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Patent Searching and Data


Title:
ANTIVIRAL SUBSTANCE, ANTIVIRAL FIBER, AND ANTIVIRAL FIBER STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104760
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: an antiviral substance effective for inactivating a virus; a fiber product carrying the antiviral substance; and a fiber structure. The antiviral substance comprises a polymer containing a maleic acid component as a monomer unit in its polymer chain, and is effective against an avian influenza virus. An antiviral fiber can be produced by mixing the copolymer with cellulose and spinning the resulting mixture.

Inventors:
MATSUSHITA MIKI (JP)
OTSUKI KOICHI (JP)
TAKAKUWA HIROKI (JP)
TSUNEKUNI RYOTA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053083
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
DAIWA SPINNING CO LTD (JP)
MATSUSHITA MIKI (JP)
OTSUKI KOICHI (JP)
TAKAKUWA HIROKI (JP)
TSUNEKUNI RYOTA (JP)
International Classes:
A01N25/34; A01N25/10; A01N37/06; A01N59/16; A01N59/20; A01P1/00; C08L1/02; C08L35/00; D01F2/10; D01F6/36; D06M11/56; A62B18/02
Domestic Patent References:
WO2005083171A12005-09-09
WO1998012924A11998-04-02
WO2005083171A12005-09-09
Foreign References:
JP2006291031A2006-10-26
JPH09225238A1997-09-02
JPH1119238A1999-01-26
JPH05132871A1993-05-28
JPH0625998A1994-02-01
JP2003205023A2003-07-22
JPS59228847A1984-12-22
JP2006328039A2006-12-07
JPH03121145A1991-05-23
JPH0813905A1996-01-16
Other References:
JOURNAL OF MACROMOLECULAR SCIENCE, CHEMISTRY, vol. A22, no. 5-7, 1985, pages 819 - 832, XP008131175
See also references of EP 2243360A4
Attorney, Agent or Firm:
KOMIYA, Yoshio et al. (JP)
Yoshio Komiya (JP)
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Claims:
 重合鎖中にモノマー単位としてのマレイン酸成分を含む高分子からなることを特徴とする抗ウイルス物質。
 該高分子が、オレフィン-マレイン酸共重合高分子、スチレン-マレイン酸共重合高分子、ビニルエステル-マレイン酸共重合高分子、酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分子、または塩化ビニル-マレイン酸共重合高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス物質。
 該高分子が、銅、銀、亜鉛、ニッケルから選ばれる金属のイオンを担持していることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス物質。
 該マレイン酸成分を含む高分子が、銅イオンを担持した酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス物質。
 請求項2に記載のマレイン酸成分を含む共重合高分子から選ばれる少なくとも一つの共重合高分子と、セルロースとが混合されていることを特徴とする抗ウイルス物質。
 請求項1に記載の抗ウイルス物質において、鳥インフルエンザウイルスに有効なことを特徴とする抗ウイルス物質。
 該鳥インフルエンザウイルスがA/whistling swan/Shimane/499/83 (H5N3)株、及びA/Turkey/Wisconsin/1/66 (H9N2)株から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項6に記載の抗ウイルス物質。
 請求項1に記載の抗ウイルス物質において、ヒトインフルエンザウイルスに有効なことを特徴とする抗ウイルス物質。
 請求項1に記載の抗ウイルス物質において、ブタインフルエンザウイルスに有効なことを特徴とする抗ウイルス物質。
 請求項1に記載の抗ウイルス物質において、ノロウイルスに有効なことを特徴とする抗ウイルス物質。
 重合鎖中にモノマー単位としてのマレイン酸成分を含む高分子からなる抗ウイルス物質を成分として含むことを特徴とする抗ウイルス繊維。
 請求項11に記載の抗ウイルス繊維を少なくとも一部に含むことを特徴とする抗ウイルス繊維構造物。
 請求項11に記載の抗ウイルス繊維を少なくとも一部に含み、衣類、寝具、布団、カーテン、壁紙、カーペット、マット、シーツ、フィルター、マスク、ワイパー、タオル、防護衣類、防護ネット、廃鶏袋、鶏舎用品、医療用シートに形づくられた抗ウイルス繊維製品。
Description:
抗ウイルス物質、抗ウイルス繊 及び抗ウイルス繊維構造物

 本発明は、ウイルスに有効な高分子から る抗ウイルス物質、抗ウイルス機能を備え 繊維に関するものである。

 近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥イ フルエンザなどのウイルス病が世界的に猛 をふるい、特にインフルエンザウイルスは 次々と新種のものが発見され、人類にとっ 脅威となっている。本来、ウイルスの宿主 は限定され、哺乳類に感染するものは哺乳 だけ、鳥類に感染するものは鳥類だけとい のが通常である。しかし、鳥インフルエン ウイルスは、鳥類のみならず哺乳類にも感 することができる広い宿主域をもつウイル であるため、ヒトに対して感染する恐れが る。現在では、アジアやヨーロッパでもH5N1 型インフルエンザが蔓延しており、それをベ ースにしたヒト新型インフルエンザの出現が 危惧されている。

 また、鳥インフルエンザウイルスは、渡 鳥により遠隔地まで運搬されるため、食品 ように疾病の発生した国からの輸入を停止 、検疫のみにより国内への侵入を阻止する とができない。

 このようなインフルエンザウイルスを不 化する剤が特許文献1に開示されている。こ のインフルエンザウイルス不活化剤は、ヨウ 素とβ-シクロデキストリンとを包含する溶液 である。

 一方、特許文献2には、セルロースと酢酸 ビニル-マレイン酸共重合体との混合体から るイオン交換機能を持ったセルロース系組 物が開示されている。このセルロース系組 物は、ブドウ状球菌、グラム陰性菌に対す 抗菌性があると記載されている。

 また、特許文献3には、架橋構造を有し、 且つ分子中にカルボキシル基を有する繊維と して、架橋アクリル繊維を用い、その繊維中 に水に難溶性の金属および/または金属化合 の微粒子が分散している抗ウイルス性繊維 開示されている。しかし、繊維中に微分散 ている水に難溶性の金属及び/又は金属化合 の微粒子とウイルスが接触してウイルス不 化効果を得ているが、その方法では十分な イルス不活化効果が得られず、また水分雰 気化でないとその効果が低下するものと考 られる。

特開2006-328039号公報

特開平3-121145号公報

PCT国際公開WO2005/083171号再公表公報

 本発明の発明者は、特許文献2で開示した セルロース系組成物の特異な性質に着目して 永年に渡り研究し、蛋白質を変性させること を見出した。前記したとおりインフルエンザ の発生を全面的に取り除くことは極めて困難 であることに鑑みて、本発明は、セルロース 系組成物の持つそのような特性を利用し、ブ ドウ状球菌、グラム陰性菌のような細菌の大 きさよりもはるかに小さいウイルスに有効な 抗ウイルス物質、抗ウイルス物質を担持した 繊維、繊維構造物、並びに繊維製品を提供す ることを目的とする。

 前記の目的を達成するためになされた、 求の範囲の請求項1に係る発明の抗ウイルス 物質は、重合鎖中にモノマー単位としてのマ レイン酸成分を含む高分子からなることを特 徴とする。

 同じく請求項2に係る発明の抗ウイルス物 質は、請求項1に係る発明の抗ウイルス物質 あって、該高分子が、オレフィン-マレイン 共重合高分子、スチレン-マレイン酸共重合 高分子、ビニルエステル-マレイン酸共重合 分子、酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分子 または塩化ビニル-マレイン酸共重合高分子 であることを特徴とする。

 請求項3に係る発明の抗ウイルス物質は、 同じく請求項1に係る発明の抗ウイルス物質 あって、該高分子が、銅、銀、亜鉛、ニッ ルから選ばれる金属のイオンを担持してい ことを特徴とする。

 請求項4に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項1に係る発明の抗ウイルス物質であっ 、該マレイン酸成分を含む高分子が、銅イ ンを担持した酢酸ビニル-マレイン酸共重合 分子であることを特徴とする。

 請求項5に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項2に記載のマレイン酸成分を含む共重 高分子から選ばれる少なくとも一つの共重 高分子と、セルロースとが混合されている とを特徴とする。

