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Title:
ANTIBACTERIAL ARTIFICIAL HAIR AND ANTIBACTERIAL COATING AGENT FOR ARTIFICIAL HAIR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069751
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an antibacterial artificial hair. Also disclosed is an antibacterial coating agent for an artificial hair. The antibacterial artificial hair comprises an artificial hair and organic resin particles adhered on the artificial hair. The organic resin particles are powderized microparticles comprising an organic resin and an aluminum salt which is chemically bound to the organic resin. The antibacterial coating agent is intended to be used for an artificial hair, and comprises an aqueous medium and the above-mentioned organic resin particles dispersed in the aqueous medium. The antibacterial artificial hair has gloss and feel like a human hair and an antibacterial property by the action of the organic resin particles containing the aluminum salt.

Inventors:
SHINBAYASHI HIROYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/071655
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
SHINBAYASHI HIROYUKI
International Classes:
A41G3/00; C09D5/02; C09D7/12; C09D201/00; D06M11/45; D06M13/11; D06M15/15; D06M15/564; D06M23/08
Domestic Patent References:
WO2001000920A12001-01-04
Foreign References:
JPS4730466U1972-12-06
Attorney, Agent or Firm:
IKEUCHI SATO & PARTNER PATENT ATTORNEYS (OAP TOWER 8-30, Tenmabashi 1-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 26, JP)
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Claims:
 抗菌性人工毛髪であって、
 人工毛髪と、前記人工毛髪に付着している有機樹脂粒子とを含み、
 前記有機樹脂粒子は、有機樹脂及び前記有機樹脂と化学結合したアルミニウム塩を含む粉末化された微粒子である、抗菌性人工毛髪。
 前記有機樹脂は、再生コラーゲン、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つの有機樹脂である、請求項1の抗菌性人工毛髪。
 前記有機樹脂粒子は、前記アルミニウム塩で架橋されている、請求項1又は2に記載の抗菌性人工毛髪。
 前記有機樹脂粒子は、さらに有機化合物からなる架橋成分を含み、架橋成分は下記一般式(1)で表される単官能エポキシ化合物に由来する、請求項3に記載の抗菌性人工毛髪。

但し、RはR 1 -、R 2 -O-CH 2 -またはR 2 -COO-CH 2 -で表される置換基を示し、R 1 は炭素数2以上の炭化水素基またはCH 2 Clであり、R 2 は炭素数2以上の炭化水素基を示す。
 前記アルミニウム塩は、次の式で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムである、請求項1から4のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 Al(OH) n Cl 3-n 、又はAl 2 (OH) 2n (SO 4 ) 3-n
但し、nは0.5~2.5である。
 前記有機樹脂粒子の平均粒子径は0.01~10μmである、請求項1から5のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 前記有機樹脂粒子は、リン吸着能を有する、請求項1から6のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 前記抗菌性人工毛髪の繊維表面線粗さRaが0.08~0.15μmである、請求項1から7のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 前記人工毛髪の繊維が、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリメタクリレート系、アクリル系からなる群より選択される少なくとも1種の繊維からなる、請求項1から8のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 前記有機樹脂粒子は、前記人工毛髪に対して0.01~0.5重量%の範囲で付着されている、請求項1から9のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 頭髪製品に抗菌性を付与するために使用する、請求項1から10のいずれかに記載の抗菌性人工毛髪。
 人工毛髪に使用するための抗菌性コーティング剤であって、
 水性媒体に分散した有機樹脂粒子を含み、
 前記有機樹脂粒子は、有機樹脂及び前記有機樹脂と化学結合したアルミニウム塩を含む粉末化された微粒子である、人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記有機樹脂は、再生コラーゲン、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる少なくとも1つの有機樹脂である、請求項12記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記有機樹脂粒子は、前記アルミニウム塩で架橋されている、請求項12又は13に記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記有機樹脂粒子は、さらに有機化合物からなる架橋成分を含み、架橋成分は下記一般式(1)で表される単官能エポキシ化合物に由来する、請求項14記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。

但し、RはR 1 -、R 2 -O-CH 2 -またはR 2 -COO-CH 2 -で表される置換基を示し、R 1 は炭素数2以上の炭化水素基またはCH 2 Clであり、R 2 は炭素数2以上の炭化水素基を示す。
 前記アルミニウム塩は次の式で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムである、請求項12から15のいずれかに記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 Al(OH) n Cl 3-n 、又はAl 2 (OH) 2n (SO 4 ) 3-n
但し、nは0.5~2.5である。
 前記有機樹脂粒子の平均粒子径は0.01~10μmである、請求項12から16のいずれかに記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記コーティング剤にはさらにバインダー成分を含み、前記バインダー成分と有機樹脂の重量比が3:1~1:3である請求項12から17のいずれかに記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記バインダー成分と有機樹脂の合計量と、前記水性媒体との重量比が、1:3~1:10000である請求項18記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 前記バインダー成分が、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア系、ポリオキサゾリン系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリ酢酸ビニル系の各樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項18又は19に記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 人工毛髪に抗菌性を付与するために使用する、請求項12から20のいずれかに記載の人工毛髪用抗菌性コーティング剤。
 人工毛髪用抗菌性コーティング剤の製造方法であって、有機樹脂及び前記有機樹脂と化学結合したアルミニウム塩を含む粉末化された微粒子を、水性バインダーを含む水性コーティング剤と混合することを含む、人工毛髪用抗菌性コーティング剤の製造方法。
 抗菌性人工毛髪の製造方法であって、有機樹脂及び前記有機樹脂と化学結合したアルミニウム塩を含む粉末化された微粒子を、人工毛髪に付着させることを含む、抗菌性人工毛髪の製造方法。
Description:
抗菌性人工毛髪及び人工毛髪用 菌性コーティング剤

 本発明は人毛に似た毛髪として自然な光 ときしみ(ワキシー)感がなくしっとりとし 風合いを有し、抗菌性を有する人工毛髪及 これに使用するコーティング剤に関する。

 かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘア バンド、ドールヘアーなどの頭髪製品にお ては、従来、人毛や人工毛髪(モダアクリル 繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用され いる。しかし、人毛の入手が次第に困難に ってきており、それに代わって人工毛髪の 要性が高まってきている。人工毛髪素材と て、難燃性の特長を生かしてモダクリル繊 が多く使用されてきたが、耐熱温度の点で 不十分であった。近年になり、耐熱性に優 たポリエチレンテレフタレートに代表され ポリエステルを主成分とするポリエステル 繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるよ になってきた。ところが、ポリエステル系 維はそのままでは光沢が強く、また硬くて しみ(ワキシー)感のある風合いであり、人工 毛髪素材として使用するにあたっては問題で あった。このため、これら光沢や風合いを改 善する方法が提案されている。通常、繊維表 面を粗にすることが光沢の改良や風合い変化 の手段と考えられ、微粒子、例えば酸化チタ ンを添加して艶を消すことが行なわれるが、 この方法では単に艶を消すのみで発色性が悪 くなることはよく知られている。また、無機 微粒子を含有するポリエステル繊維をアルカ リエッチングして繊維表面に特定の凹凸を形 成させる技術が提案されている(特許文献1)。 この方法は該凹凸粗面により優れた濃色化効 果を付与する技術であるが、難点は光沢が減 少し、光沢のある濃色効果が得られにくいも のである。さらに、微粒子をポリマー基質中 に混合する方法が提案されているが、ポリマ ー中での粒子の凝集、ポリマー融液あるいは 溶液の粘度上昇、製造工程における微粒子自 体およびポリマーの分解、劣化、成形繊維の 物性低下等の問題がある。

