、エキスパンド法あるいは打 抜き法により製造された鉛または鉛合金(例 えばPb-0.05%Ca-0.5%Snの組成の合金)製の集電体を 備える。
 本明細書において、例えば、Pb-0.05%Ca-0.5%Sn いう記載は、PbとCaとSnとを含みCaを0.05質量% 割合で含むとともに、Snを0.5質量%の割合で む鉛合金を意味する。

 正極集電体および負極集電体1は、図1に すように、全体として格子形状をなしてお 、格子状をなす格子部3と、その上下の縁に 設された帯状をなす部分とを備える。帯状 なす部分のうち、格子部3の上縁側の帯状の 部分(縁部2)には、集電のための耳部4が突出 成されている。

 負極集電体1の縁部2及び耳部4のうち少なく も一方の表面には、Pb-Sn系合金、Pb-Sb系合金 、Pb-Sn-Sb系合金、およびSnから選ばれる合金 たは金属を含む層(本発明の表面層に相当)が 形成されている。
 本発明において、表面層としては、PbとSnと を含みSnを10質量%以上の割合で含む層、PbとSb とを含みSbを10質量%以上の割合で含む層、Pb SnとSbとを含み、Sn及びSbを合計で10質量%以上 の割合で含む層、または、Snからなる層が好 しい。これらの好ましい表面層を作製する 法は後述する。
表面層には、上記以外の元素が含まれていて もよい。

 表面層の厚みは、通常5μm~200μmである。 みが5μm未満では、サイクル寿命性能の低下 防ぐ効果が小さくなり、厚みが200μmを超え と負極集電体1が厚くなってしまうため、鉛 蓄電池が大きく又は重くなってしまうからで ある。

 本発明において、表面層は、縁部2および 耳部4の少なくとも一方に形成されていれば く、縁部2の表面の一部または全域に形成さ ていても、耳部4の表面の一部または全域に 形成されていてもよい。モスの堆積を防ぐ効 果を考慮すると、表面層は、縁部2および耳 4の双方に形成されているのが好ましく、縁 2の全域および耳部4の全域にわたって形成 れているのがさらに好ましい。

 このような表面層を縁部2や耳部4に形成 る方法としては、例えば圧延法や溶融メッ 法などがあげられる。圧延法とは、表面層 形成される材料(たとえば、金属板や合金板 ど)と、表面層を形成する材料(金属箔又は 金箔)とを重ね合わせて、これらを圧延する 法である。一方、溶融メッキ法とは、表面 を形成する材料が溶融した溶融槽に、表面 が形成される部分(具体的には、負極集電体 1の縁部2や耳部4)を浸漬させてメッキする方 である。これらの方法のうち、本発明にお ては、圧延法が好ましい。

 圧延法により表面層を形成する方法につい 具体的に説明する。板状の鉛合金(基材)の 面に、表面層を形成するための錫シート、 は種々の合金シート(Pb-Sn系合金、Pb-Sb系合金 、またはPb-Sn-Sb系合金を含むシート)を重ね合 わせて、圧延ローラで圧延して圧延シートを 作製する(圧延シートを作製する工程)。次に 負極集電体1の希望する位置に表面層が形成 されるように圧延シートの位置を調整しなが ら、圧延シートをエキスパンド機により展開 する(エキスパンド法)と、所定の位置に表面 が形成された負極集電体1が得られる。なお 、この圧延法においては、基材となる合金の 厚み、表面層となるシートの厚み、又は圧延 後のシートの厚みを調整することによって、 表面層の厚みを容易に調節可能である。
 なお、好ましい組成の表面層を負極集電体 形成するには、圧延シートを作製する工程 おいて、基材の両面に積層するシートとし 、Snの含有量が10質量%以上のPb-Sn系合金、Sb 含有量が10質量%以上のPb-Sb系合金、Sn及びSb 含有量の合計が10質量%以上のPb-Sn-Sb系合金 およびSnから選ばれる合金又は金属が含まれ るものを用いる。

 溶融メッキ法により表面層を形成する方 について具体的に説明する。まず、表面層 形成する金属又は合金が溶融した溶融槽(具 体的には、Sn、又はPb-50%Snの合金などの溶融 )を用意する。この溶融槽に縁部2及び耳部4 浸漬することにより表面層が形成される。 の溶融メッキ法によると、負極集電体1を溶 槽に浸漬する位置を変更することによって 表面層が形成される位置を変更することが きる。なお、表面層が不要な部分に形成さ た場合には、金属表面を研磨することによ 、不要部分を除去することができる。

