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Title:
BIODEGRADABLE FRESHNESS-PRESERVING FILM AND BIODEGRADABLE FRESHNESS-PRESERVING CONTAINER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175276
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a biodegradable freshness-preserving film and biodegradable freshness-preserving container that: can efficiently biodegrade ethylene generated from plants into water and carbon dioxide, not only under light conditions but also in the dark; and can also oxidatively decompose at a slow reaction speed. The biodegradable freshness-preserving film according to the present invention is a freshness-preserving film made of a resin and having the property of resisting the permeation of oxygen and water vapor, the resin containing: zinc oxide in which photocatalytic activity sites have been coated by a coating agent; and a plastic decomposing agent.

Inventors:
SASAKI NAOKI (JP)
SASAKI MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006539
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 19, 2020
Export Citation:
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Assignee:
MORE DEVICE CO LTD (JP)
NISSHO CHEMICAL CO LTD (JP)
International Classes:
B65D65/02; B65D81/24; B65D85/50; C08K3/012; C08L23/00; C08L101/16
Domestic Patent References:
WO2017135433A12017-08-10
WO2011125548A12011-10-13
WO2010119547A12010-10-21
Foreign References:
JP2004099142A2004-04-02
JP2003189832A2003-07-08
JP2009035327A2009-02-19
Attorney, Agent or Firm:
IWAIKE Mitsuru et al. (JP)
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Claims:
〇 2020/175276 19 卩(:171? 2020 /006539

請求の範囲

[請求項 1 ] 酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂製の生分解性鮮 度保持フィルムであって、

前記樹脂中に、 光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理した酸化亜鉛と 、 プラスチック分解剤とを含有させたことを特徴とする生分解性鮮度 保持フィルム。

[請求項 2] 前記プラスチック分解剤は、 脂肪族又は芳香族ケトン類、 キノン類

、 パーオキサイ ド類、 ヒドロパーオキサイ ド類、 アゾ化合物類、 有機 染料類、 潜伏性感光剤類、 芳香族炭化水素類又はこれらの混合物等の 光分解剤;キチン、 スターチ、 セルロース、 グルコース誘導体、 多糖 類、 ポリー/ 3—ヒドロキシブチレート、 ポリカプロラクトン、 ポリエ ステル類、 カルポジイミ ド類又はこれらの混合物等の生分解剤;金属 カルボン酸塩と脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸の組み合わせ、 金属 カルボン酸塩と充填剤の組み合わせ、 又は遷移金属コンプレックス等 の化学分解剤から選択される単独又は組み合わせであることを特徴と する請求項 1 に記載の生分解性鮮度保持フィルム。

[請求項 3] 前記被覆剤の被覆量は、 前記被覆処理した酸化亜鉛に対して〇. 1

〜 2 0重量%であることを特徴とする請求項 1又は 2に記載の生分解 性鮮度保持フィルム。

[請求項 4] 前記被覆剤で被覆処理した酸化亜鉛は、 前記樹脂に対して、 〇. 〇

0 0 0 0 0 1〜 1 2質量%含有され、

前記プラスチック分解剤は、 前記樹脂に対して、 〇. 0 1〜 1 0質 量%含有されることを特徴とする請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載 の生分解性鮮度保持フィルム。

[請求項 5] 前記被覆剤で被覆処理した酸化亜鉛は、 粒径が 4 0〜 4 0 0 n で あることを特徴とする請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の生分解性 鮮度保持フィルム。

[請求項 6] 前記樹脂は、 バイオマスポリオレフインであることを特徴とする請 〇 2020/175276 20 卩(:171? 2020 /006539

求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の生分解性鮮度保持フイルム。

[請求項 7] 前記樹脂中に、 前記樹脂に対して 1〜 1 〇重量%の比率で消臭成分 をさらに含有させたことを特徴とする請求項 1〜 6のいずれか 1項に 記載の生分解性鮮度保持フイルム。

[請求項 8] 請求項 1〜 7のいずれか 1項に記載の生分解性鮮度保持フイルムを

、 袋状構造、 筒状構造、 トンネル構造、 層状構造、 及び入れ子構造の うちいずれか 1つ以上を含む構造に形成してなることを特徴とする生 分解性鮮度保持容器。

Description:
\¥0 2020/175276 1 ?01/^2020/006539

明 細 書

発明の名称 :

生分解性鮮度保持フィルム及び生分解性鮮 度保持容器

技術分野

[0001 ] 本発明は、 食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物の鮮度 保持 (植物の生育保持を含む) に用いられるとともに、 一定期間経過後に自 身を分解する生分解性能を発揮する生分解性 鮮度保持フィルム及び生分解性 鮮度保持容器に関するものである。

背景技術

[0002] プラスチックフィルムは、 材質、 延伸方法等の製造方法、 及び厚さ等の相 違によって、 種々の物性 (水蒸気透過性、 ガス透過性) を示す。 例えば、 一 般に青果物の包装には、 水蒸気透過性が低く、 ガス透過性の高いフィルム ( 例えば、 ポリエチレンフイルム) が用いられる。 このようなフイルムを用い て青果物を包装する場合、 包装袋又は包装容器の内部の湿度は 1 0 0 %に近 くなる。 その結果、 青果物の蒸散が抑えられる。 従って、 プラスチックフィ ルム包装は青果物の蒸散作用によるしなびを 完全に抑制できるので、 流通中 の青果物の生鮮消耗を抑えることができる。 しかしながら、 気温の高い時期 では、 青果物自体のガス障害や微生物の繁殖、 及び、 老化ホルモン、 エチレ ンガス発生を促進させ、 老化熟成 ·腐敗を引き起こす原因にもなるため、 低 温管理と組み合わせることが必要とされてい る。 例えば、 産地から消費地に 至る青果物の各流通過程で、 エチレンガス濃度がわずか〇. 0 0 5 と いう微量でも流通量全体の 2 5〜 4 6 %が取り返しのつかない損害を被る恐 れがある。 このように、 エチレンガス濃度で安全なレベルというもの はない 。 一般的に流通センターの貯蔵室では、 完熟農産物とそうでないものが混ざ った状態になっており、 エチレンガスによる収穫後の損失は 2 5〜 3 0 %に も達すると算出されている。 このようなエチレンガスを分解する技術は、 こ れまでに多くの企業が光触媒により実現して いる (例えば特許文献 1〜 3参 \¥0 2020/175276 2 卩(:17 2020 /006539

