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Title:
AGENT FOR ENRICHING BODY TASTE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/101972
Kind Code:
A1
Abstract:
An agent for enriching body taste which contains, as free amino acids, hydrophobic amino acids including valine or phenylalanine, basic amino acids including lysine and acidic amino acids. It can impart the excellent aroma, flavor and body taste of dairy products, the butter aroma, the butter flavor and the body taste of butter to foods such as bakery foods. It is preferable that the above-described agent for enriching body taste contains from 30 to 60% by mass of the hydrophobic amino acids as described above, from 35 to 65% by mass of the basic amino acids as described above and from 1 to 20% by mass of the acidic amino acids as described above, each based on the total free amino acids.

Inventors:
KONAKA RYUUTA (JP)
SHIRAHANE MIKI (JP)
TOMOEDA TETSUTARO (JP)
MIKI KENJI (JP)
YABUSHITA TETSUSHIGE (JP)
SAITO SHUNSUKE (JP)
SASAKI KAZUHIRO (JP)
KIMURA NOBUHIRO (JP)
HIROKAWA TOSHIYUKI (JP)
HAMADA SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052299
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
February 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ADEKA CORP (JP)
KONAKA RYUUTA (JP)
SHIRAHANE MIKI (JP)
TOMOEDA TETSUTARO (JP)
MIKI KENJI (JP)
YABUSHITA TETSUSHIGE (JP)
SAITO SHUNSUKE (JP)
SASAKI KAZUHIRO (JP)
KIMURA NOBUHIRO (JP)
HIROKAWA TOSHIYUKI (JP)
HAMADA SATOSHI (JP)
International Classes:
A21D2/34; A23D7/00; A23L27/00
Foreign References:
JP2007143432A2007-06-14
JPH10276670A1998-10-20
JPH10327751A1998-12-15
JP2008263833A2008-11-06
Other References:
ATSUSHI HARADA ET AL.: "Pan ·Kashi Sangyo no Shin Doko Lactic Yeast Extract no Tokusei to Kashi Pan eno Riyo", FOOD SCIENCE, vol. 42, no. 4, 2000, pages 90 - 94
KAZUHIRO AIZAWA: "Kaiyo Kobo Ekisu no Kinosei Shokuhin eno Riyo", FOOD CHEMICALS, vol. 22, no. 10, 2006, pages 19 - 21
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu (8-6 Akasaka 1-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 遊離アミノ酸として、バリン又はフェニルアラニンを含む疎水性アミノ酸、リジンを含む塩基性アミノ酸、及び酸性アミノ酸を含有するコク味強化剤。
 全遊離アミノ酸中、上記疎水性アミノ酸の含有量が30~60質量%であり、上記塩基性アミノ酸の含有量が35~65質量%であり、上記酸性アミノ酸の含有量が1~20質量%である請求の範囲第1項記載のコク味強化剤。
 乳清ミネラルを含有する請求の範囲第1又は2項記載のコク味強化剤。
 高甘味度甘味料を含有する請求の範囲第1~3項のいずれかに記載のコク味強化剤。
 請求の範囲第1~4項のいずれかに記載のコク味強化剤を含有する食品。
 ベーカリー生地である請求の範囲第5項記載の食品。
 穀粉類100質量部に対して、遊離アミノ酸の総含有量が0.001~2質量部となるように請求項1~4のいずれかに記載のコク味強化剤を添加してなる請求の範囲第6項記載の食品。
 穀粉製品である請求の範囲第5項記載の食品。
 穀粉類100質量部に対して、遊離アミノ酸の総含有量が0.001~2質量部となるように請求項1~4のいずれかに記載のコク味強化剤を添加してなる請求の範囲第8項記載の食品。
 遊離アミノ酸として、バリン又はフェニルアラニンを含む疎水性アミノ酸を0.015~2質量%、リジンを含む塩基性アミノ酸を0.009~2質量%、及び酸性アミノ酸を0.017~0.5質量%含有するように、請求の範囲第1~4項のいずれかに記載のコク味強化剤が添加されたベーカリー食品である請求の範囲第5項記載の食品。
 可塑性乳化油脂組成物である請求の範囲第5項記載の食品。
 油中水型乳化組成物である請求の範囲第5項記載の食品。
 水中油型乳化組成物である請求の範囲第5項記載の食品。
 フラワーペースト類である請求の範囲第5項記載の食品。
 請求の範囲第11~13項のいずれかに記載の食品の製造方法であって、水に請求の範囲第1~4項のいずれかに記載のコク味強化剤を添加した水相と、油相とを乳化する食品の製造方法。
 請求の範囲第14項記載の食品の製造方法であって、請求の範囲第1~4項のいずれかに記載のコク味強化剤、油脂及び澱粉類を含有するフラワーペースト類原料を均質化処理した後、加熱し、冷却する食品の製造方法。
 請求の範囲第1~4項のいずれかに記載のコク味強化剤を食品に含有させる食品のコク味強化方法。
Description:
コク味強化剤

 本発明は、遊離アミノ酸として、バリン びフェニルアラニンからなる群の中から選 れた1種又は2種を含む疎水性アミノ酸と、 ジンを含む塩基性アミノ酸と、酸性アミノ とを含有するコク味強化剤、及び該コク味 化剤を含有する食品に関する。

 従来、ベーカリー食品等の食品に良好な り、呈味やコク味を付与するために、バタ 、クリームチーズ等の乳製品が使用されて た。また、従来、ホイップ用クリームや、 ーヒーホワイトナーとして用いたり、乳代 組成物として、アイスクリーム、パン等の 品への練り込み等の用途に用いられる水中 型乳化組成物にも、乳の良好な風味やコク を付与するために、生クリーム、クリーム ーズ等の乳製品が使用されてきた。しかし これらの乳製品は、その生産量が、原料と る牛乳の搾取量に大きく左右されるという 点、値段が高価であるといった欠点や、乳 産地や収穫時期、飼料等による品質のバラ きが大きく、風味が一定しないという欠点 あった。このような課題を解決する手段と て、アミノ酸に着目した先行技術がある(例 えば特許文献1~4)。

 特許文献1には、穀粉類に、卵白粉末と共 に、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタ ミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、 バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、 トレオニン、システイン、メチオニン、フェ ニルアラニン、トリプトファン及びチロシン から選ばれた1種又は2種以上を添加して得ら る菓子類用組成物が開示されている。

 特許文献2には、L-グルタミン酸、L-ロイ ン、DL-又はL-アラニン、L-セリン、L-アルギ ン、L-チロシン、L-フェニルアラニン、L-ヒ チジン、DL-又はL-メチオニンの遊離アミノ酸 を特定量含有する発酵乳と同様の風味を有す る無発酵食品が開示されている。

 特許文献3には、アミノ酸A(遊離アミノ酸 形態であるスレオニン、アラニン、グリシ 、セリンのうち1種又は2種以上)とアミノ酸B (遊離アミノ酸形態であるリジン及び/又はプ リン)を特定のモル比で配合した発酵バター 様の呈味を有する油中水型乳化油脂組成物が 開示されている。

 特許文献4には、L-グルタミン酸0.48~12.00、 L-ロイシン0.05~14.75、DL-又はL-アラニン0.07~14.38 、L-セリン0.02~27.41、L-アルギニン0.00~12.56、L- ロシン0.00~6.03、L-フェニルアラニン0.00~5.24 L-ヒスチジン0.02~3.94、DL-又はL-メチオニン0.00 ~3.69(mg/100g)のアミノ酸を含有する発酵乳の風 改善組成物が開示されている。

 しかし、特許文献1~3に記載のアミノ酸の 合では、食品に乳製品の香り、呈味やコク を付与する効果が不十分であった。特許文 4に記載のアミノ酸の配合では、ヨーグルト 等の発酵乳に特有の風味を付与することはで きるものの、生クリームやバター等の乳製品 の持つ乳のコク味を付与することはできなか った。

 また、従来、一般に加熱処理により糊化 た澱粉を骨格とし、油脂、必要に応じて糖 、卵製品、乳製品、香料などを含有するフ ワーペースト類が製菓、製パンのフィリン 材として利用されてきた。また、最近では ーカリー食品の食感改良や老化抑制を目的 して、ペースト状のフラワーペースト類を ーカリー生地に練り込んだり、シート状の ラワーペースト類をベーカリー生地に折り んで、焼成する方法が取られている。

 ベーカリー食品に乳や乳製品の風味を付 することを目的として、フラワーペースト にもバター、クリームチーズ等の乳製品が 用されてきた。しかし、これらの乳製品は 値段が高価であり、フラワーペースト類の 性や乳化に影響を与えるため、配合量が制 されてきた。そのため、フラワーペースト にフレーバーを使用することで風味を付け きたが、良好な乳や乳製品のコク味を付与 きないという欠点があった。

 一方、アミノ酸をフラワーペーストに使用 た先行技術として、例えば特許文献5、6が げられる。
 特許文献5には、焼成カルシウム、有機酸及 び/又はその塩、抗菌性を有するアミノ酸の3 分を有効成分として含有するフラワーペー トが開示され、アミノ酸としてグリシン、 ラニン、シスチン、スレオニン、バリン、 ジン及びアルギニンの中から選択した1種を 単独で用いるか、又は2種以上を混合物とし 用いることが記載されている。

 特許文献6には、炭酸塩、有機酸及び/又は の塩、抗菌性を有するアミノ酸の3成分を有 成分として含有するフラワーペーストが開 され、アミノ酸としてグリシン、アラニン シスチン、スレオニン、バリン、リジン及 アルギニンの中からから選択した1種を単独 で用いるか、又は2種以上を混合物として用 ることが記載されている。
 しかし、特許文献5や6に記載のアミノ酸の 合では、乳や乳製品のコク味をフラワーペ ストやフラワーペーストを用いた食品に付 することはできなかった。

特開平9-224552号公報

特開平10-276670号公報

特開2007-143432号公報

特開平10-327751号公報

特開2003-144073号公報

特開2003-144074号公報

 従って、本発明の目的は、乳製品の良好 香り、呈味やコク味を有する食品を製造す ことができるコク味強化剤、及び該コク味 化剤を含有してなる食品を提供することに る。

 本発明者らは、鋭意検討を行った結果、 定のアミノ酸を含有するコク味強化剤によ 、上記目的を達成できることを知見した。

 本発明は、上記知見に基づきなされたもの 、遊離アミノ酸として、バリン又はフェニ アラニンを含む疎水性アミノ酸、リジンを む塩基性アミノ酸、及び酸性アミノ酸を含 するコク味強化剤を提供するものである。
 また、本発明は、上記コク味強化剤を含有 てなる食品を提供するものである。
 また、本発明は、可塑性乳化油脂組成物、 中水型乳化組成物又は水中油型乳化組成物 ある上記食品の製造方法であって、水に上 コク味強化剤を添加した水相と、油相とを 化する食品の製造方法を提供するものであ 。
 また、本発明は、フラワーペースト類であ 上記食品の製造方法であって、上記コク味 化剤、油脂及び澱粉類を含有するフラワー ースト類原料を均質化処理した後、加熱し 冷却する食品の製造方法を提供するもので る。
 また、本発明は、上記コク味強化剤を食品 含有させる食品のコク味強化方法を提供す ものである。

図1は、乳原料中のリン脂質の定量にお いて、乳原料からの脂質の抽出に用いるFolch のフローである。

 以下、本発明のコク味強化剤について、 ましい実施形態に基づいて説明する。

 本発明のコク味強化剤は、遊離アミノ酸 して、バリン及びフェニルアラニンからな 群の中から選ばれた1種又は2種を含む疎水 アミノ酸と、リジンを含む塩基性アミノ酸 、酸性アミノ酸とを含有する。

 本発明のコク味強化剤では、バリン及び ェニルアラニンからなる群の中から選ばれ 1種又は2種の疎水性アミノ酸を必須成分と る。本発明のコク味強化剤において、バリ 及びフェニルアラニンからなる群の中から ばれた1種又は2種の疎水性アミノ酸を含有し ないと、コク味強化剤を用いた食品の乳製品 の香りが弱く、乳製品の呈味やコク味が弱く なる。

 本発明では、必要により、疎水性アミノ として、上記バリン及び上記フェニルアラ ン以外に、疎水性アミノ酸であるグリシン アラニン、ロイシン及びイソロイシンから る群の中から選ばれた1種又は2種以上を用 ることができ、グリシン及びアラニンから る群の中から選ばれた1種又は2種を用いるこ とが好ましい。

 上記疎水性アミノ酸中、バリン及びフェ ルアラニンからなる群の中から選ばれた1種 又は2種の疎水性アミノ酸の合計の含有量は 好ましくは15~90質量%、さらに好ましくは25~80 質量%、最も好ましくは35~70質量%である。

 本発明のコク味強化剤では、リジンを含 塩基性アミノ酸を必須成分とする。本発明 コク味強化剤において、リジンを含む塩基 アミノ酸を含有しないと、コク味強化剤を いた食品の酸味が強くなる。

 本発明では、必要により、塩基性アミノ として、上記リジン以外に、塩基性アミノ であるヒスチジン及びアルギニンからなる の中から選ばれた1種又は2種を用いること でき、アルギニンを用いることが好ましい

 上記塩基性アミノ酸中、リジンの含有量 好ましくは75~100質量%、さらに好ましくは80~ 95質量%、最も好ましくは85~90質量%である。

 本発明では、酸性アミノ酸を必須成分とす 。本発明のコク味強化剤において、酸性ア ノ酸を含有しないと、コク味強化剤を用い 食品の苦味が強くなる。
 上記酸性アミノ酸としては、グルタミン酸 びアスパラギン酸からなる群の中から選ば た1種又は2種を用いることが好ましく、グ タミン酸を用いることがさらに好ましい。
 また、上記酸性アミノ酸中、グルタミン酸 含有量は好ましくは40~100質量%、さらに好ま しくは60~100質量%、最も好ましくは80~100質量% ある。

 本発明のコク味強化剤において、上記の リン及びフェニルアラニンからなる群の中 ら選ばれた1種又は2種を含む疎水性アミノ の含有量は、全遊離アミノ酸中、好ましく 30~60質量%、さらに好ましくは35~55質量%、最 好ましくは40~50質量%である。本発明のコク 強化剤において、上記のバリン及びフェニ アラニンからなる群の中から選ばれた1種又 2種を含む疎水性のアミノ酸の含有量が全遊 離アミノ酸中30質量%よりも少ないと、コク味 強化剤を用いた食品の乳製品の香り、乳製品 の呈味やコク味が弱くなりやすく、60質量%よ りも多いと、コク味強化剤を用いた食品の苦 味が強くなりやすい。

 本発明のコク味強化剤において、上記の ジンを含む塩基性アミノ酸の含有量は、全 離アミノ酸中、好ましくは35~65質量%、さら 好ましくは40~60質量%、最も好ましくは45~55 量%である。本発明のコク味強化剤において 上記のリジンを含む塩基性アミノ酸の含有 が全遊離アミノ酸中35質量%よりも少ないと コク味強化剤を用いた食品の酸味が強くな やすく、65質量%よりも多いと、コク味強化 を用いた食品の苦味が強くなりやすい。

 本発明のコク味強化剤において、上記の 性アミノ酸の含有量は、全遊離アミノ酸中 好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2.5~1 5質量%、最も好ましくは5~10質量%である。本 明のコク味強化剤において、上記の酸性の ミノ酸の含有量が全遊離アミノ酸中1質量%よ りも少ないと、コク味強化剤を用いた食品の 苦味が強くなりやすく、20質量%よりも多いと 、コク味強化剤を用いた食品の酸味が強くな りやすい。

 尚、本発明において、遊離アミノ酸とは 遊離アミノ酸、又は、アミノ酸の塩酸塩や ナトリウム塩、カルシウム塩等の塩の形態 状態、或いはこれらの塩の水和物の状態を し、ペプチドや蛋白質を構成する等の2個以 上のアミノ酸結合体は含まない。2個以上の ミノ酸結合体の形態である場合は、本発明 効果は得られない。

 本発明のコク味強化剤における遊離アミ 酸の総含有量は、コク味強化剤が使用され 食品の種類によって適宜選択することがで る。一般には、本発明のコク味強化剤にお て、遊離アミノ酸の総含有量は、好ましく 0.3~100質量%である。

 本発明のコク味強化剤は、乳清ミネラル 含有することが好ましい。乳清ミネラルを 有させることにより、食品の乳製品の香り 乳製品の呈味やコク味を一層強化すること できる。本発明のコク味強化剤中における 清ミネラルの使用量は、コク味強化剤が使 される食品の種類によって適宜選択するこ ができる。一般には、コク味強化剤におい 、乳清ミネラル(固形分として。以下同様) 含有量は、好ましくは0~63質量%である。乳清 ミネラルの使用効果を確実に奏させる観点か ら、使用する場合は、少なくとも0.18質量%含 させることが好ましい。

