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Patent Searching and Data


Title:
ANTENNA CIRCUIT CONFIGURING BODY FOR IC CARD/TAG, AND IC CARD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136569
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an antenna circuit configuring body for an IC card/tag, which can improve a Q value by reducing the dielectric constant of a resin film configuring a base material.  An IC card is also provided.  An antenna circuit configuring body (10) for an IC card/tag is provided with a base material (11) composed of a resin film, and circuit pattern layers (131, 132) composed of an aluminum foil formed on the both surfaces of the base material (11).  The circuit pattern layer (131) includes a coil-like pattern layer.  A part of the facing circuit pattern layers (131, 132), and a part of a base material (11) between parts of the circuit pattern layers (131, 132) configure a capacitor.  The circuit pattern layers (131, 132) are electrically connected to carry electricity therebetween by means of crimping sections (13a, 13b).  The base material (11) has a plurality of void-like air layer.  The relative density of the base material (11) to the density of a resin is 0.9 or less.  The average volume of the void-like air layer is 2 μm3 or more but not more than 90 μm3.

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Inventors:
SHINGU AKIRA (JP)
EGASHIRA KIYOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058315
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
April 28, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOYO ALUMINIUM KK (JP)
SHINGU AKIRA (JP)
EGASHIRA KIYOJI (JP)
International Classes:
H01Q1/38; G06K19/07; G06K19/077; H01Q7/00
Foreign References:
JP2001016022A2001-01-19
JP2008090775A2008-04-17
JP2000506329A2000-05-23
JP2003304047A2003-10-24
JP2004140587A2004-05-13
JP2002007990A2002-01-11
JP2005100371A2005-04-14
Other References:
See also references of EP 2276113A4
Attorney, Agent or Firm:
KODA, Kazuyuki (JP)
Koda Kazuyuki (JP)
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Claims:
 樹脂フィルムからなる基材(11)と、
 前記基材(11)の一方表面の上に形成された、主成分として金属を含む電気導電体からなる第1の回路パターン層(131)と、
 前記基材(11)の他方表面の上に形成された、主成分として金属を含む電気導電体からなる第2の回路パターン層(132)とを備え、
 前記第1と第2の回路パターン層(131、132)の少なくともいずれかがコイル状のパターン層を含み、
 前記第1の回路パターン層(131)の一部と、前記基材(11)を介して前記第1の回路パターン層(131)の一部に対向する前記第2の回路パターン層(132)の一部と、前記第1と第2の回路パターン層(131、132)の一部の間に介在する前記基材(11)の一部がキャパシタを構成し、
 前記第1の回路パターン層(131)と前記第2の回路パターン層(132)とは導通するように電気的に接続されており、
 前記基材(11)は複数のボイド状空気層を含有し、前記樹脂の密度に対する前記基材(11)の相対密度が0.9以下であり、前記ボイド状空気層の平均体積が2μm 3 以上90μm 3 以下である、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)。
 前記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートからなる、請求項1に記載のICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)。
 前記樹脂フィルムは、二軸延伸フィルムである、請求項1に記載のICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)。
 前記第1と第2の回路パターン層(131、132)はアルミニウム箔からなる、請求項1に記載のICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)。
 前記第1と第2の回路パターン層(131、132)の各々と前記基材(11)は接着層(12)を介して熱接着されている、請求項1に記載のICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)。
 請求項5に記載のICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)と、
 前記ICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)の両面に前記接着層(12)を介して熱圧着されたカバー材(20)とを備えた、ICカード(100)。
 前記ICカード・タグ用アンテナ回路構成体(10)と前記カバー材(20)との剥離強度が6N/10mm以上である、請求項6に記載のICカード(100)。
Description:
ICカード・タグ用アンテナ回路 成体とICカード

 この発明は、一般的には、ICカード・タ 用アンテナ回路構成体とICカードに関し、特 定的には、非接触ICカード、万引き防止セン 等に代表されるRFID(Radio Frequency Identification )のためのアンテナ回路を備えたICカード・タ グ用アンテナ回路構成体とそのICカード・タ 用アンテナ回路構成体を備えたICカードに するものである。

