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Patent Searching and Data


Title:
BASE FILM FOR LIQUID PRESSURE TRANSFER PRINTING, METHOD FOR PRODUCTION OF BASE FILM FOR LIQUID PRESSURE TRANSFER PRINTING, AND LIQUID PRESSURE TRANSFER METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143287
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a base film for use in liquid pressure transfer printing, which has excellent suitability for printing and excellent transfer efficiency. Also disclosed is a liquid pressure transfer method using the base film. Specifically disclosed is a base film for use in liquid pressure transfer printing, which comprises a polyvinyl alcohol film and has a curl area ratio of 30% or less as measured 25 seconds after the film is floated on the surface of a liquid. The base film can be used in a continuous or batch-wise liquid pressure transfer method.

Inventors:
OOKUBO MASANORI
MIZUTANI TOMOYOSHI
KITAMURA SHUICHI
Application Number:
PCT/JP2008/059355
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
OOKUBO MASANORI
MIZUTANI TOMOYOSHI
KITAMURA SHUICHI
International Classes:
B44C1/175; C08J5/18; C08L29/04
Foreign References:
JP2005060636A2005-03-10
JP2002301899A2002-10-15
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 ポリビニルアルコール系フィルムを含む液圧転写印刷用ベースフィルムであって、該ベースフィルムを液面に浮かべてから25秒後のカール面積率が30%以下であることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ベースフィルムを液面に浮かべてから30秒後の扁平率が30%以下であることを特徴とする請求項1記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系フィルムの水分率が2~6重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂(A)と架橋剤(B)を含有するフィルム形成材料から形成されることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とフィラー(C)を含有するフィルム形成材料から形成されることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂(A)と可塑剤(D)を含有するフィルム形成材料から形成されることを特徴とする請求項1~5いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系樹脂(A)の4重量%水溶液の平均粘度が、20℃において10~70mPa・sであり、かつポリビニルアルコール系樹脂(A)の平均ケン化度が70~98モル%であることを特徴とする請求項4~6いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系フィルムの厚みが、20~50μmであることを特徴とする請求項1~7いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有するフィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延し、乾燥してフィルム状化した後、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面に熱処理を行うことを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
 ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有するフィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延し、乾燥してフィルム状化した後、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面に熱処理を行うことを特徴とする請求項1~8いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
 請求項1~8いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム面に所定の意匠を印刷する工程、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する工程、上記液圧転写印刷用ベースフィルムの流れ方向に対し幅方向に1.5倍以下の規制を設けて、意匠印刷面を上方にして液圧転写印刷用ベースフィルムを液面に浮かべて移動させる工程及び上記液圧転写印刷用ベースフィルムの上方から被転写体を押し当ててベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体に転写する工程を含むことを特徴とする液圧転写方法。
 請求項1~8いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム面に所定の意匠を印刷する工程、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する工程、上記液圧転写印刷用ベースフィルムに対して縦横それぞれの方向に1.5倍以下の縦横規制を設けて、意匠印刷面を上方にして液圧転写印刷用ベースフィルムを液面に浮かべる工程及び静止状態にて上記液圧転写印刷用ベースフィルムの上方から被転写体を押し当ててベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体に転写する工程を含むことを特徴とする液圧転写方法。
Description:
液圧転写印刷用ベースフィルム 液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法 よび液圧転写方法

 本発明は、液面、とりわけ水面に浮かべ 使用し、フィルム面に印刷された意匠を被 写体に対して円滑に転写することのできる 圧転写印刷用ベースフィルム、その製造方 およびそれを用いた液圧転写方法に関する のである。

 従来から、水圧転写印刷用ベースフィル としては、ポリビニルアルコール系樹脂を 成材料とするポリビニルアルコール系樹脂 ィルムが用いられている。そして、上記ポ ビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて つぎのようにして水圧転写方法に供されて る。すなわち、上記ポリビニルアルコール 樹脂フィルム面に所望の意匠を印刷し、上 意匠印刷面を上方にして水面に浮かべ、フ ルム上方から被転写体を意匠印刷面に押し てて被転写体に意匠を転写させることが行 れている。

 このような水圧転写方法において、例え 、ベースフィルムとして、ポリビニルアル ール系樹脂を主成分とし、示差走査型熱量 (DSC)で測定される吸熱曲線において150℃以 に吸熱ピークを2個有し、かつそのピーク温 差が32℃以内であるベースフィルム(特許文 1参照。)や、重合度500~3000、ケン化度80~99.9 ル%のポリビニルアルコールからなり、水分 が1.5~4.0%であり、厚みが20~50μm、フィルムの 長手方向に50℃で8.0kg/mの張力を1分間かけた の幅収縮率が0.01~1.5%であるベースフィルム( 許文献2参照)を用いることにより、高精細 転写印刷を可能とすることが開示されてい 。

特開2002-301899号公報

特開2005-60636号公報

 しかしながら、上記特許文献1及び2をは めとする従来のポリビニルアルコール系樹 フィルムを用いた水圧転写方法では、意匠 刷されたベースフィルムを水面に浮かべた に、ベースフィルムが伸びてしまったり、 ールしてしまったりすることがあり、イメ ジ通りの印刷がしづらいと言った転写印刷 性の問題がある。また、カールの発生は意 の転写印刷の生産性においても問題となっ いる。特に、近年では、意匠の印刷が多層 刷であったり、また耐久性に優れた印刷用 ンキが用いられるようになったりして、フ ルムの意匠印刷面と非印刷面の吸水性に差 生じ、その結果、カールの発生が一層顕著 なり大きな問題となっている。

