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Patent Searching and Data


Title:
ANNULAR, CONCENTRICALLY TWISTED BEAD CORD, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, AND VEHICLE TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113641
Kind Code:
A1
Abstract:
An annular, concentrically twisted bead cord is provided which can be reduced in weight while ensuring strength. Also provided are: a process for producing the bead cord; and a vehicle tire. The process for producing an annular, concentrically twisted bead cord (2) includes spirally winding side wires (12) around an annular core (11) to form a sheath layer (13). After the sheath layer (13) has been formed, the side wires (12) are set in an inert-gas-atmosphere having a reduced pressure by annealing using a quantity of heat exceeding the quantity of heating (temperature × time) which is necessary for vulcanization in tire molding after cord embedding in the rubber of a vehicle tire (1). This setting is conducted so that the set-height/diameter ratio (%), which is H/D×100, is 20-105%.

Inventors:
OKAMOTO KENICHI (JP)
WAKAHARA HITOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054811
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC TOCHIGI CO (JP)
OKAMOTO KENICHI (JP)
WAKAHARA HITOSHI (JP)
International Classes:
B60C15/04; B29D30/48; D07B1/06
Foreign References:
JPH0768662A1995-03-14
JPH06211009A1994-08-02
JP2006044643A2006-02-16
JP2006110981A2006-04-27
JP2007314910A2007-12-06
JPH0683793U1994-11-29
JPH05163686A1993-06-29
JPH11321247A1999-11-24
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (JP)
Teruo Naito (JP)
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Claims:
 環状コアの周りに側線を螺旋状に巻き付けて1層または複数層のシース層とした環状同芯撚りビードコードであって、
 前記側線の直径型付率が20%以上105%以下であることを特徴とする環状同芯撚りビードコード。
 環状コアの周りに側線を螺旋状に巻き付けて1層または複数層のシース層を形成する環状同芯撚りビードコードの製造方法であって、
 前記シース層を形成した後、前記環状同芯撚りビードコードを焼鈍して前記側線の直径型付率が20%以上105%以下となるように型付け処理することを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
 請求項2に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法であって、
 前記側線を前記環状コアの周りに螺旋状に巻き付けるときの前記側線の直径型付率が20%未満であることを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
 請求項2または3に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法であって、
 前記型付け処理は、車両用タイヤのゴムに埋め込まれてタイヤ成型される時の加硫に必要な加熱量(温度×時間)を超える焼鈍を行なうことを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
 請求項3または4に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法であって、
 前記環状コア及び前記側線の少なくとも一方に真鍮めっき処理が施されており、
 前記型付け処理は、減圧された不活性ガス雰囲気であって180℃以上320℃以下の環境下で5分以上120分以下の焼鈍を行なうことを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
 請求項3または4に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法であって、
 前記環状コア及び前記側線に銅合金または亜鉛のめっき処理が施されておらず、
 前記型付け処理は、減圧された不活性ガス雰囲気であって180℃以上380℃以下の環境下で5分以上120分以下の焼鈍を行なうことを特徴とする環状同芯撚りビードコードの製造方法。
 請求項1に記載の環状同芯撚りビードコード、または請求項2から6の何れか一項に記載の環状同芯撚りビードコードの製造方法により製造した環状同芯撚りビードコードが埋め込まれていることを特徴とする車両用タイヤ。
Description:
環状同芯撚りビードコード、そ 製造方法、及び車両用タイヤ

 この発明は、空気入りタイヤのビード部 に埋め込まれる環状同芯撚りビードコード その製造方法、及び車両用タイヤに関する のである。

 空気入りタイヤのビード部分に埋め込ま るビードコードは、軟鋼線の環状コア線の 囲に、コアよりも細い鋼線からなる側線を き付けたシース層を有するものが一般的で るが、強度を確保しつつ軽量化を図るため 同一径のめっき付き硬鋼線を複数層に撚り わせたものや(例えば、特許文献1参照)、環 コア線を合成樹脂とし、その周囲に鋼線か なるシース線を螺旋状に巻き付けたものが られている(例えば、特許文献2参照)。

