中山 裕子 (〒25 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 Aichi, 4678525, JP)
日本特殊陶業株式会社 (〒25 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 Aichi, 4678525, JP)
NAKAYAMA, Hiroko (14-18, Takatsuji-cho, Mizuho-ku, Nagoya-sh, Aichi 25, 4678525, JP)
| 酸化アルミニウムと炭化珪素とサイアロンとを含むセラミック材料からなり、前記サイアロンが、X線回折において、JCPDS番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nであることを特徴とする酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 酸化アルミニウムと炭化珪素とサイアロンとを含むセラミック材料からなり、前記サイアロンが、X線回折において、JCPDS番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nであり、前記炭化珪素の含有量は、5質量%を超え、30質量%以下であり、前記炭化珪素の長軸長さを短軸径で除したアスペクト比が、3未満であることを特徴とする酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記Si-Al-O-Nを、最高X線強度比で、0.01以上0.2以下含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記Si-Al-O-Nが、炭化珪素と酸化アルミニウムの界面に存在することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記サイアロンとして、更に、X線回折において、JCPDS番号36-1333で規定されるSi 3 Al 3 O 3 N 5 を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記Si 3 Al 3 O 3 N 5 を、最高X線強度比で、0.01以上0.2以下含むことを特徴とする請求項5に記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 酸化アルミニウムと炭化珪素とサイアロンとを含むセラミック材料からなり、加えて、粒界にDy化合物を有するとともに、前記Dy化合物が、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記サイアロンの平均粒径が、3μm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 破壊靱性値K IC が、4.0以上であることを特徴とする前記請求項1~8のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体。 |
| 前記請求項1~9のいずれかに記載の酸化アルミニウム基複合焼結体からなることを特徴とする切削インサート。 |
本発明は、例えば鋳鉄等の加工用のスロ アウェイチップ等に利用できる高靱性及び 強度を有する酸化アルミニウム基複合焼結 及び切削インサートに関するものである。
従来より、スローアウェイチップ等の切 インサートの材料として、アルミナ-SiCの複 合材料などが開発されている(特許文献1、2参 照)。
更に、アルミナ-SiC複合材料において、高強
度・高靱性を実現するために、SiCウイスカー
を利用する方法(特許文献3参照)や、第3相添
(TiB 2
添加)による微粒子化という手法(特許文献4参
照)が提案されている。
ところが、特許文献1~特許文献3の技術で 、SiCウイスカーが高値であり、また、SiCウ スカーを添加すると、ウイスカーの自形性 ためにアルミナの焼結性が損なわれ、その 果、緻密化のために高温・長時間の焼成が 要となり、アルミナ粒子が成長して強度が 下するという問題があった。
また、SiCウイスカーとアルミナは熱膨張 数が大きく異なるため、焼結時にSiCウイス ーとアルミナの界面には隙間が出来やすく この隙間が強度低下の原因になる。この点 関して、特許文献6には、ウイスカーとアル ミナの熱膨張係数が異なる際、隙間が発生し 強度低下につながる問題点が記述されている 。
また、加圧焼結で、隙間無く焼結する技 が、例えば引用文献5に開示されているが、 同技術で製造された材料は、SiCとアルミナの 界面は化学的に強固に結合しているものでは なく、同材料において、更なる強度向上の要 求を満たすものではない。
