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Patent Searching and Data


Title:
ARTIFICIAL GRAPHITE FOR NEGATIVE ELECTRODE OF LITHIUM ION SECONDARY BATTERY, AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044789
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an artificial graphite for a negative electrode of a lithium ion secondary battery, which is characterized by having a crystallite size (Lc) in the c-axis direction of 60 to 120 nm as measured by X-ray diffraction and also having a crystallite size (Lc) of 150 nm or greater after being graphitized at a temperature of 3000°C in an inert gas atmosphere.

Inventors:
SAKAMOTO AKIO (JP)
TAKESHITA KIWAMU (JP)
FUJII MASAKI (JP)
TANO TAMOTSU (JP)
OYAMA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067884
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
SAKAMOTO AKIO (JP)
TAKESHITA KIWAMU (JP)
FUJII MASAKI (JP)
TANO TAMOTSU (JP)
OYAMA TAKASHI (JP)
International Classes:
C01B31/04; H01M4/587
Foreign References:
JP2003297357A2003-10-17
JP2000313609A2000-11-14
JP2000012034A2000-01-14
JP2000048811A2000-02-18
JP2003077473A2003-03-14
JPH0356519B21991-08-28
JPH0424831B21992-04-28
Other References:
See also references of EP 2211403A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chome,Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 X線回折によって求められるc軸方向の結晶子サイズLcが60~120nmであり且つ不活性ガス雰囲気下、3000℃の温度での黒鉛化処理が施されると結晶子サイズLcが150nm以上となることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛。
 X線回折によって求められるa軸方向の結晶子サイズLaが100~250nmであり且つ前記黒鉛化処理が施されると結晶子サイズLaが300nm以上となることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛。
 X線回折によって求められる平均層間距離d 002 が0.3365~0.3375nmであり且つ前記黒鉛化処理が施されると平均層間距離d 002 が0.3361nm以下となることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛。
 石油精製過程で生じる減圧残渣油、FCC重質油及び脱硫重質油から選ばれる少なくとも2種の原料油を混合してなる原料油組成物をコーキング処理した後、1200~1500℃の温度でか焼し、更に2150~2750℃で熱処理して製造されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛。
 石油精製過程で生じる減圧残渣油、FCC重質油及び脱硫重質油から選ばれる少なくとも2種の原料油を混合してなる原料油組成物をコーキング処理する第1工程と、
 前記第1工程で得られた処理物を1200~1500℃の温度でか焼する第2工程と、
 前記第2工程で得られた処理物を2150~2750℃の温度で熱処理する第3工程と、
を備え、
 前記第3工程で得られた人造黒鉛は、X線回折によって求められるc軸方向の結晶子サイズLcが60~120nmであり且つ不活性ガス雰囲気下、3000℃の温度で黒鉛化処理が施されると結晶子サイズLcが150nm以上となることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛の製造方法。
Description:
リチウムイオン二次電池負極用 造黒鉛及びその製造方法

 本発明は、リチウムイオン二次電池負極 人造黒鉛及びその製造方法に関する。

 リチウムイオン二次電池は、従来の二次 池であるニッケルカドミウム電池、ニッケ 水素電池、鉛蓄電池に比較してエネルギー 度が高いことから、ハイブリッド車、電気 動車への応用が期待されている。二次電池 性能を高めるべく、電極を構成する活物質 して用いられる炭素材料についてこれまで 種々の検討がされている(例えば、特許文献 1,2を参照)。

 リチウムイオン二次電池の負極材料として 用される炭素材料は、一般に黒鉛系と非晶 系に大別される。黒鉛系炭素材料は、非晶 系炭素材料と比較し、単位体積あたりのエ ルギー密度が高いという利点がある。従っ 、コンパクトでありながら大きい充電放電 量が要求される携帯電話やノート型パソコ 用のリチウムイオン二次電池においては、 極材料として黒鉛系炭素材料が一般に用い れている。黒鉛は炭素原子の六角網面が規 正しく積層した構造を有しており、充放電 際には六角網面のエッジ部でリチウムイオ の挿入離脱反応が進行する。

特許第3056519号公報

特公平4-24831号公報

 しかしながら、リチウムイオン二次電池 負極材料として黒鉛系炭素材料を使用した 合、上述のように単位体積あたりのエネル ー密度を高くできるもののハイブリッド車 どの自動車分野に適用するには充電放電速 の点で改善の余地があった。これは、黒鉛 結晶性が高いため、結晶内部への溶媒和リ ウムイオンの拡散が十分効率的に行われな ことが主因と考えられる。

