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Patent Searching and Data


Title:
ALUMINUM ALLOY MATERIAL FOR FORGING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081770
Kind Code:
A1
Abstract:
An aluminum alloy material for forging comprising an alloy composition which contains 0.80-1.15 mass% silicon, 0.2-0.5 mass% iron, 3.8-5 mass% copper, 0.8-1.15 mass% manganese, 0.5-0.8 mass% magnesium, and 0.05-0.13 mass% zirconium, contains titanium in such an amount that the sum of the titanium and the zirconium is 0.2 mass% or smaller, and satisfies a copper/magnesium ratio of 8 or lower. The titanium was added in the form of a 5Ti-1B mother alloy. The alloy composition has a titanium/zirconium ratio of 0.3 or higher, and the remainder is aluminum and incidental impurities. The aluminum alloy material for forging is constituted of an aluminum alloy cast obtained by subjecting an aluminum alloy melt having the alloy composition to continuous casting to obtain an aluminum alloy ingot which has a structure having a secondary dendrite arm spacing (DAS) of 40 µm or smaller and an average crystal-grain diameter of 8 µm or smaller, and by subjecting the ingot to homogenization in which the ingot is held at 450-510°C for 1 hour or longer. This constitution enables the aluminum alloy material for forging to give a forging satisfactory in surface color tone and strength.

Inventors:
TAKEMURA HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072663
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
TAKEMURA HIDEKI (JP)
International Classes:
C22C21/12; B21J5/00; C22F1/057; B21K1/76; C22F1/00
Foreign References:
JPH04353A1992-01-06
JPH06256880A1994-09-13
JPH06240420A1994-08-30
Other References:
See also references of EP 2233595A4
"Dendrite Arm Spacing Measuring Method", LIGHT METAL, vol. 38, no. 1, 1988, pages 45
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Yoshihito et al. (4-26 Minamisemba 3-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 81, JP)
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Claims:
 Siを0.80~1.15質量%、Feを0.2~0.5質量%、Cuを3.8~5質量%、Mnを0.8~1.15質量%、Mgを0.5~0.8質量%、Zrを0.05~0.13質量%、TiをZrとの添加量合計で0.2質量%以下含有し、さらにCu/Mg比が8以下を満たし、Tiは、TiおよびBを5:1の割合で含むAlマスター合金(5Ti-1B母合金)の形態で添加されて、そのときのTi/Zr比が0.3以上を満たし、残部がAlおよび不可避不純物からなる合金組成を備え、
 上記合金組成のアルミニウム合金溶湯を連続鋳造して得られる、デンドライト2次アーム間隔(DAS)が40μm以下で、晶出物の平均粒径が8μm以下の組織を有するアルミニウム合金鋳塊に対して、450~510℃の温度条件で1時間以上保持する均質化処理が施されたアルミニウム合金鋳造品により構成されたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造素材。
 請求項1に記載のアルミニウム合金鍛造素材に対して、400~510℃の温度条件で熱間鍛造が行われたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造品。
 請求項1に記載のアルミニウム合金鍛造素材に対して、熱間鍛造が行われさらに、450~510℃の温度条件で溶体化処理が施されたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造品。
 Siを0.80~1.15質量%、Feを0.2~0.5質量%、Cuを3.8~5質量%、Mnを0.8~1.15質量%、Mgを0.5~0.8質量%、Zrを0.05~0.13質量%、TiをZrとの添加量合計で0.2質量%以下含有し、さらにCu/Mg比が8以下を満たし、Tiは、5Ti-1B母合金の形態で添加されて、そのときのTi/Zr比が0.3以上を満たし、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金組成の溶湯を、連続鋳造することによって、デンドライト2次アーム間隔(DAS)が40μm以下で、晶出物の平均粒径が8μm以下の組織を有するアルミニウム合金鋳塊を得る工程と、
 前記アルミニウム合金鋳塊に対して、450~510℃の温度で1時間以上保持する均質化処理を施こしてアルミニウム合金鋳造品を得る工程と、を含み、
 前記アルミニウム合金鋳造品をアルミニウム合金鍛造素材として構成するものとしたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造素材の製造方法。
 請求項4に記載の製造方法によって得られたアルミニウム合金鍛造素材に対して、400~510℃の温度条件で熱間鍛造を行ってアルミニウム合金鍛造品を得るようにしたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造品の製造方法。
 請求項4に記載の製造方法によって得られたアルミニウム合金鋳造素材に対して、熱間鍛造を行った後さらに、
 450~510℃の温度条件で溶体化処理を施して、アルミニウム合金鍛造品を得るようにしたことを特徴とするアルミニウム合金鍛造品の製造方法。
Description:
アルミニウム合金鍛造素材