日本公開特許:特開平5-163686号公報

日本公開特許:特開平11-321247号公報

 ところで、特許文献1のビードコードは、 環状コア線を用いず、同一径の硬鋼線を複数 層に撚り合わせた構造であるので、形状が不 安定であり、製造の自動化が困難である。ま た、環状コア線が細径の硬鋼線に代わること による軽量化程度しか望めなかった。しかも 、環状コアは両端を突き合わせて溶接してい るが、硬鋼線だと溶接部が硬くて脆い焼き入 れ組織になり易く、このため、折損を防ぐた め焼鈍処理が必要となり、処理部におけるバ リ取り作業も要する。

 また、特許文献2のビードコードでは、合 成樹脂からなる環状コア線の剛性が低いため 、この合成樹脂製の環状コア線の形状を保持 することが難しく、周囲にシース線を巻き付 けてビードコードとする際の設備化が困難で あり、しかも、ビードコード自体の剛性も低 いため、その取り扱い性も良くなかった。

 また、金属の側線からなるシース層を有す 環状同芯撚りビードコードでは、環状でな ワイヤーロープなどのようにコア(環状コア )の直径や巻き付けピッチを想定した事前の 次元の型付けを施していなかった。その理 は、事前に三次元の型付けを施すことによ 、下記(1)~(3)の弊害が生じることが予想でき ためである。
 (1)事前に付与した型付け形状が実際の巻き けピッチと完全に一致しなければ、巻きつ 途中で徐々にずれが生じて環状コアと側線 の間に隙間ができ、撚り乱れが生じる。
 (2)環状でないコード(ワイヤーロープなど) おける撚り合わせは、1本のコアに対して複 本の側線を同時に撚るが、環状同芯撚りビ ドコードの場合は、コアが環状であること 他、1本(1周)の環状コアに対して1本の側線 必要な本数分だけ周回させて巻き付けてい ため、事前の型付けがあると巻き付けにく なる。
 (3)上記(1)の内容で例え型付けが実際の巻き けピッチと完全に一致したとしても、環状 アに向けて側線を繰り出すリールからスム スに供給されず、巻き付け張力の変動が生 て成形性に悪影響を及ぼす。

 環状でない撚線のコードでは、側線の直 型付率を95%以上として側線の強度利用率を 上させている。しかし、上記のように、環 同芯撚りビードコードでは事前の型付けを さず、環状コアに巻き付けることで若干の せ付けが生じる程度であったため、側線の 径型付率は10%未満であった。そのため、コ ドとしての強度利用率が低く、タイヤの補 材として使用する際に過大な安全率を見込 必要があり、環状コア及び側線の径が太く ることから軽量化を妨げる状況にあった。

 そこで、本発明の目的は、強度を確保し つ軽量化を図ることのできる環状同芯撚り ードコード、その製造方法、及び車両用タ ヤを提供することにある。

 上記課題を解決することのできる本発明 環状同芯撚りビードコードは、環状コアの りに側線を螺旋状に巻き付けて1層または複 数層のシース層とした環状同芯撚りビードコ ードであって、前記側線の直径型付率が20%以 上105%以下であることを特徴とする。

 このように、環状コアに巻き付けられた側 の直径型付率が20%以上105%以下であるため、 側線の強度利用率を向上させることができる 。これにより、タイヤの補強材として使用す る際に過大な安全率を見込む必要がなくなり 、環状コア及び側線の径を細くしても強度を 確保することができ、軽量化を図ることがで きる。直径型付率が100%を超えても、環状コ と側線の隙間にゴムが侵入するため、直径 付率が105%以下であれば環状コアと側線の強 利用率が大きく低下することはない。
 なお、直径型付率は、環状同芯撚りビード ードの直径(環状コア+シース層の断面直径( 径))をDとし、型付けされた側線の波高さ(自 己径含む)をHとすると、「直径型付率(%)=H/D×1 00」で表される。