 本発明は、このような実情に鑑みてなさ たものであり、リチウムイオン二次電池の いエネルギー密度及び高い充電放電速度の 方を高水準に達成するのに有用なリチウム オン二次電池負極用人造黒鉛及びその製造 法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、種々の人造黒鉛をX線広角 回折法によって測定すると共に、リチウムイ オン二次電池の負極材料としての適性につい て比較検討した結果、特定の構造を有する人 造黒鉛をリチウムイオン二次電池の負極材料 として用いると、上述のような黒鉛系炭素材 料の欠点が克服され、充電放電速度、特に充 電速度が向上することを見出し、本発明を完 成させた。

 すなわち、本発明に係るリチウムイオン 次電池負極用人造黒鉛は、X線回折によって 求められるc軸方向の結晶子サイズLcが60~120nm あり且つ不活性ガス雰囲気下、3000℃の温度 での黒鉛化処理が施されると結晶子サイズLc 150nm以上となることを特徴とする。

 本発明の人造黒鉛によれば、これを負極 料として使用することにより、リチウムイ ン二次電池の高い充電放電速度及び単位体 あたりの高いエネルギー密度の両方を高水 に達成することができる。

 リチウムイオン二次電池の高い充電放電 度及び単位体積あたりの高いエネルギー密 の両方をより一層高水準に達成する観点か 、本発明に係る人造黒鉛は以下の構成を具 することが好ましい。

 すなわち、本発明の人造黒鉛においては X線回折によって求められるa軸方向の結晶 サイズLaが100~250nmであり且つ不活性ガス雰囲 気下、3000℃の温度での黒鉛化処理が施され と結晶子サイズLaが300nm以上となることが好 しい。

 また、本発明の人造黒鉛においては、X線回 折によって求められる平均層間距離d 002 が0.3365~0.3375nmであり且つ不活性ガス雰囲気下 、3000℃の温度での黒鉛化処理が施されると 均層間距離d 002 が0.3361nm以下となることが好ましい。

 本発明に係るリチウムイオン二次電池負 用人造黒鉛の製造方法は、石油精製過程で じる減圧残渣油、FCC重質油及び脱硫重質油 ら選ばれる少なくとも2種の原料油を混合し てなる原料油組成物をコーキング処理する第 1工程と、第1工程で得られた処理物を1200~1500 の温度でか焼する第2工程と、第2工程で得 れた処理物を2150~2750℃の温度で熱処理する 3工程とを備え、第3工程で得られた人造黒鉛 はX線回折によって求められるc軸方向の結晶 サイズLcが60~120nmであり且つ不活性ガス雰囲 気下、3000℃の温度で黒鉛化処理が施される 結晶子サイズLcが150nm以上となることを特徴 する。

 本発明の方法によれば、リチウムイオン 次電池の高い充電放電速度及び単位体積あ りの高いエネルギー密度の両方を高水準に 成可能な人造黒鉛を工業的に再現性よく製 することができる。

 本発明によれば、リチウムイオン二次電 の高いエネルギー密度及び高い充電放電速 の両方を高水準に達成するのに有用なリチ ムイオン二次電池負極用人造黒鉛及びその 造方法を提供することができる。

 本発明に係る人造黒鉛をリチウムイオン 次電池の負極に用いることにより、充電速 が速く、かつ単位体積当たりのエネルギー 度の大きいリチウムイオン二次電池を得る とができる。かかるリチウムイオン二次電 は、携帯電話、ノート型パソコンのみなら 、ハイブリッド自動車、プラグインハイブ ッド自動車、電気自動車やパワーツールな 高速充放電が必要とされる用途に好適であ 。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

<リチウムイオン二次電池負極用人造黒鉛&g t;
 本実施形態に係る人造黒鉛は、X線回折によ って求められるc軸方向の結晶子サイズLcが60~ 120nmであり且つ不活性ガス雰囲気下、3000℃の 温度での黒鉛化処理が施されると結晶子サイ ズLcが150nm以上となる。この人造黒鉛はリチ ムイオン二次電池用の負極材料として優れ 性能を発揮する。なお、上記黒鉛化処理は 95体積%以上の窒素ガス雰囲気下、3000℃での 処理を1時間以上行うものをいう。