 請求項6に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項1に係る発明の抗ウイルス物質におい 、鳥インフルエンザウイルスに有効なこと 特徴とする。

 請求項7に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項6に係る発明の抗ウイルス物質であっ 、該鳥インフルエンザウイルスがA/whistling s wan/Shimane/499/83 (H5N3)株、及びA/Turkey/Wisconsin/1/6 6 (H9N2)株から選ばれる少なくとも1種類であ ことを特徴とする。

 請求項8に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項1に係る発明の抗ウイルス物質におい 、ヒトインフルエンザウイルスに有効なこ を特徴とする。

 請求項9に係る発明の抗ウイルス物質は、 請求項1に係る発明の抗ウイルス物質におい 、ブタインフルエンザウイルスに有効なこ を特徴とする。

 請求項10に係る発明の抗ウイルス物質は 請求項1に係る発明の抗ウイルス物質におい 、ノロウイルスに有効なことを特徴とする

 また、前記の目的を達成するためになさ た、請求の範囲の請求項11に係る発明の抗 イルス繊維は、重合鎖中にモノマー単位と てのマレイン酸成分を含む高分子からなる ウイルス物質を成分として含むことを特徴 する。

 さらに前記の目的を達成するためになさ た、請求の範囲の請求項12に係る発明の抗 イルス繊維構造物は、請求項11に係る発明の 抗ウイルス繊維を少なくとも一部に含むこと を特徴とする。

 さらに前記の目的を達成するためになさ た、請求の範囲の請求項13に係る発明の抗 イルス繊維製品は、請求項11に係る発明の抗 ウイルス繊維を少なくとも一部に含み、衣類 、寝具、布団、カーテン、壁紙、カーペット 、マット、シーツ、フィルター、マスク、ワ イパー、タオル、防護衣類、防護ネット、廃 鶏袋、鶏舎用品、医療用シートに形づくられ たことを特徴とする。

 本発明の抗ウイルス物質は、ウイルスを 活化させるのに有効である。また、本発明 抗ウイルス物質の高分子を紡糸または担持 た本発明の抗ウイルス繊維は、ウイルスを 活化させるのに有効である。さらに、本発 の抗ウイルス繊維は繊維製品に加工され、 発明の繊維構造物を構成する。その抗ウイ ス繊維構造物は、接触するウイルスに対し 不活化効果が高い。

発明を実施するための好ましい形態

 本発明の抗ウイルス物質は、重合鎖中に ノマー単位としてのマレイン酸成分を含む 分子からなるもので、例えば、オレフィン- マレイン酸共重合高分子、スチレン-マレイ 酸共重合高分子、ビニルエステル-マレイン 共重合高分子、酢酸ビニル-マレイン酸共重 合高分子、または塩化ビニル-マレイン酸共 合高分子が挙げられる。

 この抗ウイルス物質は、様々なウイルス 対して不活化効果を有する。本発明におい 不活化効果の対象となるウイルスは、ゲノ 種類、及びエンベロープの有無等によらず 全てのウイルスが含まれる。例えば、ゲノ としてDNAを有するウイルスとしては、ヘル スウイルス、天然痘ウイルス、牛痘ウイル 、水疱瘡ウイルス、アデノウイルス等が挙 られ、ゲノムとしてRNAを有するウイルスと ては、麻疹ウイルス、インフルエンザウイ ス、コクサッキーウイルス、カリシウイル (ノロウイルス属)、レトロウイルス(レンチ イルス属、例えばHIV(human immunodeficiency virus :ヒト免疫不全ウイルス)等)、コロナウイルス 等が挙げられる。また、これらのウイルスの うち、エンベロープを有するウイルスとして は、ヘルペスウイルス、天然痘ウイルス、牛 痘ウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス 、インフルエンザウイルス等が挙げられ、エ ンベロープを有さないウイルスとしては、ア デノウイルス、コクサッキーウイルス、ノロ ウイルス等が挙げられる。

 この抗ウイルス物質がウイルスに対して 活化効果を有する理由は、インフルエンザ イルスに対して、ウイルス表面にある突起H A(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミターゼ)の活 を阻害するためと推定される。また、他の イルスにおいても、ウイルス表面の突起の 性を阻害するか、ウイルス粒子を直接破壊 るためと推定される。

 抗ウイルス物質は、鳥インフルエンザウ ルスに対する不活化効果が高く、特にH5、 るいはH7の亜型のような強毒性のある高病原 性鳥インフルエンザウイルスに有効である。 本発明では、鳥インフルエンザウイルスA/whis tling swan/Shimane/499/83 (H5N3)株、鳥インフルエ ザウイルスA/Turkey/Wisconsin/1/66 (H9N2)株につい 抗ウイルス効果を証明しているが、H5N1型な どの鳥インフルエンザウイルスにも効果があ ると考えられる。

 また、本発明の抗ウイルス物質は、ヒト ンフルエンザウイルスに対する不活化効果 高く、あらゆる種類のインフルエンザウイ スに有効である。ヒトインフルエンザウイ スA/Aichi/2/68 (H3N2)株について抗ウイルス効 を証明しているが、他のヒトインフルエン ウイルスにも効果があると考えられる。

 さらに、この抗ウイルス物質は、ブタイ フルエンザウイルスA/Swine/Iowa/15/30 (H1N1) 株 について抗ウイルス効果を証明している。

 さらに、この抗ウイルス物質は、ノロウ ルスに対する不活化効果も高い。本発明で 、細胞培養が不可能なノロウイルスの代替 イルスとして広く使用されているカリシウ ルスについて抗ウイルス効果を証明してい 。

 前記マレイン酸成分を含む高分子として 表的には、酢酸ビニル-マレイン酸共重合体 である。この共重合体は、酢酸ビニルと無水 マレイン酸とを公知のラジカル重合開始剤を 使用して、ベンゼン、トルエン、酢酸エステ ルのような有機溶媒の存在下に、溶液重合さ せることにより得ることができる。

 酢酸ビニルとマレイン酸は、ほぼ等モル 重合体であることが望ましい。分子量は用 に応じて広い範囲に亘り得るが通常1万~200 好ましくは10万~50万の範囲である。

 酢酸ビニル及び無水マレイン酸は両者の モル共重合体を得る場合0.9:1.1~1.1:0.9の割合 仕込めばよい。重合温度は通常50~120℃程度 重合時間は1~6時間程度とする。ラジカル重 開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸 アセチルなどの過酸化物系重合開始剤、ア ビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合 始剤を例示でき、それらの使用量は通常全 量体に対して0.05~1.0質量%程度とされる。得 れた共重合体溶液から溶剤を除去し、共重 体固形分の抗ウイルス物質とすることがで る。

 前記マレイン酸成分を含む高分子は、有 物、無機物の担体に担持または混合するこ ができる。マレイン酸成分を含む高分子が 体に対する含有量は、担体に担持または混 でき、且つ抗ウイルス効果を発揮し得る範 であれば特に限定されないが、例えば、担 100質量部に対してマレイン酸成分を含む高 子が1~100質量部であることが好ましい。よ 好ましいマレイン酸成分を含む高分子の含 量は、5~60質量部である。

 本発明の抗ウイルス物質は、前記有機物 担体としてセルロース材料に担持している とが好ましい。セルロース材料は、吸水性 良いため、抗ウイルス効果を発揮しやすい 向にある。特に、後述する銅、銀、亜鉛か 選ばれる金属のイオンを担持させたときに +イオンまたは-イオンの状態で担体に保持 せておくことが重要であり、水分を保持で るセルロース材料の方が有利である。セル ース材料は、例えば、繊維、スポンジ等の 態に加工される。

