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Title:
BORON NITRIDE AGGREGATE POWDER, HEAT DISSIPATION SHEET AND SEMICONDUCTOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175377
Kind Code:
A1
Abstract:
A boron nitride aggregate powder which has a tap density of 0.6 g/ml or more but less than 0.8 g/ml and an interparticle volume of 0.5 ml/g or more. A heat dissipation sheet which contains this boron nitride aggregate powder. The present invention provides: a boron nitride aggregate powder which enables a heat dissipation sheet to have improved thermal conductivity and good withstand voltage characteristics at the same time; a heat dissipation sheet which contains this boron nitride aggregate powder; and a semiconductor device which uses this heat dissipation sheet.

Inventors:
YAMAZAKI MASANORI (JP)
SUGIYAMA MASAYA (JP)
KOMURO NAOYUKI (JP)
WATANABE HIROMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007124
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 21, 2020
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
International Classes:
C01B21/064; C08J5/18; C08K3/38; C08L101/00; H01L23/36; H01L23/373
Domestic Patent References:
WO2014136959A12014-09-12
WO2016092952A12016-06-16
WO2018123571A12018-07-05
WO2012070289A12012-05-31
Foreign References:
JP2018020932A2018-02-08
JP2017036190A2017-02-16
JP2006176658A2006-07-06
JP2019034518A2019-03-07
Other References:
BUSSEI KENKYUYOSHIMI TANAKA, RESEARCH ON PHYSICAL PROPERTIES, vol. 85, no. 4, 2006, pages 499 - 518
TSUYOSHI, JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE LETTERS, vol. 16, 1997, pages 795 - 798
Attorney, Agent or Firm:
SHIGENO, Tsuyoshi et al. (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175377 50 卩(:17 2020 /007124

請求の範囲

[請求項 1 ] タップ密度が〇. 6 9 / 丨以上〇. 8 9 / I未満であり、 粒子 間隙容積が〇. 5 丨 以上である窒化ホウ素凝集粉末。

[請求項 2] 前記粒子間隙容積が〇. 9 I以下である、 請求項 1 に記載の 窒化ホウ凝集粉末。

[請求項 3] 前記窒化ホウ凝集粉末の平均粒子径が、 2 0 以上 2 0 0 以 下である、 請求項 1又は 2に記載の窒化ホウ凝集粉末。

[請求項 4] 前記窒化ホウ凝集粉末に含まれる巳 1\!凝集粒子の粒子内空隙率が 4

0 %以上 6 0 %以下である、 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の窒 化ホウ凝集粉末。

[請求項 5] 前記窒化ホウ凝集粉末が力ードハウス構造である、 請求項 1〜 4の いずれか 1項に記載の窒化ホウ凝集粉末。

[請求項 6] 請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の窒化ホウ素凝集粉末を含む放 熱シート。

[請求項 7] 請求項 6に記載の放熱シートを用いた半導体デバイス。

Description:
\¥0 2020/175377 1 ?<:17 2020 /007124 明 細 書

発明の名称 :

窒化ホウ素凝集粉末、 放熱シート及び半導体デバイス

技術分野

[0001 ] 本発明は、 半導体デバイス用の放熱シートに好適に用い られる窒化ホウ素 凝集粉末と、 該窒化ホウ素凝集粉末を含む放熱シートと、 この放熱シートを 用いた半導体デバイスに関する。

背景技術

[0002] 窒化ホウ素 (巳1\1) は、 絶縁性のセラミックであり、 ダイヤモンド構造を 持つ〇_巳!\1、 黒鉛構造をもつ _巳!\1、 乱層構造を持つ《_巳!\1、 13 - 3 1\1など様々な結晶型が知られている。

これらの中で、 _巳1\1は、 黒鉛と同じ層状構造を有し、 合成が比較的容 易でかつ熱伝導性、 固体潤滑性、 化学的安定性、 耐熱性に優れるという特徴 を備えていることから、 電気 ·電子材料分野で多く利用されている。

[0003] 近年、 特に電気 ·電子分野では集積回路の高密度化に伴う発 が大きな問 題となっており、 いかに熱を放熱するかが緊急の課題となって いる。 II 1\1は、 絶縁性であるにもかかわらず、 高い熱伝導性を有するという特徴を活 かして、 このような放熱部材用熱伝導性フイラーとし て注目を集めている。

[0004] しかしながら、 II _巳 は板状の粒子形状であり、 その板面方向 ( 3匕面 内あるいは (0 0 2) 面内) には高い熱伝導性 (通常、 熱伝導率として 4 0 〇 /〇! 程度) を示すものの、 板厚方向 (<3軸方向) には低い熱伝導性 (通常、 熱伝導率として 2〜 3 \^// 程度) しか示さない。 このため、

II -巳 1\1を樹脂に配合して巳 1\1粒子含有樹脂組成物とし、 例えば、 板状のシ -卜状成形体を成形した場合、 板状の II _巳 が成形時の巳 1\1粒子含有樹脂 組成物の流動方向であるシート状成形体の板 面方向に配向することとなり、 得られるシート状成形体は、 板面方向には熱伝導率に優れるものの、 厚み方 向には低熱伝導率しか示さない。 〇 2020/175377 2 卩(:170? 2020 /007124

[0005] II _巳1\1粒子の熱伝導性の異方性を改良するた に、 樹脂に充填しても上 記のような配向が少ない、 鱗片板状以外の形状を有する、 11 _巳1\1を凝集さ せた凝集粒子が検討されてきた。

[0006] 特許文献 1 には、 純度 9 3 %で、 空孔率 (空隙率) が 5 0体積%以下であ る巳 1\1凝集粒子が記載されている。 特許文献 1 には、 タップ密度の記載はな く、 半導体デバイスの放熱シートに用いた場合の 熱伝導性も耐電圧も未だ不 十分であった。

[0007] 特許文献 2には、 空隙率が 5 0〜 7 0体積%で、 圧壊強度が 1 . 〇〜 4 .

0 1\/1 3 の巳1\1凝集粒子が記載されている。 特許文献 2には、 タップ密度の 記載はなく、 熱伝導性も、 半導体デバイスの放熱シートに用いた場合の 耐電 圧も未だ不十分であった。

[0008] 特許文献 3には、 凝集粒子径 (0 5 〇) が 2〜 2 0 0 、 タップ密度が 0 . 5〜 1 . 丨の巳 1\1凝集粒子が記載されている。 特許文献 3には、 凝集粒子を構成する一次粒子の配向や凝集粒 子の形状が影響する粒子間隙容 積の記載はなく、 熱伝導性も、 半導体デバイスの放熱シートに用いた場合の 相対評価による耐電圧も不十分であった。

[0009] 特許文献 1 :国際公開第 2 0 1 2 / 0 7 0 2 8 9号

特許文献 2 :特開 2 0 1 7 - 8 2 0 9 1号公報

特許文献 3 :特開 2 0 1 1 - 9 8 8 8 2号公報 発明の概要

[0010] 本発明は、 放熱シートの熱伝導性を向上させると同時に 耐電圧特性も良好 なものとすることができる窒化ホウ素凝集粉 末と、 この窒化ホウ素凝集粉末 を含む放熱シート、 及びこの放熱シートを用いた半導体デバイス を提供する ことを課題とする。

課題を解決するための手段

[001 1 ] 本発明者は、 タップ密度と粒子間隙容積が特定の範囲内に ある窒化ホウ素 凝集粉末であれば、 放熱シートに用いた場合に高い熱伝導性と耐 電圧特性を 実現し得ることを見出した。 〇 2020/175377 3 卩(:170? 2020 /007124

[0012] 即ち、 本発明は以下を要旨とする。

[0013] [1 ] タップ密度が〇. 6 9 / 丨以上〇. 8 9 / I未満であり、 粒子 間隙容積が〇. である窒化ホウ素凝集粉末。

[0014] [2] 前記粒子間隙容積が〇. 9 9 /〇1 丨以下である、 [1 ] に記載の窒 化ホウ凝集粉末。

[0015] [3] 前記窒化ホウ凝集粉末の平均粒子径が、 20 以上 200 以 下である [1 ] 又は [2] に記載の窒化ホウ凝集粉末。

[0016] [4] 前記窒化ホウ凝集粉末に含まれる巳 1\1凝集粒子の粒子内空隙率が 4

0%以上 60%以下である、 [1 ] 〜 [3] のいずれかに記載の窒化ホウ凝 集粉末。

[0017] [5] 前記窒化ホウ凝集粉末が力ードハウス構造で ある、 [1 ] 〜 [4] のいずれかにに記載の窒化ホウ凝集粉末。

[0018] [6] [ 1 ] 〜 [5] のいずれかにに記載の窒化ホウ素凝集粉末を 含む放 熱シート。

[0019] [7] [6] に記載の放熱シートを用いた半導体デバイス 。

発明の効果

[0020] 本発明の窒化ホウ素凝集粉末によれば、 熱伝導性に優れると共に耐電圧特 性にも優れた放熱シートを提供することがで きる。 本発明の窒化ホウ素凝集 粉末を含む放熱シートを用いて良好な放熱性 能を有し、 高品質で熱伝導性に 優れた、 信頼性の高いパワー半導体モジュールを実現 することができる。 発明を実施するための形態

[0021] 以下に、 本発明の実施の形態を詳細に説明するが、 本発明は以下の実施の 形態に限定されるものではなく、 その要旨の範囲内で種々に変形して実施す ることができる。

[0022] 〔窒化ホウ素凝集粉末〕

本発明の窒化ホウ素凝集粉末 (以下、 単に 「本発明の巳 !\1凝集粉末」 と称 す場合がある。 ) は、 タップ密度が〇. 69/111 丨以上〇. 89/111 丨未満 であり、 粒子間隙容積が〇. 5 I 以上であることを特徴とする。 〇 2020/175377 4 卩(:170? 2020 /007124

本発明において窒化ホウ素凝集粉末とは、 窒化ホウ素凝集粒子 (以下、 単 に 「巳1\1凝集粒子」 と称す場合がある。 ) の集合である粉末を表す。

[0023] [メカニズム]

本発明の巳 1\1凝集粉末により熱伝導性及び耐電圧特性に 優れた放熱シート を得ることができるメカニズムの詳細は明ら かではないが、 以下のように推 定される。

[0024] タップ密度が〇. 6 9 / 丨 より小さい場合、 巳 1\1凝集粉末中の粒子間の 空隙率 (粒子間隙容積) が大きくなる傾向にある。 粒子間の空隙率が大きく なりすぎると樹脂が充填されない領域が発生 する確率も高くなる。 巳 1\1凝集 粉末を含む樹脂シートを作製し、 電圧をかけると、 この樹脂未充填領域で電 流がリークし、 耐電圧性が悪化する。

タップ密度が〇. 8 9 / 1以上の場合、 巳 1\1凝集粉末中の粒子間の空隙 率は小さくなるが、 粒子間の空隙率が小さくなりすぎると樹脂が 充填されに くくなる。 このため巳 1\1凝集粉末内に微細な空隙が残りやすくなり 、 巳1\1凝 集粉末を含む樹脂シートを作製し電圧をかけ ると、 この樹脂未充填領域で電 流がリークし、 耐電圧性が悪化する。

本発明において、 タップ密度は、 巳1\1凝集粒子を構成する巳1\1 _次粒子の 成長や成長様式とも関連し、 気孔率では表現できない巳 1\1凝集粒子内の閉気 孔の量をも含む概念である。

[0025] 粒子間隙容積が 0 .