 また、上記課題を解決することのできる 発明の環状同芯撚りビードコードの製造方 は、環状コアの周りに側線を螺旋状に巻き けて1層または複数層のシース層を形成する 環状同芯撚りビードコードの製造方法であっ て、前記シース層を形成した後、前記環状同 芯撚りビードコードを焼鈍して前記側線の直 径型付率が20%以上105%以下となるように型付 処理することを特徴とする。

 このように、環状コアに側線を巻き付け シース層を形成した後、その環状同芯撚り ードコードを焼鈍して側線の直径型付率が2 0%以上105%以下となるように型付け処理するた め、側線の強度利用率を向上させることがで きる。これにより、タイヤの補強材として使 用する際に過大な安全率を見込む必要がなく なり、環状コア及び側線の径を細くしても強 度を確保することができ、軽量化を図ること ができる。直径型付率が100%を超えても、環 コアと側線の隙間にゴムが侵入するため、 径型付率が105%以下であれば環状コアと側線 強度利用率が大きく低下することはない。 た、型付け処理はシース層を形成した後に うため、側線を巻き付ける際の巻き付けピ チを所望の値にすることができ、巻き付け 力を安定させることができるため、側線を き付ける作業をスムースに行うことができ 製造が容易である。

 好ましくは、前記側線を前記環状コアの りに螺旋状に巻き付けるときの前記側線の 径型付率が20%未満である。これにより、環 コアの周りに側線を巻き付ける際の巻き付 ピッチを所望の値にすることができ、巻き け張力を安定させることができる。そのた 、シース層を形成する作業をスムースに行 ことができ、製造が容易である。

 好ましくは、前記型付け処理は、車両用 イヤのゴムに埋め込まれてタイヤ成型され 時の加硫に必要な加熱量(温度×時間)を超え る焼鈍を行なう。これにより、型付けによる 強度利用率向上の他、ビードコードを構成す る環状コア及び側線の時効硬化を促進させて 強度を向上させる効果も得られやすくなる。

 また、前記環状コア及び前記側線の少な とも一方に真鍮めっき処理が施されている 合、前記型付け処理は、減圧された不活性 ス雰囲気であって180℃以上320℃以下の環境 で5分以上120分以下の焼鈍を行なうことが好 ましい。真鍮に含まれる亜鉛の融点を考慮す ると、型付け処理の焼鈍温度は320℃以下が適 している。また、タイヤ成型される時の加硫 に必要な加熱量は高温側の条件でも170℃×15 であるため、180℃以上の焼鈍温度の場合に 効硬化による強度向上も期待できる。また ビードコード単体の焼鈍では、タイヤ成型 れる時の加硫時より加熱する体積が小さい め、ビードコードの焼鈍時間が5分でも、十 均一に焼鈍できる。

 また、前記環状コア及び前記側線に銅合 または亜鉛のめっき処理が施されていない 合、前記型付け処理は、減圧された不活性 ス雰囲気であって180℃以上380℃以下の環境 で5分以上120分以下の焼鈍を行なうことが好 ましい。型付け処理の焼鈍温度が350℃を超え ると側線自体の強度は低下傾向を示すが、側 線の型付率は温度の上昇とともに向上するた め、これらの両特性が影響を与える強度利用 率が低下しない限界焼鈍温度は380℃程度であ る。また、上記と同様に、ビードコードの焼 鈍時間が5分でも、十分均一に焼鈍できる。

 また、本発明の車両用タイヤは、上記本 明の環状同芯撚りビードコード、または上 本発明の環状同芯撚りビードコードの製造 法により製造した環状同芯撚りビードコー が埋め込まれていることを特徴とする。

 このように、強度を確保しつつ軽量化が られた環状同芯撚りビードコードを用いる で、製造が容易で、しかも軽量化されたエ タイヤを実現することができる。

 本発明によれば、強度を確保しつつ軽量 を図ることのできる環状同芯撚りビードコ ド、その製造方法、及び車両用タイヤを提 することができる。

車両用タイヤの断面図である。 (a)はビードコードの全体図、(b)はビー コードの部分を示す斜視図である。 環状コアを振り子運動させる環状同芯 りビードコードの製造装置を示す概念図で る。 図3の装置の振り子運動の状態を示す概 念図である。 直径型付率を示すための概略図である 環状ビードコードの引張り試験用治具 示す図であり、(a)は試験用治具の側面図、( b)は試験用治具の断面図である。