 前記有機物の担体としては、繊維が特に ましい。繊維は、嵩量があり大きな表面積 持つため、マレイン酸成分を含む高分子が 率よく空気中のウイルスに接触する。

 繊維素材は、例えばセルロース系繊維(木 綿、麻、レーヨン、パルプなど)、蛋白質系 維(羊毛、絹など)、ポリアミド系繊維、ポリ エステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリ ビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系 繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレ フィン系繊維、ポリウレタン系繊維などあら ゆる天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成 繊維が使用される。なかでもセルロース系繊 維は、上記セルロース材料が好ましい理由と 同様に有利である。また、セルロース系繊維 は、合成繊維のように静電気がおきて埃がた まることがないので、埃により反応サイトが 塞がれることがなく、より抗ウイルス効果を 発揮することができる。特にレーヨンは、吸 水性が良く、繊度や繊維長を調整しやすいの で、様々な繊維構造物および繊維製品に適用 することができる。

 例えば、この酢酸ビニル-マレイン酸共重 合体溶液は、公知の方法により得られるセル ロースのビスコース溶液、あるいはセルロー スの銅アンモニア溶液などの含金属アルカリ 溶液と溶解混合した混合液を、紡糸ノズルを 通じて紡糸液に吐き出して、いわゆる湿式紡 糸により本発明の抗ウイルス繊維を得ること ができる(例えば特公平8-13905号公報参照)。

 セルロースと共重合体との混合割合は、 者が60~99質量%、後者が40~1質量%程度が好ま い。セルロースの使用割合が60質量%未満の 合には、得られるセルロース系組成物は表 にべとつき感が生じることがあり、引き続 紡織、複合化などの工程に際してブロッキ グなどの不利が生じることがある。また99質 量%を越える場合には酢酸ビニル-マレイン酸 重合体を使用することによる抗ウイルス効 が低くなることがある。

 本発明の抗ウイルス繊維には、さらに抗 イルス作用を高めるために、銅、銀、亜鉛 ニッケルから選ばれる金属のイオンを含む 液などに浸漬、コーティング等の加工を施 て、銅イオン、銀イオン、亜鉛イオン、及 ニッケルイオンから選ばれる少なくとも一 の金属イオンを担持することが好ましい。 属イオンとしては、銅イオンの抗ウイルス 果が高く、特に好ましい。

 前記抗ウイルス繊維に、銅イオンを担持さ る方法としては、例えば硫酸銅(CuSO 4 )あるいは硝酸銅(Cu(NO 3 ) 2 )などの溶液に浸漬して銅イオンを吸着する とができる。亜鉛イオンを担持させる方法 しては、塩化亜鉛(ZnCl 2 )溶液に浸漬して亜鉛イオンを吸着すること できる。

 前記抗ウイルス繊維は、例えば、シート 物、樹脂成型物、無機成型物などに添加し 用いることもできる。また、バインダー等 併用して、シート状物、樹脂成型物、無機 型物などに接着することができる。

 前記抗ウイルス繊維の断面形状は特に限 されず、円形、異形、中空等のいずれであ てもよい。また、抗ウイルス繊維の繊維長 特に限定されず、長繊維、短繊維、微細繊 等のいずれであってもよい。長繊維であれ 、紡糸後そのままボビン等に繊維を巻き付 ることにより得ることができる。短繊維で れば、カッターなどで所定の繊維長に切断 るか、天然繊維であればそのまま用いるこ ができる。微細繊維であれば、グラインド ルなどですり潰すようにして裁断し、任意 メッシュを有する篩にかけて分級すること より得ることができる。すり潰して裁断し 微細繊維は適度に湾曲している。さらに、 記抗ウイルス繊維の繊度は特に限定されず 用途に応じて適宜選定するとよい。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物は、前記 ウイルス繊維を少なくとも一部に含み、糸 織編物、ウェブ、不織布、紙、ネット等に 形して用いることができる。また、前記繊 構造物とフィルム等の他のシートと積層し 積層シートとしてもよい。

 以下、具体的な抗ウイルス繊維構造物に いて説明する。本発明の抗ウイルス繊維構 物を糸で得る場合、(1)先に抗ウイルス物質 してマレイン酸成分を含む高分子又はマレ ン酸成分に銅、銀、亜鉛等の金属のイオン 担持させた高分子を紡糸または担持した繊 を得て、抗ウイルス繊維とした後に、少な とも一部に抗ウイルス繊維を含む糸を作製 る方法、(2)抗ウイルス物質としてマレイン 成分を含む高分子を紡糸または担持した繊 を得て、少なくとも一部に抗ウイルス繊維 含む糸を作製した後、マレイン酸成分に銅 銀、亜鉛等の金属のイオンを担持させる方 、あるいは(3)公知の方法により糸を作製し 後、マレイン酸成分を含む高分子を繊維表 に担持させる方法、等を採ることができる 前記した糸は、公知の紡績糸、マルチフィ メント糸を製造する方法で得ることができ 。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物を織編物 得る場合、(1)先に抗ウイルス物質としてマ イン酸成分を含む高分子又はマレイン酸成 に銅、銀、亜鉛等の金属のイオンを担持さ た高分子を紡糸または担持した繊維を得て 抗ウイルス繊維とした後、所定の抗ウイル 繊維を含有する糸を製織し、必要に応じて 色して、織編物を作製する方法、(2)抗ウイ ス物質としてマレイン酸成分を含む高分子 紡糸または担持した繊維を得て、少なくと 一部に抗ウイルス繊維を含む糸を作製して 織した後、必要に応じて染色し、マレイン 成分に銅、銀、亜鉛等の金属のイオンを担 させる方法、(3)先に抗ウイルス繊維を5mm以 に切断した短繊維、または粉砕した微細繊 をバインダーにより織編物を構成する繊維 面に担持させる方法、等を採ることができ 。前記した織編物は、公知の織編物を製造 る方法で得ることができる。

 抗ウイルス繊維構造物をウェブ、不織布 紙、ネットで得る場合も上記織編物の加工 同様の方法で得ることができる。

 前記抗ウイルス繊維は、少なくとも一部 含み、例えば、衣類(帽子、手袋、ハンカチ を含む)、布団、カーテン、壁紙、カーペッ 、マット、シーツ、フィルター、マスク、 イパー、タオル、防護衣類、防護ネット、 鶏袋、鶏舎用品のごとき繊維製品にして日 の生活に供され、生活空間に飛散浮遊する イルスをせん滅させることができる。

 以下、本発明の抗ウイルス繊維構造物お び抗ウイルス繊維製品について、具体的に 示する。本発明の抗ウイルス繊維構造物が 織布の場合、繊維ウェブの形成方法は、カ ド法、エアレイド法、湿式抄紙法、スパン ンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡 法、静電紡糸法などを用いることができる 得られた繊維ウェブは、エアースルー不織 や熱圧着不織布などのサーマルボンド不織 、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ 織布、水流交絡不織布、スパンボンド不織 、メルトブローン不織布などに加工される

 例えば、予め抗ウイルス物質が混合また 担持された抗ウイルス繊維を用いた場合、 記繊維ウェブは、抗ウイルス繊維100質量%で あってもよいが、他の抗ウイルス繊維との混 合、あるいは抗ウイルス効果が得られる範囲 内で他の繊維と混合してもよい。他の繊維と 混合する場合は、抗ウイルス繊維が少なくと も20質量%であることが好ましい。より好まし くは、少なくとも30質量%である。さらにより 好ましくは、50質量%以上である。このように して得られた繊維ウェブは、所定の加工が施 されて不織布を得ることができる。また、得 られた繊維ウェブまたは不織布に金属イオン を上述した方法で担持することもできる。