照) 。

[0003] また、 特許文献 4では、 鮮度の長期間維持のために光に不活性な無機 物で 部分的に被覆した被覆光触媒粒子を用いた老 化防止輸送用容器が開示されて いる。 この特許文献 4では、 「金平糖のように被覆したもの (金平糖型粒子 ) 」 や 「マスクメロンのマスクのように被覆したも の (マスクメロン型粒子 ) 」 と記載されているように、 光触媒粒子の部分的被覆が、 光触媒粒子の表 面に対して、 一定割合の面積を覆うように被覆したもので ある。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開平 9— 1 9 6 5 4 5号公報

特許文献 2 :特開 2 0 0 9 - 3 5 3 2 7号公報

特許文献 3 :特開 2 0 1 0 - 2 0 7 2 2 3号公報

特許文献 4 :実用新案登録第 3 1 1 5 1 8 7号公報 発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] これらの鮮度保持フィルム又は鮮度保持容器 は、 食品等の鮮度を保持する ために使用された後には、 一般的な廃棄物同様に回収及び焼却の工程を 経て 廃棄される必要がある。 ところが、 これらの鮮度保持フィルム又は鮮度保持 容器は、 通常の回収及び焼却工程が行われずに自然環 境中に流出された場合 や不法投棄された場合には、 排水設備において流れを妨げる原因となった り 、 非常に長い期間残存して環境破壊の一因とな ってしまうといった問題を有 していた。

[0006] そこで、 本発明は、 上記のような状況に鑑みてなされたもので、 光条件下 だけでなく暗所下においても、 食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物 以外の植物から発生したエチレンを効率よく 水と二酸化炭素分子に分解する ことが可能であるとともに、 使用後において、 緩やかな反応速度で自身を酸 化分解する、 生分解性鮮度保持フィルム及び生分解性鮮度 保持容器を提供す 〇 2020/175276 3 卩(:171? 2020 /006539

ることを目的としている。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムは、

酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有す る樹脂製の生分解性鮮度保持フ イルムであって、

前記樹脂中に、 光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理した酸化 亜鉛と、 プラス チック分解剤とを含有させたことを特徴とし ている。

[0008] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、

前記プラスチック分解剤は、 脂肪族又は芳香族ケトン類、 キノン類、 パー オキサイ ド類、 ヒドロパーオキサイ ド類、 アゾ化合物類、 有機染料類、 潜伏 性感光剤類、 芳香族炭化水素類又はこれらの混合物等の光 分解剤;キチン、 スターチ、 セルロース、 グルコース誘導体、 多糖類、 ポリー/ 3—ヒドロキシ プチレート、 ポリカプロラクトン、 ポリエステル類、 カルポジイミ ド類又は これらの混合物等の生分解剤;金属カルボン 酸塩と脂肪族ポリヒドロキシカ ルボン酸の組み合わせ、 金属カルボン酸塩と充填剤の組み合わせ、 又は遷移 金属コンブレックス等の化学分解剤から選択 される単独又は組み合わせであ ることを特徴としている。

[0009] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 前記被覆剤の被覆量は、 前記被覆処理した酸化亜鉛に対して〇. 1〜 2 0重量%であることを特徴と している。

[0010] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 前記被覆剤で被覆処理し た酸化亜鉛は、 前記樹脂に対して、 〇. 0 0 0 0 0 0 1〜 1 2質量%含有さ れ、

前記プラスチック分解剤は、 前記樹脂に対して、 〇. 0 1〜 1 0質量%含 有されることを特徴としている。

[001 1 ] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 前記被覆剤で被覆処理し た酸化亜鉛は、 粒径が 4 0〜 4 0 0 n 01であることを特徴としている。

[0012] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 前記樹脂は、 バイオマス 〇 2020/175276 4 卩(:171? 2020 /006539

ポリオレフィンであることを特徴としてい る。

[0013] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 前記樹脂中に、 前記樹脂 に対して 1〜 1 0重量%の比率で消臭成分をさらに含有させ ことを特徴と している。

[0014] 本発明の生分解性鮮度保持容器は、 上記のいずれかの生分解性鮮度保持フ ィルムを、 袋状構造、 筒状構造、 トンネル構造、 層状構造、 及び入れ子構造 のうちいずれか 1つ以上を含む構造に形成してなることを特 としている。 発明の効果

[0015] 上記構成の本発明によれば、 光条件下だけでなく暗所下においても、 食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物から発生したエチレンを 効率よく水と二酸化炭素分子に分解すること が可能であるとともに、 使用後 において、 緩やかな反応速度で自身を酸化分解する、 生分解性鮮度保持フィ ルム及び生分解性鮮度保持容器を提供するこ とができる。

発明を実施するための形態

[0016] 以下、 本発明の実施形態に係る生分解性鮮度保持フ ィルム及び生分解性鮮 度保持容器について図面を用いて詳細に説明 する。 なお、 本発明は下記の実 施形態に限定されるものではない。