一方、特許文献4の技術では、添加するTiB 2 はアルミナとの濡れ性が悪いので、アルミナ の焼結性が損なわれ、その結果、緻密化のた めに高温・長時間の焼成が必要となり、アル ミナ粒子が成長して強度が低下するという問 題があった。
本発明はこうした問題点に鑑みてなされ ものであり、低コストで、高靱性及び高強 を有する酸化アルミニウム基複合焼結体及 切削インサートを提供することを目的とし いる。
本発明は、本発明者らの研究により、ア ミナを母材とする焼結体中に、微粒のSiC及 特定のサイアロンを分散複合化することに り、高靱性及び高強度を有する複合セラミ クスが得られることを見出し完成されたも である。以下、説明する。
(1)第1実施態様の発明(酸化アルミニウム 複合焼結体)は、酸化アルミニウムと炭化珪 とサイアロンとを含むセラミック材料から り、前記サイアロンが、X線回折において、 JCPDS番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nであること を特徴とする。
本発明では、酸化アルミニウムと炭化珪 とサイアロンとを含むセラミック材料から る酸化アルミニウム基複合焼結体において そのサイアロンが、JCPDS番号32-0026で規定さ るSi-Al-O-Nであるので、後述する実験例から らかな様に、高靱性及び高強度を実現でき 。つまり、本発明では、従来の様なSiCウイ カーを利用しなくとも、低コストにて、高 性及び高強度の酸化アルミニウム基複合焼 体を実現することができる。
具体的には、例えば、焼結体中に、炭化 素粒子及び上述したサイアロン粒子が均一 分散し、組織全体が多くの微粒子を含む緻 な構造となることにより、強度が向上する また、アルミナ粒子の粒界にサイアロン粒 が存在することによって、クラックが偏向 、靱性が向上する。
尚、炭化珪素としては、炭化珪素粒子(例 えばアスペクト比が3未満の粒子)が、高い焼 性を有するので好適である。また、サイア ンの一部がアルミナ粒子の粒内に存在する 合は、アルミナ粒子との熱膨張係数の差に り残留応力が発生し、この残留応力により クラック先端を、ピンニング、シーリング ディフレクションすることで、一層靱性が 上する。
(2)第2実施態様の発明(酸化アルミニウム 複合焼結体)は、酸化アルミニウムと炭化珪 とサイアロンとを含むセラミック材料から り、前記サイアロンが、X線回折において、 JCPDS番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nであり、前 記炭化珪素の含有量は、5質量%を超え、30質 %以下であり、前記炭化珪素の長軸長さを短 径で除したアスペクト比が、3未満であるこ とを特徴とする。
本発明では、第1実施態様の発明と同様に 、酸化アルミニウムと炭化珪素とサイアロン とを含むセラミック材料からなる酸化アルミ ニウム基複合焼結体において、そのサイアロ ンが、JCPDS番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nであ るので、高靱性及び高強度を実現できる。つ まり、本発明では、低コストにて、高靱性及 び高強度の酸化アルミニウム基複合焼結体を 実現することができる。
具体的には、例えば、焼結体中に、炭化 素粒子及びサイアロン粒子が均一に分散し 組織全体が多くの微粒子を含む緻密な構造 なることにより、強度が向上する。また、 ルミナ粒子の粒界にサイアロン粒子が存在 ることによって、クラックが偏向し、靱性 向上する。尚、サイアロンの一部がアルミ 粒子の粒内に存在する場合は、一層靱性が 上する。
特に本発明では、炭化珪素の含有量は、5 質量%を超えるので高靱性を実現でき、30質量 %以下であるので、十分な焼結性を有する。 た、炭化珪素の長軸長さを短軸径(直径)で除 したアスペクト比が3未満であるので、この からも十分な焼結性を有する。つまり、ア ペクト比が3未満の炭化珪素粒子を用いるこ により、焼結性を阻害することなく、高靱 を発揮する量を添加することができる。
(3)第3実施態様の発明では、前記Si-Al-O-Nを 、最高X線強度比で、0.01以上0.2以下含むこと 特徴とする。
本発明では、Si-Al-O-Nの最高X線強度比は0.0 1以上であるので、焼結体中に十分に分散し おり、よって、破壊靱性強化の効果が大き 。また、最高X線強度比は0.2以下であるので アルミナの焼結性を損ないにくく、よって 緻密な焼結体が得られる。
ここで、Si-Al-O-Nの最高X線強度比は、次の 様に定義する。
