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Patent Searching and Data


Title:
ANTIFOULING FILTER FOR VENTILATOR OR COOKING RANGE HOOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146820
Kind Code:
A1
Abstract:
A filter (1) which is an antifouling filter for ventilators or cooking range hoods. The filter (1) comprises a fibrous sheet including fibers having a fiber diameter of 5 to 35 µm, excluding 35 µm. The surface of the fibers is oil-repellent. Also provided is a layered filter (10) which comprises a collection layer (11) made of the filter (1) and a space formation layer (12). The layered filter (10) is used so that the space formation layer (12) is located downstream from the fluid inhalation side.The space formation layer (12) is constituted of a material and has a filling factor, which is the proportion (%) of the volume of the constituent material to the apparent volume of the space formation layer (12), of 1-7% under a load of 0.3 kPa, and has a thickness as measured under the same load of 1-12 mm. The collection layer (11) is made of a nonwoven fabric having a fiber diameter of 7 to 35 µm, excluding 35 µm.

Inventors:
KANEKO YUKIHIRO (JP)
MITSUHASHI SACHIKO (JP)
SHIZUNO AKIHITO (JP)
MORI KAZUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059747
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
KANEKO YUKIHIRO (JP)
MITSUHASHI SACHIKO (JP)
SHIZUNO AKIHITO (JP)
MORI KAZUO (JP)
International Classes:
B01D39/14; D04H1/46; D06M15/295; F24F7/06
Foreign References:
JPH0857225A1996-03-05
JPH10180021A1998-07-07
JP2000254422A2000-09-19
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu et al. (8-6 Akasaka 1-chome,Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 繊維径が5μm以上35μm未満である繊維を含む繊維シートからなり、該繊維の表面が撥油性を有している換気扇又はレンジフード用防汚フィルタ。
 前記繊維の表面に撥油性処理がなされているか、又は前記繊維自体が撥油性を有する材料から構成されている請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
 前記繊維シートの厚み方向における片側の略半面に存する繊維の表面が撥油性を有している請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
 前記繊維シートの厚み方向における中央部分に存する繊維の表面が撥油性を有している請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
 前記繊維シートを平面視した場合に、表面が撥油性を有している前記繊維が、該繊維シートの全域に存在している請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
 空気流入側の面に、非撥油性である油非含浸繊維層が存在する請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
 空気流入側に位置する非撥油性である油非含浸繊維層が、主に油を捕集、保持し、
 該繊維層に隣接して空気流出側に位置する、表面が撥油性を有している繊維を含む繊維層が、捕集した油成分の空気流出側への浸透を防止するものである請求の範囲第6項記載の防汚フィルタ。
 表面が撥油性を有している繊維を含む繊維層が、非撥油性である油非含浸繊維層よりも、疎な構造を有する請求の範囲第6項記載の防汚フィルタ。
 難燃性を有する請求の範囲第1項記載の換気扇、レンジフード用防汚フィルタ。
 構成繊維が合成繊維である請求の範囲第1項記載の防汚フィルタ。
   請求の範囲第1項記載の防汚フィルタからなる捕集層と空間形成層とを有する積層フィルタであって、
 前記積層フィルタは、前記空間形成層が、流体吸入の下流側に位置するように使用されるものであり、
 前記空間形成層は、0.3kPa荷重下において、該空間形成層の見掛けの体積中に占める、該空間形成層の構成材料の体積の割合(%)である充填率が1~7%であり、かつ同荷重下における厚みが1~12mmであり、
 前記捕集層が、繊維径7μm以上35μm未満の不織布からなる積層フィルタ。
 前記空間形成層が、遮蔽部を有する取り付け部材に対向するように、該取り付け部材に取り付けられて使用されるものである請求の範囲第11項記載の積層フィルタ。
 前記空間形成層の通気度が400~1000m/(kPa・s)であり、
 前記捕集層の通気度が25~400m/(kPa・s)である請求の範囲第11項記載の積層フィルタ。
 前記空間形成層は、その破断強度が1~150N/25mmであるか、又は0.5N/25mmの引張応力を加えたときの伸度が1~15%である請求の範囲第13項記載の積層フィルタ。
 前記空間形成層が、不織布に立体的な二次加工を施したものからなる請求の範囲第13項記載の積層フィルタ。
 前記空間形成層が、スパンボンド不織布にスチールマッチエンボス加工を施したものからなる請求の範囲第15項記載の積層フィルタ。
 前記捕集層が、外方を向く第1層と、前記空間形成層の側を向く第2層とを有し、第2層の構成繊維の表面が撥油性を有しており、
 換気扇又はレンジフード用防汚フィルタとして用いられる請求の範囲第11項記載の積層フィルタ。
 前記空間形成層の構成繊維の表面が撥油性を有しており、換気扇又はレンジフード用防汚フィルタとして用いられる請求の範囲第11項記載の積層フィルタ。
Description:
換気扇又はレンジフード用防汚 ィルタ

 本発明は、換気扇やレンジフードに取り けられて使用される防汚フィルタに関する

 レンジフードの吸入口には、調理時に発 する油煙や埃等(以下、油煙等という。)に って排煙用のファン等が直接汚れないよう するために、これらを捕獲するグリスフィ タと称される金属製のフィルタが取り付け れている。しかし、このグリスフィルタは 掃除が面倒であるため、その手間を軽減す ために、その外側に更に不織布等の素材か なる使い捨ての油捕集用フィルタが取り付 られて使用されている。

 この種の油捕集用フィルタは、調理時の 炎などの高熱に耐えうることが求められて り、例えば特許文献1及び2には、難燃性又 耐炎性の素材から形成された油捕集用フィ タ又はフィルタ材が開示されている。

 また、特許文献3には換気扇フィルタの繊 維表面を、フッ素系高分子撥水剤が添加され たバインダにより固着し、繊維表面を撥水性 にすることで、水膜に覆われることなく油滴 と繊維との接触が有効に行われて、油捕集効 率が向上することが開示されている。特許文 献4には、排気口用フィルタにフッ素系化合 などの撥油性成分を付着させ、油滴との親 性を異ならせることにより、表示要素とし 機能させる交換時期表示方法を開示してい 。

 特許文献5には、カーボンダストを含む被 処理ガスを処理するためのフィルタエレメン トが記載されている。このフィルタエレメン トは、オイル含浸濾過材と、この濾過材の下 流側に形成され、かつオイル含浸濾過材から の少なくともカーボンダストの透過を規制す るための透過防止層とで構成されている。透 過防止層は、撥油剤を含む繊維層からなる。

 前記の特許文献1及び2に記載されている ィルタを始めとして、一般に市販されてい 不織布等からなる油捕集用フィルタは、不 布の構成繊維として親油性の合成樹脂が使 されていることから、油煙等に含まれる油 分とのなじみが良好である。それに起因し 、レンジフードのファンによって吸引され 油煙等がフィルタを通過するときに、油煙 に含まれる油成分が繊維の表面に膜状に付 しやすい。この状態を図13に模式的に示した 。同図中、白抜きの円はフィルタの構成繊維 Fの断面を表している。また繊維Fの外縁を太 表しているのは、これが繊維Fに付着した油 膜Mであることを意味している。油成分Aは先 レンジ側に位置する繊維Fに付着して油膜M なり、繊維Fの表面を被覆する。そして油成 Aは、毛細管現象によって、比較的短期間で フィルタの厚み方向全体に移行する。つまり 比較的短期間で油成分の裏抜けが起こりやす い。裏抜けの発生は、フィルタが汚れている という悪い印象を使用者に与えやすい。また 裏抜けが起こることで、まだ十分に使用に耐 えうるフィルタであっても、その交換をしな ければならないという気持ちを使用者に与え てしまう。裏抜けの発生は、フィルタの裏面 に位置するグリスフィルタを汚す原因となる ため、掃除の手間が十分に低減されず、グリ スフィルタの防汚という本来の目的を十分に 達成できない。

 特許文献3では、繊維表面をフッ素系高分 子撥水剤が添加したバインダで固着させるこ とで撥水性にしている。その結果、水が繊維 に付きにくくなり、油滴と繊維との接触が有 効に行われて油捕集効率が向上すると記載さ れている。つまり繊維と油滴の親和性が高く 、親油性であることが判る。また、界面活性 剤等の親油性を有する物質もバインダに含ん でもよいとしているため、なおさら繊維表面 は親油性となっている。そのため繊維表面が 親油性の状態であると毛細管現象によってフ ィルタの厚み方向に油が移行してしまう。

 特許文献4ではフィルタにフッ素系化合物 などの撥油性成分を付着させ油滴との親和性 が異なることにより表示要素とし、表示が文 字状、点状、格子状、線状など、油との親和 性の異なる部分(撥油性部分と親油性部分)が いと機能しない。フィルタの全面を撥油性 したり、フィルタの片面(裏側または表側) 全面を撥油性にした場合、表示要素とはな ない。