 人造黒鉛の結晶子サイズLcが60nm未満であ と、リチウムイオン二次電池の単位体積あ りのエネルギー密度が不十分となる。他方 結晶子サイズLcが120nmを超えると、充電速度 が不十分となる。また、黒鉛処理後の結晶子 サイズLcが150nm未満であると、単位体積あた のエネルギー密度が不十分となると共に、 電速度が不十分となる。

 人造黒鉛は、下記の条件を更に満たすも であることが好ましい。

 人造黒鉛は、上述の通り、結晶子サイズL cが60~120nmであるが、当該結晶子サイズLcの下 値は、70nmであることがより好ましく、80nm あることが更に好ましい。他方、人造黒鉛 結晶子サイズLcの上限値は、110nmであること より好ましく、100nmであることが更に好ま い。また、人造黒鉛は、黒鉛化処理後の結 子サイズLcが160nm以上であることが好ましい

 人造黒鉛は、X線広角回折法によって求め られるa軸方向の結晶子サイズLaの下限値が100 nmであることが好ましく、125nmであることが り好ましい。結晶子サイズLaが100nm未満であ と、リチウムイオン二次電池の単位体積あ りのエネルギー密度が不十分となりやすい 他方、当該結晶子サイズLaの上限値は250nmで あることが好ましく、200nmであることがより ましい。結晶子サイズLaが250nmを超えると、 リチウムイオン二次電池の充電速度が不十分 となりやすい。

 人造黒鉛は、黒鉛化処理後の結晶子サイ Laが300nm以上であることが好ましく、400nm以 であることがより好ましく、500nm以上であ ことが更に好ましい。黒鉛化処理後の結晶 サイズLaが300nm未満であると、リチウムイオ 二次電池の単位体積あたりのエネルギー密 及び充電速度が不十分となりやすい。

 人造黒鉛は、X線広角回折法によって求めら れる平均層間距離d 002 が0.3365~0.3375nmであることが好ましく、0.3367~0. 3372nmであることがより好ましい。人造黒鉛の 平均層間距離d 002 が0.3365nm未満であると、リチウムイオン二次 池の単位体積あたりのエネルギー密度が不 分となりやすい。他方、平均層間距離d 002 が0.3375nmを越えると、リチウムイオン二次電 の充電速度が不十分となりやすい。

 人造黒鉛は、X線広角回折法によって求めら れる黒鉛化処理後の平均層間距離d 002 が0.3361nm以下であることが好ましく、0.3359nm 下であることがより好ましい。黒鉛化処理 の平均層間距離d 002 が0.3361nmを超えると、リチウムイオン二次電 の単位体積あたりのエネルギー密度及び充 速度が不十分となりやすい。

 なお、本実施形態においては、人造黒鉛及 その黒鉛化処理後の層間距離d 002 (格子定数)及び結晶子サイズLc,Laは、日本学 振興会第117委員会において制定された「人 黒鉛の格子定数および結晶子の大きさ測定 」に従いX線回折法によって求められた値を 味し、以下のようにして求めたものである

 すなわち、試料粉末を試料ホルダーに充填 、グラファイトモノクロメーターにより単 化したCuKα線を線源としX線回折図形を得る この回折図形のピーク位置は重心法(回折線 の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピ ークの位置を求める方法)により求め、標準 質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピー クを用いて補正する。そして、CuKα線の波長 0.15418nmとし、下記式(1)で表されるBraggの公 により微結晶炭素の層間距離d 002 を計算する。
   d 002 =λ/(2sinθ)   (1)

 そして、試料中の黒鉛構造の形成の有無は 例えば、試料の粉末X線回折パターンにおい て2θが約25°付近に明白なピークを持つこと より確認することができる。すなわち、黒 はいわゆるベンゼン環状の平面網目構造を する層を複数積層した構造を有しており、 末X線回折による測定において、C 002 に基づく回折ピークが層間距離d 002 =0.335nmに鋭く尖鋭なピーク(2θが約25°付近)と て観測される。また、回折線図形からその 価幅(β)を測定し結晶子の大きさを下記の式 (2)で求める。
   Lc 002 =91/β       (2)

