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Title:
BINUCLEAR RUTHENIUM COMPLEX DYE SOLUTION, PHOTOELECTRIC CONVERSION DEVICE USING PHOTOSENSITIZED SEMICONDUCTOR PARTICLE OBTAINED BY USING THE COMPLEX DYE SOLUTION, AND PHOTOCHEMICAL CELL USING THE PHOTOELECTRIC CONVERSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/102068
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a solution containing an asymmetric binuclear ruthenium complex dye which is used for adsorbing the dye onto semiconductor particles. The binuclear ruthenium complex dye solution is characterized in that the concentration of the binuclear ruthenium complex dye is higher than 0.1 × 10-4 mol/l but lower than the saturated concentration, or in that the binuclear ruthenium complex dye content in the solution is not less than 10% but less than 100% of the binuclear ruthenium complex dye content of the saturated solution.

Inventors:
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052582
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
February 16, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UBE INDUSTRIES (JP)
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
International Classes:
C09B67/44; C09B57/10; H01L31/04; H01M14/00
Domestic Patent References:
WO2006038587A12006-04-13
Foreign References:
JP2007277513A2007-10-25
JP2007200656A2007-08-09
JP2007109500A2007-04-26
JP2007059293A2007-03-08
JP2007250412A2007-09-27
JP2000323191A2000-11-24
Attorney, Agent or Firm:
ITO, Katsuhiro et al. (3-10-9 Nihombashi-Kayabach, Chuo-ku Tokyo 25, JP)
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Claims:
 一般式(1)
(式中、L 1 は、カルボキシル基をふたつ有する含窒素二座配位子、L 2 は、含窒素二座配位子、BLは、含窒素四座配位子、Xは、対イオンを示し、nは、錯体の電荷を中和するのに必要な対イオンの数を示す。但し、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は同一でも異なっていてもよく、二つのL 2 も同一でも異なっていてもよい。なお、L 1 中のカルボキシル基(COOH)は、脱プロトン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっていても良い。)
で示される非対称二核ルテニウム錯体色素を含む溶液であって、
 当該色素の濃度が飽和濃度未満であることを特徴とする二核ルテニウム錯体色素溶液。
 上記一般式(1)で示される非対称二核ルテニウム錯体色素を含む溶液であって、
 当該二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1×10 -4 mol/lより大きく飽和濃度未満であることを特徴とする二核ルテニウム錯体色素溶液。
 溶媒が、水と均一相を形成する溶媒である請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 Xが、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン又はヨウ化物イオンである請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 L 2 が、2,2’-ビピリジン、2,2’-(4,4’-ジメチル)ビピリジン又は1,10-フェナントロリンである請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 L 1 が、4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジンである請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 BLが、2,2’-ビイミダゾール又は2,2’-ビベンズイミダゾールである請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子を含む光電変換素子であって、
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子が、請求項2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液を用いて色素を吸着させた半導体微粒子であることを特徴とする光電変換素子。
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子が電極上に固定されている請求項8記載の光電変換素子。
 半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、又はそれらの混合物である請求項8記載の光電変換素子。
 請求項8記載の光電変換素子及び電解質溶液を含む光化学電池。
 電解質溶液が、レドックス対を含む請求項11記載の光化学電池。
 上記一般式(1)で示される非対称二核ルテニウム錯体色素を含む溶液であって、
 溶液中の二核ルテニウム錯体色素の含有量が、飽和溶液中の二核ルテニウム錯体色素の含有量の10%以上100%未満であることを特徴とする二核ルテニウム錯体色素溶液。
 溶媒が、水と均一相を形成する溶媒である請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 Xが、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン又はヨウ化物イオンである請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 L 2 が、2,2’-ビピリジン、2,2’-(4,4’-ジメチル)ビピリジン又は1,10-フェナントロリンである請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 L 1 が、4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジンである請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 BLが、2,2’-ビイミダゾール又は2,2’-ビベンズイミダゾールである請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子を含む光電変換素子であって、
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子が、請求項13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液を用いて色素を吸着させた半導体微粒子であることを特徴とする光電変換素子。
 二核ルテニウム錯体色素により増感された半導体微粒子が電極上に固定されている請求項19記載の光電変換素子。
 半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、又はそれらの混合物である請求項19記載の光電変換素子。
 請求項19記載の光電変換素子及び電解質溶液を含む光化学電池。
 電解質溶液が、レドックス対を含む請求項22記載の光化学電池。
Description:
二核ルテニウム錯体色素溶液、 び当該錯体色素溶液を用いて得られる光増 された半導体微粒子を用いた光電変換素子 並びにそれを用いた光化学電池

 本発明は、初期光電変換効率及び耐久性 優れた光化学電池を得ることができる二核 テニウム錯体色素を含む色素溶液、及び当 錯体色素溶液を用いて得られる光増感され 半導体微粒子を用いた光電変換素子、並び それを用いた光化学電池に関する。

 太陽電池はクリーンな再生型エネルギー として大きく期待されており、例えば、単 晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモル ァスシリコン系の太陽電池や、テルル化カ ミウム、セレン化インジウム銅等の化合物 らなる太陽電池の実用化をめざした研究が されている。しかしながら、家庭用電源と て普及させるためには、いずれの電池も製 コストが高いことや、原材料の確保が困難 ことやリサイクルの問題、又、大面積化が 難であるなど克服しなければならない多く 問題を抱えている。そこで、大面積化や低 格化を目指し、有機材料を用いた太陽電池 提案されてきたが、いずれも変換効率が1% 度と実用化にはほど遠いものであった。

 こうした状況の中、グレッツェルらによ 、色素によって増感された半導体微粒子を いた光電変換素子及び太陽電池、並びにこ 太陽電池の作製に必要な材料及び製造技術 開示された(例えば、非特許文献1、特許文 1参照)。当該電池は、ルテニウム色素によっ て増感された多孔質チタニア薄膜を作用電極 とする湿式太陽電池である。この太陽電池の 利点は、安価な材料を高純度に精製する必要 がなく用いられるため、安価な光電変換素子 として提供できること、更に用いられる色素 の吸収がブロードであり、広い可視光の波長 域にわたって太陽光を電気に変換できること である。しかしながら、実用化のためには更 なる変換効率の向上が必要であり、より高い 吸光係数を有し、より高波長域まで光を吸収 する色素の開発が依然として望まれている。

 特許文献2には、光電変換素子として有用 な金属錯体色素であるジピリジル配位子含有 金属単核錯体が開示されており、非特許文献 2には、多核β-ジケトナート錯体色素が開示 れている。

