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Patent Searching and Data


Title:
BELT TYPE CONTINUOUSLY VARIABLE TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031277
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a belt type continuously variable transmission comprising a spring for urging the movable sheave (4b) of a follower pulley (4) toward a stationary sheave (4a), and a torque cam mechanism (14) for pushing the movable sheave (4b) toward the stationary sheave (4a) by the relative rotation to that of the stationary sheave (4a). Intended is to prevent the slip of a belt (5) by exhibiting a torque cam effect effectively even in case the individual belt contact positions on the movable sheave side groove side surface (24) and the stationary sheave side belt groove side surface (23) of that follower pulley (4) are different in the radial direction. For this purpose, in the movable sheave side groove side surface (24) of the belt groove (4c) of the follower pulley (4), an outer circumference portion (24a), which is located on the radially outer side than the position of a belt pitch line at a speed ratio of 1.0, has a larger belt groove face angle (θ1) relative to a plane normal to the axis of pulley rotation, than the belt groove face angle (θ2) of an inner circumference portion (24b) located on the radially inner side. Moreover, the difference between the belt groove face angle (θ1) of the outer circumference portion (24a) and the belt groove face angle (θ2) of the inner circumference portion (24b) is set at 0.4 degrees to 1.4 degrees.

Inventors:
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002324
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
August 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BANDO CHEMICAL IND (JP)
SAKANAKA HIROYUKI (JP)
International Classes:
F16H9/18; F16H55/56
Foreign References:
JP2004028284A2004-01-29
JPH062748A1994-01-11
JP2002031215A2002-01-31
JPS5481072U1979-06-08
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome,Chuo-ku,Osaka-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
 上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
 上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
 上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
 上記従動プーリのベルト溝の可動シーブ側溝側面のうち、速比が1.0になるときのベルトピッチラインの位置よりも半径方向外側にある外周部の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度が、半径方向内側にある内周部のベルト溝面角度よりも大きく、
 上記外周部のベルト溝面角度と内周部のベルト溝面角度との差が0.4°以上でかつ1.4°以下であるベルト式無段変速装置。
 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
 上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
 上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
 上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
 上記従動プーリのベルト溝の可動シーブ側溝側面のうち、速比が1.0になるときのベルトピッチラインの位置よりも半径方向外側にある外周部の、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対するベルト溝面角度が、上記ベルト側面の上記直交平面に対するベルト側面角度よりも大きく、半径方向内側にある内周部のベルト溝面角度が上記ベルト側面の角度よりも小さく、
 上記外周部のベルト溝面角度と内周部のベルト溝面角度との差が0.4°以上でかつ1.4°以下であるベルト式無段変速装置。
 請求項1又は2のベルト式無段変速装置において、
 従動プーリのベルト溝の可動シーブ側溝側面における外周部と内周部とが円弧面で接続されているベルト式無段変速装置。
 固定及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成された変速プーリからなる駆動及び従動プーリと、
 上記駆動及び従動プーリのベルト溝に巻き掛けられたVベルトと、
 上記従動プーリの可動シーブを固定シーブに近付くように常時付勢する付勢手段と、
 上記従動プーリの可動シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に相対回転したときに該可動シーブを固定シーブに近付くように押圧するトルクカム機構とを備えたベルト式無段変速装置において、
 上記従動プーリのベルト溝における可動シーブ側溝側面は、固定シーブ側に向かうように膨出する凸曲面で構成されていて、
 上記可動シーブ側溝側面の半径方向に沿った断面形状は、ベルトが最大巻付け半径になるときにベルトピッチラインが位置する外周位置と、最小巻付け半径になるときにベルトピッチラインが位置する内周位置と、該両位置を通る直線から該直線と直交する方向に所定距離だけ離れかつ速比が1.0となるときのベルトピッチラインが位置する中間位置とを通る曲線形状とされ、
 上記直線と中間位置との距離は、0.15mm以上でかつ0.6mm以下であるベルト式無段変速装置。
 請求項1、2又は4のベルト式無段変速装置において、
 Vベルトは、張力帯に多数のブロックを係合してなるブロックベルトであるベルト式無段変速装置。
Description:
ベルト式無段変速装置

 本発明は、変速プーリ間にベルトを巻き けたベルト式無段変速装置に関し、特に、 動プーリ側にトルクカム機構を備えたもの 関する。

 従来、ベルト式無段変速装置はよく知ら ている。このベルト式無段変速装置は、固 及び可動シーブ間に断面V字状のベルト溝が 形成された変速プーリからなる駆動及び従動 プーリと、これら駆動及び従動プーリのベル ト溝に巻き掛けられたVベルトとを備えてい 。そして、各プーリの可動シーブを固定シ ブに対し両プーリで逆方向に移動するよう 接離させてベルト巻付け半径を変化させ、 動プーリのベルト巻付け半径を従動プーリ ベルト巻付け半径よりも大きくすることで 速比(レシオ)が1未満の増速状態とする一方 駆動プーリのベルト巻付け半径を従動プー のベルト巻付け半径よりも小さくすること 、速比が1を越えた減速状態とする。

 この種の無段変速装置として、例えば特 文献1に示されるものでは、プーリのベルト 溝において、固定シーブ及び可動シーブがな す溝角度を、小径側(半径方向内側)ではVベル トの側面間のなすV角度と同一とし、大径側( 径方向外側)ではV角度よりも小さくする、 言すれば半径方向外側の溝角度を半径方向 側よりも小さくしている。こうすることに り、ベルトの負荷により両シーブが互いに 隔するように撓んで変形したとき、その撓 の大きい大径側にあっては、撓みに伴って 化した溝角度をベルトのV角度に一致させ、 みの殆どない小径側にあっては、変化のな 溝角度をベルトのV角度にそのまま一致させ るようにして、ベルト溝の大径側及び小径側 のいずれでもベルト側面とベルト溝側面とを 正しく接触させ、伝達トルクの低下を防止す る。

