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Patent Searching and Data


Title:
ARSENIC ADSORBENT AND METHOD OF INSOLUBILIZING ARSENIC-CONTAMINATED SOIL WITH USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126691
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide an arsenic adsorbent that exhibits high adsorptive capacity for As(III) and As(V) ions, alone ensuring exhibition of high adsorptive capacity for As(III) and As(V) ions in a wide range of pH and that can be used alone; and, utilizing the arsenic adsorbent, a method of insolubilizing arsenic-contaminated soil, method of in-situ insolubilizing contaminated soil and method of treating heavy-metal-contaminated water; and a method of using the arsenic adsorbent. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The arsenic adsorbent is characterized by containing at least an iron/aluminum double hydroxide, being large in the amount of As(V) and As(III) adsorbed per weight of arsenic-contaminated soil or arsenic-contaminated water of 3 to 11 pH range and being within 10% in the variation rate of As(V) adsorption amount per weight. The arsenic adsorbent is used in powdery or slurry form. The method of insolubilizing arsenic-contaminated soil is characterized by adding 0.7 to 2.0 wt.% of the arsenic adsorbent in powdery form to arsenic-contaminated soil and blending the mixture to thereby attain arsenic insolubilization.

Inventors:
MIYANISHI KENICHI (JP)
MORIMOTO TATSUO (JP)
WADA SHINICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055910
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASTEC CO LTD (JP)
MIYANISHI KENICHI (JP)
MORIMOTO TATSUO (JP)
WADA SHINICHIRO (JP)
International Classes:
B01J20/08; B09C1/02; B09C1/08; C02F1/28; C09K17/08
Foreign References:
JP2007029903A2007-02-08
JP2003117387A2003-04-22
JP2004255376A2004-09-16
Other References:
MASUE Y.: "Arsenate and Arsenite Adsorption and Desorption Behavior on Coprecipitated Aluminum: Iron Hydroxides", ENVIRONMENTAL SCIENCE & TECHNOLOGY, vol. 41, no. 3, 1 February 2007 (2007-02-01), pages 837 - 842
Attorney, Agent or Firm:
MARUYAMA, Eiichi (6-14-9 Sotokanda,Chiyoda-ku, Tokyo 21, JP)
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Claims:
 鉄・アルミニウム複水酸化物を少なくとも含み、pH3~11の範囲の砒素汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位重量当たりのAs(V)とAs(III)の吸着量が高く、且つ単位重量当たりのAs(V)吸着量の変動率が10%以内であることを特徴とする砒素吸着剤。
 pH3~11の範囲の砒素汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位重量当たりのAs(V)の吸着量が20~25mg/gであり、As(III)の吸着量が10~25mg/gであることを特徴とする請求項1記載の砒素吸着剤。
 粉末状又はスラリー状として用いることを特徴とする請求項1又は2記載の砒素吸着剤。
 請求項3記載の粉末状の砒素吸着剤を、砒素汚染土壌に対して、0.7wt%~2.0wt%の範囲で添加し、混練して砒素を不溶化することを特徴とする砒素汚染土壌の不溶化方法。
 砒素汚染土壌に請求項3記載のスラリー状の砒素吸着剤を注入して、スラリー状の砒素吸着剤を該汚染土壌に拡散させて、砒素を不溶化することを特徴とする砒素汚染土壌の原位置不溶化方法。
 表層より下の層に有する広い面積の汚染土壌層の砒素汚染を原位置のまま不溶化する汚染土壌の原位置不溶化方法において、
 前記汚染土壌層の上層の表層を複数に区画し、区画された表層の各々に汚染土壌層の上部又は内部に到達する注入管を立設し、該注入管の注入口から請求項3記載のスラリー状の砒素吸着剤を注入し、注入された砒素吸着剤を前記汚染土壌層内に拡散させることを特徴とする汚染土壌の原位置不溶化方法。 
 少なくとも砒素を含む重金属汚染水に、請求項3記載の砒素吸着剤を、固形分として、500~5000mg/Lを添加することを特徴とする重金属汚染水の処理方法。
 請求項3記載の粉末状の砒素吸着剤をフィルターに担持し、該フィルターを水平方向に流れる砒素汚染水脈に対して透過壁として使用することを特徴とする砒素吸着剤の使用方法。
Description:
砒素吸着剤及びこれを用いた砒 汚染土壌の不溶化方法

