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Patent Searching and Data


Title:
ANTI-ALLERGEN AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044648
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: an anti-allergen agent which has excellent heat resistance, which is hardly colored, and which has excellent workability and water resistance; an anti-allergen product; and a method for processing the anti-allergen product. The anti-allergen agent comprises an inorganic solid acid as an active ingredient. The inorganic solid acid preferably has a pKa value of 4.0 or less as a measure of acid strength. The anti-allergen agent preferably further contains a polyphenol compound. In this case, it is preferred that the inorganic solid acid be contained in an amount of 5 to 90 wt% relative to the total amount of the inorganic solid acid and the polyphenol compound.

Inventors:
YAMADA YOSHINAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067138
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOAGOSEI CO LTD (JP)
YAMADA YOSHINAO (JP)
International Classes:
C09K3/00; A61K33/24; A61K33/244; D06M11/46; D06M11/71; D06M11/79
Foreign References:
JP2007039620A2007-02-15
JP2007008976A2007-01-18
JP2006291031A2006-10-26
JP2008248043A2008-10-16
JP2005273099A2005-10-06
JP2003081727A2003-03-19
JP2001214367A2001-08-07
JP2001049577A2001-02-20
JPH1046469A1998-02-17
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Claims:
 有効成分として無機固体酸を含有することを特徴とする抗アレルゲン剤。
 前記無機固体酸の酸強度がpKaで4.0以下である、請求項1に記載の抗アレルゲン剤。
 前記無機固体酸が、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸スズ、リン酸セリウム、リン酸チタニウム、H置換Y型ゼオライト、H置換ZSM-5型ゼオライト、アンチモン酸、SiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物、SiO 2 -TiO 2 複合酸化物、SiO 2 -ZrO複合酸化物、SiO 2 -Ga 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -ZrO複合酸化物、TiO 2 -SnO複合酸化物、TiO 2 -ZnO複合酸化物およびケイ酸マグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1つである、請求項1または2に記載の抗アレルゲン剤。
 さらに、ポリフェノール化合物を含有する、請求項1~3いずれか1つに記載の抗アレルゲン剤。
 無機固体酸とポリフェノール化合物の合計量を基準として、無機固体酸を5~90重量%含有する、請求項4に記載の抗アレルゲン剤。
 前記ポリフェノール化合物がタンニン酸である、請求項4または5に記載の抗アレルゲン剤。
 請求項1~6いずれかに記載の抗アレルゲン剤を含むことを特徴とする抗アレルゲン組成物。
 請求項7に記載の抗アレルゲン組成物を用いた抗アレルゲン製品の加工方法。
 請求項8に記載の抗アレルゲン製品の加工方法によって加工された抗アレルゲン製品。
Description:
抗アレルゲン剤

 本発明は、抗アレルゲン剤および抗アレ ゲン製品に関するものである。

 近年、スギ花粉等による花粉症や、ダニ が原因のハウスダストによる気管支喘息、 粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚 などのアレルギー性疾患に悩む人が増加し 刻な問題となっている。これらアレルギー 疾患の治療法としては、抗アレルギー剤と ばれる一連の薬剤や吸入用あるいは外用ス ロイド剤が開発され大きく前進したが、対 療法的な域を出ず根治的な治療法ではない

 また、ハウスダスト中のダニ駆除には一 的に殺ダニ剤等が用いられるが、ハウスダ ト中のコナヒョウダニやヤケヒョウダニな は虫体のみならずその糞や死骸までもアレ ゲン反応を引き起こすという特徴を持って り、死んだ後も虫体が分解するに従い徐々 微粒子のアレルゲンを放出するため、ダニ 殺しただけではアレルゲンを不活化したこ にならない。また、マスクはスギ等の花粉 吸入するのを防ぐために用いられているが マスクに付着した花粉はアレルゲン活性が 失するわけではないので、再び飛散するこ によって吸入してしまう危険性がある。

 このような問題から、アレルギー疾患の 状軽減あるいは新たな感作を防ぐためには アレルギー症状を引き起こす原因物質であ アレルゲンを人体中に吸引される前に生活 間から取り除くか、変性させるなどして無 化させることが必要となる。

 薬剤を使わないアレルゲン除去の方法と ては、電気掃除機による吸引や空気清浄機 より床面堆積塵や空中浮遊塵を物理的に除 しアレルゲンを減少させる方法がある。し しながら、電気掃除機により吸引した多量 アレルゲンは集塵袋に貯蔵されるだけであ 、集塵袋の廃棄時にアレルゲンが再飛散す 危険性が考えられる。また、空気清浄機に る除去では微細化された粒子状物質を完全 除去することは困難であり再飛散の危険性 ある。

 そこで近年、有害なアレルゲンの抗体と 反応部位を吸着や被覆などの効果で不活化 無害化する抗アレルゲン剤が提案されてい 。例えば、タンニン酸を用いた方法(たとえ ば特許文献1~2および非特許文献1参照)や、そ 類似化合物である茶抽出物、没食子酸等の リフェノール類が知られている(特許文献3 照)。しかしながらタンニン酸などの有機の レルゲン低減化剤は化学的に不安定であり 繊維や繊維製品に付着させた場合、着色あ いは経時的に変色を起こしたり、あるいは 分、油分、溶剤や洗濯によって環境に流れ し、衣服を汚したり皮膚に炎症を起こした するという問題がある。特許文献1の実験2 は、蒸留水によってタンニン酸が除去でき ことが開示されているから、タンニン酸で 理された繊維を繰り返し洗濯すればタンニ 酸が失われてしまうことは明らかである。 たがって、濡れたり洗濯したり直接肌に触 る可能性のある繊維や繊維製品に抗アレル ン剤として使用するのは問題があり、色調 耐熱性、耐久性といった問題からも人目に らされる繊維製品では使用できる対象が限 されるという欠点があった。そこで、これ での欠点を解消した抗アレルゲン剤の開発 望まれている。

特開昭61-44821号公報

特公平2-16731号公報

特開平6-279273号公報 「総説タンニンに関する最近の研究」薬 学雑誌、103(2)、125-142(1983)

 本発明は上記事情に鑑み、耐熱性に優れ 色性が少なく加工性に優れ、耐水性にも優 た抗アレルゲン剤および抗アレルゲン製品 その加工方法を提供することを目的とする

 本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討 た結果、以下の<1>、<7>~<9>に記 載の手段により、上記課題を解決することを 見いだした。好ましい実施態様である<2> ~<6>とともに以下に記載する。
<1> 有効成分として無機固体酸を含有す ことを特徴とする抗アレルゲン剤、
<2> 前記無機固体酸の酸強度がpKaで4.0以 である、上記<1>に記載の抗アレルゲン 、
<3> 前記無機固体酸が、リン酸ジルコニ ム、リン酸アルミニウム、リン酸スズ、リ 酸セリウム、リン酸チタニウム、H置換Y型 オライト、H置換ZSM-5型ゼオライト、アンチ ン酸、SiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物、SiO 2 -TiO 2 複合酸化物、SiO 2 -ZrO複合酸化物、SiO 2 -Ga 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -ZrO複合酸化物、TiO 2 -SnO複合酸化物、TiO 2 -ZnO複合酸化物およびケイ酸マグネシウムよ なる群から選択された少なくとも1つである 上記<1>または上記<2>に記載の抗ア ルゲン剤、
<4> さらに、ポリフェノール化合物を含 する、上記<1>~上記<3>いずれか1つ 記載の抗アレルゲン剤、
<5> 無機固体酸とポリフェノール化合物 合計量を基準として、無機固体酸を5~90重量 %含有する、上記<4>に記載の抗アレルゲ 剤、
<6> 前記ポリフェノール化合物がタンニ 酸である、上記<4>または上記<5>に 載の抗アレルゲン剤、
<7> 上記<1>~上記<6>いずれかに記 載の抗アレルゲン剤を含むことを特徴とする 抗アレルゲン組成物、
<8> 上記<7>に記載の抗アレルゲン組 物を用いた抗アレルゲン製品の加工方法、
<9> 上記<8>に記載の抗アレルゲン製 の加工方法によって加工された抗アレルゲ 製品。