 また、特許文献2に示されるものでは、両 シーブのプーリ中心線を含む断面におけるベ ルト溝側面の輪郭曲線を溝角度が連続して変 化する凸曲線としている。こうすることによ り、変速に伴ってベルトがベルト溝の大径側 及び小径側で移動したときに芯ずれする(駆 及び従動プーリ間のミスアラインメントが じる)のを低減し、ベルトの片当たりによる 摩耗や騒音の発生を抑制する。

 また、この特許文献2には、プーリのベルト 溝の両側面を、半径方向外側の溝角度が半径 方向内側の溝角度よりも大きくなるように2 階に形成するとともに、ベルト溝の両側面 も、底面側(内周側)のV角度が背面側(外周側) よりも大きくなるように2段階に形成するこ が示されている。このことで、ベルトがベ ト溝の半径方向外側にあるときには、ベル の左右側面の底面側を、またベルト溝の半 方向内側にあるときには、ベルト左右側面 背面側をそれぞれ接触させて、上記と同様 目的を達成する。

特開2002-70966号公報

特開2002-31215号公報

 ところで、このようなベルト式無段変速 置において、従動プーリの可動シーブを固 シーブに近付く側に移動させる推力を付与 る推力付与機構として、可動シーブを固定 ーブに近付くように常時付勢するばね等の 勢手段と、可動シーブが固定シーブに対し 対回転したときに該可動シーブを固定シー に近付くように押圧するトルクカム機構と 組み合わせたものを用いることがある。

 上記トルクカム機構が設けられている従 プーリでは、その従動プーリの倒れや撓み に起因するベルトの接触状態の差により、 の可動シーブ側(トルクカム機構側)のベル 溝面におけるベルト接触位置と、固定シー 側のベルト溝面におけるベルト接触位置と 半径方向で異なることがある。その場合、 ルクカム機構の効果が有効に発揮されず、 ルト伝動に必要な推力が得られなくなって ルト張力が低下し、スリップが発生すると う問題が生じる。

 すなわち、図9に示すように、トルクカム 機構14が、従動軸2と回転一体に設けられかつ 回転方向進み側(円周方向の一方)に向かって 動シーブ4b側に向かう方向に傾斜する第1カ 面16、及び回転方向遅れ側(円周方向の他方) に向かって可動シーブ4b側に向かう方向に傾 する第2カム面17を有するカムプレート15と 可動シーブ4b背面に回転一体に固定され、上 記カムプレート15の第1カム面16に接触可能な 1カム部20、及び第2カム面17に接触可能な第2 カム部21を有するカムフォロワ19とを備えた のであるとする。

 図9(a)に示す如く、従動プーリ4に負荷が わっていない状態では、その可動シーブ4bの 固定シーブ4aに対する相対回転が生じないの 、カムプレート15の2つのカム面16,17はいず もカムフォロワ19のカム部20,21に接触しない トルクカム機構14は非作動状態で、可動シ ブ4bが付勢手段としてのばね10のみでベルト5 を押圧している状態となる。

 また、負荷が駆動プーリ3から従動プーリ 4に伝動されている正負荷状態では、図9(b)に すように、可動シーブ4bが固定シーブ4aに対 し進み側に相対回転するので、その可動シー ブ4bにおけるカムフォロワ19の第1カム部20が ムプレート15の第1カム面16に接触する。この ことで、可動シーブ4bが固定シーブ4a側に押 れてばね10(付勢手段)と共にベルト5を押圧し ている状態となり、トルクカム機構14が作動 態となる。

 一方、負荷が従動プーリ4から駆動プーリ 3に伝動されている逆負荷状態では、図9(c)に すように、可動シーブ4bが固定シーブ4aに対 し遅れ側に相対回転するので、その可動シー ブ4bにおけるカムフォロワ19の第2カム部21が ムプレート15の第2カム面17に接触する。この ことで、可動シーブ4bが固定シーブ4a側に押 れてばね10と共にベルト5を押圧している状 となり、トルクカム機構14が作動状態となる 。

 そして、上記正負荷状態において、従動 ーリの倒れや撓み等により、可動シーブ4b (トルクカム機構14側)のベルト溝側面におけ ベルト接触位置と、固定シーブ4a側のベル 溝側面におけるベルト接触位置とが半径方 で異なる。図10(a)に示すように(尚、図10は、 説明のために、ベルト5の可動シーブ4b側及び 固定シーブ4a側のベルト溝側面でベルト接触 置が異なる状態を強調して示している)、ベ ルト5が可動シーブ4b側のベルト溝側面には下 部で、また固定シーブ4a側のベルト溝側面に 上部でそれぞれ接触すると、可動シーブ4b の伝動ピッチ半径R1が固定シーブ4a側の伝動 ッチ半径R2よりも小さくなる(R1<R2)。この きには、図11に示す如く、可動シーブ4bの固 定シーブ4aに対する速度差が大きくなって、 動シーブ4bが回転方向進み側にさらに相対 転し、その分、カムフォロワ19の第1カム部20 がカムプレート15の第1カム面16上をさらに進 側に進んで、トルクカム機構14による推力 増大する。つまり、この場合はトルクカム 構14の効果が促進されるので、問題はない。

 しかし、図10(b)に示すように、ベルト5が 動シーブ4b側のベルト溝面には上部で、ま 固定シーブ4a側のベルト溝面には下部でそれ ぞれ接触すると、可動シーブ4b側の伝動ピッ 半径R1が固定シーブ4a側の伝動ピッチ半径R2 りも大きくなる(R1>R2)。このときには、図 11に示す如く、可動シーブ4bの固定シーブ4aに 対する速度差が小さくなって、上記逆負荷状 態と同様に可動シーブ4bが回転方向遅れ側に らに相対回転し、その分、カムフォロワ19 第1カム部20がカムプレート15の第1カム面17上 を遅れ側に進んで、トルクカム機構14による 力が減少する。つまり、この場合、トルク ム機構14のカム効果が減少されることとな 、ベルト伝動に必要な推力が不足してスリ プが発生する。図11の3は駆動プーリである

