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Title:
APPARATUS AND METHOD FOR HYDROTHERMALLY DECOMPOSING BIOMASS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096062
Kind Code:
A1
Abstract:
An apparatus which comprises: a biomass feeder (31) which feeds a raw biomass material (11) from an ordinary-pressure atmosphere to an elevated-pressure atmosphere; a hydrothermal decomposer (41A) in which the raw biomass material (11) fed is conveyed from a lower end side to an inner part of a tilting device main body (42) by means of a conveyor screw (43) and, simultaneously therewith, pressurized hot water (15) is supplied to the inner part of the device main body (42) from an upper end side, which is different from the side where the raw biomass material (11) is fed, whereby the raw biomass material (11) is hydrothermally decomposed while being brought into countercurrent contact with the pressurized hot water (15) to transfer a lignin component and a hemicellulose component to the pressurized hot water (15) and separate the lignin component and hemicellulose component from the raw biomass material (11); and a biomass discharger (51) which discharges a biomass solid matter (17) from the upper end side of the device main body (42), i.e., from an elevated-pressure atmosphere to an ordinary-pressure atmosphere.

Inventors:
GENTA MINORU
UEHARA RYOSUKE
FUJITA KINYA
OMOTO SETSUO
MATSUBARA WATARU
SEIKI YOSHIO
Application Number:
PCT/JP2008/067040
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
September 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
GENTA MINORU
UEHARA RYOSUKE
FUJITA KINYA
OMOTO SETSUO
MATSUBARA WATARU
SEIKI YOSHIO
International Classes:
B09B3/00; B01J3/00; B01J3/02; C10G31/08; C12M1/00; C12M1/40
Foreign References:
JP2005205252A2005-08-04
JP2006289164A2006-10-26
JP2006223152A2006-08-31
JP2007112880A2007-05-10
JPH11172262A1999-06-29
JP2002105466A2002-04-10
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, HIROAKI (JP)
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Claims:
 バイオマス原料を常圧下から加圧下に供給するバイオマス供給装置と、
 供給されたバイオマス原料を、いずれか一方から装置本体の内部にスクリュー手段により搬送すると共に、前記バイオマス原料の供給箇所とは異なる端部側から加圧熱水を本体内部に供給し、バイオマス原料と加圧熱水とを対向接触させつつ水熱分解し、加圧熱水中にリグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、前記バイオマス原料中からリグニン成分及びヘミセルロース成分を分離してなる水熱分解装置と、
 前記装置本体の上端部側からバイオマス固形分を加圧下から常圧下に抜出すバイオマス抜出装置とを具備することを特徴とするバイオマスの水熱分解装置。
 請求項1において、
 前記搬送スクリューに熱水排出液の抜出し孔の閉塞を防止するスクレーパーを設けたことを特徴とするバイオマスの水熱分解装置。
 請求項1又は2において、
 前記水熱分解装置の反応温度が180~240℃であると共に、加圧熱水の状態であることを特徴とするバイオマスの水熱分解装置。
 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
 供給するバイオマス原料と加圧熱水との重量比は、1:1~1:10であることを特徴とするバイオマスの水熱分解装置。
 バイオマス原料を常圧下から加圧下に供給するバイオマス供給工程と、
 供給されたバイオマス原料を、いずれか一方から装置本体の内部にスクリュー手段により搬送すると共に、前記バイオマス原料の供給箇所とは異なる端部側から加圧熱水を本体内部に供給し、前記バイオマス原料と加圧熱水とを対向接触させつつ水熱分解し、前記加圧熱水中にリグニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、前記バイオマス原料中からリグニン成分及びヘミセルロース成分を分離してなる水熱分解工程と、
 前記装置本体の上端部側からバイオマス固形分を加圧下から常圧下に抜出すバイオマス抜出工程とを具備することを特徴とするバイオマスの水熱分解方法。
 バイオマス原料を前処理する前処理装置と、
 請求項1乃至4のいずれか一つの水熱分解装置と、
 前記水熱分解装置から排出される前記バイオマス固形分中のセルロースを酵素処理して6炭糖を含む糖液に酵素分解する第1の酵素分解装置と、
 該第1の酵素分解装置で得られた糖液を用いて、発酵処理によりアルコール類、石油代替品類又はアミノ酸類のいずれか一つを製造する発酵装置とを具備することを特徴とするバイオマス原料を用いた有機原料の製造システム。
 請求項6において、
 熱水排出液中のヘミセルロース成分を酵素処理して5炭糖を含む糖液に酵素分解する第2の酵素分解装置と、
 該第2の酵素分解装置で得られた糖液を用いて、発酵処理によりアルコール類、石油代替品類又はアミノ酸類のいずれか一つを製造する発酵装置とを具備することを特徴とするバイオマス原料を用いた有機原料の製造システム。
Description:
バイオマスの水熱分解装置及び 法