 特許文献3には、光等の活性光線のエネル ギーを受けて電子を取り出す光電変換機能の 優れた新規な複核錯体として、複数の金属と 複数の配位子を有し、その複数の金属に配位 する橋かけ配位子(BL)が複素共役環を有する 位構造と複素共役環を有しない配位構造を する複核錯体が開示されている。又、特許 献4には、高い光電変換効率を有する光電変 素子が得られる金属錯体色素として、複素 役環を有する配位構造を有する二核金属錯 が開示されており、実施例では、合成後、 応液に酸を加えてpHを2.5として二核金属錯 を単離している。

 しかしながら、さらに高い光電変換効率を し、且つ優れた耐久性を有する光電変換素 および光化学電池を実現できる金属錯体色 および金属錯体色素溶液が望まれている。

特開平1-220380号公報

特開2003-261536号公報

特開2004-359677号公報

国際公開第2006/038587号 Nature,737,353(1991) 色素増感太陽電池の最新技術,株式会社 ーエムシー発行、117頁(2001年)

 本発明の目的は、上記問題点を解決し、 期光電変換効率及び耐久性に優れた光化学 池を実現できる二核ルテニウム錯体色素を む色素溶液を提供することである。さらに 、この錯体色素溶液を用いて得られる当該 素によって光増感された半導体微粒子を用 た光電変換素子、及び光化学電池を提供す ことである。

 本発明は以下の事項に関する。

 1. 一般式(1)

(式中、L 1 は、カルボキシル基をふたつ有する含窒素二 座配位子、L 2 は、含窒素二座配位子、BLは、含窒素四座配 子、Xは、対イオンを示し、nは、錯体の電 を中和するのに必要な対イオンの数を示す 但し、L 1 とL 2 は異なるものであり、二つのL 1 は同一でも異なっていてもよく、二つのL 2 も同一でも異なっていてもよい。なお、L 1 中のカルボキシル基(COOH)は、脱プロトン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっていても良い。)
で示される非対称二核ルテニウム錯体色素を 含む溶液であって、
 当該色素の濃度が飽和濃度未満であること 特徴とする二核ルテニウム錯体色素溶液。

 2. 上記一般式(1)で示される非対称二核ルテ ニウム錯体色素を含む溶液であって、
 当該二核ルテニウム錯体色素の濃度が0.1×10 -4 mol/lより大きく飽和濃度未満であることを特 とする二核ルテニウム錯体色素溶液。

 3. 溶媒が、水と均一相を形成する溶媒で ある上記2記載の二核ルテニウム錯体色素溶 。

 4. Xが、ヘキサフルオロリン酸イオン、 トラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン又 ヨウ化物イオンである上記2記載の二核ルテ ウム錯体色素溶液。

 5. L 2 が、2,2’-ビピリジン、2,2’-(4,4’-ジメチル) ピリジン又は1,10-フェナントロリンである 記2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。

 6. L 1 が、4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジンであ る上記2記載の二核ルテニウム錯体色素溶液

 7. BLが、2,2’-ビイミダゾール又は2,2’- ベンズイミダゾールである上記2記載の二核 テニウム錯体色素溶液。

 8. 二核ルテニウム錯体色素により増感され た半導体微粒子を含む光電変換素子であって 、
 二核ルテニウム錯体色素により増感された 導体微粒子が、上記2記載の二核ルテニウム 錯体色素溶液を用いて色素を吸着させた半導 体微粒子であることを特徴とする光電変換素 子。

 9. 二核ルテニウム錯体色素により増感さ れた半導体微粒子が電極上に固定されている 上記8記載の光電変換素子。

 10. 半導体微粒子が、酸化チタン、酸化 鉛、酸化スズ、又はそれらの混合物である 記8記載の光電変換素子。

 11. 上記8記載の光電変換素子及び電解質 液を含む光化学電池。

 12. 電解質溶液が、レドックス対を含む 記11記載の光化学電池。

 13. 上記一般式(1)で示される非対称二核ル ニウム錯体色素を含む溶液であって、
 溶液中の二核ルテニウム錯体色素の含有量 、飽和溶液中の二核ルテニウム錯体色素の 有量の10%以上100%未満であることを特徴とす る二核ルテニウム錯体色素溶液。

 14. 溶媒が、水と均一相を形成する溶媒 ある上記13記載の二核ルテニウム錯体色素溶 液。

 15. Xが、ヘキサフルオロリン酸イオン、 トラフルオロホウ酸イオン、硝酸イオン又 ヨウ化物イオンである上記13記載の二核ル ニウム錯体色素溶液。

 16. L 2 が、2,2’-ビピリジン、2,2’-(4,4’-ジメチル) ピリジン又は1,10-フェナントロリンである 記13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液。

 17. L 1 が、4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジンであ る上記13記載の二核ルテニウム錯体色素溶液

 18. BLが、2,2’-ビイミダゾール又は2,2’- ベンズイミダゾールである上記13記載の二 ルテニウム錯体色素溶液。

 19. 二核ルテニウム錯体色素により増感さ た半導体微粒子を含む光電変換素子であっ 、
 二核ルテニウム錯体色素により増感された 導体微粒子が、上記13記載の二核ルテニウ 錯体色素溶液を用いて色素を吸着させた半 体微粒子であることを特徴とする光電変換 子。

 20. 二核ルテニウム錯体色素により増感 れた半導体微粒子が電極上に固定されてい 上記19記載の光電変換素子。

 21. 半導体微粒子が、酸化チタン、酸化 鉛、酸化スズ、又はそれらの混合物である 記19記載の光電変換素子。

 22. 上記19記載の光電変換素子及び電解質 溶液を含む光化学電池。

 23. 電解質溶液が、レドックス対を含む 記22記載の光化学電池。

 本発明の二核ルテニウム錯体色素溶液を いることにより、初期光電変換効率及び耐 性に優れた光化学電池を得ることができる 具体的には、本発明の二核ルテニウム錯体 素溶液に半導体微粒子を浸漬して色素を半 体微粒子に吸着させた色素増感半導体微粒 を用いることにより、初期光電変換効率及 耐久性に優れた光化学電池を得ることがで る。なお、当該光化学電池は、安定性が極 て高く、高耐久性を有し、光電変換効率が いために、実用化に適したものであると考 られる。

 本発明の非対称二核ルテニウム錯体色素 、前記一般式(1)で示されるものである。

 一般式(1)において、Xは、対イオンを示す 。Xの具体例としては、例えば、ヘキサフル ロリン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラ ェニルホウ酸イオン、テトラフルオロホウ イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イ ン、チオシアン酸イオン、硫酸イオン、硝 イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオンな のハロゲン化物イオンや、亜硫酸イオン、 オ硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸一水素 オン等が挙げられ、好ましくはヘキサフル ロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イ ン、硝酸イオン、硫酸イオン、ハロゲン化 イオンであり、更に好ましくはヘキサフル ロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イ ン、硝酸イオン、ヨウ化物イオンである。n 、錯体の電荷を中和するのに必要な対イオ の数を示し、通常、0~2である。