 本発明によれば、耐熱性に優れ着色性が なく加工性に優れ、耐水性にも優れた抗ア ルゲン剤および抗アレルゲン製品とその加 方法を提供することができた。

 以下本発明について説明する。
 本発明において、アレルゲンとしては、人 よび動物がアレルゲンと皮膚接触あるいは 膜接触することでアレルギー性が惹起され ものであればなんら限定されないが、具体 には、イヌやネコや鳥などの体毛や上皮由 のアレルゲン、スギ、ヒノキ、ヨモギ、ケ キ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ブタクサ の花粉、天然ゴムラテックス等の植物由来 アレルゲン、カビ由来のアレルゲン、ダニ ゴキブリ本体もしくは排泄物などの動植物 白質を例示することができる。好ましくは 一般に家屋内でハウスダストとして接触す 事が多い屋内塵性ダニ類由来のアレルゲン 花粉症の原因物質となる花粉アレルゲンで る。

 本発明における無機固体酸とは、無機物質 あってその表面にH + を放出し酸性を示す部分(酸点もしくは活性 )を持つ固体である。無機固体酸の具体例に 、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウ 、リン酸スズ、リン酸セリウム、リン酸チ ニウム、H置換Y型ゼオライト、H置換ZSM-5型 オライト、アンチモン酸、SiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物(通称シリカ-アルミナ)、SiO 2 -TiO 2 複合酸化物(通称シリカ-チタニア)、SiO 2 -ZrO複合酸化物、SiO 2 -Ga 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物、TiO 2 -ZrO複合酸化物、TiO 2 -SnO複合酸化物、TiO 2 -ZnO複合酸化物およびケイ酸マグネシウム、 殊な無機イオン交換体などが挙げられる。 かでも耐熱性に優れる無機物質からなり、 い固体酸性を有することから、リン酸ジル ニウム、H置換ZSM-5型ゼオライト、H置換Y型ゼ オライト、SiO 2 -Al 2 O 3 複合酸化物(通称シリカ-アルミナ)が好ましい 固体酸である。このうちさらに好ましいもの は酸強度が大きいリン酸ジルコニウムであり 、その中でも結晶系が層状構造を持つ層状リ ン酸ジルコニウムは特に酸強度が大きいので 最も好ましいものである。

 本発明における無機固体酸の形状には、 末状、塊状、板状および繊維状などが挙げ れるが、様々な材質や形態への加工に適用 せるために粉末状が好ましい。粉末状であ 場合の好ましい平均粒径は0.01~50μmであり、 より好ましくは0.02~20μmである。平均粒径が0. 01μm以上の粉体は再凝集し難いため取り扱い いという長所があり、また、バインダー等 表面処理剤に分散させて繊維等に後加工す 場合、平均粒径が50μm以下の粒子は、分散 がよくて繊維の風合いを損ねないことや、 維に練りこんだ場合に糸切れを起こし難い となどの長所があり好ましい。

 本発明における無機固体酸の色調に限定 ないが、様々な材質や形態への加工に適用 せるために白色または明度の高い淡色が好 しい。好ましい明度は黒色を0%、白色を100% した時に60%以上のものである。

 本発明における無機固体酸の酸強度とは 無機固体酸表面の酸点が塩基にプロトンを える能力あるいは塩基から電子対を受け取 能力である。酸強度の測定は酸塩基指示薬 用いる方法で実施できる。塩基として適当 酸塩基指示薬を選べば、その指示薬の塩基 をその共役酸型に変える能力として酸強度 測定することが可能となる。

 酸強度の測定に用いることができる酸塩 指示薬および変色pKa値の例としては、ニュ トラルレッド(+6.8)、メチルレッド(+4.8)、4- ェニルアゾ-1-ナフチルアミン(+4.0)、ジメチ イエロー(+3.3)、2-アミノ-5-アゾトルエン(+2.0) 、4-フェニルアゾ-ジフェニルアミン(+1.5)、4- メチルアミノアゾ-1-ナフタレン(+1.2)、クリ タルバイオレット(+0.8)、p-ニトロベンゼン ゾ-p’-ニトロ-ジフェニルアミン(+0.43)、ジシ ンナミルアセトン(-3.0)、ベンザルアセトフェ ノン(-5.6)、アントラキノン(-8.2)等がある。こ れら酸強度(pKa)の知られた種々の酸塩基指示 を使うことにより酸強度を測定することが きる。pKa値の小さい指示薬を変色するもの どその酸強度は大きい。

 上記酸塩基指示薬を用いた無機固体酸の酸 度の測定方法は以下のとおりである。
 試験管に固体酸を0.1g採取し、ベンゼン2mLを 加え軽く振り混ぜる。そこへ、指示薬の0.1% ンゼン溶液(クリスタルバイオレットは0.1%エ タノール溶液)を2滴添加し軽く振り混ぜ、色 変化を観察する。
 酸塩基指示薬を含有する上記ベンゼン溶液 、酸塩基指示薬の前記変色pKa値より酸性側 は酸性色に呈色し、酸塩基指示薬の前記変 pKa値より塩基性側では塩基性色に呈色し、 塩基指示薬の前記変色pKa値およびその近傍( 「変色域」ともいう。)では酸性色および塩 性色の混ざり合った色に呈色する。
 変色域の確認された酸塩基指示薬があった 合は、当該酸塩基指示薬の変色pKa値を無機 体酸の酸強度として表記する。また、変色 の確認された酸塩基指示薬がなかった場合 、無機固体酸の酸強度(pKa値)は、酸性色が 認された最も小さい酸強度の酸塩基指示薬 酸強度(酸性色の確認された最も小さい変色p Ka値を有する酸塩基指示薬の変色pKa値)より小 さく、また、塩基性色が確認された最も大き い酸強度の酸塩基指示薬の酸強度(塩基性色 確認された最も大きい変色pKa値を有する酸 基指示薬の変色pKa値)より大きいとして表記 る。
 また、下限を示す適当な酸塩基指示薬がな 場合、無機固体酸のpKa値は(酸性色の確認さ れた最も小さい変色pKa値を有する酸塩基指示 薬のpKa値)より小さい、および上限を示す適 な指示薬がない場合、無機固体酸のpKa値は( 基性色の確認された最も大きい変色pKa値を する酸塩基指示薬のpKa値)より大きいとして 表記されるのが一般的である。

 本発明における無機固体酸の酸強度は、pKa が低いほど抗アレルゲン効果が高いため好 しい。具体的には、pKaが4.0以下であること 好ましく、より好ましくはpKaが3.3以下、さ に好ましくはpKaが1.5以下である。このなか もpKaが1.5以下の固体酸の抗アレルゲン効果 特に優れており、様々なアレルゲン物質に して高い効果を示す。すなわち、本発明の アレルゲン剤はpKaが低い値をもつ無機固体 であることが好ましい。
 また、無機固体酸のpKaが4.0以下であると、 リフェノール化合物と併用したときの抗ア ルゲン効果に優れるので好ましい。