 本発明は、砒素吸着剤及びこれを用いた 素汚染土壌の不溶化方法に関し、詳しくは As(III)及びAs(V)の両イオンに対して広いpH領 で大きな吸着能を示し、かつ単独で用いる とのできる砒素吸着剤及びこれを用いた砒 汚染土壌の不溶化方法、汚染土壌の原位置 溶化方法、重金属汚染水の処理方法並びに 素吸着剤の使用方法に関する。

 従来、水中の砒素の除去方法としては、 集沈殿法と吸着法が主に挙げられる。例え 、特許文献1には、活性アルミナ、二酸化マ ンガンまたは活性炭からなる粗除去用活性炭 とセリウム系吸着剤又はジルコニウム系吸着 剤を用いる方法が開示されている。しかし、 特許文献1に記載の技術は、2段階処理で、前 の粗除去用吸着剤である活性アルミナや二 化マンガンは、As(III)よりAs(V)の方が高い吸 能を有するため、As(III)が処理水中に流出す る問題がある。

 一方、As(III)の除去手段としては、特許文献 2に記載のように、次亜塩素酸ナトリウムや 酸化塩素化合物等のような酸化剤を用いて As(III)をAs(V)に酸化させて、As(V)として除去す る方法が知られている。しかし、この方法で は、As(III)の除去に酸化剤を必要とするため コストの増加及び使用機材の腐食という問 がある。

特開平10-165948号公報

特開平7-80475号公報

特開2007-29903号公報:活性炭を使用した砒 吸着剤

特開2005-238126号公報:コロイド金属複合体 に、低濃度で存在している砒素を吸着させる 砒素吸着剤(pH範囲が小さい)

特開2005-288363号公報:希土類水酸化物及び 高分子樹脂を用いた砒素吸着剤

特開2002-102860号公報:アルミニウム化合物 及び鉄化合物の存在下で高分子凝集剤を添加 する汚泥の処理方法

特開平9-276875号公報:重金属除去に凝集剤 として鉄化合物を用いる排水の処理方法

特開平11-193385号公報:活性炭を用いてい 砒素吸着剤

特開平10-113675号公報:多糖類と硫化物と 混合物からなる重金属捕集剤に安定化剤と て鉄化合物やアルミニウム化合物を用いた 金属捕集剤

 そこで、本発明は、As(III)及びAs(V)の両イ ンに対して高い吸着能を示し、かつ吸着剤 独でAs(III)及びAs(V)の両イオンに対して広いp H領域で大きな吸着能を示し、かつ単独で用 ることのできる砒素吸着剤及びこれを用い 砒素汚染土壌の不溶化方法、汚染土壌の原 置不溶化方法、重金属汚染水の処理方法並 に砒素吸着剤の使用方法を提供することを 題とする。

 また本発明の他の課題は、以下の記載に り明らかになる。

 上記課題は、以下の各発明によって解決 れる。

 請求項1記載の発明は、鉄・アルミニウム 複水酸化物を少なくとも含み、pH3~11の範囲の 砒素汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位 重量当たりのAs(V)とAs(III)の吸着量が高く、且 つ単位重量当たりのAs(V)吸着量の変動率が10% 内であることを特徴とする砒素吸着剤であ 。

 請求項2記載の発明は、pH3~11の範囲の砒素 汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位重量 当たりのAs(V)の吸着量が20~25mg/gであり、As(III) の吸着量が10~25mg/gであることを特徴とする請 求項1記載の砒素吸着剤である。

 請求項3記載の発明は、粉末状又はスラリ ー状として用いることを特徴とする請求項1 は2記載の砒素吸着剤である。

 請求項4記載の発明は、請求項3記載の粉 状の砒素吸着剤を、砒素汚染土壌に対して 0.7wt%~2.0wt%の範囲で添加し、混練して砒素を 溶化することを特徴とする砒素汚染土壌の 溶化方法である。

 請求項5記載の発明は、汚染土壌に請求項 3記載のスラリー状の砒素吸着剤を注入して スラリー状の砒素吸着剤を該汚染土壌に拡 させて、砒素を不溶化することを特徴とす 砒素汚染土壌の原位置不溶化方法である。