 本発明の目的は、上記の如く、従動プー にその可動シーブを付勢する付勢手段とト クカム機構とを備えたベルト式無段変速装 において、その従動プーリにおけるベルト 面の傾斜角度に改良を加えることにより、 荷が駆動プーリから従動プーリに伝動され いる正負荷状態で、可動シーブ側のベルト 面におけるベルト接触位置と、固定シーブ のベルト溝面におけるベルト接触位置とが 径方向で異なった場合でも、トルクカム効 が有効に発揮されなくなるのを防止し、ベ トのスリップの発生を防ぐことにある。

 上記の目的を達成するために、この発明 は、変速装置がLo側にあって、従動プーリ おけるベルトがスリップの起こし易い大径 にあるときの可動シーブ側のベルト溝側面 角度を大きくする一方、変速装置がHi側にあ って、従動プーリにおけるベルトがスリップ の影響の小さい小径側にあるときのベルト溝 側面の角度は小さくする。このことにより、 従動プーリの倒れや撓み等に起因するベルト の接触状態の差があってもトルクカム機構の 機能が最大限に発揮されるようにした。

 具体的には、第1の発明では、固定及び可 動シーブ間に断面V字状のベルト溝が形成さ た変速プーリからなる駆動及び従動プーリ 、これら駆動及び従動プーリのベルト溝に き掛けられたVベルトと、上記従動プーリの 動シーブを固定シーブに近付くように常時 勢する付勢手段と、上記従動プーリの可動 ーブが固定シーブに対し回転方向進み側に 対回転したときに該可動シーブを固定シー に近付くように押圧するトルクカム機構と 備えたベルト式無段変速装置が前提である

 そして、上記従動プーリのベルト溝の可 シーブ側溝側面のうち、速比(レシオ)が1.0 なるときのベルトピッチラインの位置より 半径方向外側にある外周部の、プーリ回転 線と直交する直交平面に対するベルト溝面 度が、半径方向内側にある内周部のベルト 面角度よりも大きく、上記外周部のベルト 面角度と内周部のベルト溝面角度との差が0. 4°以上でかつ1.4°以下である。

 また、第2の発明では、上記第1の発明と 様の前提のベルト式無段変速装置において 上記従動プーリのベルト溝の可動シーブ側 側面のうち、速比が1.0になるときのベルト ッチラインの位置よりも半径方向外側にあ 外周部の、プーリ回転軸線と直交する直交 面に対するベルト溝面角度が、上記ベルト 面の上記直交平面に対するベルト側面角度 りも大きく、半径方向内側にある内周部の ルト溝面角度が上記ベルト側面の角度より 小さく、上記外周部のベルト溝面角度と内 部のベルト溝面角度との差が0.4°以上でかつ 1.4°以下である。

 これら第1及び第2の発明では、従動プー のベルト溝の大径側にベルトが位置してい 、変速装置のLo状態では、大きな負荷トルク が従動プーリに作用するためにスリップ発生 の可能性が高くなる。しかし、この従動プー リのベルト溝の可動シーブ側溝側面における 外周側(大径側)のベルト溝面角度が内周側(小 径側)のベルト溝面角度よりも大きいので、 のベルト側面においてベルト溝側面との接 位置が常にベルト下側(ベルト内周側)になっ てベルト側面がベルト溝側面の小径側で接触 し、可動シーブ側(トルクカム機構側)の伝動 ッチ半径が固定シーブ側の伝動ピッチ半径 りも小さくなる。このため、負荷が駆動プ リから従動プーリに伝動されている正負荷 態で、可動シーブの回転速度が速くなって 定シーブに対し進み側に相対回転し、可動 ーブ側の伝動ピッチ半径が固定シーブ側の 動ピッチ半径よりも大きくなることにより 動シーブの回転速度が遅くなって固定シー に対し遅れ側に相対回転することは防止さ 、トルクカム機構を作動させてその効果を ることができ、ベルトのスリップの発生を 止することができる。

 一方、変速装置のHi状態では、従動プー のベルト溝の内周側(小径側)にベルトが位置 し、この従動プーリの可動シーブのベルト溝 面における内周側(小径側)のベルト溝面角度 外周側(大径側)のベルト溝面角度よりも小 いので、ベルト側面においてベルト溝側面 の接触位置が常にベルト上側(ベルト外周側) になってベルト側面がベルト溝側面の大径側 で接触し、可動シーブ側(トルクカム機構側) 伝動ピッチ半径が固定シーブ側の伝動ピッ 半径よりも大きくなり、可動シーブの回転 度が遅くなって固定シーブに対し遅れ側に 対回転し、トルクカム機構の効果が低下す 。しかし、この変速装置のHi状態では、元 伝達トルクが小さく、しかも付勢手段によ 付与される推力が大きいので、スリップ発 についての問題は生じない。

 そして、変速装置のHi状態の使用頻度はLo 状態よりも高いので、ベルト側面の摩耗が進 んだときには、そのベルト側面の角度が可動 シーブのベルト溝面における内周側(小径側) ベルト溝面角度に対応して小さくなる。こ 状態では、変速装置がLo状態になったとき ベルト側面においてベルト溝側面との接触 置がベルト下側(ベルト内周側)になる。つま り、ベルトの摩耗が進行してもLo状態ではベ ト溝面との接触位置がベルト下側(ベルト内 周側)になる。よってLo状態でのスリップ防止 を長期間に亘って維持することができる。

