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Patent Searching and Data


Title:
ACTIVE MATERIAL FOR LITHIUM RECHARGEABLE BATTERY, LITHIUM RECHARGEABLE BATTERY, AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063838
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an active material for a lithium rechargeable battery with a large discharge capacity, particularly an active material for a lithium rechargeable battery that can increase the discharge capacity in a potential region of not more than 4.3 V, a process for producing the active material, a lithium rechargeable battery having a large discharge capacity, and a process for producing the lithium rechargeable battery. The active material for a lithium rechargeable battery comprises a solid solution of a lithium transition metal composite oxide having an α-NaFeO2-type crystal structure. The active material is characterized in that the composition ratio of Li, Co, Ni, and Mn contained in the solid solution satisfies Li1+1/3xCo1-x-yNiy/2Mn2x/3+y/2, wherein x + y ≤ 1, 0 ≤ y, and 1 - x - y = z); in a Li[Li1/3Mn2/3]O2(x)-LiNi1/2Mn1/2O2(y)-LiCoO2(z)-type ternary phase diagram, (x, y, z) is represented by values in a range present on or within a line of a heptagon (ABCDEFG), of which the vertexes are point A (0.45, 0.55, 0), point B (0.63, 0.37, 0), point C (0.7, 0.25, 0.05), point D (0.67, 0.18, 0.15), point E (0.75, 0, 0.25), point F (0.55, 0, 0.45), and point G (0.45, 0.2, 0.35); and the intensity ratio between the diffraction peak on (003) plane and (104) plane as measured by X-ray diffractometry at the end of discharge is I(003)/I(104) > 1. The process for producing the active material for a lithium rechargeable battery uses a coprecipitation method. The lithium rechargeable battery comprises a positive electrode containing the active material.

Inventors:
ENDO DAISUKE (JP)
YASUTOMI MIKI (JP)
KATAYAMA YOSHIHIRO (JP)
NUKUDA TOSHIYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070444
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
GS YUASA CORP (JP)
ENDO DAISUKE (JP)
YASUTOMI MIKI (JP)
KATAYAMA YOSHIHIRO (JP)
NUKUDA TOSHIYUKI (JP)
International Classes:
C01G45/00; C01G51/00; C01G53/00; H01M4/50; H01M4/505; H01M4/52; H01M4/525; H01M10/052; H01M10/36
Domestic Patent References:
WO2002086993A12002-10-31
Foreign References:
JP2007220630A2007-08-30
JP2005235628A2005-09-02
JP2007184145A2007-07-19
JP2007503102A2007-02-15
JP2007242581A2007-09-20
JP2005100947A2005-04-14
JP2003044881A2003-02-14
JP2007280723A2007-10-25
JP2007220475A2007-08-30
JP2006253119A2006-09-21
JP2004152753A2004-05-27
JP2004006267A2004-01-08
JP2007123255A2007-05-17
JP2002068748A2002-03-08
JP2002121026A2002-04-23
JP3500424B22004-02-23
JP2005089279A2005-04-07
JP2006036620A2006-02-09
JP2003048718A2003-02-21
JP2006036621A2006-02-09
JP3940788B22007-07-04
JPH0955211A1997-02-25
JP3539518B22004-07-07
JP2004158443A2004-06-03
JP3946687B22007-07-18
JPH08171935A1996-07-02
JP3258841B22002-02-18
JP2006253119A2006-09-21
JP2007220475A2007-08-30
JP2004006267A2004-01-08
JP2004152753A2004-05-27
JP2007293777A2007-11-08
JP2007330259A2007-12-27
Other References:
See also references of EP 2219251A4
ELECTROCHIMICA ACTA, vol. 51, 2006, pages 5581 - 5586
ELECTROCHEMISTRY COMMUNICATIONS, vol. 7, 2005, pages 1318 - 1322
ELECTROCHEMISTRY COMMUNICATIONS, vol. 9, 2007, pages 787 - 795
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 146, 2005, pages 281 - 286
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 146, 2005, pages 598 - 601
SOLID STATE IONICS, vol. 176, 2005, pages 1035 - 1042
JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY, vol. 152, no. 1, 2005, pages A171 - A178
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 124, 2003, pages 533 - 537
ELECTROCHEMISTRY COMMUNICATIONS, vol. 9, 2007, pages 103 - 108
JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY, vol. 149, no. 6, 2002, pages A777 - A791
JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY, vol. 151, no. 5, 2004, pages A720 - A727
ELECTROCHEMICAL AND SOLID-STATE LETTERS, vol. 6, no. 9, 2003, pages A183 - A186
ELECTROCHEMICAL AND SOLID-STATE LETTERS, vol. 6, no. 8, 2003, pages A166 - A169
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 159, 2006, pages 1353 - 1359
MATERIALS LETTERS, vol. 58, 2004, pages 3197 - 3200
JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY, vol. 13, 2003, pages 319 - 322
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 112, 2002, pages 634 - 638
Attorney, Agent or Firm:
MATSUMOTO, Satoru (kyobashi 1chomeChuo-ku, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有するLi,Co,Ni及びMnの組成比が、Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y、1-x-y=z)を満たし、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0.18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上又は内部に存在する範囲の値で表され、かつ、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が、充放電前においてI (003) /I (104) ≧1.56であり、放電末においてI (003) /I (104) >1であることを特徴とするリチウム二次電池用活物質。
 4.3V(vs.Li/Li+)以下の電位領域において放電可能な電気量が180mAh/g以上となることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用活物質。
 α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物質であって、前記固溶体が含有するLi,Co,Ni及びMnの組成比が、Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y、1-x-y=z)を満たし、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0.18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上又は内部に存在する範囲の値で表され、かつ、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が、放電末においてI (003) /I (104) >1であり、4.3V(vs.Li/Li+)以下の電位領域において放電可能な電気量が177mAh/g以上となることを特徴とするリチウム二次電池用活物質。
 上記(x,y,z)が、点H(0.6,0.4,0)、点I(0.67,0.13,0.2)、点J(0.7,0,0.3)及び点K(0.55,0.05,0.4)を頂点とする四角形HIJKの線上又は内部に存在する範囲の値で表されることを特徴とする請求項1又は3に記載のリチウム二次電池用活物質。
 4.3V(vs.Li/Li+)以下の電位領域において放電可能な電気量が200mAh/g以上となることを特徴とする請求項4に記載のリチウム二次電池用活物質。
 前記リチウム遷移金属複合酸化物の固溶体は、CuKα線を用いたエックス線回折測定を行ったときに、充放電前において20~30°付近に、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる回折ピークが観察され、該回折ピークの強度が、前記(003)面の回折ピークの強度に対して4~7%程度であることを特徴とする請求項1又は3に記載のリチウム二次電池用活物質。
 前記リチウム遷移金属複合酸化物の固溶体は、共沈法を用いて製造されたものであることを特徴とする請求項1又は3に記載のリチウム二次電池用活物質。
 溶媒中でCo,Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を作製し、前記前駆体とリチウム化合物を混合、焼成する工程を経て前記リチウム遷移金属複合酸化物の固溶体を作製することを特徴とする請求項1又は3に記載のリチウム二次電池用活物質の製造方法。
 正極が請求項1又は3に記載のリチウム二次電池用活物質を含むリチウム二次電池。
 充電時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li+)以下である充電方法が採用される請求項9記載のリチウム二次電池を製造するための製造方法であって、4.3V(vs.Li/Li+)を超え4.8V以下(vs.Li/Li+)の正極電位範囲に出現する電位変化が比較的平坦な領域に少なくとも至る充電を行う工程を含むことを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
Description:
リチウム二次電池用活物質、リ ウム二次電池及びその製造方法

 本発明は、リチウム二次電池用活物質及 それを用いたリチウム二次電池に関する。

 従来、リチウム二次電池には、正極活物質 して主にLiCoO 2 が用いられている。しかし、LiCoO 2 を正極活物質として用いたリチウム二次電池 は、放電容量が120~130mAh/g程度しかなく、充電 状態における電池内での熱的安定性も劣るも のであった。

 そこで、リチウム二次電池用活物質として LiCoO 2 を他の化合物と固溶体を形成させた材料が知 られている。即ち、リチウム二次電池用活物 質として、LiCoO 2 、LiNiO 2 及びLiMnO 2 をそれぞれ3つの成分として配置した三元系 態図上に示されるα-NaFeO 2 型結晶構造を有する固溶体であるLi[Co 1-2x Ni x Mn x ]O 2 (0<x≦1/2)が2001年に発表された。前記固溶体 の一例であるLiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 やLiCo 1/3 Ni 1/3 Mn 1/3 O 2 を活物質として用いたリチウム二次電池は、 放電容量が150~180mAh/gとLiCoO 2 よりも優れ、充電状態における電池内での熱 的安定性の点でもLiCoO 2 より優れている。

 しかし、放電容量がさらに大きいリチウ 二次電池用活物質が求められていた。

 特許文献1~4には、リチウム二次電池用活物 としてLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 にFeを添加した化合物が記載されている。特 文献5~8には、リチウム二次電池用活物質と てLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 にFeやNiを添加した化合物が記載されている

 しかしながら、特許文献1~8記載の発明に る材料は、安価な鉄を原料として用いた点 特徴があるが、これを用いたリチウム二次 池は、従来の正極活物質と比べて、分極が きく、放電容量も優れるものではなかった

 特許文献9、10には、リチウム二次電池用活 質としてLiNiO 2 -Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 系の固溶体が記載されている。

 しかしながら、特許文献9、10記載のリチウ 二次電池用活物質は、Niの電子状態がNi 3+ であることから、酸素中で合成する必要があ り、空気中で合成することが困難であるとい う問題点があった。このように、工業上の取 り扱い易さの点からもNiはNi 2+ の状態で存在しているリチウム二次電池用活 物質材料が望まれている。また、この材料で は、Ni 3+ →Ni 4+ の1電子反応しか利用できないので、リチウ 二次電池の放電容量の向上が期待できない

 特許文献11-12には、リチウム二次電池用活 質としてLiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 - Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 系の固溶体等が記載されている。