 本発明でいう「乳清ミネラル」とは、乳 はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や 糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰 を含有するという特徴を有する。そのため そのミネラル組成は、原料となる乳やホエ 中のミネラル組成に近い比率となる。

 本発明では、上記乳清ミネラルとして、 風味の向上効果の面で、固形分中のカルシ ム含量が好ましくは2質量%未満、さらに好 しくは1質量%未満、最も好ましくは0.5質量% 満である乳清ミネラルを使用することが好 しい。尚、該カルシウム含量は低いほど好 しい。

 牛乳から通常の製法で製造された乳清ミ ラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量 %以上である。上記カルシウム含量が2質量%未 満の乳清ミネラルは、乳又はホエーから、膜 分離及び/又はイオン交換、さらには冷却に り、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラ を得る際に、あらかじめカルシウムを低減 た乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、 るいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製 する際にカルシウムを除去する工程を挿入 ることで得ることができるが、工業的に実 する上での効率やコストの点で、甘性ホエ から乳清ミネラルを製造する際にある程度 ネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去 る工程を挿入することで得る方法を採るこ が好ましい。ここで使用するカルシウムを 去する工程としては、特に限定されず、調 保持による沈殿法等の公知の方法を採るこ ができる。

 また、本発明のコク味強化剤は、アセス ファムカリウム、スクラロース、ステビア アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン ネオテーム、甘草等の高甘味度甘味料を含 することが好ましい。上記の高甘味度甘味 をコク味強化剤に用いることにより、食品 甘みを付与するだけではなく、乳製品の香 、乳製品の呈味やコク味を一層強化するこ が可能である。本発明のコク味強化剤中に ける高甘味度甘味料は、コク味強化剤の用 によって適宜選択することができる。一般 は、コク味強化剤において、高甘味度甘味 の含有量は、好ましくは0~30質量%である。 甘味度甘味料の使用効果を確実に奏させる 点からは、使用する場合は、少なくとも0.3 量%含有させることが好ましい。

 尚、上記乳清ミネラル及び上記高甘味度 味料は、最終製品である食品中に上記遊離 ミノ酸と共に含有されればよい。従って、 記乳清ミネラル及び上記高甘味度甘味料を 合する時期は制限されず、上記遊離アミノ と予め混合してコク味強化剤中に配合して いてもよいし、上記遊離アミノ酸とは別に た状態で、食品製造工程のいずれかの時期 、他の食品原料に添加、混合してもよい。

 また、本発明のコク味強化剤には、上記 遊離アミノ酸のほかに、その他の成分とし 、卵白、卵黄等の動植物性蛋白質類及びそ 分解物、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸 炭酸、燐酸等の有機酸類及びナトリウム、 リウム、カルシウム、マグネシウム等その 類、還元糖、オリゴ糖、乳糖、ブドウ糖、 糖、麦芽糖、トレハロース、サイクロデキ トリン等の糖類、ポリオール類、油脂、粉 油脂等の油脂類、ビタミンC、グルタチオン 、グルタチオン含有酵母エキス、システイン 等の還元剤類、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ 、パーオキシターゼ、プロテアーゼ、リパー ゼ、その他酵素等の酵素類、色素類、乳化剤 、増粘多糖類、デキストリン、カゼイン、脱 脂粉乳、水等の賦形剤類、イーストフード、 穀粉類、ペプチド、核酸を配合することがで きる。本発明のコク味強化剤には、これらの その他の成分から選ばれた1種または2種以上 配合することができる。本発明のコク味強 剤中におけるその他の成分の使用量は、成 の種類や使用目的等に応じて適宜選択する とができ、特に制限されるものではないが 好ましくは0~30質量%である。

 本発明のコク味強化剤は、各種食品に含 させることにより、食品のコク味等を強化 ることができる。本発明のコク味強化剤を 有させる食品の種類は特に制限されるもの はない。本発明のコク味強化剤は乳製品の 好な香り、呈味やコク味を付与できること ら、本発明のコク味強化剤が特に好適に使 される食品の例としては、ベーカリー生地 穀粉製品、ベーカリー食品、可塑性乳化油 組成物、油中水型乳化組成物、水中油型乳 組成物、フラワーペースト類が挙げられる 本発明のコク味強化剤は、これらのほかに カレールー用、バッター用、その他調理用 惣菜用等に用いることもできる。

 以下、本発明のコク味強化剤を含有する 品について、上記に挙げた特に好適な例に づき、さらに詳しく説明する。

 先ず、ベーカリー生地、穀粉製品、ベー リー食品について、好ましい実施形態に基 いて説明する。

 本発明のコク味強化剤をベーカリー生地 用いる場合、その添加量は、ベーカリー生 で用いる穀粉類100質量部に対し、遊離アミ 酸の総含有量が好ましくは0.001~2質量部、さ らに好ましくは0.005~1質量部、一層好ましく 0.01~0.8質量部、最も好ましくは0.025~0.5質量部 となるようにコク味強化剤を添加するのがよ い。ベーカリー生地で用いる穀粉類100質量部 に対して遊離アミノ酸の添加量が0.001質量部 りも少ないと、乳製品の香り、乳製品の呈 やコク味が弱いベーカリー食品が得られや く、2質量部よりも多いと、乳製品の呈味と は異質の呈味を有するベーカリー食品が得ら れやすい。

 上記の穀粉類としては、例えば、強力粉 準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、 粒粉等の小麦粉類、ライ麦粉、米粉等のそ 他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッ 粉等の堅果粉、コーンスターチ、タピオカ 粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱 等の澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼ等 酵素で処理したものや、α化処理、分解処 、エーテル化処理、エステル化処理、架橋 理、グラフト化処理等の中から選ばれた1種 は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げ られる。

 また、予め、本発明のコク味強化剤を上記 粉類に配合して穀粉製品としておき、上記 ベーカリー生地の製造において、該穀粉製 を用いてベーカリー生地を作製してもよい
 上記の穀粉製品とする際、穀粉類100質量部 対して、遊離アミノ酸の総含有量が好まし は0.001~2質量部、さらに好ましくは0.005~1質 部、一層好ましくは0.01~0.8質量部、最も好ま しくは0.025~0.5質量部となるように本発明のコ ク味強化剤を添加するのがよい。穀粉類100質 量部に対して遊離アミノ酸の添加量が0.001質 部よりも少ないと、穀粉製品を用いたベー リー食品の乳製品の香り、乳製品の呈味や ク味が弱くなりやすく、2質量部よりも多い と、乳製品の呈味とは異質の呈味を有するベ ーカリー食品が得られやすい。

 上記の穀粉製品は、常法によりベーカリ 生地を作製する際に、通常用いられる穀粉 に代えて用いることができる。該穀粉製品 は、必要に応じて、さらに、後述の食品素 のうちの粉状の素材を適宜配合しても構わ い。

 また、上記ベーカリー生地には、上記の 清ミネラルを配合することが好ましい。ベ カリー生地中に上記の乳清ミネラルを配合 る場合、その配合量(固形分として)は、ベ カリー生地で用いる穀粉類100質量部に対し 好ましくは0.005~0.8質量部、さらに好ましく 0.01~0.4質量部、最も好ましくは0.05~0.1質量部 よい。乳清ミネラルは、穀粉製品中に配合 ることもでき、その場合の好ましい配合量 、上記のベーカリー生地中の好ましい配合 と同様である。尚、乳清ミネラルは、予め ク味強化剤に配合しておいてもよいし、コ 味強化剤とは別にした状態でベーカリー生 又は穀粉製品に配合してもよい。

 また、上記ベーカリー生地には、アセス ファムカリウム、スクラロース、ステビア アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン ネオテーム、甘草等の高甘味度甘味料を配 することが好ましい。ベーカリー生地中に 記の高甘味度甘味料を配合する場合、その 合量は、ベーカリー生地で用いる穀粉類100 量部に対し、好ましくは0.002~0.05質量部、さ らに好ましくは0.005~0.04質量部、最も好まし は0.02~0.03質量部がよい。高甘味度甘味料は 穀粉製品中に配合することもでき、その場 の好ましい配合量は、上記のベーカリー生 中の好ましい配合量と同様である。尚、高 味度甘味料は、予めコク味強化剤に配合し おいてもよいし、コク味強化剤とは別にし 状態でベーカリー生地ベーカリー生地又は 粉製品に配合してもよい。

 上記のベーカリー生地には、本発明のコク 強化剤、上記穀粉類、穀粉製品、乳清ミネ ル及び高甘味度甘味料以外に、必要により 下のような食品素材を用いることができる
 該食品素材としては、天然水、水道水等の 、マーガリン、ショートニング、バター、 状油等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、 糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、黒糖、糖蜜、 芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化 、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、 元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソル トール、トレハロース、キシロース、キシ トール、マルチトール、エリスリトール、 ンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリ 糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラ ィノース、ラクチュロース、パラチノース リゴ糖、はちみつ、黒糖、糖蜜等の糖類、 卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥 白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオ カやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本 、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純 クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウン ドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、 ョコレート・ガナッシュ・カスタード風味 ホイップ用クリーム等のクリーム類及びこ らのクリーム類をホイップしたもの、ケー 用起泡剤、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、調製 乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳 全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、 コナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナ 、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類 タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサン ンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガン ガム、グアーガム、ローカストビーンガム プルラン、ジェランガム、アラビアガム、 ラチン、加工澱粉等の増粘安定剤、コーン ターチ、小麦澱粉等の澱粉類、食塩、塩化 リウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン 等の酸味料、β-カロチン、カラメル、紅麹 素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物 の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリ 乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸 肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石 脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ 、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ 酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ 、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エス ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイ 乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソル タンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤 小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着 料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち 向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソー ス、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス 、ココアパウダー、チョコレート、チョコレ ートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、 ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食 品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物、 ペプチド、核酸等が挙げられる。

 上記のベーカリー生地の種類としては、 パン生地、菓子パン生地、フランスパン生 、デニッシュ・ペストリー生地、スイート ール生地、ドーナツ生地、蒸しパン生地、 しケーキ生地、シュー生地、ケーキ生地、 ッキー生地、ハードビスケット生地、ワッ ル生地、スコーン生地、クラッカー生地、 ザ生地等を挙げることができる。

 本発明のコク味強化剤は、上記のベーカ ー生地を常法により製造する際に、上記の 粉類や食品素材と共に、ベーカリー生地中 含有させればよい。或いは、上記のベーカ ー生地を製造する際、前述のように本発明 コク味強化剤を穀粉類に予め添加して穀粉 品として使用してもよいし、本発明のコク 強化剤を水や牛乳等の水分を含む原料に溶 して使用してもよい。

 上記のベーカリー生地は、オーブンによ 加熱、電子レンジによる加熱、蒸し器によ 加熱、油で揚げることによる加熱等の加熱 することにより、ベーカリー食品とするこ ができる。

 ベーカリー食品において、上記の疎水性 ミノ酸、塩基性アミノ酸及び酸性アミノ酸 含有量は、それぞれ以下の範囲であること 好ましい。ベーカリー食品における本発明 コク味強化剤の使用量は、これらの遊離ア ノ酸の含有量が以下の好ましい範囲となる うに選択することが好ましい。

 ベーカリー食品は、遊離アミノ酸として リン及びフェニルアラニンからなる群の中 ら選ばれた1種又は2種を含む疎水性アミノ を好ましくは0.015~2質量%、さらに好ましくは 0.018~0.5質量%、最も好ましくは0.02~0.3質量%含 する。ベーカリー食品において、遊離アミ 酸としてバリン及びフェニルアラニンから る群の中から選ばれた1種又は2種を含む疎水 性アミノ酸の含有量が0.015質量%よりも少ない と、ベーカリー食品の乳製品の香り、乳製品 の呈味やコク味が弱くなるので好ましくなく 、2質量%よりも多いと、ベーカリー食品の苦 が強くなるので好ましくない。

 ベーカリー食品は、遊離アミノ酸として ジンを含む塩基性アミノ酸を好ましくは0.00 9~2質量%、さらに好ましくは0.009~0.5質量%、最 好ましくは0.01~0.15質量%含有する。ベーカリ ー食品において、遊離アミノ酸としてリジン を含む塩基性アミノ酸の含有量が0.009質量%よ りも少ないと、ベーカリー食品の酸味が強す ぎるので好ましくなく、2質量%よりも多いと ベーカリー食品の苦味が強くなるので好ま くない。

 ベーカリー食品は、遊離アミノ酸として 性アミノ酸を好ましくは0.017~0.5質量%、さら に好ましくは0.0175~0.3質量%、最も好ましくは0 .018~0.25質量%含有する。ベーカリー食品にお て、遊離アミノ酸として酸性アミノ酸の含 量が0.017質量よりも少ないと、ベーカリー食 品の苦味が強くなるので好ましくなく、0.5質 量%よりも多いと、ベーカリー食品の酸味が くなるので好ましくない。

 次に、可塑性乳化油脂組成物について、 ましい実施形態に基づいて説明する。本発 の可塑性乳化油脂組成物は、ベーカリー食 用、調理・惣菜用等として用いることがで るものである。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物において 、遊離アミノ酸の総含有量が好ましくは0.01 ~2質量%、さらに好ましくは0.02~1質量%、最も ましくは0.05~0.5質量%となるように、コク味 化剤を配合するのがよい。本発明の可塑性 化油脂組成物において、遊離アミノ酸の総 有量が0.01質量%よりも少ないと食品に乳製品 の良好な風味やコク味を付与する効果が不足 しやすく、2質量%よりも多いと食品に苦味を 与しやすい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物において 遊離アミノ酸中のバリン及びフェニルアラ ンからなる群の中から選ばれた1種又は2種 含む疎水性アミノ酸の含有量は、好ましく 30~60質量%、さらに好ましくは35~55質量%、最 好ましくは40~50質量%である。本発明の可塑 乳化油脂組成物において、遊離アミノ酸中 バリン及びフェニルアラニンからなる群の から選ばれた1種又は2種を含む疎水性アミノ 酸の含有量が30質量%よりも少ないと食品に乳 製品の良好な風味やコク味を付与する効果が 不足しやすく、60質量%よりも多いと食品に苦 味を付与しやすい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物において 遊離アミノ酸中のリジンを含む塩基性アミ 酸の含有量は、好ましくは35~65質量%、さら 好ましくは40~60質量%、最も好ましくは45~55 量%である。本発明の可塑性乳化油脂組成物 おいて、遊離アミノ酸中の塩基性アミノ酸 含有量が35質量%よりも少ないと食品に酸味 付与しやすく、65質量%よりも多いと食品に 味を付与しやすい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物において 遊離アミノ酸中の酸性アミノ酸の含有量は 好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2.5~1 5質量%、最も好ましくは5~10質量%である。本 明の可塑性乳化油脂組成物において、遊離 ミノ酸中の酸性アミノ酸の含有量が1質量%よ りも少ないと食品に苦味を付与しやすく、20 量%よりも多いと食品に酸味を付与しやすい 。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物には、前 の乳清ミネラルを配合することが好ましい

 本発明の可塑性乳化油脂組成物における 記乳清ミネラルの配合割合は、固形分とし 好ましくは0.006~2.1質量%、より好ましくは0.0 3~0.6質量%である。上記乳清ミネラルの配合割 合が固形分として0.006質量%未満であると食品 に乳製品の風味やコク味を一層付与するとい う配合効果が充分に得られにくく、また固形 分として2.1質量%を超えると、食品に塩味を 与しやすい。尚、乳清ミネラルは、予めコ 味強化剤に配合しておいてもよいし、コク 強化剤とは別にした状態で可塑性乳化油脂 成物に配合してもよい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物で用いる とができる油脂としては、例えば、パーム 、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油 大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サ ラワー油、オリーブ油、落花生油、カポッ 油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂 マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂 乳脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂 動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別 びエステル交換から選択される1又は2以上 処理を施した加工油脂が挙げられる。本発 はこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を 用いることができる。