符号の説明

1…車両用タイヤ、2…ビードコード(環状同 芯撚りビードコード)、11…環状コア、12…側 、13…シース層、D…ビードコードの直径、H …型付け後の側線の波高さ

 以下、本発明に係る環状同芯撚りビードコ ド及びそれを使用した車両用タイヤの実施 態について図面を参照して説明する。
 図1は、車両用タイヤの断面図、図2(a)は環 ビードコードの全体図、図2(b)は環状ビード ードの部分を示す斜視図、図3は環状ビード コードの断面図、図4は側線の側面図である

 図1に示すように、車両用タイヤ1は、乗用 用の空気入りタイヤであって、ビードコー (環状同芯撚りビードコード)2が通る両側の ード部3と各ビード部3からタイヤ半径方向外 向きにのびるサイドウォール部4と、その上 間を継ぐトレッド部5とを備える。
 また、ビード部3間にカーカス6が架け渡さ るとともに、このカーカス6の外側かつトレ ド部5の内方にはベルト層7が周方向に巻装 れている。

 上記の車両用タイヤ1のビード部3に通さ たビードコード2は、図2(a),(b)に示すように 環状コア11の周囲に、複数(本例では6本)の側 線12からなるシース層13を設けたものであり 側線12を、環状コア11の輪の外側から輪の中 通し、再び輪の外側から輪の中を通すこと より、環状コア11に側線12が、所定の巻き付 けピッチにて螺旋状に巻き付けられている。 なお、本例では、1層のシース層13を有する場 合を例示している。

 環状コア11は、1本のワイヤを環状に曲げ 、その両端面同士を突き合わせ溶接により 合したものである。この場合、環状コア11 ワイヤ同士の接合部分の増径を生じさせる となく、簡単に接合させることができる。

 環状コア11は、合金鋼ワイヤからなるも で、その材質は、0.08~0.27質量%の炭素(C)、0.30 ~2.00質量%のケイ素(Si)、0.50~2.00質量%のマンガ (Mn)及び0.20~2.00質量%のクロム(Cr)を含み、か 、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti) びバナジウム(V)がそれぞれ0.001~0.100質量%の 囲で少なくとも1種以上含有し、残部が鉄(Fe )及び不可避的に混入してくる不純物からな 合金鋼である。このような組成であれば、 金鋼ワイヤを環状に形成して環状コア11とす る際の両端の溶接部における延性低下抑制効 果を得ることができる。

 また、環状コア11は、炭素(C)を0.28~0.56質 %含む中炭素鋼ワイヤで形成されていてもよ 。このような材質のワイヤを用いても、接 部の溶接性が高くなるため、環状コア11と て必要とされる強度を確保することができ 。また、環状コア11の表面には、銅合金(例 ば、真鍮)または亜鉛のめっき処理が施され いてもよい。

 側線12は、例えば、炭素(C)を0.7質量%以上 む高炭素鋼ワイヤからなるものである。な 、側線12の表面には、銅合金(例えば、真鍮) または亜鉛のめっき処理が施されていてもよ い。

 環状コア11を構成するワイヤの直径(線径) は、側線12のワイヤの直径(線径)以上である とが好ましく、例えば、環状コア11のワイヤ の直径は1.5mmであり、側線12のワイヤの直径 、1.4mmである。

 次に、上記の環状同芯撚りビードコードを 造する方法について説明する。
 図3は環状コアを振り子運動させる環状同芯 撚りビードコードの製造装置を示す概念図、 図4は図3の装置の振り子運動の状態を示す概 図である。

 図3及び図4に示す製造装置は、環状コア1 周方向に回転させるドライビングユニット3 0と、リール33に巻かれた側線12を環状コア11 巻き付け部に供給する側線12のサプライ部41 を有する。

 ドライビングユニット30は、弓形の保持 ーム31に設置され、駆動モータと連結された 、環状コア11を周方向に回転させる2つのピン チローラ32a,32bを有する。

