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Title:
ANISOTROPIC CONDUCTIVE ADHESIVE FILM AND METHOD FOR PRODUCING ANISOTROPIC CONDUCTIVE ADHESIVE FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139857
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an anisotropic conductive adhesive film for making an electrically conductive connection between electronic components or the like. This anisotropic conductive adhesive film comprises a first releasing film (2) provided with a first releasing layer (5) on one side, an adhesive layer (3) formed on the first releasing film (2) through the first releasing layer (5) and composed of an anisotropic conductive adhesive material, and a second releasing film (4) provided with a second releasing layer (6) on one side and arranged on a side of the adhesive layer (3) opposite to the first releasing film (2) side through the second releasing layer (6). The first and second releasing films (2, 4) use a non-contractile biodegradable film composed of a fatty acid polyester component as the base, and the first releasing layer (5) and the second releasing layer (6), which are composed of a thermosetting silicone resin curable at a temperature not less than 100˚C, are formed on the respective bases.

Inventors:
NAGASHIMA MINORU (JP)
KAWASHIMA TADASU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057779
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
April 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SONY CHEM & INF DEVICE CORP (JP)
NAGASHIMA MINORU (JP)
KAWASHIMA TADASU (JP)
International Classes:
B32B7/02; C09J7/02; C09J9/02; C09J201/00; H01B5/16
Foreign References:
JP2002370315A2002-12-24
JP2006281670A2006-10-19
JP2004322624A2004-11-18
JPH08506775A1996-07-23
JP2000135769A2000-05-16
Attorney, Agent or Firm:
KOIKE, Akira et al. (Yamato Seimei Bldg.1-7, Uchisaiwai-cho 1-chom, Chiyoda-ku Tokyo, JP)
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Claims:
1.一方の面に剥離層が設けられた剥離フィルムと、
 上記剥離フィルム上に上記剥離層を介して設けられ、異方導電性接着材料により形成された接着剤層とを備え、
 上記剥離フィルムは、脂肪酸ポリエステル成分からなる非収縮性の生分解性フィルムを基材とし、上記基材上に100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂からなる上記剥離層が設けられている異方導電性接着剤フィルム。
2.上記脂肪酸ポリエステル成分として、L乳酸及びD乳酸からなるポリ乳酸を用い、
 上記D乳酸は、上記L乳酸に対して1~5重量%混合されている請求の範囲第1項記載の異方導電性接着剤フィルム。
3.上記剥離層は、上記基材上に上記シリコーン樹脂を塗布し、100~160℃で硬化されることにより、上記剥離フィルムの一方の面に設けられている請求の範囲第1項記載の異方導電性接着剤フィルム。
4.一方の面に第1の剥離層が設けられた第1の剥離フィルムと、
 上記第1の剥離フィルム上に上記第1の剥離層を介して設けられ、異方導電性接着材料により形成された接着剤層と、
