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Patent Searching and Data


Title:
BIODEGRADABLE FILM OR SHEET, METHOD FOR PRODUCING THE SAME AND COMPOSITION FOR BIODEGRADABLE FILM OR SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075122
Kind Code:
A1
Abstract:
A biodegradable film or sheet having sufficient water resistance and strength is provided. Respective components are mixed such that the amount of starch is 0% by mass or more and 35% by mass or less, the amount of protein is 20% by mass or more and 70% by mass or less, the amount of cellulose fiber is 15% by mass or more and 60% by mass or less, and the amount of urea is 1% by mass or more and 15% by mass or less. Water is added in an amount of 10 parts by mass or more and 100 parts by mass or less based on 100 parts by mass of the resulting mixture, and the mixture is well kneaded using a twin-shaft mixer or the like, and rolled out while heating to about 120°C, whereby a film or sheet having a thickness of about several tens to 300 μm is obtained.

Inventors:
AOKI KAZUHIKO (JP)
IKEO YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062761
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
July 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NUCLEAR ENGINEERING LTD (JP)
AOKI KAZUHIKO (JP)
IKEO YASUHIRO (JP)
International Classes:
C08L89/00; B65D30/02; C08J3/18; C08J5/18; C08K3/20; C08K5/21; C08L1/00; C08L3/00; C08L101/16
Foreign References:
JPH09208714A1997-08-12
JPH03131636A1991-06-05
JP2000504058A2000-04-04
JPH11198970A1999-07-27
JP4077027B12008-04-16
JPH10511145A1998-10-27
JP2002371201A2002-12-26
JPH06313063A1994-11-08
JP2003292554A2003-10-15
JP2003105130A2003-04-09
JP2004339496A2004-12-02
JP2001288295A2001-10-16
JP2002512929A2002-05-08
Other References:
See also references of EP 2221344A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMURA, Hisashi (2-3-4 Minamisenba, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 81, JP)
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Claims:
 デンプン0質量%以上35質量%以下、
 タンパク質20質量%以上70質量%以下、
 セルロース繊維15質量%以上60質量%以下、
 尿素1質量%以上15質量%以下
 からなることを特徴とする生分解性フィルム又はシート用組成物。
 請求項1に記載の組成物から得られる生分解性フィルム又はシート。
 請求項1に記載の組成物に加水して捏ねた後、100℃以上135℃以下の加熱下において、圧延されたことを特徴とする生分解性フィルム又はシート。
 請求項2又は3の生分解性フィルム又はシートから得られた袋。
 デンプン0質量%以上30質量%以下、
 タンパク質15質量%以上60質量%以下、
 セルロース繊維10質量%以上40質量%以下、
 尿素0.75質量%以上12質量%以下、
 水20%以上60質量%以下からなることを特徴とする生分解性フィルム又はシート用組成物。
 請求項5に記載の組成物を捏ねることにより得られた生分解性フィルム又はシート製造用の組成物。
 請求項1に記載の生分解性組成物に加水して捏ねる工程又は請求項5又は6の何れか1項に記載の組成物を捏ねる行程、
 前記こねた組成物を加熱しながらプレス処理する工程を有する生分解性フィルム又はシートの製造方法。
 100℃以上135℃以下で加熱する請求項7に記載の生分解性フィルム又はシートの製造方法。
Description:
生分解性フィルム又はシート並 にその製造方法及び生分解性フィルム又は ート用の組成物

 本発明は、農業用シートやゴミ袋などに 用できる生分解性を有するフィルム又はシ ト及びその製造方法並びに当該フィルム又 シート用の組成物に関する。

 これまでにポリ乳酸や脂肪酸ポリエステ などの生分解性樹脂やデンプンなどの天然 材を主成分とした数多くの生分解性フィル やシートが提案されている。

 例えば、特表平10-511145号公報(特許文献1) は、熱可塑性デンプンと生分解性のポリマ 及びセルロース繊維並びにタンパク質など ら作製された延伸されたフィルムが開示さ ている。特開2002-371201号公報(特許文献2)に 、ポリ乳酸などの生分解性の樹脂と炭酸カ シウムなどの無機充填剤、さらにポリエチ ングリコールなどの水溶性樹脂とが用いら た生分解性のフィルムやシートが開示され いる。また、特開平6-313063号公報(特許文献3) には、デンプンと生分解性の脂肪酸ポリエス テルに補強用添加剤としてタンパク質及び天 然ゴムが添加された生分解性のフィルムが開 示されている。