 本発明は、このような事情に鑑みなされ もので、転写印刷適性に優れ、かつ転写効 (生産性)に優れた液圧転写印刷用ベースフ ルム、その製造方法およびそれを用いた液 転写方法の提供を目的とする。

 しかるに、本発明者等が上記の目的を達 するため、鋭意検討を重ねた結果、ベース ィルムのカール面積率が重要であることを き止め、従来よりも低いカール面積率とな うるベースフィルムを用いることにより転 印刷適性に優れ、更に転写印刷効率に優れ ことを見出し、本発明を完成した。

 本発明はこのような知見に基づいて達成 れたものであり、その要旨は以下の通りで る。

[1] ポリビニルアルコール系フィルムを含む 圧転写印刷用ベースフィルムであって、該 ースフィルムを液面に浮かべてから25秒後 カール面積率が30%以下であることを特徴と る液圧転写印刷用ベースフィルム。
[2] ベースフィルムを液面に浮かべてから30 後の扁平率が30%以下であることを特徴とす [1]記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
[3] ポリビニルアルコール系フィルムの水分 が2~6重量%の範囲内であることを特徴とする [1]または[2]記載の液圧転写印刷用ベースフィ ルム。
[4] ポリビニルアルコール系フィルムが、ポ ビニルアルコール系樹脂(A)と架橋剤(B)を含 するフィルム形成材料から形成されること 特徴とする[1]~[3]いずれか記載の液圧転写印 刷用ベースフィルム。
[5] ポリビニルアルコール系フィルムが、ポ ビニルアルコール系樹脂(A)とフィラー(C)を 有するフィルム形成材料から形成されるこ を特徴とする[1]~[4]いずれか記載の液圧転写 印刷用ベースフィルム。
[6] ポリビニルアルコール系フィルムが、ポ ビニルアルコール系樹脂(A)と可塑剤(D)を含 するフィルム形成材料から形成されること 特徴とする[1]~[5]いずれか記載の液圧転写印 刷用ベースフィルム。
[7] ポリビニルアルコール系樹脂(A)の4重量% 溶液の平均粘度が、20℃において10~70mPa・sで あり、かつポリビニルアルコール系樹脂(A)の 平均ケン化度が70~98モル%であることを特徴と する[4]~[6]いずれか記載の液圧転写印刷用ベ スフィルム。
[8] ポリビニルアルコール系フィルムの厚み 、20~50μmであることを特徴とする[1]~[7]いず か記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。

[9] ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有す フィルム形成材料を製膜ベルト上または製 ドラム上に流延し、乾燥してフィルム状化 た後、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接す 面と反対側となる面に熱処理を行うことを 徴とする液圧転写印刷用ベースフィルムの 造方法。
[10] ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有す るフィルム形成材料を製膜ベルト上または製 膜ドラム上に流延し、乾燥してフィルム状化 した後、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接す る面と反対側となる面に熱処理を行うことを 特徴とする[1]~[8]いずれか記載の液圧転写印 用ベースフィルムの製造方法。

[11] [1]~[8]いずれか記載の液圧転写印刷用ベ スフィルム面に所定の意匠を印刷する工程 上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する 程、上記液圧転写印刷用ベースフィルムの れ方向に対し幅方向に1.5倍以下の規制を設 て、意匠印刷面を上方にして液圧転写印刷 ベースフィルムを液面に浮かべて移動させ 工程及び上記液圧転写印刷用ベースフィル の上方から被転写体を押し当ててベースフ ルム面に印刷された意匠を被転写体に転写 る工程を含むことを特徴とする液圧転写方 。
[12] [1]~[8]いずれか記載の液圧転写印刷用ベ スフィルム面に所定の意匠を印刷する工程 上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する 程、上記液圧転写印刷用ベースフィルムに して縦横それぞれの方向に1.5倍以下の縦横 制を設けて、意匠印刷面を上方にして液圧 写印刷用ベースフィルムを液面に浮かべる 程及び静止状態にて上記液圧転写印刷用ベ スフィルムの上方から被転写体を押し当て ベースフィルム面に印刷された意匠を被転 体に転写する工程を含むことを特徴とする 圧転写方法。

 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム 、ポリビニルアルコール系フィルムを含み 該ベースフィルムを液面に浮かべてから25 後のカール面積率が30%以下であるため、転 印刷適性に優れ、かつ、転写印刷効率に優 た効果を有するのである。

 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム(以 下「ベースフィルム」と称す)は、ポリビニ アルコール系フィルムを含む液圧転写印刷 ベースフィルムであって、該ベースフィル を液面に浮かべてから25秒後のカール面積率 が30%以下であるベースフィルムである。

 ここで、「ポリビニルアルコール系フィ ムを含む」とは、ポリビニルアルコール系 ィルムの他に別の層(フィルムや塗膜、等) 積層されている場合も含む意味である。但 、通常はポリビニルアルコール系フィルム みがベースフィルムとして使用されること 多い。