 上記第1の剥離層と剥離力が異なる第2の剥離層が一方の面に設けられ、上記接着剤層の上記第1の剥離フィルム側の面と反対側の面に、上記第2の剥離層を介して設けられた第2の剥離フィルムとを備え、
 上記第1及び第2の剥離フィルムは、脂肪酸ポリエステル成分からなる非収縮性の生分解性フィルムを基材とし、上記それぞれの基材上に100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂からなる上記第1の剥離層、上記第2の剥離層が設けられている異方導電性接着剤フィルム。
5.上記脂肪酸ポリエステル成分として、L乳酸及びD乳酸からなるポリ乳酸を用い、
 上記D乳酸は、上記L乳酸に対して1~5重量%混合されている請求の範囲第4項記載の異方導電性接着剤フィルム。
6.上記第1及び第2の剥離層は、上記それぞれの基材上に上記シリコーン樹脂を塗布し、100~160℃で硬化されることにより、上記第1及び第2の剥離フィルムの一方の面に設けられている請求の範囲第4項記載の異方導電性接着剤フィルム。
7.剥離フィルムの基材となる脂肪酸ポリエステル成分からなる非収縮性の生分解性フィルム上に、剥離層となる100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂液を塗布する第1の工程と、
 上記シリコーン樹脂液を100℃以上で乾燥及び熱硬化させて剥離層を有する剥離フィルムを形成する第2の工程と、
 上記剥離層上に、異方導電性接着材料を塗布する第3の工程と、
 上記異方導電性接着材料を乾燥させて接着剤層を形成する第4の工程とを有する異方導電性接着剤フィルムの製造方法。
8.さらに、上記第1乃至第4の工程により得られた異方導電性接着剤フィルムを所定幅に切断してリールに巻回する工程を有する請求の範囲第7項記載の異方導電性接着剤フィルムの製造方法。
9.それぞれ第1及び第2の剥離フィルムの基材となる脂肪酸ポリエステル成分からなる非収縮性の生分解性フィルム上に、第1及び第2の剥離層となる100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂液を塗布する第1の工程と、
 上記シリコーン樹脂液を100℃以上で乾燥及び熱硬化させて、それぞれ剥離力が異なる第1の剥離層、第2の剥離層を有する第1及び第2の剥離フィルムを形成する第2の工程と、
 上記第1の剥離フィルムの第1の剥離層上に、異方導電性接着材料を塗布する第3の工程と、
 上記異方導電性接着材料を乾燥させて接着剤層を形成する第4の工程と、
 上記接着剤層の上記第1の剥離フィルム側の面と反対側の面に、上記第2の剥離層を介して上記第2の剥離フィルムを積層する第5の工程とを有する異方導電性接着剤フィルムの製造方法。
10.さらに、上記第1乃至第5の工程により得られた異方導電性接着剤フィルムを所定幅に切断してリールに巻回する工程を有する請求の範囲第9項記載の異方導電性接着剤フィルムの製造方法。
Description:
異方導電性接着剤フィルム及び 方導電性接着剤フィルムの製造方法

 本発明は、基板、電子部品間等の導電接続 行うための異方導電性接着剤フィルムであ て、その剥離フィルムに生分解性フィルム 用いた異方導電性接着剤フィルム及び異方 電性接着剤フィルムの製造方法に関する。
 本出願は、日本国において2007年5月7日に出 された日本特許出願番号2007-122783を基礎と て優先権を主張するものであり、この出願 参照することにより、本出願に援用される

 従来、半導体素子の接続端子とその搭載用 板の接続端子とを接続する際に、異方導電 接着剤フィルムを用いて、異方性導電接続 ることが行われている。
 ここで用いられる異方導電性接着剤フィル は、例えば、ベースフィルムとなる基材と 基材表面に設けられた剥離層と、剥離層の 面に設けられた接着剤層と、接着剤層の表 に他の剥離層を介して配置されたカバーフ ルムとを有する。
 かかる異方導電性接着剤フィルムを用いた 方性導電接続においては、まず、カバーフ ルムを他の剥離層とともに接着剤層から剥 し、基板の貼り付け面に接着剤層の表面を し当てる。次に、剥離層とともにベースフ ルムを剥離させることにより、接着剤層が 板上に残る。そして、この接着剤層を、基 と、接続すべき材料の間に挟むようにして 加熱加圧することにより導電を確保すると もに両者を接着することができる。
 かかる異方導電性接着剤フィルムを構成す ベースフィルムやカバーフィルムは、例え 、ポリエステルフィルム等の剥離ベース基 の片面に離型剤の塗膜(剥離層)を設けて構 される剥離フィルムであり、各種粘着剤被 の保護フィルムとしても広範に使用されて る。異方導電性接着剤フィルムは、一般的 、ベースフィルムの表面に、反応性の粘着 と溶剤とを含む塗液を塗工した後、加熱し 溶媒を除去する方法で塗設される。カバー ィルムとなる剥離フィルムは、この粘着剤 膜の表面に積層される。ベースフィルム及 カバーフィルムとして使用された剥離フィ ムは、ポリエステルのリサイクル処理が行 れているが、一部の製品を除いてリサイク することができず、産業廃棄物として廃棄 分されているのが現状である。
 ところで、ポリ乳酸(PLA)をはじめとするバ オプラスチックは、通常のプラスチック製 と同じように使えて、しかも使用後は、自 界の微生物や分解酵素によって水と二酸化 素に分解されていく、所謂「自然に還る」 ラスチックであり、廃棄物の処理に際して 、地中への埋め立てが可能で、燃焼させて 発生熱量が低くダイオキシン等の有害物質 放出されることもなく地球環境への負荷を しく軽減できる次世代のプラスチックとし 注目されており、自然環境中で使用される 品や使用後のリサイクルが難しい分野への 用が期待されている。そして、上述した異 導電性接着剤フィルムを構成する剥離フィ ムにも、このバイオプラスチックを用いる とが期待されている。