 本発明の無機固体酸は一定の水分量を持つ とで抗アレルゲン効果が発現しやすくなる 吸湿性を有する無機固体酸は他の材料と混 したり、大気の湿度が変化しても水分を固 酸中に保つことができ、アレルゲン不活化 必要な水分を無機固体酸自体が有している で優れている。
 また、ポリフェノール化合物と併用する場 、無機固体酸が含有する水分によりポリフ ノール化合物が水和膨潤して、アレルゲン なるタンパク質と作用しやすくなると考え れる。従来のポリフェノール化合物単独の アレルゲン剤においては、無水の状態では レルゲン不活化性能が弱く、一方で過剰な 分を添加すればポリフェノール化合物を洗 流してしまうために耐水性に問題があった 本発明では一定の水分量を有する無機固体 を使用すると、水分と共にポリフェノール 合物を保持するため、アレルゲン不活化性 が発揮されるうえ、過剰な水にさらされて アレルゲン不活化性能が低下しない。

 本発明の抗アレルゲン剤は、無機固体酸お びポリフェノール化合物を含有することが ましい。
 本発明におけるポリフェノール化合物とは 子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベ ンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合 したヒドロキシ基)をもつ有機化合物である このうち、工業的に安価に入手できるのは ピカテキン、ガロタンニン、エピガロカテ ン、エピカテキンガレート、エピガロカテ ンガレート等の混合物からなるカテキンと 称される低分子量ポリフェノールと高分子 のタンニン酸であり、ともに好ましく用い れる。本発明でさらに好ましいのは無機固 酸と併用したときの相乗効果が大きいタン ン酸である。

 本発明の抗アレルゲン剤は無機固体酸ま は無機固体酸とポリフェノール化合物を併 するものであり、無機固体酸単独では耐熱 と耐変色性が著しく高いことに特徴がある そして、無機固体酸にポリフェノールを併 した場合には、アレルゲン不活化性能が相 的に高くなるので、添加量が少なくて済み 応用製品の風合いが優れるうえ、ポリフェ ール化合物単独で用いる場合に比べると耐 変色性が優れており、熱によるアレルゲン 活化性能の低下も少ない。従って本発明の アレルゲン剤は、繊維加工での乾燥工程や 脂への練りこみ工程など、加熱工程を経る 工方法を用いる場合には特に好ましいもの ある。

 本発明の抗アレルゲン剤は無機固体酸と リフェノール化合物を含有することが好ま く、含有する無機固体酸とポリフェノール 合物の重量比率は無機固体酸の割合が一定 上であると(ポリフェノール化合物の割合が 一定以下であると)と相乗効果が高く、アレ ゲン不活化性能が高く、さらに、ポリフェ ール化合物由来の着色が少ないので好まし 。また、無機固体酸の割合が一定以下であ と、ポリフェノール化合物とのアレルゲン 活化性能の高い相乗効果が得られるので好 しい。よって本発明の抗アレルゲン剤の無 固体酸/ポリフェノール化合物の重量比率は5 /95~90/10が好ましく、より好ましくは20/80~80/20 あり、さらに好ましくは60/40~80/20である。

 したがって、本発明における無機固体酸 ポリフェノール化合物とは、単に併用する けでも相乗効果を発揮するが、無機固体酸 表面付近にポリフェノール化合物が存在し いる状態がより好ましい。無機固体酸の表 付近にポリフェノール化合物を存在させる 程を複合化と呼ぶ。無機固体酸とポリフェ ール化合物の複合化方法としては、ポリフ ノール水溶液を調製して無機固体酸に塗布 スプレー、浸漬などを用いる方法や、乳鉢 ボールミル、リボンミキサー等の複合装置 用いて複合化する方法、ポリフェノール化 物の前駆体を無機固体酸の表面に付着させ からポリフェノールに変える方法などがあ 。

 本発明における抗アレルゲン剤の形状に 、粉末状、塊状、板状および繊維状などが げられるが、様々な材質や形態への加工に 用させるために粉末状が好ましい。粉末状 ある場合の好ましい平均粒径は0.01~50μmであ り、より好ましくは0.02~20μmである。平均粒 が0.01μm以上の粉体は再凝集し難いため取り い易いという長所があり、また、バインダ 等の表面処理剤に分散させてコーティング 成物として用いる場合、平均粒径が50μm以 の粒子は、分散性がよくてコーティングさ た製品の風合いを損ねないことや、繊維に りこんだ場合には糸切れを起こし難いこと どの長所があり好ましい。

 本発明における抗アレルゲン剤の色調に 定はないが、様々な材質や形態への加工に 用させるために白色または黄色度の低い淡 が好ましい。好ましい黄色度はJIS-K7103-1977 格で示されるYI値が50以下であり、より好ま くは20以下、さらに好ましくは15以下である 。

 本発明における抗アレルゲン剤は固体酸 ポリフェノール化合物を併用する場合、ポ フェノール化合物由来の変色を抑制するこ ができる点において従来の抗アレルゲン剤 比較して優れている。例えば、タンニン酸 水溶液にした際、経時的に変色がおこり、 目に触れる製品やコーティング剤に抗アレ ゲン剤として使用するには問題がある。し しながら上記の抗アレルゲン剤は経時的な 色がほとんどないため、人目にさらされる 品等へも問題なく使用することができる。

 本発明の抗アレルゲン剤は耐水性があり それを用いた抗アレルゲン製品にも雨水や 洗、洗濯等による水での流出に対し耐水性 示し、抗アレルゲン効果を持続して発揮す ことができる。

 本発明における抗アレルゲン効果は抗原の 出・定量法として広く用いられているELISA のサンドイッチ法により評価し、式1に示す レルゲン不活化率として表示した。初期ア ルゲン量とはELISA評価に用いたアレルゲン を示し、残存アレルゲン量とは試料との接 後のアレルゲン量を示す。また、本発明に けるアレルゲン不活化とは、アレルゲンの 異抗体との反応を抑えることであり、アレ ゲン不活化率が高いほど好ましい。具体的 は、アレルゲン不活化率50%以上が好ましく より好ましくはアレルゲン不活化率90%以上 さらに好ましくはアレルゲン不活化率99%以 である。
  アレルゲン不活化率
   =(1-残存アレルゲン量/初期アレルゲン量) ×100(%) <式1>
 試験の対象が抗アレルゲン剤を含むコーテ ング剤や抗アレルゲン剤を練りこんだ樹脂 抗アレルゲン剤を付着させた繊維等の抗ア ルゲン剤以外のものを含む物品である場合 これらの物品の構成から抗アレルゲン剤を いたもので空試験を行い、空試験のアレル ン不活化率を0とするように、他の測定結果 を規格化することがある。この場合も測定結 果を規格化したことを断れば、規格化後の数 値をアレルゲン不活化率として使用してよい 。

 本発明の抗アレルゲン剤の使用形態は特 制限がなく、用途に応じて適宜他の成分と 合したり、他の材料と複合したりして組成 とすることができる。例えば、粉末、粉末 有分散液、粉末含有粒子、粉末含有塗料、 末含有繊維、粉末含有紙、粉末含有プラス ック、粉末含有フィルム、粉末含有エアー ル等の種々の形態で用いることができ、さ に必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、抗カビ 、防炎剤、防食、肥料および建材等の各種 添加剤あるいは材料と併用することもでき 。また、人が接触する可能性のある材料、 とえば樹脂、紙、プラスチック、ゴム、ガ ス、金属、コンクリート、木材、塗料、繊 、革、石などに添加することによって生活 間におけるアレルゲンを不活化させること 可能である。