 特開2003-292554号公報(特許文献4)には、でん んなどの活性水素を有する生分解性化合物 主成分としてこれにアクリロイル基を有す 化合物、さらに尿素やグリセリン、さらに セルロースなど天然繊維が用いられた生分 性のフィルムが開示されている。特開2003-105 130号公報(特許文献5)には、デンプンと尿素と カルボキシメチルセルロースなどのカルボン 酸基を有する化合物をカルシウム塩やアルミ ニウム塩などの塩で架橋し、さらにグリセリ ンや尿素を加えた組成物から得られる生分解 性のフィルムが開示されている。特開2004-3394 96号公報(特許文献6)には、デンプン類とそれ 対して60~300%の尿素並びに10~150質量%のグリ リンなどの多価アルコールさらには天然素 として紙や麻などの繊維が用いられた生分 性のフィルムが開示されている。また、特 2001-288295号(特許文献7)には、コーングルテン ミールと天然ゴムに可塑剤として尿素が用い られたフィルムが開示されている。さらに特 表2002-512929号公報(特許文献8)には、デンプン タンパク質、天然セルロース繊維並びに金 塩水和物、可塑剤として尿素を含む組成物 らなる生分解性のフィルムが記載されてい 。

特表平10-511145号公報

特開2002-371201号公報

特開平6-313063号公報

特開2003-292554号公報

特開2003-105130号公報

特開2004-339496号公報

特開2001-288295号公報

特表2002-512929号公報

 しかしながら、特許文献1~3に記載された 分解性のフィルムなどでは、ポリマーを使 しているためコストが高くなり、生分解性 観点からは天然素材からなるものが好まれ 。

 特許文献4~6に記載された生分解性フィル は、いわゆる可塑剤としてグリセリンをは めとする多価アルコールが用いられている で、保存中や使用中にグリセリン等が滲出 るおそれがある。このために、フィルムの 用目的に制約が生じ、食品用のラップとし 使用できない場合がある。

 特許文献7のフィルムはグリセリンの多価 アルコール等が使用されていないものである が、用いられた天然ゴムが完全に分解されな いおそれがある。特許文献8のフィルムは金 塩を含むものなので、そのまま土中に廃棄 れた場合に環境の汚染が懸念される。また このフィルムは尿素を高濃度で含むために 窒素の排出負荷が高まり、農業用途への使 が制約されるおそれも高い。

 本発明は上記の背景技術に鑑みてなされ ものであって、本発明は耐水性及び強度を 分に備え、かつポリマーや金属塩、窒素な 環境へ排出される汚染物質の負荷を少なく た生分解性のあるフィルムやシートを提供 ることを目的とする。

 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意 力したところ、タンパク質、セルロース繊 及び尿素の3成分、あるいはそれに必要に応 じてデンプンが加えられた4成分からなる組 物から耐水性や十分な機械的強度を有する ィルムやシートを得られることを見いだし 本発明を完成するに至った。

 本発明によると、耐水性及び強度を十分 備えたフィルムやシートが得られる。特に くても強度、透明感のある生分解性の高い ィルムを得ることができる。また、窒素の 有量が従来の生分解性フィルム等に比べて い。このため、自然中に投棄されたとして 環境に排出される窒素負荷量が少ない。従 て、例えば農業等において使用される防寒 シートや家庭から排出される生ゴミ用のゴ 袋などの用途に適した新規な素材が提供さ る。

 本発明の生分解性フィルム又はシート用 成物は、デンプン0質量%以上35質量%以下、 ンパク質20質量%以上70質量%以下、セルロー 繊維15質量%以上60質量%以下、尿素1質量%以上 15質量%以下からなり、また、加水した組成物 は、デンプン0質量%以上30質量%以下、タンパ 質15質量%以上60質量%以下、セルロース繊維1 0質量%以上40質量%以下、尿素0.75質量%以上12質 量%以下、水20質量%以上60質量%以下からなる とを特徴とする。

 本発明において用いられるデンプンは、 然物由来のデンプン(天然デンプン)のみな ず、天然デンプンを化学的に処理し、化学 飾を行った化学修飾デンプンのいずれでも く、また、これらを適宜混合して用いるこ もできる。

 天然デンプンとは、トウモロコシデンプ 、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプ 、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデ プン、ソルガムデンプンなど各種植物から られるデンプンであって、起源となる植物 限定されない。また、デンプン中に含まれ アミロース、アミロペクチン含量も特に問 れるものでもなく、高アミローストウモロ シデンプンのようにアミロース含量を高め デンプンを用いてもよい。また、本発明に いては単一のデンプンのみならず、2種以上 の天然デンプンを用いてもよい。

