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Title:
AQUEOUS BINDER FOR INORGANIC FIBER AND INORGANIC FIBER HEAT-INSULATING SOUND-ABSORBING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078615
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an aqueous binder for inorganic fibers, which enables to improve adhesion between inorganic fibers without deteriorating fluidity of the binder and strength of a cured product or the binder. Also disclosed is an inorganic fiber heat-insulating sound-absorbing material which uses such an aqueous binder for inorganic fibers. Specifically, inorganic fibers are provided with an aqueous binder for inorganic fibers which contains, in terms of solid content, 0.1-10 parts by mass of an aqueous silica sol and/or an aqueous alumina sol per 100 parts by mass of the resin content in an water-soluble thermosetting resin composition, and then heated and cured, thereby producing an inorganic fiber heat-insulating sound-absorbing material.

Inventors:
INOUE AKIRA (JP)
MIZUNO YOSHIFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074377
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI FIBREGLASS CO (JP)
INOUE AKIRA (JP)
MIZUNO YOSHIFUMI (JP)
International Classes:
D06M11/79; D06M11/45; D06M15/263
Domestic Patent References:
WO2006100985A12006-09-28
Foreign References:
JPH07238452A1995-09-12
JPH01294515A1989-11-28
JP2007211161A2007-08-23
JP2007169545A2007-07-05
Attorney, Agent or Firm:
MATSUI, Shigeru (Ginza Todoroki Bldg.16-5, Ginza 8-chom, Chuo-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 固形分換算で、水溶性熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100質量部に対して、水性シリカゾル及び/又は水性アルミナゾルを0.1~10質量部含有することを特徴とする、無機繊維用水性バインダー。
 前記水溶性熱硬化性樹脂組成物が、分子中に2個以上のカルボキシル基を含有するポリカルボン酸類と、架橋剤とを含み、前記ポリカルボン酸類中のカルボキシル基のモル数に対し、前記架橋剤中の前記カルボキシル基と反応しうる官能基のモル数が、モル比で0.7~1.5である、請求項1に記載の無機繊維用水性バインダー。
 前記ポリカルボン酸類が、酸価500~850mgKOH/g、かつ、重量平均分子量1,000~15,000のアクリル樹脂系ポリカルボン酸である、請求項2に記載の無機繊維用水性バインダー。
 前記架橋剤が、ジアルカノールアミン類を少なくとも1種類以上含有する、請求項2に記載の無機繊維用水性バインダー。
 前記ポリカルボン酸類が、酸価500~850mgKOH/g、かつ、重量平均分子量1,000~15,000のアクリル樹脂系ポリカルボン酸であり、
 前記架橋剤が、ジアルカノールアミン類を少なくとも1種類以上含有する、請求項2に記載の無機繊維用水性バインダー。
 揮発性塩基性化合物によって、pHが6.0~8.0に調整されている、請求項1に記載の無機繊維用水性バインダー。
 固形分換算で、水溶性熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100質量部に対して、水性シリカゾル及び/又は水性アルミナゾルを0.1~10質量部含有する水性バインダーを、無機繊維に付与し、加熱硬化させて成形したことを特徴とする、無機繊維断熱吸音材。
 前記水溶性熱硬化性樹脂組成物が、分子中に2個以上のカルボキシル基を含有するポリカルボン酸類と、架橋剤とを含み、前記ポリカルボン酸類中のカルボキシル基のモル数に対し、前記架橋剤中の前記カルボキシル基と反応しうる官能基のモル数が、モル比で0.7~1.5である、請求項7に記載の無機繊維断熱吸音材。
 前記ポリカルボン酸類が、酸価500~850mgKOH/g、かつ、重量平均分子量1,000~15,000のアクリル樹脂系ポリカルボン酸である、請求項8に記載の無機繊維断熱吸音材。
 前記架橋剤が、ジアルカノールアミン類を少なくとも1種類以上含有する、請求項8に記載の無機繊維断熱吸音材。
 前記ポリカルボン酸類が、酸価500~850mgKOH/g、かつ、重量平均分子量1,000~15,000のアクリル樹脂系ポリカルボン酸であり、
 前記架橋剤が、ジアルカノールアミン類を少なくとも1種類以上含有する、請求項8に記載の無機繊維断熱吸音材。
 前記水性バインダーが、揮発性塩基性化合物によってpHが6.0~8.0に調整されている、請求項7に記載の無機繊維断熱吸音材。
Description:
無機繊維用水性バインダー及び 機繊維断熱吸音材

 本発明は、グラスウール、ロックウール の無機繊維からなる断熱吸音材に好適に用 ることのできる無機繊維用水性バインダー 及びそれを用いた無機繊維断熱吸音材に関 るものであり、詳しくは、無機繊維同士の 着力に優れた無機繊維用水性バインダー、 びそれを用いた無機繊維断熱吸音材に関す 。

 従来から、グラスウール、ロックウール の無機繊維からなる断熱吸音材において、 維同士を結合させるバインダーとして、フ ノール・ホルムアルデヒド樹脂(又はレゾー ル型フェノール樹脂)を主成分とするフェノ ル樹脂系バインダーが広く使用されている これらフェノール樹脂系バインダーは、比 的短時間で加熱硬化し、強度のある硬化物 得られる。このため、フェノール樹脂系バ ンダーを使用した無機繊維断熱吸音材は、 状保持、圧縮梱包開封後の厚み復元性、耐 み性等に優れている。

 しかしながら、フェノール樹脂系バイン ーを使用すると、製造工程、特にバインダ の硬化時にホルムアルデヒドが放出される で、放出されたホルムアルデヒドの処理、 応が問題となっている。特に近年では、環 負荷の低減から、法規制等により、ホルム ルデヒドの放散量の制限が求められている

 フェノール樹脂系バインダーは、バイン ー付着量の増加に伴い、ホルムアルデヒド 散量も増加することが知られている。バイ ダー付着量を低減させることにより、ホル アルデヒド放散量を低減することも可能で るが、得られる無機繊維断熱吸音材の圧縮 度や引裂き剥離強度等の機械的強度が損な れるという問題を有している。

 また、環境を考慮したホルムアルデヒド 含の無機繊維断熱吸音材用のバインダーも 々検討されており、例えば、下記特許文献1 には、(a)少なくとも2個のカルボン酸基、酸 水物基、又はそれらの塩を含有する多酸、(b )少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する リオール、及び(c)リン含有促進剤を含有し おり、且つ、前記カルボン酸基、酸無水物 、またそれらの塩の当量類:前記ヒドロキシ ル基の当量比が、約1/0.01~約1/3であり、そし カルボン酸基、酸無水物基、又はそれらの が不揮発性塩基で約35%以下の範囲で中和さ ている硬化性の水性組成物が開示されてい 。

 しかしながら、上記ポリカルボン酸系樹 バインダーは、ホルムアルデヒドの放散が いものの、フェノール樹脂系バインダーに べ、硬化完了までに時間が多く必要であっ り、あるいは加熱が多く必要であったりす ので、製造条件によっては、無機繊維断熱 音材の機械的強度が損なわれ、バインダー 着量を増加させる必要があった。

 一方、シリカゾル(コロイダルシリカ)や アルミナゾル(コロイダルアルミナ)は、塗料 の分野において、硬化塗膜の耐汚染性を向上 させる目的や(下記特許文献2参照)、塗膜の艶 消し剤(下記特許文献3参照)として用いられて いる。

 また、下記特許文献4には、コロイダルシリ カとリン化合物とを含むコーティング層を備 えた、高温耐熱性及び生物溶解性を有する鉱 物繊維製品が開示されている。

特開平6-184285号公報

特開2000-136332号公報

特開2003-286443号公報

特表2000-502151号公報

 熱硬化性樹脂中にシリカゾルを添加する とは、上記特許文献2~4に開示されている。 して、上記特許文献4には、シリカゾルを含 む鉱物繊維用のコーティング剤が開示されて いる。