 以上の問題に加えて、従来の人工毛髪は 抗菌性が低いという問題があった。抗菌性 低いと、長期間人工毛髪を着用したり、着 後保存しておく場合に細菌が発生したり増 するという問題があった。

 一方、樹脂シートなどに本法による再生コ ーゲンとは異なる再生コラーゲンや再生コ ーゲン粒子などをコーティングする方法が 案されているが(特許文献2~4)、これらの方 は皮革調の風合いを出すことを目的として り、抗菌性向上とは異なる。

特開昭55-107512号

特公昭62-34880号

特開平3-255200号

特開平9-273080号

 本発明は、前記従来の問題を改善するた 、抗菌性を有し、この特性が持続できる抗 性人工毛髪及び人工毛髪用抗菌性コーティ グ剤を提供する。

 本発明の抗菌性人工毛髪は、人工毛髪と 前記人工毛髪に付着している有機樹脂粒子 を含み、前記有機樹脂粒子が、有機樹脂及 前記有機樹脂と化学結合したアルミニウム を含む粉末化された微粒子であることを特 とする。

 本発明の人工毛髪用抗菌性コーティング は、人工毛髪に使用するためのコーティン 剤であって、前記の有機樹脂粒子を水性媒 に分散したことを特徴とする。

 本発明の抗菌性人工毛髪及び人工毛髪用 菌性コーティング剤は、アルミニウム塩を む有機樹脂粒子の存在により、抗菌性を発 し、この特性が持続できる。

 1.人工毛髪用繊維
 本発明に用いる人工毛髪の繊維としては、 成繊維を使用できる。合成繊維は、結晶性 維、非結晶性繊維を問わない。具体的には えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエ レン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポ 4-メチル-1-ペンテンなどのオレフィンの単独 重合体であるポリオレフィン、 エチレン、 ロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンな どのα-オレフィン同士のランダムあるいはブ ロック共重合体であるポリオレフィン、 エ レン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢 ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコ ル共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合 などのエチレン・ビニル化合物共重合体、 ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレ 共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン スチレン共重合体、メタクリル酸メチル・ チレン共重合体、α-メチルスチレン・スチ ン共重合体などのスチレン系化合物共重合 、 ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、 塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリ アクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル などのポリビニル化合物、 ナイロン6、ナイ ロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン 12などのポリアミド、 ポリエチレンテレフ レート、ポリブチレンテレフタレートなど 熱可塑性ポリエステル、そのほかポリカー ネート、ポリフェニレンオキサイドなどが げられる。これらの合成繊維は単独で用い れてもよく、あるいは互いに組み合わされ 用いられてもよい。また、上記したような 成樹脂は繊維になる前、溶融状態で混合さ て用いられていてもよい。

 これらのうちでは、モダアクリル、ポリ 化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロ レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテ フタレート、共重合ポリエステル(ポリエチ レンテレフタレートを主体とし、ビスフェノ ールAのエチレングリコールエーテルを共重 したポリエステル、1,4-シクロヘキサンジメ ノールを共重合したポリエステル、5-ナト ウムスルホイソフタレートを共重合したポ エステルなど)が好ましく、これらは2種以上 混合したものも好ましい。

 例えば、本発明にポリエステル系繊維を いる場合はポリエステル系組成物をドライ レンドした後、種々の一般的な混練機を用 て溶融混練することにより製造することが きる。前記混練機の例としては、例えば一 押出機、二軸押出機、ロール、バンバリー キサー、ニーダーなどが挙げられる。これ のうちでは、二軸押出機が、混練度の調整 操作の簡便性の点から好ましい。本発明の リエステル系人工毛髪は、前記ポリエステ 系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸す ことにより製造することができる。すなわ 、例えば、押出機、ギアポンプ、口金など 温度を270~310℃として溶融紡糸し、紡出糸条 を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以 下に冷却し、50~5000m/分の速度で引き取ること により紡出糸条が得られる。また、紡出糸条 を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度の コントロールを行なうことも可能である。加 熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、 冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐 出量および口金の孔数によって適宜調整する ことができる。得られた紡出糸条は熱延伸さ れるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってか ら延伸する2工程法および巻き取ることなく 続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの 法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法ま は2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延 伸における加熱手段としては、加熱ローラ、 ヒートプレート、スチームジェット装置、温 水槽などを使用することができ、これらを適 宜併用することもできる。延伸温度は、ベー スとなるポリエステルのTgより高い温度で実 するのが好ましく、50~100℃がよい。

 本発明に用いる人工毛髪は、非捲縮生糸 の繊維であることが好ましく、その繊度は 特に制限されないが、通常、10~100dtex、さら には20~90dtexであるのが、人工毛髪に適してい る。

 次に、本発明の抗菌性人工毛髪は、上述 たような人工毛髪に有機樹脂粒子を付着さ たものである。本発明の抗菌性人工毛髪は 一実施形態において、人工毛髪の紡糸工程 延伸、熱処理工程後に人工毛髪の繊維表面 有機樹脂粒子と水性コーティング剤との混 液を付着させることにより製造することが きる。前記有機樹脂粒子は、後述するとお 、有機樹脂及び前記有機樹脂と化学結合し アルミニウム塩を含む粉末化された微粒子 ある。

 2.有機樹脂粒子
 本発明において、有機樹脂粒子は、有機樹 及び前記有機樹脂と化学結合したアルミニ ム塩を含む粉末化された微粒子である(以下 、本発明の有機樹脂粒子ともいう)。有機樹 粒子に含まれる有機樹脂は、特に制限され いが、触感(しっとり感)及び風合いを向上さ せる点から、再生コラーゲン、ポリビニルア ルコール及びカルボキシメチルセルロースか ら選ばれる少なくとも1つ又はこれらの組合 を含む有機樹脂であることが好ましい。し がって、好ましい有機樹脂粒子の実施形態 して、有機樹脂として再生コラーゲンを含 有機樹脂粒子(以下、再生コラーゲン粒子と いう。)、有機樹脂としてポリビニルアルコ ールを含む有機樹脂粒子(以下、ポリビリル ルコール粒子ともいう。)、及び、有機樹脂 してカルボキシメチルセルロースを含む有 樹脂粒子(以下、カルボシキメチルセルロー ス粒子ともいう。)が挙げられる。これらの でも、再生コラーゲン粒子は、接触冷涼感 優れ、他の前記2粒子よりもより人毛に近い 感を発現する点で好ましい。なお本明細書 は粒子を粉末ともいう。有機樹脂粒子にお て、有機樹脂は1種類のみでもよく、あるい は2種類以上を含んでもよい。また、有機樹 粒子が有機樹脂を2種類以上含む場合、有機 脂粒子に含まれる再生コラーゲン、ポリビ ルアルコール、カルボキシメチルセルロー 又はこれらの組合せの含有量は、本発明の 菌性人工毛髪における抗菌性及び人工毛髪 しての品質の点から、有機樹脂粒子に含ま る有機樹脂の総重量に対して50重量%以上が ましく、75重量%以上がより好ましく、95重 %以上がさらに好ましく、99重量%以上がさら より好ましい。本発明の有機樹脂粒子は、 菌性を発揮しうる。本発明の有機樹脂粒子 抗菌性を発揮しうるメカニズムの詳細は明 かではないが、有機樹脂と化学結合したア ミニウム塩を含むため、リン吸着能が高い とに起因して、細菌の養分であるリンを奪 取り、その結果、抗菌性を発揮しうると推 される。但し本発明はこのメカニズムに限 されない。なお、本発明において「抗菌性 とは、好ましくは、本発明の抗菌性人工毛 及び本発明の人工毛髪用抗菌性コーティン 剤が本発明の有機樹脂粒子を含むことをい 、より好ましくは有機樹脂粒子と接触した 生物の生育を抑制できることをいい、さら 好ましくは、有機樹脂粒子と接触した微生 を死滅できることをいう。

