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Title:
APPARATUS AND PROCESS FOR PRODUCING SOLID FUEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087790
Kind Code:
A1
Abstract:
A solid fuel producing apparatus that even when supply of raw coal (RC) and mixed oil (MO) and supply of slurry to subsequent steps are stopped because of troubling at evaporation step or later, etc., would prevent cloggings of heat exchanger and raw coal supply means. The solid fuel producing apparatus includes a mixing tank (1) for mixing porous coal with a mixed oil having heavy oil and solvent oil contents to thereby obtain a raw slurry; an evaporator (2) for processing evaporation of water from the raw slurry by heating the same to thereby obtain a dehydrated slurry; a solid-liquid separator (3) for separation of the mixed oil and modified porous coal from the dehydrated slurry; and circulation means (4) for returning the mixed oil having been separated and recovered by the solid-liquid separator to the mixing tank. The solid fuel producing apparatus is characterized by having a mixed oil heating heat exchanger (5) for heating the mixed oil to be returned to the mixing tank by the circulation means.

Inventors:
SHIGEHISA TAKUO
SUGITA SATORU
Application Number:
PCT/JP2008/065082
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
August 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
SUGITA YUKO
SHIGEHISA TAKUO
International Classes:
C10L5/00; C10L5/04; C10L9/08; C10L9/10
Foreign References:
JP2007138103A2007-06-07
JP2005206695A2005-08-04
JPH07233384A1995-09-05
JPH07233383A1995-09-05
JPS58187490A1983-11-01
JPS57501919A1982-10-28
JPS53112902A1978-10-02
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含む混合油と混合して原料スラリーを得る混合槽;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理して脱水スラリーを得る蒸発器;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油とを分離する固液分離器;および
 固液分離器で分離回収された混合油を混合槽へ戻す循環手段
を有する固形燃料の製造装置であって、
 循環手段によって混合槽に戻される混合油を加熱する混合油加熱用熱交換器を有することを特徴とする固形燃料の製造装置。
 混合油加熱用熱交換器の熱源として蒸発器で発生する水蒸気が用いられる請求項1に記載の固形燃料の製造装置。
 蒸発器として、
 前記原料スラリーを加熱により水分蒸発処理して脱水スラリーを得る第1蒸発器;および
 該脱水スラリーを加熱および/または減圧により水分蒸発処理して脱水スラリーを得る第2蒸発器を有する請求項1または2に記載の固形燃料の製造装置。
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含む混合油と混合して原料スラリーを得る混合工程;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理して脱水スラリーを得る蒸発工程;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油とを分離する固液分離工程;および
 固液分離工程で分離回収された混合油を混合槽へ戻す循環工程
を有する固形燃料の製造方法であって、
 循環工程によって混合槽に戻される混合油を加熱する混合油加熱工程を有することを特徴とする固形燃料の製造方法。
Description:
固形燃料の製造装置および製造 法

 本発明は多孔質炭を原料とする固形燃料 製造装置および製造方法に関するものであ 。

 多孔質炭を原料とする固形燃料の製造方 に関し、従来公知の方法の概略を説明する 多孔質炭(原料炭)は粉砕工程で粉砕された 、混合工程において重質油分と溶媒油分を む混合油と混合して原料スラリーを得る。 いで、原料スラリーは予熱後、蒸発工程で 熱し、多孔質炭の脱水を進めると共に、多 質炭の細孔内に混合油を含浸させ、脱水ス リーを得る。その後、固液分離工程におい 脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油と 分離した後、改質多孔質炭を最終乾燥工程 おいて乾燥させる。乾燥された改質多孔質 は所望により冷却および成型され、固形燃 が得られる。一方、固液分離工程や最終乾 工程で回収された混合油は原料スラリーを る混合工程に循環・搬送され、循環油とし 再利用される。

 そのような方法を採用した装置の概略構 図の一例を図4に示す(特許文献1)。図4に示 装置は、重質油分と溶媒油分を含む混合油 多孔質炭と混合して原料スラリーを作る混 槽101と、この原料スラリーを水分蒸発処理 る蒸発器102と、この水分蒸発処理された脱 スラリーを固液分離する固液分離器103とを する。ここで、混合槽101は、その下部から 料スラリーをスラリーポンプ112を介して混 槽101の上部へ導入するスラリー循環流路111 113を有している。蒸発器102はその下部から ラリーをスラリーポンプ122を介して蒸発器10 2の上部へ導入するスラリー循環流路121、123~1 24を有している。混合槽101と蒸発器102との間 は、原料スラリー供給流路114がある。この 料スラリー供給流路114はスラリー循環流路1 11、113から分岐している。