 しかしながら、シリカゾルやアルミナゾ を無機繊維用のバインダーに用いて、バイ ダーの流動性並びにバインダー硬化物の強 を損なうことなく、無機繊維同士の接着性 向上させるといった試みはこれまで知られ いない。

 すなわち、上記特許文献4は、鉱物繊維の 耐熱性、耐火性を向上させることを目的とし ており、このため、例えば同実施例に示され ているように、コーティング剤中に無機充填 材を多く配合している。無機充填材の含有量 を増加させることで、耐熱性、耐火性を向上 させる点では優位であるものの、無機充填材 による脆化が生じる傾向にあり、無機繊維同 士の接着が損なわれ易かった。

 したがって、本発明の目的は、バインダ の流動性並びにバインダー硬化物の強度を なうことなく、無機繊維同士の接着を向上 きる無機繊維用水性バインダー、及びそれ 用いた無機繊維断熱吸音材を提供すること ある。

 上記目的を達成するため、本発明の無機 維用水性バインダーは、固形分換算で、水 性熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100質量部 対して、水性シリカゾル及び/又は水性アル ミナゾルを0.1~10質量部含有することを特徴と する。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 形分換算で、水溶性熱硬化性樹脂組成物中 樹脂分100質量部に対して、水性シリカゾル び/又は水性アルミナゾルを0.1~10質量部含有 することにより、バインダー塗布工程や硬化 工程等の無機繊維断熱吸音材の製造工程を変 更することなく、優れた強度を有するバイン ダー硬化物が得られる。そして、このバイン ダーを無機繊維に塗布することで、繊維同士 の接着を強固にできる。このため、バインダ ーの使用量が少量であっても、無機繊維断熱 吸音材の機械的強度を良好にできるので、無 機繊維断熱吸音材等の製造時において、バイ ンダーの使用量を低減させることができ、経 済性に優れている。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 記水溶性熱硬化性樹脂組成物が、分子中に2 個以上のカルボキシル基を含有するポリカル ボン酸類と、架橋剤とを含み、前記ポリカル ボン酸類中のカルボキシル基のモル数に対し 、前記架橋剤中の前記カルボキシル基と反応 しうる官能基のモル数が、モル比で0.7~1.5で ることが好ましい。これによれば、ホルム ルデヒド不含のバインダーであるので、加 硬化時にホルムアルデヒドを放出すること なく、排出ガス等において、環境負荷を少 くすることができる。そして、ポリカルボ 酸類中のカルボキシル基のモル数に対し、 橋剤中のカルボキシル基と反応しうる官能 のモル数を、モル比で0.7~1.5にすることで、 リカルボン酸類と架橋剤とを過不足なく反 させることができ、残存する過分な官能基 よる吸湿を抑制することができる。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 記ポリカルボン酸類が、酸価500~850mgKOH/g、 つ、重量平均分子量1,000~15,000のアクリル樹 系ポリカルボン酸であることが好ましい。 れによれば、無機繊維断熱吸音材の加熱硬 工程で、急激な加熱によるポリカルボン酸 のフューム化を抑制でき、バインダー量を 失することなく、強度の高いバインダー硬 物が得られ、繊維同士のバインディング(接 力)が、より強固なものとなる。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 記架橋剤が、ジアルカノールアミン類を少 くとも1種類以上含有することが好ましい。 これによれば、架橋剤中に含有される官能基 のうち、イミノ基は、水酸基よりも速くカル ボキシル基と反応し、更に、立体障害による バインダーの架橋の遅延や未完了部分が少な くなるので、硬化時間が短縮でき、更には、 生産性の向上やバインダー硬化物の強度を向 上させることができる。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 発性塩基性化合物によって、pHが6.0~8.0に調 されていることが好ましい。これによれば 酸による製造設備の腐食がなく、メンテナ ス費用や設備コスト、廃水処理コスト等を 減できる。

 一方、本発明の無機繊維断熱吸音材は、 記本発明の無機繊維用水性バインダーを、 機繊維に付与し、加熱硬化させて成形した とを特徴とする。これによれば、無機繊維 熱吸音材へのバインダー付着量を増加させ ことなく、機械的強度を向上させることが きるので、バインダーの使用量を低減でき 製造コストを低減できる。

 本発明によれば、無機繊維用水性バイン ー中に、固形分換算で、水溶性熱硬化性樹 組成物中の樹脂分100質量部に対して、水性 リカゾル及び/又は水性アルミナゾルを0.1~10 質量部含有するので、バインダー塗布工程や 硬化工程等の無機繊維断熱吸音材の製造工程 を変更することなく、優れた強度を有するバ インダー硬化物が得られる。そして、このバ インダーを無機繊維に塗布することで、繊維 同士の接着を強固にできるので、バインダー の使用量が少量であっても、得られる無機繊 維断熱吸音材の機械的強度を良好にできる。

 [水性シリカゾル及び水性アルミナゾル]
 本発明において、水性シリカゾル(コロイダ ルシリカともいう)としては、10~500nmの粒子径 のシリカを、固形分1~40重量%で水分散したも が好ましい。この水性シリカゾルは、アル キシシランから製造されるゾル-ゲル法や、 ケイ酸ナトリウムから製造されるケイ酸ソー ダ法により製造することができる。

 また、本発明において、水性アルミナゾ (コロイダルアルミナともいう)としては、10 ~500nmの粒子径のアルミナを、固形分1~40重量% 水分散したものが好ましい。この水性アル ナゾルは、例えば、アルコキシアルミニウ から製造されるゾル-ゲル法により製造する ことができる。

 そして、本発明においては、経済性の観 からケイ酸ソーダ法によって得られる水性 リカゾルが特に好ましい。

 [水溶性熱硬化性樹脂組成物]
 本発明において、水性熱硬化性樹脂組成物 しては、アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂、 リカルボン酸系樹脂組成物が好ましく挙げ れ、環境配慮の観点から、ホルムアルデヒ 不含の樹脂組成物が好ましく、ポリカルボ 酸系樹脂組成物が特に好ましい。

 (アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂)
 上記アルデヒド縮合性熱硬化性樹脂として 、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹 、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられ、レ ール型フェノール樹脂が好ましい。レゾー 型フェノール樹脂は、アルデヒド縮合性熱 化性樹脂の中でも、硬化時に放出するホル アルデヒド量が比較的少ないうえに、硬化 の耐湿性に優れている。これらの樹脂は単 で使用してもよく、2種以上を組み合わせて 使用しても良い。

 また、レゾール型フェノール樹脂は、合 時にフェノール核に対して、モル比で過剰 ホルムアルデヒドを投入させた場合、得ら るレゾール型フェノール樹脂中に多量の遊 したホルムアルデヒドを含有する場合があ 。その際には、尿素、もしくはメラミン、 るいはエチレン尿素等の尿素誘導体を添加 、遊離したホルムアルデヒドを消費させた フェノール-尿素樹脂、あるいはフェノール -メラミン樹脂に変性して使用することが好 しい。そして、遊離したホルムアルデヒド 消費するために尿素を添加する場合、レゾ ル型フェノール樹脂と尿素の質量比は、固 分換算でフェノール樹脂:尿素=90:10~50:50の範 にあることが好ましく、70:30~60:40の範囲に ることがより好ましい。尿素含有比が10%未 であると、レゾール型フェノール樹脂中の ルムアルデヒドの捕捉が不十分で、無機繊 断熱吸音材の加熱硬化工程でのホルムアル ヒドの放散が多くなって、環境面で問題と る場合がある。また、尿素含有比が50%を超 ると、得られるバインダー硬化物が湿度に る加水分解の影響を受け、無機繊維断熱吸 材の経年での物性低下が顕著となり、施工 た断熱吸音材の壁内での沈降や強度低下に り、所望する断熱性や吸音性が得られなく る問題が生じる場合がある。

