NEROME KUNIAKI (JP)
WO2000047215A2 | 2000-08-17 |
JP2005289963A | 2005-10-20 | |||
JPS6322025A | 1988-01-29 | |||
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ナリゴシド、オレアンドリゲニン サルメントシド、オレアシドA、オレアンドリン、8β-ヒドロキシオドロシドA、ナルシクラシン、trans-ジヒドロナルシクラシン及びビスデオキシナルシクラシンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする抗腫瘍剤。 |
ナリゴシド、オレアンドリゲニン サルメントシド、オレアシドA、オレアンドリン及び8β-ヒドロキシオドロシドAからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の抗腫瘍剤。 |
ナルシクラシン、trans-ジヒドロナルシクラシン及びビスデオキシナルシクラシンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の抗腫瘍剤。 |
他の植物成分を含有しない請求項1~3のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。 |
大腸癌、胃癌又は肺癌を治療するための請求項1~4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。 |
抗腫瘍剤を調製するための単離されたナリゴシド、オレアンドリゲニン サルメントシド、オレアシドA、オレアンドリン、8β-ヒドロキシオドロシドA、ナルシクラシン、trans-ジヒドロナルシクラシン及びビスデオキシナルシクラシンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の使用。 |
請求項1~4のいずれか1項記載の化合物を含有する食品。 |
本発明は、抗腫瘍剤、特に、植物から単離
れた化合物を含有し、ヒトの大腸癌、胃癌
び肺癌に対して優れた効果を有する抗腫瘍
、及び食品に関するものである。
(発明の背景)
医療技術が進歩し、高齢化が高進されてい
現在において、癌は依然として重大な病気
して存在している。もちろん、癌の治療技
も大いに進歩し、合成医薬、漢方、天然物
らの抽出物などをベースとする数多くの医
が開発されている。合成医薬に対して、天
物からの抽出物は副作用の点で優れており
例えば、西洋イチイからタキソールが発見
れ、抗癌剤の有効成分として用いられてい
(特開昭63-30478号公報や特開平7-233064号公報
ど)が、その副作用は依然として大きいもの
ある。
本発明は、植物成分から単離された化合物
有効成分とする、抗腫瘍活性が高く、副作
が少ない抗腫瘍剤を提供することを目的と
る。
本発明は、又、上記化合物を含有する食品
提供することを目的とする。
本発明は、植物成分における抗癌物質を探
している過程で、種々の植物からの抽出物
、in vitro 及びin vivo で癌細胞を強く殺傷
ること、特に、ヒトの大腸癌、胃癌及び肺
細胞を殺傷し、かつこれらの植物の抽出物
高い希釈においても癌細胞を殺傷すること
見出し、このうち、キョウチクトウ及びシ
ウキズイセンの抽出物から単離した特定の
合物が、優れた腫瘍治療効果を有し、副作
が少ないとの知見に基づいてなされたので
る。
すなわち、本発明は、ナリゴシド、オレア
ドリゲニン サルメントシド、オレアシドA
オレアンドリン、8β-ヒドロキシオドロシド
A、ナルシクラシン、trans-ジヒドロナルシク
シン及びビスデオキシナルシクラシンから
る群から選ばれる少なくとも1種を含有する
とを特徴とする抗腫瘍剤を提供する。
本発明は、又、上記化合物を含有する食品
提供する。
本発明で用いるキョウチクトウ(Nerium oleande
r L.)は、キョウチクトウ科 (Apocynaceae)に属す
る植物である。又、ショウキズイセン(Lycoris
traubii Hayward)は、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
属する植物である。
本発明では、先ず、上記植物の葉、花、実