 化学修飾デンプンは、デンプンを構成す グルコースの水酸基に置換基を導入したも である。置換基は特に限定されるものでは く、被修飾デンプンである天然デンプンの 類も限定されるものではない。化学修飾デ プンとしては、例えば、ヒドロキシプロピ デンプン、カルボキシメチルデンプン、ア チル化高アミロースデンプン、酢酸デンプ 、マレイン酸デンプン、オクテニルコハク デンプン、コハク酸デンプン、フタル酸デ プン、ヒドロキシプロピル高アミロースデ プン、架橋デンプン、リン酸デンプン、リ 酸ヒドロキシプロピルジデンプンが例示さ る。これらの化学修飾デンプンも、単一種 限られず、2種以上を混合して用いても差し 支えない。ここにいう架橋デンプンとは、リ ン酸塩化物、エピクロルヒドリン、リン酸誘 導体等の種々の架橋剤によりデンプン分子を 架橋したものをいう。

 本発明において用いられるタンパク質は 植物由来のタンパク質や動物由来のタンパ 質のいずれでもよく、合成タンパク質であ てもよい。植物由来のタンパク質(植物性タ ンパク質)には、例えば、大豆タンパク、小 タンパク、米タンパクなどの各種豆類や穀 から得られるタンパク質が例示される。ま 、動物由来のタンパク質(動物性タンパク質) には、例えば、乳タンパクなど各種動物、鳥 類、魚類由来のタンパク質が例示される。ま た、これらのタンパク質は抽出しただけで精 製していない粗タンパク質のみならず、濃縮 した濃縮タンパク質であってもよい。例えば 、植物由来のタンパクであれば、大豆濃縮タ ンパク、動物由来のタンパクであれば、濃縮 乳タンパクが例示される。一方、粗タンパク 質を精製したタンパク質であってもよく、植 物由来のタンパク質としてグルテン、ゼイン 、ホルデイン、アベニン、カフィリンなどが 例示され、動物由来のタンパク質としてカゼ イン、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、 ケラチンなどが例示される。これらのタンパ ク質は1種若しくは2種以上を用いることがで る。

 本発明において用いられるセルロース繊 は、天然若しくは人工のセルロース繊維の ずれでもよい。天然由来のセルロール繊維 は、各種の植物、例えば籾殻などの穀類の 皮、草、木材、わら、さとうきび、綿、葉 トウモロコシの皮やさとうきびの絞り滓か 得られたガバス、新聞紙などの加工品が例 される。これらのセルロース繊維は、わら 穀類の種皮などを乾燥させた後繊維状にほ し、それを任意に適当な長さに切断して用 られる。用いることのできるセルロース繊 は、太さが1~100μm程度、長さが10μm~30mm程度 あるが、加工品の用途や要求される強度な に応じて適宜決定される。

 本発明の組成物は、タンパク質、セルロ ス繊維及び尿素を必須の成分とし、タンパ 質を組成物中20質量%以上70質量%以下、セル ース繊維を15質量%以上60質量%以下、尿素1% 上15質量%以下を含み、デンプンを用いる場 には組成物中に0質量%以上35質量%以下を含む ように組成される。なお、このときの組成は 後述する加水を行う前の状態にある組成物に ついてであって、各原料は特別な乾燥処理や 含水処理を行わない通常の保存状態にあるも のを使用することを前提としたものである。

 本発明の組成物以外からも、例えばタン ク質とセルロース繊維及びデンプンの3成分 から生分解性のあるシート状物を得ることも できる。しかしながら、このシート状物はフ ィルムのように膜厚が厚く、柔軟性や伸び性 がほとんどなかった。また、保存とともにシ ート状物が乾燥し、折れるかのごとく容易に 破損されやすいものであった。本発明者らは 、このような状況下のもと、特定の配合量比 を有する組成物に尿素を添加することで、強 度はもちろんのこと、保水性が向上し、柔軟 性のあるシート状の薄膜が形成できることを 見いだした。このとき、タンパク質が組成物 中20質量%未満であったり、70質量%を越えて配 合した場合にはフィルム状に成形することが できない。また、セルロース繊維の配合量が 15質量%より少ない場合にもフィルム状に形成 することができず、その配合量が60質量%より 多いとセルロース繊維の配合量がタンパク質 に比べて多すぎる結果、セルロース繊維の配 合量が少ない場合と同様に良好なフィルム状 に成形できない。尿素は、本発明の組成物に おいて非常に重要な必須成分である。この尿 素は、合成ポリマーからなるフィルムにおけ る可塑剤としての使用というより、得られる フィルム中の水分を保持し、これによってフ ィルムに柔軟性を付与する機能を果たす。従 って、少なくとも加水しない状態での組成物 中に1質量%以上、好ましくは2質量%以上の配 量とする。また、環境への窒素負荷を少な するためには少ない方が好ましく、多くて 組成物中に15質量%以下、好ましくは12質量% 下、さらに好ましくは5質量%未満である。す なわち、尿素の配合量は1~15質量%、好ましく 2~12質量%である。