 (ポリカルボン酸系樹脂組成物)
 上記ポリカルボン酸系樹脂組成物としては 分子中に2個以上のカルボキシル基を含有す るポリカルボン酸類と、架橋剤とから構成さ れるものが好ましい。

 (ポリカルボン酸類)
 ポリカルボン酸系樹脂組成物に用いるポリ ルボン酸類としては、ポリカルボン酸単量 、ポリエステル樹脂系ポリカルボン酸類、 ミド樹脂系ポリカルボン酸類及び、アクリ 樹脂系ポリカルボン酸類が挙げられる。

 上記ポリカルボン酸単量体としては、シ ウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、 ジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ イン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル 、トリカルバリル酸等の脂肪族ポリカルボ 酸類;リンゴ酸、タルトロン酸、酒石酸、ク エン酸等のオキシポリカルボン酸類;オルト タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベ ゼントリカルボン酸、トリメリット酸、ピ メリット酸等の芳香族ポリカルボン酸類が げられる。

 上記ポリエステル樹脂系ポリカルボン酸 としては、1,2‐エタンジオール(エチレング リコール)、1,2‐プロパンジオール(プロピレ グリコール)、1,3‐プロパンジオール、2,2‐ メチル‐1,3‐プロパンジオール、2‐ブチル 2‐エチル‐1,3‐プロパンジオール、1,3‐ブ ンジオール、1,4‐ブタンジオール、2‐メチ ル‐2,4‐ブタンジオール、1,5‐ペンタンジオ ール、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール、2 メチル‐2,4‐ペンタンジオール、1,6‐ヘキ ンジオール、1,4‐シクロヘキサンジオール 2‐エチル‐1,3‐ヘキサンジオール、2‐ヒ ロキシメチル‐2‐メチル‐1,3‐プロパンジ ール、2‐エチル‐2‐ヒドロキシメチル‐2 メチル‐1,3‐プロパンジオール、1,2,6‐ヘ サントリオール、2,2‐ビス(ヒドロキシメチ )‐2,3‐プロパンジオール等の脂肪族ポリオ ール類;グルコース、フルクトース、マンニ ール、ソルビトール、マルチトール等の糖 から選ばれるポリオール類と、前記ポリカ ボン酸単量体とをエステル重合させて得ら る、酸価を有するものが挙げられる。

 上記ポリアミド樹脂系ポリカルボン酸類 しては、エチレンジアミン、ジエチレント アミン、トリエチレンテトラミン、テトラ チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサ ン、1,2‐ジアミノプロパン、1,3‐ジアミノ ロパン、1,4‐ジアミノブタン、1,6‐ジアミ ヘキサン、3,3’‐イミノビス(プロピルアミ ン)、3‐(メチルアミノ)プロピルアミン、3‐( ジメチルアミノ)プロピルアミン、3‐(エチル アミノ)プロピルアミン、3‐(ブチルアミノ) ロピルアミン、N‐メチル‐3,3’‐イミノビ (プロピルアミン)、ポリエチレンイミン等 脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、o ‐トリジン、m‐トルイレンジアミン、m‐キ リレンジアミン、ジアニシジン、ジアミノ フェニルエーテル、1,4‐ジアミノアントラ ノン、3,3’‐ジメチル‐4,4’‐ジアミノビ ェニル、4,4’‐ジアミノベンズアニリド、4 ,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジエチルジフェニル タン等の芳香族ポリアミン類;ピペラジン、 2‐メチルピペラジン、1‐(2‐アミノエチル) ペラジン、2,5‐ジメチルピペラジン、シス 2,6‐ジメチルピペラジン、ビス(アミノプロ ピル)ピペラジン、1,3‐ジ(4‐ピペリジル)プ パン、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール、1‐ ミノエチル‐2‐メチルイミダゾール等の複 素環族アミン類から選ばれるポリアミン類と 、前記ポリカルボン酸単量体とを重合させて 得られる、酸価を有するものが挙げられる。

 上記アクリル樹脂系ポリカルボン酸類と ては、アクリル酸、メタクリル酸、クロト 酸、フマル酸、マレイン酸、2‐メチルマレ イン酸、イタコン酸、2‐メチルイタコン酸 α‐β‐メチレングルタル酸、マレイン酸モ アルキル、フマル酸モノアルキル、無水マ イン酸、無水アクリル酸、β‐(メタ)アクリ ロイルオキシエチレンハイドロジエンフタレ ート、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレ ハイドロジエンマレエート、β‐(メタ)アク ロイルオキシエチレンハイドロジエンサク ネート等のエチレン性不飽和カルボン酸単 体より選択される1種以上を重合させて得ら れるものが挙げられる。

 ポリカルボン酸類の酸価は、500~850mgKOH/g 好ましく、600~750mgKOH/gがより好ましい。ポリ カルボン酸類の酸価が500mgKOH/g未満であると 当該水性バインダーを加熱硬化させて得ら る硬化物の架橋構造が粗になり、バインダ 硬化物の強度、剛性が低下する傾向にある したがって、得られる無機繊維断熱吸音材 圧縮梱包開封後の厚み復元性(以後、「復元 」と称する)や、ボードとしての剛性が低下 し、断熱性、吸音性、あるいは自立性、すな わち施工時の作業性が損なわれる場合がある 。また、ポリカルボン酸類の酸価が850mgKOH/g 超えると、バインダー硬化後の架橋構造が 密になりすぎて脆くなる傾向にあり、無機 維断熱吸音材のバインダーとして使用した 合、所望する性能に達しない場合や、硬化 も未反応のカルボキシル基が硬化物中に残 し、例えば、高湿度下において、吸湿して バインダーによる繊維と繊維の結合力が低 する等の問題が生じる場合がある。なお、 発明におけるポリカルボン酸類の酸価は、 リカルボン酸類1gを中和するのに要する水酸 化カリウムのミリグラム数で表す。

 また、ポリカルボン酸類の重量平均分子 は、1,000~15,000が好ましく、2,000~10,000がより ましく、2,000~5,000が特に好ましい。ポリカ ボン酸類の重量平均分子量が、15,000を超え と、バインダー塗布から水分揮散後のバイ ダーの粘度上昇が著しく、無機繊維への塗 時、あるいは塗布後の流動性が劣りやすく 無機繊維に対し均一にバインダーを塗布さ にくくなる傾向にある。また、無機繊維に 着したバインダーの粘着性が高くなる傾向 あり、無機繊維に付着したバインダーの粘 性が高いと、バインダーを付着させた繊維 製造設備に付着しやすくなり、製造ライン 汚れや無機繊維断熱吸音材表面の繊維が塊 なって、製造設備に付着し、得られる製品 外観、厚み寸法が部分的に不足する等の問 が生じる場合がある。一方、ポリカルボン 類の重量平均分子量が1,000未満であると、硬 化時の加熱により、バインダー成分がヒュー ムとして揮散しやすくなり、無機繊維に対す るバインダー付着量が低減しやすい。そのた め、無機繊維断熱吸音材とした場合、諸物性 が低下したり、また、ポリカルボン酸類の重 合時の重合度合を抑制する必要があるので、 エチレン性不飽和単量体が残存しやすくなり 、臭気が発生したりと新たな環境負荷が生じ る虞がある。