 近年、ICタグ、ICカード等の機能カードは 、目覚しい発展を遂げ、盗難防止用タグ、出 入者チェック用タグ、テレフォンカード、ク レジットカード、プリペイドカード、キャッ シュカード、IDカード、カードキー、各種会 カード、図書券、診察券、定期券等に使用 れ始めている。これらの機能カード用アン ナ回路構成体は、ポリプロピレン(PP)フィル ム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィル 等の樹脂フィルムからなる基材と、基材の 面上に形成されたアルミニウム箔または銅 の金属箔からなるアンテナ回路パターン層 から構成される。アンテナ回路パターン層 、基材の片面または両面に接着剤を介在し 金属箔をドライラミネート法等によって接 した後、その金属箔にエッチング処理を施 ことにより、基材の表面上に形成される。

 上記のような構成の従来のアンテナ回路 成体とそれを備えた機能カード、アンテナ 路構成体の製造方法は、特開2004-140587号公 (特許文献1)、特開2002-7990号公報(特許文献2) 記載されている。

 また、ICチップやアンテナ回路の凹凸が ード表面に現れない優れた意匠性を有し、 品や高温への曝露時にも機能を損なわない れた耐久性を有するアンテナシートを提供 るために、たとえば、特開2005-100371号公報( 許文献3)には、プラスチックフィルムとアン テナ回路およびICチップからなるアンテナシ トにおいて、プラスチックフィルムは空洞 有率が5~50体積%で、かつ少なくとも一方向 延伸配向された微細空洞含有フィルムであ ものが開示されている。このプラスチック ィルムは、その厚みが25~500μmであることが ましく、厚みの下限が50μmであることがより 好ましく、特に好ましくは75μmであると記載 れている。

特開2004-140587号公報

特開2002-7990号公報

特開2005-100371号公報

 ところで、ICカード・タグ用アンテナ回 構成体においては、一般的に、樹脂フィル からなる基材の両面に回路パターン層が形 される。この場合、基材の一方表面の上に イル状の回路パターン層が形成される。こ コイル状回路パターン層が電子回路のコイ に相当し、同時に電磁波を受け取るアンテ の役割を果たす。また、コイル状回路パタ ン層と、その反対側で基材の他方表面に形 される回路パターン層と、樹脂フィルムか なる基材の一部は、樹脂フィルムを誘電体 するキャパシタの役割を果たす。このコイ とキャパシタの働きにより共振回路が形成 れる。

 上記のように構成されるICカード・タグ アンテナ回路構成体に求められる特性とし 、Q値がある。Q値は振動の状態を表す無次元 数であり、次式で表される。

 Q=ω0/(ω2-ω1)
 ここで、ω0は共振ピーク周波数、ω2―ω1は 振ピーク半値幅である。

 Q値が高いと振動が安定し、アンテナ回路 構成体の読み取り精度が向上するため、Q値 より高めることが求められている。

 また、Q値は次式でも表される。

 Q=(1/R)×(L/C) 0.5
 ここで、Rは回路の電気抵抗値、Lは回路の ンダクタンス、Cは回路の静電容量である。

 回路パターン層の設計仕様が同じであれ 、R(電気抵抗値)とL(インダクタンス)は一定 あることから、C(静電容量)を下げることに りQ値を上げることができる。

 このとき、C(静電容量)は次式で表される

 C=ε×(S/W)
 ここで、εは対向する電極間に介在する誘 体の誘電率、Sは対向する電極の面積、Wは対 向する電極間の距離である。

 回路パターン層の設計仕様が同じであれ 、S(対向する電極の面積)は一定であること ら、W(対向する電極間の距離)を大きくする 、ε(対向する電極間に介在する誘電体の誘 率)を小さくすることによりC(静電容量)を下 げ、Q値を上げることができる。

 W(対向する電極間の距離)を大きくするた には、ICカード・タグ用アンテナ回路構成 の基材を構成する樹脂フィルムの厚みを大 くしたり、基材を複数の樹脂フィルム層で 成したりすればよい。しかしながら、近年 ICカード・タグ用アンテナ回路構成体はより 薄型化されたものが望まれており、基材を構 成する樹脂フィルムの厚みとしては50μm以下 ものが求められている。

 さらに、キャパシタとして機能させるた には、両面の回路パターン層が導通するよ に接合されていることが必須である。両面 回路パターン層の接合の比較的一般的で安 な方法として、物理的または熱的に樹脂フ ルム層を突き破り、かしめや溶接により両 の回路パターン層を直接接合する方法があ 。その場合、樹脂フィルムの厚みが50μmを えると、両面の回路パターン層の接合が困 となるおそれがあった。