 混合槽101において重質油分と溶媒油分を む混合油と多孔質炭とを混合して原料スラ ーを作る。この原料スラリーは、スラリー 環流路111、113を通って混合槽101の下部から ラリーポンプ112を介して混合槽101の上部へ 入され、循環される。原料スラリーは循環 れると共に、スラリー循環流路111、113から 岐した原料スラリー供給流路114を通って蒸 器102のスラリー循環流路123~124に入り、これ を通って蒸発器102へ入る。このとき、原料ス ラリーは熱交換器110a、115aにより加熱され(予 熱工程)、更に熱交換器120により加熱され、 発器102へ入る(蒸発工程)。蒸発器102では、原 料スラリーの水分蒸発処理がなされる。

 上記水分蒸発処理により得られた脱水ス リーは、スラリー循環流路121、123~124から分 岐している脱水スラリー供給流路125を通って 固液分離器103に入り、固液分離され、固体分 (改質多孔質炭)と液体分(混合油)とが得られ 。この固体分は最終乾燥部(図示せず)で固形 分中に残存する油分が回収され、粉末状固形 燃料として用いることができる状態となる。 一方、回収された混合油は循環手段104によっ て混合槽101に戻される。

 しかしながら、図4の装置では、蒸発工程 から後段でトラブルが発生した場合、各工程 でのスラリーの溢れ出しを防ぐために混合工 程での原料炭(RC)や混合油(MO)の供給や次工程 のスラリーの供給を停止すると、問題が発 した。詳しくは、このとき、混合工程や蒸 工程ではスラリー中の石炭の沈降による配 の閉塞を防ぐためにスラリーポンプおよび 拌機を常時稼働させるが、以下に示すよう 熱交換器の配管の閉塞が起こった。

 熱交換器には図5(A)に示すようにスラリー が通る多数の配管が設けられており、個々の 配管中のスラリーをスチーム等の加熱媒体に よって加熱するようになっている。図4の装 において、原料炭(RC)や混合油(MO)の供給およ び次工程へのスラリー供給を停止し、スラリ ーポンプ112,122を常時稼働させると、熱交換 110a,115aではスラリーの流れが止まってスラ ー中の石炭が沈降し、図5(B)に示すように、 部の石炭(RC)と上部の混合油(MO)との分離が こった。下部に沈降した石炭は固く堆積す ため、スラリーを再度流すには高圧のガス たはスラリーを流し、閉塞した配管に圧力 かける必要がある。しかし、熱交換器の配 に圧力をかけると、閉塞の比較的弱い配管 先に流通して、閉塞の比較的強い配管に圧 を有効にかけることができず、配管の閉塞 完全に解除することはできない。

 そこで、特許文献2では図4における熱交換 110a,115aの代わりに、熱交換器110b,115bを図6に すように混合槽101のスラリー循環流路111、1 13に設ける技術が報告されている。そのよう 装置では、スラリーポンプ112によって熱交 器110b,115bでのスラリー流動を維持できるの 石炭の沈降による配管の閉塞は起こらない 図6における図4と同じ符号は同様の器具・ 材を示すため、それらの説明を省略する。

特開平7-233383号公報

特開2005-206695号公報

 しかしながら、図6に示す装置において、 原料炭(RC)や混合油(MO)の供給および次工程へ スラリーの供給を停止し、スラリーポンプ1 12,122を常時稼働させたとき、新たな問題が発 生した。詳しくは、このとき、熱交換器110b,1 15bのスチーム供給も停止するが、全てのスチ ームが熱交換器から抜けるには時間を要する ため、スチーム供給を停止しても、スラリー は循環によってしばらくの間加熱され続け、 100℃を越えるようになる。そのため、混合槽 101内においてスラリー中の石炭から水蒸気が 発生し、原料炭(RC)を供給するためのロータ ーバルブ等の供給手段116において結露が起 り、結露した水に原料炭が付着し、閉塞が こった。

 また図4に示す装置や図6に示す装置にお て、熱交換器で加熱されるのはスラリーで って、当該スラリーに含有される粉砕炭の 径は最大数mm程度であるので、熱交換器の配 管の材料は磨耗に強いSUS304が使用される。そ のため、製造コストに問題があった。