 しかしながら、ポリ乳酸(PLA)をはじめ、現 よく用いられているバイオプラスチックは 環境配慮の観点から注目されているものの 耐熱性や耐衝撃性などの性能面において石 由来のプラスチックに及ばず、十分に普及 るまでには至っていないというのが現状で る。
 例えば、異方導電性接着剤フィルムの剥離 ィルムを製造する場合、剥離層を形成させ ため基材表面に塗工された離型剤組成物を 熱処理する必要があるが、塗工後の硬化処 に際し、基材を100℃~130℃程度の加熱硬化処 理が必要となり、通常のバイオプラスチック では、加熱処理時に基材が変形を起こして、 剥離フィルムとしての性能を著しく損なうと いう問題があった。
 また、異方導電性接着剤フィルムは、一般 に幅広のフィルム基材に剥離層及び接着剤 を塗工形成するなどした後に、これを細幅 テープ状に切断しながらロール状に巻き取 ことによって製品として製造されているた 、フィルム剤を細幅のテープ状に切断する のスリットに適すること、すなわち切断性 良好であることが必要であるが、通常のバ オプラスチックでは、切断性が不十分であ という問題があった。

 本発明の目的は、剥離フィルムの基材とし 生分解性フィルムを用いた場合にも、加熱 理時の変形の発生を防止でき、また、所望 寸法に裁断する際の良好な切断性を得るこ ができる異方導電性接着剤フィルム及び異 導電性接着剤フィルムの製造方法を提供す ことにある。
 本発明に係る異方導電性接着剤フィルムは 一方の面に剥離層が設けられた剥離フィル と、上記剥離フィルム上に上記剥離層を介 て設けられ、異方導電性接着材料により形 された接着剤層とを備え、上記剥離フィル は、脂肪酸ポリエステル成分からなる非収 性の生分解性フィルムを基材とし、上記基 上に100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコ ン樹脂からなる上記剥離層が設けられてい 。
 また、本発明に係る異方導電性接着剤フィ ムは、一方の面に第1の剥離層が設けられた 第1の剥離フィルムと、上記第1の剥離フィル 上に上記第1の剥離層を介して設けられ、異 方導電性接着材料により形成された接着剤層 と、上記第1の剥離層と剥離力が異なる第2の 離層が一方の面に設けられ、上記接着剤層 上記第1の剥離フィルム側の面と反対側の面 に、上記第2の剥離層を介して設けられた第2 剥離フィルムとを備え、上記第1及び第2の 離フィルムは、脂肪酸ポリエステル成分か なる非収縮性の生分解性フィルムを基材と 、上記それぞれの基材上に100℃以上で硬化 る熱硬化性のシリコーン樹脂からなる上記 1の剥離層、上記第2の剥離層が設けられてい る。
 本発明に係る異方導電性接着剤フィルムの 造方法は、剥離フィルムの基材となる脂肪 ポリエステル成分からなる非収縮性の生分 性フィルム上に、剥離層となる100℃以上で 化する熱硬化性のシリコーン樹脂液を塗布 る第1の工程と、上記シリコーン樹脂液を100 ℃以上で乾燥及び熱硬化させて剥離層を有す る剥離フィルムを形成する第2の工程と、上 剥離層上に、異方導電性接着材料を塗布す 第3の工程と、上記異方導電性接着材料を乾 させて接着剤層を形成する第4の工程とを有 する。
 また、本発明に係る異方導電性接着剤フィ ムの製造方法は、それぞれ第1及び第2の剥 フィルムの基材となる脂肪酸ポリエステル 分からなる非収縮性の生分解性フィルム上 、第1及び第2の剥離層となる100℃以上で硬化 する熱硬化性のシリコーン樹脂液を塗布する 第1の工程と、上記シリコーン樹脂液を100℃ 上で乾燥及び熱硬化させて、それぞれ剥離 が異なる第1の剥離層、第2の剥離層を有する 第1及び第2の剥離フィルムを形成する第2の工 程と、上記第1の剥離フィルムの第1の剥離層 に、異方導電性接着材料を塗布する第3の工 程と、上記異方導電性接着材料を乾燥させて 接着剤層を形成する第4の工程と、上記接着 層の上記第1の剥離フィルム側の面と反対側 面に、上記第2の剥離層を介して上記第2の 離フィルムを積層する第5の工程とを有する
 本発明に係る異方導電性接着剤フィルムは 剥離フィルムの基材として生分解性フィル を用いることにより、地球環境への負荷を 減できるとともに、脂肪酸ポリエステル成 からなる非収縮性の生分解性フィルムを用 ることにより、加熱処理時の変形等の発生 防止し、また、良好な切断性を得ることが きる。
 本発明のさらに他の目的、本発明によって られる利点は、以下において図面を参照し 説明される実施の形態から一層明らかにさ るであろう。

図1は、本発明を適用した異方導電性接 着剤フィルムの断面図である。 図2は、D型ポリ乳酸を3重量%添加したL ポリ乳酸フィルムを溶融状態から1℃/minの速 度で冷却したときのDSC測定結果を示す図であ る。 図3は、本発明を適用した異方導電性接 着剤フィルムの他の例の断面図である。

 以下、本発明を適用した異方導電性接着剤 ィルムについて、図面を参照して説明する
 本発明を適用した異方導電性接着剤フィル 1は、電極パターンが形成された基板及び電 子部品等を導電接続するとともに、接着して 固定することができるものである。