 なお、「ポリビニルアルコール系」とは 未変性ポリビニルアルコールや変性ポリビ ルアルコール等を包含する意味であるが、 常は、ポリビニルアルコールのことである

 上記のポリビニルアルコール系フィルム 、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVA と略記することがある。)系樹脂(A)を主成分 し、好ましくは、更に架橋剤(B)、フィラー(C )及び可塑剤(D)のうち少なくとも1つを含有す フィルム形成材料を用いてフィルム状に形 されてなるものであり、通常、未延伸のフ ルムである。なお、本発明において、上記 主成分とし」とは、水等の溶媒以外の固形 分中における主成分のことであり、また、 ィルム形成材料が主成分のみからなる場合 含める趣旨であり、その含有量は通常50~100 量%、好ましくは70~100重量%、さらに好まし は80~100重量%である。

 上記PVA系樹脂は、単独のみならず、必要 応じて、ケン化度の異なるまたは4重量%水 液粘度の異なるPVA系樹脂を2種以上混合して いてもよい。

 また、上記PVA系樹脂は未変性であっても 性であってもよく、変性の場合は、主鎖中 本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば1 0モル%以下、好ましくは7モル%以下の範囲に いて、他の単量体を共重合させることがで る。上記他の単量体としては、例えば、エ レン、プロピレン、イソブチレン、α-オク ン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレ ィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロ ン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタ ン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるい モノまたはジアルキルエステル等、アクリ ニトリル、メタアクリロニトリル等のニト ル類、アクリルアミド、メタクリルアミド のアミド類、エチレンスルホン酸、アリル ルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレ ィンスルホン酸あるいはその塩、アルキル ニルエーテル類、ポリオキシエチレン(メタ) アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メ )アリルエーテル等のポリオキシアルキレン( メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン( タ)アクリレート、ポリオキシプロピレン( タ)アクリレート等のポリオキシアルキレン( メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メ )アクリルアミド、ポリオキシプロピレン( タ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレ (メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレ 〔1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロ ル〕エステル、ポリオキシエチレンビニル ーテル、ポリオキシプロピレンビニルエー ル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポ オキシプロピレンアリルアミン、ポリオキ エチレンビニルアミン、ポリオキシプロピ ンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミ 、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモ ニウムクロライド、アリルトリメチルアンモ ニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモ ニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケト ン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化 ニリデン等があげられる。また、PVA系樹脂 して、側鎖に1,2-グリコール結合を有するPVA 系樹脂を用いることも好ましく、かかる側鎖 に1,2-グリコール結合を有するPVA系樹脂は、 えば、(1)酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブ ンとの共重合体をケン化する方法、(2)酢酸 ニルとビニルエチレンカーボネートとの共 合体をケン化及び脱炭酸する方法、(3)酢酸 ニルと2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソ ンとの共重合体をケン化及び脱ケタール化 る方法、(4)酢酸ビニルとグリセリンモノア ルエーテルとの共重合体をケン化する方法 等により得られる。これらの他の単量体は 単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい 。

 かかるPVA系樹脂(A)の含有量は、PVA系フィ ムに対して、50~100重量%であることが好まし く、更には70~100重量%、特には80~100重量%であ ことが好ましい。

 また、上記PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液の20℃ における平均粘度が、10~70mPa・sの範囲である ことが好ましく、15~60mPa・sの範囲であること がより好ましい。4重量%水溶液の平均粘度が すぎると、ベースフィルムに意匠(パターン ,柄等)を印刷する際のフィルム強度が不足す 傾向があったり、印刷斑が発生する傾向が られたりする。また、ベースフィルムの溶 が促進されて転写時間が短くなったり、水 浮かべた際のフィルムに印刷された意匠が 定せず、付き廻り性が低下したりするとい 傾向もみられる。一方、4重量%水溶液の平 粘度が高すぎると、印刷された意匠の被転 体への転写時にベースフィルムの溶解が遅 、所定の転写時間では硬いため皺が発生す 傾向がみられたり、また、水面での膜の伸 を抑制することはできるが、転写時間が遅 する他に粘度が高く製膜が困難となったり る傾向がみられる。
 なお、上記4重量%水溶液の20℃における平均 粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。

 さらに、上記PVA系樹脂(A)の平均ケン化度が 70~98モル%の範囲であることが好ましく、よ 好ましくは75~96モル%の範囲である。PVA系樹 (A)の平均ケン化度が低すぎると、転写後の ースフィルムの溶解に長時間を要する傾向 みられ、高すぎると、ベースフィルムの溶 時間が遅延し、転写時の膜強度が高いため 転写時に折れ皺が発生したり、転写がなさ たとしても脱膜不良となったりする傾向が られる。
 なお、上記ケン化度は、JIS K 6726に準じて 定される。

 また、本発明においては、PVA系樹脂(A)に架 剤(B)を配合することも転写印刷時に柄崩れ ないことや付き廻り性が良い点で好ましい
 かかる架橋剤(B)としては、PVA系樹脂(A)と架 反応を起こすものであれば特に限定されず ホウ素化合物、無機塩類等を挙げることが きる。