 本発明は、蒸発工程以降でのトラブル発 等により原料炭(RC)や混合油(MO)の供給やス リーの次工程への供給を停止した時であっ も熱交換器や原料炭供給手段の閉塞を防止 る固形燃料の製造装置および製造方法を提 することを目的とする。

 本発明は、
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含 混合油と混合して原料スラリーを得る混合 ;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理 て脱水スラリーを得る蒸発器;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油 を分離する固液分離器;および
 固液分離器で分離回収された混合油を混合 へ戻す循環手段
を有する固形燃料の製造装置であって、
 循環手段によって混合槽に戻される混合油 加熱する混合油加熱用熱交換器を有するこ を特徴とする固形燃料の製造装置に関する

 本発明はまた、
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含 混合油と混合して原料スラリーを得る混合 程;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理 て脱水スラリーを得る蒸発工程;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油 を分離する固液分離工程;および
 固液分離工程で分離回収された混合油を混 槽へ戻す循環工程
を有する固形燃料の製造方法であって、
 循環工程によって混合槽に戻される混合油 加熱する混合油加熱工程を有することを特 とする固形燃料の製造方法に関する。

 本発明によれば、蒸発工程以降でのトラ ル発生等により原料炭(RC)や混合油(MO)の供 やスラリーの次工程への供給を停止した時 あっても、熱交換器や原料炭供給手段の閉 を防止できる。

本発明に係る固形燃料の製造装置の一 施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る固形燃料の製造装置の一 施形態を示す概略構成図である。 実施例で使用したスラリー脱水試験装 の概略図である。 従来技術における固形燃料の製造装置 概略構成図である。 (A)は熱交換器によってスラリーが円滑 加熱処理されるときの状態図であり、(B)は 交換器内でスラリーが沈降・堆積したとき 状態図である。 従来技術における固形燃料の製造装置 概略構成図である。

符号の説明

 1:混合槽、2:蒸発器、3:固液分離器、4:循 手段、5:混合油加熱用熱交換器、6:原料炭供 手段、11:13:スラリー循環流路、12:22:27:32:ス リーポンプ、14:原料スラリー供給流路、20: 交換器、21:23:24:上流側スラリー循環流路、2 6:28:29:下流側スラリー循環流路、2A:第1蒸発器 、2B:第2蒸発器、31:33:34:スラリー循環流路、45 :混合油循環流路、50:圧縮機、51:52:53:加熱媒 流路、61:脱水器、62:攪拌機、63:スラリーポ プ、64:熱交換器、65:配管、101:混合槽、102:蒸 発器、103:固液分離器、104:循環手段、116:原料 炭供給手段、111:113:スラリー循環流路、112:122 :スラリーポンプ、114:原料スラリー供給流路 120:熱交換器、121:123:124:スラリー循環流路。

(第1実施形態)
 本発明の第1実施形態に係る固形燃料の製造 装置を図1に示す。
 本実施形態の装置は、
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含 混合油と混合して原料スラリーを得る混合 1;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理 て脱水スラリーを得る蒸発器2;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油 を分離する固液分離器3;および
 固液分離器で分離回収された混合油を混合 へ戻す循環手段4
を有し、さらに循環手段によって混合槽に戻 される混合油を加熱する混合油加熱用熱交換 器5を有することを特徴とする。ここで、混 槽1は、その下部から原料スラリーをスラリ ポンプ12を介して混合槽1の上部へ導入する ラリー循環流路11、13を有している。蒸発器 2は、その上流側で蒸発器下部からスラリー スラリーポンプ22を介して蒸発器2の上部へ 入する上流側スラリー循環流路21、23~24を有 ている。蒸発器2はまた、その下流側で蒸発 器下部からスラリーをスラリーポンプ27を介 て蒸発器2の上部へ導入する下流側スラリー 循環流路26、28~29を有している。混合槽1と蒸 器2との間には、原料スラリー供給流路14が る。この原料スラリー供給流路14はスラリ 循環流路11、13から分岐している。蒸発器2と 固液分離器3との間には、脱水スラリー供給 路41がある。この脱水スラリー供給流路41は ラリー循環流路26、28~29から分岐している。 固液分離器3と混合槽1との間には、固液分離 3で分離された混合油を混合槽1に戻すため 混合油循環流路45がある。