 この異方導電性接着剤フィルム1は、図1に すように、第1の剥離層5を有する第1の剥離 ィルムとしてベースフィルム2と、このベー フィルム2の第1の剥離層5上に設けられ、異 導電性接着材料により形成された接着剤層3 と、第1の剥離層5と剥離力が異なる第2の剥離 層6を有し、接着剤層3のベースフィルム2側の 面と反対側の面に、第2の剥離層6を介して設 られた第2の剥離フィルムとしてのカバーフ ィルム8とを備える。
 尚、ここでは、異方導電性接着材料からな 接着剤層3を両面から挟むようにベースフィ ルム2及びカバーフィルム4が設けられて3層構 造とされた異方導電性接着剤フィルム1につ て説明するが、本発明はこれに限られるも ではなく、片面にのみ剥離フィルムが設け れた、すなわち、上述の第2の剥離層を含め カバーフィルムを有さないようなタイプの 方導電性接着剤フィルムとして構成しても い。
 第1の剥離フィルムとしてのベースフィルム 2は、脂肪酸ポリエステル成分からなる非収 性の生分解性フィルムを基材7とし、この基 7上に100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコ ーン樹脂が塗布されて硬化されることにより 形成される第1の剥離層5が一方の面に設けら ている。具体的には、この第1の剥離層5は 100~160℃程度に加熱処理されることにより形 されている。また、ベースフィルム2の基材 7となる脂肪酸ポリエステル成分として、L乳 と、その光学異性体であるD乳酸とが特定の 割合で構成されたポリ乳酸(PLA)を用いること より、非収縮性の生分解性フィルムとする とができる。尚、このベースフィルム2の基 材7としては、視認性の観点から白色又は黒 で、25~75μm程度の厚みで形成されたものが用 いられ、第1の剥離層5は、50~400nm程度の厚み 形成される。
 第2の剥離フィルムとしてのカバーフィルム 4は、脂肪酸ポリエステル成分からなる非収 性の生分解性フィルムを基材8とし、この基 8上に100℃以上で硬化する熱硬化性のシリコ ーン樹脂が塗布されて硬化されることにより 形成される第2の剥離層6が一方の面に設けら ている。具体的には、この第2の剥離層6は 100~160℃程度に加熱処理されることにより形 されている。また、この第2の剥離層6は、 1の剥離層5とは異なる剥離力となるように形 成され、すなわち、第1の剥離層5の剥離力よ 小さい剥離力となるように形成されている また、カバーフィルム4の基材8となる脂肪 ポリエステル成分からなる非収縮性の生分 性フィルムとしては、上述したベースフィ ム2の基材7と同様のものが用いられる。尚、 このカバーフィルム4の基材8としては、透明 、10~40μm程度の厚みで形成されたものが用 られ、第2の剥離層6は、50~400nm程度の厚みで 成される。
 上述のように、L乳酸及びD乳酸からなるポ 乳酸からなる非収縮性の生分解性フィルム 基材7,8としたベースフィルム2及びカバーフ ルム4は、高温における非収縮性が高いので 、この基材7,8上に塗布され硬化されることで 形成される剥離層の材料として、100℃以上で 硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂を用いる ことを可能とし、第1及び第2の剥離層5,6を高 で硬化させることにより、接着剤層3に対す るベースフィルム2及びカバーフィルム4の剥 力を小さくすることを可能として、すなわ 、剥離力の設定値の選択の自由度を増加さ ることを可能とする。
 また、L乳酸及びD乳酸からなるポリ乳酸か なる非収縮性の生分解性フィルムを基材7,8 したベースフィルム2及びカバーフィルム4は 、切断性(スリット性)に優れるものであるの 、剥離フィルム単体として所望の形状に切 する際に有利であるとともに、このベース ィルム2及びカバーフィルム4を異方導電性 着剤フィルム1に用いた場合には、この異方 電性接着剤フィルムを所望の幅に裁断する の切断性を向上させることができる。
 ここで、L乳酸及びD乳酸からなるポリ乳酸 これを剥離フィルムに用いた場合の異方導 性接着剤フィルムの切断性を向上させるこ について説明する。
 ポリ乳酸(以下、「PLA」ともいう。)には、L とD体とが存在し、それぞれが、光学活性高 分子であり、また、螺旋構造を有する結晶性 高分子である。各種実験から得られた事実と して、例えば、L-PLA(L乳酸)中に、D-PLA(D乳酸) 3%(重量%)程度配合すると、結晶化度がL-PLAだ を用いた場合に比べて向上することが知ら ている。これは、L-PLAとD-PLAとの相互作用に よりステレオコンプレックスが形成されてい ることが原因であると考えられる。
 具体的には、L-PLA中に、重量%で1~5%のD-PLAを 加したPLAフィルム(L乳酸とD乳酸の混合物)は 、従来のPLAに比べて分子配向が行われ易いと 考えられる。PLAフィルム形成時においては、 PLAシートの流れ方向、すなわち製造時にシー トが流れる方向に沿って、PLAの高分子鎖が配 向されている状態が形成されていると考えら れる。よって、剥離フィルム及びこれを用い た異方導電性接着剤フィルムのスリット工程 において、L-PLAに1~5%のD-PLAを添加したPLAシー は、スリット方向に対してPLAの高分子鎖が り配向しているので、従来のPLAシートに比 て切断性が向上されることとなる。
 さらに、詳細に説明すると、ポリ乳酸は、 成成分である乳酸のL体とD体の比率やアニ リング条件、他の添加物等により、結晶化 動が大きく変わることが知られている。
