生澤 正克 (〒35 茨城県北茨城市華川町臼場187番地4 日鉱金属株式会社 磯原工場内 Ibaraki, 3191535, JP)
日鉱金属株式会社 (〒01 東京都港区虎ノ門二丁目10番1号 Tokyo, 1050001, JP)
IKISAWA, Masakatsu (Usuba Hanakawa-ch, Kitaibaraki-shi Ibaraki 35, 3191535, JP)
| 実質的にインジウム、スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部がインジウムと酸素からなるアモルファス複合酸化膜。 |
| 実質的にインジウム、スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部がインジウムと酸素からなり、膜の抵抗率が0.4mωcm以下であることを特徴とする結晶質複合酸化膜。 |
| 実質的にインジウム、スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部がインジウムと酸素からなるITO系複合酸化物のアモルファス膜を製造した後に、当該ITO系複合酸化物膜を260℃以下の温度でアニールすることによって、結晶化させることを特徴とする結晶質複合酸化膜の製造方法。 |
| 結晶化後の膜の抵抗率を0.4mωcm以下とすることを特徴とする請求項3記載の結晶質複合酸化膜の製造方法。 |
| 実質的にインジウム、スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部がインジウムと酸素からなる焼結体をスパッタすることによって、同組成のアモルファス膜を製造すること特徴とするアモルファス複合酸化膜の製造方法。 |
| 請求項5によるアモルファス膜の製造後、当該膜を260℃以下の温度でアニールすることによって、アモルファス膜を結晶化させることを特徴とする結晶質複合酸化膜の製造方法。 |
| 結晶化後の膜の抵抗率を0.4mωcm以下とすることを特徴とする請求項6記載の結晶質複合酸化膜の製造方法。 |
| 実質的にインジウム、スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部がインジウムと酸素からなる、請求項1~3のいずれかに記載の膜を製造するための複合酸化物焼結体。 |
本発明は、フラットパネルディスプレイ において、電極として形成される透明導電 用のアモルファス複合酸化膜、結晶質複合 化膜、アモルファス複合酸化膜の製造方法 結晶質複合酸化膜の製造方法および複合酸 物焼結体に関するものである。
ITO (Indium Tin Oxide) 膜は、低抵抗率、高 過率、微細加工容易性等の特徴を有し、こ らの特徴が、他の透明導電膜より優れてい ことから、フラットパネルディスプレイ用 示電極をはじめとして、広範囲の分野にわ って使用されている。現在、産業上の生産 程におけるITO膜の成膜方法の殆どは、大面 に均一性、生産性良く作製できることから ITO焼結体をターゲットとしてスパッタする いわゆるスパッタ成膜法である。
生産工程において、ITO透明導電膜を利用 るフラットパネルディスプレイ製造プロセ においては、スパッタ直後のITO膜の結晶性 非晶質で、非晶質の状態でエッチング等の 細加工を行い、その後の熱アニール処理で ITO膜を結晶化させている場合が多い。この 由は、ITO非晶質膜はエッチングレートが大 く、生産上有利であり、かつ、ITO結晶膜は 抵抗率で耐熱性に優れているという両方の 点を享受できるからである。
ITOターゲットをスパッタして得られる膜の
どの部分は、非晶質であるが、一部が結晶
してしまう。この理由は、ITO膜の結晶化温
は約150℃であり、膜の殆どの部分は、これ
下の温度にしかならないので非晶質である
、スパッタによって基板へ飛来してくる粒
の中には、かなり高いエネルギーを有する
のがあり、基板到達後のエネルギーの授受
よって、膜の温度が結晶化温度以上の高温
なり、膜が結晶化してしまう部分が生じる
らである。
この様にITO膜の一部に結晶化した部分が生
ると、その部分はエッチング速度が、非晶
の部分より、2桁程小さいため、その後のエ
ッチングの際に、いわゆる、エッチング残渣
として残ってしまい、配線ショート等の問題