 特許文献5に記載のフィルタエレメントは 、自動車エンジンの吸気系に用いられるエア クリーナ用のためのものである。したがって 、同文献においては、同文献に記載のフィル タエレメントを、換気扇やレンジフードに取 り付けて使用することは全く考慮されていな い。仮に、同文献に記載のフィルタエレメン トを、換気扇やレンジフードに取り付けて使 用したとすると、使用の当初からフィルタに 油が付着している状態なので、フィルタの使 用期間が短くなってしまい、経済的でない。 また、フィルタを取り付けるときに、該フィ ルタに付着した油で手が汚れてしまう。更に 、表裏を間違えて取り付けたときに、グリス フィルタが汚れてしまう。

 上述した各特許文献に記載の技術とは別 、油捕集用フィルタによる油煙等の捕集率 高めるための方法が検討されている。その 法の一つとして、用いる繊維の繊維径を細 する、用いる繊維の量を増やすなどの方法 フィルタの目を細かくする方法が考えられ 。しかし、そのようにしてフィルタの目を かくして捕集率を高めると、フィルタ通過 の圧力損失が増大し通気性が低下する。こ ことは、フィルタの装着によって換気扇フ ンの吸引を阻害し換気性能を低下させるこ につながる。このように、風速と捕集率と トレードオフの関係にある。したがって、 ィルタの目を細かくしても風速を低下させ い技術が必要とされている。

 油煙等の捕集率を高めるため技術とは別に 特許文献6には、平均繊維径が0.5~6.0μm、嵩 度0.05~0.50g/cm 3 の極細不織布と、平均繊維径10~60μm、嵩密度0 .05~0.50g/cm 3 の繊維シートとを積層し、高さ3~100mmの凹凸 に成形したフィルタが記載されている。こ フィルタは空気清浄機、掃除機、自動車、 スク等に用いられ、微細な粒子の捕集を長 間にわたり持続させることを目的とするも である。しかし、フィルタの目を細かくし も風速を低下させない技術に関しての開示 ない。

 特許文献6と同様に、極細繊維不織布と、 他の不織布とを積層し、全体を凹凸加工した フィルタが特許文献7にも記載されている。 のフィルタにおいては、極細繊維不織布が 過層として用いられ、他の不織布は支持体 として用いられる。この不織布としてはス ンボンド不織布が用いられている。しかし この特許文献にも、フィルタの目を細かく ても風速を低下させない技術に関しての開 はない。

 これらの文献のほか、2層以上の不織布を 積層し、吸引側(外側)に配される不織布を密 ものとし、かつファン側(内側)に配される 織布を粗なものとしたフィルタとして特許 献8及び9に記載のものも知られているが、や はりフィルタの目を細かくしても風速を低下 させない技術に関しての開示はない。

特開2002-316009号公報

特開2003-236320号公報

特開平8-86480号公報

特開2004-53041号公報

特開2003-299921号公報

特開平4-180808号公報

特開2000-271416号公報

特開平8-24535号公報

特開2000-218113号公報

 本発明は、繊維径が5μm以上35μm未満であ 繊維を含む繊維シートからなり、該繊維の 面が撥油性を有している換気扇又はレンジ ード用防汚フィルタを提供するものである

 また本発明は、前記の防汚フィルタからな 捕集層と空間形成層とを有する積層フィル であって、
 前記積層フィルタは、前記空間形成層が、 体吸入の下流側に位置するように使用され ものであり、
 前記空間形成層は、0.3kPa荷重下において、 空間形成層の見掛けの体積中に占める、該 間形成層の構成材料の体積の割合(%)である 填率が1~7%であり、かつ同荷重下における厚 みが1~12mmであり、
 前記捕集層が、繊維径7μm以上35μm未満の不 布からなる積層フィルタを提供するもので る。

図1は、本発明の一実施形態のフィルタ による油の捕集の様子を示す模式図である。 図2は、本発明の他の実施形態のフィル タを示す模式図である。 図3は図2に示すフィルタによる油の捕 の様子を示す模式図である。 図4は、本発明の別の実施形態のフィル タを示す模式図(図2相当図)である。 図5は、本発明の更に別の実施形態のフ ィルタを示す模式図(図2相当図)である。 図6(a)は、本発明の更に他の実施形態の 油捕集用フィルタを示す断面図であり、図6(b )は、図6(a)に示す油捕集用フィルタを構成す 支持体(ネット)の平面図である。図6(c)は、 持体(ネット)の他の例を示す平面図である 図7は、本発明の積層フィルタの一実施 形態を示す分解斜視図である。 図8は、図7に示す積層フィルタをフィ タ取り付け部材に取り付ける状態を示す説 図である。 図9(a)は、従来のフィルタにおける流体 の流れを示す模式図であり、図9(b)は、本発 の積層フィルタにおける流体の流れを示す 式図である。 図10(a)及び図10(b)はそれぞれ、本発明 また更に別の実施形態のフィルタを示す模 図である。 図11は、油の捕集性の試験状態を示す 式図である。 図12は、レンジフードの風速の測定方 を示す模式図である。 図13は、従来の油捕集用フィルタによ 油の捕集の様子を示す模式図である。

発明の詳細な説明

 以下本発明を、その好ましい実施形態に づき図面を参照しながら説明する。本実施 態の換気扇又はレンジフード用防汚フィル (以下、単にフィルタともいう)は、調理時 発生する微細な油滴を含む空気(油煙)から油 を捕集するために好適に用いられるものであ る。したがって、本発明において「換気扇」 及び「レンジフード」とは、調理時に発生す る煙(油煙及び湯気を含む)の吸引及び排出に いられる装置全般を広く包含する。フィル をレンジフードに取り付ける場合には、該 ンジフードに一般的に備えられている油捕 用のグリスフィルタを支持体として用い、 グリスフィルタに本発明のフィルタを取り けてもよく、あるいはグリスフィルタを用 ることなく、本発明のフィルタを単独でレ ジフードに取り付けてもよい。フィルタは 維シートからなる。繊維シートとしては、 維材料からなり、シート形態を有している のであれば、その種類に特に制限はない。 実施形態のフィルタが使い捨てのものであ ことや、嵩高で油捕集能が高いことが必要 あることを考慮すると、繊維シートとして 織布を用いることが好ましい。

 繊維シートとして用いられる不織布とし は、従来知られている種々のタイプのもの 特に制限なく用いることができる。例えば ルトブローン不織布、スパンボンド不織布 繊維間を熱接着させるヒートボンド不織布 エアスルー不織布、エアレイド不織布、繊 を交絡させるスパンレース不織布、ニード パンチ不織布、樹脂等の塗工により繊維を 着するケミカルボンド不織布などが挙げら る。本実施形態のフィルタには耐熱性が必 とされることから、不織布を構成する繊維 その融点が高いことが望ましい。したがっ 熱融着によらずシート化が可能な不織布を いることが有利である。この観点から、不 布としてスパンレース不織布やケミカルボ ド不織布を用いることが好ましい。また、 成繊維として熱融着性を有する難燃性繊維 用いた場合は、厚みがあり通気による圧力 失を低減することが可能な不織布であるエ スルー不織布も好適に用いることができる なお、ここで言う難燃性繊維とはLOI値が26 上の繊維を示す。

 本実施形態のフィルタとして用いられる 維シートは、その構成繊維の繊維径に特徴 一つを有する。詳細には、繊維シートの構 繊維は、その繊維径が5μm以上35μm未満に設 されている。この繊維径は、従来の油捕集 フィルタを構成する繊維シートの構成繊維 繊維径よりも小さい範囲である。つまり本 施形態においては、従来よりも小径の繊維 用いてフィルタを構成している。小径の繊 を用いることで、繊維間の空隙を小さくす ことができる。その結果、油煙等の捕集効 を高めることが可能となる。繊維径が35μm 上の繊維を用いてフィルタ全体を構成する 、繊維間の空隙が大きくなり過ぎて、油煙 が繊維間をすり抜けてしまい、油煙等を確 に捕集するできなくなってしまう。油煙等 捕集効果を高める観点からは、繊維径は小 いほど好ましい。しかし繊維径を余りに小 くしてしまい、繊維間の空隙が小さくなり ぎると、圧力損失が大きくなってファンに る油煙等の吸引効率が低下してしまう。し がってフィルタの構成繊維の繊維径の下限 は5μmとする。ファンによる油煙等の吸引効 を低下させることなく、油煙等の捕集効果 一層高める観点から、フィルタの構成繊維 好ましい繊維径は7μm以上25μm未満である。 方、繊維シートを構成するすべての繊維が2 5μm以上35μm未満の繊維径を有している場合、 捕集効果が低下しグリスフィルタに汚れがつ くことがあり、防汚性は十分とは言えない。 しかし、7μm以上25μm未満の繊維径を有する繊 維を組み合わせて用いることにより、高い防 汚性を発現することができる。例えば、繊維 の一部に25μm以上35μm未満の比較的太い繊維 の繊維が含まれていても、それ以外が5μm以 25μm未満の繊維径の細い繊維で構成されて れば、十分な捕集効果を発現できる。25μm以 上35μm未満の太い繊維径の繊維が含まれる許 範囲は、繊維シート全体の坪量によって異 るが、重量基準でおよそ5%以上70%未満であ 。この範囲内であれば満足すべき防汚性を 現できる。また、25μm以上35μm未満の比較的 い繊維径の繊維と、5μm以上25μm未満の細い 維径の繊維とを組み合わせる方法は、太い 維と細い繊維どうしを混合した状態でシー 化することで組み合わせても良く、あるい 細い繊維径の繊維から構成されるシートと い繊維径の繊維から構成されるシートを積 することで組み合わせても良い。なお、繊 シートを構成する繊維は、そのすべてが前 の範囲の繊維径を有していることが望まし が、本発明の効果を損なわない範囲におい 、前記の範囲外の繊維径を有する繊維が含 れていても良い。

