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Patent Searching and Data


Title:
AZO METAL CHELATE DYE AND OPTICAL RECORDING MEDIUM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145097
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dye which can be used for an optical recording medium which has both excellent high-speed recording characteristics and excellent reproduction durability. The dye is obtained by coordinating an azo compound represented by the formula to a metal ion. (In the formula, ring A represents a nitrogen-containing heterocyclic aromatic ring containing a carbon atom and a nitrogen atom; X represents C-R1R2, an oxygen atom, a sulfur atom or N-R3; R1, R2 and R3 independently represent a hydrogen atom, a linear or branched alkyl group, an aralkyl group, a cycloalkyl group, a linear or branched alkenyl group, an aryl group or an acyl group expressed as -COR4; R4 represents a hydrocarbon group or a heterocyclic group, which may be substituted; and benzene ring B represents an optionally substituted benzene ring, and adjacent substituents of the benzene ring B may combine with each other to form a ring.)

Inventors:
SHODA HISASHI (JP)
TAKESHITA KAN (JP)
UCHIDA NAOYUKI (JP)
MIYAZAWA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059294
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI KAGAKU MEDIA CO LTD (JP)
SHODA HISASHI (JP)
TAKESHITA KAN (JP)
UCHIDA NAOYUKI (JP)
MIYAZAWA TAKASHI (JP)
International Classes:
C09B45/14; B41M5/26; C07D417/12; C09B45/20; C09B45/22; G11B7/24035; G11B7/2467; C09B29/36
Foreign References:
JP2007313882A2007-12-06
JPS63202666A1988-08-22
US2186629A1940-01-09
JPH02287457A1990-11-27
JP2002002118A2002-01-08
JP2008105380A2008-05-08
JPH08156408A1996-06-18
JP2006175833A2006-07-06
JP2007026541A2007-02-01
JP2007045147A2007-02-22
JP2007313882A2007-12-06
JP2008143482A2008-06-26
Other References:
See also references of EP 2302003A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 下記式[I]で示されるアゾ化合物が金属イオンに配位してなることを特徴とする色素。
(式[1]中、
環Aは、炭素原子及び窒素原子を有して形成される含窒素複素芳香環を表す。
Xは、C-R 1 R 2 、酸素原子、硫黄原子、及びN-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表す。なお、R 1 、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよい直鎖又は分岐のアルケニル基、置換されていてもよいアリール基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基からなる群より選ばれるいずれかを表す。また、R 4 は置換されていてもよい炭化水素基又は複素環基を表す。
ベンゼン環Bは、置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。なお、ベンゼン環Bの置換基は、隣接する置換基同士で互いに結合して環を形成してもよい。)
 前記式[I]において、
 XがC-R 1 R 2 、酸素原子、及び、N-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表し、
 R 1 、R 2 及びR 3 がそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数7以上18以下のアラルキル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐のアルケニル基、炭素数6以上18以下のアリール基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基(ただし、R 4 が炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数7以上18以下のアラルキル基、及び炭素数6以上18以下のアリール基からなる群より選ばれるいずれかを表す)からなる群より選ばれるいずれかを表すことを特徴とする請求項1に記載の色素。
 前記式[I]において、XがN-R 3 を表し、
 R 3 が、炭素数1以上8以下の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数7以上12以下のアラルキル基、並びに、炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐のアルケニル基からなる群より選ばれるいずれかを表すことを特徴とする請求項2に記載の色素。
 前記式[I]において、環Aがイソキサゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイソキサゾール環、ベンズオキサゾール環及びベンズイミダゾール環からなる群より選ばれるいずれかを表すことを特徴とする請求項1に記載の色素。
 前記式[I]において、環Aがイソキサゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、チアゾール環及びベンズイソキサゾール環からなる群より選ばれるいずれかを表すことを特徴とする請求項4に記載の色素。
 前記金属イオンが、周期表の第3族~第12族元素から選ばれる少なくとも1種の金属のイオンであることを特徴とする請求項1に記載の色素。
 前記金属イオンが、ニッケル、コバルト、銅、鉄、亜鉛及びマンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属のイオンであることを特徴とする請求項6に記載の色素。
 前記式[I]において、環Aがトリアゾール環を示し、金属イオンがニッケルまたはコバルトであることを特徴とする請求項7に記載の色素。
 基板と、該基板上に設けられ、光が照射されることにより情報の記録又は再生が可能な記録層とを有し、
 該記録層が請求項1~8のいずれか一項に記載の色素を含有することを特徴とする光記録媒体。
 前記光が、波長が380nm以上430nm以下のレーザー光であることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体。
 請求項9に記載の光記録媒体に、波長380nm以上430nm以下のレーザー光で情報を記録することを特徴とする光記録方法。
Description:
アゾ金属キレート色素及び光記 媒体

 本発明は色素、この色素を含有する記録 を有する光記録媒体、及び、この光記録媒 への情報の記録方法に関する。

 近年、超高密度の記録が可能となる青色 ーザーの開発は急速に進んでおり、それに 応した追記型の光記録媒体の開発が行なわ ている。中でも、比較的安価のコストで効 的な生産が可能となる色素塗布型の追記型 体の開発が強く望まれている。

 本発明者等は、安定に成形できる比較的 い溝深さの基板を用いて、良好な記録再生 性を有する極めて高密度の色素塗布型の追 型光記録媒体を提案している(特許文献1参 )。即ち、案内溝が形成された基板と、基板 に少なくとも光反射機能を有する層と、未 録状態において記録再生光波長に対して光 収機能を有する色素を主成分として含有す 記録層と、前記記録層に対して記録再生光 入射するカバー層とをこの順に備え、前記 録再生光を集束して得られる記録再生光ビ ムが前記カバー層に入射する面から遠い側 案内溝部を記録溝部とするとき、前記記録 部に形成された記録ピット部の反射光強度 、主として位相変化により当該記録溝部に ける未記録時の反射光強度より増加するよ に構成された光記録媒体である。

 このような光記録媒体用の色素としては、 とえばβ-ジケトン構造のカップラー成分と 窒素複素芳香環構造のジアゾ成分とを有す アゾ化合物がある(特許文献2参照)。この種 化合物は青色レーザーの発光波長である405n m付近に大きな吸収をもち、また比較的優れ 耐光性を有する。このため、この種の化合 を用いた光記録媒体は青色レーザーを用い 高密度の光情報の記録及び再生が可能であ 。
 また、光記録媒体用の色素としては、特許 献3に記載のような色素も知られている。

特開2007-026541号公報

特開2007-45147号公報

特開2007-313882号公報

 しかしながら、特許文献2,特許文献3など 記載の化合物を色素として用いた場合、低 線速度での記録では良好な特性を与えるも の、線速度が高くなると記録特性が不十分 なることが多かった。また、高速で良い記 特性を示す場合であっても、再生耐久性が 十分であるという、高速記録特性と再生耐 性とのトレード・オフ現象も多く見られた

 光記録媒体では一般に、記録層に有機色 を用いた場合には、レーザー照射による記 マーク形成の際に「熱干渉」を呼ばれる現 が起こり、良好な記録状態の形成を阻害す 傾向がある。この現象は特に記録時の線速 が高くなると顕著であり、それが記録層に 機色素を使った光記録媒体の課題でもあっ 。

 本発明は、上記の課題に鑑みて創案され もので、高速記録特性と再生耐久性との両 に優れる光記録媒体と、それに使用できる 素と、その光記録媒体への情報の光記録方 とを提供することを目的とする。 

 本発明者らは上記課題を解決するべく鋭 検討した結果、所定のアゾ成分及び所定の ップラー成分を組み合わせたアゾ化合物が 属イオンに配位してなるアゾ金属キレート 合物を光記録媒体の記録層に用いることに り、高い線速度においても良好な記録特性 発揮し、且つ、十分な再生安定性を有する 記録媒体を実現できることを見出し、本発 を完成させた。

 即ち、本発明の要旨は、下記式[I]で示さ るアゾ化合物が金属イオンに配位してなる とを特徴とする色素に存する。

(式[1]中、環Aは、炭素原子及び窒素原子を有 て形成される含窒素複素芳香環を表す。Xは 、C-R 1 R 2 、酸素原子、硫黄原子、及びN-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表す。な お、R 1 、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されて いてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、置換 されていてもよいアラルキル基、置換されて いてもよいシクロアルキル基、置換されてい てもよい直鎖又は分岐のアルケニル基、置換 されていてもよいアリール基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基からなる群より選ばれる いずれかを表す。また、R 4 は置換されていてもよい炭化水素基又は複素 環基を表す。ベンゼン環Bは、置換基を有し いてもよいベンゼン環を表す。なお、ベン ン環Bの置換基は、隣接する置換基同士で互 に結合して環を形成してもよい。)

 このとき、前記式[I]において、XがC-R 1 R 2 、酸素原子、及び、N-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表し、R 1 、R 2 及びR 3 がそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上12 以下の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数7 上18以下のアラルキル基、炭素数3以上8以下 シクロアルキル基、炭素数2以上12以下の直 又は分岐のアルケニル基、炭素数6以上18以 のアリール基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基(ただし、R 4 が炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐のアルキ ル基、炭素数7以上18以下のアラルキル基、及 び炭素数6以上18以下のアリール基からなる群 より選ばれるいずれかを表す)からなる群よ 選ばれるいずれかを表すことが好ましい。
 また、前記式[I]において、XがN-R 3 を表し、R 3 が、炭素数1以上8以下の直鎖又は分岐のアル ル基、炭素数7以上12以下のアラルキル基、 びに、炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐の ルケニル基からなる群より選ばれるいずれ を表すことがより好ましい。

 また、前記式[I]において、環Aがイソキサゾ ール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピ リジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、 チアゾール環、オキサゾール環、オキサジア ゾール環、チアジアゾール環、イソチアゾー ル環、ベンゾチアゾール環、ベンズイソキサ ゾール環、ベンズオキサゾール環及びベンズ イミダゾール環からなる群より選ばれるいず れかを表すことが好ましい。
 さらに、前記式[I]において、環Aがイソキサ ゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、 チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン 環、イミダゾール環、チアゾール環及びベン ズイソキサゾール環からなる群より選ばれる いずれかを表すことがより好ましい。