 そこで、基材を構成する樹脂フィルムの 電率を小さくするためには、誘電率の低い 脂からなるフィルムを採用すればよい。し しながら、オレフィン系樹脂などの誘電率 低い樹脂はいずれも耐熱性に劣る。このた 、樹脂からICカード・タグ用アンテナ回路 成体用基材への加工、基材の表面上の半導 チップの実装、カード化の加工などの製造 程にて付加される熱的な処理に耐えること できないという問題がある。このことから 一般的に耐熱性のあるポリエチレンテレフ レートまたはポリエチレンナフタレートが 材を構成する樹脂フィルムの材料として用 られている。

 そこで、この発明の目的は、基材を構成 る樹脂フィルムの誘電率を小さくすること よってQ値をより高めることが可能なICカー ・タグ用アンテナ回路構成体とそのICカー ・タグ用アンテナ回路構成体備えたICカード を提供することである。

 本願発明者らは、基材を構成する樹脂フ ルムの誘電率を小さくするために種々検討 た結果、以下のような知見を得た。

 まず、誘電率の最も低い物質は真空であ 、真空に近い物質は空気である。しかし、 際には、キャパシタの電極に相当する回路 ターン層の一部の間に、樹脂フィルムから る基材の代わりに、空気を介在させること できない。ところが、基材を二層の樹脂フ ルムから構成して、二層の樹脂フィルムの に空気層を設けることは可能である。この 合、基材の形状安定性を確保することがで ない。そこで、誘電率の低い空気を、ボイ の形態で樹脂フィルムに内在させれば、す わち、複数のボイド状の空気層を樹脂フィ ムに含有させれば、樹脂フィルム全体とし は、ボイドを含まない樹脂フィルムに比べ 樹脂フィルム全体の誘電率を下げることが き、かつ基材の形状や熱的な安定性を確保 ることができることがわかった。

 なお、誘電率の低い液体を樹脂フィルム 内在させることも考えられる。しかし、こ 場合、その液体が外部に漏れる恐れがあり 好ましくない。

 以上の知見に基づき、本願発明者らは、I Cカード・タグ用アンテナ回路構成体を次の うに構成することにより、基材を構成する 脂フィルムの誘電率を小さくすることがで 、厚みが50μm以下の樹脂フィルムを基材とし て採用しても、従来品よりも高いQ値を実現 ることができることがわかった。

 この発明に従ったICカード・タグ用アンテ 回路構成体は、樹脂フィルムからなる基材 、この基材の一方表面の上に形成された、 成分として金属を含む電気導電体からなる 1の回路パターン層と、基材の他方表面の上 形成された、主成分として金属を含む電気 電体からなる第2の回路パターン層とを備え る。第1と第2の回路パターン層の少なくとも ずれかがコイル状のパターン層を含む。第1 の回路パターン層の一部と、基材を介して第 1の回路パターン層の一部に対向する第2の回 パターン層の一部と、第1と第2の回路パタ ン層の一部の間に介在する基材の一部がキ パシタを構成する。第1の回路パターン層と 2の回路パターン層とは導通するように電気 的に接続されている。基材は複数のボイド状 空気層を含有する。樹脂の密度に対する基材 の相対密度が0.9以下である。ボイド状空気層 の平均体積が2μm 3 以上90μm 3 以下である。

 この発明のICカード・タグ用アンテナ回 構成体において、樹脂フィルムは、ポリエ レンテレフタレートからなることが好まし 。

 また、この発明のICカード・タグ用アン ナ回路構成体において、樹脂フィルムは、 軸延伸フィルムであることが好ましい。

 さらに、この発明のICカード・タグ用ア テナ回路構成体において、第1と第2の回路パ ターン層はアルミニウム箔からなることが好 ましい。

 さらにまた、この発明のICカード・タグ アンテナ回路構成体において、第1と第2の回 路パターン層の各々と基材は接着層を介して 熱接着されていることが好ましい。

 この発明に従ったICカードは、上記の特 を有するICカード・タグ用アンテナ回路構成 体と、このICカード・タグ用アンテナ回路構 体の両面に上記の接着層を介して熱圧着さ たカバー材とを備える。