 上記従動プーリのベルト溝の可動シーブ 溝側面における外周部のベルト溝面角度と 周部のベルト溝面角度との差は、0.4°未満 は、上記した発明の効果が期待できない一 、1.4°を越えると、ベルトのスリップ性に対 する効果があるものの、ベルトの片当たりが 強くなってその寿命が低下するので、0.4°以 でかつ1.4°以下とされている。

 第3の発明では、上記従動プーリのベルト 溝の可動シーブ側溝側面における外周部と内 周部とが円弧面で接続されている構成とする 。

 この第3の発明では、従動プーリのベルト 溝において、変速装置がLo状態及びHi状態に わったときベルトの外周部及び内周部間の 動をスムーズに行うことができる。

 第4の発明では、上記第1の発明と同様の 提のベルト式無段変速装置において、上記 動プーリのベルト溝における可動シーブ側 側面は、固定シーブ側に向かうように膨出 る凸曲面で構成されていて、その可動シー 側溝側面の半径方向に沿った断面形状は、 ルトが最大巻付け半径になるときにベルト ッチラインが位置する外周位置と、最小巻 け半径になるときにベルトピッチラインが 置する内周位置と、該両位置を通る直線か 該直線と直交する方向に所定距離だけ離れ つ速比が1.0となるときのベルトピッチライ が位置する中間位置とを通る曲線形状とさ ている。そして、上記直線と中間位置との 離は、0.15mm以上でかつ0.6mm以下である。

 この第4の発明においても、上記第1~第3の 発明と同様の作用効果を奏することができる 。

 上記直線と中間位置との距離は、0.15mm未 では、発明の効果が期待できない一方、0.6m mを越えると、ベルトのスリップ性に対する 果があるものの、ベルトの片当たりが強く ってその寿命が低下するので、0.15mm以上で つ0.6mm以下とされている。

 第5の発明では、Vベルトは、張力帯に多 のブロックを係合してなるブロックベルト する。こうすれば、本発明の効果が有効に 揮される最適なVベルトが得られる。

 以上説明したように、第1の発明では、従 動プーリに、その可動シーブを固定シーブに 近付くように常時付勢する付勢手段と、可動 シーブが固定シーブに対し回転方向進み側に 相対回転したときに可動シーブを固定シーブ に近付くように押圧するトルクカム機構とを 設けたベルト式無段変速装置において、可動 シーブのベルト溝の可動シーブ側溝側面のう ち、半径方向外側にある外周部のベルト溝面 角度を、内周部のベルト溝面角度よりも大き くし、その外周部のベルト溝面角度と内周部 のベルト溝面角度との差は0.4°以上でかつ1.4 以下とした。また、第2の発明では、可動シ ブのベルト溝の可動シーブ側溝側面のうち 外周部のベルト溝面角度をベルト側面の角 よりも大きくし、内周部のベルト溝面角度 ベルト側面の角度よりも小さくし、その外 部のベルト溝面角度と内周部のベルト溝面 度との差は0.4°以上でかつ1.4°以下とした。 さらに、第4の発明では、従動プーリのベル 溝における可動シーブ側溝側面の半径方向 沿った断面形状を、ベルトの最大巻付け半 になるときにベルトピッチラインが位置す 外周位置と、最小巻付け半径になるときに ルトピッチラインが位置する内周位置と、 れら両位置を通る直線から該直線と直交す 方向に所定距離だけ離れかつ速比が1.0とな ときのベルトピッチラインの中間位置とを る曲線形状として、その可動シーブ側溝側 を固定シーブ側に向かうように膨出する凸 面で構成し、外周及び内周位置を通る直線 、速比が1.0となるときのベルトピッチライ の中間位置との距離を0.15mm以上でかつ0.6mm以 下とした。これらの発明によると、ベルト側 面が摩耗しても、変速装置がLo状態にあると のトルクカム機構の効果を有効に発揮させ 推力を確保し、ベルトのスリップの発生を 実に防止することができる。

 また、第3の発明によると、従動プーリの ベルト溝の可動シーブ側溝側面における外周 部と内周部とを円弧面で接続したことにより 、従動プーリのベルト溝において、変速装置 がLo状態及びHi状態に変わったときベルトの 周部及び内周部間の移動をスムーズに行う とができる。

 第5の発明によると、Vベルトは、張力帯 多数のブロックを係合したブロックベルト したことにより、本発明の効果が有効に発 される最適なVベルトが得られる。

図1は、本発明の実施形態1に係る無段 速装置における従動プーリの要部を拡大し 示す正面図である。 図2は、速比が変わったときに従動プー リのベルト溝面に対するベルト側面の接触位 置を示す図である。 図3は、ベルト式無段変速装置を概略的 に示す図である。 図4は、実施形態2を示す図1相当図であ 。 図5は、スリップ性試験及びサイクリッ ク耐久試験のための装置を示す図である。 図6は、サイクリック耐久試験の変速パ ターンを示す図である。 図7は、実施例1~3及び比較例1~3の試験結 果を示す図である。 図8は、実施例4,5及び比較例4~7の試験結 果を示す図である。 図9は、トルクカム機構の作動を示す図 である。 図10は、ベルト側面とプーリのベルト 面との接触位置が異なった状態を示す図で る。 図11は、可動シーブ側と固定シーブ側 の伝動ピッチ半径が異なったときに両シー 間で回転速度差が生じることを示す説明図 ある。

符号の説明

 A ベルト式無段変速装置
 1 駆動軸
 2 従動軸
 3 駆動プーリ
 3a 固定シーブ
 3b 可動シーブ
 3c ベルト溝
 4 従動プーリ
 4a 固定シーブ
 4b 可動シーブ
 4c ベルト溝
 5 ブロックベルト(Vベルト)
 α ベルト側面角度
 10 ばね(付勢手段)
 14 トルクカム機構
 23 固定シーブ側溝側面
 24 可動シーブ側溝側面
 24a 外周部
 24b 内周部
 24c 円弧面
 θ ベルト溝面角度
 θ1 外周部のベルト溝面角度
 θ2 内周部のベルト溝面角度
 P1 外周位置
 P2 内周位置
 P3 中間位置
 L 直線
 d 距離