 例えば、担体となる繊維(以下、担体用繊 維ともいう)を準備し、繊維ウェブを作製し 不織布に加工した後、抗ウイルス物質を担 させる場合、繊維ウェブは、担体用繊維100 量%であってもよいが、他の抗ウイルス繊維 の混合、あるいは抗ウイルス効果が得られ 範囲内で他の繊維と混合してもよい。他の 維と混合する場合は、担体用繊維が少なく も20質量%であることが好ましい。より好ま くは、少なくとも30質量%である。さらによ 好ましくは、50質量%以上である。また、得 れた繊維ウェブまたは不織布に金属イオン 上述した方法で担持することもできる。こ ように、後加工で繊維ウェブまたは不織布 抗ウイルス物質および/または金属イオンを 担持させる場合、不織布に他のシートを積層 し一体化すると、例えば、不織布強力を大き く生産速度を上げることができるなどの加工 時の取り扱い性がよく、好ましい。他のシー トとしては、スパンボンド不織布、メルトブ ローン不織布、フィラメントが1方向に配列 れ延伸された一方向延伸配列繊維不織布、 ィラメントの配列方向が互いに直交するよ に積層されてなる経緯直交積層繊維不織布 湿式抄紙、ネット、フィルム、織編物など 挙げられる。特に、スパンボンド不織布、 方向延伸配列繊維不織布、および経緯直交 層繊維不織布は、積層した後の不織布強力 大きくすることができるので、補強層とし 好ましく用いられる。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物には、他の ウイルス繊維を併用してもよい。抗ウイル 効果を有する物質を繊維に担持させた他の 維としては、例えば、下記I式
(I式中、MはFe、Co、Mn、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Mo、W 、Osから選択される金属、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は同一または異なる-COOH基または-SO 3 H基であり、n1、n2、n3およびn4は0~4で1≦n1+n2+n3 +n4≦8を満たす正数)で示される金属フタロシ ニン誘導体を有効成分に含む抗ウイルス剤 担持された繊維(以下、他の抗ウイルス繊維 Pともいう)が挙げられる。この繊維Pは、上記 I式中のMはFeであり、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は同一または異なる-COOH基であり、n1、n2、n3 よびn4は0~4で1≦n1+n2+n3+n4≦4を満たす正数で される金属フタロシアニン誘導体であるこ が好ましい。また、上記I式中のMはCoであり 、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は同一または異なる-SO 3 H基であり、n1、n2、n3およびn4は0~1で1≦n1+n2+n3 +n4≦2を満たす正数で示される金属フタロシ ニン誘導体であっても同様の効果を有して り、好ましい。前記金属フタロシアニン誘 体とは、上記構造を有する金属フタロシア ン化合物またはその塩をいう。金属フタロ アニン化合物の塩としては、例えば無機塩 との塩、有機塩基との塩等が挙げられる。 機塩基との塩の好適な例としては、例えば トリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金 塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのア カリ土類金属塩;ならびに銅(II)塩、アンモ ウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩 好適な例としては、例えばトリメチルアミ 、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン エタノールアミン、ジエタノールアミン、 リエタノールアミン、ジシクロヘキシルア ン等との塩が挙げられる。

 或いは抗ウイルス繊維Pは、前記I式におけ R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 がすべてHである金属フタロシアニン、すな ち金属フタロシアニン環の周辺に官能基が い構造のものを、繊維に坦持させたもので よい。

 前記他の抗ウイルス繊維Pとして、担体用 繊維に前記金属フタロシアニンの誘導体を担 持させる方法としては、担体用繊維を金属フ タロシアニン誘導体溶液へ浸漬させる方法、 あるいは直接染色、イオン染色(コットンや ーヨンなどの繊維にカチオン基を結合させ そのカチオン基と染料の持つカルボキシル やスルホン基のアニオン基をイオン的に結 させて行う染色法)などの染色法、バインダ 成分を含む金属フタロシアニン誘導体溶液 繊維または繊維構造物へ印刷、噴霧または ーターを用いて塗布する方法が挙げられる

 上記他の抗ウイルス繊維Pを併用する場合 、本発明の抗ウイルス繊維構造物は、予め本 発明の抗ウイルス繊維と他の抗ウイルス繊維 Pを混合して用いるか、本発明の抗ウイルス 維と担体用繊維を混合した後、フタロシア ン誘導体溶液に接触させて他の抗ウイルス 維Pを得るか、上記方法に加えて本発明の抗 イルス繊維に金属イオン溶液に接触させて 発明の抗ウイルス繊維に金属イオンを担持 せるか、あるいは、それぞれの担体用繊維 用意し、マレイン酸成分を含む高分子とフ ロシアニン誘導体を付与するか、などの方 により得ることができる。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物として、 ーマルボンド不織布の一例を示す。本発明 抗ウイルス繊維と、熱接着性繊維と、必要 応じて他の抗ウイルス繊維、他の繊維を混 して繊維ウェブを形成し、熱接着性繊維が 接着する温度で熱処理されて、サーマルボ ド不織布を得ることができる。熱接着性繊 としては、例えば、ポリエチレンテレフタ ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ リメチレンテレフタレート、ポリ乳酸等の リエステル、ナイロン6,ナイロン66等のポリ アミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ リブテン等のポリオレフィン、などのポリマ ーまたは共重合ポリマーが少なくとも一部が 繊維表面に露出した単一成分繊維または複合 繊維を用いることができる。

 抗ウイルス繊維構造物として、ケミカル ンド不織布の一例を示す。まず、本発明の ウイルス繊維と、必要に応じて他の抗ウイ ス繊維、他の繊維を混合して繊維ウェブを 成する。必要に応じて、繊維ウェブを不織 (例えば、ニードルパンチ不織布)に成形し 後、バインダーを浸漬、噴霧(例えば、スプ ーボンド)、コーティング(例えば、フォー ボンド)等により付着させ、乾燥及び/または キュアリングして、ケミカルボンド不織布を 得ることができる。バインダーとしては、ア クリルバインダー、ウレタンバインダーなど を用いることができる。バインダーの付着量 は、不織布の形態を維持することができ、抗 ウイルス効果を阻害しない範囲であれば、特 に限定されない。例えば、不織布質量に対し て、固形分で5~50質量%であることが好ましい

 抗ウイルス繊維構造物として、水流交絡 織布の一例を示す。まず、本発明の抗ウイ ス繊維と、必要に応じて他の抗ウイルス繊 、他の繊維を混合して繊維ウェブを形成す 。この繊維ウェブには、必要に応じて他の ートを積層することができる。他のシート しては、例えば、スパンボンド不織布、メ トブローン不織布、一方向延伸配列繊維不 布、経緯直交積層繊維不織布、湿式抄紙、 ット、フィルム、織編物などが挙げられる 特に、スパンボンド不織布、一方向延伸配 繊維不織布、および経緯直交積層繊維不織 は、積層した後の不織布強力を大きくする とができるので、補強層として好ましく用 られる。繊維ウェブまたは積層シートには 例えば、孔径0.05mm以上0.5mm以下のオリフィ が、0.5mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノ ルから、水圧1MPa以上10MPa以下の水流を、繊 ウェブの表裏面側からそれぞれ1~4回ずつ噴 して繊維同士を交絡させて得ることができ 。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物において 防水性が必要な場合は、抗ウイルス繊維構 物の表面に防水性のフィルムを積層したり 押出ラミネート機等を用いて樹脂をラミネ トして、防水性を有する抗ウイルス繊維構 物を得ることができる。また、透湿防水性 必要な場合は、メルトブローン不織布など 極細繊維不織布を積層したり、透湿性を有 る樹脂をラミネートして、透湿防水性を有 る抗ウイルス繊維構造物を得ることができ 。

 このような防水性や透湿防水性を有する ウイルス繊維構造物は、例えば、病院用ベ ドシーツ、病院用カーテン、手術用シーツ 実験シートなどの医療用シートに用いるこ ができる。