 この発明のICカードにおいて、ICカード・ タグ用アンテナ回路構成体とカバー材との剥 離強度は6N/10mm以上であることが好ましい。

 以上のようにこの発明によれば、ICカー ・タグ用アンテナ回路構成体において基材 構成する樹脂フィルムの誘電率を小さくす ことができ、より高いQ値を実現することが きる。

この発明の1つの実施の形態に従ったIC ード・タグ用アンテナ回路構成体を示す平 図である。 図1のII-II線の方向から見た部分拡大断 図である。 図1のICカード・タグ用アンテナ回路構 体を備えたICカードを透視的に示す平面図 ある。 図3のIV-IV線の方向から見た部分拡大断 図である。 図3のV-V線の方向から見た部分拡大断面 を示し、カバー材の一部分を剥離して剥離強 度を測定する方法を示す部分拡大断面図であ る。

 以下、この発明の実施の形態を図面に基 いて説明する。

 まず、この発明のICカード用・タグ用ア テナ回路構成体の一つの実施の形態につい 説明する。

 図1と図2に示すように、ICカード・タグ用 アンテナ回路構成体の一例としてのICカード タグ用アンテナ回路構成体10は、樹脂フィ ムからなる基材11と、基材11の両面に形成さ た接着剤層12と、接着剤層12の表面上に所定 のパターンに従って形成された、一例として 主成分としてアルミニウムを含むアルミニウ ム箔からなる回路パターン層131、132とから構 成されている。図1において実線で示される うに、基材11の一方表面の上に形成された第 1の回路パターン層の一例としての回路パタ ン層131は、基材11の表面上に渦巻状またはコ イル状のパターンで形成されている。図1に いて点線で示されるように、基材11の他方表 面の上に形成された第2の回路パターン層の 例としての回路パターン層132は、基材11の裏 面に配置される。基材11の表面に形成された 路パターン層131は、基材11の裏面に形成さ た回路パターン層132に、圧着部13aと13bのそ ぞれで互いに電気的に導通するように接触 ている。この接触は、たとえば、超音波等 用いたクリンピング加工によって、基材11の 両面に接着剤層12を介在して形成された回路 ターン層131と132の一部同士を押圧すること よって、接着剤層12、基材11を構成する樹脂 を部分的に破壊し、両側の回路パターン層131 と132の一部同士を物理的に接触させることに より達成されている。

 図2に示すように、回路パターン層131の一 部(コイル状部分)と、基材11を介して回路パ ーン層131の一部に対向する回路パターン層13 2の一部と、回路パターン層131と132の一部の に介在する基材11の一部がキャパシタを構成 している。

 基材11は、複数のボイド状空気層を含有 ている。基材11を構成する樹脂本来の密度に 対する、複数のボイド状空気層を含有する基 材11の相対密度が0.9以下となるように所定の 有量でボイド状空気層が基材11に内在して る。上記の相対密度が0.9を超えると、基材11 の誘電率を十分に低下させることができない 。上記の相対密度の下限値は特に限定されな いが、0.5程度である。

 個々のボイド状空気層の平均体積は、2μm 3 以上90μm 3 以下であり、3μm 3 以上20μm 3 以下であるのが好ましい。ボイド状空気層の 平均体積が2μm 3 未満になると、樹脂からICカード・タグ用ア テナ回路構成体用基材への加工、基材の表 上の半導体チップの実装、カード化の加工 どの製造工程にて付加される熱的な処理ま は機械的な力により、ボイド状空気層が破 されるおそれがある。ボイド状空気層の平 体積が90μm 3 を超えると、Q値のばらつきや不安定さの原 となるおそれがある。

 樹脂フィルムにボイド状空気層を含有さ る方法は、特に限定されないが、熱可塑性 脂に無機物または有機物の微細粉末を含有 せ、熱可塑性樹脂の融点以下の温度で延伸 る方法を採用するのが好ましい。また、基 11の寸法安定性の観点から、樹脂フィルム して二軸延伸フィルムを採用することがよ 好ましい。二軸延伸フィルムによれば、厚 方向に薄い円盤状の形態でボイド状空気層 樹脂フィルムに内在させることができるの 、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体のQ をより効果的に向上させることができる。

 基材11を構成する樹脂フィルムの材質は 耐熱性を有するものであれば特に限定され いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリ チレンナフタレート、ポリカーボネート、 リイミド等が好適に使用される。特に汎用 の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)が 好適に使用される。

