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Title:
BEARING STRUCTURE FOR COATING ROLL, AND APPLICATION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008467
Kind Code:
A1
Abstract:
A bearing structure for a coating roll according to one embodiment of the invention has a second bearing section for allowing a first bearing section to tilt to follow only deflection of the coating roll in the direction of gravity. Even if the coating roll deflects, it rotates about a specific axis while being deflected and it does not cause run-out of its shaft and does not increase a bearing load during the rotation. Further, even if external force other than that in the direction of gravity acts on the coating roll, the rotation axis of the coating roll does not move. Thus, the bearing structure can achieve high rotational accuracy.

Inventors:
YOSHIDA DAIKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062453
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
YOSHIDA DAIKI (JP)
International Classes:
F16C13/06; B05C1/08; B05C5/02; B05C13/00; F16C23/04; F16C32/06
Foreign References:
JPS63166018A1988-07-09
JP2003200091A2003-07-15
JP2004019839A2004-01-22
JP2001059521A2001-03-06
JPH05306718A1993-11-19
JPS62258217A1987-11-10
JP2006198554A2006-08-03
JP2003245584A2003-09-02
JPS5681220U1981-07-01
Attorney, Agent or Firm:
MATSUURA, Kenzo (P.O. Box 176 Shinjuku Sumitomo Bldg. 39F, 6-1, Nishi-shinjuku 2-chome, Shinjuku-k, Tokyo 39, JP)
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Claims:
 コーティングロールの回転軸を回転自在に支持する第1軸受部と、
 前記第1軸受部を支持すると共に、前記コーティングロールの重力方向の撓みにのみ追従するように前記第1軸受部の傾動を許容する第2軸受部と、
を備えたことを特徴とするコーティングロールの軸受構造。
 前記第2軸受部は、
 前記第1軸受部の外周に設けられ、前記第1軸受部を内周面で支持するすべり軸受部内輪と、
 前記すべり軸受部内輪の外周に設けられ、該内輪の外周面を摺動自在に支持するすべり軸受部外輪と、
を備えたすべり軸受であることを特徴とする請求項1に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記すべり軸受部内輪は、上下に対向する一対の外周面が前記コーティングロールの軸方向に沿って円弧状の凸状曲面をなすとともに該軸方向を中心として左右に対向する一対の外周面が平面をなした部分円柱形状に形成され、
 前記すべり軸受部外輪は、上下に対向する一対の内周面が前記コーティングロールの軸方向に沿って前記すべり軸受部内輪の前記一対の外周面と接する円弧状の凹状曲面をなすとともに、該軸方向を中心として左右に対向する一対の内周面が、前記すべり軸受部内輪の前記左右に対向する一対の外周面と接する平面をなした部分円柱形状の空間を有することを特徴とする請求項2に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記円弧状の凸状曲面の曲率半径Rは、前記すべり軸受部内輪の内径dの0.8~2倍であることを特徴とする請求項3に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記すべり軸受部内輪の外周面のうち、
 前記左右に対向する平面間の幅Bと前記曲率半径Rとの比B/Rは1~5であることを特徴とする請求項3又は4に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記第1軸受部は、油圧式静圧軸受であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記油圧式静圧軸受の潤滑油の温度を測定する測定手段と、
 該測定手段の結果に基づいて、前記潤滑油を所定の温度に制御する温度制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載のコーティングロールの軸受構造。
 前記コーティングロールの有効面長は3000mm以下であることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のコーティングロールの軸受構造。
 コーティングロールの回転軸の両端側に設けられ、前記回転軸を回転自在に支持する一対の軸受部材のうち少なくとも一方が請求項1~8の何れか1項に記載の軸受構造を有することを特徴とするコーティングロールの軸受構造。
 前記一対の軸受部材のいずれも請求項1~8の何れか1項に記載の軸受構造を有すると共に、前記一対の軸受部材のうち一方の第1軸受部がスラスト軸受により支持されたことを特徴とする請求項9に記載のコーティングロールの軸受構造。
 塗布ヘッドと、コーティングロールに巻き掛けられて水平方向に走行する帯状のフィルムとの間のクリアランスに塗布液架橋を形成して、前記塗布ヘッドから吐出した塗布液を前記フィルムに塗布するエクストルージョン型の塗布装置において、
 前記コーティングロールの回転軸を回転自在に支持する一対の軸受部材のうち少なくとも一方が、請求項1~8の何れか1項に記載の軸受構造を有していることを特徴とする塗布装置。
Description:
コーティングロールの軸受構造 及び塗布装置