 上記サーマルボンド不織布、ケミカルボン 不織布、及び水流交絡不織布は、例えば、 アフィルターに用いることができる。エア ィルターに用いる場合、中粗塵用フィルタ であれば、構成する繊維の繊度は、2~50dtex あることが好ましい。目付は10~150g/m 2 であることが好ましい。このようにして得ら れたエアフィルターは、エアコン、空気清浄 機、掃除機などの家電用フィルターとして用 いることができる。例えば空気清浄機用フィ ルターであれば、ケミカルボンド不織布等の 支持体と、抗ウイルス繊維構造物と、エレク トレット不織布やHEPA、ULPA等の高精度フィル ー層の積層構造を有し、プリーツ(ひだ折り )加工されたシートが用いられる。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物は、衛生マ ク、サージカルマスク、防塵マスク(例えば 、N95対応マスク(Particulate Respirator Type N95)、 呼吸用保護具)等のマスクに用いることもで る。マスクに用いることができる抗ウイル 繊維構造物としては、前記サーマルボンド 織布や水流交絡不織布が挙げられる。マス に用いることができる抗ウイルス繊維の繊 は、1~10dtexであることが好ましい。より好ま しくは、2~8dtexである。目付は30~60g/m 2 であることが好ましい。マスクの構成として は、例えば、外側から口側にかけて、補強不 織布(例えば、スパンボンド不織布、サーマ ボンド不織布)/本発明の抗ウイルス不織布/ 細繊維不織布(例えば、メルトブローン不織 )/補強または柔軟不織布(例えば、スパンボ ド不織布、サーマルボンド不織布)の積層構 造にすると、抗ウイルス性能を効果的に発揮 することができる。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物の別の一 として、抗ウイルス繊維を5mm以下に切断し 短繊維、または粉砕した微細繊維(以下、総 称して繊維パウダーともいう)を他の繊維表 に担持させた不織布が挙げられる。このよ に繊維パウダーにした抗ウイルス繊維は、 インダーにより他の繊維表面に担持するこ ができる。バインダーにより抗ウイルス繊 パウダーを担持する方法としては、例えば 抗ウイルス繊維パウダーと、バインダー(例 ば、アクリルバインダー、ウレタンバイン ーなど)を所定量添加してバインダー溶液を 調製し、繊維基布に対してバインダー溶液を 浸漬、噴霧(例えば、スプレーボンド)、コー ィング(例えば、ナイフコーター、グラビア コーター)等により付着させ、乾燥及び/また キュアリングして、抗ウイルス繊維パウダ 担持不織布を得ることができる。また、別 方法としては、抗ウイルス繊維パウダーの 分散液を調整し、熱接着性繊維または湿熱 着性繊維を含む繊維構造物に水分散液を浸 、噴霧、コーティング等により抗ウイルス 維パウダーを付着させた後、熱処理して熱 着性繊維または湿熱接着性繊維によりパウ ーを接着させて、抗ウイルス繊維パウダー 持不織布を得ることもできる。

 前記繊維基布としては、例えば、サーマ ボンド不織布、スパンボンド不織布、水流 絡不織布等の不織布、織編物などを用いる とができる。

 前記抗ウイルス繊維パウダー担持不織布 、例えば、防護衣に用いることができる。 織布を所定の形状に裁断し、不織布端部同 を重ねてヒートシール、超音波シール、高 波シールをするか、縫製するか、などの方 で作製することができる。

 本発明の抗ウイルス繊維構造物を織編物 ある場合、具体的な一例を示す。まず、抗 イルス物質としてマレイン酸成分を含む高 子を紡糸または担持した抗ウイルス繊維と た後、所定の抗ウイルス繊維を含有する糸 製織する。得られた織編物を、ジッカー染 機、高圧液流染色機、パドル染色機等の染 機を用い、繊維100質量部に対して0.05~5質量 、すなわち0.05~5%owf(on weight fiber)の金属イ ン化合物を含む溶液(例えば、硫酸銅水溶液) に織編物を浸漬し、水洗処理、乾燥し、必要 に応じてアクリル樹脂やウレタン樹脂等をデ ィッピングして風合い加工等を行い、マレイ ン酸成分に銅、銀、亜鉛等の金属のイオンを 担持させた抗ウイルス織編物を得ることがで きる。

 このようにして得られる抗ウイルス織編 は、例えば、衣類、布団、カーテン、カー ット、マット、シーツ、タオル、防護衣類 防護ネット、廃鶏袋、鶏舎用品、医療用シ ト材などに用いることができる。

 以下、本発明の実施例を詳細に説明する 、本発明の範囲はこれらの実施例に限定さ るものではない。

--抗ウイルス繊維の作製--
(実施例1)
 酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体水溶性 塩を、セルロースのビスコース溶液(セルロ ス濃度9%)に前記共重合体固形分がセルロー 固形分100部に対して20部となるよう添加し、 溶解した。各々の混合溶液を硫酸130g/l、硫酸 亜鉛10g/l、硫酸ナトリウム250g/lの強酸性浴中 白金ノズルから押出して紡糸した。常法に り脱硫、精練漂白することにより、酢酸ビ ル-無水マレイン酸共重合体が混合されたビ スコースレーヨン繊維(本発明)の試料を得た 繊度は3.3dtex、繊維長は51mmであった。

(実施例2)
 得られた実施例1の繊維を4%硫酸銅水溶液に 漬して10分間放置したのち、蒸留水で洗浄 、70℃で3時間乾燥し、抗ウイルス繊維の試 を得た。この抗ウイルス繊維の銅担持量は1 量%であった。

(鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイ ス繊維の性能評価)
 被検ウイルスは、国立大学法人鳥取大学鳥 ンフルエンザ研究センターに保管されてい 鳥インフルエンザウイルスA/whistling swan/Shim ane/499/83 (H5N3)株を使用した。この鳥インフル エンザウイルス株は、鳥インフルエンザウイ ルスA/コハクチョウ/島根/499/83(H5N3)とも称さ る(以下、H5N3株という)。

 この他、被検ウイルスとして、鳥インフ エンザウイルスA/Turkey/Wisconsin/1/66 (H9N2) 株( 以下、H9N2株という)、ブタインフルエンザウ ルスA/Swine/Iowa/15/30 (H1N1) 株(以下、H1N1株と う)を使用した。

 上記各実施例で試作した抗ウイルス繊維 約1.5cm長さに切り揃え、ポリエチレン袋に0. 2gを入れ、被検ウイルスを燐酸緩衝生理食塩 (Phosphate Buffered Saline:PBS)で100倍に希釈した イルス液Aを各0.6mlずつポリエチレン袋に分 し、抗ウイルス繊維にウイルス液を染み込 せた。4℃で反応時間10分間(あるいは1分間) 置した。そのウイルス液を採取しPBSでさら 10倍段階希釈し、10日齢発育鶏卵(SPF)に0.2ml つ漿尿膜腔内に接種した。2日間培養後、尿 腔液Bを回収し、鶏赤血球凝集反応によりウ イルス増殖の有無を判定した。ウイルス力価 はReed & Muench (1938)の方法によって算出し た。

 比較例として、未加工のレーヨン繊維を いた。

 各試作抗ウイルス繊維のウイルス力価を 1に示してある。

 表1から、実施例1、2の抗ウイルス繊維を 用した尿膜腔液Bは、ウイルス液Aよりもウ ルス力価が大幅に減少しており、ウイルス 少率が99%以上であった。これは、実施例1、2 の抗ウイルス繊維に鳥インフルエンザウイル スに対する抗ウイルス効果があることを示し ている。特に、実施例2の銅イオンを担持し 酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分子を含有 るレーヨン繊維であったため、総てのウイ ス株についてウイルス減少率が99.999%以上の 抗ウイルス性を示した。一方、同一条件で抗 ウイルス繊維を使用しない比較例の尿膜腔液 Bは、ウイルス液Aよりもウイルス力価が減少 ていたが十分なものではなかった。

 また、実施例2の抗ウイルス繊維を100質量% 合し、パラレルカード機を用いて繊維ウェ とし、水流交絡処理して、目付40g/m 2 の抗ウイルス不織布を作製した。

 得られた抗ウイルス不織布を、ポリプロ レンスパンボンド不織布の上に載置し、さ にポリプロピレンメルトブローン不織布と リプロピレンスパンボンド不織布を重ね合 せて、縦15cm、横15cmに切断し、3段にプリー 折りして、横方向の端の中央部に耳掛け紐 設け、シート端の四辺をヒートシール加工 、抗ウイルスマスクを作製した。

 得られた抗ウイルスマスクを7日間着用した 後、前記抗ウイルス不織布を取り出し、ウイ ルス力価を測定したところ、尿膜腔液B(<10 1.5 (EID 50 /0.2ml))は、ウイルス液A(10 6.5 (EID 50 /0.2ml))よりもウイルス力価が大幅に減少し、9 9.999%のウイルス減少率であった。長時間の使 用にも耐え得ることが確認できた。