粉末を含有する樹脂シートを作製する場合、 粒子間隙容積に対して樹脂成分 が多くなり、 樹脂中に残存するボイ ドの除去が難しくなる。 このため、 得ら れた樹脂シートに電圧をかけるとボイ ド部分で電流がリークし、 耐電圧性が 悪化する。

[0026] 本発明は、 巳 1\1凝集粒子の空隙率、 粒径分布、 粒子の形状、 粒子の強度、 —次粒子の大きさ、 閉気孔の量などの物性の総合的な指標として タップ密度 をとらえ、 巳 1\1凝集粉末のタップ密度が〇. 6 9 / 丨以上〇. 未満という非常に狭い範囲にあり、 さらに、 粒子間隙容積が〇. 5〇! I / 9 〇 2020/175377 5 卩(:170? 2020 /007124

以上であるものが、 放熱シートとしたときの熱伝導性及び耐電圧 特性に優れ ることを見出すことにより達成された。

[0027] 本発明におけるタップ密度は、 後掲の実施例の項に示される方法で測定さ れる、 測定容器にタップして充填した紛体の密度で ある。 このタップ密度は 、 特許文献 1 , 2に記載される凝集粒子の空隙率と一見関係 るように考え られるが、 凝集粒子の空隙率だけではなく、 粒径分布、 粒子の形状、 粒子の 強度、 一次粒子の大きさ、 閉気孔の量などによってもタップ密度は変わ るも のである。

[0028] 本発明における粒子間隙容積は、 水銀圧入測定において、 粒子細孔径 2 01以上の分割径での積算容積、 すなわち粒子を充填した際の粒子間にできる 隙間の量を表す。 粒子間隙容積は、 後掲の実施例の項に示される方法で測定 される。

[0029] 巳 1\1凝集粉末のなかから測定粉末を採取する方 法は特に限定されないが、 粉末を均一に混合した後採取することが好ま しい。

[0030] [ 8 1\1凝集粉末]

本発明の巳 凝集粉末は、 巳 一次粒子、 好ましくは _巳 一次粒子が 凝集して形成された巳 1\1凝集粒子の集合であり、 本発明の効果を損なわない 範囲で、 巳 1\1凝集粒子は巳 1\1 _次粒子以外の成分を含有してもよい。 1\1 _次粒子以外の成分としては、 後記の [巳 1\1凝集粉末の製造方法] で述べ る、 スラリーに添加してもよいバインダー、 界面活性剤、 溶媒に由来する成 分が挙げられる。

[0031 ] <巳1\1凝集粉末中の巳1\1凝集粒子の形状>

本発明の巳 1\1凝集粉末中の巳 1\1凝集粒子の形状は特に限定されない。 例え ば、 球状、 楕円体状、 円柱状、 六角柱状など巳 1\1 _次粒子を凝集させて作製 できるいかなる形状の凝集粒子であって良い 。

[0032] 特に、 高い熱伝導性を得るために力ードハウス構造 を有する力ードハウス 型巳 1\1凝集粒子であることが好ましい。 力ードハウス構造とは、 例えばセラ ミックス 4 3 N 0 . 2 (2 0 0 8年 日本セラミックス協会発行) に記 〇 2020/175377 6 卩(:170? 2020 /007124

載されており、 板状粒子が配向せずに複雑に積層したような 構造である。 よ り具体的には、 力ードハウス構造を有する巳 1\1凝集粒子とは、 巳1\1_次粒子 の集合体であって、 巳 1\1_次粒子の平面部と端面部が接触している 造を有 する巳 1\1凝集粒子であり、 好ましくは球状である。 また、 力ードハウス構造 は粒子の内部においても同様の構造であるこ とが好ましい。 これらの巳 1\1凝 集粒子の凝集形態及び内部構造は走査型電子 顕微鏡 (3日 IV!) により確認す ることができる。

[0033] <巳1\1凝集粉末の物性>

(タップ密度)

本発明の巳 凝集粉末はタップ密度が〇. 6 9 /〇1 丨以上〇. \ 未満であることを特徴とする。

タップ密度が〇. 69/111 丨以上〇. 89 丨未満の範囲外であると熱 伝導性及び耐電圧特性の向上という本発明の 課題を解決し得ない。

[0034] 本発明の巳 1\1凝集粉末のタップ密度は、 〇. 丨以上であり、 好ま しくは〇. 6 1 丨以上であり、 より好ましくは〇. 63 9 /〇1 丨以上 であり、 さらに好ましくは〇. 65 9 /〇1 丨以上である。 また、 〇. 89 / ^ I未満であり、 好ましくは〇. 799/^ \以下であり、 より好ましくは 0. 789 / 丨である。 さらに、 0. 丨以上 0. 89 / 丨未満 であり、 好ましくは〇. 6 1 9 /〇1 丨〜〇. 79 丨であり、 より好ま しくは〇. 63〜〇. 78 丨である。 タップ密度が上記範囲であるこ とで、 熱伝導性及び耐電圧特性がより向上する傾向 にある。

[0035] (粒子間隙容積)

本発明の巳 凝集粉末は粒子間隙容積が〇. 5 ^ \ /9以上であることを 特徴とする。 粒子間隙容積が上記下限以上であることで、 熱伝導性及び耐電 圧特性の向上が得られる。

[0036] 本発明の巳 凝集粉末の粒子間隙容積は、 〇. 5〇! I / 9 以上であり、 好 ましくは〇. 55〇1 丨 / 9 以上であり、 より好ましくは〇. 58〇1 丨 / 9 以 上であり、 さらに好ましくは〇. 6〇1 丨 / 9 以上である。 また、 好ましくは 〇 2020/175377 7 卩(:170? 2020 /007124

〇. 9〇1 丨 / 9以下であり、 より好ましくは〇. 8〇1 丨 / 9 以下である。 粒 子間隙容積が上記範囲であることで、 シート化した際の巳 凝集粒子間の樹 脂量が適切となり、 シート内の空隙 (ボイ ド) が抑制され、 熱伝導性及び耐 電圧特性がより向上する傾向にある。

[0037] (体積平均粒子径 (〇 5 0 ) )

本発明の巳 1\1凝集粉末の体積平均粒子径 (0 5 0 ) は、 特に限定されないが 、 2〇 以上であることが好ましく、 より好ましくは 2 5 以上、 更に 好ましくは 2 6 以上であり、 特に好ましくは 3〇 以上、 最も好まし くは 4 0 以上である。 一方、 巳1\1凝集粉末の 0 5 0 は好ましくは 2 0 0 以下、 より好ましくは 1 5 0 以下、 更に好ましくは 1 〇〇 以下、 特に好ましくは 8 0 以下である。 巳 1\!凝集粉末の 0 5 〇が上記下限以上で あることで、 放熱シートとした際に巳 !\1凝集粒子間の接触抵抗が抑制され、 巳 凝集粉末自体の熱伝導性が高くなる等の傾向 がある。 また、 〇 5 0 が上記 上限以下であることで、 放熱シートとした際に表面の平滑性が向上し 、 巳 凝集粒子間の間隙が適切となる等により、 熱伝導性が向上する傾向がある。

[0038] ここで、 巳 1\1凝集粉末の体積平均粒子径 (0 5 0 ) とは、 測定に供した粉末 の体積を 1 0 0 %として累積曲線を描かせた際に丁度累積体 が 5 0 %とな る時の粒子径を意味する。 口 5 0 の測定方法は、 湿式測定法としては、 分散安 定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含 有する純水媒体中に巳 1\1凝集粉 末を分散させた試料に対して、 レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などを 用いて測定する方法が挙げられる。 乾式測定法としては、 社 製 「1\/1〇 「 11〇 丨 〇 9 丨」 を用いて測定する方法が挙げられる。

[0039] (粒子内空隙率)

本発明の巳 1\1凝集粉末に含まれる巳 1\1凝集粒子の粒子内空隙率は特に限定 されないが、 好ましくは 4 0 %以上であり、 より好ましくは 4 5 %以上であ る。 また、 好ましくは 6 0 %以下であり、 より好ましくは 5 5 %以下である 。 粒子内空隙率が上記範囲であることで、 耐電圧性に優れた放熱シートを安 定して製造できる傾向にある。 〇 2020/175377 8 卩(:170? 2020 /007124

[0040] 巳 1\1凝集粒子の粒子内空隙率は、 水銀ポロシメーターで粉密度、 全細孔容 積、 粒子間隙容積を測定し、 全細孔容積から粒子間隙容積を差し引いて粒 子 内細孔容積を求め、 粉の体積 (1 /粉密度) に対する粒子内細孔容積の割合 を粒子内空隙率とする。

[0041 ] (平均円形度)

本発明の巳 1\1凝集粉末の平均円形度は特に限定されない が、 好ましくは 0 . 8以上であり、 より好ましくは〇. 8 5以上である。 平均円形度の上限は 特に限定されず 1でもよい。 平均円形度が上記範囲であることで、 粒子間隙 容積が適切な範囲となり、 本発明の効果を奏しやすい傾向にある。

[0042] 巳 1\1凝集粉末の平均円形度は、 n社製モホロギ◦ 3 3を用い 、 巳 !\1凝集粉末を加圧パルス試料分散ユニッ トを用いて分散させ、 画像解析 から求められる。

[0043] (圧縮破壊強度)

本発明の巳 1\!凝集粉末の圧縮破壊強度は特に限定されな いが、 好ましくは 2 0 ^\ 9 a以下であり、 より好ましくは 1 5 IV! 3以下、 さらに好ましくは 以下であり、 特に好ましくは 9 IV! 3以下である。 また、 圧縮破 壊強度は、 好ましくは 1 IV! 3以上であり、 より好ましくは 2 IV! 3以上で あり、 さらに好ましくは 3 IV! 3 以上である。 圧縮破壊強度が上記範囲であ ることで、 巳 1\1凝集粉末は適度な変形が可能で、 放熱シートを作製した場合 、 放熱シートの熱伝導率が向上する傾向にある 。

