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Title:
AGENT FOR DISCRIMINATING BIODIESEL FUEL, FUEL CONTAINING THE SAME AND QUALITY GUARANTEE SYSTEM THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008476
Kind Code:
A1
Abstract:
An agent for discriminating a biodiesel fuel which can be added to a fuel while exerting no undesirable effect on the fuel per se and by which it can be appropriately discriminated whether or not a biodiesel fuel under distribution meets the biodiesel fuel standards or it can be determined where it is produced, when it passed the examination and what flow point it has to thereby easily understand the qualities of the biodiesel fuel, characterized in that the agent is a mixture of one or more kinds of components homogeneously soluble in a biodiesel fuel, each component has an absorption wavelength that is distinguishable from the absorption wavelengths of the biodiesel fuel and coumarine when chromatographically separated at the measurement, and the absorptivity at least at one absorption wavelength remains unchanged over a definite period of time and thus enables quantitative analysis; a biodiesel fuel using this identifying agent; and a quality guarantee system therefor.

Inventors:
HAYAFUJI SHIGETO (JP)
NAKAZONO YUTAKA (JP)
HATTORI MAKOTO (JP)
MURAKAMI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062481
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CDM CONSULTING CO LTD (JP)
TOYOTA TSUSHO CORP (JP)
HAYAFUJI SHIGETO (JP)
NAKAZONO YUTAKA (JP)
HATTORI MAKOTO (JP)
MURAKAMI HIROSHI (JP)
International Classes:
C10L1/19; C10L1/02
Foreign References:
US20070184555A12007-08-09
JP2004182985A2004-07-02
JP2004045412A2004-02-12
Attorney, Agent or Firm:
FUJIMOTO, Eisuke et al. (KA111 Building 5F 1-1, Kandaawaji-cho 1-chome, Chiyoda-k, Tokyo 63, JP)
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Claims:
 バイオディーゼル燃料に均一に溶解する一種又は二種以上の混合物であり、それぞれが測定時のクロマトグラフィー分離により、バイオディーゼル燃料及びクマリンの吸収波長と識別可能な吸収波長を有し、そのうちの少なくとも一つの吸収波長における吸収値は所定期間、変化しないものからなり、定量分析が可能であることを特徴とするバイオディーゼル燃料の識別剤。
 識別剤において、バイオディーゼル燃料及びクマリンの吸収波長と識別可能な吸収波長のうちの少なくとも一つの吸収波長における吸収値が所定期間、変化するものである請求項1のバイオディーゼル燃料の識別剤。
 識別剤が式R 1 -COOCH 2 R 2 で表される請求項1又は2に記載のバイオディーゼル燃料の識別剤(但し、式中のR 1 はC 1 ~C 11 までのアルキル基若しくはアルケニル基であり、R 2 は共役ジエンを含む基である)。
 R 2 がカルボニルエステル基を有している請求項3に記載の識別剤。
 R 2 がメチルシクロペンタジエノニル基である請求項3に記載の識別剤。
 吸収波長が230~260nmの範囲であり、前記物質群の最大吸収値のπ→π * (K吸収値)のε max が10,000以上である請求項3~5のいずれか一項に記載の識別剤。
 請求項1~6のいずれか一項に記載の識別剤が所定量添加されたバイオディーゼル燃料。
 所定の検査機関で検査され、基準に適合したバイオディーゼル燃料に請求項1~6のいずれか一項に記載の識別剤が所定量添加され、流通過程における受渡時において、バイオディーゼル燃料中の識別剤の含有量が測定されて、検査されるとともに、規格が求める場合には、バイオディーゼル燃料の物性が測定されることを特徴とするバイオディーゼル燃料の品質保証システム。
 識別剤が、少なくとも近隣の製造所またはメーカーごとに異なった組成とする請求項8に記載のバイオディーゼル燃料の品質保証システム。
 受渡時において測定される物性が、バイオディーゼル燃料の流動点である請求項8又は9のバイオディーゼル燃料の品質保証システム。
Description:
バイオディーゼル燃料の識別剤 それを含む燃料、及びその品質保証システ

