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Patent Searching and Data


Title:
BALL SCREW AND METHOD FOR MANUFACTURING THE BALL SCREW
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139702
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a ball screw, which can realize suppressed formation of an intergranular oxide layer upon heat treatment and can realize excellent durability, and a method for manufacturing the ball screw. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A method for manufacturing a ball screw, comprising a step (L1) of providing a nut (1) formed of a case-hardened steel and opening a predetermined inner peripheral face by drilling in the center of the material, a step (L2) of finishing the outer peripheral face and inner peripheral face of the material with a cutting tool, a step (L3) of subjecting a ball transfer groove to point turning with a general-purpose cutting tool, a step (L4) of subjecting the turned work to vacuum carburizing and quenching, and a step (L5) of then subjecting the ball transfer groove to shot blasting. The method can suppress the occurrence of a surface abnormal texture such as an intergranular oxide layer and a softening layer on the surface layer as compared with the conventional gas carburizing, can improve the fatigue resistance and abrasion resistance, and, at the same time, can eliminate the need to provide the step of improving the surface roughness and adding compression residual stress, for example, by shot peening after the heat treatment, and can realize quality stabilization and a total cost reduction.

Inventors:
TATEISHI KOJI (JP)
YOSHIDA HIRAKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001077
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
April 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
TATEISHI KOJI (JP)
YOSHIDA HIRAKAZU (JP)
International Classes:
F16H25/22; B23G1/02; B23G1/32; C21D1/06; C21D9/00; F16H25/24
Foreign References:
JP2007071279A2007-03-22
JP2006022848A2006-01-26
JP2006349058A2006-12-28
JP2006283931A2006-10-19
Attorney, Agent or Firm:
KOSHIKAWA, Takao (111-2 Itayamachi, Naka-ku, Hamamatsu-sh, Shizuoka 91, JP)
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Claims:
 内周面に螺旋状のボール転走溝が形成されたナットと、
 このナットに内嵌され、外周面に螺旋状のボール転走溝が形成されたねじ軸と、
 対向する両ねじ溝によりボール転動路が構成され、このボール転動路に転動自在に収容された多数のボールとを備えたボールねじにおいて、
 前記ナットが肌焼き鋼からなり、前記ボール転走溝が切削加工によって形成されると共に、後加工なしで真空浸炭焼入れによって表面が硬化処理されていることを特徴とするボールねじ。
 前記ねじ軸が肌焼き鋼から形成され、ボール転走溝が転造加工によって形成されると共に、後加工なしで真空浸炭焼入れによって表面が硬化処理されている請求項1に記載のボールねじ。
 内周面に螺旋状のボール転走溝が形成されたナットと、
 このナットに内嵌され、外周面に螺旋状のボール転走溝が形成されたねじ軸と、
 対向する両ねじ溝によりボール転動路が構成され、このボール転動路に転動自在に収容された多数のボールとを備えたボールねじの製造方法において、
 前記ナットが肌焼き鋼からなり、前記ボール転走溝が汎用バイトで旋削される工程と、この旋削されたワークが真空浸炭焼入れされる工程とが含まれていることを特徴とするボールねじの製造方法。
 前記ボール転走溝が、切刃のノーズ半径が前記ボール転走溝の溝曲率半径よりも小さな汎用バイトを用い、この汎用バイトを前記ボール転走溝の有効長さ分だけ複数回移動させて、各回の移動経路を前記ボール転走溝の断面形状の円弧方向に順次ずらせることにより当該ボール転走溝全体が旋削される請求項3に記載のボールねじの製造方法。
 前記真空浸炭焼入れ後、前記ボール転走溝にショットブラストまたはタンブラー処理が施される請求項3または4に記載のボールねじの製造方法。
Description:
ボールねじおよびその製造方法

 本発明は、自動車の電動パワーステアリ グ装置や電動アクチュエータ等に用いられ 多数のボールが転動する螺旋状のボール転 溝が形成されたボールねじおよびその製造 法に関するものである。

 ボールねじは、外周に螺旋状のボール転 溝が形成されたボールねじ軸と、円筒面内 螺旋状のボール転走溝が形成されたボール じナットと、対応する両ボール転走溝で構 されたボール転動路内に転動自在に収容さ た多数のボールとからなり、ボールねじ軸 るいはボールねじナットの回転を軸方向の 進運動に変換する機械要素である。

 従来、このボールねじナットは、切削と 削とによって内周にボール転走溝が形成さ るのが一般的である。すなわち、ドリルを いて素材に下孔が開けられ、バイトでこの 穴の周面に螺旋状のボール転走溝が切削加 される。次に、浸炭焼入れ等の熱処理が行 れた後、円筒研削盤等で外径部の研削加工 行われ、最後に砥石を用いて切削されたボ ル転走溝の表面が研削加工される。