茎及び(球)根を、例えば、乾燥し、粉砕し
後、又は未乾燥の生の状態で、水、例えば
蒸留水やイオン交換水で、又は親水性若し
は疎水性有機溶媒で抽出する。ここで用い
有機溶媒としては、酢酸エチル、四塩化炭
、クロロフォルム、ジクルロメタン、メタ
ール、エタノール、(イソ)プロピルアルコー
ル、ブタノール、アセトン又はDMSOがあげら
る。ここで親水性溶媒は、含水形態で用い
こともできる。使用する水や溶媒の量は任
とすることができるが、5分の1~5倍量で用い
のがよく、特に約等量で用いるのが好まし
。又、抽出は、60℃以下であるのがよく、
らに室温で行うのが好ましく、特に、ミキ
ーなどで攪拌しながら行うのがよい。
本発明ではこのようにして得た抽出物から
高速液体クロマトグラフィーなどを用いて
有効成分を単離し、単離した物質について
腫瘍を確認し、効果の高いものを選び、NMR
どにより、その構造を確認して、上記8種の
化合物を得た。これらの詳細は次の通りであ
る。
ここで、ナリゴシド(Narigoside:化合物1)は、
子式がC 32
H 48
O 9
であり、CASRegistry Numberが508-22-5であり、下記
の構造式を有するCard-20(22)-enolide, 16-(acetyloxy)
-3-[2,6-dideoxy-3-O-methyl-beta-D-lyxo-hexopyranosyl)oxy]-14
-hydroxy-(3.beta.,5.beta.,16.beta)-(9CI)である。
化合物1
化合物2
化合物3
化合物4
化合物5
化合物6
化合物7
化合物8
尚、上記単離した化合物を含有する抗腫 剤とする場合、上記単離した化合物自体を 腫瘍剤とすることができるが、これらに加 て、医薬上許容される各種の製剤用物質、 えば、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、 覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、 味剤、可溶化剤等を補助剤として含むこと できる。具体的には、炭酸マグネシウム、 酸化チタン、ラクトース、マンニトール及 その他の糖類、タルク、ミルク蛋白、ゼラ ン、澱粉、セルロース及びその誘導体、動 及び植物油、ポリエチレングリコール、グ セロールなどがあげられる。
本発明の抗腫瘍剤は、経口投与によるのが
ましいが、これに限定されるものではない
本発明の抗腫瘍剤は、体重1Kg当たり、0.25~2g
程度の量で用いるのがよい。
又、上記単離した化合物を含有する食品と
る場合、健康食品や抗腫瘍活性を有する機
食品とすることができる。食品中の上記単
した化合物の量は特に限定されないが、0.00
01~0.1μg/ml程度含有させるのがよい。
本発明によれば、キョウチクトウやショウ
ズイセンから単離された成分を有効成分と
て含有することにより、抗腫瘍活性が高く
副作用が少ない抗腫瘍剤が提供される。特
、ヒトの大腸癌、胃癌及び肺癌細胞に対し
ほぼ同等に高い癌細胞殺傷活性を示し、そ
有効成分は分子量の低い物質によって構成
れていることが推定された。そして、癌細
致死効果は、陽性対照に用いたマイトマイ
ンCよりも10倍以上高いことが示された。
このように本発明によれば、各種腫瘍、特
、大腸癌、胃癌および肺癌に対して優れた
腫瘍剤が提供される。
次に本発明を実施例により詳細に説明する
実施例1
沖縄県北部地区に自生しているキョウチク
ウ科のキョウチクトウの葉と茎を無乾燥の
の状態で秤量し、包丁でほぼ数ミリ程度の
になるよう細切した。これに等重量の蒸留
を加えた上で市販の大型ミキサーを用いて
分10,000回転で10分間処理した。この混合物
15~50ml容量のプラスチック遠心管に分注し、
ックマンの遠心機(GS-15R)を用いて毎分5,000回
転で60分間遠心した。これを上記植物成分の
画総成分として、さらにザルトリウスのミ
ザルト(0.45μm)で濾過滅菌してキョウチクト
の水抽出液を得た。
この水抽出液550ml(エキス4.73g含む)を酢酸エ
ル/水で分配した。酢酸エチル層(0.53g)にヒ
癌細胞に対する増殖抑制の効果が認められ
ので、これを逆相カラムクロマトグラフィ
(担体;ODS、溶媒;水/メタノール混合溶媒、減