 本発明は、バイオマス原料を効率よく水 分解することができるバイオマスの水熱分 装置及び方法、並びにそれを用いた例えば ルコール類、石油代替品類、又はアミノ酸 等の有機原料を効率よく製造することがで るバイオマス原料を用いた有機原料の製造 ステムに関する。

 従来より、希硫酸、濃硫酸による木材等の イオマスの糖化処理後、固液分離し、液相 中和処理し、エタノール発酵等の原料とし 利用するエタノール等の製造技術が実用化 れている(特許文献1、特許文献2)。
 また、糖を出発原料として、化学工業原料 産(例えば乳酸発酵等)も考えられる。
 ここで、バイオマスとは、地球生物圏の物 循環系に組み込まれた生物体又は生物体か 派生する有機物の集積をいう(JIS K 3600 1258 参照)。

 ここで、現在アルコール原料として用い れているサトウキビ、トウモロコシ等は本 食用に供されるものであるが、これらの食 資源を長期的、安定的に工業用利用資源と ることは、有効食料品のライフサイクルの 点から、好ましくない。

 このため、将来的に有用な資源と考えら る草本系バイオマスや木質系バイオマスの うなセルロース系資源を有効活用するのは 重要な課題である。

 また、セルロース系資源では、セルロー は38~50%、ヘミセルロース成分が23~32%と様々 、発酵原料にならないリグニン成分も15~22% それぞれ異なっている。多くの課題を抱え ままの工業化研究のため、原料は固定的に 定されており、原料の汎用性を考慮した生 システムの技術の開示は未だないのが現状 ある。

 さらに、元来、澱粉原料に較べて発酵原 に不利な方法で、ごみ問題、地球温暖化防 対応などを目標に考えるのであるから、原 を固定的に考えた生産システムでは意味が れる。広く一般の廃棄物に適用できなけれ ならない。酵素糖化法そのものも、効率が すぎて、将来課題とされているのが現状で る。酸処理による糖化率も、過剰反応によ 糖の過分解などで、およそ75%(糖化可能成分 基準)前後とかなり小さい値となっている。 って、セルロース系資源に対して、エタノ ル生産収率はおよそ25%に止まっている(非特 文献1、特許文献3)。

特表平9-507386号公報

特表平11-506934号公報

特開2005-168335号公報 日経バイオビジネス、p.52、2002年9月 バイオマス―生物資源の高度利用 日本 芸化学会編 朝倉書店発行 1985年9月

 前記特許文献1及び2にかかる提案におい は、反応に必要な硫酸を常に反応系外から 給する必要があり、製造規模の増大と共に 耐酸性の設備及び多量の硫酸の購入コスト 増大すると共に、用いた硫酸の廃棄コスト( えば石膏法による処理のコスト)及び硫酸回 収コストが増大するという、問題がある。

 前記特許文献3にかかる提案においては、 各種セルロース系資源を熱水処理して、酵素 法により糖化を行うものであるが、熱水処理 する際に、セルロースを糖化する際のリグニ ン成分等のセルラーゼ阻害物質(非特許文献2) が除去されずにセルロースと混在することと なるので、セルロースの糖化効率が低下する 、という問題がある。

 また、セルロース以外のヘミセルロース 分を含むものであるので、糖化に際しては セルロース及びヘミセルロース成分に各々 した酵素を用いる必要がある、という問題 ある。

 また得られる糖液もセルロースからは6炭 糖液、ヘミセルロース成分からは5炭糖液と り、例えばアルコール発酵においても各々 した酵母が必要になり、6炭糖液と5炭糖液と が混在した状態におけるアルコール発酵効率 においてもその向上が求められている。

 このように、従来の技術では、副反応生 物が酵素糖化阻害を引起し糖収率が減少す 現象が起きていたので、酵素糖化阻害物質 除去し、セルロース主体による酵素糖化性 高める水熱分解装置の出現が切望されてい 。

