Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
AQUEOUS DISPERSION CONTAINING POLYSACCHARIDE PARTICULATE GEL AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/099120
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an aqueous dispersion containing polysaccharide particulate gels, which is characterized by containing particulate gels substantially composed of a polysaccharide. The aqueous dispersion containing polysaccharide particulate gels is also characterized in that shapes of the particulate gels are maintained even after the particulate gels are heated for 30 minutes at 95˚C in an aqueous medium. Namely, disclosed is an aqueous dispersion containing polysaccharide particulate gels, wherein the particulate gels are composed of a polysaccharide and have shapes that can be maintained even after 30-minute heating in an aqueous medium of 95˚C.

Inventors:
OKUMURA HIROTO (JP)
SHIMAGAKI MASAAKI (JP)
TANIGUCHI TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051930
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 05, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
OKUMURA HIROTO (JP)
SHIMAGAKI MASAAKI (JP)
TANIGUCHI TAKASHI (JP)
International Classes:
C08J3/075; A23L29/20; A61K8/73; A61K9/06; A61K47/36; A61Q19/00; C08J3/28; C08L3/00; C08L5/00
Foreign References:
JP2005082527A2005-03-31
JP2005082800A2005-03-31
JPS4814775B11973-05-10
JP2003128588A2003-05-08
JP2004244329A2004-09-02
JP2005162955A2005-06-23
JP2006327949A2006-12-07
JP2003160602A2003-06-03
JP2001329070A2001-11-27
JPH02191540A1990-07-27
JP2004244329A2004-09-02
JP2005162955A2005-06-23
JP2003128588A2003-05-08
JP2005163023A2005-06-23
JP2006089460A2006-04-06
JPS63156707A1988-06-29
JPH08301904A1996-11-19
JPS6056684B21985-12-11
JP2006327949A2006-12-07
JPH0827277A1996-01-30
JP2005082527A2005-03-31
Download PDF:
Claims:
 多糖類からなる微粒子状ゲルを含有し、該微粒子状ゲルは、95℃の水媒体中で30分間加熱した後も形態が保持されている、多糖類微粒子状ゲル含有水分散体。
 前記微粒子状ゲルは、水媒体中で電離性放射線を照射されたものである、請求項1記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体。
 前記微粒子状ゲルは、粒径が500μm以下である、請求項1又は2記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体。
 前記電離性放射線は、γ線又は電子線である、請求項2又は3記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体。
 請求項1~4のいずれか一項記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体の製造方法であって、
 水媒体中で多糖類をゲル転移温度以上に加熱し、前記多糖類を前記水媒体に溶解させる溶解工程と、
 外力を加えながら前記水媒体に溶解している前記多糖類をゲル転移温度以下に冷却し、前記多糖類を微粒子状ゲルにする冷却工程と、
 前記水媒体中の前記微粒子状ゲルに電離性放射線を照射して多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を得る照射工程と、
を備える、製造方法。
 前記電離性放射線は、γ線又は電子線である、請求項5記載の製造方法。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を含み、
 前記微粒子状ゲルの含有率は、0.01~5重量%であり、
 前記微粒子状ゲルの平均粒子径は、1~200μmである、
多糖類微粒子状ゲル含有保湿剤。
 グリセリン及び/又は炭素数1若しくは2のアルキル基を有するパラオキシ安息香酸アルキルが添加されている、請求項7記載の多糖類微粒子状ゲル含有保湿剤。
 請求項1~5のいずれか一項に記載の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を含み、
 前記微粒子状ゲルの含有率は、0.0001~1重量%であり、
 前記微粒子状ゲルの平均粒子径は、0.1~100μmである、
多糖類微粒子状ゲル含有眼科用組成物。
 請求項9に記載の多糖類微粒子状ゲル含有眼科用組成物を含有する、点眼剤。
Description:
多糖類微粒子状ゲル含有水分散 及びその製造方法

 本発明は、多糖類微粒子状ゲル含有水分 体及びその製造方法に関する。

 医薬品・医療材料・食品・化粧品などの 野では、多糖類からなる種々の形態を有す 多くの製品が開発されており、ゲル状の製 も提案されている。

 塗布性や生体安全性あるいは薬物滞留性 向上させるために多糖類を含有させた組成 が知られており、例えば、特許文献1~3には 多糖類をゲル転移温度より高い温度で水媒 に溶解し、剪断力を加えながらゲル転移温 以下に冷却することによって、多糖類の一 又は全部が微粒子状あって、それらが水媒 中に一様に分散した多糖類含有組成物及び の製造方法が記載されている。

 特許文献4には、汗や涙液などの塩を含ん だ生理液と接触することで粘度が増加する多 糖類含有組成物が開示されており、使用前に は低粘度であるため広範囲への塗布や投与が 容易であり、使用中は粘度の増加により流れ 落ちにくくなるといった特性を持った医薬品 、化粧品などの基剤として適用できることが 記載されている。加えて、眼科応用として、 多糖類含有組成物が、眼内組織への薬物の移 行性、すなわち眼内移行性を向上させる効果 があることを見出し、点眼剤の基剤として有 用であることも記載されている。また、特許 文献5には、多糖類含有組成物が眼球表面の 液層を顕著に安定化する効果が開示されて り、ドライアイを治療又は予防するための 眼剤として有用であることが示されている さらに、特許文献6には、多糖類含有組成物 涙液層のムチンと接触することによって特 的な増粘作用を示すことが開示されており 前眼部における薬物滞留性に優れると共に 部の乾燥感を解消するので、眼球表面滞留 進剤、ドライアイ治療剤あるいは人工涙液 して有用であることが示されている。

 しかし、このような多糖類含有組成物の 製には、(1)空気中に浮遊あるいは試薬に付 している細菌や微生物が組成物に混入した 、(2)保存時に組成物が空気中に曝された場 や皮膚などに接触した場合に細菌が組成物 混入したりする危険性が伴う。係る危険性 解消し、生体安全性の高い多糖類含有組成 とするためには何らかの滅菌操作を行い、 糖類含有組成物に混入した細菌や微生物を 滅させる必要があり、そのような滅菌操作 しては、例えば、濾過滅菌又は加熱滅菌を げることができる。しかしながら、濾過滅 は一定の大きさの孔が無数に開いたフィル ーを用いて細菌や微生物を組成物から分離 る方法であって、フィルターの孔径より小 い微小な微生物を除去することができない また、多糖類からなる微粒子状物がフィル ーの孔径以上の大きさであった場合、細菌 微生物とともに分離されてしまうため、上 多糖類含有組成物の滅菌方法としては適当 ない。

 一方、加熱滅菌としては、火炎滅菌法、 熱滅菌法又は高圧蒸気滅菌法といった方法 挙げることができる。これらの滅菌方法は 組成物を高温で加熱することによって組成 に混入した細菌や微生物を死滅させる方法 ある。多糖類からなる微粒子状物を含有し 組成物の滅菌方法としては高圧蒸気滅菌法 好ましいが、多糖類からなる微粒子状物を 有した組成物が水分散体である場合、多糖 のゲル転移温度以上、より具体的には90℃ 上の温度で加熱を行うと多糖類からなる微 子状物が溶解してしまうため、再度剪断力 加えながらゲル転移温度以下に冷却しなけ ばならず、結果として加熱前後の多糖類含 組成物の物性が相違してしまい、医薬品、 療材料、食品又は化粧品などへの応用が難 いという問題があった。そのため、多糖類 ゲル転移温度以上の加熱を行っても多糖類 らなる微粒子状物の形態が保持されている 多糖類含有組成物の開発が望まれていた。

