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Patent Searching and Data


Title:
ALUMINUM ALLOY BRAZING SHEET FOR HEAT EXCHANGER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078598
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an aluminum alloy brazing sheet for heat exchangers, which has high strength after brazing, high corrosion resistance and excellent brazability. Specifically disclosed is an aluminum alloy brazing sheet (1a) for heat exchangers comprising a core member (2), a sacrificial member (3) formed on one side of the core member (2), and a brazing filler metal (4) formed on the other side of the core member (2) and composed of an Al-Si alloy. The sacrificial member (3) contains 0.03-0.30% by mass of Fe, 0.01-0.40% by mass of Mn, 0.4-1.4% by mass of Si, 2.0-5.5% by mass of Zn, not more than 0.05% by mass of Mg and the balance of Al and unavoidable impurities. In addition, the sacrificial member (3) has a crystal grain size of 100-400 μm after 5-minute heat treatment at 600˚C during the brazing.

Inventors:
UEDA TOSHIKI
TSURUNO AKIHIRO
KOSHIGOE FUMIHIRO
OKAZAKI KEIICHI (JP)
NAGAYA TAKAHIKO (JP)
NEKURA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074278
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 18, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
DENSO CORP (JP)
UEDA TOSHIKI
TSURUNO AKIHIRO
KOSHIGOE FUMIHIRO
OKAZAKI KEIICHI (JP)
NAGAYA TAKAHIKO (JP)
NEKURA KENJI (JP)
International Classes:
C22C21/10; F28F19/06; F28F21/08; C22F1/053
Foreign References:
JPH03124393A1991-05-27
JPH03124394A1991-05-27
JPH11209837A1999-08-03
JP2000202680A2000-07-25
JPH11293372A1999-10-26
JP2007039753A2007-02-15
JP2007092101A2007-04-12
JP2007216283A2007-08-30
JP2004076057A2004-03-11
Other References:
See also references of EP 2103702A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building3-7, Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka, JP)
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Claims:
 芯材と、この芯材の一面側に形成された犠牲材と、この芯材の他面側に形成されたAl-Si系合金からなるろう材とを備えた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、
 前記犠牲材は、Fe:0.03~0.30質量%、Mn:0.01~0.40質量%、Si:0.4~1.4質量%、Zn:2.0~5.5質量%、Mg:0.05質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、かつ、600℃×5分間熱処理後の結晶粒径が100~400μmであることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
Description:
熱交換器用アルミニウム合金ブ ージングシート

 本発明は、自動車等の熱交換器に使用さ る熱交換器用アルミニウム合金ブレージン (brazing)シートに関する。

 一般に、自動車用のラジエータ、エバポレ タ及びコンデンサ等の熱交換器におけるチ ーブ材等の材料としては、アルミニウム合 クラッド材(clad material)(アルミニウム合金 レージングシート)が使用されている。
 このような、アルミニウム合金クラッド材( (アルミニウム合金ブレージングシート)とし は、アルミニウム合金からなる芯材の一面 、Al-Si合金からなるろう材(brazing filler metal )を形成し、この芯材の他面に、Al-Zn合金から なる犠牲陽極材(sacrificial anode material)を形成 し、これら芯材、ろう材、犠牲陽極材の組成 を規定することにより、ろう付(brazing)性、強 度、耐食性(corrosion resistance)等を向上させた レージングシートやアルミニウム合金クラ ド材が開示されている(例えば、特許文献1 照)。

特開2004-76057号公報(段落0021~0040、0064)

 しかしながら、従来のブレージングシート においては、以下に示すような問題があっ 。
 熱交換器におけるチューブ材等をブレージ グシート等で作製すると、ろう材と犠牲材( sacrificial material)(犠牲陽極材)が接合される箇 所が生じる。かかる箇所では、ろう付時にお ける加熱により、ろう材のろうが溶解してフ ィレット(fillet)(ろうだまり)ができることに り、ろう材と犠牲材が接合される。
 しかし、従来のブレージングシート等では ろう付性の改善はなされているものの、接 部において、フィレットの長さが十分でな 場合があり、ろう付性に劣る場合があった