 また、前記金属イオンが、周期表の第3族~ 12族元素から選ばれる金属のイオンであるこ とが好ましい。
 さらに、前記金属イオンが、ニッケル、コ ルト、銅、鉄、亜鉛及びマンガンからなる より選ばれる少なくとも1種の金属のイオン であることがより好ましい。
 また、環Aがトリアゾール環を示し、金属イ オンがニッケルまたはコバルトであることが 特に好ましい。

 本発明の別の要旨は、基板と、該基板上に けられ、光が照射されることにより情報の 録又は再生が可能な記録層とを有し、該記 層が本発明の色素を含有することを特徴と る光記録媒体に存する。
 このとき、前記光が、波長が380nm以上430nm以 下のレーザー光であることが好ましい。
 本発明の更に別の要旨は、本発明の光記録 体に、波長380nm以上430nm以下のレーザー光で 情報を記録することを特徴とする光記録方法 に存する。

 本発明の色素によれば、この色素を光記録 体に適用することにより、高速記録特性と 生耐久性との両方に優れる光記録媒体を実 できる。
 また、本発明の光記録媒体は、高速記録特 と再生安定性との両方に優れる。
 さらに、本発明の光記録方法によれば、本 明の光記録媒体に高密度に情報を記録する とができる。

本発明の一実施形態としての膜面入射 成の追記型光記録媒体を模式的に示す断面 である。 本発明の一実施形態としての多層記録 体を模式的に示す断面図である。

 以下、本発明について実施形態及び例示 等を示して詳細に説明するが、本発明は以 の実施形態及び例示物等に限定されるもの はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲に いて任意に変更して実施できる。

[I.色素]
 本発明の色素は、少なくとも、下記式[I]で されるアゾ化合物(以下、適宜「本発明に係 るアゾ化合物」ということがある。)が金属 オンに配位してなるアゾ金属キレート化合 である。即ち、少なくとも本発明に係るア 化合物に対応した配位子と金属イオンとを するアゾ金属キレート化合物である。また 本発明の色素は、波長380nm以上430nm以下の青 光領域に適度の吸収を有し、青色レーザー による記録に適する色素化合物である。

 式[I]中、環Aは、炭素原子及び窒素原子を有 して形成される含窒素複素芳香環を表す。X 、C-R 1 R 2 、酸素原子、硫黄原子、及びN-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表す。な お、R 1 、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されて いてもよい直鎖又は分岐のアルキル基、置換 されていてもよいアラルキル基、置換されて いてもよいシクロアルキル基、置換されてい てもよい直鎖又は分岐のアルケニル基、置換 されていてもよいアリール基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基からなる群より選ばれる いずれかを表す。また、R 4 は置換されていてもよい炭化水素基又は複素 環基を表す。ベンゼン環Bは、置換基を有し いてもよいベンゼン環を表す。なお、ベン ン環Bの置換基は、隣接する置換基同士で互 に結合して環を形成してもよい。

[I-1.アゾ化合物]
 本発明の色素において配位子となるアゾ化 物は、前記式[I]で示されるものである。本 明に係るアゾ化合物では、式[I]において、 ゾ基(-N=N-)の左側の複素芳香環はジアゾ成分 と呼ばれ、右側の構造はカップラー成分と呼 ばれる。これらの構造はケト-エノールの互 異性構造をとり、式[I]の構造では下記式の うな構造をとりうる。ただし、本発明に係 アゾ化合物は金属イオンと錯体を形成する には、エノールの水素原子が外れて-O - の形で配位する。即ち、式[II]で表される配 子となって配位することになる。そこで、 明細書においてはエノール型で統一して表 する。

(式[II]において、環A、X及びベンゼン環Bは式[ I]と同様のものを表す。)

 〔X〕
 前記式[I]において、Xは2価の基を表し、具 的には、C-R 1 R 2 、酸素原子、硫黄原子、及びN-R 3 からなる群より選ばれるいずれかを表す。な お、C-R 1 R 2 及びN-R 3 は結合手を描画して示すと以下の構造となっ ている。

 ここで、R 1 、R 2 及びR 3 は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖又は分 岐のアルキル基、アラルキル基、シクロアル キル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、アリ ール基、並びに-COR 4 で表されるアシル基からなる群より選ばれる いずれかを表す。

 R 1 、R 2 又はR 3 が直鎖又は分岐のアルキル基である場合、当 該アルキル基の炭素数は、通常1以上であり 通常12以下、好ましくは8以下である。アル ル基の炭素数が大きすぎると単位重量あた の吸光度が小さくなり、記録特性が悪化す 場合がある。なお、溶媒への溶解度を向上 せたい場合には大きくすればよい。
 アルキル基の例としては、メチル基、エチ 基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブ ル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられる 。

 R 1 、R 2 又はR 3 がアラルキル基である場合、当該アラルキル 基の炭素数は、通常7以上であり、通常18以下 、好ましくは12以下である。アラルキル基の 素数が大きすぎると単位重量あたりの吸光 が小さくなり、記録特性が悪化する場合が る。
 アラルキル基の例としては、ベンジル基、 ェネチル基、α-メチルベンジル基などが挙 られる。

 R 1 、R 2 又はR 3 がシクロアルキル基である場合、当該シクロ アルキル基の炭素数は、通常3以上、好まし は5以上であり、通常8以下、好ましくは6以 である。シクロアルキル基の炭素数が大き ぎると単位重量あたりの吸光度が小さくな 、記録特性が悪化する場合がある。
 シクロアルキル基の例としては、シクロプ ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル 、シクロヘキシル基などが挙げられる。

 R 1 、R 2 又はR 3 が直鎖又は分岐のアルケニル基である場合、 当該アルケニル基の炭素数は、通常2以上で り、通常12以下、好ましくは8以下である。 ルケニル基の炭素数が大きすぎると単位重 あたりの吸光度が小さくなり、記録特性が 化する場合がある。
 アルケニル基の例としては、ビニル基、1- ロペニル基、アリル基、2-ブテニル基などが 挙げられる。

 R 1 、R 2 又はR 3 がアリール基である場合、当該アリール基の 炭素数は、通常6以上であり、通常18以下、好 ましくは12以下である。アリール基の炭素数 大きすぎると単位重量あたりの吸光度が小 くなり、記録特性が悪化する場合がある。
 アリール基の例としては、フェニル基、ト ル基、メシチル基、ナフチル基などが挙げ れる。

 R 1 、R 2 又はR 3 が-COR 4 で表されるアシル基である場合、R 4 は、炭化水素基又は複素環基を表す。
 R 4 が炭化水素基である場合、その例としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ ピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチ 基、n-へプチル基等の、炭素数が通常1以上 また、通常12以下、好ましくは8以下の、直 又は分岐のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シク ロヘキシル基等の、炭素数が通常3以上、好 しくは5以上、また、通常8以下、好ましくは 6以下の環状アルキル基;
ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の 、炭素数が通常2以上、また、通常12以下、好 ましくは8以下の、直鎖又は分岐のアルケニ 基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等 の、炭素数が通常3以上、また、通常18以下の 環状アルケニル基;
ベンジル基、フェネチル基等の、炭素数が通 常7以上、また、通常18以下、好ましくは12以 のアラルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチ ル基等の、炭素数が通常6以上、また、通常18 以下、好ましくは12以下のアリール基;
などが挙げられる。

 一方、R 4 が複素環基である場合、その複素環基が有す るヘテロ原子の数は1個でもよく、2個以上で よい。
 複素環として好ましい構造を挙げると、5~6 環の飽和複素環;5~6員環の単環及びその2縮 環の芳香族複素環である。
 複素環基の例を挙げると、4-ピペリジル基 モルホリノ基、2-モルホリニル基、ピペラジ ル基等の飽和複素環基;2-フリル基、2-ピリジ 基、2-チアゾリル基、2-キノリル基等の芳香 族複素環基などが挙げられる。

 -COR 4 で表されるアシル基の好適な例を挙げると、 以下のものが挙げられる。

 また、R 1 、R 2 、R 3 、及びR 4 は置換基を有していてもよい。即ち、R 1 、R 2 及びR 3 を構成する、直鎖又は分岐のアルキル基、ア ラルキル基、シクロアルキル基、直鎖又は分 岐のアルケニル基、アリール基、並びに、R 4 を構成する炭化水素基及び複素環基は、本発 明の効果を著しく損なわない限り、置換され ていてもよい。特に、R 1 、R 2 、R 3 、及びR 4 が示すアルキル基のアルキル鎖部分は通常は 置換基を有していてもよい。この際、置換基 は1個であってもよく、2個以上であってもよ 。また2個以上の置換基を有する場合、置換 基の種類は1種であってもよく、2種以上が任 の組み合わせ及び比率で置換していてもよ 。さらに、置換基の置換位置も任意である

 前記置換基の例を挙げると、
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、 ソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキ 基、tert-ブトキシ基等の炭素数1以上10以下 アルコキシ基;
メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、 プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基 、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ 基等の炭素数2以上12以下のアルコキシアルコ キシ基;
メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメト キシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ 基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシ エトキシメトキシ基等の炭素数3以上15以下の アルコキシアルコキシアルコキシ基;
フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオ キシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6以上12 以下のアリールオキシ基;
アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数 2以上12以下のアルケニルオキシ基;
2-チエニル基、2-ピリジル基、4-ピペリジル基 、モルホリノ基等の複素環基;
シアノ基;
ニトロ基;
ヒドロキシル基;
メルカプト基;
メチルメルカプト基、エチルメルカプト基等 のアルキルチオ基;
アミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジエチ アミノ基等の炭素数1以上10以下のアルキル ミノ基;
メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニ ルアミノ基、n-プロピルスルホニルアミノ基 の炭素数1以上6以下のアルキルスルホニル ミノ基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲ ン原子(即ち、ハロゲン基);
メチルカロボニル基、エチルカルボニル基、 イソプロピルカルボニル基等のアルキルカル ボニル基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル 基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポ シカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基 の炭素数2以上7以下のアルコキシカルボニル 基;
メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニ ルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基 イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチ カルボニルオキシ基等の炭素数2以上7以下の アルキルカルボニルオキシ基;
メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカル ボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオ シ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基 n-ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2 上7以下のアルコキシカルボニルオキシ基;
トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等 のトリアルキルシリル基;
などが挙げられる。