 本発明はバイオディーゼル燃料(以下、BDF という)の品質を識別するための識別剤、そ を含む燃料及びその品質保証システムに関 る。

 本発明が対象とするBDFは、菜種油、大豆 、パーム油、パーム核油、ひまわり油、米 、ゴマ油、トウモロコシ油、ココナッツ油 サフラワー油、紅花油、ピーナッツ油、綿 油、アマニ油、マスタード油、ヤトロファ などの植物性油脂類;牛脂、豚脂、鯨油、魚 油などの動物性油脂類;及びそれらの廃食油 、これらの油脂類の製造工程で得られるダ ク油、モノグリセリド、ジグリセリド、遊 脂肪酸等の脂肪酸誘導体類を原料として製 される脂肪酸メチルエステル型BDFである。

 近年、エネルギー問題及び地球環境問題 解決策として、バイオマスエネルギーが注 されている。その中でも、ガソリンや軽油 代替する液体燃料が猛烈なスピードで拡大 つつある。ガソリンの代替燃料としては、 粋なエタノールが添加されて用いられてい が、添加量が多い場合には、エンジンその のの改良が必要であり、またエタノール単 の化学物質であることから、燃料の品質確 に関しては、十分に気が配られている。し し、軽油代替燃料であるBDFは、ディーゼル ンジンがガソリンエンジンと比較してタフ あること、及び石油系軽油とどのような比 で混合してもエンジンそのものを改良する 要が無いこと、さらに原料となる油脂の種 によって性状が異なることなど、使用する 合の利点や多様性が多くある反面、これら 不確定要素の中に、不良品質までも包含し しまう危険性を秘めている。

 BDFとは、一般に植物油をメチルエステル化 いう化学変換をさせ、ディーゼル機関用燃 としたものである。化学構造内に酸素を含 含酸素燃料であり、硫黄分をほとんど含ま いことから黒煙等の有害排気ガスの排出が ない。また植物由来であることから京都議 書に示された規定上、二酸化炭素の排出が ロカウントとされる。このようなことから 環境負荷の少ない軽油代替燃料として注目 れており、日欧米ではすでに規格、法制度 整備されており、欧米では大豆や菜種油か 年間500万トン以上生産され使用され、日本 は、5000トン/年程度が廃食油から製造され おり、地方自治体等に限定されて使用され いる。
 しかし上述のように、規格が制定されても 一過的には何の支障も無く使用され得るも の、継続して使用した場合に問題が生じる で、不良品が拡大する危険性が内在する。

 一方趣は異なるが、日本においては、不 軽油監視の目的で、灯油あるいはA重油など に蛍光性物質であるクマリンをマーカーとし て1ppm添加することを義務付けており、軽油 灯油あるいはA重油を混合した場合、検知摘 可能なようにしている。

 今後BDFにおいても、その品質を保証し安 な使用環境を保持する上で、生産後、消費 へ流通する前に、検査が必要であり、検査 合格したものだけが流通されなければなら い。ところが、クマリンの場合と同様、検 に合格したあと、合格品に不良品が混ぜる いう事態もあり得る。また、BDFの特有の問 である経時的な品質保証も明確に認識する とが望まれている。

  本発明は、BDFとして、その品質がBDF規 に適合しているかどうかを検査直後だけで く、流通過程でも識別可能にするとともに 必要に応じ、納税されたものと納税されて いものとを識別するものであり、燃料自体 悪影響を与えないで燃料に添加でき、クマ ンとも区別できる識別剤を提供することを 題とする。また本発明はBDFを製造した者か BDFの供給を受けた者が、その品質を安心で る品質保証システムであるとともに、必要 あれば、納税がきちんとなされたものであ か否かも確認できるシステムを提供するこ を課題とするものである。更に、必要であ ば、BDFが何処で製造されたものであるかが かるシステムを提供することを課題とする

