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Title:
APPARATUS AND METHOD FOR PRETREATMENT FOR MEMBRANE FILTRATION OF HIGH-HARDNESS RAW WATER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119299
Kind Code:
A1
Abstract:
An apparatus for a pretreatment for the membrane filtration of high-hardness raw water is provided which can effectively inhibit scale deposition on a reverse osmosis membrane used in a later step. This apparatus is low in running cost and has a simple configuration. The pretreatment apparatus for the membrane filtration of high-hardness raw water comprises a crystallization reaction tank which has a two-stage structure and has been disposed before an apparatus for the membrane filtration of high-hardness raw water. This pretreatment apparatus is characterized in that the crystallization reaction tank of a two-stage structure comprises: a first tank into which high-hardness raw water flows; and a second tank of an ascending flow type which has been connected to the top of the first tank and into which the water present in the first tank is injected through the bottom. The apparatus is further characterized in that the first tank is equipped with an alkali injection means and serves as an alkali contact tank, and that the second tank is equipped, in an upper part thereof, with a flocculant injection means and a stirrer and further equipped, in a lower part thereof, with an accumulation part for a sediment settling from the upper part and with a sludge discharge means.

Inventors:
MATSUI YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054460
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
METAWATER CO LTD (JP)
MATSUI YASUHIRO (JP)
International Classes:
C02F1/44; B01D9/02; B01D61/16; C02F1/52; C02F1/58
Foreign References:
JP2000024673A2000-01-25
JP2002301480A2002-10-15
JP2006122896A2006-05-18
JP2003300069A2003-10-21
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (JP)
Kenji Sugimura (JP)
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Claims:
 高硬度原水の膜ろ過装置の前段に二段構造からなる晶析反応槽を配置した高硬度原水膜ろ過用の前処理装置であって、
 この二段構造からなる晶析反応槽は、高硬度原水が流入する第1槽と、その上部に接続され、且つ、当該第1槽の槽内水が底面から注入される上向流式の第2槽とからなり、
 前記第1槽にはアルカリ注入手段を設けてアルカリ接触槽とし、
 前記第2槽の上部には凝集剤の注入手段と撹拌機とを設け、また当該第2槽の下部には上部から沈降してくる沈殿物の集積部と排泥手段とを設けたことを特徴とする高硬度原水膜ろ過用の前処理装置。
 前記第1槽と前記第2槽の間に、当該第2槽内に突出した複数のノズルを備えた仕切り板を備えたことを特徴とする請求項1記載の高硬度原水膜ろ過用の前処理装置。
 請求項1記載の装置を用いた高硬度原水膜ろ過用の前処理方法であって、
 pHが8以上であって、全硬度濃度が300mg/L以上の高硬度原水を前記晶析反応槽の前記第1槽に導入して水流撹拌によるアルカリ接触を行う工程と、
 前記第1槽でアルカリ接触を行った原水を前記第2槽の下部から導入して当該第2槽の上部で凝集反応を行う工程と、
 前記凝集反応で生じた凝集物を晶析核粒子として晶析反応を進行させると共に、凝集物を第2槽の下部に沈降させる晶析工程と、
 前記集積部に沈殿した沈殿物を前記第2槽の外部に排泥する工程と、
を有することを特徴とする高硬度原水膜ろ過用の前処理方法。
Description:
高硬度原水膜ろ過の前処理装置 び前処理方法

 本発明は、高硬度原水を逆浸透膜等で膜 過する場合に、当該逆浸透膜等の前段に設 られる前処理装置及びその装置を用いた前 理方法に関するものである。

 従来、海水、かん水等の硬度が高い水(高 硬度原水)から水分子を分離するための一般 手法としては、逆浸透膜を用いた膜分離法 知られている。ここで、逆浸透膜とは、被 理水中の水分子のみを選択的に透過し、イ ンや塩類等の水以外の不純物は透過しない 質を有する膜である。従って、上記膜分離 によれば、被処理水は、逆浸透膜を透過し 透過水と、逆浸透膜を透過しなかった濃縮 とに分離される。