 本実施形態に係る人造黒鉛を黒鉛化処理 て得られたものは、X線回折パターンを比較 すると、構造が極めて黒鉛に近い。

<製造方法>
 次に、リチウムイオン二次電池負極用人造 鉛の製造方法について詳細に説明する。上 の条件を満足する人造黒鉛が得られればそ 製造方法は、特に限定されないが、本実施 態に係る人造黒鉛の製造方法は、得られる 造黒鉛のX線回折によって求められるc軸方 の結晶子サイズLcが60~120nmであり且つ不活性 ス雰囲気下、3000℃の温度で黒鉛化処理が施 されると結晶子サイズLcが150nm以上となるよ に、原料油組成物を調製すると共に、以下 各処理を行う。

 すなわち、本実施形態に係る人造黒鉛の 造方法は、石油精製過程で生じる減圧残渣 、FCC重質油及び脱硫重質油から選ばれる少 くとも2種の原料油を混合してなる原料油組 成物をコーキング処理(乾留処理)する第1工程 と、第1工程で得られた処理物を1200~1500℃の 度でか焼する第2工程と、第2工程で得られた 処理物を2150~2750℃の温度で熱処理して人造黒 鉛を得る第3工程とを備える。

 なお、上記の工程を経て得られた人造黒鉛 、結晶子サイズLc,La及び平均層間距離d 002 に係る好適な条件を満たさないものであった 場合には、原料油組成物の種類や配合比率、 コーキング処理条件、か焼条件又は黒鉛化条 件を適宜変更すればよい。

(原料油組成物)
 減圧残渣油は、所定の原料油を減圧蒸留し ときに残渣油として得られる初留点300℃以 、アスファルテン分12質量%以下、飽和分50 量%以上、且つ硫黄分0.3質量%以下の重質油で あることが好ましい。この原料油としては、 例えば、原油、原油の蒸留により得られる減 圧蒸留残油、及びこれらの混合油等が挙げら れる。これらの原料油を減圧蒸留するときの 処理条件は、得られる減圧残渣油の沸点、ア スファルテン分、飽和分及び硫黄分がそれぞ れ上記条件を満たす限りにおいて特に制限さ れないが、圧力はマイナス30kPa以下が好まし 、温度は400℃以上が好ましい。

 FCC重質油は、所定の原料油を流動接触分解 て得られる初留点150℃以上、硫黄分0.5質量% 以下の重質油であることが好ましい。ここで 、「流動接触分解」とは、固体酸触媒などを 用いて高沸点留分を分解する処理を意味する 。かかる処理に用いられる流動接触分解装置 はFCC(Fluidized Catalytic Cracking)装置とも呼ばれ 。FCC重質油の原料油としては、流動接触分 により沸点、硫黄分が上記条件を満たす重 油を得ることが可能なものであれば特に制 されないが、15℃における密度が0.8g/cm 3 以上である炭化水素油が好ましい。このよう な原料油としては、常圧蒸留残油、減圧蒸留 残油、シェールオイル、タールサンドビチュ ーメン、オリノコタール、石炭液化油、及び これらを水素化精製した重質油等が挙げられ る。上記以外に、直留軽油、減圧軽油、脱硫 軽油、脱硫減圧軽油等の比較的軽質な油をさ らに含有していてもよい。なお、本実施形態 においては、常圧蒸留残油、及び減圧蒸留残 油が特に好ましく用いられる。

 流動接触分解の条件は、沸点及び硫黄分 上記条件を満たす重質油が得られるならば に制限はされないが、例えば、反応温度480~ 550℃、全圧0.1~0.3MPa、触媒/油比1~20wt/wt、接触 間1~10秒とすることが好ましい。また、流動 接触分解に用いられる触媒としては、例えば シリカ・アルミナ触媒、ゼオライト触媒、あ るいはこれらの触媒に白金などの金属を担持 したものなどが挙げられる。これらの触媒は 市販品を用いてもよい。

 脱硫重質油は、硫黄分2質量%以上の重質 を、全圧16MPa以上の条件下、水素化分解率が 30%以下となるように水素化脱硫して得られる 初留点200℃以上の重質油であることが好まし い。脱硫重質油の原料油として用いられる重 質油は、例えば、原油、原油の蒸留により得 られる常圧蒸留残油又は減圧蒸留残油、ビス ブレーキング油、タールサンド油、シェール オイル、及びこれらの混合油等が挙げられる 。これらの中でも、常圧蒸留残油及び減圧蒸 留残油が好ましく用いられる。

