AKASAKA YUMENO (JP)
KURTH DIRK (JP)
HIGUCHI MASAYOSHI (JP)
AKASAKA YUMENO (JP)
KURTH DIRK (JP)
WO2007049371A1 | 2007-05-03 |
JP2006016577A | 2006-01-19 | |||
JPH1081754A | 1998-03-31 |
次式(1) |
請求項1に記載のビス(ターピリジン)化合物金属集積体からなり、非対称型ビス(ターピリジン)化合物と遷移金属イオンとが交互に連結して高分子を形成していることを特徴とするハイブリッドポリマー。 |
請求項2に記載のハイブリッドポリマーを含有するエレクトロクロミック材料を備えることを特徴とするエレクトロクロミック装置。 |
エレクトロクロミック材料は、エレクトロクロミック層を形成していることを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック装置。 |
請求項1に記載のビス(ターピリジン)化合物金属集積体の製造方法であって、式(1)の非対称型ビス(ターピリジン)化合物と少なくとも2種の遷移金属化合物とを、溶媒中で加熱しながら攪拌混合することによって錯形成反応させることを特徴とするビス(ターピリジン)化合物金属集積体の製造方法。 |
請求項2に記載のハイブリッドポリマーの製造方法であって、式(1)の非対称型ビス(ターピリジン)化合物と少なくとも2種の遷移金属化合物とを、溶媒中で加熱しながら攪拌混合することによって錯形成反応させ、ビス(ターピリジン)化合物と遷移金属イオンとの配位結合力に基づいてビス(ターピリジン)化合物と遷移金属イオンとを交互に連結させて高分子を形成することを特徴とするハイブリッドポリマーの製造方法。 |
本発明は、ビス(ターピリジン)化合物金 集積体およびハイブリッドポリマーとその 造方法ならびに用途に関するものである。
従来より、ビス(ターピリジル)ベンゼン 導体は金属イオンと錯形成してハイブリッ ポリマーとなり(非特許文献1-2参照)、このハ イブリッドポリマーは優れたエレクトロクロ ミック特性を示すことが知られている。そし てこのハイブリッドポリマーは電子ペーパー 等の表示材料としての技術展開が期待されて いる。
一方、従来より各種ポリマーと金属との 体がエレクトロクロミック材料として提案 れているが、実際のデバイスへ応用するた にはエレクトロクロミックのマルチカラー が望まれているものの、これら従来のもの おいては、分子構造の検討と合成の自由度 小さいため、多彩な色の表現が困難であっ 。
そこで、ビス(ターピリジン)化合物と金属
の錯体からなるハイブリッドポリマーにお
て、各種の金属、特に複数種の金属を自在
集積することで、色を自由に表現すること
考えられるが、これまでのところ、このよ
な自在集積とこれによるハイブリッドポリ
ーは実現されていないのが現状である。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みて されたものであり、複数種の金属を精密に 形成によって集積することができ、エレク ロクロミック材料として用いた場合にはマ チカラー化も可能とされるビス(ターピリジ ン)化合物金属集積体およびハイブリッドポ マーとその製造方法ならびに用途を提供す ことを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するものと て、以下のことを特徴としている。
第1:次式(1)
(式中のAは炭化水素基を示し、B 1 およびB 2 は、次式(2)
(式中のR 1 およびR 2 はそれぞれ独立に水素原子または置換基を示 す。)で表される互いに別異のターピリジル である。)で表される非対称型ビス(ターピリ ジン)化合物と、非対称型ビス(ターピリジン) 化合物と錯形成している少なくとも2種の遷 金属イオンとからなり、次式(3-1)および(3-2)