 しかし、上記膜分離法を用いて高硬度原 から水分子を分離する場合、被処理水であ 高硬度原水に含まれているカルシウム及び グネシウム等が濃縮水中に濃縮されるため 難溶性のカルシウム塩及びマグネシウム塩 析出して、逆浸透膜にスケールが付着し、 理効率が低下するという問題がある。

 このような逆浸透膜へのスケール付着に るトラブルを防止する方法としては、被処 水中のカルシウム及びマグネシウムを予め 去する方法が一般的に知られている。具体 には、上記カルシウム及びマグネシウムの 去方法として、陽イオン交換樹脂を用いる オン交換法、アルカリ剤を注入してカルシ ム及びマグネシウムを析出沈殿させる析出 殿法、及び、種晶の存在下でアルカリ剤を 入してカルシウム及びマグネシウムを種晶 に析出させる晶析法などが知られている。 のうち、イオン交換法には、コストが高く 用しにくいという問題がある。

 上記析出沈殿法は、アルカリ凝析法とも言 れ、該アルカリ凝析法では、アルカリ剤を 入して被処理水のpHを上昇させることによ 、被処理水に溶解しているカルシウム及び グネシウムを難溶性の水酸化物や炭酸塩と て析出させる。ここで、アルカリ剤として 酸化カルシウム(Ca(OH) 2 )、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )、及び苛性ソーダ(NaOH)などを添加する上記 ルカリ凝析法においては、被処理水のpHはア ルカリ剤の注入量に応じて変動する。また、 被処理水中の炭酸水素イオン(HCO 3 - )と炭酸イオン(CO 3 2- )との濃度比率は、下記(I)に示された平衡式 基づき決まる。そして、上記アルカリ凝析 では、被処理水中のカルシウムイオン(Ca 2+ )は、被処理水のpH及び炭酸の存在形態に応じ て、式(II)~(III)および(IV)に示すように炭酸塩 形成して、難溶性の炭酸カルシウム(CaCO 3 )として析出し、除去される。また、マグネ ウムも同様にして、難溶性の炭酸マグネシ ム(MgCO 3 )として析出し、除去される。
HCO 3 - ⇔H + +CO 3 2-  ・・・・・(I)
Ca 2+ +2HCO 3 - ⇔Ca(HCO 3 ) 2  ・・・・・(II)
Ca(HCO 3 ) 2 +Ca(OH) 2 ⇔2CaCO 3 ↓+2H 2 O ・・・(III)
Ca 2+ +CO 3 2- ⇔CaCO 3 ↓ ・・・・・(IV)

 ここで、理論上、上記反応によって被処理 中のカルシウムおよびマグネシウムを完全 析出させるためには、被処理水中のカルシ ムイオンおよびマグネシウムイオンと等モ の炭酸イオンが必要である。しかし、水溶 中の総アルカリ(CO 2 +HCO 3 - +CO 3 2- )に対する炭酸水素イオン(HCO 3 - )の存在比のpH依存性を図1に示すように、水 液中の炭酸と、炭酸イオンと、炭酸水素イ ンとの存在比(モル比)は、pHに依存する。従 て、例えば被処理水が海水の場合、pHが8.0 近である海水では、炭酸イオンの存在比、 ち総アルカリ量に対する炭酸イオン量の比 0.5%程度に留まり、大部分が炭酸水素イオン して存在していることとなる。一方、上記 応により被処理水中のカルシウムイオンお びマグネシウムイオンを有効に除去するた には、被処理水中の炭酸イオンの存在比を5 0%程度とする必要がある。そのため、海水中 炭酸イオンの存在比を50%程度としてカルシ ムイオンおよびマグネシウムイオンを有効 除去するためには、海水のpHを10以上に調整 する必要がある。しかし、図2に示すように 海水はpH10.0付近で緩衝作用を示す。従って 海水のpHを10以上に調整するには、苛性ソー などのアルカリ剤を大量に添加する必要が り、非常に高いコストがかかる。即ち、pH 10以上に調整することで海水中のカルシウム イオンおよびマグネシウムイオンを炭酸カル シウムおよび炭酸マグネシウムとして析出さ せ、後段の逆浸透膜におけるスケール形成を 抑制する手段は現実的ではない。