 本発明は、前記課題に鑑み、バイオマス 料からセルロース主体の成分を分離するこ ができるバイオマスの水熱分解装置及び方 と、並びにそれを用いた効率的な糖液の製 を行うと共に、該糖液を基点として、各種 機物原料(例えばアルコール類、石油代替品 類、又はアミノ酸類等)を効率よく製造する とができるバイオマス原料を用いた有機原 の製造システムを提供することを目的とす 。

 上述した課題を解決するための本発明の 1の発明は、バイオマス原料を常圧下から加 圧下に供給するバイオマス供給装置と、供給 されたバイオマス原料を、いずれか一方から 装置本体の内部にスクリュー手段により搬送 すると共に、前記バイオマス原料の供給箇所 とは異なる端部側から加圧熱水を本体内部に 供給し、バイオマス原料と加圧熱水とを対向 接触させつつ水熱分解し、加圧熱水中にリグ ニン成分及びヘミセルロース成分を移行し、 前記バイオマス原料中からリグニン成分及び ヘミセルロース成分を分離してなる水熱分解 装置と、前記装置本体の上端部側からバイオ マス固形分を加圧下から常圧下に抜出すバイ オマス抜出装置とを具備することを特徴とす るバイオマスの水熱分解装置にある。

 第2の発明は、第1の発明において、前記 送スクリューに熱水排出液の抜出し孔の閉 を防止するスクレーパーを設けたことを特 とするバイオマスの水熱分解装置にある。

 第3の発明は、第1又は2の発明において、 記水熱分解装置の反応温度が180~240℃である と共に、加圧熱水の状態であることを特徴と するバイオマスの水熱分解装置にある。

 第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの 明において、供給するバイオマス原料と加 熱水との重量比は、1:1~1:10であることを特 とするバイオマスの水熱分解装置にある。

 第5の発明は、バイオマス原料を常圧下か ら加圧下に供給するバイオマス供給工程と、 供給されたバイオマス原料を、いずれか一方 から装置本体の内部にスクリュー手段により 搬送すると共に、前記バイオマス原料の供給 箇所とは異なる端部側から加圧熱水を本体内 部に供給し、前記バイオマス原料と加圧熱水 とを対向接触させつつ水熱分解し、前記加圧 熱水中にリグニン成分及びヘミセルロース成 分を移行し、前記バイオマス原料中からリグ ニン成分及びヘミセルロース成分を分離して なる水熱分解工程と、前記装置本体の上端部 側からバイオマス固形分を加圧下から常圧下 に抜出すバイオマス抜出工程とを具備するこ とを特徴とするバイオマスの水熱分解方法に ある。

 第6の発明は、バイオマス原料を前処理す る前処理装置と、第1乃至4のいずれか一つの 熱分解装置と、前記水熱分解装置から排出 れる前記バイオマス固形分中のセルロース 酵素処理して6炭糖を含む糖液に酵素分解す る第1の酵素分解装置と、該第1の酵素分解装 で得られた糖液を用いて、発酵処理により ルコール類、石油代替品類又はアミノ酸類 いずれか一つを製造する発酵装置とを具備 ることを特徴とするバイオマス原料を用い 有機原料の製造システムにある。

 第7の発明は、第6の発明において、熱水 出液中のヘミセルロース成分を酵素処理し 5炭糖を含む糖液に酵素分解する第2の酵素分 解装置と、該第2の酵素分解装置で得られた 液を用いて、発酵処理によりアルコール類 石油代替品類又はアミノ酸類のいずれか一 を製造する発酵装置とを具備することを特 とするバイオマス原料を用いた有機原料の 造システムにある。

 本発明によれば、スクリュー手段により 送されるバイオマス原料と加圧熱水とを対 接触させる水熱分解装置を用いることによ 、目的成分であるセルロース(酵素糖化によ り6炭糖液となる)を生成する反応以外の副反 物(リグニン成分、ヘミセルロース成分)を 圧熱水中に移行させることにより、セルロ ス主体のバイオマス固形分を得ることがで る。その結果、6炭糖液を効率よく糖化させ 、該糖液を基点として、各種有機原料(例え ばアルコール類、石油代替品類、又はアミノ 酸類等)を効率よく製造することができる。