 次に、本発明の鉛蓄電池の製造方法を簡単 説明する。
 正極板を、正極集電体に、酸化鉛を主成分 する鉛粉と所定量の希硫酸を混合して得ら る正極ペーストを充填することにより作製 る。
 そして負極板を、上述の方法により表面層 形成した負極集電体1に、酸化鉛を主成分と する鉛粉にリグニン、バリウム化合物、カー ボンおよび所定量の希硫酸を添加し混合して なる負極板用ペーストを充填することにより 作製する(負極板を作製する工程)。

 このようにして作製した正極板と負極板 を、ポリエチレン樹脂製のセパレータを介 て積層または巻回することにより、未化成 板群を作製して、電槽に挿入し、蓋を溶着 る。この電槽に希硫酸溶液を主成分とする 解液を注入した後、電槽化成を行うことで 発明の鉛蓄電池が得られる。

 さて、本発明で用いる電解液は、ナトリウ イオン、カリウムイオン、マグネシウムイ ン、アルミニウムイオン、リン酸、および ウ酸から選ばれる一種以上が含まれている とを特徴としている。
 本発明で用いる電解液は、希硫酸に溶解し 際に、ナトリウムイオン(Na + )、カリウムイオン(K + )、マグネシウムイオン(Mg 2+ )またはアルミニウムイオン(Al 3+ )を生じるような物質、リン酸、およびホウ から選ばれる一種以上を、主成分である希 酸に添加することにより調製することがで る。希硫酸に溶解した際に、Na + 、K + 、Mg 2+ 、またはAl 3+ を生じるような物質としては、具体的には、 硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸マ グネシウム、水酸化マグネシウム、金属マグ ネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミ ニウム、金属アルミニウム、硫酸カリウム、 水酸化カリウムなどが挙げられる。

本発明において、これらの金属イオン、リ ン酸およびホウ酸の好適な含有量[電解液中 モル濃度(mol/l)]は以下の通りである。ナトリ ウムイオンの含有量は0.70mol/l以下、カリウム イオンのの含有量は0.70mol/l以下、マグネシウ ムイオンの含有量は0.42mol/l以下、アルミニウ ムイオンの含有量は0.29mol/l以下、リン酸の含 有量は0.20mol/l以下、ホウ酸の含有量は0.24mol/l 以下であるのが好ましい。上記の量を超える 量の金属イオンあるいは化合物を含む場合、 放電容量が低下することがあるからである。

 本発明においては、、少量を含むことによ 寿命性能向上効果を発揮できるという観点 ら、電解液には、0.42mol/l以下のマグネシウ イオン、0.29mol/l以下のアルミニウムイオン および0.20mol/l以下のリン酸から選ばれる一 以上が含まれているのが好ましい。
 [実施例]

 以下実施例により、本発明をさらに説明す 。
 <実施例群1>
 種々の添加剤を、種々の量で添加した電解 を使用し、かつPbとSnとを含みSnを25質量%で む表面層を形成したJISD5301に規定される55D23 サイズの鉛蓄電池を以下の方法により作製し て、寿命性能試験を行った。
 (1)負極集電体の作製
 負極集電体の基材として、厚みが10mmの板状 の、Pb-0.05%Ca-0.5%Sn合金を用い、表面層を形成 るための金属シートとして、厚みが0.5mmで って、PbとSnとを含み、Snを25質量%の割合で む合金シートを用いた。負極集電体の基材 両面に、合金シートを重ね合わせて、圧延 ーラで圧延することにより、厚さが1.0mmの圧 延シートを作製した。圧延シートに形成され た表面層の厚みは約50μmであった。

 次に、負極集電体のうちの希望する位置に 面層が備えられるように圧延シートの位置 調整しながら、圧延シートをレシプロ式エ スパンド機により展開し、耳部と縁部とに 面層が形成された負極集電体を作製した。
 なお、比較例の鉛蓄電池に用いるために、 面層が形成されていない負極集電体も作製 た。

 (2)負極板の作製
 (1)で作製した負極集電体に、酸化鉛を主成 とする鉛粉にリグニン、バリウム化合物、 ーボンおよび所定量の希硫酸を添加し混合 てなる負極板用ペーストを充填し、これを3 5℃で3日間熟成することによって55D23用未化 負極板を作製した。