 さらに、医薬品又は化粧品などの分野に いては高い保湿性を有しながら生体安全性 優れた製品の開発が望まれており、皮膚の 燥を抑え、皮膚の水分を保持するための保 剤の有効成分として、多価アルコール、天 高分子又は多糖類が主に使用されている。 に、高い保湿性及び生体安全性を確保する 点から、多糖類を有効成分とする保湿剤の 発が盛んに行われており、例えば、特許文 7には分子量200万以上のヒアルロン酸を含有 させ、使用感が向上した保湿剤が開示されて いる。また、特許文献8には、多糖類を有効 分とし、安定した保湿性を有する保湿剤が 示されている。しかしながら、十分な保湿 及び生体安全性を確保するためには保湿剤 多糖類を高濃度で配合することが好ましい ころ、多糖類の高濃度配合にはべたつきの 生が伴い、使用感が低下するという問題が るため、上記保湿剤に含有される多糖類の は、保湿剤全体に対して0.1~0.3重量%程度に留 まる。そのため、多糖類を高濃度で配合して もべたつきが発生せず、保湿性、使用感及び 生体安全性に優れた保湿剤の開発が望まれて いた。

 ところで、緑内障や白内障等の眼疾患の 療方法としては、薬物を直接点眼する方法 すなわち点眼投与が一般的である。この点 投与による眼疾患の治療効果は、薬物自体 効能に依存することは言うまでもないが、 物の効能を十分に発揮させるためには、点 投与した薬物の効果を長時間持続させるこ 、すなわち薬物滞留性を高めることが重要 課題になってくる。

 また、近年コンピュータを使用した長時 作業やコンタクトレンズの使用が日常化し いることで、ドライアイ症状の多発化が問 視されている。眼球表面を覆っている涙液 は極めて薄く、滑らかに保たれているとこ 、涙液層が不安定になるとその表面が滑ら でなくなる結果、まばたきをするまでの短 間の間にドライスポットという乾燥部分が じ、角膜の一部が露出することがある。こ ことが原因で眼部の異常な乾燥や涙膜の欠 (ドライスポット)を生じる結果、角膜や結 などの外眼部に深刻な障害を引き起こす可 性が高い。このようなドライアイ症状を予 又は治療するためには、眼球表面の涙液層 長時間安定化し、眼球表面の涙液層を滑ら に保つことが要求される。

 薬物の効能を効果的に持続させるための 々な研究がなされており、例えば、特許文 9にはカルボキシビニルポリマー(CVP)を基剤 して用いることで点眼剤自体の粘度を上げ 眼球表面における薬物滞留性及び薬物の徐 性を高めて、薬物の眼内移行性を向上させ 技術が開示されている。この技術は、CVPの 性、すなわち僅かな添加量でも薬物の粘度 飛躍的に上昇させる性質を利用するもので る。

 しかしながら、上記技術は、剤型が眼軟 の場合には好適に用いることが出来るが、 滴の状態で点眼する必要がある点眼剤への 用には不向きであるため、液滴として点眼 き、かつ優れた薬物の眼内移行性を達成で る点眼剤の開発が望まれていた。

 特許文献10には、ポリ-γ-グルタミン酸(PGA )を有効成分として含む眼科用組成物が開示 れており、ドライアイの予防又は治療に有 な点眼剤用組成物又は涙液置換物としての 果が長時間持続する人工涙液用組成物が得 れることが記載されている。ここで、上記 科用組成物の基剤として用いられるPGAの分 量は、眼科用組成物の粘度及び水分子を包 する性質を高めるためにも5万以上が好適で ると推奨されているところ、このような高 子量体を基剤として用いる場合、点眼剤用 成物又は人工涙液用組成物の、製品として 取り扱い容易性又は薬剤効果に関わる物性( 例えば、粘度や溶媒への溶解性)を一定の範 に制御することが困難になる。例えば、上 の眼科用組成物は低粘度であることが要求 れるが、高分子量体を基剤として用いれば 粘度の組成物を調製する際に粘度のばらつ を生じやすく、製造が困難になる。

 一方、特許文献1~6に記載されている多糖 からなる微粒子状物を含有した組成物は薬 の眼内移行性に優れ、さらには、眼球表面 涙液層を顕著に安定化する作用があること 点眼剤やドライアイを予防又は治療するた の保存液といった眼科用組成物の基剤とし 利用できることが知られている。また、眼 用組成物の基剤として利用した場合、取り い容易性又は薬剤効果に関わる物性のばら きの少ない、品質の高い製品を製造できる とも知られている。

 しかしながら、一般にこれらの眼科用組 物を製品として上市するためには、生体安 性確保のために高圧蒸気滅菌に代表される 菌操作を行い、眼科用組成物中に含まれる 菌や微生物等を完全に除去する必要がある ところが、多糖類含有組成物を基剤とする 科用組成物に対して高圧蒸気滅菌を行うと 多糖類からなる微粒子状物が溶解してしま 。また、多糖類含有組成物を基剤とする眼 用組成物の粘度が、滅菌操作を行う前と比 て少なくとも数十mPa・S以上増加してしまう ため、点眼剤やコンタクトレンズ用保存液と いった実際の製品への適用ができないという 問題もあった。そのため、加熱滅菌が可能で あり、さらに、加熱滅菌を行った後も、滅菌 前の物性を維持する多糖類含有組成物を基剤 とする眼科用組成物の開発が望まれていた。

特開平2-191540号公報

特開2004-244329号公報

特開2005-162955号公報

特開2003-128588号公報

特開2005-163023号公報

特開2006-89460号公報

特開昭63-156707号公報

特開平8-301904号公報

特公昭60-56684号公報

特開2006-327949号公報

 そこで本発明は、上記のような実状に鑑 、医薬品・医療材料・食品・化粧品などに 用することを目的に、加熱を行っても多糖 からなる微粒子状物が粒子状の形態を保持 、すなわち、加熱を行っても多糖類微粒子 ゲルが溶解することなく多糖類微粒子状ゲ の形態を保持し、かつ、水媒体中に多糖類 粒子状ゲルが一様に分散している組成物で る多糖類微粒子状ゲル含有水分散体及びそ 製造方法を提供することを目的としている

 本発明者らは、このような課題を解決す く鋭意検討を重ねた結果、水媒体中で加熱 た後もその形態が保持されている多糖類微 子状ゲルを見出し、本発明を完成するに至 た。

