住友金属工業株式会社 (〒41 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 Osaka, 5410041, JP)
| 多段ロール式管矯正機を用い、対向する孔型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯正する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%を超え3%以下となるようにしたことを特徴とする二相ステンレス鋼管の製造方法。 A=(D i -H i )/D i ・・・(1) 但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りである。 D i :矯正機の第iスタンド入側における管の外径(mm) H i :矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部間隔(mm) |
| 多段ロール式管矯正機を用い、対向する孔型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯正する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%を超え3%以下となるようにしたことを特徴とする二相ステンレス鋼管の強度調整方法。 A=(D i -H i )/D i ・・・(1) 但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りである。 D i :矯正機の第iスタンド入側における管の外径(mm) H i :矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部間隔(mm) |
| 多段ロール式管矯正機を用い、対向する孔型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯正する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%を超え3%以下となるようにしたことを特徴とする二相ステンレス鋼管の矯正方法。 A=(D i -H i )/D i ・・・(1) 但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りである。 D i :矯正機の第iスタンド入側における管の外径(mm) H i :矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部間隔(mm) |
| 多段ロール式管矯正機を用い、対向する孔型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯正する際に、下記(1)式で定義されるA値を、機械的強度を改善する必要がない場合には2.0%以下となるように調整し、機械的強度を改善する必要がある場合には2.0%を超え3%以下となるように調整することを特徴とする矯正機の操業方法。 A=(D i -H i )/D i ・・・(1) 但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りである。 D i :矯正機の第iスタンド入側における管の外径(mm) H i :矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部間隔(mm) |
本発明は、二相ステンレス鋼管の製造方 に関し、特に、二相ステンレス鋼管の製造 程において使用される矯正機(ストレートナ ー)における矯正方法に関する。
ここで、二相ステンレス鋼は、フェライ 相とオーステナイト相が均等に分散してい ので、オーステナイトステンレス鋼または ェライトステンレス鋼と比較して強度が高 材料である。従って、二相ステンレス鋼は 容易に強加工することができ、加工におけ 経済性の観点から、古くから幅広い分野で 用されている。特に、高Cr、高Moの二相ステ ンレス鋼は、優れた耐食性も有するため、熱 交換器用、石油・化学工業用のプロセス鋼管 ・配管用途として多分野に適用されている。
例えば、特許文献1には、固溶強化能を有 するCr、Mo、N等の元素を含有する、耐海水性 優れた高強度二相ステンレス鋼が開示され いる。特許文献2および3には、上記のCr、Mo Nに加え、Wを含有することによって、さら 耐食性を向上させた高強度二相ステンレス が開示されている。
特許文献4には、二相ステンレス鋼管の製 造方法が開示されている。この方法では、所 定の化学組成を有し、パラメータPI(=10C+16N+Si+ 1.2Mn+Ni+Co+Cr+3Mo)が35以上である二相ステンレス 鋼が用意され、その後、熱間加工による素管 の製造、断面減少率で10%以上の冷間加工また は温間加工、および、固溶加熱処理が実施さ れる。固溶加熱処理は、600~900℃の温度範囲 所定の速度で昇温した後、1,020~1,180℃の温度 範囲で1分以上均熱した後、急冷して行われ 。
これらの文献に記載されているように、 来、二相ステンレス鋼の機械的強度の調整 、化学組成の調整、溶体化熱処理条件等の 整により行われてきた。