を引き起こしてしまう。
そこで、膜の結晶化を防ぎ、膜全部を非晶
とする方法として、スパッタ時にチャンバ
内にアルゴンなどのスパッタガスに加えて
水(H 2
O)を添加することが有効であることが知られ
いる(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、水添加でのスパッタによって非晶
の膜を得ようとする方法には、数々の問題
がある。まず、膜にパーティクルが発生し
しまう場合が多い。パーティクルは膜の平
性や結晶性に悪影響を及ぼす。また、水を
加しなければパーティクルは発生しないこ
から、パーティクル発生の問題は水添加が
因である。
さらに、スパッタチャンバー内の水濃度は
スパッタ時間の経過に伴って、次第に低下
てくるため、当初は適切な水濃度であった
しても、次第に適切濃度に満たない濃度に
ってしまい、膜一部が結晶化してしまう。
しかし、一方で、確実に非晶質の膜を得る
めに、添加する水濃度を高くしてしまうと
その後のアニールで膜が結晶化する際の結
化温度が、非常に高くなり、得られる膜の
抗率が、非常に高くなってしまうという問
が生じてしまう。
つまり、膜全部を非晶質とするために、水
加でのスパッタによると、常に、チャンバ
内の水濃度を把握、制御する必要があるが
それは非常に困難であるとともに、大変な
間と労力を要してしまうのである。
この様な問題を解決するために、結晶性膜
作製されやすいITO膜ではなく非晶質安定な
明導電材料を一部では用いられている。例
ば、酸化インジウムに亜鉛を添加した組成
焼結体をターゲットとして、当該ターゲッ
をスパッタして非晶質膜が得られることは
られているが、この様にして得られた膜は
非常に非晶質安定で、500℃以上の高温にし
いと結晶化しない。
従って、結晶化させて、エッチング速度を
違いに小さくすることによるプロセス上の
点を得ることができず、膜の抵抗率が約0.45
mωcmと結晶化したITO膜より高い値である。さ
に、当該膜は可視光平均透過率が約85%程度
ありITO膜より劣っている。
また、本発明と形式上は類似している部分
有するが、構成や技術的思想が異なるもの
して、以下の特許文献等があり、これらの
要等について以下に記す。
特許文献1(特開2003-105532号公報)は、タッチ
ネル用途等の高抵抗率膜を得ることが目的
あって、そのため手段としてITOに絶縁性酸
物を添加したスパッタリングターゲットに
いての記載がある。
絶縁性酸化物の例として、酸化マグネシウ
他が請求項では記載されているが、実施例
は絶縁性酸化物としては酸化珪素について
記述のみである。さらに、成膜時の膜の結
性やその後のアニールによる膜の結晶化等
ついては何らの記載もなく、膜抵抗率も0.8~
10×10 -3
ωcm程度と非常に高く、本願発明とは技術的
想も範囲も異なるものである。
特許文献2(特許第3215392号公報)は、ITOの結晶
化温度より高い温度でも非晶質、平坦で耐熱
性等に優れた膜を得ることが目的であって、
そのための手段としてマグネシウムの添加濃
度を高く(2.4%以上)して、基板温度200℃でも非
晶質膜を実現させているが、反面、マグネシ
ウム濃度が高いために、膜抵抗率が高く(実
例1の結果7.9×10 -4
ωcm)、透明導電膜としては特性上劣るもので
る。
従って、本願発明の様に結晶性を制御した
、結晶化後の膜抵抗率を低下させる等の技
的思想はなく、また、添加マグネシウム濃
も高い等の点で、本願発明とは異なるもの
ある。
特許文献3(特許第3827334号公報)は、酸化物焼
結体の密度の向上にあり、そのための手段と
してITOにマグネシウム他5種類の元素から選
れた1種類以上の元素を5~5000ppm含有するとと
に、その他の諸条件を満たすITO焼結体につ
ての記述がある。しかし、当該特許は焼結
特性のみに関するものであって、膜特性に
いて規定や向上等に付いての記載は全くな
。
僅かに、実施例において当該焼結体をスパ
タして得られた膜の比抵抗についての記載
あり、所定元素を添加しない通常のITOから
られた膜より若干比抵抗が小さくなること
示しているのみである。
また、基板温度と膜抵抗率との間の相関が
められず、100℃でも膜抵抗率が低いことか
、膜が結晶化していると推定される。つま