 なお、R 1 、R 2 、R 3 、及びR 4 が有する置換基は、更に置換基を有していて もよい。この際、更に有する置換基は1個で ってもよく、2個以上であってもよい。また2 個以上の置換基を更に有する場合、更に有す る置換基の種類は1種であってもよく、2種以 が任意の組み合わせ及び比率で置換してい もよい。さらに、更に有する置換基の置換 置も任意である。その例としては、上述し R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 が有する置換基と同様のものが挙げられる。

 R 1 、R 2 及びR 3 のうち好適な例としては、それぞれ独立に、 水素原子、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐 のアルキル基、炭素数7以上18以下のアラルキ ル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基 炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐のアルケ ル基、炭素数6以上18以下のアリール基、並 に、-COR 4 で表されるアシル基(ただし、R 4 が炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐のアルキ ル基、炭素数7以上18以下のアラルキル基、及 び炭素数6以上18以下のアリール基からなる群 より選ばれるいずれかを表す)からなる群よ 選ばれるいずれかであることが好ましい。 れらの置換基の化合物は、出発原料の入手 容易で、結晶性の良い中間体経由で合成で 、これらの置換基の化合物自体の結晶性も いことから、合成が容易だからである。
 さらにその中でも、R 1 、R 2 及びR 3 は、炭素数1以上8以下の直鎖又は分岐のアル ル基、炭素数7以上12以下のアラルキル基、 びに、炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐の ルケニル基からなる群より選ばれるいずれ であることがより好ましい。単位重量あた の吸光度の増大させられるためである。

 上述したものの中でも、Xとしては、C-R 1 R 2 、酸素原子、及び、N-R 3 からなる群より選ばれるいずれかが好ましい 。さらにその中でも、N-R 3 がより好ましい。合成上色々な種類のR 3 の導入が容易で、R 3 の種類を選択して溶解性など性能を調整する ことができるためである。

 〔環A〕
 前記式[I]において、環Aは、炭素原子及び窒 素原子を有して形成される含窒素複素芳香環 を表す。
 環Aの構造は、配位可能な位置に窒素原子を 有していれば単環でもよく、縮合環でも良い 。縮合環である場合における縮合する環の数 に制限はないが、通常2以上であり、また、 常3以下である。ただし、単環が特に好まし 。

 環Aの例を挙げると、以下のようなものが 挙げられる。

 前記の例示において、D 1 ~D 9 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上6 下の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3以 上8以下の環状アルキル基、炭素数7以上18以 のアラルキル基、炭素数2以上6以下の直鎖又 は分岐のアルケニル基、並びに、-COR 4 で表されるアシル基からなる群より選ばれる いずれかを表す。

 中でも、環Aとしては、吸収波長及び溶解性 の点から5~6員環の単環または2縮合環の含窒 複素芳香環であることが好ましい。このよ な環Aの例を挙げると、イソキサゾール環、 リアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環 ピリミジン環、イミダゾール環、チアゾー 環、オキサゾール環、オキサジアゾール環 チアジアゾール環、イソチアゾール環、ベ ゾチアゾール環、ベンズイソキサゾール環 ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾー 環などが挙げられる。
 中でも、試薬の入手しやすさや反応性を考 すると、イソキサゾール環、トリアゾール 、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリ ン環、ピリミジン環、イミダゾール環、チ ゾール環、ベンズイソキサゾール環が好ま く、トリアゾール環が特に好ましい。

 また、環Aは本発明の効果を著しく損なわ ない限り任意の置換基を有していてもよい。 この際、置換基は1個であってもよく、2個以 であってもよい。また2個以上の置換基を有 する場合、置換基の種類は1種であってもよ 、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置 していてもよい。さらに、置換基の置換位 も任意である。

 これらの置換基の例としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ ピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチ 基、n-へプチル基等の、置換されてもよい 炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好 しくは8以下の、直鎖又は分岐のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロペンチル基、シク ロヘキシル基、アダマンチル基等の、置換さ れていてもよい、炭素数が通常3以上、好ま くは5以上、また、通常8以下、好ましくは6 下の環状アルキル基;
ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の 、置換されていてもよい、炭素数が通常2以 、また、通常12以下、好ましくは8以下の、 鎖又は分岐のアルケニル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等 の、置換されていてもよい、炭素数が通常3 上、また、通常18以下の環状アルケニル基;
ベンジル基、フェネチル基等の、置換されて いてもよい、炭素数が通常7以上、また、通 18以下、好ましくは12以下のアラルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、 ソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキ 基、tert-ブトキシ基等の、置換されていて よい、炭素数が通常1以上、また、通常18以 、好ましくは12以下、より好ましくは6以下 、直鎖又は分岐のアルコキシ基;
メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチ 基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert -ブチルチオ基等の、置換されていてもよい 炭素数が通常1以上、また、通常18以下、好 しくは12以下、より好ましくは6以下の、直 又は分岐のアルキルチオ基;
プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペ ンテニルオキシ基等の、置換されていてもよ い、炭素数が通常3以上、また、通常18以下の 、直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;フェ ル基、トリル基、キシリル基、メシチル基 ナフチル基等の、置換されていてもよい、 素数が通常6以上、また、通常18以下、好ま くは12以下のアリール基;
2-チエニル基、2-ピリジル基、4-ピペリジル基 、モルホリノ基等の、置換されていてもよい 、飽和または不飽和の複素環基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲ ン原子;
ニトロ基;
シアノ基;
メルカプト基;
ヒドロキシ基;
ホルミル基;
-COR 4 で表されるアシル基;
-NR 5 R 6 で表されるアミノ基;
-NHCOR 7 で表されるアシルアミノ基;
-NHCOOR 8 で表されるカーバメート基;
-COOR 9 で表されるカルボン酸エステル基;
-OCOR 10 で表されるアシルオキシ基;
-CONR 11 R 12 で表されるカルバモイル基;
-SO 2 R 13 で表されるスルホニル基;
-SOR 14 で表されるスルフィニル基;
-SO 2 NR 15 R 16 で表されるスルファモイル基;
-SO 3 R 17 で表されるスルホン酸エステル基;
-NHSO 2 R 18 で表されるスルホンアミド基;
などが挙げられる。

 ここでR 7 、R 8 、R 9 、R 10 、R 13 、R 14 、R 17 、及びR 18 は、それぞれ独立に、R 4 と同様に、炭化水素基又は複素環基を表す。  なお、ここで炭化水素基及び複素環基は、R 4 と同様のものが挙げられる。
 また、R 5 、R 6 、R 11 、R 12 、R 15 、及びR 16 は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基 及び複素環基のいずれかを表す。なお、ここ で炭化水素基及び複素環基はR 4 と同様のものを表す。
 さらに、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 、R 9 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、及びR 18 は、上述したR 1 、R 2 、R 3 及びR 4 と同様に置換基を有していてもよい。

 具体例を挙げると、-NR 5 R 6 で表されるアミノ基としては、以下のものが 挙げられる。

 -NHCOR 7 で表されるアシルアミノ基としては、以下の ものが挙げられる。 

 -NHCOOR 8 で表されるカーバメート基としては、以下の ものが挙げられる。 

 -COOR 9 で表されるカルボン酸エステル基としては、 以下のものが挙げられる。

 -OCOR 10 で表されるアシルオキシ基としては、以下の ものが挙げられる。

 -CONR 11 R 12 で表されるカルバモイル基としては、以下の ものが挙げられる。

 -SO 2 R 13 で表されるスルホニル基としては、以下のも のが挙げられる。

 -SOR 14 で表されるスルフィニル基としては、以下の ものが挙げられる。

 -SO 2 NR 15 R 16 で表されるスルファモイル基としては、以下 のものが挙げられる。

 -SO 3 R 17 で表されるスルホン酸エステル基としては、 以下のものが挙げられる。

 -NHSO 2 R 18 で表されるスルホンアミド基としては、以下 のものが挙げられる。

 環Aが有する置換基の中でも好ましいものを 挙げると、合成の容易さ及び塗布溶媒への溶 解性などの点から、直鎖又は分岐のアルキル 基、環状アルキル基、直鎖又は分岐のアルケ ニル基、アラルキル基、直鎖又は分岐のアル コキシ基、直鎖又は分岐のアルキルチオ基、 アリール基、飽和又は不飽和の5~6員環の複素 環基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 メルカプト基、ヒドロキシ基、ホルミル基、 -COR 4 で表されるアシル基、-NR 5 R 6 で表されるアミノ基、-NHCOR 7 で表されるアシルアミノ基、-NHCOOR 8 で表されるカーバメート基、-COOR 9 で表されるカルボン酸エステル基、-OCOR 10 で表されるアシルオキシ基、-CONR 11 R 12 で表されるカルバモイル基、-SO 2 R 13 で表されるスルホニル基、-SOR 14 で表されるスルフィニル基、-SO 2 NR 15 R 16 で表されるスルファモイル基、-SO 3 R 17 で表されるスルホン酸エステル基、-NHSO 2 R 18 で表されるスルホンアミド基などが挙げられ る。

 これらの中でも特に好ましいものとしては 直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル 、直鎖又は分岐のアルケニル基、アラルキ 基、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又 分岐のアルキルチオ基、アリール基、飽和 は不飽和の5~6員環の複素環基、ハロゲン原 、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、ヒ ロキシ基、ホルミル基、-COR 4 で表されるアシル基、-NR 5 R 6 で表されるアミノ基、-NHCOR 7 で表されるアシルアミノ基、-COOR 9 で表されるカルボン酸エステル基、-OCOR 10 で表されるアシルオキシ基、-CONR 11 R 12 で表されるカルバモイル基、-SO 2 R 13 で表されるスルホニル基、-SOR 14 で表されるスルフィニル基、-SO 2 NR 15 R 16 で表されるスルファモイル基、-NHSO 2 R 18 で表されるスルホンアミド基が挙げられる。