 これらの使用方法の中でも好ましいのは、 アレルゲンコーティング組成物または抗ア ルゲン樹脂組成物によるものであり、これ の2つの組成物を総称して抗アレルゲン組成 物と呼ぶ。2つの組成物のうち、より好まし のは比較的少量のアレルゲン剤を物品の表 に集中させて効果を発揮させ易いコーティ グ組成物である。
 上記の抗アレルゲン組成物の一つである抗 レルゲンコーティング剤とは、本発明の抗 レルゲン剤を一般的にバインダーと呼ばれ 固着剤とを含むコーティング組成物として いることである。このコーティング組成物 はバインダーの他に添加剤を加えてもよく また、組成物を物品に加工する前に溶剤や で希釈することもできる。組成物中に含ま る前記抗アレルゲン剤の濃度は分散が容易 保存性がよいことから0.5~50重量%が好ましく 、さらに好ましくは1~30重量%である。通常、 アレルゲン効果は、物品の表面で抗アレル ン剤とアレルゲンとが接触することによっ 発現するので、前記のコーティング組成物 物品の表面に抗アレルゲン剤を固定するこ は、より少ない量の抗アレルゲン剤で大き 効果を得ることができるので好ましい。

 本発明において、コーティング組成物に用 るバインダーとしては、特に限定されない 、以下のものが例示できる。すなわち、天 樹脂、天然樹脂誘導体、フェノール樹脂、 シレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケ ン樹脂、クマロン・インデン樹脂、石油樹 、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ア キド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニ 、アクリル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル 重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルア コール、ポリビニルブラチラール、塩素化 リプロピレン、スチレン樹脂、エポキシ樹 、ウレタンおよびセルロース誘導体等であ 。このうち、好ましいものはアクリル樹脂 ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル 重合樹脂であり、中でもエマルション型の 脂は低公害で取り扱い易いので好ましい。
 また、添加剤として用いることができるも は酸化亜鉛や酸化チタンなどの顔料、染料 酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、帯電防 剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、 属石鹸などの滑剤、防湿剤および増量剤、 ップリング剤、核剤、流動性改良剤、消臭 、木粉、防黴剤、防汚剤、防錆剤、金属粉 紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤などがあり、 ずれも好ましく用いることができる。

 本発明の抗アレルゲン剤とコーティング 成物で物品や繊維を加工する方法としては 組成物をそのままあるいは希釈した液体を 品や繊維製品およびこれらの原材料となる 料や繊維に塗布、浸漬または吹き付ける方 がある。繊維に加工する場合には、加工で る繊維には種々のものがあるが、たとえば 、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、P ET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン アクリロニトリル等の合成繊維、トリアセ ート、ジアセテートなどの半合成繊維、ビ コースレーヨン等の再生繊維等が挙げられ これらの繊維を2種類以上使用した複合繊維 もよい。また、ポリエチレンやポリプロピ ンなどを用いた不織布にも使用することが 能である。本発明の抗アレルゲン剤の繊維 たは繊維製品への加工方法は特に限定され ものではないが、浸漬処理、プリント処理 吹き付け処理等があり、組成物を含んだ繊 を乾燥することによって加工を完了する。 燥方法は自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥な いずれも用いることができるが、好ましく 自然乾燥または熱による方法で、好ましく 50℃~120℃の間で、好ましくは5分~2時間乾燥 ることによって抗アレルゲン剤を繊維に定 させることができる。

 本発明の抗アレルゲン剤の物品または繊維 品およびそれらの原材料に対する添着量は 組成物全体の0.1重量%以上が好ましく、0.5重 量%以上がより好ましく、コーティング組成 として使用するときはこれらのものの表面 1m 2 に対して0.1g以上あると明らかな効果を発現 易いので好ましい。コーティング組成物の 着量は、経済的理由や添加する物品や繊維 品等の物性や風合いや色合いなどを損なわ い点で表面積1m 2 に対して20g以下が好ましい。したがって、コ ーティング組成物として使用するときの添着 量はものの表面積1m 2 あたり0.1g~20gが好ましく、より好ましくは0.5g ~10g、さらに好ましくは1g~5gである。

 本発明の抗アレルゲン組成物の1つである抗 アレルゲン樹脂組成物は、本発明の抗アレル ゲン剤を樹脂と配合することにより容易に得 ることができる。抗アレルゲン樹脂組成物に 用いることができる樹脂の種類に特に制限は なく、天然樹脂、合成樹脂、半合成樹脂のい ずれであってもよく、また熱可塑性樹脂、熱 硬化性樹脂のいずれであってもよい。
 具体的な樹脂としては成形用樹脂、繊維用 脂、ゴム状樹脂のいずれであってもよく、 えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩 ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂、ナイロ 樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカー ネート、PBT、アクリル樹脂、フッ素樹脂、 リウレタンエラストマー、ポリエステルエ ストマー、メラミン樹脂、ユリア樹脂、四 ッ化エチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹 、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、 リビニルアルコール、キュプラ、トリアセ ート樹脂、ビニリデン樹脂などの成形用ま は繊維用樹脂、天然ゴム、シリコーンゴム スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピ ンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロ スルホン化ポリエチレンゴム、ブタジエン ム、合成天然ゴム、ブチルゴム、ウレタン ムおよびアクリルゴムなどのゴム状樹脂が る。また、樹脂成分に加えて、各種添加剤 含有させることもできる。添加剤として用 ることができるものは酸化亜鉛や酸化チタ などの顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定 、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃強 剤、ガラス繊維、金属石鹸などの滑剤、防 剤および増量剤、カップリング剤、核剤、 動性改良剤、消臭剤、木粉、防黴剤、防汚 、防錆剤、金属粉、紫外線吸収剤、紫外線 蔽剤などがあり、いずれも好ましく用いる とができる。

 本発明の抗アレルゲン剤を樹脂へ配合し 脂組成物を製造する方法は、公知の方法が ずれも採用できる。例えば、(1)抗アレルゲ 剤粉末と樹脂とが付着しやすくするための 着剤や抗アレルゲン剤粉末の分散性を向上 せるための分散剤を使用し、ペレット状樹 またはパウダー状樹脂をミキサーで直接混 する方法、(2)前記のようにして混合して、 し出し成形機にてペレット状に成形した後 その成形物をペレット状樹脂に配合する方 、(3)抗アレルゲン剤をワックスを用いて高 度のペレット状に成形後、そのペレット状 形物をペレット状樹脂に配合する方法、(4) アレルゲン剤をポリオールなどの高粘度の 状物に分散混合したペースト状組成物を調 後、このペーストをペレット状樹脂に配合 る方法などがある。

 上記の樹脂組成物の成形加工には、各種 脂の特性に合わせてあらゆる公知の成形加 技術と機械装置が使用可能であり、適当な 度または圧力で加熱および加圧または減圧 ながら混合、混入または混練りの方法によ て容易に調製することができ、それらの具 的操作は常法により行えばよく、塊状、ス ンジ状、フィルム状、シート状、糸状また パイプ状或いはこれらの複合体など、種々 形態に成形加工できる。