、当該特許には膜結晶性等に関する知見は
く含まれておらず、本発明とは技術的思想
範囲も異なるのである。
特許文献5(特許第3632524号公報)、特許文献 6(特開2003-055759号公報)、特許文献7(特開2003-160 861号公報)には、ITOに所定のマグネシウム濃 範囲添加したターゲットについての記述が り、それぞれマグネシウム原料として酸化 グネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、イ ジウム酸マグネシウムが示されているが、 特許と該特許出願の目的はタッチパネル用 どの高抵抗率、平坦等の特性を有する膜を 成するために、ターゲットを安価、割れず 、スパッタ時のアーキングなくすためのタ ゲット製造方法に関するものであり、本発 の様な膜の結晶性や膜抵抗率等の特性等に する技術的思想は全く含まれておらず、範 も異なるものである。
以上で説明した様に先行技術として、酸化
ンジウムに亜鉛を添加した組成の焼結体を
ーゲットとして用いるものは、膜抵抗率が
い等の欠点を有しているために、解決策と
ては充分でない。
また、本願発明と形式上類似するITOにマグ
シウムを添加することを一部に含む特許出
等は、本願発明が課題とする事項を捉えて
らずに、単にマグネシウム添加による膜の
抵抗率効果、膜の非晶質安定効果、ターゲ
トの高密度化効果等を目的するものであり
本願発明の様な膜の結晶性の制御や結晶化
の膜の低抵抗率を利用するといった技術的
想が含まれていない。
また、添加するマグネシウム濃度が高抵抗
効果や非晶質安定効果を狙う場合は、添加
が高過ぎており、ターゲットの高密度化を
う場合は、ターゲットの特性のみについて
記述に留まっており、そのターゲットから
発明における有用な膜特性についての記述
製造方法等の実施例記述等は全くない。
本発明の課題は、フラットパネルディス レイ用表示電極等に用いられるITO系薄膜を 基板無加熱でスパッタ時に水添加すること く、非晶質のITO膜が得られ、その膜はエッ ングの際に、結晶化した膜の一部が残渣と て残るようなことがなく、比較的早いエッ ング速度でエッチングができるようなエッ ング特性に優れているとともに、当該膜が あまり高温でないアニールによって結晶化 るとともに、結晶化後の抵抗率が充分低く るようなITO系膜、膜製造方法、膜製造のた の焼結体を提供するものである。
本発明者らは、ITOに各種元素を添加した 化物ターゲットについて、鋭意検討を重ね 結果、ITOにマグネシウムを適切濃度添加し 焼結体を所定の条件でスパッタすることで 得られる膜を所定の条件でアニールするこ で上記問題点を解決できることを見出し、 発明を完成した。
即ち、本発明は、
1)実質的にインジウム、スズ、マグネシウム
よび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn +
Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウム
、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%
割合で含有されており、残部がインジウム
酸素からなるアモルファス複合酸化膜、を
供する。
本願発明において、ITO複合酸化膜の成分組
に、さらにマグネシウムが必須成分として
有されている。このマグネシウムの含有は
ITO複合酸化膜の非晶質性を維持する上で重
な役割を有する。
また、本願発明は、
2)実質的にインジウム、スズ、マグネシウム
よび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn +
Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウム
、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%
割合で含有されており、残部がインジウム
酸素からなり、膜の抵抗率が0.4mωcm以下で
ることを特徴とする結晶質複合酸化膜、を
供する。
本願発明の結晶質複合酸化膜は、上記1)の
モルファス膜と同一の組成であるが、その
抗率は著しく低い膜が形成できる。
また、本願発明は、
3)実質的にインジウム、スズ、マグネシウム