 なお、環Aが有する置換基は、本発明の効果 を著しく損なわない限り、更に置換基を有し ていてもよい。特に、置換基としての直鎖又 は分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖 又は分岐のアルケニル基、環状アルケニル基 、直鎖又は分岐のアルコキシ基、直鎖又は分 岐のアルキルチオ基、及び、R 4 ~R 18 が示すアルキル基のアルキル鎖部分は、通常 は更に置換基を有していてもよい。この際、 更に有する置換基は1個であってもよく、2個 上であってもよい。また2個以上の置換基を 更に有する場合、更に有する置換基の種類は 1種であってもよく、2種以上が任意の組み合 せ及び比率で置換していてもよい。また、 に有する置換基の置換位置も任意である。 の例としては、上述したR 1 、R 2 、R 3 及びR 4 が有する置換基と同様のものが挙げられる。

 〔ベンゼン環B〕
 前記式[I]において、ベンゼン環Bは置換基を 有していてもよいベンゼン環を表す。この際 、置換基は1個であってもよく、2個以上であ てもよい。また2個以上の置換基を有する場 合、置換基の種類は1種であってもよく、2種 上が任意の組み合わせ及び比率で置換して てもよい。さらに、置換基の置換位置も任 である。このような置換基としては、上述 た環Aが有する置換基と同様のものが挙げら れる。
 さらに、ベンゼン環Bが有する置換基は、環 Aが有する置換基と同様に、本発明の効果を しく損なわない限り、更に置換基を有して てもよい。

 また、ベンゼン環Bが有する置換基は、隣接 する置換基同士が互いに縮合して縮合環を形 成していてもよい。形成される縮合環は炭素 原子からなる環であってもよいが、炭素原子 以外に例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子 等のヘテロ原子を含む環であってもよい。ま た、この縮合環は飽和結合のみからなるもの であってもよく、飽和結合だけでなく不飽和 結合も含んで形成される環であってもよい。
 また、前記式[I]のXがCR 1 R 2 若しくはNR 3 である場合は、R 1 、R 2 若しくはR 3 とベンゼン環Bとは縮合した構造を形成して よい。
 さらに、縮合環の構造としては、5~7員環構 が合成のしやすさや安定性から好ましく、 に好ましいのは飽和の5~6員環である。

 ベンゼン環Bの好ましい例を、Xを含む環 構造と共に以下に示す。

 〔アゾ化合物に関するその他の事項〕
 本発明に係るアゾ化合物の分子量は、好ま くは1000以下、より好ましくは700以下である 。分子量が大きすぎるとグラム吸光係数が減 少するため、色素の量に対して吸収が小さく なる傾向があるからである。

 本発明に係るアゾ化合物の例を挙げると 以下のものが挙げられる。なお、Meはメチ 基を表し、Etはエチル基を表し、t-Buはt-ブチ ル基を表し、i-Buはイソブチル基を表し、i-Pr イソプロピル基を表す。

[I-2.金属イオン]
 本発明の色素を構成する金属イオン(以下、 適宜「本発明に係る金属イオン」という)は 本発明に係るアゾ化合物と結合してアゾ金 キレート化合物を形成する金属のイオンで る。本発明に係る金属イオンの種類は、配 形成能力を有していれば特に制限はなく、 移元素でもよく、典型元素でもよく、また の酸化数も問わない。

 中でも、本発明に係る金属イオンは、周 表の第3族~第12族元素から選ばれる金属のイ オンであることが好ましい。遷移金属との錯 体は典型元素との塩と比較してモル吸光係数 が高い場合が多く、また、安定な錯体を得ら れる場合が多いためである。

 また、本発明の色素では、本発明に係るア 化合物と金属イオンとが形成する錯体構造 おいて本発明に係るアゾ化合物は-1価の電 をもつ配位子となりやすい。このため、本 明に係る金属イオンは、2価の遷移金属のイ ンであることが好ましい。2価の遷移金属イ オン1に対しアゾ化合物2の割合で配位でき、 体を形成しやすくなるからである。
 この観点から、本発明に係る金属イオンの 適な例を挙げると、ニッケル、コバルト、 、鉄、亜鉛、マンガンなどの2価の遷移金属 のイオンが挙げられる。中でも、ニッケル及 びコバルトが好ましい。特に、本発明に係る アゾ化合物において環Aがトリアゾール環で る場合に、金属イオンがニッケルまたはコ ルトであることが特に好ましい。

[I-3.錯体構造]
 本発明の色素は、少なくとも上述した本発 に係るアゾ化合物が金属イオンに配位子し なる錯体である。この際、通常は、本発明 係るアゾ化合物のカップラー成分に存在す 水酸基の水素原子が外れて、前記式[II]で表 される配位子となり、この配位子が金属イオ ンに配位することになる。

 本発明の色素において、本発明に係る金 イオンとアゾ化合物との比に特に制限はな 。したがって、本発明の色素は、金属イオ 及びアゾ化合物の組み合わせに応じて、1個 又は2個以上の金属イオンに対して1個又は2個 以上のアゾ化合物が配位した任意の錯体構造 をとることができる。ただし、錯体の形成の しやすさから金属イオンとアゾ化合物との比 は1:2となることが好ましく、例えば、2価の 移金属イオン1に対してアゾ化合物2の割合で 配位した錯体構造が好ましい。

 また、本発明の色素において本発明に係 アゾ色素が2個以上配位する場合、アゾ色素 の種類は1種でもよく、2種以上を任意の組み わせ及び比率で用いてもよい。一方、本発 の色素が本発明に係る金属イオンを2個以上 含む場合、金属イオンの種類は1種でもよく 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用い もよい。

 本発明の色素は、本発明に係るアゾ化合 及び金属イオン以外の成分を含んでいても い。例えば、本発明の色素は、本発明に係 アゾ化合物及び金属イオン以外に電荷を有 る対イオンを含んでいてもよい。

 本発明の色素の例を挙げると、以下のも が挙げられる。

[I-4.製造方法]
 本発明の色素の製造方法は特に限定される のではないが、通常は、下記反応式に示す うにして製造できる。即ち、まずジアゾ成 に対応する芳香族複素環アミンを、酸性溶 中で、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸 によりジアゾ化し、これを0℃付近でカップ ラー溶液に滴下してアゾ化合物を合成する。 その後、アゾ化合物を適切な溶媒に溶かし、 そのアゾ化合物溶液に金属塩の溶液を滴下し て錯体を精製させる。なお、下記反応式では 2価の金属イオンMとアゾ化合物とが存在比2:1 錯体を合成した場合の構造を示している。

[II.光記録媒体]
 本発明の光記録媒体は、基板と、この基板 に設けられ光が照射されることにより情報 記録又は再生が可能な記録層とを有し、記 層が本発明の色素を含有して構成されるも である。この際、記録層に含有される本発 の色素は、1種でもよく、2種以上を任意の み合わせ及び比率で用いてもよい。

 以下、本発明の光記録媒体について実施形 を示して説明する。ただし、本発明は以下 示す実施形態に限定されるものではない。
 図1は、本発明の一実施形態としての膜面入 射構成の追記型光記録媒体を模式的に示す断 面図である。本実施形態の光記録媒体20は、 を形成した基板21上に、少なくとも光反射 能を有する層(反射層23)と、未記録(記録前) 態において記録再生光に対して吸収を有す 色素を主成分とする光吸収機能を有する記 層22と、前記記録層22に接する界面層30とカ ー層24とが順次積層された構造を有して構成 される。そして、この光記録媒体20には、カ ー層24側から対物レンズ28を介して集光され た記録再生光ビーム27を入射して、情報の記 及び再生を行うようになっている。即ち、 実施形態の光記録媒体20は「膜面入射構成 (Reverse stackともいう)をとる。
 なお、以下の説明においては、光反射機能 有する層23を単に「反射層23」と記し、色素 を主成分とする光吸収機能を有する記録層22 単に「記録層22」と記す。

 膜面入射構成のカバー層24側に記録再生光 ーム27を入射するに当たり、高密度記録のた めに、通常、NA(開口数)=0.6~0.9程度の高NA(開口 数)の対物レンズ28が用いられる。
 また、記録再生光ビーム27の波長(記録再生 波長)λは、赤色から青紫色波長(350nm~600nm程 )がよく用いられる。さらに、高密度記録の ためには、波長は350nm以上が好ましく、380nm 上がより好ましく、また、450nm以下が好まし いが、必ずしもこれに限定されない。

 本実施形態においては、図1において、記 録再生光ビーム27のカバー層24への入射面(記 再生光ビームが入射する面)29から見て遠い の案内溝部(記録再生光ビームが入射する面 から遠い側の案内溝部)を記録溝部とし、記 溝部に形成した記録ピット部の反射光強度 記録溝部の未記録時の反射光強度より高く るような記録(以下、LtoH記録と記載)を行う うになっている。その主たるメカニズムは 反射光強度の増加が主として前記記録ピッ 部での反射光の位相変化によることを用い 。即ち、主として記録溝部における反射光 往復光路長の記録前後で変化を利用する。

 また、膜面入射型の光記録媒体20では、記 再生光ビーム27のカバー層24への入射面(記録 再生光ビームが入射する面)29から遠い案内溝 部(基板の溝部と一致)をカバー層溝間部25(in-g roove)と呼び、記録再生光ビーム27が入射する から近い案内溝間部(基板の溝間部と一致) カバー層溝部26(on-groove)と呼ぶことにする。
 このような構成では、溝形状や各層の屈折 等の光学特性を制御することにより、カバ 層溝間部25(in-groove)を記録トラックとする記 録(以下、これを「in-groove記録」という)をLtoH 記録で実現することが可能となる。

 以下、図1に示す層構成における各層の具 体的材料及び態様のうち好ましいものを、青 色波長レーザーの開発が進んでいる状況を考 慮し、特に記録再生光ビーム27の波長λが405nm 近傍の場合を想定して説明する。

 〔基板21〕
 基板21は、膜面入射構成では、例えば、適 な加工性と剛性を有するプラスチック、金 、ガラス等の材料で形成することができる 膜面入射構成の光記録媒体20の基板21の材料 は、基板入射構成と異なり、透明性や複屈 に対する制限はない。なお、基板21を形成 る材料は、1種であってもよく、2種以上を任 意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