焼結体の母材であるアルミナ(α-Al 2 O 3 :Corundum)に帰属する回折線のうち、回折線の 子面間隔d(Å)=2.5520(回折角2θ=35.136°)、ミラ 指数(104)におけるピーク強度を1として、JCPDS 番号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nの格子面間隔d( Å)=2.7840(回折角2θ=32.124°)、ミラー指数(0015) おけるピークの相対強度を算出し、これをSi -Al-O-Nの「最高X線強度比」とした。
(4)第4実施態様の発明では、前記Si-Al-O-Nが 、炭化珪素と酸化アルミニウムの界面に存在 することを特徴とする。
本発明では、Si-Al-O-Nが、炭化珪素と酸化 ルミニウムの界面に存在するので、炭化珪 と酸化アルミニウムとの接合性が高く、結 として、耐欠損性及び耐摩耗性に優れてい 。
なお、焼結体中においては、Si-Al-O-Nは、 として、炭化珪素と酸化アルミニウムの界 に存在する。
(5)第5実施態様の発明では、前記サイアロン として、更に、X線回折において、JCPDS番号36- 1333で規定されるSi 3 Al 3 O 3 N 5 を含むことを特徴とする。
本発明では、サイアロンとして、前記JCPDS 号32-0026で規定されるSi-Al-O-Nに加えて、JCPDS 号36-1333で規定されるSi 3 Al 3 O 3 N 5 を含むものであるので、強度及び靱性が一層 優れている。
(6)第6実施態様の発明では、前記Si 3 Al 3 O 3 N 5 を、最高X線強度比で、0.01以上0.2以下含むこ を特徴とする。
本発明では、Si 3 Al 3 O 3 N 5 の最高X線強度比は0.01以上であるので、焼結 中に十分に分散しており、よって、破壊靱 強化の効果が大きい。また、最高X線強度比 は0.2以下であるので、アルミナの焼結性を損 ないにくく、よって、緻密な焼結体が得られ る。
ここで、Si 3 Al 3 O 3 N 5 の最高X線強度比は、次の様に定義する。
焼結体の母材であるアルミナ(α-Al 2 O 3 :Corundum)に帰属する回折線のうち、回折線の 子面間隔d(Å)=2.5520(回折角2θ=35.136°)、ミラ 指数(104)におけるピーク強度を1として、JCPDS 番号36-1333で規定されるSi 3 Al 3 O 3 N 5 の格子面間隔d(Å)=3.3240(回折角2θ=26.798°)、ミ ラー指数(020)におけるピークの相対強度を算 し、これをSi 3 Al 3 O 3 N 5 の「最高X線強度比」とした。
(7)第7実施態様の発明では、酸化アルミニウ ムと炭化珪素とサイアロンとを含むセラミッ ク材料からなり、加えて、粒界にDy化合物を するとともに、前記Dy化合物が、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 であることを特徴とする。
本発明では、酸化アルミニウムと炭化珪素 サイアロンとを含むセラミック材料からな 酸化アルミニウム基複合焼結体において、 の粒界中に、Dy化合物であるDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を含んでいるので、後述する実験例から明ら かな様に、高靱性及び高強度を実現できる。
つまり、本発明では、従来の様なSiCウイ カーを利用しなくとも、低コストにて、高 性及び高強度の酸化アルミニウム基複合焼 体を実現することができる。
具体的には、アルミナを母材とする焼結体 粒界中に、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を含むことにより、粒界強度が増加して、焼 結体の強度や靱性が向上し、特に、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 が、三成分の3重点(3種の粒子が集まる点)に 置すると、クラックのピンニングやディフ クションによって、その効果が強化される
また、粒界中に、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を含むことにより、(焼成時に)SiC及びサイア ンの分散複合化が促進され、よって、高靱 及び高強度の焼結体が得られる。
更に、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 は、アルミナ粒子の成長を抑制しながら焼結 を促進させる作用があり、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を多く含むと、破壊靱性が向上する。
(8)第8実施態様の発明では、前記サイアロ ンの平均粒径が、3μm以下であることを特徴 する。