 請求項6記載の発明は、表層より下の層に有 する広い面積の汚染土壌層の砒素汚染を原位 置のまま不溶化する汚染土壌の原位置不溶化 方法において、
 前記汚染土壌層の上層の表層を複数に区画 、区画された表層の各々に汚染土壌層の上 又は内部に到達する注入管を立設し、該注 管の注入口から請求項3記載のスラリー状の 砒素吸着剤を注入し、注入された砒素吸着剤 を前記汚染土壌層内に拡散させることを特徴 とする汚染土壌の原位置不溶化方法である。  

 請求項7記載の発明は、少なくとも砒素を 含む重金属汚染水に、請求項3記載の砒素吸 剤を、固形分として、500~5000mg/Lを添加する とを特徴とする重金属汚染水の処理方法。

 請求項8記載の発明は、請求項3記載の粉 状の砒素吸着剤をフィルターに担持し、該 ィルターを水平方向に流れる砒素汚染水脈 対して透過壁として使用することを特徴と る砒素吸着剤の使用方法。

 本発明によると、As(III)及びAs(V)の両イオ に対して高い吸着能を示し、かつAs(III)及び As(V)の両イオンに対して広いpH領域で大きな 着能を示し、かつ単独で用いることのでき 砒素汚染土壌の不溶化方法、汚染土壌の原 置不溶化方法、重金属汚染水の処理方法並 に砒素吸着剤の使用方法を提供することが きる。

本発明の砒素吸着剤の粉末X線回折(XRD) (A)は汚染土壌層の断面図、(B)は汚染領 表層の平面図 汚染土壌層の表層を6区に区画した例を 示す平面図 本発明の砒素吸着剤の製造例を示す説 図 高砒素吸着できるpH範囲を示すグラフ 平衡吸着等温線を示すグラフ 砒素汚染土譲不溶化実験結果を示すグ フ

符号の説明

 1:汚染土壌層
 2:非汚染土壌層
 3A、3B、3C、3D、3E、3F:汚染土壌層の表層の各 区画領域
 4:注入管
 5:回収管
 6:混合槽
 7:撹拌機
 8:pH計
 9:スラリーポンプ
 10:減圧ポンプ
 11:サンプリングノズル
 40:セメンチング
 100:表層

 以下、本発明の実施の形態について説明 る。

(砒素吸着剤)
 本発明に係る砒素吸着剤は、鉄・アルミニ ム複水酸化物を少なくとも含めばよく、鉄 アルミニウム複水酸化物の他に、鉄水酸化 、アルミニウム水酸化物、鉄酸化物、アル ニウム酸化物を含んでいてもよい。

 鉄・アルミニウム複水酸化物とは、[Fe 1-n Al n ](OH) 3 の組成と推定される水酸化鉄の一部がアルミ ニウムで置き換えられたものであり、水酸化 鉄と水酸化アルミニウムの単なる混合物では ない。

 水酸化鉄の結晶化の速度は、元来速いが アルミニウムを10~20%取り込むことで、鉄、 ルミニウムとも結晶化が起こりにくくなる すなわち長期的に非結晶を保つことができ 。非結晶であれば反応サイト数が多く高い 着能を有する。

 図1に、本発明の砒素吸着剤の粉末X線回 (X-ray powder diffraction)図を示す。

 図1に示すように、目立ったピークは見ら れずブロード(broad)なものであった。強いて えば、2θ≒35のとき、0.253nmのフェリハイド イト(低結晶性鉄酸化物)のピークが見られる が、本発明の砒素吸着剤には影響ない範囲で ある。

 上記の組成の鉄・アルミニウム複水酸化 の作用により、砒素汚染水または砒素汚染 壌が酸性またはアルカリ性であってもpH値 依存せず、亜ヒ酸及びヒ酸の両イオンに対 て高い吸着量を示し、且つ吸着量の変動が なく安定して吸着することができる。

 本発明において、上記[Fe 1-n Al n ](OH) 3 と推定される組成においてn≦3/10である。該n の値を変えること、つまりFe及びAlの存在率 変えることで砒素吸着量を変化させること 可能である。

 上記鉄・アルミニウム複水酸化物の作用 より、砒素汚染水又は砒素汚染土壌が高酸 又は高アルカリ性であってもpH値に依存せ 、As(III)及びAs(V)の両イオンに対して高い吸 量を示し、かつ吸着量の変動率が少なく安 して高吸着することができる。

 本発明の砒素吸着剤は、pH3~11の範囲の砒 汚染水又は砒素汚染土壌に対して、単位重 当たりのAs(V)吸着量の変動率が10%以内、好 しくは7%以内、更に好ましくは5%以内である 変動率は吸着量の最低値と最高値から算出 きる。