(式中のB 1 およびB 2 は上記と同義であり、M 1 は1種または2種以上の遷移金属イオンを示し M 2 は、M 1 とは別異の1種または2種以上の遷移金属イオ を示す。)で表される錯形成ユニットを有す ることを特徴とするビス(ターピリジン)化合 金属集積体。
第2:上記第1のビス(ターピリジン)化合物 属集積体からなり、非対称型ビス(ターピリ ン)化合物と遷移金属イオンとが交互に連結 して高分子を形成していることを特徴とする ハイブリッドポリマー。
第3:上記第2のハイブリッドポリマーを含 するエレクトロクロミック材料を備えるこ を特徴とするエレクトロクロミック装置。
第4:エレクトロクロミック材料は、エレ トロクロミック層を形成していることを特 とする上記第3のエレクトロクロミック装置
第5:上記第1のビス(ターピリジン)化合物 属集積体の製造方法であって、式(1)の非対 型ビス(ターピリジン)化合物と少なくとも2 の遷移金属化合物とを、溶媒中で加熱しな ら攪拌混合することによって錯形成反応さ ることを特徴とするビス(ターピリジン)化合 物金属集積体の製造方法。
第6:上記第2のハイブリッドポリマーの製 方法であって、式(1)の非対称型ビス(ターピ リジン)化合物と少なくとも2種の遷移金属化 物とを、溶媒中で加熱しながら攪拌混合す ことによって錯形成反応させ、ビス(ターピ リジン)化合物と遷移金属イオンとの配位結 力に基づいてビス(ターピリジン)化合物と遷 移金属イオンとを交互に連結させて高分子を 形成することを特徴とするハイブリッドポリ マーの製造方法。
本発明によれば、ポテンシャル勾配を有 る有機モジュールとして非対称型ビス(ター ピリジン)化合物を用いて、その錯形成能を 御することによって、複数種の金属種を精 に位置選択的に集積することができる。そ て、マルチカラー化が可能とされる新しい レクトロクロミック材料を提供することが きる。
本発明は上記のとおりの特徴をもつもの あるが、以下にその実施の形態について説 する。
本発明のビス(ターピリジン)化合物金属集 体は、上記式(1),(2)で表わされるように、互 に別異のターピリジル基B 1 およびB 2 を有するB 1 -A-B 2 の非対称型ビス(ターピリジン)化合物と、少 くとも2種の遷移金属イオンとの錯形成によ って構成されている。
式(1)における符号Aは、スペーサー分子鎖 としての性格を有しており、適宜な二価の炭 化水素基が選択される。このような二価の炭 化水素基の具体例としては、脂肪族炭化水素 基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、 複素環基などが挙げられる。中でも、フェニ レン基、ビフェニレン基などのアリーレン基 が好ましい。また、これらの炭化水素基は置 換基を有していてもよい。
式(2)における符号R 1 およびR 2 は、水素原子または置換基を示し、この置換 基の具体例としては、ハロゲン原子、炭化水 素基、ヒドロキシル基(OH)、アルコキシ基、 ルボニル基、カルボン酸エステル基、アミ 基、置換アミノ基、アミド基、置換アミド 、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
ただし本発明においては、R 1 およびR 2 の組合せの相違によってB 1 とB 2 とが別異のものとされていることが必須であ る。これにより、ポテンシャル勾配を有する 有機モジュールとしての非対称型ビス(ター リジン)化合物の錯形成能が制御されて、複 種の金属種を精密に位置選択的に集積する とができるようになる。
本発明に適用可能なB 1 とB 2 およびR 1 とR 2 の組合せの具体例を表1に示す。
錯形成能がこのようにして制御されること 、本発明のビス(ターピリジン)化合物金属 積体は、式(3-1)、(3-2)に示されるように、互 に別異の遷移金属イオンM 1 、M 2 の各々に対応した錯形成ユニットが形成され る。
遷移金属イオンM 1 、M 2 は、多価イオンであれば各種のものであって よく、たとえばエレクトロクロミックの色を 調製する観点から選択することができる。中 でも、2価または3価の遷移金属イオンが好ま いものとして例示され、その具体例として 、Fe、Co、Ni、Cu、Cd、Sn、Mn、Ti、Ba、Ge、Ga、 Y、La、Eu、Sc、Pd、Pt、Rh、Ru、Bi、V、Mg、Zn、Sr 、Mo、W、Teなどの2価または3価のイオンが挙 られる。