[0044] 巳 !\1凝集粉末の圧縮破壊強度は、 株式会社島津社製 島津微小圧縮試験機 1\/1〇丁- 5 1 0を使用し、 試験力 9 8〇1 1\1、 負荷速度 4 . 8 4〇1 1\1 / 3 6〇、 上部加圧圧子に平面 ø 1 0 0 を使用し、 室温 (2 0〜 3 0 ° 〇) にて測定 される。 測定には粒子径 5〇 前後の巳 1\1凝集粒子 1粒を選別して試験を 行い、 これを 5回実施し、 5回の平均値で圧縮破壊強度を求める。 圧縮破壊 強度は下記の式を用いて算出される。

0 3 = 2 . 4 8 / % 6 2

〇 3 :圧縮破壊強度〇\/1 3) 〇 2020/175377 9 卩(:170? 2020 /007124

:破壊試験力(1\1)

:粒子径(〇1〇〇

[0045] (弾性率)

本発明の巳 1\1凝集粉末の弾性率は特に限定されないが、 好ましくは 4 0 IV! 3以上であり、 より好ましくは 4 5 1\/1 3以上であり、 さらに好ましくは 5 0 IV! 3以上である。 また、 弾性率は、 好ましくは 1 0 0 IV! 3以下であ り、 より好ましくは 9 0 IV! 3以上である。 弾性率が上記範囲であることで 、 巳 1\1凝集粒子は適度な変形が可能で、 放熱シートを作製した場合、 放熱シ -卜の熱伝導率が向上する傾向にある。

[0046] 巳 1\1凝集粉末の弾性率は、 物性研究, 田中良巳, 85(4), 499-518, 2006を 参考に、 巳 !\1凝集粒子の圧縮試験 (島津微小圧縮試験機による圧縮試験、 室 温 (2 0〜 3 0 °〇) において測定) から得られた試験力 (1\1) 、 圧縮変位( )、 粒子径 (01 01) を用いて下記の式から算出される。

£ = 3 X ( 1 - V 2 ) X 9 / 4 X (6 / 2) 1 / 2 3 / 2

V :ポアソン比 (ポアソン比は〇. 1 3とした)

:試験力 (1\〇

:粒子径 (01 01)

丫 :圧縮変位 (〇! 01)

[0047] [巳 凝集粉末の製造方法]

本発明の巳 1\1凝集粉末を製造する方法には制限はないが 、 特に、 原料とな る窒化ホウ素 (以下、 これを粉砕したものとともに 「原料巳1\1粉末」 と記す ることがある。 ) を粉砕工程で粉砕した後、 造粒工程で凝集させることによ り造粒し、 更に加熱処理する加熱工程を経ることが好ま しい。 より具体的に は、 原料巳 1\1粉末を一旦媒体中に分散させて原料巳 1\1粉末のスラリー (以下 、 「巳1\1スラリー」 と記することがある。 ) とした後、 粉砕処理を施し、 そ の後得られたスラリーを用いて球形の粒子に 造粒し、 造粒した巳 1\1造粒粉末 の結晶化を行うために加熱処理を施すことが 好ましい。

[0048] <原料巳1\1粉末> 原料 BN粉末としては、 市販の h— BN、 市販の aおよび/ S— B N、 ホウ 素化合物とアンモニアの還元窒化法により作 製された B N、 ホウ素化合物と メラミンなどの含窒素化合物から合成された B Nなど何れも制限なく使用で きる。 原料 BN粉末としては、 特に h _BNが本発明の効果をより有効に発 揮する点で好ましく用いられる。

[0049] 原料 B N粉末の形態としては、 粉末 X線回折測定により得られるピークの 半値幅が広く、 結晶性が低い粉末状の B N粒子が好適である。 即ち、 板状の h _B Nを原料として使用することも可能であるが 板状でないナノ粒子も 好適に用いられる。 結晶性の目安として、 粉末 X線回折測定から得られる ( 002) 面のピーク半値幅が、 20の角度で、 通常 0. 4° 以上、 好ましく は 0. 45° 以上、 より好ましくは 0. 5° 以上である。 また、 この (00 2) 面のピーク半値幅は、 通常 2. 0° 以下、 好ましくは 1. 5° 以下、 更 に好ましくは 1 ° 以下である。 (002) 面のピーク半値幅が上記上限以下 であることで、 結晶子の成長が容易となり生産性が十分に向 上する傾向があ る。 (002) 面のピーク半値幅が上記下限以上であること で、 結晶性が適 当な範囲となり、 結晶成長が容易となると共に、 スラリー作製時の分散安定 性が向上する傾向がある。

[0050] 原料 B N粉末の製造方法は特に限定されないが、 例えば、 Microstructural development with crystallization of hexagonal boron nitride ( TSUYOSHI etc. JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE LETTERS 16 (1997) 7 95-798) 等に記載の方法が挙げられる。

[0051] BN結晶成長の観点からは、 原料 BN粉末中に酸素原子がある程度存在す ることが好ましい。 本発明では、 原料 B N粉末中の全酸素濃度は、 好ましく は 1重量%以上、 より好ましくは 2重量%以上、 さらに好ましくは 3重量% 以上、 特に好ましくは 4重量%以上であり、 好ましくは 1 0重量%以下、 よ り好ましくは 9重量%以下である。 全酸素濃度が上記上限以下であることで 、 熱処理後の酸素の残存が抑制され、 熱伝導性の改善効果が高くなる傾向が ある。 全酸素濃度が上記下限以上であることで、 結晶性が過剰になり過ぎず 〇 2020/175377 11 卩(:170? 2020 /007124

、 結晶成長が得られる傾向にある。

[0052] 原料巳 1\1粉末の全酸素濃度を上記範囲に調整する方 法としては、 例えば巳

!\!合成時の合成温度を 1 500°◦以下の低温で行う方法、 500〜 90〇〇 の低温の酸化雰囲気中で原料巳 1\1粉末を熱処理する方法などが挙げられる。

[0053] 原料巳 !\1粉末の全酸素濃度は、 不活性ガス融解一赤外線吸収法により、 株 式会社堀場製作所製の酸素 ·窒素分析計を用いて測定することができる

[0054] 原料巳 1\1粉末の全細孔容積は好ましくは 1. 以下である。 全細 孔容積が 1. 5〇 3 / 9以下であることにより、 原料巳 1\1粉末が密になって いるために、 球形度の高い造粒が可能となる。 全細孔容積の下限は特に限定 されないが、 好ましくは〇. 以上、 より好ましくは〇. 5〇

/ 9以上である。

[0055] 以上、 より好ましくは 6

0 2/ 9以上、 さらに好ましくは 70 012 /9以上で、 好ましくは 1 000 2/ 9以下、 より好ましくは 50001 2 /9以下、 さらに好ましくは 300 2/ 9 以下である。 原料巳 以上であること により、 造粒による球形化の際に用いる巳1\1スラリー 中の分散粒子径を小さ くすることができるため好ましい。 原料巳 1\1粉末の比表面積が 1 〇〇〇 2 / 9以下であることにより、 スラリー粘度の増加を抑制することができる ため 好ましい。

[0056] 原料巳 1\1粉末の全細孔容積は、 窒素吸着法および水銀圧入法で測定するこ とができる。

原料巳 1\1粉末の比表面積は、 巳巳丁 1点法 (吸着ガス:窒素) で測定する ことができる。 なお、 窒素吸着法は」 丨 3 8830に準拠した方法で実 施し、 測定温度は一 1 96 ° 〇 (液体窒素温度) とする。 また、 水銀圧入法は 」 1 3 に準拠した方法で実施し、 巳 1\1の表面張力 485 ソ n

/〇 2 、 接触角 1 40° 、 測定温度は 23〜 26°〇とする。

[0057] <媒体>

巳 !\1スラリーの調製に用いる媒体としては特に 制限はなく、 水及び/又は 〇 2020/175377 12 卩(:170? 2020 /007124

各種の有機溶媒を用いることができる。 噴霧乾燥の容易さ、 装置の簡素化な どの観点から、 媒体としては水を用いることが好ましく、 純水がより好まし い。

[0058] 巳 1\1スラリーの調製に用いる媒体は、 巳 1\1スラリーの粘度が 2 0 0〜 5 0 3となる量を加えることが好ましい。 巳1\1スラリーの粘度は、 スラリー温度が 1 〇 ° 〇以上 6 0 ° 〇以下の場合の粘度を表し、 好ましくは 1 5 °〇以上 5 0 °〇以下、 より好ましくは 1 5 °〇以上 4 0 °〇以下、 更に好ましくは 1 5 °〇以上 3 5 °〇以下で上記の粘度であることが好ましい

具体的には巳 1\1スラリーの調製に用いる媒体の使用量は、 巳 1\1スラリーに 対して好ましくは 1 0重量%以上、 より好ましくは 2 0重量%以上、 さらに 好ましくは 3 0重量%以上であり、 好ましくは 7 0重量%以下、 より好まし くは 6 5重量%以下、 さらに好ましくは 6 0重量%以下である。 媒体の使用 量が上記上限以下であると、 スラリー粘度が低くなりすぎないため、 沈降な どが抑制され、 巳 1\1スラリーの均一性が得られる傾向にある。 そのため、 得 られる巳 1\!凝集粒子のタツプ密度が所望の範囲となる 傾向がある。 媒体の使 用量が上記下限以上であることで、 スラリー粘度が過度に高くならず、 造粒 が容易になる傾向がある。

[0059] <界面活性剤>

巳1\1スラリーには、 スラリーの粘度を調節すると共に、 スラリー中の原料 巳 !\1粉末の分散安定性 (凝集抑制) の観点から、 種々の界面活性剤を添加し てもよい。

[0060] 界面活性剤としては、 アニオン系界面活性剤、 カチオン系界面活性剤、 非 イオン性界面活性剤等を用いることができる 。 これらは 1種を単独で用いて もよく、 2種以上を混合して用いてもよい。

[0061 ] 一般に、 界面活性剤はスラリーの粘度を変化させるこ とが可能である。 従 つて、 巳 1\1スラリーに界面活性剤を添加する場合、 その量は、 巳1\1スラリー の粘度が 2 0 0〜 5 0 0 0 3 3となるような量に調整する。 なお、 該 巳 1\1スラリーの粘度は、 上述の巳 1\1スラリーの調製に用いる媒体にて述べた 〇 2020/175377 13 卩(:170? 2020 /007124