ところで、二相ステンレス鋼管は、定径 、切断機などを用いて素管の寸法を調整し 後、矯正機を用いて管の曲がりを除去して 直にするとともに、楕円形状の外形を矯正 て、製造される。
継目無鋼管の矯正方法に関して、特許文 5には、凹ロールを対向に配置または千鳥形 状に配置した複数スタンドから構成される多 ロール矯正機と、1対の凹凹ロールまたは凹 ロールの組み合わせで構成される2ロール矯 機により矯正することにより、管全長の真 度を向上させて、切断工程時に端部切断代 減少させる方法が開示されている。
図1は、多段ロール式管矯正機の例を示す 模式図である。図1に示すように、多段ロー 式矯正機(ストレートナー)は、孔型圧延ロー ル対R、Rを備えたスタンドを3つ以上備えてい る。孔型圧延ロール対の各ロールR、Rは、互 に傾斜角を持って対向している。少なくと 1つのスタンド(図1に示す例では、#2)は、そ 孔型中心軸が他のスタンドの孔型中心軸と 致しないように配置されている。(以下、こ のような配置を「オフセット」と呼ぶ。)。 た、各スタンドに配設された孔型圧延ロー 対R、Rの溝底部間隔は、各スタンド入側の管 Pの外径より狭いため、管Pは各スタンドを通 するときにクラッシュされる。多段ロール 管矯正機において、管Pは周方向に回転しな がら、図1の矢印の方向に送られるので、曲 り、断面形状等が矯正される。
ロール式管矯正機のオフセット量および ラッシュ量は、管Pの矯正効果を決定付ける 重要な因子であり、これらオフセット量やク ラッシュ量の設定方法について、出願人は、 種々の提案をしている。
例えば、出願人は、特許文献6において、 各スタンドに配設された孔型圧延ロールに生 じる荷重を測定し、これが予め決定した適切 な荷重となるようにオフセット量及びクラッ シュ量を設定する方法を提案している。
出願人は、特許文献7において、孔型圧延 ロールの摩耗量を予測し、摩耗量に応じてオ フセット量やクラッシュ量などを設定する方 法を、特許文献8において、矯正過程におけ 管の変形挙動の理論式に基づいて、オフセ ト量及びクラッシュ量を設定する方法をそ ぞれ提案している。
本発明者らは、化学組成の調整または溶 化熱処理条件の調整以外の手段により二相 テンレス鋼管の機械的強度を調整する方法 ついて検討した。その結果、鋼管の直線性 よび伸円性を確保するために用いられる矯 機に着目した。本発明者らは、鋭意研究を い、矯正機におけるクラッシュ量を調整す ことで、二相ステンレス鋼管の機械的強度 調整できることを見出し、本発明を完成さ た。
なお、前述のように、矯正機に関する特 文献5~8においては、矯正効果の向上、安定 いった事項について検討がなされているも の、これを二相ステンレス鋼管の機械的強 の調整に用いることについては、一切検討 なされていない。
本発明は、化学組成の調整または溶体化 処理条件の調整以外の手段により二相ステ レス鋼管の機械的強度を調整することがで る二相ステンレス鋼管の製造方法、矯正方 および強度調整方法、ならびに、矯正機の 業方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記(A)に示す二相ステンレス 管の製造方法、下記(B)に示す強度調整方法 よび下記(C)に示す矯正方法、ならびに、下 (D)に示す矯正機の操業方法を要旨とする。
(A)多段ロール式管矯正機を用い、対向する
型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯
する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%
超え3%以下となるようにしたことを特徴とす
る二相ステンレス鋼管の製造方法。
A=(D i
-H i
)/D i
・・・(1)
但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りで
る。
D i
:矯正機の第iスタンド入側における管の外径(
mm)
H i
:矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部
隔(mm)
(B)多段ロール式管矯正機を用い、対向する
型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯
する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%
超え3%以下となるようにしたことを特徴とす
る二相ステンレス鋼管の強度調整方法。
A=(D i
-H i
)/D i
・・・(1)
但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りで
る。
D i
:矯正機の第iスタンド入側における管の外径(
mm)
H i
:矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部
隔(mm)
(C)多段ロール式管矯正機を用い、対向する
型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯
する際に、下記(1)式で定義されるA値が2.0%