[0017] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムは、 酸素及び水蒸気を透過させにくい 特性を有する樹脂製の生分解性鮮度保持フィ ルムであって、 樹脂中に、 光触 媒活性部位を被覆剤で被覆処理した酸化亜鉛 と、 プラスチック分解剤とを含 有させたことを最大の特徴としている。 本発明の生分解性鮮度保持フィルム においては、 樹脂中に光触媒活性部位を被覆材で被覆処理 した酸化亜鉛が含 有されていることにより、 光条件下だけでなく暗所下でも、 食物 (特に生鮮 食材、 青果物など) 及び食物以外の植物の鮮度を保持したまま長 期間貯蔵で きるプラスチック包装貯蔵を行うことが可能 となる。 光触媒活性部位を被覆 剤で被覆処理された酸化亜鉛は、 酸化亜鉛の光触媒としての活性部位を被覆 剤で被覆処理することにより、 光触媒の活性を抑制し、 活性酸素の発生を抑 えるとともに、 酸化亜鉛から亜鉛イオンを溶出させて、 抗菌、 抗カビ、 消臭 等の効果を発揮させている。

[0018] ここで、 プラスチック包装貯蔵とは、 プラスチックフィルムの水蒸気とガ ス体との透過性の違いを利用し、 食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食 物以外の植物をプラスチックフィルムで包装 することにより貯蔵中の蒸散及 び呼吸作用を抑え、 長期間にわたり鮮度を保持することができる ことをいう 。 なお、 密封されたフィルム内のガス環境は、 食物 (特に生鮮食材、 青果物 など) 及び食物以外の植物自体の呼吸作用によって フィルム内の酸素が消費 され、 炭酸ガスが蓄積される。 環境温度や包装資材の材質及び包装する食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物によってフィルム内のガ ス環境は変わり、 例えば低温下 (5 ° C以下) で葉菜類を厚さ 0. 03 mmの 低密度ポリエチレンで密封包装すると、 フィルム内部のガス環境は、 酸素濃 度が 2〜 3%、 炭酸ガスが 5〜 1 0%で安定する。 大気中の酸素濃度は 20 . 9%、 炭酸ガスは 0. 1 %未満なので、 大気に比べると低酸素一高炭酸ガ ス濃度の環境になり、 この環境下で貯蔵すると大気で貯蔵したもの に比べ、 鮮度の低下を抑える効果 (CA効果) が得られる。

[0019] 上述のプラスチックフィルム又はプラスチッ ク容器による包装貯蔵は、 M A貯蔵 (Mo d i f i e d A t mo s p h e r e) とも呼ばれ、 多くの食 物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物を流通する際の内装資 材として利用されている。 包装貯蔵する目的としては前述の C A効果以外に も、 1. 青果物等の植物又は食物自体の蒸散作用によ るしおれ抑制、 2. 表 面の機械的損傷抑制、 3. 温度変動による青果物表面の結露抑制、 等の効果 を得るためである。

[0020] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムに用いら れる樹脂としては、 酸素及び 水蒸気を透過させにくい素材であれば特に制 限されないが、 後述するプラス チック分解剤を含有させることにより、 使用後において、 緩やかな反応速度 で自身を酸化分解することが可能であること から、 バイオマスポリオレフィ ンであることが好ましい。 具体的には、 L D P E :低密度ポリエチレン、 H D P E :高密度ポリエチレン、 〇 P P :延伸ポリプロピレン、 C P P :無延 〇 2020/175276 6 卩(:171? 2020 /006539

伸ポリプロピレン、 〇 1\1 :延伸ナイロン (ポリアミ ド) 、 〇 1\1 :無延伸ナイ ロン (ポリアミ ド) 、 巳 0 :ポリブタジェン、 IV! :ポリメチルベンテ ン、 巳〇 :延伸ビニロン、 〇 V : V〇〇塗布延伸ビニロン、 巳丁 :ポ リエチレンテレフタレート、 V〇〇 :ポリ塩化ビニルデン、 <〇 :ポリ 塩化ビニルデン塗布〇 、 [<〇 1\1 :ポリ塩化ビニリデン塗布〇 1\1、 º ^ 0 1 ~ 1 :エチレン · ビニルアルコール共重合体、 巳 V八 :エチレン ·酢酸ビニル 共重合体、 3 :ポリスチレン、 丁 :普通セロファン、 1\/1 3丁 :ポリマー タイプ防湿セロファン等が挙げられる。 これらは、 単独又は組み合わせて使 用することができる。 これらの中でも、 酸素及び水蒸気の透過度、 透明性、 取り扱い性等の観点から、 低密度ポリエチレンが好ましい。 ここで、 酸素及 び水蒸気を透過させにくいとは、 通常の使用状態においては、 酸素及び水蒸 気が樹脂フィルムを透過しないことを意味す る。 酸素の透過度が高いと、 被 包装物が酸化してしまうといった問題を生ず る。 また、 水蒸気の透過度が高 いと、 フィルムを袋状とした際の内部の湿度が低下 しすぎて植物がしおれて しまう。

[0021] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおける 酸化亜鉛は、 光触媒活性部位 を被覆剤で被覆処理したものである。 この酸化亜鉛の被覆剤としては、 具体 的には、 信越化学 (株) 製のシランカップリング剤である、 <巳1\/1 - 4 0 3 (アーグリシドキシプロピルトリメ トキシシラン) 、 及び<巳1\/1 - 5 0 3 ( ァーメタクリロキシプロピルトリメ トキシシラン) が挙げられるが、 酸化亜 鉛のような無機酸化物粒子表面との反応に主 として関与するのは、 シランカ ップリング剤の加水分解性基が加水分解を受 けて生成したシラノール基であ り、 エポキシ基やメタクリル基のような有機官能 基は主として種々の樹脂と 反応して結合し得ることは良く知られている 。 光触媒活性を抑える目的に対 しては、 その他のシランカップリング剤、 即ち、 ビニル基、 メルカプト基、 アミノ基等を持つシランカップリング剤を使 用しても良い。