 また、対向接触させることにより、熱水 可溶化され易い成分から順次反応系外へ排 されると共に、バイオマスの投入部から熱 投入部まで温度勾配が生じる為、ヘミセル ース成分の過分解が抑制され、結果的に5炭 糖成分を効率よく回収することができる。

図1は、実施例1に係る水熱分解装置の 略図である。 図2は、実施例1に係る他の水熱分解装 の概略図である。 図3は、実施例1に係る他の水熱分解装 の概略図である。 図4は、実施例1に係る他の水熱分解装 の概略図である。 図5は、実施例2に係るアルコール製造 ステムの概略図である。 図6は、実施例3に係るアルコール製造 ステムの概略図である。

符号の説明

 11 バイオマス原料
 12 前処理装置
 13 バイオマス粉砕物
 15 加圧熱水
 16 熱水排出液
 17 バイオマス固形分
 18 酵素
 19 酵素分解装置
 19-1 第1の酵素分解装置
 19-2 第2の酵素分解装置
 20-1 第1の糖液(6炭糖)
 20-2 第2の糖液(5炭糖)
 23 エタノール
 41A~41D 水熱分解装置

 以下、この発明につき図面を参照しつつ 細に説明する。なお、この実施例によりこ 発明が限定されるものではない。また、下 実施例における構成要素には、当業者が容 に想定できるもの、あるいは実質的に同一 ものが含まれる。

 本発明による実施例に係るバイオマスの水 分解装置について、図面を参照して説明す 。
 図1は、実施例1に係るバイオマスの水熱分 装置を示す概念図である。
 図1に示すように、本実施例に係るバイオマ スの水熱分解装置41Aは、バイオマス原料11を 圧下から加圧下に供給するバイオマス供給 置31と、供給されたバイオマス原料(本実施 では、例えば麦わら等)11を、下端部側から 斜型装置本体(以下「装置本体」という)42の 内部に搬送スクリュー43により徐々に搬送す と共に、前記バイオマス原料11の供給箇所 は異なる上端部側から加圧熱水15を装置本体 42内部に供給し、バイオマス原料11と加圧熱 15とを対向接触させつつ水熱分解し、加圧熱 水15中にリグニン成分及びヘミセルロース成 を移行し、バイオマス原料11中からリグニ 成分及びヘミセルロース成分を分離してな 水熱分解装置41Aと、装置本体42の上端部側か らバイオマス固形分17を加圧下から常圧下に 出すバイオマス抜出装置51とを具備するも である。

 なお、本実施例では、バイオマス原料11を 端部側から供給しているが、本発明はこれ 限定されるものではなく、これとは逆に上 部側から供給するようにしてもよく、この には、加圧熱水15は下端部側から供給する。
 前記常圧下から加圧下に供給するバイオマ 供給装置31としては、例えばピストンポン 又はスラリーポンプ等のポンプ手段を挙げ ことができる。

 また、水熱分解装置41Aは、本実施例では 図1に示すように傾斜型の装置としているが 、本発明はこれに限定されるものではなく、 図2に示すような縦型の水熱分解装置41Bとし もよい。また、水平型の水熱分解反応装置 してもよい。

 ここで、傾斜型又は垂直型とするのは、 熱分解反応において発生したガスや原料中 持ち込まれたガス等が上方から速やかに抜 ることができ好ましいからである。また、 圧熱水15で分解生成物を抽出するので、抽 効率の点から上方から下方に向かって抽出 の濃度が高まることとなり、好ましいもの なる。

 前記搬送用スクリュー43を設けることに り、1)固液カウンターフローでの固形分の搬 送が可能となる。2)装置本体42内で固液の分 が可能となる。3)装置本体42内で固体表面、 体中の加圧熱水の混合が進み反応が促進さ る。

 また、図3の水熱分解装置41Cに示すように 、前記搬送スクリュー43に熱水排出液16の抜 し孔16aの閉塞を防止するスクレーパー43aを けるようにしてもよい。

 ここで、前記水熱分解装置41に供給するバ オマスとしては、特に限定されるものでは く、地球生物圏の物質循環系に組み込まれ 生物体又は生物体から派生する有機物の集 をいう(JIS
K 3600 1258参照)が、本発明では特に木質系の えば広葉樹、草本系等のリグノセルロース 源や農業系廃棄物、食品廃棄物等を用いる が好ましい。