・吸引)で5つに分画し、活性画分(Fr.2-5)を得
た。この画分(Fr.2-5、155.0mg)について、高速液
体クロマトグラフィー(カラム;ODS,溶媒;CH 3
CN/50mM KH2PO4,pH4.8=4.5/5.5、試料負荷量3mg/50μl、
速2.0ml/min、圧力52kgf/cm 2
、検出器UV203nm Range1.0、カラム10mm×25mm、5μm(R
P18))で分離精製を進め、さらに溶媒条件を少
変えて(CH3CN/50mM KH2PO4,pH4.8=4/6)、5つの活性成
分(1.5~5.1mg)を単離した。
単離されたキョウチクトウ由来のそれぞれ
物質の分画位置を図1に示したが、単離され
た各活性成分についてNMRで測定し(H, C, H-H C
OSY, DEPT90, DEPT135, HMQC, HMBC, DFNOE)、同時にMS
ペクトル解析(APCI)も実施した。その結果、
ョウチクトウより抽出した5つの活性成分は
いずれもステロイド配糖体であり、アグリコ
ンの構造は17位に不飽和5員環ラクトンをもつ
カルデノライド型(Cardenolide)で、3位に糖分子
結合していることが明らかとなった。
比較対照
すでに抗癌剤として広く使用されている市
のマイトマイシンC(協和発酵)を1ml当たり1mg
なるよう-PBSに溶解させたものを、比較対照
として検査に供した。
細胞と培養
ヒトの大腸癌細胞(HT-29)、胃癌細胞(MKN1)及び
肺癌細胞(A549)は(財)癌研究会癌化学療法セン
ー分子薬理部の矢守隆夫博士から分与を受
、それぞれの細胞を、5%ウシ胎児血清を含
市販のRPMI-1640(GIBCO)の培地を用い25cm 2
フラスコ(イワキ)中で継代維持した。
評価用細胞の培養
直径100mmプラスチックシャーレ(イワキ)に上
記HT-29、MKN1及びA549細胞を、5%ウシ胎児血清を
含むRPMI-1640培地で培養し、2日後に細胞をマ
ナス燐酸緩衝食塩水(-PBS)で洗滌、これにト
プシン-EDTA(GIBCO)を加えて細胞を分散、次い
5%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640に浮遊させ細胞
数を算定した。上記3種の細胞濃度は10 5
cells /mlと定め、96穴(ウェル)の細胞培養用プ
スチックプレート(イワキ)の1ウェルにつき0
.1mlずつ分注した。例えば、各プレートのA列
H列、番号プレート1列と2列には培地のみ、2
番から11番、B列からG列までに各試験用細胞
分注して、37℃で24時間培養した。
評価方法
キョウチクトウから単離した物質それぞれ
1ml当り1mgとなるように100%エチルアルコール
と蒸留水を1:1の割合で加えて溶解したものと
比較対照のマイトマイシンCを血清の入って
ないGIBCOのMinimum Essential Medium(MEM)で10 -2
に希釈し、各ウェルに100μlずつ分注した。各
検体につき2列のウェルを用意し、B、C列の11
から8番目に被検体の10 -1
、10 -2
、10 -3
、10 -4
希釈液を、さらに2番、3番、4番、5番ウェル
10 -5
、10 -6
、10 -7
、10 -8
希釈液を添加、6番と7番目のウェルには培地
みを分注してそれぞれの被検体の対照とし
。同様な手順に沿って、DとE列、FとG列に被
検体の希釈液シリーズを配した。被検体を分
注して2日間培養後、各ウェルに50%のトリク
ロ酢酸(TCA)を50μl加えて4℃で1時間静置した
次に水道水を200μl加えて5回洗滌してプレー
を乾燥、それぞれのウェルにスルフォロー
ミン染色液を50μl加えて10分間静置、続いて
1%酢酸を100μlずつ加えて5回洗滌してプレート
を乾燥させた。最後に、各プレートに10mMの
リス(Tris[hydroxymethyl]aminomethane)液150μlを加え
毎分750回転で5分間振り、525nmの波長で吸光
を測定した。細胞の生存率は次のように算
した。
細胞の生存率 = 100×(各希釈点の被検体の
均吸光度-各希点に対応する培地対照の平均
吸光度)/(細胞対照の平均吸光度-各希釈点に
対応する培地対照の平均の吸光度)
大腸癌(HT-29)、胃癌(MKN1)及び肺癌(A549)細胞に
対する殺傷効果についての結果を化合物の分