 最近、自動車用アクチュエータ等に使用 れるボールねじにおいては、ボールねじの 価格化の要求が強く、種々なボールねじが 案されている。その中で、例えば、図7に示 すように、素材の中心に所定の内周面をドリ ル加工で開ける工程P1と、素材の外周面およ 内周面をバイトで仕上げ加工する工程P2と 内周面にタッピング工具を挿入し、ボール 走溝を切削加工する工程P3と、ボール転走溝 を浸炭焼入れして所定の硬化層を形成する熱 処理工程P4と、この熱処理工程の後にスチー ビーズによるショットピーニング処理を行 工程P5とを備えたボールねじナットの製造 法が提案されている。

 この製造方法を採用することにより、従来 ような砥石を用いてボール転走溝を研削す 研削工程が必要なくなり、加工コストの低 を図ると共に、ショットピーニング処理に り、表面に粒界酸化層等の異常層を排除し がら、表面硬さや圧縮残留応力等の長寿命 に影響する表面特性を改善することができ 。

特開2005-90570号公報

 こうした従来のボールねじナットの製造 法では、ナットのボール転走溝が熱処理後 研削加工されなくても、ショットピーニン 処理により、表面に粒界酸化層等の異常層 排除される。然しながら、図8に模式的に示 すように、ショットピーニング処理を行う工 程で、スチールビーズ等からなるメディアを ナットのボール転走溝に投射した場合、この メディアが直接当らない領域が発生する。こ のため、投射方向を反転させて再度メディア を投射する必要がある。これでは、加工工数 が嵩んで製造コストが高騰すると共に、メデ ィアが2回当る領域と1回当る領域およびこれ の領域の境界領域との間の表面性状に差異 生じるだけでなく、形状崩れが発生して寸 ・精度が損なわれる恐れがあった。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たもので、熱処理時に発生する粒界酸化層 抑制し、耐久性に優れたボールねじおよび の製造方法を提供することを目的とする。

 係る目的を達成すべく、本発明のうち請 項1に記載の発明は、内周面に螺旋状のボー ル転走溝が形成されたナットと、このナット に内嵌され、外周面に螺旋状のボール転走溝 が形成されたねじ軸と、対向する両ねじ溝に よりボール転動路が構成され、このボール転 動路に転動自在に収容された多数のボールと を備えたボールねじにおいて、前記ナットが 肌焼き鋼からなり、前記ボール転走溝が切削 加工によって形成されると共に、後加工なし で真空浸炭焼入れによって表面が硬化処理さ れている。

 このように、ナットが肌焼き鋼から形成 れ、ボール転走溝が切削加工によって形成 れると共に、後加工なしで真空浸炭焼入れ よって表面が硬化処理されているので、処 後は処理前と同様、銀白色の表面状態が維 できると共に、酸化成分が排気されるので 通常のガス浸炭に比べ表層に粒界酸化層が 生するのを抑制でき、表面異常組織や軟化 が存在しない。したがって、耐疲労性や耐 耗性が向上し、耐久性に優れたボールねじ 提供することができる。

 好ましくは、請求項2に記載の発明のよう に、前記ねじ軸が肌焼き鋼から形成され、ボ ール転走溝が転造加工によって形成されると 共に、後加工なしで真空浸炭焼入れによって 表面が硬化処理されていれば、低コスト化を 図ると共に、耐疲労性や耐摩耗性が向上し、 耐久性に優れたボールねじを提供することが できる。

 また、本発明のうち請求項3に記載の方法 発明は、内周面に螺旋状のボール転走溝が形 成されたナットと、このナットに内嵌され、 外周面に螺旋状のボール転走溝が形成された ねじ軸と、対向する両ねじ溝によりボール転 動路が構成され、このボール転動路に転動自 在に収容された多数のボールとを備えたボー ルねじの製造方法において、前記ナットが肌 焼き鋼からなり、前記ボール転走溝が汎用バ イトで旋削される工程と、この旋削されたワ ークが真空浸炭焼入れされる工程とが含まれ ている。

 このような製造方法を採用することによ 、通常のガス浸炭に比べ表層に粒界酸化層 の表面異常組織や軟化層の発生を抑え、耐 労性や耐摩耗性を向上させると共に、熱処 後のショットピーニング等で表面粗さの改 や圧縮残留応力を付加する工程が不要とな 、品質の安定とトータルコストを低減させ ことができる。