 すなわち、本発明は、以下の(1)~(10)に示し 通りである。
(1) 実質的に多糖類からなる微粒子状ゲルを 有し、該微粒子状ゲルは水媒体中で95℃、30 分間の加熱後も形態が保たれてなることを特 徴とする多糖類微粒子状ゲル含有水分散体、 すなわち、多糖類からなる微粒子状ゲルを含 有し、該微粒子状ゲルは、95℃の水媒体中で3 0分間加熱した後も形態が保持されている、 糖類微粒子状ゲル含有水分散体を提供する
(2) 前項微粒子状ゲルは、水媒体中の多糖類 電離性放射線を照射することによって得ら ることを特徴とする上記(1)に記載の多糖類 粒子状ゲル含有水分散体、すなわち、上記 粒子状ゲルは、水媒体中で電離性放射線を 射されたものである上記(1)に記載の多糖類 粒子状ゲル含有水分散体を提供する。
(3) 前項水媒体中の多糖類が微粒子状である とを特徴とする上記(2)に記載の多糖類微粒 状ゲル含有水分散体、すなわち、上記微粒 状ゲルは、粒径が500μm以下である上記(1)又 上記(2)に記載の多糖類微粒子状ゲル含有水 散体を提供する。
(4) 電離性放射線が、γ線又は電子線である とを特徴とする上記(2)又は上記(3)に記載の 糖類微粒子状ゲル含有水分散体、すなわち 上記電離性放射線は、γ線又は電子線である 上記(2)又は上記(3)記載の多糖類微粒子状ゲル 含有水分散体を提供する。
(5) 多糖類微粒子状ゲル含有水分散体の製造 法において、多糖類と水媒体からなり、該 糖類のゲル転移温度以上に加熱して多糖類 水媒体に溶解させる工程、該水媒体に溶解 た多糖類を外力を加えながらゲル転移温度 下に冷却して微粒子状多糖類を得る工程、 微粒子状多糖類を含有した水分散体に電離 放射線を照射する工程を含むことを特徴と る多糖類微粒子状ゲル含有水分散体の製造 法、すなわち、上記(1)~(4)のいずれかに記載 の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体の製造方 法であって、水媒体中で多糖類をゲル転移温 度以上に加熱し、上記多糖類を上記水媒体に 溶解させる溶解工程と、外力を加えながら上 記水媒体に溶解している上記多糖類をゲル転 移温度以下に冷却し、上記多糖類を微粒子状 ゲルにする冷却工程と、上記水媒体中の上記 微粒子状ゲルに電離性放射線を照射して多糖 類微粒子状ゲル含有水分散体を得る照射工程 と、を備える、製造方法を提供する。
(6) 電離性放射線が、γ線又は電子線である とを特徴とする上記(5)記載の多糖類微粒子 ゲル含有水分散体の製造方法、すなわち、 記電離性放射線は、γ線又は電子線である上 記(5)に記載の製造方法を提供する。
(7) 上記(1)記載の多糖類微粒子状ゲル含有水 散体を用いた多糖類微粒子状ゲル含有保湿 であって、実質的に多糖類からなる微粒子 ゲルを0.01~5重量%含有し、該微粒子状ゲルの 平均粒子径が1μm~200μmであることを特徴とす 多糖類微粒子状ゲル含有保湿剤、すなわち 上記(1)~(5)のいずれかに記載の多糖類微粒子 状ゲル含有水分散体を含み、上記微粒子状ゲ ルの含有率は、0.01~5重量%であり、上記微粒 状ゲルの平均粒子径は、1~200μmである、多糖 類微粒子状ゲル含有保湿剤を提供する。
(8) グリセリン、パラオキシ安息香酸アルキ (ただし、アルキル基は炭素数1又は2)から選 ばれてなる少なくとも一つの添加剤が添加さ れてなる上記(7)記載の多糖類微粒子状ゲル含 有保湿剤、すなわち、グリセリン及び/又は 素数1若しくは2のアルキル基を有するパラオ キシ安息香酸アルキルが添加されている上記 (7)に記載の多糖類微粒子状ゲル含有保湿剤を 提供する。
(9) 上記(1)記載の多糖類微粒子状ゲル含有水 散体を用いた多糖類微粒子状ゲル含有眼科 組成物であって、実質的に多糖類からなる 粒子状ゲルを0.0001~1重量%含有し、該微粒子 ゲルの平均粒子径が0.1μm~100μmであることを 特徴とする多糖類微粒子状ゲル含有眼科用組 成物、すなわち、上記(1)~(5)のいずれかに記 の多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を含み 上記微粒子状ゲルの含有率は、0.0001~1重量% あり、上記微粒子状ゲルの平均粒子径は、0. 1~100μmである、多糖類微粒子状ゲル含有眼科 組成物を提供する。
(10) 上記(9)記載の多糖類微粒子状ゲル含有眼 科用組成物を含有してなる点眼剤、すなわち 、上記(9)に記載の多糖類微粒子状ゲル含有眼 科用組成物を含有する点眼剤を提供する。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有水分散 は、多糖類のゲル転移温度以上で加熱滅菌 行っても多糖類微粒子状ゲルが溶解するこ がなく、加熱した後も多糖類微粒子状ゲル 形態が保持されていることから、これまで ない機能を有し、かつ生体安全性の高い医 品・医療材料・食品・化粧品などを提供す ことができる。より具体的には、生体安全 の高い、海水で流れ落ちにくい日焼け止め リーム、汗で流れ落ちない化粧品若しくは 薬用軟膏、涙液による薬効成分の流出を抑 た点眼剤、眼球表面の涙液層を安定化する 口涙液、鼻腔及び口腔内に長時間滞留し薬 の持続性の良好な鼻腔及び口腔用製剤など 提供することができる。また、気管又は生 腺などの粘膜表面に存在するムチンと接触 ることで増粘する性質を利用して、患部に 時間滞留し薬剤を効率的に徐放するドラッ デリバリーシステムへの応用も可能となる

実施例1で得た水分散体Bの加熱前の光 顕微鏡写真である。 実施例1で得た水分散体Bの加熱後の光 顕微鏡写真である。 実施例2で得た水分散体Cの加熱前の光 顕微鏡写真である。 実施例2で得た水分散体Cの加熱後の光 顕微鏡写真である。 実施例3で得た水分散体Dの加熱前の光 顕微鏡写真である。 実施例3で得た水分散体Dの加熱後の光 顕微鏡写真である。 実施例4で得た水分散体Bの加熱前の光 顕微鏡写真である。 実施例4で得た水分散体Bの加熱後の光 顕微鏡写真である。 比較例1で得た水分散体Aの加熱前の光 顕微鏡写真である。 比較例1で得た水分散体Aの加熱後の光 顕微鏡写真である。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有水分散 は、多糖類からなる微粒子状ゲルを含有し 該微粒子状ゲルは、95℃の水媒体中で30分間 加熱した後も形態が保持されていることを特 徴とする。

 「多糖類からなる微粒子状ゲル」とは、 成成分の約90~100%が多糖類である微粒子状ゲ ルをいう。一般に、90℃以上の水媒体中で加 をすると、多糖類からなる微粒子状ゲルは 解するが、本発明に係る多糖類微粒子状ゲ は、95℃の水媒体中で加熱した後も溶解せ 、微粒子状の形態が保持されているという 質を有する。

 「水媒体」とは、水を主成分とする液状 物質をいい、水以外の成分は特に限定され ものではないが、水の含有率が70~80重量%(wt% )を超えるものが好ましく、90重量%を超える のがより好ましい。

 上記水媒体は、水に溶解して安定な組成 を与える水溶性化合物を含有してもよい。

 上記水溶性化合物としては、例えば、メ ノール、エタノール、エチレングリコール プロピレングリコール、グリセリンなどの ルコール類若しくは界面活性剤、乳化剤、 散剤、等張化剤など水溶性低分子化合物又 ポリエチレングリコール若しくはポリビニ アルコールなどの水溶性高分子化合物が挙 られるが、それらを単独で含有してもよい 、2種以上の組み合わせで含有してもよい。

 上記等張化剤とは、等張溶液に含まれる 質をいう。ここで等張溶液とは、浸透圧の なる2種以上の溶液がある場合、一方の溶液 に対して浸透圧が同じになるように適当量の 等張化剤を加えた溶液をいう。本発明におけ る組成物、すなわち多糖類微粒子状ゲル含有 水分散体を単独で、又は複数の組成物と組み 合わせて用いる場合に、等張化剤を用いるこ とができる。