 上述のとおり、油煙等の捕集効果の観点 らは、フィルタの構成繊維の繊維径が重要 要因であるところ、フィルタの坪量や厚み 油煙等の捕集効果に関しては臨界的な要因 ないことが本発明者らの検討の結果判明し 。フィルタの坪量や厚みは専らフィルタの 度やグリスフィルタへの取り付け性と関係 ている。フィルタの坪量が低すぎると、グ スフィルタへの装着時に伸びが生じてたる ができやすく、隙間なくフィルタを取り付 るのが困難な場合がある。また長期間の使 によって、捕集した油によりフィルタの自 が増加して、伸びが生じる場合がある。こ ような伸びやたるみの発生は、フィルタと リスフィルタとの間に隙間を生じる原因に る。この隙間は油煙等の進入経路となり、 れに起因してグリスフィルタやレンジフー 内部、例えばファン等が汚れることがある

 以上の観点から、フィルタの坪量は20~150g/m 2 、特に20~100g/m 2 であることが好ましい。またフィルタの厚み は0.5~10mm、特に1~8mmであることが好ましい。

 本実施形態のフィルタを構成する繊維シ トの構成繊維は、その表面が撥油性を有し いる。繊維の表面が撥油性を有するように るためには、(イ)撥油剤を有していない繊 を用いて不織布を作製し、その後に撥油剤 は撥油剤を添加した樹脂を塗工する等、繊 の表面を撥油性処理する方法、(ロ)撥油性の 繊維を用いて不織布を作製する方法がある。 (イ)の場合、例えば繊維の表面にフッ素系撥 剤をコーティング処理して撥油性を付与す ばよい。

 繊維の表面をフッ素系撥油剤でコーティ グ処理するためには、例えば繊維の表面に ッ素樹脂のエマルジョンを付与し、これを 燥させればよい。これによって繊維の表面 フッ素樹脂を膜状に付着させることができ 。乾燥後に熱処理を施すことで、繊維の表 に付着したフッ素樹脂の密着性を高めるこ ができる。フッ素樹脂のエマルジョンを繊 の表面に付与するには、例えば該エマルジ ンをディッピング(含浸)させたり、該エマ ジョンをスプレー噴霧したり、該エマルジ ンを泡立て処理したりすればよい。その他 方法として、希釈フッ素ガス、低温プラズ によるもの、グロー放電によるスパッタリ グによって、繊維の表面をフッ素化し撥油 を付与することができる。

 フッ素樹脂としては、テトラフルオロエ レン樹脂、テトラフルオロエチレン・パー ルオロプロピルビニルエーテル共重合体、 トラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプ ピレン共重合体、クロロトリフルオロエチ ン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレ 共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化 ニル樹脂、ヘキサフルオロプロピレン・フ 化ビニリデン共重合体、及びポリイミド系 性フッ素樹脂、PPS系変性フッ素樹脂、エポ シ系変性フッ素樹脂、PES系変性フッ素樹脂 フェノール系変性フッ素樹脂、パーフルオ アルキルエチレン基を有するアクリレート 合体やメタクリレート共重合体等が挙げら る。また、フッ素樹脂のエマルジョンを用 ることもできる。そのようなエマルジョン しては、例えば旭硝子製のフッ素樹脂であ アサヒガード(登録商標)AG-7000を用いること できる。

 フッ素樹脂を付着させる量は、フッ素樹 を付着させる前の繊維の重量に対して0.1~10 量%、特に0.5~2重量%とすることが好ましい。 付着量を0.5重量%以上とすることで、繊維の 面に十分な撥油性を付与することができる また付着量を10重量%以下とすることで、過 付着に起因するフィルタの通気性の低下が 止される。

 繊維自体を、撥油性を有する材料から構 する場合、該材料としては、上述した各種 フッ素樹脂を用いることができる。

 撥油性処理に使用する撥油剤として、フ 素系撥油剤以外に、一部の界面活性剤を用 ることもできる。そのような界面活性剤は これを不織布に塗工し乾燥させることによ て、撥油性を発現させることができる。例 ば、非イオン性界面活性剤であるアルキル ルコシド、両性界面活性剤であるラウラミ プロピルベタインを不織布に塗工し乾燥さ ることによって、繊維に撥油性を付与でき 。また、フッ素を配合した油剤を表面に塗 した繊維のなかには、加熱することにより 維表面が撥油性を示すものがあり、そのよ な繊維を本発明で使用することもできる。 のような繊維の例としては、宇部日東製の 撥油不織布用原綿、UCファイバー HR-PLEが挙 げられる。

 撥油性の繊維を用いて不織布を作製する 合に用いられる該繊維としては、フッ素が り込まれた繊維、フッ素樹脂からなる繊維 挙げられる。そのような繊維の例としては 東レ製のフッ素繊維であるトヨフロン(登録 商標)や、デュポン製のテフロン(登録商標)等 が挙げられる。

 図1には、本実施形態のフィルタ1におけ 油成分の裏抜け防止の様子が模式的に示さ ている。同図中、白抜きの円はフィルタ1の 成繊維Fの断面を表している。また繊維Fの 縁の二重丸は、繊維Fが撥油性であることを 味している。同図に示すように、油成分Aは 先ずレンジ側に位置する繊維Fに付着する。 のとき、繊維Fの表面は撥油性を有している で、油成分Aは繊維Fの表面ではじかれる。 言すれば膜状に付着しない。その結果、油 分Aは繊維Fの表面で油滴の状態で存在する。 油成分Aが油滴の状態で存在することによっ 、油成分Aには毛細管力が作用しづらくなり その移動が起こりづらくなる。つまり、油 分Aはフィルタ1のファン側に移動しづらく る。このような理由によって油成分Aの裏抜 が防止される。

 油成分の裏抜けを一層効果的に防止する 点から、繊維の表面の撥油性の程度は以下 述べる方法で測定された接触角の値が35度 上、特に40度以上、とりわけ60度以上である とが好ましい。接触角の値をこのようにす ためには、適切なフッ素樹脂や撥油剤を用 て繊維の表面が撥油性を有するようにすれ よい。

  〔接触角の測定方法〕
 本発明のフィルタに、シリンジを用いて食 油(日清オイリオグループ株式会社製 日清 ャノーラ油)を滴下する。温度は25℃とする 接触角計(協和界面科学製接触角計CA-A)を用 て、滴下した油の接触角をスコープでのぞ て読み取る。

 本実施形態においては、図1に示すように 、フィルタ1を構成する繊維のすべてが撥油 を有しているが、これに代えて一部の繊維 みが撥油性を有していてもよい。その例を 2に示す。図2に示すフィルタ1においては、 れを構成する繊維シートの厚み方向におけ 片側の略半面の領域に存する繊維F1の表面が 撥油性を有しており、残りの略半面の領域に 存する繊維F2の表面は撥油性を有していない 繊維F2を含む層は、非撥油性であり、かつ ましくは油非含浸の繊維層である。この場 、繊維F1が存する側をレンジ側に位置させて フィルタ1を使用してもよく、あるいは繊維F2 が存する側をレンジ側に位置させてフィルタ 1を使用してもよい。また、繊維F1と繊維F2の 成樹脂は同種のものでもよく、あるいは異 のものでもよい。前記の「油非含浸」とは 繊維層が油を全く含まないことを意味する のではなく、例えば上述の特許文献5に代表 される、内燃機関に用いられるエアクリーナ 用フィルタに含浸される油の量の範囲(例え 繊維に対して10重量%以上)よりも少量の油で れば、油が含浸されることを許容する趣旨 ある。したがって、フィルタ1を構成する繊 維シートの製造過程において一般に施される 少量の合成繊維用紡糸油剤の使用(例えば繊 に対して0.3~0.5重量%程度)は、「油非含浸」 該当し、本発明において許容される。合成 維用紡糸油剤は一般に潤滑剤と界面活性剤 の混合物からなる。潤滑剤としては、鉱物 、高級アルコール、高級脂肪酸からなる脂 酸エステル類、二塩基酸及び高級アルコー からなる二塩基酸エステル、フタル酸ジエ テル等が用いられる。界面活性剤としては アルキルフォスフェートカリウム塩、リン エステルカリウム塩等が用いられる。