 しかしながら、特許文献11、12に記載の材料 を用いたリチウム二次電池の放電容量は、LiN i 1/2 Mn 1/2 O 2 を単独で用いた場合に比べて向上するどころ か、逆に劣るものであった。

 特許文献13-14には、リチウム二次電池用活 質としてLiMeO 2 (Me:Co、Ni)の粒子表面にLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 を存在させた材料が記載されている。

 しかしながら、上記した特許文献1~14に記 載された技術や、次に述べる特許文献15~18に 載された技術は、いずれも、本発明の課題 ある放電容量の向上に結びつくものではな った。

 特許文献15、16には、「本発明では層状構造 を有する
・Li[Ni 1/2 Mn 1/2 ]O 2 の割合が(1-3x)(1-y)、
・Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 の割合が3x(1-y)、
・LiCoO 2 の割合がy
で固溶したと仮定される層状リチウム遷移金 属複合酸化物、すなわち
[Li] (3a) [(Li x Ni (1-3x)/2 Mn (1+x)/2 ) (1-y) Co y ] (3b) O 2  …(II)
を基本構造に持つ。 
ここで、(3a)、(3b)はそれぞれ層状R(-3)m構造中 異なる金属サイトを表す。」、「ただし、 発明の重要な点は、さらに(II)式の組成に対 してLiをzモルだけ過剰に加え、固溶させたも のであり、
[Li] (3a) [Li z/(2+z) {(Li x Ni (1-3x)/2 Mn (1+x)/2 ) (1-y) Co y } 2/(2+z) ] (3b) O 2  …(I)
(ただし、0.01≦x≦0.15、0≦y≦0.35、0.02(1-y)(1-3x )≦z≦0.15(1-y)(1-3x)、また、(3a)、(3b)はそれぞ 層状R(-3)m構造中の異なる金属サイトを表す )
で表されることを特徴とする。」(段落0018~001 9)等と記載され、Li[Ni 1/2 Mn 1/2 ]O 2 とLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 とLiCoO 2 との3つの成分の固溶体を基本構造として採 する考え方については記載がある。しかし 比較例を参照しても、Li量は、そのような固 溶体を想定した場合に自然に導かれる量を超 えて過剰量としたもののみが具体的に記載さ れており、Li量を意図的に過剰としない組成 囲内において、3つの成分の比率を特定のも のとすることにより、放電容量を向上できる ことについては記載がない。

 特許文献17には、請求項1に、「Li[Ni (x-y) Li (1/3-2x/3) Mn (2/3-x/3-y) Co 2y ]O 2 (0<x≦0.5、0≦y≦1/6、x>y)」なる組成式が 載されている。

 特許文献17の請求項1に記載された組成式は 上位概念としては本発明が特徴とする組成 囲と一部重複するものの、特許文献17には Li[Ni 1/2 Mn 1/2 ]O 2 とLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 とLiCoO 2 との3つの成分の固溶体を採用する技術思想 示唆する記載は皆無であり、上記組成式が す範囲は、Li[Ni 1/2 Mn 1/2 ]O 2 とLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 とLiCoO 2 との3つの成分の固溶体とした場合の組成以 のものを広く含んでいる。

 特許文献18の請求項2には、「Li[Ni (x-y) Li (1/3-2x/3) Mn (2/3-x/3-y) Co 2y ]O 2 (ただし、xは0より大きく0.5以下であり、yは0 上1/6以下であり、x>yである。)」なる組成 式が記載されている。

 特許文献18の請求項2に記載された組成式は 上位概念としては本発明が特徴とする組成 囲と一部重複するものの、実施例としては 「組成式Li[Ni 0.5 Mn 0.5 ]O 2 により表わされる化合物」や「組成式Li[Ni 0.4 Mn 0.4 Co 0.2 ]O 2 により表わされる化合物」が具体的に記載さ れているだけであり、これらは完全に本発明 が特徴とする組成範囲を外れるものである。 また、特許文献18には、Li[Ni 1/2 Mn 1/2 ]O 2 とLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 とLiCoO 2 との3つの成分の固溶体を採用する技術思想 示唆する記載は皆無である。

 特許文献19には、共沈法によって遷移金属(C o,Ni,Mn)の水酸化物を作製し、これとリチウム 合物を混合し、焼成工程を経てα-NaFeO 2 型結晶構造を有するLi[Co 1-2x Ni x Mn x ]O 2 を合成する方法が記載されている。

特開2002-068748号公報

特開2002-121026号公報

特許第03500424号公報

特開2005-089279号公報

特開2006-036620号公報

特開2003-048718号公報

特開2006-036621号公報

特許第03940788号公報

特開平09-055211号公報

特許第03539518号公報

特開2004-158443号公報

特許第03946687号公報

特開平08-171935号公報

特許第03258841号公報

特開2006-253119号公報

特開2007-220475号公報

特開2004-006267号公報

特開2004-152753号公報

国際公開第02/086993号パンフレット

 非特許文献1には、高Mn量のLiCoO 2 -LiNi 0.5 Mn 0.5 O 2 -Li 2 MnO 3 固溶体の調製と電気化学的特性について記載 され、具体的に、0.36LiCoO 2 -0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.44Li 2 MnO 3 、0.27LiCoO 2 -0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.53Li 2 MnO 3 、0.18LiCoO 2 -0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.62Li 2 MnO 3 、0.09LiCoO 2 -0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.71Li 2 MnO 3 が示されているが、Liの含有量が1.4~1.5と多い 場合には、X線回折測定による(003)面と(104)面 回折ピークの強度比I (003) /I (104) は1.4程度であり(図2参照)、1.56以上ではない ら、これらの固溶体は、本発明の活物質と 明らかに異なる。また、製造方法について 、それぞれの酢酸塩をスプレードライ法を いて400℃で分解した後、750-950℃にて焼成す ことが示されているだけであり、共沈法を いて製造することは示されていない。さら 、3.0-4.6Vの電位領域において放電容量を200mA h/g以上とすることが示されているが、4.3V以 の電位領域における放電容量を大きくする とは示されていない。

 非特許文献2には、Li[Li 0.182 Ni 0.182 Co 0.091 Mn 0.545 ]O 2 、すなわち、0.545Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.364LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.091LiCoO 2 の層状物質について、放電容量は、初期4.6-2. 0Vの電位領域においては200mAh/g以上であり、4. 6V-2.0Vサイクルの後、4.3V-2.0Vの電位領域にお ては160mAh/g程度であることが示されているか ら、この層状物質は、4.3V以下の電位領域に いて放電容量が大きいものではない。また 上記の層状物質は、それぞれの酢酸塩のス リーを作製し、それを120℃で乾燥した後、90 0℃で焼成することにより作製されたもので り、共沈法により作製されたものではなく X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピー クの強度比I (003) /I (104) は、約1であり、1.56以上の本発明の活物質と 明らかに異なるものである。

 非特許文献3には、リチウム電池の正極活物 質として0.7Li 2 MnO 3 ・0.3LiMn 0.33 Ni 0.33 Co 0.33 O 2 、0.5Li 2 MnO 3 ・0.5LiMn 0.33 Ni 0.33 Co 0.33 O 2 が示され、前者について、放電容量は50℃、4 .8V充電にて261mAh/g、50℃、4.6V充電にて200mAh/g あることが示されているが、4.3V以下の電位 域において放電容量を大きくすることは示 れていない。また、上記の正極活物質は、C o、Ni、Mnの共沈水酸化物とLiOHを混合して300又 は500℃にて仮焼成され、800又は1000℃にて焼 して作製されたものであるが、X線回折測定 よる(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、約1であり、1.56以上の本発明の活物質と 明らかに異なるものである。

 非特許文献4には、Li[Li 1/5 Ni 1/10 Co 1/5 Mn 1/2 ]O 2 、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -0.2LiCoO 2 の層状結晶構造を有する固溶体が示されてい るが、X線回折測定による(003)面と(104)面の回 ピークの強度比I (003) /I (104) は1.4程度であり(図3参照)、1.56以上ではない ら、この固溶体は、本発明の活物質とは明 かに異なるものである。また、製造方法に いては、それぞれの酢酸塩を用いたゾルゲ 法が示されているだけであり、共沈法を用 て製造することは示されていない。さらに 放電容量は、4.5V充電にて229mAh/gであること 示されているが、4.3V以下の電位領域におけ 放電容量を大きくすることは示されていな 。

 非特許文献5には、(1-2x)LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 ・xLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 ・xLiCoO 2 (0≦x≦0.5)の活物質について示されており、 の組成式を満たす0.2LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 ・0.4Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 ・0.4LiCoO 2 、0.5Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 ・0.5LiCoO 2 等のものは、本発明に近い組成のものではあ るが、本発明の組成の範囲を外れている。ま た、製造方法については、それぞれの酢酸塩 を用いた固相法が示されているだけであり、 共沈法を用いて製造することは示されていな い。さらに、放電容量は、4.6V充電にて190mAh/g 程度である(x=0.4)から、4.3V以下の電位領域に ける放電容量は大きいものではない。

 非特許文献6には、LiNi 0.20 Co 0.20 Mn 0.60 O 2 、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.4LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 の正極活物質が示されているが、X線回折測 による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、電池作製前は1.7程度である(図7参照)が、 放電後には(003)面の回折ピークよりも(104)面 回折ピークの強度が大きくなっているから この正極活物質は、本発明の活物質とは明 かに異なるものである。また、製造方法に いては、それぞれの酢酸塩又は硝酸塩を加 分解した粉末を焼成する方法が示されてい だけであり、共沈法を用いて製造すること 示されていない。さらに、放電容量は、4.8V 電にて初期において288mAh/g、20サイクル後に 220mAh/gであることが示されているが、4.3V以下 の電位領域における放電容量を大きくするこ とは示されていない。

 非特許文献7には、層状の(1-x-y)LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 ・xLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 ・yLiCoO 2 (0≦x=y≦0.3及びx+y=0.5)の正極活物質について されているが、この組成式を満たす0.5LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 ・0.5Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 は、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折 ークの強度比I (003) /I (104) が1.4程度であり、1.56以上ではないから、こ 正極活物質は、本発明の活物質とは明らか 異なるものである。また、製造方法につい は、それぞれの酢酸塩を用いた固相法が示 れているだけであり、共沈法を用いて製造 ることは示されていない。さらに、放電容 は、4.6V充電にて180mAh/gであるから、4.3V以下 電位領域における放電容量は大きいもので ない。