 この発明は、強度および表面色調に優れ アルミニウム合金鍛造品を得ることができ Al-Cu-Mg系のアルミニウム合金鍛造素材およ その関連技術に関する。

 近年、所定の強度が必要なオートバイの 造用部品等において、軽量化を図るために アルミニウム合金の鍛造品が多く用いられ ようになっている。

 例えば2014合金製の押出品を鍛造加工するこ とによって、オートバイ部品等が製作されて いるのは周知である。通常の2014合金の押出 は鍛造後に行われるT6と称される熱処理(T6熱 処理)工程において、粗大再結晶を生じ、そ 後、酸洗浄を行うことにより、製品表面の クロ模様が現れてしまう。そこで下記特許 献1に示すように、人目につきやすい箇所で 用される部品の場合には、酸洗浄後にショ トブラスト等の表面加工を行うようにして る。

特開平6-240420号公報(特許請求の範囲、図 1)

 しかしながら、上記特許文献1に示す従来 の鍛造品では、表面のマクロ模様を、ショッ トブラスト等の表面加工等により修正するよ うにしているため、表面加工を行う分、生産 効率の低下および生産コストの上昇を来すと いう問題が発生する。

 また、2014合金押出品を用いて製造される 鍛造品は、鍛造素材としての押出品の押出方 向に平行な方向に対しては高い伸びを示すが 、押出方向に直交する方向に対しての伸びは 低くなる等、機械的強度が不十分であるとい う問題もあった。このため例えば、押出方向 に直交する方向の引き裂き破壊を抑制するた めに、その方向の寸法が大きくなるように設 計を行う必要があるが、そうすると、高重量 化を来たし、軽量化が求められるオートバイ 部品等にとっては望ましいものではなかった 。

 本発明の好ましい実施形態は、関連技術 おける上述した及び/又は他の問題点に鑑み てなされたものである。本発明の好ましい実 施形態は、既存の方法及び/又は装置を著し 向上させることができるものである。

 この発明は、上記の課題に鑑みてなされ ものであり、生産効率の向上および生産コ トの削減を図りつつ、良好な表面色調およ 十分な強度を有する鍛造品を得ることがで るアルミニウム合金鍛造素材およびその関 技術を提供することを目的とする。

 本発明のその他の目的及び利点は、以下 好ましい実施形態から明らかであろう。

 上記目的を達成するため、本発明は以下 構成を要旨とするものである。

 [1]Siを0.80~1.15質量%、Feを0.2~0.5質量%、Cuを3.8~ 5質量%、Mnを0.8~1.15質量%、Mgを0.5~0.8質量%、Zr 0.05~0.13質量%、TiをZrとの添加量合計で0.2質量 %以下含有し、さらにCu/Mg比が8以下を満たし Tiは、TiおよびBを5:1の割合で含むAlマスター 金(5Ti-1B母合金)の形態で添加されて、その きのTi/Zr比が0.3以上を満たし、残部がAlおよ 不可避不純物からなる合金組成を備え、
 上記合金組成のアルミニウム合金溶湯を連 鋳造して得られる、デンドライト2次アーム 間隔(DAS)が40μm以下で、晶出物の平均粒径が8 m以下の組織を有するアルミニウム合金鋳塊 対して、450~510℃の温度条件で1時間以上保 する均質化処理が施されたアルミニウム合 鋳造品により構成されたことを特徴とする ルミニウム合金鍛造素材。

 [2]前項1に記載のアルミニウム合金鍛造素 材に対して、400~510℃の温度条件で熱間鍛造 行われたことを特徴とするアルミニウム合 鍛造品。

 [3]前項1に記載のアルミニウム合金鍛造素 材に対して、熱間鍛造が行われさらに、450~51 0℃の温度条件で溶体化処理が施されたこと 特徴とするアルミニウム合金鍛造品。