 L 1 は、カルボキシル基をふたつ有する含窒素二 座配位子を示す。カルボキシル基(COOH)は、脱 プロトン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっていても良い。このL 1 は、錯体内にふたつ含まれているが、それら は同一でも異なっていてもよい。

 L 1 としては、下式(1-A)で表される配位子が挙げ れる。

 式中、-COOHのHは脱離していてもよく、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらの二つ以上が一緒 になってそれらが結合する炭素原子と共に置 換もしくは無置換の芳香族炭化水素環を形成 している。

 アルキル基としては、炭素数6以下のもの が好ましく、メチル基、エチル基がより好ま しい。

 また、R 2 とR 3 、R 4 とR 5 、R 1 とR 6 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 1 ~R 6 は全て水素原子であるか、R 1 とR 6 が水素原子であり、R 2 とR 3 、R 4 とR 5 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環を形成している とが好ましく、R 1 ~R 6 が全て水素原子であることが特に好ましい。

 L 1 としては、例えば、2,2’-ビピリジン-4,4’-ジ カルボン酸(4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリ ン)、1,10-フェナントロリン-4,7-ジカルボン酸 、2-(2-(4-カルボキシピリジル))-4-カルボキシ ノリン、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン 等が挙げられるが、好ましくは2,2’-ビピリ ン-4,4’-ジカルボン酸である。なお、これ の配位子中のカルボキシル基(COOH)は、脱プ トン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっていても良い。

 BLは、含窒素四座配位子を示す。

 BLとしては、下式(1-B1)で表される配位子 挙げられる。

 式中、R 31 、R 32 及びR 33 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらの二つ以上が一緒 になってそれらが結合する炭素原子と共に置 換もしくは無置換の芳香族炭化水素環を形成 しており、R 34 、R 35 及びR 36 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらの二つ以上が一緒 になってそれらが結合する炭素原子と共に置 換もしくは無置換の芳香族炭化水素環を形成 している。

 アルキル基としては、炭素数18以下、よ 好ましくは6以下のものが好ましく、メチル 、エチル基がより好ましい。

 また、R 31 ~R 36 の隣接する二つが一緒になってそれらが結合 する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環( 換基を有していてもよい)を形成しているこ とも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基と しては、アルキル基(メチル基、エチル基な )、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基な ど)などが挙げられる。

 R 31 ~R 36 は水素原子またはメチル基であることが好ま しく、R 31 ~R 36 が全て水素原子であることが特に好ましい。

 また、BLとしては、下式(1-B2)で表される 位子も挙げられる。

 式中、R 41 及びR 42 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらが一緒になってそ れらが結合する炭素原子と共に置換もしくは 無置換の芳香族炭化水素環を形成しており、 R 43 及びR 44 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらが一緒になってそ れらが結合する炭素原子と共に置換もしくは 無置換の芳香族炭化水素環を形成している。

 アルキル基としては、炭素数18以下、よ 好ましくは6以下のものが好ましく、メチル 、エチル基がより好ましい。

 また、R 41 とR 42 、R 43 とR 44 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 41 ~R 44 は水素原子またはメチル基であることが好ま しく、R 41 ~R 44 が全て水素原子であることが特に好ましい。 また、R 41 とR 42 、R 43 とR 44 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの 換基を有していてもよい)を形成しているこ とも特に好ましく、例えば下式(1-B3)で表され る配位子であることが好ましい。

 式中、R 51 、R 52 、R 53 及びR 54 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表し、R 55 、R 56 、R 57 及びR 58 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表す。

 アルキル基としては、炭素数18以下、よ 好ましくは6以下のものが好ましく、メチル 、エチル基がより好ましい。

 R 51 ~R 58 は水素原子またはメチル基であることが好ま しく、R 51 ~R 58 が全て水素原子であるか、R 52 、R 53 、R 56 及びR 57 がメチル基であり、R 51 、R 54 、R 55 及びR 58 が水素原子であることが特に好ましく、R 51 ~R 58 が全て水素原子であることがさらに好ましい 。

 BLとしては、例えば、2,2’-ビピリミジン 2,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビベンズイミ ゾール等が挙げられるが、好ましくは2,2’- イミダゾール、2,2’-ビベンズイミダゾール であり、更に好ましくは2,2’-ビベンズイミ ゾールである。

 L 2 は、含窒素二座配位子を示す。このL 2 は、錯体内にふたつ含まれているが、それら は同一でも異なっていてもよい。

 L 2 としては、下式(1-C)で表される配位子が挙げ れる。

 式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 及びR 18 は、それぞれ独立に、水素原子または置換も しくは無置換の直鎖もしくは分岐アルキル基 を表すか、または、これらの二つ以上が一緒 になってそれらが結合する炭素原子と共に置 換もしくは無置換の芳香族炭化水素環を形成 している。

 アルキル基としては、炭素数18以下、よ 好ましくは6以下のものが好ましく、メチル 、エチル基がより好ましい。

 また、R 11 ~R 18 の隣接する二つ、またはR 11 とR 18 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有して てもよい)を形成していることも好ましい。 芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキ ル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ (メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げ れる。

 R 11 ~R 18 は水素原子またはメチル基であることが好ま しく、R 11 ~R 18 が全て水素原子であるか、R 12 及びR 17 がメチル基であり、R 11 、R 13 ~R 16 及びR 18 が水素原子であることが特に好ましい。また 、R 11 とR 18 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの 換基を有していてもよい)を形成しており、 R 12 ~R 17 は水素原子またはメチル基、より好ましくは 水素原子であることも特に好ましい。さらに 、R 13 とR 14 、R 15 とR 16 が一緒になってそれらが結合する炭素原子と 共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの 換基を有していてもよい)を形成しており、 R 11 、R 12 、R 17 及びR 18 は水素原子またはメチル基、より好ましくは 水素原子であることも特に好ましい。

 L 2 としては、例えば、2,2’-ビピリジン、2,2’-4 ,4’-ジメチル-ビピリジン、1,10-フェナントロ リン、2-(2-ピリジニル)キノリン、2,2’-ビキ リン等が挙げられるが、好ましくは2,2’-ビ リジン、2,2’-4,4’-ジメチル-ビピリジン、1 ,10-フェナントロリンである。

 上記のような本発明において使用する二 ルテニウム錯体の具体例としては、例えば 以下の(D-1)から(D-15)の化合物が挙げられる なお、式(D-1)~(D-15)中の-COOHのHは脱離してい もよい。

 本発明の非対称二核ルテニウム錯体色素 、一般式(2)