 また、ポリ乳酸(PLA)は、乳酸の脱水縮合重 体であり、上述したように、L体及びD体の光 学異性体が存在し、その重合体がそれぞれ、 L型ポリ乳酸(PLLA)、D型ポリ乳酸(PDLA)と呼ばれ いる。PLLAの主鎖は、左巻き螺旋、PDLAの主 は、右巻き螺旋の構造となっている。すな ち、PLLAは、キラルな分子からなり、helix状 主鎖を持つ結晶性高分子(ヘリカル高分子)で ある。そして、PLLAのような結晶性高分子にPD LAを結晶化させると、L体とD体の形の違いが ズルのピースのようにうまくはまり合うこ で、所謂ステレオコンプレックスを形成し これによりL体単独の場合よりも結晶が密に り、融点が上がることが明らかとなった。
 また、D型ポリ乳酸を3重量%添加したL型ポリ 乳酸フィルムを溶融状態から1℃/minの速度で 却したときのDSC測定結果を図2に示す。尚、 図2中、曲線L1は、無添加状態のL型ポリ乳酸 ィルムの測定結果を示し、曲線L2は、D型ポ 乳酸を添加したL型ポリ乳酸フィルムの測定 果を示すものである。曲線L1において、-δHc =36.1J/gであり、107℃付近でピークが現れてい 。また、曲線L2において、-δHc=48.2J/gであり 140℃付近でピークが現れている。この図2に 示すように、D型ポリ乳酸の添加によっても 晶化温度が高くなり且つ結晶化エンタルピ (δHc、ピーク面積)も大きくなることが知ら ており、これは、D型ポリ乳酸の添加により 晶化が促進されていることを意味するもの ある。さらに、溶融状態から冷却時に140℃ 偏光顕微鏡により観察した、無添加L型ポリ 乳酸、D型ポリ乳酸が添加されたL型ポリ乳酸 各フィルムの写真等からも、D型ポリ乳酸を 添加したフィルムにおいて、無数の球晶が観 察されており、L型ポリ乳酸は、D型ポリ乳酸 ステレオコンプレックスを形成することが られているので、この形成が結晶化の促進 寄与しているものと考えられている。
 また、L型ポリ乳酸中に1~5重量%のD型ポリ乳 を添加したステレオPLAは、耐熱性が高いこ に加え、成形時間が従来よりも短時間で済 という利点もある。具体的には、一般的なP LAでは3~5分かかる成形が、L型ポリ乳酸中に3 量%のD型ポリ乳酸を添加したステレオPLAは、 30秒くらいで可能となる。このように成形時 が短時間で済むのは、結晶化のスピードが いためと考えられており、すなわち、L体と D体の配列パターンが決まっているため、結 化が進みやすいことが予測されている。
 さらに、結晶化の進行速度と同時に、分子 向速度にも変化を与えることとなり、2軸延 伸等によりフィルムを成形した場合、分子の 再配向(整列)が起こり、フィルムの裁断時の 断性(スリット性)に異方性を示すことにな 、これによって、ポリエステルフィルム、 リプロピレンフィルム等のプラスチックフ ルムに比べて、優れた切断性能を発現する 考えられる。
 このように、L乳酸とD乳酸とで構成される 晶構造体である剥離フィルム、すなわち、L 酸及びD乳酸からなるポリ乳酸からなる非収 縮性の生分解性フィルムを基材としたベース フィルム2及びカバーフィルム4は、これを異 導電性接着剤フィルム1に用いた場合に、異 方導電性接着剤フィルムを所定の幅に裁断す る際の切断性を向上させることができる。
 接着剤層3を構成する異方導電性接着材料と しては、導電性を有する導電性粒子がバイン ダー樹脂である絶縁性接着剤中に分散された ものが用いられ、この絶縁性接着剤としてエ ポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂 等が用いられている。尚、この接着剤層は、 10~50μm程度の厚みで形成されている。
 以上のように構成された異方導電性接着剤 ィルム1は、一方の面に第1の剥離層5が設け れた第1の剥離フィルムとしてベースフィル ム2と、このベースフィルム2上に第1の剥離層 5を介して設けられ、異方導電性接着材料に り形成された接着剤層3と、第1の剥離層5と 離力が異なる第2の剥離層6が一方の面に設け られ、接着剤層のベースフィルム2側の面と 対側の面に、第2の剥離層6を介して設けられ た第2の剥離フィルムとしてカバーフィルム4 を備え、上述のベースフィルム2及びカバー フィルム4が、脂肪酸ポリエステル成分から る非収縮性の生分解性フィルムを基材7,8と 、それぞれの基材7,8上に100℃以上で硬化す 熱硬化性のシリコーン樹脂からなる第1の剥 層5、第2の剥離層6が設けられている構成に り、剥離層形成の際の加熱処理時の変形等 なく、適切な剥離力を有し、且つ良好な切 性を有することを可能とする。よって、本 明を適用した異方導電性接着剤フィルム1は 、剥離フィルムに生分解性フィルムを用いる ことにより、地球環境への負荷を軽減できる とともに、微細な電子部品等を接着する際に 特に必要とされる微細で精巧に形成すること を可能とし、様々な電子部品等の導電接続に 用いられることを可能とする。
 すなわち、本発明は、生分解性剥離フィル を用いた異方導電性接着剤フィルムに関し 従来よく用いられていた生分解性脂肪酸ポ エステルフィルムには、耐熱性がなかった とから、高温乾燥を製造工程で用いること できないために、低温硬化型シリコーンを 用することとなり、剥離特性を十分に確保 きなかっため、生分解性剥離フィルムを用 た異方導電性接着剤フィルムを実現できな ったことに鑑みて、基材として高温にも耐 られる高温耐性生分解性フィルム(特定のL 酸及びD乳酸から構成される特定のポリ乳酸) を用い、さらに塗布するシリコーン樹脂組成 物を制御したものである。このように剥離フ ィルムの基材として生分解性のある新型耐熱 性バイオプラスチックを用いることにより、 従来では実現できなかった130℃においてシリ コーン樹脂の硬化反応を行わせることにより 、良好な剥離力(0.24N/5cm)を発現させることが きる(従来の低温硬化型シリコーンを用いた 剥離力は1.00N/5cmであった。)ものである。ま 、この耐熱性を有する生分解性剥離フィル を有する異方導電性接着剤フィルムは、カ ーフィルム4を剥離した状態で接着剤層3の表 面を露出させ接続すべき電子部品等に仮圧着 を行う際の熱に対しても、接着剤層3に未だ り付けられているベースフィルム2の基材の 形等のおそれがないため、安心して仮圧着 行うことを可能とする。
