稲垣 佳也 (())
NAKAI, Manabu (())
株式会社神戸製鋼所 (〒85 兵庫県神戸市中央区脇浜町二丁目10番26号 Hyogo, 6518585, JP)
INAGAKI, Yoshiya (())
稲垣 佳也 (())
| Mg:0.6~1.0質量%、Si:0.8~1.4質量%、Mn:0.4~1.0質量%、Fe:0.05~0.35質量%、Zn:0.1質量%以下、Cu:0.2質量%以下、Cr:0.35質量%以下、Zr:0.25質量%以下、Ti:0.01~0.1質量%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるとともに、水素ガス濃度が0.25ml/100gAl以下のアルミニウム合金から構成されるアルミニウム合金鍛造材であって、 前記アルミニウム合金鍛造材において、最大長さ0.1μm以上のMg 2 Siの面積率が0.15%以下、アルミニウム合金の再結晶率が20%以下、アルミニウム合金の分散粒子のV/r(V:分散粒子の面積率[%]、r:分散粒子の平均半径[nm])で定義されるサイズ分布指標値が0.20以上であることを特徴とするアルミニウム合金鍛造材。 |
| 請求項1に記載のアルミニウム合金を溶解して溶湯とする溶解工程と、 前記溶湯に脱ガス処理を施して、水素ガス濃度を0.25ml/100gAl以下にする脱ガス工程と、 脱ガス処理された前記溶湯を鋳造して鋳塊とする鋳造工程と、 前記鋳塊に、平均昇温速度20℃/hrを超え1000℃/hr以下で保持温度510~570℃まで昇温し、前記保持温度で2hr以上保持した後冷却し、その冷却の際の平均冷却速度が前記保持温度から少なくとも350℃までを110℃/hr以上で行う均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、 均質化熱処理された前記鋳塊を鍛造素材とし、前記鍛造素材に、開始温度460~560℃、終了温度365℃以上の熱間鍛造を施す鍛造工程と、 前記鍛造工程の後に、溶体化処理、焼入および高温時効処理からなるT6またはT7の調質処理を施す調質工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金鍛造材の製造方法。 |
| 請求項1に記載のアルミニウム合金を溶解して溶湯とする溶解工程と、 前記溶湯に脱ガス処理を施して、水素ガス濃度を0.25ml/100gAl以下にする脱ガス工程と、脱ガス処理された前記溶湯を鋳造して鋳塊とする鋳造工程と、 前記鋳塊に、平均昇温速度20℃/hrを超え1000℃/hr以下で保持温度510~570℃まで昇温し、前記保持温度で2hr以上保持した後冷却し、その冷却の際の平均冷却速度が前記保持温度から少なくとも350℃までを110℃/hr以上で行う均質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、 均質化熱処理された前記鋳塊に、終了温度365℃以上の熱間押出を施して押出材とする押出工程と、 前記押出材を鍛造素材とし、前記鍛造素材に、開始温度460~560℃、終了温度365℃以上の熱間鍛造を施す鍛造工程と、 前記鍛造工程の後に、溶体化処理、焼入および高温時効処理からなるT6またはT7の調質処理を施す調質工程とを含むことを特徴とするアルミニウム合金鍛造材の製造方法。 |
本発明は、自動車等の輸送機の構造材ま は構造部品、特に足回り部品に使用される ルミニウム合金鍛造材およびその製造方法 関するものである。
従来から、排気ガス等による地球環境問 に対して、自動車等の輸送機の車体の軽量 による燃費の向上が追求されている。この め、特に、自動車等の輸送機の構造材また 構造部品、特に、アッパーアーム、ロアー ーム等の足回り部品には、AAまたはJISの規 で言う6000系アルミニウム合金(Al-Mg-Si系)等か らなるアルミニウム合金鍛造材が使用されて いる。6000系アルミニウム合金鍛造材は、高 度であると共に高靭性で、耐食性にも比較 優れている。また、6000系アルミニウム合金 体も、合金元素が少なく、スクラップを再 6000系アルミニウム合金溶解原料として再利 用しやすい点で、リサイクル性にも優れてい る。
また、6000系アルミニウム合金鍛造材は、 アルミニウム合金鋳造材を均質化熱処理後、 メカニカル鍛造、油圧鍛造などの熱間鍛造( 鍛造)を行い、その後、溶体化および焼入処 と高温時効処理との所謂調質処理が施され 製造される。なお、鍛造用の素材には、前 鋳造材の他に、鋳造材を一旦押出した押出 が用いられることもある。
そして、アルミニウム合金鍛造材の強度 靭性を向上させるために、鍛造材のミクロ 織を改善することが種々行われている。例 ば、特許文献1、2では、6000系アルミニウム 金鋳造材の晶析出物(晶出物または析出物) 平均粒径を8μm以下と小さくし、かつ、デン ライト二次アーム間隔(DAS)を40μm以下と細か くして、アルミニウム合金鍛造材をより高強 度化することが提案されている。
また、特許文献3~5では、6000系アルミニウ ム合金鍛造材の結晶粒内または粒界の晶析出 物の平均粒径、または、平均間隔等を制御す ることで、アルミニウム合金鍛造材をより高 強度で高靭性化することが提案されている。 これらの制御は、粒界腐食または応力腐食割 れ等に対しても高耐食性化できる。そして、 これらの晶析出物の制御に合わせて、Mn、Zr Cr等の結晶粒微細化効果を有する遷移元素を 添加して、結晶粒を微細化または亜結晶粒化 させ、破壊靭性または疲労特性を向上させる ことも提案されている。