(式中、L 1 は、カルボキシル基をふたつ有する含窒素二 座配位子、Yは、ハロゲン原子を示す。なお カルボキシル基(COOH)は、脱プロトン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっていても良い。)
で示されるルテニウム錯体(2)と、一般式(3)

(式中、L 2 は、含窒素二座配位子、BLは、含窒素四座配 子を示す。)
で示されるルテニウム錯体(3)とを反応させる ことによって得ることができる。

 一般式(2)において、Yは、ハロゲン原子を 示し、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素 原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原 子、臭素原子である。なお、ふたつのYは同 でも異なっていてもよい。

 本発明の非対称二核ルテニウム錯体色素は 以下のふたつの工程によって得られる。
(A)ルテニウム錯体(2)とルテニウム錯体(3)とを 反応させる第1工程。
(B)次いで、酸を加えて反応液のpHを調整し、 核ルテニウム錯体色素を単離する第2工程。

(A)第1工程
 本発明の第1工程は、ルテニウム錯体(2)とル テニウム錯体(3)とを反応させる工程であり、 好ましくは水と有機溶媒の混合溶媒中で反応 を行う。ルテニウム錯体(2)とルテニウム錯体 (3)との反応は、式(4)で示されるように、予め ルテニウム錯体(3)を脱プロトン化させた後に 、脱プロトン化されたルテニウム錯体(3)とル テニウム錯体(2)を反応させる方法によって行 うことが更に好ましい。この場合、ルテニウ ム錯体(3)の脱プロトン化は有機溶媒中で行い 、ルテニウム錯体(2)と脱プロトン化後のルテ ニウム錯体(3)との反応は水と有機溶媒の混合 溶媒中で行うことが好ましい。

(式中、L 1 は、カルボキシル基をふたつ有する含窒素二 座配位子、Yは、ハロゲン原子、L 2 は、含窒素二座配位子、BLは、含窒素四座配 子を示す。)

 使用する有機溶媒としては、例えば、メ ノール、エタノール、イソプロピルアルコ ル、t-ブチルアルコール、エチレングリコ ル等のアルコール類;アセトニトリル、プロ オニトリル等のニトリル類;N,N-ジメチルア トアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のア ド類;N-メチルピロリドン等の尿素類;ジメチ ルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げら れる。ルテニウム錯体(3)の脱プロトン化の反 応においては、好ましくはアルコール類が使 用され、更に好ましくはメタノール、エタノ ールが使用される。ルテニウム錯体(2)と脱プ ロトン化後のルテニウム錯体(3)または脱プロ トン化されていないルテニウム錯体(3)との反 応においては、好ましくはエタノール、N,N- メチルホルムアミドが使用され、更に好ま くはエタノールが使用される。なお、これ の有機溶媒は、単独又は二種以上を混合し 使用しても良い。

 ルテニウム錯体(3)の脱プロトン化反応に ける有機溶媒の使用量は、特に限定されな が、ルテニウム錯体(3)1ミリモルに対して、 好ましくは10~100ml、更に好ましくは20~40mlであ る。

 ルテニウム錯体(2)と脱プロトン化させた のルテニウム錯体(3)または脱プロトン化さ ていないルテニウム錯体(3)との反応におけ 水と有機溶媒の混合溶媒の使用量は、特に 定されないが、ルテニウム錯体(2)1ミリモル に対して、好ましくは60~360ml、更に好ましく 120~180mlであり、その混合比(容量比)は、水1 対して、有機溶媒が好ましくは1~5倍、更に ましくは1~2倍である。

 ルテニウム錯体(3)の使用量は、ルテニウ 錯体(2)1モルに対して、好ましくは0.9~1.5モ 、更に好ましくは1.0~1.2モル、特に好ましく 1.0~1.1モルである。

 本発明の第1工程は、塩基の存在下で行う ことが望ましい。使用される塩基としては、 例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム 等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム 炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸 素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアル リ金属炭酸水素塩;水酸化アンモニウム;水 化テトラブチルアンモニウム等の水酸化四 アンモニウム塩;リチウムメトキシド、ナト ウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナ リウムエトキシド、カリウムエトキシド、 トリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシ ド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化リ ウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム 水素化カルシウム等のアルカリ金属水素化 またはアルカリ土類金属水素化物;トリエチ アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ト ブチルアミン等のアミン類;ピリジン、キノ リン等の複素環式アミン類が挙げられる。

 なお、ルテニウム錯体(3)を脱プロトン化 る際には、好ましくはアルカリ金属アルコ シドが使用され、更に好ましくはナトリウ メトキシド、リチウムメトキシドが使用さ る。ルテニウム錯体(2)と脱プロトン化させ 後のルテニウム錯体(3)または脱プロトン化 れていないルテニウム錯体(3)とを反応させ 際には、好ましくはアルカリ金属水酸化物 水酸化四級アンモニウム塩が使用され、更 好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリ ム、水酸化カリウム、水酸化テトラブチル ンモニウムが使用される。ルテニウム錯体( 3)を脱プロトン化する際に使用する塩基と、 テニウム錯体(2)と脱プロトン化させた後の テニウム錯体(3)とを反応させる際に使用す 塩基とは同一であっても、異なっていても い。なお、これらの塩基は、単独又は二種 上を混合して使用しても良く、水や各種有 溶媒に溶解しているものを使用しても良い

 塩基の使用量は、ルテニウム錯体(3)の脱 ロトン化においては、ルテニウム錯体(3)1モ ルに対して、好ましくは2~20モル、更に好ま くは4~10モルであり、ルテニウム錯体(2)と脱 ロトン化後のルテニウム錯体(3)または脱プ トン化されていないルテニウム錯体(3)との 応においては、ルテニウム錯体(2)1モルに対 して、好ましくは3~5モル、更に好ましくは3.7 ~4.5モルである。

 本発明の第1工程では、まず、ルテニウム 錯体(3)、塩基及び有機溶媒を混合して、攪拌 しながら、好ましくは20~200℃、更に好ましく は50~90℃で反応させてルテニウム錯体(3)を脱 ロトン化させる。次いで、脱プロトン化さ たルテニウム錯体(3)、ルテニウム錯体(2)、 基、水及び有機溶媒を混合して、攪拌しな ら、好ましくは50~200℃、更に好ましくは80~1 00℃で反応させる等の方法によって行われる また、ルテニウム錯体(3)を脱プロトン化せ にルテニウム錯体(2)と反応させる場合も、 様に、ルテニウム錯体(3)、ルテニウム錯体( 2)、塩基、水及び有機溶媒を混合して、攪拌 ながら、好ましくは50~200℃、更に好ましく 80~100℃で反応させることができる。なお、 応圧力は特に制限されない。