(実施例3)
 実施例1と同様の方法で紡糸して得られた繊 度1.7dtex、繊維長38mmの酢酸ビニル-無水マレイ ン酸共重合体が混合されたビスコースレーヨ ン繊維(本発明)の試料と、芯成分がポリプロ レン、鞘成分が高密度ポリエチレンからな 繊度2.2dtex、繊維長51mmの鞘芯型複合繊維(ダ ワボウポリテック(株)製、NBF(H))を用いた。 発明の試料が60質量%と鞘芯型複合繊維が40 量%となるように混合し、パラレルカード機 用いて開繊してカードウェブを作製した。 付は、40g/m 2 とした。

 得られたカードウェブは、孔径0.08mmのオ フィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用 て、ウェブの表面に、水圧4MPaの柱状水流を2 回噴射し、同様にその反対の表面に、水圧4MP aの柱状水流を2回噴射して繊維を交絡された その後、ボックス型真空吸引装置にて、脱 後、ドラム型乾燥機(設定温度140℃)にて鞘 型複合繊維の鞘成分で融着し、乾燥させて 水流交絡により一体化された水流交絡不織 を得た。

 得られた積層不織布は、25℃、0.1%の硫酸 水溶液に浸漬され、ニップロールで絞られ 後、水洗槽で十分に水洗されて、80℃で乾 して、抗ウイルス不織布の試料を得た。こ 抗ウイルス不織布の銅担持量は1質量%であっ た。

(実施例4)
 下記の第1~第3繊維層から成る積層不織布を 製した。第1繊維層と第3繊維層は、実施例1 同様の方法で紡糸して得られた繊度1.7dtex、 繊維長38mmの酢酸ビニル-無水マレイン酸共重 体が混合されたビスコースレーヨン繊維(本 発明)の試料と、芯成分がポリプロピレン、 成分が高密度ポリエチレンからなる繊度2.2dt ex、繊維長51mmの鞘芯型複合繊維(ダイワボウ リテック(株)製、NBF(H))を用いた。本発明の 料が60質量%と鞘芯型複合繊維が40質量%とな ように混合し、パラレルカード機を用いて 繊してカードウェブを作製した。目付は、 層とも20g/m 2 とした。

 第2繊維層として、ポリエステル繊維からな る、目付が5g/m 2 の1方向延伸配列不織布(商品名ミライフT05、 日石プラスト(株)製)を用意した。

 第1繊維層と第3繊維層の間に第2繊維層が 置するように、3つの繊維層を積層して積層 ウェブを作製した。次いで、孔径0.08mmのオリ フィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用い 、ウェブの第1繊維層側の表面に、水圧4MPa 柱状水流を2回噴射し、同様に第3繊維層側の 表面に、水圧4MPaの柱状水流を2回噴射するこ に、繊維を交絡させた。その後、ボックス 真空吸引装置にて、脱水後、ドラム型乾燥 (設定温度140℃)にて鞘芯型複合繊維の鞘成 で融着し、乾燥させて、水流交絡により一 化された積層不織布を得た。

 得られた積層不織布は、25℃、0.1%の硫酸 水溶液に浸漬され、ニップロールで絞られ 後、水洗槽で十分に水洗されて、80℃で乾 して、抗ウイルス不織布の試料を得た。こ 抗ウイルス不織布の銅担持量は0.7質量%であ た。

 実施例3~4の試料における鳥インフルエン ウイルスのウイルス力価を表2に示す。なお 、測定試料は、不織布を約1.5cmの長さ四方に ットした試験片を使用した。

 表2から、実施例3~4の試料を使用した尿膜 腔液Bは、ウイルス液Aよりもウイルス力価が 幅に減少しており、ウイルス減少率が99%以 であった。これは、実施例3~4の抗ウイルス 維および抗ウイルス不織布に鳥インフルエ ザウイルスに対する抗ウイルス効果がある とを示している。

(ヒトインフルエンザウイルスに対する抗ウ ルス繊維の性能評価)
 被検ウイルスは、ヒトインフルエンザウイ スA/Aichi/2/68 (H3N2)株(以下、H3N2株という)を 用した。不織布の場合、約1.5cm長さ四方にカ ットした試験片を0.2g取り出すか、繊維の場 、約1.5cmの長さに切り揃えて0.2gの綿を用意 、それぞれをポリエチレン袋に入れ、被検 イルスを燐酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered  Saline:PBS)で100倍に希釈したウイルス液Aを各0 .6mlずつポリエチレン袋に分注し、抗ウイル 繊維にウイルス液を染み込ませた。4℃で反 時間10分間(あるいは1分間)静置した。その イルス液を採取しPBSでさらに10倍段階希釈し 、10日齢発育鶏卵(SPF)に0.2mlずつ漿尿膜腔内に 接種した。2日間培養後、尿膜腔液Bを回収し 鶏赤血球凝集反応によりウイルス増殖の有 を判定した。ウイルス力価はReed & Muench  (1938)の方法によって算出した。

 実施例2~4の試料におけるヒトインフルエ ザウイルスのウイルス力価を表3に示す。

 表3から、実施例2~4の試料を使用した尿膜 腔液Bは、ウイルス液Aよりもウイルス力価が 幅に減少しており、ウイルス減少率が99%以 であった。これは、実施例2~4の抗ウイルス 維および抗ウイルス不織布にヒトインフル ンザウイルスに対する抗ウイルス効果があ ことを示している。

 実施例4の積層不織布は、実施例3の不織布 比べ、後加工性が良好であった。
 (ノロウイルスに対する抗ウイルス不織布の 性能評価)
 被検ウイルスとしてノロウイルスの代替ウ ルスであるFeline calicivirus F-9 ATCC VR-782(以 、ネコカリシウイルスという)を使用し、以 下の方法で抗ウイルス性能を評価した。
1.試験方法
(1)使用細胞
 CRFK細胞(大日本製薬(株))
(2)使用培地
 i細胞増殖培地
 イーグルMEM培地「ニッスイ」i(日水製薬(株) )に牛胎仔血清を10%加えたものを使用した。
 ii細胞維持培地
 イーグルMEM培地「ニッスイ」iに牛胎仔血清 を2%加えたものを使用した。
(3)ウイルス浮遊液の調製
 i細胞の培養
 細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養 フラスコ内に単層培養した。
 iiウイルスの接種
 単層培養後にフラスコ内から細胞増殖培地 除き、被験ウイルスを接種した。次に、細 維持培地を加えて37℃±1℃の炭酸ガスイン ュベーター(CO 2 濃度5%)内で1~5日間培養した。
 iiiウイルス浮遊液の調製
 培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の 態を観察し、細胞に形態変化(細胞変性効果 )が起こっていることを確認した。次に、培 液を遠心分離(3000r/min. 10分間)し、得られた 澄み液を精製水で10倍に希釈し、ウイルス 遊液とした。
(4)試料の調製
 約3cm×3cmの大きさに切断した実施例3の不織 を試料とした。
(5)試験操作
 試料にウイルス浮遊液0.2mlを滴下し、室温 保存した。
(6)ウイルスの洗い出し
 保存24時間後、試料のウイルス浮遊液を細 維持培地2mlで洗い出した。
(7)ウイルス感染価の測定
 細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養 マイクロプレート(96穴)内で単層培養した後 、細胞増殖培地を除き細胞維持培地を0.1mlず 加えた。次に、試料洗い出し液及びその希 液0.1mlを4穴ずつに接種し、37℃±1℃の炭酸 スインキュベーター(CO 2 濃度5%)内で4~7日間培養した。培養後、倒立位 相差顕微鏡を用いて細胞の形態変化(細胞変 効果)の有無を観察し、Reed-Muench法により50% 織培養感染量(TCID 50 )を算出して洗い出し液1ml当たりのウイルス 染価に換算した。
 その結果、試料(実施例3の不織布)に接種し 24時間後の後Log TCID 50 /mlは<2.5(検出せず)であるのに対し、対照[ 準布(綿)]における接種直後のLog
TCID 50 /mlは7.0、接種した24時間後のLog TCID 50 /mlは6.0であった。
 この結果から、実施例3の抗ウイルス不織布 は、ウイルス感染価が大幅に減少しており、 ノロウイルスに対する抗ウイルス効果がある ことを示している。