 本発明は、コーティングロールの軸受構 、及び塗布装置に係り、特に、幅広な塗布 を均一に形成する塗布装置におけるコーテ ングロールの軸受構造に関する。

 従来、コーティングロール装置としては 種々の方式のものが提案されている(例えば 、特許文献1)。これらのコーティングロール 置は、いずれも比較的幅の小さいフィルム ガイドしながら、塗布液を塗布するもので る。

 ところで、液晶ディスプレイ等に使用さ る機能性フィルム(例えば、光学補償フィル ム、反射防止フィルム等)の大面積化に伴い フィルム幅も大きくなり、幅広なコーティ グロール装置が必要とされている。

 しかしながら、幅広なコーティングロー 装置では、コーティングロール(以下、単に 「ロール」ともいう)の自重による軸撓みが 加し、軸受部へのモーメントが増大するこ により回転時にロールの軸ぶれが生じる。 た、ロールの長尺化に伴うロール重量の増 により軸受部への負荷が増大する。この結 、ロールの回転精度が著しく低下し、フィ ムに塗布する塗布膜厚さが不均一になると う問題があった。

 これに対して、例えば、特許文献2では、 ロールを回転させる機構として、自動調心機 構付軸受(ころ軸受)を用いている。そして、 動調心機構付軸受の回転精度の低さを補う めに、ロール内部に気体軸受用外輪を固定 、該気体軸受用外輪の内側に気体軸受用支 軸を設けている。これにより、ロール回転 伴うトルクむらを抑制している。

 また、特許文献3では、ロールをアンギュラ ベアリング内輪に固定し、更に内周面にアン ギュラベアリング外輪が固定され且つ外周面 が球面体をなすハウジングと嵌合させた軸受 け構造が提案されている。この軸受け構造で は、ロールの回動を重力方向、水平方向を問 わず自在にしている。また、アンギュラベア リングの軸方向への遊びもなくなるため、高 い回転精度を実現できるとされている。

特開2002-336756号公報

特開平6-221325号公報

特開2006-349100号公報

 しかしながら、上記特許文献2、3の方法 は、いずれも転がり軸受を用いるため軸受 造上振動の発生源になり易く、また外部振 も伝達し易くなる。このため、軸受の動特 が低く、振動等の外乱がフィルムに伝わり いという問題があった。

 さらに、球面型ハウジングを用いた上記特 文献3では以下のような問題もあった。
(1)ロールと塗布ヘッドとのクリアランスが変 動する。具体的には、図6は、従来の軸受部 2にロール5をセットしたときの上面図である が、同図に示すように、軸受部材2は、フィ ム3の搬送方向にも調心する。すなわち、球 型ハウジングを構成する内輪4の外周面がフ ィルム3の搬送方向に球面状となっているた 、矢印に示すように、フィルム搬送方向(Y方 向)にも傾動する。このため、ロール5に水平 向の外力(例えば、フィルム搬送方向のテン ション等)が加わると、ロール5と塗布ヘッド6 とのクリアランスが大きく変動し、均一な膜 厚の塗布面を形成するのが困難となる。
(2)球面型ハウジングでロールを調心すると、 構造上点接触が増えるため、軸受部の動特性 が低下し、振動が生じる。この振動がロール に伝わると、フィルムへの塗布性能に低下さ せるおそれがある。
(3)球面型ハウジングの球面は、加工精度が低 く、コスト高となる。

 さらに、機能性フィルムの生産において 精度な薄層塗布を行うためには、ロールと て1μm以下の高い回転精度が求められている 。

 本発明はこのような事情に鑑みてなされ もので、コーティングロールが撓んだり、 ーティングロールに重力方向以外の外力が わったりしても、コーティングロールの回 軸心が変動することがなく、高い回転精度 実現できるコーティングロールの軸受構造 提供することを目的とする。