本発明のビス(ターピリジン)化合物金属集 体においては、隣接する2つのターピリジル B 1 と錯形成する金属種M 1 と、隣接する2つのターピリジル基B 2 と錯形成する金属種M 2 のそれぞれは、1種に限られることはなく、 意の種類であってよい。ターピリジル基B 1 とB 2 との錯形成能の差異によって、本発明のビス (ターピリジン)化合物金属集積体を様々な色 することが可能となる。
本発明に用いられる非対称型ビス(ターピリ ジン)化合物は、たとえば、次式(4),(5)で表さ るターピリジル化合物を、次式(6)で表わさ るホウ素化合物の存在下、好ましくはパラ ウム錯体化合物と塩基(K 2 CO 3 、KHCO 3 、KOAc、KF、Na 2 CO 3 、NaHCO 3 、KOH等)の共存下に、溶媒中において60~120℃ 度の温度範囲に加熱しながら反応させるこ で合成することができる。
(式中のA 1 およびA 2 は、上記のAを形成する基であり、Xはハロゲ 原子を示す。B 1 およびB 2 は上記と同義である。)
(式中のR a
、R b
、R c
、R d
は炭化水素基を示し、R a
とR b
、R c
とR d
は結合して環を形成していてもよい。)
本発明のビス(ターピリジン)化合物金属集
体は、非対称型ビス(ターピリジン)化合物と
、複数種の遷移金属化合物とを用いて合成す
ることができる。好適には、水、メタノール
等のアルコール、酢酸等の有機酸などの溶媒
中にて、所望により加熱しながら、攪拌混合
して錯形成反応させることによって合成する
ことができる。
反応原料として用いる非対称型ビス(ター ピリジン)化合物と遷移金属化合物全体との 用割合は、通常はモル比で1:1である。
2種類の遷移金属化合物を用いる場合は、 たとえば酢酸鉄と酢酸コバルトを用いる場合 を例にすると、非対称型ビス(ターピリジン) 合物:酢酸鉄:酢酸コバルト=1:0.5:0.5(モル比) なる。
3種類の遷移金属化合物A,B,Cを用いる場合 、非対称型ビス(ターピリジン)化合物:A:B:C=1 :0.33:0.33:0.33(モル比)となる。
遷移金属化合物の具体例としては、無機 塩、有機酸塩、錯体等のイオン解離性の化 物などが挙げられる。
反応溶媒は、非対称型ビス(ターピリジン )化合物と遷移金属化合物との両方が溶解し 均一溶液となるものが好ましい。たとえば 非対称型ビス(ターピリジン)化合物として臭 素置換した非対称型ビス(ターピリジン)化合 を用い、遷移金属化合物として酢酸鉄およ 酢酸コバルトを用いる場合、酢酸が最適な 応溶媒となる。
反応温度は、たとえば常温~120℃、好まし くは60~120℃とすることができるが、酢酸鉄と 酢酸コバルトの2種類を遷移金属化合物とし 用いる場合、100℃が最適温度であり、鉄イ ンとコバルトイオンが交互にポリマー主鎖 導入されたハイブリッドポリマーが得られ 。
反応後の溶液から溶媒を除去し、あるい 反応後の溶液をキャスト等の手段として用 ることで、ビス(ターピリジン)化合物金属 積体からなるハイブリッドポリマーを得る とができる。
このハイブリッドポリマーは、非対称型 ス(ターピリジン)化合物と遷移金属イオン が交互に連結して高分子を形成しており、 応原料や反応条件などに応じてその分子量 各種のものとすることができるが、たとえ エレクトロクロミック材料としての用途な を考慮すれば、分子量5000~1000000、ビス(ター リジン)化合物の繰り返し数6~1200個の範囲の ものが例示される。
本発明のエレクトロクロミック装置は、 記のハイブリッドポリマーを含有するエレ トロクロミック材料を備えている。エレク ロクロミック材料は、典型的にはエレクト クロミック層を形成しており、エレクトロ ロミック装置の具体例としては、電子ペー ー、電子ポスター、電子看板等の表示デバ ス;車や住宅等に用いられる調光ガラス;エ クトロクロミック現象を利用した玩具や娯 装置などが挙げられる。