 また、自動車用熱交換器においては、材料 薄肉(thin gauge)化が図られているが、軽量化 、小型化およびコストダウンのために、さら なる薄肉化の要請が強まっている。そして、 この薄肉化を進めるため、さらなるろう付後 強度の高さと高耐食性(high-corrosion resistance) 必要とされるとともに、良好なろう付性が められている。
 ここで、従来の技術においては、ろう付後 度、耐食性、ろう付性等のレベルは向上し いるものの、材料の薄肉化に対応するため 高いろう付後強度、高耐食性であるととも 、ろう付性のさらなる改善が望まれている

 そこで、本発明は、かかる問題に鑑みて されたものであり、ろう付後強度が高く、 つ、高耐食性であるとともに、ろう付性に れる熱交換器用アルミニウム合金ブレージ グシートを提供するものである。

 前記課題を解決するための手段として、 発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブ ージングシートは、芯材と、この芯材の一 側に形成された犠牲材と、この芯材の他面 に形成されたAl-Si系合金からなるろう材と 備えた熱交換器用アルミニウム合金ブレー ングシートであって、前記犠牲材は、Fe:0.03~ 0.30質量%、Mn:0.01~0.40質量%、Si:0.4~1.4質量%、Zn:2 .0~5.5質量%、Mg:0.05質量%以下を含有し、残部が Alおよび不可避的不純物(inevitable impurities)か なり、かつ、600℃×5分間熱処理後の結晶粒 が100~400μmであることを特徴とする。

 このような構成によれば、犠牲材にFe、Mn 、Si、ZnおよびMgを添加することにより、犠牲 材中に金属間化合物が生成し、ろう付後強度 が向上する。また、犠牲材へのZnの添加によ 、電位が卑(less noble)となることで、芯材に 対する犠牲陽極効果が高まり、耐食性が向上 し、Si、Mgの添加により、Si、Mgが合金組織中 固溶して、ろう付後強度が向上する。さら 、ろう付時における600℃×5分間熱処理後の 晶粒径を100~400μmの範囲に制御することで、 ろう付時に、ろう材と犠牲材の接合部位にお けるろう広がり性(filler spreading abilities)が向 上し、フィレット(ろうだまり)の長さが長く る。これにより、ろう付性が向上する。

 本発明に係る熱交換器用アルミニウム合 ブレージングシートによれば、犠牲材に、 定の元素を所定量含有させるとともに、ろ 付時における熱処理後の結晶粒径を所定範 に制御することで、ろう付後強度、耐食性 向上させるとともに、ろう付性を向上させ ことができる。

(a)は、本発明に係る熱交換器用アルミ ウム合金ブレージングシートの構成を示す 面図、(b)は、他の実施形態に係る熱交換器 アルミニウム合金ブレージングシートの構 を示す断面図である。 熱交換器用アルミニウム合金ブレージ グシートの製造方法のフローを示す図であ 。 図3は、ろう付性の評価方法を示す概略 図であり、(a)は、ろう付加熱前の状態を横方 向から見た概略図、(b)は、ろう付加熱前の状 態を上方向から見た概略図、(c)は、ろう付加 熱後の状態を横方向から見た概略図、(d)は、 ろう付加熱後の状態を上方向から見た概略図 である。

符号の説明

1a、1b 熱交換器用アルミニウム合金ブレージ ングシート
2、12 芯材
3、13 犠牲材
4、14 ろう材
5 中間材
S1a 芯材用部材準備工程
S1b 犠牲材用部材準備工程
S1c ろう材用部材準備工程
S2 重ね合わせ工程
S3 熱処理工程
S4 熱間圧延(hot rolling)工程
S5 粗鈍(annealing)工程
S6、S8 冷間圧延(cold rolling)工程
S7 中間焼鈍(annealing)工程
S9 仕上げ焼鈍工程

 次に、図面を参照して本発明に係る熱交 器用アルミニウム合金ブレージングシート ついて詳細に説明する。なお、参照する図 において、図1は、本発明に係る熱交換器用 アルミニウム合金ブレージングシートの構成 を示す断面図、図2は、熱交換器用アルミニ ム合金ブレージングシートの製造方法のフ ーを示す図である。