 樹脂フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下 好ましく、25μm以上38μm以下であるのがより 好ましい。樹脂フィルムの厚みが5μm未満に ると、基材11としての形状を維持することが 困難となる。樹脂フィルムの厚みが50μmを超 ると、基材11の両面に形成される回路パタ ン層131と132をクリンピング加工等によって 合することが困難になる。

 回路パターン層131、132を形成するための ルミニウム箔と、基材11としての樹脂フィ ムとの間の接着は、エポキシ樹脂を含有す ポリウレタン(PU)系接着剤を用いたドライラ ネーションによるのが好ましい。エポキシ 脂を含有するポリウレタン系接着剤として 東洋モートン社製AD506、AD503、AD76-P1等を採 することができ、硬化剤としては同社製CAT-1 0を接着剤:硬化剤=2~12:1の比率で配合して使用 すればよい。通常のエポキシ樹脂を含有しな いポリウレタン系接着剤を用いた場合には、 回路パターン層を形成するためのエッチング 処理中や、ICチップを実装するときにデラミ ーション(剥離)が生じやすくなる。これは エポキシ樹脂を含有しないポリウレタン系 着剤が耐薬品性や耐熱性に劣るからである

 次に、この発明のICカードの一つの実施 形態について説明する。

 図3と図4に示すように、ICカードの一例と してのICカード100は、上記の特徴を有するIC ード・タグ用アンテナ回路構成体10と、この ICカード・タグ用アンテナ回路構成体10の両 に接着剤層12を介して熱圧着されたカバー材 20とを備える。2枚のカバー材20が、ICカード タグ用アンテナ回路構成体10の両面の上に配 置され、ICカード・タグ用アンテナ回路構成 10の外周部を包囲して覆うように熱圧着さ ている。このように、回路パターン層131、13 2を形成するためのアルミニウム箔と、基材11 としての樹脂フィルムとの間を接着する接着 剤層12を利用して、2枚のカバー材20をICカー ・タグ用アンテナ回路構成体10の両面上に積 層する場合は、接着剤層12は、ポリエステル 接着剤を用いたヒートラミネーションによ 接着剤層であるのが好ましい。すなわち、I Cカード・タグ用アンテナ回路構成体10におい て、回路パターン層131、132の各々と基材11は 着剤層12を介して熱接着されていることが ましい。この接着剤層12は、回路パターン層 131、132を形成するためのエッチング処理後も 基材11の上に残存しているので、ICカード・ グ用アンテナ回路構成体10の両面上に2枚の バー材20を積層して熱圧着する際に接着剤層 として再利用することができる。この場合、 ICカード100において、ICカード・タグ用アン ナ回路構成体10とカバー材20との剥離強度は6 N/10mm以上であることが好ましい。

 カバー材20の材質は、電気伝導性がなく 熱圧着できるものであれば特に限定されず 用途や使用者の質感の嗜好により、紙、樹 、ガラス(繊維)等が好適に使用される。

 紙は、例えば、白板紙、コートボール紙 合成紙等から構成されており、また、使用 的に応じて、樹脂フィルムを板紙に貼り合 せたものや、樹脂コーティングした板紙等 用いることもできる。

 樹脂は、例えば、ポリエチレン系、ポリ ロピレン系、ポリスチレン系、塩化ビニル 、ポリイミド系、ポリエーテルケトン系、 クリニトリルスチレン系、ポリカーボネー 系の樹脂フィルムまたはその積層体等を用 ることができる。特に、塩化ビニル、ポリ チレンテレフタレート、ポリカーボネート 好適に使用される。

 2枚のカバー材20の厚みは、用途に応じて 宜設定すればよいが、通常、各カバー材20 厚みは、0.1~0.4mm程度である。また、ICカード ・タグ用アンテナ回路構成体10の両面上に配 される2枚のカバー材20の材質および厚みを 一にする必要はない。

 なお、回路パターン層131、132を形成する めのアルミニウム箔と、基材11としての樹 フィルムとの間の接着に用いた接着剤を、 バー材20を積層して熱圧着する際に接着剤層 として再利用しない場合は、得られたICカー ・タグ用アンテナ回路構成体10の両面と2枚 カバー材20との間に、熱圧着用の接着剤等 適宜配置して熱圧着すればよい。この場合 回路パターン層131、132を形成するためのア ミニウム箔と、基材11としての樹脂フィルム との間の接着は、ドライラミネーションでも ヒートラミネーションのいずれでもよい。