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。以下の好ましい実施形態 説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、 の適用物或いはその用途を制限することを 図するものでは全くない。

 (実施形態1)
 図3は本発明の実施形態1に係るベルト式無 変速装置Aの全体構成を概略的に示す。この ルト式無段変速装置Aは、例えば、車両のエ ンジン等の動力源と駆動車輪等の被駆動装置 (いずれも図示せず)の間のトルク伝達経路に 置されて、動力源のトルクを被駆動装置に 達しつつ速比を変化させるために使用され 。

 上記ベルト式無段変速装置Aは、動力源に 駆動連結される駆動軸1と、この駆動軸1に平 に配置されていて、被駆動装置に連結され 従動軸2とを備え、駆動軸1に変速プーリか なる駆動プーリ3が、また従動軸2に同様の従 動プーリ4がそれぞれ設けられている。

 上記駆動プーリ3は、駆動軸1に回転一体 かつ軸方向(図3の左右方向)に移動不能に設 られた固定シーブ3aと、駆動軸1に回転一体 かつ軸方向に移動可能に設けられた可動シ ブ3bとからなる。これら固定シーブ3a及び可 シーブ3b間には断面V字状のベルト溝3cが形 されている。そして、固定シーブ3aに対し、 可動シーブ3bが接近する方向(同図の左方向) 移動することにより、ベルト巻付け半径(プ リ径)が大きくなる一方、可動シーブ3bが離 する方向(同図の右方向)に移動することに り、ベルト巻付け半径が小さくなる。

 上記従動プーリ4も、駆動プーリ3と同様 、従動軸2に回転一体にかつ軸方向に移動不 に設けられた固定シーブ4aと、従動軸2に回 可能にかつ軸方向に移動可能に設けられた 動シーブ4bとからなっている。これら固定 ーブ4a及び可動シーブ4b間には、駆動プーリ3 と同様の断面V字状のベルト溝4cが形成されて いる。そして、固定シーブ4aに対し、可動シ ブ4bが接近する方向(図3の右方向)に移動す ことにより、ベルト巻付け半径が大きくな 一方、可動シーブ4bが離隔する方向(同図の 方向)に移動することにより、ベルト巻付け 径が小さくなる。但し、上記駆動プーリ3及 び従動プーリ4の固定シーブ3a,4aと可動シーブ 3b,4bとの配置は軸方向に互いに逆になってい 。

 上記駆動プーリ3のベルト溝3cと従動プー 4のベルト溝4cとの間には、高負荷伝動用Vベ ルトとしてのブロックベルト5が巻き掛けら ている。このブロックベルト5は、断面略V字 状のもので、図2に示すように、ベルト幅方 (同図の左右方向)に並ぶように配置されかつ 心線6aが埋め込まれた1対の張力帯6,6と、ベル ト長さ方向に所定ピッチで配置されていて、 両張力帯6,6に係止固定された複数のブロック 7,7,…とからなる。

 上記各ブロック7のベルト幅方向両側部に は、それぞれベルト幅方向側方に開放された スリット状をなす嵌合部7a,7aが上下ビーム間 形成され、この左右の嵌合部7a,7aにそれぞ 張力帯6,6が嵌め込まれており、このことで ブロック7は張力帯6,6に係止固定されている

 また、各ブロック7のベルト幅方向両側面 (各嵌合部7aを除く部分)は、それぞれ各プー 3,4のベルト溝3c,4cの溝側面23,24に接触する接 面7b,7bとなっている。

 各ブロック7は、図示しないが、例えばフ ェノール系樹脂材料と、このフェノール系樹 脂材料に埋設されるように配置されたアルミ ニウム合金製の補強材とからなる。

 そして、変速装置Aの速比(レシオ)を変え ために、駆動プーリ3をその可動シーブ3bが 定シーブ3aに対し接離するように開閉する 速機構(図示せず)が設けられている。一方、 従動プーリ4には、可動シーブ4bを固定シーブ 4aに近付くように常時付勢する付勢手段とし のばね10が設けられている。上記変速機構 よる駆動プーリ3の開閉に応じて従動プーリ4 を駆動プーリ3と逆の方向に開閉し、駆動プ リ3を開いたときに、従動プーリ4をばね10の 勢力によって閉じる一方、駆動プーリ3を閉 じたときに、従動プーリ4をばね10の付勢力に 抗して開くことにより、駆動プーリ3及び従 プーリ4の各ベルト巻付け半径を変えてLo状 とHi状態との間で変速するようになっている 。

 上記ばね10は、例えば従動軸2周りに配置 れたコイルばねからなり、従動プーリ4にお いて可動シーブ4bの背面側、つまり固定シー 4aと反対側に設けられている。すなわち、 記可動シーブ4bの背面側の従動軸2上にはば 止め11が回転一体にかつ軸方向に移動不能に 取り付けられ、このばね止め11と可動シーブ4 bの背面との間にばね10が縮装されている。こ のばね10の伸張力により、可動シーブ4bを固 シーブ4aに近付くように常時付勢し、その推 力によってベルト張力を付与するようにして いる。

 また、このばね10の他に、従動プーリ4の 動シーブ4bが固定シーブ4aに対し相対回転し たときに可動シーブ4bを固定シーブ4aに近付 ように押圧するトルクカム機構14が設けられ ている。このトルクカム機構14は、上記ばね め11の可動シーブ4b側の部分に一体的に設け られたカムプレート15を備えている。このカ プレート15は、例えば従動軸2の周りに同心 に配置された円筒状のもので、その可動シ ブ4bに対向する端部は略V字状に切り欠かれ いる。この切欠部分により、回転方向進み (円周方向の一方)に向かって可動シーブ4b側 に向かう方向に傾斜する第1カム面16と、回転 方向遅れ側(円周方向の他方)に向かって可動 ーブ4b側に向かう方向に傾斜する第2カム面1 7とが形成されている。