 本発明は上記課題を解決するべく、BDFの識 剤、それを用いたBDFおよびその品質保証シ テムを提供するものであり、その要旨は以 の通りである。
 (1)BDFに均一に溶解する一種又は二種以上の 合物であり、それぞれが測定時のクロマト ラフィー分離により、BDF及びクマリンの吸 波長と識別可能な吸収波長を有し、そのう の少なくとも一つの吸収波長における吸収 は所定期間、変化しないものからなり、定 分析が可能であることを特徴とするBDFの識 剤。なお、本発明で、「所定期間」とは、 的機関により定められた期間を意味する。
 (2)識別剤において、BDF及びクマリンの吸収 長と識別可能な吸収波長のうちの少なくと 一つの吸収波長における吸収値が所定期間 変化するものである上記(1)に記載のBDFの識 剤。

 (3)識別剤が式R 1 -COOCH 2 R 2 で表される上記(1)又は(2)に記載のBDFの識別剤 (但し、式中のR 1 はC 1 ~C 11 までのアルキル基若しくはアルケニル基であ り、R 2 は共役ジエンを含む基である)。
 (4)R 2 がカルボニルエステル基を有している上記(3) に記載の識別剤。
 (5)R 2 がメチルアルキルシクロペンタジエノニル基 である上記(3)に記載の識別剤。
 (6)吸収波長が230~260nmの範囲であり、前記物 群の最大吸収値のπ→π * (K吸収値)のε max が10,000以上である上記(3)~(5)に記載の識別剤

 (7)上記(1)~(6)に記載の識別剤が所定量添加さ れたBDF。
 なお、本発明で、「所定量」とは、公的機 により定められた量を意味する。

 (8)所定の検査機関で検査され、基準に適合 たBDFに上記(1)~(6)に記載の識別剤が所定量添 加され、流通過程における受渡時において、 BDF中の識別剤の含有量が測定されて、検査さ れるとともに、規格が求める場合には、BDFの 物性が測定されることを特徴とするBDFの品質 保証システム。
 (9)識別剤が、少なくとも近隣の製造所また メーカーごとに異なった組成とする上記(8) 記載のBDFの品質保証システム。
 (10)受渡時において測定される物性が、BDFの 流動点である上記(8)又は(9)に記載のBDFの品質 保証システム。

 本発明のBDFの品質保証システムは高度に 質が保証できる。以下、それについて説明 る。BDFの品質検査段階では当然ではあるが 流通に入る前に要求されるBDFの規格には適 している。流通段階に入った後で要求され BDFの規格がある場合は後述する。検査に合 した後、流通過程に入った場合、色々なこ が想定され得る。しかしながら、BDFの品質 識別剤または識別剤構成要素の少なくとも つの吸収波長における吸収値が所定期間、 化しないものであることと、所定量添加さ ていることから、識別剤の含有率を分析す ことで、以下のようにして、流通過程の末 においても、BDFの保管が適切である限り、B DFが規格に合格したままであることが保証さ る。

 まず、給油所など、BDFの製造所からBDFの 給を流通過程で最初に受ける者は、所定量 識別剤が含まれていることで、以下に述べ 理由によって、BDFの品質が保証されたもの あると推認することができる。取り敢えず 別剤はしかるべきところで製造された信頼 きるものと仮定する。所定量の識別剤が含 れていない場合には、識別剤を添加した後 何らかのものが納税されることなく、BDFに 入した疑いがもたれる。この場合には、そ 場で対応すれば、不良品が流通過程に入る とは避けられる。また、納品先も特定でき のが通常である。特にその識別剤が混合物 ある場合には、その各成分内容と混合比率 調べることで、何処のメーカーでBDFが作ら たか特定または限定でき、混入経路が絞ら て対応が取れやすい。BDFの供給を最初に受 た者でなく、二次的に受けた者は途中、他 BDFと混合される可能性があるので、その場 には、両者の識別剤が混合されてしまい、 造元の特定または限定が難しくなるが、な 、識別剤の添加量を確認することで、BDFの 質が保証されたものであると推認すること できる点では最初に供給を受けた者と同様 ある。ところで、識別剤が偽造された場合 は種々のトラブルが生じるであろうが、そ には個別の対応をとることで偽造識別剤メ カーを特定できる。このような偽造識別剤 製造は長期的に安定的に営業ができない限 、コストが合わないものであり、偽造識別 メーカーが出る可能性は極めて低い。した って、BDFの品質保証システムは高いレベル 維持できる。