 上記混合油加熱用熱交換器5は、循環手段 4とともに、混合油循環流路45に設けられる。 この熱交換器の熱源(加熱媒体)は特に制限さ ず、例えば、蒸発器2で発生する水蒸気が用 いられることが好ましい。熱交換器5を混合 循環流路45に設けて混合油を加熱することに より、原料スラリーの予熱を達成するので、 スラリー循環流路11、13内へのスラリー加熱 熱交換器の設置を省略できる。そのため、 料炭(RC)や混合油(MO)の供給および次工程への スラリーの供給が停止された時、原料スラリ ーをスラリー循環流路11、13内で循環させて 、原料スラリーの過度な温度上昇は起こら い。その結果、混合槽内での水蒸気の発生 抑制され、結果として原料炭供給手段6の閉 を防止できる。またスラリー循環流路11、13 内へのスラリー加熱用熱交換器の設置を省略 できるので、スラリー加熱用熱交換器自体の 閉塞の虞がない。また熱交換器5によって加 されるのはスラリーではなく、固液分離器 より液体分(循環油)として分離された混合油 であって、粒径10μm程度以下の微粉炭が通常 10重量%程度含まれるものであるので、微粉 の沈降速度がスラリー中の石炭と比較して しく遅い。そのため、混合油(MO)の供給(循 )が停止されても、熱交換器5自体の閉塞を有 効に防止できる。また熱交換器5によって加 されるのは上記のように粒径の小さな微粉 が含有された混合油であるので、当該熱交 器の材料として、SUS304等の高価なものだけ なく、カーボンスチール等の安価なものも 用できる。

 熱交換器5として、多管式型等の比較的大 型の熱交換器だけでなく、プレート型および スパイラル型等の比較的小型の熱交換器を使 用できる。混合油に含まれる石炭は微粉炭で あって、沈降速度が著しく遅いためである。

 熱交換器5によって達成される混合油の加 熱温度は、混合槽1内の原料スラリー温度が10 0℃を超えない温度であれば特に制限されず 通常、混合槽1内の原料スラリー温度は70~80 に設定される。

 混合槽1においては、多孔質炭を、重質油 分および溶媒油分を含む混合油と混合して原 料スラリーを作る(混合工程)。混合油は熱交 器5によって加熱されているので、混合槽内 において原料スラリーは適度な予熱が既に達 成されている。原料スラリーは、スラリー循 環流路11、13を通って混合槽1の下部からスラ ーポンプ12を介して混合槽1の上部へ導入さ 、循環される。特にトラブル発生時におい 原料スラリーの循環を行うと、スラリーの 動を有効に維持でき、器具・配管の閉塞を 止できる。

 多孔質炭とは、多量の水分を含有し、脱 することが望まれるいわゆる低品位石炭で り、例えば30~70重量%もの水分を含有する石 である。そのような多孔質炭として、例え 、褐炭、亜炭、亜れき青炭等が挙げられる 例えば、褐炭には、ビクトリア炭、ノース コタ炭、ベルガ炭等があり、亜れき青炭に 、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガ 炭、エココール炭等がある。多孔質炭は上 例示のものに限定されず、多量の水分を含 し、脱水することが望まれる石炭であれば いずれも本発明に係る多孔質炭に含まれる 多孔質炭は通常、予め粉砕して使用される 多孔質炭の粒子径は特に制限されるもので なく、例えば平均粒子径で数mm程度、特に0. 05~3mm程度でよい。

 重質油分とは、真空残渣油の如く、例え 400℃でも実質的に蒸気圧を示すことがない な重質分あるいはこれを多く含む油である 従って重質油分のみを使用してこれを多孔 炭の細孔に侵入し得る様な流動性になるま 加熱しようとすると、多孔質炭自体が熱分 を起こす。また本発明で用いる重質油分は 述の如く殆んど蒸気圧を示さないものであ から、これを気化させキャリヤガスに乗せ 蒸着させようとすることは一層無理である 結局、重質油分のみでは高粘性の為良好な ラリー状を得難いだけでなく、殆んど揮発 を有しない為、細孔内への侵入性が低くな 。従って何らかの溶剤あるいは分散剤の協 が必要となる。