 基板21の表面に案内溝を形成するのであ が、通常、金属及びガラス等で形成される 板21では、表面に光硬化性又は熱硬化性の薄 い樹脂層を設け、そこに、溝を形成すること になる。この点、プラスチック材料を用い、 射出成型によって、基板21形状(特に円盤状) 表面の案内溝とを一挙に形成するほうが製 上は好ましい。

 射出成型できるプラスチック材料としては 例えば、従来CDやDVDで用いられたポリカー ネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリ 樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができ 。
 基板21の厚みとしては0.5mm~1.2mm程度とするの が好ましい。なかでも基板厚とカバー層厚を 合わせて、従来のCDやDVDと同じ1.2mmとするこ が好ましい。従来のCDやDVDで使われるケ-ス をそのまま用いることができるからである なお、基板厚を1.1mm、カバー層厚みを0.1mmと ることが、ブルーレイ・ディスクでは規定 れている。

 基板21にはトラッキング用の案内溝が形 される。本実施形態では、カバー層溝間部25 が記録溝部となるトラックピッチは、CD-R、DV D-Rより高密度化を達成するためには0.1μm以上 が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、また 、0.6μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ま しい。溝深さは、概ね30nm~70nmの範囲にあるこ とが好ましい。溝深さは、前記範囲内で、未 記録状態の記録溝部反射率、記録信号の信号 特性、プッシュプル信号特性、記録層22の光 特性等を考慮して適宜最適化される。

 本実施形態では、主として記録溝部と記 溝間部(即ち、隣り合った記録溝部の間の部 分)とにおけるそれぞれの反射光の位相差に る干渉を利用しているから、両方が集束光 ポット内に存在することが好ましい。この め、記録溝幅(カバー層溝間部25の幅)は、記 再生光ビーム27の記録層22の面におけるスポ ット径(溝横断方向の直径)より小さくするこ が好ましい。例えば、記録再生光波長λ=405n m、NA(開口数)=0.85の光学系で、トラックピッ を0.32μmとする場合、記録溝幅は0.1μm以上0.2 m以下の範囲とすることが好ましい。これら 範囲外では、溝または溝間部の形成が困難 なる場合が多い。

 案内溝の形状は、通常、矩形となる。特 、後述の塗布による記録層22の形成時に、 素を含む溶液(色素溶液)の溶剤がほとんど蒸 発するまでの数十秒間に、基板21の溝部に、 素が選択的に溜まることが望ましい。この め、案内溝を矩形に形成する場合でも、溝 溝の間の肩を丸くして、色素溶液が溝部に 下して溜まりやすくすることも好ましい。 のような丸い肩を有する溝形状は、プラス ック基板若しくはスタンパの表面を、プラ マやUVオゾン等に数秒から数分さらしてエ チングすることで形成できる。特にプラズ によるエッチングでは、基板の溝部の肩(溝 部のエッジ)のような尖った部分が選択的に 削られる性質があるので、丸まった溝部の肩 の形状を得るのに適している。

 案内溝は、通常は、アドレスや同期信号 の付加情報を付与するために、溝蛇行、溝 さ変調等の溝形状の変調、記録溝部あるい 記録溝間部の断続による凹凸ピット等によ 付加信号を有する。例えば、ブルーレイ・ ィスクでは、MSK(minimum-shift-keying)とSTW(saw-toot h-wobbles)という2変調方式を用いたウォブル・ ドレス方式が用いられている。

 〔光反射機能を有する層(反射層23)〕
 光反射機能を有する層(反射層23)は、記録再 生光波長に対する反射率が高く、記録再生光 波長に対して70%以上の反射率を有する材料で 形成することが好ましい。記録再生用波長と して用いられる可視光、特に、青色波長域で 高反射率を示す材料の例を挙げると、Au、Ag Al及びこれらを主成分とする合金などが挙げ られる。より好ましくは、波長λ=405nmでの反 率が高く、吸収が小さいAgを主成分とする 金である。例えば、Agを主成分として、Au、C u、希土類元素(特に、Nd)、Nb、Ta、V、Mo、Mn、M g、Cr、Bi、Al、Si、Ge等の添加元素を0.01原子%~1 0原子%含有させることで、水分、酸素及び硫 等に対する耐食性が高めることができ、好 しい。この他に、誘電体層を複数積層した 電体ミラーを反射層23として用いることも 能である。なお、反射層23を形成する材料は 、1種であってもよく、2種以上を任意の組み わせ及び比率で併用してもよい。

 反射層23の膜厚は、基板21表面の溝段差を保 持するために、70nm以下が好ましく、より好 しくは65nm以下とする。後述の、多層記録媒 (図2を参照)を形成する場合を除いて、反射 23の膜厚は、30nm以上が好ましく、より好ま くは40nm以上とする。
 反射層23の表面粗さRaは、5nm以下であること が好ましく、1nm以下であることがより好まし い。Agは添加物を含有させることによって平 性が増す性質があり、この意味でも、上記 添加元素を0.1原子%以上含有させることが好 ましく、0.5原子%以上含有させることがより ましい。
 反射層23は、例えば、スパッタリング法、 オンプレーティング法、電子ビーム蒸着法 どで形成することができる。

 〔色素を主成分とする光吸収機能を有する (記録層22)〕
 本実施形態では、記録層22は反射層23を介し て基板21上に設けられた層であって、この記 層22に記録再生光ビーム27が照射されること により情報の記録又は再生がなされるように なっている。
 記録層22は色素を含有して構成されるが、 実施形態においては、記録層22は色素として 上述した本発明の色素を含有している。

 本実施形態において使用する色素は、300nm~8 00nmの可視光(及びその近傍)波長領域に、その 構造に起因した顕著な吸収帯を有する有機化 合物をいう。このような色素を記録層22とし 形成した場合に未記録(記録前)の状態にお て記録再生光ビーム27の波長λに吸収を有し 記録により変質して記録層22に再生光の反 光強度の変化として検出されうる光学的変 を起こす色素を、「主成分色素」と呼ぶ。
 主成分色素は単独の色素が記録再生光ビー 27の波長λに対して吸収があり、記録によっ て変質して上記光学的変化を生じることが好 ましい。ただし、主成分色素は、複数の色素 の混合物として、上記の機能を発揮するもの であってもよい。例えば、複数種の色素を用 いた場合、一方の色素が記録再生光ビーム27 波長λに対する吸収を有し、発熱すること 、間接的に他方の色素を変質させ光学的変 を起こさせるように機能分担されていても い。
 通常、本発明の色素は前記の主成分色素と て記録層22に含有される。この際、記録層22 には1種の本発明の色素を含有させるように てもよく、2種以上の本発明の色素を任意の み合わせ及び比率で併用するようにしても い。

 記録層22における主成分色素の含有量は 記録層材料全量に対して50重量%以上が好ま く、80重量%以上がより好ましく、90重量%以 がさらに好ましい。

 また、記録層22には、本発明の効果を著 く阻害しない限り、本発明の色素に加えて の他の色素を含有させるようにしてもよい この場合、前記の主成分色素として本発明 色素以外の色素を併用してもよいが、主成 色素以外の色素を併用してもよい。例えば 光吸収機能を有する色素の経時安定性(温度 湿度、光に対する安定性)を改善するため、 いわゆるクエンチャーとしての色素を併用し てもよい。なお、併用する色素は1種でもよ 、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併 してもよい。

 また、記録層22には色素以外の成分が含有 れていてもよい。そのような成分の例を挙 ると、低分子材料又は高分子材料からなる 合剤(バインダー)、褪色防止剤、誘電体等が 挙げられる。なお、これらの成分は、1種で よく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率 併用してもよい。
 結合剤としては、例えば、セルロース誘導 、天然高分子物質、炭化水素系樹脂、ビニ 系樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアル ール、エポキシ樹脂等の有機高分子等を使 ことができる。
 褪色防止剤は記録層22の耐光性を向上させ ものである。褪色防止剤としては、通常は 重項酸素クエンチャーが用いられる。一重 クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、 記記録層材料(記録層22に含まれる褐色防止 以外の成分)に対して、通常0.1重量%以上、好 ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量% 上であり、また、通常50重量%以下、好まし は30重量%以下、より好ましくは25重量%以下 ある。

 記録層22の厚みは、通常5nm以上、好まし は10nm以上、より好ましくは20nm以上であり、 通常100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ま しくは40nm以下である。記録層22が薄すぎると 記録感度が低下する傾向があり、厚すぎると 良好な記録状態が得られない傾向がある。

 記録層22の形成方法に制限はないが、例え 、塗布法、真空蒸着法等で形成することが きる。中でも、塗布法で形成することが好 しい。
 塗布法で記録層22を形成する場合、色素を 成分として結合剤、クエンチャー等ととも 適切な溶剤に溶解して色素溶液(塗布液)を調 製し、前述の反射層23上に塗布し、乾燥させ ばよい。

 色素溶液中の主成分色素の濃度は、通常0 .01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より ましくは0.2重量%以上であり、通常10重量%以 下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2 重量%以下である。これにより、通常は1nm~100n m程度の厚みに記録層22が形成される。また、 記録層22の厚みを50nm未満としたい場合には、 色素溶液中の主成分色素の濃度を1重量%未満 することが好ましく、0.8重量%未満とするこ とがより好ましい。また、塗布をスピンコー ト法で行う場合は回転数を調整することも好 ましい。

 色素溶液を調製するための溶剤としては 例えば、エタノール、n-プロパノール、イ プロパノール、n-ブタノールジアセトンアル コール等のアルコール;テトラフルオロプロ ノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール(OF P)等のフッ素化炭化水素系溶剤;エチレングリ コールモノメチルエーテル、エチレングリコ ールモノエチルエーテル、プロピレングリコ ールモノメチルエーテル等のグリコールエー テル類;酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソル アセテート等のエステル;ジクロルメタン、 ロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルシ クロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフ ン、エチルエーテル、ジオキサン等のエー ル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン メチルイソブチルケトン等のケトン;などを 挙げることができる。具体的な溶剤の種類は 溶解すべき主成分色素材料等の溶解性を考慮 して適宜選択すればよい。また、溶剤は、1 でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び 率で併用してもよい。