 (1)再生コラーゲン粒子
 本発明の有機樹脂粒子の一実施形態として 生コラーゲン粒子を以下に説明する。本発 は、牛、豚、馬、鹿、兎、鳥、魚などの動 の皮膚、骨、腱などから可溶化コラーゲン 液を製造し、架橋処理することにより、従 のコラーゲン粉末が有していた品質問題を 決しうる新規なコラーゲン粉末を提供しう ものである。さらに、可溶化コラーゲン水 液を紡糸し、再生コラーゲン繊維とするこ により、コラーゲンの徹底的な精製と、紡 による繊維化工程において緻密な架橋を行 ことにより、全く新規なコラーゲン粉末を 供する。

 上記再生コラーゲンの製造方法としては 例えば特開2002-249982号公報に開示されてい ように、原料は床皮の部分を用いるのが好 しい。床皮は、例えば牛、豚、馬、鹿、兎 鳥、魚等の動物から得られるフレッシュな 皮や塩漬けした生皮より得られる。これら 皮は、大部分が不溶性コラーゲン繊維から り、通常網状に付着している肉質部分を除 し、腐敗・変質防止のために用いた塩分を 去したのちに用いられる。また、前記動物 骨、腱など他の材料も同様に用いることが きる。

 この不溶性コラーゲン繊維には、グリセ イド、リン脂質、遊離脂肪酸等の脂質、糖 ンパク質、アルブミン等のコラーゲン以外 タンパク質等、不純物が存在している。こ らの不純物は、粉末化するにあたって光沢 強度等の品質、臭気等に多大な影響を及ぼ 。したがって、例えば石灰漬けにして不溶 コラーゲン繊維中の脂肪分を加水分解し、 ラーゲン繊維を解きほぐした後、酸・アル リ処理、酵素処理、溶剤処理等のような一 に行われている皮革処理を施し、予めこれ の不純物を除去しておくことが好ましい。

 前記のような処理の施された不溶性コラ ゲンは、架橋しているペプチド部を切断す ために、可溶化処理が施される。前記可溶 処理の方法としては、一般に採用されてい 公知のアルカリ可溶化法や酵素可溶化法等 適用することができる。前記アルカリ可溶 法を適用する場合には、例えば塩酸等の酸 中和することが好ましい。なお、従来から られているアルカリ可溶化法の改善された 法として、特公昭46-15033号公報に記載され 方法を用いても良い。

 前記酵素可溶化法は、分子量が均一な再 コラーゲンを得ることができるという利点 有するものであり、本発明において好適に 用しうる方法である。かかる酵素可溶化法 しては、例えば特公昭43-25829号公報や特公 43-27513号公報等に記載された方法を採用する ことができる。さらに、前記アルカリ可溶化 法及び酵素可溶化法を併用しても良い。

 このように可溶化処理を施したコラーゲ にpHの調整、塩析、水洗や溶剤処理等の操 をさらに施した場合には、品質等の優れた 生コラーゲンを得ることが可能なため、こ らの処理を施すことが好ましい。得られた 溶化コラーゲンは、例えば1~15重量%、好まし くは2~10重量%程度の所定濃度の原液になるよ に塩酸、酢酸、乳酸等の酸でpH2~4.5に調整し た酸性溶液を用いて溶解される。なお、得ら れたコラーゲン水溶液には必要に応じて減圧 攪拌下で脱泡を施し、水不溶分である細かい ゴミを除去するために濾過を行ってもよい。 得られる可溶化コラーゲン水溶液には、さら に必要に応じて例えば機械的強度の向上、耐 水・耐熱性の向上、光沢性の改良、紡糸性の 改良、着色の防止、防腐等を目的として安定 剤、水溶性高分子化合物等の添加剤が適量配 合されてもよい。

 可溶化コラーゲン水溶液を、例えば紡糸 ズルやスリットを通して無機塩水溶液に吐 することにより再生コラーゲンが形成され 。無機塩水溶液としては、例えば硫酸ナト ウム、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム の水溶性無機塩の水溶液が用いられる。通 これらの無機塩の濃度は10~40重量%に調整さ る。無機塩水溶液のpHは、例えばホウ酸ナ リウムや酢酸ナトリウム等の金属塩や塩酸 ホウ酸、酢酸、水酸化ナトリウム等を配合 ることにより、通常pH2~13、好ましくはpH4~12 なるように調整することが好ましい。pHが前 記の範囲であれば、コラーゲンのペプチド結 合が加水分解を受け難く、目的とするコラー ゲン粉末が得られる。また、無機塩水溶液の 温度は特に限定されないが、通常35℃以下で ることが望ましい。温度が35℃以下であれ 、可溶性コラーゲンが変性を起こさず、強 を高く維持でき、安定した製造ができる。 お、温度の下限は特に限定されないが、通 無機塩の溶解度に応じて適宜調整すること できる。

 前記コラーゲンの耐水性を向上させるため 、前記コラーゲン中に含まれる遊離アミノ を、β-位又はγ-位に水酸基又はアルコキシ を有する有機基で修飾する。β-位又はγ-位 水酸基又はアルコキシ基を有する有機基は β―位又はγ―位に水酸基又はアルコキシ基 を有する炭素数主鎖が2~20のアルキル基が好 しい。前記炭素数主鎖とは、アミノ基に結 したアルキル基の連続した炭素鎖を示すも であり、他の原子を介在して存在する炭素 は考慮しないものとする。遊離アミノ基を 飾する反応としては、通常知られているア ノ基のアルキル化反応を用いることができ 。反応性、反応後の処理の容易さ等から、 記β-位に水酸基又はアルコキシ基を有する 機基は、下記一般式(2)で表わされる化合物 あることが好ましい。
―CH 2 ―CH(OX)―R (2)
一般式(2)において、Rは、R 1 -、R 2 -O-CH 2 -、R 2 -CO-CH 2 -又はR 2 -COO-CH 2 -で表される置換基を示し、前記置換基中のR 1 は炭素数2以上の炭化水素基又はCH 2 Clであり、R 2 は炭素数2以上又は4以上の炭化水素基を示し Xは水素又は炭化水素基を示す。R 1 は、直鎖又は分枝鎖を含む炭素数2以上のア キル基が好ましい。R 1 の炭素数は、2~20が好ましく、より好ましく 2~15である。R 2 は、直鎖又は分枝鎖を含む炭素数2以上又は4 上のアルキル基が好ましい。R 2 の炭素数は、2~20又は4~20が好ましく、2~15又は 4~15がより好ましい。一般式(2)の好ましい例 しては、3-ヒドロキシブチル基、1-クロル―2 ―ヒドロキシプロピル基、1-プロピオニル-2- ドロキシプロピル基等が挙げられる。加え 、グリシジル基がコラーゲン中の遊離アミ 基に付加した構造や、グリシジル基がコラ ゲン中の遊離アミノ基に付加した結果、一 式(2)の構造となる場合が挙げられる。さら は、前述の好ましい基に記載された有機基 好ましくはアルキル基に含まれる水酸基を 始点として、用いたエポキシ化合物が開環 加、及び又は開環重合した構造が挙げられ 。このときの付加及び又は重合の末端構造 して、前述のアルキル基の構造を有してい ものが挙げられる。

 前記再生コラーゲンの遊離アミノ基を構 するアミノ酸としては、リジン及びヒドロ シリジンが挙げられる。さらに、本来コラ ゲンを構成するアミノ酸としてはアルギニ で存在するものの、前記再生コラーゲンを るために、アルカリ条件下で加水分解を行 際に、一部加水分解が進行して生じたオル チンのアミノ基もアルキル化反応される。 えて、ヒスチジンに含まれる2級アミンによ っても反応が進行する。