 図3には、図2に示すフィルタ1を、繊維F2 存する側をレンジ側に位置させて使用した 合の裏抜け防止の様子が模式的に示されて る。同図に示すように、油成分Aは先ずレン 側に位置する繊維F2に付着する。繊維F2は撥 油性を有していないので、繊維F2に付着した 成分Aは、繊維F2の表面に濡れ広がり油膜Mを 形成する。油膜Mを構成する油成分Aは毛細管 象によって、ファン側に向かってフィルタ1 の厚み方向に移行する。ファン側に向かって 移行する油成分Aは、繊維F1が存する領域まで 到達すると、該繊維F1の有する撥油性によっ 油膜Mの形成が妨げられ、また毛細管現象に よる移行も妨げられる。その結果、油成分A 繊維F1の表面において油滴の状態で存在する ようになり、毛細管力が作用しづらくなる。 その結果、油成分Aはフィルタ1のファン側に 動しづらくなる。このような理由によって 成分Aの裏抜けが防止される。このように本 実施形態においては、空気流入側に好ましく は非撥油性である油非含浸繊維層を位置させ 、該繊維層を主に油の捕集、保持のために用 いている。かつ、該繊維層に隣接して空気流 出側に位置する、表面が撥油性を有している 繊維を含む繊維層を、捕集した油成分の空気 流出側への浸透を防止するために用いている 。

 図2に示すフィルタ1を図3に示す形態とは の形態で使用した場合、つまり繊維F1が存 る側をレンジ側に位置させて使用した場合 は、図1に示す機構とほぼ同様の機構によっ 油成分の裏抜けが防止される。

 以上のとおり、図2に示す実施形態のフィ ルタ1を用いると、図1に示す実施形態の場合 りも撥油性を有する繊維の使用量を低減さ つつ、図1に示す実施形態と同様の裏抜け防 止効果が奏されるので、経済的に有利である 。また、撥油性を有しない繊維部分に油滴が 浸透していくため、全面を撥油加工した図1 示す実施形態の場合よりも使用期間が長く り有利である。

 また、繊維F2が大半の油成分を捕集する め、繊維F1は油成分の移動を抑制する効果の み発現すればよい。したがって図4に示すよ に、繊維F1は、繊維F2と比較して、繊維径が いものを使用しても良い。換言すれば、表 が撥油性を有している繊維を含む繊維層が 非撥油性である繊維層よりも、疎な構造を していてもよい。特に、表面が撥油性を有 ている繊維を含む繊維層が、非撥油性であ 繊維を含む油非含浸繊維層よりも、疎な構 を有することが好ましい。このようにした 合、全体に細い繊維を使用した場合と比較 て、繊維F1を含む側の片面の繊維間の空隙 大きくなる。これに起因して、捕集効果を 持しつつ圧力損失が小さくなり、ファンに る吸引効率の低下を抑えることができる。 た、毛管力も働きにくくなることから、油 分の裏抜けが更に起こりにくくなる。この 合、繊維F1を含む側の面がファン側(空気流 側)に位置するように使用する必要がある。

 図2及び図4に示す実施形態のフィルタ1は 撥油性を有する繊維ウエブと撥油性を有し いない繊維ウエブとを積層し、両者を水流 絡させることで得ることができる。あるい 、撥油性を有する繊維ウエブと撥油性を有 ていない繊維ウエブとを積層し、両者を熱 により熱融着させるか、撥油性を有する繊 シートと撥油性を有していない繊維シート を積層し、熱により部分的に融着させるこ で得ることができる。このような融着には 例えばエンボス加工が用いられる。

 図5には、フィルタ1を構成する繊維シー の一部の繊維のみが撥油性を有している別 実施形態が示されている。図5に示すフィル 1においては、繊維シートの厚み方向におけ る中央部分に存する繊維層の構成繊維F1の表 が撥油性を有しており、残りの領域の繊維 の構成繊維F2は撥油性を有していない。こ 場合、繊維シート表裏のどちらの面をレン 側に位置させて利用しても、図3に示す機構 ほぼ同様の機構によって油の裏抜けが防止 れる。つまり、本実施形態においては、空 流入側に位置する繊維層の構成繊維F2及び 気流出側に位置する繊維層の構成繊維F2は撥 油性を有していない。特にこれらの繊維層は 、非撥油性であり、かつ油非含浸繊維層であ ることが好ましい。図5に示す実施形態にお ては、表面が撥油性を有している繊維F1の繊 維径と、非撥油性の繊維F2との繊維径は同一 もよく、あるいは繊維F1の方が繊維F2よりも 大きくてもよい。また、空気流入側に位置す る繊維層に含まれる繊維F2と、空気流出側に 置する繊維層に含まれる繊維F2の繊維径は 一でもよく、あるいは異なっていてもよい

 図6(a)には、本発明のフィルタ1の更に別 実施形態が示されている。本実施形態のフ ルタ1は、支持体2の両面に繊維集合体3A,3Bを しており、該繊維集合体3A,3Bを構成する繊 は、該繊維間で絡合しているとともに、該 持体2を骨格とした一体的な絡合状態を形成 ている。フィルタ1においては、支持体2が フィルタ1の厚み方向の内部に存在しており 支持体2の上下面が、繊維集合体3A,3Bでそれ れ覆われている。つまりフィルタ1は、支持 体2と繊維集合体3A,3Bとからなる繊維シートで ある。

 支持体2は、有孔フィルム等の網状素材( 目を有する素材)からなるネットである。本 施形態では、支持体2は図6(b)に示すように 軸の格子状である。しかし支持体2としては これに限られず、図6(c)に示す三軸のものや 、ネットではないもの、例えば不織布であっ ても良い。つまり、一定の孔を有し、繊維集 合体を形成する繊維ウエブが絡合状態で一体 化する担体であれば支持体の種類に特に限定 はない。例えば、ガーゼ状の織布のように織 り目空間の比較的大きな目の粗い織布、繊維 径の太い繊維で構成されたスパンボンド不織 布、あるいは片面又は両面に繊維集合体3A,3B 重ね合わせてそれらを絡合状態、繊維どう の熱融着、又は熱、圧力若しくは超音波に るシートどうしの部分的な接着で一体化し る繊維空隙を有する不織布等も支持体2とし て用いられる。

 支持体2の厚みは、繊維集合体3A,3Bを構成す 繊維径の好ましくは5~1000倍、更に好ましく 10~300倍、一層好ましくは15~50倍である。こ 範囲の厚みにすることで、フィルタ1にたる 等が生じない程度の強度が付与される。支 体2の線径は20~1000μmが好ましく、更に好ま くは100~300μmである。支持体2の線径は部分的 に異なっていても良く、その場合は太い部分 の線径が前記の値に相当する。この線径が支 持体2の厚みに相当する。支持体2の線間距離 5~20mmが好ましく、更に好ましくは8~15mmであ 。支持体2の坪量は、0.1~100g/m 2 、特に1~30g/m 2 であることが好ましい。

 一方、繊維集合体3A,3Bの坪量は、20~150g/m 2 であることが、フィルタ1の油煙等の捕集率 び形態保持性を確保する上で好ましい。こ 場合、各繊維集合体3A,3Bの坪量は同じでもよ く、あるいは異なっていてもよい。繊維集合 体3A,3Bの構成繊維は、それらの全体が撥油性 有していてもよい。この場合には、支持体2 の有無を除き、図1に示す実施形態と同様の 成となる。繊維集合体3A,3Bは、それらの一方 のみの構成繊維が撥油性を有していてもよい 。この場合には、支持体2の有無を除き、図2 は図4に示す実施形態と同様の構成となる。

 本実施形態のフィルタ1によれば、支持体 2の作用によって保形安定性が高くなり、長 間の使用が可能となる。

 本実施形態のフィルタ1は、支持体2の各 に、繊維集合体3A,3Bの元となる繊維ウエブを 積層させ、この状態で該繊維ウエブに向けて 高圧水流を噴射して、支持体2の片面側にあ 繊維ウエブの繊維と他面側にある繊維ウエ の繊維、及び繊維ウエブの繊維とネット2を 合一体化させるのと同時に、各繊維ウエブ 絡合により不織布状の繊維集合体として支 体2に固定することで製造される。即ち、本 実施形態のフィルタ1は広義にはスパンレー 不織布である。あるいは本実施形態のフィ タ1は、支持体2の各面に、繊維集合体3A,3Bの となる繊維ウエブを積層させ、この状態で 繊維ウエブに熱風を吹き付けて、支持体2の 片面側に位置する繊維ウエブの繊維と、他面 側に位置する繊維ウエブの繊維とを融着一体 化させるとともに、繊維ウエブの繊維とネッ ト2とを融着一体化させるのと同時に、各繊 ウエブの融着によって生じた不織布状の繊 集合体を支持体2に固定することで製造され 。更にフィルタ1は、支持体2の各面に、あ かじめシート化した繊維集合体3A,3Bの繊維シ ートを積層させ、この状態で該繊維シートを 熱により部分的融着させ、繊維シートとネッ ト2を融着一体化させ固定することによって 製造される。

 本発明のフィルタが上述の各実施形態の ずれの場合であっても、その構成繊維は防 性であることが好ましい。例えば、ガラス 維、炭素繊維などの不燃性繊維、ポリ塩化 ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール 難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レ ヨン、難燃ポリプロピレン、難燃ポリエチ ンなどの難燃性繊維を用いることが好まし 。あるいは、不燃物繊維及び/又は難燃性繊 維を混綿することが好ましい。難燃性繊維と はLOI値が26以上の繊維のことである。