よび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn +
Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウム
、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%
割合で含有されており、残部がインジウム
酸素からなるITO系複合酸化物のアモルファ
膜を製造した後に、当該複合酸化膜を260℃
下の温度でアニールすることによって、結
化させることを特徴とする結晶質複合酸化
の製造方法、を提供する。
本願発明において、基板上に形成したアモ
ファス複合酸化膜を低温でアニールするこ
により、容易に結晶質の複合酸化膜に変換
きる。これは、本願発明の著しい特徴の一
である。
4)そして、このようにして形成された結晶化
の膜の抵抗率を0.4mωcm以下とすることを可
とする。
また、本願発明は、
5)実質的にインジウム、スズ、マグネシウム
よび酸素からなり、スズがSn / (In + Sn +
Mg )の原子数比で5~15%の割合、マグネシウム
、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数比で0.1~2.0%
割合で含有されており、残部がインジウム
酸素からなる焼結体をスパッタすることに
って、同組成のアモルファス膜を製造する
と特徴とする系アモルファス複合酸化膜の
造方法、を提供する。
透明導電膜等用のアモルファス複合酸化膜
形成する場合には、スパッタリングによる
とが非常に効率の良い方法である。この意
で、アモルファス複合酸化膜と同一成分組
の焼結体を製造し、その特性を変えること
く、スパッタリングすることが望ましいと
える。
また、本願発明は、
6)前記5)によるアモルファス膜の製造後、当
膜を260℃以下の温度でアニールすることに
って、アモルファス膜を結晶化させること
特徴とする結晶質複合酸化膜の製造方法、
提供する。
7)これにより、結晶化後の膜の抵抗率を0.4mωc
m以下とすることが可能である。
8)さらに、本願発明は、実質的にインジウム
スズ、マグネシウムおよび酸素からなり、
ズがSn / (In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%
割合、マグネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg
)の原子数比で0.1~2.0%の割合で含有されてお
、残部がインジウムと酸素からなる、上記1
)~3)のいずれかに記載の膜を製造するための
合酸化物焼結体、を提供する。
本発明の第一の特徴は、添加されたマグネ
ウムが、ITOのネットワーク構造結合を切断
る効果により、結晶化を防止する点にある
そして、単にITO膜の結晶化を妨げるだけで
れば、添加濃度を非常に高くすることで達
できる。
しかしながらその場合は、本発明の第2の特
徴である、成膜後にあまり高すぎない温度で
のアニールで膜が結晶化して、結晶化後の膜
の抵抗率が低いという特徴を発揮させること
ができない。なぜなら、添加元素濃度を高く
してしまうと、結晶化温度が上昇するととも
に、結晶化後の膜抵抗率も高くなってしまう
からである。
つまり、本発明特徴は、成膜時の膜の非晶
化と、その後の適切温度でのアニールによ
膜の結晶化と低抵抗率化の両方を実現でき
点にあり、本発明は、この様な課題の解決
初めて示した新規な技術的思想を有するの
ある。
本発明によれば、ITOにマグネシウムを適 濃度添加したスパッタリングターゲットを いて、成膜時に水を添加することなく、基 無加熱の状態で、所定の条件でスパッタ成 することで、膜全体が非晶質の膜を得るこ ができる。また、その膜はその後のエッチ グで、エッチング残渣の発生という問題が く、結晶質のITO膜と比較して、約2桁もエッ チングレートが速いという、ITO非晶質膜の有 する利点を享受することができる。さらに、 成膜後にあまり高すぎない温度でのアニール によって、膜を結晶化させて、膜の抵抗率を 低くすることができるという利点をも得るこ とができ、非常に有用な効果が得られる。
本発明に係るアモルファス複合酸化膜、結
質複合酸化膜、アモルファス複合酸化膜の