 ルテニウム錯体(2)およびルテニウム錯体( 3)は、公知の方法によって合成することがで る(例えば、国際公開第2006/038587号参照)。

(B)第2工程
 本発明の第2工程は、第1工程で得られた反 液に酸を加えて反応液のpHを調整し、二核ル テニウム錯体色素を単離する工程である。

 使用される酸としては、例えば、ヘキサ ルオロリン酸、過塩素酸、テトラフェニル ウ酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオ メタンスルホン酸、チオシアン酸、硫酸、 酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨ 化水素酸等が挙げられるが、好ましくはヘ サフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸 トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヨ 化水素酸であり、更に好ましくはヘキサフ オロリン酸、テトラフルオロホウ酸、硝酸 ヨウ化水素酸が使用される。なお、これら 酸は、単独又は二種以上を混合して使用し も良い。

 酸の使用量(加える酸の量)は、二核ルテ ウム錯体色素を単離することができる量で れば特に制限されないが、反応液のpHを好ま しくは2.5より大きく5以下、更に好ましくは3 り大きく5以下となるように調整することが できる量が好ましい。

 本発明の第2工程では、第1工程で得られ 反応液に酸を加えて、反応液のpHを好ましく は2.5より大きく5以下となるように調整する 反応液のpHをこの範囲内に調整することによ って、二核ルテニウム錯体色素が析出してく る。この析出した固体を濾過等によって取得 することにより、二核ルテニウム錯体色素を 単離することができる。

 なお、当該ルテニウム錯体色素は、配位子 のカルボキシル基(COOH)が脱プロトン(H + )化されてカルボキシイオン(COO - )となっているプロトン欠損型のルテニウム 体色素となっていても良い。この際、脱プ トン数は1~4個であるが、ルテニウム錯体色 を単離する際の溶液のpHによっては複数種の 混合物として取得される場合がある。そのた め、脱プロトン数が異なるルテニウム錯体色 素の混合物の場合には、それらの平均値を当 該ルテニウム錯体色素の脱プロトン数とする 。

 本発明の二核ルテニウム錯体色素溶液は 前記の第2工程で得られた二核ルテニウム錯 体色素(上記一般式(1)で示される二核ルテニ ム錯体色素)を含み、当該色素の濃度が飽和 度未満である溶液、より好ましくは二核ル ニウム錯体色素の飽和溶液が溶媒で希釈さ ているルテニウム錯体色素希釈溶液である 上記一般式(1)で示される二核ルテニウム錯 色素を用いることにより、初期光電変換効 及び耐久性に優れた光化学電池を得ること できるが、色素を半導体微粒子に吸着させ のに用いる色素溶液の濃度を飽和濃度未満 することにより、初期光電変換効率が更に 上する。

 溶液中のルテニウム錯体色素の濃度は、0.1 10 -4 mol/lより大きく飽和濃度未満であることが好 しい。

 別の実施態様では、溶液中のルテニウム 体色素の含有量が、飽和溶液中のルテニウ 錯体色素の含有量の10%以上100%未満であるこ とが好ましい。吸着時間の速度を実用化レベ ルより低下させないためには、溶液中のルテ ニウム錯体色素の含有量が飽和溶液中のルテ ニウム錯体色素の含有量の10%以上である溶液 を使用することが好ましい。

 本発明の二核ルテニウム錯体色素溶液の 媒としては、水と均一相を形成する溶媒が ましく、好適には、例えば、メタノール、 タノール、イソプロピルアルコール、t-ブ ルアルコール等のアルコール類;アセトニト ル等のニトリル類;アセトン等のケトン類が 使用される。なお、これらの有機溶媒は、単 独又は二種以上を混合して使用しても良い。

 本発明の二核ルテニウム錯体色素溶液は 二核ルテニウム錯体色素の飽和溶液を調製 、これに溶媒を加え、所定の濃度または希 率になるように飽和溶液を希釈して調製し 希釈溶液であることが好ましい。溶液中の 核ルテニウム錯体色素に違いがあると思わ る。また、二核ルテニウム錯体色素の種類 より好ましい濃度、希釈率及び飽和濃度が なるからである。

 なお、希釈する溶媒の使用量は、目的の 釈溶液に応じて適宜調節する。希釈する溶 は、飽和溶液の溶媒と異なるものであって よい。

 本発明の二核ルテニウム錯体色素によっ 増感された半導体微粒子は、本発明の二核 テニウム錯体色素溶液を用いて二核ルテニ ム錯体色素と半導体微粒子とを接触させ、 素を半導体微粒子に吸着させることによっ 得られるものである。

 半導体微粒子としては、例えば、酸化チ ン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム 酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化バナ ウム等の金属酸化物類;チタン酸ストロンチ ウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウ ム、ニオブ酸カリウム等の複合酸化物類;硫 カドミウム、硫化ビスマス等の金属硫化物; レン化カドミウム等の金属セレン化物;テル ル化カドミウム等の金属テルル化物;リン化 リウム等の金属リン化物;ヒ素化ガリウム等 金属ヒ素化物が挙げられるが、好ましくは 属酸化物、更に好ましくは酸化チタン、酸 亜鉛、酸化スズが使用される。なお、半導 微粒子の一次粒子径は特に制限されないが 好ましくは1~5000nm、更に好ましくは2~500nm、 に好ましくは3~300nmのものが使用される。こ れらの半導体微粒子は、単独又は二種以上を 混合して使用しても良い。

 二核ルテニウム錯体色素により増感され 半導体微粒子は、二核ルテニウム錯体色素 溶媒に溶解した溶液(本発明の二核ルテニウ ム錯体色素溶液)を半導体微粒子に接触(例え 、塗布、浸漬等)させることによって製造さ れる(例えば、国際公開第2006/038587号パンフレ ット参照)。なお、接触させた後に、各種溶 で洗浄して乾燥させることが望ましい。色 を吸着させる際の温度(半導体微粒子を色素 液に浸漬する際の温度)および色素を吸着さ せる時間(色素溶液に浸漬する時間)は適宜決 ればよい。

 なお、後述するように、電極上に半導体 粒子を含む薄膜を形成し、これを本発明の 核ルテニウム錯体色素溶液に浸漬して色素 半導体微粒子に吸着させて光電変換素子を 製することができる。

 本発明の光電変換素子は、先述した二核 テニウム錯体色素によって増感された半導 微粒子を含むものであり、具体的には、例 ば、当該ルテニウム錯体色素により増感さ た半導体微粒子を電極上に固定したもので る。

 前記電極は、導電性電極であり、好まし は透明基板上に形成された透明電極である 導電剤としては、例えば、金、銀、銅、白 、パラジウム等の金属、スズをドープした 化インジウム(ITO)に代表される酸化インジ ム系化合物、フッ素をドープした酸化スズ(F TO)に代表される酸化スズ系化合物、酸化亜鉛 系化合物などが挙げられる。