 本発明において、可塑性乳化油脂組成物 の油脂の含有量は、好ましくは30~99質量%、 らに好ましくは40~95質量%、最も好ましくは5 0~95質量%である。本発明の可塑性乳化油脂組 物において油脂の含有量が30質量%よりも少 いと乳化が不安定となりやすく、99質量%よ も多いと油っぽくなり良好な乳製品の風味 コク味を食品に付与しにくい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物は、水を ましくは1~70質量%、さらに好ましくは5~50質 %、最も好ましくは5~40質量%含有する。尚、 こでいう水とは、水道水や天然水等の水や 牛乳、液糖等の水分も含めたものとする。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物は、本発明 効果を妨げない範囲においてその他の成分 含有することができる。
 上記のその他の成分としては、蛋白質、糖 、高甘味度甘味料、乳化剤、増粘安定剤、 塩や塩化カリウム等の塩味剤、アミラーゼ プロテアーゼ、アミログルコシダーゼ、プ ラナーゼ、ペントサナーゼ、セルラーゼ、 パーゼ、ホスフォリパーゼ、カタラーゼ、 ポキシゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダ ゼ、スルフィドリルオキシダーゼ、ヘキソ スオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ の酵素、β-カロチン、カラメル、紅麹色素 の着色料類、酢酸、乳酸、グルコン酸等の 味料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日 ち向上剤、果実、果汁、ナッツペースト、 辛料、カカオマス、ココアパウダー、コー ー、紅茶、緑茶、穀類、豆類、野菜類、肉 、魚介類等の食品素材、トコフェロール、 抽出物等の酸化防止剤、着香料、ペプチド 核酸等を添加してもよい。

 上記蛋白質としては、特に限定されない 、例えば、ホエイ蛋白質、カゼイン蛋白質 その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高 度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リ 糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミ 、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン グルテニン、プロラミン、グルテリン等の 麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質 の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は 目的に応じて一種ないし二種以上の蛋白質 して、あるいは一種ないし二種以上の蛋白 を含有する食品素材の形で添加してもよい

 本発明では、上記の蛋白質として乳蛋白質 用いるのが好ましい。
 上記の乳蛋白質としては、ホエイ蛋白質の 、カゼイン蛋白質のみ、カゼイン蛋白質と エイ蛋白質との併用のいずれでもよいが、 エイ蛋白質のみもしくは、ホエイ蛋白質と ゼイン蛋白質とを併用するのが好ましい。

 上記カゼイン蛋白質としては、αs1-カゼ ン、αs2-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼイン 、κ-カゼインの各単体や、これらの混合物、 若しくはこれらを含有する食品素材であるア ルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又 は2種以上を用いることができる。

 上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアル ミン、βラクトグロブリン、血清アルブミ 、免疫グロブリン、プロテオースペプトン 各単体や、これらの混合物、若しくはこれ を含有する食品素材として、乳清蛋白質、 エイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱 糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC び/又はWPI)等が挙げられ、これらの中から ばれた1種又は2種以上を用いることができる 。

 上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白 の両方を含有する食品素材として、例えば 生乳、牛乳、バター、加糖練乳、加糖脱脂 ん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂 、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バ ーミルクパウダー、トータルミルクプロテ ン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、加糖粉乳、調 粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(M PC)、クリーム、クリームパウダー、クリーム チーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ 、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム 、醗酵乳、酵素処理バター、乳飲料等が挙げ られ、これらの中から選ばれた1種又は2種以 を用いることができる。

 上記の蛋白質の配合量は特に制限はない 、本発明の可塑性乳化油脂組成物中、好ま くは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1~5質 量%、一層好ましくは0.2~4質量%、最も好まし は0.25~3質量%以上である。上記蛋白質の配合 合が0.05質量%未満であると食品に乳製品の 味やコク味を一層付与するという配合効果 充分に得られにくい。

 上記の糖類としては、ブドウ糖、果糖、シ 糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱 糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、は みつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロー 、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラ トオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、 元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシ トール、マルチトール、エリスリトール、 ンニトール、トレハロース等が挙げられる 本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は 2種以上を用いることができる。
 本発明では、上記の糖類として、ブドウ糖 果糖、ショ糖、麦芽糖及び乳糖からなる軍 り選ばれた1種又は2種以上を用いることが ましい。
 上記の糖類の配合量は特に制限はないが、 発明の可塑性乳化油脂組成物中、固形分と て好ましくは0.03~15質量%、さらに好ましく 0.09~13質量%、最も好ましくは0.15~11質量%であ 。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物には、高 味度甘味料を配合することが好ましい。上 の高甘味度甘味料としては、アセスルファ カリウム、スクラロース、ステビア、アス ルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオ ーム、甘草等が挙げられる。本発明では、 れらの中から選ばれた1種又は2種以上を用 ることができる。上記の高甘味度甘味料の 合量は、本発明の可塑性乳化油脂組成物中 固形分として好ましくは0.01~1質量%、さらに ましくは0.015~0.9質量%、最も好ましくは0.02~0 .8質量%である。上記高甘味度甘味料の配合割 合が固形分として0.01質量%未満であると食品 乳製品の風味を一層付与するという配合効 が十分に得られにくく、また固形分として1 質量%を超えると、食品の甘みが強くなりや い。高甘味度甘味料を配合した本発明の可 性乳化油脂組成物を、ベーカリー食品に用 ることにより、甘みを付与するだけではな 、乳製品の風味を一層強化することが可能 ある。尚、高甘味度甘味料は、予めコク味 化剤に配合しておいてもよいし、コク味強 剤とは別にした状態で可塑性乳化油脂組成 に配合してもよい。

 上記の乳化剤としては、例えば、グリセ ン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸 ステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、 リセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセ ン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエ 酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル 石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ テル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸 ソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エ テル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸 ステル、プロピレングリコール脂肪酸エス ル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステア イル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン ルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や 大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレ チン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、 ポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜 の天然乳化剤が挙げられる。本発明では、 れらの中から選ばれた1種又は2種以上を使 することができる。

 上記の乳化剤の含有量は特に制限はない 、本発明の可塑性乳化油脂組成物中、好ま くは0~15質量%、さらに好ましくは0~10質量%、 最も好ましくは0~5質量%である。特に、本発 の可塑性乳化油脂組成物では、健康志向や 味の点で、上記の合成乳化剤を用いないの 好ましく、合成乳化剤及び天然乳化剤をい れも用いないのがさらに好ましい。

 上記増粘安定剤としては、グアーガム、ロ カストビーンガム、カラギーナン、アラビ ガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタ ガム、プルラン、タマリンドシードガム、 イリウムシードガム、結晶セルロース、カ ボキシメチルセルロース、メチルセルロー 、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉 化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選 れた1種又は2種以上を使用することができ 。
 上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はな が、本発明の可塑性乳化油脂組成物中、好 しくは0~10質量%、さらに好ましくは0~5質量% ある。尚、本発明の可塑性乳化油脂組成物 おいて、上記増粘安定剤が必要でなければ 増粘安定剤を用いなくてもよい。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物の好ましい 造方法について以下に説明する。
 まず、水に本発明のコク味強化剤を添加し 必要によりその他の成分を添加し、水相と る。一方、油脂に必要によりその他の成分 添加し、油相とする。上記の油相を必要に り加熱溶解し、水相を加え、乳化し、乳化 脂組成物とする。

 上記油相と上記水相との比率は、好ましく 油相30~99質量%、水相1~70質量%、さらに好ま くは油相40~95質量%、水相5~60質量%、最も好ま しくは油相60~95質量%、水相5~40質量%である。
 本発明の可塑性乳化油脂組成物において、 相が30質量%よりも少なく水相が70質量%より 多いと、乳化が不安定となりやすい。また 油相が99質量%よりも多く水相が1質量%より 少ないと、油っぽくなり、食品に良好な乳 品の風味やコク味を付与しにくい。
 乳化形態はW/O型、O/W型、O/O型、O/W/O型、W/O/W 型のいずれでも構わないが、W/O型とするのが 好ましい。

 次に、上記乳化油脂組成物を殺菌処理す のが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバ チ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り 熱交換機を用いた連続方式でも構わない。 た、殺菌温度は好ましくは80~100℃、さらに ましくは80~95℃、最も好ましくは80~90℃とす る。その後、必要により油脂結晶が析出しな い程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度 は好ましくは40~60℃、さらに好ましくは40~55 、最も好ましくは40~50℃とする。

 次に急冷可塑化を行なう。この急冷可塑化 、コンビネーター、ボテーター、パーフェ ター、ケムテーター等の密閉型連続式掻き りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレー 型熱交換機等の装置により行なうことがで 、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコ プレクターとの組み合わせにより行なうこ もできる。この急冷可塑化を行なうことに り、本発明の可塑性を有する乳化油脂組成 となる。
 これらの装置の後に、ピンマシン等の捏和 置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホ ルディングチューブを使用してもよい。

 また、本発明の可塑性乳化油脂組成物を 造する際のいずれかの製造工程で、窒素、 気等を含気させても、含気させなくても構 ない。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物の用途につ て以下に述べる。
 本発明の可塑性乳化油脂組成物は、様々な 品に用いることができるが、特にベーカリ 食品に好適に用いることができる。
 該ベーカリー食品としては、例えば、食パ 、菓子パン、バラエティーブレッド、バタ ロール、ソフトロール、ハードロール、ス ートロール、デニッシュ、ペストリー、フ ンスパン、蒸しパン、パイ、シュー、ドー ツ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ハー ビスケット、ワッフル、スコーン、どら焼 蒸しケーキ、ホットケーキ等を挙げること できる。

 上記ベーカリー食品において、本発明の 塑性乳化油脂組成物は、例えば、練り込み 、折り込み用、サンド・フィリング用、ス レー・コーティング用として使用すること できる。

 本発明の可塑性乳化油脂組成物は、さら は、カレールウ用、バッター用、ソース用 の調理・惣菜用としても使用することがで る。

 上記の各用途における本発明の可塑性乳 油脂組成物の使用量は、使用用途により適 選択されるものであり、特に限定されるも ではない。

 次に、水中油型乳化組成物について、好 しい実施形態に基づいて説明する。本発明 水中油型乳化組成物は、ホイップクリーム ようなそのまま食する用途や、プリン等の 品に練り込む用途に用いることができるも である。

 本発明の水中油型乳化組成物において、 離アミノ酸の総含有量は、そのまま食する 途に用いる場合と、食品に練り込む用途に いる場合とで、最適範囲が異なる。

 本発明の水中油型乳化組成物をそのまま する用途に用いる場合、遊離アミノ酸の総 有量が好ましくは0.01~1質量%、さらに好まし くは0.02~1質量%、最も好ましくは0.05~0.5質量% なるように、コク味強化剤を配合するのが い。本発明の水中油型乳化組成物をそのま 食する用途に用いる場合において、遊離ア ノ酸の総含有量が0.01質量%よりも少ないとコ ク味不足となりやすく、1質量%よりも多いと 味が強くなりやすい。

 本発明の水中油型乳化組成物を食品に練 込む用途に用いる場合、遊離アミノ酸の総 有量が好ましくは0.01~2質量%、さらに好まし くは0.02~2質量%、最も好ましくは0.05~2質量%と るように、コク味強化剤を配合するのがよ 。本発明の水中油型乳化組成物を食品に練 込む用途に用いる場合において、遊離アミ 酸の総含有量が0.01質量%よりも少ないとコ 味不足となりやすく、2質量%よりも多いと苦 味が強くなりやすい。

 本発明の水中油型乳化組成物に含まれる 離アミノ酸中において、バリン及びフェニ アラニンからなる群の中から選ばれた1種又 は2種を含む疎水性アミノ酸の含有量は、好 しくは30~60質量%、さらに好ましくは35~55質量 %、最も好ましくは40~50質量%である。本発明 水中油型乳化組成物に含まれる遊離アミノ 中において、バリン及びフェニルアラニン らなる群の中から選ばれた1種又は2種を含む 疎水性アミノ酸の含有量が30質量%よりも少な いとコク味不足となりやすく、60質量%よりも 多いと苦味が強くなりやすい。

 本発明の水中油型乳化組成物に含まれる 離アミノ酸中において、リジンを含む塩基 アミノ酸の含有量は、好ましくは35~65質量% さらに好ましくは40~60質量%、最も好ましく 45~55質量%である。本発明の水中油型乳化組 物に含まれる遊離アミノ酸中において、塩 性アミノ酸の含有量が35質量%よりも少ない 酸味が強くなりやすく、65質量%よりも多い 苦味が強くなりやすい。

 本発明の水中油型乳化組成物に含まれる 離アミノ酸中において、酸性アミノ酸の含 量は、好ましくは1~20質量%、さらに好まし は2.5~15質量%、最も好ましくは5~10質量%であ 。本発明の水中油型乳化組成物に含まれる 離アミノ酸中において、酸性アミノ酸の含 量が1質量%よりも少ないと苦味が強くなりや すく、20質量%よりも多いと酸味が強くなりや すい。

 本発明の水中油型乳化組成物は、前述の 清ミネラルを配合することが好ましい。

 本発明の水中油型乳化組成物における上 乳清ミネラルの配合割合は、固形分として ましくは0.006~2.1質量%、より好ましくは0.03~0 .6質量%である。上記乳清ミネラルの配合割合 が固形分として0.006質量%未満であるとコク味 を一層良好にするという配合効果が充分に得 られにくく、また固形分として2.1質量%を超 ると、塩味が強くなりやすい。尚、乳清ミ ラルは、予めコク味強化剤に配合しておい もよいし、コク味強化剤とは別にした状態 水中油型乳化組成物に配合してもよい。

 本発明の水中油型乳化組成物には、乳由来 固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上 ある乳原料(以下、単に乳原料という)を配合 することが好ましい。本発明の水中油型乳化 組成物に上記の乳原料を含有させることによ り、生クリームのようなみずみずしい食感を 強く水中油型乳化組成物に付与させることが できる。
 上記の乳原料の乳固形分(乳由来の固形分) のリン脂質の含有量は、好ましくは3質量%以 上、さらに好ましくは4質量%以上、最も好ま くは5~40質量%である。

 本発明の水中油型乳化組成物では、上記 乳原料を好ましくは3質量%以上、さらに好 しくは4質量%以上、最も好ましくは5~40質量% なるように含有させる。

 また、上記の乳原料は、牛乳、ヤギ乳、 ツジ乳、人乳等の乳から製造されたもので るのが好ましく、特に牛乳から製造された のであるのが好ましい。

 上記の乳原料としては、乳固形分中のリ 脂質の含有量が2質量%以上である乳原料で ればどのようなものでも構わないが、具体 な例として、クリーム又はバターからバタ オイルを製造する際に生じる水相成分が挙 られる。

 上記のクリームからバターオイルを製造す 際に生じる水相成分の製造方法は、例えば 下の通りである。
 まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃 30~40質量%のクリームをプレートで加温し、 心分離機によってクリームの脂肪濃度を70~9 5質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳 を破壊し、再び遠心分離機で処理すること よってバターオイルが得られる。本発明で いることができる上記水相成分は、最後の 心分離の工程でバターオイルの副産物とし 発生するものである。

 上記のバターからバターオイルを製造する に生じる水相成分の製造方法は、例えば以 の通りである。
 まず、バターを溶解機で溶解し、熱交換機 加温する。これを遠心分離機で分離するこ によってバターオイルが得られる。本発明 用いることができる上記水相成分は、最後 遠心分離の工程でバターオイルの副産物と て発生するものである。該バターオイルの 造に用いられるバターとしては、通常のも が用いられる。

 本発明では、上記の乳原料をさらに濃縮 たもの、乾燥したもの、冷凍処理をしたも 等を用いることも可能である。溶剤を用い 濃縮したものは、風味上の問題から用いな のが好ましい。

 また、本発明で用いる上記の乳原料には 均質化処理を行っても良い。均質化処理は1 回でも良く、2回以上行っても良い。該均質 処理に用いられる均質化機としては、例え 、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキ ーの様な高速せん断乳化釜、スタティック キサー、インラインミキサー、バブル式ホ ジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル ディスパーミル等が挙げられる。均質化圧 は特に制限はないが、好ましくは0~100MPaであ る。2段式ホモゲナイザーを用いて均質化処 をする場合は、例えば、1段目3~100MPa、2段目0 ~5MPaの均質化圧力にて行っても良い。

 さらに、本発明で用いることができる上 の乳原料には、UHT加熱処理を行っても良い UHT加熱処理の条件としては、特に制限はな が、温度条件は好ましくは120~150℃であり、 処理時間は好ましくは1~6秒である。

 また、本発明では、上記の乳原料中のリ 脂質の一部又は全部がリゾ化されたリゾ化 を使用することもできる。該リゾ化物は、 記の乳原料をそのままリゾ化したものであ ても良く、また上記の乳原料を濃縮した後 リゾ化したものであっても良い。また、得 れたリゾ化物に、さらに濃縮あるいは噴霧 燥処理等を施しても良い。これらのリゾ化 は本発明におけるリン脂質に含めるものと る。