 従って、本発明の砒素吸着剤は、砒素汚 水又は砒素汚染土壌のpHが高くても、ある は低くても、pH調整の必要がなく適用ができ るので、コスト低減に寄与し、汎用性が高い 。

 本発明の砒素吸着剤の好ましい態様とし は、pH3~11の範囲の砒素汚染水又は砒素汚染 壌に対して、高い吸着性能を示し、具体的 は単位重量当たりのAs(V)の吸着量が20~25mg/g あり、As(III)の吸着量が10~25mg/gの範囲である また、本発明の砒素吸着剤は、特に中性付 ではAs(III)及びAs(V)の両方のイオンをほぼ同 量だけ吸着することも可能である。

 また、濃度依存性は小さく、低濃度から 濃度までの広範囲にわたり、多量の砒素を 着することが可能である。

 本発明の砒素吸着剤は、粉末状又はスラ ー状として用いることができる。粉末状の 素吸着剤は水処理に用いたり、土壌汚染の 溶化に適しており、またスラリー状の砒素 着剤は水処理に用いたり、汚染土壌の原位 不溶化に適している。

 粉末状の砒素吸着剤の粒径は、好ましく 1.5μm~300μmの範囲である。

 本発明の砒素吸着剤を微細化して使用す ことは砒素吸着反応を促進する上で好まし ことであり、微細化手段は公知の方法を採 できる。

(スラリー状の砒素吸着剤の製造方法)
 本発明に係るスラリー状の砒素吸着剤は、 化合物溶液及びアルミニウム化合物溶液を 合し、次いで、該混合溶液を撹拌し、次い 、アルカリ溶液によりpH5~7の範囲に調整し 、スラリー状の砒素吸着剤を得ることがで る。

 スラリー状の砒素吸着剤の作製例を挙げ と、以下の方法がある。

 はじめに0.5M塩化第二鉄溶液及び0.5M塩化 ルミニウム溶液を当量混合し、次いで、こ 混合液を攪拌子で10分間攪拌する。その後、 10Nの水酸化ナトリウム溶液を瞬時に添加し、 スラリーのpHを6程度に調整し、スラリー状の 砒素吸着剤を得ることができる。

 鉄化合物としては、Fe(II)イオンやFe(III)イ オンとなりえる化合物であればいずれでもよ いが、Fe(II)イオンの場合には酸化剤や空気酸 化などによって酸化し、Fe(III)イオンに酸化 る必要がある。

 Fe(II)イオンやFe(III)イオンとなりえる化合物 は、鉄の酸化物(単純な酸化物以外に複合酸 物でもよい)、塩化物、硫化物、フッ化物、 酸塩や硝酸塩などの各種塩などを用いるこ ができる。代表的には、Fe 2 O 3 、FeCl 3 、Fe 2 (SO 4 ) 3 が挙げられる。中でもFeCl 3 が好ましい。

 アルミニウム化合物としては、Al(III)イオン となりえる化合物であればいずれでもよい。 Al(III)イオンとなりえる化合物は、Alの酸化物 、塩化物、硫化物、フッ化物、硫酸塩や硝酸 塩などの各種塩などを用いることができる。 代表的には、Al 2 O 3 、AlCl 3 、Al 2 (SO 4 ) 3 が挙げられる。中でもAlCl 3 が好ましい。

 攪拌手段としては、振とう機による攪拌 ミキサーによる攪拌、空気攪拌などいずれ もよい。攪拌時間は10~30分の範囲が好まし 。10分未満では攪拌が不十分であり、30分を えても攪拌効果の向上が得られない。

 苛性ソーダなどのアルカリを瞬時に添加 る理由は、鉄化合物溶液及びアルミニウム 合物溶液を鉄・アルミニウム複水酸化物に 率よく良好に転化させるためである。

 また、鉄化合物溶液及びアルミニウム化 物溶液に苛性ソーダを添加することも好ま いが、苛性ソーダに鉄化合物溶液及びアル ニウム化合物溶液を添加し、目標pHにする 法も好ましい。

 目標pHは5~7の範囲であり、FeCl 3 とAlCl 3 を用いた場合には、約pH6である。その後、安 定化させるためにしばらく放置する。

 以上のようにしてスラリー状の砒素吸着 を得ることができる。

(粉末状の砒素吸着剤の製造方法)
 粉末状砒素吸着剤は、上記のスラリーの製 方法によって得られたスラリーを脱水し、 いで、脱水されたケーキを乾燥させて固形 を得た後、その固形物を破砕して粉末状砒 吸着剤を得ることができる。