 本発明の抗アレルゲン剤の使用形態は上 のような組成物や樹脂組成物、樹脂成形品 他に、アレルゲン低減化が必要とされる用 に応じてそのまま、あるいは適宜他の成分 混合したり、他の材料と複合させて用いる とができる。例えば、粉末状、粉末分散液 、粒状、エアゾール状、または液状などの らゆる形態で用いることができる。

 本発明の抗アレルゲン剤は、アレルゲン 減を必要とされる種々の分野、すなわち室 用品、寝具類、フィルター類、家具類、車 用品、繊維製品、住宅建材製品、紙製品、 具、皮革製品、トイレタリー製品、および の他の製品などとして利用することができ 。例えばカーペット、カーテン、壁紙、畳 障子紙、床用ワックス、カレンダーなどの 内用品、ふとん、ベッド、シーツ、枕、枕 バーなどの寝具類、空気清浄機、エアコン どのフィルター類、ソファー、椅子などの 具類、チャイルドシート、座席シートなど 車内用品、電気掃除機の集塵袋、衣料品、 スク、ぬいぐるみ、キッチン用品などが挙 られるが、これに限定されるものではない

 以下に説明する実施例によって、本発明を らに詳細に説明するが、本発明をかかる実 例に限定することを意図したものではない
 実施例に記載した平均粒径とは、レーザー 折式粒度分布測定器(MALVERN MASTERSIZER 2000型) で測定して得られたメジアン径を示す。また 、%は重量%を示す。

 酸強度の測定は、試験管に試料を0.1g採取 し、ベンゼン2mLおよび指示薬の0.1%ベンゼン 液(ただし、クリスタルバイオレットは0.1%エ タノール溶液)を2滴添加し、軽く振り混ぜ、 の変化を観察した。固体酸の酸強度は指示 の変色が確認された最も強い酸強度(最も低 いpKa値)以下であり、指示薬が変色しなかっ 最も弱い酸強度(最も高いpKa)より高いと考え られるのでその範囲をpKa値として記録した。 なお、使用した指示薬はメチルレッド(pKa=4.8) 、4-フェニルアゾー1-ナフチルアミン(pKa=4)、 メチルイエロー(pKa=3.3)、4-フェニルアゾー フェニルアミン(pKa=1.5)、クリスタルバイオ ット(pKa=0.8)、ジシンナミルアセトン(pKa=-3)、 ベンザルアセトフェノン(pKa=-5.6)、アントラ ノン(pKa=-8.2)である。

 抗アレルゲン剤の含水率は、試料を温度2 5℃相対湿度60%の恒温恒湿槽に3日間置いたも で測定した。乾燥機中250℃で1時間恒量した アルミカップに試料約5gを秤量し(0.1mg単位ま 秤量)、乾燥機中で250℃で2時間乾燥後、再 秤量し(0.1mg単位まで秤量)、乾燥減分を乾燥 の重量で除したものを%表示として抗アレル ゲン剤の含水率とした。

 抗アレルゲン効果は、コナヒョウダニアレ ゲン(一般的にDerfIIと呼ばれるアレルゲン) よびスギ花粉アレルゲン(一般的にCryj1と呼 れるアレルゲン)を用いるELISA法のサンドイ チ法により評価した。コナヒョウダニアレ ゲンを用いた場合の試験操作は次のようで る。コナヒョウダニアレルゲン(DerfII)特異的 抗体(15E11抗体、アサヒビール株式会社製)を いて常法により抗体コートウェルを作製し 。
 試料を1mgまたは10mg秤量し、抗原希釈液で40n g/mLに調製したコナヒョウダニアレルゲン(Derf II)を500μL添加した。混合物をよく撹拌して、 試料とアレルゲンを接触させた後、遠心沈降 させ、上澄み液を回収し、ブロッキング剤で 処理してある15E11抗体コートウェルに添加し 室温で静置した。1時間後試料を捨て、各ウ ェルを洗浄バッファーで洗浄し、洗浄バッフ ァーで200ng/mLに希釈した西洋ワサビペルオキ ダーゼ標識抗DerfIIモノクローナル抗体13A4PO( アサヒビール株式会社)を各ウェルへ添加し 温で静置した。1時間後抗体液を捨て、各ウ ルを洗浄バッファーで洗浄し、基質液を各 ェルへ添加して室温で静置した。30分後に2N 硫酸を加え反応を停止させ、490nmの吸光度を 定した。結果は、試料を用いずに評価を行 ことで吸光度に対するアレルゲン量の関係 求め、各種試料を評価した場合の吸光度か 残存アレルゲン量を求め、式1から算出する ことにより各種試料のアレルゲン不活化率% 表示した。
 アレルゲン不活化率
  =(1-残存アレルゲン量/初期アレルゲン量)× 100(%)   <式1>

 スギ花粉アレルゲンを用いた場合のELISA法 サンドイッチ法による試験操作は次のよう ある。スギ花粉アレルゲン(Cryj1)特異的抗体( 生化学工業株式会社製Anti-Cryj1mAb013)を用いて 法により抗体コートウェルを作製した。
 試料を1mgまたは10mg秤量し、抗原希釈液で10n g/mLに調製したスギ花粉アレルゲン(Cryj1)を500 L添加した。混合物をよく撹拌して、サンプ とアレルゲンを接触させた後、遠心沈降さ 、上澄み液を回収し、ブロッキング剤で処 してあるAnti-Cryj1mAb013抗体コートウェルに添 加して室温で静置した。1時間後サンプルを て、各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、 浄バッファーで250ng/mLに希釈した西洋ワサビ ペルオキシダーゼ標識抗Cryj1モノクローナル 体053(生化学工業株式会社製)を各ウェルへ 加し室温で静置した。2時間後抗体液を捨て 各ウェルを洗浄バッファーで洗浄し、基質 を各ウェルに添加して室温で静置した。10 後に2N硫酸を加え反応を停止させ、490nmの吸 度を測定した。結果は、コナヒョウダニア ルゲンと同様の方法で式1から算出すること により各種試料のアレルゲン不活化率%を表 した。

 繊維加工製品の抗アレルゲン効果は、アレ ゲンにはコナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII )を用い、繊維9cm 3 を8等分して、固体酸粉末と同様のELISA法評価 により吸光度を測定し、固体酸を添加してい ない繊維製品を用いた場合の吸光度と比較し て上記式1により抗アレルゲン不活化率%を評 した。

 樹脂フィルムの抗アレルゲン効果は、アレ ゲンにはコナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII )を用い、フィルム9cm 2 を8等分して、上記記載と同様のELISA法評価に より吸光度を測定し、抗アレルゲン剤を添加 していないフィルムを用いた場合の吸光度と 比較して上記式1により抗アレルゲン不活化 %を評価した。

(実施例1)
 実施例1では、抗アレルゲン不活化率は、試 料10mgにて評価を行った。
[実施例1-1]
層状リン酸ジルコニウム
 75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウ 水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿 をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状 ン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リ 酸ジルコニウムの色調、平均粒径、含水率 酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不活 化効果およびスギアレルゲン不活化効果を測 定した結果を表1に示した。

[実施例1-2]
網目状リン酸ジルコニウム
 イオン交換水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルおよ び塩化アンモニウム0.1モルを溶解後、撹拌し ながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を28% アンモニア水を用いてpHを2.7に調整後、98℃ 14時間撹拌した。その後、得られた沈殿物を よく洗浄し、700℃で焼成することにより網目 状リン酸ジルコニウム得た。得られた網目状 リン酸ジルコニウム色調、平均粒径、含水率 、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不 化効果およびスギアレルゲン不活化効果を 定した結果を表1に示した。