 また、上記アルカリ凝析法では、被処理 中にアルカリ剤を添加すると、上記反応に り直ちに炭酸カルシウムおよび炭酸マグネ ウムが析出するが、析出した炭酸カルシウ および炭酸マグネシウムの粒径は小さく、 殿し難い。そのため、析出した炭酸カルシ ムおよび炭酸マグネシウムが懸濁性微粒子 して処理水中に混入して逆浸透膜の目詰ま の原因となる恐れがあった。更に、炭酸カ シウムおよび炭酸マグネシウムは、一旦沈 すると固着しやすく、膜分離装置全体への ケール付着の原因となるという問題があっ 。

 これに対し、特開2000-24673号公報では、被 処理水中に晶析核となる核粒子を添加して該 核粒子上に炭酸カルシウムを晶析、積層させ 、成長肥大した核粒子(ペレット)を系外に排 した後、別途設けた凝集装置と砂ろ過装置 を用いて、晶析後の処理水に混入している 濁性微粒子を除去することで問題解決を図 ている。

 しかし、被処理水中に晶析核となる核粒 を添加する上記従来技術では、晶析反応用 装置と凝集反応用の装置との2つの装置が必 要であり、処理工程が煩雑になると共に装置 が大掛かりになるという問題があった。また 、上記従来技術では、前処理工程の後段に精 密ろ過膜もしくは限外ろ過膜を用いた水処理 プロセスがある場合には、前処理工程の処理 水中から粒子及び析出物を事前に取り除かな ければ、後段の精密ろ過膜もしくは限外ろ過 膜が膜閉塞を起こす恐れがあるという問題や 、膜閉塞時の洗浄操作が困難であるという問 題もあった。

 本発明の目的は、後段の逆浸透膜のスケ ル形成を有効に抑制することができ、ラン ングコストが安く、且つ、構成が簡素な高 度原水膜ろ過の前処理装置を提供すること ある。また、その装置を用いた高硬度原水 ろ過の前処理方法を提供することである。

 本発明の高硬度原水膜ろ過の前処理装置 、高硬度原水の膜ろ過装置の前段に二段構 からなる晶析反応槽を配置した高硬度原水 ろ過用の前処理装置であって、この二段構 からなる晶析反応槽は、高硬度原水が流入 る第1槽と、その上部に接続され、且つ、当 該第1槽の槽内水が下端から注入されて上部 と上向流によって押し出される第2槽とから り、前記第1槽にはアルカリ注入手段を設け てアルカリ接触槽とし、前記第2槽の上部に 凝集剤の注入手段と撹拌機とを設け、また 該第2槽の下部には上部から沈降してくる沈 物の集積部と排泥手段とを設けたことを特 とする。ここで、この前処理装置では、晶 反応槽の第1槽で、例えば水流撹拌条件下に おいて高硬度原水とアルカリ剤とが接触して 粘性のある白濁物質(炭酸カルシウム、炭酸 グネシウム等)が析出する。そして、この白 物質は凝集核として第2槽に導かれ、第2槽 は凝集反応によるフロック形成と、当該フ ックを晶析核とした晶析反応とが起こる。 って、この前処理装置では、凝集、晶析及 沈殿のための専用装置が必要ない。即ち、 程が単純化されて高硬度原水膜ろ過の前処 装置の小型化を図ることができる。

 ここで、本発明の高硬度原水膜ろ過の前 理装置は、前記第1槽と前記第2槽との間に 当該第2槽内に突出した複数のノズルを備え 仕切り板を備えることが好ましい。第1槽と 第2槽との間に、第2槽内に突出した複数のノ ルを備えた仕切り板を備えたことにより、 1槽内で高硬度原水にアルカリ剤を注入した 直後に生じる白濁物質をゲル状態で維持させ 、それを効率よく浮遊させつつ、第2槽に導 することが可能となるからである。