 脱水手段としては、真空濾過脱水、遠心 離脱水などのいずれでもよい。乾燥手段と ては、熱風乾燥、ドラムドライヤーなどの ずれでもよい。乾燥温度は100℃以下が好ま い。

 固形物を粉末状にする手段としては、通 の破砕機を用いて行えばよいが、格別限定 れない。

 上記の乾燥時間、乾燥温度を変えること より、例えば鉄・アルミニウム複水酸化物 、鉄・アルミニウム複水酸化物中の鉄とア ミニウムの存在率を変化させることができ 。これにより砒素吸着量、透水性を適宜変 させることができる。

(汚染土壌の不溶化方法)
 次に、本発明のスラリー状の砒素吸着剤を いた汚染土壌の不溶化方法について説明す 。

 本発明において、「不溶化方法」とは、 染土壌に、砒素吸着剤を混合して安定化さ ることにより、汚染物質が水に溶出しない うにする方法を意味する。

 また、「原位置不溶化方法」とは、前記 溶化方法の1態様であり、汚染土壌を移動さ せることなく汚染物質を不溶化させる方法を 意味する。

 本発明の砒素吸着剤を用いた不溶化方法 おいて、汚染土壌を調査確認することは重 である。汚染土壌の確認には、必要があれ ボーリング等を行い、地層深部の土壌まで サンプリングし、可能ならば現場で分析し 汚染状況(汚染物質と汚染濃度等)の平面的 がり及び垂直方向の広がりを迅速に把握す 。かかる調査確認によって砒素吸着剤注入 量又は土壌掘り出しの容量(面積×深さ)を把 する。

1.粉末状の砒素吸着剤を用いた不溶化方法
 本発明に係る粉末状の砒素吸着剤を、砒素 染土壌に対して添加し、混練し、砒素汚染 壌を不溶化する。

 不溶化方法としては、例えば不溶化埋め し工法を用いることができる。これは砒素 染が確認された土壌を掘削し、汚染土壌と 発明の粉末状の砒素吸着剤との混練を行い 汚染土壌に存在していた砒素を不溶化させ 元の場所に土壌を埋め戻す方法である。  

 本発明の粉末状の砒素吸着剤と汚染土壌と 混合されたかどうかは、サンプリング(例え ば100m 3 に対して1検体、5地点混合)を行い、砒素の溶 出が低下することを確認することにより行う 。  

 粉末状の砒素吸着剤の添加量は、好まし は0.7wt%以上2.0wt%以下である。0.7wt%未満だと 染土壌が不溶化されず、また、2.0wt%より多 と効果が上がらず不経済である。

 また、粉末状の砒素吸着剤を用いた不溶 方法は、表層に汚染土壌が存在する場合で 、下層に汚染土壌が存在する場合でも適用 能であるが、表層に汚染土壌が存在する場 の方が好適である。

 本発明の粉末状の砒素吸着剤を用いた不 化方法の特徴は、本剤単独を汚染土壌に混 するだけで、砒素を不溶化することができ ので、環境にかける負荷が少ない。また、 染土壌に本発明の砒素吸着剤1種類のみを添 加すればよいため、汚染土壌に対する混練作 業も1度でよい。このため、現場での作業性 効率も上がり、施工コストも低下させるこ ができる。なお、本発明の目的の範囲内で 公知のゼオライトや粘性土を併用すること かまわない。

 また、汚染土壌は、場所によって高酸性 高アルカリ性である場合があるが、その場 にも、pH調整を行うことなく、不溶化でき ので、多様な環境の砒素汚染土壌に対して 用することができる。

2.スラリー状の砒素吸着剤を用いた原位置不 化法
 原位置不溶化法は、汚染土壌が表層又は表 の下方に存在する下層に対して用いること でき、特に下層に対して用いる場合は土壌 掘削をせずに汚染土壌を不溶化することが きるため有効である。

 下層が汚染されている例としては、自然 来の砒素による場合や、補強地盤を造成す ために、まずサンドベッドを敷き、その上 表層となる盛土を敷いた際に、サンドベッ が砒素汚染されていた場合等が挙げられる