子式と共に表-1に示す。
表1から明らかなように、キョウチクトウか
ら単離した物質であるステロイド配糖体(Nerig
oside, Oleandrigenin sarmentoside, Oleaside A, Oleandri
n, 8β-Hydroxyodoroside A)についてヒトがん細胞
増殖を抑制する効果が認められた。つまり
C 32
H 48
O 9
の分子式を有するNerigosideの大腸癌、胃癌に
する殺傷効果はそれぞれlog10 3.85
、log10 3.84
並びにlog10 4.28
で陽性対照に用いた抗癌薬のマイトマイシン
よりも有意義に高いことがわまる(表1)。同様
に、C 32
H 48
O 9
の分子式を有するOleadrigenin sarmentoside、C 30
H 44
O 7
の分子式のOleaside A、C 32
H 48
O 9
の分子式のOleandrin並びにC 30
H 46
O 8
の分子式を有する8β-Hydroxyodoroside Auも3つの
細胞に対して比較的高い癌細胞殺傷効果を
し、その範囲はlog10 3.10
からlog10 5.41
の50%細胞殺傷率であった。
実施例2
実施例1と同様にして得たショウキズイセン
の水抽出液2L(植物部位;球根および葉、約1kg
重)を減圧下、100mlまで濃縮した後、高速液
クロマトグラフィー(C18カラム)にかけて、24
分を得た。このうち6つの画分についてヒト
癌細胞の増殖抑制効果が認められたので、さ
らに高速液体クロマトグラフィー(C18カラム)
よる分離精製を進め、3つの活性成分を単離
した。
単離されたショウキズイセンの画分につい
、HPLCにおける分画パターンを図2に示した
、3種の物質はシャープなピークを形成して
り、物質の純度の高さを示唆した。そこで
3つの活性部分についてNMRの全システム法で
測定し、同時にMSスペクトル測定も実施した
その結果、ショウキズイセンから単離され
活性成分は、ヒガンバナ科に特徴的なリコ
ン型アルカロイドの基本骨格を持っている
とが明らかになった。このうちの2種の既知
化合物(Narciclasine,trans-dihydronarciclasine)であっ
が、残る1つは新規化合物と推定された。こ
新規化合物は、すでに知られている7-deoxynar
iciclasineの2量体と推定されBisdeoxynarciclasineと
名した。それぞれの3種の化合物の分子式を
1に示した。
尚、新規化合物であるBisdeoxynarciclasineの 13
C-NMRデータ(DMSO-d 6
中、δ)を以下に示す。
C-1: 123.6; C-2: 69.18; C-3: 72.5; C-4: 69.15; C-4
a: 52.7; C-6: 163.1; C-6a: 121.9; C-7: 106.1; C-8:
151.0; C-9: 147.7; C-10: 103.3; C-10a: 131.7; C-10b:
130.0; C-14: 101.8
ショウキズイセンからの単離物質それぞれ
水又はDMSOで1ml当り1mgとなるように溶解した
ものを用いた以外は実施例1と同様にして、
腸癌(HT-29)、胃癌(MKN1)及び肺癌(A549)細胞に対
る殺傷効果を調べた。結果を化合物の分子
と共に表-1に示す。
表1から明らかなように、ショウキズイセン
由来の3つの抗癌物質の活性の面から見た特
は全体的に高い癌細胞殺傷率を示し、明ら
に抗癌薬のマイトマイシンよりも高かった
特に注目されるのは、Narciclasine で、大腸癌
にlog10 7.71
、胃癌にlog10 6.35
、肺癌に対してはlog10 6.98
の値を示し、マイトマイシンと比較したとき
1000~10,000倍も高い抗癌活性を示した。
以上のことから、植物から単離された上 化合物(物質)を利用したさまざまな形態の 康食品、機能性食品、あるいは健康及び機 性飲料製品を開発することによって癌の予 と治療に利用できる。尚、具体的な食品と ては、ジュースなどの各種ドリンク製品、 茶類、各種御菓子、錠剤型食品、粉末状食 、健康機能食品などがあげられる。
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