 ポリカルボン酸類の重量平均分子量が上 範囲内であれば、無機繊維用水性バインダ の粘度を調整しやすく、また、無機繊維へ 塗布時、あるいは塗布後の流動性を良好に きるので、無機繊維へのバインダー付着量 ばらつきを抑制できる。そして、無機繊維 熱吸音材の製造において、バインダーの繊 への塗布工程は、遠心法等で繊維化された 後の約200~350℃の高温雰囲気下で行われるこ とが多いが、その際バインダー中の水分の揮 散を良好にできる。

 また、ポリカルボン酸類の重量平均分子 は、バインダーの流動性だけでなく、硬化 度や、硬化後の架橋密度とも関係があり、 酸価のポリカルボン酸類であっても分子量 異なると、バインダーの硬化速度やバイン ー硬化物の強度が変動し、得られる無機繊 断熱吸音材の物性も変化する。例えば、ポ カルボン酸類の重量平均分子量が小さくな につれて、バインダーの硬化速度は速くな が、バインダー硬化物は脆くなる傾向にあ 、製造ラインの生産条件によっては、所望 る物性が得られない場合がある。ポリカル ン酸類の重量平均分子量が上記範囲内であ ば、バインダーの流動性と、得られる無機 維断熱吸音材の諸物性との最適化を図れる

 また、ポリカルボン酸類の分子量のコン ロールのし易さ等から考慮すると、エチレ 性不飽和カルボン酸単量体として、アクリ 酸あるいはメタクリル酸を使用したアクリ 樹脂系ポリカルボン酸が好ましい。また、 クリル樹脂系ポリカルボン酸の酸価を700mgKO H/g以上の高い領域に調整する場合は、エチレ ン性不飽和カルボン酸単量体として、マレイ ン酸あるいはフマル酸を使用したビニル重合 系ポリカルボン酸が好ましい。

 また、本発明においては、ポリカルボン 類の酸価を調整する上で、カルボキシル基 含有しないエチレン性不飽和単量体を、上 ポリカルボン酸類と併用することもできる

 上記カルボキシル基を含有しないエチレ 性不飽和単量体としては、メチル(メタ)ア リレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐ チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ) クリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート 2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セ ル(メタ)アクリレート、n‐ステアリル(メタ )アクリレート、ジエチレングリコールエト シ(メタ)アクリレート、メチル‐3‐メトキ (メタ)アクリレート、エチル‐3‐メトキシ( タ)アクリレート、ブチル‐3‐メトキシ(メ )アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク レート、ベンジル(メタ)アクリレート、イ ボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフ ルフリルアクリレート、2‐ヒドロキシエチ アクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアク レート、4‐ヒドロキシブチルアクリレート 、3価以上のポリオールのモノ(メタ)アクリレ ート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N ‐アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレー 、N,N‐ジアルキルアミノアルキル(メタ)ア リレート等のアクリル系単量体;ビニルアル ルエーテル、N‐アルキルビニルアミン、N,N ‐ジアルキルビニルアミン、N‐ビニルピリ ン、N‐ビニルイミダゾール、N‐(アルキル) ミノアルキルビニルアミン等のビニル系単 体;(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル(メ )アクリルアミド、N,N‐ジアルキル(メタ)ア リルアミド、N,N‐ジアルキルアミノアルキ (メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)ア リルアミド、N‐ビニルホルムアミド、N‐ ニルアセトアミド、N‐ビニルピロリドン等 アミド系単量体;エチレン、プロピレン、イ ソブチレン、イソプレン、ブタジエン等の脂 肪族不飽和炭化水素;スチレン、α‐メチルス チレン、p‐メトキシスチレン、ビニルトル ン、p‐ヒドロキシスチレン、p‐アセトキシ スチレン当のスチレン系単量体;酢酸ビニル プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系 量体;アクリロニトリル、グリシジル(メタ) クリレート等が挙げられる。これらは、1種 は2種以上を併用することができる。ただし 、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、メチ ル‐N‐メチロール(メタ)アクリルアミドは、 加熱すると、架橋反応に伴い、ホルムアルデ ヒドを放出するので、これらは使用しないこ とが好ましい。

 そして、本発明においては、ポリカルボ 酸類は、酸価500~850mgKOH/g、かつ、重量平均 子量1,000~15,000のアクリル樹脂系ポリカルボ 酸であることが特に好ましい。ポリカルボ 酸単量体では、バインダーの加熱硬化時に 華したり、ヒュームとなり揮散したりする 合があり、バインダー硬化条件によっては 塗布したバインダー分より減量するだけで く、新たな環境負荷となる場合があり、好 しくない。また、ポリエステル系ポリカル ン酸類や、ポリアミド樹脂系ポリカルボン 類は、架橋剤との硬化反応の際に、架橋と 時に交換反応、すなわち、ポリカルボン酸 中のエステル結合やアミド結合が熱により 裂して、単量体やオリゴマーが生成し、こ らが再度結合する反応が生じる虞があるた 、バインダーの硬化反応に時間を要する場 や、硬化が不十分になる場合があるが、上 アクリル樹脂系ポリカルボン酸類では、上 のような交換反応が併発しないので、硬化 間を短縮でき、更には十分に硬化したバイ ダー硬化物を得ることができる。

 (架橋剤)
 また、ポリカルボン酸樹脂組成物に用いる 橋剤としては、カルボキシル基と反応しう 官能基を有する化合物であり、ジアルカノ ルアミン類を少なくとも1種類以上含有する ことが好ましい。なお、本発明において、「 カルボキシル基と反応しうる官能基」とは、 水酸基、アミノ基、イミノ基及びエポキシ基 を意味する。

 ジアルカノールアミン類は、イミノ基と 酸基を有するポリオールであり、イミノ基 水酸基とのカルボキシル基に対する反応性 比較した場合、イミノ基は水酸基よりも速 反応する傾向にある。そのため、架橋剤と てジアルカノールアミン類を用いることで カルボキシル基との反応性を向上させるこ ができる。

 上記ジアルカノールアミン類としては、 エタノールアミン、ジイソプロパノールア ン等が挙げられ、ポリカルボン酸類との反 の速さから、ジエタノールアミンがより好 しい。