 塗布方法としては、例えば、スプレー法 スピンコート法、ディップ法、ロ-ルコート 法等が挙げられる。中でも、ディスク状の光 記録媒体においては、スピンコート法が好ま しい。スピンコート法が好ましいのは、膜厚 の均一性を確保しかつ、欠陥密度を低減でき るためである。

 〔界面層30〕
 本実施形態においては、特に、記録層22と バー層24の間に適当な界面層30を設けること 、光学的に好ましい特性を得ることが出来 。
 界面層30は、例えば、金属、半導体等の酸 物、窒化物、炭化物、硫化物;マグネシウム( Mg)、カルシウム(Ca)等のフッ化物等の誘電体 合物;並びにそれらの混合物などの材料で形 することが好ましい。界面層30を形成する 料は、1種であってもよく、2種以上を任意の 組み合わせ及び比率で併用してもよい。

 界面層30の高い硬度及び厚みを調整するこ により、記録層22の変形(特に、カバー層24側 へのふくらみ変形)を促進したり、抑制した することができる。ふくらみ変形を有効に 用するためには、比較的、硬度の低い誘電 材料により界面層30を形成することが好まし い。具体例を挙げると、ZnO、In 2 O 3 、Ga 2 O 3 、ZnS、希土類金属の硫化物等に、他の金属又 は半導体の酸化物、窒化物又は炭化物等を混 合した材料が好ましい。
 また、界面層30は、プラスチックのスパッ 膜、炭化水素分子のプラズマ重合膜などに り形成することもできる。

 界面層30の屈折率は、記録層22及びカバー層 24の屈折率との差が1以下のものが好ましい。 界面層30の屈折率の値としては、1以上2.5以下 の範囲にあることが望ましい。
 また、界面層30の膜厚は、好ましくは1nm以 、より好ましくは5nm以上であり、また、好 しくは50nm以下、より好ましくは30nm以下であ る。

 〔カバー層24〕
 カバー層24は、通常、記録再生光ビーム27に 対して透明で複屈折の少ない材料で形成され る。具体的には、記録再生光ビーム27の波長 に対するカバー層24の透過率は、70%以上であ ることが好ましく、80%以上であることがより 好ましい。

 カバー層24は、例えば、プラスチック板(以 、適宜「シート」という)を接着剤で貼り合 せて形成できる。
 シートとして用いられるプラスチックは、 えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン アクリル、三酢酸セルロース、ポリエチレ テレフタレート等が挙げられる。シートの 着には、例えば、光硬化樹脂、放射線硬化 脂、熱硬化樹脂等の硬化性樹脂;感圧性の接 着剤などが用いられる。感圧性接着剤として は、例えば、アクリル系、メタクリレート系 、ゴム系、シリコン系、ウレタン系の各ポリ マーからなる接着剤を使用できる。

 カバー層24を形成する具体的な手順の例を げると、以下のものが挙げられる。
 例えば、接着層(カバー層を記録層22又は界 層30に接着する接着剤の層)を構成する光硬 性樹脂を適切な溶剤に溶解して塗布液を調 した後、この塗布液を記録層22又は界面層30 上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜上にポ リカーボネート等のシートを重ね合わせる。 その後、必要に応じて光記録媒体を回転させ るなどして塗布液をさらに延伸展開した後、 UVランプで紫外線を照射して光硬化性樹脂を 化させる。これにより、シートが記録層22 は界面層30に接着されてカバー層24が形成さ る。
 あるいは、例えば、感圧性接着剤をあらか めシートに塗布しておき、シートを記録層2 2又は界面層30上に重ね合わせた後、適度な圧 力で押さえつけて圧着してカバー層24を形成 る方法も挙げられる。

 前記接着剤としては、透明性、耐久性の 点から、アクリル系、メタクリレート系の リマー接着剤が好ましい。具体例を挙げる 、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ブチル アクリレート、iso-オクチルアクリレートな を主成分モノマーとし、これらの主成分モ マーを、アクリル酸、メタクリル酸、アク ルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシ エチルアクリレート、グリシジルアクリレ ト等の極性モノマーを共重合させたポリマ 接着剤が挙げられる。これらは、主成分モ マーの分子量の調整、その短鎖成分の混合 アクリル酸による架橋点密度の調整などに り、ガラス転移温度Tg、タック性能(低い圧 で接触させたときに直ちに形成される接着 )、剥離強度、せん断保持力等の物性を制御 ることができる。

 また、接着剤は、必要に応じて溶剤と混合 て使用する。溶剤の種類に制限はないが、 えばアクリル系ポリマーの溶剤としては、 酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、メチル チルケトン、シクロヘキサン等が用いられ 。
 さらに、接着剤は、その他の成分を含有し いてもよい。そのような成分の例を挙げる 、ポリイソシアネート系架橋剤などが挙げ れる。

 感圧性接着剤は、通常、シートの記録層22 に接する表面に所定量を均一に塗布され、 剤を乾燥させた後、記録層22側表面(界面層30 を有する場合は界面層30の表面)に貼り合わせ 、ローラー等により圧力をかけて硬化させる 。この場合、シートを光記録媒体の表面に接 着する際には、空気を巻き込んで泡を形成し ないように、真空中で貼り合せることが好ま しい。
 また、離型フィルム上に上記接着剤を塗布 て溶剤を乾燥した後、シートを貼り合わせ さらに離型フィルムを剥離してシートと接 層とを一体化した後、シートを光記録媒体 貼りあわせるようにしても良い。

 また、カバー層24は、例えば、材料を塗布 、光、放射線、熱等で硬化して形成するこ もできる。このように塗布法によってカバ 層24を形成する場合には、塗布法としては例 えばスピンコート法、ディップ法等が用いら れる。中でも、ディスク状の光記録媒体を形 成する場合には、スピンコート法を用いるこ とが好ましい。
 塗布法によりカバー層24を形成する場合、 バー層24の材料としては、ウレタン系、エポ キシ系、アクリル系の樹脂等を用いることが できる。通常は、これらの材料を塗布後、紫 外線、電子線、放射線を照射し、ラジカル重 合もしくは、カチオン重合を促進して硬化さ せて、カバー層24を形成する。

 カバー層24は、さらにその入射光側表面( 録再生光ビーム27が入射する面)29に、耐擦 性及び耐指紋付着性などの機能を付与する めに、厚さ0.1μm~50μm程度の層(ハードコート 等)を別途設けることもある。

 カバー層24の厚みは、記録再生光ビーム27 の波長λや対物レンズ28のNA(開口数)にもよる 、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.05 mm以上であり、好ましくは0.3mm以下、より好 しくは0.15mm以下の範囲である。なかでも、 着層(図示せず)及びハードコート層(図示せ )等の厚みを含む全体の厚みが、光学的に許 される厚み範囲となるようにすることが好 しい。例えば、いわゆるブルーレイ・ディ クでは、100μm±3μm程度以下に制御すること 好ましい。

 〔その他の構成〕
 本実施形態において、光記録媒体20は上述 た以外の構成を備えていてもよい。例えば 前述の記録層22とカバー層24と間に形成され 界面層30の他に、基板21、反射層23及び記録 22のそれぞれの界面に、相互の層の接触、 成材料の拡散防止、並びに、位相差及び反 率の調整のために界面層を形成することも きる。

 〔利点〕
 本実施形態の光記録媒体20は、記録層22の形 成材料として本発明の色素を用いているため 、高速記録特性と再生耐久性との両方を向上 させることができる。これは本発明の色素が 、再生時の光照射強度下では強い耐光性をも つ一方、しきい値以上の光エネルギーを投入 すると速やかに分解する、という優れた性質 を利用したものである。

 〔他の実施形態〕
 本発明の光記録媒体は、上述したもの以外 実施形態において実施してもよい。例えば 上述した光記録媒体において、反射層の膜 を薄くし、記録再生光ビームの略50%以上が 射層を透過するような薄さにすると、いわ る多層記録媒体が可能になる。この多層記 媒体は、基板上に、複数の記録層及び反射 (以下、記録層と反射層とを併せて情報層と 呼ぶことがある)を設けた光記録媒体である

 図2は、本発明の一実施形態としての多層記 録媒体を模式的に示す断面図である。なお、 図2においては溝形状の図示は省略している
 この光記録媒体100は基板101、反射層103、記 層102、中間層114、反射層113、記録層112及び バー層111がこの順に積層されて構成され、 録層102及び反射層103から情報層(L0層)が構成 され、記録層112及び反射層113から情報層(L1層 )が構成されている。即ち、記録再生光ビー 107が入射する側の情報層がL1層であり、記録 再生光ビーム107が入射する側から見て奥側に ある情報層がL0層である。そして、対物レン 108を介して記録層102,112に記録再生光ビーム 107を照射して、情報の記録及び再生が行われ る。

 L1層は、透過率が35%以上であることが好 しく、50%以上であることがより好ましい。 たがって、この透過率を実現するため、L1層 の反射層113が例えばAg合金で形成されている 合には、反射層113の膜厚は、通常1nm以上、 ましくは5nm以上であり、通常50nm以下、好ま しくは30nm以下、より好ましくは20nm以下であ 。このような透過性の高い反射層113は半透 反射層と呼ばれる。

 L0層とL1層との間には、それぞれの信号の混 信を防止するために、通常は透明な中間層114 が設けられる。
 この中間層114の厚みは光学系の構成に応じ 設定される。例えば、記録再生光ビーム107 波長λ=405nm、NA(開口数)=0.85の光学系では、 間層114の厚みは通常は約25μmである。なお、 この場合、カバー層111の厚みは通常は約75μm 度である。さらに、中間層114の厚み分布は ±2μm程度以下とすることが好ましい。

 これら以外の構成については、記録層102 び記録層112の少なくとも一方、好ましくは てに、本発明の色素が含まれていれば、本 施形態の光記録媒体100の構成は任意である 記録層102及び記録層112の少なくとも一方に 発明の色素が含有されることにより、本実 形態の光記録媒体100においても、高速記録 性と再生耐久性との両方を向上させること できる。