 [4]Siを0.80~1.15質量%、Feを0.2~0.5質量%、Cuを3.8~ 5質量%、Mnを0.8~1.15質量%、Mgを0.5~0.8質量%、Zr 0.05~0.13質量%、TiをZrとの添加量合計で0.2質量 %以下含有し、さらにCu/Mg比が8以下を満たし Tiは、5Ti-1B母合金の形態で添加されて、その ときのTi/Zr比が0.3以上を満たし、残部がAlお び不可避不純物からなるアルミニウム合金 成の溶湯を、連続鋳造することによって、 ンドライト2次アーム間隔(DAS)が40μm以下で、 晶出物の平均粒径が8μm以下の組織を有する ルミニウム合金鋳塊を得る工程と、
 前記アルミニウム合金鋳塊に対して、450~510 ℃の温度で1時間以上保持する均質化処理を こしてアルミニウム合金鋳造品を得る工程 、を含み、
 前記アルミニウム合金鋳造品をアルミニウ 合金鍛造素材として構成するものとしたこ を特徴とするアルミニウム合金鍛造素材の 造方法。

 [5]前項4に記載の製造方法によって得られ たアルミニウム合金鍛造素材に対して、400~51 0℃の温度条件で熱間鍛造を行ってアルミニ ム合金鍛造品を得るようにしたことを特徴 するアルミニウム合金鍛造品の製造方法。

 [6]前項4に記載の製造方法によって得られた アルミニウム合金鋳造素材に対して、熱間鍛 造を行った後さらに、
 450~510℃の温度条件で溶体化処理を施して、 アルミニウム合金鍛造品を得るようにしたこ とを特徴とするアルミニウム合金鍛造品の製 造方法。

 発明[1]のアルミニウム合金鍛造素材によ ば、生産効率の向上および生産コストの削 を図りつつ、良好な表面色調および十分な 度を有する鍛造品を得ることができる。

 発明[2]によれば、上記と同様に、生産効 の向上および生産コストの削減を図りつつ 良好な表面色調および十分な強度を有する 造品を提供することができる。

 発明[3]によれば、より一層強度の高い鍛 品を提供することができる。

 発明[4]のアルミニウム合金鍛造素材の製 方法によれば、上記と同様の作用効果を有 る鍛造品を得ることができる。

 発明[5][6]によれば、上記と同様の作用効 を有する鍛造品を提供することができる。

図1はアルミニウム合金鍛造品の一例を 示す斜視図である。 図2は実施例および比較例に採用された 合金サンプルを示す斜視図である。

 本発明のアルミニウム合金鍛造素材は、 ルミニウム合金鋳造品をもって構成されて る。

 上記アルミニウム合金鋳造品は、特有の 成を有するアルミニウム合金溶湯を連続鋳 して得られたアルミニウム合金鋳塊に対し 、所定の熱処理(均質化処理)を施して作製 るものである。

 本発明において、上記アルミニウム合金 湯(鋳塊)の組成は、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Zr、5T i-1B母合金(TiおよびBを5:1の割合で含むAlマス ー合金)の形態で添加されるTiを含有し、残 がAlおよび不可避不純物からなっている。

 以下に、上記合金組成の各成分および含 率(質量%)について詳細に説明する。

 Siは、CuおよびMgと共存することで機械的 度を向上させる元素であり、その効果を確 に得るために、Siの含有率を0.80~1.15質量%に 整する必要がある。

 Siの含有率が0.80質量%未満の場合には、上 記の効果を十分に得ることができず、逆に含 有率が1.15質量%を超える場合には、Al-Si系の 大晶出物が増加し、鍛造時の塑性加工性を 害したり、あるいは、鍛造後の製品におけ 延性、靭性、疲労強度が低下するおそれが り、望ましくない。

 Feは、鋳造時の鋳塊割れを抑制し、粗大 結晶を抑制する元素であり、その効果を確 に得るために、Feの含有率を0.2~0.5質量%に調 する必要がある。

 Feの含有率が0.2質量%未満の場合には、上 の効果を十分に得ることができず、逆に含 率が0.5質量%を超える場合には、Al-Fe-Mn系の 大晶出物が増加し、鍛造時の塑性加工性を 害したり、あるいは、鍛造後の製品におけ 延性、靭性、疲労強度が低下するおそれが り、望ましくない。