 遊離アミノ基の修飾率は、アミノ酸分析 より測定することが可能であり、アルキル 反応前の再生コラーゲン繊維のアミノ酸分 値、又は原料として用いたコラーゲンを構 する遊離アミノ酸の既知組成を基準に算出 れる。尚、本発明におけるアミノ基の修飾 は、β―位又はγ―位に水酸基又はアルコキ シ基を有する有機基で修飾された構造、好ま しくはβ―位又はγ―位に水酸基又はアルコ シ基を有する炭素数2以上のアルキル基で修 された構造が、遊離アミノ基の50%以上であ ば良く、その他の部分は遊離アミノ基のま でもよいし他の置換基で修飾された構造で っても良い。再生コラーゲンの遊離アミノ の修飾率は50%以上である必要があり、より ましくは、65%以上、更に好ましくは80%以上 ある。反応率が低い場合、耐熱性で良好な 性が得られない。

 ここで、遊離アミノ基の修飾においては 通常、遊離アミノ基1つあたり1分子のアル ル化反応剤が反応する。もちろん2分子以上 応していてもよい。さらに、遊離アミノ基 結合したアルキル基のβ―位又はγ―位に存 在する水酸基又はアルコキシ基又はその他の 官能基を介して、分子内又は分子間での架橋 反応が存在していても良い。アルキル化反応 の具体例としては、エポキシ化合物の付加反 応、α―位又はβ―位に水酸基又はこの誘導 を有するアルデヒド化合物の付加反応とこ に続く還元反応、β―位又はγ―位に水酸基 はアルコキシ基を有する炭素数2以上のハロ ゲン化物、アルコール及びアミン等の置換反 応が挙げられるが、これに限定されるもので はない。

 本発明において、アルキル化反応剤とし 使用しうる有機化合物としては、アルデヒ 類、エポキシ類、フェノール誘導体等が挙 られる。この中では反応性・処理条件の容 さからエポキシ化合物による修飾反応が、 れた特性を示すことから好ましい。特に単 能エポキシ化合物が好ましい。

 ここで用いられる単官能エポキシ化合物 具体例としては、例えば、酸化エチレン、 化プロピレン、酸化ブチレン、酸化イソブ レン、酸化オクテン、酸化スチレン、酸化 チルスチレン、エピクロロヒドリン、エピ ロモヒドリン、グリシドール等のオレフィ 酸化物類、グリシジルメチルエーテル、ブ ルグリシジルエーテル、オクチルグリシジ エーテル、ノニルグリシジルエーテル、ウ デシルグリシジルエーテル、トリデシルグ シジルエーテル、ペンタデシルグリシジル ーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエー ル、アリルグリシジルエーテル、フェニル リシジルエーテル、クレジルグリシジルエ テル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル 、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ベ ンジルグリシジルエーテル、ポリエチレンオ キシドグリシジルエーテル等のグリシジルエ ーテル類、蟻酸グリシジル、酢酸グリシジル 、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリ シジル、安息香酸グリシジル等のグリシジル エステル類、グリシジルアミド類等が挙げら れるが、かかる例示のみに限定されるもので はない。

 単官能エポキシ化合物のなかでも、再生 ラーゲンの吸水率が低下するため、下記一 式(1)で表される単官能エポキシ化合物を用 て処理することが好ましい。したがって、 機樹脂粒子は、好ましくは、下記一般式(1) 単官能エポキシ化合物に由来する架橋成分 含む。

但し、RはR 1 -、R 2 -O-CH 2 -、R 2 -CO-CH 2 -又はR 2 -COO-CH 2 -で表される置換基を示し、R 1 は炭素数2以上の炭化水素基またはCH 2 Clであり、R 2 は炭素数2以上の炭化水素基を示し、好まし は炭素数4以上の炭化水素基を示す。R 1 は、直鎖又は分枝鎖を含む炭素数2以上のア キル基が好ましい。R 1 の炭素数は、2~20が好ましく、より好ましく 2~15である。R 2 は、直鎖又は分枝鎖を含む炭素数2以上又は4 上のアルキル基が好ましい。R 2 の炭素数は、2~20又は4~20が好ましく、2~15又は 4~15がより好ましい。

 このようにして得られた再生コラーゲン 、水又は無機塩の水溶液で膨潤した状態に っている。この膨潤体は再生コラーゲンの 量に対して4~15倍の水又は無機塩の水溶液を 含有した状態が良い。水又は無機塩の水溶液 の含有量が4倍以上では再生コラーゲン中の ルミニウム塩含有量が多いため、耐水性が 分となる。また15倍以下であれば、強度が低 下せず、取扱い性は良好である。

 膨潤した再生コラーゲンを、次いでアルミ ウム塩の水溶液に浸漬する。このアルミニ ム塩水溶液のアルミニウム塩としては、次 式、Al(OH) n Cl 3-n 、又はAl 2 (OH) 2n (SO 4 ) 3-n (式中、nは0.5~2.5である)で表される塩基性塩 アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウム 好ましい。具体的には、例えば硫酸アルミ ウム、塩化アルミニウム、ミョウバン等が いられる。これらのアルミニウムは単独で は2種以上混合して用いることができる。こ アルミニウム塩水溶液のアルミニウム塩濃 としては、酸化アルミニウムに換算して0.3~ 5重量%であることが好ましい。アルミニウム の濃度が0.3重量%以上であれば、再生コラー ゲン繊維中のアルミニウム塩含有量が高く、 耐水性が充分となる。また5重量%以下であれ 、処理後もそれほど硬くなく、取り扱い性 良好である。

 このアルミニウム塩水溶液のpHは、例え 塩酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭 ナトリウム等を用いて通常2.5~5に調整する。 このpHは、2.5以上であればコラーゲンの構造 良好に維持できる。pHが5以下であれば、ア ミニウム塩の沈殿も生じず、均一に浸透し くなる。このpHは、最初は2.2~3.5に調整して 分にアルミニウム塩水溶液を再生コラーゲ 内に浸透させ、その後に、例えば水酸化ナ リウム、炭酸ナトリウム等を添加して3.5~5 調整して処理を完結させることが好ましい 塩基性の高いアルミニウム塩を用いる場合 は、2.5~5の最初のpH調整だけでもかまわない また、このアルミニウム塩水溶液の液温は に限定されないが、50℃以下が好ましい。 の液温が50℃以下であれば、再生コラーゲン の変性や変質は起きにくい。

 このアルミニウム塩水溶液に再生コラー ンを浸漬する時間は、3時間以上、好ましく は6~25時間とする。この浸漬時間は、3時間以 であればアルミニウム塩の反応が進み、再 コラーゲンの耐水性が充分となる。また、 漬時間の上限には特に制限はないが、25時 以内でアルミニウム塩の反応は充分に進行 、耐水性も良好となる。なお、アルミニウ 塩が再生コラーゲン中に急激に吸収されて 度むらを生じないようにするため、塩化ナ リウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等 無機塩を適宜前記アルミニウム塩の水溶液 添加しても良い。

 このようにアルミニウム塩で処理された 橋された再生コラーゲンは、次いで水洗、 イリング、乾燥を行う。こうして得られた 生コラーゲン繊維は、従来法のクロム塩で 理されたような着色がほとんどなく、かつ 耐水性に優れたものとなる。一般にコラー ンの変性(ゼラチン化)を防ぐため、加工時 温度履歴には注意が必要である。架橋後に いても変性を防ぐためには、製造時、粉末 加工時・製品保管時の水分と温度の管理を 生コラーゲンの変性条件以下に保持するこ が必要である。大部分がゼラチン化したも は特性が変化しているため、目的であるコ ーゲンの特性を発現することは困難である 変性防止の点において前記の再生コラーゲ を使用することは有利である。