温度範囲の粘度を表す。

例えば、 原料巳1\1として、 粉末乂線回折測定により得られる (0 0 2) 面 ピークの半値幅 2 0が〇. 6 7 ° 、 全酸素濃度が 7 . 5重量%である巳1\1を 用いて固形分 5 0重量%のスラリーを調製する場合、 通常、 陰イオン性界面 活性剤を有効成分として、 スラリー全量に対し、 好ましくは〇. 0 1重量% 以上、 より好ましくは〇. 0 5重量%以上、 さらに好ましくは〇. 1重量% 以上で、 好ましくは 1 0重量%以下、 より好ましくは 7重量%以下、 さらに 好ましくは 5重量%以下、 特に好ましくは 3重量%以下添加する。 この添加 量が上記上限以下であることで、 スラリー粘度の低下が抑制されるとともに 、 生成した巳 1\1凝集粒子中に界面活性剤由来の炭素成分が 残存しにくくなる 傾向がある。 添加量が上記下限以上であることで、 スラリー粘度が過度に高 くなることが抑制され、 造粒が容易になる傾向がある。

[0062] <バインダ _>

巳1\1スラリーは、 原料巳 1\1粉末を効果的に粒子状に造粒するために、 バイ ンダーを含んでもよい。 バインダーは、 巳 1\1 _次粒子を強固に結びつけ、 造 粒粒子を安定化するために作用する。

[0063] 巳 1\1スラリーに用いるバインダーとしては、 巳 1\1粒子同士の接着性を高め ることができるものであればよい。 本発明においては、 造粒粒子は粒子化後 に加熱処理されるため、 この加熱処理工程における高温条件に対する 耐熱性 を有するバインダーが好ましい。

[0064] このようなバインダーとしては、 酸化アルミニウム、 酸化マグネシウム、 酸化イッ トリウム、 酸化カルシウム、 酸化珪素、 酸化ホウ素、 酸化セリウム 、 酸化ジルコニウム、 酸化チタンなどの金属の酸化物などが好まし く用いら れる。 これらの中でも、 酸化物としての熱伝導性と耐熱性、 巳1\1粒子同士を 結合する結合力などの観点から、 酸化アルミニウム、 酸化イッ トリウムが好 適である。

バインダーはアルミナゾルのような液状バイ ンダーを用いてもよく、 加熱 処理中に反応して、 他の無機成分に変換されるものであってもよ い。 〇 2020/175377 14 卩(:170? 2020 /007124

これらのバインダーは、 1種を単独で用いてもよく、 2種以上を混合して 用いてもよい。

[0065] バインダーは含んでもいても含んでいなくて もよく、 巳1\1スラリー中の原 料巳1\1粉末に対して 0重量%であってもよい。 また、 バインダーを含む場合 の使用量 (液状バインダーの場合は、 固形分としての使用量) は、 巳1\1スラ リー中の原料巳 1\1粉末に対して、 好ましくは〇. 1重量%以上、 より好まし くは 0 . 5重量%以上、 さらに好ましくは 1 . 0重量%以上で、 好ましくは 3 0重量%以下、 より好ましくは 2 0重量%以下、 さらに好ましくは 1 5重量 %以下である。 バインダーの使用量が上記上限以下であるこ とで、 結晶成長 が得られ、 熱伝導性のフィラーとして用いた場合に熱伝 導性改善効果が得ら れる傾向にある。

[0066] <巳1\1スラリー調製方法>

巳 1\1スラリーの調製方法は、 原料巳 1\1粉末及び媒体、 更に必要により、 バ インダー、 界面活性剤が均一に分散し、 所望の粘度範囲に調整される方法で あればよく、 特に限定されない。 原料巳 1\1粉末及び媒体、 更に必要により、 バインダー、 界面活性剤を用いる場合、 巳 1\1スラリーは、 好ましくは以下の ように調製する。

[0067] 原料巳 1\1粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、 次いで、 バインダーを所 定量添加する。 さらに、 界面活性剤を所定量添加した後、 ジルコニァ製のセ ラミックボールを加えて、 ポッ トミル回転台で所望の粘度になるまで 0 . 5 〜 5時間程度撹拌する。

[0068] 添加の順番は特に制限はないが、 大量の原料巳 1\1粉末をスラリー化する場 合、 ダマなどの凝集物ができやすくなるため、 水に界面活性剤とバインダー を加えた水溶液を作製した後、 所定量の原料巳 !\1粉末を少量ずつ添加し、 こ こにジルコニア製のセラミックボールを加え て、 ポッ トミル回転台で分散、 スラリー化してもよい。

[0069] 分散に際しては、 ポッ トミルのほかに、 ビーズミル、 プラネタリーミキサ 一などの分散装置を使用してもよい。 〇 2020/175377 15 卩(:170? 2020 /007124

[0070] スラリー化に際して、 スラリーの温度は、 好ましくは 1 0 °〇以上 6 0 °〇以 下で行う。 スラリー温度が上記下限以上であることで、 スラリー粘度の上昇 を抑制できる傾向にあり、 上記上限以下であることで、 原料巳1\1粉末がスラ リー中でアンモニアに分解することを抑制で きる傾向にある。

[0071 ] スラリーの温度は、 より好ましくは 1 5 °〇以上 5 0 °〇以下、 さらに好まし くは 1 5 °〇以上 4 0 °〇以下、 特に好ましくは 1 5 °〇以上 3 5 °〇以下である。

[0072] <造粒>

巳 1\1スラリーから造粒粉末を得るには、 スプレードライ法、 転動法、 流動 層法、 撹拌法などの一般的な造粒方法を用いること ができる。 この中でもス プレードライ法が好ましい。

[0073] スプレードライ法では、 原料となるスラリーの濃度、 装置に導入する単位 時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴 霧する際の圧空圧力及び圧空量 により、 所望の大きさの造粒粉末を製造することが可 能である。 スプレード ライ法では、 球状の造粒粉末を得ることも可能である。

[0074] 使用するスプレードライ装置に制限はないが 、 より大きな球状の造粒粉末 とするためには、 回転式ディスクによるものが最適である。 このような装置 としては、 大川原化工機社製スプレードライヤー シリーズ、 藤崎電機社製 スプレードライヤー 、 ブリス社製スプレードライヤー

「 2 6 0」 などが挙げられる。

[0075] 造粒により得られた造粒粉末の平均粒子径は 、 本発明の巳 1\!凝集粉末の体 積基準の平均粒子径 0 5 0 の範囲を 2 0 以上 2 0 0 以下とする場合に は、 体積基準の平均粒子径口 5 0 で好ましくは 1 〇 以上、 より好ましくは 1 5 以上で、 好ましくは 1 5 0 以下、 より好ましくは 1 0 0 以 下であることが好ましい。

造粒粉末の体積基準の平均粒子径〇 5 。は、 例えば、 湿式では堀場製作所製 「 !_八 9 2 0」 、 乾式では 1」 な どで測定することができる。

[0076] <加熱処理> 〇 2020/175377 16 卩(:170? 2020 /007124

上記の巳 1\1造粒粉末は、 更に非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理するこ とで 巳 凝集粉末を製造することができる。

[0077] 非酸化性ガス雰囲気とは、 窒素ガス、 ヘリウムガス、 アルゴンガス、 アン モニアガス、 水素ガス、 メタンガス、 プロパンガス、 一酸化炭素ガスなどの 雰囲気である。 ここで用いる雰囲気ガスの種類により巳 1\1凝集粒子の結晶化 速度が異なるものとなる。 結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス 、 も しくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガ スが好適に用いられる。

[0078] 加熱処理温度は好ましくは 1 6 0 0 ° 〇以上、 より好ましくは 1 8 0 0 ° 〇以 上で、 好ましくは 2 3 0 0 °〇以下、 より好ましくは 2 2 0 0 °〇以下である。 加熱処理温度が上記下限以上であることで、 巳 一次粒子の平均結晶子の成 長が十分得られ、 巳 !\1凝集粉末の熱伝導率が大きくなる傾向にあ る。 加熱処 理温度が上記上限以下であることで、 巳 1\]凝集粉末の分解などが抑制される 傾向にある。

[0079] 加熱処理時間は、 好ましくは 5時間以上 2 0時間以下、 より好ましくは 5 時間以上 1 5時間以下である。 加熱処理時間が上記下限以上であることで、 結晶成長が十分えられる。 加熱処理時間が上記上限以下であることで巳 1\1の 分解を抑制できる傾向にある。

[0080] 加熱処理は、 非酸化性ガス雰囲気下で行うために、 好ましくは、 通常、 焼 成炉内を真空ポンプを用いて排気した後、 非酸化性ガスを導入しながら、 所 望の温度まで加熱して昇温する。 焼成炉内が十分に非酸化性ガスで置換でき る場合は、 常圧下で非酸化性ガスを導入しながら加熱昇 温してもよい。 焼成 炉としては、 マッフル炉、 管状炉、 雰囲気炉などのバッチ式炉や口ータリー キルン、 スクリューコンべヤ炉、 トンネル炉、 ベルト炉、 プッシャー炉、 竪 型連続炉などの連続炉が挙げられ、 目的に応じて使い分けられる。

[0081 ] 通常、 加熱処理する造粒粉末は、 焼成時の組成の不均一性を低減するため に、 円形の黒鉛製蓋付きルツボに入れて加熱焼成 される。 この際、 組成の不 均一性の低減に加えて、 焼成による巳 1\1凝集粒子同士の焼結を抑制する目的 で、 黒鉛製の仕切りを入れてもよい。 仕切りによる分割数は、 焼結が抑制で 〇 2020/175377 17 卩(:170? 2020 /007124

きれば特に制限はないが、 通常 2分割以上 1 6分割以下である。 分割数が上 記上限以上であることで、 焼結が抑制され、 II _巳 一次粒子の結晶が十分 に成長する傾向にある。 分割数が上記下限以上であることで、 焼結の進行を 抑制できる傾向にある。

[0082] く分級 ñ

上記加熱処理後の巳 1\1凝集粉末は、 粒子径分布を小さく し、 巳1\1凝集粉末 含有樹脂組成物に配合したときの粘度上昇を 抑制するために、 好ましくは分 級処理する。 この分級は、 通常、 造粒粉末の加熱処理後に行われるが、 加熱 処理前の造粒粉末に対して行い、 その後加熱処理に供してもよい。

[0083] 分級は湿式、 乾式のいずれでもよいが、 巳 1\1の分解を抑制するという観点 からは、 乾式の分級が好ましい。 特に、 バインダーが水溶性を有する場合に は乾式分級が好ましく用いられる。

[0084] 乾式の分級には、 篩による分級のほか、 遠心力と流体抗力の差によって分 級する風力分級などがある。 乾式の分級は、 旋回気流式分級機、 強制渦遠心 式分級機、 半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて 行うこともできる。 これらの分級機は、 サブミクロンからシングルミクロン領域の小 さな微粒子 を分級するには旋回気流式分級機を用い、 それ以上の比較的大きな粒子を分 級するには半自由渦遠心式分級機などを用い るというように、 分級する粒子 の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。