 フィルタの構成繊維が不燃性繊維や難燃 繊維でない場合、又は不燃性繊維や難燃性 維であっても防炎性が不十分である場合に 、後加工工程でハロゲン系又はリン系の難 剤を繊維に施したり、ポリホウ酸の難燃剤 繊維に施したりしてもよい。あるいは難燃 を含んだ樹脂をバインダとして繊維表面に して、その被膜を形成してもよい。

 フィルタの構成繊維が不燃性繊維や難燃 繊維でない場合には、該構成繊維として公 の繊維形成用合成樹脂からなる合成繊維、 えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ チレン等のポリオレフィン系材料、ポリエ レンテレフタレート、ポリブチレンテレフ レート等のポリエステル系材料、ナイロン6 、ナイロン66等のポリアミド系材料、ポリア リルニトリル系材料、レーヨン、各種ゴム からなる繊維を用いることができる。また ポリ塩化ビニル等のビニル系材料や、ポリ 化ビニリデン等のビニリデン系等からなる 維を用いることもできる。更に、これらの 料の変成物、アロイ又は混合物等からなる 維を用いることもできる。

 また前記のいずれの実施形態の場合であ ても、フィルタ1の通気度は、25~400m/(kPa・s) 特に25~150m/(kPa・s)、とりわけ30~100m/(kPa・s)で あることが、油の捕集性及び油煙等の十分な 吸引の観点から好ましい。フィルタ1の通気 は、カトーテック(株)のKES-F8-AP1(通気性試験 )にて測定される。フィルタ1の通気度は、 の構成繊維の繊維径並びにフィルタ1の坪量 び厚み等を調整することでコントロールで る。

 次に、本発明の別の実施形態を、図7を参 照しながら説明する。図7には本発明の積層 ィルタの一実施形態の分解斜視図が示され いる。本実施形態の積層フィルタ10は、捕集 層11と空間形成層12とから構成されている。 集層11としては、これまで説明してきた撥油 性を有しているフィルタ1が用いられる。捕 層11と空間形成層12とは、接合一体化されて るか、又は非接合状態で積層されている。 集層11と空間形成層12とが接合一体化されて いる場合、両者の接合方法としては、これら の層の構成材料等に応じ、接着剤による接着 や熱の作用による融着、及び超音波による融 着等の公知の接合手段が採用される。

 積層フィルタ1は、図8に示すように、遮 部21を有するフィルタ取り付け部材20に取り け部材に取り付けられて使用されるもので る。フィルタ取り付け部材20としては、例 ばレンジフードに設置されているグリスフ ルタや、エアコンや排気ダクト等に備えら ている格子状又はその他の形状の取り付け 材等が挙げられる。フィルタ取り付け部材20 における遮蔽部21とは、フィルタ取り付け部 20におけるフィルタを支持するための部位 ことである。この部位は流体の通過を遮蔽 るので、本発明において遮蔽部21と呼んでい る。例えばフィルタ取り付け部材20がグリス ィルタである場合、グリスフィルタはバッ ル型とメッシュ型に大別されるところ、バ フル型グリスフィルタのバッフル板が上述 遮蔽部に該当する。メッシュ型の場合、パ チングメタルやエキスパンドメタルの金属 分が遮蔽部に該当する。エアコンや排気ダ ト等に備えられている取り付け部材におけ 遮蔽部とは、例えばフィルタを支持する格 状の部位を言う。

 積層フィルタ10における捕集層11は、主と して、吸引する流体中に含まれる物質を捕集 する働きを有する層であり、上述のとおり、 これまで説明してきた撥油性を有するフィル タ1が用いられる。一方、空間形成層12は、積 層フィルタ10がフィルタ取り付け部材20に取 付けられて使用される状態において、主と て捕集層11とフィルタ取り付け部材20との間 空間を形成する働きを有する層である。積 フィルタ10は、空間形成層132が、流体吸入 下流側に位置するように配置されて使用さ る。

 本実施形態の積層フィルタ10は、嵩高で 間形成能の高い空間形成層12に特徴の一つを 有する。詳細には、図9(a)に示すように、従 のフィルタ100においては、これを、遮蔽部21 を有する取り付け部材20に取り付けると、フ ルタ100のうち、遮蔽部21に対向していない 位においては、流体の流路が短いので取り け部材20を通過するときの抵抗は小さいが( 中、Aで示す)、遮蔽部21に対向している部位 おいては、遮蔽部21によって流体の通過が げられ、遮蔽部21が存在していない部位まで 迂回しないと流体が通過できない(図中、Bで す)。その結果、流体の流路が長くなり、そ れに起因して通過抵抗が大きくなる。この理 由により、従来のフィルタ100では、目的物を 捕集するのに十分な流体の速度を確保するこ とが容易ではなかった。これに対して、図9(b )に示すように、本実施形態の積層フィルタ10 においては、これを、遮蔽部21を有する取り け部材20に取り付けると、捕集層11と取り付 け部材20の遮蔽部21との間に、空間形成層12に 起因する空間Sが形成される。この空間Sの存 によって、積層フィルタ10のうち、遮蔽部21 に対向している部位においても、流体は空間 Sをショートカットして取り付け部材20を容易 に通過できる。その結果、流体の流路長を図 9(a)に示す場合よりも短くできるので(図9(b)中 、B’で示す)、通過抵抗の増大を防止できる この理由により、本実施形態の積層フィル 10によれば、捕集層11の目を細かくしても、 目的物を捕集するのに十分な流体の速度を確 保することが可能となる。また、この理由か ら、空間形成層13は捕集層11と比較して充填 が低く通気度の高い疎な構造であることが 適である。つまり本実施形態の積層フィル 10は、流体吸入の上流側が密(つまり繊維密 が高い)で、下流側(フィルタ取り付け部側) 疎(つまり繊維密度が低い)な層構造を持つフ ィルタであることが好適である。

 本実施形態における空間形成層12の空間 成能は充填率で表される。充填率とは、空 形成層12の見掛けの体積中に占める、該空間 形成層12の構成材料の体積の割合(%)である。 填率はその値が小さいほど、空間形成層12 空間形成能が高いと判断される。

 空間形成層12は、その材質によっては、 体を濾過するときの吸引力によって厚み方 に圧縮され、その充填率が高くなることが る。このことは、十分な流体の速度を確保 る観点からマイナスに作用する。したがっ 空間形成層12には、それに吸引力が作用して も十分な空間を確保できることが必要とされ る。この観点から、本実施形態においては空 間形成層12の充填率を0.3kPa荷重下で評価する ととしている。この荷重下での充填率が1~7% 、好ましくは1~3%であれば、積層フィルタ10の 実使用において、吸引力が作用した状態でも 流体の速度低下を十分に防止することが可能 となる。

 上述した図9(a)及び(b)に関する説明から明 らかなように、空間形成層12は、その充填率 低いことに加えて、空間S自体を十分に確保 しないと、流体の速度低下を十分に防止する ことができない。本発明者らが検討した結果 、0.3kPa荷重下での空間形成層12の厚みを1~12mm 好ましくは1.3~5mmに設定することで、上述し た流体の流路長を十分に短くすることができ ることが判明した。0.3kPa荷重下での空間形成 層12の厚みが1mm未満では、空間形成層12の空 率を前記の範囲内に設定したとしても、流 の流路長を十分に短くすることができない 空間形成層12の厚みは、積層フィルタ10が装 される取り付け部材の遮蔽部の形状によっ も変化するが、およそ5mm程度で流体の速度 上限に達する。それ以上厚みを上げても流 の速度にマイナスに作用することはないが 必要以上の厚みを持たせることは実用的で なく、積層フィルタ10の厚みが無用に大き なるので、その上限は12mmとした。

 0.3kPa荷重下での空間形成層12の充填率及び みは以下の方法で測定される
〔厚みの測定法〕
 積層フィルタ10に0.3kPaの荷重を加えた状態 、顕微鏡を用いて積層フィルタ10の側面を観 測する。空間形成層12の厚みを目視で10点測 し、それらを平均した値を空間形成層12の厚 みとする。
〔充填率の測定法〕
 以下の式を用いて算出する。
充填率(%)={空間形成層の坪量(g/m 2 )}×100/{構成繊維の密度(g/m 3 )×空間形成層の厚み(m)}
 ここで坪量は、単位面積あたりの空間形成 12のシート重量である。厚みは前述した〔 みの測定法〕により測定する。

 空間形成層12は、上述のとおり捕集層11と フィルタ取り付け部材20との間に空間を形成 るための働きを有するものであるところ、 の働きに加え、捕集層11の支持体としての きも有することが、積層フィルタ10の取り扱 い性が良好になる点から好ましい。この観点 から、空間形成層12は、外力が加わったとき 変形しづらい性質のものであることが好ま い。このような性質について本発明者らが 討した結果、空間形成層12はその破断強度 高いことが有利であることが判明した。ま 、空間形成層12はその伸度が低いことが有利 であることが判明した。具体的には、空間形 成層12の破断強度に関しては、この値が1~150N/ 25mm、特に3~100N/25mmであることが好ましい。伸 度に関しては、0.5N/25mmの引張応力を加えたと きの伸度が1~15%、特に1~8%であることが好まし い。破断伸強度及び伸度は、空間形成層12の 械方向(MD)及び幅方向(CD)のいずれか一方に いて前記の範囲を満たしていることが好ま く、両方向において前記の範囲を満たして ることが更に好ましい。MDとは、空間形成層 12の製造時における流れ方向である。CDとは MDと直交する方向である。

