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Patent Searching and Data


Title:
BEARING UNIT FOR WHEEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081586
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a bearing unit for a wheel in which rusting is prevented by enhancing hermetic sealing performance between an outer member and a knuckle. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The inner side seal (9) consists of annular slinger (11) and sealing plate (12) with substantially L-shaped cross-sections press fitted, respectively, in the inner ring (3) and an outer member (10) and arranged oppositely, wherein the sealing plate (12) consists of a core metal (13) and a sealing member (14) bonded to the core metal (13) and having a plurality of seal lips sliding on the slinger (11). In such a bearing unit for a wheel, an outer circumferential lip (17) having a hooked cross-section and extending radially outward is formed at the outer circumferential part of the sealing member (14), the outer circumferential lip (17) is arranged to be fitted in the gap (e) between the outer member (10) and the flange (18) of a knuckle (N), with the diameter d at the top (17a) of the outer circumferential lip (17) set larger than the outside diameter D at the inside diameter chamfered portion (18a) of the flange (18), and the outer circumferential lip (17) abuts against the flange (18) with a hooking margin δ of φ0.1 or more.

Inventors:
KOMORI KAZUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001472
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KOMORI KAZUO (JP)
International Classes:
F16C33/78; B60B35/16; B60B35/18; F16C33/76; F16J15/32
Foreign References:
JPS5916208U1984-01-31
JP2003056579A2003-02-26
JP2003523492A2003-08-05
Attorney, Agent or Firm:
KOSHIKAWA, Takao (111-2 Itayamachi,Naka-ku, Hamamatsu-shi, Shizuoka, JP)
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Claims:
 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
 一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
 この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
 前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、
 これらシールのうちインナー側のシールが、前記内方部材と外方部材にそれぞれ圧入され、互いに対向配置された断面略L字状の環状のスリンガとシール板とからなり、このシール板が、鋼板製の芯金と、この芯金に加硫接着により一体に接合され、前記スリンガに摺接する複数のシールリップを有するシール部材からなる車輪用軸受装置において、
 前記シール部材の外周部に、径方向外方に延び、断面略くの字形の外周リップが形成され、この外周リップが前記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置されると共に、当該外周リップのリップ頂点の径が所定値に設定され、前記ナックルの鍔部に対して所定の掛かり代を持って当接されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
 前記掛かり代がφ0.1以上に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
 前記ナックルの組み込み途中で、前記外周リップの先端部が前記外方部材の端面との間に所定の軸方向すきまがある状態で、当該外周リップのリップ頂点が前記ナックルの鍔部に当接されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
 前記ナックルの鍔部の内径に面取り部が形成され、前記外周リップのリップ頂点の径が、前記面取り部の外径よりも大径に設定されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
 前記シール部材が、前記芯金の円筒部の外表面に回り込んで固着され、前記外方部材との嵌合部に密着されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
 前記外周リップの折り曲げ角度が前記外方部材の端面の垂線に対して10°以上に設定され、前記ナックル組込み途中で前記外周リップ先端が前記外方部材の端面に接触した際に、当該外周リップの先端部とリップ頂点が前記外方部材の端面と前記ナックルの鍔部にシメシロを介して2点で弾性接触されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。
Description:
車輪用軸受装置

 本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に して回転自在に支承する車輪用軸受装置に し、詳しくは、外方部材とナックル間の密 性を向上させて発錆を防止した車輪用軸受 置に関するものである。

 従来から自動車等の車輪を支持する車輪 軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ を複列の転がり軸受を介して回転自在に支 するもので、駆動輪用と従動輪用とがある 構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転 式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の 方式が一般的に採用されている。また、車 用軸受装置には、懸架装置を構成するナッ ルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受 からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と 称される構造から、外方部材の外周に直接車 体取付フランジまたは車輪取付フランジが形 成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周 一方の内側転走面が直接形成された第3世代 造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外 継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直 形成された第4世代構造とに大別されている 。

 これらの軸受部には、軸受内部に封入さ たグリースの漏れを防止すると共に、外部 ら雨水やダスト等の侵入を防止するために ールが装着されている。近年、自動車のメ テナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置 おいてもさらなる長寿命化が要求されるよ になっているが、市場回収品の軸受損傷状 を検証すると、剥離等の本来の軸受寿命よ も、シール不具合あるいは密封性の低下に り軸受内に雨水やダスト等が侵入して軸受 損傷する事例が少なくない。したがって、 ールの密封性を向上させることにより、軸 寿命の向上を図ることができる。