[0085] <本発明の巳 1\1凝集粉末を得るための工夫>

タップ密度が〇. 6 9 / 丨以上〇. 粒子間隙容積が

〇. 以上である本発明の巳 1\1凝集粉末を製造する方法としては、 特に制限はないが、 以下のような方法が挙げられる。

[0086] 本発明の巳 1\1凝集粉末を得る方法としては、 加熱処理後、 ルツボの内壁面 側ではなく、 ルツボ内壁面から離隔した内側の部分の加熱 処理粉末を分取す る方法が挙げられる。

[0087] ルツボの内壁面近傍は、 ルツボの材質、 加熱炉材質の影響を大きく受ける 傾向にあるので、 タップ密度が本発明の規定範囲を超えて大き な巳 1\1凝集粒 〇 2020/175377 18 卩(:170? 2020 /007124

子が得られる傾向にある。

—方、 ルツボの内側 (ルツボ内壁から離隔した領域) はルツボ材質、 加熱 炉材質の影響が小さい傾向にある。 このため、 ルツボの中央付近からは、 夕 ップ密度が本発明の規定範囲内の巳 凝集粒子を得ることができる傾向があ る。

[0088] また、 巳 1\1凝集粉末のタップ密度と粒子間隙容積は、 巳1\1 _次粒子の成長 と巳 1\1凝集粒子の形状などにより変化するが、 巳 1\1 _次粒子の粒子成長や巳 1\1凝集粒子の形状は巳 1\1原料に含まれる酸素濃度で変化する。 このため、 酸 素濃度を制御しながら加熱処理することで、 タップ密度と粒子間隙容積を本 発明の規定範囲内に調整することができる。 具体的には、 還元剤として炭素 共存下で加熱することや、 減圧下で酸素濃度を調整する方法などが挙げ られ る。

さらに、 上記以外の酸素濃度制御方法としては、 加熱処理のステップを複 数設け、 巳 1\1 _次粒子の結晶成長温度域で長時間保持した 、 結晶成長温度 域よりも高温で加熱処理する方法などが挙げ られる。

[0089] 上記の方法はは、 単独でも、 組み合わせて用いても良い。

[0090] 〔 8 凝集粉末含有樹脂組成物〕

本発明の巳 1\1凝集粉末を含む本発明の放熱シートを製造 するには、 通常、 無機フィラーとして少なくとも本発明の巳 凝集粉末と、 樹脂とを含有する 樹脂組成物 (以下、 「本発明の巳 1\1凝集粉末含有組成物」 又は 「本発明の組 成物」 と称す場合がある。 ) を調製し、 調製した本発明の組成物をシート成 形することにより、 本発明の放熱シートとする。 以下に、 本発明の巳1\1凝集 粉末含有組成物について説明する。

[0091 ] 本発明の巳 !\1凝集粉末含有樹脂組成物は、 通常、 樹脂成分、 好ましくは熱 硬化性樹脂成分と、 本発明の巳 !\1凝集粉末を含む無機フィラー、 硬化剤、 硬 化触媒、 必要に応じて用いられるその他の成分、 塗布スラリーとするための 溶剤等で構成される。

後述の複合成形体とする場合、 本発明の組成物は、 金属との密着性向上の 〇 2020/175377 19 卩(:170? 2020 /007124

観点から、 更に窒素原子を含有する複素環構造を有する 化合物を含むことが 好ましい。

[0092] [無機フィラー以外の成分]

<熱硬化性樹脂成分>

本発明の組成物に含まれる熱硬化性樹脂とし ては、 硬化剤や硬化触媒の存 在下で硬化するものであればよく、 特に限定されない。 熱硬化性樹脂として は、 具体的には、 エポキシ樹脂、 フエノール樹脂、 ポリカーボネート樹脂、 不飽和ポリエステル樹脂、 ウレタン樹脂、 メラミン樹脂、 ユリア樹脂等が挙 げられる。 これらの中で、 粘度、 耐熱性、 吸湿性、 取扱い性の観点から、 エ ポキシ樹脂が好ましい。 エポキシ樹脂としては、 例えば、 エポキシ基含有ケ イ素化合物、 脂肪族型エポキシ樹脂、 ビスフエノール八または 型エポキシ 樹脂、 ノボラック型エポキシ樹脂、 脂環式エポキシ樹脂、 グリシジルエステ ル型エポキシ樹脂、 多官能型エポキシ樹脂、 高分子型エポキシ樹脂等が挙げ られる。

[0093] (エポキシ樹脂)

エポキシ樹脂とは、 分子内に 1個以上のオキシラン環 (エポキシ基) を有 する化合物の総称である。

エポキシ樹脂に含まれるオキシラン環 (エポキシ基) は脂環式エポキシ基 、 グリシジル基のどちらでもよいが、 反応速度もしくは耐熱性の観点から、 グリシジル基であることがより好ましい。

[0094] 本発明で用いるエポキシ樹脂は、 芳香族オキシラン環 (エポキシ基) 含有 化合物であってもよい。 その具体例としては、 ビスフエノール八、 ビスフエ ノール 、 ビスフエノール八〇、 ビスフエノール 3、 テトラメチルビスフエ ノール八、 テトラメチルビスフエノール 、 テトラメチルビスフエノール八 口、 テトラメチルビスフエノール 3、 テトラフルオロビスフエノール八など のビスフエノール類をグリシジル化したビス フエノール型エポキシ樹脂、 ビ フエニル型のエポキシ樹脂、 ジヒドロキシナフタレン、 9 , 9 -ビス (4 - ヒドロキシフエニル) フルオレンなどの 2価のフエノール類をグリシジル化 〇 2020/175377 20 卩(:170? 2020 /007124

したエポキシ樹脂、 1 , 1 , 1 -トリス (4 -ヒドロキシフエニル) メタン などのトリスフエノール類をグリシジル化し たエポキシ樹脂、 1 , 1 , 2 ,

2—テトラキス (4—ヒドロキシフエニル) エタンなどのテトラキスフエノ —ル類をグリシジル化したエポキシ樹脂、 フエノールノボラック、 クレゾー ルノボラック、 ビスフエノール八ノボラック、 臭素化ビスフエノール八ノボ ラックなどのノボラック類をグリシジル化し たノボラック型エポキシ樹脂な どが挙げられる。

[0095] 以下に本発明で用いるエポキシ樹脂として好 適なエポキシ樹脂 (以下、 「 特定エポキシ樹脂」 と称す場合がある。 ) と、 この特定エポキシ樹脂と好ま しく併用される多官能エポキシ樹脂について 説明する。

[0096] 以下において、 「有機基」 とは、 炭素原子を含む基であれば如何なる基で も含むものであり、 例えば、 アルキル基、 アルケニル基、 アリール基等が挙 げられる。 これらはハロゲン原子や、 ヘテロ原子を有する基や、 他の炭化水 素基で置換されていてもよい。

[0097] (特定エポキシ樹脂)

特定エポキシ樹脂としては、 下記構造式 (1) で表される構造 (以下、 「 構造 (1) 」 と称す場合がある。 ) および下記構造式 (2) で表される構造 (以下、 「構造 (2) 」 と称す場合がある。 ) から選ばれる少なくとも一つ の構造を有するエポキシ樹脂が挙げられる。

[0098] [化 1 ]

) 〇 2020/175377 21 卩(:170? 2020 /007124

[0099] 式 (1) 中、 および はそれぞれ有機基を表し、 少なくとも一方は分 子量 1 6以上の有機基である。 式 (2) 中、 の環状有機基を表す。

[0100] また、 特定エポキシ樹脂として、 下記構造式 (3) で表される構造 (以下 、 「構造 (3) 」 と称す場合がある。 ) を有するエポキシ樹脂が挙げられる

[0101 ] [化 2]

[0102] 式 (3) 中、 それぞれ分子量 1 5以上の有機基を 表す。

[0103] 上記式 (1) において、 および 2 のうちの少なくとも一方は、 分子量 が 1 6以上、 好ましくは分子量 1 6〜 1 0 0 0の有機基を表す。 分子量 1 6 以上の有機基としては、 例えば、 エチル基、 プロピル基、 プチル基、 ペンチ ル基、 ヘキシル基、 ヘプチル基等のアルキル基やフエニル基、 トリル基、 キ シリル基、 ナフチル基、 フルオレニル基等のアリール基が挙げられる 。 お よび 2 は共に分子量 1 6以上の有機基であってもよく、 一方が分子量 1 6以 上の有機基で、 他方が分子量 1 5以下の有機基又は水素原子であってもよい 。 好ましくは、 以上の有機基で他方が分子 量 1 5以下の有機基である。 特に および 2 のいずれか一方がメチル基で 、 他方がフエニル基であることが、 樹脂粘度等の取扱い性の制御が容易にな ることや、 硬化物の強度の観点から好ましい。

[0104] 式 (2) において、 3 は 2価の環状有機基であり、 ベンゼン環構造、 ナフ タレン環構造、 フルオレン環構造等の芳香族環構造であって もよいし、 シク ロブタン、 シクロペンタン、 シクロヘキサン等の脂肪族環構造であっても よ い。 また、 それらは独立に、 炭化水素基、 又はハロゲン原子等の置換基を有 〇 2020/175377 22 卩(:170? 2020 /007124

していてもよい。 2価の結合部は、 単一の炭素原子にある 2価基であっても よいし、 異なる炭素原子にある 2価基であってもよい。 好ましくは、 炭素数 6〜 1 0 0の 2価の芳香族基、 シクロプロパンやシクロヘキサンのような炭 素数 2〜 1 0 0のシクロアルカンに由来する基が挙げられ 。 特に下 記構造式 ( 4) で表される 3 , 3 , 5—トリメチルー 1 , 1 —シクロへキシ レン基が、 樹脂粘度等の取扱い性の制御や硬化物の強度 の観点から好ましい

[0105] [化 3]

( 4 )

[0106] 式 (3) において、 [¾ 4 、 [¾ 5 、 [¾ 6 、 それぞれ分子量 1 5以上の有 機基であるが、 好ましくは分子量 1 5〜 1 0 0 0のアルキル基である。 特に 7 のすべてがメチル基であることが、 樹脂粘度等の取扱い 性の制御や硬化物の強度の観点から好ましい 。

[0107] 特定エポキシ樹脂は、 特に構造 (1) および構造 (2) のいずれか一方と 、 構造 (3) とを含むエポキシ樹脂であることが、 得られる硬化物である放 熱シートの吸湿性の低減と強度保持の性能の 両立の観点から好ましい。

[0108] このような特定エポキシ樹脂は、 一般的なビスフエノール八、 ビスフエノ _ル 骨格を有するエポキシ樹脂と比較して、 疎水性の炭化水素および芳香 族構造を多く含むため、 特定エポキシ樹脂を配合することにより、 得られる 硬化物である放熱シートの吸湿量を低減する ことができる。