 上記等張化剤としては、例えば、ソルビ ール、マンニトール、塩化ナトリウム、リ 酸ナトリウム、硼酸又はグリセリンを挙げ ことができる。

 本発明に係る多糖類微粒子状ゲルは、95 の水媒体中で30分間加熱した後も形態が保持 されていることを特徴とするが、高圧蒸気滅 菌法を用いて多糖類微粒子状ゲル含有水分散 体中の微生物を完全に死滅させるために121℃ の水媒体中で20分間加熱をした後も溶解しな ため、高圧蒸気滅菌法を用いることも可能 ある。

 本発明に係る、加熱した後も形態が保持 れていることを特徴とする多糖類微粒子状 ルを得るためには、水媒体中の多糖類微粒 状ゲルに電離性放射線を照射することが好 しい。多糖類微粒子状ゲルに直接電離性放 線を照射すると分解反応が促進されてしま 、加熱した後も溶解しない多糖類微粒子状 ルは得られないことから、電離性放射線は 媒体中の多糖類微粒子状ゲルに対して照射 れることが好ましく、電離性放射線の照射 よる反応効率が高い点で、水媒体中の多糖 ゲルは微粒子状の形態を有していることが ましい。

 一般に、放射線は電離性放射線と非電離 放射線とに大別されるが、「電離性放射線 とは、放射線が物質中を透過してゆくとき その通り道にある物質を形成している原子 ら電子をはじき出す作用を有する放射線を う。電離性放射線としては、例えば、γ線 電子線、X線、β線又はα線を挙げることがで きる。一方、非電離性放射線としては、例え ば、紫外線又は可視光線を挙げることができ る。非電離性放射線は、上記の原子から電子 をはじき出す作用が非常に弱いため、照射に よる反応効率の観点から電離性放射線を照射 することが好ましく、γ線又は電子線を照射 ることがより好ましく、経済性の観点から 子線を照射することがさらに好ましい。

 本発明に係る多糖類微粒子状ゲルの形態 、加熱後も保持されているという特徴の発 メカニズムは完全に解明されてないが、水 体中の多糖類微粒子状ゲルに電離性放射線 照射すると、水分子自体がヒドロキシラジ ルを生じ、このヒドロキシラジカルが多糖 微粒子状ゲルを構成する分子鎖の架橋反応 開始を誘導することになるものと推定され 。また、多糖類微粒子状ゲルを構成する分 鎖の一部が比較的自由な分子運動性をもっ いる場合、電離性放射線により生じたヒド キシラジカルにより誘導された架橋点が、 の分子鎖と反応を起こせる距離に接近でき ためであると推定される。

 本発明に係る多糖類微粒子状ゲルを構成 る多糖類は、特に制限はなく、「糖化学の 礎」(阿武喜美子、瀬野信子著;講談社、1984) に記載されているような一般的な多糖類のい ずれであってもよい。複数の多糖類を併用す ることもできるが、植物から得られる多糖類 が好ましい。植物から得られる多糖類として は、例えば、寒天、アガロース、アガロペク チン、デンプン、アミロース、アミロペクチ ン、イソリケナン、ラミナラン、リケナン、 グルカン、イヌリン、レバン、フルクタン、 ガラクタン、マンナン、キシラン、アラビナ ン、ペントザン、アルギン酸、ペクチン酸、 フコイダン、アスコフィラン、カラギナン、 ペクチン、ローカストビーンガム、グアーガ ム、タラガム又はアラビアガムなどが挙げら れるが、海草から得られる多糖類である寒天 、アガロース、アガロペクチン、ラミナラン 、フルクタン、ガラクタン、ペントザン、ア ルギン酸、キチン、ポルフィラン、フコイダ ン、アスコフィラン、カラギナンなどが好ま しく、寒天、アガロース、アガロペクチンが より好ましく、寒天がさらに好ましい。

 寒天は、既に食品等に広く利用されてお 、日本薬局方に掲載されていることからも 体安全性が非常に高いといえる。また、寒 は、水分の蒸発を抑制する保湿作用を有す ことから、医薬品・医療材料・食品・化粧 などの保湿性を高める成分として有用であ ことが知られている。

 寒天(agar)は、テングサやオゴノリなど各 の紅藻の細胞壁マトリックスに含まれる多 であり、紅藻から熱水で抽出して得られる 寒天は均質な物質ではなく、硫酸基を含ま いアガロース(agarose)と硫酸基などを含むア ロペクチン(agaropectin)とに大きく分けられる 。アガロースの割合は紅藻の種類によって異 なり、例えば、テングサ寒天ではアガロース が約70%を占める。

 本発明の実施に用いる寒天はどのような 法によるものでもよいが、安定供給という から工業的製法による寒天が好ましく、さ にその重量平均分子量は5千~120万のものが ましく、3万~80万のものがより好ましく、5万 ~50万のものがさらに好ましい。

 本発明に係る多糖類微粒子状ゲルの形状 しては、例えば、球状、楕球状又は不定形 挙げられるが、異物感又は違和感を軽減す 観点から、球状であることが好ましい。

 また、粒子径が数百μmである大きな多糖 微粒子状ゲルは、組成物、すなわち多糖類 粒子状ゲル含有水分散体の保存安定性に悪 響を及ぼし、さらに点眼剤又は鼻腔若しく 口腔用製剤として用いた場合には、眼球及 鼻腔内の違和感や刺激などの機能面での不 合が生じることがある。したがって、多糖 微粒子状ゲルの粒径は500μm以下が好ましく 100μmがより好ましく、30μm以下がさらに好 しい。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有水分散 は、医薬又は医療材料の基剤としての応用 可能である。そのような基剤に含まれる薬 成分、すなわち薬物としては、実際に臨床 用されているもの、あるいは臨床使用が期 されているものなどを幅広く挙げることが きる。

 上記薬物としては、例えば、グルテチミ 、抱水クロラール、ニトラゼパム、アモバ ビタール、フェノバルビタールなどの催眠 静剤、アスピリン、アセトアミノフェン、 ブプロフェン、フルルビプロフェン、イン メタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナ ナトリウム、塩酸テアラミド、ピロキシカ 、フルフェナム酸、メフェナム酸、ぺンタ シンなどの解熱鎮痛消炎剤、アミノ安息香 メチル、リドカインなどの局所麻酔剤、硝 ナファゾリン、硝酸テトリゾリン、塩酸オ シメタゾン、塩酸トラマゾリンなどの局所 管収縮剤、マレイン酸クロルフェニラミン クロモグリク酸ナトリウム、オキサトミド 塩酸アゼラスチン、フマル酸ケトチフェン トラキサノクスナトリウム、アンレキサノ スなどの抗アレルギー剤、塩化ベンゼトニ ムなどの殺菌剤、塩酸ドパミン、ニヒデカ ノンなどの強心剤、塩酸プロプラノロール ピンドロール、フェニトイン、ジソピラミ などの不整脈用剤、硝酸イソソルビド、ニ ェジピン、塩酸ジルチアゼム、ジピリダモ ルなどの冠血管拡張剤、ドンペリドンなど 消化器官用剤、トリアムシノロンアセトニ 、デキナメタゾン、リン酸ベタメタゾンナ リウム、酢酸プレドニゾロン、フルオシノ ド、プロピオン酸ペクロメタゾン、フルニ リドなどの副腎皮質ホルモン剤、トラネキ ム酸などの抗プラスミン剤、クロトリマゾ ル、硝酸ミコナゾール、ケトコナゾールな の抗真菌剤、テフガフール、フルオロウラ ル、メルカプトプリンなどの抗悪性腫瘍剤 アモキシリン、アンピシリン、セファレキ ン、セファロチンナトリウム、セフチゾキ ムナトリウム、ニリスロマイシン、塩酸オ シテトラサイクリンなどの抗生物質、イン リン、ナケカルシトニン、ニワトリカルシ ニン、ニルカトニン等のカルシトニン類、 ロキナーゼ、TPA、インターフェロンなどの 理活性ペプチド、インフルエンザワクチン 豚ポルデテラ感染症予防ワクチン、B型肝炎 ワクチンなどのワクチン類、ビフォナゾール 、シッカニン、酢酸ビスデカリニウム、クロ トリマゾール及びサリチル酸などの寄生性皮 膚疾患用剤、スルファメトキサゾールナトリ ウム、エリスロマイシン及び硫酸ゲンタマイ シンなどの化膿性疾患用剤、ジフェンヒドラ ミンなどの鎮痒剤、ヨウ素、ポビドンヨード 、塩化ベンザルコニウム及びグルコン酸クロ ルヘキシジンなどの外皮用殺菌消毒剤、塩酸 ジフェンヒドラミン及びマレイン酸クロルフ ェニラミンなどの抗ヒスタミン剤、クロトリ マゾール、硝酸ナファゾリル、フマル酸ケト チフェン及び硝酸ミコナゾールなどの生殖器 官用剤、塩酸テトリゾリンなどの耳鼻科用剤 、アミノフィリンなどの気管支拡張剤、フル オロウラシンなどの代謝拮抗剤、ジアゼパム などの催眠鎮静剤、ノルフロキサシン及びナ リジクス酸などの合成抗菌剤を挙げることが できる。