 上記保持アーム31には、側線12の供給側に 、クランプユニット40を設けている。このク ンプユニット40は、2個のローラ40a,40bからな り、環状コア11の横方向の振れを防止し、安 した周方向回転を維持し、側線12の巻き付 点の位置決めを行い、高い巻き付け性を得 いる。なお、この例では環状コア11を垂直に して横振れを抑えて、周方向に回転させてい る。

 保持アーム31は、クランプユニット40の部 分を支点にして、回転円盤42とクランクシャ ト43からなる揺動機構50によって振り子運動 するように、スタンド44に揺動可能に設置さ ている。

 保持アーム31に保持された環状コア11は、 振り子運動の周期の一端で、リール33が、環 コア11の輪の外に位置し、環状コア11の振り 子運動の周期の他端で、環状コア11の輪の中 位置するようにスイングする。

 側線12のサプライ部41には、前後一対の対 向するカセットスタンド52が、保持アーム31 保持された環状コア11の振り子運動を妨げな い距離をおいて水平に設置され、カセットス タンド52の先端に、環状コア11の面を挟んで 向するリール受け渡し機構が設けられてい 。

 サプライ部41は、側線12を巻き取ったリー ル33と、このリール33の外径より少し大きい で、且つ少なくともリール内幅に相当する 筒形状の外周壁を有するカセット53とからな る。リール33は、側線12の巻き面全体を被う うにカセット53内に回転可能に収容され、所 謂カートリッジ化されている。

 上記のように構成された装置を用いてビー コードを製造する場合、まず、側線12の始 を、車両用タイヤ1のゴムと同材質の未加硫 ゴムシートによって、保持アーム31に設置 た環状コア11に仮止めする。
 そして、サプライ部41のリール33を、所定位 置で環状コア11を含む平面であるコア面を横 往復させ、環状コア11を、側線12の巻き付け 点となるクランプユニット40を支点にして、 り子運動させる。

 これにより、リール33から側線12の巻き付け 点までの距離をほぼ一定に保ち、巻き付けの 際に、リール33から引き出される側線12が緩 だりせず、一定の張力で側線12が環状コア11 螺旋状に巻き付けられる。
 そして、連続して所定回数巻き付けたら、 状コア11に仮止めしていた始端を外し、始 と終端とを金属製スリーブによって連結固 する。

 このようにすると、環状コア11の周囲に、 線12が螺旋状に巻き付けられたシース層13を するビードコード2が得られる。
 なお、始端と終端とは、例えば、真鍮製ま は軽量素材製(プラスチック、フッ素樹脂等 )のスリーブによって連結固定しても良い。

 また、リール33に巻かれた側線12は、直径 型付率が20%未満である。すなわち、側線12を 状コア11の周りに螺旋状に巻き付けるとき 側線12の直径型付率が20%未満である。これに より、環状コア11の周りに側線12を巻き付け 際の巻き付けピッチを所望の値にすること でき、巻き付け張力を安定させることがで る。そのため、シース層を形成する作業を ムースに行うことができ、製造が容易であ 。

 そして、このように形成されたビードコ ド2を焼鈍して側線12の型付け処理を行う。 発明においては、側線12の直径型付率が20% 上105%以下となるように型付け処理を行う。 こで、直径型付率とは、図5に示すように、 ビードコード2の直径(線径)をDとし、型付け れた側線12の波高さ(自己径含む)をHとすると 、「直径型付率(%)=H/D×100」で表される。直径 型付率を20%以上、好ましくは50%以上とするこ とで、側線12の形状が環状コア11に対して巻 付け状態の形状で保持されるため、側線12の 強度利用率を向上させることができる。また 、直径型付率が100%を超えない範囲では、直 型付率を増加させるほど強度利用率は向上 る。そのため、直径型付率は100%以下である とが好ましい。但し、直径型付率が100%を超 えても、環状コア11と側線12の隙間にゴムが 入するため、105%以下であれば強度利用率が きく低下せず良好に保つことができる。