 好ましくは、請求項4に記載の発明のよう に、前記ボール転走溝が、切刃のノーズ半径 が前記ボール転走溝の溝曲率半径よりも小さ な汎用バイトを用い、この汎用バイトを前記 ボール転走溝の有効長さ分だけ複数回移動さ せて、各回の移動経路を前記ボール転走溝の 断面形状の円弧方向に順次ずらせることによ り当該ボール転走溝全体が旋削されれば、所 望の寸法・精度と良好な表面粗さを確保する ことができると共に、熱処理後の研削加工あ るいは旋削加工を廃止することができ、低コ スト化を図ることができる。

 また、請求項5に記載の発明のように、前 記真空浸炭焼入れ後、前記ボール転走溝にシ ョットブラストまたはタンブラー処理が施さ れれば、切削加工によって発生したボール転 走溝のバリを効果的に除去することができる 。

本発明に係るボールねじは、内周面に螺旋 状のボール転走溝が形成されたナットと、こ のナットに内嵌され、外周面に螺旋状のボー ル転走溝が形成されたねじ軸と、対向する両 ねじ溝によりボール転動路が構成され、この ボール転動路に転動自在に収容された多数の ボールとを備えたボールねじにおいて、前記 ナットが肌焼き鋼からなり、前記ボール転走 溝が切削加工によって形成されると共に、後 加工なしで真空浸炭焼入れによって表面が硬 化処理されているので、処理後は処理前と同 様、銀白色の表面状態が維持できると共に、 酸化成分が排気されるので、通常のガス浸炭 に比べ表層に粒界酸化層が発生するのを抑制 でき、表面異常組織や軟化層が存在しない。 したがって、耐疲労性や耐摩耗性が向上し、 耐久性に優れたボールねじを提供することが できる。

 また、本発明に係るボールねじの製造方 は、内周面に螺旋状のボール転走溝が形成 れたナットと、このナットに内嵌され、外 面に螺旋状のボール転走溝が形成されたね 軸と、対向する両ねじ溝によりボール転動 が構成され、このボール転動路に転動自在 収容された多数のボールとを備えたボール じの製造方法において、前記ナットが肌焼 鋼からなり、前記ボール転走溝が汎用バイ で旋削される工程と、この旋削されたワー が真空浸炭焼入れされる工程とが含まれて るので、通常のガス浸炭に比べ表層に粒界 化層等の表面異常組織や軟化層の発生を抑 、耐疲労性や耐摩耗性を向上させると共に 熱処理後のショットピーニング等で表面粗 の改善や圧縮残留応力を付加する工程が不 となり、品質の安定とトータルコストを低 させることができる。

 内周面に螺旋状のボール転走溝が形成さ たナットと、このナットに内嵌され、外周 に螺旋状のボール転走溝が形成されたねじ と、対向する両ねじ溝によりボール転動路 構成され、このボール転動路に転動自在に 容された多数のボールとを備えたボールね の製造方法において、前記ナットが肌焼き からなり、素材の中心に所定の内周面がド ル加工で開けられる工程と、素材の外周面 よび内周面がバイトで仕上げ加工される工 と、前記ボール転走溝が汎用バイトでポイ ト旋削される工程と、この旋削されたワー が真空浸炭焼入れされる工程と、この後、 記ボール転走溝にショットブラスト処理さ る工程とからなる。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基いて 細に説明する。
 図1は、本発明に係るボールねじの一実施形 態を示す縦断面図である。

 ボールねじは、内周面1aに螺旋状のボー 転走溝2が形成されたナット1と、このナット 1に内嵌され、外周面に螺旋状のボール転走 4が形成されたねじ軸3と、対向する両ねじ溝 2、4によりボール転動路が構成され、ナット1 のボール転走溝2を連結する連結溝5が形成さ た駒部材6と、ボール転動路に転動自在に収 容された多数のボール7とを備えている。そ て、駒部材6によってボール7が無限循環する ことができる。

 このボールねじにおけるナット1およびね じ軸3はSCM430等の肌焼き鋼からなり、ボール 走溝2、4が、後述する汎用バイト8によるポ ント切削により形成されている。なお、ボ ル循環方式は駒式に限らず、リターンチュ ブ式やエンドキャップ式であっても良い。

 ここで、ボール転走溝2、4は、ボール7の 径よりも僅かに大きい曲率半径の2つの円弧 を組み合わせた、所謂ゴシックアーク溝に形 成されている。このボール転走溝2、4の断面 状はサーキュラアーク形状であっても良い 、ボール7との接触角が大きくとれ、アキシ アルすきまを小さく設定できるゴシックアー ク形状が好ましい。これにより、軸方向荷重 に対する剛性が高くなり、かつ振動を抑制す ることができる。