 上記薬物の配合量は薬物の種類により変 するが、一般に所望の薬物の効果を発揮す のに十分な量で配合すればよい。

 本発明の多糖類微微粒子状ゲル含有水分 体を医薬用途に用いる場合、必要に応じて 薬的に容認し得る緩衝剤、pH調節剤、可溶 剤、安定化剤又は保存剤などを適宜配合す ことができる。

 上記緩衝剤としては、例えば、リン酸、 エン酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、ホウ 、ホウ砂又はトロメタモールなどが挙げら るが、これらの緩衝剤は組成物のpHを3~10に 持するのに必要な量を添加することが好ま い。

 上記pH調節剤としては、例えば、塩酸、 エン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム 水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナ リウム又は炭酸水素ナトリウムを挙げるこ ができる。

 上記安定化剤としては、例えば、エデト 又はエデト酸ナトリウムを挙げることがで る。

 上記保存剤としては、例えば、ソルビン 、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニ ム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息 酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル又 クロロブタノールが挙げられるが、これら 組み合わせて添加してもよい。

 上記薬物又は緩衝剤などの添加物が水難 性の場合に添加する可溶化剤としては、例 ば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレ 硬化ヒマシ油、マクロゴール4000又はシクロ キストリンが挙げられるが、0.001~15重量%の 囲で添加することが好ましい。

 また、本発明の多糖類微粒子状ゲル含有 分散体の製造方法は、水媒体中で多糖類を ル転移温度以上に加熱し、上記多糖類を上 水媒体に溶解させる溶解工程と、外力を加 ながら上記水媒体に溶解している上記多糖 をゲル転移温度以下に冷却し、上記多糖類 微粒子状ゲルにする冷却工程と、上記水媒 中の上記微粒子状ゲルに電離性放射線を照 して多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を得 照射工程と、を備えることを特徴とする。

 「水媒体中で多糖類をゲル転移温度以上 加熱し、上記多糖類を上記水媒体に溶解さ る溶解工程」は、公知例に記載されている 法に従って実施することができ、例えば、 許文献1~4に記載の方法のように、ゲル転移 度を有する多糖類と、水媒体とを含む組成 に外力を加えながら多糖類のゲル転移温度 上の温度に加熱し、多糖類を水媒体に溶解 せればよい。

 「ゲル転移温度」とは、加熱により溶解 た多糖類が冷却されてゲルになるときの温 であって、多糖類に固有の物性値をいう。 たがって、加熱により多糖類を水媒体に溶 する際のゲル転移温度以上の温度、すなわ 加熱温度は、使用する多糖類の種類によっ 定まり、ゲル転移温度+20℃以上の温度であ ことが好ましい。

 水媒体中に溶解する多糖類の量が少な過 ると、多糖類によるゲル化効果が十分発揮 れず、含有量が多すぎると、低粘度の組成 を得ることができないことから、水媒体中 溶解する多糖類の量は、0.0001~30重量%の範囲 が好ましい。

 上記溶解工程においては水媒体に外力を えてもよい。外力を加える手段としては、 えば、振動、剪断、撹拌、圧縮又は粉砕な が挙げられるが、液体に外力を加えること ら、撹拌が好ましい。

 液体に外力を加える撹拌装置としては、 えば、マグネティックスターラー、メカニ ルスターラー、ミキサー、シェーカー又は ーターなどの撹拌機器が挙げられるが、撹 に伴って熱を発生せず、かつ液体に大きな 力を均等に与えることができることから、 カニカルスターラーが好ましい。なお、メ ニカルスターラーの回転数は、1000rpm以下が 好ましい。

 「外力を加えながら上記水媒体に溶解し いる上記多糖類をゲル転移温度以下に冷却 、上記多糖類を微粒子状ゲルにする冷却工 」は、公知例に記載されている方法に従っ 実施することができ、例えば、特許文献3に 記載の方法のように、外力を加えながら水媒 体に溶解している多糖類をゲル転移温度以下 に、所定のばらつきの範囲内の冷却速度で冷 却することで、多糖類の一部若しくは全部が 微粒子状であって、それらが水媒体中に一様 に分散した多糖類含有水分散体を得ることが できる。水媒体に溶解している多糖類を冷却 する際のゲル転移温度以下の温度、すなわち 冷却温度は、ゲル転移温度以下であれば微視 的には部分的にゲル化が起こり得るが、高す ぎるとその温度から室温近辺への温度降下過 程で多糖類の一部が不均一にゲル化してしま い、低すぎると多糖類の分子運動が拘束され て組成物の粘度が上昇してしまうことから、 室温近辺が好ましく、より具体的には、15~30 の範囲であることが好ましい。

 多糖類が溶解した水媒体に外力を加える 段としては、例えば、マグネティックスタ ラー、メカニカルスターラー、ミキサー、 ェーカー、ローターなどの撹拌機器が挙げ れるが、撹拌に伴って熱を発生せず、かつ 体に大きな外力を均等に与えることができ ことから、メカニカルスターラーが好まし 。冷却に伴ってゲル化が進行し、多糖類含 水媒体の粘度は温度低下に伴って増加する 、外力の付与がないと水媒体全体がゲル化 、水媒体全体のゲル化後に外力を付与して 多糖類微粒子状ゲルが均一に分散した水分 体を得ることはできない。なお、多糖類が 解した水媒体の温度がゲル転移温度以下に した後も攪拌を継続することが好ましく、 ル転移温度と比較して20℃以上低い温度に した後も攪拌を継続することがより好まし 、室温(30℃以下)に達した後も攪拌を継続す ことがさらに好ましい。

 多糖類が溶解した水媒体を冷却する手段 しては、例えば、空冷、水冷、氷冷、溶媒 又は風冷を挙げることができ、空冷又は水 が一般的であるが、溶解した多糖類あるい 得ようとする組成物、すなわち多糖類微粒 状ゲル含有水分散体の性状に応じて適宜選 すればよい。