 非特許文献8には、層状構造の0.5Li(Ni 0.5 Mn 0.5 )O 2 -0.5Li(Li 1/3 Mn 2/3 )O 2 固溶体が示されているが、α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物の固溶体であるQ24は、X線回折測定によ (003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) が1.2程度であり、1.56以上ではないから、こ 固溶体は、本発明の活物質とは明らかに異 るものである。S24、VS24は、X線回折測定によ る(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) が1.56以上であるが、不純物のピークが多く られ、α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物の固溶体として特定されていない。また 、製造方法については、それぞれの酢酸塩か らの前駆体を焼成する方法が示されているだ けであり、共沈法を用いて製造することは示 されていない。さらに、Q24については、4.6V 電にて放電容量が210mAh/g程度であることが示 されているが、4.3V以下の電位領域における 電容量を大きくすることは示されていない S24、VS24は、放電容量が小さいものである。

 非特許文献9には、Li(Li (1-x)/3 Co x Mn (2-2x)/3 O 2 )(0≦x≦1)固溶体の電気化学的性質について示 されているが、この組成式を満たすLi(Li 0.7/3 Co 0.3 Mn 1.4/3 O 2 、すなわち、0.7Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.3LiCoO 2 、Li(Li 0.6/3 Co 0.4 Mn 1.2/3 O 2 、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.4LiCoO 2 は、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折 ークの強度比I (003) /I (104) が1.3程度であり、1.56以上ではないから、こ 固溶体は、本発明の活物質とは明らかに異 るものである。また、製造方法については それぞれの硝酸塩からの前駆体を焼成する 法が示されているだけであり、共沈法を用 て製造することは示されていない。さらに 放電容量は、4.6V充電にて250mAh/g程度である とが示されているが、4.3V以下の電位領域に ける放電容量を大きくすることは示されて ない。

 非特許文献10には、Li[Ni x Li 1/3-2x/3 Mn 2/3―x/3 ]O 2 の合成、構造、電気化学的挙動について示さ れ、製造方法については共沈法を用いて製造 することが示されているが、この組成式を満 たすLi[Ni 0.25 Li 1/6 Mn 7/12 ]O 2 、すなわち、0.5Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.5LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 等の固溶体は、X線回折測定による(003)面と(10 4)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) が約1であり、1.56以上ではないから、これら 固溶体は、本発明の活物質とは明らかに異 るものである。さらに、放電容量は、4.8V充 電にて220mAh/g程度であることが示されている 、4.3V以下の電位領域における放電容量を大 きくすることは示されていない(充放電カー から見て、4.3V換算で150mAh/g程度である)。

 非特許文献11には、Li[Co x Li (1/3-x/3) Mn (2/3-2x/3) ]O 2 化合物の合成及び電気化学的特性について示 されているが、この組成式を満たすLi[Co 0.33 Li 0.67/3 Mn 1.34/3 O 2 、すなわち、0.67Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.33LiCoO 2 の化合物は、X線回折測定による(003)面と(104) の回折ピークの強度比I (003) /I (104) が1.4程度であり、1.56以上ではないから、こ 化合物は、本発明の活物質とは明らかに異 るものである。また、製造方法については それぞれの酢酸塩又は硝酸塩を加熱分解し 粉末を焼成する方法が示されているだけで り、共沈法を用いて製造することは示され いない。さらに、放電容量は、4.6V充電にて2 00mAh/g程度であることが示されているが、4.3V 下の電位領域における放電容量を大きくす ことは示されていない(充放電カーブから見 て、4.3V換算で150-160mAh/g程度である)。

 非特許文献12には、リチウム二次電池用のLi (Li 0.2 Ni 0.2 Mn 0.6 )O 2 正極活物質、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.4LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 正極活物質のX線回折測定結果について示さ 、(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) が、放電後に1.6程度、1.7程度となることが示 されているが、合成後、放電前には1.2程度で あり、1.56以上ではないから、これの正極活 質は、本発明の活物質とは明らかに異なる のである。また、製造方法については、そ ぞれの酢酸塩を用いたゾルゲル法が示され いるだけであり、共沈法を用いて製造する とは示されていない。さらに、放電容量は 2.0-4.6Vの電位領域において200mAh/g程度である 、4.6V充電後、2.0-4.3Vの電位領域のサイクル おいては110mAh/g程度であるから、4.3V以下の 位領域における放電容量は大きいものでは い。

 非特許文献13には、ナノ結晶Li[Li 0.2 Ni 0.2 Mn 0.6 ]O 2 、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.4LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 が示されているが、X線回折測定による(003)面 と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、1.3程度であり、1.56以上ではないから、 のナノ結晶は、本発明の活物質とは明らか 異なるものである。また、製造方法につい は、それぞれの酢酸塩又は硝酸塩を加熱分 した粉末を焼成する方法が示されているだ であり、共沈法を用いて製造することは示 れていない。さらに、放電容量は、4.8V充電 て210mAh/g程度であることが示されているが 4.3V以下の電位領域における放電容量を大き することは示されていない。

 非特許文献14には、リチウムイオン電池用 極活物質としてのLiCoO 2 -Li 2 MnO 3 (Li[Li (x/3) Co 1-x Mn (2x/3) ]O 2 )固溶体の調製及び電気化学的挙動について され、この組成式を満たすLi[Li 0.2 Co 0.4 Mn 0.4 ]O 2 、すなわち、0.6Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.4LiCoO 2 固溶体、Li[Li 0.23 Co 0.31 Mn 0.46 ]O 2 、すなわち、0.69Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.31LiCoO 2 固溶体は、X線回折測定による(003)面と(104)面 回折ピークの強度比I (003) /I (104) が、充放電前においては、それぞれ、2.3、1.9 程度であり、1.56以上ではある(図2参照)が、 電容量を160mAh以上とした充電末においては その強度比が極端に低下し(前者の固溶体に いて1.4~1.7、図10参照)、その強度比が極端に 低下した活物質(固溶体)を放電した場合の放 末における強度比は明らかでないから、こ らの活物質は、本発明の活物質と同一であ とはいえない。また、製造方法については それぞれの酢酸塩をスプレードライ法を用 て400℃で分解した後、750-950℃にて焼成する ことが示されているだけであり、共沈法を用 いて製造することは示されていない。さらに 、放電容量は、4.5V充電にて100mAh/g程度であり 大きくない。

 非特許文献15には、層状の0.6LiNi 0.5 Mn 0.5 O 2 ・xLi 2 MnO 3 ・yLiCoO 2 (x+y=0.4)正極活物質について示されており、こ の組成式を満たす0.6LiNi 0.5 Mn 0.5 O 2 ・0.4Li 2 MnO 3 は、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折 ークの強度比I (003) /I (104) は、1.4程度であり、1.56以上ではないから、 の正極活物質は、本発明の活物質とは明ら に異なるものである。また、製造方法につ ては、それぞれの酢酸塩を加熱分解した粉 を焼成する方法が示されているだけであり 共沈法を用いて製造することは示されてい い。さらに、放電容量は、4.6V充電にて210mAh/ g程度であることが示されているが、4.3V以下 電位領域における放電容量を大きくするこ は示されていない(4.3V換算で150mAh/g程度であ る)。

 非特許文献16には、リチウム二次電池用のLi [Li 0.15 Ni 0.275 Mn 0.575 ]O 2 正極活物質すなわち、0.45Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.55LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 正極活物質が示されているが、X線回折測定 よる(003)面と(104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、約1であり、1.56以上ではないから、この 極活物質は、本発明の活物質とは明らかに なるものである。また、製造方法について 、それぞれの酢酸塩を用いたゾルゲル法が されているだけであり、共沈法を用いて製 することは示されていない。さらに、放電 量は、4.6V充電にて180mAh/g程度であることが されているが、4.3V以下の電位領域における 放電容量を大きくすることは示されていない (4.3V換算で140mAh/g程度である)。

 非特許文献17には、リチウム二次電池用正 活物質としてのLi[Li (1-2x)/3 Ni x Mn (2―x)/3 ]O 2 の合成及び電気化学的性質について示されて いるが、この組成式を満たすLi[Li 0.15 Ni 0.275 Mn 0.575 ]O 2 、すなわち、0.45Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 -0.55LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 の正極活物質は、X線回折測定による(003)面と (104)面の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、約1であり、1.56以上ではないから、これ の正極活物質は、本発明の活物質とは明ら に異なるものである。また、製造方法につ ては、それぞれの酢酸塩を用いたゾルゲル が示されているだけであり、共沈法を用い 製造することは示されていない。さらに、 電容量は、4.6V充電にて190mAh/g程度であるこ が示されているが、4.3V以下の電位領域にお ける放電容量を大きくすることは示されてい ない(4.3V換算で140mAh/g程度である)。

ElectrochimicaActa 51(2006)5581-5586 ElectrochemistryCommunications 7(2005)1318-1322 ElectrochemistryCommunications 9(2007)787-795 Journalof Power Sources 146(2005)281-286 Journalof Power Sources 146(2005)598-601 SolidState Ionics 176(2005)1035-1042 Journalof The Electrochemical Society,152(1) A171- A178(2005) Journalof Power Sources 124(2003)533-537 ElectrochemistryCommunications 9(2007)103-108 Journalof The Electrochemical Society,149(6) A777- A791(2002) Journalof The Electrochemical Society,151(5) A720- A727(2004) Electrochemicaland Solid-State Letters,6(9) A183-A1 86(2003) Electrochemicaland Solid-State Letters,6(8) A166-A1 69(2003) Journalof Power Sources 159(2006)1353-1359 MaterialsLetters 58(2004)3197-3200 Journalof Materials Chemistry,2003,13,319-322 Journalof Power Sources 112(2002)634-638

 本発明は、上記問題点に鑑みなされたも であって、放電容量の大きなリチウム二次 池、特に4.3V以下の電位領域における放電容 量を大きくすることのできるリチウム二次電 池用活物質及びその製造方法を提供すること を目的とする。また、放電容量の大きなリチ ウム二次電池及びその製造方法を提供するこ とを目的とする。