 Cuは、CuAl 粒子を析出させ、さらに、Mgと共存すること よりCuMgAl 粒子を析出させて機械的強度を向上させる元 素であり、その効果を確実に得るために、Cu 含有率を3.8~5質量%に調整する必要がある。

 Cuの含有率が3.8質量%未満の場合には、上 の効果を十分に得ることができず、5質量% 超える場合には、Al-Cu-Mg系の粗大晶出物が増 加し、鍛造時の塑性加工性を阻害したり、あ るいは、鍛造後の製品における延性、靭性、 疲労強度が低下するおそれがあり、望ましく ない。

 Mnは、粗大再結晶を抑制する元素であり その効果を確実に得るために、Mnの含有率を 0.8~1.15質量%に調整する必要がある。

 Mnの含有率が0.8質量%未満の場合には、上 の効果を十分に得ることができず、逆に1.15 質量%を超える場合には、Al-Fe-Mn系の粗大晶出 物が増加し、鍛造時の塑性加工性を阻害した り、あるいは、鍛造後の製品における延性、 靭性、疲労強度が低下するのおそれがあり、 望ましくない。

 MgはCuと共存する事によりCuMgAl 粒子を析出させて機械的強度を向上させる元 素であり、その効果を確実に得るために、Mg 含有率を0.5~0.8質量%に調整する必要がある

 Mgの含有率が0.5質量%未満の場合には、上 の効果を十分に得ることができず、逆に0.8 量%を超える場合には、Al-Cu-Mg系の粗大晶出 が増加し、鍛造時の塑性加工性を阻害した 、あるいは、鍛造後の製品における延性、 性、疲労強度が低下するおそれがあり、望 しくない。

 Zrは粗大再結晶を抑制する元素であり、 の効果を確実に得るために、Zr単独の含有量 を0.05~0.13質量%で、かつZrおよびTiの含有量合 が0.2質量%以下に調整する必要がある。すな わちZrの含有率が0.05質量%未満では上記の効 を十分に得ることができず、望ましくない 逆にZrの含有率が多過ぎる場合には、以下の 理由により望ましくない。

 すなわちZrの含有量が多いと、その多量のZr が、鋳造時の結晶粒微細化のために5Ti-1B母合 金の形態で添加されるTiB のBと反応して、ZrB を生成し、結晶粒微細化を阻害してしまうた め、TiB を大量に添加する必要が生じる。しかしなが ら、TiB およびZrB は硬質粒子であるため、製品の切削加工時の バイト寿命を短くしてしまうおそれがあり、 Zrの大量の添加は望ましくない。具体的には Zrの添加量としては、0.13質量%以下で、かつ TiとZrの添加量合計が0.2質量%以下とすること 望ましい。

 また本発明においては、含有成分として CuおよびMgにおけるCu/Mg比を8以下に調整する 必要がある。

 すなわちCuとMgとは添加割合によって、CuAl 粒子のみが存在する領域(CuAl 単相領域)と、CuAl 粒子とCuMgAl 粒子が共存する領域(CuAl +CuMgAl 2相領域)と、が形成される。このうちCuAl 単相領域のAl合金は、CuAl +CuMgAl 2相領域のAl合金に比べて大幅に機械的強度が 低下するが、これらの領域は、Cu/Mg比によっ 変化する。具体的にはCu/Mg比が8より大きい 合には、CuAl 単相領域となり、Cu/Mg比が8より小さい場合に は、CuAl +CuMgAl 2相領域となる。このため、Cu/Mg比が8以下と るようにCuおおびMgの添加量を制御するのが ましい。