 一方、可動シーブ4bの背面にはカムフォ ワ19が一体に突設されている。このカムフォ ロワ19の先端部は上記カムフレート15の切欠 分内に位置し、その回転方向進み側(円周方 の一方)にカムプレート15の第1カム面16に接 可能な第1カム部20が、また回転方向遅れ側( 円周方向の他方)に第2カム面17に接触可能な 2カム部21がそれぞれ設けられている。

 そして、負荷が駆動プーリ3から従動プー リ4に伝動されている正負荷状態で、従動プ リ4の可動シーブ4bが固定シーブ4aよりも進み 側に相対回転したときには、トルクカム機構 14を作動状態として、その可動シーブ4bと一 のカムフォロワ19の第1カム部20をカムプレー ト15の第1カム面16に接触させ、このカム接触 より可動シーブ4bを固定シーブ4a側に押して 、ばね10の付勢力と共に推力を得る。一方、 荷が従動プーリ4から駆動プーリ3に伝動さ ている逆負荷状態で、可動シーブ4bが固定シ ーブ4aに対し遅れ側に相対回転したときにも トルクカム機構14を作動状態として、その ムフォロワ19の第2カム部21をカムプレート15 第2カム面17に接触させ、このカム接触によ 可動シーブ4bを固定シーブ4a側に押して、ば ね10の付勢力と共に推力を得るようにしてい 。

 上記従動プーリ4のベルト溝4cにおいて、 定シーブ4a側にある固定シーブ側溝側面23の 、プーリ回転軸線と直交する直交平面に対す る角度θは、上記ベルト5の側面であるブロッ ク7の接触面7bの同角度αと同じである(θ=α=例 えば13°)。これに対し、可動シーブ4b側にあ 可動シーブ側溝側面24の、プーリ回転軸線と 直交する直交平面に対する角度θ1,θ2は、外 側(大径側)と内周側(小径側)とで異なってい 。すなわち、図1に拡大して示すように、こ の可動シーブ側溝側面24のうち、変速装置Aの 速比が1.0になるときのベルトピッチラインの 位置(ベルト5における張力帯6の心線6aの位置) よりも半径方向外側にある外周部24aの、プー リ回転軸線と直交する平面に対するベルト溝 面角度θ1はベルト側面の角度αよりも大きく 半径方向内側にある内周部24bの上記ベルト 面角度θ2はベルト側面の角度αりも小さく 成されている(θ1>α>θ2)。

 換言すれば、上記外周部24aの、プーリ回 軸線と直交する平面に対するベルト溝面角 θ1は、内周部24bの上記ベルト溝面角度θ2よ も大に設定されている。

 この従動プーリ4のベルト溝4cの可動シー 側溝側面24における外周部24aのベルト溝面 度θ1と内周部24bのベルト溝面角度θ2との差θ 1-θ2は0.4°以上でかつ1.4°以下とされている。 この角度差θ1-θ2が0.4°未満では、後述する実 施形態の効果が期待できない。一方、角度差 θ1-θ2が1.4°を越えると、ブロックベルト5の リップ性に対する効果があるものの、その ルト5におけるブロック7の上又は下ビームの 片当たりが強くなってブロック7延いてはベ ト5の寿命が低下する。これらのことから、 度差θ1-θ2は0.4°~1.4°が好ましい。

 また、上記ベルト溝4cの可動シーブ側溝 面24における外周部24aと内周部24bとは円弧面 24cで接続されている。

 次に、上記実施形態の作用について説明 る。無段変速装置Aは変速機構によってLo状 及びHi状態の間で切り換えられて変速され 。変速装置AがLo状態にあるときには、駆動 ーリ3が開いて、その可動シーブ3bが固定シ ブ3aから離隔する方向(図3の右方向)に移動し 、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が小さく り、ベルト張力が低下しようとする。また 従動プーリ4の可動シーブ4bはばね10によって 固定シーブ4a側に押圧付勢されているので、 のばね10の付勢力により可動シーブ4bが上記 ベルト張力の低下を補うように固定シーブ4a 接近する方向(図3の右方向)に移動する。こ ことにより、従動プーリ4が閉じてそのベル ト巻付け半径が増大し、このベルト巻付け半 径の増大によりベルト5が従動プーリ4側に引 寄せられ、駆動プーリ3のベルト巻付け半径 が従動プーリ4よりも小さくなり、駆動プー 3(駆動軸1)の回転が減速されて従動プーリ4( 動軸2)に伝達される。

 一方、変速装置AがHi状態にあるときには 駆動プーリ3が閉じ、その可動シーブ3bが固 シーブ3aに接近する方向(図3の左方向)に移 し、駆動プーリ3のベルト巻付け半径が大き なり、ベルト張力が増大しようとする。ま 、このベルト張力の増大に伴い、従動プー 4の可動シーブ4bがばね10の付勢力に抗して 定シーブ4aから離れる方向(図3の左方向)に移 動する。このことで、従動プーリ4のベルト 付け半径が小さくなり、ベルト5が駆動プー 3側に引き寄せられ、駆動プーリ3のベルト 付け半径が従動プーリ4よりも大きくなり、 動プーリ3(駆動軸1)の回転が増速されて従動 プーリ4(従動軸2)に伝達される。

 また、上記Lo状態及びHi状態の間には速比 1.0になる等速状態があり、駆動プーリ3のベ ト巻付け半径が従動プーリ4と同じになって 駆動プーリ3(駆動軸1)の回転が等速で従動プ ーリ4(従動軸2)に伝達される。