 本発明について、技術思想を交えて説明 る。但し、作用機構については推定を含ん おり、その正否は、本発明を制限するもの はない。なお、本発明は、その精神又は主 な特徴から逸脱することなく、他のいろい な形で実施することができる。そのため、 述の実施の形態若しくは実験例はあらゆる で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈して ならない。本発明の範囲は、請求の範囲に って示すものであって、明細書本文にはな ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均 範囲に属する変形や変更は、すべて本発明 範囲内のものである。

 公知のLiMnO 2 をリチウム二次電池用活物質として用いた場 合、充放電の過程でMn 4+ /Mn 3+ の酸化還元反応に起因するヤーンテラー歪み が生じるため、安定した放電容量を得ること ができない。

 また、公知の、LiCoO 2 、LiNiO 2 及びLiMnO 2 をそれぞれ3つの成分として配置した三元系 態図上に示されるα-NaFeO 2 型結晶構造を有する固溶体であるLi[Co 1-2x Ni x Mn x ]O 2 (0<x≦1/2)の材料は、合成されたときの遷移 属元素の価数は、充放電に伴って、CoやNiの みならず、Mnの価数もまた変動する。ただ、N iとMnが同比率に存在する特殊な場合に限り、 Ni 2+ ,Mn 4+ ,Co 3+ の電子状態を取ることが経験的に可能であり 、この場合に限り、この材料に対して電気化 学的な酸化還元(リチウムの挿入脱離)を行っ もMnの価数が4価のまま変化しないことから 良好な可逆特性を得ることができると考え れている。なお、このとき、電気化学的酸 に伴って、Niの価数は2価から3価、さらには 4価まで変化し、Coの価数は3価から4価まで変 する。ここで、前記NiとMnが同比率に存在す る特殊な場合とは、図2に示したように、LiCoO 2 、LiNiO 2 及びLiMnO 2 をそれぞれ3つの成分として配置した三元系 態図で示した直線上の点に相当する。しか 、この直線上を外れると、Ni 2+ ,Mn 4+ ,Co 3+ の電子状態を取ることができなくなり、放電 容量および充放電サイクル性能が優れない結 果となってしまう。

 各金属元素の価数がLi + ,Co 3+ ,Ni 2+ ,Mn 4+ となると考えられる材料は、特許文献15~18に 一部発見することができる。
 しかし、上記したように、特許文献15~18の 載を参照しても、二次電池としての放電容 が従来の材料を上回るものは得られていな 。

 Li + およびMn 4+ を含む代表的な層状構造として、単斜晶のLi[ Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 がある。このLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 をベースとした種々の化合物がこれまでに検 討されていることについては、上記特許文献 1~14に記載されるとおりである。しかし、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 は、単体として用いるとほとんど充放電容量 を得ることができないことが知られている。 これは通常の有機電解液の安定領域において Mn 4+ →Mn 5+ の酸化還元反応が起こらないためであると推 察される。

 本発明者らは、前記Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 は、Mnの価数が4価であることに着目し、他の 化合物と固溶体を形成させることを検討した 。このようにすることで、電気化学的な酸化 還元(充放電)を行ってもMnの価数が4価から変 することなく、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 と固溶体を形成している他の化合物を構成し ている遷移金属元素の価数を変化させること ができ、これによって高い放電容量得ること ができ、また安定した充放電サイクル性能も 得られるのではないかと考えた。

 本発明者らは、さらに、この二元系にLiCoO 2 を含めたLiCoO 2 -LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 の三元系固溶体を検討した。LiCoO 2 は初期充放電効率に優れ、高率充放電特性に も優れているため、この特徴を生かすことが できるのではないかと考えたのである。

 この三元系固溶体は、図1に示す三角相図と して表される。このマトリックス上にある全 ての化合物はCo 3+ ,Ni 2+ ,Mn 4+ として存在するものとなる。即ち、前記した LiCoO 2 -LiNiO 2 -LiMnO 2 系においては、図2に示したように、NiとMnが 比率で存在するライン上でしかNi 2+ ,Mn 4+ として存在できないのに対し、LiCoO 2 -LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 -Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 の三元系固溶体であれば、系内のすべての点 においてCo 3+ ,Ni 2+ ,Mn 4+ として存在しうるのである。

 従って、本発明の基礎となる前記三元系固 体は、x{Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 }・y{LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 }・(z=1-x-y){LiCoO 2 }と表記することができる。これを変形して Li 1+x/3 Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 O 2 なる式が導かれる。ここで、定義から、0≦x 0≦y、x+y≦1である。

 本発明者らは、前記三元系固溶体において 特に、xの値が1/3<xの範囲内であるとき、 の材料を活物質として用いたリチウム二次 池は、従来の材料を用いた場合を大きく上 る放電容量を示し、同時にサイクル安定性 も優れるものとできることを見出し、先に 本特許庁に「特願2007-293777」として出願し 。また、本発明者らは、前記三元系固溶体 おいて、特に、xの値が1/3<x≦2/3の範囲内 あるとき、この材料を活物質として用いた チウム二次電池は、従来の材料を用いた場 を大きく上回る放電容量を示し、同時にサ クル安定性にも優れるものとできることを 出し、「特願2007-330259」として出願した。
 今般、本発明者らは、前記三元系固溶体に いて、xの値が1/3<xの範囲内で、特定の範 にあり、特定の性質を満たすとき、この材 を活物質として用いたリチウム二次電池は 大きな放電容量を示すこと、特に、4.3V以下 の電位領域において大きな放電容量を示すこ とを見出した。

 上記組成式から解るように、本発明が特徴 する活物質組成は、従来の活物質に比べてL iの含有比率が高いことが特徴の一つである この点のみを取り上げて考えても、本発明 活物質組成は、従来技術を説明した図2の組 図上にプロットして表すことができないも である。また、図2の組成図は、本発明に係 る材料のように、組成式Li q Co a Ni b Mn c O d においてa+b+c=1の関係を満たさないものは表 ことができない。

 ここに、本発明は、α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物 質であって、前記固溶体が含有するLi,Co,Ni及 Mnの組成比が、Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y)を満たし、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55 ,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0. 18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点 G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上 は内部に存在する範囲の値で表され、かつ X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピ クの強度比が、充放電前においてI (003) /I (104) ≧1.56であり、放電末においてI (003) /I (104) >1であることを特徴とするリチウム二次電 用活物質である。

 ここで、本発明における「充放電前」とは 活物質の合成後から、最初に電気化学的な 電が行われるまでをいう。
 また、「放電末」とは、160mAh/g以上の放電 行った後(実施例においては、177mAh/g以上の 電を行った後)を意味する。具体的には、実 例に示されるように、4.3V(vs.Li/Li+)まで充電 て、電流0.1ItAの定電流放電を行い、終止電 が2.0Vとなった時点を放電末としたものであ る。

 一般に、α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物を焼成工程を経て合成する場合、実際に 得られる化合物の組成は、原料の仕込み組成 比から計算される組成に比べて若干変動する ことが事実として知られている。本発明は、 その技術思想又は主要な特徴から逸脱するこ となく実施することができるものであって、 合成によって得られたものの組成が上記組成 式と厳密に一致しないことのみをもって本発 明の範囲に属さないものと解釈してはならな いことはいうまでもない。特に、Li量につい は、焼成工程で揮発されやすいことが知ら ている。また、酸素原子の係数についても 合成条件等によって変動しうるものである なお、本願請求項1の組成式は、酸素原子の 係数について規定していない。三角相図にお けるLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)のOは、厳密に2の場合だけではなく、欠損 たものも含まれる。
 また、本発明の活物質は、Li,Co,Ni,Mn,O以外の 元素を含んでいても良く、Li,Co,Ni,Mn,O以外の 素を含んでいる場合においても、前記固溶 を構成する元素の中からLi,Co,Ni及びMnを取り げ、その組成比が本願の規定を満たすと共 、本発明の効果が奏される限りにおいて、 のようなものも本発明の技術的範囲に属す 。Li,Co,Ni,Mn,O以外の元素としては、Co,Ni,Mn以 の遷移金属元素であっても良い。

 本発明に係るリチウム二次電池用活物質は 正極電位4.5V(vs.Li/Li + )付近に至って充放電が可能である。しかし がら、使用する非水電解質の種類によって 、充電時の正極電位が高すぎると、非水電 質が酸化分解され電池性能の低下を引き起 す虞がある。従って、使用時において、充 時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li + )以下となるような充電方法を採用しても、 分な放電容量が得られるリチウム二次電池 求められる場合がある。(x,y,z)が上記の範囲 あり、X線回折測定による(003)面と(104)面の 折ピークの強度比が上記の条件を満たすリ ウム二次電池用活物質を用いると、使用時 おいて、充電時の正極の最大到達電位が4.3V( vs.Li/Li + )以下となるような充電方法を採用しても、17 7mAh/g以上(ほとんどが180mAh/g以上)という従来 正極活物質の容量を超える放電電気量を取 出すことが可能である。
 したがって、本発明は、α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物の固溶体を含むリチウム二次電池用活物 質であって、前記固溶体が含有するLi,Co,Ni及 Mnの組成比が、Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y、1-x-y=z)を満たし、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55 ,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0. 18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点 G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上 は内部に存在する範囲の値で表され、かつ X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピ クの強度比が、放電末においてI (003) /I (104) >1であり、4.3V(vs.Li/Li+)以下の電位領域にお て放電可能な電気量が177mAh/g以上となるこ を特徴とするリチウム二次電池用活物質で る。

 上記リチウム二次電池用活物質において 上記(x,y,z)が、点H(0.6,0.4,0)、点I(0.67,0.13,0.2) 点J(0.7,0,0.3)、及び点K(0.55,0.05,0.4)を頂点とす 四角形HIJKの線上又は内部に存在する範囲の 値で表されることが好ましい。

 この範囲にある場合には、充電時の正極の 大到達電位が4.3V(vs.Li/Li + )以下となるような充電方法を採用しても、19 8mAh/g以上(ほとんどが200mAh/g以上)という従来 正極活物質の容量を大きく超える放電電気 を取り出すことが可能である。