本発明では、サイアロンの平均粒径が3μm 以下であるので、焼結時におけるアルミナ相 互間の結晶粒成長を抑制する効果があり、よ って、結晶組織が微細化して、強度・破壊靱 性が向上する。
尚、上記効果を得るためには、サイアロ の平均粒径としては、1μm以上が好適である 。また、サイアロンは、均一に分散している と、上述した効果が一層大きくなり好適であ る。
(9)第9実施態様の発明では、破壊靱性値K IC が、4.0以上であることを特徴とする。
本発明は、後述する実験例からも明らかな に、高い破壊靱性値を有しているので、例 ば切削インサートに利用した場合には、破 しにくく、その寿命が長いので好適である 尚、この破壊靱性値K IC は、後述する式(1)にて定義されるものである 。
(10)第10実施態様の発明は、第1~9実施態様 いずれかに記載の酸化アルミニウム基複合 結体からなることを特徴とする切削インサ トである。
本発明は、前記酸化アルミニウム基複合 結体からなる切削インサートを例示してい 。
本発明の切削インサートは、高強度及び 靱性という特性があるので、破損しにくく 寿命であり、この切削インサートを用いて えば鋳鉄等の加工を好適に行うことができ 。
・上述した酸化アルミニウム基複合焼結体 製造する場合には、後に詳述する様に、α- ルミナ及び平均粒径4μm未満(より好ましく 3μm以下)の炭化珪素の混合粉末からなる成形 体を、N 2 雰囲気中で焼成することで、In-situにて(即ち 造過程の反応による生成にて)サイアロンを 生成させる方法が好ましい。これにより、微 細なサイアロンを組織内に均一に分散させる ことができる。
尚、炭化珪素原料粉末の平均粒径が4μm以上 の場合には、N 2 雰囲気でもサイアロンは最高X線強度比で0.01 上生成しない。また、4μm未満であっても、 Ar雰囲気中で焼成すると、サイアロンは生成 ない。
・また、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 は、サイアロンと同様に、In-situにて生成さ ることが好ましい。これにより、微細なDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を組織内に均一に分散させることができる。 尚、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 は、炭化珪素原料粉末の平均粒径が1μm未満 は、生成しない。
従って、Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 とサイアロンを共に生成するためには、炭化 珪素原料粉末の平均粒径を1μm以上3μm以下に 、N 2 雰囲気でIn-situで生成しながら焼結すること 望ましい。
1…切削インサート
3…ホルダ
以下、本発明の実施形態を、図面を参照し
がら説明する。
[実施形態]
ここでは、本発明の酸化アルミニウム基複
焼結体の実施形態として、鋳鉄等の加工に
いられる切削インサート(スローアウェイチ
ップ)を例に挙げる
a)まず、本実施形態の切削インサートにつ
て説明する。
図1に示す様に、本実施形態の切削インサ ート1は、酸化アルミニウムを主成分とする 化アルミニウム基複合焼結体により構成さ ており、板厚方向(すくい面側)からみて正方 形の板状のチップ(例えばISO SNGN432)である。
特に本実施形態の切削インサート1は、酸化 アルミニウム(α-アルミナ)と炭化珪素とサイ ロンとの三元系セラミック材料(即ち酸化ア ルミニウムを主成分とする三元系の焼結体) らなり、そのサイアロンは、JCPDS番号32-0026 規定されるSi-Al-O-Nを、最高X線強度比で、0.01 以上0.2以下含むとともに、更に、JCPDS番号36-1 333で規定されるSi 3 Al 3 O 3 N 5 を、最高X線強度比で、0.01以上0.2以下含んで る。
また、サイアロンは粒状であり、その平 粒径は、1μm以上3μm以下であり、焼結体中 ほぼ均一に分散しており、サイアロン以外 炭化珪素も、粒子(アスペクト比が3未満の炭 化珪素粒子)の状態で焼結体中にほぼ均一に 散している。なお、詳しくは、サイアロン 、主として酸化アルミニウムと炭化珪素と 界面(粒界)に存在している。
更に、この焼結体の粒界には、Dy化合物で るDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を含んでおり、このDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 は、焼結体中にほぼ均一に分散している。
本実施形態の切削インサート1は、高強度及 び高靱性を有しており、特にその破壊靱性値 K IC は4.0以上である。