 本発明に係る熱交換器用アルミニウム合 ブレージングシート(以下、適宜「ブレージ ングシート」という)としては、図1(a)に示す うに、芯材2の一面側に犠牲材3、他面側に う材4を形成した3層の熱交換器用アルミニウ ム合金ブレージングシート1a(ブレージングシ ート1a)を挙げることができる。

 次に、ブレージングシート1aを構成する 材2、犠牲材3、ろう材4における合金成分の 有量の数値限定理由等および犠牲材3の結晶 径の限定理由等について説明する。

≪芯材≫
 芯材2としては、例えば、Cu:0.5~1.2質量%、Mn:0 .6~1.9質量%、Si:0.5~1.4質量%を含有し、さらに、 Cr:0.05~0.3質量%、Ti:0.05~0.3質量%のうち、少なく とも1種以上を含有し、残部がAlおよび不可避 的不純物からなる芯材2を使用することがで る。しかし、芯材2は、特に限定されるもの はなく、通常使用する芯材2であれば、どの ようなものでもよい。例えば、強度を向上さ せるため、Mg:0.01~0.7質量%を含有してもよく、 その他Fe等を含有してもよい。

≪犠牲材≫
 犠牲材3は、Fe:0.03~0.30質量%、Mn:0.01~0.40質量% Si:0.4~1.4質量%、Zn:2.0~5.5質量%、Mg:0.05質量%以 を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物 らなり、かつ、600℃×5分間熱処理後の結晶 径が100~400μmを満たすことを必要とする。
 なお、ここでの600℃×5分間熱処理後という は、ろう付時におけるものである。

 <Fe:0.03~0.30質量%>
 Feは、Al、Mn、Siとともに金属間化合物であ Al-Mn-Fe、Al-Fe-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等を形成 て合金組織中に晶出(crystallization)または析出 (precipitation)し、ろう付後強度を向上させる。
 Feの含有量が0.03質量%未満では、ろう付後強 度の向上効果を得ることができない。一方、 0.30質量%を超えると、Al-Mn-Fe、Al-Fe-Si、Al-Mn-Fe- Si系化合物等が増大してカソード(cathode)反応 が増大し、耐食性が劣化する。
 したがって、Feの含有量は、0.03~0.30質量%と る。

 <Mn:0.01~0.40質量%>
 Mnは、Al、Fe、Siとともに金属間化合物であ Al-Mn-Fe、Al-Mn-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等を形成 て合金組織中に晶出または析出し、ろう付 後強度を向上させる。
 Mnの含有量が0.01質量%未満では、ろう付後強 度の向上効果を得ることができない。一方、 0.40質量%を超えると、犠牲材3表面のろうの流 動性(flowability)を低下させ、ろう付性(ろう流 性)が劣化する。
 これは、犠牲材3表面に液相(liquid phase)ろう (溶融(melting)ろう)が接しながら広がる際に、 牲材3中のMnが、液相ろうの犠牲材3表面での 濡れ性(wettability)を低下させるためである。
 したがって、Mnの含有量は、0.01~0.40質量%と る。

 <Si:0.4~1.4質量%>
 Siは、Al、Fe、Mnとともに金属間化合物であ Al-Fe-Si、Al-Mn-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等を形成 て合金組織中に晶出または析出し、ろう付 強度を向上させる。またSiは、その一部が合 金組織中に固溶して、ろう付後強度を向上さ せる。
 Siの含有量が0.4質量%未満では、固溶不足等 より、ろう付後強度の向上効果を得ること できない。一方、1.4質量%を超えると、Al-Fe- Si、Al-Mn-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等が増大してカ ソード反応性が増大し、耐食性が劣化する。
 したがって、Siの含有量は、0.4~1.4質量%とす る。

 <Zn:2.0~5.5質量%>
 Znは、犠牲材3の電位を卑にさせる効果があ 、犠牲材3に添加することによって芯材2に する犠牲陽極効果を高め、耐食性を向上さ る。
 Znの含有量が2.0質量%未満では、電位を卑に る効果を得ることができず、犠牲陽極効果 不十分となり、耐食性が劣化する。一方、5 .5質量%を超えると、犠牲材3の融点が低下す ため、チューブ、ヘッダ、フィン等の各部 をろう付して熱交換器を接合するろう付工 において、犠牲材3が部分的に溶解するおそ がある。犠牲材3が部分的に溶解すると、ろ う付性(ろう流動性)、ろう付後強度、耐食性 劣化する。
 したがって、Znの含有量は、2.0~5.5質量%とす る。