しかし、6000系アルミニウム合金鍛造材に は、鍛造工程および溶体化処理工程において 、加工組織が再結晶して粗大結晶粒が発生す る傾向がある。これら粗大結晶粒が発生した 場合、ミクロ組織を制御しても、高強度化ま たは高靭性化が果たせず、また、耐食性も低 下する。しかも、これらの文献では、鍛造に おける加工温度が450℃未満と比較的低く、こ のような低温の熱間鍛造では、目標としてい る結晶粒を微細化または亜結晶化させること が実際には困難であった。
一方、特許文献6~10では、加工組織が再結晶
化した粗大結晶粒の発生を抑制するため、Mn
Zr、Cr等の結晶粒微細化効果を有する遷移元
素を追加した上で、450~570℃の比較的高温の
度で熱間鍛造を開始することが提案されて
る。
近年、自動車の車体のより一層の軽量化 ために、車体の構造材または構造部品、特 、自動車用足回り部品のより一層の薄肉化 求められ、部品等を構成するアルミニウム 造材においても、薄肉化に対応した高強度 、高靭性化および高耐食性が求められてい 。しかしながら、従来のアルミニウム合金 造材では、部品等の薄肉化に対応した強度 靭性および耐食性の向上がなされていると いえなかった。
本発明は、このような課題を解決すべく 案されたもので、その目的は、自動車用足 り部品等の薄肉化に対応した、高い強度、 性および耐食性を有するアルミニウム合金 造材およびその製造方法を提供することに る。
前記課題を解決するために、本発明に係る ルミニウム合金鍛造材は、Mg:0.6~1.0質量%、Si :0.8~1.4質量%、Mn:0.4~1.0質量%、Fe:0.05~0.35質量%、 Zn:0.1質量%以下、Cu:0.2質量%以下、Cr:0.35質量% 下、Zr:0.25質量%以下、Ti:0.01~0.1質量%を含み、 残部がAlおよび不可避的不純物からなるとと に、水素ガス濃度が0.25ml/100gAl以下のアルミ ニウム合金から構成されるアルミニウム合金 鍛造材であって、前記アルミニウム合金鍛造 材において、最大長さ0.1μm以上のMg 2 Siの面積率が0.15%以下、アルミニウム合金の 結晶率が20%以下、アルミニウム合金の分散 子のV/r(V:分散粒子の面積率[%]、r:分散粒子の 平均半径[nm])で定義されるサイズ分布指標値 0.20以上であることを特徴とする。
前記構成によれば、所定の化学成分組成、 素ガス濃度、Mg 2 Siの面積率、再結晶率および分散粒子のサイ 分布指標値を有することにより、アルミニ ム合金鍛造材の強度、靭性および耐食性が 上する。
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材の 造方法は、前記組成のアルミニウム合金を 解して溶湯とする溶解工程と、前記溶湯に ガス処理を施して、水素ガス濃度を0.25ml/100 gAl以下にする脱ガス工程と、脱ガス処理され た前記溶湯を鋳造して鋳塊とする鋳造工程と 、前記鋳塊に、平均昇温速度20℃/hrを超え1000 ℃/hr以下で保持温度510~570℃まで昇温し、前 保持温度で2hr以上保持した後冷却し、その 却の際の平均冷却速度が前記保持温度から なくとも350℃までを110℃/hr以上で行う均質 熱処理を施す均質化熱処理工程と、均質化 処理された前記鋳塊を鍛造素材とし、前記 造素材に、開始温度460~560℃、終了温度365℃ 上の熱間鍛造を施す鍛造工程と、前記鍛造 程の後に、溶体化処理、焼入および高温時 処理からなるT6またはT7の調質処理を施す調 質工程とを含むことを特徴とする。
前記手順によれば、所定の化学成分組成の ルミニウム合金から、所定の脱ガス処理条 、均質化熱処理条件および熱間鍛造条件で ルミニウム合金鍛造材を製造することによ 、製造されたアルミニウム合金鍛造材のMg 2 Siの面積率、再結晶率および分散粒子のサイ 分布指標値が所定の範囲内となる。
本発明に係る他のアルミニウム合金鍛造 の製造方法は、前記組成のアルミニウム合 を溶解して溶湯とする溶解工程と、前記溶 に脱ガス処理を施して、水素ガス濃度を0.25 ml/100gAl以下にする脱ガス工程と、脱ガス処理 された前記溶湯を鋳造して鋳塊とする鋳造工 程と、前記鋳塊に、平均昇温速度20℃/hrを超 1000℃/hr以下で保持温度510~570℃まで昇温し 前記保持温度で2hr以上保持した後冷却し、 の冷却の際の平均冷却速度が前記保持温度 ら少なくとも350℃までを110℃/hr以上で行う 質化熱処理を施す均質化熱処理工程と、均 化熱処理された前記鋳塊に、終了温度365℃ 上の熱間押出を施して押出材とする押出工 と、前記押出材を鍛造素材とし、前記鍛造 材に、開始温度460~560℃、終了温度365℃以上 熱間鍛造を施す鍛造工程と、前記鍛造工程 後に、溶体化処理、焼入および高温時効処 からなるT6またはT7の調質処理を施す調質工 程とを含むことを特徴とする。
前記手順によれば、押出工程を含み、鍛 素材として押出材を使用することにより、 造されたアルミニウム合金鍛造材の伸び、 性がさらに向上する。
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材は、
動車用足回り部品等の薄肉化に対応した、
い強度、靭性および耐食性を有する。
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材の製
方法によれば、高い強度、靭性および耐食
を有するアルミニウム合金鍛造材を製造で
る。
1 再結晶領域
2 分散粒子
<アルミニウム合金鍛造材>
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材つい
、詳細に説明する。
アルミニウム合金鍛造材は、自動車用足回
部品、例えば、アッパーアーム、ロアアー
などの足回り部品として使用されるため、
強度、高靱性、および、耐応力腐食割れ性
の高い耐食性(耐久性)を保証する必要があ
。