 上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化する は、ホスホリパーゼAで処理すれば良い。ホ スホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロ ル部分と脂肪酸残基とを結びつけている結 を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換 る作用を有する酵素である。ホスホリパー Aは、作用する部位の違いによってホスホリ ーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、 ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパー A2の場合、リン脂質分子のグリセロール部 の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される

 本発明で用いる上記の乳原料における乳固 分中のリン脂質量は、例えば以下のような 法にて測定することができる。但し、抽出 法等については乳原料の形態等によって適 な方法が異なるため、以下の定量方法に限 されるものではない。
 まず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出 る。図1にFolch法のフローを示す。次いで、 出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編 衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に 載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、 モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、 生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記 のリンのモリブデン酸による定量に準じる) よりリン量を求める。求められたリン量か 、以下の計算式を用いて、乳原料の乳固形 100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
 リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料-乳原 の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)

 また、本発明で用いる上記の乳原料は、 原料に乳酸菌を接種して乳酸発酵物として 良く、乳原料に必要により水や乳糖等の資 性糖を添加し、乳酸菌を接種して乳酸発酵 としても良い。この場合、乳酸菌を接種し 酸発酵物とした乳原料を殺菌した後、本発 に用いる原料として用いても良く、殺菌を ずに本発明の原料として用いても良い。

 本発明の水中油型乳化組成物は油脂を含 する。本発明の水中油型乳化組成物で用い 油脂の種類としては、特に限定されないが 例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、 ーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナ ネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、 脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、 ンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、 油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこ らに水素添加、分別及びエステル交換から 択される一又は二以上の処理を施した加工 脂が挙げられる。本発明では、これらのう 、大豆油、ナタネ油、パーム油、パーム核 及びヤシ油並びにこれらに水素添加、分別 びエステル交換から選択される一又は二以 の処理を施した加工油脂を用いるのが好ま い。これらの油脂は、単独で用いることも き、又は二種以上を組み合わせて用いるこ もできる。

 本発明の水中油型乳化組成物の油脂の含 量は、特に制限はないが、好ましくは3~80質 量%、さらに好ましくは5~70質量%、最も好まし くは20~50質量%である。

 本発明の水中油型乳化組成物は水を含有 る。本発明の水中油型乳化組成物の水の含 量は、特に制限はないが、好ましくは40~80 量%、さらに好ましくは45~75質量%、最も好ま くは50~70質量%である。なお、ここでいう水 は、水道水や天然水のほか、牛乳、液糖等 水分も含めたものである。

 本発明の水中油型乳化組成物には、必要 より、乳化剤、安定剤、上記の乳原料以外 蛋白質、糖類・甘味料、セルロースやセル ース誘導体、澱粉類、穀類、ジグリセライ 、植物ステロール、植物ステロールエステ 、食塩、岩塩、海塩、直鎖デキストリン、 枝デキストン、環状デキストン等のデキス リン類、卵製品、果汁、ジャム、カカオ及 カカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等 呈味成分、着香料、着色料、ソルビン酸、 ルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウ 、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム グリシン、しらこたん白抽出物、ポリリジ 、エタノール等の保存料、苦味料、調味料 の呈味成分、酸化防止剤、pH調整剤、ペプ ド、核酸等を配合してもよい。

 上記乳化剤としては、特に限定されないが 例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、大 リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、グリセ ン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸 ステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、 リセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセ ンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソル タン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ 、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリ リン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合 シノレイン酸エステル、プロピレングリコ ル脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カル ウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリ キシエチレンソルビタンモノグリセリド等 挙げられる。これらの乳化剤は単独で用い こともでき、又は二種以上を組み合わせて いることもできるが、大豆レシチン、卵黄 シチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシ ン以外の合成乳化剤は使用しないのが好ま い。また、さらに好ましくは上記乳化剤を 用しないのがよい。
 上記乳化剤を使用する場合、上記乳化剤の 有量は、本発明の水中油型乳化組成物中、 ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.05~ 0.5質量%である。

 上記安定剤としては、リン酸塩、メタリン 塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸 類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭 塩等)、グアーガム、キサンタンガム、タマ リンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、 ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペ クチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶 セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天 、デキストラン等の安定剤が挙げられる。こ れらの安定剤は、単独で用いることもでき、 又は二種以上を組み合わせて用いることもで きる。上記安定剤のうち、本発明では、リン 酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリ ン酸塩等のリン酸塩を使用しないのが好まし い。さらに好ましくは、リン酸塩、メタリン 酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、有機酸 塩類(クエン酸塩、酒石酸塩等)、無機塩類(炭 酸塩等)のカルシウム封鎖能を有する安定剤 使用しないのがよい。
 上記安定剤を使用する場合、上記安定剤の 有量は、本発明の水中油型乳化組成物中、 ましくは1質量以下、さらに好ましくは0.001~ 0.5質量%、最も好ましくは0.001~0.1質量%である

 上記乳原料以外の蛋白質としては、特に 定されないが、例えば、ホエイ蛋白質、カ イン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リ 蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、 ベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、 ンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質 グリアジン、グルテニン、プロラミン、グ テリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び 物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これ の蛋白質は、目的に応じて一種ないし二種 上の蛋白質として、あるいは一種ないし二 以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添 してもよい。

 本発明では、上記の蛋白質として乳蛋白 を用いるのが好ましい。上記の乳蛋白質と ては、ホエイ蛋白質のみ、カゼイン蛋白質 み、カゼイン蛋白質とホエイ蛋白質との併 のいずれでもよいが、ホエイ蛋白質とカゼ ン蛋白質とを併用するのが好ましい。

 上記カゼイン蛋白質としては、αs1-カゼ ン、αs2-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼイン 、κ-カゼインの各単体や、これらの混合物、 若しくはこれらを含有する食品素材であるア ルカリカゼイン(カゼイネート)、酸カゼイン が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又 は2種以上を用いることができる。

 上記ホエイ蛋白質としては、ラクトアル ミン、βラクトグロブリン、血清アルブミ 、免疫グロブリン、プロテオースペプトン 各単体や、これらの混合物、若しくはこれ を含有する食品素材として、乳清蛋白質、 エイ、ホエイパウダー、脱乳糖ホエイ、脱 糖ホエイパウダー、ホエイ蛋白質濃縮物(WPC び/又はWPI)等が挙げられ、これらの中から ばれた1種又は2種以上を用いることができる 。

 上記カゼイン蛋白質及び上記ホエイ蛋白 の両方を含有する食品素材として、例えば 生乳、牛乳、バター、加糖練乳、加糖脱脂 ん乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、脱脂 、濃縮乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バ ーミルクパウダー、トータルミルクプロテ ン(TMP)、脱脂粉乳、全粉乳、加糖粉乳、調 粉乳、ミルクプロテインコンセントレート(M PC)、クリーム、クリームパウダー、クリーム チーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ 、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サワークリ―ム 、醗酵乳、酵素処理バター、乳飲料等が挙げ られ、これらの中から選ばれた1種又は2種以 を用いることができる。

 本発明の水中油型乳化組成物中の上記乳 料以外の蛋白質の含有量は、好ましくは1~10 質量%、さらに好ましくは1.5~8質量%、最も好 しくは1.5~6質量%である。

 上記糖類・甘味料としては、特に限定され いが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、 芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化 、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖 還元糖ポリデキストロース、ソルビトール 還元乳糖、トレハロース、キシロース、キ リトール、マルチトール、エリスリトール マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オ ゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、 フィノース、ラクチュロース、パラチノー オリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、ア スルファムカリウム、スクラロース、ソー チン、サッカリン、ネオテーム、甘草等が げられる。これらの糖類・甘味料は、単独 用いることもでき、又は二種以上を組み合 せて用いることもできる。
 本発明の水中油型乳化組成物中の上記糖類 甘味料の含有量は、好ましくは固形分とし 1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、 最も好ましくは5~40質量%である。

 本発明の水中油型乳化組成物の好ましい製 方法について以下に説明する。
 まず、油脂に必要によりその他の原料を加 た油相を用意する。一方、水に本発明のコ 味強化剤、必要によりその他の原料を加え 水相を用意する。該水相を、上記油相と混 し、乳化する。

 上記の水相と油相の質量比率は、得られた 発明の水中油型乳化組成物をホイップした イップクリームのようなそのまま食する用 に用いる場合と、水中油型乳化組成物をプ ン等の食品に練り込む用途に用いる場合に り、最適範囲が異なる。
 本発明の水中油型乳化組成物をそのまま食 る用途に用いる場合、水相と油相との質量 率は、好ましくは80~40:20~60、さらに好まし は70~50:30~50、最も好ましくは65~55:35~45である
 本発明の水中油型乳化組成物を食品に練り む用途に用いる場合、水相と油相との質量 率は、好ましくは95~40:5~60、さらに好ましく は90~50:10~50、最も好ましくは90~55:10~45である

 乳化の際には、まず予備乳化物を調製し 次にこれを必要により、バルブ式ホモジナ ザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均 化装置により圧力0~100MPaの範囲で均質化し もよい。また、必要により、インジェクシ ン式、インフージョン式等の直接加熱方式 あるいはプレート式、チューブラー式、掻 取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・ 温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波 熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施 てもよく、あるいは直火等の加熱調理によ 加熱してもよい。また、加熱後に必要に応 て再度均質化してもよい。また、必要によ 急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施しても い。

 本発明の水中油型乳化組成物は、その用 に特に制限はないが、例えば、ホイップク ームのようなそのまま食する用途や、濃縮 乳状組成物又は洋菓子用素材として食品に り込む用途に用いることができる。食品に り込む用途においては、例えば、食パン、 ラエティブレッド、バターロール、ソフト ール、ハードロール、スイートロール、フ ンスパン、菓子パン、蒸しパン、デニッシ ・ペストリー、パイ、パンケーキ、シュー フ、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、クッ ー、タルト、ハードビスケット、ワッフル スコーン、どら焼、タイヤキ、今川焼、お み焼き、たこ焼き、蒸しケーキ、蒸しプリ 、焼きプリン等のベーカリー食品の練り込 用として、ハンバーグ、フライ、コロッケ サラダ、ピザ、パスタ等の料理の練り込み として、アイスクリーム、ゼリー、ババロ 、ムース等の各種和洋菓子の練り込み用と て用いることが可能である。また、例えば ーヒーホワイトナーのように、飲料に混合 る用途に用いることもでき、その場合は、 品に練り込む用途における好ましい態様を 用することが望ましい。

 次に、フラワーペースト類について、好 しい実施形態に基づいて説明する。本発明 フラワーペーストは、ベーカリー食品にお てトッピング用、サンド用等として用いる とができるものである。

 本発明のフラワーペースト類においては 遊離アミノ酸の総含有量が好ましくは0.01~2 量%、さらに好ましくは0.02~1質量%、最も好 しくは0.05~0.5質量%となるように、コク味強 剤を配合するのがよい。本発明のフラワー ースト類において、遊離アミノ酸の総含有 が0.01質量%よりも少ないとフラワーペースト 類のコク味が不足となりやすく、2質量%より 多いとフラワーペースト類の苦味が強くな やすい。

 本発明のフラワーペースト類において、 離アミノ酸中のバリン及びフェニルアラニ からなる群の中から選ばれた1種又は2種を む疎水性アミノ酸の含有量は、好ましくは30 ~60質量%、さらに好ましくは35~55質量%、最も ましくは40~50質量%である。本発明のフラワ ペースト類において、遊離アミノ酸中のバ ン及びフェニルアラニンからなる群の中か 選ばれた1種又は2種を含む疎水性アミノ酸の 含有量が30質量%よりも少ないとフラワーペー スト類のコク味不足となりやすく、60質量%よ りも多いとフラワーペースト類の苦味が強く なりやすい。

 本発明のフラワーペースト類において、 離アミノ酸中のリジンを含む塩基性アミノ の含有量は、好ましくは35~65質量%、さらに ましくは40~60質量%、最も好ましくは45~55質 %である。本発明のフラワーペースト類にお て、遊離アミノ酸中の塩基性アミノ酸の含 量が35質量%よりも少ないとフラワーペース 類の酸味が強くなりやすく、65質量%よりも いとフラワーペースト類の苦味が強くなり すい。

 本発明のフラワーペースト類において、 離アミノ酸中の酸性アミノ酸の含有量は、 ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2.5~15 量%、最も好ましくは5~10質量%である。本発 のフラワーペースト類において、遊離アミ 酸中の酸性アミノ酸の含有量が1質量%よりも 少ないとフラワーペースト類の苦味が強くな りやすく、20質量%よりも多いとフラワーペー スト類の酸味が強くなりやすい。

 本発明のフラワーペースト類には、前述 乳清ミネラルを配合することより、食品の や乳製品の風味やコク味を一層良好にする とが可能である。

 本発明のフラワーペースト類における上 乳清ミネラルの配合割合は、固形分として ましくは0.006~2.1質量%、より好ましくは0.03~0 .6質量%である。上記乳清ミネラルの配合割合 が固形分として0.006質量%未満であると食品の 乳や乳製品の風味やコク味を一層良好にする という配合効果が充分に得られにくく、また 固形分として2.1質量%を超えると、フラワー ースト類の塩味が強くなりやすい。尚、乳 ミネラルは、予めコク味強化剤に配合して いてもよいし、コク味強化剤とは別にした 態でフラワーペースト類に配合してもよい

 本発明のフラワーペースト類は油脂を含 することが好ましい。本発明で用いること できる油脂としては、例えば、パーム油、 ーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大 油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラ ー油、オリーブ油、落花生油、カポック油 胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マ ゴー核油、サル脂、イリッペ脂、牛脂、乳 、豚脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動 油脂、並びにこれらに水素添加、分別及び ステル交換から選択される1又は2以上の処 を施した加工油脂が挙げられる。本発明は れらの中から選ばれた1種又は2種以上を用い ることができる。

 本発明において、フラワーペースト類中 油脂の含有量は、好ましくは8~45質量%、さ に好ましくは12~45質量%、最も好ましくは15~45 質量%である。本発明のフラワーペースト類 おいて油脂の含有量が8質量%よりも少ないと フラワーペースト類が滑らかな食感となりに くく、45質量%よりも多いとフラワーペースト 類が油っぽくなり良好なコク味を感じづらく なりやすい。

 本発明のフラワーペースト類では、ヨウ素 52~70のパーム分別軟部油を含有する油脂配 物をエステル交換した油脂を用いることが ましい。このエステル交換した油脂を用い ことにより、良好な乳化安定性を有するフ ワーペースト類とすることができる。
 上記のヨウ素価52~70のパーム軟部油として 、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分 、ドライ分別等の無溶剤分別等の方法によ て、パーム油を分別した際に得られる低融 部であるパームオレインやパームスーパー レインを用いることができる。上記のパー 軟部油として、特に乳化安定性に優れたフ ワーペースト類が得られることから、ヨウ 価60以上のパームスーパーオレインを使用す ることがさらに好ましい。

 本発明のフラワーペースト類では、ヨウ 価52~70のパーム分別軟部油を好ましくは70質 量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最 好ましくは100質量%含む油脂配合物をエステ 交換した油脂を、フラワーペースト類中、 ましくは5~45質量%、さらに好ましくは9~45質 %、最も好ましくは15~45質量%含むことが好ま しい。

 上記のエステル交換の反応は、化学的触媒 よる方法でも、酵素による方法でもよく、 た、ランダムエステル交換反応であっても 位置選択性のエステル交換反応であっても いが、化学的触媒又は位置選択性のない酵 を用いた、ランダムエステル交換反応であ ことがより好ましい。
 上記化学的触媒としては、例えば、ナトリ ムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙 られ、また、上記位置選択性のない酵素と ては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)  、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(As pergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウ ム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げ られる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹 脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体 に固定化して、固定化リパーゼとして用いる こともできるし、粉末の形態で用いることも できる。

 また本発明のフラワーペースト類において 、極度硬化油を用いることが好ましい。極 硬化油を用いることにより、フラワーペー ト類の艶や発色を良好にすることができる
 上記の極度硬化油は、1種又は2種以上の油 からなる配合油を、ヨウ素価が5以下、好ま くは1未満となるまで水素添加した硬化油脂 であって、その融点が好ましくは45℃以上、 らに好ましくは50℃以上の硬化油脂である 上記配合油に用いる油脂としては、例えば パーム油、コーン油、綿実油、大豆油、ハ エルシンナタネ油、米油、ヒマワリ油、サ ラワー油、オリーブ油、キャノーラ油、牛 、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の 種植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに 別及びエステル交換から選択される1又は2以 上の処理を施した加工油脂が挙げられる。