 また、上記架橋剤のうち、ジアルカノー アミン以外の化合物としては、(a)1,2‐エタ ジオール(エチレングリコール)及びその二 体又は三量体、1,2‐プロパンジオール(プロ レングリコール)及びその二量体又は三量体 、1,3‐プロパンジオール、2,2‐メチル‐1,3‐ プロパンジオール、2‐ブチル‐2‐エチル‐1 ,3‐プロパンジオール、1,3‐ブタンジオール 1,4‐ブタンジオール、2‐メチル‐2,4‐ブタ ンジオール、1,5‐ペンタンジオール、3‐メ ル‐1,5‐ペンタンジオール、2‐メチル‐2,4 ペンタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール 1,4‐シクロヘキサンジオール、2‐エチル‐ 1,3‐ヘキサンジオール、2‐ヒドロキシメチ ‐2‐メチル‐1,3‐プロパンジオール、2‐エ チル‐2‐ヒドロキシメチル‐2‐メチル‐1,3 プロパンジオール、1,2,6‐ヘキサントリオ ル、2,2‐ビス(ヒドロキシメチル)‐2,3‐プロ パンジオール等の脂肪族ポリオール類;トリ タノールアミン、トリイソプロパノールア ン等のトリアルカノールアミン類;グルコー 、フルクトース、マンニトール、ソルビト ル、マルチトール等の糖類、及び上記ポリ ール類と、フタル酸、アジピン酸、アゼラ ン酸等のポリエステルポリオール類、ポリ チレングリコール、ポリプロピレングリコ ル、アクリル樹脂系ポリオール等の水酸基 有する化合物や、(b)エチレンジアミン、ジ チレントリアミン、トリエチレンテトラミ 、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチ ンヘキサミン、1,2‐ジアミノプロパン、1,3 ジアミノプロパン、1,4‐ジアミノブタン、1 ,6‐ジアミノヘキサン、3,3’‐イミノビス(プ ロピルアミン)、3‐(メチルアミノ)プロピル ミン、3‐(ジメチルアミノ)プロピルアミン 3‐(エチルアミノ)プロピルアミン、3‐(ブチ ルアミノ)プロピルアミン、N‐メチル‐3,3’ イミノビス(プロピルアミン)、ポリエチレ イミン等の脂肪族ポリアミン類;フェニレン アミン、o‐トリジン、m‐トルイレンジア ン、m‐キシリレンジアミン、ジアニシジン ジアミノジフェニルエーテル、1,4‐ジアミ アントラキノン、3,3’‐ジメチル‐4,4’‐ アミノビフェニル、4,4’‐ジアミノベンズ ニリド、4,4’‐ジアミノ‐3,3’‐ジエチル フェニルメタン等の芳香族ポリアミン類;ピ ペラジン、2‐メチルピペラジン、1‐(2‐ア ノエチル)ピペラジン、2,5‐ジメチルピペラ ン、シス‐2,6‐ジメチルピペラジン、ビス( アミノプロピル)ピペラジン、1,3‐ジ(4‐ピペ リジル)プロパン、3‐アミノ‐1,2,4‐トリア ール、1‐アミノエチル‐2‐メチルイミダゾ ール等の複素環族アミン類、更には、上記ポ リアミン類にエチレンオキサイド、あるいは プロピレンオキサイドを付加したポリアミン 系ポリオール等のアミノ基あるいはイミノ基 を含有する化合物や、(c)プロパンジオールジ グリシジルエーテル、ブタンジオールジグリ シジルエーテル、ペンタンジオールジグリシ ジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジ ルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリ シジルエーテル、グリセロールトリグリシジ ルエーテル、トリメチロールプロパントリグ リシジルエーテル、ポリエチレングリコール ポリグリシジルエーテル、ポリプロピレンポ リグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオ ールジグリシジルエーテル、ソルビトールポ リグリシジルエーテルアジピン酸ジグリシジ ルエステル、アゼライン酸ジグリシジルエス テル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエ ステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル エステル等の脂肪族エポキシ類;ビスフェノ ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールF ジグリシジルエーテル、クレゾールフェノー ルポリグリシジルエーテル、ノボラックフェ ノールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジ グリシジルエステル等の芳香族エポキシ類等 のエポキシ基を含有する化合物が挙げられる 。これらは、1種又は2種以上を併用すること できる。

 また、上記架橋剤は、水溶性化合物であ ことが好ましい。非水溶性の化合物である 、無機繊維用水性バインダーを乳化させる 要があるが、エマルションあるいは水分散 のバインダーであると、比較的低温で造膜 る性質を有するようになることから、無機 維断熱吸音材を製造する際、バインダーが 化以前に造膜しやすくなる。その結果、前 ポリカルボン酸類との相溶性が低下したり 先に表面だけが造膜して内部に水が閉じ込 られるような現象が生じ、バインダーの硬 速度が遅くなったり、得られるバインダー 化物の強度が低下したりして、無機繊維断 吸音材の諸物性が損なわれる場合がある。

 また、架橋剤は、分子量50~500の化合物が ましい。比較的分子量の高い架橋剤を使用 ると、バインダーの硬化速度が遅くなる傾 があり、無機繊維断熱吸音材の製造工程に いて、バインダー硬化工程に時間を要した 、バインダー硬化オーブンの温度を上昇さ たりする必要があるので、生産性や経済性 損なう場合がある。

 そして、上記架橋剤は、ポリカルボン酸 のカルボキシル基のモル数に対し、架橋剤 のカルボキシル基と反応しうる官能基のモ 数が、モル比で0.7~1.5となるように、ポリカ ルボン酸樹脂組成物に含有させることが好ま しく、0.8~1.2となるように含有させることが り好ましく、0.9~1.1となるように含有させる とが特に好ましい。上記モル比が0.7未満で ると、ポリカルボン酸類のカルボキシル基 硬化後も残存し、また、1.5を超えると、架 剤が硬化後も残存するので、得られる無機 維断熱吸音材の耐湿性等の環境要因で物性 低下したり、過剰分のポリカルボン酸類、 るいは架橋剤が生じたりする傾向にあり、 済性も劣る。ポリカルボン酸類のカルボキ ル基のモル数に対する、架橋剤中のカルボ シル基と反応しうる官能基のモル数が、上 範囲内であれば、ポリカルボン酸類、及び 橋剤ともに過不足なくバインダー硬化時に 橋構造を形成することとなるので、バイン ー硬化物の強度が強固なものとなり、得ら る無機繊維断熱吸音材の諸物性を最適なも にできる。

 (硬化促進剤)
 また、ポリカルボン酸系樹脂組成物は、更 硬化促進剤を含むことが好ましい。硬化促 剤は、ポリカルボン酸類と架橋剤とのアミ 化反応、イミド化反応あるいはエステル化 応等の硬化反応を促進させ、バインダーの 化時間の短縮や硬化温度の低減に作用する

 このような硬化促進剤としては、次亜リ 酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜 ン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム の次亜リン酸塩類;トリス(3‐ヒドロキシプ ピル)ホスフィン等の有機リン化合物類;テ ラエチルホスホニウム塩、トリエチルベン ルホスホニウム塩、テトラn‐ブチルホスホ ウム塩、トリn‐ブチルメチルホスホニウム 塩等の4級ホスホニウム塩類;亜硫酸水素リチ ム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カ ウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸水 カルシウム、亜硫酸水素アンモニウム等の 硫酸水素塩類;三フッ化ホウ素アミン錯体、 塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化マグネシ ウム等のルイス酸化合物類;チタンラクテー 、チタントリエタノールアミネート、ジル ニルアセテート等の水溶性有機金属化合物 が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を 併用することができる。

 そして、無機繊維用水性バインダー中に ける硬化促進剤の含有量は、ポリカルボン 類と架橋剤との合計100質量部に対して、固 分換算で0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量 がより好ましい。0.1質量部未満であると、 リカルボン酸類と架橋剤との硬化反応を十 促進できず、10質量部を超えると、含有量の 増加につり合う硬化促進の効果が観察されず 、逆に過剰量の亜硫酸水素塩類は親水性があ るので、硬化したバインダーの耐湿性や耐水 性を損なう場合がある。

 [無機繊維用水性バインダー]
 本発明の無機繊維用水性バインダーは、上 水溶性熱硬化性樹脂組成物と、水性シリカ ル及び/又は水性アルミナゾルとを含有する 。

 本発明の無機繊維用水性バインダーは、 性シリカゾル及び/又は水性アルミナゾルを 、固形分換算で、水溶性熱硬化性樹脂組成物 中の樹脂分100質量部に対して、0.1~10質量部含 有し、0.5~5質量部含有することが好ましい。 性シリカゾル及び/又は水性アルミナゾルの 含有量が0.1質量部未満であると、バインダー 硬化物の強度向上への影響が少なく、繊維同 士の接着性を充分なものにできない。また、 水性シリカゾル及び/又は水性アルミナゾル 含有量が10質量部を超えると、バインダー硬 化物が脆化して、例えば、圧縮梱包後の復元 や繰り返し圧縮により、無機繊維同士の接着 部が簡単に破壊して、得られる無機繊維断熱 吸音材の機械的強度が損なわれる場合がある 。そして、水性シリカゾル及び/又は水性ア ミナゾルの含有量を、0.5~5質量部とすること で、バインダー硬化物の強度向上と脆化抑制 とのバランスが最適になる。