造方法、結晶質複合酸化膜の製造方法およ
複合酸化物焼結体を、さらに詳しく説明す
。
本発明の透明導電膜形成に有用である酸化
焼結体は、実質的にインジウム、スズ、マ
ネシウムおよび酸素からなり、スズがSn /
(In + Sn + Mg )の原子数比で5~15%の割合、マ
ネシウムが、Mg / ( In + Sn + Mg )の原子数
比で0.1~2.0%の割合で含有されており、残部が
ンジウムと酸素からなることを特徴として
る。
ここで、Snはスズの原子数、Inはインジウム
の原子数、Mgはマグネシウムの原子数をそれ
れ表しており、全金属原子であるインジウ
、スズおよびマグネシウムの合計の原子数
対する、スズおよびマグネシウムの原子数
の適切濃度範囲をそれぞれ示している。該
明導電膜形成用スパッタリングターゲット
よび該透明導電膜の組成は、前記透明導電
形成用酸化物焼結体の組成と実質的に同じ
ある。
スパッタリングターゲットは、該酸化物焼
体を所定の直径、厚みに加工しただけのも
であり、また、該透明導電膜は、該スパッ
リングターゲットをスパッタ成膜して得ら
る膜であり、該スパッタリングターゲット
スパッタ成膜して得られる膜には組成の差
殆ど無いからである。
また、「実質的に」とは、透明導電膜形成
酸化物焼結体の構成元素が、インジウム、
ズ、マグネシウム、酸素の4種類のみから形
成されているが、通常入手可能な原料中に含
まれ、その原料製造時の通常の精製方法では
除去しきれない不可避的不純物を不可避的濃
度範囲で含んでいたとしても、本発明はそれ
らをも含む概念であることを示すものである
。すなわち、不可避的不純物は、本願発明に
含まれるものである。
スズは酸化インジウムに添加されると、n 型ドナーとして働き、抵抗率を低下させる効 果がある。市販のITOターゲットは、通常、ス ズ濃度Snが、Sn / (In + Sn) = 10%程度である スズ濃度が低すぎると、電子供給量が少な なり、また、逆に多すぎると電子散乱不純 となって、どちらの場合も、スパッタによ て得られる膜の抵抗率が高くなってしまう 従って、ITOとして適切なスズの濃度範囲は スズ濃度Snが、Sn / (In + Sn + Ca )の式で5~1 5%の範囲であることから、本願発明でのスズ 度は規定されている。
マグネシウムはITOに添加されると、膜の結
化を妨げて、非晶質化させる効果がある。
グネシウムの濃度Mgが、Mg / ( In + Sn + Mg
) < 0.1%であると、膜を非晶質化させる効
果が殆ど無く、スパッタした膜が、一部結晶
化してしまう。
一方、Mg / ( In + Sn + Mg ) > 2.0%であ
と、スパッタして得られた非晶質の膜を、
晶化させるために必要なアニール温度が260
を超える高温となってしまい、その様なプ
セス実施のためのコスト、手間、時間を要
てしまって、生産上不適当である。さらに
マグネシウム濃度が高過ぎると、高温でア
ールして膜を結晶化させたとしても、得ら
る膜の抵抗率が高くなり、透明導電膜の導
性の観点から大きな欠点となってしまう。
従って、マグネシウム濃度は、本発明で規
しているように、Mg / ( In + Sn + Mg )の
子比で0.1~2.0%の割合であることが最適である
。マグネシウム濃度は、このようにして決定
されたものである。
次に、酸化物焼結体の製造方法について説
する。
本発明の酸化物焼結体を製造するためには
まず、原料である酸化インジウム粉末、酸
スズ粉末、および酸化マグネシウム粉末を
所定の割合で秤量し、混合する。混合が不
分であると、製造したターゲットに酸化マ
ネシウムが偏析している高抵抗率領域と低
抗率領域が存在して、スパッタ成膜時に高
抗率領域での帯電によるアーキング等の異
放電が起き易くなってしまう。
そこで、混合にはスーパーミキサーを用い
、毎分2000~4000回転程度の高速回転で、約2~5
程度の充分な混合を行うことが望ましい。
お、原料紛は酸化物であるために雰囲気ガ
は、特に原料の酸化を防止する等の考慮が
要ないために大気でかまわない。
なお、この段階で大気雰囲気中において、1
250~1350℃、4~6時間保持の仮焼工程を入れて、
料間の固溶を促進させておくことも有効で
る。また、酸化インジウムと酸化マグネシ
ム、あるいは、酸化スズと酸化マグネシウ