 それとともに納税が求められる場合には 納税もきちんとなされるシステムでもある 即ち、検査する過程で製造したBDFの量は確 に把握できる。しかも流通過程で適宜、識 剤の量を測定することで納税されていないB DFが水増しされているか否か把握できる。識 剤の偽造が割りの合わない行為であること ら納税もきちんとなされるシステムといえ 。

 さらに、本発明のBDFの品質保証システム おいては、規格が求める場合ではあるが、 通過程における受渡時において、BDFの物性 測定される。このような物性としては、規 によっては検査段階でなされるもののほか 、受渡段階でなされるものがあるためであ 。そのような例としては、日本の規格にお る低温性能とか酸化安定性がある。これは 渡を受ける者がどのような条件下でBDFを使 か異なるためである。本発明では受渡時に BDFの物性が測定されるので、受渡を受ける は自分が使用する環境であれば、その性能 十分であると判断すれば、安心して購入す ことができる。

 また、識別剤を構成する少なくとも1種の 、測定時のクロマトグラフィー分離により、 BDF及びクマリンの吸収値と識別可能な吸収値 の少なくとも1つが所定期間内に経時変化す ものであるときは、その吸収値の変化から いつ検査を受けたかが分かり、間接的に、BD Fの製造からどの程度時間を経過したもので るかを推測することができる。この情報と の製造所における過去のデータにより、BDF どの程度劣化したものであるか、見当をつ ることが可能である。

 しかしながら、BDFの購入者が自らのBDFの 管が不適切であったがために生じるBDFの品 保証までできないのは当然である。このよ な例としては、水分の混入、それにともな BDFの劣化がある。また、長期間BDFをタンク 溜めたまま、酸化劣化する場合もある。こ は生鮮食料品を購入したものの、冷蔵庫で 保存が不適切で生じる場合と同様であり、 こまで本発明のBDF品質保証システムが保証 るものではない。

 以上の記述はシステムという面で述べた 、識別剤としてみれば、それが混合物であ ば、その成分分析により、何処のメーカー 作られたか特定または限定できる。即ち、 別剤を構成する成分は一種または二種以上 あり、成分の数は限定されるものではない 、混合物の混合比を少しずつ変えるとか、 分の種類を変えることで、例えば、成分の は3であっても、相当数の組合せがあるので 、少なくとも近隣のBDFの製造所またはメーカ ーごとに、異なった識別剤の組合せを割り当 てることが可能である。しかも、識別剤のあ る成分のある吸収波長の経時変化から、何時 頃製造されたものであるかも推測することが できる。

図1は識別剤(A)を添加したバイオディー ゼル燃料のサンプルAの液体クロマトグラフ ーのチャート図である。 図2は識別剤(B)を添加したバイオディー ゼル燃料のサンプルBの液体クロマトグラフ ーのチャート図である。 図3は識別剤(C)を添加したバイオディー ゼル燃料のサンプルCの液体クロマトグラフ ーのチャート図である。 図4は識別剤(D)を添加したバイオディー ゼル燃料のサンプルDの液体クロマトグラフ ーのチャート図である。

 以下、本発明の実施の形態を詳細に説明す 。
 本発明に係るBDFの識別剤は、品質等を識別 るためにその燃料に微量添加するものであ 。
 本発明に係る識別剤は、BDFに均一に溶解す 一種又は二種以上の混合物であり、それぞ が測定時のクロマトグラフィー分離により BDF及びクマリンの吸収波長と識別可能な吸 波長を有し、そのうちの少なくとも一つの 収波長における吸収値は所定期間、変化し いものからなる。識別剤はBDFに均一に溶解 るものであり、燃料への所定量の添加では ど燃焼に影響を与えないものである。しか 、識別剤は液体或いは気体によるクロマト ラフィー分析によってBDF及びクマリンの吸 波長と容易に分離して識別可能な吸収波長 有し、そのうちの少なくとも一つの吸収波 における吸収値は所定期間、変化しないも からなり、定量分析が可能なものである。 収波長は、紫外線領域、可視光線領域、赤 線領域のどの領域にあってもよいが、BDFの 性吸収波長に対して顕著に表れるものであ ことが望ましく、このような波長は通常、 外線領域に存在する場合が多い。