 また、本発明の無機繊維用水性バインダ は、揮発性塩基性化合物によってpHが6.0~8.0 調整されていることが好ましく、6.0~7.0に調 整されていることがより好ましく、6.0~6.5に 整されていることが特に好ましい。pHが6.0未 満であると、長期の使用により、製造設備が 腐食劣化しやすく、また、廃水の処理コスト を要する傾向にある。また、pHが8.0を超える 、バインダー中の架橋反応が緩やかになり 硬化が完了しなかったり、あるいは硬化を 了させるまでに長い時間の加熱が必要とな 、生産性を損ないやすくなったり、また、 られる無機繊維断熱吸音材の復元性や自立 等の諸物性が損なわれやすくなったりする 無機繊維用水性バインダーのpHが上記範囲 であれば、製造設備の腐食を抑制でき、ま 、廃水処理も容易となるので、メンテナン 費用の低減を図れる。

 上記pHの調整に用いる揮発性塩基性化合 としては、アンモニア水、あるいはアミン が挙げられ、硬化時に発生する臭気等を考 すると、アンモニア水を用いることが好ま い。

 また、本発明の無機繊維用水性バインダ は、シランカップリング剤を用いてもよい シランカップリング剤は、無機繊維とバイ ダーとの界面で作用し、バインダーの無機 維への接着を向上させることができる。

 上記シランカップリング剤としては、γ アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐(2 アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシ シラン、γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピ メチルジメトキシシラン等のアミノシラン ップリング剤、γ‐グリシドキシプロピル リメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピ ルメチルジメトキシシラン等のエポキシシラ ンカップリング剤等が挙げられる。これらは 、1種又は2種以上を併用することができる。

 そして、シランカップリング剤の含有量 、固形分換算で、水溶性熱硬化性樹脂組成 中の樹脂分100質量部に対して、0.1~2.0質量部 が好ましい。

 また、本発明の無機繊維用水性バインダ は、ワックス類、あるいはワックス類と重 オイル類の混合物より選択される少なくと 1種の水分散体を用いてもよい。

 特に、水溶性熱硬化性樹脂組成物として ポリカルボン酸類を用いた無機繊維用水性 インダーは、金属に対する接着性が良いの 、無機繊維に付与したバインダーの硬化工 において、バインダーがコンベア等の設備 付着しやすく、それと同時に無機繊維を製 設備に付着させてしまうことがある。これ より、得られる無機繊維製品の表面に凹凸 を生じさせやすく、製品の外観を損なう虞 あり、また、製造設備に接着した無機繊維 塊等を除去するため、高温下で煩雑な作業 必要となり、生産性を損ねる等の問題が生 る虞があるが、上記ワックス類、あるいは ックス類と重質オイル類の混合物をバイン ー中に配合することで、これらの成分が無 繊維断熱吸音材製造時の離型剤として作用 、これらの問題を解決することができる。 た、同時に、上記ワックス類、あるいはワ クス類と重質オイル類の混合物は、バイン ー硬化物中に残存して、無機繊維断熱吸音 の撥水性を向上させることができる。

 上記ワックス類とは、厳密な定義ではな が、室温下で固体であるが、約40℃以上に 熱すると、比較的流動性の高い液体となる のを指し、具体的には、蜜ろう、ラノリン ックス及びセラックワックス等の動物系ワ クス、カルナバワックス、木ろう、ライス ックス及びキャンデリラワックス等の植物 ワックス、モンタンワックス及びオゾケラ ト等の鉱物系ワックス、パラフィンワック 及びマイクロクリスタリンワックス等の石 系ワックス、フィッシャートロプシュワッ ス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ ワックス、ポリカーボネートワックス、や 油脂肪酸エステル、牛脂脂肪酸エステル、 テアリン酸アミド、ジペプタデシルケトン び硬化ひまし油等の合成ワックスが挙げら る。これらは、1種又は2種以上を併用するこ とができる。そして、これらの中でも、パラ フィンワックス、ポリエチレンワックス及び ポリプロピレンワックスが、経済性の点で好 ましい。

 重質オイル類としては、炭素数がおおよ 15~120の脂肪族炭化水素であるパラフィンあ いはナフテンで構成されているものを用い 。重質オイル類は、ワックス類と比較的類 した化学構造を有しており、流動性も高い で、ワックス類の可塑材としても作用する そのため、水性バインダーを硬化させるた の加熱の際に、ワックス類の流動性を高め ことができ、無機繊維上にむらなくワック 及び重質オイルを塗布することができ、無 繊維断熱吸音材の離型性や撥水性のばらつ を抑制できる。

 重質オイル類の分類は、粘度により行われ VG(Viscosity Grade)で320mm 2 /s~680mm 2 /sの領域にあるものが好ましく用いることが きる。比較的粘度の低い、例えばVGが320mm 2 /s未満の重質オイル類では、炭素数が30以下 特に、炭素数が20以下の成分が増加する傾向 にあり、バインダー硬化時の加熱の際に揮散 し易くなり、また、粘度が高く、例えばVGが6 80mm 2 /sを超えると、乳化する際の分散剤との混合 時間を要し、生産性を損なう場合がある。

 上記ワックス類と上記重質オイル類とを 用する場合において、ワックス類と重質オ ル類の質量比に特に制限はないが、ワック 類:重質オイル類=40:60~95:5であることが好ま い。重質オイル類の比率が、60質量%を超え と、室温下での撥水剤の流動性が高くなる で、得られる無機繊維断熱吸音材の長期間 使用での撥水性が低下する場合がある。一 、重質オイル類の比率が5質量%未満になる 、高融点のワックス類を使用する場合には ワックス類の可塑化効果が低減し、得られ 無機繊維断熱吸音材の撥水性にばらつきが じる場合がある。したがって、上記重質オ ル類の使用比率は、使用するワックス類の 点、あるいは所望する撥水性能に合わせ、 宜調整することがより好ましい。

 一般的に、ワックス類及び重質オイル類 、疎水性材料であるため、ワックス類、あ いはワックス類と重質オイル類の混合物を インダーに添加する際には、混和性向上の め、あらかじめ、水に分散又は乳化させて いることが好ましい。

 上記ワックス類、及び重質オイル類の水 の分散剤としては、特に制限はなく、各種 面活性剤、あるいは水溶性樹脂等が挙げら 、分散剤の種類及び量に関しては、適宜設 することが好ましい。

 そして、ワックス類、あるいはワックス と重質オイル類の混合物の含有量は、水溶 熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100質量部に して、固形分換算で0.1~5質量部が好ましく 0.5~3質量部がより好ましく、0.5~2質量部が特 好ましい。含有量が0.1質量部未満であると 離型性、撥水性の向上がほとんど見られず 5.0質量部を超えても含有量の増加に比例し 撥水性が向上せず不経済であるので好まし ない。

 また、本発明の無機繊維用水性バインダ は、更に、防塵剤、着色剤等を必要に応じ 添加してもよい。

 そして、本発明の無機繊維用水性バイン ーは、上記水溶性熱硬化性樹脂組成物と水 シリカゾルあるいは水性アルミナゾル及び 必要に応じて更に硬化促進剤、ワックス類 あるいはワックス類及び重質オイル類の混 物より選択される1種の水分散体、シランカ ップリング剤等を、ディゾルバー等の攪拌機 のついたタンクを用いて混合することで調製 することができる。