 本発明の第一の態様は前記目的を達成す ために、コーティングロールの回転軸を回 自在に支持する第1軸受部と、前記第1軸受 を支持すると共に、前記コーティングロー の重力方向の撓みにのみ追従するように前 第1軸受部の傾動を許容する第2軸受部と、を 備えたことを特徴とするコーティングロール の軸受構造を提供する。

 第一の態様によれば、コーティングロー の重力方向の撓みにのみ追従するように第1 軸受部の傾動を許容する第2軸受部を設ける これにより、コーティングロールが撓んで 、回転時にロールが軸ぶれしたり、軸受の 荷を増大させたりすることなく、撓んだま の状態で一定の回転軸心を形成して回転す 。また、コーティングロールに重力方向以 の外力が加わっても、コーティングロール 回転軸心が変動することがない。これによ 、高い回転精度を実現できる。

 第1軸受部としては、特に限定されないが 、例えば、油圧式静圧軸受等が好ましく使用 できる。また、外部から侵入する振動等の外 乱が少ない場合は、高精度な玉軸受方式やこ ろ軸受方式等を採用できる。また、コーティ ングロールの重量が小さいなど、軸受にかか る負荷やモーメントの影響が小さい場合は、 空気圧を利用した空気圧軸受方式、磁力を利 用した磁気軸受方式等も採用できる。

 本発明の第二の態様は第一の態様におい 、前記第2軸受部は、前記第1軸受部の外周 設けられ、前記第1軸受部を内周面で支持す すべり軸受部内輪と、前記すべり軸受部内 の外周に設けられ、該内輪の外周面を摺動 在に支持するすべり軸受部外輪と、を備え すべり軸受であることを特徴とする。

 本発明の第三の態様は第二の態様におい 、前記すべり軸受部内輪は、上下に対向す 一対の外周面が前記コーティングロールの 方向に沿って円弧状の凸状曲面をなすとと に該軸方向を中心として左右に対向する一 の外周面が平面をなした部分円柱形状に形 され、前記すべり軸受部外輪は、上下に対 する一対の内周面が前記コーティングロー の軸方向に沿って前記すべり軸受部内輪の 記一対の外周面と接する円弧状の凹状曲面 なすとともに、該軸方向を中心として左右 対向する一対の内周面が、前記すべり軸受 内輪の前記左右に対向する一対の外周面と する平面をなした部分円柱形状の空間を有 ることを特徴とする。

 第三の態様によれば、第2軸受部を構成す るすべり軸受部内輪とすべり軸受部外輪の、 コーティングロールの軸方向を中心として左 右に対向する側面を平面にするので、第2軸 部が該左右方向に傾動するのを制限できる また、すべり軸受部内輪の上下に対向する2 の外周面が円弧状の凸状曲面をなすので、 ーティングロールの軸方向への傾動を許容 ることができる。

 これにより、調心に必要な自由度を確保 つつ従来の軸受よりも点接触部を削減でき ので、軸受の動特性を向上させた状態で調 することができる。また、従来の球面型の べり軸受と比べて曲面加工の精度が高いの 、すべり軸受部内輪及びすべり軸受部外輪 大径になっても、両者の合わせ加工を精度 く行うことができる。したがって、調心性 高精度化すると共に、低コスト化できる。

 本発明の第四の態様は第三の態様におい 、前記円弧状の凸状曲面の曲率半径Rは、前 記すべり軸受部内輪の内径dの0.8~2倍であるこ とを特徴とする。

 すべり軸受部内輪において、円弧状の凸 曲面の曲率半径が小さすぎると構造上コー ィングロールの支持に必要となる剛性が低 し、曲率半径が大き過ぎると十分な調心性 得ることができず、いずれも好ましくない 第四の態様によれば、円弧状の凸状曲面の 率半径は、すべり軸受部内輪の内径d(50~250mm 程度)の0.8~2倍(40~500mm程度)とすることで、上 のような不具合を抑制できる。

 本発明の第五の態様は第三又は第四の態 において、前記すべり軸受部内輪の外周面 うち、前記左右に対向する平面間の幅Bと前 記曲率半径Rとの比B/Rは1~5であることを特徴 する。