 本発明の好ましい識別剤は、式R 1 -COOCH 2 R 2 で表される。ここで、式中のR 1 はC 1 ~C 11 のアルキル基またはアルケニル基であり、R 2 は共役ジエンを含む基である。このような構 造であれば、BDFが基本的にエステル構造を有 しているため、燃料性状的にも同様の燃焼状 況が得られ、しかも、この化合物はBDF及びク マリンと的確に識別し、検知可能である。

 特に、R 2 は共役ジエンを含む炭素鎖であって、環状、 或いは非環状であり、炭素数が6~10の範囲に ることが好ましい。また、所定期間、吸収 が変化しないものであるためには、カルボ ルエステル基を有しているものが好ましく エステル結合物はメチル、エチルなどの低 炭素鎖であることが特に好ましい。

 このような識別剤は、前記の所定期間、変 しない吸収波長の在る領域が230~260nmの範囲 あり、物質群の吸収ピークのπ→π * (K吸収体)のε max が10,000以上であることが好ましい。このよう な値であれば、BDFへの識別剤の添加量が少な くても、液体クロマトグラフィーの分離分析 により識別剤として十分に吸光度装置で測定 することができる。

 識別剤は前述したように、測定時のクロマ グラフィー分離により、BDF及びクマリンの 収波長と識別可能な吸収波長を有し、その ちの少なくとも一つの吸収波長における吸 値は所定期間、変化しないものであるが、 の他の吸収波長の少なくとも1つにおける吸 収値が経時変化により変質または分解してそ の波長の吸収値を減少させるものであると、 より機能的な識別剤となる。即ち、識別剤中 の吸収値が変化しないものと、変化するもの との吸収値の違いによって、変化しない吸収 値を対照として、変化する吸収値を測定する ことにより、そのBDFの経時変化を推測するこ とができる。このことから何時検査に合格し たかを推測でき、経時的にどのような変化が なされたかを知ることができる。このような 経時変化をするものであり、BDFの燃焼に殆ど 影響を与えず、BDFやクマリンと識別可能で、 その経時変化を分析できるものとして好適な ものは、式R 1 -COOCH 2 R 2 (但し、式中のR 1 はC 1 ~C 11 までのアルキル基又はアルケニル基であり、 R 2 は共役ジエンを含む基である)で表されると もに、R 2 がメチルシクロペンタジエノニル基であるも のである。

 識別剤は、BDFに対し、所定量添加される。 の添加量は識別剤の総量でBDFに対し10,000ppm 下であり、下限は分析可能な限度である。 析技術の進歩によってその下限は変わり得 が、現状では好ましくは1~5,000ppm、より好ま しくは2~2、000ppm、特に好ましくは5~1,000ppmで る。これらの物質において共役ジエン部、R 1 とのエステル結合部およびR2中のエステル結 部の酸化あるいは加水分解速度は、R 1 、R 2 の種類によって、一定の条件下、例えば遮光 、空気中、室温(15℃)において異ならせるこ ができる。

 本発明に係るBDFの品質保証システムにお ては、所定の検査機関で検査し、基準に適 したBDFに所定量の識別剤が添加するように され、流通過程においてBDF中の識別剤の含 量を測定することで、BDFの品質を保証する とができる。BDFは生鮮食料品と同様、酸化 れやすいものであり、速やかに消化されな ればならない。その点で、BDF製造後、流通 程に移行する前の段階で所定の検査機関で 査することは速やかな消化をさせる点でも 理的である。さらに納税を必要とする場合 は、所定の検査機関で検査し、基準に合格 、所定量の識別剤を添加する過程で、BDFの が把握でき、それに応じた納税を求めれば 実である。

 以下、本発明に係る識別剤、及びそれを添 したバイオディーゼル燃料の識別方法につ て更に説明する。
 市販される目的で、国内で製造されたバイ ディーゼル燃料A、B、Cおよび同様に市販さ る目的で、マレーシアから輸入したバイオ ィーゼル燃料Dの検査を行った場合、以下の 表1の結果であった。