 また、換言すると、本発明は、上述のよう 問題を解決するために、特定のポリ乳酸に 用されるL乳酸と、その光学異性体であるD 酸で構成される、両者のユニークな結晶構 が、ポリ乳酸では実現できなかった高耐熱 を生み出し、このポリ乳酸を用いることに り、加熱処理時に基材が変形を起こすこと く、切断性にも優れることから、離型フィ ムとしての性能を十分発揮でき、且つ使用 は、自然界の微生物や分解酵素によって水 二酸化炭素に分解され、廃棄物の処理に際 ても、地中への埋め立てが可能で、燃焼さ ても発生熱量が低くダイオキシン等の有害 質が放出されることもなく地球環境への負 を著しく軽減できることを見出したことに り完成されたものである。
 また、本発明で用いられる生分解性フィル は、異方導電性接着剤フィルムを使用する に発生する廃フィルム材について生分解性 確認したところ、良好に分解することが確 でき、大量に発生する廃フィルム材を生分 させることにより、環境に対してクリーン あり、良好な環境に対する効果があるもの ある。
 このように、本発明は、地球環境への負荷 軽減できるとともに、剥離層形成の際の加 処理時の変形等がなく、適切な剥離力を有 、且つ良好な切断性を有する異方導電性接 剤フィルム1を提供するものである。
 また、本発明を適用した異方導電性接着剤 ィルム1は、ベースフィルム及びカバーフィ ルム等の剥離フィルムの基材となる生分解性 フィルムとして、L乳酸及びD乳酸からなるポ 乳酸で、この混合割合としてL乳酸100重量% 対して1~5重量%程度の割合でD乳酸が混合され たポリ乳酸からなるものを用いたことにより 、優れた生分解性及び耐熱性を有したまま、 さらに切断性を向上させることができる。
 尚、上述したように、本発明を適用した異 導電性接着剤フィルムは、カバーフィルム 有さないように構成、すなわち、ベースフ ルム及び接着剤層からなるように構成して よい。
 次に、図3に示すようなベースフィルム及び 接着剤層からなる異方導電性接着剤フィルム 11について説明する。
 本発明を適用した異方導電性接着剤フィル 11は、図3に示すように、剥離層15を有する 離フィルムとしてベースフィルム12と、この ベースフィルム12の剥離層15上に設けられ、 方導電性接着材料により形成された接着剤 13とを備える。
 剥離フィルムとしてのベースフィルム12は 上述したベースフィルム2と同様に、脂肪酸 リエステル成分からなる非収縮性の生分解 フィルムを基材17とし、この基材17上に100℃ 以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹脂が 塗布されて硬化されることにより形成される 剥離層15が一方の面に設けられている。基材1 7及び剥離層15の具体的な構成及び作用につい ては、上述の基材7及び第1の剥離層5と同様で あるので、詳細な説明は省略する。また、接 着剤層13は、上述の接着剤層3と同様に構成さ れている。
 以上のように構成された異方導電性接着剤 ィルム11は、一方の面に剥離層15が設けられ た剥離フィルムとしてベースフィルム12と、 のベースフィルム12上に剥離層15を介して設 けられ、異方導電性接着材料により形成され た接着剤層13とを備え、ベースフィルム12が 脂肪酸ポリエステル成分からなる非収縮性 生分解性フィルムを基材17とし、基材17上に1 00℃以上で硬化する熱硬化性のシリコーン樹 からなる剥離層15が設けられている構成に り、剥離層形成の際の加熱処理時の変形等 なく、適切な剥離力を有し、且つ良好な切 性を有することを可能とする。よって、本 明を適用した異方導電性接着剤フィルム11は 、剥離フィルムに生分解性フィルムを用いる ことにより、地球環境への負荷を軽減できる とともに、微細な電子部品等を接着する際に 特に必要とされる微細で精巧に形成すること を可能とし、様々な電子部品等の導電接続に 用いられることを可能とする。
 次に、上述の異方導電性接着剤フィルム1の 製造方法について説明する。本発明を適用し た異方導電性接着剤フィルムの製造方法は、 それぞれベースフィルム2及びカバーフィル 4の基材7,8となる脂肪酸ポリエステル成分か なる非収縮性の生分解性フィルム上に、第1 及び第2の剥離層5,6となる100℃以上で硬化す 熱硬化性を有し液状のシリコーン樹脂(以下 「シリコーン樹脂液」ともいう。)を塗布す る第1の工程と、塗布されたシリコーン樹脂 を100℃以上で乾燥及び熱硬化させて、それ れ剥離力が異なる第1の剥離層5、第2の剥離 6を有するベースフィルム2及びカバーフィル ム4を形成する第2の工程と、ベースフィルム2 の第1の剥離層5上に、異方導電性接着材料を 布する第3の工程と、異方導電性接着材料を 乾燥させて接着剤層3を形成する第4の工程と 形成された接着剤層3のベースフィルム2側 面と反対側の面に、第2の剥離層6を介してカ バーフィルム4を積層する第5の工程と、第1乃 至第5の工程により得られた異方導電性接着 フィルムを所定幅に切断してリール等に巻 する第6の工程とを有する。