 本発明においては、上記極度硬化油の中で 、艶及び発色の向上効果が特に高い点で、 イエルシンナタネ油の極度硬化油、大豆油 極度硬化油及びパーム油の極度硬化油から 択される1種又は2種以上を使用することが ましい。
 本発明のフラワーペースト類では、上記の 度硬化油をフラワーペースト類中、好まし は0.0008~0.45質量%、さらに好ましくは0.0008~0.2 25質量%、最も好ましくは0.0008~0.135質量%含む とが好ましい。

 また、本発明のフラワーペースト類は、 質的にトランス酸を含まないことが好まし 。水素添加は、油脂の融点を上昇させる典 的な方法であるが、水素添加油脂は、完全 素添加油脂(極度硬化油脂)を除いて、通常 構成脂肪酸中にトランス酸が10~50質量%程度 まれている。一方、天然油脂中にはトラン 酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10 質量%未満含まれているにすぎない。

 ここでいう「実質的にトランス酸を含ま い」とは、油脂の全構成脂肪酸中、トラン 酸の含有量が好ましくは10質量%未満、さら 好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質 %以下であることを意味する。本発明におい ては、上記極度硬化油以外の油脂として、天 然油脂、並びに該天然油脂に分別及びエステ ル交換から選択される1又は2以上の処理を施 た加工油脂から選択される1種又は2種以上 組み合わせて用いることにより、実質的に ランス酸を含まないフラワーペースト類を 単に得ることができる。

 本発明のフラワーペースト類は澱粉類を含 する。本発明で用いることができる澱粉と ては、コーンスターチ、ワキシーコーンス ーチ、ハイアミロースコーンスターチ、タ オカ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、豆などの 粉、これらの澱粉を原料とし、エステル化 エーテル化、架橋化、α化、熱処理等の化 的、物理的処理を施したもの、強力粉、準 力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒 等の小麦粉類、ライ麦粉、米粉等のその他 穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉 の堅果粉等があげられる。本発明ではこれ の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるこ とができる。
 本発明において上記澱粉の含有量は好まし は2~10質量%、さらに好ましくは2.5~9質量%、 も好ましくは3~9質量%である。

 本発明のフラワーペースト類は糖類を含有 ることが好ましい。本発明で用いることが きる糖類としては、上記澱粉類のような高 子の糖類以外の単糖類、二糖類、オリゴ糖 の低分子の糖類であれば特に限定されず、 えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、液糖 ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、 素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖 ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還 糖ポリデキストロース、還元乳糖、フラク オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ 、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュ ース、パラチノースオリゴ糖、ソルビトー 、トレハロース、キシロース、キシリトー 、マルチトール、エリスリトール、マンニ ール等が挙げられる。本発明ではこれらの 類は、単独で用いることもでき、又は2種以 上を組み合わせて用いることもできる。
 本発明において上記糖類の含有量は、本発 のフラワーペースト類中、固形分として好 しくは8~40質量%、さらに好ましくは10~35質量 %、最も好ましくは12~35質量%である。

 本発明のフラワーペースト類は高甘味度 味料を含有してもよい。本発明で用いるこ ができる高甘味度甘味料としては、スクラ ース、ステビア、アスパルテーム、ソーマ ン、サッカリン、アセスルファムカリウム ネオテーム、甘草等が挙げられる。本発明 は、これらの中から選ばれた1種又は2種以 を用いることができる。

 本発明のフラワーペースト類は、増粘安定 を含有することが好ましい。増粘安定剤を 有させることにより、フラワーペースト類 製造時やベーカリー生地への複合作業時等 おける乳化破壊を防止することによる物性 良効果や、保水性を向上させることによる 水防止効果や食感向上効果を得ることが可 となる。
 上記増粘安定剤としては、グアーガム、ロ カストビーンガム、カラギーナン、アラビ ガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタ ガム、プルラン、タマリンドシードガム、 イリウムシードガム、結晶セルロース、カ ボキシメチルセルロース、メチルセルロー 、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙 られ、これらの中から選ばれた1種又は2種 上を用いることができる。
 本発明のフラワーペースト類では、離水防 効果が高いことから、ローカストビーンガ 、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガ 及びゼラチンからなる群から選ばれる1種又 は2種以上を使用することが好ましい。
 上記増粘安定剤の含有量は、本発明のフラ ーペースト類中、好ましくは0.01~10質量%、 らに好ましくは0.01~5質量%である。

 本発明のフラワーペースト類は、合成乳化 を含有しないことが好ましい。
 上記の合成乳化剤としては、例えば、グリ リン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪 エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリ リン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンク ン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチ 酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸 ステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢 イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸 ステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ テル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステ ロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレ ソルビタンモノグリセリド等が挙げられる
 本発明のフラワーペースト類には、上記合 乳化剤でない乳化剤を用いることができる 該乳化剤としては、例えば、大豆レシチン 卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リ レシチン、酵素処理卵黄、乳脂肪球皮膜蛋 質が挙げられ、これらの中から選ばれた1種 又は2種以上を用いることができる。

 本発明のフラワーペースト類には、カゼ ン蛋白質及びホエイ蛋白質の両方を含有す 食品素材を含有させることができる。該食 素材としては、例えば、生乳、牛乳、バタ 、加糖練乳、加糖脱脂れん乳、無糖れん乳 無糖脱脂れん乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃 乳、バターミルク、バターミルクパウダー トータルミルクプロテイン(TMP)、脱脂粉乳 全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、ミルクプロ インコンセントレート(MPC)、クリーム、クリ ームパウダー、クリームチーズ、ナチュラル チーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸 菌飲料、サワークリ―ム、醗酵乳、酵素処理 バター、乳飲料等が挙げられ、これらの中か ら選ばれた1種又は2種以上を用いることがで る。

 その他、本発明のフラワーペースト類に 、通常フラワーペースト類の原料として使 し得る成分を使用することが可能であり、 えば、水、食塩や塩化カリウム等の塩味剤 酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β-カ チン、カラメル、紅麹色素等の着色料、ト フェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小 蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、ホエー蛋白 縮物・トータルミルクプロテイン等の乳蛋 や動物蛋白、卵及び各種卵加工品、デキス リン、着香料、調味料、pH調整剤、食品保 料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー ナッツペースト、香辛料、香辛料抽出物、 カオマス、ココアパウダー、豆類、野菜類 肉類、魚介類、ペプチド、核酸等の食品素 や食品添加物が挙げられる。尚、これらの 分のうち、水並びに牛乳及び卵等の水分を 有する成分は、本発明のフラワーペースト 中の水分含有量が30~85質量%となるように使 することが好ましい。

 次に、本発明のフラワーペースト類の好ま い製造方法について述べる。
 本発明のフラワーペースト類は、本発明の ク味強化剤、油脂及び澱粉類を含有するフ ワーペースト類原料を均質化処理した後、 熱し、冷却することによって得ることがで る。

 具体的には、先ず、本発明のコク味強化剤 油脂及び澱粉類を含有するフラワーペース 類原料を、加熱溶解、乳化混合して予備乳 組成物を作成する。その際、水相と油相と 比率(前者:後者、質量基準)は、95:5~60:40とす ることが好ましい。なお、増粘安定剤を添加 する場合は、作業性の点から、油相に添加す るのが好ましい。
 次いで、得られた上記予備乳化組成物を、 ルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コ イドミル等の均質化装置により、好ましく 圧力0~80MPaの範囲で均質化した後、加熱する 。加熱は、インジェクション式、インフージ ョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート 式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加 熱方式を用いたUHT、HTST、バッチ式、レトル 、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加 殺菌処理、あるいは直火等を用いた加熱調 により行なうことができる。加熱温度は60~13 0℃が好ましく、加熱時間は0.05~30分が好まし 。また、加熱後には必要により再度均質化 てもよい。

 そして、均質化した後、加熱した上記予備 化組成物を冷却する。冷却は急速冷却、徐 却等のいずれでもよく、冷却の前、又は後 エージングを行ってもよい。更に、得られ 本発明のフラワーペースト類は、必要によ 、冷蔵状態もしくは冷凍状態で保存しても い。
 さらに、本発明のフラワーペースト類は、 の形状を、シート状、ブロック状、円柱状 ダイス状等としてもよい。各々の形状につ ての好ましいサイズは、シート状:縦50~1000mm 、横50~1000mm、厚さ1~50mm、ブロック状:縦50~1000m m、横50~1000mm、厚さ50~500mm、円柱状:直径1~25mm 長さ5~100mm、ダイス状:縦5~50mm、横5~50mm、厚さ 5~50mmである。

 以下に、本発明のフラワーペースト類を用 た食品について述べる。
 本発明のフラワーペースト類を用いた食品 しては、焼成、フライ、蒸すなどの加熱済 のベーカリー食品に、本発明のフラワーペ スト類をトッピング、サンド、フィリング して組み合わせた食品をあげることができ 。

 また本発明のフラワーペースト類を用い 食品としては、ベーカリー生地と本発明の ラワーペースト類をトッピング、サンド、 餡、練り込み、折り込み等の方法で複合さ た複合生地を、必要に応じ圧延、成形、ホ ロ、ラックタイムをとった後、焼成、フラ 、蒸すなどの加熱をして得られた食品をあ ることができる。

 上記のベーカリー生地としては、例えば、 ッキー生地、パイ生地、シュー生地、サブ 生地、スポンジケーキ生地、バターケーキ 地、ケーキドーナツ生地、食パン生地、フ ンスパン生地、デニッシュ生地、スイート ール生地、イーストドーナツ生地等の菓子 地やパン生地が挙げられる。
 上記の複合生地としては、具体的には、ベ カリー生地にペースト状のフラワーペース 類を包餡した包餡生地、ベーカリー生地に ースト状のフラワーペースト類をトッピン 又はサンドした生地、ベーカリー生地にペ スト状のフラワーペースト類を練り込んだ り込み生地、ベーカリー生地にシート状の ラワーペースト類をロールインした積層生 、製パン連続ラインにおいて、ブロック状 フラワーペースト類を、ファットポンプ等 使用して薄板状に押し出し、ベーカリー生 にロールインした積層生地、小片状のフラ ーペースト類をベーカリー生地中に混合し 混合生地等が挙げられる。

 得られた上記複合生地を焼成する場合、ホ ロは、イーストを含まないベーカリー生地 使用する場合は必要なく、イーストを配合 たベーカリー生地を使用する場合のみ必要 ある。体積が大きいベーカリー食品を得る めには、ホイロは、好ましくは25~40℃、相 湿度50~80%で20~90分、さらに好ましくは32~38℃ 相対湿度50~80%で30~60分で行う。
 そして上記複合生地の焼成は、通常のベー リー食品と同様、160~250℃、特に170~220℃で なうのが好ましい。160℃未満であると、火 りが悪くなりやすく、また良好な食感が得 れにくい。また、250℃を超えると、焦げを じて食味が悪くなりやすい。

 得られた上記複合生地をフライする場合 ラックタイムは特に有効である。ラックタ ムをとることにより、ベーカリー生地の水 を飛ばし、表面を固化させることができ、 果として、ベーカリー生地の水分を減少さ ること及びフライ操作時の吸油を減少させ ことができる点で、ラックタイムをとるこ が望ましく、時間にして10~40分、相対湿度50 %以下の環境中で静置することにより好まし 効果が得られる。

 フライ操作は、通常のドーナツ等と同様 160~250℃、特に170~220℃で行なうのが好まし 。160℃未満であると吸油が多く、良好な食 が得られにくい。250℃を超えると、焦げを じて食味が悪くなりやすい。なお、上記焼 とフライとを併用する場合は、フライした に焼成しても、焼成した後にフライしても い。

 以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明 更に詳しく説明するが、本発明はこれらの 施例等によって限定されるものではない。

〔実施例1-1〕コク味強化剤の作製1
 バリン8質量部、フェニルアラニン8質量部 グリシン3質量部及びアラニン4質量部からな る疎水性アミノ酸46質量%、リジン7質量部及 アルギニン1質量部からなる塩基性アミノ酸4 8質量%、並びに酸性アミノ酸であるグルタミ 酸6質量%を混合し、コク味強化剤1を得た。

〔実施例1-2〕コク味強化剤の作製2
 バリン8質量部、フェニルアラニン8質量部 グリシン3質量部及びアラニン4質量部からな る疎水性アミノ酸40質量%、リジン7質量部及 アルギニン1質量部からなる塩基性アミノ酸5 0質量%、並びに酸性アミノ酸であるグルタミ 酸10質量%を混合し、コク味強化剤2を得た。

〔実施例1-3〕コク味強化剤の作製3
 バリン8質量部、フェニルアラニン8質量部 グリシン3質量部及びアラニン4質量部からな る疎水性アミノ酸50質量%、リジン7質量部及 アルギニン1質量部からなる塩基性アミノ酸4 5質量%、並びに酸性アミノ酸であるグルタミ 酸5質量%を混合し、コク味強化剤3を得た。

〔実施例1-4〕コク味強化剤の作製4
 フェニルアラニン10質量部、ロイシン6質量 及びイソロイシン7質量部からなる疎水性ア ミノ酸46質量%、リジン5質量部及びヒスチジ 3質量部からなる塩基性アミノ酸48質量%、並 に酸性アミノ酸であるグルタミン酸6質量% 混合し、コク味強化剤4を得た。

〔比較例1-1〕コク味強化剤の作製5
 ロイシン6質量部、イソロイシン7質量部及 グリシン10質量部からなる疎水性アミノ酸46 量%、ヒスチジン3質量部及びアルギニン5質 部からなる塩基性アミノ酸48質量%、並びに 性アミノ酸であるアルパラギン酸6質量%を 合し、コク味強化剤5を得た。

〔実施例1-5〕パイの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にてパイを製造した。得られたパイの評 価を表1に示した。

 下記配合において、穀粉製品は、強力粉60 量部、薄力粉40質量部、コク味強化剤1を0.075 質量部混合してなるものである。
<配合>
穀粉製品(コク味強化剤1含有)100.075質量部
食塩               1.5質量部
砂糖               2質量部
脱脂粉乳             3質量部
練り込み用マーガリン       5質量部
水                43質量部
ロールイン用マーガリン      75質量部

<製法>
 まず、上記の配合のロールイン用マーガリ 以外の原料を、縦型ミキサーにて低速3分及 び中速5分ミキシングし、生地(捏ね上げ温度= 24℃)を得た。この生地を2℃の冷蔵庫内で一 リタードした後、厚さ8mmまで圧延し、ロー イン用マーガリンをのせ、常法によりロー インし、36層(4×3×3)に折り畳み、厚さ30mmの イ生地を得た。このパイ生地を2℃の冷蔵庫 で30分レストを取った後、厚さ3mmに圧延し 直径100mmの型でパイ生地を打ち抜き、天板に 載せ、60分のラックタイムを取った後、210℃ オーブンで11分焼成してパイを得た。

〔実施例1-6、比較例1-2〕デニッシュの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-6のデニッシュを製造した。 また、コク味強化剤1を用いない以外は実施 1-6と同様の配合と製法にて、比較例1-2のデ ッシュを製造した。得られた実施例1-6と比 例1-2のデニッシュの評価を表1に示した。
 実施例1-6で得られたデニッシュは、遊離ア ノ酸として、グリシン0.003質量%、アラニン0 .009質量%、バリン0.005質量%、フェニルアラニ 0.003質量%、リジン0.006質量%、アルギニン0.00 5質量%、グルタミン酸0.01質量%を含有してい 。
 また、比較例1-2で得られたデニッシュは、 離アミノ酸として、グリシン0.0014質量%、ア ラニン0.0077質量%、バリン0.0017質量%、フェニ アラニン0.0007質量%、リジン0.0007質量%、ア ギニン0.0035質量%、グルタミン酸0.0083質量%を 含有していた。

 下記配合において、穀粉製品は、強力粉80 量部、薄力粉20質量部、コク味強化剤1を0.05 量部混合してなるものである。
<配合>
穀粉製品(コク味強化剤1含有)100.05質量部
イースト             5質量部
食塩               1.3質量部
砂糖              15質量部
練り込み用マーガリン       8質量部
水               48質量部
ロールイン用マーガリン     28質量部

<製法>
 まず、上記の配合のロールイン用マーガリ 以外の原料を、縦型ミキサーにて低速3分及 び中速5分ミキシングし、生地(捏ね上げ温度= 24℃)を得た。この生地を2℃の冷蔵庫内で一 リタードした後、厚さ8mmまで圧延し、ロー イン用マーガリンをのせ、常法によりロー インし、27層(3×3×3)に折り畳み、厚さ30mmの ニッシュ生地を得た。このデニッシュ生地 2℃の冷蔵庫内で30分レストを取った後、厚 4mmに圧延し、直径100mmの型で生地を打ち抜き 、天板に載せ、33℃、相対湿度80%、60分のホ ロを取った後、上火200℃、下火190℃のオー ンで13分焼成してデニッシュを得た。