 第五の態様によれば、重力方向以外の力 すべり軸受部内輪に作用しても、すべり軸 部内輪の位置はすべり軸受部外輪に対して 定となり、すべり軸受部内輪の動特性を低 させることなく高い調心性を発揮できる。 なわち、B/R比が1を下回るとすべり軸受部内 輪の動特性が低下し易く、5を超えるとすべ 軸受部内輪の重量が増加し円滑に調心し難 なる。このため、B/R比は1~5程度が好ましい

 本発明の第六の態様は第一乃至第五の態 の何れかにおいて、前記一対の第1軸受部は 、油圧式静圧軸受であることを特徴とする。

 第六の態様によれば、コーティングロー を支持する軸受方式として、高い振動減衰 、高い回転精度、高い負荷容量等を示す油 式静圧軸受方式を採用するので、静特性、 特性のいずれも向上させることができる。 た、長尺なコーティングロールを支持する 1軸受部において、懸念される回転軸の外周 面と第1軸受部の内周面とのかじり(接触)を防 ぐこともできる。

 本発明の第七の態様は第六の態様におい 、前記油圧式静圧軸受の潤滑油の温度を測 する測定手段と、該測定手段の結果に基づ て、前記潤滑油を所定の温度に制御する温 制御手段と、を備えたことを特徴とする。

 幅や重量の大きいコーティングロールを 持するには、高い軸受剛性が必要となる。 のため、油圧式静圧軸受における給油圧力 高くなり、潤滑油が発熱し易くなる。この 滑油の温度は±数℃の範囲の変動において 、軸受の性能に影響を与えるため、潤滑油 温度制御が重要となる。第七の態様によれ 、このような潤滑油の温度をモニタリング 、潤滑油が所定の温度になるように制御す ので、軸受の性能を安定に維持することが きる。

 本発明の第八の態様は第一乃至第七の態 の何れかにおいて、前記コーティングロー の有効面長は3000mm以下であることを特徴と る。

 このように幅の大きなコーティングロー は、その自重により軸撓みが増加する。第 の態様によれば、コーティングロールの有 面長は3000mm以下にするので、コーティング ールの撓み量を一定以下(50μm以下)にするこ とができる。

 本発明の第九の態様は前記目的を達成す ために、コーティングロールの回転軸の両 側に設けられ、前記回転軸を回転自在に支 する一対の軸受部材のうち少なくとも一方 第一乃至第八の態様の何れかに記載の軸受 造を有することを特徴とするコーティング ールの軸受構造を提供する。

 本発明の第十の態様は第九の態様におい 、前記一対の軸受部材のいずれも第一乃至 八の態様の何れかに記載の軸受構造を有す と共に、前記一対の軸受部材のうち一方の 1軸受部がスラスト軸受により支持されたこ とを特徴とする。

 コーティングロールをジャーナル式静圧 受で単純に支持すると、スラスト方向への 転軸の移動が自由になる。このため、コー ィングロールのスラスト方向への移動を制 するための軸受機構として、コーティング ールの両端部においてスラスト方向を支持 る方法がある。しかし、潤滑油の発熱によ コーティングロールの軸方向への熱膨張が きた場合、軸方向への遊びがないため、圧 荷重を受けて変形するおそれがある。第十 態様によれば、スラスト軸受をコーティン ロールの一方のみに設けるので、上記のよ な不具合を抑制できる。

 本発明の第十一の態様は前記目的を達成 るために、塗布ヘッドと、コーティングロ ルに巻き掛けられて水平方向に走行する帯 のフィルムとの間のクリアランスに塗布液 橋を形成して、前記塗布ヘッドから吐出し 塗布液を前記フィルムに塗布するエクスト ージョン型の塗布装置において、前記コー ィングロールの回転軸を回転自在に支持す 一対の軸受部材のうち少なくとも一方が、 一乃至第八の態様の何れかに記載の軸受構 を有していることを特徴とする塗布装置を 供する。

 第十一の態様によれば、このような塗布 置において、フィルム搬送方向にコーティ グロールの回転軸心が変動することがない このため、フィルムが巻き掛けられるコー ィングロールと塗布ヘッドとの間に均一な リアランスを形成でき、塗布液を均一に塗 することができる。なお、コーティングロ ルとしては、バックアップロールも含まれ 。

 本発明によれば、コーティングロールが んだり、コーティングロールに重力方向以 の外力が加わったりしても、コーティング ールの回転軸心が変動することがなく、高 回転精度を実現できる。