 型付け処理のための焼鈍は、減圧された 境下で行なう。例えば、ヘリウムやアルゴ 等の不活性ガスを内部の加熱空間に供給可 及び加熱空間から排出可能である真空(減圧 )加熱炉を用いて、上記のように形成された ードコード2を加熱する。ビードコード2を加 熱炉内に入れる前には加熱炉の加熱空間内に 不活性ガスを供給しておき、ビードコード2 加熱炉内に入れた後、加熱空間から不活性 スを強制的に排出して減圧状態または真空 態とする。その状態でビードコード2を加熱 、側線12を低温焼鈍処理する。これにより ゴムとの接着性に悪影響を及ぼす側線12の表 面酸化を防止でき、側線12を環状コア11に対 て巻き付けた形状で型付けすることができ 。

 また、型付け処理の焼鈍量(温度×時間)は 、車両用タイヤ1のゴムに埋め込まれてタイ 成型される時の加硫に必要な加熱量(温度× 間)を超えることが好ましい。これにより、 線12の時効硬化を促進させて側線12の強度を 向上させる効果が得られやすくなる。なお、 タイヤ成型される時の加硫に必要な加熱量は 高温側の条件でも170℃×15分であるため、180 以上の焼鈍温度の場合に時効硬化による強 向上も期待できる。

 環状コア11及び側線12の少なくとも一方に 真鍮めっき処理が施されている場合には、型 付け処理の焼鈍量は、180℃以上320℃以下の加 熱温度で5分以上120分以下の加熱時間とする 真鍮めっきがある場合、真鍮に含まれる亜 の融点(419.6℃)を考慮することが好ましく、 付け処理の焼鈍温度は320℃以下が適してい 。

 また、環状コア11及び側線12の両方に真鍮 めっき等の銅合金めっき処理または亜鉛めっ き処理が施されていない場合、型付け処理の 焼鈍量は、180℃以上380℃以下の加熱温度で5 以上120分以下の加熱時間とする。型付け処 の加熱温度が350℃を超えると側線12自体の軟 化により強度は低下傾向を示すが、側線12の 付率は温度の上昇とともに向上するため、 れらの両特性が影響を与える強度利用率が 下しない限界加熱温度は380℃程度である。

 また、タイヤ成型される時の加硫時と比 して、ビードコード2単体の加熱では、加熱 する体積が十分に小さいため、真鍮めっきの 有無にかかわらず、型付け処理の焼鈍時間は 5分以上であれば十分均一に焼鈍できる。

 このように、本実施形態のビードコード2 は、環状コア11に巻き付けられた側線12の直 型付率が20%以上105%以下であるため、側線12 強度利用率を向上させることができる。こ により、車両用タイヤ1の補強材として使用 る際に過大な安全率を見込む必要がなくな 、環状コア11及び側線12の径を細くしても強 度を確保することができ、軽量化を図ること ができる。

 また、型付け処理はシース層13を形成し 後に行うため、環状コア11に側線12を巻き付 る際の巻き付けピッチを所望の値にするこ ができ、巻き付け張力を安定させることが きるため、側線12を巻き付ける作業をスム スに行うことができ、製造が容易である。

 このようなビードコード2を車両用タイヤ 1に埋め込む際には、加硫促進剤を添加した ムシートをビードコード2に貼り付けて、ゴ 付きビードコードとする。そして、車両用 イヤ1のビード部3にゴム付きビードコード 組み込み、タイヤ形状とした未加硫ゴム複 体としてタイヤ成形機に入れる。この後、 の成形金型を加圧・加硫してタイヤが完成 る。側線12がめっきされている場合、ゴムシ ートに含まれる硫黄成分が側線12のめっきと 応して接着する。

 また、ゴムシートに加硫促進剤を添加せ 、金属とゴムとの接着に適した金属ゴム用 着剤によってビードコード2とゴムシートと を接着させても良く、この場合、側線12にお るめっきが施されていない場合に有効であ 、側線12へゴムシートを確実に固着させる とができる。例えば、金属ゴム用接着剤と て、ケムロック(登録商標、ロード・ファー イースト・インコーポレイテッド製)を使用 できる。