 従来から、密封性を高めたシールに関し は種々提案されているが、こうしたシール 代表的な一例を図6に示す。このシール50は 内輪51と外方部材52との間を密封し、内輪51 よび外方部材52に各々装着されて互いに対 する断面L字状の環状のスリンガ53とシール 54とを備えている。

 スリンガ53は鋼板からプレス加工によっ 形成され、内輪51の外径面に圧入された円筒 部53aと、この円筒部53aから立ち上がった立板 部53bとを有している。この立板部53bの側面に は、ゴム磁石等からなる磁気エンコーダ55が 体に加硫接着されている。また、この磁気 ンコーダ55は、周方向に交互に磁極N、Sが着 磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエ ンコーダを構成している。

 一方、シール板54は鋼板からプレス加工 よって形成され、外方部材52に圧入された芯 金56と、この芯金56に加硫接着により一体に 合されたシール部材57とからなる。シール部 材57はゴムまたは合成樹脂等の弾性体からな 、スリンガ53の立板部53bに摺接するサイド ップ57aと、円筒部53aに摺接する一対のラジ ルリップ57b、57cとを備えている。そして、 ール部材57の外周部とスリンガ53の立板部53b 僅かな径方向すきまを介して対向し、ラビ ンスシール58が構成されている。

 また、シール部材57の外周端縁には径方向 方に延びる突出リップ59が形成されている。 この突出リップ59は断面がくの字形に形成さ 、外方部材52とナックル60との間隙eに嵌り むように配置されている。これにより、外 部材52とナックル60との間隙eまで封鎖するこ とができ、外部からの泥水等がこの間隙eに 入して回り込むのを防止することができ、 方部材52とナックル60の発錆を防止すること できる。  

特開2003-56579号公報

 こうした従来のシール50では、図7(a)に示 ように、突出リップ59のリップ頂点59aとナ クル60との掛かり代δが少ない場合、すなわ 、リップ頂点59aを適切な位置に設定しない 、(b)に示すように、ナックル60を組み込ん 後、ナックル60の内径側に突出リップ59がは 出してしまう。これでは、外方部材52との にすきまが生じ、外方部材52とナックル60と 間の密封性を確保することができないだけ なく、突出リップ59が損傷する恐れがあっ 。

 また、図8(a)に示すように、突出リップ59 折り曲げ角度が適切な角度に設定されてい いと、突出リップ59のリップ頂点59aと先端 59bの2点で確実に接触することができない。 なわち、(b)に示すように、ナックル60を組 む過程で突出リップ59が広がらずに反転し、 外方部材52の端面とナックル60との間で押し されてしまう。これでは、外方部材52との間 にすきまが生じ、外方部材52とナックル60と 間の密封性を確保することができない。

 本発明は、このような従来の問題に鑑み なされたもので、外方部材とナックル間の 封性を向上させて発錆を防止した車輪用軸 装置を提供することを目的とする。

 係る目的を達成すべく、本発明は、内周に 列の外側転走面が一体に形成された外方部 と、一端部に車輪を取り付けるための車輪 付フランジを一体に有し、外周に軸方向に びる小径段部が形成されたハブ輪、および のハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介 て圧入された少なくとも一つの内輪からな 、外周に前記複列の外側転走面に対向する 列の内側転走面が形成された内方部材と、 の内方部材と前記外方部材の両転走面間に 持器を介して転動自在に収容された複列の 動体と、前記外方部材と内方部材との間に 成される環状空間の開口部に装着されたシ ルとを備え、これらシールのうちインナー のシールが、前記内方部材と外方部材にそ ぞれ圧入され、互いに対向配置された断面 L字状の環状のスリンガとシール板とからな り、このシール板が、鋼板製の芯金と、この 芯金に加硫接着により一体に接合され、前記 スリンガに摺接する複数のシールリップを有 するシール部材からなる車輪用軸受装置にお いて、前記シール部材の外周部に、径方向外 方に延び、断面略くの字形の外周リップが形 成され、この外周リップが前記外方部材とナ ックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置 されると共に、当該外周リップのリップ頂点 の径が所定値に設定され、前記ナックルの鍔 部に対して所定の掛かり代を持って当接され ている。
・・・請求項1