 また、本発明は、上記のようなリチウム 次電池用活物質を含むリチウム二次電池で る。

 ここで、LiCoO 2 粉末とLiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 粉末とLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 粉末との単なる混合物のみからなるものは、 本発明に係るリチウム二次電池用活物質が含 有する前記「固溶体」には含まれない。これ らの3つの材料の単品は、エックス線回折測 を行った場合に観察される各格子定数に対 するピーク位置がそれぞれ異なるため、こ らの単なる混合物についてエックス線回折 定を行うと、それぞれの単品に対応する回 パターンが得られる。しかし、本発明に係 α-NaFeO 2 型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸 化物の固溶体は、少なくともLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 の一部がLiCoO 2 及び/又はLiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 と固溶している。上記(x,y,z)が上記の範囲内 あっても、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 が全くLiCoO 2 及び/又はLiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 と固溶していない場合は、放電容量の大きな リチウム電池とすることができるという本発 明の効果が奏されない。

 さらに、本発明に係るリチウム二次電池用 物質は、x>1/3の領域にて存在する活物質 あり、CuKα線を用いたエックス線回折図の2θ =20~30°付近に、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる回折ピークが観察され るものであった。これは、Li + とMn 4+ が規則配列する場合に観察される超格子線と 推定される。本発明において、特に放電容量 が優れるものは、この21°付近に見られる単 晶型回折ピークの強度が主相である六方晶 (003)面の回折ピーク強度に対して4~7%程度で った。固溶体中におけるLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 比率が高くなるに比例して21°付近に見られ 単斜晶型回折ピークの強度が大きくなる。 いては主相である六方晶の(003)面の回折ピー ク強度に対する21°付近に見られる単斜晶型 折ピークの強度が7%を超える活物質について は逆に十分な放電容量が得られにくくなる。

 ここに、本発明は、リチウム遷移金属複合 化物の固溶体は、CuKα線を用いたエックス 回折測定を行ったときに、20~30°付近に、Li[L i 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる回折ピークが観察され ることを特徴としている。

 また、本発明者らは、遷移金属元素を含 前駆体とリチウム化合物を混合して焼成工 を経てリチウム遷移金属複合酸化物の固溶 を得る場合において、溶媒中でCo,Ni及びMnを 含有する水酸化物を共沈させて前駆体を作製 した場合に、特に、放電容量の大きなリチウ ム電池とすることができるリチウム二次電池 用活物質を確実に合成できることを見出した 。これは、前駆体として遷移金属水酸化物を 共沈法によって得ることにより、遷移金属(Co ,Ni,Mn)が前駆体中に均一に分布させることが きたことと関連しているものと本発明者ら 考えている。なお、このような前駆体の好 しい作製方法については、特許文献19の記載 が参考になる。

 ここに、本発明は、溶媒中でCo,Ni及びMnを 含有する水酸化物を共沈させて前駆体を作製 し、前記前駆体とリチウム化合物を混合、焼 成する工程を経て前記リチウム遷移金属複合 酸化物の固溶体を作製することを特徴とする 前記リチウム二次電池用活物質の製造方法で ある。

 本発明に係るリチウム二次電池用活物質を い、使用時において、充電時の正極の最大 達電位が4.3V(vs.Li/Li + )以下となるような充電方法を採用しても、 分な放電容量を取り出すことのできるリチ ム二次電池を製造するためには、次に述べ 、本発明に係るリチウム二次電池用活物質 特徴的な挙動を考慮した充電工程を該リチ ム二次電池の製造工程中に設けることが重 である。即ち、本発明に係るリチウム二次 池用活物質を正極に用いて定電流充電を続 ると、正極電位4.3V~4.8Vの範囲に、電位変化 比較的平坦な領域が比較的長い期間に亘っ 観察される。図9に、実施例6(AT17)及び比較例 4(AT11)のリチウム二次電池用活物質をそれぞ 用いた正極に対して、初めて充電を行った きの正極電位挙動を比較して示す。図中「1s t charge」と記載した曲線がこれにあたる。図 9(a) (実施例6)にみるように、最初の充電時、 充電電気量が100mAh/gを超えた付近から、4.45V 近の電位において電位変化が比較的平坦な 域が長い期間に亘って観察されている。こ に対して、図9(b)(比較例4)においては、その うな平坦領域はほとんど観察されていない ここで採用した充電条件は、電流0.1ItA、電 (正極電位)4.5V(vs.Li/Li + )の定電流定電圧充電であるが、充電電圧を らに高く設定しても、この比較的長い期間 亘る電位平坦領域は、xの値が1/3以下の材料 用いた場合にはほとんど観察されない。逆 、xの値が2/3を超える材料では、電位変化が 比較的平坦な領域が観察される場合であって も短いものとなる。また、従来のLi[Co 1-2x Ni x Mn x ]O 2 (0≦x≦1/2)系材料でもこの挙動は観察されな 。この挙動は、本発明に係るリチウム二次 池用活物質に特徴的なものである。

 ここに、本発明は、充電時の正極の最大到 電位が4.3V(vs.Li/Li + )以下である充電方法が採用される前記リチ ム二次電池を製造するための製造方法であ て、4.3V(vs.Li/Li + )を超え4.8V以下(vs.Li/Li + )の正極電位範囲に出現する電位変化が比較 平坦な領域に少なくとも至る充電を行う工 を含むことを特徴とするリチウム二次電池 製造方法である。

 ここで、電池完成前の初期充放電工程にお る充電は、少なくとも前記電位平坦領域に るまで行うことが必要である。該電位平坦 域は比較的長く(例えば100mAh/g以上)
続くので、この過程をできるだけ経由させる ように充電を継続することが好ましい。ここ で、電位上昇等により該電位平坦領域の終点 が観察される場合にはこれをもって充電終止 条件としてもよく、定電流定電圧充電を採用 して電流値が設定値にまで減衰したことをも って充電終止条件としてもよい。

 本発明によれば、放電容量の大きなリチ ム二次電池、特に4.3V以下の電位領域におけ る放電容量を大きくすることのできるリチウ ム二次電池用活物質を提供できる。また、放 電容量の大きなリチウム二次電池を提供する ことができる。

本発明の技術思想及び技術範囲を示す である。 従来技術の技術思想を説明するための である。 組成式Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y)の活物質の結晶構造を示す図で る。 LiNiO 2 を仮定した活物質のX線回折図(本発明の測定 果に近いシミュレーション結果が得られた の)である。 (Li 0.8 Ni 0.2 )[Ni 0.8 Li 0.2 ]O 2 を仮定した活物質のX線回折図(文献記載に近 シミュレーション結果が得られたもの)であ る。 LiNi 0.20 Co 0.20 Mn 0.60 O 2 及びLiNi 0.20 Co 0.27 Mn 0.53 O 2 からなる従来の活物質の充放電前と充電後及 び放電後のX線回折図である。 実施例1(AT06)の活物質のX線回折図であ 。 実施例1~4及び比較例41の活物質のXAFS測 結果を示す図である。 比較例3(AT09)の活物質のX線回折図であ 。 実施例6(AT17)及び比較例4(AT11)の活物質 リチウム二次電池製造工程中に行った初期 放電工程時の電位挙動を示す図である。 実施例6、比較例4及び比較例42の活物 を用いたリチウム二次電池の充放電挙動を す図である。 実施例7(AT18)の活物質の充放電前(合成 料)、充電後及び放電後のX線回折図である 実施例16(AT33)の活物質の充放電前(合成 試料)、充電後及び放電後のX線回折図である 実施例1~44及び比較例1~40の活物質について放 容量の値をプロットしたLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図である。

 上記のように、本発明のリチウム二次電池 活物質は、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図において、(x,y,z)が、点A(0.45,0.55 ,0)、点B(0.63,0.37,0)、点C(0.7,0.25,0.05)、点D(0.67,0. 18,0.15)、点E(0.75,0,0.25)、点F(0.55,0,0.45)、及び点 G(0.45,0.2,0.35)を頂点とする七角形ABCDEFGの線上 は内部に存在する範囲の値で表され、かつ X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピ クの強度比が、充放電前においてI (003) /I (104) ≧1.56であり、放電末においてI (003) /I (104) >1であることを特徴とするものである。
 図13及び後記の表1及び表2に示されるように 、上記(x,y,z)が、上記範囲の値の場合には、4. 3V以下の電位領域における放電容量が、177mAh/ g以上となるが、上記範囲の値を外れると、17 6mAh/g以下の放電容量しか得られないから、放 電容量を大きくすることのできる活物質を得 るためには、上記(x,y,z)を特定の範囲とする とが必要である。
 さらに、上記(x,y,z)が、七角形ABCDEFGの内部 うちでも、点H(0.6,0.4,0)、点I(0.67,0.13,0.2)、点J (0.7,0,0.3)、及び点K(0.55,0.05,0.4)を頂点とする四 角形HIJKの線上又は内部に存在する範囲にあ 場合に、特に高い放電容量(198mAh/g以上)が得 れることが分かった。

 また、X線回折測定による(003)面と(104)面の 折ピークの強度比I (003) /I (104) については、以下のようなことが推定される 。
 組成式Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y)の活物質は、図3のような層状構 造を有し、Me 3+ 層が、Li + ,Co 3+ ,Ni 2+ ,Mn 4+ から構成されていると考えられる。また、図 3のような層状構造を有する活物質において Li + 層の一部にNi 3+ が、Ni 3+ 層の一部にLi + が混入しているとI (104) の強度の方が大きくなると考えられる。そこ で、代表的な層状酸化物LiNiO 2 (Me 3+ 層が、Ni 3+ のみ)を取り上げ、Li + 層の一部にNi 3+ が、Ni 3+ 層の一部にLi + が混入したいわゆるdisorder相である(Li 0.8 Ni 0.2 )[Ni 0.8 Li 0.2 ]O 2 となったと仮定して、理論計算によりX線回 パターンをシュミレーションした結果を図4 示す。
 図4(a)に示されるように、LiNiO 2 は、強度比I (003) /I (104) =1.10であり、(003)回折ピークが十分に大きい 、図4(b)に示されるように、Li層に遷移金属(C o,Ni,Mn)が混入したdisorder相となることで両者 強度比は大きく変化し、I (003) /I (104) ≦1となる。
 従来の活物質においては、このようなdisorde r相が生成することで、Li層からの円滑なLiイ ンの移動が起こらず、可逆容量にも影響し と考えられる。
 これに対して、本発明の活物質においては I (003) /I (104) ≧1.56であるから、disorder相の生成はごく少な く、優れた放電容量が得られたものと考えら れる。