 (3)正極板の作製
 正極集電体として、Pb-0.05%Ca-1.0%Snの合金か なる圧延シートをエキスパンド機によって 開したものを用いた。この正極集電体に、 化鉛を主成分とする鉛粉と所定量の希硫酸 混合してなる正極板用ペーストを充填し、 れを35℃で3日間熟成することによって、55D23 用未化成正極板を作製した。

 (4)セパレータの作製
 押し出し成型法により作製されたポリエチ ン樹脂製セパレータを、2つ折りにし、側部 の二辺をメカニカルシールによって封じるこ とにより、一辺だけが開口部となった袋状セ パレータを作製した。

 (5)電解液の調製
 温度20℃で比重が1.20の希硫酸溶液に、硫酸 トリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミ ウム、リン酸、ホウ酸を添加することによ 、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン アルミニウムイオン、リン酸、またはホウ を含有する電解液を調製した。
 具体的には、硫酸ナトリウムを電解液中のN a + の含有量が表1に記載の量となるように添加 、硫酸マグネシウムを電解液中のMg 2+ の含有量が表1に記載の量となるように添加 、硫酸アルミニウムを電解液中のAl 3+ の含有量が表1に記載の量となるように用い 。リン酸およびホウ酸については、それぞ 、表1に記載の含有量となるように電解液に 加した。
 さらに、比較例の鉛蓄電池に用いるために 硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸 ルミニウム、リン酸、ホウ酸(これらを総称 して「添加剤」という)のいずれも添加しな 電解液も調製した。

 (6)鉛蓄電池の作製
 (2)で作製した負極板を(4)で作製した袋状の パレータに収納した。(3)で作製した正極板7 枚と、セパレータに収納された負極板8枚と 交互に積層することにより、未化成極板群 作製し、この未化成極板群を55D23用電槽に挿 入して、蓋を溶着した。この未化成極板群を 挿入した電槽に、(5)で調製した電解液を注入 した。その後、25℃の水槽中で電槽化成(電気 量:正極活物質の理論容量の280%、化成時間:18 間)を行い、JIS D 5301に規定される55D23サイ の鉛蓄電池(公称電圧:12V、定格容量:48Ah)を 製した。

 (7)寿命試験評価試験
 (6)で作製した鉛蓄電池を3個ずつ用いて、JIS  D 5301に規定される軽負荷寿命試験を行った 。そして、480サイクル毎に実施する判定放電 の放電末電圧が7.2Vを下回ったときを電池の 命と判断し、サイクル数と放電末電圧の関 から、放電未電圧が7.2Vになるときのサイク 数を寿命サイクル数とした。また、3個の電 池の寿命サイクル数の平均値をその種類の鉛 蓄電池の寿命サイクル数とした。

 各種鉛蓄電池の寿命サイクル数を、比較 1の鉛蓄電池の寿命サイクル数を100とした場 合の比として示した数値を寿命性能比とし、 表1に示した。なお、比較例1の鉛蓄電池とは 添加剤を添加しない電解液を用い、かつ、 面層が形成されていない負極集電体を用い ものである。

 寿命性能比の数値が大きいほど、寿命性 が向上したといえる。本評価試験において 、寿命性能比が213[比較例31の鉛蓄電池(比較 例のうち最も寿命性能比が優れる鉛蓄電池) 寿命性能比)以上であれば、寿命性能が十分 向上したと判断した。

 なお、表1には、電解液に含まれる金属イ オンまたは化合物(ナトリウムイオン、マグ シウムイオン、アルミニウムイオン、リン 、およびホウ酸)の種類(表中、「イオンまた は化合物の種類」と記載)とその含有量ごと 寿命性能比を示し、同じ組成(含まれる金属 オンまたは化合物が同一で、かつ、含有量 同じ)の電解液を用いたものについては、表 面層を備えない負極集電体を用いたものと表 面層を形成した負極集電体を用いたものとを 並列して記載した。表1において、例えば比 例2の鉛蓄電池は、ナトリウムイオン0.07mol/l 有する電解液を用い、かつ表面層が形成さ ていない負極集電体を用いたものであり、 施例1の鉛蓄電池は、ナトリウムイオンを0.0 7mol/l含有する電解液を用い、かつ表面層が形 成されている負極集電体を用いたものである ことを意味する。