 本発明のスラリー状の砒素吸着剤を用い 原位置不溶化方法の一例を図面に基づいて 明する。

 図2は、汚染土壌層を示す図であり、(A)は 断面図であり、(B)は汚染領域表層の平面図で ある。

 図2に示すように、1は汚染土壌層であり 地層内部に存在している。2は汚染土壌層1の 上層の非汚染土壌層である。このような汚染 土壌層の存在は、前述のように、ボーリング 等を行い、地層深部の土壌をサンプリングし 、分析して確認する。かかる調査確認によっ て汚染土壌容量が確定される。

 図3は汚染土壌層の表層100を6区に区画し 例を示す平面図であり、3A~3Fは各区画領域を 示しており、各区画領域の下方に汚染土壌層 1が存在する。従って、汚染土壌層1も同様に 画されている。各区画には、スラリー状の 素吸着剤を注入する注入管4、4・・・・・ 土壌に対して垂直方向に設けられている。

 各区画の4角には、スラリー状の砒素吸着 剤の拡散状況を確認するための回収管5、5、5 ・・・・・が土壌に対して垂直方向に設けら れている。

 また、汚染領域は表層100から汚染土壌層1 の下部に到達するメッシュ等で仕切られてい ることが好ましい。

 スラリー状の砒素吸着剤は、予め工場な で製造されてもよいが、この実施態様では 場で製造する例を説明する。

 図4において、6は混合槽であり、原料であ FeCl 3 (鉄化合物溶液)及びAlCl 3 (アルミニウム化合物溶液)を添加し、攪拌機7 で所定時間攪拌し、苛性ソーダ(アルカリ)溶 を添加して、pHを約6になるように調整する pHはpH計8で確認する。

 所定時間反応させて、スラリー状の砒素 着剤を得たら、スラリーポンプ9によって所 定量ずつ注入管4に送液する。なお、注入管4 回りは、セメンチング40によって、注入管4 固定されると共に注入した砒素吸着剤が隙 から地上に流出しないようにしてある。

 注入管4の下部は汚染土壌層1の上部又は 部に到達していることが好ましく、かかる 入管4からスラリー状の砒素吸着剤がスラリ ポンプ9によって圧入されると、汚染土壌層 1に注入・拡散される。

 スラリーは、汚染土壌層1に注入・拡散さ れると、砒素汚染土壌中の砒素を吸着し、砒 素を不溶化する。本実施の態様では汚染土壌 層1を地下水が流れている場合について説明 る。スラリーが汚染土壌全体に供給され、 ち供給量が十分であるか否かは、減圧ポン 10によって回収管5から地下水を汲み上げて 認する。汲み上げた地下水には土壌や砒素 着剤が含まれるが、問題はAs(III)やAs(V)が含 れるか否かである。このためサンプリング ズル11からサンプリングして分析する。

 砒素分析の結果、所望値以下もしくは未 出であった場合には、砒素吸着が充分進行 ていると考えられる。砒素が所望値より多 検出された場合には、砒素吸着が不完全な で、注入管4にスラリー状の砒素吸着剤を注 入する。分析後の地下水は再度注入管4に戻 ようにすることが好ましい。

 地下水を汲み上げて行う砒素検出確認作 は、連続的に行う必要はなく、断続的に行 れることが好ましい。

 従って、回収管5から地下水及び浸漬水を 汲み上げて検出される砒素の検出値により、 砒素汚染土壌に注入されたスラリー状の砒素 吸着剤の拡散状況の確認を行いながら、砒素 の検出値が所望の値以下になるまで、スラリ ー状の砒素吸着剤を汚染土壌層1に注入し充 に拡散させる。

 また、スラリー状の砒素吸着剤を処理対 の汚染土壌に拡散させる際には、より拡散 やすいようにスラリー状の砒素吸着剤を希 して注入してもよい。注入開始時の希釈率 ボーリングによる地質調査時に、汚染土壌 地質を確認して決める。希釈率は拡散状況 より変えることも可能である。

 また、効率よく拡散させるために、汚染 壌層1の少し上部からスラリー状の砒素吸着 剤を注入することも可能である。また、注入 管4の下部は、周囲に注入された砒素吸着剤 排出口を設けることも好ましい。その排出 は下部から上部にかけて開口率を大きくな ようにすることも、スラリー状の砒素吸着 をより効率よく均一に汚染土壌中に拡散さ る上で好ましい。