このため、アルミニウム合金鍛造材は、 定の含有量のMg、Si、Mn、Fe、Zn、Cu、Cr、Zr、 Tiを含み、残部Alおよび不可避的不純物から るとともに、所定量の水素ガス濃度である ルミニウム合金から構成される。なお、本 明の諸特性を阻害しない範囲で、他の元素 適宜含むことは許容される。また、溶解原 スクラップなどから必然的に混入される不 避的不純物も、本発明の特性を阻害しない 囲で許容される。
以下に、アルミニウム合金の各元素の含 量、および、水素ガス濃度の数値範囲、お び、その臨界的意義について説明する。
(Mg:0.6~1.0質量%)
Mgは高温時効処理により、Siとともにβ”相
らびにβ’相として結晶粒内に析出し、ア
ミニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品
として使用した際に高い強度(耐力)を付与す
るために必須の元素である。Mgの含有量が0.6
量%未満であると、高温時効処理時の時効硬
化量が低下する。したがって、Mgの含有量は0
.6質量%以上とする。より好ましくは、0.62質
%以上である。一方、Mgの含有量が1.0質量%を
えると、強度(耐力)が高くなりすぎ、鍛造
を阻害する。また、溶体化処理後の焼き入
途中に粗大なMg 2
Siや単体Siが多量に析出しやすく、却って、
度、靱性、耐食性などを低下させる。した
って、Mgの含有量は1.0質量%以下とする。よ
好ましくは、0.92質量%以下である。
(Si:0.8~1.4質量%)
SiもMgとともに、高温時効処理によりβ”相
らびにβ’相として結晶粒内に析出し、ア
ミニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品
として使用した際に高い強度(耐力)を付与す
るために必須の元素である。Siの含有量が0.8
量%未満であると、高温時効処理時の時効硬
化量が低下する。したがって、Siの含有量は0
.8質量%以上とする。より好ましくは、1.0質量
%以上である。一方、Siの含有量が1.4質量%を
えると、強度(耐力)が高くなりすぎ、鍛造性
を阻害する。また、溶体化処理後の焼き入れ
途中に粗大なMg 2
Siや単体Siが多量に析出しやすく、却って、
度、靱性、耐食性などを低下させる。した
って、Siの含有量は1.4質量%以下とする。よ
好ましくは、1.3質量%以下である。
なお、Mg含有量に対するSi含有量の比率が高
くなると、晶出物を形成し靱性、疲労特性を
低下させる傾向が強くなる。また、粒内に対
する粒界ならびに粒界近傍の電位が低くなり
、耐食性の低下をもたらす傾向も強くなる。
(Mn:0.4~1.0質量%、Cr:0.35質量%以下)
Mn、Crは、主として均質化熱処理の昇温中お
びその保持中に、Mn、Cr、Si、Alおよび一部Fe
どが、その含有量に応じて選択的に結合し
金属間化合物(分散粒子)を生成する。これ
分散粒子は、Al-(Mn、Cr)-Si化合物、Al-(Mn、Fe)-S
i化合物、Al-(Mn、Cr、Fe)-Si化合物、代表的には
Mn 3
SiAl 12
、(MnFe) 3
SiAl 12
、(MnCr) 3
SiAl 12
、(MnCrFe) 3
SiAl 12
などに例示される。
Mn、Crによる、これらの分散粒子は、製造 条件にもよるが、微細で高密度、均一に分散 して、結晶粒界の移動を妨げる効果があるた め、再結晶の抑制、再結晶後の結晶粒粗大化 を防止し結晶粒を微細化させる効果が高い。 また、特に、Mnは、マトリックスへの固溶量 大きいため、強度の増大も見込める。
Mnの含有量が0.4質量%未満であると、これ の効果が期待できず、結晶粒が粗大化して 強度、靱性および耐食性が低下する。一方 Mnの含有量が1.0質量%を超える、および/また は、Crの含有量が0.35質量%を超えると、溶解 鋳造時に粗大な金属間化合物や晶出物を生 しやすく、破壊の起点となり、靱性、疲労 性を低下させる原因となる。このため、Mn、 Crはともに含有させるとともに、Mn:0.4~1.0質量 %、Cr:0.35質量%以下の範囲で含有させる。上記 効果を発揮させるためには、Crは0.001質量%以 含有させるのが好ましい。Mn、Crは、上記の 各上限値付近では、分散粒子が増えるととも に、晶出物も形成し易くなり、靱性、疲労特 性等を低下させることがある。したがって、 Mn含有量、Cr含有量のより好ましい上限値は それぞれ、0.9質量%、0.25質量%である。また 分散粒子は、Mnを成分とし易い。したがって 、分散粒子の析出密度を安定して高くするに は、Mn含有量の下限値は0.5質量%とするのがよ り好ましい。
(Fe:0.05~0.35質量%)
Feは、Mn、Crとともに、分散粒子を生成し、
結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化
防止するとともに、結晶粒を微細化させる
果がある。これら分散粒子は、Al-(Mn、Fe)-Si
合物、Al-(Mn、Cr、Fe)-Si化合物、代表的には(M
nFe) 3
SiAl 12
、(MnCrFe) 3
SiAl 12
などに例示される。Feの含有量が0.05質量%未
であると、これらの効果が期待できず、結
粒が粗大化して、強度、靭性および耐食性
低下する。したがって、Feの含有量は0.05質
%以上とする。より好ましくは、0.08質量%以
である。一方、Feの含有量が0.35質量%を超え
と、Al-Fe系の粗大な晶出物を生成する。こ
らの晶出物は、破壊靱性、疲労特性などを
化させる。したがって、Feの含有量は0.35質
%以下とする。また、Mnについてより好まし
上限値を設けたのと同じ理由により、より
ましい上限値は0.30質量%である。
(Zn:0.1質量%以下)
Znの含有量が0.1質量%を超えると、アルミニ
ム合金鍛造材の組織の応力腐食割れや粒界