--抗ウイルスマスクの作製--
 実施例3,4の不織布を、ポリプロピレンスパ ボンド不織布の上に載置し、さらにポリプ ピレンメルトブローン不織布とポリプロピ ンスパンボンド不織布を重ね合わせて、縦1 5cm、横15cmに切断し、3段にプリーツ折りして 横方向の端の中央部に耳掛け紐を設け、シ ト端の四辺をヒートシール加工し、抗ウイ スマスクを作製した。このマスクを装着し ところ、息苦しさもなく、装着性も良好で った。

(実施例5)
(1)防水性抗ウイルス不織布の作製
 実施例4の抗ウイルス不織布の表面に、押出 ラミネート機を用いて、融点が103℃の低密度 ポリエチレンを厚み30μmとなるようにラミネ トして、防水性の抗ウイルス不織布を作製 た。

(2)医療用シート、実験シートの作製
 この防水性不織布を医療用ベッドシーツや 験シートに用いたところ、防水性と抗ウイ ス効果があることを確認できた。

(実施例6)
(1)抗ウイルス繊維パウダーの作製
 まず、実施例1と同様の方法で、繊度が3.3dte xの酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体が混 されたビスコースレーヨン繊維(本発明)の 料を得た後、繊維長が0.1mmとなるようにカッ ターで切断し、抗ウイルス繊維パウダーを作 製した。

 得られたパウダーは、4%硫酸銅水溶液に 漬されて10分間放置したのち、蒸留水で洗浄 し、70℃で3時間乾燥し、銅イオンが担持され た抗ウイルス繊維パウダーの試料を得た。こ の抗ウイルス繊維パウダーの銅担持量は1質 %であった。

 次に、イオン染色法により別の抗ウイルス ーヨン繊維を作製した。カチオン化剤とし 、50g/LのカチオノンUK(一方社製の商品名)と 15g/Lの水酸化ナトリウム水溶液との混合液10 Lに、レーヨン繊維(繊度2.2dtex、繊維長0.1mm)1kg を浴比1:10の条件で入れ、85℃で45分間反応さ た。得られたカチオン化レーヨン繊維を十 に水にて洗浄した後、濃度1%owfのコバルト(I I)フタロシアニンモノスルホン酸及びコバル (II)フタロシアニンジスルホン酸が混合した 水酸化ナトリウム溶液(pH=12)10L中に浸し、80℃ で30分間撹拌し、レーヨン繊維を染色した。 られた染色レーヨン繊維を十分に水にて洗 して乾燥し、コバルト(II)フタロシアニンモ ノスルホン酸ナトリウム及びコバルト(II)フ ロシアニンジスルホン酸ナトリウムが担持 れた抗ウイルスレーヨン繊維Pパウダーを得 。
 得られた抗ウイルス繊維Pについて、鳥イン フルエンザウイルス(H5N3株)のウイルス力価( 料量0.2g、反応時間10分)を測定したところ、 膜腔液B(10 2.75 (EID 50 /0.2ml))は、ウイルス液A(10 7.25 (EID 50 /0.2ml))よりもウイルス力価が大幅に減少し、9 9.99%のウイルス減少率であった。

(2)抗ウイルス繊維パウダー担持不織布の作製
 基布として、目付が40g/m 2 のポリプロピレン製スパンボンド不織布を用 意した。次に、抗ウイルス繊維パウダーを基 布に接着させるアクリルエマルジョンバイン ダーを用意し、アクリルエマルジョンバイン ダーと、本発明の抗ウイルス繊維パウダー50 量%と、抗ウイルスレーヨン繊維Pパウダー50 質量%を添加したバインダー溶液を調製した 前記基布の表面に、ナイフコーターを用い 、3g/m 2 の繊維パウダーを塗布した。バインダーは、 固形分で6g/m 2 塗布されていた。次いで、150℃、3分間のキ アリングを施して、抗ウイルス繊維パウダ 担持不織布を得た。
 実施例6の試料における鳥インフルエンザウ イルスのウイルス力価を表4に示す。

 表4から、実施例6の試料を使用した尿膜 液Bは、ウイルス液Aよりもウイルス力価が大 幅に減少しており、ウイルス減少率が99%以上 であった。これは、実施例6の抗ウイルス繊 パウダー担持不織布に鳥インフルエンザウ ルスに対する抗ウイルス効果があることを している。

(3)防護衣の作製
 実施例6の不織布を所定の形状に裁断し、不 織布端部同士を重ねて熱融着させて、防護衣 を作製した。不織布自体が柔軟であり、繊維 パウダーの脱落もないため、防護衣として使 用できることを確認できた。

(実施例7)
(1)抗ウイルス不織布の作製
 実施例1と同様の方法で紡糸して得られた繊 度7.8dtex、繊維長51mmの酢酸ビニル-無水マレイ ン酸共重合体が混合されたビスコースレーヨ ン繊維(本発明)の試料と、実施例6と同様の方 法で加工して得られた繊度15dtex、繊維長64mm コバルト(II)フタロシアニンモノスルホン酸 トリウム及びコバルト(II)フタロシアニンジ スルホン酸ナトリウムが担持された抗ウイル スレーヨン繊維Pと、繊度30dtex、繊維長64mmの リエステル繊維を用意した。本発明の試料2 0質量%と、抗ウイルスレーヨン繊維P40質量%と 、ポリエステル繊維40質量%を混合し、カード 機を用いて開繊したカードウェブをクロスレ イヤーで積層ウェブを作製した。次いで、ア クリルバインダーを積層ウェブの両面にスプ レーして、120℃、1分間乾燥し、150℃、3分間 ュアリングして、ケミカルボンド不織布を 製した。アクリルバインダーは固形分で15 量%付着していた。目付は、60g/m 2 とした。

(2)エアフィルターの作製
 得られたケミカルボンド不織布を所定の大 さに裁断して、プラスチック製ユニットに め込んで、空気清浄機用プレフィルターを 製した。

(実施例8)
(1)抗ウイルス不織布の作製
 実施例1と同様の方法で紡糸して得られた繊 度7.8dtex、繊維長51mmの酢酸ビニル-無水マレイ ン酸共重合体が混合されたビスコースレーヨ ン繊維(本発明)の試料を用意した。

 実施例6のカチオン化レーヨン繊維を十分に 水にて洗浄した後、濃度1%owfの鉄(III)フタロ アニンモノスルホン酸及び鉄(III)フタロシア ニンジスルホン酸が混合した水酸化ナトリウ ム溶液(pH=12)10L中に浸し、80℃で30分間撹拌し レーヨン繊維を染色した。得られた染色レ ヨン繊維を十分に水にて洗浄して乾燥し、 (III)フタロシアニンモノスルホン酸ナトリ ム及び鉄(III)フタロシアニンジスルホン酸ナ トリウムが担持された、繊度5.5dtex、繊維長51 mmの抗ウイルスレーヨン繊維Pを用意した。
 得られた抗ウイルス繊維Pについて、鳥イン フルエンザウイルス(H5N3株)のウイルス力価( 料量0.2g、反応時間10分)を測定したところ、 膜腔液B(10 4.75 (EID 50 /0.2ml))は、ウイルス液A(10 6.75 (EID 50 /0.2ml))よりもウイルス力価が大幅に減少し、9 9%のウイルス減少率であった。

 さらに実施例3で用いた鞘芯型複合繊維を用 意した。酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合 が混合されたビスコースレーヨン繊維(本発 )の試料30質量%と、抗ウイルスレーヨン繊維 P40質量%と、鞘芯型複合繊維30質量%を混合し カード機を用いて開繊したカードウェブを ロスレイヤーで積層ウェブを作製した。次 で、140℃の熱風加工機で熱処理して、鞘芯 複合繊維の鞘成分を溶融させて、サーマル ンド不織布を作製した。目付は、60g/m 2 とした。
 実施例8の試料における鳥インフルエンザウ イルスのウイルス力価を表5に示す。

 表5から、実施例8の試料を使用した尿膜 液Bは、ウイルス液Aよりもウイルス力価が大 幅に減少しており、ウイルス減少率が99%以上 であった。これは、実施例8の抗ウイルス不 布に鳥インフルエンザウイルスに対する抗 イルス効果があることを示している。