 上記変速装置AのLo状態では、従動プーリ4 のベルト溝4cの可動シーブ側溝側面24の外周 (大径側)にベルト5が位置しており、大きな 荷トルクが従動プーリ4に作用することで、 ルト5のスリップ発生の可能性が高くなる。 しかし、この実施形態では、従動プーリ4の ルト溝4cの可動シーブ側溝側面24における外 部24a(大径側)のベルト溝面角度θ1がベルト5 可動シーブ4b側の接触面7bの角度α(可動シー ブ側溝側面24の内周部24b(小径側)のベルト溝 角度θ2)よりも大きいので、図2(上側の仮想 )に示すように、ベルト5の固定シーブ4a側の 触面7b(ベルト側面)はベルト溝4cの固定シー 側溝側面23とベルトピッチラインの位置(張 帯6の心線6aの位置)、つまりベルト5の上下 中央位置で接触するのに対し、ベルト5の可 シーブ4b側の接触面7b(ベルト側面)は可動シ ブ側溝側面24の外周部24bとベルトピッチラ ンよりも下側の位置、つまりベルト5の下部 接触する。このベルト5の接触位置の違いに よって、可動シーブ4b側(トルクカム機構14側) の伝動ピッチ半径が固定シーブ4a側の伝動ピ チ半径よりも小さくなる。このため、負荷 駆動プーリ3から従動プーリ4に伝動されて る正負荷状態で、従動プーリ4における可動 ーブ4bの回転速度が速くなって固定シーブ4a に対し進み側に相対回転し、逆に可動シーブ 4b側の伝動ピッチ半径が固定シーブ4a側の伝 ピッチ半径よりも大きくなることによって 動シーブ4bの回転速度が遅くなって固定シー ブ4aに対し遅れ側に相対回転することは防止 れ、トルクカム機構14のカムフォロワ19にお ける第1カム部21をカムプレート15の第1カム面 16上で進み側に移動させて、トルクカム効果 高めることができる。よって、トルクカム 構14を適正に作動させて推力を高め、ベル 5のスリップの発生を防止することができる

 一方、上記変速装置AのHi状態では、従動 ーリ4のベルト溝4cの内周側(小径側)にベル 5が位置する。このベルト溝4cの可動シーブ 溝側面24における内周部(小径側)のベルト溝 角度θ2がベルト5の可動シーブ4b側の接触面7 bの角度α(可動シーブ側溝側面24の外周部24a( 径側)のベルト溝面角度θ1)よりも小さいので 、図2(下側の仮想線)に示すように、ベルト5 固定シーブ4a側の接触面7b(ベルト側面)は固 シーブ側溝側面23とベルトピッチラインの位 置、つまりベルト5の上下略中央位置で接触 るのに対し、ベルト5の可動シーブ4b側の接 面7b(ベルト側面)は可動シーブ側溝側面24の 周部24b(小径部)と、上記Hi状態とは逆に、ベ トピッチラインよりも上側の位置、つまり ルト5の上部で接触する。この接触位置の違 いによって、可動シーブ4b側(トルクカム機構 14側)の伝動ピッチ半径が固定シーブ4a側の伝 ピッチ半径よりも大きくなり、可動シーブ4 bの回転速度が遅くなって固定シーブ4aに対し 遅れ側に相対回転し、トルクカム機構14の効 が低下する。しかし、この変速装置AのHi状 では、伝達トルクが小さく、しかもばね10 より付与される推力が大きいので、スリッ 発生についての問題は生じない。

 尚、変速装置Aの等速状態では、図2(実線) に示すように、ベルト5の固定シーブ4a側の接 触面7b(ベルト側面)は固定シーブ側溝側面23と ベルトピッチラインの位置、つまりベルト5 上下略中央位置で接触し、可動シーブ4b側の 接触面7b(ベルト側面)も可動シーブ側溝側面24 とベルトピッチラインの位置、つまりベルト 5の上下略中央位置で接触し、上記の如き接 位置の違いは生じない。

 上記変速装置AのHi状態の使用頻度はLo状 よりも大きいので、ベルト5の左右の接触面7 b,7bの摩耗が済んだときには、そのベルト5の 動シーブ4b側の接触面7bの角度αが可動シー 側溝側面24における内周部24b(小径側)のベル ト溝面角度θ2に対応して小さくなる。そして 、この状態でLo状態になったときには、その ルト5の可動シーブ4b側の接触面7bの可動シ ブ側溝側面24との接触位置がベルト5の下側( ルト内面側)になる。つまり、ベルト5の摩 が進行してもLo状態では可動シーブ側溝側面 24との接触位置がベルト5の下側(ベルト内面 )になり、Lo状態でのスリップ防止を長期間 亘って維持することができる。

 さらに、上記従動プーリ4のベルト溝4cの 動シーブ側溝側面24の外周部24aと内周部24b が円弧面24cで接続されているので、変速装 AがLo状態及びHi状態に変わったとき、このベ ルト溝4cにおいてベルト5の可動シーブ側溝側 面24の外周部24a及び内周部24b間の移動をスム ズに行うことができる。

 尚、上記ベルト溝4cの可動シーブ側溝側 24の外周部24aと内周部24bとの接続部を円弧面 24cとすることは必須ではないが、上記効果が 得られる点で円弧面とするのが好ましい。

 (実施形態2)
 図4は本発明の実施形態2を示し(尚、図1~図3 同じ部分については同じ符号を付してその 細な説明は省略する)、従動プーリの可動シ ーブにおけるベルト溝面の断面形状を変えた ものである。