 表1に示す結果から、以下のことがわかった 。
 添加剤を添加しない電解液(ナトリウムイオ ン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオ ン、リン酸、およびホウ酸を含まない電解液 )を用いた比較例1の鉛蓄電池と比較例22の鉛 電池とを比較すると、比較例22の鉛蓄電池の ほうが、比較例1の鉛蓄電池よりも寿命性能 が大きかった。このことから、表面層が形 された負極集電体を用いることにより、表 層を備えない負極集電体を用いた鉛蓄電池 りも寿命性能を向上させることができると うことが確認された。

 そして、実施例1~20の鉛蓄電池では、比較 例22の鉛蓄電池よりも、寿命性能比が大きい いう結果が得られた。実施例1~20の鉛蓄電池 と比較例22の鉛蓄電池とでは、同じ負極集電 を用いているが、実施例1~20の鉛蓄電池では ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、ア ルミニウムイオン、リン酸、またはホウ酸を 含む電解液を用いることにより、さらに、寿 命性能を向上させることができるということ がわかった。

 一方、表面層の形成されていない負極集電 を用いた鉛蓄電池(比較例2~21)では、実施例1 ~20の鉛蓄電池の電解液と同じ電解液を用いた ものの、寿命性能が低下した。これは、ナト リウムイオン、マグネシウムイオン、アルミ ニウムイオン、リン酸、またはホウ酸を含む 電解液を用いただけでは、モスが負極集電体 に堆積するのを防止できないため、寿命性能 が低下したのではないかと考えられる。
 以上より、表面層が形成された負極集電体 用い、かつ、ナトリウムイオン、マグネシ ムイオン、アルミニウムイオン、リン酸、 たはホウ酸を含む電解液を用いた本発明の 蓄電池(実施例1~20)では、寿命性能を十分に 上させることができるといえる。
 また、本発明の鉛蓄電池(実施例1~20)と比較 22の鉛蓄電池のうち、それぞれ1個ずつを用 て、電解液の比重が上部と下部とで差があ か否か確認したところ、比較例22の鉛蓄電 では差が認められたのに対し、実施例1~20の 蓄電池では差が認められなかった。以上よ 実施例1~20の本発明の鉛蓄電池では成層化も 防止できることがわかった。

 なお、実施例1~20の鉛蓄電池のうち、特に マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、 およびリン酸を含む電解液を用いたもの(実 例5~16)では、含有量が少なくても(マグネシ ムイオンでは0.04mol/l、アルミニウムイオン は0.03mol/l、リン酸では0.05mol/l)、寿命性能比 270を超えるという良好な結果が得られた。 のことから、本発明ではマグネシウムイオ 、アルミニウムイオンまたはリン酸を含む 解液を用いるのが好ましいと考えられる。

 <実施例群2>
 次に、表面層の組成について検討するため 、種々の組成の表面層が形成された負極集 体を用いた鉛蓄電池を作製して寿命性能試 を行った。
 表面層を形成するための金属シートとして PbとSnとを含みSnを5質量%の割合で含む合金 ート、PbとSnとを含みSnを10質量%の割合で含 合金シート、PbとSnとを含みSnを25質量%の割 で含む合金シート、PbとSnとを含みSnを50質量 %の割合で含む合金シート、Snからなるシート 、PbとSbとを含みSbを5質量%の割合で含む合金 ート、PbとSbとを含みSbを10質量%の割合で含 合金シート、PbとSbとを含みSbを20質量%の割 で含む合金シート、PbとSbとを含みSbを30質 %の割合で含む合金シート、PbとSbとを含みSb 50質量%の割合で含む合金シート、PbとSnとSb 含みSnを2.5質量%の割合で含むとともにSbを2. 5質量%の割合で含む合金シート、PbとSnとSbを みSnを5質量%の割合で含むとともにSbを5質量 %の割合で含む合金シート、または、PbとSnとS bを含みSnを10質量%の割合で含むとともにSbを1 0質量%の割合で含む合金シートを用いて実施 群1の(1)と同様にして負極集電体を作製した 。

 電解液としては、添加剤を添加しないも 、ナトリウムイオンの含有量が0.70mol/lのも 、マグネシウムイオンの含有量が0.42mol/lの の、アルミニウムイオンの含有量が0.29mol/l もの、リン酸の含有量が0.20mol/lのもの、ホ 酸の含有量が0.24mol/lのものを調製した。