 <Mg:0.05質量%以下>
 Mgは、合金組織中に固溶して、ろう付後強 を向上させる。さらに、犠牲材3に含まれるZ nとの間でMgZn 2 の組成からなる金属間化合物を形成するため 、ろう付後強度がより向上する。
 Mgの含有量が、0.05質量%を超えると、フラッ クス(flux)とMgが反応し、MgF 2 等の錯化合物を生成する。そのため、フラッ クス自体の活性度がさがり、犠牲材3表面の 化皮膜を破る作用が低下して、ろう付性が 化する。
 したがって、Mgの含有量は、0.05質量%以下と する。
 なお、ろう付後強度向上の効果を得るには 0.003質量%以上添加することが好ましい。

 <残部:Alおよび不可避的不純物>
 犠牲材3の成分は前記の他、残部がAlおよび 可避的不純物からなるものである。なお、 可避的不純物としては、例えば、Cu、Ni、Bi Zr、Sn、P、Be、B等を0.25質量%以下含有するこ とが考えられるが、本発明の効果を妨げない 範囲においてこれらを含有することは許容さ れる。

 <犠牲材の結晶粒径>
 ろう付時における600℃×5分間熱処理後の結 粒径を100~400μmの範囲とする。
 犠牲材3組織中の結晶粒径をこの範囲とする ことにより、ろう付時に、犠牲材3とろう材4 接合部位において、結晶粒の粒界を伝って 相ろうが広がるろう広がり性(ろう流動性) 向上し、フィレット(ろうだまり)の長さが長 くなる。これにより、ろう付性を向上させる ことができる。

 結晶粒径が100μm未満では、犠牲材3表面の粒 界密度が大きくなりすぎて、液相ろうの粒界 での保持(トラップ)が増え、ろう広がり性(ろ う流動性)が低下する。一方、結晶粒径が400μ mを超えると、犠牲材3表面の粒界密度が小さ なりすぎて、ろう広がり性(ろう流動性)が 害される。なお、粒界は粒内と異なり、結 方位の乱れた部分であるので、粒内と比較 て、液相ろうが反応して(溶けて)広がりやす い(広がる経路となりやすい)。
 したがって、ろう付時における600℃×5分間 処理後の結晶粒径を100~400μmの範囲とする。
 なお、ろう付時における600℃×5分間熱処理 の結晶粒径は、好ましくは、120~380μmの範囲 とする。結晶粒径が120~380μmの範囲であると 犠牲材3表面の粒界密度がより適度となり、 う広がり性(ろう流動性)がさらに向上しや い。

 ここで、犠牲材3組織中の結晶粒径は、犠牲 材3(犠牲材用鋳塊)の均質化熱処理の条件また は芯材2(芯材用部材)、ろう材4(ろう材用部材) と重ね合わせた後、熱間圧延を行う前に加熱 する熱処理の条件と、最終冷間圧延における 仕上げ冷延率とを調整することにより、ろう 付時における600℃×5分間熱処理後に、100~400μ mの範囲となるように制御することができる
 均質化熱処理の場合は、条件を450~610℃、好 ましくは、450~560℃×1~30時間とし、均質化熱 理を行わない場合は、熱間圧延を行う前に 熱する熱処理において、条件を450~560℃×1~30 間とする。また、均質化熱処理を行う場合 、行わない場合も、最終冷間圧延における 上げ冷延率は、20~40%とする。

 なお、結晶粒径の範囲を、ろう付時にお る600℃×5分間熱処理後のものとしたのは、 記したとおり、ろうの広がりは、結晶粒径 よって変化するが、このろうの広がりは、 う付温度の600℃付近まで温度が達したとき 、ろうが溶解し、液相ろうが粒界を伝わる とでおきるため、600℃付近まで温度が達し ときの結晶粒径が判ればよいためである。 た、厳密には、ろうが溶解するのは、577~600 ℃位であるが、この温度範囲内において、ろ うの広がりに大きな変化はないため、600℃×5 分間熱処理後のものとした。