 かかるホウ素化合物としては、例えば、 ウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛 )、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸 ンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホ ウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、 八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウ (オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミ ム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウ 、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、 ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホ 酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ 銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅 等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウ 、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウ 、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウ 、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタ ウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オ ルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四 ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホ 酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホ 酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸 リウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネ シウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、 ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネ ウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガ 、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン )、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四 ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)など 他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホ 酸塩鉱物等が挙げられる。

 また、無機塩類としては、例えば、(NH 4 ) 2 SO 4 、Na 2 SO 4 、K 2 SO 4 、ZuSO 4 、CuSO 4 、FeSO 4 、MgSO 4 、Al 2 (SO 4 ) 3 、KAl(SO 4 ) 2 、NH 4 NO 3 、NaNO 3 、KNO 3 、Al(NO 3 ) 3 、NH 4 Cl、NaCl、KCl、MgCl 2 、CaCl 2 、Na 3 PO 4 、K 2 CrO 4 、K 3 C 6 H 5 O 7 などが挙げられる。

 上記の架橋剤(B)は、単独又は併用して用 ることができ、また中でも、硼酸又はその 類、特に硼砂が好適に用いられる。

 かかる架橋剤(B)の含有量は、PVA系樹脂(A)1 00重量部に対して、0.1~5重量部であることが ましく、更には0.1~4重量部、特には0.3~3重量 であることが好ましい。かかる含有量が少 すぎると、転写印刷時に柄崩れが起きたり 付き廻り性が低下したりする傾向があり、 に多すぎると、被着体への転写印刷時に被 体と意匠が印刷されたベースフィルムが硬 ために皺が発生する傾向がある。

 本発明では、更にフィルム形成材料とし フィラー(C)を配合することも耐ブロッキン 性の点で好ましく、かかるフィラー(C)とし は、中でも多糖類および無機類のうち少な とも1つがあげられる。

 多糖類の中でも、特に、澱粉が好ましく たとえば、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴 薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱 粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉 、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱 粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等);物理的変性澱粉( α-澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等); 素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分 解デキストリン、アミロース等);化学分解変 澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジ アルデヒド澱粉等);化学変性澱粉誘導体(エス テル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱 粉、架橋澱粉等)などが用いられる。なお、 学変性澱粉誘導体のうちエステル化澱粉と ては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エス ル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エ テル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、 サントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸 ステル化澱粉など、エーテル化澱粉として 、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル 澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、 ドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキ プロピルエーテル化澱粉など、カチオン化 粉としては、澱粉と2-ジエチルアミノエチル クロライドの反応物、澱粉と2,3-エポキシプ ピルトリメチルアンモニウムクロライドの 応物など、架橋澱粉としては、ホルムアル ヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱 、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉 どが挙げられる。中でも入手の容易さや経 性点から、生澱粉が好適に用いられる。

 また、無機類としては、例えばタルク、 レー、シリカ、ケイ藻土、カオリン、雲母 アスベスト、石膏、グラファイト、ガラス ルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、 酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カ シウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭 カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナ ト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カー ンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、 ロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素 空球、ベントナイト、モンモリロナイト、 粉などが挙げられる。

 これらのフィラー(C)は単独で用いてもよ 、また2種以上を組み合わせて用いてもよい 。

 かかるフィラー(C)の含有量については、P VA系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1~15重量 であることが好ましく、特には0.3~13重量部 更には0.5~10重量部であることが好ましい。 かる含有量が少なすぎると、膜の密着性が 大して転写印刷用ベースフィルムの製造、 刷、転写に困難をきたす傾向があり、多す ると、転写印刷時において、フィルムを着 した後の膨潤時に微細な皺が多く入るなど てドット抜けの原因になる傾向がある。

 上記フィラー(C)における平均粒径は、通 0.1~30μmであることが好ましく、0.3~25μmであ ことがより好ましい。平均粒径が小さすぎ とベースフィルム製造工程において粉立ち 酷くなり、作業に支障をきたす傾向があり 大きすぎるとベースフィルムの膜強度が大 に低下し、転写印刷時だけでなく、ベース ィルム製造工程や意匠印刷時にも破断しや くなる傾向がある。

 また、本発明では、更に可塑剤(D)を配合す こともフィルムに柔軟性を持たせる点で好 しく、かかる可塑剤(D)としては、例えば、 リセリン、ジグリセリン、トリグリセリン のグリセリン類、トリエチレングリコール ポリエチレングリコール、ポリプロピレン リコール、ジプロピリングリコール等のア キレングリコール類やトリメチロールプロ ンなどがあげられる。
 これらは単独であるいは2種以上併せて用い られる。

 上記可塑剤(D)の含有量は、PVA系樹脂(A)100 量部に対して、10重量部以下であることが ましく、0.1~5重量部であることがより好まし い。上記可塑剤(D)の含有量が少なすぎると、 可塑効果が低く、得られるベースフィルムの 破断の原因となる傾向があり、含有量が多す ぎると、ベースフィルム面に意匠を印刷する 際の寸法安定性が低く、高精細な印刷が困難 となる傾向がみられる。