を混合紛として、仮焼しておいても良い。
次に、混合紛の微粉砕を行う。これは原 紛のターゲット中での均一分散化のためで り、粒径の大きい原料分が存在するという とは、場所により組成むらが生じているこ になり、特に、酸化マグネシウムは絶縁性 ので、スパッタ成膜時の異常放電の原因と ってしまう。また、マグネシウムによる結 化防止効果にむらが生じることになり、マ ネシウム濃度の低い領域でのITOの結晶化が じてしまう原因ともなる。
従って、微粉砕は原料紛の粒径が平均粒 (D50)が、1μm以下、好ましくは0.6μm以下とな まで行うことが望ましい。実際には、混合 に水を加えて、固形分40~60%のスラリーとし 、直径1mmのジルコニアビーズで1.5~3.0時間程 度の微粉砕を行う。
次に、混合紛の造粒を行う。これは、原 紛の流動性を良くして、プレス成型時の充 状況を充分良好なものにするためである。 インダーの役割を果たすPVA(ポリビニルアル コール)をスラリー1kgあたり100~200ccの割合で 合して、造粒機入口温度200~250℃、出口温度1 00~150℃、ディスク回転数8000~10000rpmの条件で 粒する。
次に、プレス成型を行う。所定サイズの型 造粒紛を充填し、面圧力700~900kgf/cm 2 で成形体を得る。面圧力700kgf/cm 2 以下であると、充分な密度の成形体を得るこ とができず、面圧力900kgf/cm 2 以上にする必要も無く、無駄なコストやエネ ルギーを要するので生産上好ましくない。
最後に焼結を行う。焼結温度は1450~1600℃で
保持時間は4~10時間、昇温速度は4~6℃/分、
温は炉冷で行う。焼結温度が1450℃より低い
、焼結体の密度が充分大きくならず、1600℃
を超えると炉ヒーター寿命が低下してしまう
。
保持時間が4時間より短いと、原料紛間の反
応が充分進まず、焼結体の密度が充分大きく
ならず、焼結時間が10時間を越えても、反応
充分起きているので、不必要なエネルギー
時間を要する無駄が生じて生産上好ましく
い。
また、昇温速度が4℃/分より小さいと、所
温度になるまでに不必要に時間を要してし
い、昇温速度が6℃/分より大きいと、炉内の
温度分布が均一に上昇せずに、むらが生じて
しまう。この様にして得られた焼結体の密度
は、相対密度で約99.9%、バルク抵抗は約0.13mω
cm程度となる。
以下にスパッタリングターゲットの製造方
について説明する。
上記の様な製造条件によって得られた酸化
焼結体の外周の円筒研削、面側の平面研削
することによって厚さ4~6mm程度、直径はス
ッタ装置に対応したサイズに加工し、銅製
バッキングプレートに、インジウム系合金
どをボンディングメタルとして、貼り合わ
ることでスパッタリングターゲットとする
とができる。
以下にスパッタリング成膜方法について説
する。
本発明のITO系複合酸化物からなる透明導電
は、上記により製造したスパッタリングタ
ゲットを用いて、アルゴンガス圧を0.4~0.8Pa
ターゲットと基板間隔を50~110mm、ガラスな
を基板として無加熱で、スパッタパワーを
例えば、ターゲットサイズが8インチの場合
、200~900Wで直流マグネトロンスパッタ成膜
ることで得ることができる。
基板間隔が50mmより短いと、基板に到達する
ターゲット構成元素の粒子の運動エネルギー
が大きくなりすぎて、基板へのダメージが大
きく、膜抵抗率が増加してしまうとともに、
膜が一部結晶化してしまう可能性がある。一
方、ターゲットと基板間隔が110mmより長いと
基板に到達するターゲット構成元素の粒子
運動エネルギーが小さくなりすぎて、緻密
膜が形成されず、抵抗率が高くなってしま
。
アルゴンガス圧やスパッタパワーについて
適切範囲も、同様の理由から上記の様にな
ている。また、基板温度も加熱すると膜が
晶化し易くなる。従って、これらのスパッ
条件を適切に選択することで、得られる膜
アモルファスとなり得る。
以下に膜の特性評価方法について説明する
上記の様にして得られた透明導電膜の結晶
の判定は、膜のX線回折測定(XRD測定)で結晶
の膜が示すようなピークの有無、シュウ酸
よる膜のエッチングで結晶性の膜が示すよ
なエッチング残渣が生じるかどうかから確
することができる。つまり、X線回折測定で
ITO結晶に起因する特有のピークがなく、エッ