 なお、結晶粒径の測定は、JIS H:0501 7.切断 に記載されている方法により行うことがで る。
 すなわち、犠牲材3表面を光学顕微鏡で写真 撮影し、圧延方向に直線を引き、直線の長さ の線分によって切られる結晶粒個数を数える ことにより行うことができる。

 <犠牲材厚>
 犠牲材3の厚さは、30~55μmの範囲であること 好ましい。
 犠牲材3の厚さが30μm未満では、犠牲防食効 (sacrificial anti-corrosion effect)が小さくなりや すく、内面側(冷却水側)の耐食性が劣化しや い。一方、55μmを超えると、芯材2の厚さが くなり、ブレージングシート1aの強度が低 しやすくなる。

≪ろう材≫
 ろう材4は、Al-Si系合金からなり、ここで、A l-Si系合金とは、Siの他に、Znを含有した合金 含むものである。すなわち、Al-Si系合金と ては、Al-Si系合金、またはAl-Si-Zn系合金が挙 られる。
 ろう材4としては、例えば、Si:7~12質量%を含 したAl-Si系合金を使用することができる。

 Siの含有量が7質量%未満では、ろう付温度で のAl-Si液相量が少なく、ろう付性が劣りやす なる。一方、12質量%を超えると、ろう材鋳 時に粗大初晶(primary crystal)Siが増大するた 、ブレージングシート1aにした場合の芯材2/ う材4界面での過剰溶融を生じやすく、ろう 付後強度、耐食性を劣化させやすい。
 しかし、ろう材4は、特に限定されるもので はなく、通常使用するAl-Si系(Al-Si-Zn系)合金で あれば、どのようなものでもよい。例えば、 Si、Znの他、Fe、Cu、Mn、Mg等を含有してもよい 。

 次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウ 合金ブレージングシートの他の実施形態に いて説明する。
 熱交換器用アルミニウム合金ブレージング ートは、芯材の一面側の最表面に犠牲材、 面側の最表面(surface)にろう材が形成されて ればよく、図1(b)に示すように、芯材2の一 側に犠牲材3と、芯材2の他面側に中間材5、 う材4を形成した4層の熱交換器用アルミニウ ム合金ブレージングシート1b(ブレージングシ ート1b)でもよい。
 また、図示しないが、さらに、ろう材、犠 材、中間材の層数を増やした5層以上のブレ ージングシートでもよい。

≪中間材≫
 中間材5は、芯材2にMgを添加した場合に、ろ う材4側へのMgの拡散を防止するためのMg拡散 止層として、また、ろう材4側の耐食性を向 上させるための犠牲防食層として、芯材2と う材4との間に備えてもよい。
 中間材5は、Al-Mn系合金からなり、ここで、A l-Mn系合金とは、Mnの他に、Cu、Si等を含有し 合金も含むものである。
 中間材5としては、例えば、Al-Mn-Cu-Si系合金 使用することができる。しかし、中間材5は 、とくに限定されるものではなく、通常使用 する中間材5であれば、どのようなものでも い。例えば、Mn、Cu、Siの他、Tiを含有しても よい。

 次に、図2を参照して、熱交換器用アルミ ニウム合金ブレージングシートの製造方法( 造工程)の一例について説明する。

 まず、芯材用アルミニウム合金、犠牲材用 ルミニウム合金およびろう材用アルミニウ 合金を連続鋳造により溶解、鋳造し、必要 応じて面削(surface milling)、均質化熱処理し 、芯材用鋳塊(ingot)(芯材用部材)、犠牲材用 塊、ろう材用鋳塊を得る。ここで、犠牲材 鋳塊においては、均質化熱処理を行う場合 、ろう付時における600℃×5分間熱処理後の 晶粒径を100~400μmに制御するため、条件を450 ~610℃(好ましくは、450~560℃)×1~30時間とする また、犠牲材用鋳塊およびろう材用鋳塊に いては、それぞれ所定厚さに熱間圧延また 切断して、犠牲材用部材、ろう材用部材を る(芯材用部材準備工程:S1a、犠牲材用部材準 備工程:S1b、ろう材用部材準備工程:S1c)。
 なお、図示しないが、中間材を設ける場合 、前記した犠牲材用部材またはろう材用部 と同様の方法で、中間材用部材を作製する とができる。