 このように、外方部材と内方部材との間 形成される環状空間の開口部に装着された ールを備え、これらシールのうちインナー のシールが、内方部材と外方部材にそれぞ 圧入され、互いに対向配置された断面略L字 状の環状のスリンガとシール板とからなり、 このシール板が、鋼板製の芯金と、この芯金 に加硫接着により一体に接合され、スリンガ に摺接する複数のシールリップを有するシー ル部材からなる車輪用軸受装置において、シ ール部材の外周部に、径方向外方に延び、断 面略くの字形の外周リップが形成され、この 外周リップが外方部材とナックルの鍔部との 間隙に嵌り込むように配置されると共に、当 該外周リップのリップ頂点の径が所定値に設 定され、ナックルの鍔部に対して所定の掛か り代を持って当接されているので、ナックル 組み込み後の外周リップのはみ出しを防止す ることができ、外方部材とナックルとの間の 密封性を確保することができると共に、外周 リップが損傷するのを防止して外部からの泥 水等がこの間隙に浸入して回り込むのを防止 することができ、外方部材とナックル間の密 封性を向上させて発錆を防止することができ る。

 好ましくは、本発明のように、前記掛か 代がφ0.1以上に設定されていれば、外周リ プのナックルからのはみ出しを確実に防止 ることができる。・・・請求項2

 また、本発明のように、前記ナックルの み込み途中で、前記外周リップの先端部が 記外方部材の端面との間に所定の軸方向す まがある状態で、当該外周リップのリップ 点が前記ナックルの鍔部に当接されていれ 、所望のシメシロを確保して外方部材とナ クルとの間の密封性を確保することができ 。・・・請求項3

 また、本発明のように、前記ナックルの 部の内径に面取り部が形成され、前記外周 ップのリップ頂点の径が、前記面取り部の 径よりも大径に設定されていれば、ナック 組み込み時に外周リップが損傷するのを防 することができる。・・・請求項4

 また、本発明のように、前記シール部材 、前記芯金の円筒部の外表面に回り込んで 着され、前記外方部材との嵌合部に密着さ ていれば、シール嵌合部の気密性の向上を ることができる。・・・請求項5

 また、本発明のように、前記外周リップ 折り曲げ角度が前記外方部材の端面の垂線 対して10°以上に設定され、前記ナックル組 込み途中で前記外周リップ先端が前記外方部 材の端面に接触した際に、当該外周リップの 先端部とリップ頂点が前記外方部材の端面と 前記ナックルの鍔部にシメシロを介して2点 弾性接触されていれば、外方部材とナック との間の密封性を確保することができると に、外周リップが損傷するのを防止して外 からの泥水等がこの間隙に浸入して回り込 のを防止することができ、外方部材とナッ ル間の密封性を向上させて発錆を一層防止 ることができる。・・・請求項6

 本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に 列の外側転走面が一体に形成された外方部 と、一端部に車輪を取り付けるための車輪 付フランジを一体に有し、外周に軸方向に びる小径段部が形成されたハブ輪、および のハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介 て圧入された少なくとも一つの内輪からな 、外周に前記複列の外側転走面に対向する 列の内側転走面が形成された内方部材と、 の内方部材と前記外方部材の両転走面間に 持器を介して転動自在に収容された複列の 動体と、前記外方部材と内方部材との間に 成される環状空間の開口部に装着されたシ ルとを備え、これらシールのうちインナー のシールが、前記内方部材と外方部材にそ ぞれ圧入され、互いに対向配置された断面 L字状の環状のスリンガとシール板とからな り、このシール板が、鋼板製の芯金と、この 芯金に加硫接着により一体に接合され、前記 スリンガに摺接する複数のシールリップを有 するシール部材からなる車輪用軸受装置にお いて、前記シール部材の外周部に、径方向外 方に延び、断面略くの字形の外周リップが形 成され、この外周リップが前記外方部材とナ ックルの鍔部との間隙に嵌り込むように配置 されると共に、当該外周リップのリップ頂点 の径が所定値に設定され、前記ナックルの鍔 部に対して所定の掛かり代を持って当接され ているので、ナックル組み込み後の外周リッ プのはみ出しを防止することができ、外方部 材とナックルとの間の密封性を確保すること ができると共に、外周リップが損傷するのを 防止して外部からの泥水等がこの間隙に浸入 して回り込むのを防止することができ、外方 部材とナックル間の密封性を向上させて発錆 を防止することができる。