食の感受性を著しく高め、アルミニウム合
鍛造材の耐食性(耐久性)を低下させる。し
がって、Zn含有量は0.1質量%以下とする。よ
好ましくは、0.05質量%以下である。
(Cu:0.2質量%以下)
Cuは、固溶強化にて強度の向上に寄与する
、高温時効処理に際して、アルミニウム鍛
材の時効硬化を著しく促進する効果も有す
。この効果を発揮させるために、Cu含有量は
0.001質量%以上とするのが好ましい。但し、Cu
含有量が0.2質量%を超えると、アルミニウム
合金鍛造材の組織の応力腐食割れや粒界腐食
の感受性を著しく高め、アルミニウム合金鍛
造材の耐食性(耐久性)を低下させる。したが
て、Cu含有量は0.2質量%以下とする。なお、
発明のアルミニウム合金鍛造材は厳しい腐
環境下で長期間、また事実上、定期的な保
点検が出来ない部材に適用される場合もあ
。このような場合には、より高い耐食性を
るため、Cu含有量の上限値は0.1質量%とする
が好ましい。
(Zr:0.25質量%以下)
Zrは、Mn、Cr、Feと同様に分散粒子を形成し
再結晶抑制ならびに結晶粒微細化をもたら
。分散粒子は、代表的にはZrAl 3
などに例示される。Zr系の分散粒子は、Mn系
Cr系、Fe系の分散粒子に比べて微細にかつ高
度に形成されるため、再結晶抑制ならび結
粒微細化の効果は高い。この効果を発揮さ
るために、Zr含有量は0.001質量%以上とする
が好ましい。
しかしながら、Zrの添加は、鋳造の条件 よっては、却って鋳塊の結晶粒微細化を阻 する要因となる。特にZrは、Ti-Zrの化合物を 成して、TiあるいはTi、Bの鋳塊結晶粒微細 効果を阻害し、鋳塊の結晶粒を粗大化させ 要因となる。鋳塊の粗大な結晶粒は、例え 、鍛造時の加工度が低い製品部位では、ほ そのままのサイズ、形状で残存することと り、粒界に沿った破壊等が生じ易くなり、 性、疲労特性、さらには耐食性の低下をも らす。
Zr添加によるTi、Bの鋳塊結晶粒微細化効 を阻害する度合は、Zrを含有する鋳塊結晶粒 微細化剤が溶湯中に投入されてから鋳造が開 始されるまでの時間に大きな影響を受け、長 時間化に伴って、微細化効果は小さくなり、 鋳塊の結晶粒は粗大化する。本発明では、鋳 造が開始される直前に鋳塊結晶粒微細化剤が 投入される設備であっても、Zrの過剰な含有 溶解、鋳造時に粗大な金属間化合物や晶出 を生成しやすく、破壊の起点となり、靱性 疲労特性、さらには耐食性を低下させる原 となる。このため、Zr含有量は0.25質量%以下 とする。また、Mnについてより好ましい上限 を設けたのと同じ理由により、より好まし 上限値は0.18質量%である。
(Ti:0.01~0.1質量%)
Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、鍛造材組
を微細な亜結晶粒とする効果がある。Tiの含
有量が0.01質量%未満であると、この効果が発
されない。したがって、Tiの含有量は0.01質
%以上とする。より好ましくは、0.015質量%以
上である。しかし、Tiの含有量が0.1質量%を超
えると、粗大な晶析出物を形成し、加工性を
低下させる。したがって、Tiの含有量は0.1質
%以下とする。より好ましくは、0.65質量%以
である。
(不可避的不純物)
不可避的不純物としては、以下に記載する
素がある。
V、Hfなどは、不可避的不純物として混入し
すく、微量な量であれば、結晶粒の微細化
果が期待される。但し、含有量が大きくな
と、粗大な金属間化合物を形成し、靱性、
労特性を低下させるので、V、Hfの含有量は
合計で0.2質量%未満とする。
また、Bも不可避的不純物であるが、Tiと 様、鋳塊の結晶粒を微細化し、押出や鍛造 の加工性を向上させる効果もある。しかし 300ppmを超えて含有されると、やはり粗大な 析出物を形成し、加工性を低下させる。し がって、Bの含有量は300ppm以下の含有まで許 容する。
(水素ガス濃度:0.25ml/100gAl以下)
水素ガスは、アルミニウム合金の溶解の際
不純物として混入しやすく、特に、鍛造材
加工度が小さくなる場合、水素に起因する
泡が鍛造加工等で圧着せず、破壊の起点と
り易く、靱性、疲労特性を著しく低下させ
。特に、高強度化したアルミニウム鍛造材
自動車用足回り部品等に使用する際には、
の水素による影響が大きい。したがって、A
l100g当たりの水素ガス濃度は0.25ml以下とする
また、アルミニウム合金鍛造材は、所定範 のMg 2 Si面積率、再結晶率、分散粒子のサイズ分布 標値を有する必要がある。以下に、その数 範囲、および、臨界的意義について説明す 。
(Mg 2
Siの面積率:0.15%以下)
アルミニウム合金鍛造材は、最大長さ0.1μm
上のMg 2
Siの面積率が0.15%以下である必要がある。面
率が0.15%を超えると、アルミニウム合金鍛造
材の強度、靭性および耐食性の全てを向上さ
せることが難しくなる。ここで、面積率(%)は
、アルミニウム合金鍛造材の断面において、
SEM観察視野面積に対するMg 2
Siの占める面積を割合(%)で表したものである
そして、最大長さ0.1μm以上のMg 2
Siの面積率の制御は、後記するアルミニウム
金鍛造材の製造工程における均質化熱処理
具体的には、保持温度までの平均昇温速度
保持温度、および、保持温度から少なくと
350℃までの平均冷却速度を制御することに
って達成される。
(再結晶率:20%以下)
アルミニウム合金鍛造材は、アルミニウム
金の再結晶率が20%以下である必要がある。
結晶率が20%を超えると、アルミニウム鍛造
の強度、靭性および耐食性の全てを向上さ
ることが難しくなる。ここで、再結晶率(%)
、アルミニウム合金鍛造材の断面での再結
領域の占める面積を割合(%)で表したもので
アルミニウム合金鍛造材の金属組織状態を