 また、脱硫重質油を得るための水素化脱 は、全圧16MPa以上、好ましくは17MPa以上、よ り好ましくは18MPa以上の条件で行われる。な 、全圧が16MPa未満であると、水素化脱硫に る重質油の分解が過剰に進行し、原料炭(石 コークス)の原料油として有効な重質油を得 ることができない。

 また、水素化脱硫における全圧以外の条件 、水素化分解率が30%以下であれば特に制限 れないが、各種条件を以下のように設定す ことが好ましい。すなわち、水素化脱硫の 度は、好ましくは300~500℃、より好ましくは 350~450℃であり;水素/油比は、好ましくは400~30 00NL/L、より好ましくは500~1800NL/Lであり;水素 圧は、好ましくは7~20MPa、より好ましくは8~17 MPaであり;液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1~3 h -1 、より好ましくは0.15~1.0h -1 、更に好ましくは0.15~0.75h -1 である。

 また、水素化脱硫に用いられる触媒(水素 化脱硫触媒)としては、Ni-Mo触媒、Co-Mo触媒、 るいは両者を組合せた触媒などが挙げられ これらは市販品を用いてもよい。

 上記の水素化脱硫により得られる水素化 硫油のうち、初留点が200℃以上、好ましく 250℃以上の重質油が脱硫重質油として用い れる。

 本実施形態に係る人造黒鉛を製造する方 としては、減圧残渣油、FCC重質油及び脱硫 質油から選択される原料油を2種以上ブレン ドして原料油組成物を調製し、該原料油組成 物をコーキング処理して石油生コークスとし 、該石油生コークスをか焼した後、更に人造 黒鉛化して人造黒鉛を得る方法が好ましい。

 減圧残渣油、FCC重質油、脱硫重質油のブ ンド割合は、目的とする人造黒鉛が得られ ば特に限定されず、2種類の組み合わせ、又 は、3種類の組み合わせとすることができる 例えば、FCC重質油と脱硫重質油の組み合わ の場合は、脱硫重質油の含有割合が、好ま くは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上 、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ま しくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以 下、さらに好ましくは85質量%以下となるよう にブレンドする。

 FCC重質油と脱硫重質油と減圧残渣油の組 合わせの場合は、減圧残渣油の含有割合が 好ましくは10質量%以上、より好ましくは20 量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であ 、好ましくは70質量%以下、より好ましくは6 0質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下と るようにブレンドする。このとき、FCC重質 及び脱硫重質油は、各々10質量%以上になる うにブレンドする。上記ブレンド組成物中 、少なくとも、脱硫重質油を含有させるこ が、好ましい。

 上記ブレンド物をコーキング処理して石 生コークスとする方法としては、ディレー コーキング法が好ましい。より具体的には 上記ブレンド組成物をディレードコーカー 入れ、加圧下にコーキング処理を行う。デ レードコーカーの圧力及び温度はそれぞれ3 00~800kPa、400~600℃とすることが好ましい。

 上記石油生コークスを、ロータリーキル 、シャフト炉等を用いて1200~1500℃、好まし は1350~1450℃でか焼し、石油コークス(か焼物 )を得る。得られた石油コークス(か焼物)をさ らに2150~2750℃、好ましくは2300~2600℃で熱処理 することによって、本実施形態に係る人造黒 鉛を得ることができる。2750℃を超える熱処 温度で得られた人造黒鉛を負極材料に用い とリチウムイオン二次電池の充電速度が不 分となり、他方、2150℃未満の熱処理温度で られた人造黒鉛を負極材料に用いるとリチ ムイオン二次電池の単位体積あたりのエネ ギー密度が不十分となる。

<リチウムイオン二次電池>
 次に、本発明のリチウムイオン二次電池負 用人造黒鉛を用いたリチウム二次電池につ て説明する。

 リチウムイオン二次電池用負極の製造方 としては特に限定されず、例えば、本実施 態に係る人造黒鉛、バインダー、必要に応 て導電助剤、有機溶媒を含む混合物を加圧 形して得られる。また他の方法としては、 造黒鉛、バインダー、導電助剤等を有機溶 中でスラリー化し、該スラリーを集電体上 塗布したのち、乾燥して得られる。

 上記バインダーとしては、ポリフッ化ビ リデン、ポリテトラフルオロエチレン、SBR( スチレンーブタジエンラバー)等を挙げるこ ができる。バインダーの使用量は、人造黒 100質量部に対して1~30質量部が適当であるが 3~20質量部程度が好ましい。