 なお、通常は、基板101、記録層102,記録層112 、反射層103、カバー層111などは、図1で説明 た光記録媒体20と同様の構成にすることがで きる。また、L0層とL1層とは、同一の層構成 あってもよく、異なる層構成であってもよ 。したがって、記録層102と記録層112とは、 の色素の種類及び含有量などが同じであっ もよく、異なっていてもよい。
 さらに、図示していないが、記録層112とカ ー層111との間には、図1で説明した光記録媒 体20と同様、界面層を設けることもできる。 た、記録層102と中間層114との間も同様に界 層を設けても良い。

 本実施形態の光記録媒体100は、主として 相変化を利用しているので、記録前後でL1 を透過する光量がほとんど変化しないこと 期待される。これは、L1層が記録・未記録で あるにかかわらず、L0層への透過光量、L0層 らの反射光量がほとんど変化しないことを 味し、L1層の状態に関わらず、安定的にL0層 の記録再生ができるので、好ましい。

[III.光記録方法]
 上述した光記録媒体20,及び光記録媒体100は 上記のように構成されているため、その情 の記録時には、カバー層24,及びカバー層111 の面から記録層22,記録層102,及び記録層112に 記録再生光ビーム27,及び記録再生光ビーム107 を照射して、情報の記録を行う。この際、記 録再生光ビーム27,及び記録再生光ビーム107と しては、波長380nm以上430nm以下のレーザー光 用いることが好ましい。このような波長が いレーザー光を使用することで、高密度に 報を記録することが可能となる。

 このような光記録を行うための光記録装置 基本構造は、従来の光記録装置と同じもの 用いることができる。例えば、フォーカス ーボ方式及びトラッキングサーボ方式は、 来公知の方式を適用できる。
 光記録装置では、集束ビームの焦点位置の ポットが、カバー層溝間部に照射され、ト ッキングサーボによって、該カバー層溝間 を追従するようになっていればよい。通常 、プッシュプル(Push-pull)信号が利用されて る。

 カバー層溝間部に記録を行う場合、集束 れた記録再生光ビームは、記録層の主成分 素を昇温・発熱せしめて、変質(膨張、分解 、昇華、溶融等)を起こさせる。マーク長変 記録を行う場合、記録再生光ビームのパワ (記録パワー)をマーク長に従って、強弱変調 させる。なお、マーク長変調方式は、特に制 限は無く、通常用いられるRun-Length-Limited符号 である、EFM変調(CD)、EFM+変調(DVD)、1-7PP変調( ルーレイ)等を適用できる。 

 ただし、HtoL極性信号を前提とした記録再 生系においては、LtoH記録に当たって、マー とスペースでの記録信号極性が逆になるよ に記録データ信号の極性を予め反転させて くことがある。これにより、記録後の信号 、見かけ上、HtoL極性の信号と同等にできる

 通常は、マーク部で記録パワーを高レベ Pwとし、マーク間(スペース)で低レベルPsと る。Ps/Pwは、通常0.5以下とする。Psは一回だ けの照射では、記録層に上記変質を生じさせ ないようなパワーであり、Pwに先行して記録 を予熱したりするために利用される。公知 記録パルスストラテジーは、本発明におい も適宜使用できる。例えば、記録マーク部 対応する記録パワーPw照射時間はさらに、 い時間で断続的に照射されたり、複数のパ ーレベルに変調したり、高レベルPwでの照射 後、低レベルPsでの照射に移行するまでの一 時間、低レベルPsよりもさらに低いパワー ベルPbを照射したりする等の記録ストラテジ ーが使用できる。

 以下、実施例を示して本発明について具 的に説明するが、本発明は以下の実施例に 定されるものではなく、本発明の要旨を逸 しない範囲において任意に変更して実施で る。

[実施例1]
(a)合成例
○カップラー合成

 上記構造式(1)で表される2H-1,4-benzothiazin-3( 4H)-one(和光純薬工業社製)12.39gをアセトン124ml 溶解させ、ここに水酸化カリウム6.31g、及 ヨウ化メチル15.97gを加えて、50℃~60℃で3時 撹拌した。反応溶液は冷却後、水300mlに注ぎ 、濃塩酸(12N塩酸水溶液)で中和をし、ここに 酸エチル350mlを加えて抽出した。

 抽出層(酢酸エチル層)は水で洗浄し、そ 後硫酸ナトリウムにより、1晩かけて乾燥さ た。抽出層はろ過後、エバポレーターで溶 を留去した。留去後、オレンジ色の液体の 下記構造式(2)で表される化合物(2)15.56gが得 れた。

 得られた化合物(2)はクロロホルム202mlに 解させ、0℃~5℃に冷却し、m-クロロ過安息香 酸42.02gを10℃以下に保つように少量ずつ添加 30分攪拌し、その後室温で1時間撹拌し、一 放置した。放置後、反応液はろ過し、濾液 炭酸水素ナトリウム7.5g/90ml水溶液を加えて 層とクロロホルム層を分離した。クロロホ ム層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ろ をし、エバポレーターで溶媒を留去させて 下記構造式(3)で表される化合物(3)を白色固 として15.36g得た。

○ジアゾ成分合成

 上記構造式(4)で表される3-アミノ-1,2,4-ト アゾール10gをエタノール150ml中に懸濁させ0 以下に冷却した。この溶液に塩化チオニル1 8.6gを冷却しながら滴下し、その後オイルバ で2時間還流させた。反応液は冷却後、水100m lに注ぎ、アンモニア水(8Nアンモニア水溶液) pHをアルカリ性にして固体を析出させた。 の後、エバポレーターでエタノールを留去 、残りの水溶液中の固体をろ過して、下記 造式(5)で表される化合物(5)を白色固体とし 9.75g得た。

○ジアゾカップリング
 上記化合物(5)3.9gを水47ml及び濃塩酸(12N塩酸 溶液)10.4gに撹拌溶解させ、0℃~5℃に冷却し 。ここに亜硝酸ナトリウム2.07g/10ml水溶液を 、反応容器内の温度を5℃以下に保つように 下してジアゾ化し、ジアゾ液を調製した。

 一方、別の容器に化合物(3)2.64g、酢酸ナト ウム7.5g、及び尿素1gをメタノール100ml及び水 33ml中に撹拌溶解させ、濃塩酸(12N塩酸水溶液) でpHを6に調整して0℃~5℃に冷却した。この溶 液に上記のジアゾ液を反応容器内の温度を5 以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、 温で撹拌を行い、反応液を濾過した。濾過 は無機塩を除くために水100mlに懸濁させ、10 程度撹拌し、ろ過した。得られたろ過物を 空中で加熱(50℃)乾燥させ、下記構造式(6)で 表される化合物(6)2.67gを得た。この化合物(6) クロロホルム中での最大吸光波長(λmax)は345 nm、モル吸光係数は1.9×10 4 L/molcmであった。なお、最大吸光波長及びモ 吸光係数は島津製作所社製U-3300により測定 た。

○錯体合成
 前記の方法で合成された化合物(6)0.34gをテ ラヒドロロフラン10mlに撹拌溶解し、不溶物 濾別後、濾液に酢酸ニッケル0.13gをメタノ ル2mlに溶解した溶液を滴下した。反応液は1 間撹拌後、水75mlに注ぎ、固体を析出させた 。その後ろ過し、ろ過物を真空中で加熱(50℃ )乾燥させ、下記構造式(7)で表される化合物(7 )0.23gを得た。

 化合物(7)のクロロホルム中の最大吸光波長( λmax)は406.5nm、モル吸光係数は4.1×10 4 L/molcmであった。

(b)耐光性の評価 
 上記化合物(7)をテトラフルオロプロパノー に溶解し、1重量%溶液を調製した。該溶液 濾過した溶解液を直径120mm、厚さ0.6mmの射出 形型ポリカーボネート樹脂基板(ディスク) に滴下し、スピナー法により塗布(500rpm)し、 塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜 最大吸収波長(λmax)は408nmであった。

 この色素を塗布したディスクの切片に、耐 性試験機(東洋精機製作所社製:サンテストXL S+)を使用して、Xeランプをブラックスタンダ ド温度63℃、550W/m 2 で40時間照射した。その後、Xeランプの照射 の最大吸光波長(λmax)での吸光度と、Xeラン の照射後の最大吸光波長(λmax)での吸光度と UV測定器でそれぞれ測定し、Xeランプの照射 前の最大吸光波長(λmax)での吸光度に対するXe ランプの照射後の最大吸光波長(λmax)での吸 度の割合(色素保持率、単位%)を求めて耐光 を評価した(数値が大きいほど耐光性が良好 ある)。得られた吸光度の割合(色素保持率) 、49.1%であった。

(c)記録特性用ディスクの作製と評価導入
 トラックピッチ0.32μm、溝幅約0.20μm、溝深 約40nmの案内溝を形成したポリカーボネート 脂製の基板上に、Ag 98.1 Nd 1.0 Cu 0.9 合金ターゲット(組成はいずれも原子%)をスパ ッタして厚さ約70nmの反射層を形成した。こ 反射層上に化合物(7)を、テトラフルオロプ パノール(TFP)で溶解し、0.7重量%にした色素 液をスピンコートで基板上に成膜した。

 スピンコート法の条件は、以下のとおり ある。すなわち、前記色素溶液0.6gをディス ク中央付近に環状に塗布し、ディスクを1160rp mで1.5秒間回転させ色素溶液を延伸し、その 、3000rpm~6000rpmで6秒回転させ、色素溶液を振 切ることにより塗布を行った。なお、塗布 にはディスクを、大気中、80℃の環境下に20 分間保持することで溶媒であるTFPを蒸発除去 した。その後、ITO(indium tin oxide)ターゲット スパッタして約20nmの厚みの界面層を形成し た。その上に、厚さ80μmのポリカーボネート 脂のシートと厚み20μmの感圧接着剤層とか なる合計100μmの透明なカバー層を貼り合わ た。