す図1において、白色で観察される領域が再
結晶領域1である。そして、再結晶率の制御
、アルミニウム合金鍛造材の製造工程にお
る均質化熱処理、鍛造条件を制御すること
よって達成される。具体的には、均質化熱
理の保持温度までの平均昇温速度、保持温
を制御する。また、鍛造工程における開始
度、終了温度を制御する。
(分散粒子のサイズ分布指標値:0.20以上)
アルミニウム合金鍛造材は、アルミニウム合
金の分散粒子のV/r(Vは分散粒子の面積率[%]、r
は分散粒子の平均半径[nm])で定義されるサイ
分布指標値が0.20以上である必要がある。サ
イズ分布指標値が0.20未満であると、アルミ
ウム鍛造材の強度、靭性および耐食性の全
を向上させることが難しくなる。ここで、
散粒子とは、前記したように、Al-(Mn、Fe)-Si
合物、Al-(Mn、Cr)-Si化合物、Al-(Mn、Cr、Fe)-Si化
合物、Al-Zr化合物等で、例えば、Mn 3
SiAl 12
、(MnFe) 3
SiAl 12
、(MnCr) 3
SiAl 12
、(MnCrFe) 3
SiAl 12
、ZrAl 3
に代表される。また、アルミニウム合金鍛造
材のTEM写真である図2において、黒色粒状に
察されるものが分散粒子2である。さらに、
散粒子の面積率(%)は、TEM観察視野の合計面
に対する分散粒子の占める合計面積を割合(
%)で表したものである。
そして、サイズ分布指標値の制御は、ア ミニウム合金鍛造材の製造工程における均 化熱処理、鍛造条件を制御することによっ 達成される。具体的には、均質化熱処理の 持温度までの平均昇温速度、保持温度を制 する。また、鍛造工程における開始温度、 了温度を制御する。
<アルミニウム合金鍛造材の製造方法>
次に、本発明に係るアルミニウム合金鍛造
の製造方法について、詳細に説明する。
アルミニウム合金鍛造材の製造方法は、溶
工程と、脱ガス工程と、鋳造工程と、均質
熱処理工程と、鍛造工程と、調質工程とを
むものである。この製造工程自体は、常法
製造工程であるが、本発明に係るアルミニ
ム合金鍛造材を、軽量化形状した自動車用
回り部品等に使用して、高強度化、高靱性
および高耐食性化を達成するためには、以
に説明する各製造工程における、特定条件
の製造が必要となる。
(溶解工程)
溶解工程は、化学成分の含有量を所定範囲
限定した前記アルミニウム合金を溶解する
程である。
(脱ガス工程)
脱ガス工程は、溶解工程で溶解された前記
ルミニウム合金溶湯から水素ガスを除去(脱
ガス処理)し、アルミニウム合金100g中の水素
ス濃度を0.25ml以下に制御する工程である。
して、水素ガスの除去は、溶湯の成分調整
介在物の除去のための保持炉において行い
溶湯をフラクシング、塩素精錬、または、
ンライン精錬することによって行われるが
脱水素ガス装置にスニフまたはポーラスプ
グ(特開2002-146447号公報参照)を用いて、溶湯
にアルゴン等の不活性ガスを吹き込むことに
よって水素ガスを除去することが好ましい。
ここで、水素ガス濃度の確認は、後記す 鋳造工程で製造された鋳塊、または、鍛造 程で製造された鍛造材の水素ガス濃度を測 することによって行われる。そして、鋳塊 水素ガス濃度は、例えば、均質化熱処理前 鋳塊からサンプルを切り出し、アルコール アセトンで超音波洗浄を行ったものを、例 ば、不活性ガス気流融解熱伝導度法(LISA06-19 93)により測定することによって求めることが できる。また、鍛造材の水素ガス濃度は、例 えば、鍛造材からサンプルを切り出し、NaOH 液に浸漬後、硝酸で表面の酸化皮膜を除去 、アルコールとアセトンで超音波洗浄を行 たものを、例えば、真空加熱抽出容量法(LIS A06-1993)により測定することによって求める とができる。
(鋳造工程)
鋳造工程は、化学成分を所定の範囲内に溶
調整し、脱ガス処理された前記アルミニウ
合金溶湯を鋳造して鋳塊とする工程である
そして、鋳造方法は、連続鋳造圧延法、半
続鋳造法(DC鋳造法)、ホットトップ鋳造法等
の通常の溶解鋳造法を適宜選択する。
但し、前記アルミニウム合金溶湯を鋳造 る際に、平均冷却速度は100℃/s以上とし、 塊のデンドライト二次アーム間隔(DAS)を20μm 下に狭くすることが望ましい。鋳造の際の 均冷却速度が100℃/s未満であると、アルミ ウム合金鍛造材に粗大なAl-Fe-Si晶出物が残存 し、これらが破壊の起点となるため、特に靱 性、疲労特性が低下しやすい。
(均質化熱処理)
均質化熱処理工程は、前記鋳塊に所定の均
化熱処理を施す工程である。そして、平均
温速度20℃/hrを超え1000℃/hr以下で保持温度5
10~570℃まで昇温し、前記保持温度で2hr以上保
持した後冷却し、その冷却の際の平均冷却速
度が前記保持温度から少なくとも350℃までを
110℃/hr以上で行う均質化熱処理を施す必要が
ある。このような均質化熱処理を施すことに
よって、アルミニウム合金鍛造材の断面での
Mg 2
Siの面積率、再結晶率、分散粒子のサイズ分
指標値を所定の範囲内にすることが可能と
る。なお、冷却は、後記する鍛造工程の開
温度まで冷却、または、開始温度より低温(
例えば、室温)まで冷却する。
均質化熱処理時の平均昇温速度が20℃/hr以 であると、Mg 2 Siの粗大化が促進され、その後の溶体化処理 おいて、工業的な溶体化処理条件(温度、時 間)では、溶体化処理が不十分となって、ア ミニウム合金鍛造材の断面でのMg 2 Siの面積率が0.15%を超える。この結果、アル ニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品等 して使用した際、その強度、耐食性および 性の全てを向上させることが難しくなる。 た、疲労特性の向上も難しくなる。