 さらに本発明においては、含有成分とし のTiおよびZrにおけるTi/Zr比を0.3以上に調整 る必要がある。

 すなわちTiは5Ti-1B母合金にて添加し、その きのTi/Zr比を0.3以上に調整する必要がある。 前述したように、Zrは、鋳造時の結晶粒微細 のために添加されるTiB のBと反応して、ZrB を生成し、結晶粒微細化を阻害するおそれが ある。そのため、Zr添加量に対するTiB 添加量が少ないと、鋳造時の結晶粒が粗くな り、機械的強度および伸びの低下を生じさせ 、さらには、鋳造時に鋳塊の割れを生じさせ るおそれがある。従って5Ti-1B母合金にて添加 したときのTi/Zr比が0.3以上となるようにTiB およびZrの添加量を制御することが望ましい

 本発明のアルミニウム合金溶湯(鋳塊)の 成は、上記の各元素を上記の割合で含有し 残部がAlおよび不可避不純物(不可避成分)か なるものである。

 本発明においては、上記合金組成のアル ニウム合金溶湯を連続鋳造して、アルミニ ム合金鋳塊を得るものである。

 本発明において、上記のアルミニウム合 鋳塊は、デンドライト2次アーム間隔(DAS)を4 0μm以下に調整する必要がある。

 すなわちアルミニウム合金鋳塊におけるD ASが40μmを超える場合、機械的強度が低下し 所望の高い強度が得られない恐れがあり、 ましくない。従って本発明においては、DAS 40μm以下、より好ましくは20μm以下にするの 良い。

 なお本発明において、DASは、軽金属学会 光の『軽金属(1988)、Vol.38、No.1、p45』に記載 された『デンドライトアームスペーシング測 定手法』に従って測定したものである。

 また本発明のアルミニウム合金鋳塊は、 出物の平均粒径を8μm以下に調整する必要が ある。すなわち晶出物の平均粒径が8μm以下 あれば、鍛造時の塑性加工性が良好で、製 における延性、靭性、疲労強度も良好とな 。

 なおこの発明において晶出物とは、Al-Si の晶出物、Al-Fe-Mn系の晶出物、Al-Cu-Mg系の晶 物が結晶粒界に粒状または片状に晶出した のを言う。

 本発明において、上記のアルミニウム合 鋳塊に対して均質化処理を行って、アルミ ウム合金鋳造品を得るものである。この均 化処理は、アルミニウム合金鋳塊を450~510℃ の温度条件で1時間以上保持する処理である

 ここで均質化処理の温度が450℃よりも低 場合には、溶質原子の拡散速度が遅いため ミクロ偏析が残存することになり、鍛造時 塑性加工性を阻害するおそれがあり、さら 処理時間が1時間未満の場合であっても、溶 質原子が拡散に要する時間を確保できないた め、処理温度が低過ぎる場合と同様の弊害を 生じるおそれがある。従って均質化処理にお いては上記の温度条件で1時間以上保持する 要がある。

 また処理温度が510℃よりも高い場合、Mn よびZrの再結晶抑制効果が損なわれ、製品内 部及び表面にて粗大再結晶が生じるおそれが あり、好ましくない。

 また本発明のアルミニウム合金鍛造素材 、上記のように得られたアルミニウム合金 造品によって構成されるものである。

 さらに本発明は、上記アルミニウム合金 造素材を、鍛造加工して得られるアルミニ ム合金鍛造品も対象として含まれている。

 すなわち本発明においては、上記アルミ ウム合金鍛造素材を、400~510℃の温度条件で 熱間鍛造することによって鍛造品を得るもの である。この場合、アルミニウム合金鍛造素 材に対しては、押出加工を行わずに、鍛造加 工を行うものである。

 この熱間鍛造において、鍛造時の温度が4 00℃よりも低い場合には、鍛造時の塑性加工 が悪化し、所望の形状の鍛造品を確実に得 ことが困難になるばかりか、鍛造用金型の 損や鍛造品の割れを生じるおそれがある。 に熱間鍛造時の温度が510℃よりも高い場合 は、共晶融解により、鍛造品の表面付近に 欠陥や、Cuなどの融点が低い金属の凝集が じるおそれがある。従って本発明において 熱間鍛造は、400~510℃の温度条件で行うこと 望ましい。

 さらに本発明においては、上記のように られたアルミニウム合金鍛造品に対して、4 50~510℃の温度条件で溶体化処理を行うことに よって、鍛造品の機械的強度をより一層を向 上させることができる。