 また、前記バイオマス原料11としては、粒 は特に限定されるものではないが、5mm以下 粉砕することが好ましい。
 本実施例では、バイオマスの供給前におい 、前処理装置として、例えば粉砕装置を用 て前処理するようにしてもよい。また、洗 装置により洗浄するようにしてもよい。
 なお、バイオマス原料11として、例えば籾 等の場合には、粉砕処理することなく、そ まま水熱分解装置41Aに供給することができ ものとなる。

 また、水熱分解装置41Aにおける、反応温度 180~240℃の範囲とするのが好ましい。さらに 好ましくは200~230℃とするのがよい。
 これは、180℃未満の低温では、水熱分解速 が小さく、長い分解時間が必要となり、装 の大型化につながり、好ましくないからで る。一方240℃を超える温度では、分解速度 過大となり、セルロース成分が固体から液 側へ移行を増大すると共に、ヘミセルロー 系糖類の過分解が促進され、好ましくない らである。
 また、ヘミセルロース成分は約140℃付近か 、セルロースは約230℃付近から、リグニン 分は140℃付近から溶解するが、セルロース 固形分側に残し、且つヘミセルロース成分 びリグニン成分が十分な分解速度を持つ180 ~240℃の範囲とするのがよい。

 また、反応圧力は本体内部が加圧熱水の状 となる、各温度の水の飽和蒸気圧に更に0.1~ 0.5MPaの高い圧力とするのが好ましい。
 また、反応時間は20分以下、3分~10分とする が好ましい。これはあまり長く反応を行う 過分解物の割合が増大し、好ましくないか である。

 ここで、本発明では、水熱分解装置の本 内の加圧熱水15とバイオマス原料11との流動 は、バイオマス原料11と加圧熱水15とを対向 触させる、いわゆるカウンターフローで接 ・撹拌・流動するようにすることが好まし 。

 また、前記水熱分解装置では、バイオマ 原料11の固形分は図中左側から供給され、 方加圧熱水15は図中右側から供給され、相互 が移動することにより、加圧熱水15(熱水、分 解物が溶解した液)は、固体であるバイオマ 原料11とカウンターフローに固体粒子間に滲 みながら移動することとなる。

 その対向接触の際、固体であるバイオマ 原料11が加圧熱水15により分解すると、その 分解物が加圧熱水15側に溶解移行することと る。

 また、固体と液体との固液比は、液体分が ないほど回収水及び水熱分解のための加温 スチーム量を減らすことができるので好ま い。
 ここで、供給するバイオマス原料と加圧熱 との重量比は、装置構成により適宜異なる 、例えば1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:5とす のが好ましい。

 本実施例によれば、予めバイオマス原料1 1と水とを混合して装置本体に供給するよう スラリー流通式の反応装置では、スラリー 流動性をもたせるために、固体に対してか り多量の水(重量比で10~20倍)を加えなければ らないが、原料であるバイオマス原料11と バイオマス中のリグニン成分及びヘミセル ース成分を除去する加圧熱水15とを水熱分解 装置41Aに別系統で供給するため、固体に対す る液体の重量比を小さくすることができ、装 置の経済性の向上に寄与することとなる。

 なお、本発明では装置本体42の内部には気 部分が存在することとなるので、加圧窒素(N 2 )を内部に供給するようにしている。

 また、水熱分解装置内におけるバイオマ 原料11の昇温は、装置本体42内で加圧熱水15 接触させることによる直接熱交換で実施可 である。なお、必要に応じて、外部から水 気等を用いて加温するようにしてもよい。

 ここで、バイオマス供給装置31は、バイオ ス自体によるマテリアルシール機構を有す スクリュー式押出機構32を採用し、固形のバ イオマス原料11を常圧下から加圧下へ供給す ものである。
 すなわち、スクリューフィーダー32aと油圧 リンダー32bとからなる押出機構32とするこ で、内部に供給されたバイオマス原料11が圧 縮され、バイオマスプラグ33を形成し、この イオマスプラグ33自身で水熱分解装置内圧 を遮断するマテリアルシールを行うように ている。スクリューフィーダー32aにより徐 に押されて、油圧シリンダー32bの先端部分 ら徐々にバイオマスが切り出され、装置本 42内部に確実にバイオマス原料11を供給する ととなる。