 空間形成層12の破断強度及び伸度は次の方 で測定される。
〔破断強度の測定法〕
 積層フィルタ10から空間形成層12を剥離して 、MDに100mm、該MDと直交する方向であるCDに25mm の寸法の長方形形状の測定片を切り出す。こ の切り出された長方形形状の測定片を測定サ ンプルとする。この測定サンプルを、そのMD 引張方向となるように、引張試験機のチャ クに取り付ける。チャック間距離は50mmとす る。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サン プル破断までの最大荷重点をMDの破断強度と る。また、積層フィルタ10から空間形成層12 を剥離して、CDに100mm、MDに25mmの寸法の長方 形状の測定片を切り出し、これを測定サン ルとする。この測定サンプルを、そのCD方向 が引張方向となるように引張試験機のチャッ クに取り付ける。上述したMDの破断強度の測 方法と同様の手順によってCDの破断強度を める。
〔伸度の測定法〕
 MD及びCDに関し、上述した〔破断強度の測定 法〕と同様の手順で測定サンプルを用意し、 その測定サンプルを引張試験機のチャックに 取り付けて引っ張る。このときの条件も、上 述した〔破断強度の測定法〕と同様である。 荷重値が0.5Nのときにおける伸長した測定サ プルの長さを測定し、下記式から0.5N/25mm荷 時の伸度を求める。
  伸度(%)={(伸長時の長さ-50)/50}×100

 空間形成層12は、それ単独で測定された 気性の程度が、400~1000m/(kPa・s)、特に500~1000m/ (kPa・s)であることが、流体の速度を十分に高 め得る点から好ましい。空間形成層12の通気 は、カトーテック(株)のKES-F8-AP1(通気性試験 機)にて測定される。空間形成層12の通気度は 、その坪量や厚み、あるいは空間形成層12が 維材料からなる場合にはその構成繊維の繊 径等を調整することでコントロールできる 具体的には、繊維径が太いほど、坪量が低 ほど、厚みが高いほど通気度は向上する。

 空間形成層12は、嵩高な空間を形成し得 材料から構成されていることが好ましい。 の観点から、空間形成層12は、繊維シート、 及び発泡体等の多孔質体から構成されている ことが好ましい。空間形成層12が繊維シート ら構成されている場合、該繊維シートとし は不織布、織布、編み物地、ネット材料又 これらの複合材料等を用いることができる 積層フィルタ10は一般に使い切りされるも なので、経済性を考慮すると繊維シートと て不織布を用いることが好ましい。

 不織布は、その製造方法に応じて目の粗 ものや目の詰まったものが得られる。また 強度の高いものや低いものが得られる。空 形成層12に要求される上述の種々の特性を 慮すると、繊維シートとして不織布を用い 場合には、目が粗くかつ強度の高い不織布 あるスパンボンド不織布を用いることが好 しい。

 繊維シートとして不織布を用いる場合、そ 坪量は10~50g/m 2 、特に10~30g/m 2 であることが、空間形成層12の通気性を十分 高める点から好ましい。

 また、繊維シートとして不織布を用いる 合、該不織布として、立体的な二次加工が されたものを用いることも好ましい。これ よって、上述の充填率を容易に達成するこ が可能となる。立体的な二次加工としては 互いに噛み合い形状となっている一対のエ ボスロール間で加熱下に又は非加熱下に不 布を凹凸賦形する加工であるスチールマッ エンボス加工が一例として挙げられる。ま 、凹凸賦形部材上に載置された不織布に、 圧水流等の高圧流体を吹き付けて、該凹凸 形部材に対応した形状の凹凸を賦形する立 賦形方法も用いることができる。更に、本 願人の先の出願に係る特開2004-174234号公報 図2ないし図5に記載の装置を用いた立体賦形 方法も用いることができる。

 空間形成層12として特に好ましく用いら る繊維シートは、スパンボンド不織布をス ールマッチエンボス加工によって立体賦形 たものや、ネット材料にスチールマッチエ ボス加工によって立体賦形したものである これらのシートは、構成繊維の目が粗く、 つ充填率が低いという特徴を有している。 た、このシートは破断強度が高く、かつ伸 が低いという特徴を有している。

 空間形成層12として発泡体等の多孔質体 用いる場合、該多孔質体としてはポリウレ ン製の発泡体が挙げられる。かかる発泡体 、構成繊維の目が粗く、かつ充填率が低い いう特徴を有している。また、破断強度が く、かつ伸度が低いという特徴を有してい 。そのような発泡体の具体例としては、三 元構造の骨格組織を有するポリウレタン製 発泡体であるブリジストン製のエバーライ (登録商標)SF・HR-08やSF・HR-13等が挙げられる

 以上のとおり、空間形成層12は、主とし 捕集層11とフィルタ取り付け部材20との間に 間を形成する働きを有するところ、積層フ ルタ10を例えば換気扇又はレンジフードに り付けて使用される防汚フィルタとして用 た場合には、フィルタ取り付け部材20である グリスフィルタの汚れ防止という働きも有す る。この理由は、捕集層11において捕集され 油煙等が、積層フィルタ10の厚み方向に移 する場合、嵩高で毛管力の弱い空間形成層11 に阻まれてグリスフィルタにまで到達しづら いからである。この観点から、本実施形態の 積層フィルタ10は、換気扇又はレンジフード の防汚フィルタとして特に好適である。

 捕集層11としては、上述したフィルタ1が いられる。捕集層11として用いられるフィ タ1は、流体の通過性を低下させずに、かつ 的物を十分に捕集できる程度の目の細かさ 有しているものを用いることが好ましい。 の観点から、捕集層11を、構成繊維の繊維 が7μm以上35μm未満、好ましくは10~25μmの繊維 シートから構成する。かかる繊維シートとし ては、不織布を用いることが好ましい。

 不織布からなる捕集層11は、その坪量が20~15 0g/m 2 、特に20~100g/m 2 であることが好ましい。またその厚み(0.3kPa 重下)は0.5~10mm、特に1~5mmであることが好まし い。更に捕集層11は、その単独での通気度が 25~400m/(kPa・s)、特に30~400m/(kPa・s)、とりわけ 30~100m/(kPa・s)であることが、換気扇及びレン フードの風速を十分に確保し、同時に捕集 、防汚性を確保するために好ましい。捕集 11の通気度は、カトーテック(株)のKES-F8-AP1( 気性試験機)にて測定される。捕集層11の通 度は、その坪量や厚み、あるいは捕集層11 繊維材料からなる場合にはその構成繊維の 維径等を調整することでコントロールでき 。具体的には、繊維径が太いほど、坪量が いほど、厚みが高いほど通気度は向上する しかし、これらは捕集性の観点からは逆に く。つまり、繊維径が太いほど、坪量が低 ほど、厚みが高いほど捕集率は低下する。 のことから、通気度が高すぎると逆に捕集 が低下するため、ここでは通気度の上限を40 0m/(kPa・s)とした。

 空間形成層12として凹凸加工を施したス ンボンド不織布を用いる場合、捕集層11は、 その各面が平面状であることが望ましい。つ まり、捕集層11の各面は凹凸を有していない とが望ましい。この理由は、捕集層11の各 が平面状であることで、凹凸状のスパンボ ド不織布によって形成される空間を十分に かすことができるからである。また、捕集 11の各面が平面状である方が、該捕集層11の 造上の加工が行いやすく、また扱いが容易 ので、空間形成層12との複合も容易である 更に、捕集層11の各面が平面状であると、該 捕集層11に後加工を施さなくて良いので、後 工に起因する厚みの低下による通気度の低 を招かず、またコストの面でも有利である

 積層フィルタ10を、例えば換気扇又はレ ジフードに取り付けて使用される防汚フィ タとして用いる場合には、捕集層11として、 外方を向く第1層と、空間形成層12の側を向く 第2層とを有し、第2層の構成繊維の表面が撥 性を有しているものを用いることが、油滴 裏抜けが効果的に防止されるので好ましい また、空間形成層12に撥油加工を施すか、 の構成繊維に撥油性を有しているものを用 ることが、油滴の裏抜けが効果的に防止さ るので好ましい。この理由は、図3に示すフ ルタ1の説明に関して既に述べたとおりであ る。

 撥油処理した空間形成層12は、例えば次 方法で製造できる。すなわち、上述した撥 性繊維からなるスパンボンド不織布、又は パンボンド不織布に撥油加工を施したもの 、スチールマッチエンボス加工を施し凹凸 にすることで、撥油処理した空間形成層12を 製造できる。