 この溶体化処理時において、温度が450℃ りも低い場合には、析出強化元素の固溶量 少なくなるため、その後の時効処理での析 量が少なくなり、十分な機械的強度を得る とが困難になるおそれがある。逆に溶体化 理時の温度が510℃よりも高い場合には、共 融解により、鍛造品の表面付近に穴欠陥や Cuなどの融点が低い金属の凝集が生じるお れがある。従って本発明において、溶体化 理は450~510℃の温度条件で行うことが望まし 。

 以上のように得られた本発明の鍛造品は 後述の実施例から明らかように、引張強度 0.2%耐力および破断伸び等の機械的強度に優 れたものとなる。

 参考までに図1に示すように、アルミニウ ム合金鍛造素材を押出加工して得られた押出 品を、鍛造加工することによって、オートバ イのキックペダル(1)を作製した場合、押出時 の押出方向に平行な方向に対しては高い伸び を示すが、押出方向に直交する方向に対して の伸びは不本意にも低くなる傾向にある。従 って従来の鍛造品(キックペダル1)において、 シャフト(2)が挿入固定される部分は、引き裂 き破壊を抑制するために、押出方向に対し直 交する方向の寸法が大きくなるように設計を 行う必要がある。このためシャフト固定部の サイズを大きくせざるを得ず、ひいてはキッ クペダル(1)全体の大型高重量化を来すおそれ がある。

 これに対し、本願発明に準拠して得られ 鍛造品(キックペダル1)では、破断伸び等の 械的強度に優れているため、シャフト固定 のサイズが小さくとも、引き裂き破壊を確 に防止でき、キックペダル自体の小型軽量 を図ることができる。

 後述の実施例1~4および比較例1~11の各サン プルを作製するために、アルミニウム溶湯に 所定の添加金属を所定量投入し、800±50℃に 加熱した後、所定の温度まで降温し、保持 た後、5Ti-1B母合金を添加して保持した。こ して得られたアルミニウム溶湯を金型に鋳 んで、図2に示すように、各実施例および各 較例に対応するディスクサンプル(合金サン プル)をそれぞれ作製し、JIS H 1305に記載の 光分光分析により各合金サンプルの組成成 をそれぞれ分析して確認した。これらの分 結果を表1にまとめて示す。

 その後、実施例および比較例の各合金サ プルに対して、700±50℃に降温させた後、ホ ットトップ鋳造機を用いて直径80mmの丸棒を れぞれ連続鋳造して定尺に切断し、表1に示 温度条件で均質化処理を施して、鋳造品と ての連続鋳造丸棒を得、その後、連続鋳造 棒を切断して鍛造素材を得た。

 次に実施例1~4および比較例4~11の合金サン プル(鍛造素材)に対しては、表1に示す鍛造温 度条件で予備加熱した後、丸棒側面方向から 厚さ20mmに据え込み加工(熱間鍛造)を行った。 続けて据込品(鍛造品)に表1に示す温度条件で 溶体化処理を施した後、水冷し、さらに180℃ で8時間の時効処理を施した。

 一方、比較例1~3の合金サンプル(鍛造素材 )に対しては、押出機を用いて直径80mmの丸棒 それぞれ押出して定尺に切断した後、熱間 造および溶体化処理を行った。

 こうして得られた各サンプル(試料)を、JI S Z 2343-1に記載された溶剤除去性浸透探傷試 験(カラーチェック)に準拠して、サンプル表 の割れおよび穴欠陥の有無を確認した。

 さらに各サンプルを切断し、断面を研磨 ミクロ組織観察を行い、晶出物の平均粒径 測定した。

 その後、研磨したサンプルをエッチング 、金属顕微鏡にて観察し、DASを測定した。

 また各サンプルを、光路に偏光ガラスを 入した金属顕微鏡にて観察し、表面および 部における粗大再結晶の有無を確認した。 らに元々の素材長手方向に平行な方向(L方 )および直交する方向(LT方向)からJIS14A比例試 験片を採取し、引張強度、0.2%耐力、破断伸 をそれぞれ測定した。