 次に、この発明のICカード・タグ用アン ナ回路構成体の製造方法の一つの実施の形 について簡単に説明する。

 まず、樹脂フィルムからなる基材11の両 に接着剤層12を形成し、この接着剤層12によ て基材11の両面にアルミニウム箔を固着す 。このようにして、アルミニウム箔と基材11 との積層体を準備する。

 次に、アンテナコイルの仕様に従った所 の渦巻状パターンを有するようにレジスト ンク層をアルミニウム箔の表面上に印刷す 。印刷後、レジストインク層の硬化処理を なう。

 そして、レジストインク層をマスクとし 用いてアルミニウム箔をエッチングするこ により、回路パターン層131、132を形成する

 その後、レジストインク層を剥離する。 後に、回路パターン層131、132の所定領域に リンピング加工等を施すことにより、図2に 示すように回路パターン層131と132の一部に接 触部または圧着部13a、13bを形成する。このよ うにして本発明のICカード・タグ用アンテナ 路構成体10が完成する。

 この発明の製造方法において用いられる ジストインクは特に限定されないが、分子 に少なくとも1個のカルボキシル基を有する アクリルモノマーとアルカリ可溶性樹脂とを 主成分とする紫外線硬化型レジストインクを 用いるのが好ましい。このレジストインクは 、グラビア印刷が可能であり、耐酸性を有し 、かつアルカリによって容易に剥離除去する ことが可能であるので、連続大量生産に適し ている。このレジストインクを用いてアルミ ニウム箔に所定の回路パターンでグラビア印 刷を施し、紫外線を照射して硬化させた後、 通常の方法に従って、たとえば塩化第二鉄等 によるアルミニウム箔の酸エッチング、水酸 化ナトリウム等のアルカリによるレジストイ ンク層の剥離除去を行なうことによって、回 路パターン層を形成することができる。

 分子中に少なくとも1個のカルボキシル基 を有するアクリルモノマーとしては、たとえ ば、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2 -アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アク リロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸 、2-アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2 -アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロ タル酸、2-アクリロイルオキシプロピルヘキ サヒドロフタル酸等が挙げられ、これらのう ち、単独のアクリルモノマー、またはいくつ かのアクリルモノマーを混合したものを使用 することができる。上記のアルカリ可溶性樹 脂としては、たとえば、スチレン-マレイン 樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ロジン-マレ イン酸樹脂等が挙げられる。

 レジストインクには、上記の成分の他に アルカリ剥離性を阻害しない程度に通常の 官能アクリルモノマー、多官能アクリルモ マー、プレポリマーを添加することができ 光重合開始剤、顔料、添加剤、溶剤等を適 添加して作製することができる。光重合開 剤としては、ベンゾフェノンおよびその誘 体、ベンジル、ベンゾイン、およびそのア キルエーテル、チオキサントンおよびその 導体、ルシリンPTO、チバスペシャリティケ カルズ製イルガキュア、フラッテリ・ラン ルティ製エサキュア等が挙げられる。顔料 しては、パターンが見やすいように着色顔 を添加する他、シリカ、タルク、クレー、 酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料 併用することができる。特にシリカは、紫 線硬化型レジストインクを付けたまま、銅 を巻き取る場合には、ブロッキング防止に 果がある。添加剤としては、2-ターシャリ ブチルハイドロキノン等の重合禁止剤、シ コン、フッ素化合物、アクリル重合物等の 泡剤、レベリング剤があり、必要に応じて 宜添加する。溶剤としては酢酸エチル、エ ノール、変性アルコール、イソプロピルア コール、トルエン、MEK等が挙げられ、これ のうち、溶剤を単独、または混合して用い ことができる。溶剤は、グラビア印刷の後 熱風乾燥等でレジストインク層から蒸発さ ることが好ましい。

 以下にこの発明の実施例1~8と比較例につ て説明する。

 (実施例1)
 基材11の材料として、基材11を構成する樹脂 本来の密度に対する、複数のボイド状空気層 を含有する基材11の相対密度が0.8、個々のボ ド状空気層の平均体積が4.5μm 3 である厚みが38μmのポリエチレンテレフタレ ト(PET)の二軸延伸フィルムを準備した。