 以上の構成を有する本実施形態の積層フ ルタ10は、上述したとおり、換気扇又はレ ジフード用の防汚フィルタとして特に有用 あり、その他にエアコン用フィルタや排気 ダクトのフィルタ等の気体用フィルタとし 有用である。また、浴室の排水溝用防汚フ ルタ、浄水器用フィルタを始めとする各種 液体用のフィルタとしても用いることがで る。本実施形態の積層フィルタ10においては 、空間形成層12よりも捕集層11の方が低通気 なので、積層フィルタ10の通気性は捕集層11 通気性によって支配される。したがって、 層フィルタ10の通気度は、捕集層11の通気度 と実質的に同じになる。

 以上、本発明をその好ましい実施形態に づき説明したが、本発明は前記実施形態に 限されない。例えば前記の各実施形態にお ては、フィルタ1の平面視においてその全域 にわたって撥油性を有する繊維が存在してい たが、これに代えて、フィルタ1の平面視に いて、撥油性を有する繊維が部分的に偏在 るようにフィルタを構成してもよい。フィ タ1の平面視においてその全域にわたって撥 性を有する繊維が存在している場合、図2、 図4及び図6に示す実施形態のほか、図10(a)及 (b)に示すような態様で撥油性を有する繊維F1 を存在させてもよい。

 また図6(a)に示す実施形態のフィルタ1に いては、繊維集合体を支持体2の片面にのみ してもよい。

 以下、実施例により本発明を更に詳細に 明する。しかしながら本発明の範囲はかか 実施例に制限されない。特に断らない限り %」は「重量%」を意味する。

  〔実施例1〕
 図6(a)に示すフィルタを製造した。ポリエチ レンテレフタレート繊維(繊維径12μm、繊維長 50mm)を原料とし、常法のカード法を用い坪量5 0g/m 2 の繊維ウエブを得た。支持体としてポリプロ ピレン製の格子状ネット(繊維間距離8~10mm、 径200~300μm、坪量5g/m 2 )を用い、その上下に該繊維ウエブを重合し 後、水圧1~5MPaの条件で複数のノズルから噴 した高圧ジェット水流で絡合一体化させ、 パンレース不織布を得た。

 旭硝子製のフッ素樹脂エマルジョンであ アサヒガード(登録商標)AG-7000(固形分20%)を で100倍に希釈し、固形分0.05%の液とした。前 記で得られた不織布の重量に対し、この液を 約500%塗布した。その後、電気乾燥機で乾燥 せてフッ素処理を完了させた。このように て、フッ素樹脂として0.25%(対繊維重量)付着 せた。得られたフィルタの厚みは1.3mmであ た。またフィルタの通気度は30m/(kPa・s)であ た。

  〔実施例2ないし4及び比較例1ないし5〕
 繊維ウエブの構成繊維の繊維径、繊維ウエ の坪量及びフッ素樹脂の付着量を表1に示す 値とする以外は実施例1と同様にしてフィル を得た。得られたフィルタの厚み及び通気 は表1に示すとおりであった。

  〔実施例5及び6〕
 実施例1で作製したスパンレース不織布を用 い、アルキルグルコシドである花王マイドー ル124(登録商標)の5%水溶液、及びラウラミド ロピルベタインである花王アンヒトール20AB( 登録商標)の1%水溶液に該不織布をそれぞれ含 浸させて乾燥させフィルタを得た。得られた フィルタの厚み及び通気度は表1に示すとお であった。

 〔実施例7〕
 図1に示すフィルタを製造した。宇部日東製 の超撥油不織布用原綿、UCファイバー HR-PLE( 維径16μm、繊維長51mm)を原料とし、常法のカ ード法を用い坪量42g/m 2 の繊維ウエブを得た。ウエブを140℃の熱風で 処理し繊維同士を熱融着によりシート化させ 、エアスルー不織布を得た。得られたフィル タの厚み及び通気度は表1に示すとおりであ た。

  〔評価〕
 実施例及び比較例で得られたフィルタにつ て、油の捕集性、グリスフィルタの防汚性 びフィルタ裏側の外観を以下の方法で評価 た。その結果を表1に示す。

  〔油の捕集性〕
 財団法人ベターリビングが公表している優 住宅部品性能試験方法書における換気ユニ ト(台所ファン)フィルタの油捕集効率試験(B LT VU-08)を参考にして、試験順序を以下のよ に行った。図11にこの試験状態を示す。
 1.コンロの上にのせたフライパンに食用油12 .5g入れて1分間熱する。
 2.上方より、水滴を200g/25分で滴下し油煙を 生させる。
 3.発生した油煙を換気扇で排気する。
 4.排気する際にフィルタで油分を捕集する
 5.1回の試験時間は、30分とし、3回行って平 値を用いる。
 6.フィルタの油捕集率は、以下の式(1)から 出し、3回の測定の平均値を用いる。
 なお、レンジフードに到達した油量は、フ イパンに入れた油量から試験後フライパン 残った油量、レンジ周りに飛び散った油量 差し引いて計算した。

  〔グリスフィルタの防汚性〕
 前記の油の捕集性試験後のレンジフードに いて、フィルタを取り除きグリスフィルタ 汚れ具合を目視して、下記の3段階で評価し た。
 ○ グリスフィルタに油が付着していない
 △ グリスフィルタに油が若干付着してい 。
 × グリスフィルタに油が多量に付着してい る。

  〔フィルタ裏側の外観〕
 以下の基準で評価した。
 ◎ 変化なし。
 ○ 僅かに着色した。
 △ 少し着色した。
 × かなり着色した。

  〔実施例8及び9〕
 実施例1において2つの繊維ウエブのうちの 方の繊維ウエブの構成繊維をフッ素処理し 。フッ素樹脂の付着量は表2に示す値とした これら以外は実施例1と同様にして図6(a)に すフィルタを得た。得られたフィルタの厚 及び通気度は表2に示すとおりであった。ま 得られたフィルタについて、実施例1と同様 の評価を行った。その結果を表2に示す。な 実施例8においては、フッ素処理した繊維の をレンジ側に配して評価を行った。実施例9 においては、フッ素処理した繊維の側をファ ン側に配して評価を行った。

  〔実施例10〕
 図2に示す、厚み方向の片面側のみ撥油繊維 を配したフィルタを製造した。ダイワボウ製 PP/低融点PP難燃芯鞘型複合繊維(繊維径16μm、 維長51mm)を原料とし、常法のカード法を用 坪量30g/m 2 の繊維ウエブを得た。これとは別に、宇部日 東製の超撥油不織布用原綿、UCファイバー HR -PLE(繊維径16μm、繊維長51mm)を原料とし、常法 のカード法を用い坪量20g/m 2 の繊維ウエブを得た。これらのウエブを重合 した後、140℃の熱風で処理し熱融着により複 合しシート化させ、エアスルー不織布を得た 。この不織布をフィルタとして用いた。得ら れたフィルタの厚み及び通気度は表2に示す おりであった。また得られたフィルタにつ て、実施例1と同様の評価を行った。その結 を表2に示す。なお実施例10においては、撥 繊維の側をレンジ側に配して評価を行った

  〔実施例11〕
 図5に示すフィルタを製造した。2つの外層 して、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊 径12μm、繊維長50mm)を原料とし、常法のカー ド法を用いて得られた坪量15g/m 2 の繊維ウエブを用いた。中間層として、フッ 素処理したポリエチレンテレフタレート繊維 (繊維径12μm、繊維長50mm)を原料とし、常法の ード法を用いて得られた坪量20g/m 2 の繊維ウエブを用いた。中間層のフッ素処理 量は表2に示した。これらの繊維ウエブを重 した後、水圧1~5MPaの条件で複数のノズルか 噴出した高圧ジェット水流で絡合一体化さ 、スパンレース不織布を得た。この不織布 フィルタとして用いた。得られたフィルタ 厚み及び通気度は表2に示すとおりであった また得られたフィルタについて、実施例1と 同様の評価を行った。その結果を表2に示す

  〔実施例12及び13〕
 図4に示すフィルタを製造した。片方の繊維 ウエブとして、ポリエチレンテレフタレート 繊維(繊維径16μm、繊維長50mm)を原料とし、常 のカード法を用いて得られた坪量30g/m 2 の繊維ウエブを用いた。もう片方の繊維ウエ ブとして、宇部日東製の超撥油不織布用原綿 、UCファイバー HR-PLE(繊維径32μm、繊維長51mm) を原料とし、常法のカード法を用いて得られ た坪量15g/m 2 又は25g/m 2 の繊維ウエブを用いた。支持体としてポリプ ロピレン系の格子状ネット(繊維間距離8~10mm 線径200~300μm、坪量5g/m 2 )を用いた。この支持体の上下に、前記の各 維ウエブを重合した後、水圧1~5MPaの条件で 数のノズルから噴出した高圧ジェット水流 絡合一体化させ、その後120℃で60分間乾燥さ せ、スパンレース不織布を得た。この不織布 をフィルタとして用いた。得られたフィルタ の厚み及び通気度は表3に示すとおりであっ 。また得られたフィルタについて、実施例1 同様の評価を行った。その結果を表3に示す 。なお実施例12及び13においては、撥油繊維 側をレンジ側に配して評価を行った。