 なお引き裂き破壊性を示す指標としては L方向に対するLT方向の特性低下の割合を算 した。

 これらの試験結果を表2にまとめて示す。

 <評価>
 実施例1~4については、本発明の要件(要旨) 全て満たしているため、サンプルに割れお び穴欠陥は発生せず、表面および内部共に 粗大な再結晶は認められなかった。また、 張強度、0.2%耐力、破断伸びについても、優 た特性が得られ、L方向に対するLT方向の特 低下の割合も僅かなものであり、実使用す 上で問題のない程度であった。

 さらに本実施例1~4の鍛造加工後のサンプ (鍛造品)においては、平均粒径500μm以上の 大結晶粒の発生を抑えることができた。つ り目視では認識できない程度の細かい結晶 で構成されたマクロ模様を得ることができ 表面色調が良好なものであった。

 これに対し、比較例1~3では、連続鋳造品 は異なる押出品を鍛造用素材として使用し いるため、表面および内部にて粗大再結晶 生じ、さらに、L方向に対するLT方向の引張 度、0.2%耐力、破断伸びが低下していた。特 に破断伸びの低下幅が大きくなっていた。

 比較例4では、Fe、Mnの添加量が多すぎる め、Al-Fe-Mn系の粗大晶出物が発生し、晶出物 の平均粒径が大きくなっている。従って、熱 間鍛造時に晶出物を基点に割れが発生した。

 比較例5では、Siの添加量が多すぎるため Al-Si共晶が発生し、晶出物の平均粒径が大 くなっている。このため、破断伸びが大幅 低下していた。

 比較例6では、Cu、Mgの添加量が少な過ぎ かつ、Cu/Mg比が8以下を満たしていないため 引張強度および0.2%耐力が大幅に低下してい 。

 比較例7では、Mn、Zrの添加量が少ないた 、表面部で粗大再結晶が生じていた。

 比較例8では、Ti添加量が少なく、かつ、T i/Zr比が0.3以上を満たしていないため、鋳造 の微細化不足により、破断伸びが低下して た。

 比較例9では、均質化処理温度が高過ぎた ため、共晶融解を生じ、サンプル(鍛造品)の 面に穴欠陥を生じていた。

 比較例10では、鍛造温度が高過ぎたため 共晶融解を生じ、サンプル(鍛造品)の表面に 穴欠陥を生じていた。

 比較例11では、溶体化温度が低過ぎたた 、析出強化元素の固溶が十分に行われず、 出量が不足し、引張強度、0.2%耐力が低下し いた。

 以上の結果から明らかなように、本発明 要旨を満足するアルミニウム合金鍛造素材 よび鍛造品によれば、合金組成、鋳造条件 均質化処理条件、鍛造温度および溶体化温 等を適宜調整しているため、引き裂き破壊 および表面色調に優れた高強度のアルミニ ム合金の鍛造素材および鍛造品が得ること できた。

 本願は、2007年12月21日付で出願された日 国特許出願の特願2007-330067号の優先権主張を 伴うものであり、その開示内容は、そのまま 本願の一部を構成するものである。

 ここに用いられた用語及び表現は、説明 ために用いられたものであって限定的に解 するために用いられたものではなく、ここ 示され且つ述べられた特徴事項の如何なる 等物をも排除するものではなく、この発明 クレームされた範囲内における各種変形を 許容するものであると認識されなければな ない。

 本発明は、多くの異なった形態で具現化 れ得るものであるが、この開示は本発明の 理の実施例を提供するものと見なされるべ であって、それら実施例は、本発明をここ 記載しかつ/または図示した好ましい実施形 態に限定することを意図するものではないと いう了解のもとで、多くの図示実施形態がこ こに記載されている。

 本発明の図示実施形態を幾つかここに記 したが、本発明は、ここに記載した各種の ましい実施形態に限定されるものではなく この開示に基づいていわゆる当業者によっ 認識され得る、均等な要素、修正、削除、 み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴 の組み合わせ)、改良及び/又は変更を有する りとあらゆる実施形態をも包含するもので る。クレームの限定事項はそのクレームで いられた用語に基づいて広く解釈されるべ であり、本明細書あるいは本願のプロセキ ーション中に記載された実施例に限定され べきではなく、そのような実施例は非排他 であると解釈されるべきである。

 この発明のアルミニウム合金鋳造素材は 高品質のアルミニウム合金鍛造品を製造す ための鍛造技術に適用可能である。