 第1の工程では、例えば、ベースフィルム2 びカバーフィルム4の基材7,8となるL乳酸及び D乳酸からなるポリ乳酸の結晶構造体である 分解性フィルムの上に、それぞれの剥離層5, 6を形成するための熱硬化性のシリコーン樹 液を塗布する。
 第2の工程では、第1の工程で塗布された熱 化性のシリコーン樹脂液を、例えば130℃程 の温度で乾燥及び熱硬化させることにより ベースフィルム2及びカバーフィルム4を生成 する。尚、このとき、第1の工程でシリコー 樹脂を塗布する厚み及び/又は第2の工程で乾 燥及び熱硬化させる温度等を調整することに より、第1及び第2の剥離層5,6の剥離力を異な ように、すなわち、カバーフィルム4を構成 する第2の剥離層6の剥離力が、ベースフィル 2を構成する第1の剥離層5の剥離力より小さ なるように形成される。
 第3の工程では、第2の工程で形成されたベ スフィルム2の第1の剥離層5上に、異方導電 接着材料を所定の厚みで塗布する。
 第4の工程では、第3の工程でベースフィル 2の第1の剥離層5上に塗布された異方導電性 着材料を乾燥することにより接着剤層3を形 する。
 第5の工程では、第4の工程で形成された接 剤層3の上に、第2の工程で形成されたカバー フィルム4を積層する。このとき、接着剤層3 両面にそれぞれ第1及び第2の剥離層5,6を介 てベースフィルム2及びカバーフィルム4が位 置するようにされている。この第5の工程に り、ベースフィルム2、接着剤層3及びカバー フィルム4が所謂3層構造を有するように一体 される。換言すると、上述の第1乃至第5の 程により、ベースフィルム2の基材7、第1の 離層5、接着剤層3、第2の剥離層6及びカバー ィルム4の基材8が、順番に積層された5層構 の異方導電性接着剤フィルム1が得られる。
 第6の工程では、第1乃至第5の工程により得 れた異方導電性接着剤フィルム1を所定の幅 に裁断してリール等に巻回することで異方導 電性接着剤フィルム1のロール体を得ること できる。
 以上のように、本発明を適用した異方導電 接着剤フィルム1の製造方法は、上述したよ うな第1乃至第5の工程を備えることにより、 方の面に第1の剥離層5が設けられたベース ィルム2と、このベースフィルム2上に第1の 離層5を介して設けられ、異方導電性接着材 により形成された接着剤層3と、第1の剥離 5と剥離力が異なる第2の剥離層6が一方の面 設けられ、接着剤層3のベースフィルム側の と反対側の面に、第2の剥離層6を介して設 られた第2の剥離フィルムとしてカバーフィ ム4とを備え、ベースフィルム2及びカバー ィルム4が脂肪酸ポリエステル成分からなる 収縮性の生分解性フィルムを基材として、 れぞれの基板上に熱硬化性のシリコーン樹 からなる剥離層が設けられて構成される異 導電性接着剤フィルム1を製造することがで き、すなわち、剥離層形成の際の加熱処理時 の変形等がなく、適切な剥離力を有し、且つ 良好な切断性を有する異方導電性接着剤フィ ルム1を製造することができる。
 尚、上述の異方導電性接着剤フィルム11の 造方法については、上述した異方導電性接 剤フィルム1の製造方法における第1乃至第3 工程と同様な工程でベースフィルム12を形成 し、このベースフィルム12の剥離層15上に異 導電性接着材料を塗布した後に、この異方 電性接着材料を乾燥させて接着剤層13を形成 する工程と、上述の第6の工程と同様の工程 を行うものとして、ここでは、詳細な説明 省略する。
 ここで、上述した異方導電性接着剤フィル 1を用いて異方性導電接続を行う場合の動作 について説明する。具体的には、基板と、接 続すべき電子部品とを導電を確保しながら接 着するものとして説明する。
 まず、カバーフィルム4を接着剤層3から剥 し、接着剤層3の表面を露出させ、基板の貼 付け面に露出した接着剤層3の表面を押し当 てる。
 基板に貼り付けられた接着剤層3及びこれと 一体とされているベースフィルム2の第1の剥 層5と接着剤層3との間の接着力は、接着剤 3と基板との間の接着力、及び、第1の剥離層 5と基材7との間の接着力よりも小さくなって り、基材7をこの接着剤層3が貼り付けられ 基板から剥離しようとすると、第1の剥離層5 と接着剤層3の界面で剥離が起こり、第1の剥 層5が基材7と一緒に剥離され、接着剤層3の が基板上に残る。
 そして、この接着剤層3を、基板と、接続す べき電子部品との間に挟むようにして、加熱 加圧することにより導電を確保するとともに 両者を接着することができる。
 実施例
 次に、本発明の異方導電性接着剤フィルム 用いられる剥離フィルムの実施例について 体的に説明する。尚、本発明は、これらの 施例によって限定されるものではない。尚 以下では、本発明の実施例1とともに、この 実施例1と比較するための比較例1~4を挙げて 明する。実施例1及び比較例1~4においては、 下に示すように剥離フィルムを製造し、以 で説明する初期剥離力、初期残留接着率、 方性導電膜剥離力、耐熱性評価、生分解性 価及びスリット性評価についての測定及び 価を行った。
 実施例1では、まず、30%付加反応型シリコー ン溶液(KS-847、信越化学工業社製)7重量部、白 金硬化触媒(PL-50T、信越化学工業社製)0.07重量 部、トルエン53重量部及びメチルエチルケト (MEK)40重量部を均一に混合し、剥離層を構成 する離型剤組成物を調製した。