 本発明の光化学電池は、上記の二核ルテ ウム錯体色素により増感された半導体微粒 を用いて製造することができる。

 本発明の光化学電池は、具体的には、電 として上記の本発明の光電変換素子と対極 を有し、その間に電解質溶液層を有するも である。なお、本発明の光電変換素子に用 た電極と対極の少なくとも片方は透明電極 ある。

 対極は、光電変換素子と組み合わせて光 学電池としたときに正極として作用するも である。対極としては、上記導電性電極と 様に導電層を有する基板を用いることもで るが、金属板そのものを使用すれば、基板 必ずしも必要ではない。対極に用いる導電 としては、例えば、白金等の金属、炭素、 ッ素をドープした酸化スズ等の導電性金属 化物が好適に使用される。

 電解質溶液は、レドックス対(酸化還元対) 含んでいることが望ましい。使用するレド クス対は特に限定されないが、例えば、
(1)ヨウ素とヨウ化物(例えば、ヨウ化リチウ 、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物;ヨウ化 トラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプ ピルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム、 ウ化イミダゾリウム等の4級アンモニウム化 合物のヨウ化物)の組み合わせ、
(2)臭素と臭化物(例えば、臭化リチウム、臭 カリウム等の金属臭化物;臭化テトラブチル ンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニ ム、臭化ピリジニウム、臭化イミダゾリウ 等の4級アンモニウム化合物の臭化物)の組 合わせ、
(3)塩素と塩化物(例えば、塩化リチウム、塩 カリウム等の金属塩化物;塩化テトラブチル ンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニ ム、塩化ピリジニウム、塩化イミダゾリウ 等の4級アンモニウム化合物の塩化物)の組 合わせ、
(4)アルキルビオローゲンとその還元体の組み 合わせ、
(5)キノン/ハイドロキノン、鉄(II)イオン/鉄(II I)イオン、銅(I)イオン/銅(II)イオン、マンガ (II)イオン/マンガン(III)イオン、コバルトイ ン(II)/コバルトイオン(III)等の遷移金属イオ ン対、
(6)フェロシアン/フェリシアン、四塩化コバ ト(II)/四塩化コバルト(III)、四臭化コバルト( II)/四臭化コバルト(III)、六塩化イリジウム(II )/六塩化イリジウム(III)、六シアノ化ルテニ ム(II)/六シアノ化ルテニウム(III)、六塩化ロ ウム(II)/六塩化ロジウム(III)、六塩化レニウ ム(III)/六塩化レニウム(IV)、六塩化レニウム(I V)/六塩化レニウム(V)、六塩化オスミウム(III)/ 六塩化オスミウム(IV)、六塩化オスミウム(IV)/ 六塩化オスミウム(V)等の錯イオンの組み合わ せ、
(7)コバルト、鉄、ルテニウム、マンガン、ニ ッケル、レニウム等の遷移金属と、ビピリジ ンやその誘導体、ターピリジンやその誘導体 、フェナントロリンやその誘導体等の複素共 役環及びその誘導体で形成されている錯体類 、
(8)フェロセン/フェロセニウムイオン、コバ トセン/コバルトセニウムイオン、ルテノセ /ルテノセニウムイオン等のシクロペンタジ エン及びその誘導体と金属の錯体類、
(9)ポルフィリン系化合物類
が挙げられるが、好ましくは前記(1)で挙げた レドックス対が使用される。なお、これらの レドックス対は、単独又は二種以上を混合し て使用しても良い。

 本発明の光化学電池は、従来から適用され いる方法によって製造することができ、例 ば、
(1)透明電極上に酸化物等の半導体微粒子のペ ーストを塗布し、加熱焼成して半導体微粒子 の薄膜を作製する。
(2)次いで、半導体微粒子の薄膜がチタニアの 場合、温度400~550℃で0.5~1時間焼成する。
(3)得られた薄膜の付いた透明電極を色素溶液 に浸漬し、二核ルテニウム錯体色素を担持し て光電変換素子を作製する。
(4)得られた光電変換素子と対極として白金又 は炭素を蒸着した透明電極を合わせ、その間 に電解質溶液を入れる。
という操作を行うことにより、本発明の光化 学電池を製造することが出来る。

 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明の範囲はこれらに限定さ るものではない。なお、光化学電池の光電 換効率は、ソーラーシュミレーター(英弘精 機株式会社製)の擬似太陽光を照射して測定 た。

参考例1(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、Y 2 =塩素原子;ルテニウム錯体2aの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積500mlの三口フラスコに、市販の三塩化 テニウム・三水和物3.22g(12.3mmol)、4,4’-ジカ ボキシ-2,2’-ビピリジン5.72g(23.4mmol)及びN,N -ジメチルホルムアミド300mlを加え、2.45GHzの イクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌 ながら158~162℃にて45分間反応させた。反応 了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃 した。得られた濃縮物をアセトン/ジエチル エーテル(=1/4(容量比))の混合液で洗浄し、次 で、2mol/l塩酸300mlを加え、超音波攪拌を30分 間、通常の攪拌を2時間行った。攪拌終了後 得られた溶液を濾過した後、濾物を2mol/l塩 、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比)) 混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄し、 体を乾燥させ、暗紫色固体として、ルテニ ム錯体2a7.23gを得た(単離収率:88.6%)。

参考例2(L 2 =ビピリジン、BL=2,2’-ビベンズイミダゾール; ルテニウム錯体3aの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積300mlの三口フラスコに、ジクロロビス(2 ,2’-ビピリジル)ルテニウム(II)1.00g(1.92mmol)、2 ,2’-ビベンズイミダゾール0.540g(2.31mmol)及び チレングリコール40mlを加え、2.45GHzのマイク ロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しなが ら200~204℃にて5分間反応させた。反応終了後 水80mlを加え、通常の攪拌を1時間行った。 拌終了後、得られた溶液を濾過し、濾液に3. 52mol/lヘキサフルオロリン酸アンモニウム水 液2mlを加え、通常の攪拌を1時間行った。攪 終了後、析出した固体を濾過し、濾物を水 アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量比))の 合液、ジエチルエーテルの順で洗浄し、固 を乾燥させ、橙色固体として、ルテニウム 体3a1.63gを得た(単離収率:87.1%)。

参考例3(脱プロトン化されたルテニウム錯体3 aの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積100mlの三口フラスコに、参考例2で得ら たルテニウム錯体3a1.62g(1.67mmol)及びメタノ ル32mlを加えた後、10%リチウムメトキシドメ ノール溶液3.33ml(16.7mmol)を加え、窒素雰囲気 下、攪拌しながら82~86℃で1時間反応させた。 反応終了後、反応液を濾過し、濾物を冷却し たメタノール、水、ジエチルエーテルの順で 洗浄し、固体を乾燥させ、暗赤紫色固体とし て、脱プロトン化されたルテニウム錯体3a1.05 gを得た(単離収率:92.3%)。