チング残渣がない場合にその膜はアモルファ
スであると判定できる。
シュウ酸による膜のエッチング方法は、例
ば、シュウ酸二水和物(COOH) 2
・2H 2
Oを純水と、シュウ酸:純水=5:95重量%の比率で
合した液を、エッチャントとして、液温を4
0℃に保つように恒温槽に入れて、膜付き基
を攪拌して行うことができる。
また、膜の抵抗率はホール測定によって求
ることができる。
以下に、膜のアニール方法について説明す
。
上記の様にして得られた非晶質膜を結晶化
せるためには、例えば、窒素雰囲気下で、
加元素によって若干異なるが160~260℃の温度
で、30~60分間アニールをすることで得ること
できる。膜が結晶化したことは、XRD測定で
ピーク強度が極めて強くなることやシュウ
による膜のエッチングで、エッチング速度
非晶質の膜より約2桁小さくなることからも
確認できる。
また、結晶化した膜は、スズによる電子放 効果が充分に行われ、キャリア濃度と移動 の両方が増加して、添加元素濃度によって 干異なるが、4×10 -4 ωcm以下の低い抵抗率が実現できる。
以下に本発明を実施例でさらに詳細に説 するが、本発明はこれらに限定されるもの はない。すなわち、本願発明の技術思想の 囲での、変更、他の実施態様は、全て本願 明に含まれるものである。
(実施例1)
原料である酸化インジウム粉末、酸化スズ
末および酸化マグネシウム粉末とを、原子
比でIn:Sn:Mg=90.78:9.08:0.14%となるように秤量し
、大気雰囲気中でスーパーミキサーにより、
毎分3000回転、3分の混合を行った。
次に、混合紛に水を加えて、固形分50%のス
リーとして、直径1mmのジルコニアビーズで2
時間の微粉砕を行い、混合紛の平均粒径(D50)
0.6μm以下とした。その後、PVA(ポリビニルア
ルコール)をスラリー1kgあたり125ccの割合で混
合して、造粒機入口温度220℃、出口温度120℃
、ディスク回転数9000rpmの条件で造粒した。
さらに、8インチターゲット直径となる様な
所定のサイズの型に造粒紛を充填し、面圧力
780kgf/cm 2
でプレスして成形体を得た。そして、成形体
を昇温速度5℃/分で1540℃間まで昇温させ、154
0℃で5時間保持後、降温は炉冷とする焼結を
った。
上記条件で得られた酸化物焼結体の外周の
筒研削、面側の平面研削をして、厚さ5mm程
、直径8インチとし、銅製のバッキングプレ
ートに、インジウムをボンディングメタルと
して、貼り合わせることでスパッタリングタ
ーゲットとした。
上記スパッタリングターゲットを用いて、
ルゴンガス圧を0.5Pa、ターゲットと基板間
を80mm、無アルカリガラスを基板として、基
無加熱の状態で、スパッタパワーを785W、成
膜時間22秒で直流マグネトロンスパッタ成膜
ることで、膜厚約550Åの膜を得た。
上記膜のXRD測定を行った結果、結晶性を示
ピークは認められなかった。膜のXRD測定結
を図1に示す。また、膜をシュウ酸:純水=5:95
重量%の比率で混合した液をエッチャントと
て、エッチングを行ったが、エッチング残
は認められなかった。エッチング途中の膜
面の電子顕微鏡写真を図2に示す。上記2種類
の膜特性判定評価結果から、得られた膜は非
晶質であると判定できた。
上記非晶質膜を窒素雰囲気下で、100~210℃の
各温度、10℃間隔で60分間アニールを行い、
ニール後の膜のXRD測定、抵抗率、透過率を
定した。アニール温度とXRD測定でのピーク
度、および膜抵抗率との相関を図3に示す。
アニール温度の増加に伴って、XRD測定にお
るピーク強度が次第に大きくなっていくが
ある温度からピーク強度は急激に大きくな
、その後安定する。また、アニール温度の
加に伴って、膜抵抗率が低下してくるが、
る温度から膜抵抗率が急激に小さくなり、
の後、安定する。
これら両方の温度はほぼ一致しており、ピ
ク強度と抵抗率が安定化し始める温度を、
の結晶化温度とした。結晶化温度の決定に
たって、安定化したかどうかの判断には、
干幅があるため、約5℃程度のずれは生じる
が、この値は厳密に決定する必要は無く、添
加物濃度との傾向を把握すれば充分である。
結晶化後の膜のXRD測定結果を図1に示す。当
該膜の結晶化温度は189℃、結晶化後の膜抵抗
率は0.22mωcmであった。これらの結果を表1に