 本発明において、デンプンは必須ではな 任意の成分であって、必要に応じて適宜配 される。その配合量は、多くとも組成物中3 5質量%以下である。本発明の組成物から得ら るフィルムは、タンパク質とセルロール繊 並びに尿素がバランスよく配合されること より得られるものであって、デンプンは賦 剤(増量剤)として考えられるものである。 って、タンパク質、セルロース繊維、尿素 3成分がバランスよく配合されていればよい 、そこに配合されるデンプン量が多くなる 適切なフィルムを形成できなくなる。

 本発明の生分解性組成物は、タンパク質 セルロース繊維及び尿素を必須の構成成分 し、この他にデンプンを配合したものであ て、これらの成分以外にグリセリンやポリ チレングリコールなど可塑剤や軟化剤、金 塩を配合する必要はない。もっとも、本発 の加工品の強度、柔軟性等の物性を本質的 変えない限りにおいて、着色料や熱着色防 用の安定剤などの添加剤を配合することは 能である。

 本発明のフィルム等は次のようにして製 できる。すなわち、必要な成分を水とよく 合した上に十分に混練する。つまり所定の 合量で上記の成分を混合した上で加水し、 軸ミキサーなどを用いて十分に撹拌混練す 。このとき、各成分と水が混合するだけで 不十分であって、おおよそ耳たぶ程度の硬 、好ましくはいわゆる麺の腰が出る程度ま 十分に捏ねる。

 この場合の水と組成物との混合比は組成 100質量部に対して、水10質量部以上100質量 以下、好ましくは水25質量部以上70質量部以 であるが、適宜、上記硬さが得られる程度 調整される。水が10質量部よりも少ないと っぽくなって十分に捏ねることができず、 た、100質量部よりも多いと水が多すぎて柔 かくなり、適度な堅さ(腰)が得られないこと が多い。また、デンプン、タンパク質、セル ロース繊維及び尿素に水を加えた組成物にお いては、20質量%以上60質量%以下の水が含まれ るようにするのがよく、好ましくは28質量%以 上52質量%の水が含まれるようにする。

 得られた混練物は、例えば、そのままフ ルム又はシート状に加工される。フィルム はシートにするためには混練物をプレスす ばよく、いわゆる圧延加工であるカレンダ 法やロール加工が好ましく利用される。

 プレス時には加熱処理が施される。加熱 理は100℃以上、尿素の分解温度である約135 以下、つまり100℃以上135℃以下の範囲であ 、より好ましくは110℃以上130℃以下である 温度が低いと十分な強度や透明性が得られ 、温度が高いと得られたフィルムが褐色に 色し、水分が減少してフィルムと言うより 軟性のない板状物しか得られないおそれが い。プレス時の圧力や時間は、組成物の配 や求めようとするフィルムの厚み等によっ 適宜決められるが、その一例を挙げると、1 20℃であれば5MPa、5分間程度の条件である。 っとも、加熱することなく常温でプレスし も、適度な強度と耐水性のあるフィルムや ートを得ることができる。

 本発明においては尿素を含有しており、 発明の組成物から得られたフィルムやシー は保水性に優れている。さらに、本発明の 成物に水を加えてよく捏ねた状態の中間品 保水性があり、保湿状態で保管することに り、その中間品を用いてフィルム等に加工 ることもできる。つまり、上記3成分乃至4 分からなる組成物に水を加えて十分に捏ね 組成物として提供することもできる。この 間品として提供される組成物は、0質量%以上 30質量%以下のデンプンと、15質量%以上60質量% 以下のタンパク質と、10質量%以上40質量%以下 のセルロースと、0.75質量%以上12質量%以下の 素と、20質量%以上60質量%以下の水からなり 好ましくは尿素が1質量%以上10質量%以下で る。ここにおいて保湿状態での保管とは、 ねられた組成物からの水分の蒸散がほぼな 状態を示し、例えばビニール袋中に保管す ことが例示される。しかしながら、必ずし 環境下を高湿度に保つ必要はない。