図1は、(A)部分、(B)部分がそれぞれ本発 明に係るコーティングロールの軸受構造を備 えた塗布装置の主要部、及び軸受け部材の構 成部材を示す斜視図であり; 図2は、図1における軸受部材の内部構 を説明する拡大断面図であり; 図3は、ロールが重力方向に撓む様子を 説明する説明図であり; 図4Aは、図1の塗布装置における動作を 説明する説明図であり; 図4Bは、図1の塗布装置における動作を 説明する他の説明図であり; 図5は、本実施例の結果を示すグラフ図 であり; 図6は、従来の球面型ハウジングを備え た軸受部材の上方からみた水平断面図である 。

符号の説明

10…塗布装置
12…フィルム
14…ロール
16…塗布ヘッド
22…回転軸
24…軸受部材
26…油圧式静圧軸受
27…すべり軸受
28…すべり軸受部内輪
28a、28b…すべり軸受部内輪の外周面(Z方向)
28c、28d…すべり軸受部内輪の外周面(Y方向)
30…すべり軸受部外輪
30a、30b…すべり軸受部外輪の内周面(Z方向)
30c、30d…すべり軸受部外輪の内周面(Y方向)
36…静圧ポケット
38…大気圧解放溝
56…温度計
58…潤滑油温度制御機構
60…スラスト軸受

 以下、添付図面に従って、本発明に係る ーティングロールの軸受構造及び塗布装置 好ましい実施の形態について詳説する。

 図1は、本発明に係るコーティングロール の軸受構造を備えた塗布装置の概要を説明す る斜視図である。このうち、(A)部分は塗布装 置の主要部を示す図であり、(B)部分は軸受部 材の構成部材を示す図である。

 図1に示すように、塗布装置10は、連続走 するフィルムに対して塗布液を塗布する装 であり、主として、フィルム12が巻き掛け れるバックアップロール14(以下、単に「ロ ル14」という)と、このロール14に対して所定 のクリアランスを設けて配置されるエクスト ルージョン型の塗布ヘッド16と、より構成さ る。以下、ロール14の軸方向をX方向、該ロ ル14の軸方向を中心として左右方向(軸方向 対して水平に直交する方向、又はフィルム 送方向)をY方向、上下方向(重力方向)をZ方 とし、いずれもプラス側、マイナス側を含 ものとする。

 エクストルージョン型の塗布ヘッド16の 部には、ポケット18がフィルム12の幅方向に 成されている。ポケット18は、スリット20を 介して塗布ヘッド16の先端(リップ)のスリッ 開口部20aに連通している。スリット開口部20 aはフィルム12の幅方向に細長く形成され、そ の幅寸法はフィルム12の幅寸法と略等しくな ように形成されている。そして、図示しな 塗布液供給源により供給路17を介してポケ ト18に供給された塗布液は、スリット20を介 てスリット開口部20aから吐出される。そし 、塗布ヘッド16の先端と連続走行するフィ ム12との間のクリアランスに塗布液架橋(ビ ド)が形成され、フィルム12に塗布液が転移 れる。なお、塗布ヘッド16は、図示しない支 持部材によって支持されている。

 ロール14は、フィルム12が巻き掛けられる 程度に幅が大きく形成されており、その両端 部の回転軸22は、本発明に係る軸受構造を有 る軸受部材24によって回転自在に支持され いる。

 本発明に使用されるロール14は、例えば ロール14の重量は約400kg程度と重く、比較的 も大きいため自重により重力方向に撓み易 。この撓みが生じると、塗布ヘッド16とロ ル14とのクリアランス分布が不均一となる。 このため、塗布ヘッド16とロール14とのクリ ランス分布を均一に保つために、撓んだロ ル14の形状に塗布ヘッド16の先端形状を合わ る調整を行う必要がある。この調整の際に れる誤差量は、ロール14が持つ撓み量によ 影響を受ける。具体的には、ロール14の撓み 量の10%程度がクリアランスの調整誤差として 現れる。

 塗布ヘッド16とロール14とのクリアランス の分布精度としては5μm以下が要求されるこ から、ロール14の撓み量を50μm以下にするこ が好ましく、ロール14の有効面長Lとしては3 000mm以下とすることが好ましい。