参考例4(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、L 2 =ビピリジン、BL=2,2’-ビベンズイミダゾール X=ヘキサフルオロリン酸イオン;ルテニウム 体色素1a(pH2.8)の合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積300mlの三口フラスコに、ルテニウム錯 2a0.601g(0.86mmol)、水/エタノール混合溶液(容量 比:1/1)100ml及び1mol/l水酸化ナトリウム水溶液3. 7ml(3.7mmol)を加えた。次いで、脱プロトン化さ れたルテニウム錯体3a0.621g(0.91mmol)を加え、2.4 5GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下 攪拌しながら86~90℃にて30分間反応させた。 応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下 濃縮した。濃縮後、得られた溶液を濾過し 濾液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液 反応液のpHが2.8になるまで加え、4℃に冷却 一晩放置した。析出した結晶を濾過し、pH2.8 のヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ エチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエ チルエーテルの順で洗浄し、固体を乾燥させ 、暗赤紫色固体として、二核ルテニウム錯体 色素1a(pH2.8)1.11gを得た(単離収率:84.7%)。

参考例5(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、L 2 =ビピリジン、BL=2,2’-ビベンズイミダゾール X=ヘキサフルオロリン酸イオン;ルテニウム 体色素1a(pH3.5)の合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積300mlの三口フラスコに、ルテニウム錯 2a1.01g(1.45mmol)、水/エタノール混合溶液(容量 :1/1)200ml及び1mol/l水酸化ナトリウム水溶液5.7 7ml(5.77mmol)を加えた。次いで、脱プロトン化 れたルテニウム錯体3a1.04g(1.53mmol)を加え、2.4 5GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気下 攪拌しながら86~90℃にて30分間反応させた。 応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下 濃縮した。濃縮後、得られた溶液を濾過し 濾液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液 反応液のpHが3.5になるまで加え、4℃に冷却 一晩放置した。析出した結晶を濾過し、pH3.5 のヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ エチルエーテル(=1/4(容量比))の混合液、ジエ チルエーテルの順で洗浄し、固体を乾燥させ 、暗赤紫色固体として、二核ルテニウム錯体 色素1a(pH3.5)1.67gを得た(単離収率:84.3%)。

参考例6(L 2 =1,10-フェナントロリン、BL=2,2’-ビベンズイ ダゾール;ルテニウム錯体3bの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積100mlの三口フラスコに、ジクロロビス(1 ,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)1.00g(1.76mm ol)、2,2’-ビベンズイミダゾール0.495g(2.11mmol) びエチレングリコール40mlを加え、2.45GHzの イクロ波照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌 ながら200~204℃にて5分間反応させた。反応終 了後、水80mlを加え、通常の攪拌を1時間行っ 。攪拌終了後、得られた溶液を濾過し、濾 に3.52mol/lヘキサフルオロリン酸アンモニウ 水溶液2mlを加え、通常の攪拌を1時間行った 。攪拌終了後、析出した固体を濾過し、濾物 を水、アセトン/ジエチルエーテル(=1/4(容量 ))の混合液、ジエチルエーテルの順で洗浄し 、固体を乾燥させ、橙色固体として、ルテニ ウム錯体3b1.40gを得た(単離収率:80.6%)。

参考例7(脱プロトン化されたルテニウム錯体3 bの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積100mlの三口フラスコに、参考例6で得ら たルテニウム錯体3b1.39g(1.41mmol)及びメタノ ル28mlを加えた後、28%ナトリウムメトキシド タノール溶液2.81ml(14.1mmol)を加え、窒素雰囲 気下、攪拌しながら82~86℃で1時間反応させた 。反応終了後、反応液を濾過し、濾物を冷却 したメタノール、水、ジエチルエーテルの順 で洗浄し、固体を乾燥させ、暗赤紫色固体と して、脱プロトン化されたルテニウム錯体3b0 .881gを得た(単離収率:83.7%)。

参考例8(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、L 2 =1,10-フェナントロリン、BL=2,2’-ビベンズイ ダゾール、X=ヘキサフルオロリン酸イオン; テニウム錯体色素1b(pH2.8)の合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積500mlの三口フラスコに、ルテニウム錯 2a1.08g(1.55mmol)、水100ml、エタノール100ml及び1m ol/l水酸化ナトリウム水溶液6.05ml(6.05mmol)を加 た。次いで、脱プロトン化されたルテニウ 錯体3b1.22g(1.63mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ 照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら8 6~90℃にて90分間反応させた。反応終了後、反 応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。濃 縮後、得られた溶液を濾過し、濾液に0.5mol/l キサフルオロリン酸水溶液を反応液のpHが2. 8になるまで加え、4℃に冷却し一晩放置した 析出した結晶を濾過し、pH2.8のヘキサフル ロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテ (=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテル 順で洗浄し、固体を乾燥させ、暗赤紫色固 として、二核ルテニウム錯体色素1b(pH2.8)2.11g を得た(単離収率:93.2%)。

参考例9(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、L 2 =1,10-フェナントロリン、BL=2,2’-ビベンズイ ダゾール、X=ヘキサフルオロリン酸イオン; テニウム錯体色素1b(pH3.5)の合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積500mlの三口フラスコに、ルテニウム錯 2a0.772g(1.11mmol)、水80ml、エタノール80ml及び1mo l/l水酸化ナトリウム水溶液4.44ml(4.44mmol)を加 た。次いで、脱プロトン化されたルテニウ 錯体3b0.870g(1.16mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ 照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら8 6~90℃にて90分間反応させた。反応終了後、反 応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。濃 縮後、得られた溶液を濾過し、濾液に0.5mol/l キサフルオロリン酸水溶液を反応液のpHが3. 5になるまで加え、4℃に冷却し一晩放置した 析出した結晶を濾過し、pH3.5のヘキサフル ロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテ (=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテル 順で洗浄し、固体を乾燥させ、暗赤紫色固 として、二核ルテニウム錯体色素1b(pH3.5)1.09g を得た(単離収率:68.2%)。

参考例10(L 2 =4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル、BL=2,2’-ビ ンズイミダゾール;ルテニウム錯体3cの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積200mlの三口フラスコに、ジクロロビス(4 ,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル)ルテニウム(II )1.50g(2.69mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール0.75 5g(3.22mmol)及びエチレングリコール60mlを加え 2.45GHzのマイクロ波照射下にて、窒素雰囲気 、攪拌しながら200~204℃にて5分間反応させ 。反応終了後、水120mlを加え、通常の攪拌を 1時間行った。攪拌終了後、得られた溶液を 過し、濾液に3.58mol/lヘキサフルオロリン酸 ンモニウム水溶液3mlを加え、通常の攪拌を1 間行った。攪拌終了後、析出した固体を濾 し、濾物を水、アセトン/ジエチルエーテル (=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテルの で洗浄し、固体を乾燥させ、暗橙色固体と て、ルテニウム錯体3c2.39gを得た(単離収率:8 9.4%)。