 また、本発明の高硬度原水膜ろ過の前処理 法は、上述した装置を用いた高硬度原水膜 過用の前処理方法であって、pHが8以上であ て全硬度濃度が300mg/L(CaCO 3 換算濃度)以上の高硬度原水を前記晶析反応 の前記第1槽に導入して水流撹拌によるアル リ接触を行う工程と、前記第1槽でアルカリ 接触を行った原水を前記第2槽の下部から導 して当該第2槽の上部で凝集反応を行う工程 、前記凝集反応で生じた凝集物を晶析核粒 として晶析反応を進行させると共に、凝集 を第2槽の下部に沈降させる晶析工程と、前 記集積部に沈殿した沈殿物を前記第2槽の外 に排泥する工程とを有することを特徴とす 。このように、pHが8以上であって全硬度濃 が300mg/L(CaCO 3 換算濃度)以上の高硬度原水を晶析反応槽の 1槽に導入して、水流撹拌により高硬度原水 アルカリ剤とを接触させることにより、粘 のある白濁物質(炭酸カルシウム、炭酸マグ ネシウム等)を析出させることができる。そ て、この白濁物質が懸濁した被処理水を第2 の下部から導入し、上向流で第2槽の上部に 押し出すと共に、上部より凝集剤を添加する ことよって被処理水中の有機物等も凝集させ ることができる。ここで、凝集剤の添加によ り肥大化した凝集物は第2槽の下部に向かっ 沈降し、その過程で凝集物を晶析核とした 析反応が生じる。この結果、凝集沈殿によ 有機物の低減と、晶析によるカルシウム及 マグネシウムの除去(即ち、スケール形成の 減)とを図ることが可能となる。また、本発 明によれば、被処理水が海水の場合に、pHを1 0以上の高アルカリに調整して炭酸イオン存 比を高めるという手段によらずとも、逆浸 膜のスケール形成を効果的に防止すること 可能となる。なお、水流撹拌とは、撹拌機 を用いて機械的に撹拌するのではなく、装 に流入する水の流れ(水流)自体を用いて撹拌 することを指す。具体的には、槽内の水理学 的な乱れの指標であるレイノルズ数が10000以 となるように、原水およびアルカリ剤の設 流入量に対して槽の断面積を設定すること 、水流撹拌を実現することができる。この うにすれば、撹拌装置を用いない簡易な構 の装置で高硬度原水膜ろ過の前処理を行う とができる前処理方法を提供し得る。

水溶液中の炭酸イオン存在比とpHとの 係を示すグラフである。 海水にアルカリ剤を添加した場合のpH 化を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態の説明図である 。 本発明の第2の実施形態の説明図である 。

(実施形態1)
 図3に、本発明の前処理装置および前処理方 法の第1の実施形態を示す。本発明にかかる 硬度原水膜ろ過の前処理装置は、精密ろ過 または限外ろ過膜からなるろ過膜12の前段に 二段構造からなるカラム型の晶析反応槽3を 置した高硬度原水膜ろ過用の前処理装置で って、この二段構造からなる晶析反応槽3は 高硬度原水が流入する第1槽1と、その上部 接続され第1槽1の槽内水が底面から注入され る上向流式の第2槽2とからなり、第1槽1には ルカリ注入手段5を設けてアルカリ接触槽と 、第2槽2の上部には凝集剤の注入手段9と撹 機10とを設け、また第2槽2の下部には上部か ら沈降してくる沈殿物の集積部と排泥手段11 を設けたものである。そして、この前処理 置の後段には図示しない逆浸透膜が設けら ており、前処理装置から流出する処理水は 浸透膜で処理される。

 晶析反応槽3の最下部には原水流入口4が形 され、ここから全硬度濃度が300mg/L(CaCO 3 換算濃度)以上の高硬度原水が流入する。こ で、本明細書では高硬度原水とは全硬度濃 が300mg/L(CaCO 3 換算濃度)以上の水を指し、全硬度濃度は、JI S K0101に準拠して、ICP発光分光分析法を用い 水中のカルシウムおよびマグネシウム濃度 総和を算出することにより求めることがで る。従って、例えば、海水やかん水などが 硬度原水に該当する。

 晶析反応槽3の第1槽1には、図示しないア カリ剤注入ポンプとアルカリ剤注入口とか なるアルカリ注入手段5が設けられている。 そして、アルカリ注入手段5を用いて第1槽1内 へアルカリ剤が注入される。例えば、原水と して海水を用いる場合、海水のpHは8.0付近で るが、第1槽1のアルカリ注入手段5からNaOHを 注入して、海水のpHを9.5~9.8程度に調整する。 ここで、アルカリ剤は原水のpHを9.5~9.8程度に 調整するものであればよく、特にNaOHに限定 れるものではない。なお、海水を原水(被処 水)として第1槽1に導き、ここにアルカリ剤 注入するとゲル状の白濁物質が生じる。こ 白濁物質は、主にカルシウム及びマグネシ ムを主成分とする炭酸塩であり、高い粘性 有している。