 上記フィルム形成材料には、上記PVA系樹 (A)および、架橋剤(B)、フィラー(C)、可塑剤( D)以外に、必要に応じて各種添加剤を配合す ことができる。

 例えば、ベースフィルムの製膜装置である ラムやベルト等の金属表面と製膜したフィ ムとの剥離性の向上を目的として、界面活 剤を配合することができる。
 上記界面活性剤としては、特に限定するも ではなく、例えば、ポリオキシエチレンノ ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン クチルノニルエーテル、ポリオキシエチレ ドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエ レンアルキルアリルエーテル、ポリオキシ チレンソルビタンモノラウレート、ポリオ シエチレンソルビタンモノパルミテート、 リオキシエチレンソルビタンモノステアレ ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ エート、ポリオキシアルキレンアルキルエ テルリン酸エステルモノエタノールアミン 、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポ オキシエチレンステアリルアミン等のポリ キシエチレンアルキルアミン等があげられ 。これらは単独でもしくは2種以上併せて用 いられる。なかでも、剥離性の点でポリオキ シアルキレンアルキルエーテルリン酸エステ ルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチ レンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソ ルビタンモノラウレートを用いることが好適 である。

 上記界面活性剤の含有量については、特 限定されないが、PVA系樹脂(A)と可塑剤(D)の 計100重量部に対して0.01~5重量部であること 好ましく、0.03~4.5重量部であることがより ましい。上記界面活性剤の含有量が少なす ると、製膜装置のドラムやベルト等の金属 面と製膜したフィルムとの剥離性が低下し 製造困難となる傾向がみられ、逆に多すぎ とフィルム表面にブリードして意匠印刷層 脱落する原因となる傾向がみられる。

 さらに、本発明の効果を妨げない範囲で 抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安 剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増 量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、有機 粉末(ポリメチルメタクリレート等)、さらに 他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソ ーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニル ピロリドン、デキストリン、キトサン、キチ ン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセ ルロース等)等を添加しても差し支えない。

 本発明のベースフィルムを構成するPVA系フ ルムは、例えば、つぎのようにして製造さ る。
 まず、上記PVA系樹脂(A)、好ましくは更に、 橋剤(B)、フィラー(C)、可塑剤(D)、界面活性 等の各原料を所定の配合量にて配合しフィ ム形成材料を調製する。つぎに、Tダイから フィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜 ドラム上に流延させ、乾燥させることにより フィルム状化させ、好ましくはさらに熱処理 を施すことにより製造される。
 かかる乾燥工程や熱処理工程は後述のPVA系 ィルムの水分率の調整としても有用である

 上記熱処理の方法としては、特に制限さ るものではなく、例えば、熱ロール(カレン ダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電 熱等の方法があげられる。また、熱処理さ る面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接 る面(α面)と反対側となる面(β面)が好ましい が、ニップしてもよい。また、熱処理を施す フィルムの水分含有量は、通常、4~8重量%程 であることが好ましい。さらに、熱処理さ た後のフィルムの水分含有量は通常、3~7重 %であることが好ましい。

 より詳しく述べると、上記製膜ベルト、 たは製膜ドラムのうち製膜第一ドラムから 離した後、巻き取るまでに、表面温度50~120 の熱処理ロールを1本以上、好ましくは1~10 通すことが好ましい。ここで、上記製膜ベ トとは、一対のロール間に架け渡されて走 する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出た ィルム形成材料を無端ベルト上に流延させ とともに乾燥させるものである。上記無端 ルトは、例えば、ステンレススチールから り、その外周表面は鏡面仕上げが施されて るものが好ましい。

 また、上記製膜第一ドラムとは、Tダイか ら流れ出たフィルム形成材料を1個以上の回 するドラム型ロール上に流延し乾燥させる 膜機における最上流側に位置するドラム型 ールである。

 そして、製膜ベルトあるいは製膜第一ド ムから剥離した後、巻き取るまでとは、Tダ イ等から吐出されたフィルム形成材料が製膜 ベルト上あるいは製膜第一ドラム上において 乾燥されフィルム状になり、製膜ベルトある いは製膜第一ドラムから剥離され、好ましく は熱処理機を経て、巻き取り機により巻き取 られるまでの過程を示す。

 上記熱処理機による熱処理は、50~120℃で うことが好ましく、より好ましくは60~110℃ ある。すなわち、上記熱処理の温度が低す ると、転写時にベースフィルムを水面に浮 べた時に製膜ベルトあるいは製膜第一ドラ に接する面(α面)のカールが強く、転写工程 で不具合となる傾向がみられ、熱処理の温度 が高すぎると転写時のベースフィルムの溶解 性が低下したり、長手方向にフィルムが伸ば され扁平率が高くなり転写時の柄が歪んだり する傾向がみられる。

 さらに、上記熱処理に要する時間は、熱 理ロールの表面温度にもよるが、通常0.5~60 間、特には0.5~30秒間、更には0.5~15秒間であ ことが好ましい。かかる時間が短すぎると 処理が不充分となる傾向があり、長すぎる 過度に熱処理されたり、また生産性が低下 る傾向がある。上記熱処理は、通常、フィ ム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き 別体の熱処理ロールにて通常行われる。

 また、上記PVA系フィルムの水分率としては 2~6重量%の範囲であることが好ましく、より 好ましくは3~5重量%である。すなわち、水分 が小さすぎると意匠印刷時に破断が発生し すくなったり、PVA系フィルム自身のカール 程度が大きくなったりする傾向があり、逆 水分率が大きすぎると、カールは小さくな が意匠印刷において見当精度が低下する等 不具合を生じる傾向がみられる。
 なお、PVA系フィルムの水分率は、例えば、 ールフィッシャー水分計(京都電子工業社製 、「MKS-210」)を用いて測定することができる