す。また、波長550nmでの透過率は90%であった
。
(実施例2~6)
実施例1の焼結体組成を以下の様に変えて、
その他の条件は、実施例1と同じ条件で行っ
ものが、実施例2~6である。
実施例2では焼結体組成の原子数比%が、In:Sn
:Mg=90.66:9.07:0.27、実施例3では焼結体組成の原
数比%が、In:Sn:Mg=90.41:9.04:0.55、実施例4では
結体組成の原子数比%が、In:Sn:Mg=89.91:8.99:1.10
実施例5では焼結体組成の原子数比%が、In:Sn
:Mg=89.41:8.94:1.65、実施例6では焼結体組成の原
数比%が、In:Sn:Mg=89.09:8.91:2.00である。成膜時
の結晶性、結晶化温度および結晶化後の膜抵
抗率は、それぞれ表1に記載の通りである。
以上の結果から、これらの実施例では、 膜後の膜の結晶性はいずれも非晶質であり 結晶化温度はマグネシウム添加濃度の増加 伴って、次第に高温になっていくが、実施 6の結果からも分かるように、結晶化温度は 255℃であり、さほどの高温とはならなかった 。また、結晶化後の膜の抵抗率は、マグネシ ウム添加濃度の増加に伴って次第に大きくな っていくが、実施例6の結果でもまだ、0.39mωc mであり、この値は後述する比較例2の場合の 化インジウムに亜鉛を添加した非晶質膜の 抗率が、0.45mωcmであることと比較しても、 り小さな値のままであった。
(比較例1~2)
実施例1の焼結体にマグネシウムを添加せず
に、酸化インジウムにスズ、または酸化イン
ジウムに亜鉛を添加した組成物を焼結体とし
て用いて、その他の条件は、実施例1と同じ
件で行ったものが、比較例1~2である。
比較例1では焼結体組成の原子数比%が、In:Sn
=90.00:10.00、比較例2では焼結体組成の原子数
%が、In:Zn=90.00:10.00である。成膜時の結晶性
結晶化温度および結晶化後の膜抵抗率は、
れぞれ表1に記載の通りである。
また、比較例1の膜をエッチングした際の膜
表面の電子顕微鏡写真を図4に示す。エッチ
グ残渣として結晶化した部分の膜が残って
まっている様子が分かる。
以上の結果から、比較例1では、結晶化温度
が低く、結晶化後の膜抵抗率が小さいが、成
膜時の膜質が結晶化しており、エッチング残
渣として残ってしまう問題が生じる。
一方、比較例2では、成膜後の膜質は非晶質
で、膜抵抗率は0.45mωmであり、当該膜は非常
非晶質安定すぎて、結晶化温度は600℃と極
て高温であり、また、結晶化後の膜抵抗率
2.42mωmと非常に高い。
(比較例3~4)
実施例1の焼結体組成を以下の様に変えて、
その他の条件は、実施例1と同じ条件で行っ
ものが、比較例3~4である。比較例3では焼結
組成の原子数比%が、In:Sn:Mg=90.85:9.08:0.07、比
較例4では焼結体組成の原子数比%が、In:Sn:Mg=8
8.64:8.86:2.50である。比較例3はマグネシウム添
加濃度が小さいもの、比較例4はマグネシウ
添加濃度が大きいものである。成膜時の結
性、結晶化温度および結晶化後の膜抵抗率
、それぞれ表1に記載の通りである。
以上の結果から、比較例3では、結晶化温度
が低く、結晶化後の膜抵抗率が小さいが、成
膜時の膜質が結晶化しており、エッチング残
渣として残ってしまう問題が生じる。
一方、比較例4では、成膜後の膜質が非晶質
ではあるが、結晶化温度が260℃を超える高温
となってしまい、また、結晶化後の膜抵抗率
が、0.47mωmと高くなってしまう。この値は前
した比較例2の場合の、酸化インジウムに亜
鉛を添加した場合に得られる膜のアニール前
の抵抗率と同等になってしまうので、抵抗率
の観点からの優位性は特になくなってしまう
。
上記で説明した様に、本発明によれば、水
添加することなく、当該ターゲットをスパ
タ成膜することで、膜全部が非晶質であるI
TO系膜が得られ、その後にあまりに高温でな
温度でのアニールで膜が結晶化し、膜のエ
チング速度が小さくなり、が低くなる膜が
られる点で、透明導電体として非常に有用
ある。
Next Patent: INFORMATION PROCESSING DEVICE, PROGRAM AND INFORMATION PROCESSING METHOD