 なお、晶析反応槽3の第1槽1は水流撹拌槽 あることを特徴とし、第1槽1に流入した原 とアルカリ注入手段5から注入されたアルカ 剤とが水流によって緩やかに接触する。な 、水流撹拌槽は、例えば、流入した原水が 流で流れるような形状および大きさの槽と ることができる。

 ここで、一般に、海水やかん水中に存在 るプランクトンの代謝産物由来の菌体外多 類(以下、EPS)等は、粘着性が高く、膜のバ オファウリングの一因となるバイオファウ ング原因物質である。そして、バイオファ リング原因物質は、粘着性の高い物質であ て、晶析反応槽3の後段に設けられたろ過膜1 2の表面に付着してバイオファウリングの原 となり、高硬度原水膜ろ過の前処理装置の 期間連続運転を不可能にする。このため、 れらを被処理水から除去して、バイオファ リングを抑制することが求められている。 れに対し、本発明では、前記白濁物質を水 撹拌によって浮遊させることで、原水中の 記バイオファウリング原因物質も吸着除去 れると考えられる。従って、本発明によれ 、カルシウムおよびマグネシウムだけでな 、バイオファウリング原因物質も被処理水 ら有効に除去できる。

 第1槽1でアルカリ処理されて白濁した処 水は、第1槽1と第2槽2の間に設けられた仕切 板6の導入口7から、第2槽2に導入される。第 2層2内で生じる沈殿物の第1槽への逆流を防ぐ 、即ち、沈殿物を効率よく浮遊させるため、 仕切り板6は突出した複数のノズル8を備えた 造とすることが好ましい。ここで、仕切り 6は、例えば、複数の孔を板に設けると共に 、該孔に短管を接合して導入口7とすること より製造することができる。そして、晶析 応槽3では、この仕切り板6上の部分が集積部 となる。

 第2槽2は槽内に上向流が形成される上向 槽であって、第1槽1から導入された処理水は 上向流によって第2槽2上部に押し出される。 2槽2上部には凝集剤の注入手段9と撹拌機10 が設けられている。第1槽1のアルカリ接触で 生じた白濁物質は、第2槽2の上向流によって 析する。これらの凝析物は、炭酸カルシウ もしくは炭酸マグネシウムが被処理水中に 濁性微粒子として混在したものであって、 径が小さく沈殿しにくいものである。そし 、この凝析物は、後段の精密ろ過膜や限外 過膜の目詰まりの原因となるため、除去す 必要がある。第2槽2では、前記懸濁性微粒 が凝集核となって、注入手段9から注入され 凝集剤と反応しフロックが形成されるが、 処理水は第1槽1でのアルカリ処理によって pH9.5~9.8のアルカリ性を帯びているため、凝 剤としては、そのアルカリ条件下でも凝集 果を発揮する凝集剤を選択する必要がある 例えば、本発明の凝集剤としては塩化第二 などを使用することが好ましい。

 また、第2槽2の上部には撹拌機10も設けら れており、凝集反応が効率よく促進される。 凝集反応によるフロック形成過程においては 、被処理水中のスケール成分やSS(浮遊性物質 )などがフロック中に取り込まれ、肥大化し フロックは第2槽2内の上向流に逆らって、第 2槽2の下部に沈降していく。

 第2槽2内の被処理水は前記のようにpH9.0~9. 8のアルカリ性を帯びているため、フロック 第2槽2の下部に沈降していく過程で、フロッ ク自身が晶析核となって晶析反応が進行する 。このため、本発明によれば、晶析反応促進 のための核粒子を別途添加することなく、第 2槽2の被処理水中に含まれるカルシウム及び グネシウムを晶析させることができ、懸濁 微粒子による膜閉塞の問題や、晶析装置の 型化や工程の煩雑化という問題を回避でき 。