[0022] なお、 シランカップリング剤による被覆処理は、 無機物による被覆処理よ りも何故少量で酸化亜鉛の光触媒活性を抑制 し得るのかは明確ではないが、 〇 2020/175276 7 卩(:171? 2020 /006539

酸化亜鉛粒子表面の光触媒活性を司る活性 点とシランカップリング剤との反 応性は、 酸化亜鉛粒子表面の光触媒活性を司る活性点 と無機の表面処理剤と の反応性に比較して選択性が一層高く、 それ故にシランカップリング剤は少 量の被覆量で無駄なく酸化亜鉛粒子表面の光 触媒活性を司る活性点を殺して いるのではないかと推察される。

[0023] また、 被覆剤であるシランカップリング剤で光触媒 活性部位を被覆処理さ れた酸化亜鉛 (以下、 「シランカップリング酸化亜鉛」 とも記す) は、 所謂 湿式合成法で得られたものであっても、 所謂乾式合成法で得られたものであ ってもよい。 シランカップリング剤による酸化亜鉛粉末の 被覆処理方法とし ては、 酸化亜鉛粉末のスラリーを攪拌しつつシラン カップリング剤を添加す る所謂湿式法でも良く、 また高速回転が可能なヘンシェルミキサーや ハイス ピードミキサー等で酸化亜鉛粉末を高速攪拌 しつつシランカップリング剤を スプレー又は滴下する所謂乾式法でも良く、 また酸化亜鉛粉末を入れた反応 容器内に窒素等の不活性ガスでキヤリーした シランカップリング剤を導入し 、 被覆処理する所謂気相法でも良い。

[0024] シランカップリング剤の被覆量に関しては、 被覆処理される酸化亜鉛粉末 の比表面積を考慮する必要がある。 例えば、 使用した酸化亜鉛粉末の巳巳丁 法による比表面積は 2 であり、 これにシランカップリング剤を 1重 量%被覆処理することによりほぼ完全に酸化 亜鉛の持つ光触媒活性を抑制で きたが、 これよりも大きな比表面積を持つより微細な 酸化亜鉛粉末に同様の 目的で被覆処理する場合には、 その被覆率を目安として被覆量を増加させな いと光触媒活性を充分に抑制できないことは 容易に推察される。 即ち、 著し く大きい比表面積を持つ酸化亜鉛粉末 (例えば 4 0 0 への被覆処理 を行う場合には 2 0 %程度の被覆量が必要となり、 逆に、 比表面積が数〇! 2 / 9程度の比較的粒径の大きい酸化亜鉛粉末に 覆処理する場合には〇 . 1 % 程度の被覆量でも充分な効果が期待できる。 従って、 被覆量の通常の範囲と しては〇. 1〜 2 0重量%、 分散性を考慮すると好ましくは〇. 2〜 1 5重 量%、 コスト面を考慮すると好ましくは〇. 1〜 1 0重量%、 総合的には好 〇 2020/175276 8 卩(:171? 2020 /006539

ましくは〇. 2〜 1 0重量%となる。

[0025] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムに含有さ れるシランカップリング酸化 亜鉛においては、 より少量の被覆量で、 即ち、 酸化亜鉛の相対的含有量を極 力減らさずに光触媒活性を抑制できるので、 酸化亜鉛自体の紫外線吸収作用 をそのまま維持しており、 さらに光触媒活性が抑制されるにも係わらず 、 殺 菌、 抗菌、 防黴、 脱臭等の作用がそのまま維持されている。 この理由につい ては、 シランカップリング酸化亜鉛に含まれる亜鉛 イオンによるものである 。 即ち、 微量金属作用によるものである。 なお、 本発明である生分解性鮮度 保持フィルムに含有される酸化亜鉛をカップ リング剤で完全被覆処理した場 合、 亜鉛イオンが溶出できなくなる。 そのため、 本発明の生分解性鮮度保持 フィルムにおいて、 酸化亜鉛の被覆は、 光触媒活性部分のみであることが必 須である。

[0026] 樹脂への分散性を一層向上させるためには、 使用する樹脂とシランカップ リング剤の有機官能基との相性を考慮してシ ランカップリング剤を選定する 必要がある。 このことは、 従来技術に基づく八 I、 3 し 「あるいは S n の酸化物もしくは水酸化物といった無機物に よる表面被覆処理ではなし得な かった分散性向上のポイントであり、 例えば、 低密度ポリエチレン樹脂内で 使用する場合には、 信越化学 (株) 製シランカップリング剤<巳!\/1 - 5 0 3 (ァーメタクリロキシプロピルトリメ トキシシラン) で酸化亜鉛粉末を被覆 処理することが好ましい。

[0027] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムに含有さ れるシランカップリング酸化 亜鉛は、 紫外線吸収、 殺菌、 抗菌、 防黴、 脱臭作用を有するが、 光触媒活性 の抑制されている添加剤として用いられ、 例えば、 樹脂組成物や油脂組成物 に添加して用いることにより、 紫外線吸収、 殺菌、 抗菌、 防黴、 脱臭等の効 果が達成され、 且つ光触媒活性が抑制されているので樹脂組 成物や油脂組成 物が分解したり、 劣化したり、 変色したりすることがない。 本発明において 添加剤として用いる場合にはシランカップリ ング酸化亜鉛粉末単独で用いて も、 あるいは他の成分との混合物として用いても よい。 〇 2020/175276 9 卩(:171? 2020 /006539