 光記録媒体の記録再生評価は、記録再生光 長λ=406nm、NA(開口数)=0.85、集束ビームスポ ト径約0.42μm(1/e 2 強度となる領域)の光学系を有するパルステ ク工業社製ODU1000テスターを用いて行った。 ィスクは、4.92m/s(1x記録)、9.83m/s(2x記録)、19. 67m/s(4x記録)のいずれかの線速度で回転させ、 適宜記録パワーおよびライトストラテジーを 変化させて記録を行った。再生は線速度を4.9 17m/sとし、再生パワーは0.30mWとした。記録に 、マーク変調信号(1-7PP)を用いた。基準クロ ック周期Tは15.15ns(チャンネルクロック周波数 66MHz)とした。ジッター測定は、記録信号をリ ミット・イコライザーにより波形等化した後 、2値化を行い、2値化した信号の立ち上がり ッジ及び立下りエッジと、チャンネルクロ ク信号に立ち上がりエッジとの時間差の分 σをタイムインターバルアナライザにより 定し、チャンネルクロック周期をTとして、 /Tにより測定した(データ・トゥー・クロッ ・ジッター Data to Clock Jitter)。これらの測 定条件は概ねブルーレイ・ディスクにおける 測定条件に準拠している。

 上記方法にて、各線速度でジッターが最小 なる記録パワー(最適記録パワー:Pwo)とその きのジッター値(ボトムジッター)を求めた ころ、1x記録では6.4%(Pwo=4.4mW)、2x記録では6.4% (Pwo=6.2mW)、4x記録では6.8%(Pwo=9.7mW)となり、い れの線速度でもブルーレイ・ディスクの規 基準(ボトムジッター7.0%以下)を満たす良好 記録状態が得られた。 
 この結果から、本実施例の化合物が青色レ ザー記録に対して極めて有用であり、かつ 光性にも優れていることがわかる。また、 光性が良好であることから、再生耐久性に れることも分かる。

[実施例2]
(a)合成例
 前述の化合物(6)0.34gをテトラヒドロフラン10 mlに撹拌溶解し、不溶物を濾別後、濾液に酢 コバルト0.13gをメタノール2mlに溶解させた 液を滴下した。反応液は1時間撹拌後、水75ml に注ぎ、固体を析出させ、ろ過を行った。ろ 過物を真空中で加熱(50℃)乾燥させ、下記構 式(8)で示される化合物(8)0.19gを得た。

 化合物のクロロホルム中の最大吸光波長(λm ax)は407.5nm、モル吸光係数は4.0×10 4 L/molcmであった。

(b)耐光性の評価
 上記化合物(7)の代わりに化合物(8)を用いる 外は実施例1と同様に塗布膜を作製した。こ の塗布膜の最大吸収波長(λmax)は412nmであった 。
 また、実施例1と同様に耐光性試験を実施し たところ、色素保持率は87.3%であった。

(c)記録特性用ディスクの作製と評価導入
 化合物(7)の代わりに化合物(8)を用いる以外 実施例1と同様に光記録媒体を作製し、記録 評価を行った。ジッター値(ボトムジッター) 求めたところ、1x記録では6.1%(Pwo=4.4mW)、2x記 録では6.0%(Pwo=6.0mW)、4x記録では6.6%(Pwo=9.4mW)と り、いずれの線速度でもブルーレイ・ディ クの規格基準(ボトムジッター7.0%以下)を満 す良好な記録状態が得られた。

[比較例1]
 比較のため、特許文献3に記載の合成方法を 参考に、化合物I-8bを合成し、光記録媒体と ての評価を行った。

(a)合成例

 上記構造式(9)で表される4-アミノアンチ リン2.03gを水16ml、及び濃塩酸(12N塩酸水溶液) 3.1gに撹拌溶解させ、0℃~5℃に冷却した。こ に亜硝酸ナトリウム0.76g/4ml水溶液を、反応 器内温度を5℃以下に保つように滴下してジ ゾ化し、ジアゾ溶液を調製した。

 一方、別の容器に前記化合物(3)2.01gをピリ ン36ml中に撹拌溶解させ0℃~5℃に冷却した。 の溶液に上記ジアゾ液を反応容器内温度を5 ℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、 室温で撹拌を行い、反応液を濾過した。濾過 物は水100mlに懸濁させて10分程度撹拌した後 過をした。続いて、前記と同様の作業(攪拌 及び濾過)をメタノール60mlで行い、ろ過物 洗浄を行った。該ろ過物を真空中で加熱(50 )乾燥させ、下記構造式(10)で表される化合物 (10)2.84gを得た。化合物(10)のクロロホルム中 の最大吸光波長(λmax)は407.5nm、モル吸光係数 は2.1×10 4 L/molcmであった。

○錯体合成
 前記の方法で合成された上記化合物(10)0.51g 及び酢酸ナトリウム0.1gをエタノール25mlに 濁させ、撹拌しながら加熱(還流)した。ここ に酢酸ニッケル0.16g/水3mlの溶液を滴下した。 反応液は1時間還流しながら撹拌し、冷却後 ろ過を行った。ろ過物を真空中で加熱(50℃) 燥させ、下記構造式(11)で表される化合物(11 )0.53gを得た。

 化合物(11)のクロロホルム中の最大吸光波長 (λmax)は414.5nm、モル吸光係数は7.0×10 4 L/molcmであった。

(b)耐光性の評価
 上記化合物(11)をテトラフルオロプロパノー ルに溶解し、1重量%溶液を調製しょうとした 、溶解性が低く溶け残りがあった。該溶け りを濾過し、得られた溶解液を直径120mm、 さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基 板上に滴下し、スピナー法により塗布(500rpm) 、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗 膜の最大吸収波長(λmax)は434.5nmであった。
 また、実施例1と同様の方法で耐光性試験を 実施したところ、色素保持率は5.3%で極めて いものであった。

(c)記録特性用ディスクの作製と評価導入 
 化合物(7)の代わりに化合物(11)を用いる以外 は実施例1と同様に光記録媒体を作製し、ま 同様の方法にて各線速度で記録再生の評価 実施した。その結果、ジッター値(ボトムジ ター)を求めたところ、1x記録では7.8%(Pwo=4.5m W)、2x記録では7.2%(Pwo=6.2mW)と、7%台のボトムジ ッターが得られたが、4x記録では8.5%(Pwo=9.9mW) なり、良好な記録特性は得られなかった。
 比較例1の結果から、本発明のアゾ化合物と カップラー部位が同様の構造でもジアゾ成分 部位が異なると、得られる光記録媒体の耐光 性も悪く、記録特性も良くないことがわかる 。

[比較例2]
(a)合成例
 金属塩として酢酸ニッケルの代わりに酢酸 バルト4水和物を用いた以外は比較例1と同 にして、下記構造式(12)で表される化合物(12) を合成した。

 化合物(12)のクロロホルム中での最大吸光波 長(λmax)は416nm、モル吸光係数は6.0×10 4 L/molcmであった。

(b)耐光性の評価
 上記化合物(12)をテトラフルオロプロパノー ルに溶解し、1重量%溶液を調製しようとした 、溶解性が低く溶け残りがあった。該溶け りを濾過し、得られた溶解液を直径120mm、 さ0.6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基 板上に滴下し、スピナー法により塗布(500rpm) 、塗布後、100℃で30分間乾燥した。この塗 膜の最大吸収波長(λmax)は428.5nmであった。
 また、実施例1と同様の方法で耐光性試験を 実施したところ、色素保持率は20.1%であった

(c)記録特性用ディスクの作製と評価導入
 化合物(7)の代わりに化合物(12)を用いる以外 は実施例1と同様に光記録媒体を作製し、ま 同様の方法にて各線速度で記録再生の評価 実施した。その結果、ジッター値(ボトムジ ター)を求めたところ、1x記録では11.0%(Pwo=5.0 mW)、2x記録では9.3%(Pwo=6.8mW)、4x記録では9.4%(Pwo =10.8mW)となり、いずれの記録速度においても 好な記録特性は得られなかった。

[比較例3]
 比較のため、特許文献2に記載の合成方法を 参考に、化合物(7)のカップラー部分のスルホ ニル基の箇所をケトン基の構造に置き換えた 4-ヒドロキシ-1-メチル-2-キノロン(東京化成工 業社製)をカップラーとして用い、下記化合 (13)を合成した。

 化合物(13)のクロロホルム中の最大吸収波長 (λmax)は433.5nm、モル吸光係数は4.0×10 4 L/molcmであった。

(b)耐光性の評価
 上記化合物(13)をテトラフルオロプロパノー ルに溶解し、1重量%溶液を調製した。該溶液 濾過し、得られた溶解液を直径120mm、厚さ0. 6mmの射出成形型ポリカーボネート樹脂基板上 に滴下し、スピナー法により塗布(500rpm)し、 布後、100℃で30分間乾燥した。この塗布膜 最大吸収波長(λmax)は438.5nmであった。
 また、実施例1と同様の方法で耐光性試験を 実施したところ、色素保持率は87.3%であった

(c)記録特性用ディスクの作製と評価導入 
 化合物(7)の代わりに化合物(13)を用いる以外 は実施例1と同様に光記録媒体を作製し、ま 同様の方法にて各線速度で記録再生の評価 実施した。その結果、ジッター値(ボトムジ ター)を求めたところ、1x記録では8.0%(Pwo=4.4m W)、2x記録では7.9%(Pwo=6.6mW)と、8%以下のボトム ジッターが得られたが、4x記録では9.5%(Pwo=10.7 mW)となり、ジッターおよび感度とも実施例1, び実施例2に記載の化合物に比べて大きく劣 っていた。

 本発明の色素であるアゾ金属キレート化合 は、光記録媒体の記録層に用いることによ 、高い線速度においても良好な記録特性を 揮し、且つ、十分な再生安定性を有し、光 録媒体として産業上有用である。
 なお、2008年5月30日に出願された日本特許出 願2008-143482号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。

 20,100 光記録媒体
 21,101 基板
 22,102,112 記録層
 23,103 反射層 24,111 カバー層
 25 カバー層溝間部
 26 カバー層溝部
 27,107 記録再生光ビーム
 28,108 対物レンズ
 29 記録再生光ビームが入射する面
 30 界面層
 113 半透明反射層
 114 中間層