参考例11(脱プロトン化されたルテニウム錯体 3cの合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積100mlの三口フラスコに、参考例10で得ら れたルテニウム錯体3c2.38g(2.40mmol)及びメタノ ル24mlを加えた後、28%ナトリウムメトキシド メタノール溶液4.79ml(24.0mmol)を加え、窒素雰 気下、攪拌しながら82~86℃で1時間反応させ 。反応終了後、反応液を濾過し、濾物を水 ジエチルエーテルの順で洗浄し、固体を乾 させ、暗赤紫色固体として、脱プロトン化 れたルテニウム錯体3c1.77gを得た(単離収率:95 .6%)。

参考例12(L 1 =4,4’-ジカルボキシ-2,2’-ビピリジン、L 2 =4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル、BL=2,2’-ビ ンズイミダゾール、X=ヘキサフルオロリン イオン;ルテニウム錯体色素1c(pH3.8)の合成)
 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた 容積500mlの三口フラスコに、ルテニウム錯 2a1.04g(1.49mmol)、水100ml、エタノール100ml及び1m ol/l水酸化ナトリウム水溶液6.02ml(6.02mmol)を加 た。次いで、脱プロトン化されたルテニウ 錯体3c1.21g(1.57mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ 照射下にて、窒素雰囲気下、攪拌しながら8 6~90℃にて30分間反応させた。反応終了後、反 応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。濃 縮後、得られた溶液を濾過し、濾液に0.5mol/l キサフルオロリン酸水溶液を反応液のpHが3. 8になるまで加え、4℃に冷却し一晩放置した 析出した結晶を濾過し、pH3.8のヘキサフル ロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテ (=1/4(容量比))の混合液、ジエチルエーテル 順で洗浄し、固体を乾燥させ、暗赤紫色固 として、二核ルテニウム錯体色素1c(pH3.8)1.34g を得た(単離収率:69.6%)。

例1(光電変換効率の評価)
(多孔質チタニア電極の作製)
 チタニアペーストPST-18NR(触媒化成製)を透明 層に、PST-400C(触媒化成製)を拡散層に用い、 明導電性ガラス電極(旭硝子株式会社製)の上 に、スクリーン印刷機を用いて塗布した。得 られた膜を25℃、相対湿度60%の雰囲気下で5分 間エージングし、このエージングした膜を440 ~460℃で30分間焼成した。この操作を繰り返す ことで、16mm 2 の多孔質チタニア電極を作製した。

(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
 t-ブチルアルコールとアセトニトリルの容 比1:1の混合溶媒に、合成した各種二核ルテ ウム錯体色素の所定量を加えて、所定の濃 の当該ルテニウム錯体色素の溶液を調製し 。次いで、調製した所定の濃度の色素溶液 多孔質チタニア電極を内温30℃の恒温器中で 15~65時間浸漬した後、乾燥させて、光電変換 率測定用の色素を吸着した多孔質チタニア 極を作製した。

(光化学電池の作製)
 3-メトキシプロピオニトリル、ヨウ化リチ ム、ヨウ素、4-t-ブチルピリジン及び1,2-ジメ チル-3-プロピルイミダゾリウムアイオダイド から、ヨウ化物イオンの濃度が1.0mol/lの電解 溶液を調製した。そして、作製した色素吸 多孔質チタニア電極と白金板(対極)を重ね わせた後、調製した電解質溶液を両電極の 間に毛細管現象を利用して染み込ませるこ によって光化学電池を作製した。各々の濃 の二核ルテニウム錯体色素溶液を用いて作 した光化学電池の変換効率を表1に示した。

 この結果より、色素溶液の濃度が0.0975×10 -4 mol/l及び0.1×10 -4 mol/lでは変換効率が低く、又、それぞれの飽 溶液でも変換効率が低いということが分か 。即ち、実施例と比較例とを対比すれば、 素溶液の濃度が0.1×10 -4 mol/lより大きく飽和濃度未満で高い変換効率 示すことが分かる。又、二核ルテニウム錯 色素の飽和溶液を溶媒で希釈して濃度を調 した希釈溶液の方が良い結果が得られる傾 にある。

例2(光電変換効率の評価)
(多孔質チタニア電極の作製)
 例1と同様にして、16mm 2 の多孔質チタニア電極を作製した。

(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
 t-ブチルアルコールとアセトニトリルの容 比1:1の混合溶媒に、合成した各種二核ルテ ウム錯体色素の所定量を加えて、当該ルテ ウム錯体色素の飽和溶液及びその希釈溶液 調製した。次いで、調製した飽和色素溶液 びその希釈溶液に多孔質チタニア電極を内 30℃の恒温器中で15~65時間浸漬した後、乾燥 せて、光電変換効率測定用の色素を吸着し 多孔質チタニア電極を作製した。

(光化学電池の作製)
 3-メトキシプロピオニトリル、ヨウ化リチ ム、ヨウ素、4-t-ブチルピリジン及び1,2-ジメ チル-3-プロピルイミダゾリウムアイオダイド から、ヨウ化物イオンの濃度が1.0mol/lの電解 溶液を調製した。そして、作製した色素吸 多孔質チタニア電極と白金板(対極)を重ね わせた後、調製した電解質溶液を両電極の 間に毛細管現象を利用して染み込ませるこ によって光化学電池を作製した。各々の希 率の二核ルテニウム錯体色素溶液を用いて 製した光化学電池の変換効率を表2に示した ここで、希釈率とは、「ルテニウム錯体色 の飽和溶液中のルテニウム錯体色素の含有 を100%としたときの溶液中のルテニウム錯体 色素の含有量(相対量)」のことを言う。

 この結果より、二核ルテニウム錯体色素 飽和溶液を溶媒で希釈した希釈溶液の方が 飽和溶液よりも高い変換効率を示すことが かる。なお、希釈率が10%未満であった場合 即ち溶液中のルテニウム錯体色素の含有量 飽和溶液中のルテニウム錯体色素の含有量 10%未満であった場合には、吸着速度がゆる かに低下する傾向にあった。

 本発明により、初期光電変換効率及び耐 性に優れた光化学電池を得ることができる 核ルテニウム錯体色素を含む溶液を提供す ことができる。さらには、この錯体色素溶 を用いて得られた色素によって光増感され 半導体微粒子を用いた光電変換素子、及び れを用いた初期光電変換効率及び耐久性に れた光化学電池を提供することができる。




 
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