 本発明の組成物から得られるフィルムや ートの厚みは数十~300μm程度であって、0.5~2m m程度の厚みのあるシート状物として提供す こともできる。

 本発明のフィルム等は透明ないし半透明 あって、膜厚200μmのものであれば水に浸漬 た状態で1週間程度、さらに膜厚1mmのもので あれば3週間以上の耐水性を有する。また、 発明のフィルム等は少なくとも10~30MPa程度の 引張強度を有する。そして、オイルやワック ス、グリセリン等の可塑剤が使用されていな いので、こうした化学物質などの滲み出しも なく、生体に対する安全性にも優れたフィル ムやシートが得られる。さらに、金属塩も用 いられていないため分解によって金属塩が排 出されることがなく、しかも、尿素の含有量 が少ないので、環境に放出される窒素量が少 なく、いわゆる富栄養化などの環境汚染の心 配も少ない。

 本発明のフィルムやシートは、食品用の ップや包装用シート、農業用の防寒用シー などとして何ら2次加工を施すことなく用い ることができるのは言うまでもなく、これら のフィルムやシートに袋加工などの2次加工 施して、食品用の包装袋や保存袋、いわゆ ゴミ袋やレジ袋など種々の形態に加工して 供されることもある。袋状への加工方法と て、例えば原材料であるシートと同じ組成 を接着剤として使用して袋加工する方法や 熱する際に圧着する部分の圧力を高める方 などが挙げられる。

 もっとも、本発明の組成物からは十分な 水性のみならず高い強度を有するシート状 が得られる。従って、本発明の組成物は、 ィルムやシートのみならず、カップや皿の うな食器類、弁当箱や持ち帰り用の包装容 などにも使用することもできる。この場合 は、十分に捏ねた組成物から上記温度に加 しながら所定の形状にプレス加工すればよ 。また、必要に応じて耐水用の樹脂をさら コーティングしても差し支えない。

 次に本発明について下記の実施例に基づ さらに詳細に説明する。なお、本発明は下 実施例に限定されないのは言うまでもない

 まず、デンプン、タンパク、セルロース 維及び尿素からなる組成物の混合・プレス 、薄膜成形性について評価を行った。

 トウモロコシデンプン(ワコー純薬(株)社 )、イモデンプン(同社製)、コメデンプン(同 社製)、コムギデンプン(同社製)、コムギタン パク(長田産業(株)社製 「フメリットA」)、 ルロースファイバー(日本製紙ケミカル(株) KCフロック#100メッシュ又は#200)、尿素を表1 通りに配合し、表1に示す量の水を加え、二 ミキサーを用いて常温で混合混練した。こ 混練物を、120℃の加熱下にて2軸プレス機に よりフィルム化を試みた。このときの混合・ プレス性及び薄膜成形性について評価した。 その結果を表1に示した。混合・プレス性は 成物と水で十分に捏ねることができたかど かで評価し、薄膜成形性はフィルムが得ら るかどうかで評価した。また、表2には水を えた組成物の組成を示した。

 〔強度試験〕
 表1(表2)において良好な混合性及び加熱プレ ス性がよかった試験番号18、18(2)~18(4)及び37、 37(2)~37(4)の計8つの組成物から、120℃の加熱プ レス(5MPa、5分間)により各種フィルムを作製 、これらフィルムの引っ張り強度を測定し 。その結果を表3に示す。

 〔耐水性評価〕
 次に上記強度試験において用いられた8つの 組成物及び試験番号36の組成物から、120℃の 熱プレス(5MPa、5分間)により各種フィルムを 作製し、これらフィルムの耐水性を評価した 。評価は、常温水に浸漬した際に、膨潤が見 られず、形状が維持されていたかどうかで判 定した。その結果を表4に示すが、200μmの膜 のものでは7日間、1mmの膜厚のものでは24日 上の耐水性が確認された。また、参考まで 常温下でプレス加工をしたシートの耐水性 併せて評価した。

 本発明によると、これまでにない強度と 水性に優れた生分解性のフィルム又はシー が提供される。特に耐水性に優れており、 リ乳酸などの合成ポリマーを用いることな デンプンやタンパク質などの天然素材のみ 作製できるので生分解性が高く、しかも比 的安価に作製できる。このため、袋状に加 して家庭の生ゴミなどを投入してそのまま 棄できる。特に窒素含有量が少なく、金属 も含まないので、環境への負荷も少ない。