 ボイド状空気層の平均体積は、次のよう して測定した。まず、走査型電子顕微鏡で 脂フィルムの断面を倍率2000倍で観察し、2 の視野の写真を撮影した。各写真において それぞれ任意の50個のボイド状空気層の厚み と幅を測定し、ボイド状空気層の形態を円盤 状と仮定して体積を計算し、その平均値をボ イド状空気層の平均体積とした。

 基材11の両面に厚みが30μmの圧延されたアル ミニウム箔を、エポキシ樹脂を含有するポリ ウレタン系接着剤として東洋モートン社製AD7 6-P1を用いてドライラミネーション法により 着して積層体を作製した。接着剤の塗布量 3.5g/m 2 であった。このようにして得られた積層体の 両面に、以下に示す組成のレジストインクと ヘリオクリッショグラビア版を用いて図1に すような回路パターン層131、132を形成する めの印刷パターンを印刷した。印刷後、照 線量が480W/cm 2 の紫外線ランプで15秒間照射し、レジストイ クを硬化させることによりレジストインク を形成した。

 インクの組成は以下のとおりである。

 ベッカサイトJ-896(大日本インキ化学工業社 ロジン-マレイン酸樹脂):21重量部
 2-アクリロイロヘキシエチルヘキサヒドロ タル酸:25重量部
 ユニディックV-5510(大日本インキ化学工業社 製プレポリマー、モノマーの混合物):8重量部
 イルガキュア184:3重量部
 酢酸エチル:28重量部
 変性アルコール:12重量部
フタロシアニンブルー:1重量部
 シリカ:2重量部
 上記のようにしてレジストインク層が形成 れた積層体を42ボーメの塩化第二鉄水溶液 温度45℃で5分間浸漬することにより、アル ニウム箔のエッチングを行ない、所定のパ ーンに従った回路パターン層131、132を形成 た。その後、その積層体を1%の水酸化ナトリ ウム水溶液に温度20℃で10秒間浸漬すること より、レジストインク層を剥離した。そし 、温度70℃の温風で積層体を乾燥させた。

 このようにして得られた積層体の所定の 置で、具体的には図2に示す圧着部13a、13bに おいてクリンピング加工を行った。クリンピ ング加工にて、基材11の両面に接着剤層12を 在して形成された回路パターン層131と132の 部同士を押圧することによって、接着剤層12 、基材11を構成する樹脂を部分的に破壊し、 側の回路パターン層131と132の一部同士を物 的に接触させることにより導通させた。こ ようにして、図1と図2に示されるような形 のアルミニウム箔を用いた本発明のICカード ・タグ用アンテナ回路構成体10を作製した。

 得られたICカード・タグ用アンテナ回路 成体10を、スペクトラムアナライザ(株式会 アドバンテスト製 品番U3751)を用いて、共振 点より-3dBの地点でのQ値を測定した。得られ Q値は、ボイド状空気層を含まない厚みが38 mの同じPETフィルム(上記の相対密度が1.0であ る)を用いたときのQ値を100としたときの相対 として106であった。

 (実施例2)
 基材11の材料として、基材11を構成する樹脂 本来の密度に対する、複数のボイド状空気層 を含有する基材11の相対密度が0.8、個々のボ ド状空気層の平均体積が4.5μm 3 である厚みが25μmのポリエチレンテレフタレ ト(PET)の二軸延伸フィルムを用いた以外は 実施例1と同様にしてICカード・タグ用アン ナ回路構成体10を作製した。得られたICカー ・タグ用アンテナ回路構成体10のQ値を実施 1と同様にして測定した。得られたQ値は、 イド状空気層を含まない厚みが25μmの同じPET フィルム(上記の相対密度が1.0である)を用い ときのQ値を100としたときの相対値として107 であった。

 (実施例3)
 基材11の材料として、基材11を構成する樹脂 本来の密度に対する、複数のボイド状空気層 を含有する基材11の相対密度が0.6、個々のボ ド状空気層の平均体積が18.5μm 3 である厚みが38μmのポリエチレンテレフタレ ト(PET)の二軸延伸フィルムを用いた以外は 実施例1と同様にしてICカード・タグ用アン ナ回路構成体10を作製した。得られたICカー ・タグ用アンテナ回路構成体10のQ値を実施 1と同様にして測定した。得られたQ値は、 イド状空気層を含まない厚みが38μmの同じPET フィルム(上記の相対密度が1.0である)を用い ときのQ値を100としたときの相対値として110 であった。