 また、コラーゲン溶液から紡糸する場合 は、溶液中又は紡出直前に顔料や染料を混 して着色することも公知の方法により容易 ある。使用する顔料や染料は用途に応じて 紡糸工程や粉末化工程での溶出分離が無い と、また使用製品の要求品質に対応して種 や色相を選択することができる。また必要 応じて、充填剤、老化防止剤、難燃剤、酸 防止剤等を添加することもできる。このよ なコラーゲン繊維製造工程に代えて、スリ トノズルを用いてフィルムを同様の方法で 造して、これを粉末化することもできる。

 本発明においては、上記の方法により得 れた再生コラーゲンを、粉砕することで架 された再生コラーゲンからなるコラーゲン 末(再生コラーゲン粉末)とすることができ 。再生コラーゲンが繊維あるいはフィルム 場合には、粉砕に適した繊維長もしくはサ ズに切断するか、この切断したものをさら 粉砕するか、もしくは、繊維やフィルムを 接粉砕することにより再生コラーゲン粉末 することができる。再生コラーゲン粉末の 造に使用できるカッターは特に制限は無い 例えば、繊維のカットに通常使われる回転 カッター、ベルトカッター、シャーリング シン、カッターミル等で0.1mm~数mm程度に切断 する。さらに、このカット綿を、ローラーミ ル、ロッドミル、ボールミル(乾式、湿式)、 ェットミル、ピンミル、振動ミル、セント フューガル(CF)ミル、遊星型ボールミル、グ ラインダーミル等せん断型ミル等の粉砕機を 用いて微粉砕、また媒体攪拌型超微粉砕機等 を用い超微粉砕する。ジルコニア製ボール等 の硬質のボールを使用することで粉末へのボ ール素材の混入を防ぐ点及び粉砕効率の点か ら好ましく使用することができる。アルミナ 製ボール等他の素材のボールを用いることも できる。その他の粉砕方法として、冷凍粉砕 も使用できる。このようにして得られた再生 コラーゲン粉末の平均粒子径は0.01~80μmであ ことが好ましい。

 また、再生コラーゲン粉末の金属単体と て換算したアルミニウムの含量は、0.1~70重 %の範囲が好ましい。さらに好ましい範囲は 0.2~50重量%であり、特に好ましくは、1~40重量% の範囲である。

 本発明に用いられる再生コラーゲン粉末 、平均粒子径0.01~10μmであることが好ましい 。そのような再生コラーゲン粉末は、例えば 、微粉砕又は粉砕後分級することで得られる 。また、感触の観点から、平均粒子径は0.1~10 μmが好ましく、1~8μmがより好ましい。平均粒 径が、上記範囲よりも大きいと、コーティン グ剤を塗布した後の人工毛髪がザラザラ感の ある感触となり、好ましくない。

 上記粉砕機の種類や粉砕時間によって得 れる再生コラーゲン粉末の粒子径を適宜調 することも可能である。例えば振動ミルを 用した場合、1時間~数十時間で、平均粒子 として5~80μm程度のものが得られるが、0.01~5 mの平均粒子径のものを得る場合には破砕し 再生コラーゲン粉末を分級することで得ら る。分級は風ひ分級でも良いし、水中で分 してもよい。

 前記分級後の粉末の平均粒子径は10μm以 、かつ粒子の95重量%が粒径50μm以下とするの が好ましい。さらに好ましくは、平均粒子径 5μm以下、かつ粒子の95重量%が粒径20μm以下と なるようにする。前記範囲であれば、塗装物 の触感はさらっと感を発揮でき、吸放湿性も 好適である。

 本発明のコラーゲン粉末は、白色度に優 る。本発明のコラーゲン粉末は、コラーゲ 繊維の製造段階で、充分に精製され、不純 が取り除かれているため、白色度が高く、 色味も少ない。

 前記粒子分布及び平均粒子径は市販の粒 分布計で測定できる。例えば、レーザー回 /動的光散乱法(装置名:大塚電子社製“ELS-800 ”、日機装株式会社製“MT3300”)などを用い 測定できる。分散媒としては例えばメタノ ルを用いる。また、粒子屈折率はコラーゲ の屈折率である1.44を用いる。

 本発明の再生コラーゲン粉末は、リン吸 能を有する。したがって、本発明はその他 態様において、前記再生コラーゲン粉末を むリン吸着剤、又は、前記再生コラーゲン 末が担持体に担持されたリン吸着体に関す 。吸着する対象であるリンは、リン元素を むもの、又はリン化合物であれば特に限定 れない。例えば、リン酸構造体を吸着する とができる。ここで、リン酸構造体とは、 ン酸、リン酸塩、リン酸エステルなどのリ 酸骨格を有する物質をいう。リン元素は、 然界では一般にリン酸構造体の形で存在す 場合が多く、本発明のリン吸着剤がリンを 着する好ましい方法としては、単にリンを む水溶液とリン吸着剤である再生コラーゲ 粉末、あるいは担持体との混合物であるリ 吸着体とを混ぜ合わせるだけでよい。より 率的な吸着をするにはリン吸着剤あるいは 吸着体をできるだけ溶液中に均一に分散さ ることが望ましい。なお、上述したとおり 本発明の再生コラーゲン粉末、リン吸着剤 リン吸着体は、抗菌性を発揮し得る。

 (2)カルボキシメチルセルロース粒子及びポ ビニルアルコール粒子
 本発明においては、有機樹脂粉末の有機樹 としてカルボキシメチルセルロース及びポ ビニルアルコールも使用できる。カルボキ メチルセルロース及びポリビニルアルコー も、架橋前は水に可溶なマトリックス樹脂 ル成分であり、アルミニウム塩を接触させ ことにより架橋され、アルミニウム塩が樹 のゲル成分に化学的に結合させ、水不溶化 脂にすることができる。すなわち、カルボ シメチルセルロースは-COOH基と-OH基を有す ことから、アルミニウム塩で架橋できる。 た、ポリビニルアルコールは-OH基を有する とから、アルミニウム塩で架橋できる。ポ ビニルアルコールとして、-COOH基を導入した ものを用いてもよい。-COOH基の導入量は、例 ば0.1~5モル%程度とすることができる。

 カルボキシメチルセルロースとしては、 えばシグマ(SIGMA)社製“カルボキシメチルセ ルロースナトリウム塩”がある。ポリビニル アルコールとしては、例えば日本酢ビ・ポバ ール社製“アニオン変性PVA(Aシリーズ)”グレ ード:AF17がある。

 本発明の有機樹脂粒子の平均一次粒子径 0.01μm~10μmであることが好ましく、より好ま しくは0.03μm~5μmであり、さらに好ましくは0.0 5μm~3μm、よりさらに好ましくは0.07μm~2μmの範 囲である。該平均一次粒子径が0.01μm~10μmの 囲にあれば、コーティング剤中での分散性 繊維表面への付着性、耐久性、適度な表面 射性のバランスがとれ、0.03μm~5μmであれば られるファイバーの滑り触感が良好となり 0.07μm~2μmであれば得られるファイバーの滑 触感がさらに良好で櫛通りも優れるために ましい。