 また、図1に示すように、水溶液中の炭酸 イオン存在比はpHに依存するため、被処理水 含まれるカルシウム及びマグネシウムを完 に析出させるためには、pHを10以上に高める ことが必要になる。しかし、図2に示すよう 、被処理水が海水である場合には、pH10付近 平衡点が存在するため、高pHとするために 、大量のアルカリ剤が必要となり、経済的 点から好ましくない。これに対して、本発 は前記全構成によって、pHを10以上に高める となく、炭酸イオンと炭酸水素イオンの平 反応下で炭酸水素イオン濃度が多数を占め pH領域において、被処理水とフロックとを 率的に接触させることで被処理水中のカル ウムおよびマグネシウムを効率よく溶解平 に導き、スケーリング形成の軽減を図るこ を可能にしている。

 なお、第2槽2の下部に沈殿した凝集物は 第2槽2の下部に設けた排泥手段11としての排 口から間欠的に、或いは、連続的に排出す ことができる。具体的には、排泥口の後段 に設けた仕切り弁の間欠的な開閉、或いは 連続的な開放により適宜排出することがで る。なお、排泥は、水頭差を用いて行って よいし、排水ポンプを用いて行ってもよい また、スケール成分が除去された処理水は 第2槽2上部から排出される。そして、この 理水は、スケール成分の濃度が低減されて るので、晶析反応槽3と、ろ過膜12との間で ケールが発生する頻度を低減する。

(実施形態2)
 本発明を構成する二段式晶析反応槽内で行 れる前処理工程では、原水中のカルシウム オン等のスケール成分を完全に除去するこ は目的としておらず、スケール成分が析出 ない程度(過飽和に至らない程度)に残存す ことは許容しつつ、従来の前処理装置では 去されなかったバイオファウリングの原因 質を有効に除去することも目的としている したがって、図4に示すように、本発明の第2 の実施形態として、第2槽2の上部から排出さ る処理水中に含まれるカルシウムイオン等 スケール成分を更に除去する工程のための 処理装置を設けることも可能である。

 図4に示す本発明の第2の実施形態は、第1 実施形態で用いた晶析反応槽3の後段に凝集 混和槽13を設けて、更にその後段にセラミッ 製のろ過膜14を設けて、高硬度原水の前処 を行うものである。

 第2の実施形態では、原水のpHを9.0以上に 整して晶析反応槽3で原水中のカルシウムお よびマグネシウムの一部、並びにバイオファ ウリング原因物質を除去する。そして、凝集 混和槽13では、pHが9.0以上の環境で凝集効果 発揮する凝集剤、例えば塩化第二鉄を添加 、その後セラミック膜14で濾過することによ り、原水中のカルシウム量の10%程度のカルシ ウムを前処理水から更に除去する。

 第2の実施形態では、凝集混和槽13の前段の 析反応槽3でバイオファウリング物質を除去 するため、後段のセラミック膜14でのバイオ ァウリングが抑制されて長時間の連続運転 可能となる。また、ろ過膜として、高強度 つ耐酸性及び耐アルカリ性の性質を有する ラミック膜14を用いることにより、6m 3 /m 2 /日以上の高流束でのろ過が可能となる。更 、セラミック膜はpH2以下での強酸洗浄が可 であるため、強酸洗浄を用いた長時間の連 運転が可能となる。

[実施例]
 海水からカルシウムイオンを除去する逆浸 膜の前処理装置として、図3の前処理装置を 用いて、本発明にかかる前処理方法により、 下記条件下で前処理を行ったところ、運転を 75日間連続して行った場合にも、逆浸透膜に ける膜圧上昇や破損などの問題は特に認め れなかった。
 (運転条件)
 被処理水        10m 3 /日
 アルカリ剤注入量    NaOHを50~100mg/L
 凝集剤添加量      FeCl 3 を1~6mg/L
 透過水量        9m 3 /日以上

[比較例]
 一方、逆浸透膜の前処理装置として、本発 の晶析反応槽の代わりに通常のアルカリ剤 よる析出沈殿装置(アルカリ剤注入手段と撹 拌機とを備える第1槽と、凝集剤注入手段と 拌機とを備える第2槽と、膜ろ過装置とを順 接続してなる装置)を用いた場合には、精密 ろ過膜は14日で100KPaに及ぶ膜差圧の上昇が認 られ、また、膜洗浄も困難であった。