 さらに、活物質作製後の充放電前における 折ピークの強度比I (003) /I (104) と、充放電後における上記強度比の変化につ いては、以下のようなことが推定される。
 充放電前における回折ピークの強度比がI (003) /I (104) ≧1.56であったとしても、充放電中にLi層に対 する遷移金属の混入があると、(003)面の回折 ークがブロードになると共に、強度比I (003) /I (104) が顕著に小さくなり、従来の活物質において は、非特許文献6に記載された図を転記した 5に示されるように、(004)面の回折ピークと の強度が逆転する場合もある。
 これに対して、本発明の活物質においては 表1、図11及び図12に示されるように、充放 前においてI (003) /I (104) ≧1.56であると共に、放電末においてI (003) /I (104) >1(実施例においては、I (003) /I (104) >1.3)であり、(003)面の回折ピークが(004)面の 回折ピークとその強度が逆転することはない から、充放電中におけるLi層に対する遷移金 の混入はないことが示唆され、これにより 定した大きな可逆容量が得られるものと考 られる。放電末に、充放電前よりも強度比I (003) /I (104) が大きくなっても良い。放電末に、充放電前 よりも強度比I (003) /I (104) が小さくなる場合には、その強度比の変化は 、少ないことが好ましく、充放電前の30%以内 であることがより好ましく、実施例において は26%以内である。

 次に、本発明のリチウム二次電池用活物質 製造する方法について説明する。
 本発明のリチウム二次電池用活物質は、基 的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni) を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含 する原料を調整し、これを焼成することに って得ることができる。但し、Li原料の量 ついては、焼成中にLi原料の一部が消失する ことを見込んで、1~5%程度過剰に仕込むこと 好ましい。
 目的とする組成の酸化物を作製するにあた 、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成す いわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを 一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製して おき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法 が知られている。「固相法」による合成過 では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しに くいため、各元素が一粒子中に均一に分布し た試料を得ることは困難である。これまで文 献などにおいては固相法によってNiやCoの一 にMnを固溶しようという試みが多数なされて いるが(LiNi 1-x Mn x O 2 など)、「共沈法」を選択する方が原子レベ で均一相を得ることが容易である。そこで 後述する実施例においては、「共沈法」を 用した。

 共沈前駆体を作製するにあたって、共沈 駆体を得ようとする溶液中を不活性雰囲気 することが極めて重要である。これは、Co,N i,MnのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mnが2価の 状態で均一に分布した共沈水酸化物を作製す ることが容易ではないため、Co,Ni,Mnの原子レ ルでの均一な混合は不十分なものとなりや い。特に本発明の組成範囲においては、Mn 率がCo,Ni比率に比べて高いので、溶液中を不 活性雰囲気とすることはなおさら重要である 。後述する実施例では、水溶液中に不活性ガ スをバブリングして溶存酸素を除去し、さら に還元剤を同時に滴下した。

 前記焼成に供する前駆体の調整方法につ ては限定されるものではない。Li化合物、Mn 化合物、Ni化合物及びCo化合物を単に混合し もよく、溶液中で遷移金属元素を含む水酸 物を共沈させ、これとLi化合物とを混合して もよい。均一な複合酸化物を作製するために は、MnとNiとCoとの共沈水酸化物とLi化合物と 混合し、焼成する方法が好ましい。

 前記共沈水酸化物前駆体の作製は、MnとNi とCoとが均一に混合された化合物であること 好ましい。ただし前駆体は水酸化物に限定 れるものではなく、他にも炭酸塩、クエン 塩などの元素が原子レベルで均一に存在し 難溶性塩であれば水酸化物と同様に使用す ことができる。また、錯化剤を用いた晶析 応等を用いることによって、より嵩密度の きな前駆体を作製することもできる。その 、Li源と混合・焼成することでより高密度 つ比表面積の小さな活物質を得ることがで るので電極面積あたりのエネルギー密度を 上させることができる。

 前記共沈水酸化物前駆体の原料は、Mn化 物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、 酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭 酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、 酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸 バルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を 例として挙げることができる。

 前記共沈水酸化物前駆体の作製に用いる 料としては、アルカリ水溶液と沈殿反応を 成するものであればどのような形態のもの も使用することができるが、好ましくは溶 度の高い金属塩を用いるとよい。

 本発明におけるリチウム二次電池用活物 は前記共沈水酸化物前駆体とLi化合物とを 合した後、熱処理することで好適に作製す ことができる。Li化合物としては、水酸化リ チウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸 リチウム等を用いることで好適に製造するこ とができる。

 可逆容量の大きな活物質を得るにあたって 焼成温度の選択は極めて重要である。
 焼成温度が高すぎると、得られた活物質が 素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相 六方晶に加えて単斜晶のLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型に規定される相が、固溶相としてではなく 、分相して観察される傾向があり、このよう な材料は、活物質の可逆容量が大きく減少す るので好ましくない。このような材料では、 X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピー クが観察される。従って、焼成温度は、活物 質の酸素放出反応の影響する温度未満とする ことが重要である。活物質の酸素放出温度は 、本発明に係る組成範囲においては、概ね100 0℃以上であるが、活物質の組成によって酸 放出温度に若干の差があるので、あらかじ 活物質の酸素放出温度を確認しておくこと 好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほ ど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトす ることが確認されているので注意が必要であ る。活物質の酸素放出温度を確認する方法と しては、焼成反応過程をシミュレートするた めに、共沈前駆体とLiOH・H 2 Oを混合したものを熱重量分析(DTA-TG測定)に供 してもよいが、この方法では測定機器の試料 室に用いている白金が揮発したLi成分により 食されて機器を痛めるおそれがあるので、 らかじめ500℃程度の焼成温度を採用してあ 程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分 に供するのが良い。

 一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十 に進まず、電極特性も大きく低下するので ましくない。焼成温度は少なくとも800℃以 とすることが必要である。十分に結晶化さ ることは結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑な チウムイオン輸送を促すために重要である 結晶化の度合いの見極め方として走査型電 顕微鏡を用いた視覚的な観察が挙げられる 本発明の正極活物質について走査型電子顕 鏡観察を行ったところ、試料合成温度が800 以下ではナノオーダーの一次粒子から形成 れているものであったが、さらに試料合成 度を上昇させることでサブミクロン程度ま 結晶化するものであり、電極特性向上につ がる大きな一次粒子を得られるものであっ 。
 一方、もう一つ結晶化の度合いを示すもの して先に述べたエックス線回折ピークの半 幅がある。しかし、主相の回折ピークの半 幅が小さくなる合成温度を選択するだけで 、可逆容量が大きな活物質を得るには必ず も十分ではない。というのも、回折ピーク 半値幅は結晶格子の不整合の度合いを表す ずみの量と、最小のドメインである結晶子 サイズという二つの因子によって支配され ものであり、半値幅から結晶性の度合いを 極めるにはこれらを分離して捉える必要が る。発明者らは、本発明活物質の半値幅を 細に解析することで800℃までの温度で合成 た試料においては格子内にひずみが残存し おり、それ以上の温度で合成することでほ んどひずみを除去することができることを 認した。また、結晶子のサイズは合成温度 上昇するに比例して大きくなるものであっ 。よって、本発明活物質の組成においても 系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ 晶子サイズが十分成長した粒子を志向する とで良好な放電容量を得られるものであっ 。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量 1%以下、かつ結晶子サイズが150nm以上に成長 しているような合成温度(焼成温度)を採用す ことが好ましいことがわかった。これらを 極として成型して充放電をおこなうことで 張収縮による変化も見られるが、充放電過 においても結晶子サイズは130nm以上を保っ いることが得られる効果として好ましい。 ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出 度にできるだけ近付けるように選択するこ により、はじめて、可逆容量が顕著に大き 活物質を得ることができる。

 上記のように、好ましい焼成温度は、活 質の酸素放出温度により異なるから、一概 焼成温度の好ましい範囲を設定することは しいが、好ましくは900から1100℃、より好ま しくは950から1050℃であれば高い特性を発揮 ることができる。

 本発明に係るリチウム二次電池に用いる 水電解質は、限定されるものではなく、一 にリチウム電池等への使用が提案されてい ものが使用可能である。非水電解質に用い 非水溶媒としては、プロピレンカーボネー 、エチレンカーボネート、ブチレンカーボ ート、クロロエチレンカーボネート、ビニ ンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ- ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状 エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチ カーボネート、エチルメチルカーボネート の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メ ル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラ ヒドロフランまたはその誘導体;1,3-ジオキサ 、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1, 4-ジブトキシエタン、メチルジグライム等の ーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル 等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘 体;エチレンスルフィド、スルホラン、スル ンまたはその誘導体等の単独またはそれら2 種以上の混合物等を挙げることができるが、 これらに限定されるものではない。

 非水電解質に用いる電解質塩としては、例 ば、LiClO 4 ,LiBF 4 ,LiAsF 6 ,LiPF 6 ,LiSCN,LiBr,LiI,Li 2 SO 4 ,Li 2 B 10 Cl 10 ,NaClO 4 ,NaI,NaSCN,NaBr,KClO 4 ,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)または リウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF 3 SO 3 ,LiN(CF 3 SO 2 ) 2 ,LiN(C 2 F 5 SO 2 ) 2 ,LiN(CF 3 SO 2 )(C 4 F 9 SO 2 ),LiC(CF 3 SO 2 ) 3 ,LiC(C 2 F 5 SO 2 ) 3 ,(CH 3 ) 4 NBF 4 ,(CH 3 ) 4 NBr,(C 2 H 5 ) 4 NClO 4 ,(C 2 H 5 ) 4 NI,(C 3 H 7 ) 4 NBr,(n-C 4 H 9 ) 4 NClO 4 ,(n-C 4 H 9 ) 4 NI,(C 2 H 5 ) 4 N-maleate,(C 2 H 5 ) 4 N-benzoate,(C 2 H 5 ) 4 N-phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、 クチルスルホン酸リチウム、ドデシルベン ンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等 挙げられ、これらのイオン性化合物を単独 あるいは2種類以上混合して用いることが可 である。