 「水媒体中の微粒子状ゲルに電離性放射 を照射して多糖類微粒子状ゲル含有水分散 を得る照射工程」により、高温で加熱して 多糖類微粒子状ゲルが溶解せず、加熱した の多糖類粒子状ゲルの形態が保持されてい という性質を、多糖類微粒子状ゲルに対し 与することができる。多糖類微粒子状ゲル このような性質を付与する方法としては、 離性放射線を照射する方法以外に、架橋剤 は反応性樹脂などを加える化学的方法を挙 ることができる。

 例えば、特開平8-27277号公報には、水溶性 多糖類と反応性樹脂が溶解した溶液を噴霧乾 燥することで微粒子化し、得られた微粒子を 熱処理することで化学的に架橋させ、水不溶 性の多糖類含有微粒子を製造する方法が記載 されている。また、特開2005-82527号公報には 水媒体中に多糖類を加熱溶解した後、外力 加えながら冷却する工程において架橋剤を えることで、多糖類を化学的に架橋させる 造方法が記載されている。しかし、このよ な化学的方法は、開始剤や架橋剤などを添 しており、生体安全性の観点から好ましく い問題が生じる可能性がある。このため、 始剤や架橋剤などの添加を必要としない、 離性放射線照射が好ましい。

 水媒体中の多糖類微粒子状ゲルに照射す 電離性放射線としては、上述のようにγ線 電子線、X線、β線あるいはα線を挙げること ができる。

 γ線は、電子線と比較して透過力が大き ので、試料液面から、試料を入れた容器底 までの距離が長い試料に対する照射に適し 線源である。またγ線が透過する限りにおい て、試料を入れる容器の種類が制限されない という利点がある。例えば、大型のドラム缶 やステンレス容器に大量の試料を入れて照射 処理することも可能である。γ線照射には、 シウム137を使用した照射とコバルト60を使 した照射がある。セシウム137はコバルト60に 比して、照射効率が劣るため、コバルト60を 用したγ線照射が好ましい。

 電子線は、γ線のようにコバルト60やセシ ウム137のような放射性同位元素を使用しない 。また、遮蔽装置も比較的簡易なものでよく 、γ線に比べて照射処理能力が大きい等の特 を有し、安全面や作業面で好ましい線源で る。

 γ線や電子線の照射をコントロールする 子は、γ線については線量、電子線について は線量及び照射電圧である。線量とは、照射 対象の物質1kgあたり1ジュールのエネルギー 収があることをいう。単位はGy(グレイ)で表 れる。照射電圧は照射する多糖類微粒子状 ル水分散体への浸透深さと関連があり、電 を上昇させると浸透深さが深くなることを 味する。架橋反応に必要な線量は、1kGy未満 では架橋反応が不十分であり、300kGyを超える と分解反応が進むことから、1~300kGy程度の線 が好ましく、2~50kGyの線量が好ましい。

 電子線は、照射電圧に応じて透過力(電子 線のエネルギー)が変化するものの、一般にγ 線に比して透過力が小さい。このため、使用 する電子線の透過力に応じて、試料の液深を 調整することが好ましい。例えば、10MeV程度 高エネルギーの電子線は試料の液深が数mm~3 cm程度のものを均一に照射することが可能で るのに対し、1MeV以下の低エネルギーの電子 線は試料の液深が3mm程度までしか均一に照射 することができない。

 また、本発明の多糖類微粒子状ゲル含有 湿剤は、上記多糖類微粒子状ゲル含有水分 体を含み、上記微粒子状ゲルの含有率は、0 .01~5重量%であり、上記微粒子状ゲルの平均粒 子径は、1~200μmであることを特徴とする。

 本発明に係る多糖類微粒子状ゲルは、例 ば、軟膏、クリーム又はローションといっ 剤型を有する保湿剤の構成成分として用い ことができる。本発明に係る多糖類微粒子 ゲルは加熱滅菌が可能であり、さらには高 度で配合しても、べたつきの発生を抑える とができるため、使用感に優れる。さらに 多糖類微粒子状ゲルそれ自身が高い保湿性 有するために、高濃度で配合することによ て保湿剤全体の保湿性を大きく向上させる とができる。多糖類微粒子状ゲルの含有量 、保湿剤全体に対しする配合量が0.001重量% 満の場合にはその効果が十分に発揮されず 10重量%を超えると得られる保湿剤の使用感 悪くなることから、0.001~10重量%が好ましく 0.01~5重量%がより好ましい。

 上記多糖類微粒子状ゲルの平均粒子径が5 00μmより大きいと、保湿剤の保存安定性に悪 響を及ぼし、さらには皮膚に塗布した際の 用感が悪くなることから、平均粒子径は0.1~ 500μmが好ましく、1~300μmがより好ましく、1~20 0μmがさらに好ましい。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有保湿剤 は、保湿剤の種類や目的に合わせて、例え 、防腐剤又はその他の保湿成分を適宜配合 ることができる。

 上記防腐剤としては、例えば、ソルビン 、塩化ベンザルコニウム又はパラオキシ安 香酸アルキルを挙げることができる。

 上記その他の保湿剤としては、例えば、 ロロブタノール、塩化ナトリウム、塩化マ ネシウム、硫酸ナトリウム、グリセリン、 ロピレングリコール、キシリトール、プロ ン、セリン又はグリシンが挙げられるが、 全性、安定性及び経済性の観点からグリセ ン、プロピレングリコール、パラオキシ安 香酸メチル又はパラオキシ安息香酸エチル 好ましい。また、多糖類との親和性が良好 あり、かつメタノールやエタノールといっ アルコールと共存させることによる分散性 優れ、添加剤としての効果を十分に発揮で ることから、グリセリン又はパラオキシ安 香酸メチルがより好ましい。

 さらに、本発明の多糖類微粒子状ゲル含 水分散体を用いた多糖類微粒子状ゲル含有 科用組成物は、上記多糖類微粒子状ゲル含 水分散体を含み、上記微粒子状ゲルの含有 は、0.0001~1重量%であり、上記微粒子状ゲル 平均粒子径は、0.1~100μmであることを特徴と する。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有眼科用 成物は、具体的には点眼剤の構成成分とし 用いることができる。さらに、コンタクト ンズ用保存液に本発明の多糖類微粒子状ゲ 含有眼科用組成物を用いた場合、コンタク レンズに保存液が付着したままの状態で目 装着でき,眼球表面の涙液層を長時間安定化 し、涙液層を滑らかに保つことができること から,ドライアイ症状を防止することができ 。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有眼科用 成物には対象疾病に適した薬物を配合すれ よく、対象疾病としては、例えば、ドライ イ症候群、緑内障、白内障、炎症又は花粉 を挙げることができる。本発明に係る多糖 微粒子状ゲルは、その内部又は表面近傍に 物を滞留させ,眼内において効率的かつ持続 的な徐放効果を発揮するものと推測される。

 上記薬物としては、例えば、キノロン系 菌剤、セファロスポリン類、スルファセタ ドナトリウム、スルファメトキサゾールな の抗菌剤、ヒドロコルチゾン、デキサメタ ン、プレゾニゾロン、ベタメタゾン、ジク フェナック、インドメタシン、フルオロメ ロン、プラノプロフェン、グリチルリチン 二カリウム、イプシロン-アミノカプロン酸 などの抗炎症剤、マレイン酸クロルフェニラ ミン、塩酸ジフェンヒドラミンなどの抗ヒス タミン剤、プロスタグランジン誘導体、炭酸 脱水酵素阻害剤などの抗緑内障剤、クロモグ リク酸ナトリウムなどの抗アレルギー剤メソ トレキセート、シクロホスファミド、シクロ スポリン、6-メルカプトプリン、アザチオプ ン、フルオロウラシル、テガフールなどの 疫抑制剤及び代謝拮抗剤、硫酸ネオマイシ /リン酸デキサメタゾンナトリウムの組み合 わせのような抗生物質/抗炎症剤混合物が挙 られるが、これらを混合して用いてもよい