また、平均昇温速度が1000℃/hrを超えると、 Mg 2 Siの再固溶は促進されやすいものの、分散粒 は粗大かつ粗に形成され、分散粒子のサイ 分布指標値(V/r)が0.20未満となり、高密度微 分散による再結晶の抑制、結晶粒微細化を 害する。そして、後記する鍛造工程(熱間鍛 造)の終了温度が365℃以上であっても、鍛造 了時点、または、その後の溶体化処理時に 結晶ならびに粒成長が生じる。そのため、 ルミニウム合金鍛造材の断面での再結晶率 20%以下とすることが出来ず、アルミニウム 金鍛造材の強度の低下をもたらす。この結 、アルミニウム合金鍛造材を自動車用足回 部品等として使用した際、その強度、耐食 および靱性の全てを向上させることが難し なる。また、疲労特性の向上も難しくなる
均質化熱処理時の保持温度が510℃未満であ と、均質化熱処理温度が低過ぎ、Mg 2 Siの再固溶が不足して、アルミニウム合金鍛 材に粗大なMg 2 Siが残存し、アルミニウム合金鍛造材の断面 のMg 2 Siの面積率が0.15%を超える。この結果、アル ニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品等 して使用した際、その強度、耐食性および 性の全てを向上させることが難しくなる。 た、疲労特性の向上も難しくなる。
また、保持温度が570℃を越えると、Mg 2 Siの再固溶は促進されやすいものの、分散粒 は粗大化し、また数も減少するため、分散 子のサイズ分布指標値(V/r)が0.20未満となり 高密度微細分散による再結晶の抑制、結晶 微細化が阻害される。そして、熱間鍛造の 了温度が365℃以上であっても、鍛造終了時 、または、その後の溶体化処理時に再結晶 らびに粒成長が生じる。そのため、アルミ ウム合金鍛造材の断面での再結晶率を20%以 とすることが出来ず、アルミニウム合金鍛 材の強度の低下をもたらす。この結果、ア ミニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品 として使用した際、その強度、耐食性およ 靱性の全てを向上させることが難しくなる また、疲労特性の向上も難しくなる。
一方、保持温度510~570℃での保持時間が2hr未 満では、保持時間が不足し、Mg 2 Siの再固溶が不足して、アルミニウム鍛造材 粗大なMg 2 Siが残存し、アルミニウム鍛造材の断面でのM g 2 Siの面積率が0.15%を超える。この結果、アル ニウム鍛造材を自動車用足回り部品等とし 使用した際、その強度、耐食性および靱性 全てを向上させることが難しくなる。
保持温度510~570℃から350℃までの平均冷却速 度が110℃/hr未満であると、Mg 2 Siの粗大化が促進され、その後の溶体化処理 おいて、工業的な溶体化処理条件(温度、時 間)では、溶体化処理が不十分となって、ア ミニウム合金鍛造材の断面でのMg 2 Siの面積率が0.15%を超える。この結果、アル ニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品等 して使用した際、その強度、耐食性および 性の全てを向上させることが難しくなる。 た、疲労特性の向上も難しくなる。
(鍛造工程)
鍛造工程は、均質化熱処理された前記鋳塊
鍛造素材として使用し、熱間鍛造開始温度
で冷却された鍛造素材に、または、熱間鍛
開始温度より低温(例えば室温)まで冷却後
再加熱された鍛造素材に、メカニカルプレ
による鍛造や油圧プレスによる鍛造等によ
、所定の熱間鍛造を行う工程である。なお
熱間鍛造は、自動車用足回り部品等の最終
品形状(ニアネットシェイプ)に鍛造加工して
もよい。
熱間鍛造の条件は、開始温度460~560℃、お よび、終了温度は365℃以上で行う必要がある 。このような条件の熱間鍛造を施すことによ って、アルミニウム合金鍛造材の断面での再 結晶率、および、分散粒子のサイズ分布指標 値を所定の範囲内とすることが可能となる。 また、熱間鍛造は、開始温度および終了温度 がこれらの温度以上であれば、連続して複数 回の鍛造(たとえば粗鍛造、中間鍛造、仕上 鍛造等)を行ってもよい。この場合、最初の 造の開始温度が熱間鍛造開始温度、また、 終の鍛造の終了温度が熱間鍛造終了温度に 応する。また、鍛造終了後、再加熱し、再 熱間鍛造を行ってもよい。
熱間鍛造の際の開始温度が460℃未満、お び/または、終了温度が365℃未満であると、 鍛造終了時点、または、その後の溶体化処理 時に再結晶ならびに粒成長が生じるため、ア ルミニウム合金鍛造材の断面での再結晶率を 20%以下、分散粒子のサイズ分布指標値を0.20 上とすることが出来ない。この結果、アル ニウム合金鍛造材を自動車用足回り部品等 して使用した際、その強度、耐食性および 性の全てを向上させることが難しくなる。 た、疲労特性の向上も難しくなる。また、 始温度が560℃を超えると、加工性が低下し 、鍛造加工時に割れ等が発生する。
(調質工程)
調質工程は、前記鍛造工程の後に、溶体化
理、焼入および高温時効処理からなるT6ま
はT7の調質処理を施す工程である。このよう
な調質処理を施すことにより、アルミニウム
合金鍛造材は、自動車用足回り部品等として
必要な強度、耐食性および靭性を有すること
となる。なお、T6は、溶体化処理および焼入
、最大強さを得る高温時効処理を行う調質
理である。また、T7は、溶体化処理および
入後、最大強さを得る高温時効処理条件を
えて過剰時効処理(過時効処理)を行う調質処
理である。
なお、溶体化処理および焼入後の高温時 処理の違いにおいて、T7調質材では、過時 処理であるため、粒界上に析出するβ相の割 合が高くなる。このβ相は腐食環境下で溶出 にくく、T6調質材に比べ粒界腐食感受性を くし、耐応力腐食割れ性を高める。したが て、アルミニウム合金鍛造材をT7調質材とす ることで、耐力は若干低くなるものの、他の 調質処理に比して、耐食性はより高くなる。