 そこで本発明では、重質油分を溶媒油分 に溶解させて含浸作業性、スラリー形成性 良好にしてから使用する。上記重質油分を 散させる溶媒油分としては、重質油分との 和性、スラリーとしてのハンドリング性、 孔内への侵入容易性等の観点から軽沸油分 好まれるが、水分蒸発温度での安定性を考 すれば、沸点100℃以上、好ましくは300℃以 の石油系油(灯油、軽油あるいは重油等)を 用することが推奨される。この様な重質油 含有混合油を使用すると、これが適切な流 性を示す為、重質油分単独では果たし得な 様な細孔内への侵入が促進される。

 尚上記の様な重質油分含有混合油は、(イ )元々重質油分と溶媒油分の両方を含む混合 として得られるもの、或は(ロ)重質油分と溶 媒油分を混合して得られるもののいずれであ っても良い。前者(イ)としては、例えば、石 系の重油;精製未済で重質油分を含む石油系 の軽油留分、灯油留分、潤滑油成分;コール ール;溶剤あるいは洗浄剤として用いた為、 質油分の不純物を含んでしまった軽油や灯 ;繰り返し使用したことによって劣化した留 分を含んでしまった熱媒油等が使用される。 後者(ロ)としては、例えば、石油アスファル 、天然アスファルト、石炭系重質油、石油 若しくは石炭系の蒸留残渣、あるいはこれ を多く含むものを、石油系の軽油、灯油、 滑油等と混合したもの;前者(イ)の混合油を 油系の軽油、灯油、潤滑油で希釈したもの が用いられる。尚アスファルト類はそれ自 が安価であると共に、一旦活性点に付着し 後は離れ難いという特性があるので、特に 適なものとして使用される。

 混合油における重質油分の含有量は通常 混合油全量に対して重量比で0.25~15%の範囲 ある。

 多孔質炭に対する混合油の混合割合は特 限定されるものではなく、通常は多孔質炭 対する重質油分の混合割合が無水炭に対し 重量比で0.5~30%、特に0.5~5%となるような範囲 が妥当である。重質油分の混合割合が少なす ぎると、細孔内への吸着量が不十分となって 自然発火性を抑える効果が弱くなる。重質油 分の混合割合が多すぎると油のコストが負担 となって経済性が薄れる。

 混合条件は特に制限されず、通常は、大 圧下、40~100℃で混合されて、原料スラリー 得られる。

 原料スラリーは、スラリー循環流路11、13 内で循環されるとともに、当該スラリー循環 流路から分岐した原料スラリー供給流路14を って蒸発器2の上流側スラリー循環流路23~24 入り、これを通って蒸発器2へ入る(蒸発工 )。このとき、原料スラリーは熱交換器20に り、例えば100~250℃に加熱され、蒸発器2へ入 る。これにより、原料スラリーの水分蒸発処 理がなされる。即ち、原料スラリー中の多孔 質炭に含まれる水分が蒸発して脱水される。 同時に、多孔質炭の細孔内への混合油の含浸 もなされる。こうして細孔内水分の気化蒸発 が進行するのに応じて前記混合油の付着・被 覆が行なわれる。また若干の水蒸気が残存し ていても、それが冷却過程で凝縮するときに 負圧が形成されて重質油分含有混合油が細孔 内に吸引されていくので、細孔内表層部は重 質油分を含有する混合油によって次々被覆さ れ、遂には細孔開口部のほぼ全域が重質油分 含有混合油によって充満しつくされる。しか も混合油中の重質油分は活性点に選択的に吸 着され易すく、また付着すると離れ難いため 、結果的に溶媒油分よりも優先的に付着して いくことが期待される。こうして細孔内表層 部が外気から遮断されることによって自然発 火性を失わせることが可能となる。また大量 の水分が脱水除去されると共に重質油分含有 混合油、特に重質油分が優先して細孔内を充 満することになるので、多孔質炭全体として のカロリーアップが安価に達成される。

 熱交換器20による加熱は加圧下で行うこと 好ましく、通常は2~15気圧が好適である。
 加熱時間は、一連の工程が通常は連続運転 より実施されるため一概に規定できるもの はなく、多孔質炭の脱水と細孔内への混合 の含浸とを達成できればよい。

 上記水分蒸発処理がなされた脱水スラリ は、図1に示すように、下流側スラリー循環 流路26、28~29を通って蒸発器2の下部からスラ ーポンプ27を介して蒸発器2の上部へ導入さ る。このとき、脱水スラリーは熱交換器25 より加熱され、蒸発器2へ入ることが好まし 。これにより、スラリーの水分蒸発処理が り有効になされる。