 また、本発明では、スラリーポンプ9によ って注入管4に注入されたスラリー状の砒素 着剤を、回収管5から回収して、ポンプ10に って再度注入管4に戻すようにして、循環さ ることも好ましい。

 また、地下水及び浸漬水が必要以上に多 れば、地下水及び浸漬水を除去しながらス リー状の砒素吸着剤を注入・拡散させるこ も可能である。

 本発明では、検出される砒素の検出値が 望の値以下であることが確認されたら、砒 汚染土壌中の砒素がスラリー状の砒素吸着 に充分量吸着され、不溶化されたことがわ る。

 本発明の砒素吸着剤は、As(III)及びAs(V)の 方のイオンに対して変動率の小さい安定し 高吸着量を、広範囲のpH領域において得る とができるので、多様な環境の砒素汚染土 に対して砒素の原位置不溶化を行うことが きる。ここでいう多様な環境とは、pHの高い 土壌、低い土壌に対してだけではなく、不溶 化を行った汚染土壌が長時間土壌中に存在し ている間、酸性雨や他の人的要因又は自然要 因により汚染土壌のpHが変化することも含み 時間的経過によって土壌中のpHが高酸性又 高アルカリ性になるような大きな変化が起 る場合又は小さな変化が起こるような、環 の長期的又は短期的急激な変化に対しても 本発明の砒素吸着剤は砒素の溶出を防ぐこ ができる。

 また、本発明の砒素吸着剤は単独で汚染 壌に注入するだけで良いので、環境に負荷 かけることなく砒素汚染土壌の原位置不溶 をすることができる。さらに、汚染土壌外 スラリーが混入しても同様に環境に負荷を えることがなく砒素汚染土壌の原位置不溶 をすることができる。

 本発明のスラリー状の砒素吸着剤は、下 が水脈であっても使用することができる。 脈に混入した砒素吸着剤は、下流でフィル ー等による濾過等により除去することが好 しい。

(重金属汚染水の処理)
 本発明の砒素吸着剤は、少なくとも砒素を む重金属汚染水の処理に好ましく使用でき 。その処理法は、上記の粉末状又はスラリ 状の砒素吸着剤を、固形分として、汚染水 対して、500~5000mg/Lを添加することを特徴と る。

 砒素を含む重金属汚染水は、例えば砒素 汚染された井戸水などが挙げられるが、格 限定されない。砒素を含む重金属としては As(III)、As(V)、Se(VI)、Cr(VI)などが挙げられる 汚染水の処理は、反応槽内で処理したり、 るいは汚染水に直接添加して処理したりす ことができる。

 重金属汚染水の処理に際しては、本発明 砒素吸着剤とともにドロマイト(Dolomaite)を 用すると、重金属の除去率が飛躍的に高く るので、好ましい。

 また砒素を含む重金属汚染水は、砒素吸 剤を用いた透過壁の使用によって処理する ともできる。例えば、本発明の粉末状の砒 吸着剤をフィルターに担持し、該フィルタ を水平方向に流れる砒素汚染水脈に対して 過壁として使用し、処理することができる この透過壁を砒素汚染水が通ると、本発明 砒素吸着剤中の鉄・アルミニウム複水酸化 によりAs(III)及びAs(V)が高吸着されて不溶化 れ、浄化された水が下流に流れる。

 透過壁の配合資材としては、珪砂、砂、 オライト等が挙げられる。配合資材及びそ 添加量によって、透水性、砒素吸着量、強 、その他重金属吸着特性を変化させること でき、これらは設計段階で決める透過壁の 命等によって適宜決められる。

 透過壁の設置場所として、井戸の周りの 脈等が挙げられる。

 必要に応じて砒素吸着剤の粉末をさらに 細化して表面積を大きくし、より高い反応 を得ることも可能である。

 該透過壁は砒素汚染水が高酸性又は高ア カリ性であってもpHに依存することなくAs(II I)及びAs(V)の両方のイオンに対して高い吸着 能を示すため、多様な環境の砒素汚染水に して用いることができる。多様な環境とは 透過壁を浸漬させた水のpHが時間的経過に伴 い大小の変化が起こる場合も含む。