 (実施例4)
 基材11の両面とアルミニウム箔との間の接 において、基材11の両面にポリエステル系接 着剤層を予め形成した後に、基材11の両面に ルミニウム箔をヒートラミネーション法に り接着した以外は、実施例1と同様にしてIC ード・タグ用アンテナ回路構成体10を作製 た。

 具体的には、エポキシ樹脂を含有するポリ レタン系接着剤の代わりにポリエステル系 着剤を用いる場合は、基材11の製造時に共 出で予め接着剤層を基材11の両面に形成した 後に、基材11の両面に厚みが30μmの圧延され アルミニウム箔を、ヒートラミネーション により接着して積層体を作製した。接着剤 塗布量は1.0g/m 2 であった。

 得られたICカード・タグ用アンテナ回路 成体10のQ値を実施例1と同様にして測定した 得られたQ値は、ボイド状空気層を含まない 厚みが25μmの同じPETフィルム(上記の相対密度 が1.0である)を用いたときのQ値を100としたと の相対値として106であった。

 (比較例)
 基材11の材料として、基材11を構成する樹脂 本来の密度に対する、複数のボイド状空気層 を含有する基材11の相対密度が0.8、個々のボ ド状空気層の平均体積が1.0μm 3 である厚みが38μmのポリエチレンテレフタレ ト(PET)の二軸延伸フィルムを用いた以外は 実施例1と同様にしてICカード・タグ用アン ナ回路構成体10を作製した。得られたICカー ・タグ用アンテナ回路構成体10のQ値を実施 1と同様にして測定した。得られたQ値は、 イド状空気層を含まない厚みが38μmの同じPET フィルム(上記の相対密度が1.0である)を用い ときのQ値を100としたときの相対値として101 であった。

 以上の結果からわかるように、相対密度が0 .9以下でボイド状空気層の平均体積が2μm 3 以上90μm 3 以下のポリエチレンテレフタレート(PET)の二 延伸フィルムを基材11として用いた本発明 ICカード・タグ用アンテナ回路構成体10では 厚みが50μm以下の基材を用いても、従来品 りも高いQ値を実現することができることが 認された。

 (実施例5~8)
 実施例4で得られたICカード・タグ用アンテ 回路構成体10に、所定の位置にICチップ等を ボンディングし、図3と図4に示すように、IC ード・タグ用アンテナ回路構成体10の両面に 、表1に示す材質のカバー材20を2枚積層して 圧着した。このようにしてICカード100を作製 した。熱圧着条件は、温度140℃、圧力40N/cm 2 で20分間とした。なお、図3において、寸法a 76mm、bが46mm、Aが85mm、Bが54mmであった。

 得られたICカード100においてICカード・タ グ用アンテナ回路構成体10とカバー材20との 離強度[N/10mm]を測定した。具体的には、図3 示すカバー材20の一部分であるカバー材部分 21(幅10mm、長さ85mm)を切り出して、まず、図5 (A)に示すように、矢印Pで示す方向に剥離し 。そして、図5の(A)で示す両端のCの部分(長 が約20mm)をチャック50、60でつかんだ状態で 引張試験機を用いて同一の法線方向に歪速 300mm/分で、図5の(B)で示す寸法Dが50mmになる で矢印Pで示す方向にカバー材部分21を引っ ることにより、180°剥離試験を行なって、 離強度を測定した。その結果を表1に示す。

 表1から、いずれの材質のカバー材を用い ても、ICカードとしての使用に十分耐え得る 離強度を有していることがわかる。また、 ずれの材質のカバー材を用いても、同じ圧 条件で好適な剥離強度が得られていること ら、ICカードの両面に配置されるカバー材 異なった材質にしてもよいことがわかる。

 今回開示された実施の形態と実施例はす ての点で例示であって制限的なものではな と考慮されるべきである。本発明の範囲は 上の実施の形態と実施例ではなく、請求の 囲によって示され、請求の範囲と均等の意 および範囲内でのすべての修正と変形を含 ものであることが意図される。

 この発明によれば、ICカード・タグ用ア テナ回路構成体において基材を構成する樹 フィルムの誘電率を小さくすることができ より高いQ値を実現することができ、また、 のICカード・タグ用アンテナ回路構成体を えたICカードを得ることができる。

 10:ICカード・タグ用アンテナ回路構成体 11:基材、12:接着剤層、13a,13b:圧着部、20:カバ ー材、100:ICカード、131、132:回路パターン層