 これらの負極集電体と電解液とを用いて、 施例群1に記載した方法により、実施例4、8 12、16、20、21~80の鉛蓄電池および比較例23~34 の鉛蓄電池を作製して、実施例群1と同様の 法により寿命性能試験を行った。
 なお、本実施例群で作製したPbとSnとを含み Snを25質量%の割合で含む表面層が形成された 極集電体を用いた実施例4、8、12、16、20の 蓄電池は、実施例群1で作製した実施例4、8 12、16、20の鉛蓄電池と同じである。

 表2および表3には電解液に含まれる金属 オン等の種類と表面層の組成、寿命性能比 記載した。表2および表3中、例えば「Pb-5%Sn とは、PbとSnとを含みSnを5質量%の割合で含む 層であることを意味する。また、表2及び表3 は、実施例群1で作製した比較例1、5、9、13 17、21の鉛蓄電池(表面層を備えない負極集 体を用いたもの)の寿命性能比を該当部分に 載した。

 表2および表3から明らかなように、ナト ウムイオン、マグネシウムイオン、アルミ ウムイオン、リン酸、またはホウ酸を含む 解液を用いたものであって、PbとSnとを含む 面層、Snからなる層、PbとSbとを含む表面層 またはPbとSnとSbとを含む表面層が形成され 負極集電体を用いた、実施例4、8、12、16、2 0、21~80の本発明の鉛蓄電池では、寿命性能が 向上した。

 特に、PbとSnとを含みSnを10質量%以上の割 で含む表面層(実施例4、8、12、16、20、22、23 、34、35、46、47、58、59、70、71)、Snからなる 面層(実施例24、36、48、60、72)、PbとSbとを含 Sbを10質量%以上の割合で含む表面層(実施例2 6~29、38~41、50~53、62~65、74~77)または、PbとSnとS bを含みSnを5質量%の割合で含むとともにSbを5 量%の割合で含む表面層(実施例31、32、43、44 、55、56、67、68、79、80)が形成された負極集 体を用いたものでは、電解液に添加される 加剤の種類によらず、高い寿命性能向上効 が得られるので好ましい。

 同じ組成の表面層が形成された負極集電 を用いるもの同士を比較すると、ナトリウ イオン、マグネシウムイオン、アルミニウ イオン、リン酸、またはホウ酸を含む電解 を用いたもののほうが添加剤を添加しない 解液を用いたものよりも寿命性能向上効果 顕著であった(例えば比較例24と実施例22、34 、46、58、70を参照)。

 <実施例群3>
 次に、ナトリウムイオンとリン酸とを含む 解液を用いたものについて検討を行った。 硫酸ナトリウムを電解液中のNa + の含有量が0.70mol/lとなるように添加するとと もに、表4に記載の量のリン酸を添加して調 した電解液を用いたこと以外は実施例群1と 様にして、実施例81~84の鉛蓄電池を作製し 。比較のために、実施例81~84の鉛蓄電池の電 解液と同じ組成の電解液と、表面層を備えな い負極板とを用いて、比較例35~38の鉛蓄電池 作製した。

 この実施例81~84の鉛蓄電池と比較例35~38の鉛 蓄電池について、実施例群1と同様の方法に り寿命性能試験を行い結果を表4に示した。
 表4には実施例群1で作製した比較例5の鉛蓄 池と実施例4の鉛蓄電池の寿命性能試験の結 果を該当箇所に記載した。

 表4から明らかなように、ナトリウムイオ ンとリン酸とを含む電解液を用いたものであ っても、本発明の効果を発揮することがわか った。

 <他の実施形態>
 本発明は上記記述及び図面によって説明し 実施形態に限定されるものではなく、例え 次のような実施形態も本発明の技術的範囲 含まれる。
 (1)上記実施例においては、ナトリウムイオ とリン酸とを含む電解液を示したが、カリ ムイオンとリン酸とを含む電解液や、マグ シウムイオンととホウ酸とを含む電解液な を用いてもよい。

 (2)上記実施例においては圧延法により表 層を形成したが、溶融メッキ法により表面 を形成してもよい。

 (3)上記実施例においては耳部の全領域と 部の全領域に表面層を形成したが、耳部の に表面層を形成したものや縁部のみに表面 を形成したものであってもよいし、耳部お び縁部の一部の領域に表面層を形成したも であってもよい。




 
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