〔実施例1-7〕菓子パンの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて菓子パンを製造した。得られた菓子 パンの評価を表1に示した。

 下記配合において、穀粉製品は、強力粉80 量部、薄力粉20質量部、コク味強化剤1を0.1 量部混合してなるものである。
<配合>
穀粉製品(コク味強化剤1含有)100.1質量部
イーストフード          0.1質量部
イースト             5質量部
食塩               1質量部
砂糖              15質量部
脱脂粉乳             2質量部
練り込み油脂          10質量部
全卵(正味)          12質量部
水               45質量部
フラワーシート         60質量部

<製法>
 まず、フラワーシートと練り込み油脂以外 原料を、縦型ミキサーにて低速3分、中速3 ミキシングし、次に、練り込み油脂を添加 て、低速2分、中速3分ミキシングし、生地( ね上げ温度=24℃)を得た。得られた生地は、3 0分フロアタイムをとり、2℃の冷蔵庫内で一 リタードした後、厚さ8mmまで圧延し、ロー イン用フラワーシートをのせ、常法により ールインし、12層(4×3)に折り畳み、厚さ30mm 菓子パン生地とした。この菓子パン生地を2 ℃の冷蔵庫内で30分レストを取った後、厚さ6 mmに圧延し、底辺90mm、高さ150mm(48g)に切りだ 、クロワッサン成型した。これを天板に載 、36℃、相対湿度80%、50分のホイロを取った 、190℃のオーブンで15分焼成して菓子パン 得た。

〔実施例1-8、比較例1-3〕バターロールの製造 1
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-8のバターロールを製造した 。
 また、コク味強化剤1を用いない以外は実施 例1-8と同様の配合と製法にて比較例1-3のバタ ーロールを製造した。
 得られた実施例1-8と比較例1-3のバターロー の評価を表1に示した。

<中種生地配合>
強力粉       70質量部
イーストフード    0.1質量部
イースト       3質量部
砂糖         3質量部
水         40質量部
<本捏生地配合>
強力粉       30質量部
砂糖        13質量部
食塩         1.2質量部
脱脂粉乳       2質量部
マーガリン     15質量部
全卵(正味)     5質量部
コク味強化剤1    0.075質量部
水         21質量部

<バターロールの製法>
 中種生地配合の全原料を、縦型ミキサーに 低速3分、中速2分ミキシングし、中種生地( ね上げ温度=26℃)を得た。得られた中種生地 は28℃、相対湿度80%にて120分の中種発酵を取 た。
 水及びコク味強化剤1を上記本捏生地配合に 記載の配合割合で混合し、コク味強化剤ミッ クス液を調製した。該コク味強化剤ミックス 液、上記中種生地並びに本捏生地配合の強力 粉、砂糖、食塩、脱脂粉乳及び全卵を、縦型 ミキサーにて低速3分、中速3分ミキシングし 後、本捏生地配合のマーガリンを添加して 低速3分、中速4分ミキシングし、本捏生地( ね上げ温度=28℃)を得た。得られた本捏生地 は、30分フロアタイムをとり、分割(45g)、丸 し、30分ベンチタイムを取った後、バターロ ール成型した。これを天板に乗せ、38℃、相 湿度80%、50分のホイロを取った後、190℃の ーブンで13分焼成してバターロールを得た。

〔実施例1-9〕バターロールの製造2
 実施例1-8におけるコク味強化剤1をコク味強 化剤2に変更した以外は実施例1-8と同様の配 ・製法にてバターロールを製造した。得ら たバターロールの評価を表1に示した。

〔実施例1-10〕バターロールの製造3
 実施例1-8におけるコク味強化剤1をコク味強 化剤3に変更した以外は実施例1-8と同様の配 ・製法にてバターロールを製造した。得ら たバターロールの評価を表1に示した。

〔実施例1-11〕バターロールの製造4
 実施例1-8におけるコク味強化剤1をコク味強 化剤4に変更した以外は実施例1-8と同様の配 ・製法にてバターロールを製造した。得ら たバターロールの評価を表1に示した。

〔実施例1-12、比較例1-4〕クッキーの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-12のクッキーを製造した。 た、実施例1-12におけるコク味強化剤1をコク 味強化剤5に変更した以外は実施例1-12と同様 配合・製法にて比較例1-4のクッキーを製造 た。得られた実施例1-12と比較例1-4のクッキ ーの評価を表1に示した。

 下記配合における穀粉製品は、薄力粉100質 部、コク味強化剤を0.125質量部混合してな ものである。
<配合>
穀粉製品(コク味強化剤1又はコク味強化剤5含 有) 100.125質量部
砂糖                        50質 部
マーガリン                     25 量部
全卵(正味)                    25質 部

<製法>
 まず、砂糖とマーガリンを、縦型ミキサー て低速3分ミキシングした後、全卵を添加し 、低速3分ミキシングした。ここに、予め篩 ておいた穀粉製品を添加し、低速2分ミキシ グし、クッキー生地を得た。このクッキー 地を5℃の冷蔵庫で120分リタードした。この 生地を厚さ8mmに圧延後、直径40mmの型でクッ ー生地を打ち抜き、天板に乗せ、180℃で焼 してクッキーを得た。

〔実施例1-13、比較例1-5〕スポンジケーキの 造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-13のスポンジケーキを製造 た。また、コク味強化剤1を用いない以外は 施例1-13と同様の配合と製法にて比較例1-5の スポンジケーキを製造した。得られた実施例 1-13と比較例1-5のスポンジケーキの評価を表1 示した。

<配合>
薄力粉        100質量部
コク味強化剤1      0.165質量部
ベーキングパウダー    1質量部
砂糖         100質量部
マーガリン       40質量部
全卵(正味)     185質量部

<製法>
 砂糖と全卵を、縦型ミキサーにて生地比重 約0.3になるまでホイップした。ここに、薄 粉とコク味強化剤1の混合物を篩ったものを 加え、さらにベーキングパウダーを添加し、 均一になるまで混合した。次に、溶解したマ ーガリンを添加し、生地比重が約0.4~0.45にな まで混合し生地を得た。この生地650gを天板 に流し入れ、上火180℃、下火160℃のオーブン で14分焼成してスポンジケーキを得た。

〔実施例1-14、比較例1-6〕メロンパンの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-14のクッキー生地を製造し このクッキー生地を用いてメロンパンを製 した。また、コク味強化剤1を用いない以外 実施例1-14と同様の配合と製法にて比較例1-6 のクッキー生地を製造し、このクッキー生地 を用いてメロンパンを製造した。得られた実 施例1-14と比較例1-6のメロンパンの評価を表1 示した。

<配合>
薄力粉        100質量部
砂糖          50質量部
溶解したマーガリン   40質量部
全卵(正味)      25質量部
コク味強化剤1      0.2質量部

<製法>
 砂糖と全卵を、縦型ミキサーにて低速3分ミ キシングした後、溶解したマーガリンを添加 し、低速3分ミキシングした。ここに、薄力 とコク味強化剤1の混合物を篩ったものを加 、低速2分ミキシングし、クッキー生地を得 た。このクッキー生地を5℃の冷蔵庫で120分 タードした。このクッキー生地を厚さ5mmの 状に圧延した後、公知の方法によって得た ン生地の上に載せ、メロンパン成型をした これを天板に乗せ、38℃、相対湿度70%、50分 ホイロを取った後、180℃のオーブンで15分 成してメロンパンを得た。

〔実施例1-15、比較例1-7〕タルトの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-15のタルトを製造した。ま 、コク味強化剤1を用いない以外は、実施例1 -15と同様の配合と製法にて比較例1-7のタルト を製造した。得られた実施例1-15と比較例1-7 タルトの評価を表1に示した。

<配合>
薄力粉        100質量部
砂糖          40質量部
マーガリン       65質量部
全卵(正味)      25質量部
食塩           0.5質量部
コク味強化剤1      0.32質量部

<製法>
 マーガリンと砂糖を、縦型ミキサーにて低 3分ミキシングした後、食塩と全卵を添加し 、低速3分ミキシングした。ここに、薄力粉 コク味強化剤1の混合物を篩ったものを加え 低速2分ミキシングしタルト生地を得た。こ のタルト生地を5℃の冷蔵庫で60分リタードし た。この生地を厚さ5mmに圧延した後、直径60m mの型で生地を打ち抜き直径50mmのタルトレッ 型に敷き詰め、ピケ入れして200℃で8分、180 ℃で10分焼成してタルトを得た。

〔実施例1-16、比較例1-8〕バターケーキの製
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-16のバターケーキを製造し 。また、コク味強化剤1を用いない以外は、 施例1-16と同様の配合と製法にて比較例1-8の バターケーキを製造した。得られた実施例1-1 6と比較例1-8のバターケーキの評価を表1に示 た。

<配合>
薄力粉        100質量部
砂糖          85質量部
マーガリン       85質量部
全卵(正味)      90質量部
ベーキングパウダー    1質量部
コク味強化剤1      0.415質量部

<製法>
 砂糖とマーガリンを、縦型ミキサーにて中 3分ミキシングした後、全卵を添加し、中速 3分ミキシングした。ここに、薄力粉とコク 強化剤1の混合物を篩ったものを加え、さら ベーキングパウダーを添加し、低速2分ミキ シングしバターケーキ生地を得た。このバタ ーケーキ生地400gを18×6×8cmのパウンド型に流 入れ、160℃のオーブンで40分焼成してバタ ケーキを得た。

〔実施例1-17、比較例1-9〕シューの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-17のシューを製造した。ま 、コク味強化剤1を用いない以外は、実施例1 -17と同様の配合と製法にて比較例1-9のシュー を製造した。得られた実施例1-17と比較例1-9 シューの評価を表1に示した。

<配合>
薄力粉       100質量部
コク味強化剤1     0.43質量部
砂糖          5質量部
食塩          5質量部
マーガリン      85質量部
全卵(正味)    240質量部
水         140質量部

<製法>
 砂糖、食塩、水、及びマーガリンをボウル 入れ沸騰するまで十分に加熱した。ここに 薄力粉とコク味強化剤1の混合物を篩ったも のを加え、十分にアルファ化させた。そこへ 全卵を3-4回に分けて添加しシュー生地を得た 。このシュー生地を直径10mmの口金をつけた り袋に入れ、天板の上に直径40mmの丸型に絞 た。天板全体に霧吹きを掛け、オーブンに 200℃で15分焼成後、さらに170℃で10分焼成し てシューを得た。

〔実施例1-18、比較例1-10〕マドレーヌの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合と 製法にて実施例1-18のマドレーヌを製造した また、コク味強化剤1を用いない以外は、実 例1-18と同様の配合と製法にて比較例1-10の ドレーヌを製造した。得られた実施例1-18と 較例1-10のマドレーヌの評価を表1に示した

<配合>
薄力粉       100質量部
コク味強化剤1     0.5質量部
砂糖         90質量部
マーガリン     100質量部
全卵(正味)    110質量部
ベーキングパウダー   1.5質量部

<製法>
 砂糖と全卵を、縦型ミキサーにて中速3分ミ キシングした後、ここに、薄力粉とコク味強 化剤1の混合物を篩ったものを加え、さらに ーキングパウダーを添加し、低速2分ミキシ グした。ここに、溶かしたマーガリンを添 し、中速3分ミキシングし、マドレーヌ生地 を得た。このマドレーヌ生地をマドレーヌ型 の9分目まで流し入れ、180℃のオーブンで20分 焼成してマドレーヌを得た。

〔実施例1-19〕高甘味度甘味料、乳清ミネラ を用いたデニッシュの製造
 上記のコク味強化剤1を用い、以下の配合に てデニッシュを製造した。製法は実施例1-6と 同様にした。得られたデニッシュの評価を表 1に示した。
 下記配合において、穀粉製品は、強力粉80 量部、薄力粉20質量部、コク味強化剤1を0.05 量部、アセスルファムカリウム0.015質量部 スクラロース0.01質量部、乳清ミネラル0.08質 量部を混合してなるものである。

<配合>
穀粉製品(コク味強化剤1含有)   100.155質量
イースト                5質量部
食塩                  1.3質量部
砂糖                 15質量部
練り込み用マーガリン          8質量部
水                  48質量部
ロールイン用マーガリン        50質量部

 実施例1-5~1-19及び比較例1-2~1-10でそれぞれ得 られた各種ベーカリー食品の評価は、下記評 価基準に従って、バターの呈味、バターの香 り及びバターのコク味について、それぞれ5 階で行なった。
(評価基準1:バターの呈味)
◎◎:良好なバターの呈味を強く感じる
◎:良好なバターの呈味を感じる
○:バターの呈味を感じる
△:バターの呈味が弱い
×:バターの呈味が感じられない
(評価基準2:バターの香り)
◎◎:良好なバターの香りを強く感じる
◎:良好なバターの香りを感じる
○:バターの香りを感じる
△:バターの香りが弱い
×:バターの香りが感じられない
(評価基準3:バターのコク味)
◎◎:良好なバターのコク味を強く感じる
◎:良好なバターのコク味を感じる
○:バターのコク味を感じる
△:バターのコク味が弱い
×:バターのコク味が感じられない

 評価をみてわかるように、グリシン、アラ ン、バリン、フェニルアラニン、リジン、 ルギニン、グルタミン酸を含有するコク味 化剤を用いたベーカリー食品(実施例1-5~1-10 実施例1-12~1-18)は、良好なバターの呈味、バ ターの香り、バターのコク味を感じるベーカ リー食品であった。
 ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニ 、ヒスチジン、リジン、グルタミン酸を含 するコク味強化剤を用いたベーカリー食品( 実施例1-11)は、バターの呈味、バターの香り バターのコク味を感じるベーカリー食品で った。
 グリシン、アラニン、バリン、フェニルア ニン、リジン、アルギニン、グルタミン酸 含有するコク味強化剤、高甘味度甘味料、 清ミネラルを用いたベーカリー食品(実施例 1-19)は、良好なバターの呈味、バターの香り バターのコク味を強く感じるベーカリー食 であった。
 比較例1-2と比較例1-7と比較例1-9は、比較例 中でもベーカリー食品中のマーガリンの割 が高いため、バターの呈味及びバターの香 を感じるものであったが、バターのコク味 感じられないベーカリー食品であった。
 比較例1-3と比較例1-5は、バターの呈味及び ターの香りが感じられず、バターのコク味 感じられないベーカリー食品であった。
 比較例1-4は、バターの呈味及びバターの香 が弱く、バターのコク味も弱いベーカリー 品であった。
 比較例1-6と比較例1-8と比較例1-10は、バター の呈味及びバターの香りが弱く、バターのコ ク味が感じられないベーカリー食品であった 。

〔実施例2-1~2-4〕
 パームオレインのランダムエステル交換油6 2.4質量部、パームスーパーオレインのランダ ムエステル交換油10.4質量部、パームステア ン5.2質量部、大豆油22質量部を混合し、混合 油脂を製造した。この混合油脂からなる油相 84質量%と、水15.9質量%に表2-1に示した遊離ア ノ酸0.1質量%を溶解した水相16質量%とを、乳 化し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備 却した。
 次に6本のAユニット、レスティングチュー を通過させ、急冷可塑化した。
 その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmの シート状に成形し、ロールイン用油脂として 用いることができる本発明のコク味を有する 可塑性乳化油脂組成物(実施例2-1~2-4)を得た。 尚、実施例2-1~2-4の乳化型はW/O型乳化であっ 。

〔比較例2-1~2-9〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.9質量%に表2-2に示した遊離アミノ酸0.1質量% 溶解した水相16質量%を用いた以外は、実施 2-1と同様にして、ロールイン用油脂として いることができる可塑性乳化油脂組成物(比 較例2-1~2-9)を得た。尚、比較例2-1~2-9の乳化型 はW/O型乳化であった。

<ベーカリー試験-1>
 実施例2-1~2-4及び比較例2-1~2-9で得られた可 性乳化油脂組成物を用いて、下記配合と製 によりデニッシュペストリーをそれぞれ製 し、得られたデニッシュペストリーのバタ 風味とバターのコク味を、下記評価基準1に り比較評価した。その結果を表2-3に示した

[デニッシュペストリーの配合]
強力粉           80質量部
薄力粉           20質量部
イースト           4質量部
イーストフード        0.2質量部
上白糖           15質量部
全卵            10質量部
ショートニング        5質量部
水             45質量部
可塑性乳化油脂組成物    45質量部