[実施例1-3]
H置換ZSM-5型ゼオライト
 市販のゼオライトZSM-5(水沢化学工業製EX122) 塩酸水溶液中に浸漬後、ろ過、水洗、乾燥 解砕し、固体酸であるH置換ZSM-5型ゼオライ を調製した。得られたH置換ZSM-5型ゼオライ の色調、平均粒径、含水率、酸強度およびE LISA法にてダニアレルゲン不活化効果および ギアレルゲン不活化効果を測定した結果を 1に示した。

[実施例1-4]
アンチモン酸
 五塩化アンチモンに水を加えた後、70℃で 成しアンチモン酸を得た。得られたアンチ ン酸の色調、平均粒径、含水率、酸強度お びELISA法にてダニアレルゲン不活化効果およ びスギアレルゲン不活化効果を測定した結果 を表1に示した。

[実施例1-5]
シリカ-アルミナ
 原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用い 得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕 ることでシリカ-アルミナを調製した。得ら れたシリカ-アルミナの色調、平均粒径、含 率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン 不活化効果およびスギアレルゲン不活化効果 を測定した結果を表1に示した。

[実施例1-6]
H置換型Y型ゼオライト
 市販のゼオライトY(水澤化学工業株式会社 ミズカシーブスY400)を塩酸水溶液中に浸漬後 、ろ過、水洗、乾燥、解砕し、固体酸である H置換Y型ゼオライトを調製した。
 得られたH置換Y型ゼオライトの色調、平均 径、含水率、酸強度およびELISA法にてダニア レルゲン不活化効果を測定した結果を表1に した。

[比較例1-1]
二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムか らなる複合鉱物
 市販の二酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミ ウムからなる複合鉱物(水澤化学工業株式会 社製ミズカナイトHP)の色調、平均粒径、酸強 度およびELISA法にてダニアレルゲン不活化効 を測定した結果を表1に示した。

[比較例1-2]
A型ゼオライト
 市販のゼオライトA(水澤化学工業株式会社 SilitonB)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA 法にてダニアレルゲン不活化効果およびスギ アレルゲン不活化効果を測定した結果を表1 示した。

[比較例1-3]
X型ゼオライト
 市販のゼオライトX(水澤化学工業株式会社 CPT-30)の色調、平均粒径、酸強度およびELISA にてダニアレルゲン不活化効果およびスギ レルゲン不活化効果を測定した結果を表1に した。

[比較例1-4]
ZSM-5型ゼオライト
 市販のゼオライトZSM-5(水澤化学工業株式会 製EX122)の色調、平均粒径、酸強度およびELIS A法にてダニアレルゲン不活化効果を測定し 結果を表1に示した。

[比較例1-5]
ハイドロタルサイト
 市販のハイドロタルサイト(堺化学工業株式 会社製HT-P)の色調、平均粒径、酸強度およびE LISA法にてダニアレルゲン不活化効果を測定 た結果を表1に示した。

[比較例1-6]
酸化アルミニウム
 試薬の酸化アルミニウムの色調、平均粒径 酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不 化効果を測定した結果を表1に示した。

[比較例1-7]
酸化亜鉛
 市販の酸化亜鉛(堺化学工業製 酸化亜鉛2種 )の色調、平均粒径、酸強度およびELISA法にて ダニアレルゲン不活化効果を測定した結果を 表1に示した。

 表1の結果から、本発明の固体酸は全てダニ アレルゲン不活化率50%以上を示した。特に層 状リン酸ジルコニウム、網状リン酸ジルコニ ウム、アンチモン酸はアレルゲン不活化率が 99.9%より大きい効果を示しており、抗アレル ン剤として非常に優れている。
 また、スギ花粉アレルゲンの場合もダニの 合と同様に、本発明の固体酸は高いアレル ン不活化率を示し抗アレルゲン剤として非 に優れている。これに対してpKaが4.0より大 い比較例ではほとんど抗アレルゲン活性を さなかった。

[実施例1-8]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評 価
 実施例1-3の固体酸であるH置換ZSM-5型ゼオラ トとアクリルエマルションバインダー(東亞 合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、固 形分45%)とを固形分重量比で10:3になるように ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1/1)に 漬乾燥の加工を行い、固定量10g/m 2 、の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲ ン布のアレルゲン不活化効果を測定した結果 を表2に示した。

[実施例1-9]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評 価
 実施例1-3の固体酸であるH置換ZSM-5型ゼオラ トをケスモンバインダーKB1300(東亞合成株式 会社製、固形分45%)と固形分の重量比で10:3と るように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル 維=1/1)に5分浸漬後、120℃で30分乾燥の加工 行い、固定量15g/m 3 の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲン 布のアレルゲン不活化効果を測定した結果を 表2に示した。

[比較例1-8]
繊維の抗アレルゲン活性評価
 固体酸であるH置換ZSM-5型ゼオライトを用い に実施例1-8と同様の加工方法により比較布 作製した。比較布のアレルゲン不活化効果 測定した結果を表2に示した。

 表2の結果から固体酸を付着加工した抗ア レルゲン加工布はアレルゲン不活化率99%以上 を示した。よって固体酸を繊維に後加工した 抗アレルゲン製品の性能は優れている。

[実施例1-10]
繊維に固定した固体酸の耐熱性評価
 実施例1-9と同様の方法で抗アレルゲン布を 製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレル ゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性 を測定した結果を表3に示した。

 表3の結果から固体酸を付着加工した抗ア レルゲン加工布は熱を加えても十分に高いア レルゲン不活化率を示し、また、変色もおこ らないことから、固体酸を繊維に後加工した 抗アレルゲン製品は耐熱性も優れている。

(実施例2)
 実施例2では、特に断りのない限り、抗アレ ルゲン不活化率は、試料1mgにて評価を行った 。
[実施例2-1]
抗アレルゲン剤(1)
 75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウ 水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿 をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状 ン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リ 酸ジルコニウムとタンニン酸を重量混合比7/ 3で混合し、ボールミルにより3時間複合化し ロータースピードミルにより粉砕して抗ア ルゲン剤(1)を得た。得られた抗アレルゲン の平均粒径、黄色度、含水率、およびELISA にてダニアレルゲン不活化効果およびスギ レルゲン不活化効果を測定した結果を表4に した。

[実施例2-2]
抗アレルゲン剤(2)
 実施例2-1と同様に調製した層状リン酸ジル ニウムとタンニン酸を重量混合比6/4で混合 、ボールミルにより3時間複合化し、ロータ ースピードミルにより粉砕して抗アレルゲン 剤(2)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄色 度、含水率、およびELISA法にてダニアレルゲ 不活化効果およびスギアレルゲン不活化効 を測定した結果を表4に示した。

[実施例2-3]
抗アレルゲン剤(3)
 原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用い 得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕 ることでシリカ-アルミナを調製した。得ら れたシリカ-アルミナとタンニン酸を重量混 比8/2で混合し、ボールミルにより3時間複合 し、ロータースピードミルにより粉砕して アレルゲン剤(3)を得た。得られた抗アレル ン剤の黄色度、含水率、およびELISA法にて ニアレルゲン不活化効果を測定した結果を 4に示した。

[実施例2-4]
抗アレルゲン剤(4)
 実施例2-3と同様に調製したシリカ-アルミナ とタンニン酸を重量混合比7/3で混合し、ボー ルミルにより3時間複合化し、ロータースピ ドミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(4)を た。得られた抗アレルゲン剤の平均粒径、 色度、含水率、およびELISA法にてダニアレル ゲン不活化効果を測定した結果を表4に示し 。