 上記導電助剤としては、カーボンブラッ 、グラファイト、アセチレンブラック、又 導電性を示すインジウム-錫酸化物、又は、 ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニ レンビニレン等の導電性高分子を挙げること ができる。導電助剤の使用量は、人造黒鉛100 質量部に対して1~15質量部が好ましい。

 上記有機溶媒としては、ジメチルホルム ミド、N-メチルピロリドン、イソプロパノ ル、トルエン等を挙げることができる。

 人造黒鉛、バインダー、必要に応じて導電 剤、有機溶媒を混合する方法としては、ス リュー型ニーダー、リボンミキサー、万能 キサー、プラネタリーミキサー等の公知の 置を用いることができる。該混合物は、ロ ル加圧、プレス加圧することにより成形さ るが、このときの圧力は1~3t/cm 2 程度が好ましい。

 リチウムイオン二次電池用負極の他の製 法としては、人造黒鉛、バインダー、導電 剤等を有機溶媒中でスラリー化し、該スラ ーを集電体上に塗布したのち、乾燥する方 が挙げられる。

 上記集電体の材質及び形状については、 に限定されず、例えば、アルミニウム、銅 ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔 、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状の のを用いればよい。また、多孔性材料、た えばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボ ペーパーなども使用可能である。

 上記負極材スラリーを集電体に塗布する 法としては、特に限定されないが、例えば メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディッ コート法、スプレーコート法、ロールコー 法、ドクターブレード法、グラビアコート 、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げ れる。塗布後は、必要に応じて平板プレス カレンダーロール等による圧延処理を行う また、シート状、ペレット状等の形状に成 された負極材スラリーと集電体との一体化 、例えば、ロール、プレス、もしくはこれ の組み合わせ等、公知の方法により行うこ ができる。

 本実施形態に係るリチウムイオン二次電 負極用人造黒鉛を用いたリチウムイオン二 電池は、例えば、上記のようにして製造し リチウムイオン二次電池用負極と正極とを パレータを介して対向して配置し、電解液 注入することにより得ることができる。

 正極に用いる活物質としては、特に制限は く、例えば、リチウムイオンをドーピング はインターカレーション可能な金属化合物 金属酸化物、金属硫化物、又は導電性高分 材料を用いればよく、例えば、コバルト酸 チウム(LiCoO 2 )、ニッケル酸リチウム(LiNiO 2 )、マンガン酸リチウム(LiMnO 2 )、及びこれらの複酸化物(LiCo X Ni Y Mn Z O 2 、X+Y+Z=1)、リチウムマンガンスピネル(LiMn 2 O 4 )、リチウムバナジウム化合物、V 2 O 5 、V 6 O 13 、VO 2 、MnO 2 、TiO 2 、MoV 2 O 8 、TiS 2 、V 2 S 5 、VS 2 、MoS 2 、MoS 3 、Cr 3 O 8 、Cr 2 O 5 、オリビン型LiMPO 4 (M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニ リン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ アセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等及 びこれらの混合物を挙げることができる。

 セパレータとしては、例えば、ポリエチ ン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを 成分とした不織布、クロス、微孔フィルム はそれらを組み合わせたものを使用するこ ができる。なお、作製するリチウムイオン 次電池の正極と負極が直接接触しない構造 した場合は、セパレータを使用する必要は い。

 リチウム二次電池に使用する電解液及び 解質としては公知の有機電解液、無機固体 解質、高分子固体電解質が使用できる。好 しくは、電気伝導性の観点から有機電解液 好ましい。

 有機電解液としては、ジブチルエーテル エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、エ レングリコールモノブチルエーテル、ジエ レングリコールモノメチルエーテル、エチ ングリコールフェニルエーテル等のエーテ ;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルム アミド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチル ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジ メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド N,N-ジエチルアセトアミド等のアミド;ジメ ルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化 物;メチルエチルケトン、メチルイソブチル トン等のジアルキルケトン;テトラヒドロフ ラン、2-メトキシテトラヒドロフラン等の環 エーテル;エチレンカーボネート、ブチレン カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメ チルカーボネート、メチルエチルカーボネー ト、プロピレンカーボネート、ビニレンカー ボネート等のカーボネート;γ-ブチロラクト ;N-メチルピロリドン;アセトニトリル、ニト メタン等の有機溶媒を挙げることができる なかでも、エチレンカーボネート、ブチレ カーボネート、ジエチルカーボネート、ジ チルカーボネート、メチルエチルカーボネ ト、プロピレンカーボネート、ビニレンカ ボネート、γ-ブチロラクトン、ジエトキシ タン、ジメチルスルホキシド、アセトニト ル、テトラヒドロフラン等を好ましい例と て挙げることができ、特に好ましい例とし 、エチレンカーボネート、プロピレンカー ネート等のカーボネート系非水溶媒を挙げ ことができる。これらの溶媒は、単独で又 2種以上を混合して使用することができる。

 これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウ 塩が使用される。一般的に知られているリ ウム塩にはLiClO 4 、LiBF 4 、LiPF 6 、LiAlCl 4 、LiSbF 6 、LiSCN、LiCl、LiCF 3 SO 3 、LiCF 3 CO 2 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 等がある。

 高分子固体電解質としては、ポリエチレ オキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合 、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該 導体を含む重合体、リン酸エステル重合体 ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含 重合体等が挙げられる。

 なお、上記以外の電池構成上必要な部材 選択についてはなんら制約を受けるもので ない。

 本実施形態に係る人造黒鉛を負極材料に いたリチウムイオン二次電池の構造は、特 限定されないが、通常、正極及び負極と、 要に応じて設けられるセパレータとを、扁 渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、 れらを平板状として積層して積層式極板群 し、これら極板群を外装体中に封入した構 とするのが一般的である。リチウムイオン 次電池は、例えば、ぺーパー型電池、ボタ 型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒 電池などとして使用される。

 本実施形態に係るリチウムイオン二次電 負極用人造黒鉛を用いたリチウムイオン二 電池は、従来の炭素材料を用いたリチウム オン二次電池と比較して、急速充放電特性 優れ、自動車用、すなわち、ハイブリッド 動車用、プラグインハイブリッド自動車用 電気自動車用に使用することができる。

 以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に 明するが、本発明はこの実施例に限定され ものではない。

〔実施例1〕
(1)負極炭素材料の作製
 硫黄分3.0質量%の常圧蒸留残油を、Ni-Mo触媒 存在下、水素化脱硫し、水素化脱硫油を得 。一方、脱硫減圧軽油(硫黄分500質量ppm、15 における密度0.88g/cm 3 )を流動接触分解し、流動接触分解残油を得 。上記水素化脱硫油と流動接触分解残油を1: 3(重量比)で混合し、その混合物をディレード コーカー装置に導入し、不活性ガス下、550℃ で処理し、石油生コークスを得た。次いで、 該生コークスをロータリーキルンに導入し、 1400℃でか焼し、ニードルコークスを得た。 られたニードルコークスを粉砕し、平均粒 径25μmのコークス微粒子を得た。得られたニ ードルコークス微粒子を2400℃で黒鉛化し、 定の黒鉛構造を有する人造黒鉛微粒子(人造 鉛A)を得た。そして、不活性ガス雰囲気下 3000℃の温度で人造黒鉛Aの黒鉛化処理を更に 行った。

 表1に人造黒鉛A及び3000℃における黒鉛化処 後の人造黒鉛A(3000℃処理品)の特性を示す。 なお、層間距離(d 002 )、結晶子の大きさ(La、Lc)は日本学術振興会 117委員会において制定された「人造黒鉛の 子定数および結晶子の大きさ測定法」に従 X線回折法により測定した。

(2)負極材料の充放電評価
(a)負極の作製
 活物質として人造黒鉛A、導電材としてアセ チレンブラック(AB)、バインダーとしてポリ ッ化ビニリデン(PVDF)を80:2:5(重量比)の割合で N-メチル-2-ピロリドン中で混合し、スラリー 作製した。該スラリーを銅箔上に塗布し、 ットプレートで10分間乾燥したのち、ロー プレスでプレス成形した。
(b)評価用電池の作製
 負極として上記の組成物(30×50mm)、正極とし てニッケル酸リチウム(30×50mm)、電解液とし エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカー ボネート(MEC)混合液(EC/MEC質量比:3/7、溶質:LiPF 6 (1M体積モル濃度))、及びセパレータとしてポ エチレン微孔膜を用いた。
(c)充電レート特性の評価
 定電流で充電を行い、一定電圧(4.2V)になっ から定電圧充電に切り替えるという方法で 電流密度を変えて(1C、3C、5C、10C、20C)充電 ートを評価した。結果を表2に示した。