[デニッシュペストリーの製法]
 ショートニングと可塑性乳化油脂組成物以 の原料をミキサーボールに入れ、フックを い、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分に ミキシングを行い、ショートニングを入れ さらに低速3分、中速3分にてミキシングを行 い、生地を調製した、この生地をフロアタイ ム20分、-5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた 。この生地に可塑性乳化油脂組成物をのせ、 常法により、ロールイン(3つ折り3回)し、成 (縦10センチ、横10センチ、厚さ3ミリ)した。 してホイロ(32℃、50分)をとり、200℃にて15 焼成してデニッシュペストリーを得た。

[デニッシュペストリーの評価基準1]
(バター風味)
 ○:バター風味を感じる
 ×:バター風味を感じない
(バターのコク味)
 +:コク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表2-3から分かるように、バリン及びフェニ アラニンの2種を含む疎水性アミノ酸と、リ ジンを含む塩基性アミノ酸と、酸性アミノ酸 とを含む実施例2-1~2-4の可塑性乳化油脂組成 を用いたデニッシュペストリーは、バター 味とバターのコク味を感じるものであった
 一方、バリン及びフェニルアラニンの2種を 含む疎水性アミノ酸、リジンを含む塩基性ア ミノ酸、並びに酸性アミノ酸のうち1種類の を含む比較例2-1~2-3の可塑性乳化油脂組成物 用いたデニッシュペストリーは、バター風 とバターのコク味を感じられないものであ た。
 また、バリン及びフェニルアラニンの2種を 含む疎水性アミノ酸、リジンを含む塩基性ア ミノ酸、並びに酸性アミノ酸のうち2種類の を含む比較例2-4~2-6の可塑性乳化油脂組成物 用いたデニッシュペストリーも、バター風 とバターのコク味を感じられないものであ た。
 さらに、疎水性アミノ酸、塩基性アミノ酸 び酸性アミノ酸の3種類を含むものの、バリ ン及びフェニルアラニンとリジンとの両者又 はいずれかを含まない比較例2-7~2-9の可塑性 化油脂組成物を用いたデニッシュペストリ も、バター風味とバターのコク味を感じら ないものであった。

〔実施例2-5〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.95質量%に表2-4に示した遊離アミノ酸0.05質量 %を溶解した水相16質量%を用いた以外は、実 例2-1と同様にして、ロールイン用油脂とし 用いることができる可塑性乳化油脂組成物( 施例2-5)を得た。尚、実施例2-5の乳化型はW/O 型乳化であった。

〔実施例2-6〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5質量%に表2-4に示した遊離アミノ酸1質量%溶 した水相16質量%を用いた以外は、実施例2-1 同様にして、ロールイン用油脂として用い ことができる可塑性乳化油脂組成物(実施例2 -6)を得た。尚、実施例2-6の乳化型はW/O型乳化 であった。

<ベーカリー試験-2>
 実施例2-1、2-5、2-6で得られた可塑性乳化油 組成物を用いて、前記ベーカリー試験-1と じ配合と製法により、デニッシュペストリ をそれぞれ製造した。得られたデニッシュ ストリーのバター風味とバターのコク味を 下記評価基準2により比較評価した。その結 を表2-5に示した。

[デニッシュペストリーの評価基準2]
(バター風味)
 ○:バター風味を感じる
 ×:バター風味を感じない
(バターのコク味)
 +:コク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表2-5から、本発明の可塑性乳化油脂組成 における遊離アミノ酸の添加量がいずれの であっても、得られるベーカリー食品は、 ター風味とバターのコク味を感じるもので った。

〔実施例2-7〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.34質量%に、表2-6に示した遊離アミノ酸0.1質 %、脱脂粉乳0.5質量%、及び固形分中のカル ウムの含有量が0.4質量%である乳清ミネラル0 .06質量%(固形分換算)を溶解した水相16質量%を 用いた以外は、実施例2-1と同様にして、ロー ルイン用油脂として用いることができる可塑 性乳化油脂組成物(実施例2-7)を得た。尚、実 例2-7の乳化型はW/O型乳化であった。

〔実施例2-8〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.4質量%に、表2-6に示した遊離アミノ酸0.1質 %及び脱脂粉乳0.5質量%を溶解した水相16質量% を用いた以外は、実施例2-1と同様にして、ロ ールイン用油脂として用いることができる可 塑性乳化油脂組成物(実施例2-8)を得た。尚、 施例2-8の乳化型はW/O型乳化であった。

〔実施例2-9〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.84質量%に、表2-6に示した遊離アミノ酸0.1質 %、及び固形分中のカルシウムの含有量が0.4 質量%である乳清ミネラル0.06質量%(固形分換 )を溶解した水相16質量%を用いた以外は、実 例2-1と同様にして、ロールイン用油脂とし 用いることができる可塑性乳化油脂組成物( 実施例2-9)を得た。尚、実施例2-9の乳化型はW/ O型乳化であった。

〔比較例2-10〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.5質量%に脱脂粉乳を0.5質量%溶解した水相16 量%を用いた以外は、実施例2-1と同様にして ロールイン用油脂として用いることができ 可塑性乳化油脂組成物(比較例2-10)を得た。 、比較例2-10の乳化型はW/O型乳化であった。

〔比較例2-11〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.94質量%に乳清ミネラルを0.06質量%(固形分換 )溶解した水相16質量%を用いた以外は、実施 例2-1と同様にして、ロールイン用油脂として 用いることができる可塑性乳化油脂組成物( 較例2-11)を得た。尚、比較例2-11の乳化型はW/ O型乳化であった。

<ベーカリー試験-3>
 実施例2-1、実施例2-7~2-9及び比較例2-10~2-11で 得られた可塑性乳化油脂組成物を用いて、前 記ベーカリー試験-1と同じ配合と製法により デニッシュペストリーをそれぞれ製造した 得られたデニッシュペストリーのバター風 とバターのコク味を、下記評価基準3により 比較評価した。その結果を表2-7に示した。

[デニッシュペストリーの評価基準3]
(バター風味)
 ○○○:非常に強くバター風味を感じる
 ○○:強くバター風味を感じる
 ○:バター風味を感じる
 ×:バター風味を感じない
(バターのコク味)
 +++:非常に強くコク味を感じる
 ++:強くコク味を感じる
 +:コク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表2-7から分かるように、本発明に係る特定 遊離アミノ酸と、乳清ミネラル又は脱脂粉 とを併用した実施例2-8及び2-9の可塑性乳化 脂組成物を用いたデニッシュペストリーは 乳清ミネラル及び脱脂粉乳を含有しない実 例2-1の可塑性乳化油脂組成物を用いたデニ シュペストリーに比べて、バター風味とバ ーのコク味が強かった。
 さらに、アミノ酸と乳清ミネラルと脱脂粉 の三者を併用した実施例2-7の可塑性乳化油 組成物を用いたデニッシュペストリーは、 常に強くバター風味とバターのコク味を感 た。
 一方、遊離アミノ酸を添加せず、乳清ミネ ルもしくは脱脂粉乳のみを添加した比較例2 -10、2-11の可塑性乳化油脂組成物を用いたデ ッシュペストリーは、バター風味とバター コク味を感じなかった。

〔実施例2-10〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.85質量%に、表2-8に示した遊離アミノ酸0.1質 %及びアセスルファムカリウム0.05質量%を溶 した水相16質量%を用いた以外は、実施例2-1 同様にして、ロールイン用油脂として用い ことができる可塑性乳化油脂組成物(実施例 2-10)を得た。尚、実施例2-10の乳化型はW/O型乳 化であった。

〔実施例2-11〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.79質量%に、表2-8に示した遊離アミノ酸0.1質 %及びアセスルファムカリウム0.05質量%、及 固形分中のカルシウムの含有量が0.4質量%で ある乳清ミネラル0.06質量%(固形分換算)を溶 した水相16質量%を用いた以外は、実施例2-1 同様にして、ロールイン用油脂として用い ことができる可塑性乳化油脂組成物(実施例2 -11)を得た。尚、実施例2-11の乳化型はW/O型乳 であった。

〔実施例2-12〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水5 .9質量%に、表2-8に示した遊離アミノ酸0.1質量 %及び砂糖10質量%を溶解した水相16質量%を用 た以外は、実施例2-1と同様にして、ロール ン用油脂として用いることができる可塑性 化油脂組成物(実施例2-12)を得た。尚、実施 2-12の乳化型はW/O型乳化であった。

〔比較例2-12〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水1 5.95質量%にアセスルファムカリウム0.05質量% 解した水相16質量%を用いた以外は、実施例2- 1と同様にして、ロールイン用油脂として用 ることができる可塑性乳化油脂組成物(比較 2-12)を得た。尚、比較例2-12の乳化型はW/O型 化であった。

〔比較例2-13〕
 実施例2-1で用いた水相16質量%に代えて、水6 .0質量%に砂糖10質量%溶解した水相16質量%を用 いた以外は、実施例2-1と同様にして、ロール イン用油脂として用いることができる可塑性 乳化油脂組成物(比較例2-13)を得た。尚、比較 例2-13の乳化型はW/O型乳化であった。

<ベーカリー試験-4>
 実施例2-1、2-10、2-11及び比較例2-12、2-13で得 られた可塑性乳化油脂組成物を用いて、前記 ベーカリー試験-1と同じ配合と製法により、 ニッシュペストリーをそれぞれ製造した。 られたデニッシュペストリーのバター風味 甘みを、下記評価基準4により比較評価した 。その結果を表2-9に示した。

[デニッシュペストリーの評価基準4]
(バター風味)
 ○○○:非常に強くバター風味を感じる
 ○○:強くバター風味を感じる
 ○:バター風味を感じる
 ×:バター風味を感じない
(甘み)
 ○:強く甘みを感じる
 ×:甘みを感じない

 表2-9から分かるように、本発明に係る特定 遊離アミノ酸にアセスルファムカリウムを 用した実施例2-10の可塑性乳化油脂組成物を 用いたデニッシュペストリーは、アセスルフ ァムカリウムを含有しない実施例2-1の可塑性 乳化油脂組成物を用いたデニッシュペストリ ーに比べて、バター風味を強く感じ、甘みも 強く感じた。また、本発明に係る特定の遊離 アミノ酸に、アセスルファムカリウム及び乳 清ミネラルを併用した実施例2-11の可塑性乳 油脂組成物を用いたデニッシュペストリー 、バター風味が非常に強く、甘みも強く感 た。
 一方、遊離アミノ酸を添加せず、アセスル ァムカリウム又は砂糖のみを添加した比較 2-12、2-13の可塑性乳化油脂組成物を用いた ニッシュペストリーは、甘みは強く感じる のの、バター風味を感じなかった。

〔実施例3-1~3-4〕
 水49質量%を60℃に昇温し、撹拌しながら、 脂粉乳5質量%、メタリン酸ナトリウム0.1質量 %、及び表3-1に示した遊離アミノ酸0.1質量%を 解させて水相を用意した。
 一方、大豆硬化油(融点31℃)36質量%、パーム 核油4.5質量%及びコーン油4.5質量%に、ショ糖 肪酸エステル0.3質量%、グリセリン脂肪酸エ ステル0.2質量%、レシチン0.2質量%及びソルビ ン脂肪酸エステル0.1質量%を溶解して油相を 用意し、上記水相54.2質量%に該油相45.8質量% 加え混合、乳化して予備乳化物を調製した 該予備乳化物を5MPaの圧力で均質化した後、V TIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142 にて4秒間殺菌し、再度30MPaの圧力で均質化 、5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時 エージングを行い、本発明のコク味を有す 水中油型乳化組成物(実施例3-1~3-4)を得た。

〔比較例3-1~3-9〕
 実施例3-1で用いた遊離アミノ酸0.1質量%に代 えて、表3-2に示した遊離アミノ酸0.1質量%を いた以外は、実施例3-1と同様にして、水中 型乳化組成物(比較例3-1~3-9)を得た。

<風味試験-1>
 実施例3-1~3-4及び比較例3-1~3-9で得られた水 油型乳化組成物460gにグラニュー糖40gを混合 、縦型ミキサーを用いて、毎分700回転の速 で、最適起泡状態までホイップした。得ら たホイップクリームの乳風味とコク味を以 の基準にて評価した。
(乳風味)
 ○:良好
 △:僅かに感じる
(コク味)
 +:強くコク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表3-3から分かるように、特定の疎水性アミ 酸、塩基性アミノ酸及び酸性アミノ酸を用 た実施例3-1~3-4の水中油型乳化組成物をホイ ップしたホイップクリームは、良好な乳風味 を有しており、強くコク味を感じた。
 一方、本発明に係る疎水性アミノ酸、塩基 アミノ酸及び酸性アミノ酸のうちの1又は2 みを含む比較例3-1~3-6の水中油型乳化組成物 ホイップしたホイップクリームは、乳風味 僅かに感じるものの、コク味を感じなかっ 。
 さらに、疎水性アミノ酸、塩基性アミノ酸 び酸性アミノ酸の全てを含むものの、本発 に係るバリン及びフェニルアラニンとリジ との両者又はいずれかを含まない比較例3-7~ 3-9の水中油型乳化組成物をホイップしたホイ ップクリームも、乳風味を僅かに感じるもの の、コク味を感じなかった。

〔実施例3-5〕
 水相の調製において、水の量を49質量%から4 9.05質量%に変更し、且つ遊離アミノ酸の量を0 .1質量%から0.05質量%に変更した以外は、実施 3-1と同様にして、本発明のコク味を有する 中油型乳化組成物を得た。
 尚、使用した遊離アミノ酸の組成は表3-4に す通りである。該組成は、実施例3-1で用い 遊離アミノ酸の組成と同じである。

〔実施例3-6〕
 水相の調製において、水の量を49質量%から4 8.6質量%に変更し、且つ遊離アミノ酸の量を0. 1質量%から0.5質量%に変更した以外は、実施例 3-1と同様にして、本発明のコク味を有する水 中油型乳化組成物を得た。
 尚、使用した遊離アミノ酸の組成は表3-4に す通りである。該組成は、実施例3-1で用い 遊離アミノ酸の組成と同じである。

<風味試験-2>
 実施例3-1、3-5及び3-6においてそれぞれ得ら た水中油型乳化組成物460gにグラニュ
ー糖40gを混合し、縦型ミキサーを用いて、毎 分700回転の速度で、最適起泡状態ま
でホイップした。得られたホイップクリーム の乳風味とコク味を以下の基準にて評価した 。
(乳風味)
 ○:良好
 △:僅かに感じる
(コク味)
 +:強くコク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表3-5から、本発明の水中油型乳化組成物 おける遊離アミノ酸の添加量がいずれの量 あっても、得られるホイップクリームは、 好な乳風味を有しており、強くコク味を感 られることが分かる。

〔実施例3-7~3-9〕
 表3-6の配合により、以下の通り実施例3-1と 様の手順で、水中油型乳化組成物をそれぞ 製造した(実施例3-7~3-9)。
 即ち、まず、水を60℃に昇温し、撹拌しな ら、水以外の水相原料を溶解させて、水相 用意した。一方、油脂に油脂以外の油相原 を溶解、分散させて油相を用意し、上記水 に該油相を加え混合、乳化して予備乳化物 調製した。該予備乳化物を5MPaの圧力で均質 した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT 菌機)で142℃にて、4秒間殺菌し、再度30MPaの 力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷 蔵庫で24時間エージングを行い、本発明のコ 味を有する水中油型乳化組成物を得た。
 なお、表3-6に記載の遊離アミノ酸の組成を 3-7に示した。また、表3-6には、比較のため 実施例3-1の配合も併せて記載した。実施例3 -1で用いた遊離アミノ酸の組成(上記表3-1参照 )と、表3-7に示す実施例3-7~3-9で用いた遊離ア ノ酸の組成とは同じである。

<風味試験-3>
 実施例3-1、3-7~3-9で得られた水中油型乳化組 成物460gにグラニュー糖40gを混合し、縦型ミ サーを用いて、毎分700回転の速度で、最適 泡状態までホイップした。得られたホイッ クリームの乳風味、コク味、食感を以下の 準にて評価した。
(乳風味)
 ○○○:極めて良好
 ○○:非常に良好
 ○:良好
 △:僅かに感じる
 ×:不良
(コク味)
 ++:非常に強くコク味を感じる
 +:強くコク味を感じる
 -:コク味を感じない
(食感)
 ○:口当たりがみずみずしい
 △:口当たりがややもったりしている