 上記蒸発により発生した水蒸気は、蒸発 2から圧縮機50を通り、流路51を通って熱交 器25に導入され、熱交換器25の熱源(加熱媒体 )として用いられ、さらに、流路52~53を通って 熱交換器5に導入され、熱交換器5の熱源(加熱 媒体)として用いられる。圧縮機50を通った水 蒸気は、熱交換器20の熱源(加熱媒体)として 用いられてもよい。

 脱水スラリーは、スラリー循環流路26、28~29 から分岐している脱水スラリー供給流路41を って固液分離器3に入り、固液分離され、固 体分(改質多孔質炭)と液体分(混合油)とが得 れる(固液分離工程)。
 分離方法は種々の方法を用いることができ 例えば、遠心分離法、沈降法、濾過法、圧 法等が使用可能である。これらの方法を組 合わせて使用することもできる。分離効率 観点から、遠心分離法を使用することが好 しい。

 固液分離により回収された混合油は循環油 して、循環手段4によって、混合油循環流路 45を経て混合槽1に戻される(循環工程)。この き、混合油は前記したように熱交換器5によ って加熱された後(混合油加熱工程)、混合槽1 での原料スラリーの調製に再利用される。
 循環手段4としては、遠心式ポンプが使用さ れる。

 固液分離工程で分離された固体分(改質多孔 質炭)は通常は混合油により未だ湿潤してい ので、乾燥器に入り、乾燥され、粉末状固 燃料として用いることができる状態となる( 終乾燥工程)。
 乾燥方法は改質多孔質炭から混合油を蒸発 離できる限り特に制限されない。

 乾燥された改質多孔質炭は所望により冷 および成型され、固形燃料が得られる(冷却 工程および成型工程)。例えば、冷却工程で 却され、粉末状固形燃料として用いること できるし、あるいは冷却工程での冷却の後 成型工程で成型され、成型固形燃料として いることもできる。また冷却されることな 、成型工程で成型されて成型固形燃料を得 も良い。

 本実施形態において熱交換器は20、25はス ラリー循環流路内に設けられ、原料炭(RC)や 合油(MO)の供給やスラリーの次工程への供給 停止された時であっても、スラリー流動を 持できるので、当該熱交換器の配管閉塞を 止できる。

(第2実施形態)
 本発明の第2実施形態に係る固形燃料の製造 装置を図2に示す。
 本実施形態の装置は、
 多孔質炭を、重質油分および溶媒油分を含 混合油と混合して原料スラリーを得る混合 1;
 該原料スラリーを加熱により水分蒸発処理 て脱水スラリーを得る第1蒸発器2A;
 該脱水スラリーを加熱および/または減圧に より水分蒸発処理して脱水スラリーを得る第 2蒸発器2B;
 該脱水スラリーから改質多孔質炭と混合油 を分離する固液分離器3;および
 固液分離器で分離回収された混合油を混合 へ戻す循環手段4
を有し、さらに循環手段によって混合槽に戻 される混合油を加熱する混合油加熱用熱交換 器5を有することを特徴とする。これによっ 第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。

 本実施形態に係る固形燃料の製造装置は 蒸発器として第1蒸発器2Aおよび第2蒸発器2B 使用すること以外、前記第1実施形態に係る 固形燃料の製造装置と同様である。本実施形 態において、第1蒸発器Aで得られた脱水スラ ーは脱水スラリー供給流路42を経て第2蒸発 2Bに供給され、第2蒸発器2Bで得られた脱水 ラリーは脱水スラリー供給流路43を経て固液 分離器3に供給される。以下、本実施形態の 置について簡単に説明するが、特記しない り、第1実施形態における説明と同様である なお、本実施形態の装置における第1実施形 態の装置と同じ符号の部材・器具等は、第1 施形態の同じ符号のものと同様である。本 施形態における第1蒸発器2Aは第1実施形態に ける蒸発器2に相当するものである。