 このように製造された車両用タイヤ1は、 強度を確保しつつ軽量化が図られた上記のビ ードコード2を用いているため、製造が容易 、軽量化が可能になり環境に優しいエコタ ヤとすることができる。

 種々の条件で実際にビードコードを作製し そのときの側線の直径型付率、ビードコー の強度利用率と軽量化率、及び側線の線表 状態の評価を行った。
 ビードコードの構造を下記に示す。
環状コア…線径1.5mmの鋼線(中炭素鋼:0.52質量% の炭素(C)を含有)
側線…線径1.4mmの鋼線(高炭素鋼:0.82質量%の炭 素(C)を含有)
撚り構造…環状コア×1本+側線×6本
環状コアピッチ円(φmm)…436.6mm
側線の巻き付け回数…13回/周(巻き付けピッ 105mm)

 表1にその結果を示す。

 

 なお、表1の評価項目は次の方法によって評 価を行った。
(1)側線の直径型付率(%)
 環状同芯撚りビードコードから15cmの長さの サンプルを切り出して作成する。その際、環 状のビードコードから何の処理もせずに切断 すると側線が解撚してばらけ易いため、予め 切断箇所の近傍をバインド線等で結束した後 、切断する。切断したサンプルの湾曲(ビー コードの環状の湾曲)を直線状になるように 干矯正した後、真直部にコード径測定用専 マイクロメータにて直径D(図5参照)を測定す る。
 直径Dを測定したサンプルを用いて、結束し たバインド線を取り除き、側線6本を無負荷 状態で環状コアから取り外す。6本の側線に いて、必要により3ピッチ分の波の高さを測 定できる長さに切り出し、万能投影器により 、1本の側線において試料数n=3(すなわち3ピッ チの各波の高さ)で測定し、その平均値をそ 側線の波高さとする。残りの5本の側線につ ても同様に測定し、6本の側線の波高さの平 均値をそのビードコードにおける側線の波高 さH(図5参照)とする。
 このようにして求められた直径Dと波高さH 用いて、「直径型付率(%)=H/D×100」の式によ 直径型付率を算出する。

(2)ビードコードの強度利用率(%)
 環状コアの素線及び側線の素線について、 め引張り試験機を用いて、試料数n=3で引張 試験を行い、素線での平均切断荷重を算出 る。算出式は、「素線での切断荷重W0(kN)=環 状コアの素線の平均切断荷重+側線の平均切 荷重×6」である。
 環状のビードコードについて、予め図6に示 す専用の治具60を用いて引張り試験機で試料 n=2で引張り試験を行い、ビードコードでの 均切断荷重W1(kN)を算出する。
 ここで、図6に示す環状ビードコード用の治 具60を使用した引張り試験方法について説明 る。環状ビードコード用の治具60は、ビー コード2を一対の溝付き半円盤形状の保持部 61に保持させ、各保持部材61に対してそれぞ れボルト64を介して接続した牽引部材62を、 れぞれチャック63により把持して離反する方 向(図6の上下方向)に引っ張るものである。例 えば、下側のチャック63の位置を固定し、上 のチャック63を上方へ引っ張る。チャック63 の引張り荷重を測定することで、ビードコー ド2の切断荷重を測定することができる。
 上記のように求めた切断荷重W0,W1から、式 強度利用率η(%)=W1/W0×100」により強度利用率 (%)を算出する。

(3)ビードコードの軽量化率(%)
 焼鈍処理しない比較例1の強度利用率ηを基 にして、各例の強度利用率ηの上昇分だけ 径の細径化が図れるため、式「軽量化率(%)=( 各例の強度利用率η-比較例1の強度利用率η)/ 較例1の強度利用率η×100」により算出する

(4)側線の表面状態
 焼鈍温度の違いによる側線の表面状態の変 を観察する。特に、真鍮めっき有りの場合( 比較例1,2、実施例1~6)に、ゴムとの接着性に 障を生じさせないために表面の凹凸がどの 度生じるかを観察する。