 表3-8から分かるように、クリームからバタ オイルを製造する際に生じる水相成分の噴 乾燥物を用いた実施例3-7の水中油型乳化組 物をホイップしたホイップクリームは、該 霧乾燥物を用いず乳化剤を用いた実施例3-1 水中油型乳化組成物をホイップしたホイッ クリームよりも、乳風味が一層良好になり さらに口当たりもみずみずしいものに改善 れた。
 また、乳化剤と乳清ミネラルを使用した実 例3-8の水中油型乳化組成物をホイップした イップクリームは、乳化剤を使用したが乳 ミネラルを使用していない実施例3-1の水中 型乳化組成物をホイップしたホイップクリ ムよりも、さらに乳風味、コク味の評価が かった。
 クリームからバターオイルを製造する際に じる水相成分の噴霧乾燥物と乳清ミネラル 用いた実施例3-9の水中油型乳化組成物をホ ップしたホイップクリームは、乳化剤と乳 ミネラルを使用した実施例3-8の水中油型乳 組成物をホイップしたホイップクリームよ も、口当たりがみずみずしいものに改善さ 、乳風味も極めて良好なものとなった。

〔比較例3-10〕
 水相の調製において、水の量を49質量%から4 9.1質量%に変更し、且つ遊離アミノ酸を用い かった以外は、実施例3-1と同様にして、水 油型乳化組成物を得た。

<風味試験-4>
 実施例3-6及び比較例3-10で得られた水中油型 乳化組成物を用いて、下記配合及び製法によ りプリンをそれぞれ製造し、乳風味とコク味 を下記評価基準により評価し、その結果を表 3-9に示した。
(プリンの配合及び製法)
 水25質量%、水中油型乳化組成物15質量%及び 乳20質量%を混合した後、40℃に昇温し、攪 しながらグラニュー糖10質量%を溶解させた ここに、よく溶き混ぜた全卵20質量%及び卵 10質量%を投入して、攪拌した後、裏漉しし プリン生地を得た。
 このプリン生地を耐熱カップに流し込み、2 00度のオーブンで15分蒸し焼きにした。その 、冷蔵庫で12時間冷却し、プリンを得た。
(乳風味)
 ○:良好
 △:僅かに感じる
(コク味)
 +:強くコク味を感じる
 -:コク味を感じない

 表3-9から分かるように、遊離アミノ酸を配 した本発明の水中油型乳化組成物(実施例3-6 )を用いて作製したプリンは、良好な乳風味 有しており、強くコク味を感じた。
 一方、遊離アミノ酸を配合していない水中 型乳化組成物(比較例3-10)を用いて作製した リンは、乳風味を僅かに感じるものの、コ 味は感じられなかった。

 実施例4及び比較例4で使用したエステル交 油脂Aの製造方法を以下に示す。
(エステル交換油脂の製造)
 ヨウ素価65のパームスーパーオレインにナ リウムメチラートを触媒として、非選択的 ステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85 ℃、9.3×10 2 Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気 吹き込み量5%、4.0×10 2 Pa以下の減圧下)を行ない、パーム分別軟部油 のエステル交換油脂Aを得た。

〔実施例4-1~4-4〕
 エステル交換油脂A8質量%にキサンタンガム0 .2質量%を添加し、油相とした。水44.4質量%、 4-1に示した組成の遊離アミノ酸0.1質量%、デ ンプン(水分13質量%)8質量%、ソルビン酸カリ ム0.1質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖分 75質量%、水分25質量%)35質量%、小麦粉3質量%、 脱脂粉乳(糖分53質量%、水分3.8質量%)1.1質量% 香料0.1質量%を混合し水相とする。この油相 水相とを混合、乳化、均質化し、加熱殺菌 、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー 填後、22℃まで冷却し、本発明の実施例4-1~4- 4のコク味を有するペースト状フラワーペー トを得た。
 得られたペースト状フラワーペースト(実施 例4-1~4-4)を用いて下記に示す配合と製法にて ースト状フラワーペースト練り込み食パン( 実施例4-1~4-4)を製造した。
 得られたペースト状フラワーペースト練り み食パン(実施例4-1~4-4)について、以下の評 基準に従って、バター風味とバターのコク を評価した。評価の結果を表4-4に示した。

(配合)
 中種:強力粉70質量部、イースト2質量部、イ ーストフード0.1質量部、水40質量部
 本捏:強力粉30質量部、上白糖20質量部、食 1.3質量部、全卵(正味)6質量部、練り込み用 ーガリン5質量部、水13質量部、ペースト状 ラワーペースト20質量部
(製法)
 中種の原料をミキサーボールに入れ、縦型 キサーを用い、低速で3分、高速で1分混捏 た。捏上温度を25℃とした後、28℃の発酵室 4時間発酵させた。
 発酵した中種生地と、練り込み用マーガリ とペースト状フラワーペースト以外の本捏 合原料とをミキサーボールに入れ、縦型ミ サーを用い、低速で3分、中速で2分、高速 1分混捏した後、練り込み用マーガリンとペ スト状フラワーペーストを添加し、低速で3 分、中速で4分、高速で3分混捏し、捏上温度 25℃とした。
 得られた生地を20分のフロアタイムを取っ 後、250gずつに分割した。15分のベンチタイ をとった後、モルダー成形し、3斤型に6本生 地を入れ、温度38℃、相対湿度80~85%のホイロ 70分発酵させ、次いで190℃で15分間焼成し、 ペースト状フラワーペースト練り込み食パン を得た。

(評価)
[バター風味]    〇:感じる、△:僅かに感じ る
[バターのコク味]   +:感じる -:コク味を感 ない

〔比較例4-1~4-9〕
 実施例4-1で用いた遊離アミノ酸0.1質量%に代 えて、表4-2と表4-3に示した組成の遊離アミノ 酸0.1質量%を用いた以外は、実施例4-1と同様 して、比較例4-1~4-9のペースト状フラワーペ ストを得た。
 得られたペースト状フラワーペースト(比較 例4-1~4-9)を用いて実施例4-1と同様の配合と製 にてペースト状フラワーペースト練り込み パン(比較例4-1~4-9)を製造した。
 得られたペースト状フラワーペースト練り み食パン(比較例4-1~4-9)について、実施例4-1 同様の評価基準に従って、バター風味とバ ーのコク味を評価した。評価の結果を表4-4 示した。

 表4-4の結果から、遊離アミノ酸として疎 性アミノ酸であるグリシン、アラニン、バ ン及びフェニルアラニン、塩基性アミノ酸 あるリジンとアルギニン、酸性アミノ酸で るグルタミン酸を含有する実施例4-1~4-4のペ ースト状フラワーペーストを用いた練り込み 食パンはバター風味を感じ、バターのコク味 を感じるものであった。

 一方、塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸を 有しない比較例4-1のペースト状フラワーペ スト、疎水性アミノ酸と酸性アミノ酸を含 しない比較例4-2のペースト状フラワーペー ト、疎水性アミノ酸と塩基性アミノ酸を含 しない比較例4-3のペースト状フラワーペー ト、酸性アミノ酸を含有しない比較例4-4の ースト状フラワーペースト、塩基性アミノ を含有しない比較例4-5のペースト状フラワ ペースト、疎水性アミノ酸を含有しない比 例4-6のペースト状フラワーペースト、疎水 アミノ酸であるバリンとフェニルアラニン 含有しない比較例4-7のペースト状フラワー ースト、塩基性アミノ酸であるリジンを含 しない比較例4-8のペースト状フラワーペー ト、疎水性アミノ酸であるバリンとフェニ アラニン、塩基性アミノ酸であるリジンを 有しない比較例4-9のペースト状フラワーペ ストを用いた練り込み食パンはバター風味 僅かに感じたが、バターのコク味を感じな ものであった。

〔実施例4-5~4-8〕
 エステル交換油脂A25質量%及びパーム極度硬 化油(ヨウ素化1未満)0.05質量%に、キサンタン ム0.01質量%及びペクチン0.3質量%を添加し油 とした。水28.85質量%、表4-5の遊離アミノ酸0 .1質量%、デンプン4質量%、小麦粉3質量%、ゼ チン2質量%、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(糖 75質量%、水分25質量%)35質量%、脱脂粉乳(糖分 53質量%、水分3.8質量%)1質量%及び香料0.69質量% を混合し水相とした。この油相と水相とを加 熱溶解、混合、乳化、均質化し、加熱殺菌し 、厚さ0.2mmポリエチレン製の包材にピロー充 後、22℃まで冷却し、長さ400mm、幅200mm、厚 8mmの本発明の実施例4-5~4-8のコク味を有する シート状フラワーペーストを得た。

 得られたシート状フラワーペースト(実施例 4-5~4-8)を用いて下記に示す配合と製法にてシ ト状フラワーペースト折り込みスイートロ ル(実施例4-5~4-8)を製造した。
 得られたシート状フラワーペースト折り込 スイートロール(実施例4-5~4-8)について、以 の評価基準に従って、バター風味とバター コク味を評価した。評価の結果を表4-8に示 た。

(配合)
 強力粉80質量部、薄力粉20質量部、脱脂粉乳 3質量部、食塩1.5質量部、全卵(正味)8質量部 イースト3質量部、イーストフード0.1質量部 ショートニング10質量部、冷水51質量部。

(製法)
 上記の配合の冷水以外の原料をミキサーボ ルに入れ、縦型ミキサーを用い、低速で各 料が均一になるまで3分混捏した後、撹拌し ながら冷水を加え、低速で2分混合し、捏ね げ温度を20℃とした。次いで、20分フロアタ ムを取った後、-20℃の冷凍庫にて60分生地 冷却した。
 得られた生地を厚さ6mmに圧延し、生地100質 部に対し、シート状フラワーペースト50質 部を積置後、包み込み、リバースシーター 3つ折り2回のロールイン操作を行ない、9層 積層生地である複合生地を得た。この複合 地を2℃で4時間冷却した後、厚さ15mmまで圧 し、幅15mm、長さ200mmの短冊状にカットし、 れを天板に並べ、室温にて30分ラックタイム を取った後、上火200℃、下火180℃に設定した 固定窯で14分焼成し、フラワーペースト折り みスイートロールを得た。

(評価)
[バター風味]   〇:感じる、△:僅かに感じ
[バターのコク味]  +:感じる -:コク味を感じ ない

〔比較例4-10~4-18〕
 実施例4-5におけるパーム極度硬化油0.05質量 %を無添加とし、水相の調整において、実施 4-5で用いた遊離アミノ酸0.1質量%に代えて、 4-6と表4-7に示した遊離アミノ酸0.1%を用い、 水28.85質量%を28.9質量%に変更した以外は、実 例4-5と同様にして、比較例4-10~4-18のシート フラワーペーストを得た。

 得られたフラワーペースト(比較例4-10~4-18) 用いて実施例4-5と同様の配合と製法にてフ ワーペースト折り込みデニッシュ(比較例4-10 ~4-18)を製造した。
 得られたフラワーペースト折り込みデニッ ュ(比較例4-10~4-18)について、実施例4-5と同 の評価基準に従って、バター風味とバター コク味を評価した。評価の結果を表4-8に示 た。

 表4-8の結果から、遊離アミノ酸として疎 性アミノ酸であるグリシン、アラニン、バ ン及びフェニルアラニン、塩基性アミノ酸 あるリジンとアルギニン、酸性アミノ酸で るグルタミン酸を含有する実施例4-5~4-8のシ ート状フラワーペーストを用いた折り込みデ ニッシュはバター風味を感じ、バターのコク 味を感じるものであった。

 一方、塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸を 有しない比較例4-10のシート状フラワーペー スト、疎水性アミノ酸と酸性アミノ酸を含有 しない比較例4-11のシート状フラワーペース 、疎水性アミノ酸と塩基性アミノ酸を含有 ない比較例4-12のシート状フラワーペースト 酸性アミノ酸を含有しない比較例4-13のシー ト状フラワーペースト、塩基性アミノ酸を含 有しない比較例4-14のシート状フラワーペー ト、疎水性アミノ酸を含有しない比較例4-15 シート状フラワーペースト、疎水性アミノ であるバリンとフェニルアラニンを含有し い比較例4-16のシート状フラワーペースト、 塩基性アミノ酸であるリジンを含有しない比 較例4-17のシート状フラワーペースト、疎水 アミノ酸であるバリンとフェニルアラニン 塩基性アミノ酸であるリジンを含有しない 較例4-18のシート状フラワーペーストを用い 折り込みデニッシュはバター風味を僅かに じたが、バターのコク味を感じないもので った。

〔実施例4-9〕
 実施例4-5の水相の調製において、水の量を2 8.9質量%から28.95質量%に変更し、且つ遊離ア ノ酸(組成は実施例4-5で用いたものと同様)の 配合量を0.1質量%から0.05質量%に変更した以外 は、実施例4-5と同様にして本発明のコク味を 有するシート状フラワーペースト(実施例4-9) 得た。
 得られた実施例4-9のフラワーペーストを用 て実施例4-5と同様の配合と製法にてフラワ ペースト折り込みデニッシュ(実施例4-9)を 造した。
 得られたフラワーペースト折り込みデニッ ュ(実施例4-9)について、実施例4-5と同様の 価基準に従って、バター風味とバターのコ 味を評価した。評価の結果を表4-9に示した

〔実施例4-10〕
 実施例4-5の水相の調製において、水の量を2 8.9質量%から28.5質量%に変更し、且つ遊離アミ ノ酸(組成は実施例4-5で用いたものと同様)の 合量を0.1質量%から0.5質量%に変更した以外 、実施例4-5と同様にして本発明のコク味を するシート状フラワーペースト(実施例4-10) 得た。
 得られた実施例4-10のフラワーペーストを用 いて実施例4-5と同様の配合と製法にてフラワ ーペースト折り込みデニッシュ(実施例4-10)を 製造した。
 得られたフラワーペースト折り込みデニッ ュ(実施例4-10)について、実施例4-5と同様の 価基準に従って、バター風味とバターのコ 味を評価した。評価の結果を表4-9に示した

 表4-9の結果から、遊離アミノ酸として疎 性アミノ酸であるグリシン、アラニン、バ ン及びフェニルアラニン、塩基性アミノ酸 あるリジンとアルギニン、酸性アミノ酸で るグルタミン酸を含有する実施例4-9と4-10の シート状フラワーペーストを用いた折り込み デニッシュはバター風味を感じ、バターのコ ク味を感じるものであった。

〔実施例4-11〕
 実施例4-5の水相の調整において、水の量を2 8.9質量%から28.8質量%に変更し、且つ固形分中 のカルシウム含量が0.14質量%である乳清ミネ ル0.1質量%(固形分換算)を用いた以外は、実 例4-5と同様にして本発明のコク味を有する ート状フラワーペースト(実施例4-11)を得た なお、実施例4-11の遊離アミノ酸組成は実施 例4-5と同様であり、配合量も実施例4-5と同様 である。
 得られた実施例4-11のフラワーペーストを用 いて実施例4-5と同様の配合と製法にてフラワ ーペースト折り込みデニッシュ(実施例4-11)を 製造した。
 得られたフラワーペースト折り込みデニッ ュ(実施例4-11)について、以下の評価基準に って、バター風味とバターのコク味を評価 た。評価の結果を表4-10に示した。

(評価)
[バター風味] ○○:強く感じる 〇:感じる  :僅かに感じる
[バターのコク味] ++:強く感じる +:感じる -: コク味を感じない

〔比較例4-19〕
 実施例4-5の水相の調整において、遊離アミ 酸0.1質量%を固形分中のカルシウム含量が0.1 4質量%である乳清ミネラル0.1質量%に変更した 以外は実施例4-5と同様にしてシート状フラワ ーペースト(比較例4-19)を得た。
 得られた比較例4-19のフラワーペーストを用 いて実施例4-5と同様の配合と製法にてフラワ ーペースト折り込みデニッシュ(比較例4-19)を 製造した。
 得られたフラワーペースト折り込みデニッ ュ(比較例4-19)について、実施例4-11と同様の 評価基準に従って、バター風味とバターのコ ク味を評価した。評価の結果を表4-10に示し 。

 表4-10の結果から、遊離アミノ酸として疎水 性アミノ酸であるグリシン、アラニン、バリ ン及びフェニルアラニン、塩基性アミノ酸で あるリジンとアルギニン、酸性アミノ酸であ るグルタミン酸、乳清ミネラルを含有する実 施例4-11のシート状フラワーペーストを用い 折り込みデニッシュはバター風味を強く感 、バターのコク味を強く感じるものであっ 。
 遊離アミノ酸を含有せず、乳清ミネラルを 有した比較例4-19のシート状フラワーペース トを用いた折り込みデニッシュは、バター風 味を僅かに感じたが、バターのコク味を感じ ないものであった。

 本発明のコク味強化剤は、乳製品の良好 香り、呈味やコク味、さらにバターの香り バターの呈味やバターのコク味を、ベーカ ー食品等の食品に付与することができる。




 
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