[実施例2-5]
抗アレルゲン剤(5)
 実施例2-3と同様に調製したシリカ-アルミナ とタンニン酸を重量混合比6/4で混合し、ボー ルミルにより3時間複合化し、ロータースピ ドミルにより粉砕して抗アレルゲン剤(5)を た。得られた抗アレルゲン剤の黄色度、含 率、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化 効果を測定した結果を表4に示した。

[実施例2-6]
抗アレルゲン剤(6)
 実施例2-1と同様に調製した層状リン酸ジル ニウムとタンニン酸を重量混合比3/97で混合 し、ボールミルにより3時間複合化し、ロー ースピードミルにより粉砕して抗アレルゲ 剤(6)を得た。得られた抗アレルゲン剤の黄 度、およびELISA法にてダニアレルゲン不活化 効果を測定した結果を表4に示した。

[実施例2-7]
抗アレルゲン剤(7)
 75%リン酸水溶液に15%オキシ塩化ジルコニウ 水溶液を添加し、24時間加熱還流後、沈殿 をろ過、水洗、乾燥、解砕することで層状 ン酸ジルコニウムを得た。得られた層状リ 酸ジルコニウムの黄色度、平均粒径、含水 、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲン不 活化効果およびスギアレルゲン不活化効果を 測定した結果を表4に示した。なお、抗アレ ゲン剤量は10mgとした。

[実施例2-8]
抗アレルゲン剤(8)
 原料に水ガラスと硝酸アルミニウムを用い 得られた沈殿物を500℃で焼成処理後、粉砕 ることでシリカ-アルミナを調製した。得ら れたシリカ-アルミナの黄色度、平均粒径、 水率、酸強度およびELISA法にてダニアレルゲ ン不活化効果およびスギアレルゲン不活化効 果を測定した結果を表4に示した。なお、抗 レルゲン剤量は10mgとした。

[比較例2-1]
タンニン酸
 ELISA法にてタンニン酸のダニアレルゲン不 化効果とスギアレルゲン不活化効果、平均 径および黄色度を測定した結果を表4に示し 。

表4中「-」の記載の欄は測定を行わなかった とを示す。

 表4において、無機固体酸及びタンニン酸を 含む抗アレルゲン剤のアレルゲン不活化性能 を無機固体酸単独またはタンニン酸単独と比 較した場合、無機固体酸及びタンニン酸を含 む抗アレルゲン剤はタンニン酸単独よりも高 いアレルゲン不活化率を示した。また、複合 体である実施例2-1の抗アレルゲン剤は使用量 が1mgで、無機固体酸単独の実施例2-7の使用量 10mgの1/10の量であるにもかかわらず、実施例2 -7と同等で比較例2-1よりも高いアレルゲン不 化率を示したことから、本発明の複合物は 抗アレルゲン効果における相乗効果を奏す ものであることが示された。
 特に層状リン酸ジルコニウムとタンニン酸 らなる抗アレルゲン剤(1)および(2)(実施例2-1 および2-2)はダニアレルゲンおよびスギアレ ゲンに対しアレルゲン不活化率99%以上と高 効果を示していた。また、実施例2-7および2- 8と比較して10分の1の使用量で高い抗アレル ン不活化率を示し、抗アレルゲン剤(1)およ (2)の抗アレルゲン性能は非常に優れている また、タンニン酸単独の黄色度は71.8と著し 高いものであるが、本発明の抗アレルゲン の黄色度は低く、抗アレルゲン製品への着 性の面で好ましいものである。

[実施例2-9]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の抗アレルゲ ン活性評価
 実施例2-1の抗アレルゲン剤とアクリルエマ ションバインダー(東亞合成株式会社製ケス モンバインダーKB1300、固形分45%)とを固形分 量比で10/3になるように混ぜ合わせ、布(成分 :綿/アクリル繊維=1/1)に浸漬後、120℃で15分乾 燥の加工を行い、固定量4.3g/m 2 、の抗アレルゲン布を作製した。抗アレルゲ ン布のアレルゲン不活化効果を測定した。こ の試験では抗アレルゲン剤を用いない場合で も布への吸着等により試験前後でアレルゲン が減少するため、比較例2-4で抗アレルゲン剤 を用いない空試験を行ってそのときのアレル ゲン不活化率が0になるように測定結果を規 化して表5に示した。

[実施例2-10]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の耐水性評価
 実施例2-9と同様の方法で実施例2-1の抗アレ ゲン剤を固定した抗アレルゲン布を作製し 500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器中 に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然 燥させた。その後、実施例2-9と同様の方法 抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を 定した結果を規格化して表5に示した。

[実施例2-11]
繊維に固定した抗アレルゲン剤の抗アレルゲ ン活性評価
 実施例2-9において、実施例2-1の抗アレルゲ 剤を実施例2-6に記載の抗アレルゲン剤に変 し、固定量を4g/m 2 とした以外は実施例2-9と同様の方法で抗アレ ルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した 結果を規格化して表5に示した。

[実施例2-12]
 実施例2-11と同様の方法で実施例2-6の抗アレ ルゲン剤を固定した抗アレルゲン布を作製し 、500mLのイオン交換水を入れた1Lのポリ容器 に入れて浸し、1分間の振とう洗濯後、自然 燥させた。その後、実施例2-9と同様の方法 抗アレルゲン布のアレルゲン不活化効果を 定した結果を規格化して表5に示した。

[実施例2-13]
繊維に固定した固体酸の抗アレルゲン活性評 価
 実施例2-7の固体酸である層状リン酸ジルコ ウムをアクリルエマルションバインダー(東 亞合成株式会社製ケスモンバインダーKB1300、 固形分45%)と固形分の重量比で10/3 とになる うに混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル繊維=1 /1)に浸漬後、120℃で15分乾燥の加工を行い、 定量4.6g/m 2 、の抗アレルゲン布を作製した。その後、実 施例2-9と同様の方法でのアレルゲン不活化効 果を測定した結果を規格化して表5に示した

[実施例2-14]
繊維に固定した固体酸の耐水性評価
 実施例2-13と同様の方法で実施例2-7の固体酸 を固定した抗アレルゲン布を作製し、500mLの オン交換水を入れた1Lのポリ容器中に入れ 浸し、1分間の振とう洗濯後、自然乾燥させ 。その後、実施例2-13と同様の方法で抗アレ ルゲン布のアレルゲン不活化効果を測定した 結果を規格化して表5に示した。

[比較例2-2]
繊維に固定したタンニン酸の抗アレルゲン活 性評価
 タンニン酸をアクリルエマルションバイン ー(東亞合成株式会社製ケスモンバインダー KB1300、固形分45%)と固形分の重量比で10/3とに るように混ぜ合わせ、布(成分:綿/アクリル 維=1/1)に浸漬後、120℃で15分乾燥の加工を行 い、固定量4.6g/m 2 、の比較布を作製した。比較布のアレルゲン 不活化効果を測定した結果を規格化して表5 示した。

[比較例2-3]
繊維に固定したタンニン酸の耐水性評価
 比較例2-2と同様の方法でタンニン酸を固定 た比較布を作製し、500mLのイオン交換水を れた1Lのポリ容器中に入れて浸し、1分間の とう洗濯後、自然乾燥させた。その後、比 例2-2と同様の方法で比較布のアレルゲン不 化効果を測定した結果を規格化して表5に示 た。