 上記PVA系フィルムの水分率の調整方法と ては、例えば、下記に示す方法があげられ 。すなわち、下記に示す水分率の調整方法 従い、上記範囲内のPVA系フィルムの水分率 設定することが可能となる。

(1)PVA系樹脂(A)を溶解したドープを乾燥して 製膜する際の乾燥機温度を上下させてPVA系フ ィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率 の調整を行う。ドープの温度は、その温度に より乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70~ 98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際 ては、好ましくは50~150℃の間で、より好ま くは60~145℃の間で温度勾配を有する少なく も2つ以上の熱風乾燥機中にて、1~12分間、 り好ましくは1~11分間乾燥を行うことが水分 整という観点から好ましい。

 上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり 乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多と る傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると 乾燥不足となる傾向がある。

 上記温度勾配は、50~150℃の間で段階的に 燥温度を変えていくものであり、通常は、 燥開始時から温度を徐々に上げていき、所 の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度 囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐 に乾燥温度を低くすることにより最終的に 的とする含水率とすることが効果的である これは結晶性や剥離性、生産性等を制御す ために行われるものであり、例えば、120℃- 130℃-115℃-100℃、130℃-120℃-110℃、115℃-120℃- 110℃-90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜 選択され実施される。

(2)PVA系フィルムの巻き取り前に調湿槽に通 過させることによりPVA系フィルムの加湿・除 湿を行い、水分率の調整を行う。

(3)PVA系フィルムの巻き取り前、もしくは巻 き取り後に、上記熱処理を行うことによりPVA 系フィルムの除湿を行い、水分率の調整を行 う。

 このようにして製膜し得られるPVA系フィ ムは、液圧転写印刷としての用途を考慮し 場合、PVA系フィルムの厚みが20~50μmである とが好ましく、より好ましくは25~45μmである 。

 本発明では、上記で得られたPVA系フィル から構成されるベースフィルムが、該フィ ムを液面に浮かべてから25秒後のカール面 率が30%以下であることが必要である。かか カール面積率が30%を超えるような場合は、 圧転写時において、印刷柄が歪んだり、伸 倍率が拡がったりするような支障をきたす ととなる。かかるカール面積率の好ましい 囲は、25%以下であり、更に好ましくは20%以 、特に好ましくは15%以下である。

 本発明において、カール面積率とは、フ ルム面積に対する、フィルムを液面に均一 浮かばせた時に、フィルムの端部がカール ることによって、液面と非接触となった部 の面積の比率のことである。具体的には、 ール面積率は、以下のようにして測定され 。

 即ち、縦420mm×横320mm×高さ160mmの容器に10リ トルの水をはり30℃に調整した後、ベース ィルム(サイズ:200mm×200mm)を、フィルムのβ面 (製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と 対側となる面)が水と接するようにして、水 うかべる。そして、水面に浮かべたフィル がカールすると浮かんでいる面積が狭くな が、フィルムを浮かべ始めてから25秒後の かんでいる面積(Amm 2 )を測定して、次式によりカール面積率(%)を 出する。
  カール面積率(%)=〔1-A/(200×200)〕×100
 なお、フィルムの端部がカールするときに 、通常は液面に対して上向きにカールする ととなる。
 なお、上記面積(Amm 2 )は、上記操作をカメラ撮影し、コンピュー ーで画像処理して測定される。

 また、上記ベースフィルムに対して、意匠 印刷した場合のカール面積率についても以 のように測定し、かかるカール面積率が30% 下となることが好ましく、特には25%以下、 には20%以下となることが好ましい。
 即ち、ベースフィルムに意匠をグラビア印 し、更にインク活性剤をワイヤーバーコー ー(#10)で塗布して2分経過後に、インク活性 塗布面側を上向きにして水面に浮かべ、上 と同様にして測定する。
 かかるカール面積率が30%を超えるような場 は、液圧転写時において、印刷柄が歪んだ 、伸展倍率が拡がったりするような支障を たすこととなる。

 上記のベースフィルムのカール面積率を 記範囲に調整する方法としては、例えば、 レンダーロールで製膜ベルトまたは製膜ド ムに接する面と反対側となる面(蒸発面)(β )を強く、上記のような熱処理を行う方法や 熱処理において、製膜ベルトまたは製膜ド ムに接する面と反対側となる面(蒸発面)(β )だけに上記のような熱処理を施す方法など 好ましく、特には、かかる熱処理で製膜ベ トまたは製膜ドラムに接する面と反対側と る面(蒸発面)(β面)だけに上記のような熱処 する条件で行うことが好ましい。

 また、本発明では、上記で得られたベー フィルムにおいて、該フィルムを水面に浮 べてから30秒後の扁平率が30%以下であるこ が好ましく、特には25%以下、更には20%以下 あることが好ましい。かかる扁平率が高す ると伸展後の印刷柄の歪みが大きくなる傾 となる。