 外周にナックルに取り付けられるための 体取付フランジを一体に有し、内周に複列 外側転走面が形成された外方部材と、一端 に車輪を取り付けるための車輪取付フラン を一体に有し、外周に前記複列の外側転走 の一方に対向する内側転走面と、この内側 走面から軸方向に延びる小径段部が形成さ たハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に 入され、外周に前記複列の外側転走面の他 に対向する内側転走面が形成された内輪か なる内方部材と、この内方部材と前記外方 材の両転走面間に保持器を介して転動自在 収容された複列の転動体と、前記外方部材 内方部材との間に形成される環状空間の開 部に装着されたシールとを備え、これらシ ルのうちインナー側のシールが、前記内輪 外方部材にそれぞれ圧入され、互いに対向 置された断面略L字状の環状のスリンガとシ ール板とからなり、このシール板が、鋼板製 の芯金と、この芯金に加硫接着により一体に 接合され、前記スリンガに摺接する複数のシ ールリップを有するシール部材からなる車輪 用軸受装置において、前記シール部材の外周 部に、径方向外方に延び、断面略くの字形の 外周リップが形成され、この外周リップが前 記外方部材とナックルの鍔部との間隙に嵌り 込むように配置されると共に、当該外周リッ プのリップ頂点の径が前記ナックルにおける 鍔部の内径面取り部の外径よりも大径に設定 され、当該鍔部に対してφ0.1以上の掛かり代 持って当接されている。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基いて 細に説明する。
 図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実 施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡 図、図3(a)は、ナックル組み込み途中を示す 説明図、(b)は、ナックル組み込み後を示す説 明図、図4(a)は、図3のシールを示す拡大図、( b)は、(a)の比較例を示す拡大図、図5(a)は、ナ ックル組込み途中を示す説明図、(b)は、ナッ クル組込み後を示す説明図である。なお、以 下の説明では、車両に組み付けた状態で車両 の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側) 、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という 。

 この車輪用軸受装置は駆動輪用で、内方 材1と外方部材10、および両部材1、10間に転 自在に収容された複列の転動体(ボール)7、7 とを備え、第3世代と称される構成をなして る。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2 所定のシメシロを介して圧入された内輪3と らなる。

 ハブ輪2は、一端部に車輪を取り付けるた めの車輪取付フランジ4を一体に有し、外周 一方(アウター側)の内側転走面2aと、この内 転走面2aから軸方向に延びる小径段部2bが形 成されている。また、車輪取付フランジ4の 方向等配位置にはハブボルト5が植設されて る。内輪3は、外周に他方(インナー側)の内 転走面3aが形成され、ハブ輪2の小径段部2b 所定のシメシロを介して圧入されている。

 ハブ輪2はS53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中 炭素鋼で形成され、内側転走面2aをはじめ、 アウター側のシール8のシールランド部とな 車輪取付フランジ4の基部から小径段部2bに って高周波焼入れによって58~64HRCの範囲に表 面が硬化処理されている。一方、内輪3およ 転動体7は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で形 成され、ズブ焼入れによって芯部まで58~64HRC 範囲に硬化処理されている。

 外方部材10は、外周に懸架装置を構成す ナックル(図示せず)に取り付けられるための 車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に内 方部材1の内側転走面2a、3aに対向する複列の 側転走面10a、10aが一体に形成されている。 れら両転走面10a、2aおよび10a、3a間には保持 器6を介して複列の転動体7、7が転動自在に収 容されている。この外方部材10はS53C等の炭素 0.40~0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少な くとも複列の外側転走面10a、10aが、高周波焼 入れによって58~64HRCの範囲に表面が硬化処理 れている。

 外方部材10の両端部にはシール8、9が装着 され、外方部材10と内方部材1との間に形成さ れる環状空間の開口部を密封している。この シール8、9により、軸受内部に封入された潤 グリースの外部への漏洩と、外部から雨水 ダスト等が軸受内部に侵入するのを防止し いる。