 上記薬物の添加量は、0.001~10重量%である とが好ましい。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有眼科組 物を含有する点眼剤には、上記薬物以外に 等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、 定化剤又は保存剤などを適宜配合すること できる。

 上記等張化剤としては、例えば、グリセ ン、プロピレングリコール、塩化ナトリウ 、塩化カリウム、ソルビトール又はマンニ ールを挙げることができる。

 上記緩衝剤としては、例えば、リン酸、 ン酸塩、クエン酸、酢酸、ε-アミノカプロ 酸又はトロメタモールを挙げることができ 。

 上記pH調節剤としては、例えば、塩酸、 エン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム 水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナ リウム又は炭酸水素ナトリウムを挙げるこ ができる。

 上記薬物又は等張化剤などの添加物が水 溶性の場合に添加する可溶化剤としては、 えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチ ン硬化ヒマシ油60又はマクロゴール4000を挙 ることができる。

 上記安定化剤としては、例えば、エデト 又はエデト酸ナトリウムを挙げることがで る。

 上記保存剤としては、例えば、ソルビン 、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニ ム、塩化ベンゼトニウムパラオキシ安息香 メチル、パラオキシ安息香酸プロピル又は ロロブタノールが挙げられるが、これらを み合わせて使用してもよい。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有眼科用 成物中の多糖類微粒子状ゲルの含有量は、0 .0001重量%未満であると、所望の効果が十分に 発揮されず、1重量%を超えると眼球表面への 成物の広がりや浸透が悪化して、眼科用途 用いる場合には使用感が悪くなることから 0.0001~1重量%であることが好ましく、0.005~0.5 量%がより好ましく、0.01~0.1重量%がさらに好 ましい。

 また、本発明に係る眼科用組成物に含ま る多糖類微粒子状ゲルの平均粒子径は、100 m以上であると点眼時に異物感が生じ、さら は多糖類微粒子状ゲル含有眼科用組成物の 存安定性に悪影響を及ぼすことから、平均 子径は0.1~100μmが好ましく、1~30μmがより好 しく、1~10μmがさらに好ましい。

 本発明の多糖類微粒子状ゲル含有眼科用 成物の粘度は、30mPa・sを超えると使用感が くなることから、0.1~30mPa・sが好ましく、0.5 ~20mPa・sがより好ましく、1~10mPa・sが特に好ま しい。

 本発明に係る眼科用組成物に含まれる多 類の分子量は、100万を超えると多糖類微粒 状ゲル含有眼科用組成物を低粘度に保つこ が困難になり、1万以下であると所望の効果 を十分に発揮することができないことから、 1~100万が好ましく、2~30万がより好ましく、3~1 0万がより好ましい。

 本発明は、加熱を行っても多糖類からな 微粒子状物が粒子状の形態を保持し、すな ち、加熱を行っても多糖類微粒子状ゲルが 解することなく多糖類微粒子状ゲルの形態 保持し、かつ、水媒体中に多糖類微粒子状 ルが一様に分散している組成物である多糖 微粒子状ゲル含有水分散体及びその製造方 を提供するものであるが、さらに、保湿性 取り扱い容易性及び生体安全性に優れた上 多糖類微粒子状ゲル含有水分散体を含む保 剤、並びに、加熱滅菌可能であり、滅菌後 多糖類微粒子状ゲルの形態が保持され、か 、滅菌前の物性が維持されている多糖類微 子状ゲル含有水分散体を含む眼科用組成物 を提供するものでもある。

 以下、多糖類微粒子ゲル含有水分散体等 ついて、実験例により具体的に説明する。

(実施例1)
(寒天微粒子ゲル含有水分散体の調製)
 密閉容器に0.5重量%の寒天(AX-30;伊那食品工 社)を秤量し、99.5重量%の蒸留水(注射用蒸留 ;大塚製薬社)を加えて、寒天を分散させた その後、この密閉容器を100℃に設定したオ ルバスに浸漬し、メカニカルスターラー(BL-6 00;HEIDON社)を用いて回転速度700rpmで30分間攪拌 して寒天を溶解した。その後、密閉容器をオ イルバスから引き上げ、メカニカルスターラ ーを用いて回転速度700rpmで攪拌しながら室温 で210分間放冷し、寒天の微粒子ゲルを含有す る水分散体(以下、水分散体A)を調製した。

(寒天微粒子ゲル含有水分散体への放射線照 )
 微粒子状寒天を含有する水分散体Aを10ml採 して密封容器中に入れ、25kGyの線量でγ線を 射して水分散体Bを得た。

(耐熱性評価試験)
 寒天微粒子ゲルを均一に分散させた水分散 Bをプラスチックチューブに5ml採取し、光学 顕微鏡(OPTIPHOTO-2;ニコン社)で観察及び写真撮 した。次いで、プラスチックチューブを95 に設定したアルミブロック恒温漕(TAH-1G;TAITEC 社)に入れて30分間加熱し、加熱後の水分散体 Bを光学顕微鏡で観察及び写真撮影した。

(実施例2)
 微粒子状寒天を含有する水分散体Aを10ml採 し、密封容器中に液深が5mmになるように入 、照射電圧5MeV、25kGyの線量で電子線を照射 て水分散体Cを得た。その後は、実施例1と同 様の耐熱性評価試験を行った。

(実施例3)
 密閉容器に寒天微粒子状ゲル含有する水分 体Aを10ml採取し、密封容器中に液深が5mmに るように入れ、照射電圧5MeV、100kGyの線量で 子線を照射して水分散体Dを得た。その後は 、実施例1と同様の耐熱性評価試験を行った

(実施例4)
 以下の高圧蒸気滅菌試験を行った以外は、 施例1と同様の操作を行った。
(高圧蒸気滅菌試験)
 寒天微粒子ゲルを均一に分散させた水分散 Bをガラス製の三角フラスコに採取し、加熱 前に、光学顕微鏡(OPTIPHOTO-2;ニコン社)で観察 、写真を撮影した。次いで、アルミホイル 被せた三角フラスコを121℃に設定した高圧 気滅菌装置(LSX-500;トミー精工社)に入れて20 間加熱し、加熱後の水分散体Bを光学顕微鏡 (OPTIPHOTO-2;ニコン社)で観察し、写真を撮影し 。

(比較例1)
(寒天微粒子ゲル含有水分散体の調製)
 実施例1と同様の方法で、水分散体Aを調製 た。
(耐熱性評価試験)
 寒天微粒子ゲルを均一に分散させた水分散 Aをプラスチックチューブに5ml採取し、光学 顕微鏡(OPTIPHOTO-2;ニコン社)で観察し、写真を 影した。次いで、プラスチックチューブを9 5℃に設定したアルミブロック恒温漕(TAH-1G;TAI TEC社)に入れて30分間加熱し、加熱後の水分散 体Aを光学顕微鏡(OPTIPHOTO-2;ニコン社)で観察し 、写真を撮影した。

 実施例1~4及び比較例1における、加熱前後 の水分散体A~Dの画像を図1~10に示す。なお、 画像は画像解析ソフトで処理して寒天微粒 状ゲルのみを表示しており、画像中の白い が寒天微粒子状ゲルである。実施例1~4の画 と、比較例1の画像とを比較すると、実施例1 ~4の画像では加熱後の寒天微粒子状ゲルが溶 せず、加熱前の形態が保持されていること 明らかである。