 扁平率の測定方法については、更に詳しく 以下の通りである。
 即ち、縦420mm×横320mm×高さ160mmの容器に10リ トルの水をはり30℃に調整した後、ベース ィルム(サイズ:200mm×200mm)を、フィルムのβ面 (製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と 対側となる面)が水と接するようにして、水 に浮かべる。そして、浮かべてからベース ィルムが膨潤して拡がり始めるが、フィル を浮かべ始めてから30秒後の扁平率(%)を、 性ペンで中央付近に描いた50mm間隔のドット ドット間距離(長手方向A、幅方向B)を測定し て、次式により算出する。
  扁平率(%)=[1-(A/50)/(B/50)]×100

 また、上記ベースフィルムに対して、意匠 印刷した場合の扁平率についても以下のよ に測定し、かかる扁平率が30%以下であるこ が好ましく、特には25%以下、更には20%以下 あることが好ましい。
 即ち、ベースフィルムに意匠をグラビア印 し、更にインク活性剤をワイヤーバーコー ー(#10)で塗布して2分経過後に、インク活性 塗布面側を上向きにして水面に浮かべ、上 と同様にして測定する。
 かかる扁平率が高すぎると伸展後の印刷柄 歪みが大きくなる傾向となる。

 上記のフィルムの扁平率を上記範囲に調 する方法としては、例えば、製膜ベルトま は製膜ドラムからフィルムを剥離するとき 重さを軽くする方法や、製膜ベルトまたは 膜ドラムから剥離したあとの熱ロールの温 を必要以上に上げすぎたりしない方法や製 ベルトまたは製膜ドラムから剥離して巻き るまでのテンションを必要以上にあげすぎ い方法などが挙げられる。

 また、本発明のフィルムは30℃の水に2分 内で溶解するフィルムである。「30℃の水 2分以内に溶解するフィルム」というのは、 ィルムを3cm×3cmのサイズにサンプリングし かかるサンプルを治具等に固定して、1リッ ルビーカー等に入った30℃の水(1リットル) に浸漬し、スターラー等により撹拌しなが 、サンプルが溶解するまでの時間が2分以内 あることをいい、ここで溶解とは、かかる ンプルが視認できなくなることをいうが、 のとき直径1mm以下の不溶微粒子が分散して る場合も本発明では溶解の意味に含めるも である。

 本発明で得られたベースフィルム(原反フ ィルム)は、例えば、先に述べた諸物性に変 が生じないように従来公知の防湿包装の処 を行い、10~25℃の雰囲気下、宙づり状態にて 保存することが好ましい。

 次に、本発明のベースフィルムを用いた液 転写印刷方法について説明する。
 液圧転写印刷方法としては、連続方式によ 液圧転写印刷方法、バッチ方式による液圧 写印刷方法があげられる。

 まず、上記連続方式による液圧転写印刷方 について述べる。
 すなわち、上記のようにして得られたベー フィルム面に所定の意匠を印刷する。その 、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工す 。そして、吸水後にベースフィルムが伸展 、意匠がぼけないように上記ベースフィル の流れ方向に対し幅方向に1.5倍以下、好ま くは1.4倍以下の規制を設けて、インク活性 が塗布された意匠印刷面を上方にしてベー フィルムを液面に浮かべるとともに移動さ る。移動する上記ベースフィルムの上方か 被転写体を押し当て、ベースフィルム面に 刷された意匠を被転写体表面に転写し固着 ることにより液圧転写印刷が行われる。そ て、固着した後は、ベースフィルムを除去 意匠を転写した被転写体を充分に乾燥させ ことにより目的とする製品を得るのである

 一方、上記バッチ方式による液圧転写印刷 法について述べる。
 すなわち、上記のようにして得られたベー フィルム面に所定の意匠を印刷する。その 、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工す 。そして、上記連続方式と同様、吸水後に ースフィルムが伸展し、意匠がぼけないよ に上記ベースフィルムに対して縦横それぞ の方向に、1.5倍以下、好ましくは1.4倍以下 縦横規制を設けて、インク活性剤が塗布さ た意匠印刷面を上方にしてベースフィルム 液面に浮かべる。そして、静止状態にて上 ベースフィルムの上方から被転写体を押し て、ベースフィルム面に印刷された意匠を 転写体に転写し充分に固着することにより 圧転写印刷が行われる。固着した後は、ベ スフィルムを除去し意匠を転写した被転写 を充分に乾燥させることにより目的とする 品を得るのである。

 このような工程を経由する液圧転写印刷 法により、ベースフィルム面に印刷された 匠を、被転写体に転写することができる。 お、上記ベースフィルム面に印刷される意 としては、特に限定するものではなく、木 調、各種柄、画像等、印刷可能なものであ ばいかなるものであってもよい。

 上記意匠印刷面に塗工するインク活性剤 しては、特に限定するものではなく、ベー フィルム面に印刷された意匠を再活性化し る溶剤に樹脂を添加したもの等が用いられ さらに体質顔料、可塑剤、硬化剤等を適宜 添加することができる。例えば、ブチルメ クリレートに、顔料、可塑剤、ブチルセロ ルブアセテート、ブチルカルビトールアセ ートを混合したものが用いられる。また、 記インク活性剤の塗工方法としては、グラ アロールやスプレーを用いた塗布方法があ られる。

 なお、上記意匠印刷面にインク活性剤を 布する工程は、ベースフィルムを液面に浮 べる前であっても、液面に浮かべた後であ てもいずれでもよく、意匠が印刷されたベ スフィルム上方から被転写体を押し当てる であれば特に制限されることはない。