[0109] 吸湿量を低減するという観点から、 特定エポキシ樹脂は疎水性構造である 構造 (1) 、 (2) 、 (3) を多く含むものが好ましく、 具体的には重量平 均分子量が 1 〇, 〇〇〇以上のエポキシ樹脂であることが好ま しく、 また重 〇 2020/175377 23 卩(:170? 2020 /007124

量平均分子量が 20, 000以上のエポキシ樹脂であることがより好ま しく 、 さらに重量平均分子量が 30, 000以上、 例えば 30, 000〜 40,

000のエポキシ樹脂であることがより一層好 ましい。

[0110] 特定エポキシ樹脂はより疎水性であることが 好ましく、 具体的には特定エ ポキシ成分のエポキシ当量は大きい方がよく 、 5, 0009/当量以上が好 ましく、 7, 0009/当量以上、 例えば 8, 000〜 1 5, 0009/当 量がより好ましい。

[0111] ここで、 エポキシ樹脂の重量平均分子量とは、 ゲルパーミエーシヨンクロ マトグラフィーにより測定されたポリスチレ ン換算の値である。

エポキシ当量とは、 「 1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の重 」 と 定義され、 」 丨 3 < 7236に準じて測定することができる。

[0112] このような特定エポキシ樹脂は、 1種のみを用いてもよく、 2種以上を併 用してもよい。

[0113] (多官能エポキシ樹脂)

多官能エポキシ樹脂とは、 一分子あたりに 3個以上のオキシラン環 (エポ キシ基) を有するエポキシ樹脂である。

[0114] 熱硬化後の硬化物の貯蔵弾性率を高くする、 特にパワー半導体など発熱量 の多い場合に重要になる高温時の貯蔵弾性率 を高くする観点からは、 分子内 に 2個以上のオキシラン環 (エポキシ基) を有するエポキシ樹脂が好ましく 、 分子内に 3個以上のオキシラン環 (エポキシ基) を有するエポキシ樹脂が さらに好ましく、 分子内に 4個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹 が より一層好ましい。

[0115] 分子内に複数のオキシラン環 (エポキシ基) 、 特にグリシジル基を有する ことで、 硬化物の架橋密度が向上し、 得られる硬化物である放熱シートがよ り高強度となる。 それにより、 吸湿リフロー試験において放熱シートに内部 応力が発生した際に、 放熱シートが変形したり、 破壊したりせずに、 形態を 保持することで、 放熱シート内にボイ ド等の空隙が発生するのを抑制するこ とができる。 〇 2020/175377 24 卩(:170? 2020 /007124

[01 16] 熱硬化後の放熱シートの貯蔵弾性率を高くす るという観点から、 多官能エ ポキシ樹脂の分子量は 1 , 0 0 0以下であることが好ましく、 特に 1 0 0〜 8 0 0であることが好ましい。

[01 17] 多官能エポキシ樹脂を添加することにより、 極性の高いオキシラン環 (エ ポキシ基) を高密度で導入することが可能であり、 それにより、 ファンデル ヮールスカや水素結合といった物理的相互作 用の効果が増し、 後述の複合成 形体における金属と樹脂硬化物である本発明 の放熱シートとの密着性を向上 させることができる。 また、 多官能エポキシ樹脂を添加することにより、 熱 硬化後の放熱シートの貯蔵弾性率を高くする ことができ、 それにより被着体 である金属の凹凸に熱硬化性樹脂組成物の硬 化物が入り込んだ後、 強固なァ ンカー効果を発現し、 金属と放熱シートとの密着性を向上させるこ とができ る。

[01 18] —方で、 多官能エポキシ樹脂を導入することにより、 熱硬化性樹脂組成物 の吸湿性が高くなる傾向にあるが、 オキシラン環 (エポキシ基) の反応性を 向上させることで、 反応途中の水酸基量を減らし、 吸湿性の増加を抑制する ことができる。 また、 前述した特定エポキシ樹脂と多官能エポキシ 樹脂を組 み合わせて熱硬化性樹脂組成物を製造するこ とにより、 得られる放熱シート の高弾性化と低吸湿化を両立することが可能 となる。

[01 19] 多官能エポキシ樹脂としては、 具体的にはエポキシ基を 3つ以上有するエ ポキシ樹脂が好ましく、 例えばナガセケムテックス社製の、 巳乂3 2 1 !_、 0 1_〇3 0 1、 口 !_〇4 0 2等を用いることができる。

これらの多官能エポキシ樹脂は 1種のみを用いてもよく、 2種以上を併用 してもよい。

[0120] (含有量)

本発明の組成物は、 熱硬化性樹脂成分を、 溶剤及び無機フィラーを除く本 発明の組成物 1 〇 0重量%中に 5重量%以上、 特に 5 0重量%以上で、 9 9 重量%以下、 特に 9 8重量%以下含有することが好ましい。 熱硬化性樹脂成 分の含有量が上記下限以上であると、 成形性が良好となる。 硬化性樹脂成分 〇 2020/175377 25 卩(:170? 2020 /007124

の含有量が上記上限以下であると、 他の成分の含有量を確保することができ 、 熱伝導性を高めることができる。

[0121 ] 本発明の組成物は、 熱硬化性樹脂成分中に、 エポキシ樹脂を 2 0〜 1 0 0 重量%、 特に 4 5〜 1 0 0重量%含むことが好ましい。

[0122] 本発明の組成物は、 前述の好適なエポキシ樹脂である特定エポキ シ樹脂を 、 全エポキシ樹脂中に 5 0重量%以下、 特に 4 0重量%以下で、 5重量%以 上、 特に 1 〇重量%以上含有することが好ましい。 特定エポキシ樹脂の含有 量が上記下限以上であると、 特定エポキシ樹脂を含有することによる前述 の 効果を有効に得ることができる。 特定エポキシ樹脂が多過ぎると架橋密度が 低下し硬化物が脆くなる。 特定エポキシ樹脂の含有量を上記上限以下と する ことで、 硬化物の吸湿性を抑制し、 且つ硬化物の強度性能を優れたものにし 、 それらの性能を両立することが可能となる。

[0123] 本発明の組成物は、 前述の好適なエポキシ樹脂である多官能エポ キシ樹脂 を、 全エポキシ樹脂中に 5重量%以上、 特に 1 0重量%以上で、 5 0重量% 以下、 特に 4 0重量%以下含有することが好ましい。 多官能エポキシ樹脂の 含有量が上記下限以上であると、 多官能エポキシ樹脂を含有することによる 前述の効果を有効に得ることができる。 多官能エポキシ樹脂の含有量が上記 上限以下であることにより、 硬化物の吸湿性を抑制し、 且つ硬化物の強度性 能を優れたものにし、 それらの性能を両立することが可能となる。

[0124] 本発明の組成物は、 エポキシ樹脂として、 特定エポキシ樹脂と多官能エポ キシ樹脂とを共に含有することが、 得られる硬化物の高弾性化と低吸湿化を 共に得る上で好ましい。 その場合、 特定エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂 との含有量比は、 特定エポキシ樹脂:多官能エポキシ樹脂 = 1 0〜 9 0 : 9 〇〜 1 0、 特に 2 0〜 8 0 : 8 0〜 2 0 (重量比) であることが好ましい。

[0125] 本発明の組成物に含まれる特定エポキシ樹脂 および多官能エポキシ樹脂以 外のエポキシ樹脂としては、 特に制限はないが、 例えばビスフエノール八型 エポキシ樹脂、 ビスフエノール 型エポキシ樹脂等のビスフエノール類をグ リシジル化した各種ビスフエノール型エポキ シ樹脂、 ビフエニル類をグリシ 〇 2020/175377 26 卩(:170? 2020 /007124

ジル化した各種ビフエニル型のエポキシ樹 脂、 ジヒドロキシナフタレン、 9 , 9 -ビス (4 -ヒドロキシフエニル) フルオレンなどの 2つの水酸基を有 する芳香族性を有する化合物類をグリシジル 化したエポキシ樹脂、 1 , 1 ,

1 —トリス (4—ヒドロキシフエニル) メタンなどのトリスフエノール類を グリシジル化したエポキシ樹脂、 1 , 1 , 2 , 2 -テトラキス (4 -ヒドロ キシフエニル) エタンなどのテトラキスフエノール類をグリ シジル化したエ ポキシ樹脂、 フエノールノボラック、 クレゾールノボラック、 ビスフエノー ル八ノボラック、 臭素化ビスフエノール八ノボラックなどのノ ボラック類を グリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂 、 およびシリコーン含有エポキ シ樹脂から選ばれる等の 1種又は 2種以上が好ましい。

[0126] <窒素原子を含有する複素環構造を有する化 合物>

窒素原子を含有する複素環構造を有する化合 物 (以下、 「窒素含有複素環 化合物」 と称す場合がある。 ) は、 本発明の組成物の硬化物と金属との密着 性を向上させる作用効果を奏する。

窒素含有複素環化合物は、 本発明の組成物と金属と複合化する際に、 それ らの界面に位置することで、 本発明の組成物と金属との密着性を向上させ る 。 この観点から、 窒素含有複素環化合物を本発明の組成物と金 属の界面に滞 在しやすくするために、 低分子量であることがより好ましい。 窒素含有複素 環化合物の分子量は 1 , 0 0 0以下であることが好ましく、 5 0 0以下であ ることがより好ましい。

[0127] 窒素含有複素環化合物の有する複素環構造と しては、 例えば、 イミダゾー ル、 トリアジン、 トリアゾール、 ピリミジン、 ピラジン、 ピリジン、 アゾー ルから誘導される構造があるが、 熱硬化性樹脂組成物の絶縁性、 金属との密 着性の向上の観点からイミダゾール系化合物 やトリアジン系化合物が好まし い。

[0128] 好ましいイミダゾール系化合物、 トリアジン系化合物としては、 例えば 2 —エチルー 4—メチルイミダゾール、 2—フエニルイミダゾール、 1 —ベン ジルー 2—メチルイミダゾール、 1 —ベンジルー 2—フエニルイミダゾール 〇 2020/175377 27 卩(:170? 2020 /007124

、 1 —シアノエチルー 2—ウンデシルイミダゾール、 1 —シアノエチルー 2 —エチルー 4—メチルイミダゾール、 2—フエニルー 4—メチルイミダゾー ル、 1 —シアノエチルー 2—フエニルイミダゾリウムトリメリテイ ト、 2 ,