 本実施形態において、混合槽1は、その下 部から原料スラリーをスラリーポンプ12を介 て混合槽1の上部へ導入するスラリー循環流 路11、13を有している。蒸発器2Aは、その上流 側で蒸発器下部からスラリーをスラリーポン プ22を介して蒸発器2Aの上部へ導入する上流 スラリー循環流路21、23~24を有している。蒸 器2Aはまた、その下流側で蒸発器下部から ラリーをスラリーポンプ27を介して蒸発器2A 上部へ導入する下流側スラリー循環流路26 28~29を有している。蒸発器2Bは、その下流側 蒸発器下部からスラリーをスラリーポンプ3 2を介して蒸発器2Bの上部へ導入する下流側ス ラリー循環流路31、33~34を有している。混合 1と蒸発器2Aとの間には、原料スラリー供給 路14がある。この原料スラリー供給流路14は ラリー循環流路11、13から分岐している。蒸 発器2Aと蒸発器2Bとの間には、脱水スラリー 給流路42がある。この脱水スラリー供給流路 42はスラリー循環流路26、28~29から分岐してい る。蒸発器2Bと固液分離器3との間には、脱水 スラリー供給流路43がある。この脱水スラリ 供給流路43はスラリー循環流路31、33~34から 岐している。固液分離器3と混合槽1との間 は、固液分離器3で分離された混合油を混合 1に戻すための混合油循環流路45がある。

 混合槽1においては、多孔質炭を、重質油 分および溶媒油分を含む混合油と混合して原 料スラリーを作る(混合工程)。混合油は熱交 器5によって加熱されているので、混合槽内 において原料スラリーは適度な予熱が既に達 成されている。原料スラリーは、スラリー循 環流路11、13を通って混合槽1の下部からスラ ーポンプ12を介して混合槽1の上部へ導入さ 、循環される。特にトラブル発生時におい 原料スラリーの循環を行うと、スラリーの 動を有効に維持でき、器具・配管の閉塞を 止できる。

 原料スラリーは、スラリー循環流路11、13 内で循環されるとともに、当該スラリー循環 流路から分岐した原料スラリー供給流路14を って蒸発器2Aの上流側スラリー循環流路23~24 に入り、これを通って蒸発器2Aへ入る(第1蒸 工程)。このとき、原料スラリーは熱交換器2 0により、例えば100~250℃に加熱され、蒸発器2 Aへ入る。これにより、第1実施形態の蒸発工 と同様に、原料スラリーの水分蒸発処理が される(第1段階目の水分蒸発処理)。

 上記第1段階目の水分蒸発処理がなされた 脱水スラリーは、下流側スラリー循環流路26 28~29を通って蒸発器2Aの下部からスラリーポ ンプ27を介して蒸発器2Aの上部へ導入される このとき、脱水スラリーは熱交換器25により 加熱され、蒸発器2Aへ入ることが好ましい。 れにより、スラリーの水分蒸発処理がより 効になされる。

 上記第1段階目の水分蒸発処理がなされた 脱水スラリーは、スラリー循環流路26、28~29 ら分岐している脱水スラリー供給流路42を通 って蒸発器2Bに入る(第2蒸発工程)。蒸発器2B は減圧を行う。蒸発器2Bへ入ったスラリーは 、減圧だけでなく、スラリー循環流路31、33~3 4を通って蒸発器2Bの下部からスラリーポンプ 32を介して蒸発器2Bの上部へ導入され、この き熱交換器30により加熱される。加熱および 減圧により、スラリーの第2段目の水分蒸発 理がなされる。即ち、スラリー中の多孔質 に含まれる水分の中の細孔水および結晶水 蒸発して脱水され、水分の蒸発をより有効 達成できる。上記の脱水に伴って多孔質炭 細孔内への混合油の含浸もなされる。なお スラリー循環流路31、33~34内での熱交換器30 よる加熱と並行して、あるいは当該加熱の わりに、スラリー循環流路42内で熱交換器に よる加熱を行ってもよい。また第2段目の水 蒸発処理は、加熱のみにより行っても、ま は減圧のみにより行ってもよい。

 上記第1段階目の水分蒸発処理により発生 した水蒸気は、蒸発器2Aから圧縮機50を通り 流路51を通って熱交換器25に導入され、熱交 器25の熱源(加熱媒体)として用いられ、さら に、流路52~53を通って熱交換器5に導入され、 熱交換器5の熱源(加熱媒体)として用いられる 。圧縮機50を通った水蒸気は、熱交換器20の 源(加熱媒体)としても用いられてよい。

 上記第2段階目の水分蒸発処理により発生 した水蒸気は、図示しないが、蒸発器2Bから 縮機を通って熱交換器30に導入され、熱交 器30の熱源(加熱媒体)として用いられてもよ 。その後、上記第1段階目の水分蒸発処理に より発生した水蒸気とともに、熱交換器5に 入され、熱交換器5の熱源(加熱媒体)として いられてもよい。