 図2に、本実施形態におけるナット1の製 工程を示す。最初に、円柱状の素材の中心 所定の内周面1aがドリル等で形成される(L1) 次に、素材の外周面および内周面1aが切削バ イトで仕上げ加工される(L2)。そして、ナッ 1の内周面1aに汎用バイト8が挿入され、それ れの位相をNC制御しながらポイント切削さ る(L3)。その後、真空浸炭焼入れによる熱処 が行われ(L4)、最終的にボール転走溝2にシ ットブラスト処理が施される(L5)。

 ここで、ポイント切削は、図3に示すよう に、生材の筒状ワークW(1)が図示しない旋盤 主軸チャックで把持され、所定の方向に回 された状態で汎用バイト8によって旋削加工 れる。この汎用バイト8は、径方向に進退自 在に、かつ軸方向に移動自在に支持されたホ ルダー9に固定されている。そして、汎用バ ト8の切刃8aのノーズ半径R2が、ボール転走溝 2の溝曲率半径R1よりも小さな汎用バイト8を い、所謂ポイント切削で行われる。すなわ 、この汎用バイト8をボール転走溝2の有効長 さ分だけ複数回移動させて、各回の移動経路 をボール転走溝2の円弧方向に順次ずらせる とによりボール転走溝2の成形が行われる。

 次に、図4(a)~(j)を用いてボール転走溝2の加 工程を詳細に説明する。
 図4(a)は、旋削加工前の棒状の生材を示し、 (b)~(d)の順に、切刃8aがワークWの軸心方向に られて、ボール転走溝2の概略形状が汎用バ ト8の切刃8aによって成形される。ここで、 刃8aのノーズ半径R2をボール転走溝2の溝曲 半径R1に近付けて寸法設定することにより、 切刃8aを軸方向に移動させることなくボール 走溝2の概略形状が得られ、加工時間を短縮 することができる。

 そして、図4(e)に示すように、ボール転走 溝2aの旋削加工がある程度進んだ段階でポイ ト切削が開始される。(e)~(j)に示すように、 切刃8aをボール転走溝2の有効長さ分だけ複数 回移動させて、各回の移動経路をボール転走 溝2の円弧方向に順次ずらせることによりボ ル転走溝2の全体形状が旋削される。本実施 態では、ボール転走溝2がゴシックアーチ形 状であっても、汎用バイト8の切刃8aのノーズ 半径R2がボール転走溝2の溝曲率半径R1よりも さく設定されているので、加工するボール 走溝2と対向するボール転走溝2に干渉する とはない。

 ここで、図5に示すように、ボール転走溝 2の肩部10が所定の曲率半径rからなる円弧状 形成されている。そして、この肩部10は、ボ ール転走溝2のポイント切削と同一の汎用バ ト8によって形成されている。すなわち、ボ ル転走溝2のポイント切削と同様、図6に示 ように、汎用バイトの複数回の移動におい 、切刃8aのノーズ半径R2の中心軌跡Lに沿って 移動経路をずらすことにより、ノーズ半径R2 延長上に肩部10の曲率中心Oが位置する状態 形成されている。

 このように、本実施例では、切刃8aのノ ズ半径R2をボール転走溝2の溝曲率半径R1より も小さくしてボール転走溝2がポイント切削 よって成形加工されると共に、肩部10が、ボ ール転走溝2のポイント切削と同一の汎用バ ト8によって連続して形成されているので、1 工程のポイント切削によってボール転走溝2 肩部10の成形加工を完了させることができる と共に、ボール転走溝2と肩部10との繋ぎ部を 滑らかに形成することができ、ボール7の循 がスムーズになり、作動性に優れ、加工コ トを低減したナット1を提供することができ 。

 さらに、本実施例では、ポイント切削に ってボール転走溝2の成形加工を完了させた 後、熱処理によってその表面に55~62HRCの範囲 硬化層が形成されている。熱処理は、非常 酸素が少ない状態で浸炭および焼入れされ 真空浸炭焼入れによって行われる。これに り、処理後は処理前と同様、銀白色の表面 態が維持できると共に、酸化成分が排気さ るので、通常のガス浸炭に比べ表層に粒界 化層が発生するのを抑制でき、表面異常組 や軟化層が存在しない。したがって、耐疲 性や耐摩耗性が向上し、耐久性に優れたボ ルねじを提供することができる。また、熱 理後のショットピーニング等で表面粗さの 善や圧縮残留応力を付加する工程が不要と り、品質の安定とトータルコストを低減さ ることができる。