 また、バイオマス抜出装置51は、その構成 前記バイオマス供給装置31と同様であり、ス クリューフィーダー52aと油圧シリンダー52bと からなる押出機構とすることで、水熱分解装 置で反応したバイオマス固形物17が圧縮され バイオマスプラグ53を形成し、このバイオ スプラグ53自身で水熱分解装置内圧力を遮断 するマテリアルシールを行うようにしている 。そして、熱水排出液16にリグニン成分及び ミセルロース成分を移行させたバイオマス 形分17を加圧下から常圧下へ排出を可能と るものである。この際、バイオマスプラグ53 から残留された水分が脱水される。
 この脱水液54は、加圧熱水可溶分(リグニン 分及びヘミセルロース成分)を含むものであ るので、熱水排出液16に送られ、熱水排出液1 6と共に別途処理される。

 また、バイオマス抜出装置51内で、加圧 態から常圧状態に変化するので、排出され バイオマス固形物17は、爆砕されることとな り、繊維が破壊され、後の工程である酵素糖 化における糖化効率が向上することとなる。

 また、バイオマス抜出装置51においては 低分子化した揮発性の酵素糖化阻害成分又 エタノール発酵阻害成分のいずれか一方又 両方を除去することができる。

 また、本発明においては、バイオマス原料 加圧熱水とを対向接触させることにより、 水に可溶化され易い成分から順次排出され と共に、バイオマスの投入部から熱水投入 まで温度勾配が生じる為、ヘミセルロース 分の過分解が抑制され、結果的に5炭糖成分 が効率よく回収することができる。
 さらに、対向接触させることで、熱回収が きシステム効率から好ましいものとなる。

 また、図4に示す水熱分解装置41Dに示すよう に、バイオマス抜出装置51で分離され脱水液5 4を再度装置本体42内に供給するようにしても よい。これにより、装置本体42の内部に供給 る加圧熱水量の削減を図ることができる。
 また、理想的なカウンターフローの実現が 能となる。

 また、図4に示すよう水熱分解装置41Dでは 、装置本体42のバイオマス原料11が供給され 部分でバイオマスに含まれる余剰水34を除去 するように、余剰水除去ラインを設けるよう にしている。この余剰水34はバイオマス原料1 1を湿潤状態にするのに用いてもよい。

 本発明による実施例2に係るバイオマス原料 を用いた有機原料であるアルコールの製造シ ステムについて、図面を参照して説明する。 図5は、実施例に係るバイオマス原料を用い 有機原料の製造システムを示す概念図であ 。
 図5に示すように、本実施例に係るバイオマ ス原料を用いたアルコールの製造システム10- 1は、バイオマス原料11を例えば粉砕処理する 前処理装置12と、前処理したバイオマス粉砕 13を加圧熱水15と対向接触させつつ水熱分解 し、加圧熱水15中にリグニン成分及びヘミセ ロース成分を移行し、バイオマス固体中か リグニン成分及びヘミセルロース成分を分 してなる図1に示す水熱分解装置41Aと、前記 水熱分解装置41Aから排出されるバイオマス固 形分17中のセルロースを酵素処理して6炭糖を 含む糖液に酵素(セルラーゼ)18-1で酵素分解す る第1の酵素分解装置19-1と、第1の酵素分解装 置19-1で得られた第1の糖液(6炭糖)20-1を用いて 、発酵処理によりアルコール類(本実施の形 ではエタノール)を製造する第1のアルコール 発酵装置21-1と、第1のアルコール発酵液22-1を 精製して目的生成物のエタノール23と残渣24-1 とに分離処理する第1の精製装置25-1とを具備 るものである。

 本発明によれば、図1に示すような水熱分解 装置41Aにおいて、カウンターフローを採用す ることにより、液体側の加圧熱水15中にリグ ン成分及びヘミセルロース成分を移行させ 固体側のバイオマス固形分17にはセルロー がとどまることとなり、酵素糖化の第1の酵 分解装置19-1により第1の糖液(6炭糖)20-1を得 こととなる。
 そして、6炭糖に応じた発酵(最終製品に応 た発酵:本実施例では第1のアルコール発酵装 置21-1を用いてエタノール23を発酵により求め る)プロセスを構築することができる。

 本実施例では、発酵処理により求めるも として、アルコール類のエタノールを例示 たが、本発明はこれに限定されるものでは く、アルコール類以外の、化成品原料とな 石油代替品類又は食品・飼料原料となるア ノ酸類を発酵装置により得ることができる