[0028] 上記のシランカップリング酸化亜鉛を樹脂組 成物に練り込み、 例えばフィ ルム状に成形し、 それを食品等の包装材料として用いた場合に は、 紫外線に よる食品の変色を防止し、 且つ同時に殺菌、 抗菌、 防黴作用による腐敗の防 止や脱臭作用による開封時の嫌な臭いも防止 できる。

[0029] 本発明においては、 上記のシランカップリング酸化亜鉛は、 粒径が 40 n 01 ~ 400 01程度であることが好ましく、 2001^ 111である ことがより好ましい。 また、 シランカップリング酸化亜鉛は、 上記樹脂から なるフィルム素材に、 少なくとも 111オーダー又は 13才ーダー ( 1 (0. 0000001 %〜 1 2%) 程度、 好ましくは 1 (〇. 0000001 %〜 5%) 程度) の質量割合で混和 ( 含有) する。 なお、 粒径が 40 n 未満又は含有量が 1 匕未満であると 、 エチレンガスとの接触頻度が減少し、 エチレン分解能が低下してしまう。

—方、 粒径が を超える又は含有量が 1 2 〇を超えると、 生分 解性鮮度保持フィルムの透明性が悪化してし まう。

[0030] また、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 特定の消臭成分を 併用することが好ましい。 このように消臭成分を生分解性鮮度保持フィ ルム に含有させることにより、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムに、 消臭効果 を付与することが可能となる。 本発明の生分解性鮮度保持フィルムに用いら れる消臭成分としては、 イオウ酸化物 (3〇 2 ) 、 硫化水素 ) 、 メチ ルメルカブタン (CH 3 S H) 、 ジメチルサルフアルト ( (〇1 ~ 1 3 2 3) 等の 硫黄系成分、 アンモニア 、 酸化窒素 (1\1〇 2 ) 等の窒素系成分、 ぺ プトン等のメタン成分などのいずれの悪臭分 子に対しても消臭効果を発揮し 得るものが挙げられるが、 一般的住環境における使用という観点から、 これ らの中でも植物性高分子化合物のジ · アルキル アミノ アリール ·スルフ ォネート (0 1 -八 1 が好ましい。

[0031] さらに、 本発明における消臭成分は、 生分解性鮮度保持フィルムを構成す る樹脂中に、 この樹脂に対して 1〜 1 0重量%の比率で含まれていることが 好ましい。 この消臭成分の含有率が 1重量%未満であると、 十分な消臭効果 が得られず、 _方、 含有率が 1 0重量%程度までは消臭効果も比例して上昇 するものの、 1 0重量%を超えると、 消臭効果はそれ以上高くならないこと から、 本発明における消臭成分の含有率の上限値を 1 〇重量%とした。

[0032] —方、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 収納物の鮮度を保 持することを目的とした使用後において、 緩やかな反応速度で自身を酸化分 解させるために、 プラスチック分解剤を含有させることを最大 の特徴として いる。 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおける プラスチック分解剤は、 第 1ステップにおいて、 生分解性鮮度保持フィルムを酸化分解及び低 分子化 し、 第 2ステップにおいて、 生分解性鮮度保持フィルムの低分子化成分を 微 生物分解する機能を備えている。 すなわち、 本発明の生分解性鮮度保持フィ ルムの素材は、 酸化型生分解性プラスチック (Ox o-B i o d e g r a d a b l e P l a s t i c) であり、 加水分解による低分子化とそれに伴う 微生物分解を経て分解される加水分解型生分 解性プラスチック (H y d r o l y s i s B i o d e g r a d a b l e P l a s t i c) とは全く異な る分解機構を有するものである。 なお、 加水分解型生分解性プラスチックは 、 一般に、 ポリ乳酸、 変性澱粉、 脂肪族ポリエステル等から構成されており 、 分解のタイミングを制御することは非常に困 難である。

[0033] より詳細に説明すると、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムでは、 以下の ように 2段階のステップを備えた酸化分解機構を有 るものである。

[0034] 第 1のステップとしては、 生分解性鮮度保持フィルムにおけるプラスチ ッ ク分解剤が、 自然界の光 (太陽) 、 熱等をエネルギー源として、 生分解性鮮 度保持フィルムの樹脂組成物に対して触媒反 応 (ラジカル反応) を引き起こ す。 そして、 ラジカル化された樹脂組成物において、 酸化分解の反応が開始 する。 このようにプラスチック分解剤は、 酸化 ·還元を繰り返し起こす機能 を有している。 その結果、 この第 1ステップにより、 本発明の生分解性鮮度 保持フィルムにおける樹脂組成物は、 酸化低分子化物 (例えば、 カルボン酸 、 アルコールやケトン類) に分解され、 生分解性鮮度保持フィルムの物性 ( 強度、 伸び) を低下させる。 すなわち、 第 1ステップは、 酸化分解 ·低分子 〇 2020/175276 1 1 卩(:171? 2020 /006539

化のステップである。

[0035] 続いて、 第 2のステップとして、 上記の第 1ステップにおいて分解された 酸化低分子化物を、 土中やコンポスト (堆肥) 環境中の微生物により消化吸 収させる。 このステップにおいては、 酸化低分子化物は、 最終的には、 バイ オマスとして微生物の体内に蓄えられると同 時に、 呼吸などの代謝活動によ り二酸化炭素や水へと変化する (無機質化) 。 すなわち、 第 2ステップは、 微生物分解 (生分解) のステップである。

[0036] 上記の 2つのステップは、 八3丁1\/1 口 6 9 5 4に準拠した酸化型生分解 性プラスチックの評価方法の一部であり、 」 丨 3 < 6 9 5 3や巳 1\1 1 3 4