(実施例5)
(γ線照射寒天微粒子ゲル含有保湿剤の調製)
 水分散体Bを凍結乾燥し、寒天粉末Bを得た 次に、1.0重量%の寒天粉末B、10.0重量%のグリ リン及び82.9重量%の蒸留水を混合して70℃で 加熱溶解し、寒天溶液Bを得た。70℃に保温し た寒天溶液Bに、0.1重量%のパラオキシ安息香 メチルを7.0重量%のエタノールに溶解した溶 液を添加し、室温まで放冷して保湿剤Bを得 。

(比較例2)
(γ線未照射寒天微粒子ゲル含有保湿剤の調製 )
 水分散体Aを凍結乾燥し、寒天粉末Aを得た 次に、1.0重量%の寒天粉末A、10.0重量%のグリ リン及び82.9重量%の蒸留水を混合して70℃で 加熱溶解し、寒天溶液Aを得た。70℃に保温し た寒天溶液Aに、0.1重量%のパラオキシ安息香 メチルを7.0重量%のエタノールに溶解した溶 液を添加し、室温まで放冷して保湿剤Aを得 。

(比較例3)
(寒天微粒子ゲル非含有保湿剤の調製)
 11.0重量%のグリセリン及び82.9重量%の蒸留水 を混合して溶液Cを得た。溶液Cに、0.1重量%の パラオキシ安息香酸メチルを7.0重量%のエタ ールに溶解した溶液を添加して保湿剤Cを得 。

「評価(1):肌のなめらかさ」
 保湿剤A~Cをそれぞれ手の甲に塗布し、使用 及び使用後の肌のなめらかさを専門パネラ 10名により実使用試験を実施した。すなわ 、専門パネラー10名のうち、塗布中及び塗布 後の肌がなめらかであると認定した人数を調 べ、肌のなめらかさを4段階で評価した。評 基準は以下の通りである。
A: 専門パネラー8名以上が使用中及び使用後 がなめらかであると認めた。
B: 専門パネラー6名以上8名未満が使用中及び 使用後肌がなめらかであると認めた。
C: 専門パネラー3名以上6名未満が使用中及び 使用後肌がなめらかであると認めた。
D: 専門パネラー3名未満が使用中及び使用後 がなめらかであると認めた。

「評価(2):肌のべたつきのなさ」
 保湿剤A~Cをそれぞれ手の甲に塗布し、使用 及び使用後の肌へのべたつきのなさを専門 ネラー10名により実使用試験を実施した。 なわち、専門パネラー10名のうち、塗布中及 び塗布後肌へのべたつきがないと認定した人 数を調べ、肌のべたつきのなさを4段階評価 評価した。評価基準は以下の通りである。
A: 専門パネラー8名以上が使用中及び使用後 へのべたつきがないと認めた。
B: 専門パネラー6名以上8名未満が使用中及び 使用後肌へのべたつきがないと認めた。
C: 専門パネラー3名以上6名未満が使用中及び 使用後肌肌へのべたつきがないと認めた。
D: 専門パネラー3名未満が使用中及び使用後 へのべたつきがないと認めた。

「評価(3):保湿効果の測定」
 被験者である女性健常人5名の上腕内側部を それぞれエタノールで清拭後、0.5gの保湿剤B 半径3cmの領域にそれぞれ塗布し、塗布から6 0分後の保湿剤塗布部のコンダクタンスを、 面抵抗測定計(SLT-YKH4101;シルテック社)を用い て温度25℃、相対湿度40%の室内で測定した。 のとき、各被験者の保湿剤B塗布前の上腕内 側部の皮膚のコンダクタンスはすべて同様の 値を示すことを確認した。測定値は被験者5 の平均値とし、得られたコンダクタンス測 結果に基づき、4段階で評価を行った。評価 準を以下に示す。
A: 顕著に保湿効果がある。(1800μs以上)
B: 保湿効果がある。(1400μs以上1800μs未満)
C: あまり保湿効果は認められない。(1000μs以 上1400μs未満)
D: 保湿効果は認められない。(1000μs未満)

 保湿剤A及びCについても、上記同様の保 効果評価を行った。

 「評価(1):肌のなめらかさ」、「評価(2): のべたつきのなさ」及び「評価(3):保湿効果 測定」の結果を、表1に示す。表1の結果か 、本発明に係る多糖類微粒子状ゲルを含有 る保湿剤Bは、皮膚に塗布したときの肌のな らかさ及び保湿効果について、比較例3の保 湿剤Cよりも優れた性質を有することが確認 れた。また、比較例2との比較から、本発明 係る多糖類微粒子状ゲルを含有する保湿剤B は、べたつきが発生せず、取り扱いに優れた ものであり、かつ、高い保湿効果を示すこと が示された。

(実施例6)
(γ線照射寒天微粒子ゲル含有点眼剤の調製)
 水分散体Bを凍結乾燥し、寒天粉末Bを得た 次に、0.01重量%の寒天粉末Bを97.4重量%の滅菌 精製水97.4に混合して40℃で加熱溶解し、寒天 水溶液Bを得た。40℃に保温した寒天水溶液B 、0.01重量%の塩酸ピロカルピンと2.6重量%の リセリンを添加し、5分間攪拌した。その後 0.1N水酸化ナトリウム又は0.1N希塩酸を加え pHを7.0に調整し、室温まで放冷して点眼剤B 得た。

(比較例4)
(γ線未照射寒天微粒子ゲル含有点眼剤の調製 )
 水分散体Aを凍結乾燥し、寒天粉末Aを得た 次に、0.01重量%の寒天粉末Aを97.4重量%の滅菌 精製水に混合して40℃で加熱溶解し、寒天水 液Aを得た。40℃に保温した寒天水溶液Aに、 0.01重量%の塩酸ピロカルピンと2.6重量%のグリ セリンを添加し、5分間攪拌した。その後、0. 1N水酸化ナトリウム又は0.1N希塩酸を加えてpH 7.0に調整し、室温まで放冷して点眼剤Aを得 た。

 「評価(4):粘度測定」
 最初に、実施例6、比較例4で調整した点眼 A及びBをそれぞれガラス瓶に適量採取し、そ の粘度をB型粘度計(東京計器社)を用いて、20 、60rpmの条件下で測定した。なお、ロータ はNo.2を用いた。次に、点眼剤A及びBをそれ れガラス製の三角フラスコに入れ、アルミ イルを被せ、高圧蒸気滅菌装置(LSX-500;トミ 精工社)に入れて、121℃で20分間加熱した。 の後、室温まで放冷し、三角フラスコを装 から取り出した。次いで、三角フラスコか それぞれガラス瓶に適量採取し、加熱後の 眼剤A及びBの粘度をB型粘度計(東京計器社製) を用いて、20℃、60rpmの条件下で測定した。 お、ローターはNo.2を用いた。

 上記操作を点眼剤A及びBそれぞれについ 4回ずつ行い、高圧蒸気滅菌前後の粘度の平 値及び標準偏差を算出した。実施例6および 比較例4における粘度の測定値を表2に示す。 2の結果より、実施例6の点眼剤Bは、比較例4 の点眼剤Aと比べて、高圧蒸気滅菌後も滅菌 の物性、すなわち粘度を維持していること 示された。

 本発明は、医薬品・医療材料・食品・化 品などの分野の組成物、例えば、保湿剤又 点眼剤として用いることができる。