 表1および表2に、本出願人が実施した耐 試験結果を示す。ここで、供試品は、軸径 φ10、ボール転走溝2、4のリードが3mm、ボー 7の外径がφ2.0、駒式の循環方式で、循環列 2列である。なお、ねじ軸3は、転造加工によ りボール転走溝4が形成され、後加工するこ なく、ナット1と同様、真空浸炭焼入れが施 れている。

 また、試験条件は、ばね荷重によるダブル ット定圧方式で軸方向荷重が690N、回転数は 500rpm、ストロークは片側6mm(往復12mm)、ブレア による加熱方式で環境温度が100℃、そして、 総往復回数が20万回(4×10 5 rev)に設定されている。

 (表1)

 (表2)

 表1から明らかなように、通常のガス浸炭 焼入れされたナットに比べ、剥離は発生せず 、また、すきま拡大量も1.5μm以下に抑えるこ とができ、耐疲労性や耐摩耗性が向上するこ とが判った。さらに、表2に示すように、ね 軸3やボール7も剥離等の異常は認められず、 真空浸炭品の方が耐久性に優れていることを 検証することができた。

 本実施形態では、熱処理後、ナット1のボ ール転走溝2にショットブラスト処理が施さ ている。このショットブラスト処理は、 金 属、石、木材、ガラス、樹脂などに粉末状の 研磨材を衝突させることにより表面処理を行 う加工法で、圧縮エアーで投射する方法と、 インペラー等を高速回転させて研磨材を投射 する機械式があるが、直線的にピンポイント 投射が可能なエアー方式が好ましい。また、 投射する研磨材も種々な種類と粒度があり、 アルミナ系、スチール系、ガラス系等がある が、ここでは、スチール系が用いられている 。

 本実施形態では、真空浸炭による熱処理 採用したので、従来のショットピーニング 理までは不要となり、切削加工によって発 したボール転走溝2や駒窓あるいは駒窓周辺 のバリを効果的に除去することができ、低コ スト化を図ることができると共に、駒部材6 挿入を良好に、また、ボール7の循環をスム ズにすることができる。なお、ショットブ スト処理に代わってタンブラー処理により リ取りを行っても良い。

 以上、本発明の実施の形態について説明 行ったが、本発明はこうした実施の形態に 等限定されるものではなく、あくまで例示 あって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことであり、本発明の範囲は、 許請求の範囲の記載によって示され、さら 特許請求の範囲に記載の均等の意味、およ 範囲内のすべての変更を含む。

 本発明に係るボールねじは、特に自動車 の車両に用いられる自動マニュアルトラン ミッション、電動ブレーキ、電動パワース アリング、エンジン動弁系制御アクチュエ タに適用でき、また、電動ショックアブソ バやCVTプーリの幅制御用のアクチュエータ も適用することができる。

本発明に係るボールねじの一実施形態 示す縦断面図である。 本発明に係るボールねじのナットの製 工程を示す工程図である。 本発明に係るナットのボール転走溝加 状態を示す説明図である。 (a)~(j)は、本発明に係るナットのボール 転走溝の加工工程を示す拡大断面図である。 同上、ボール転走溝を示す要部拡大図 ある。 図5のボール転走溝における肩部の切削 加工を示す概念図である。 従来のボールねじのナットの製造方法 示す工程図である。 同上、ナットのショットピーニング処 を示す模式図である。

符号の説明

1・・・・・・・・・・・・・・・ナット
1a・・・・・・・・・・・・・・内周面
2、4・・・・・・・・・・・・・ボール転走
3・・・・・・・・・・・・・・・ねじ軸
3a・・・・・・・・・・・・・・外周面
5・・・・・・・・・・・・・・・連結溝
6・・・・・・・・・・・・・・・駒部材
7・・・・・・・・・・・・・・・ボール
8・・・・・・・・・・・・・・・汎用バイ
8a・・・・・・・・・・・・・・切刃
9・・・・・・・・・・・・・・・ホルダー
10・・・・・・・・・・・・・・肩部
L・・・・・・・・・・・・・・・切刃のノ ズ半径の中心軌跡
L1、L2、L3、L4、L5・・製造工程
O・・・・・・・・・・・・・・・肩部の曲 中心
P1、P2、P3、P4、P5・・製造工程
R1・・・・・・・・・・・・・・ボール転走 の溝曲率半径
R2・・・・・・・・・・・・・・切刃のノー 半径
r・・・・・・・・・・・・・・・肩部の曲 半径
W・・・・・・・・・・・・・・・ワーク