(実施例9)
(1)抗ウイルス織物の作製
 実施例1と同様の方法で紡糸して得られた繊 度1.4dtex、繊維長38mmの酢酸ビニル-無水マレイ ン酸共重合体が混合されたビスコースレーヨ ン繊維(本発明)の試料と、繊度1.45dtex、繊維 35mmの再生ポリエステル繊維(帝人ファイバー (株)製、商品名エコペット)を用いた。本発明 の試料50質量%と再生ポリエステル繊維50質量% が混紡された14番手の単糸(より係数4.3~4.5)を 製した。次に、エアージェット織機を用い 、経糸89本/インチ、緯糸51本/インチ、3/1綾 の織物を作製した。

 次に、上記織物にジッカー染色機を用い 金属イオン加工を施した。繊維質量に対し 0.5%owfの硫酸銅水溶液をジッカー染色機に添 加し、織物を浸漬した。次いで、ニップロー ルで絞られた後、水洗槽で十分に水洗されて 、120℃で乾燥して、銅イオンが担持した抗ウ イルス織物の試料を得た。

(2)作業衣の作製
 実施例9の織物を所定の形状に裁断し、織物 端部同士を重ねて縫製して、作業衣を作製し た。着用性も良好であった。
--抗ウイルス繊維の作製--

(実施例10)
 酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体水溶性 塩を、セルロースのビスコース溶液(セルロ ス濃度9%)に前記共重合体固形分がセルロー 固形分100部に対して20部となるよう添加し、 溶解した。各々の混合溶液を硫酸130g/l、硫酸 亜鉛10g/l、硫酸ナトリウム250g/lの強酸性浴中 白金ノズルから押出して紡糸した。常法に り脱硫、精練漂白することにより、酢酸ビ ル-無水マレイン酸共重合体が混合されたビ スコースレーヨン繊維(本発明)の試料を得た 繊度は7.8dtex、繊維長は76mmであった。
 得られたレーヨン繊維を5%硫酸亜鉛(ZnSO 4 ・7H 2 O)水溶液に浸漬して60℃で20分間放置したのち 、蒸留水で洗浄し、70℃で3時間乾燥し、抗ウ イルス繊維の試料を得た。この抗ウイルス繊 維の亜鉛担持量は1質量%であった。

(実施例11)
 実施例10で得られたレーヨン繊維を5%塩化ニ ッケル(NiCl 2 ・6H 2 O)水溶液に浸漬して60℃で20分間放置したのち 、蒸留水で洗浄し、70℃で3時間乾燥し、抗ウ イルス繊維の試料を得た。この抗ウイルス繊 維のニッケル担持量は1質量%であった。

 上記実施例10、11で試作した抗ウイルス繊 維について、鳥インフルエンザウイルス(H5N3) に対する性能を評価した結果を表6に示す。

 表6から、実施例10(亜鉛イオンを担持した 酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分子を含有 るレーヨン繊維)、実施例11(ニッケルイオン 担持した酢酸ビニル-マレイン酸共重合高分 子を含有するレーヨン繊維)の抗ウイルス繊 を使用した尿膜腔液Bは、ウイルス液Aよりも ウイルス力価が大幅に減少しており、ウイル ス減少率が99%以上であった。これは、実施例 10,11の抗ウイルス繊維に鳥インフルエンザウ ルスに対する抗ウイルス効果があることを している。

 (実施例12)
1.抗ウイルス不織布の作製
(1)抗ウイルス繊維の作製
 実施例2と同様の方法で得られた繊度1.7dtex 繊維長38mmの抗ウイルス繊維を用意した。
(2)別の抗ウイルス繊維Pの作製
 実施例8と同様の方法で得られた繊度1.7dtex 繊維長38mmの抗ウイルス繊維Pを用意した。
(3)不織布の作製
 抗ウイルス繊維を30質量%と、抗ウイルス繊 Pを20質量%と、繊度2.2dtex、繊維長51mmのポリ ステル系熱接着性複合繊維(ユニチカ(株)製 商品名メルティ)を50質量%用いた。これらの 繊維を混合し、パラレルカード機を用いて繊 維ウェブとし、水流交絡処理して、目付50g/m 2 の抗ウイルス不織布を作製した。

 前記抗ウイルス不織布について、鳥インフ エンザウイルス(H5N3株)のウイルス力価を測 したところ、尿膜腔液B(<10 0.75 (EID 50 /0.2ml))は、ウイルス液A(10 6.75 (EID 50 /0.2ml))よりもウイルス力価が大幅に減少し、9 9.999%のウイルス減少率であった。

2. 抗ウイルスマスクの作製
 得られた抗ウイルス不織布を、ポリプロピ ンスパンボンド不織布の上に載置し、さら ポリプロピレンメルトブローン不織布とポ プロピレンスパンボンド不織布を重ね合わ て、縦15cm、横15cmに切断し、3段にプリーツ りして、横方向の端の中央部に耳掛け紐を け、シート端の四辺をヒートシール加工し 抗ウイルスマスクを作製した。
 この抗ウイルスマスクは、外側から内側(口 側)に向けて保護不織布(スパンボンド不織布) /精密濾過用不織布(メルトブローン不織布)/ ウイルス不織布/保護不織布(スパンボンド不 織布)の構成とした。このマスクを装着した ころ、息苦しさもなく、装着性も良好であ た。

(実施例13)
1. 抗ウイルス不織布の作製
 実施例7の繊度7.8dtex、繊維長76mmの酢酸ビニ -無水マレイン酸共重合体が混合されたビス コースレーヨン繊維(本発明)の試料を30質量% 、実施例6と同様の方法で得られた繊度5.6dte x、繊維長76mmの抗ウイルス繊維Pを30質量%と、 芯成分がポリプロピレン、鞘成分が高密度ポ リエチレンからなる繊度2.2dtex、繊維長51mmの 芯型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製 NBF(H))を40質量%用いた。これらの繊維を混合 し、パラレルカード機を用いて開繊したカー ドウェブを作製した。次いで、一対のエンボ スロール/フラットロールからなる熱ロール 工機を用いて140℃で熱処理して、鞘芯型複 繊維の鞘成分を溶融し部分的に圧着(エンボ 面積率約18%)させて、サーマルボンド不織布 (抗ウイルス不織布)2種類を作製した。目付は 、それぞれ15g/m 2 、30g/m 2 であった。

 前記抗ウイルス不織布について、鳥インフ エンザウイルス(H5N3株)のウイルス力価を測 したところ、いずれも尿膜腔液B(<10 1.50 (EID 50 /0.2ml))は、ウイルス液A(10 6.75 (EID 50 /0.2ml))よりもウイルス力価が大幅に減少し、9 9.999%のウイルス減少率であった。

2. エアフィルターの作製
 ポリエステル繊維とレーヨン繊維を混合し ケミカルボンド不織布を支持体とし、その 持体の上にホットメルト剤を噴霧した後に 得られた抗ウイルス不織布を積層し、ホッ メルト剤により一体化した。次いで、その ウイルス不織布の上にホットメルト剤を噴 した後に、目付が約150g/m 2 のエレクトレット不織布(精密フィルター層) 積層し、ホットメルト剤により一体化した 得られたシートは、プリーツ加工機により リーツ折りされて、プラスチック製ユニッ にはめ込まれ、空気清浄機用フィルターを 製した。

 本発明の抗ウイルス物質は、本発明の抗 イルス繊維の原材料として使用できる。

 また、本発明の抗ウイルス繊維を少なく も一部に含む抗ウイルス繊維構造物は、糸 織編物、ウェブ、不織布、紙、ネット等に 形して、様々な繊維産業に使用できる。そ 抗ウイルス繊維構造物は、接触するウイル に対して不活化効果が高く、医療に役立つ

 さらに、前記抗ウイルス繊維を少なくと 一部に含む抗ウイルス繊維製品は、例えば 衣類、布団、カーテン、壁紙、カーペット マット、シーツ、フィルター、マスク、ワ パー、タオル、防護衣類、防護ネット、廃 袋、鶏舎用品、医療用シートに形づくられ 使用できる。




 
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