  〔実施例14〕
 図4に示すフィルタを製造した。片方の繊維 ウエブとして、ダイワボウ製PP/低融点PP難燃 鞘型複合繊維を原料とし、常法のカード法 用いて得られた坪量30g/m 2 の繊維ウエブを用いた。もう片方の繊維ウエ ブとして、フッ素処理をしたPPスパンボンド 織布(繊維径32μm)を用いた。前記ウエブとフ ッ素処理PPスパンボンド不織布とを重合した 、140℃の熱風で処理し熱融着により複合し ート化させ不織布を得た。この不織布をフ ルタとして用いた。得られた不織布の厚み び通気度は表3に示すとおりであった。また 得られたフィルタについて、実施例1と同様 評価を行った。その結果を表3に示す。なお 施例14においては、撥油繊維の側をレンジ に配して評価を行った。

  〔実施例15〕
 図4に示すフィルタを製造した。片方の繊維 ウエブとして、フッ素処理したポリエチレン テレフタレート繊維(繊維径16μm、繊維長50mm) 原料とし、常法のカード法を用いて得られ 坪量20g/m 2 の繊維ウエブを用いた。もう片方の繊維ウエ ブとして、ポリエチレンテレフタレート繊維 (繊維径16μm、繊維長50mm、フッ素処理なし)を 料とし、常法のカード法を用いて得られた 量20g/m 2 の繊維ウエブを用いた。支持体としてポリプ ロピレン系の格子状ネット(繊維間距離8~10mm 線径200~300μm、坪量5g/m 2 )を用いた。この支持体の上下に、前記の各 維ウエブを重合した後、水圧1~5MPaの条件で 数のノズルから噴出した高圧ジェット水流 絡合一体化させ、その後120℃で60分間乾燥さ せ、スパンレース不織布を得た。この不織布 をフィルタとして用いた。得られたフィルタ の厚み及び通気度は表4に示すとおりであっ 。また得られたフィルタについて、実施例1 同様の評価を行った。更に、以下の方法で 保持量を測定した。それらの結果を表4に示 す。なお本実施例においては、撥油繊維の側 をファン側に配して評価を行った。

  〔油保持量の測定〕
 油の捕集性を評価した後のフィルタを、縦1 0cm、横10cmに切り試料を作製する。この試料 、サラダ油(日清キャノーラ油)を入れたバッ ト内に静かに入れて30秒間放置する。この操 をフィルタの表裏面について行う。次いで フィルタをバットから取り出し、垂直状態 吊し8時間保持して油を切る。その後、フィ ルタの重量を測定し、その重量と初期の重量 との差を算出して、その値を油保持量とする 。

  〔実施例16〕
 実施例15において、2つの繊維ウエブとして フッ素処理したポリエチレンテレフタレー 繊維を原料とするものを用いた。それ以外 実施例15と同様にしてフィルタを得た。得 れたフィルタの厚み及び通気度は表4に示す おりであった。また得られたフィルタにつ て、実施例15と同様の評価を行った。その 果を表4に示す。

  〔比較例6〕
 実施例15において、2つの繊維ウエブとして フッ素処理していないポリエチレンテレフ レート繊維を原料とするものを用いた。そ 以外は実施例15と同様にしてフィルタを得 。得られたフィルタの厚み及び通気度は表4 示すとおりであった。また得られたフィル について、実施例15と同様の評価を行った その結果を表4に示す。

 表1及び表2に示す結果から明らかなように 各実施例のフィルタは、油の捕集性が高く グリスフィルタの防汚性が高いことが判る これに対して、撥油性の繊維を使用してい い比較例1ないし3のフィルタや、撥油性の繊 維を使用していても、太い繊維を用いている 比較例4及び5のフィルタでは、油の捕集性や グリスフィルタの防汚性に劣るものであっ 。また、実施例8ないし14の結果から明らか ように、全面を撥油処理しなくても、片面 は中間の領域のみを撥油処理することで、 リスフィルタの防汚性を発現させられるこ が判る。更に、表3に示す結果から明らかな ように、片面側に配される撥油繊維として32 m程度の比較的太い繊維を使用しても、該撥 繊維を含む繊維層の坪量が15g/m 2 以上であれば、油成分の濡れ拡がりを防ぐ効 果があり、グリスフィルタ防汚性が発現する ことが判る。その効果は、スパンボンド不織 布などの長繊維で構成された不織布を繊維層 として用いた場合も同様である。また、表4 示す結果ら明らかなとおり、空気流入側に 油性の繊維が含まれていないフィルタ(実施 15)は、油捕集後においても、更に油が浸透 てこれを保持することができることが判る これに対して、構成繊維全体が撥油性の繊 からなるフィルタ(実施例16)では、油捕集後 においては、もはや油がフィルタの内部に浸 透しないので、油保持量が少なくなってしま う。

  〔実施例17〕
 図7に示す積層フィルタ10を次の方法で製造 た。
(1)捕集層11の製造
 ポリプロピレン繊維(繊維径17μm、繊維長51mm )を原料とし、常法のカード法を用い坪量25g/m 2 の繊維ウエブを得た。支持体としてポリプロ ピレン製の格子状ネット(繊維間距離8~10mm、 径200~300μm、坪量5g/m 2 )を用い、その上下に該繊維ウエブを重合し 後、水圧1~5MPaの条件で複数のノズルから噴 した高圧ジェット水流で絡合一体化させ、 パンレース不織布を得た。ただし、一方の 維ウエブにはフッ素樹脂加工を施した。フ 素樹脂加工は、次の方法で行った。旭硝子 のフッ素樹脂エマルジョンであるアサヒガ ド(登録商標)AG-7000(固形分20%)を水で100倍に希 釈し、固形分0.05%の液とした。前記で得られ 不織布の重量に対し、この液を約500%塗布し た。その後、電気乾燥機で乾燥させてフッ素 処理を完了させた。このようにして、フッ素 樹脂として0.25%(対繊維重量)付着させた。
(2)空間形成層の製造
 坪量23g/m 2 のスパンボンド不織布を製造した。この不織 布は、ポリプロピレン繊維(繊維径6.6dtex)から 構成されていた。この不織布を、スチールマ ッチエンボス加工に付して立体賦形した。立 体賦形後の不織布の充填率は、0.3kPa荷重下に おいて1.3%、厚みは同荷重下において1.9mmであ った。また、通気度は650m/(kPa・s)であった。
(3)積層フィルタ10の製造
 得られた捕集層11と空間形成層12とを重ね合 わせた。このとき、捕集層11におけるフッ素 理した層を空間形成層12と対向させた。こ 状態下に、超音波エンボスによって両者を 解融着し一体化した。これによって目的と る積層フィルタ10を得た。

  〔評価A〕
 実施例17で得られた積層フィルタについて これを日立レンジ用フードファングリスフ ルター、VP-60GFSに取り付けた。積層フィルタ を直接レンジフードに装着して風速を測定す ると、ダクト内外の気圧差やフードの隙間な どが原因で、測定誤差が大きくなってしまう ため、図12に示すように、レンジフードを模 た装置を用いて風速測定を行った。ブロア には昭和電気製、EC-100T-R313を用いた。その 方に口径直径14cm(面積154cm 2 )、長さ60cmの筒を取り付け、その筒の内部に けるブロアーから57cm風上にグリスフィルタ 及び積層フィルタを設置した。風速の測定に は、日本カノマックス株式会社製の風速測定 機モデル6541を用いた。測定は、フィルタの 心から3cm風上側(ブロアーから60cm風上側)で った。結果を以下の表5に示す。参考例1とし て、積層フィルタを取り付けず、グリスフィ ルタのみの場合の風速も測定した。

  〔評価B〕
 実施例17で得られた積層フィルタについて グリスフィルタの防汚性を、先に述べた図11 に示す方法で評価した。その結果を表5に示 。なお、参考例1として、積層フィルタを取 付けず、グリスフィルタのみの場合の防汚 も評価した。

  〔評価3〕
 積層フィルタは、グリスフィルタの防汚性 同時に、ある程度の風速を確保することが 要である。風速が低すぎると、排気能力が 下し、レンジフード本体が汚染される。換 扇やレンジフードがその機能を十分に発揮 るためには0.4m/s以上、好ましくは0.6m/s以上 風速が必要である。防汚性及び確保できる 速のどちらか一方でも欠けていても、フィ タとしての能力は十分ではない。そこで、 記の3段階で積層フィルタの総合的な能力を 評価した。結果を表5に示す。なお、参考例1 して、積層フィルタを取り付けず、グリス ィルタのみの場合の総合的な能力も評価し 。
◎:防汚性が高く、かつ0.6m/s以上の風速を確 できている。
○:防汚性が高く、かつ0.4m/s以上の風速が確 できている。
△:防汚性が高いが、風速が0.4m/s未満である 、又は風速は0.4m/s以上であるが、防汚性が い。
×:防汚性が低く、かつ風速が0.4m/s未満である 。

 以上、詳述したとおり、本発明によれば 油煙等に含まれる油成分の裏抜けが起こり くくなる。その結果、フィルタで捕集した 成分がグリスフィルタを汚すことを防ぎ、 除の手間を省くことができる。

 また、本発明によれば、従来はトレード フの関係にあると考えられてきたフィルタ 通気性と対象物の捕集率とを同時に高める とができる。