4—ジアミノー 6— [ 2, ーメチルイミダゾリルー (1, ) ] —エチルー 3 —トリアジン、 2 , 4—ジアミノー 6— [ 2, ーウンデシルイミダゾリルー (1, ) ] —エチルー 3 _トリアジン、 2 , 4—ジアミノー 6— [ 2, ーエ チルー 4, メチルイミダゾリルー (1, ) ] —エチルー 3 _トリアジン、 2 , 4—ジアミノー 6— [ 2, ーメチルイミダゾリルー (1, ) ] —エチルー 3 - トリアジンイソシアヌル酸付加物、 2 -フエニルイミダゾールイソシア ヌル酸付加物、 2 -フエニルー 4 , 5 -ジヒドロキシメチルイミダゾール、

2—フエニルー 4—メチルー 5—ヒドロキシメチルイミダゾール、 2 , 4 - ジアミノー 6—ビニルー 3—トリアジン、 2 , 4—ジアミノー 6—ビニルー 3 _トリアジンイソシアヌル酸付加物、 2 , 4 -ジアミノー 6 -メタクリロ イルオキシエチルー 3 _トリアジン、 2 , 4—ジアミノー 6—メタクリロイ ルオキシエチルー 3 -トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げ れる。

[0129] これらの中でも、 樹脂相溶性が高く、 かつ反応活性化温度が高いことで、 硬化速度や硬化後の物性を容易に調整するこ とができ、 これにより、 本発明 の組成物の保存安定性向上や加熱成形後の接 着強度の更なる向上を実現でき ることから、 特にイミダゾールから誘導される構造を有す るもの、 トリアジ ンから誘導される構造を有するものが好まし く、 とりわけトリアジンから誘 導される構造を有するものが好ましい。 窒素含有複素環化合物の有する複素 環構造としては、 1 , 3 , 5—トリアジンから誘導される構造が特に好 し い。 窒素含有複素環化合物は、 上記例示された構造部分を複数有するもので あってもよい。

[0130] 窒素含有複素環化合物には、 構造によっては後述する硬化触媒が含まれる 場合がある。 従って、 本発明の組成物は硬化触媒として窒素含有複 素環化合 物を含んでいてもよい。

[0131 ] 窒素含有複素環化合物は 1種のみを用いてもよく、 2種以上を併用しても 〇 2020/175377 28 卩(:170? 2020 /007124

よい。 窒素含有複素環化合物は、 1分子中に複数の復素環構造を同時に有し ていてもよい。

[0132] 窒素含有複素環化合物は、 溶剤及び無機フィラーを除く本発明の組成物 1 〇〇重量%中に〇. 0 0 1重量%以上、 特に 0 . 1重量%以上で、 1 0重量 %以下、 特に 5重量%以下含まれることが好ましい。 後述する硬化触媒がそ の分子構造からして窒素含有複素環化合物に 含まれる場合は、 それらの含有 量も含めた全量が上記範囲に含まれることが 好ましい。 窒素含有複素環化合 物の含有量が上記下限以上であると、 この化合物を含むことによる上記効果 を十分に得ることができる。 窒素含有複素環化合物の含有量が上記上限以 下 であると反応が効果的に進行し、 架橋密度を向上させ、 強度を増すことがで き、 さらに保管安定性が向上する。

[0133] <硬化剤>

硬化剤としては特に限定されないが、 好ましい硬化剤は、 フェノール樹脂 、 芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無 水物、 又は該酸無水物の水添 加物もしくは該酸無水物の変性物である。 これらの好ましい硬化剤の使用に より、 耐熱性、 耐湿性および電気物性のバランスに優れた樹 脂硬化物を得る ことができる。 硬化剤は、 1種のみを用いてもよく、 2種以上を併用しても よい。

[0134] フェノール樹脂は、 特に限定されない。 フェノール樹脂の具体例としては 、 フェノールノボラック、 〇—クレゾールノボラック、 _クレゾールノボ ラック、 1: _プチルフェノールノボラック、 ジシクロペンタジェンクレゾー ル、 ポリパラビニルフェノール、 ビスフェノール八型ノボラック、 キシリレ ン変性ノポラック、 デカリン変性ノボラック、 ポリ (ジ _〇—ヒドロキシフ ェニル) メタン、 ポリ (ジー 01—ヒドロキシフェニル) メタン、 又はポリ ( ジー ーヒドロキシフェニル) メタン等が挙げられる。 なかでも、 熱硬化性 樹脂組成物の柔軟性および難燃性をより _層の向上、 樹脂硬化物の力学物性 および耐熱性向上のためには剛直な主鎖骨格 を持つノボラック型フェノール 樹脂やトリアジン骨格を有するフェノール樹 脂が好ましい。 未硬化の熱硬化 〇 2020/175377 29 卩(:170? 2020 /007124

性樹脂組成物の柔軟性および樹脂硬化物の 靭性向上のためにはアリル基を有 するフエノール樹脂が好ましい。

[0135] フエノール樹脂の市販品としては、 1\/1巳 1 ~ 1-8005、 1\/1巳 1 ~ 1-8000

1 ~ 1および 巳 1 ~ 1-801 5 (以上いずれも明和化成社製) 、 丫!_ 1 ~ 1903 ( 三菱ケミカル社製) 、 !_八一7052、 !_八一 7054、 1_八一 775 1、

!_八_ 1 356および !_八_301 8— 50 (以上いずれも大日本インキ 社製) 、 並びに 31\/16200、 363 1 3および 36492 (群栄化 学工業社製) 等が挙げられる。

[0136] 芳香族骨格を有する酸無水物、 該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変 性物は、 特に限定されない。 具体的な例としては、 31\/1八レジン巳 30お よび 31\/1八レジン巳 60 (以上いずれもサートマー ·ジャパン社製) 、 〇 0 八一1\/1および 巳 八 (以上いずれもマナック社製) 、 リカジッ ト 1\/1丁 八一 1 0、 リカジッ ト丁 IV!丁八、 リカジッ ト丁 IV!巳◦ - 200、 リカジッ ト 丁 IV!巳◦ - 500、 リカジッ ト丁 IV!巳◦ - 3、 リカジッ ト ' G 1 ~ 1、 リカジッ ト IV! 1 ~ 1 - 700、 リカジッ ト IV!丁一 500、 リカジッ トロ 30八およびリカジ ッ ト丁0八一 1 00 (以上いずれも新日本理化社製) 、 巳 丨 〇 !_〇 巳 4400、 および巳 丨 〇し〇 6570 (以上いずれも大日本インキ化 学社製) などが挙げられる。

[0137] 脂環式骨格を有する酸無水物、 該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変 性物は、 多脂環式骨格を有する酸無水物、 該酸無水物の水添加物もしくは該 酸無水物の変性物、 又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との 付加反応に より得られる脂環式骨格を有する酸無水物、 該酸無水物の水添加物又は該酸 無水物の変性物であることが好ましい。 具体的な例としては、 リカジッ ト 1 ~ 1 八およびリカジッ ト 1 ~ 1 八_ 1 00 (以上いずれも新日本理化社製) 、 並 びにエピキュア丫 1 ~ 1306およびエピキュア丫 1 ~ 1309 (以上いずれも三菱 ケミカル社製) 等が挙げられる。

[0138] 硬化剤は、 溶剤及び無機フィラーを除く本発明の組成物 1 00重量%中に 〇〜 7 〇重量%、 特に〇〜 55重量%含まれることが好ましい。 硬化剤の含 〇 2020/175377 30 卩(:170? 2020 /007124

有量が上記下限以上であると、 十分な硬化性能を得ることができる。 硬化剤 の含有量が上記上限以下であれば反応が効果 的に進行し、 架橋密度を向上さ せ、 強度を増すことができ、 さらに製膜性が向上する。

[0139] <硬化触媒>

本発明の組成物は、 硬化速度や硬化物の物性などを調整するため に、 上記 硬化剤と共に硬化触媒を含有することが好ま しい。

[0140] 硬化触媒は特に限定されないが、 用いる熱硬化性樹脂成分や硬化剤の種類 に応じて適宜に選ばれる。 硬化触媒の具体例としては、 鎖状または環状の 3 級アミン、 有機リン系化合物、 4級ホスホニウム塩類又は有機酸塩等のジア ザビシクロアルケン類等が挙げられる。 硬化触媒としては、 有機金属化合物 類、 4級アンモニウム塩類又は金属ハロゲン化物 を用いることもできる。 上記有機金属化合物類としては、 オクチル酸亜鉛、 オクチル酸錫又はアルミ ニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる 。

これらは 1種を単独で用いてもよく、 2種以上を混合して用いてもよい。

[0141 ] 硬化触媒は、 溶剤及び無機フイラーを除く本発明の組成物 1 0 0重量%中 に〇. 1〜 1 0重量%、 特に〇. 1〜 5重量%含まれることが好ましい。 硬 化触媒の含有量が上記下限以上であると、 硬化反応の進行を十分に促進して 良好に硬化させることができる。 硬化触媒の含有量が上記上限以下であると 、 硬化速度が速すぎることがなく、 従って、 本発明の組成物の保存安定性を 良好なものとすることができる。

[0142] <その他の成分>

本発明の組成物には、 本発明の効果を損なうことのない範囲におい て、 無 機フイラー以外の成分として上記以外のその 他の成分が含まれていてもよい 。 その他の成分としては、 本発明の組成物を用いて樹脂硬化物を製造す る際 に、 無機フイラーと樹脂成分との界面接着強度を 改善するシランカップリン グ剤などの表面処理剤、 還元剤等の絶縁性炭素成分、 粘度調整剤、 分散剤、 チキソ性付与剤、 難燃剤、 着色剤、 有機フイラー、 有機溶剤、 熱可塑性樹脂 が挙げられる。 〇 2020/175377 31 卩(:170? 2020 /007124

[0143] これらのうち、 本発明の組成物は分散剤を含むことで、 均一な樹脂硬化物 を形成することが可能となり、 得られる樹脂硬化物の熱伝導性および絶縁破 壊特性を向上させることができる場合がある 。 また、 本発明の組成物は有機 フィラーや熱可塑性樹脂を含むことで、 組成物に適度な伸び性を付与し、 発 生する応力を緩和し、 温度サイクル試験でのクラックの発生を押さ えること ができる場合がある。

[0144] 分散剤は、 水素結合性を有する水素原子を含む官能基を 有することが好ま しい。 分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む 官能基を有することで、 得られる硬化物である放熱シートの熱伝導性 および絶縁破壊特性をより一層 高めることができる。 上記水素結合性を有する水素原子を含む官能 基として は、 例えば、 カルボキシル基 ( < 3 = 4) 、 リン酸基 ( < 3 = 7) 、 又 はフエノール基 ( < 3 = 1 0) 等が挙げられる。

[0145] 水素結合性を有する水素原子を含む官能基の < 3 は、 2〜 1 0の範囲内 にあることが好ましく、 3〜 9の範囲内にあることがより好ましい。 p K a が 2以上であることで、 分散剤の酸性度が適当な範囲となり、 熱硬化性樹脂 成分中のエポキシ樹脂の反応が抑制されやす くなる場合がある。 従って、 未 硬化状態の成形物が貯蔵された場合に、 貯蔵安定性が向上する傾向にある。