3 2に規定された加水型生分解性プラスチック 評価方法とは異なる。

[0037] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおける プラスチック分解剤としては 、 光分解剤、 生分解剤、 化学分解剤等を単独又は組み合わせて用いる ことが できる。 光分解剤としては、 脂肪族又は芳香族ケトン類、 キノン類、 パーオ キサイ ド類、 ヒドロパーオキサイ ド類、 ァゾ化合物類、 有機染料類、 潜伏性 感光剤類、 芳香族炭化水素類又はこれらの混合物等が挙 げられる。 生分解剤 としては、 キチン、 スターチ、 セルロース、 グルコース誘導体、 多糖類、 ポ リー /3—ヒドロキシブチレート、 ポリカプロラクトン、 ポリエステル類、 力 ルボジイミ ド類又はこれらの混合物等が挙げられる。 化学分解剤としては、 金属カルボン酸塩と脂肪族ポリヒドロキシカ ルボン酸の組み合わせ、 金属力 ルボン酸塩と充填剤の組み合わせ、 又は遷移金属コンプレックス等が挙げら れる。 また、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおける 光分解剤には、 才 レフィン系物質、 エーテル類、 アセタール類、 ケタール類、 アミン類、 アル デヒド類、 天然油類、 不飽和脂肪酸類、 天然及び合成樹脂類、 及びこれらの 混合物からなる群から選ばれた 1種以上の自己酸化性物質をさらに組み合わ せてもよい。

[0038] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 プラスチック分解剤は、 樹脂に対して、 〇. 0 1〜 1 0質量%含有されることが好ましい。 例えば、 プラスチック分解剤の含有量が 1質量%の場合には、 生分解性鮮度保持フィ 〇 2020/175276 12 卩(:171? 2020 /006539

ルムは約 3〜 4年経過後に酸化分解反応が開始し、 プラスチック分解剤の含 有量が 1 . 5質量%の場合には、 生分解性鮮度保持フィルムは約 2〜 3年経 過後に酸化分解反応が開始し、 プラスチック分解剤の含有量が 1 〇質量%の 場合には、 生分解性鮮度保持フィルムは約 1年経過後に酸化分解反応が開始 する。 プラスチック分解剤が〇. 0 1質量%未満であると、 本発明の生分解 性鮮度保持フィルムの分解までの時間がかか りすぎて、 自然環境に影響を及 ぼすことになる。 一方、 プラスチック分解剤が 1 0質量%を超えると、 本発 明の生分解性鮮度保持フィルムの分解を詳細 に制御することが難しくなる。 このように、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 プラスチック 分解剤の含有量を増減させることにより、 酸化分解反応の開始時期を適切に 制御することができる。

[0039] 次に、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムの製造方 法について説明する。

本発明の生分解性鮮度保持フィルムの製造方 法は、 上述の樹脂のフィルム を形成する方法であれば特に限定されない。 生分解性鮮度保持フィルムの典 型的な製造方法としては、 ラミネート法や共押出し法等が挙げられる。 具体 的には、 丁ダイ法やインフレーション成形法等の加工 方法によって生分解性 鮮度保持フィルムが得られる。

[0040] 生分解性鮮度保持フィルムの厚さは、 本発明の目的を阻害しない限りにお いて、 特に限定されない。 生分解性鮮度保持フィルムの厚さは、 使用しやす い柔軟性や加工性と、 容易に伸びたり破断したりしない耐久性とを 両立でき る厚さが好ましい。 また、 原材料費の点で、 生分解性鮮度保持フィルムの製 造コストを低く抑えることが可能なことから 、 より薄いことが好ましい。

[0041 ] 生分解性鮮度保持フィルムは、 上述の樹脂層以外に、 種々の機能層を備え てもよい。 生分解性鮮度保持フィルムの最外層には、 例えば、 生分解性鮮度 保持フィルムの意匠性を高めるために、 印刷法やエンボス加工等により表面 に模様や図柄が付与された加飾層が設けられ たり、 生分解性鮮度保持フィル ムの表面に物理的耐久性や化学的耐久性を付 与するために、 ハードコード層 が設けられたりしてもよい。 ただし、 ハードコート層を形成する材料として 〇 2020/175276 13 卩(:171? 2020 /006539

は、 本発明の生分解性の特性を阻害しないものに 限定される。

[0042] また、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムは、 上記の樹脂フィルムの形状 をさらに加工して、 袋状構造、 筒状構造、 トンネル状構造、 層状構造、 又は 入れ子構造とした生分解性鮮度保持容器とす ることもでき、 さらに、 射出成 形等によって例えば生分解性鮮度保持フィル ムを内側に備えた蓋付きの箱型 形状に固形形成された生分解性鮮度保持容器 であってもよい。 このような態 様の製造方法としては、 箱型形状など一定の形状に固形形成できる方 法であ れば、 どのような成形方法であってもよい。 また、 本実施の形態の別形態に 係る生分解性鮮度保持容器は、 上述の光触媒活性部位をシランカップリング 剤でコーティングしたシランカップリング酸 化亜鉛を上記生分解性鮮度保持 フィルムの場合と同様の割合で混和 (含有) させてもよい。 なお、 ここでの 箱型形状の例としては、 立方体、 直方体、 三角柱、 円柱、 三角錐等が挙げら れるが、 内部に物を保管できるような状態のものであ れば、 どのような形状 のものであってもよい。 また、 この別形態に係る生分解性鮮度保持容器に用 いられる容器素材としては、 酸素及び水蒸気を透過させにくい素材であれ ば 特に制限されるものではないが、 具体的には、 低密度ポリエチレン (1_ 0 巳) (高圧法) 、 直鎖状低密度ポリエチレン (1_ 1_ 0 ?巳) 、 高密度ポリエ チレン ( 1 ~ 1 0 巳) (低圧法) 、 超高分子量ポリエチレン