 また、汚染水の広範囲のpHでの砒素吸着 用は本剤のみで行うため環境に負荷をかけ ことなく砒素を不溶化することができる。

 以下、本発明を実施例に基づき説明する 、本発明はかかる実施例によって限定され い。

<実施例1>
 1.粉末状の砒素吸着剤の製造
 0.5M塩化第二鉄溶液及び0.5M塩化アルミニウ 溶液を当量混合し、次いで、この混合液を 拌子で10分間攪拌した。その後、10Nの水酸化 ナトリウム溶液を瞬時に添加し、スラリーの pHを6程度にする。その後、スラリーを真空濾 過し脱水する。得られた脱水ケーキを80℃、2 4時間乾燥させ固形物を得る。得られた固形 をメノー乳鉢で破砕し粉末状にする。その 、粉末状の固形物をパルプ濃度5%で水洗後、 デカンテーションし80℃、24時間乾燥させ、 素吸着剤を得た。

 2.高砒素吸着できるpH範囲
 上記1.で得られた粉末状の砒素吸着剤を用 、三酸化二砒素およびヒ酸水素ナトリウム 薬に対して、それぞれ20mg-As/dm 3 になるように模擬汚染水を作成した。それぞ れ、pH3~11に調整し、回分式吸着試験をおこな った。結果を図5に示す。

 図5より、広い範囲のpHで高い吸着能力が められた。又、中性付近ではAs(III)およびAs( V)がほぼ同じ量だけ吸着される。

 3.平衡吸着実験
 上記2.で用いた模擬水を、それぞれpH7に調 し、上記1.の吸着剤の量を変化させ、吸着後 の砒素濃度を測定し、回分式実験を行った。 結果を図6に示す。

 吸着量と平衡濃度の関係を両対数でプロ トした。吸着等温線はラングミュア型を示 た。

 また、ラングミュアの吸着等温線に従うと 定した場合の近似式を併記した。
  亜ヒ酸イオン:q=7.73×ln(C)+22.81
  ヒ酸イオン :q=5.15×ln(C)+35.32
   q: 平衡吸着量 (mg/g)
   C: 平衡濃度 (mg/l)

 上式より、As(III)、As(V)の除去に対しての はほとんどなく、濃度依存性は小さく、低 度から高濃度までの広範囲にわたり、多量 砒素を除去できることが示された。

<実施例2>
(不溶化実験)
 砒素汚染土譲に実施例1で作成された砒素吸 着剤を添加し、不溶化効果の確認を行った。

 汚染土壌に対して吸着剤を0.1~1.0wt%添加し 、混練した。その後、溶出試験(環告18号)を った。結果を表1及び図7に示す。

[規則26に基づく差替え 27.05.2008]

 図7より、吸着剤添加により汚染土壌を環境 基準値(0.01mg/dm 3 )以下まで不溶化が可能であった。

<実施例3> 
(砒素を含む重金属汚染水の処理実験)
 1.粉末吸着剤を用いた砒素を含む重金属汚 水の処理実験
 砒素を含む重金属濃度が、下記表2記載の所 定の濃度になるように標準液を用いて模擬汚 染水(原水)を調整した。得られた原水100mLを25 0mLのポリ容器に入れ、その後、砒素吸着剤を 0.1g添加し、24時間振とう後、静置した。その 上澄みを5Aの濾紙を用いて濾過し、懸濁物質 取り除いた。得られた濾液を分析試料(処理 水)とし、各種重金属の濃度を測定した。そ 結果を表2に示す。

 2.粉末吸着剤及びドロマイト(Dolomaite)を併用 した重金属汚染水の処理実験
 砒素を含む重金属濃度が、下記表3記載の所 定の濃度になるように標準液を用いて模擬汚 染水(原水)を調整した。得られた原水100mLを25 0mLのポリ容器に入れ、その後、砒素吸着剤及 びドロマイトを合わせて0.1g添加し、24時間振 とう後、静置した。その上澄みを5Aの濾紙を いて濾過し、懸濁物質を取り除いた。得ら た濾液を分析試料(処理水)とし、各種重金 の濃度を測定した。その結果を表3に示す。

 表2及び表3より、粉末吸着剤添加により As(III)、As(V)の除去に対して、高い除去率(%) 有することが分かった。

 さらに、As(III)、As(V)だけでなく、Se(VI)、C r(VI)に対しても高い除去率を示すことが分か た。

 また、粉末吸着剤及びドロマイトを併用 ると、As(III)、As(V)、Pbの除去率が上がるこ が分かった。

[規則26に基づく差替え 27.05.2008]

[規則26に基づく差替え 27.05.2008]