溶体化処理は、530~570℃の温度範囲に20分~20 間保持することが好ましい。この溶体化処 温度が低過ぎるか、あるいは時間が短過ぎ と、溶体化が不足して、Mg 2 Siの固溶が不十分となり、強度が低下しやす 。また、溶体化処理温度が高過ぎるか、あ いは時間が長過ぎると、局所的な溶融、結 粒の粗大化が生じやすい。なお、溶体化処 温度まで加熱する場合には、分散粒子の粗 化を防止し、その効果を保証するために、 均昇温速度を100℃/hr以上と速くすることが ましい。
前記溶体化処理後の焼入処理は、水中、温 中への冷却により行なうことが好ましい。 の際の平均冷却速度は、100℃/s以上を確保 ることが好ましい。この焼入処理時の平均 却速度が低くなると、粒界上にMg 2 Si、単体Si等が析出し、高温時効処理後のア ミニウム合金鍛造材において、粒界破壊が じやすくなり、靱性、疲労特性が低下しや い。また、冷却途中に、粒内にも、安定相 なるMg 2 Si、単体Si等が形成され、高温時効処理時に 出するβ”相、β’相の析出量が減るため、 ルミニウム合金鍛造材の強度が低下しやす 。
ただ、一方で、平均冷却速度が高くなる 、焼入歪み量が大きくなり、焼入後に、矯 工程が新たに必要となったり、矯正工程の 数が増す問題も新たに生じる。また残留応 も高くなり、製品の寸法、形状精度が低下 る問題も新たに生じる。この点、アルミニ ム合金鍛造材の製造工程を短縮し、低コス 化するためには、焼入歪みが緩和される40~7 0℃の温湯焼入が好ましい。ここで、温湯焼 温度が40℃未満では焼入歪みが大きくなり、 70℃を超えると平均冷却速度が低くなりすぎ アルミニウム合金鍛造材の靱性、疲労特性 強度が低くなりやすい。
溶体化処理および焼入後の高温時効処理 、160~200℃の温度範囲と、20分~20時間の保持 間の範囲から、アルミニウム合金鍛造材が 記T6、T7の調質処理材となる条件を適宜選択 する。
なお、前記した、均質化熱処理、溶体化 理には空気炉、誘導加熱炉、硝石炉などが 宜用いられる。また、高温時効処理には空 炉、誘導加熱炉、オイルバスなどが適宜用 られる。
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材の 造方法は、前記調質処理の前後に、自動車 足回り部品等として必要な、機械加工や表 処理などが適宜施されてもよい。
本発明に係るアルミニウム合金鍛造材の他
製造方法について説明する。
アルミニウム合金鍛造材の製造方法は、溶
工程と、脱ガス工程と、鋳造工程と、均質
熱処理工程と、押出工程と、鍛造工程と、
質工程とを含むものである。溶解工程、脱
ス工程、鋳造工程、均質化熱処理工程、鍛
工程、調質工程については、前記の製造方
と同様であるので、説明を省略する。なお
鍛造工程において、鍛造素材は押出材を使
する。また、押出材を鍛造素材とする場合
、押出時に、晶出物が微細となるため、鋳
工程における平均冷却速度は1℃/s以上であ
ばよい。以下、押出工程について、説明す
。
(押出工程)
押出工程は、均質化熱処理され、熱間押出
始温度(好ましくは460℃以上)まで冷却され
鋳塊に、または、熱間押出開始温度より低
(例えば室温)まで冷却後、再加熱された鋳塊
に、プレスによる押出等により、所定の押出
を行う工程である。
熱間押出の条件は、終了温度は365℃以上 行う必要があり、このような条件の熱間押 を施すことによって、熱間鍛造と同様に、 出材の断面での再結晶率を所定の範囲内と ることが可能となる。熱間押出の際の終了 度が365℃未満であると、押出終了時点に再 晶ならびに粒成長が生じるため、その後の 間鍛造時に再結晶が生じやすくなり、最終 品(アルミニウム合金鍛造材)の断面での再 晶率を20%以下とすることが出来ない。この 果、アルミニウム合金鍛造材を自動車用足 り部品等として使用した際、その強度、耐 性および靱性の全てを向上させることが難 くなる。また、疲労特性の向上も難しくな 。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体 に説明するが、本発明はもとより下記実施 によって制限を受けるものではなく、特許 求の範囲を逸脱しない範囲で適当に変更を えて実施することも可能である。
表1に示す合金番号1~15、17~24の化学成分組 成のアルミニウム合金を溶解、脱ガス処理、 鋳造して直径φ85mm鋳塊(鋳塊番号A~Z、Z2~Z9)を 半連続鋳造法(鋳造の際の平均冷却速度150℃/ s)により鋳造した。一方、合金番号16の化学 分組成のアルミニウム合金を溶解、脱ガス 理、鋳造して直径φ400mm鋳塊(鋳塊番号Z1)を半 連続鋳造法(鋳造の際の平均冷却速度2℃/s)に り鋳造した。また、表1に示すアルミニウム 合金(合金番号1~20)は、不可避的不純物として V、Hf、Bを含有し、その含有量は、V、Hfは合 で0.2質量%未満、Bは300ppm以下であった。さら に、鋳塊(鋳塊番号A~Z、Z1~Z9)の水素ガス濃度 、不活性ガス気流融解熱伝導度法(LIS A06-1993 )により測定し、表1に示すとおりであった。
次に、前記鋳塊(鋳塊番号A~Z、Z2~Z9)の外表 面を厚さ5mm面削して、長さ200mmに切断後、表2 に示す各条件(表2の昇温速度、冷却速度は、 均昇温速度、平均冷却速度である)で、均質 化熱処理、メカニカルプレスを用いた熱間鍛 造を行い、板状試料(実施例1~14、比較例1~12お よび14~21)を製造した。また、前記鋳塊(鋳塊 号Z1)の外表面を厚さ5mm面削して、長さ600mmに 切断後、表2に示す各条件で、均質化熱処理 押出プレスでφ75mmに押し出し、その後、メ ニカルプレスを用いた、熱間鍛造を行い、 記と同様に板状試料(実施例15、比較例13)を 造した。