 次に、得られた離型剤組成物を、剥離フィ ムの基材として50μm厚の上述したL乳酸及びD 乳酸からなるポリ乳酸からなる非収縮性の生 分解性フィルム(以下、「新型耐熱性バイオ ラスチックフィルム」という。)の片面に乾 厚で0.1μmとなるようにコイルバーで塗工し 130℃のオーブンに入れ、その温度を1分間保 持した後、オーブンより取り出し、これによ り、剥離フィルム用の基材の片面に剥離層が 設けられた剥離フィルムを得た。
 <初期剥離力>
 初期剥離力の測定は、上述のように得られ 剥離フィルムの片面に、アクリル系粘着フ ルム(T4090、ソニーケミカル社製)を貼り合わ せ、長さ200mmで幅50mmの短冊状にカットし、得 られた短冊状サンプルに2kgの荷重を載せたま ま70℃で20時間エージングした。エージング 了後、25℃でT型剥離試験を行い、初期剥離 (N/5cm)を剥離強度試験機(テンシロン、オリエ ンテック社製)を用いて測定した。尚、剥離 の試験においては、アクリル系粘着フィル を用いても、異方導電性接着材料を用いて 同様の結果が得られる。
 <初期残留接着率>
 初期残留接着率の測定は、まず、上述の初 剥離力の試験において引き剥がしたアクリ 系粘着フィルムを、平滑なステンレス板に ンドローラで貼り付け、アクリル系粘着フ ルムとこのステンレス板との剥離力を上述 同様に測定した(残留剥離力)。また、これ は別に未使用のアクリル系粘着フィルムを 滑なステンレス板にハンドローラで貼り付 、未使用のアクリル系粘着フィルムとこの テンレス板との剥離力を上述と同様に測定 た(基準剥離力)。そして、基準剥離力に対す る残留剥離力の割合として初期残留接着率(%) を算出した。
 <異方性導電膜剥離力>
 異方性導電膜剥離力の測定は、得られた剥 フィルムの片面に、異方性導電膜ADH(エポキ シ系硬化剤を含む反応性の粘着液)を塗工し 80℃のオーブンで1分間保持し、溶媒除去し 後、アクリル系粘着フィルム(PPテープ、日 電工社製)を貼り合わせ、長さ200mmで幅50mmの 冊状にカットし、25℃でT型剥離試験を行い 初期剥離力(N/5cm)を剥離強度試験機(テンシ ン、オリエンテック社製)を用いて測定した
 <耐熱性評価>
 耐熱性評価は、得られた剥離フィルムの寸 を測定すること、及び目視にて確認するこ により、剥離層を形成するための熱硬化の の変形の有無を評価することで、耐熱性の 価を行った。
 <生分解性評価>
 生分解性評価は、得られた剥離フィルムを ンポスト内に埋設し、80℃で7日処理した後 目視にて生分解性の可否を判断した(JISK6953( ISO14855)参照)。
 <スリット性評価>
 スリット性評価は、得られた剥離フィルム に異方導電性接着材料により接着剤層を形 してなる異方導電性接着剤フィルムを用い これを所望の幅に裁断し、断面観察により 切れ痕や切断面の状態を確認するとともに 紙粉(切断粉)の有無等を確認し、また、裁 した異方導電性接着剤フィルムをリール等 巻回して得られたロール体の断面観察を行 ことにより、スリット性(切断性)の可否を判 断した。
 次に、実施例1と比較するための比較例1~4に ついて説明する。
 比較例1では、基材として新型耐熱性バイオ プラスチックフィルムの代わりに、50μm厚の 常のポリ乳酸フィルムに変更した以外は、 施例1と同様な実験を行った。
 比較例2では、基材として新型耐熱性バイオ プラスチックフィルムの代わりに、50μm厚の リエチレンテレフタレートフィルムに変更 た以外は、実施例1と同様な実験を行った。
 比較例3では、基材として新型耐熱性バイオ プラスチックフィルムの代わりに、50μm厚の リエチレンナフタレートフィルムに変更し 以外は、実施例1と同様な実験を行った。
 比較例4では、基材として新型耐熱性バイオ プラスチックフィルムの代わりに、50μm厚の リプロピレンフィルムに変更した以外は、 施例1と同様な実験を行った。
 上述のような実施例1及び比較例1~4の剥離フ ィルムについて、上述のような初期剥離力、 初期残留接着率、異方性導電膜剥離力、耐熱 性評価、生分解性評価及びスリット性評価に ついての測定及び評価を行った結果を表1に す。尚、表1において、数値を()で表示して るものについては、変形により信頼性のあ 値を得ることができなかった可能性がある とを示すものである。

 表1に示すように、比較例1,4では、得られた 剥離フィルムに変形が発生していたのに対し 、本発明の実施例1では、得られた剥離フィ ムに変形が発生しておらず、耐熱性を有す ことが確認できた。また、表1に示すように 比較例2,3,4では、剥離フィルムの生分解性 なかったのに対し、本発明の実施例1では、 離フィルムの生分解性を有することが確認 きた。
 さらに、表1に示すように、比較例1,3,4では 良好なスリット性が得られなかったのに対 、実施例1では、良好なスリット性(切断性) 得ることができ、また、実施例1では、スリ ット性が得られた比較例2に比べてもさらに 好なスリット性(切断性)を得ることができる ことが確認できた。
 以上のような実施例からも明らかなように 本実施例の剥離フィルムを用いた異方導電 接着剤フィルムは、実施例1の剥離フィルム をベースフィルム、カバーフィルム等の基材 として用いることにより、生分解性が良好な ことから地球環境への負荷を軽減できるとと もに、剥離層形成の際の加熱処理時の変形等 がなく、適切な剥離力を有し、且つ良好な切 断性を有することを可能とし、環境面におい て安全で且つ様々な電子部品等の導電接続に 用いられることができる。
 尚、本発明は、図面を参照して説明した上 の実施例に限定されるものではなく、添付 請求の範囲及びその主旨を逸脱することな 、様々な変更、置換又はその同等のものを うことができることは当業者にとって明ら である。