 ここで、シール8、9のうちインナー側の ール9は、図2に拡大して示すように、互いに 対向配置されたスリンガ11と環状のシール板1 2とからなる、所謂ハイパックシールで構成 れている。スリンガ11は、強磁性体の鋼鈑、 例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS 格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された 間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加 にて断面が略L字状に形成され、内輪3に圧 される円筒部11aと、この円筒部11aから径方 外方に延びる立板部11bとからなる。これに り、スリンガ11の発錆を防止してシール9の 久性を向上させることができる。

 また、立板部15bのインナー側の側面には ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性 粉が混入された磁気エンコーダ15が一体に 硫接着されている。この磁気エンコーダ15は 、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪 回転速度検出用のロータリエンコーダを構 している。

 一方、シール板12は、外方部材10の端部に 内嵌される円筒部13aと、この円筒部13aの一端 から径方向内方に延びる立板部13bとからなる 芯金13と、この芯金13に加硫接着されたシー 部材14とからなる。芯金13は、オーステナイ 系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あ いは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格 SPCC系等)からプレス加工にて形成されてい 。

 シール部材14はニトリルゴム等の弾性部 からなり、スリンガ11の立板部11bに摺接する サイドリップ14aと、円筒部11aに摺接するラジ アルリップ14b、14cとを有している。サイドリ ップ14aは芯金13の立板部13bから外径側に傾斜 て形成され、先端がスリンガ11の立板部11b 所定のシメシロをもって摺接している。ま 、スリンガ11における立板部11bの外縁とシー ル部材14の外周部とが僅かな径方向すきまを して対峙してラビリンスシール16が構成さ 、外部から雨水やダスト等が直接サイドリ プ14aに降りかかるのを防止して密封性を向 させている。

 ここで、本実施形態では、シール部材14 芯金13の円筒部13aの外表面に回り込んで固着 され、外方部材10との嵌合部に密着されて気 性の向上が図られると共に、外周部の端部 ら径方向外方に延びる外周リップ17が形成 れている。この外周リップ17は断面がくの字 形に形成され、外方部材10とナックルNの鍔部 18との間隙eに嵌り込むように配置されている 。そして、外周リップ17のリップ頂点17aの径d が所定値に設定されている(図3(b)参照)。すな わち、図3(a)に示すように、ナックルNの組み み途中で、外周リップ17の先端部17bが外方 材10の端面との間に所定の軸方向すきまe0が る状態で、リップ頂点17aとナックルNとの掛 かり代δが所定値以上になるように設定され いる。

 本出願人が実施した嵌合試験による検証 果を表1に示すが、外周リップ17のリップ頂 17aの径dを、ナックルNの鍔部18の内径面取り 部18aの外径Dよりもφ0.1以上に設定することで 、(b)に示すように、ナックルNの組み込み後 外周リップ17の先端部17bとリップ頂点17aが外 方部材10の端面とナックルNの鍔部18に所定の メシロで当接すると共に、外周リップ17の み出しを確実に防止することができる。こ により、外方部材10とナックルNとの間の密 性を確保することができると共に、外周リ プ17が損傷するのを防止して外部からの泥水 等がこの間隙eに浸入して回り込むのを防止 ることができ、外方部材10とナックルN間の 封性を向上させて発錆を防止することがで る。

 さらに、図4(b)に示すように、突出リップ 17の先端部17bが外方部材10の端面に対して直 に近い状態で接触すると、先端部17bが外径 に広がらずに内径側に反転する恐れがある そこで、本出願人は、突出リップ17の折り曲 げ角度θに着目し、(a)に示すように、この折 曲げ角度θが外方部材10の端面の垂線に対し て10°以上、好ましくは15°以上に設定するこ により、ナックルNの組込み過程で先端部17b は外径側に確実に広がることが判った。そし て、図5(b)に示すように、組込み後には先端 17bとリップ頂点17aが外方部材10の端面とナッ クルNの鍔部18に所定のシメシロ(緊迫力)を有 る状態で2点で弾性接触することができる。 これにより、外方部材10とナックルNとの間の 密封性を確保することができると共に、外周 リップ17が損傷するのを防止して外部からの 水等がこの間隙eに浸入して回り込むのを防 止することができ、外方部材10とナックルN間 の密封性を向上させて発錆を一層防止するこ とができる。