 しかし、上記調整を行っても、フィルム1 2がロール14に巻き掛けられて水平方向に搬送 されるため、ロール14に加わるフィルム12の ンションの変動やロール14に伝達される搬送 方向の外部振動により、塗布ヘッド16とロー 14とのクリアランスが変動する。これによ 、塗布層の膜厚やフィルム幅方向の膜厚分 が不均一になる。このため、ロール14の軸撓 みに追従しながら、軸ぶれ(回転軸心の変動) 生じないようにロール14を安定に支持する( 心する)必要がある。

 そこで、本発明では、フィルム搬送方向( Y方向)の調心をなくし、ロール14の軸方向(X方 向)のみに調心するように軸受部材24を構成す る。以下、本発明の特徴部分である軸受部材 24について説明する。

 軸受部材24において、ロール14の回転軸22 外周には、回転軸22を回転自在に支持する 圧式静圧軸受26(第1軸受部)が配設され、更に その外周には、油圧式静圧軸受26を支持する 共にロール14の調心を行うすべり軸受27(第2 受部)が配設されている。

 すべり軸受27は、すべり軸受部内輪28とす べり軸受部外輪30とより構成されている。

 すべり軸受部内輪28は、図1の(B)部分に示 ように、すべり軸受部内輪28のZ方向(上下方 向)に対向する2つの外周面28a、28bは、X方向に 円弧状の凸状曲面をなしており、Y方向(軸方 を中心として左右)に対向する2つの外周面28 c、28dは平面をなす部分円柱形状に形成され いる。

 すべり軸受部内輪28の外周には、すべり 受部内輪28を支持するすべり軸受部外輪30が 設されており、すべり軸受部内輪28を収納 るように形成されている。すなわち、外輪30 のZ方向(上下方向)に対向する2つの内周面30a 30bは、X方向に円弧状の凹状曲面をなしてお 、Y方向(軸方向を中心として左右)に対向す 2つの内周面30c、30dは平面をなしている(後 の図4参照)。これにより、すべり軸受部内輪 28がX方向のみに傾動し、Y方向には傾動しな ようになっている。したがって、回転軸22を 支持する油圧式静圧軸受26を、X方向のみに傾 動するのを許容し、Y方向には傾動しないよ にすることができる。

 すべり軸受部内輪28の外周面28a、28bは、 率半径Rが小さすぎると構造上ロール14の支 に必要な剛性が低下し、曲率半径Rが大き過 ると調心性が低下する。このため、すべり 受部内輪28の外周面28a、28bの曲率半径Rは、 べり軸受部内輪28の内径d(50~250mm程度)の0.8~2 (40~500mm程度)とすることが好ましい。

 すべり軸受部内輪28の外周面のうち、Y方 (軸方向を中心として左右)に対向する2つの 周面28c、28d間の幅Bと曲率半径Rとの比(以下 これを「B/R比」という)が1を下回ると、す り軸受部内輪28の動特性が低下し易く、5を えるとすべり軸受部内輪28の重量が増加し、 円滑に調心できなくなる。このため、B/R比を 1~5とすることが好ましい。

 図2は、本発明に係る軸受構造を有する軸 受部材24の内部構成を説明する拡大断面図で る。なお、同図は、スラスト軸受が設けら た側の軸受部材24を示したものである。

 すべり軸受部内輪28の内周面には、図2に すように、回転軸22を回転自在に支持する 圧式静圧軸受26の外周部材32が固定されてお 、すべり軸受部内輪28と一体となって動く うになっている。また、すべり軸受部内輪28 の内周面には、潤滑油を供給するための給油 溝34が周方向に設けられている。

 油圧式静圧軸受26の内壁面と回転軸22との 間には、静圧ポケット36及び大気圧解放溝38 周方向及び軸方向に沿って形成され、これ の静圧ポケット36及び大気圧解放溝38は、回 軸22の外周面との間に潤滑油が通過できる 度の微細流路が形成された軸受メタル部材40 を介して連通している。大気圧解放溝38は、 ール部材42によってシールされている。ま 、給油溝34に対向する外周部材32の表面には 油口44が形成され、この給油口44と静圧ポケ ット36とは微細な流路状に形成された給油孔4 6を介して連通している。静圧ポケット38、38 、重力方向の下部に軸方向に沿って形成さ た排油孔48と連通しており、排油孔48は排油 口50と連通している。