 ついで、芯材用部材、犠牲材用部材および う材用部材(必要に応じて、中間材用部材) 所定のクラッド率(clad ratio)になるように重 合わせ工程(S2)で重ね合わせた後、熱処理工 程(S3)で400℃以上の温度で熱処理し、熱間圧 工程(S4)で圧着(roll bonding)して板材とする。 お、熱処理工程(S3)の加熱においては、犠牲 材用鋳塊に均質化熱処理を行わない場合は、 ろう付時における600℃×5分間熱処理後の結晶 粒径を100~400μmに制御するため、条件を450~560 ×1~30時間とする。
 その後、粗鈍工程(S5)、冷間圧延工程(S6)、 間焼鈍工程(S7)、冷間圧延工程(S8)を経て所定 の板厚とする。

 なお、粗鈍工程(S5)は、元素の拡散を促進 させる場合には実施してもよい。また、中間 焼鈍工程(S7)における中間焼鈍の条件は、350~4 50℃、3時間以上が好ましく、最終の冷間圧延 工程(S8)における冷延率(仕上げ冷延率)(cold ro lling reduction)は、ろう付時における600℃×5分 熱処理後の結晶粒径を100~400μmに制御するた め、20~40%となるようにする。また、最終の板 厚とした後、成形性等を考慮して仕上げ焼鈍 工程(S9)により仕上げ焼鈍を施してもよい。 上げ焼鈍を行うと、材料が軟化し、伸びが 上するため、加工性を確保することができ 。

 次に、本発明に係る熱交換器用アルミニ ム合金ブレージングシートについて、本発 の要件を満たす実施例と本発明の要件を満 さない比較例とを比較して具体的に説明す 。

≪供試材作製≫
 まず、芯材用アルミニウム合金、犠牲材用 ルミニウム合金およびろう材用アルミニウ 合金を連続鋳造により溶解、鋳造した。芯 (芯材用部材)については、550℃×10時間の均 化熱処理を施し、所定厚さの芯材用鋳塊(芯 材用部材)を得た。犠牲材(犠牲材用部材)につ いては、550℃×10時間、ろう材(ろう材用部材) については、500℃×10時間の均質化熱処理を して、犠牲材用鋳塊、ろう材用鋳塊とし、 の犠牲材用鋳塊およびろう材用鋳塊をそれ れ所定厚さに熱間圧延して犠牲材用部材、 う材用部材を得た。そして、芯材用部材、 牲材用部材およびろう材用部材を所定のク ッド率になるように、表2に示す組み合わせ なるように重ね合わせ、450℃の温度で加熱 、熱間圧延により圧着して板材とした。そ 後、冷間圧延、360℃×3時間の中間焼鈍を行 た後、さらに冷延率20~40%の冷間圧延を行う とにより、板厚0.20mmのアルミニウム合金ブ ージングシート(供試材(test material))を作製 た。

 表1に、ろう材、犠牲材の成分を示す。な お、表1において、成分を含有していないも は「-」で示し、本発明の構成を満たさない のについては、数値に下線を引いて示す。 た、芯材の組成は、Si:0.80質量%、Fe:0.20質量% 、Cu:0.98質量%、Mn:1.4質量%、Mg:0.01質量%、Ti:0.12 質量%、残部がAlおよび不可避的不純物からな るものである。

 このようにして作製した熱交換器用アルミ ウム合金ブレージングシート(供試材)の特 評価について、以下に示す各試験を行った
≪試験方法≫
<ろう付性(ろう流動性)>
 ろう付性(ろう流動性)の試験の方法につい 、図面を参照して説明する。参照する図面 おいて、図3は、ろう付性の評価方法を示す 略図であり、(a)は、ろう付加熱前の状態を 方向から見た概略図、(b)は、ろう付加熱前 状態を上方向から見た概略図、(c)は、ろう 加熱後の状態を横方向から見た概略図、(d) 、ろう付加熱後の状態を上方向から見た概 図である。