図2に示す様に、この切削インサート1は 鋼製のホルダ3に、周知のクランプ部材5によ り装着されている。尚、ホルダ5に切削イン ート1が取り付けられた工具を切削工具7と称 する。
つまり、ホルダ3の先端には、切削インサ ート1の外形に合致する様に切り欠かれた装 用凹部9が設けられており、この装着用凹部9 に切削インサート1がはめ込まれる。また、 ルダ3の先端側には、切削インサート1の上面 の一部を覆う様にクランプ部材5が取り付け れている。そして、このクランプ部材5をネ 11により締め付けることにより、クランプ 材5により切削インサート1を押圧して固定す るようになっている。
尚、切削インサート1の表面に、被覆層を 形成してもよい。この被覆層としては、Al又 Tiの酸化物、窒化物、炭化物、硼化物や、 れらの相互の固溶体から選ばれた少なくと 1種により形成された単一層又は複数層を採 できる。
b)次に、切削インサート1の製造方法につ て説明する。
まず、アルミナ原料粉末として平均粒径0.4 mのα-Al 2 O 3 粉末と、炭化珪素原料粉末として平均粒径1.0 μm以上1.2μm以下のα-SiC粉末と、平均粒径0.8μm の純度99.9%の酸化ジスプロシウム(Dy 2 O 3 )粉末とを用い、これらの混合粉末を、エタ ール又は水を分散媒として、アルミナボー ミルで24時間混合し、得られたスラリーを十 分に乾燥し、原料粉末とした。
次に、この原料粉末を金型プレス成形し、 の成形体を大気圧又は圧力0.3MPa程度のN 2 雰囲気で、1600~1800℃で1時間熱処理し、更に 100MPaのAr雰囲気中、温度1500℃で1時間HIP処理 て、酸化アルミニウム基複合焼結体を得た 得られた焼結体は、気孔率1%以下の緻密な のであった。
そして、得られた酸化アルミニウム基複 焼結体の表面を研磨して、所定の切削イン ートの形状(ISO SNGN432)に加工し、本実施形 の切削インサート1とした。
尚、切削インサート1の表面に被覆層を形 成する場合には、化学蒸着法が好ましいが、 他の方法でも良い。
従って、本実施形態の切削インサート1は 、後に詳述する実験例からも明らかな様に、 アルミナの焼結性を阻害することなく好適に 焼結されたものであるので、低コストであり 、しかも高強度及び高靱性であるという特長 を有する。
また、焼結体中のDy 3
Al 2
(AlO 4
) 3
及びサイアロンは、酸化アルミニウム基複合
焼結体の製造過程における反応を利用して、
In-situで生成させるため、コスト的、均一な
散性などの点で、有利である。
[実験例]
次に、本発明の酸化アルミニウム基複合焼
体の効果を確認するために行った実験例に
いて説明する。
(1)実験に用いる酸化アルミニウム基複合焼
体の製造方法
上述した実施形態の製造方法によって、下
表1の組成の原料粉末を調整し、同表に記載
の条件にて、実験に用いる発明品(実施例)No.1
~11及び比較品(比較例)No.1~9の酸化アルミニウ
基複合焼結体を製造した。
ここで、アルミナ原料粉末の平均粒径は0 .4μmであり、焼結雰囲気とは、HIP処理の前の 処理における雰囲気である。尚、比較例No.5 では、焼結雰囲気としてArを用いた。
また、炭化珪素原料粉末の粒径及びアス クト比は平均値であり、下記表2に記載の特 徴を有する粉末を選択して使用した。なお、 この原料粉末の粒径及びアスペクト比は、SEM 写真により平均値を求めた。
(2)各試料の焼結体の評価
・最高X線強度比の測定
各試料に対して、X線回折により、(JCPDS番号
32-0026で規定される)Si-Al-O-N、(JCPDS番号36-1333で
規定される)Si 3
Al 3
O 3
N 5
、Dy 3
Al 2
(AlO 4
) 3
の最高X線強度比を求めた。その結果を、下
表2に記す。なお、Dy 3
Al 2
(AlO 4
) 3
の最高X線強度比は、下記の様に定義される
焼結体の母材であるアルミナ(α-Al 2 O 3 :Corundum)に帰属する回折線のうち、回折線の 子面間隔d(Å)=2.5520(回折角2θ=35.136°)、ミラ 指数(104)におけるピーク強度を1として、JCPDS 番号22-1093で規定されるDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 の格子面間隔d(Å)=2.6900(回折角2θ=33.279°)、ミ ラー指数(420)におけるピークの相対強度を算 し、これをDy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 の「最高X線強度比」とした。
また、図3に実施例No.5のX線回折測定結果 示し、図4に同結果のY軸スケールを拡大し グラフを示す。