 なお、水性バインダーの形態としては、 マルション、コロイダルディスパージョン 水溶性組成物が挙げられるが、エマルショ やコロイダルディスパージョンでは、分散 れている樹脂成分と水との混和性が劣り、 体である水が揮散すると、フィルムを形成 やすいという特性を有している。バインダ 中の樹脂組成物が、硬化前にフィルムを形 すると、繊維表面でのバインダーの流動性 損なわれやすく、バインダーの付着量が均 な無機繊維断熱吸音材が得られないだけで く、繊維同士のバインダーによる結合が欠 る部分が多くなり、製品としての形状を保 のが困難となる場合がある。また、コロイ ルディスパージョンやエマルションでは、 旦、媒体である水が揮散してフィルムを形 すると、再度水性材料に戻り難いため、製 設備等にバインダーが付着すると、洗浄が 雑となり、生産性の低下が生じる傾向にあ 。

 一方、水性バインダーが水溶性組成物で る場合、水の揮散によるフィルム形成がな ので、上記のような問題が生じることがな 。よって、本発明の無機繊維用水性バイン ーは水溶性組成物として調製することが好 しい。

 ここで、エマルションとは、樹脂成分と 別の乳化剤、例えば、界面活性剤等で乳化 たものを指し、コロイダルディスパージョ とは、樹脂成分中の官能基によって、水中 分散したものを指しており、両者とも外観 乳白色をしている。一方、水溶性組成物と 、樹脂成分が完全に水に溶解しているもの 指しており、外観も透明、あるいは透明に いものである。

 また、無機繊維用水性バインダーの固形 量は、5~40質量%が好ましく、10~30質量%がよ 好ましい。固形分量が5質量%未満であると水 分量が多くなり、硬化工程で時間を要し、生 産性を損なう場合があり、40質量%を超えると 集綿工程での吸引の際にバインダーの損失が 生じるが、その損失分が大きくなり、経済性 の点で好ましくなく、更には、バインダー付 着量のコントロールが難しくなる。

 [無機繊維断熱吸音材]
 次に、本発明の無機繊維断熱吸音材につい 説明する。

 本発明の無機繊維断熱吸音材は、上記無 繊維用水性バインダーを無機繊維に付与し バインダーを加熱硬化させて成形して得ら たものである。

 本発明の無機繊維断熱吸音材は、例えば 下のようにして製造することができる。す わち、まず、溶融した無機質原料を繊維化 置で繊維化し、その直後に上記の無機繊維 水性バインダーを無機繊維に付与する。次 で、無機繊維用水性バインダーが付与され 無機繊維を有孔コンベア上に堆積して嵩高 無機繊維断熱吸音材用中間体を形成し、所 とする厚さになるように間隔を設けた上下 対の有孔コンベア等に送り込んで狭圧しつ 加熱し、無機繊維用水性バインダーを硬化 せて無機繊維断熱吸音材を形成する。そし 、必要に応じて表皮材等を被覆させて、無 繊維断熱吸音材を所望とする幅、長さに切 して製品が得られる。以下、各工程につい さらに詳しく説明する。

 本発明の無機繊維断熱吸音材に用いる無機 維としては、特に限定されず、通常の断熱 音材に使用されているグラスウール、ロッ ウール等を用いることができる。無機繊維 繊維化方法は、火焔法、吹き飛ばし法、遠 法(ロータリー法とも言う)等の各種方法を いることができる。特に無機繊維がグラス ールの場合は、遠心法を用いることが好ま い。なお、目的とする無機繊維断熱吸音材 密度は、通常の断熱材や吸音材に使用され いる密度でよく、好ましくは5~300kg/m 3 の範囲である。

 無機繊維にバインダーを付与するには、 プレー装置等を用いて塗布、噴霧する。バ ンダーの付与量は、無機繊維断熱吸音材の 度や用途によって異なるが、本発明の無機 維用バインダーは少量であっても無機繊維 強固に接着できるので、バインダーの付着 を低減でき、コスト的な観点から、バイン ーを付与した無機繊維断熱吸音材の質量を 準として、固形分換算で0.5~12質量%が好まし く、0.5~8質量%がより好ましい。

 無機繊維にバインダーを付与するタイミ グとしては、繊維化後であればいつでも良 が、バインダーを効率的に付与させるため は、繊維化直後に付与することが好ましい

 上記工程によってバインダーが付与され 無機繊維は、有孔コンベア上に堆積され、 高い無機繊維中間体となる。ここで有孔コ ベア上に堆積する時に、無機繊維が堆積さ る有孔コンベアの反対側から吸引装置によ 吸引することがより好ましい。

 その後、有孔コンベア上を連続的に移動 る前記無機繊維中間体を、所望とする厚さ なるように間隔を設けた上下一対の有孔コ ベア等に送り込むと同時に、加熱した熱風 よりバインダーを硬化させて、無機繊維断 吸音材をマット状に成形した後、所望とす 幅、長さに切断する。

 また、本発明の無機繊維断熱吸音材は、 記無機繊維中間体を所定の寸法に切断した 、所望の形状に加熱成形して製造すること できる。

 バインダーの加熱硬化温度は、特に限定 ないが、200~350℃が好ましい。また、加熱硬 化時間は、無機繊維断熱吸音材の密度、厚さ により、30秒~10分の間で適宜調整する。

 本発明の無機繊維断熱吸音材は、そのま の形態で用いてもよく、また、表皮材で被 して用いてもよい。表皮材としては、紙、 成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布 織布あるいはこれらを組み合わせたものを いることができる。

 本発明の無機繊維断熱吸音材は、機械強 に優れており、住宅やビルなどの建築分野 の用途のみならず、機械装置や電気機器な の産業機器分野、自動車や鉄道車両などの 両分野への用途にも適用することができる

 以下、本発明を実施例によって更に詳細 説明する。なお、以下の説明において、部 %は、特に断りのない場合は質量基準を表す 。

 (実施例1)
 レゾール型フェノール樹脂と尿素樹脂とが 量比で80:20となる混合物を水で溶解させた 脂溶液(固形分40%)を固形分換算で100部と、水 性シリカゾル(平均粒子径50nm、固形分20%)3部 、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.2 と、硫酸アンモニウム2部と、重質オイルエ ルション(VG380mm 2 /s、固形分30%)2部とを混合攪拌し、25%アンモ ア水でpH8.0に調整した後、固形分が18%となる ように水で希釈して、実施例1の無機繊維用 性バインダーを得た。

 (実施例2)
 実施例1において、水性シリカゾルの添加量 を10部にした以外は、実施例1と同様にして、 実施例2の無機繊維用水性バインダーを得た

 (実施例3)
 レゾール型フェノール樹脂を水で溶解させ 樹脂溶液(固形分35%)を固形分換算で100部と 水性アルミナゾル(平均粒子径20nm、固形分12% )0.5部と、γ-アミノプロピルトリエトキシシ ン0.2部と、硫酸アンモニウム1部と、重質オ ルエマルション(VG320mm 2 /s、固形分30%)2部とを混合撹拌し、25%アンモ ア水でpH8.4に調整した後、固形分が18%となる ように水で希釈して、実施例3の無機繊維用 性バインダーを得た。

 (実施例4)
 アクリル酸からなるアクリル樹脂系ポリカ ボン酸(酸価770mgKOH/g、重量平均分子量4,000) 水で溶解させた樹脂溶液(固形分50%)を固形分 換算で100部と、架橋剤としてジエタノールア ミンを45.6部と、硬化促進剤として次亜リン カルシウムを4.0部とを混合(架橋剤のイミノ と水酸基の総モル量/アクリル樹脂系ポリカ ルボン酸のカルボキシル基のモル量=0.95)し、 25%アンモニア水でpH6.5に調整し、更に、水性 リカゾル(平均粒子径20nm、固形分30%)3部と、 γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン0.3部 を添加して混合攪拌した後、固形分が15%と るように水で希釈して、実施例4の無機繊維 用水性バインダーを得た。