 図3(a)(b)に示すように、ろう材単体15の片面 、フラックス16を10g/m 2 塗布した、Si:10質量%、残部がAlおよび不可避 不純物からなる置きろう材(preplaced brazing f iller metal)A(0.25mm(板厚)×5mm(L 1 )×5mm(L 2 ))を、芯材12、犠牲材13、ろう材14からなる供 材11の犠牲材13表面に載せ、600℃×5分のろう 付加熱を行った。これにより、図3(c)(d)に示 ように、置きろう材Aのろう17を広げ、ろう がり距離L 3 を測定した。ここで、ろう広がり距離L 3 は、ろう付加熱前の元の置きろう材A´の端か ら、ろう広がりの先端までの距離とした。
 ろう広がり距離L 3 が5mm以上のものをろう付性(ろう流動性)が良 (○)、5mm未満のものを不良(×)とした。

<ろう付後強度>
 ろう付後強度の試験に関しては、600℃×5分 熱後の供試材より、圧延方向に平行にJIS5号 試験片を作製し、室温にて引張り試験を実施 して、引張り強さを測定した。引張り強さが 160MPa以上のものをろう付後強度が良好(○)、1 60MPa未満のものを不良(×)とした。

<耐食性>
 耐食性の試験として、犠牲材側の耐食性を 価した。具体的には、Cl-300ppm、SO 4 2-  100ppm、Cu 2+  5ppmの溶液に浸漬(immersion)し、88℃×8時間後 室温まで自然冷却した後、16時間保持するサ イクルを30日行う浸漬試験を実施し、腐食深 を測定した。腐食深さが犠牲材厚以下のも を耐食性が優良(◎)、腐食深さが犠牲材厚+2 0μm未満のものを良好(○)、犠牲材厚+20μm以上 のものを不良(×)とした。
 これらの試験結果を表2に示す。なお、犠牲 材の結晶粒径の測定は、JIS H:0501 7.切断法に 記載されている方法により行った。

 表2に示すように、供試材No.1~8は、本発明 の要件を満たしているため、ろう付性(ろう 動性)、ろう付後強度および耐食性すべてが 良または良好であった。

 一方、No.9は、犠牲材(S9)のFeの濃度が下限 値未満であるため、ろう付後強度が劣った。 No.10は、犠牲材(S10)のFeの濃度が上限値を超え るため、Al-Mn-Fe、Al-Fe-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等 が増大してカソード反応性が増大し、耐食性 が劣った。No.11は、犠牲材(S11)のMnの濃度が下 限値未満であるため、ろう付後強度が劣った 。No.12は、犠牲材(S12)のMnの濃度が上限値を超 えるため、ろう付性(ろう流動性)が劣った。

 No.13は、犠牲材(S13)のSiの濃度が下限値未 であるため、ろう付後強度が劣った。No.14 、犠牲材(S14)のSiの濃度が上限値を超えるた 、Al-Fe-Si、Al-Mn-Si、Al-Mn-Fe-Si系化合物等が増 してカソード反応性が増大し、耐食性が劣 た。No.15は、犠牲材(S15)のZnの濃度が下限値 満であるため、電位を卑にする効果を得る とができず、耐食性が劣った。No.16は、犠 材(S16)のZnの濃度が上限値を超えるため、犠 材の融点が低下して、犠牲材が部分的に溶 し、ろう付性(ろう流動性)、ろう付後強度 耐食性すべてが劣った。

 No.17は、犠牲材(S17)のMgの濃度が上限値を えるため、フラックス自体の活性度がさが 、犠牲材3表面の酸化皮膜を破る作用が低下 し、ろう付性(ろう流動性)が劣った。No.18は 犠牲材(S18)の結晶粒径が下限値未満であるた め、犠牲材表面の粒界密度が大きくなりすぎ て、液相ろうの粒界での保持(トラップ)が増 、ろう付性(ろう流動性)が劣った。No.19は、 犠牲材(S19)の結晶粒径が上限値を超えるため 犠牲材表面の粒界密度が小さくなりすぎて 粒界を伝って液相ろうが広がるろう広がり が阻害され、ろう付性(ろう流動性)が劣っ 。

 以上、本発明の好適な実施形態、実施例 ついて説明してきたが、本発明は前記実施 態、実施例に限定されるものではなく、本 明の趣旨に適合し得る範囲において広く変 、改変して実施することも可能であり、そ らはいずれも本発明の技術的範囲に含まれ ものである。