) 、 架橋ポリエチレン、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 アクリロ 二トリル ·スチレン (八3) 、 ポリプロピレン ( ) 、 ポリスチレン ( 3) 、 ポリシクロへキサンジメチレンテレフタレー ト =高耐熱性のエンプラ ( 〇丁) 、 飽和ポリエステル樹脂、 ポリメチルペンテン (丁 乂) 等が挙 げられ、 これらを単独又は組み合わせて使用できる。

[0043] また、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおける 樹脂フィルムとしては 、 エチレン吸着能を有するものを用いてもよい 。 これにより、 食物 (特に生 鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物からエチレンが発生した 際、 本発 明に係る生分解性鮮度保持フィルムそのもの がエチレンの吸着剤として機能 することができるので、 従来のエチレン吸着剤よりも、 エチレンを吸着しや 〇 2020/175276 14 卩(:171? 2020 /006539

すくなる。 また、 エチレン分解により発生した水分、 二酸化炭素によって誘 導される呼吸の抑制と蒸散抑制効果を従来よ りも向上することができ、 ひい ては、 食物 (特に生鮮食材、 青果物など) 及び食物以外の植物の生分解性鮮 度保持に寄与することができる。

[0044] また、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムの施用方 法は、 例えば、 該生分 解性鮮度保持フィルムを袋状又は容器に加工 して、 生分解性鮮度保持袋又は 生分解性鮮度保持容器として、 内部に青果物等の植物又は食物を封入し、 ま たは、 該生分解性鮮度保持フィルムで青果物等の植 物又は食物を覆い、 青果 物等の植物又は食物に直接接種させたり、 青果物等の植物又は食物を保存す る段ボール、 コンテナなどの内面に生分解性鮮度保持フィ ルムを直接貼り付 けたり、 青果物等の植物又は食物を保存するための貯 蔵庫などの設備の内面 に貼付して活用したりすることができる。 また、 例えば、 青果物等の植物又 は食物の貯蔵庫などで換気装置、 吸気装置に生分解性鮮度保持フィルムを取 り付け使用してもよい。

[0045] 本実施形態における生分解性鮮度保持袋、 生分解性鮮度保持容器を用いて 保存する青果物については、 植物の種類、 育成方法、 気候などに基づいて適 宜決定すべきである。

[0046] なお、 上述のシランカップリング酸化亜鉛は、 青果物等の植物又は食物か ら発生するエチレンと共に、 腐食の原因となるアルデヒド等の腐生ガスも 分 解することが可能である。 保存後、 エチレン分解を行いながら、 腐生ガスの 分解処理を同時に行うことにより、 鮮度保持効果を向上させる。 なお、 鮮度 保持の条件としては、 暗所化でもほぼ光条件下と同様にエチレン分 解が機能 する。 また、 青果物等の植物又は食物の保存において重要 な要素である湿度 保持条件下においても低湿度条件と同様に、 ガス成分を変化させても、 エチ レン分解性能を発揮する。 具体的には、 個別包装内に加湿施用したり、 ガス 分圧を調整することが鮮度保持に好ましく、 特に植物又は食物の表面 (例え ば、 青果物の果実部の表面) の近傍に配置するように生分解性鮮度保持シ ー 卜を施用することがより好ましい。 〇 2020/175276 15 卩(:171? 2020 /006539

[0047] ここで、 上記生分解性鮮度保持袋は、 空隙率及び比表面積の高い中空構造 を有しているので、 植物の呼吸に担持される最低限の酸素の補給 、 より呼吸 を抑制する二酸化炭素をエチレン分解により 提供することができる。 これに より、 青果物等の植物又は食物の呼吸抑制を介して 鮮度保持がしやすくなり 、 日持ちを促進することが可能となる。 生分解性鮮度保持袋及び生分解性鮮 度保持容器は、 表面に高い吸水力 (水分を吸着する力) を有し、 青果物等の 植物又は食物に対して保水性、 保湿性を付与することができる。

[0048] よって、 青果物等の植物又は食物を保存するにあたり 、 生分解性鮮度保持 袋又は生分解性鮮度保持容器を施用すること により、 効果的にエチレンの分 解及び生分解性鮮度保持フィルムが有するエ チレンの二酸化炭素 ·水への分 解のため、 結果的に青果物等の植物又は食物の呼吸を抑 制するとともに、 青 果物等の植物又は食物に湿度を付与すること により鮮度保持を促進させるこ とを図ることができる。

実施例

[0049] 以下、 本発明の生分解性鮮度保持層フィルムを実施 例によりさらに詳しく 説明する。 なお、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムは、 これらの実施例に 限定されない。

[0050] 1 . 鮮度保持フィルムの製造方法

<実施例 1 >

まず、 低密度ポリエチレンに、 被覆材としてシランカップリング剤で光触 媒活性部位を被覆処理した酸化亜鉛 (商品名 : ?_ !\/1 0、 株式会社ニッシ ヨー化学社製) を全体の 2 0 %の質量割合となるように混和し、 さらに、 プ ラスチック分解剤である脂肪族モノカルボン 酸塩 (商品名 : 一し 丨 干 6、 ピーライフ ·ジャパン ·インク株式会社製) を全体の 1 %の質量割合となる ように混和し、 これをインフレーシヨン成形加工により厚さ 2 0 のフィ ルム状に成型し、 本発明の実施例 1の生分解性鮮度保持フィルムを製造した

[0051 ] <実施例 2〜 3 > 〇 2020/175276 16 卩(:171? 2020 /006539

実施例 1の製造方法において、 プラスチック分解剤である脂肪族モノカル ボン酸塩の混和量をそれぞれ 1 . 5 %及び 1 0 %とした以外は同様にして、 実施例 2及び 3の生分解性鮮度保持フィルムを製造した。