・粒径(平均粒径)の測定
焼結体のサイアロンの平均粒径は、電子プ
ーブマイクロアナライザ(EPMA)の観察により
定した。その結果を下記表2に記す。
また、図5に実施例No.2の研磨面のSEM観察写 (Dy化合物を目立つ様に処理したもの:倍率×80 00)を示すが、同図の白い部分がDy化合物(Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 )であり、黒い部分がアルミナ、炭化珪素、 イアロンである。この写真から、Dy化合物が 、焼結体中に均一に分散していることが分か る。なお、Dy化合物が粒界中に存在すること 、黒い部分であるアルミナ、炭化珪素、サ アロン内にDy化合物が存在しないことより かである。
更に、図6に実施例No.2の研磨面のEPMA観察 真(三成分を区別できる様に処理したもの: 率×10000)を示すが、同図の黒い部分が母材の アルミナであり、灰色の部分が炭化珪素、白 色の部分がサイアロンである。この写真から 、サイアロンが、炭化珪素の近傍の粒界(ア ミナと炭化珪素との界面)に存在する様子や 炭化珪素と離れて単独で存在する様子が観 できる。いずれの場合も、サイアロンが焼 体中に均一に分散している様子が確認でき 。
アルミナと炭化珪素との界面でのサイア ン(前記Si-Al-O-N)の有無については、黒い部 であるアルミナと 灰色の部分である炭化珪 素の間に、白色の部分のサイアロンが存在す ることにより明らかである。
・破壊靱性値の測定
インデンデーション・フラクチャー法によ
、破壊靱性値K IC
を測定した。その結果を下記表2に記す。尚
破壊靱性値K IC
は、下記式(1)にて算出されるものである。
KIC=0.0421E 0.4
P 0.6
a 0.8
/C 1.5
・・・(1)
ここで、KIC:破壊靱性値[Pa・√m]
E:ヤング率[Pa]
P:荷重[N]
a:圧痕の対角線長さの平均の半
[m]
C:クラック長さの平均の半分[m]
・強度の測定
JIS-R1601により、室温での三点曲げ強度を測
した。その結果を下記表2に記す。
この表2から明らかな様に、本発明の範囲 の焼結体(実施例No.1~11)は、前記Si-Al-O-Nを含む ので、比較例(試料No.1~9)に比べて、破壊靱性 及び曲げ強度とも高く、優れていることが かる。
また、SiCについては、他の条件が同じ場 には(以下同様)、5質量%を上回り、かつ、30 量%以下のときには、焼結体の破壊靱性値及 び曲げ強度とも高く、優れていることが分か る(実施例試料No.1~11と比較例1、2参照)。
SiCのアスペクト比については、3未満のと きには、焼結体の破壊靱性値及び曲げ強度と も高く、優れていることが分かる(実施例試 No.1~11と比較例3、4参照)。
Si-Al-O-Nの最高X線強度比が、0.01以上0.2以 の範囲の場合には、そうでない場合に比べ 、靱性及び強度が共に高く、より好適であ (実施例試料No.1~No.8、No.10、No.11と比較例試料 No.1~No.9参照)。
また、Si-Al-O-Nが存在する場合、炭化珪 とアルミナの界面に存在しており靱性及び 度を向上させている点で好適である(実施例 料No.1~No.11と比較例試料No.1~No.9参照)。
サイアロンについては、Si-Al-O-Nのみの場合 り、Si-Al-O-N及びSi 3 Al 3 O 3 N 5 の両方を含む方が、靱性及び強度が高く好適 である(実施例試料No.1~No.5、No.7、No.11と比較 試料No.1~No.9参照)。
Si 3 Al 3 O 3 N 5 の最高X線強度比が、0.01以上0.2以下の範囲の 合には、そうでない場合に比べて、靱性及 強度が一層高く好適である(実施例試料No.1~N o.5、No.7、No.11と比較例試料No.1~No.9参照)。
Dy 3 Al 2 (AlO 4 ) 3 を含む場合(例えば実施例No.3)には、そうでな い場合(例えば実施例No.7)と比べて、焼結体の 破壊靱性値及び曲げ強度とも高く、一層優れ ている。
尚、比較例No.5の強度及び靱性が低いのは、 焼結雰囲気がArであるからと思われる。また 比較例No.7の強度及び靱性が低いのは、炭化 珪素粉末の粒径が過大であるからと思われる 。比較例No.2の緻密化が不可であるのは、SiC 添加量が多いからと思われる。比較例No.4の 密化が不可であるのは、SiCのアスペクト比 大きいことに加え、添加量も多い為と思わ る。比較例No.8の緻密化が不可であるのは、 Si 3 N 4 の添加量が多いからと思われる。
尚、本発明は前記実施態様になんら限定 れるものではなく、本発明の要旨を逸脱し い範囲において種々の態様で実施しうるこ はいうまでもない。