 ここで、糖液を基点とした化成品として 、例えばLPG、自動用燃料、航空機用ジェッ 燃料、灯油、ディーゼル油、各種重油、燃 ガス、ナフサ、ナフサ分解物であるエチレ グリコール、エタノールアミン、アルコー エトキシレート、塩ビポリマー、アルキル ルミニウム、PVA、酢酸ビニルエマルジョン ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピ ン、ポリカーボネート、MMA樹脂、ナイロン ポリエステル等を挙げることができる。よ て、枯渇燃料である原油由来の化成品の代 品及びその代替品製造原料としてバイオマ 由来の糖液を効率的に利用することができ 。

 本発明による実施例3に係るバイオマス原料 を用いた有機原料であるアルコール製造シス テムについて、図面を参照して説明する。
 図6は、本実施例に係るバイオマス原料を用 いた有機原料のアルコール製造システムを示 す概念図である。
 図6に示すように、本実施例に係るバイオマ ス原料を用いたアルコールの製造システム10- 2は、図5に示すアルコール製造システム10-1に おいて、水熱分解装置41Aから排出される熱水 排出液16中に移行されたヘミセルロース成分 酵素処理して5炭糖を含む第2の糖液20-2に酵 分解する第2の酵素分解装置19-2を設けてな ものである。
 なお、酵素分解装置、アルコール発酵装置 精製装置は、それぞれ別途2機(第1の酵素分 装置19-1、第2の酵素分解装置19-2、第1のアル コール発酵装置21-1、第2のアルコール発酵装 21-2、第1の精製装置25-1、第2の精製装置25-2) 置している。そして、第1の糖液(6炭糖)20-1 第2の糖液(5炭糖)20-2に応じた酵素分解工程、 アルコール発酵工程及び精製工程を行うよう にして、エタノール23を得るようにしている

 そして、本実施例では、第2の酵素分解装 置19-2で得られた第2の糖液(5炭糖)20-2を用いて 、発酵処理によりエタノール23を製造するこ ができる。

 なお、熱水排出液は必ずしも別系統にお て処理するものではなく、例えば酵素分解 置を以降の工程を共通化したり、アルコー 発酵装置以降の工程を共通化したり、ある は精製装置以降を共通化する等適宜変更を うことができる。

 本発明によれば、水熱分解装置41Aにおい 、カウンターフローを採用することにより 固体側のバイオマス固形分17では、セルロ スがとどまることとなり、酵素糖化の第1の 素分解装置19-1により第1の糖液(6炭糖)20-1を ると共に、液体側の加圧熱水15では、その 圧熱水に可溶したヘミセルロース成分を熱 排出液16として分離し、別途酵素糖化の第2 酵素分解装置19-2により第2の糖液(5炭糖)20-2 得るので、両者を効率よく分離して各々糖 することが可能となる。そして、6炭糖、5炭 糖に応じた発酵(最終製品に応じた発酵:例:エ タノール発酵)プロセスを構築することがで る。

 このように、水熱分解装置41Aにおけるカ ンターフローを採用することによって6炭糖 を得る酵素糖化反応において阻害物質となる 副反応成分や加圧熱水に可溶なリグニン成分 を加圧熱水15側に移行させるため、セルロー 主体のバイオマス固形分17となり、その後 糖化反応における6炭糖の糖化反応収率が向 する。

 一方、分離された熱水排出液16に含まれる ミセルロース成分は、その後第2の酵素分解 置19-2において糖化され、5炭糖を含む糖液 得ることができる。
 そして、6炭糖、5炭糖の各々に適した酵母 を用いることでエタノールを効率的に個別 発酵により求めることができるものとなる

 このように、従来の技術では、副反応生 物が、酵素糖化阻害を引起し糖収率が減少 る現象が起きていたが、本発明によれば、 イオマス原料からセルロース主体の成分と ミセルロース成分を加圧熱水に移行させて 者を分離し、各々に適した効率的な糖液(6 糖液、5炭糖液)の製造を行うと共に、該糖液 を基点として、各種有機原料(例えばアルコ ル類、石油代替品類、又はアミノ酸類等)を 率よく製造することができるバイオマス原 を用いた有機原料の製造システム及び方法 提供することが可能となる。

 以上のように、本発明によれば、水熱分 装置により、バイオマス原料からセルロー 主体の成分を分離し、効率的な糖液の製造 行うと共に、該糖液を基点として、各種有 (例えばアルコール類、石油代替品類、又は アミノ酸類等)を効率よく製造することがで る。