超え3%以下となるようにすることを特徴とす
る二相ステンレス鋼管の矯正方法。
A=(D i
-H i
)/D i
・・・(1)
但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りで
る。
D i
:矯正機の第iスタンド入側における管の外径(
mm)
H i
:矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部
隔(mm)
(D)多段ロール式管矯正機を用い、対向する
型圧延ロール対で二相ステンレス鋼管を矯
する際に、下記(1)式で定義されるA値を、機
械的強度を改善する必要がない場合には2.0%
下となるように調整し、機械的強度を改善
る必要がある場合には2.0%を超え3%以下とな
ように調整したことを特徴とする矯正機の
業方法。
A=(D i
-H i
)/D i
・・・(1)
但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りで
る。
D i
:矯正機の第iスタンド入側における管の外径(
mm)
H i
:矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部
隔(mm)
本発明によれば、矯正機により二相ステ レス鋼管の機械的強度を調整できるので、 学組成および熱処理条件の設計自由度が増 。
本発明においては、多段ロール式管矯正機(
以下、単に「矯正機」という。)により二相
テンレス鋼管を矯正する際に、下記(1)式で
義されるA値を、機械的強度を改善する必要
ない場合には、2.0%以下となるように調整し
、機械的強度を改善する必要がある場合には
、2.0%を超え3%以下となるように調整する。
A=(D i
-H i
)/D i
・・・(1)
但し、(1)式の各記号の意味は下記の通りで
る。
D i
:矯正機の第iスタンド入側における管の外径(
mm)
H i
:矯正機の第iスタンドにおけるロール溝底部
隔(mm)
すなわち、矯正機における二相ステンレ 鋼管のクラッシュ量の外径に対する比(A値) 2.0%以下の場合には、矯正前後において機械 的強度が変化しないため、化学組成および熱 処理条件を適宜調整して得た強度をそのまま 維持することができる。その一方で、A値が2. 0%を超える場合には、二相ステンレス鋼管の 械的強度が上昇することを本発明者らは見 したのである。このため、化学組成熱処理 件を適宜調整して得た強度をさらに上昇(改 善)させる必要がある場合には、A値が2.0%を超 える範囲となるようにクラッシュ量を調整す ればよい。
望ましいA値は2.5%以上である。これは、 発明者らの研究により、A値の値が2.5%以上と なるようにクラッシュ量を調整すれば、常温 での引張強度だけでなく、高温(120℃)での引 強度も上昇できることが見出されたからで る。A値の上限については、特に制約はない が、あまりにクラッシュ量が大きい場合には 、強度は上昇するものの、靭性が低下するお それがある。従って、A値は3.0%以下に制限す のが望ましい。
ここで、管の外径の測定方法としては、 えば、ストレートナー前に設置した測定機 測定する方法、素管を熱間加工した後に外 を測定してその測定値からストレートナー の外径を算出する方法等がある。また、各 タンド入側における管の外径は、直前のス ンドにおけるロール溝底部間隔と同一であ と見なして、スタンド間における外径の測 を省略してもよい。
オフセット量(オフセットされた孔型圧延 ロール対R,Rの孔型中心軸と、他の孔型圧延ロ ール対R,Rの孔型中心軸との軸間距離)には、 に制限はないが、例えば、ストレートナー の外径の5%程度とするのが望ましい。
以上のように、矯正機を用いて、二相ス ンレス鋼管の矯正をするとともに、強度調 も行うことができ、ひいては、同一化学組 の二相ステンレス鋼の素管から強度の異な 鋼管を提供することができる。
本発明の効果を確認するべく、まず、表1 に示すような二相ステンレス鋼の素管(外径:2 19.1mm、内径:159.1mm、長さ:8000mm)を製造した。 いで溶体化処理(1080℃×30分)とストレートナ による矯正を行った。ストレートナーは、 のクラッシュ条件を変更して使用した。
化学組成およびクラッシュ条件を変更し 、常温および120℃における引張試験および ャルピー試験(-50℃、2mmVノッチ)を実施し、 械的強度を調査した。その結果を表2に示す 。
図2および3は、いずれも表2の結果を整理 た図であり、図2は、常温におけるYSとA値と の関係を、図3は、120℃におけるYSとA値との 係をそれぞれ示す。
表2および図2に示すように、常温におけ YSは、A値が2.0%まではほとんど変化しないが 2.0%を超えると徐々に上昇した。一方で、A が3.0%を超える一部の例(No.13および14)では靭 の劣化が見られた。また、表2および図3に すように、120℃におけるYSについては、A値 2.5%を超えたあたりから、顕著に増加した。
本発明によれば、矯正機におけるクラッシ
量を調整することにより二相ステンレス鋼
の機械的強度を調整できるので、化学組成
よび熱処理条件の設計自由度が増す。