そこで以下に実施例を示し、さらに詳し 説明する。もちろん、以下の例示によって 明が限定されることはない。
<参考例>
非対称型ビス(ターピリジン)化合物を、一
として以下の手順により合成した。
すなわち、次式中の化合物1a、1b、1cのう の異なる2種のものとホウ素化合物2とを用 て反応を行った。
化合物1a(100mg,0.258mmol)の8mL DMSO溶液に、ホウ 素化合物2(72mg,0.283mmol)、KOAc(76mg,0.773mmol)、お びPdCl 2 (PPh 3 ) 2 (9.0mg,0.013mmol)を加え、10分間脱気した後、80℃ で7時間攪拌した。次いで、化合物1b(115mg,0.258 mmol)、K 2 CO 3 (107mg,0.773mmol)、およびPdCl 2 (PPh 3 ) 2 (5% mol)を加え、8mL DMSOの添加により希釈した 。
この混合物を120℃で16時間攪拌した。その 、室温まで冷却し、CHCl 3 で希釈した後、ろ過した。脱イオン水(30mL)で 5回洗浄し、有機相をMgSO 4 で乾燥した後、ろ過、濃縮した。カラムクロ マトグラフィー(Al 2 O 3 ,basic)で、次式においてR=OMeの生成物である非 対称型のビス-ターピリジン化合物88mg(51%),(whi te solid)を単離した。
同様にして、化合物1aと化合物1cとを組合 せた原料を用いて、上記式においてR=CNの生 物である非対称型ビス(ターピリジン)化合物 を得た。
さらにまた、化合物1aに代えて、次式の ーピリジン化合物
を用い、次式で表わされる2種の非対称型 ス(ターピリジン)化合物を得た。
<実施例1>
次式
で表わされ、ブロモ(臭素)基を一つ導入した ーピリジル基(B 1 )と置換基を持たないターピリジル基(B 2 )を有し、スペーサー分子鎖(A)がフェニレン である、B 1 -A-B 2 非対称型のビス(ターピリジル)ベンゼン2当量 と、酢酸コバルト1当量と、酢酸鉄1当量とを 酸溶液中に加え、温度100℃にて24時間攪拌 合した。得られた赤色溶液を濃縮乾固し、 イブリッドポリマーを定量的に得た。
得られたハイブリッドポリマーをLC-TOF-MSに
り分析したところ、図1に示したように、493
.5にピークを有するフラグメントの同位体ピ
クパターンが確認された。同位体ピークパ
ーンの計算値の結果と比較することで、こ
ピークパターンがブロモ基を1つ導入したビ
ス(ターピリジル)ベンゼン3つと、コバルトイ
オン1つと、鉄イオン1つとからなる、B 1
-A-B 2
(Fe(II))B 2
-A-B 1
(Co(II))B 1
-A-B 2
として表わされるフラグメントであることを
同定した。この結果、得られたハイブリッド
ポリマー内で、コバルトイオンと鉄イオンが
交互に配列していることが示された。
<実施例2>
実施例1により合成したハイブリッドポリマ
ーをメタノールに溶かした溶液の紫外可視吸
収スペクトルを測定した。図2はその結果を
している。
この紫外可視吸収スペクトル測定の結果か
、ハイブリッドポリマーが570nm付近に最大
長を有する吸収を有していることが示され
。この吸収は鉄イオンからターピリジル基
の電荷移動吸収であり、ターピリジル基が
イオンと結合し、ブロモが導入されたター
リジル基がコバルトイオンと結合している
とが示された。
<実施例3>
実施例1で得られたハイブリッドポリマーを
グラファイト基板上にキャストした。図3は
ャスト後のグラファイト基板上の原子間力
微鏡による観察結果を示したものである。
原子間力顕微鏡像より、高さ1.5nm、長さ30 0-400nmの紐状物質の存在を確認することがで た。ハイブリッドポリマーの分子シミュレ ションの結果と良く一致することから、こ 紐状物質がハイブリッドポリマーであると 定した。
また、超遠心分析法を用いた溶液状態で 分子量測定から、このハイブリッドポリマ は分子量約18000のポリマーであることを確 した。