 3.人工毛髪用抗菌性コーティング剤
 本発明の人工毛髪用抗菌性コーティング剤 、人工毛髪に使用するための抗菌性コーテ ング剤であって、水性媒体に分散した有機 脂粒子を含み、前記有機樹脂粒子は、有機 脂及び前記有機樹脂と化学結合したアルミ ウム塩を含む粉末化された微粒子である。 なわち、人工毛髪用抗菌性コーティング剤 おける有機樹脂粒子は、上述した有機樹脂 子を使用でき、有機樹脂及び平均粒径等を む有機樹脂粒子の好ましい実施形態も上述 とおりである。本発明の人工毛髪用抗菌性 ーティング剤は、例えばマグネティックス ーラーなどにより攪拌しながら水性コーテ ング剤液中に20重量%有機樹脂粒子水分散液 少しずつ添加し、調整して混合液とするこ で調製できる。水性コーティング剤として 、水分散エマルジヨンのものが使用しやす 、有機樹脂粒子と混合時に互いに凝集しな 組み合わせのものであればよい。例えば、 性コーティング剤としては一般的にカチオ 系のものは有機樹脂粒子と凝集しやすいの 、アニオン系またはノニオン系のものが好 しい。また、本発明で用いる水性コーティ グ剤は、基材である有機樹脂粒子を繊維表 に接着するために添加する物であり、ポリ レタン系、ポリアミド系、ポリウレア系、 リオキサゾリン系、ポリエステル系、ポリ クリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニル ルコール系、ポリ酢酸ビニル系など水性バ ンダーであれば種類は問わないが、このよ なバインダーを加えるのが好ましい。着色 どが無い点からポリエステル系、ポリアク ル系、ポリビニルアルコール系が特に好ま い。したがって、本発明のその他の態様は 人工毛髪用抗菌性コーティング剤の製造方 であって、本発明の有機樹脂粒子を、上述 水性バインダーを含む水性コーティング剤 混合することを含む製造方法に関し、この 造方法によれば、本発明の人工毛髪用抗菌 コーティング剤を製造できる。なお、水性 インダー、水性コーティング剤、及び有機 脂粒子の含有量及び/又は混合割合としては 、後述を参照できる。本発明の人工毛髪用抗 菌性コーティング剤は、本発明の有機樹脂粒 子を製造する工程を含んでもよい。本発明の 有機樹脂粒子は、例えば、上述のように製造 できる。

 前記バインダー成分及び有機樹脂粒子の 計量と、前記水性媒体との重量比が、1:3~1:1 0000であることが好ましい。この範囲であれ 、バインダーによる触感の低下は防げ、粒 の繊維への接着性にも問題はない。さらに 性コーティング剤と有機樹脂粒子との固形 重量比が3:1~1:3が好ましく、1:1~1:2であること が更に好ましい。水性コーティング剤と有機 樹脂粒子との固形分重量比が3:1~1:3の範囲で れば、触感と脱落抑制の点から好ましい。 発明の人工毛髪用抗菌性コーティング剤は アルミニウム塩を含む有機樹脂粒子を含む め、人工毛髪に使用すれば、好ましくは、 工毛髪に抗菌性を付与できる。

 4.抗菌性人工毛髪
 本発明の抗菌性人工毛髪は、人工毛髪と、 の人工毛髪に付着している有機樹脂粒子と 含む。なお、前記人工毛髪及び前記有機樹 粒子は、上述のとおりである。人工毛髪の 維表面に付着される有機樹脂粒子は人工毛 繊維重量に対して0.01~0.5重量%が好ましく、 らに好ましくは0.05~0.2重量%である。付着量 0.01重量%~0.5重量%の範囲にあれば、微粒子付 着による改良の効果、耐久性、光沢や風合い 、櫛通り性などのバランスがとれ、0.05~0.2重 %であればファイバーの滑り触感が良好とな るために好ましい。本発明の抗菌性人工毛髪 は、一実施形態において、本発明の人工毛髪 用抗菌性コーティング剤を人工毛髪に使用す ることで製造され得る。すなわち、本発明の 人工毛髪用抗菌性コーティング剤を人工毛髪 に付着させることで、有機樹脂粒子を人工毛 髪に付着させる。人工毛髪繊維表面に付着さ れる水性コーティング剤は繊維重量に対して 0.01ないし1.0重量%であり、好ましくは0.05ない し0.5重量%である。付着量が0.01重量%以上であ れば有機樹脂粒子の付着に耐久性を付与でき るため好ましく、また1.0重量%以下であれば 機樹脂粒子による風合い改善効果、分繊性 良好であるため好ましい。なお、本願にお て、人工毛髪に対するコーティング剤や有 樹脂粒子などの付着量(重量%)を、% on mass o f fiber(%o.m.f.)ともいう。

 本発明において、有機樹脂粒子と水性コ ティング剤との混合液(本発明の人工毛髪用 抗菌性コーティング剤を含む。)を用いて人 毛髪の繊維表面に付着させる方法は特に制 はないが、タッチロール方式、スプレー方 、ディッピング方式等の通常用いられる加 方法が採用でき、繊維に付与した後マング などで適宜の付着量に調整するなどした後 乾熱あるいは湿熱処理することによって繊 表面に付着される。なかでもディッピング 式が、人工毛髪の繊維表面全体を覆う事が きる点で好ましい。したがって、本発明の の他の態様は、抗菌性人工毛髪の製造方法 あって、本発明の有機樹脂粒子を人工毛髪 付着させることを含む製造方法に関する。 工毛髪への有機樹脂粒子の付着は、本発明 人工毛髪用抗菌性コーティング剤を人工毛 に接触させることにより行ってもよく、接 方式としては上述のような従来の方式であ てよい。本発明の抗菌性人工毛髪の製造方 は、人工毛髪用抗菌性コーティング剤を人 毛髪に接触させたのちに、後述するように 面処理を行なってもよい。

 この様に本発明の人工毛髪及びその製造 法によれば、付着される有機樹脂粒子の作 により、人工毛髪の繊維表面は親水性を示 、人毛に似たしっとりとした風合いとなり また、繊維表面において適度の屈折率が低 し、人毛に似た自然な光沢が得られる。

 本発明の抗菌性人工毛髪の繊維表面線粗 としては、人毛に似た自然な表面光沢と櫛 り性の良さとをバランスさせるためには、 術平均粗さ(Ra)は0.08~0.15μmの範囲が滑り触感 、櫛通り性と光沢とをバランスできる点で好 ましく、0.10~0.12μmであることが滑り触感と櫛 通り性をさらに良好にできる点で好ましい。

 また、本発明の人工毛髪がポリエステル 繊維である場合は、有機樹脂粒子は一般的 シリカなどの艶消しに用いられる粒子に比 親水性が高いことから水性コーティング剤 の分散性が良好であり凝集しにくく光沢を ントロールすることが可能になる点から好 しい。

 本発明において表面処理とは、有機樹脂 子を含有する水性コーティング剤溶液を繊 表面に塗布し、80℃~150℃の熱風で30秒~30分 燥させる事である。

 本発明においては、有機樹脂粒子と水性 ーティング剤との混合液(本発明の人工毛髪 用抗菌性コーティング剤を含む。)を用いて 維表面に付着させる。コーティング剤が水 であることおよび有機樹脂粒子が水への分 性が良好であるため、分散が容易であり、 集しにくいので均一な膜厚ができるからで る。これにより表面屈折率が低下して人毛 似た毛髪に適した光沢となり、また繊維表 が親水性となりしっとり感が出る。

 本発明において付着とは、有機樹脂粒子 水性コーティング剤を用いてコーミングし も剥離しない程度に人工毛髪の繊維表面に 定させることである。

 本発明において、水性コーティング剤に 香料、静電防止剤等を含んでも良い。また 通り性を良好に保つため、シリコーンオイ 、アルキレングリコール、椿オイルなどを んでも良い。粘度はさらさらの液体からク ーム状のものであっても良い。

 本発明の抗菌性人工毛髪は、好ましくは 抗菌性を発揮し得る。また、本発明の抗菌 人工毛髪は、好ましくは、人毛に似た光沢 触感風合いを有し得る。さらにまた、本発 の人工毛髪用抗菌性コーティング剤であれ 、本発明の抗菌性人工毛髪を製造できる。