 上記第2段階目の水分蒸発処理がなされた 脱水スラリーは、スラリー循環流路31、33~34 ら分岐している脱水スラリー供給流路43を通 って固液分離器3に入り、固液分離され、固 分(改質多孔質炭)と液体分(混合油)とが得ら る(固液分離工程)。この固体分は乾燥器(最 乾燥部)で固形分中に残存する油分が回収さ れ、粉末状固形燃料として用いることができ る状態となる。あるいは、最終乾燥部の後、 成型部で成型されて成型固形燃料となる。

 固液分離により回収された混合油は循環 として、循環手段4によって、混合油循環流 路45を経て混合槽1に戻される(循環工程)。こ とき、混合油は前記熱交換器5によって加熱 された後(混合油加熱工程)、混合槽1での原料 スラリーの調製に再利用される。

 本実施形態において熱交換器は20、25、30 スラリー循環流路内に設けられ、原料炭(RC) や混合油(MO)の供給やスラリーの次工程への 給が停止された時であっても、スラリー流 を維持できるので、当該熱交換器の配管閉 を防止できる。

 (実施例1)
 図3に示すスラリー脱水試験装置を用いて以 下の方法により脱水試験を実施した。
 原料として粒径3mm以下に粉砕したエココー 炭150kg、灯油200kg、アスファルト0.5kgを脱水 61に仕込み、攪拌機62で脱水器内を撹拌させ た状態で、スラリーポンプ63によって熱交換 64と配管65にスラリーを流した。詳しくは、 スラリーポンプ63により窒素で0.4MPaGを加圧し た後、熱交換器64にスチームを流してスラリ を加熱した。その後、スラリーポンプ63を 止し、5分間放置し、スラリーポンプ63を再 稼働させたところ、スラリー循環は再開で なかった。熱交換器64の内部を確認したとこ ろ、全ての配管は図5(B)に示すように閉塞し おり、粉砕炭が配管に強固に詰まっていた 配管の閉塞物は、水を使用したジェット洗 によりはじめて取り除くことができた。
 このように、熱交換器中のスラリー流動が くなると、粉砕炭が沈降し、強固に堆積す 。固形燃料の製造装置の運転では、トラブ 等により原料の供給が停止した場合でも、 に熱交換器内のスラリー流動を維持しなけ ばならい。

 (実施例2)
 図1と同様の構成を有する試験装置を用いて 固形燃料の製造試験を実施した。
 混合槽1に灯油200kg、アスファルト0.5kgを仕 み、製造試験装置を稼働させた。定常運転 入ったとき、混合油の供給速度は300kg/時、 料炭の供給速度は200kg/時、スラリー循環流 13内のスラリー流量は250kg/時、原料スラリー 供給流路14内のスラリー流量は500kg/時、混合 1内のスラリー温度は75℃であった。
 その後、原料および混合油の供給および原 スラリーの蒸発工程への供給を停止し、ス リーポンプ12の稼働を継続した。5分間経過 、原料炭供給手段6に結露は全く認められず 、固形燃料の製造を再開したところ、原料炭 供給手段6から原料炭を円滑に供給できた。

 (比較例1)
 熱交換器5を混合油加熱用として混合油循環 流路45に取り付ける代わりに、スラリー加熱 としてスラリー循環流路13に取り付けたこ 以外、図1と同様の構成を有する試験装置を いて固形燃料の製造試験を実施した。
 混合槽1に灯油200kg、アスファルト0.5kgを仕 み、製造試験装置を稼働させた。定常運転 入ったとき、混合油の供給速度は300kg/時、 料炭の供給速度は200kg/時、スラリー循環流 13内のスラリー流量は250kg/時、原料スラリー 供給流路14内のスラリー流量は500kg/時、混合 1内のスラリー温度は75℃であった。
 その後、原料および混合油の供給、原料ス リーの蒸発工程への供給、および熱交換器5 へのスチーム供給を停止し、スラリーポンプ 12の稼働を継続した。5分間経過後、原料炭供 給手段6に結露が認められ、固形燃料の製造 再開したところ、原料炭供給手段6において 料炭が閉塞した。

 本発明に係る固形燃料の製造装置および 造方法は、多孔質炭(石炭)、特に低品位炭 原料とする固形燃料の製造に有用である。