 これにより、潤滑油は、周方向に形成さ た給油溝34から、給油口44及び給油孔46を通 て、静圧ポケット36、軸受メタル部材40(周 向の微細流路)、及び大気圧解放溝38へ供給 れる。そして、静圧ポケット36、大気圧解放 溝38を循環した潤滑油は、排油孔48へ集めら た後、排油口50を介して外部へ排出される。

 潤滑油を貯留・供給する潤滑油供給源52 、管路54a、54bによって給油溝34、排油口50の れぞれと連通しており、潤滑油の循環路54 形成されている。潤滑油の循環路54の途中に は、潤滑油の温度を測定する温度計56と、潤 油温度制御機構58が設けられている。温度 56では、潤滑油の温度を常に監視できる状況 となっている。また、潤滑油温度制御機構58 、空冷、水冷、冷媒方式等の温調機器を用 て、潤滑油の温度を所定温度となるように 御する。これにより、温度計56における潤 油の温度測定結果に基づいて、潤滑油温度 御機構58が潤滑油の温度を所定温度となるよ うに制御する。

 油圧式静圧軸受26の内部において、ロー 14とは反対側の大気圧解放溝38の隣には、フ ンジ状にスラスト軸受60が設けられている このスラスト軸受60は、ロール14に固定され 状態でロール14と共に回転自在となってお 、外周部材32の間とねじ64によって固定され 固定部材62の間の周方向側面部に、油が潤 できる程度の微細な流路が形成されている そして、大気圧解放溝38から流出した潤滑油 が、上記微細な流路を通り、潤滑することに よりロール14の軸方向への移動を制限するよ になっている。油圧式静圧軸受26のロール14 側には、必要に応じてラビングシール66が設 られる。

 なお、上記のスラスト軸受60は、一対の 受部材24のうちいずれか一方のみに設けられ ることが好ましい。すなわち、潤滑油が発熱 した場合、ロール14の軸方向への熱膨張が起 るが、ロールが長尺化する程その膨張量は きくなる。ロール14の両端部においてスラ ト方向を支持すると、軸方向への遊びがな なるため、圧縮荷重を受けて変形するおそ もある。したがって、ロール14を支持する一 対の軸受部材24のうち、いずれか一方のみに ラスト軸受60を設けることにより、上記の うな不具合を抑制する。

 次に、本発明の作用について、図3及び図 4A、Bを参照して説明する。図3は、ロールが 力方向に撓む様子を説明する説明図であり 図4A及びBは、軸受部材24における動作を説明 する説明図である。このうち、図4Aは、塗布 置10における動作を正面からみた図であり 軸受部材24の重力方向での断面図である。ま た、図4Bは、塗布装置10における動作を上方 らみた図であり、軸受部材24の水平方向での 断面図である。

 まず、潤滑油供給源52を作動させ、給油 34から油圧式静圧軸受26内の静圧ポケット36 び大気圧解放溝38に潤滑油を供給するととも に、排油孔48、排油口50を介して排出し、潤 油供給源52に循環させる。このときの油温や 油圧は、ロール重量、回転速度、必要となる 剛性値等の設計条件に応じて、適切な値に設 定する。そして、ロール14を回転させる。

 ロール14を回転させるうちに、図3に示す うに、ロール14が自重により重力方向に撓 、回転軸心14A(点線)が水平から振れた状態に なる。

 このとき、図4Aに示すように、軸受部材24 では、ロール14の撓みに追従して、すべり軸 部内輪28がX方向に傾動する(矢印参照)。し がって、コーティングロールが撓んでも、 転時にロールが軸ぶれしたり、軸受の負荷 増大させたりすることなく、撓んだままの 態で一定の回転軸心を形成して回転する。

 また、このときの様子を上からみると、 4Bに示すように、軸受部材24において、Y方 にはすべり軸受部内輪28の外周面28cと外輪30 内周面30c、及びすべり軸受部内輪28の外周 28dとすべり軸受部外輪30の内周面30dとが相互 に平面で接しているため、すべり軸受部内輪 28はY方向に傾動することなく、安定に固定さ れる。