 (実施例5)
 スチレン及びマレイン酸からなるビニル重 系ポリカルボン酸(酸価720mgKOH/g、重量平均 子量12,000)を水で溶解させた樹脂溶液(固形分 35%)を固形分換算で100部と、架橋剤としてジ タノールアミンを35.9部と、硬化促進剤とし 次亜リン酸ナトリウムとを6.0部とを混合(架 橋剤のイミノ基と水酸基の総モル量/アクリ 樹脂系ポリカルボン酸のカルボキシル基の ル量=0.80)し、25%アンモニア水でpH6.5に調整し 、更に、水性シリカゾル(平均粒子径20nm、固 分30%)3部と、γ‐アミノプロピルトリエトキ シシラン0.3部とを添加して混合攪拌した後、 固形分が15%となるように水で希釈して、実施 例5の無機繊維用水性バインダーを得た。

 (実施例6)
 メタクリル酸からなるアクリル樹脂系ポリ ルボン酸(酸価640mgKOH/g、重量平均分子量13,00 0)を水で溶解させた樹脂溶液(固形分50%)を固 分換算で100部と、架橋剤としてトリエタノ ルアミンを79.3部と、硬化促進剤として亜硫 水素ナトリウムを4.0部とを混合(架橋剤の水 酸基の総モル量/アクリル樹脂系ポリカルボ 酸のカルボキシル基のモル量=1.40)し、pH3.3の 水溶性組成物を得て、更に、水性アルミナゾ ル(平均粒子径10nm、固形分20%)3部と、γ‐アミ ノプロピルトリエトキシシラン0.3部とを添加 して混合攪拌した後、固形分が18%となるよう に水で希釈して、実施例6の無機繊維用水性 インダーを得た。

 (実施例7)
 アクリル酸、メチルアクリレート及びエチ アクリレートからなるアクリル樹脂系ポリ ルボン酸(酸価500mgKOH/g、重量平均分子量7,800 )を水で溶解させた樹脂溶液(固形分40%)を固形 分換算で100部と、架橋剤としてジエタノール アミンを31.2部と、硬化促進剤として次亜リ 酸ナトリウムを4.0部とを混合(架橋剤のイミ 基と水酸基の総モル量/アクリル樹脂系ポリ カルボン酸のカルボキシル基のモル量=1.0)し pH3.2の水溶性組成物を得て、さらに、水性 リカゾル(平均粒子径20nm、固形分30%)2部と、 ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルトリメ キシシラン0.2部とを添加して混合攪拌した 、固形分が15%となるように水で希釈し、固 分40%のパラフィンワックス水分散体を4.0部 加して、実施例7の無機繊維用水性バインダ を得た。

 (実施例8)
 実施例5において、水性シリカゾルの添加量 を8部にした以外は、実施例5と同様にして、 施例8の無機繊維用水性バインダーを得た。

 (実施例9)
 アクリル酸、メチルアクリレート及びエチ アクリレートからなるアクリル樹脂系ポリ ルボン酸(酸価480mgKOH/g、重量平均分子量10,00 0)を水で溶解させた樹脂溶液(固形分40%)を固 分換算で100部と、架橋剤としてジエタノー アミンを31.2部と、硬化促進剤として次亜リ 酸ナトリウムを4.0部とを混合(架橋剤のイミ ノ基と水酸基の総モル量/アクリル樹脂系ポ カルボン酸のカルボキシル基のモル量=1.0)し 、pH3.2の水溶性組成物を得て、さらに、水性 リカゾル(平均粒子径20nm、固形分30%)3部と、 γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルトリメ キシシラン0.2部とを添加して混合攪拌した 、固形分が15%となるように水で希釈し、固 分40%のパラフィンワックス水分散体を4.0部 加して、実施例9の無機繊維用水性バインダ ーを得た。

 (比較例1)
 実施例1において、水性シリカゾルを添加し ない以外は実施例1と同様にして、比較例1の 機繊維用水性バインダーを得た。

 (比較例2)
 実施例1において、水性シリカゾルの添加量 を15部に変更した以外は実施例1と同様にして 、比較例2の無機繊維用水性バインダーを得 。

 (比較例3)
 実施例4において、水性シリカゾルを添加し ない以外は実施例4と同様にして、比較例3の 機繊維用水性バインダーを得た。

 (比較例4)
 実施例5において、水性シリカゾルを添加し ない以外は実施例5と同様にして、比較例4の 機繊維用水性バインダーを得た。

 (比較例5)
 実施例6において、水性アルミナゾルを添加 しない以外は実施例6と同様にして、比較例5 無機繊維用水性バインダーを得た。

 (比較例6)
 実施例5において、水性シリカゾルの添加量 を12部にした以外は、実施例5と同様にして、 比較例6の無機繊維用水性バインダーを得た

 実施例1~9、比較例1~6の無機繊維用水性バ ンダーを用いて得られた無機繊維断熱吸音 について、下記方法により復元性、10%圧縮 度を評価した。結果を表1にまとめて記す。

 [復元性の評価]
 遠心法により繊維化したガラス繊維に、実 例1~9及び比較例1~6の無機繊維用水性バイン ーを所定の付着量になるようにそれぞれス レーで塗布した後、吸引装置で吸引しなが 有孔コンベア上に堆積して、無機繊維断熱 音材の中間体を形成させた。前記中間体を2 20℃の熱風オーブン中で3分間加熱して、バイ ンダーを硬化させ、密度16kg/m 3 、厚み100mm、バインダー付着量3.0%、及び、同 密度、同厚みにてバインダー付着量2.5%であ 無機繊維断熱吸音材(グラスウール)をそれぞ れ得た。そして、このグラスウールの厚みが 1/8になるまで圧縮し、低密度ポリエチレン製 袋に挿入した状態で、温度40℃湿度95%の環境 に放置した。1日後、14日後、28日後にそれ れ開封して、グラスウールの復元厚みを測 し、初期の厚みとの比較を評価した。

 [剥離強度の評価]
 遠心法により繊維化したガラス繊維に、実 例1~9及び比較例1~6の無機繊維用水性バイン ーを所定の付着量になるようにそれぞれス レーで塗布した後、吸引装置で吸引しなが 有孔コンベア上に堆積して、無機繊維断熱 音材の中間体を形成させた。前記中間体を2 20℃の熱風中で5分間加熱して、バインダーを 硬化させ、密度32kg/m 3 、長さ1350mm、幅430mm、厚み50mm、バインダー付 着量5.0%である無機繊維断熱吸音材(グラスウ ルボード)をそれぞれ得た。そして、得られ た32kg/m 3 のグラスウールボードを、厚み方向に、万能 試験機のチャックに挟み込み、1m/分の速度で 剥離強度を測定した。

 上記結果より、実施例1~9の無機繊維用水 バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材は 復元性及び剥離強度について、実用上問題 ないものであった。

 一方、水性シリカゾル及び水性アルミナ ルを含まない比較例1の無機繊維用水性バイ ンダーを用いた無機繊維断熱吸音材、水性シ リカゾルの添加量が水溶性熱硬化性樹脂組成 物100質量部に対して10質量部を超える比較例2 の無機繊維用水性バインダーを用いた無機繊 維断熱吸音材は、実施例1~3と比較して、経時 で復元性が低下しやすく、剥離強度も低かっ た。

 同様に、水性シリカゾル及び水性アルミ ゾルを含まない比較例3~5の無機繊維用水性 インダーを用いた無機繊維断熱吸音材は、 施例4~9と比較して、経時で復元性が低下し すく、更には剥離強度も低く、実用性に欠 るものであった。また、水性シリカゾルの 加量が水溶性熱硬化性樹脂組成物100質量部 対して10質量部を超える比較例6の無機繊維 水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音 は、実施例4~9と比較して、経時で復元性が 下しやすく、剥離強度も低かった。