なお、熱間鍛造は、各鋳塊または各押出 を室温から約1hrで鍛造開始温度+20℃まで昇 し、直ちに出炉し、鍛造開始温度を確認し 後、半径方向に鍛造し板状の試料とした。 造は、途中再加熱無しに連続して3回行い、 3回目で厚さ16mmの板状試料とした。鍛造終了 、直ちに試料温度(鍛造終了温度)を測定し その後、試料を室温まで放冷却した。
次に、板状試料(実施例1~15、比較例1~21)に以
下のT6調質処理を施した。なお、比較例7につ
いては鍛造割れが発生したため、T6調質処理
施さなかった。
(T6調質処理条件)
溶体化処理は、板状試料を室温から555℃ま
約1hrで昇温し3hr保持後、40℃の温湯中に焼
を行った。焼入後は温湯中でそのまま10分間
浸漬し、その後、直ちに高温時効処理を行っ
た。高温時効処理条件は180℃で5hrとした。
また、実施例1~15、比較例1~21の板状試料(T6 理済)について、以下の測定方法により、Mg 2 Siの面積率、アルミニウム合金の再結晶率、 ルミニウム合金の分散粒子のサイズ分布指 値(表2ではV/rと記載)を測定した。その結果 表2に示す。なお、比較例7については鍛造 れが発生したため、面積率、再結晶率、サ ズ分布指標値を測定しなかった。
(Mg 2
Siの面積率)
板状試料の5ケ所よりサンプルを採取し、断
面(2方向:鍛流線方向、鍛流線に対して直角方
向)を鏡面状態まで研磨した後、5ケ所×2断面
計10断面のMg 2
Siを、SEM(走査型電子顕微鏡、×500倍)を用いて
観察し、画像解析より最大長さ0.1μm以上のMg 2
Siの面積率を算出し、10断面の平均値を算出
た。なお、面積率は、観察視野面積に対す
Mg 2
Siの占める面積を割合(%)で表したものである
(再結晶率)
板状試料の5ケ所よりサンプルを採取し、断
面(2方向:鍛流線方向、鍛流線に対して直角方
向)を鏡面状態まで研磨した後、化学エッチ
グ(苛性ソーダ)で組織を現出した。5ケ所×2
面の計10断面を光学顕微鏡で観察し、画像処
理により再結晶率を算出し、10断面の平均値
算出した。再結晶率は、試料断面での再結
領域1の占める面積を割合(%)で表したもので
ある(図1参照)。
(分散粒子のサイズ分布指標値V/r(V:面積率%
平均半径nm))
板状試料の5ケ所よりサンプルを採取し、TEM
(透過型電子顕微鏡、×20000倍)を用いて、分散
粒子2の観察を行った(図2参照)。分散粒子の
積率(V)および平均半径(r)は、5枚の写真をデ
タル処理して算出した。面積率(V)は、写真
計面積に占める分散粒子の合計面積の割合(
%)とした。また、分散粒子毎に同一面積の円
半径(nm)を算出し、これら半径の平均値を平
均半径(r)とした。分散粒子のサイズ分布指標
値V/r(%/nm)は、これらVおよびrの値を用いて算
した。なお、TEM観察に用いた試料の厚みは
ぼ2000Åと一定である。
次に、実施例1~15、比較例1~21の板状試料(T 6調質処理済)について、以下の評価方法によ 、強度、耐食性、靭性について評価した。 の結果を表3に示す。なお、比較例7につい は鍛造割れが発生したため、評価を行わな った。
(強度:耐力)
板状試料より12本の試験片(引張試験片の長
方向が、鍛流線に対し直角方向)を採取し、
引張試験を行った。試験形状はJIS-Z-2201に、
験方法はJIS-Z-2241の定めるところにより実施
た。引張強さ、0.2%耐力、伸びの12本の平均
を板状試料の特性値とした。0.2%耐力(表3で
耐力と記載)が350MPa以上のものを、強度が優
れていると評価した。
(耐食性:耐SCC性)
板状試料より12個の試験片(Cリング)を採取
耐SCC性試験を行った。試験形状および試験
法は、JIS-H-8711(応力腐食割れ試験―第5部:Cリ
ング試験片の作製と試験)の定めるところに
り実施した。付加応力:250MPa、試験期間:90日
、割れが生じないものを耐SCC性「○」で耐
性に優れている、割れが生じたものを耐SCC
「×」で耐食性に劣っていると評価した。
(靭性:衝撃値)
板状試料より12本の試験片(衝撃試験片の長
方向が、鍛流線に対し直角方向)を採取し、
シャルピー衝撃試験を行った。試験形状はJIS
-Z-2202に、試験方法はJIS-Z-2242の定めるところ
より実施した。衝撃値の12本の平均値を板
試料の特性値とした。衝撃値が15J/cm 2
以上のものを、靭性において優れていると評
価した。
表3の結果から明らかな通り、本発明の特 許請求の範囲を満足する実施例1~15は、強度( 力)、耐食性(耐SCC性)、靭性(衝撃値)におい 優れていることが確認された。
これに対し、本発明の特許請求の範囲外の 造条件で製造された比較例1~7、13は、本発 の特許請求の範囲内の組成のアルミニウム 金を用いても、金属組織(Mg 2 Siの面積率、再結晶率、分散粒子のサイズ分 指標値)が本発明の特許請求の範囲を満足し ない。この結果、強度(耐力)、耐食性(耐SCC性 )、靱性(衝撃値)のいずれかが、実施例に比し て著しく劣ることが確認された。なお、比較 例7は熱間鍛造の際に鍛造割れが発生した。
また、本発明の特許請求の範囲外の組成の ルミニウム合金を用いた比較例8~12、14~21は 本発明の特許請求の範囲内の製造条件内で 造されているものの、金属組織(Mg 2 Siの面積率、再結晶率、分散粒子のサイズ分 指標値)が本発明の特許請求の範囲を満足し ない。この結果、強度(耐力)、耐食性(耐SCC性 )、靱性(衝撃値)のいずれかが、実施例に比し て著しく劣ることが確認された。
Next Patent: METHOD FOR MANUFACTURING SOLAR CELL AND SOLAR CELL