 すなわち、ロール14に撓みが生じても、 の撓みに追従するようにすべり軸受部内輪28 がX方向のみに傾動し、Y方向には傾動するこ がない。このため、ロール14の回転軸心14A( 線)が変動することがなく、ロール14を高い 転精度で回転自在に支持することができる さらに、塗布ヘッド16とロール14とのクリア ランス分布を均一にすることができる。

 このように、本実施形態によれば、フィ ムの搬送方向へのロールの軸ぶれを抑制し 高い回転精度を実現できる。また、従来の 面型のすべり軸受と比べて、本発明の部分 柱型のすべり軸受は曲面加工の精度が高い で、すべり軸受部内輪及びすべり軸受部外 が大径になっても両者の合わせ加工を精度 く行うことができる。したがって、調心性 高精度化できるとともに、低コスト化する とができる。

 なお、本発明に使用されるフィルム12と ては、公知の各種フィルムを使用できる。 般的には、ポリエチレンテレフタレート、 リエチレン-2,6-ナフタレート、セルロースダ イアセテート、セルローストリアセテート、 セルロースアセテートプロピオネート、ポリ 塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカー ボネート、ポリイミド、ポリアミド等の公知 の各種プラスチックフィルム、紙、紙にポリ エチレン、ポロプロピレン、エチレンブテン 共重合体等の炭素数が2~10のα-ポリオレフィ 類を塗布又はラミネートした各種積層紙、 ルミニウム、銅、スズ等の金属箔等、帯状 材の表面に予備的な加工層を形成させたも 、あるいはこれらを積層した各種複合材が まれる。

 以上、本発明に係るロールの軸受構造の ましい実施形態について説明したが、本発 は上記実施形態に限定されるものではなく 各種の態様が採り得る。

 たとえば、上記各実施形態では、回転軸2 2を支持する第1軸受部として、高い振動減衰 、高い回転精度、高い負荷容量等において 頼性のある油圧式静圧軸受26を採用したが これに限定されず、各種軸受を使用するこ ができる。また、外部から侵入する振動等 外乱が少ない場合は、高精度な玉軸受方式 ころ軸受方式等を採用できる。また、ロー の重量が小さい等、必要とする負荷容量が さく、モーメントの影響が小さい場合は、 気圧を利用した空気圧軸受方式、磁力を利 した磁気軸受方式等も採用できる。

 上記各実施形態では、本発明に係る軸受 造を有する軸受部材24をロール14の両端に配 置したが、これに限定されることはなく、一 方のみに配置してもよい。この場合について も、上述したのと同様の効果を得ることがで きる。

 また、本実施形態では、エクストルージ ン型の塗布ヘッドを用いた塗布装置におい 、フィルムが巻き掛けられるバックアップ ールを支持する軸受構造について説明した 、これに限定されず、例えば、ロールで掻 上げた塗布液をフィルムに転写するバー塗 装置における塗布バーとしても使用できる

 以下、本発明に係る実施例を説明するが 本発明はこれらの実施例に限定されるもの はない。

 ロール14の有効面長を変えたときの、撓 量を測定した。

 材質がSCMで、外径120mmのロール14において 、ロール14の幅方向の有効面長を1000~4000mmの 囲で変えた。ロール14の撓み量は、レーザ変 位計により、ロール有効面両端部と中央部の 計3点について測定した。この結果を、図5に す。

 図5に示すように、ロール14の有効面長が3 000mmを超えると、撓み量が比例的に増加する に対して、ロール14の有効面長が3000mmを下 ると、撓み量が50μm以下と比較的小さくなる ことがわかった。

 また、調心性の観点から、すべり軸受部 輪28の好ましいサイズ及び形状について検 した。

 内輪28の外周面28a、28bの曲率半径Rを100mm したとき、内輪28の2つの対向する外周面28c 28d間の幅Bを変えることにより、B/R比による 心性への影響を評価した。軸受の調心性は 視観察により行い、以下の基準で評価した

 ◎…調心性が極めて高い、○…調心性が高 、△…調心性がやや低いが実用上問題ない ベル、×…調心性が低い
 この結果を表1に示す。

 以上より、すべり軸受部内輪28のY方向の 面間の幅BとZ方向の曲率半径Rとの比(B/R比) 1~5とすることで、高い調心性を安定に維持 きることがわかった。