(d)放電レート特性の評価
 0.2Cで充電を行い、一定電圧になってから定 電圧充電に切り替え、8時間充電したのち、 流密度を変えて(1C、2C、3C、5C、10C、20C)放電 、放電レートを評価した。結果を表3に示し た。

 表2,3に示す通り、人造黒鉛Aをリチウムイ オン二次電池の負極材料に用い、電解液溶媒 としてエチレンカーボネート/メチルエチル ーボネート系を用いた場合、充放電レート 高いとき(10C)でも、充放電容量、及び利用率 が比較的高く維持されていた。

〔比較例1〕
 ニードルコークス微粒子の黒鉛化温度を2400 ℃とする代わりに2800℃としたことの他は、 施例1と同様にして所定の黒鉛構造を有する 造黒鉛微粒子(人造黒鉛B)を得た。そして、 活性ガス雰囲気下、3000℃の温度で人造黒鉛 Bの黒鉛化処理を更に行った。表3に人造黒鉛B 及び3000℃における黒鉛化処理後の人造黒鉛B( 3000℃処理品)の特性を示す。

 また、人造黒鉛Aの代わりに人造黒鉛Bを 極活物質として用いたことの他は実施例1と 様にして評価用電池を作製した。実施例1と 同様の操作で充電レート特性及び放電レート 特性を評価した結果を、表5、表6に示した。

 人造黒鉛Bをリチウムイオン二次電池の負極 材料に用いた場合、充放電レートが高いとき (10C)には実施例1と比較し、放電容量及び利用 率は若干の低下にとどまるものの、充電容量 及び利用率は大幅に低下した。

〔比較例2〕
 ニードルコークス微粒子の黒鉛化温度を2400 ℃とする代わりに2200℃としたことの他は、 施例1と同様にして所定の黒鉛構造を有する 造黒鉛微粒子(人造黒鉛C)を得た。そして、 活性ガス雰囲気下、3000℃の温度で人造黒鉛 Cの黒鉛化処理を更に行った。表7に人造黒鉛C 及び3000℃における黒鉛化処理後の人造黒鉛C( 3000℃処理品)の特性を示す。

 また、人造黒鉛Aの代わりに人造黒鉛Cを 極活物質として用いたことの他は実施例1と 様にして評価用電池を作製した。実施例1と 同様の操作で充電レート特性及び放電レート 特性を評価した結果を、表8、表9に示した。

 人造黒鉛Cをリチウムイオン二次電池の負極 材料に用いた場合、充放電レートが高いとき (10C)、放電時の利用率及び充電時の利用率は 施例1と同等であるが、容量の絶対値は低下 した。

〔比較例3〕
 脱硫減圧軽油(硫黄分500質量ppm、15℃におけ 密度0.88g/cm 3 )を流動接触分解し、流動接触分解残油を得 。流動接触分解残油をディレードコーカー 置に導入し、不活性ガス下、550℃で処理し 石油生コークスを得た。次いで、該生コー スをロータリーキルンに導入し、1400℃でか し、ニードルコークスを得た。

 上述の通り、単一の原料油からニードルコ クス微粒子を製造したこと以外は、実施例1 と同様、ニードルコークス微粒子を2400℃で 鉛化し、所定の黒鉛構造を有する人造黒鉛 粒子(人造黒鉛D)を得た。そして、不活性ガ 雰囲気下、3000℃の温度で人造黒鉛Dの黒鉛化 処理を更に行った。表10に人造黒鉛D及び3000 における黒鉛化処理後の人造黒鉛D(3000℃処 品)の特性を示す。

 また、人造黒鉛Aの代わりに人造黒鉛Dを 極活物質として用いたことの他は実施例1と 様にして評価用電池を作製した。実施例1と 同様の操作で充電レート特性及び放電レート 特性を評価した結果を、表11、表12に示した

 人造黒鉛Dをリチウムイオン二次電池の負極 材料に用いた場合、充放電レートが高いとき (10C)、放電時の利用率、及び充電時の利用率 実施例1と同等であるが、容量の絶対値は低 下した。

 本発明によれば、リチウムイオン二次電 の高いエネルギー密度及び高い充電放電速 の両方を高水準に達成するのに有用なリチ ムイオン二次電池負極用人造黒鉛及びその 造方法を提供することができる。