 なお、ここでは、転動体7にボールを使用 した複列アンギュラ玉軸受を例示したが、本 発明はこれに限らず、転動体7に円錐ころを 用した複列円錐ころ軸受であっても良い。 た、ハブ輪2の外周に直接内側転走面2aが形 された第3世代構造について説明したが、本 明はこうした構造に限定されるものではな 、例えば、図示しないが、ハブ輪の小径段 に一対の内輪が圧入された第1世代や第2世 構造であっても良い。

 以上、本発明の実施の形態について説明 行ったが、本発明はこうした実施の形態に 等限定されるものではなく、あくまで例示 あって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことであり、本発明の範囲は、 許請求の範囲の記載によって示され、さら 特許請求の範囲に記載の均等の意味、およ 範囲内のすべての変更を含む。

 本発明に係る車輪用軸受装置は、インナ 側のシールにハイパックシールを使用した 1乃至第3世代の車輪用軸受装置に適用でき 。

本発明に係る車輪用軸受装置の一実施 態を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 (a)は、ナックル組み込み途中を示す説 図である。 (b)は、ナックル組み込み後を す説明図である。 (a)は、図3のシールを示す拡大図である 。 (b)は、(a)の比較例を示す拡大図である。 (a)は、ナックル組込み途中を示す説明 である。 (b)は、ナックル組込み後を示す 明図である。 従来の車輪用軸受装置のシールを示す 断面図である。 (a)は、ナックル組み込み途中を示す説 図である。 (b)は、ナックル組み込み後を す説明図である。 (a)は、同上、ナックル組込み途中を示 説明図である。 (b)は、同上、ナックル組 み後を示す説明図である。

符号の説明

1・・・・・・・・・・・・・・・・内方部
2・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a・・・・・・・・・・・・内側転走面
2b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
3・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
3b・・・・・・・・・・・・・・・外径面
4・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取 フランジ
5・・・・・・・・・・・・・・・・ハブボ ト
6・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
7・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
8・・・・・・・・・・・・・・・・アウタ 側のシール
9・・・・・・・・・・・・・・・・インナ 側のシール
10・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
10a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フ ランジ
11・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
11a、13a・・・・・・・・・・円筒部
11b、13b・・・・・・・・・・立板部
12・・・・・・・・・・・・・・・シール板
13・・・・・・・・・・・・・・・芯金
14・・・・・・・・・・・・・・・シール部
14a・・・・・・・・・・・・・・サイドリッ プ
14b、14c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
15・・・・・・・・・・・・・・・磁気エン ーダ
16・・・・・・・・・・・・・・・ラビリン シール
16b・・・・・・・・・・・・・・内径面
17・・・・・・・・・・・・・・・外周リッ
17a・・・・・・・・・・・・・・リップ頂点
17b・・・・・・・・・・・・・・先端部
18・・・・・・・・・・・・・・・鍔部
18a・・・・・・・・・・・・・・内径面取り 部
50・・・・・・・・・・・・・・・シール
51・・・・・・・・・・・・・・・内輪
52・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
53a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
53b・・・・・・・・・・・・・・立板部
54・・・・・・・・・・・・・・・シール板
55・・・・・・・・・・・・・・・磁気エン ーダ
56・・・・・・・・・・・・・・・芯金
57・・・・・・・・・・・・・・・シール部
57a・・・・・・・・・・・・・・サイドリッ プ
57b、57c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
58・・・・・・・・・・・・・・・ラビリン シール
59・・・・・・・・・・・・・・・突出リッ
60・・・・・・・・・・・・・・・ナックル
d・・・・・・・・・・・・・・・・リップ 点径
D・・・・・・・・・・・・・・・・ナック の鍔部内径面取り部の外径
e・・・・・・・・・・・・・・・・外方部 とナックルとの間隙
e0・・・・・・・・・・・・・・・軸方向す ま
N・・・・・・・・・・・・・・・・ナック
δ・・・・・・・・・・・・・・・・掛かり
θ・・・・・・・・・・・・・・・・折り曲 角度