 さらに、LiBF 4 とLiN(C 2 F 5 SO 2 ) 2 のようなパーフルオロアルキル基を有す
るリチウム塩とを混合して用いることにより 、さらに電解質の粘度を下げることができる ので、低温特性をさらに高めることができ、 また、自己放電を抑制することができ、より 望ましい。

 また、非水電解質として常温溶融塩やイ ン液体を用いてもよい。

 非水電解質における電解質塩の濃度とし は、高い電池特性を有する非水電解質電池 確実に得るために、0.1mol/l~5mol/lが好ましく さらに好ましくは、0.5mol/l~2.5mol/lである。

 負極材料としては、限定されるものではな 、リチウムイオンを析出あるいは吸蔵する とのできる形態のものであればどれを選択 てもよい。例えば、Li[Li 1/3 Ti 5/3 ]O 4 に代表されるスピネル型結晶構造を有するチ タン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn などの合金系材料リチウム金属、リチウム 金(リチウム-シリコン、リチウム-アルミニ ム,リチウム-鉛,リチウム-スズ,リチウム-ア ミニウム-スズ,リチウム-ガリウム,及びウッ 合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム 複合酸化物(リチウム-チタン)、酸化珪素の他 、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材 料(例えばグラファイト、ハードカーボン、 温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げら る。

 正極活物質の粉体および負極材料の粉体 、平均粒子サイズ100μm以下であることが望 しい。特に、正極活物質の粉体は、非水電 質電池の高出力特性を向上する目的で10μm 下であることが望ましい。粉体を所定の形 で得るためには粉砕機や分級機が用いられ 。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、 動ボールミル、遊星ボールミル、ジェット ル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジ ットミルや篩等が用いられる。粉砕時には 、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存さ た湿式粉砕を用いることもできる。分級方 としては、特に限定はなく、篩や風力分級 などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用 られる。

 以上、正極及び負極の主要構成成分であ 正極活物質及び負極材料について詳述した 、前記正極及び負極には、前記主要構成成 の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラ 等が、他の構成成分として含有されてもよ 。

 導電剤としては、電池性能に悪影響を及 さない電子伝導性材料であれば限定されな が、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛, 状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、 アセチレンブラック、ケッチェンブラック、 カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニ ケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、 導電性セラミックス材料等の導電性材料を1 またはそれらの混合物として含ませること できる。

 これらの中で、導電剤としては、電子伝 性及び塗工性の観点よりアセチレンブラッ が望ましい。導電剤の添加量は、正極また 負極の総重量に対して0.1重量%~50重量%が好 しく、特に0.5重量%~30重量%が好ましい。特に アセチレンブラックを0.1~0.5μmの超微粒子に 砕して用いると必要炭素量を削減できるた 望ましい。これらの混合方法は、物理的な 合であり、その理想とするところは均一混 である。そのため、V型混合機、S型混合機、 擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルとい ったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式 で混合することが可能である。

 前記結着剤としては、通常、ポリテトラ ルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン (PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可 性樹脂、エチレン-プロピレン-ジエンター リマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジ ンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有す るポリマーを1種または2種以上の混合物とし 用いることができる。結着剤の添加量は、 極または負極の総重量に対して1~50重量%が ましく、特に2~30重量%が好ましい。

 フィラーとしては、電池性能に悪影響を ぼさない材料であれば何でも良い。通常、 リプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン 系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオ ライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィ ラーの添加量は、正極または負極の総重量に 対して添加量は30重量%以下が好ましい。

 正極及び負極は、前記主要構成成分(正極 においては正極活物質、負極においては負極 材料)、およびその他の材料を混練し合剤と 、N-メチルピロリドン,トルエン等の有機溶 に混合させた後、得られた混合液を下記に 述する集電体の上に塗布し、または圧着し 50℃~250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理 ることにより好適に作製される。前記塗布 法については、例えば、アプリケーターロ ルなどのローラーコーティング、スクリー コーティング、ドクターブレード方式、ス ンコーティング、バーコータ等の手段を用 て任意の厚さ及び任意の形状に塗布するこ が望ましいが、これらに限定されるもので ない。

 セパレータとしては、優れた高率放電性 を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは 用することが好ましい。非水電解質電池用 パレータを構成する材料としては、例えば リエチレン,ポリプロピレン等に代表される ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフ タレート,ポリブチレンテレフタレート等に 表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化 ニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオ プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-パ ーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化 ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合 、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン 重合体、フッ化ビニリデン-フルオロエチレ ン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフル ロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン-エ レン共重合体、フッ化ビニリデン-プロピレ ン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオ プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テ ラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピ レン共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン- トラフルオロエチレン共重合体等を挙げる とができる。

 セパレータの空孔率は強度の観点から98 積%以下が好ましい。また、充放電特性の観 から空孔率は20体積%以上が好ましい。

 また、セパレータは、例えばアクリロニ リル、エチレンオキシド、プロピレンオキ ド、メチルメタアクリレート、ビニルアセ ート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニ デン等のポリマーと電解質とで構成される リマーゲルを用いてもよい。非水電解質を 記のようにゲル状態で用いると、漏液を防 する効果がある点で好ましい。

 さらに、セパレータは、上述したような 孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して いると、電解質の保液性が向上するため望 しい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及 微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマ を被覆したフィルムを形成し、前記フィル の微孔内に電解質を保持させることで、前 親溶媒性ポリマーがゲル化する。

 前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフ 化ビニリデンの他、エチレンオキシド基や ステル基等を有するアクリレートモノマー エポキシモノマー、イソシアナート基を有 るモノマー等が架橋したポリマー等が挙げ れる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併 して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB )等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせ ことが可能である。

 リチウム二次電池の構成については特に 定されるものではなく、正極、負極及びロ ル状のセパレータを有する円筒型電池、角 電池、扁平型電池等が一例として挙げられ 。

 表1に、実施例及び比較例に係るリチウム二 次電池に用いた正極活物質の組成を示す。こ こで、実施例1~44の組成は、組成式Li 1+1/3x Co 1-x-y Ni y/2 Mn 2x/3+y/2 (x+y≦1、0≦y、z=1-x-y)を満たし、且つ、(x,y,z) 、請求項1に記載の範囲を満たすものであり 比較例1~40は、前記組成式を満たすが、(x,y,z )の値が請求項1に記載の範囲から外れるもの あり、比較例41~43は、前記組成式すら満た ないものである。すなわち、図1において、 施例1~44の組成は、七角形ABCDEFGの線上又は 部に存在するものであり、比較例1~40の組成 、七角形ABCDEFGの外部に存在するものである 。

 (実施例1)
 硫酸マンガン5水和物と硫酸ニッケル6水和 と硫酸コバルト7水和物をCo、Ni及びMnの各元 が0.25:0.17:0.45の比率となるようイオン交換 に溶解させ混合水溶液を作製した。その際 、その合計濃度を0.667M、体積を180mlとなるよ うにした。次に、1リットルのビーカーに600ml のイオン交換水を準備し、湯浴を用いて50℃ 保ち、8NのNaOHを滴下することでpHを11.5に調 した。その状態でArガスを30minバブリングさ せ、溶液内の溶存酸素を十分取り除いた。ビ ーカー内を700rpmで攪拌させ、先程の硫酸塩の 混合水溶液を3ml/minのスピードで滴下した。 の間温度を湯浴にて一定に保ち、pHは8N NaOH 断続的に滴下することで一定に保った。同 に還元剤として2.0Mヒドラジン水溶液50mlを0. 83ml/minのスピードで滴下した。両方の滴下終 後、攪拌を止めた状態で12h以上静止するこ で共沈水酸化物を十分粒子成長させた。
 ここで、上記の手順において、各溶液の滴 スピードが早すぎると、元素レベルで均一 前駆体が得られなくなる。例えば滴下スピ ドを上記の10倍とした場合は、前駆体中の 素分布が明らかに不均一となっていること EPMA測定の結果から明らかとなった。また、 のような不均一な前駆体を用いて活物質を 成した際に、焼成後の元素の分布も不均一 ものとなり、十分な電極特性を発揮できな ものであることを確認した。ちなみに、固 法によってLiOH・H 2 O、Co(OH) 2 、Ni(OH) 2 、MnOOHを原料粉体として用いた場合は、より 層不均一となることが同じくEPMA測定の結果 からわかった。

 次に、吸引ろ過により共沈生成物を取り出 、空気雰囲気中、常圧下、オーブンで100℃ て乾燥させた。乾燥後、粒径を揃えるよう 、直径約120mmφの乳鉢で数分間粉砕し、乾燥 粉末を得た。
 この乾燥粉末は、エックス線回折測定によ 、β-Ni(OH) 2 型の単相が確認された。また、EPMA測定によ 、Co,Ni,Mnは均一に分布していることが確認さ れた。

 水酸化リチウム一水塩粉末(LiOH・H 2 O)を、遷移金属(Ni+Mn+Co)に対するLi量が表1の実 施例1の組成式を満たすように秤量し、混合 て混合粉体を得た。
 次に、混合粉体を6MPaの圧力でペレット成型 した。ペレット成型に供した前駆体粉末の量 は、合成後の生成物としての質量が3gとなる うに換算して決定した。その結果、成型後 ペレットは、直径25mmφ、厚さ約10-12mmであっ た。前記ペレットを全長約100mmのアルミナ製 ートに載置し、箱型電気炉に入れ空気雰囲 中、常圧下1000℃で12h焼成した。前記箱型電 気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cm であり、幅方向20cm間隔に電熱線が入ってい 。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、ア ミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷 た。この結果、炉の温度は5時間後には約200 程度にまで低下するが、その後の降温速度 やや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温 が100℃以下となっていることを確認してか 、ペレットを取り出し、乳鉢を用いて粒径 揃える程度に粉砕した。