[0052] <比較例 1 >

実施例 1の製造方法において、 部分被覆酸化亜鉛を含有せずに、 比較用の 生分解性フィルムを作成した。 なお、 比較例 1の生分解性フィルムにおいて は、 厚さ 1 8 01とした。

[0053] 2 . 生分解促進効果の評価

次に、 実施例 1〜 3の生分解性鮮度保持フィルム及び比較例 1の生分解性 フィルムに対して、 生分解促進比較試験を行うことにより、 本発明の生分解 性鮮度保持フィルムにおける生分解効果を検 証した。 詳細には、 上記のよう にして製造された実施例 1〜 3の生分解性鮮度保持フィルム及び比較例 1の 生分解性フィルムを、 ギヤオーブン (商品名 : ◦ ! ! - 1 0 2) 内 に載置し、 促進テスト条件を機内温度 8 0 °〇及び風速レベル 2 (微風) とし て、 1 日、 3日、 5日及び 7日後の生分解割合を目視にて確認し、 以下の基 準に従って評価を行った。 これらの評価結果は表 1 に示した。

八 :分解無し、 巳 : 1 0 %分解、 〇 : 2 0 %分解、 0 : 3 0 %分解、 巳 : 4 0 %分解、 : 5 0 %分解

[0054] [表 1 ]

[0055] 表 1から明らかなように、 本発明の実施例 1〜 3の生分解性鮮度保持フィ ルムでは、 いずれも、 厚さが 1 0 %も薄い比較例 1の生分解性フィルムとほ ぼ同等の生分解特性を発揮することが示され た。 なお、 本評価においては、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムの厚さが 2〇 であり、 一方、 比較例 〇 2020/175276 17 卩(:171? 2020 /006539

1の生分解性フィルムの厚さのみが 1 8 であったため、 評価結果が分か りづらかったが、 厚さを同等にした場合には、 本発明の生分解性鮮度保持フ ィルムの生分解特性がより顕著に示されるこ とは明らかであろう。

[0056] 以上の結果から、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムによれば 、 酸素及び 水蒸気を透過させにくい特性を有するフィル ム素材に、 光触媒活性部位をシ ランカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛 と、 プラスチック分解剤とを混 和させることにより、 エチレンを短時間で二酸化炭素と水への完全 分解を達 成させて、 エチレンの老化 ·熟成効果の減退、 青果物の呼吸抑制、 果実表面 からの蒸散抑制等を達成するとともに、 使用後において、 回収及び焼却しな い状態であっても、 緩やかな反応速度で自身を酸化分解すること により、 自 然環境中にいつまでも残存し続けないことが 確認された。

[0057] 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 生分解性鮮度保持フィル ムのほか、 袋、 トレー、 タッパー等の正規層フィルムを用いた包装容 器、 エ アキャップ、 柄包材、 塗料、 シート状ラップ ( 〇) 等の用途がある。

[0058] 3 . 消臭機能の付加

次いで、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて 消臭成分を付加させ た態様について、 その消臭効果を検証した。

<実施例 4 >

低密度ポリエチレンに、 被覆材としてシランカップリング剤で光触媒 活性 部位を被覆処理した酸化亜鉛 (商品名 : ?_ 1\/1〇、 株式会社ニッシヨー化 学社製) を全体の 2 0 %の質量割合となるように混和するとともに 消臭成 分としてジアリルスルフォネート (商品名 : ノンチパウダー、 株式会社ウォ —テック社製) を全体の 1 〇%の質量割合となるように混合し、 さらに、 プ ラスチック分解剤である脂肪族モノカルボン 酸塩 (商品名 : 一し 丨 干 6、 ピーライフ ·ジャパン ·インク株式会社製) を全体の 1 %の質量割合となる ように混和した。 続いて、 これをインフレーシヨン成形加工により厚さ 2 0 のフィルム状に成型し、 本発明の実施例 4の生分解性鮮度保持フィルム を製造した。 〇 2020/175276 18 卩(:171? 2020 /006539

[0059] <比較例 2 >

実施例 4の製造方法において、 部分被覆酸化亜鉛及び消臭成分を含有せず に、 比較用のポリエチレンフィルムを作成した。 なお、 比較例 2のポリエチ レンフイルムの厚さは 2 0 〇1とした。

[0060] 上記のようにして作成された実施例 4の生分解性鮮度保持フィルム及び比 較例 2のポリエチレンフィルムを収容した密閉容 内において、 4 0 の濃度となるようにアンモニア水 (健栄製薬社製) を充填し、 臭気測定器 ( 商品名 神栄テクノロジー社製) を用いて時系列的に臭気を計測した。 これらの評価結果は表 2に示した。 な お、 上記の臭気測定器により計測される測定値は 、 特定物質の濃度ではなく 、 臭気の強さを示す相対値である。

[0061 ] [表 2]

[0062] 表 2から明らかなように、 本発明の実施例 4の生分解性鮮度保持フィルム では、 2 3時間後において、 アンモニアの臭気が 9 1 . 1 %も低減し得るこ とが示された。 これに対して、 比較例 2のポリエチレンフイルムでは、 2 3 時間後においても、 アンモニアの臭気が 6 3 . 7 %の低減に留まっていた。 したがって、 本発明の生分解性鮮度保持フィルムにおいて は、 消臭効果を併 せ持たせる態様も可能であることが示された 。

[0063] 以上、 本発明の実施形態について説明したが、 具体的な構成は、 これらの 実施形態に限定されるものではないと考えら れるべきである。 本発明の範囲 は、 上記した実施形態の説明ではなく特許請求の 範囲によって示され、 さら に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で のすべての変更が含まれる。 例 えば、 トマトなどの青果物はもちろん根菜類栽培、 蘭などの花卉栽培、 植物 工場での葉物栽培、 及び、 きのこ類の鮮度保持などにも有効である。