 本発明の液圧転写印刷方法における被転 体の材質としては、特に限定されるもので なく、例えば、プラスチック成形体、金属 形体、木質成形体、ガラス等の無機質成形 等を用いることができる。さらに、その形 に関しても特に限定するものではなく、平 であっても各種立体形状を有していてもよ 。

 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体 に説明するが、本発明はその要旨を超えな 限り以下の実施例に限定されるものではな 。
 なお、例中「%」とあるのは、断りのない限 り重量基準を意味する。

実施例1~5、比較例1~2
[ベースフィルムの作製]
 表1に示すPVA系樹脂(A)、架橋剤(B)、フィラー (C)、可塑剤(D)および界面活性剤(剥離剤)とし ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ トを水に溶解した後18%の水溶液とし、該水 液を、ステンレス製エンドレスベルトを備 たベルト製膜機で流延製膜法により製膜し 温度95℃の条件で2分乾燥させた後、表1に示 す通りの熱処理条件にて熱処理し、PVA系フィ ルム(ベースフィルム)を得た。なお、比較例1 については、熱処理を行わなかった。表1中 フィラーは平均粒度20μmのコーンスターチで ある。

 得られたベースフィルムについて、以下の り、各物性を測定した。
 それぞれの評価結果を表1及び表2に示す。

[ベースフィルムの印刷]
 得られたベースフィルムを200mm×200mmのサイ に切断したものに、建材用インキ[赤色染料 と硫酸バリウムの混合物(70%)とアルキッド樹 とニトロセルロースの混合物(30%)の混合物] 、フィルムを流延製膜した際のα面(ベルト )側にグラビア印刷で均一に塗布(インク層 乾燥厚み2μm)した。その後、黒色の水性ペン で中心部分に長手方向と幅方向に50mm間隔の (ドット)を描き、その上にインク活性剤(ブ ルメタクリレート/顔料/可塑剤/ブチルセロ ルブアセテート/ブチルカルビトールアセテ ト=8/20/20/26/26(重量部))を、ワイヤーバーコ ター(#10)で塗布して、転写印刷用フィルムを 作製した。
 得られたベースフィルム及び転写印刷用フ ルムについて以下の評価を行った。
 評価結果を表2に示す。

[ベースフィルム(PVAフィルム)の水分率]
 得られたベースフィルム(PVAフィルム)の含 率は、カールフィッシャー水分計(京都電子 業社製MKS-210)を用いて測定した。

[カール面積率]
(1)ベースフィルムのカール面積率
 縦420mm×横320mm×高さ160mmの容器に10リットル 水をはり30℃に調整した後、ベースフィル (サイズ:200mm×200mm)を、フィルムのβ面(製膜 ルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側 なる面)が水と接するようにして、水にうか た。そして、フィルムを浮かべ始めてから2 5秒後の浮かんでいる面積(Amm 2 )を測定して、次式によりカール面積率(%)を 出した。
  カール面積率(%)=〔1-A/(200×200)〕×100
 なお、面積測定については、上記操作をカ ラ撮影し、コンピューターで画像処理して フィルム面積(Amm 2 )を測定した。

(2)転写印刷用フィルムのカール面積率
 上記の通り意匠及びインク活性剤が塗布さ た後2分経過後の転写印刷用フィルムを、イ ンク活性剤塗布面側を上向きにして水面に浮 かべて、25秒後の浮かんでいる面積(Amm 2 )を測定して、上記と同様にして算出した。

[扁平率]
(1)ベースフィルムの扁平率
 縦420mm×横320mm×高さ160mmの容器に10リットル 水をはり30℃に調整した後、ベースフィル (サイズ:200mm×200mm)を、フィルムのβ面(製膜 ルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側 なる面)が水と接するようにして、水面に浮 べた。そして、フィルムを浮かべ始めてか 30秒後の扁平率(%)を、水性ペンで中央付近 描いた50mm間隔のドットのドット間距離(長手 方向A、幅方向B)を測定して、次式により算出 した。
  扁平率(%)=[1-(A/50)/(B/50)]×100
(2)転写印刷用フィルムの扁平率
 上記の通り意匠及びインク活性剤が塗布さ た後2分経過後の転写印刷用フィルムを、イ ンク活性剤塗布面側を上向きにして水面に浮 かべて、30秒後の扁平率(%)を上記と同様にし 算出した。

[転写印刷適性]
 上記の通り意匠及びインク活性剤が塗布さ た後2分経過後の転写印刷用フィルムを、イ ンク活性剤塗布面側を上向きにして水面に浮 かべて、1分後にABS樹脂成型品(平板)への水圧 転写印刷を行い、以下の通り5段階にて評価 た。
   5・・・柄が鮮明で歪みなし。
   4・・・若干柄の歪みは認められるが、 匠は鮮明。
   3・・・歪みは認められ、意匠がぼやけ 傾向。
   2・・・柄の歪みが大きかった。
   1・・・転写印刷ができなかった。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年5月22日出願の日本特許出願 (特願2007-134866)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム 、自動車の内外装品をはじめとして、携帯 話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・ 活用品等への液圧転写印刷用途に、幅広く 用することができる。