[比較例2-4]
空試験の抗アレルゲン活性評価
 抗アレルゲン剤を用いずに実施例2-9と同様 加工方法により比較布を作製した。比較布 アレルゲン不活化効果を測定し、その不活 率の数字を0にするように実施例2-9~2-14、比 例2-2~2-5の不活化率測定結果を規格化して表 5に示した。従って比較例2-4のアレルゲン不 化率は0である。

[比較例2-5]
繊維のみの耐水性評価
 本発明の抗アレルゲン剤を用いずに実施例2 -9と同様の加工方法により比較布を作製し、 濯処理を行った。比較布のアレルゲン不活 効果を測定した結果を規格化して表5に示し た。

 なお、表5は比較例2-4の布のみのアレルゲ ン不活化率を0%とし、それを基に表5の他の実 施例、比較例の結果を規格化して求めた。

 実施例2-9の本発明の抗アレルゲン剤(1)を 着加工した抗アレルゲン加工布はアレルゲ 不活化が99.9%より大きかった。また、洗濯 ではタンニン酸の場合活性が無くなるのに し、本発明の抗アレルゲン剤(1)を付着加工 た加工布では抗アレルゲン効果が低下する となく、耐水性を示し、洗濯試験後の実施 2-10でもアレルゲン不活化率が99.9%より大き った。よって本発明の抗アレルゲン剤を繊 に後加工した抗アレルゲン製品の性能はア ルゲン不活化性能に優れ、耐水性にも優れ いる。

[実施例2-15]
繊維に固定した固体酸の耐熱性評価
 実施例2-9と同様の方法で抗アレルゲン布を 製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレル ゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性 を測定した結果を表6に示した。

[比較例2-6]
 比較例2-2と同様の方法で抗アレルゲン布を 製し、200℃で2時間熱を加えた後、抗アレル ゲン布のアレルゲン不活化効果および変色性 を測定した結果を表6に示した。

 表6の結果から本発明の抗アレルゲン剤を 付着加工した抗アレルゲン加工布は熱を加え ても十分に高いアレルゲン不活化率を示し、 また、変色も殆どおこらないことから、本発 明の抗アレルゲン剤を繊維に後加工した抗ア レルゲン製品は耐熱性にも優れている。一方 タンニン酸を加工したものは変色がひどく、 実用的ではない。

[実施例2-16]
変色性試験および抗アレルゲン活性
 実施例2-1の抗アレルゲン剤(1)1mgを0.5mLのPBS(p H7.29、0.1%tween20および0.001%BSA含有)に入れ、室 で3日間静置した後の色の変化およびアレル ゲン不活化効果を測定した結果を表7に示し 。

[実施例2-17]
変色性試験
 実施例2-1の抗アレルゲン剤(1)1mgを0.5mLのイ ン交換水(pH6.37)に入れ、室温で7日間静置し 後の色の変化を観察した結果を表7に示した

[比較例2-7]
変色性試験および抗アレルゲン活性
 タンニン酸1mgを0.5mLのPBS(pH7.29、0.1%tween20お び0.001%BSA含有)に入れ、室温で3日間静置した 後の色の変化およびアレルゲン不活化効果を 測定した結果を表7に示した。

[比較例2-8]
変色性試験
 タンニン酸1mgを0.5mLのイオン交換水(pH6.37)に 入れ、室温で7日間静置した後の色の変化を 察した結果を表7に示した。

 表7中「-」の記載の欄は測定を行わなかっ ことを示す。

 表7の結果から、タンニン酸は水溶液状態 では変色がおこり、アレルゲン不活化性能の 低下がみられたが、実施例2-16および2-17の本 明の抗アレルゲン剤は水溶液状態において 変色がおこらず高いアレルゲン不活化率を した。よって本発明の抗アレルゲン剤は水 液中においても変色がおこらず、アレルゲ 不活化性能に影響の少ない耐久性に優れた のである。

樹脂に練りこんだ抗アレルゲン剤の抗アレル ゲン活性評価
[実施例2-18]
 実施例2-18では上記の層状リン酸ジルコニウ ム固体酸をポリエチレン樹脂粉末(プライム リマー社製ハイゼックス1300JPU)に重量で全体 の30%となるように混合し、180℃で5分加熱、4 空冷した後、ポリテトラフルオロエチレン の間に挟んで卓上プレス機により150kg/cm 2 の圧力をかけて押し伸ばし、0.2~0.3mm厚のフィ ルムを作製した。作製したフィルムは白色で あった。

[実施例2-19]
 実施例2-19では抗アレルゲン剤(1)すなわち層 状リン酸ジルコニウム/タンニン酸=7/3の複合 を実施例2-18のように樹脂組成物全体の30%に なるように混合し、フィルムを作製した。作 製したフィルムは実施例2-18と同じ白色であ たが、実施例2-18のシートと並べて比較する 、黄色味を帯びているのがわかった。

[実施例2-20]
 実施例2-20では、抗アレルゲン剤(1)すなわち 層状リン酸ジルコニウム/タンニン酸=7/3の複 体を実施例2-18のように樹脂組成物全体の10% になるように混合し、フィルムを作製した。 作製したフィルムは実施例2-18と同じ白色で ったが、実施例2-18のシートと並べて比較す と、わずかに黄色味を帯びているが、実施 2-19よりは白色に近かった。

[比較例2-9]
 比較例2-9では、タンニン酸を樹脂組成物全 の30%になるように混合した他は実施例2-18と 同じようにしてフィルムを作製した。作製し たフィルムは濃い褐色であった。

[比較例2-10]
 比較例2-10では、タンニン酸を樹脂組成物全 体の10%になるように混合した他は実施例2-18 同じようにしてフィルムを作製した。作製 たフィルムは濃い褐色であった。

[比較例2-11]
 比較例2-11ではポリエチレン樹脂のみでフィ ルムを作製した。

 フィルムのアレルゲン不活化性能評価は コナヒョウヒダニアレルゲン(DerfII)を用い 、上記の方法でELISA法評価を行った。このと き、タンニン酸30%の比較例2-9では、フィルム をアレルゲン液に接触させるとすぐに、褐色 のタンニン酸がアレルゲン液に溶出して液全 体が茶色に変色してしまった。これではフィ ルムの評価とは言えないため比較例2-9の結果 は記録しなかった。なお、比較例2-11の結果 0を示したので規格化は行なわず、評価結果 そのまま表8に示した。

 表8の結果は、ポリフェノール単独のタン ニン酸を用いた場合、樹脂の溶融の際の加熱 によって激しい変色を引き起こすだけでなく 、アレルゲン不活化性能が失われてしまうこ とを示している。一方、本発明の抗アレルゲ ン剤である層状リン酸ジルコニウムを混合し た樹脂フィルムは加熱によって変色し難く、 アレルゲン不活化性能に影響の少ない耐久性 に優れたものある。また、本発明の無機固体 酸にさらにタンニン酸を複合化した抗アレル ゲン剤は、熱によってわずかに変色を起こす 可能性はあるが、タンニン酸を単独で用いた 比較例に比べると耐変色性は著しく優れてお り、アレルゲン不活化性能の耐熱性にも優れ たものである。

 本発明の抗アレルゲン剤を用いることに り、繊維製品やフィルターなどの人間の生 空間に係る材料に、花粉やダニなどのアレ ゲンを不活化する機能を付与することがで 、抗アレルゲン製品を安価簡便に製造する とできる。