 以下、具体的実施例を用いて本発明を説明 るが、本発明はこれらの実施例に限定され ものではない。下記の実施例において、単 「%」と表示しているのは、「wt%」を意味す る。
(1)再生コラーゲン粉末の作製
 牛の床皮を原料とし、アルカリで可溶化し 皮片1200kg(コラーゲン分180kg)に30重量%に希釈 した過酸化水素水溶液30gを投入後、乳酸水溶 液で溶解し、pH3.5、固形分7.5重量%に調整した 原液を作製した。原液を減圧下で撹拌脱泡機 ((株)ダルトン製、8DMV型)により撹拌脱泡処理 、ピストン式紡糸原液タンクに移送し、さ に減圧下で静置し、脱泡を行った。かかる 液をピストンで押し出した後、ギアポンプ 定量送液し、孔径10μmの焼結フィルターで 過後、孔径0.275mm、孔長0.5mm、孔数300の紡糸 ズルを通し、硫酸ナトリウム20重量%を含有 てなる25℃の凝固浴(ホウ酸及び水酸化ナト ウムでpH11に調整)へ紡出速度5m/分で吐出した 。

 次に、得られた再生コラーゲン繊維(300本 、20m)を、エピクロロヒドリン1.7重量%、水酸 ナトリウム0.0246重量%、及び硫酸ナトリウム 17重量%を含有した水溶液1.32kgに25℃で4時間浸 漬した後、さらに反応液温度を43℃に昇温し 2時間含浸した。

 反応終了後に反応液を除去後、流動型装 にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水洗 行った。この後、硫酸アルミニウム5重量% クエン酸三ナトリウム塩0.9重量%、水酸化ナ リウム1.2重量%を含有した水溶液1.32kgに30℃ 含浸し、反応開始から2時間後、3時間後及 4時間にそれぞれ5重量%水酸化ナトリウム水 液13.2gを反応液に添加し、合計6時間反応さ た。反応終了後に反応液を除去後、流動型 置にて1.32kgの25℃の水を用いて3回バッチ水 を行った。

 ついで、作製した繊維の一部をアミノ変 シリコーンのエマルジョン及びプルロニッ 型ポリエーテル系静電防止剤からなる油剤 満たした浴槽に浸漬して油剤を付着させた 50℃に設定した熱風対流式乾燥機内部で繊 束の一方の端を固定し、他方の端に繊維1本 対して2.8gの重りを吊り下げ2時間緊張下で 燥させ、60dtexの再生コラーゲン繊維を得た

 得られた再生コラーゲン繊維を物理的に粉 した。すなわち、まず再生コラーゲン繊維2 kgをカッターミルSF-8(三力製作所製)にて1mm前 の長さに細断し、同社製サイクロンCYC-600型 にて回収した。次に、振動ミル(株式会社ト ケン製)を用い粉砕を行った。粉砕条件とし は、容量4Lのアルミナ製容器に同じアルミ 製のボール(径19mm)を充填容量80%、細断した ラーゲン繊維を充填容量として40%(500g)で入 、4~12時間粉砕処理を実施した。その結果、4 時間の粉砕では平均粒子径33μm、15時間の粉 では平均粒子径10μmの粉末を得ることができ た。この平均粒子径10μmの粉末を風ひ分級し 下記のA~Eの平均粒子径の粉末を得た。
有機樹脂粒子A:再生コラーゲン粒子、粒子径1 .0μm
有機樹脂粒子B:再生コラーゲン粒子、粒子径0 .05μm
有機樹脂粒子C:再生コラーゲン粒子、粒子径3 .0μm
有機樹脂粒子D:再生コラーゲン粒子、粒子径0 .005μm
有機樹脂粒子E:再生コラーゲン粒子、粒子径1 1μm
(2)ポリビニルアルコール(PVC)粉末
 不溶化PVA粉末を次のように製造した。アニ ン変性ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポ バール社製商品名“AF-17”)の10%(W/V)水溶液を 製、同液をアルミニウム架橋用の硫酸アル ニウム液に滴下することで不溶体を形成さ た。同不溶体を回収し、乾燥後、乳鉢にて 砕、微粒子を得た。この微粒子を分級して2 0μm以上の粒子をカットし、平均粒子径は11μm の微粉末を得た。この微粉末を風ひ分級し、 下記のFの平均粒子径の粉末を得た。
有機樹脂粒子F:ポリビニルアルコール粒子、 子径1.0μm
(3)不溶化カルボキシメチルセルロース(CMC)粉
 カルボキシメチルセルロースナトリウム塩( CMC;シグマ社製)の1wt%水溶液を作製、同液をア ルミニウム架橋用の硫酸アルミニウム液に滴 下することで不溶体を形成させた。同不溶体 を回収し、乾燥後、乳鉢にて粉砕し、微粒子 を得た。この微粒子を風ひ分級して下記のF 平均粒子径の粉末を得た。
有機樹脂粒子G:カルボキシメチルセルロース 子、粒子径1.0μm
(4)その他の成分
ポリエステル系樹脂:ポリエチレンテレフタ ート、三菱化学(株)製、BK-2180、IV=0.83
臭素系難燃剤:臭素化エポキシ系難燃剤、阪 薬品工業(株)製、SR-T20000
難燃助剤:アンチモン酸ナトリウム、日本精 (株)製、SA-A、(数平均粒子径2.0μm)
水性コーティング剤A:TKセット413、ポリエス ル系バインダー;高松油脂(株)製
水性コーティング剤B:ハイレジンR-4514E、アク リル系バインダー;高松油脂(株)製
シリカ:UNIMIN社製、イムシルA-8(数平均粒子径2 ~3μm)
(5)測定方法
 特性値の測定法は、以下のとおりである。 定は特に断りのない限り、温度25℃、相対 度60%RHの条件で行った。
(繊維表面線粗さ)
 本発明において、繊維表面に存在する突起 大きさは、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK- 9500)により算術平均粗さ(Ra)を求めたものであ る。繊維側面を3000倍(対物レンズ150倍×内蔵 ンズ20倍)の倍率で、繊維軸と平行に10本測定 し、得られた画像をJIS B0601-1994の表面粗さの 定義に準じた計算式に基づき算出した。
(くし通り)
 長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメント の最上部を片手に持って垂直に垂らし、くし (NEW DELRIN COMB No.826)を0.3m/sの速さでトウフィ ラメントの上部3cmの所から下へ、完全に30回 過させた後に、31回目~40回目までの10回のく し通りを評価し、くしの通り易さの指標とし た。
A:ほとんど抵抗ない(軽い)
B:若干抵抗がある(重い)
C:かなり抵抗がある、または、完全に通過さ ることが出来ず途中で引っかかる
(繊維の光沢)
 長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメント の最上部をウィッグマネキンの頭頂部にピン で固定し、太陽光のもと、目視により、以下 の基準で評価した。
A:人毛に近い光沢レベル。
B:人毛よりもやや光沢が高い。
C:明らかに人毛よりも光沢が高い。
(触感)
 長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメント を手で触り、フィラメント表面の触感を評価 した。
A:しっとり感があり、人毛に極めて近い触感 ある
B:ややしっとり感があり、人毛に近い触感で る
C:ドライであり、きしむ(ワキシー)
(耐シャンプー性)
 長さ30cm、総繊度100万dtexのトウフィラメン の一方の端を、インシュロック(登録商標)を 用いて固定する。得られたトウフィラメント を、エマール20C(ポリオキシエチレンラウリ エーテル硫酸ナトリウム、花王(株)製)10mlを2 Lの湯
(40℃)に添加して、30秒間もみ洗いを行なった 。その後、40℃の湯で充分に濯ぎ、乾燥させ 。シャンプー操作を5回繰り返した後のフィ ラメント束の光沢、触感を評価した。
A:光沢、触感に変化が無い
B:光沢、触感に変化があるが、実用上は問題 い
C:有機樹脂粒子が脱落し光沢、触感が変化し いる
(抗菌性)
 試験サンプルは、トウフィラメントを5cmの に薄く広げ、5cmの長さに切断し、抗菌試験 用いた。試験は、5mlの普通ブイヨン培地(栄 研化学社製)で大腸菌(Escherichia coli IFO3972)を2 7℃で一晩振盪培養後、終濃度で1/500濃度の普 通ブイヨン培地を含む滅菌した生理食塩水(0. 85重量%NaCl)で希釈した。この菌懸濁液0.4mlを 脂シャーレー(西部社製)中に置き、この菌液 の上に試験面を下にして試料をかぶせ、ふた をして30℃に放置した。接種時及び24時間後 この菌懸濁液を4.5mlの滅菌生理食塩水中に回 収し、10倍ずつ5段階希釈を行い、これら菌懸 濁液0.5ml中の生菌数を測定した。なお、対照 試料の代わりにポリエチレンシートを用い 同様の操作を行った。生菌数の測定は衛生 験法・注解(2005)1.2.1.1細菌一般試験法3)菌測 (1)混釈平板培養法(p.59)に準じて行った。た し、微生物の培養にはSCDLP寒天培地「ダイ 」(日本製薬社製)を用い、37℃で24時間培養 た。生菌数は、試料に接種した菌懸濁液中 の生菌数濃度に換算した。生菌数の検出限 は10 2 個/ml未満であった。評価基準は下記のとおり である。
A:検出されず
B:生菌数 1×10 2 個/ml以上4×10 6 個/ml未満
C:生菌数 4×10 6 個/ml以上
 (製造例1)
 前記ポリエチレンテレフタレート、三菱化 (株)製、“BK-2180”100重量部、前記臭素化エ キシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製、“SR-T2 0000”20重量部、前記難燃助剤:アンチモン酸 トリウム、日本精鉱(株)製、“SA-A”2重量部 を、水分量100ppm以下になるように乾燥し、 ライブレンドした後、着色用ポリエステル レットPESM6100 BLACK(大日精化工業(株)製、カ ボンブラック含有量30%、ポリエステルはBK-2 180)2重量部を添加してドライブレンドし、二 押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、 レル設定温度280℃で溶融混練し、ペレット したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた

 ついで、得られたペレットを水分量100ppm 下になるように乾燥した後、溶融紡糸機(シ ンコーマシナリー(株)製、SV30)に供給して、 レル設定温度280℃で扁平比が1.4:1の繭形断面 ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマー を吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/ の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得ら た未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロ ールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱した ートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の 度で巻き取り、単繊維繊度が60dtexのポリエ テル系モノフィラメント繊維を得た。

 (製造例2)
 アクリロニトリル49重量%、塩化ビニル50重 %、スチレンスルホン酸ソーダ1重量%からな 共重合体樹脂をアセトンに溶解して、29重量 %の紡糸原液を調製した。充分に混合した後 原液の粘度は48℃で56ポイズであった。この 液を、紡糸ノズルは亜鈴型ノズルを用い、 ズルドラフトが1.8となる条件下、18重量%で2 0℃のアセトン水溶液中に紡出し、得られた 維を、水洗浴60℃で脱溶媒及び1.5倍延伸し、 次いで130℃で乾燥処理後、120℃で2.5倍の乾熱 延伸を行い、さらに150℃の乾熱で弛緩熱処理 を行うことで60dtexのモダアクリルモノフィラ メント繊維を得た。

 (製造例3)
 塩化ビニル系樹脂100重量部、架橋塩化ビニ 系樹脂10重量部、エチレン-(メタ)アクリル アルキルエステル系樹脂2重量部を混合し、 にジブチル錫マレエートを3重量部、ジブチ ル錫ラウレートを1重量部、合成ワックスを0. 5重量部、ステアリン酸を0.5重量部、加工助 を1.0重量部配合した。この混合物を、リボ ブレンダーを用いて110℃で40分間攪拌した後 、押出し機を用い、シリンダー温度140℃、ダ イス温度145℃で樹脂組成物をペレット化した 。この樹脂組成物ペレットを、L/D=20の30mmφ押 出し機に孔径0.7mmφのノズルを取り付け、シ ンダー温度150~180℃、ノズル温度180±15℃の範 囲で押出し、第一の引き取りロールによって 曳糸した。次に、第二の延伸ロールとの間で 110℃の熱風循環箱を通して2.5倍に延伸した。 さらに115℃に温度調節した箱の中に設置した 2対の円錐形ロール間を引き回し、連続的に25 %の緩和処理を実施し、60dtexの塩化ビニルモ フィラメント繊維を得た。

 (実施例1~12)
 実施例として表1~2に表すように製造例1で得 たモノフィラメントを処理した。前記有機樹 脂粒子を、有機樹脂粒子/水性コーティング 固形分=0.2%o.m.f./0.2%o.m.f.になるよう溶液を調 し、塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃にて3 0分間乾燥させた。更に繊維処理剤として、KW C-Q(エチオキサイド-プロピレンオキサイドの ンダム共重合ポリエーテル;丸菱油化工業( )製)/KWC-B(アミノ変性シリコーン;丸菱油化工 (株)製)/加工剤29(カチオン性界面活性剤;丸 油化工業(株)製)=0.10%o.m.f./0.20%o.m.f./0.05%o.m.f. 塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃にて10分間 乾燥させた。

 得られた繊維の光沢、触感、櫛通り性、 菌性および耐シャンプー性を上述の方法で 価した。結果を表1~2に示した。

 (比較例1~2)
 実施例として表2に表すように製造例1で得 モノフィラメントを処理した。前記有機樹 粒子およびシリカを、粒子/水性コーティン 剤固形分=0.2%o.m.f./0.2%o.m.f.になるよう溶液を 調整し、塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃に て30分間乾燥させた。更に繊維処理剤として KWC-Q(エチオキサイド-プロピレンオキサイド のランダム共重合ポリエーテル;丸菱油化工 (株)製)/KWC-B(アミノ変性シリコーン;丸菱油化 工業(株)製)/加工剤29(カチオン性界面活性剤; 菱油化工業(株)製)=0.10%o.m.f./0.20%o.m.f./0.05%o.m. f.を塗布し、熱風乾燥機を用いて120℃にて10 間乾燥させた。

 得られた繊維の光沢、触感、櫛通り性、 菌性および耐シャンプー性を上述の方法で 価した。結果を表2に示した。

 表1~2に示した実施例1~18および表2に示し 比較例1~2の評価結果から、本発明の方法に えば、人工毛髪にふさわしい光沢や風合い び抗菌性が付与されていることが判る。す わち、実施例1~12においては、人毛と良く似 光沢、しっとりした感触を示し、櫛通りも 好で、人工毛髪としての要求品質を特にバ ンスよく満たしている。充分な抗菌性も付 できており、これらから作られる商品は清 に保たれると期待できる。実施例13では光 が人毛より僅かに高めであり、実施例14,16,17 では感触、櫛通りが僅かに弱く、実施例18で シャンプー時に有機樹脂粒子の僅かな脱落 確認されるが、実用上は概ね良好な人工毛 としての要求特性を満たしている。

 一方、比較例1では本発明の有機樹脂粒子 が付着されていないため、光沢が強く、ペタ ペタした感触で、人毛とは異なっていた。さ らに、抗菌性も有していなかった。比較例2 は、触感、櫛通りが悪く、抗菌性も有して なかった。