 得られた活物質の結晶構造は、Cu(Kα)管球を 用いた粉末エックス線回折測定の結果、α-NaF eO 2 型の六方晶構造が主相として確認されると共 に、一部Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる20~30°付近の回折ピー が観察された。図6に、実施例1の活物質(AT06) に対するエックス線回折図を示す。充放電前 における活物質の(003)面と(104)面の回折ピー の強度比I (003) /I (104) は1.69であった。また、最大強度を示す18°付 のピークのカウント数を100とした場合、Li[L i 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる21°の回折ピークのカ ント数は7であった。

 さらに、遷移金属元素の価数評価としてXAFS 測定をおこなった。XANES領域のスペクトルを 析したところ、Co 3+ ,Ni 2+ ,Mn 4+ の電子状態をとることを確認した。XANES測定 果を図7に示す。

 (実施例2~44)
 共沈水酸化物前駆体が含有する遷移金属元 の組成及び水酸化リチウムの混合量につい 、表1に実施例2~44に示す組成式に沿って変 した他は、実施例1と同様にして、本発明に る活物質を合成した。

 エックス線回折測定の結果、実施例1と同様 に、α-NaFeO 2 型の六方晶構造が主相として確認されると共 に、一部Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる20~30°付近の回折ピー が観察された。また、表1に示されるように 充放電前における活物質の(003)面と(104)面の 回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、いずれも1.56以上であった。

 (比較例1~40)
 共沈水酸化物前駆体が含有する遷移金属元 の組成及び水酸化リチウムの混合量につい 、表1に比較例1~40に示す組成式に沿って変 した他は、実施例1と同様にして、比較例に る活物質を合成した。

 図8に、代表して比較例3(AT09)の活物質に対 るエックス線回折図を示す。xの値が2/3以上 ある比較例12~18、33~40については、実施例1 同様に、α-NaFeO 2 型の六方晶構造が主相として確認されると共 に、一部Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる20~30°付近の回折ピー が観察された。しかしながら、xの値が1/3以 である比較例1~11、19~32については、α-NaFeO 2 型の六方晶構造が確認されたが、エックス線 回折図上において最大強度のピーク高さをフ ルスケールとした限りでは、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 型の単斜晶にみられる回折ピークは明確には 観察されなかった。また、表1に示されるよ に、充放電前における活物質の(003)面と(104) の回折ピークの強度比I (003) /I (104) は、1.43以上であったが、1.56以下のものが若 あった。

(比較例41及び42)
 共沈水酸化物前駆体が含有する遷移金属元 の組成及び水酸化リチウムの混合量につい 、LiCo 1/3 Ni 1/3 Mn 1/3 O 2 に示す組成式に沿って変更した他は、実施例 1と同様にして、比較例41及び42に係る活物質 合成した。
 ここで、比較例41と比較例42は、後述する試 験条件における充電電圧の設定値が異なる( 較例41:4.6V、比較例42:4.3V)だけであり、活物 としては同一である。

(比較例43)
 共沈水酸化物前駆体粉末に代えて、LiOH・H 2 O、Co(OH) 2 、Ni(OH) 2 及びMnOOHのそれぞれの粉体を元素比がLi:Co:Ni:C o=1:0.33:0.33:0.33となるように混合して得た粉体 を用いたことを除いては、実施例1と同様に て、比較例43に係る活物質を合成した。得ら れたエックス線回折図は、比較例1,42と区別 付かないものであった。しかしながら、EPMA 察の結果、Co,Ni,Mnは均一に分布しているも ではなかった。

 (リチウム二次電池の作製及び評価)
 実施例1~44及び比較例1~43のそれぞれの活物 をリチウム二次電池用正極活物質として用 て以下の手順でリチウム二次電池を作製し 電池特性を評価した。

 活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリ フッ化ビニリデン(PVdF)を重量比85:8:7の割合で 混合し、分散媒としてN-メチルピロリドンを えて混練分散し、塗布液を調製した。なお PVdFは固形分が溶解分散された液を用い、固 形重量換算した。該塗布液を厚さ20μmのアル ニウム箔集電体に塗布し、正極板を作製し 。なお、全ての電池において同様の試験条 となるよう電極重量、厚みは統一した。

 対極には、正極の単独挙動を観察する目 のため、リチウム金属を負極とした。リチ ム金属はニッケル箔集電体に密着させた。 だし、リチウム二次電池の容量が十分正極 制となるよう調製した。

 電解液にはLiPF 6 をEC/EMC/DMCが体積比6:7:7である混合溶媒に濃度 が1mol/lとなるよう溶解させたものを用いた。 セパレータにはポリアクリレートで表面改質 して電解質の保持性を向上させたポリプロピ レン製の微孔膜を用いた。また、ニッケル板 にリチウム金属箔をはりつけたものを参照極 として用いた。外装体には、ポリエチレンテ レフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金 接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からな 金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子、 極端子および参照極端子の開放端部が外部 出するように電極を収納し、前記金属樹脂 合フィルムの内面同士が向かい合った融着 を注液孔となる部分を除いて気密封止した

 上記のようにして作製されたリチウム二 電池は、20℃の下、5サイクルの初期充放電 程に供した。電圧制御は全て正極電位に対 て行った。充電は、電流0.1ItA、電圧4.5Vの定 電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値 が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1 ItA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。全て サイクルにおいて充電後及び放電後に30分の 休止時間を設定した。この初期充放電工程に おける最初の2サイクルの挙動を図9に示す。 9(a)及び図9(b)は実施例6(AT17)及び比較例4(AT11) にそれぞれ対応する。

 続いて、充放電サイクル試験を行った。 圧制御は全て正極電位に対して行った。充 電サイクル試験の条件は、充電電圧を4.3V(vs .Li/Li+)(比較例41のみ4.6V)としたことを除いて 前記初期充放電工程の条件と同一である。 てのサイクルにおいて充電後及び放電後に30 分の休止時間を設定した。この充放電サイク ル試験における5サイクル目の放電電気量を 放電容量(mAh/g)」として記録した。この充放 サイクル試験における5サイクル目の充放電 曲線を代表して図10に示す。

 また、この充放電サイクル試験における1 0サイクル目の放電電気量の、前記「放電容 (mAh/g)」に対する百分率を求め、「容量維持 (%)」とした。

 実施例1~44、及び、比較例1~40の活物質に いて、充放電前と同様に、充放電後に、Cu(K )管球を用いた粉末エックス線回折測定を行 た。充電は、電流0.1ItA、電圧4.5Vの定電流定 電圧充電とし、電流値が1/6に減衰した時点を 充電末とした。その後、4.3V(vs.Li/Li+)まで充電 して、電流0.1ItAの定電流放電を行い、終止電 圧が2.0Vとなった時点を放電末とした。実施 7(AT18)の活物質、実施例16(AT33)の活物質の充 電前(合成試料)、充電末及び放電末のX線回 図を、それぞれ、図11、図12に示す。

 実施例1~44、及び、比較例1~40の活物質につ て、電池試験を行った結果(容量維持率は除 )を表1及び表2に示す。また、放電容量の値 、Li[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系三角相図にプロットして図13に示す。

 表1、表2及び図13の結果からわかるように、 (x,y,z)が、点A(0.45,0.55,0:AT66の組成に対応)、点B (0.63,0.37,0:AT58の組成に対応)、点C(0.7,0.25,0.05:AT 81の組成に対応)、点D(0.67,0.18,0.15:AT30の組成に 対応)、点E(0.75,0,0.25:AT73の組成に対応)、点F(0. 55,0,0.45:AT78の組成に対応)、及び点G(0.45,0.2,0.35 :AT14の組成に対応)を頂点とする七角形ABCDEFG 線上又は内部に存在する範囲の値を満たす 施例1~44の活物質を用いることによって、4.3V 以下の電位領域における放電容量が177mAh/g以 と大きいリチウム二次電池とすることがで た。上記の範囲外である比較例1~40の活物質 を用いたものは、176mAh/g以下であった。とり け、より特定された範囲である(x,y,z)が、点 H(0.6,0.4,0:AT19の組成に対応)、点I(0.67,0.13,0.2:AT2 8の組成に対応)、点J(0.7,0,0.3:AT33の組成に対応 )、及び点K(0.55,0.05,0.4:AT71の組成に対応)を頂 とする四角形HIJKの線上又は内部に存在する 囲の値を満たす活物質を用いた場合(実施例 5~8、実施例11、12、16、25~30、36)には、4.3V以下 の電位領域における放電容量が198mAh/g以上と きいリチウム二次電池とすることができた
 また、LiCo 1/3 Ni 1/3 Mn 1/3 O 2 については、比較例41のように充電電位を4.6V とした場合には、放電容量が181mAh/gであった 、比較例42のように充電電位を4.3Vとした場 には、放電容量が149mAh/gとなるものである ら、本発明の活物質の放電容量の値は、Li[Co 1-2x Ni x Mn x ]O 2 (0≦x≦1/2)系や高容量系の代表とされていたLi NiO 2 系を上回るものである。

 そして、本発明の活物質は、表1に示される ように、充放電前における回折ピークの強度 比がI (003) /I (104) ≧1.56であり、放電末においてI (003) /I (104) >1を上回るI (003) /I (104) >1.3であり、しかも、放電末における上記 度比の変化は、充放電前の26%以内に収まっ いるから、充放電中におけるLi層に対する遷 移金属の混入はないことが示唆され、この点 で、従来のLi[Li 1/3 Mn 2/3 ]O 2 (x)-LiNi 1/2 Mn 1/2 O 2 (y)-LiCoO 2 (z)系活物質と明確に区別されるものである。

 また、容量維持率について、実施例1~44の 活物質を用いたリチウム二次電池は、ほぼ100 %であったが、比較例41、42、43の活物質を用 たリチウム二次電池は、それぞれ、89%、98% 80%であったから、本発明に係るリチウム二 電池は、充放電サイクル性能の点でも極め 優れるものである。