 上記BDFのA、B、C、Dそれぞれに以下に詳述す る識別剤(A)、(B)、(C)、(D)をそれぞれ100ppmの濃 度になるように添加した。識別剤(A)、(B)、(C) 、(D)の化学式はいずれもR 1 -COOCH 2 R 2 で表されるものであり、このうち、R 1 は下記の3種類R 1-1 、R 1-2 、R 1-3 のいずれかである。
 R 1-1 :CH 3 (CH 2 ) 4
 R 1-2 :CH 3 (CH 2 ) 6
 R 1-3 :CH 3 (CH 2 ) 8

 R 2 は、3種類のR 2-1 、R 2-2 、R 2-3 のいずれかであり、R 2-3 は、分解速度がR 2-1 ,R 2-2 と比較して早く、半減期(遮光、空気中、15℃ )が6ヶ月である。それ以外の半減期は3年以上 である。
 R 2-1 :-CH=CH-CH=CH-COOMe(Me:メチル、トランス)
 R 2-2 :-CH=CH-CH=CH-COOE(E:エチル、トランス)
 R 2-3 :(メチルシクロペンタジエノニル基)

 識別剤(A)、(B)、(C)、(D)の構成は以下の通り ある。
 (A):R 1-1 -COOCH 2 R 2-1 (30%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-1 (30%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-3 (40%)
 (B):R 1-1 -COOCH 2 R 2-2 (20%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-2 (40%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-3 (40%)
 (C):R 1-3 -COOCH 2 R 2-2 (60%)+R 1-3 -COOCH 2 R 2-3 (40%)
 (D):R 1-1 -COOCH 2 R 2-1 (10%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-2 (50%)+R 1-2 -COOCH 2 R 2-3 (40%)

 表1のBDFの検査を行ったところ、それぞれ図 1~図4に示すような液体クロマトグラフィーの チャートが得られる。尚、表示しないが軽油 に5%混合した後でも測定は同様であった。
 液体クロマト条件
展開溶媒:    クロロフォルム:ヘキサン=1:9
カラム :  SiOH(シリカゲル)、ウルトラパッ A(山善株式会社製)
注入量:      10μl
検出器波長:  250nm(A310  prep UV-10V.HC  190 ~3 50 nm)

 図1~図4によれば、識別剤の吸収値がそれ れ異なっている。このうち、最右端の吸収 はいずれの図においても6ヵ月後の値が流通 直後と比べて異なった値となっている。この ような経時的に変化する吸収値を有する識別 剤を用いることによって、その識別剤の経時 変化を予め調べておくことで、BDFが流通に移 されてからどの程度経過したか知ることがで きる。

 通常、BDFの成分である脂肪酸メチルエステ は、C-CあるいはC-Hのσ→σ * の吸収が、135nm付近にあり、また、オレイン 、リノール酸、リノレン酸などのエチレン に由来するπ→π * 吸収は、165nm付近に存在する。このエチレン 共役していないので深色移動は起こらない さらにエステル部のカルボニル基に由来す 吸収は、207nm付近である。このことから測 波長である250nmにおいては、BDFそのものは吸 収を示さないといえる。

 また軽油の構成要素はC-CおよびC-Hのみであ から、135nm付近にしか吸収は存在しない。 ってBDF混合軽油の場合でも同様にこの領域 おいて透明である。上記認識用化合物群は 230~260nm付近に特性吸収を持ち、かつその強 もε max ≧10,000あるため、B100において100ppmさらにこ が軽油に混合された場合の5ppm程度であって 、検知可能である。
 A重油、灯油に混合されているクマリンは、 吸収波長は非常に高くかつ、同様の展開層中 では、保持時間がかなり短い。このため検出 波長を変更することで、十分に区別可能であ る。このような結果は、検査の合否に拘わら ず、BDF識別剤の製造所間の識別性を示すもの であるとともに、BDFと混合される可能性のあ る、軽油やクマリンとも識別性を示すもので ある。

 本発明のBDFの識別剤は簡単な構成であり がら、高度の品質を保証することを可能と る。さらに、本発明のBDFの識別剤組成物は 製造所を特定又は限定することができ、よ 一層対応がとれやすいものであり、本発明B DF、その品質保証システムはユーザーにとっ 安心して使用できるものである。