 この実施形態においては、従動プーリ4の ベルト溝4cにおける可動シーブ側溝側面24は 固定シーブ4a側に向かうように膨出する凸曲 面で構成されている。この可動シーブ側溝側 面24の半径方向に沿った断面形状は、ベルト5 が最大巻付け半径になるときにベルトピッチ ラインが位置する外周位置P1と、最小巻付け 径になるときにベルトピッチラインが位置 る内周位置P2と、該両位置P1,P2を通る直線L ら該直線Lと直交する方向に所定距離dだけ離 れかつ速比が1.0となるときのベルトピッチラ インの中間位置P3とを通る曲線形状とされて る。

 そして、上記直線Lとベルトピッチライン の中間位置P3との間の距離dは、0.15mm以上でか つ0.6mm以下とされている。その他の構成は実 形態1と同様である。したがって、この実施 形態でも上記実施形態1と同様の作用効果を することができる。

 次に、具体的に実施した実施例について 明する。ベルトとして上記実施形態と同様 構造のブロックベルトを用いた。そのベル 側面間の角度であるブロック角度(=2α)は26° 、ベルト(ブロック)のピッチ幅(ピッチライン でのベルト幅)は25mm、ブロック間のピッチは3 mm、ブロックの厚さは2.95mm、ベルトの周長は6 12mmである。各ブロックは、厚さ2mmの軽量高 度アルミニウム合金からなる補強材をフェ ール樹脂中にインサート成形したものであ 。このベルトを、図5に示すような変速装置A に巻き掛けて走行させた。この変速装置Aは 実施例及び比較例をなすもので、基本的に 記実施形態1と同様の構成のものであり、図3 と同じ部分については同じ符号を付して説明 する(図3参照)。その駆動プーリ3の外径は73.23 mm、従動プーリ4の外径は124.49mm、軸間距離は1 48.5mmである。この駆動プーリ3及び従動プー 4はそれぞれ軸台31,32に支持されている。駆 プーリ3の可動シーブ3bにDCモータ33を連結し 、このモータ33の駆動により駆動プーリ3の 閉による変速動作(可動シーブ3bの軸方向の 動)を行うようにし、従動プーリ4の可動シ ブ4bにはばね10とトルクカム機構14(図5では概 略的に示す)とを設けてベルト5に張力を付与 る構造とした。駆動プーリ3はモータ(図示 ず)で回転駆動し、従動プーリ4の負荷もDCモ タ(図示せず)によって加えた。

 そして、実施形態1と同様に、従動プーリ 4の可動シーブ側溝側面24の角度を外周部と内 周部とで種々に異ならせたものを実施例1~3及 び比較例1~3とした。実施例1~3は、0.4°≦θ1-θ2 ≦1.4°のものであり、比較例1~3は、θ1-θ2<0. 4°又はθ1-θ2>1.4°のものである。

 また、実施形態2と同様に、従動プーリ4 可動シーブ側溝側面24の凸曲面の突出量を種 々に異ならせたものを実施例4,5及び比較例4,5 とした。実施例4,5は、0.15mm≦d≦0.6mmのもので あり、比較例4,5は、d<0.15mm又はd>0.6mmのも のである。また、比較例6は従動プーリ4の可 シーブ側溝側面24を凹曲面としたものであ 。さらに、比較例7は、従動プーリ4の可動シ ーブ側溝側面24の角度を外周部と内周部とで じにしたものである。その詳細を表1に示す 。

 (スリップ性試験)
 上記実施例1~5及び比較例1~7について、スリ プ性試験を行った。この試験では、駆動プ リ3を駆動トルク73N・mで回転させ、従動プ リ4の負荷も一定とした。そして、駆動プー 3の軸台31と従動プーリ4の軸台32との間にロ ドセル34を介在させ、変速装置Aの速比(レシ オ)を1.7に固定したLo状態で、ロードセル34に って発生軸荷重を測定し、それを記録計35 記録した。この発生軸荷重が小さいと、伝 に必要なベルト張力が小さいこととなり、 スリップ性を評価することができる。

 ベルト5の走行の初期、24時間走行後、200 間走行後、走行終了後(後述の耐久試験の終 了)の各測定結果を表2、図7及び図8に示す。 、発生軸荷重は2500N以上が必要で、これを満 たすものを「OK」とし、そうでないものを「N G」とした。

 この結果を見ると、実施例1~5は発生軸荷 が2500N以上で、走行時の伝達トルクが高く 持されていることが判る。尚、比較例1~7に いては、比較例5を除き、いずれも24時間走 を過ぎると、発生軸荷重を2500N以上にするこ とができない。

 (サイクリック耐久試験)
 また、上記実施例1~5及び比較例1~7について サイクリック耐久試験を行った。この試験 は、駆動回転数を3600rpmとし、駆動トルクを 50N・mとし、従動プーリ4の負荷も一定とし、 ルト温度を120℃とした条件で、図6に示すよ うに、レシオ(従動プーリ4のベルト巻付け半 を駆動プーリ3のベルト巻付け半径で割った もの)=1.7のLo状態からスタートして10秒間でレ シオ=0.5のHi状態に増速し、このHi状態を5分間 続けた後、5秒間で元のレシオ=1.7のLo状態に 速し、このLo状態を1分間続行させた。以上 6分15秒を1サイクルとし、50000サイクルまで 続させた。その結果を表3、図7及び図8に示 。

 この結果によれば、実施例1~5はいずれも 50000サイクルを継続した後もベルトのブロ クの破損がなかった。これに対し、比較例 一部は50000サイクルに至るまでにブロックの 破損が生じ、耐久性に問題があった。

 すなわち、以上の試験結果から、実施例1 ~5は、走行時の伝達トルクの維持と耐久性と 双方を良好に満たし得ることが判る。

 本発明は、従動プーリ側に可動シーブの 力発生用のばねとトルクカム機構とを設け ベルト式無段変速装置に対し、トルクカム 構の効果を確保してベルトのスリップ発生 抑制できる点で極めて有用であり、産業上 利用可能性が高い。