 表1から解るように、型付け処理(焼鈍)を わない比較例1では、側線の直径型付率が5% 小さく、ビードコードの強度利用率が78.0% あった。これに対して、比較例1以外の例で 、焼鈍を行ったことにより側線の直径型付 が上昇し、それに伴い強度利用率も上昇し いる。但し、焼鈍量が、タイヤ成型される の加硫に必要な加熱量(170℃×15分)と同等の 較例2では、側線の直径型付率が20%未満であ りビードコードの強度利用率が80%未満であっ た。また、焼鈍温度が400℃超の比較例3では 線の直径型付率が100%超でありビードコード 強度利用率が80%未満であった。これら比較 2,3は、軽量化率が2%以下に留まっている。

 比較例1~3に対して、焼鈍量が、タイヤ成 される時の加硫に必要な加熱量(170℃×15分) 上となるように、焼鈍温度を180℃以上とし めっき有りで360℃以下、めっき無しで400℃ 下とした実施例1~12は、何れも側線の直径型 付率が20%以上105%以下であり、ビードコード 強度利用率が80%以上であった。これにより 何れもビードコードの軽量化率が4%以上に向 上した。また、型付け処理の焼鈍量(温度×時 間)が多くなるほど、強度利用率及びそれか 算出される軽量化率の向上が見られた。な 、実施例5ではめっき有りで焼鈍温度が360℃ あり、側線の表面状態は溶出には至らない でも、炉内雰囲気流により軟質部が僅かに む現象が見られたが、全体としての接着性 問題が生じる程度ではなかった。

 また、他の実施例および比較例として、真 めっき無しでビードコードを作製し、ケム ック(登録商標)を塗布して生ゴムのシート 巻き付けて加圧加硫したものに対して、上 と同様に側線の直径型付率、ビードコード 強度利用率と軽量化率、及び側線の線表面 態の評価を行った。
 ビードコードの構造は、上記実施例1~12、比 較例1~3と同様である。
 なお、加圧加硫の条件は、4kg/cm 2 の圧力で150℃×30分の加熱とした。

 表2にその結果を示す。

 

 なお、表2の評価項目は、直径型付率、軽量 化率、表面状態は、それぞれ表1と同様であ が、加圧加硫したゴムを可能な限り切削・ 除した後に評価したものである。
 ビードコードの強度利用率(%)は、表1とほぼ 同様であるが、ゴム付きコードの状態で評価 した。

 表2から解るように、型付け処理(焼鈍)を わない比較例4では、側線の直径型付率が7% 小さく、ビードコードの強度利用率が78.2% あった。これに対して、比較例4以外の例で 、焼鈍を行ったことにより側線の直径型付 が上昇し、それに伴い強度利用率も上昇し いる。但し、焼鈍量が、タイヤ成型される の加硫に必要な加熱量(170℃×15分)と同等の 較例2では、側線の直径型付率が20%未満であ りビードコードの強度利用率が80%未満であっ た。また、焼鈍温度が440℃の比較例6では側 の直径型付率が105%超でありビードコードの 度利用率が80%未満であった。これら比較例5 ,6は、軽量化率が2%以下に留まっている。

 比較例4~6に対して、焼鈍量が、タイヤ成 される時の加硫に必要な加熱量(170℃×15分) 上となるように、焼鈍温度を180℃以上かつ4 20℃以下とした実施例13~19は、何れも側線の 径型付率が20%以上105%以下であり、ビードコ ドの強度利用率が80%以上であった。これに り、何れもビードコードの軽量化率が4%以 に向上した。また、型付け処理の焼鈍量(温 ×時間)が多くなるほど、強度利用率及び軽 化率の向上が見られた。なお、型付け処理 焼鈍温度が400℃を超えた実施例19では、側 の直径型付率が104%であり、側線の直径型付 が100%である実施例18と比較して強度利用率 び軽量化率が若干低下したが、何れも良好 評価範囲内である。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。本出願は2008年3月14日出願の日本特許出願 (特願2008-066010)および2009年3月4日出願の日本 許出願(特願2009-051180)に基づくものであり、 れらの内容はここに参照として取り込まれ 。