3が1 0以下であることで、 分散剤としての機能が充分に果たされ、 得 られる硬化物である放熱シートの熱伝導性お よび絶縁破壊特性が充分に高め られる傾向にある。

[0146] 水素結合性を有する水素原子を含む官能基は 、 カルボキシル基又はリン酸 基であることが好ましい。 これらの官能基であれば、 放熱シートの熱伝導性 および絶縁破壊特性をより一層高めることが できる。

[0147] 分散剤としては、 具体的には、 ポリエステル系カルボン酸、 ポリエーテル 系カルボン酸、 ポリアクリル系カルボン酸、 脂肪族系カルボン酸、 ポリシロ キサン系カルボン酸、 ポリエステル系リン酸、 ポリエーテル系リン酸、 ポリ アクリル系リン酸、 脂肪族系リン酸、 ポリシロキサン系リン酸、 ポリエステ ル系フエノール、 ポリエーテル系フエノール、 ポリアクリル系フエノール、 〇 2020/175377 32 卩(:170? 2020 /007124

又はポリシロキサン系フエノール等が挙げ られる。 分散剤は、 1種のみが用 いられてもよく、 2種以上が併用されてもよい。

[0148] 熱可塑性樹脂としては、 一般的に知られる如何なる熱可塑性樹脂も使 用す ることが可能である。 例えば、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリスチレ ン、 ポリ塩化ビニル、 (メタ) アクリル樹脂、 エチレンー酢酸ビニル共重合 体、 エチレンービニルアルコール共重合体などの ビニル系ポリマー、 ポリ乳 酸樹脂、 ポリエチレンテレフタレート、 ポリプチレンテレフタレートなどの ポリエステル、 ナイロン、 ポリアミ ドアミンなどのポリアミ ド、 ポリビニル アセトアセタール、 ポリビニルベンザール、 ポリビニルプチラール樹脂など のポリビニルアセタール樹脂、 アイオノマー樹脂、 ポリフエニレンエーテル 、 ポリフエニレンサルファイ ド、 ポリカ _ ボネ _ 卜、 ポリエ _ テルエーテル ケトン、 ポリアセタール、 八巳 3樹脂、 !_〇 (液晶ポリマー) 、 フッ素樹 月旨、 ウレタン樹脂、 シリコーン樹脂、 各種エラストマー、 またはこれらの樹 脂の変性品等が挙げられる。

[0149] これらの熱可塑性樹脂としては、 放熱シートの樹脂相中で、 均一になるも のであってもよいし、 相分離してその形状が認識されるものであっ てもよい 。 相分離するものである場合、 放熱シートにおける熱可塑性樹脂の形状は、 粒子状であってもよいし、 繊維状であってもよい。 放熱シートにおいて熱可 塑性樹脂の形状が認識される場合、 熱可塑性樹脂が有機フィラーと認識され ることもありえる。 しかし、 本発明において有機フィラーとは、 木粉等の天 然物、 変性されていてもよいセルロース、 デンプン、 各種有機顔料などを指 し、 熱可塑性樹脂は有機フィラーには含まれない 。

[0150] 熱可塑性樹脂や有機フィラーが含まれている ことで、 組成物に適度な伸び 性を付与し、 発生する応力を緩和し、 温度サイクル試験でのクラックの発生 を押さえることができる場合がある。

[0151 ] 熱可塑性樹脂や有機フィラーが熱硬化性樹脂 に不溶である場合、 本発明の 組成物の粘度が上がることを防ぎ、 例えば後述のようにシート状に成形する 場合に、 シート表面の平滑性を向上させることができ る。 この場合、 熱硬化 〇 2020/175377 33 卩(:170? 2020 /007124

性樹脂に不溶な熱可塑性樹脂、 有機フィラーを、 大量の無機フィラーと同時 に混合することで、 熱可塑性で伸びのよくなる成分相を効率よく 硬化物中に 分散させることができ、 応力を緩和しやすい。 従って、 硬化物の弾性率を下 げることなく、 硬化物にクラックが発生することを抑制する ことができる。 これらの理由から、 熱可塑性樹脂として、 ナイロンなどのポリアミ ド樹脂、 セルロース樹脂などが好ましく、 特にナイロンなどのポリアミ ド樹脂が好ま しい。

[0152] 硬化物である放熱シートにおいて観察するこ とができる熱可塑性樹脂の形 状が粒子状である場合、 その平均粒子径の上限は、 好ましくは 1 0 0 以 下であり、 より好ましくは 5〇 以下であり、 さらに好ましくは 3 0 以下である。 平均粒子径を上記上限以下にすることで、 熱伝導率の低下の恐 れなしに様々な厚さのシート状硬化物を作成 することができる。 粒子状の熱 可塑性樹脂の平均粒子径は、 硬化物の断面を観察し、 任意の 2 0個の粒子の 最長径の平均値により定める。

[0153] 本発明の組成物は、 例えば、 塗布工程を経てシート状硬化物を成形する際 の塗布性の向上のために、 有機溶剤を含有していてもよい。

[0154] 本発明の組成物が含有し得る有機溶剤の例と しては、 メチルェチルケトン 、 シクロへキサノン、 プロピレングリコールモノメチルエーテルア セテート 、 酢酸プチル、 酢酸イソプチル、 プロピレングリコールモノメチルエーテル などが挙げられる。 これらの有機溶剤は、 1種のみを用いてもよく、 2種以 上を併用してもよい。

[0155] 本発明の組成物が有機溶剤を含有する場合、 その含有量は、 放熱シート作 製時の取り扱い性等に応じて適宜決定される 。 通常、 有機溶剤は、 本発明の 組成物中の固形分 (溶剤以外の成分の合計) 濃度が 1 〇重量%以上、 特に 4 0重量%以上で、 9 0重量%以下、 特に 8 0重量%以下となるように用いる ことが好ましい。

[0156] [無機フィラー]

本発明の組成物は、 無機フィラーとして少なくとも本発明の巳 凝集粉末 〇 2020/175377 34 卩(:170? 2020 /007124

を含む。

[0157] 本発明の組成物は、 本発明の巳 1\1凝集粉末以外の無機フイラーを含有して いてもよい。 その場合、 本発明の巳 1\1凝集粉末以外の無機フイラーとして好 ましいものに球状フイラーが挙げられる。

[0158] 本発明の巳 1\1凝集粉末と共に用いる球状フイラーは、 熱伝導率が好ましく は 1 〇 / <以上であり、 より好ましくは 1 <以上であり、 さらに好ましくは 2〇 / <以上である。 本発明の巳 1\1凝集粉末と共に 用いる球状フイラーは、 新モース硬度が好ましくは 3 . 1以上であり、 より 好ましくは 5以上である。 特に、 本発明の巳 1\1凝集粉末と共に用いる球状フ イラーは、 熱伝導率が 2 0〜 3〇 / <であり、 新モース硬度が 5〜 1 0であるものが好ましい。 このような球状フイラーを本発明の巳 1\1凝集粉末 と併用することにより、 得られる放熱シートの金属に対する接着力お よび放 熱性を高めることができる。

[0159] ここで 「球状」 とは、 一般的に球形であると認識されるものであれ ばよく 、 例えば、 平均円形度が〇. 4以上を球状としてもよく、 〇. 6以上を球形 としてもよい。 通常平均円形度の上限は 1である。 円形度の測定はその投影 画像を画像処理することによって測定するこ とができる。 円形度は、 例えば シスメックス社の 丨 八シリーズ等で測定することができる。

[0160] 球状フイラーは、 アルミナ、 合成マグネサイ ト、 結晶性シリカ、 窒化アル ミニウム、 窒化ケイ素、 炭化ケイ素、 酸化亜鉛および酸化マグネシウムから なる群から選択された少なくとも 1種であることが好ましい。 これらの好ま しい球状フイラーの使用により、 得られる放熱シートの放熱性をより _ 層高 めることができる。

[0161 ] 球状フイラーの平均粒子径は、 〇. 5 以上、 4 0 以下の範囲内に あることが好ましい。 平均粒子径が〇. 5 以上であることで、 加熱成形 時に樹脂およびフイラーが容易に流動するこ とが可能となり、 放熱シートに おける界面接着力を高めることができると考 えられる。 平均粒子径が 4 0 以下であることで、 放熱シートの絶縁破壊特性を維持しやすくな る。 〇 2020/175377 35 卩(:170? 2020 /007124

[0162] その他の無機フイラーとしては、 電気絶縁性のものを使用することができ 、 炭素、 金属炭化物、 金属酸化物および金属窒化物からなる群から 選ばれる 少なくとも 1種の粒子が挙げられる。 炭素の例としては、 ダイヤモンドなど が挙げられる。 金属炭化物の例としては、 炭化ケイ素、 炭化チタン、 炭化夕 ングステンなどが挙げられる。 金属酸化物の例としては、 酸化マグネシウム 、 酸化アルミニウム、 酸化ケイ素、 酸化カルシウム、 酸化亜鉛、 酸化イッ ト リウム、 酸化ジルコニウム、 酸化セリウム、 酸化イッテルビウム、 サイアロ ン (ケイ素、 アルミニウム、 酸素、 窒素からなるセラミックス) 等が挙げら れる。 金属窒化物の例としては、 本発明の巳 1\1凝集粒子以外の窒化ホウ素、 窒化アルミニウム、 窒化ケイ素等が挙げられる。

[0163] その他の無機フイラーの形状について制限は なく、 粒子状、 ウイスカー状 、 繊維状、 板状、 またはそれらの凝集体であってもよい。

[0164] これらの無機フイラーは、 表面処理剤により表面処理がされていてもよ い 。 表面処理剤は、 公知の表面処理剤を用いることができる。

[0165] これらの無機フイラーは、 1種を単独で用いてもよく、 2種以上を任意の 組み合わせおよび比率で混合して用いてもよ い。

[0166] 本発明の組成物における無機フイラーの含有 量は、 溶剤を除く本発明の組 成物 1 0 0重量%中に 3 0重量%以上が好ましく、 4 0重量%以上がより好 ましく、 5 0重量%以上がさらに好ましい。 また、 無機フイラーの含有量は 、 9 9重量%以下が好ましく、 9 0重量%以下がより好ましく、 8 0重量% 以下がさらに好ましい。

無機フイラーの含有量が上記下限以上である ことで、 無機フイラーを含有 することによる熱伝導性の向上効果や、 線膨張係数の制御効果を十分に得る ことができる。 無機フイラーの含有量が上記上限以下である ことで、 硬化物 の成形性や後述の複合成形体における界面接 着性が得られる傾向にある。

[0167] 無機フイラーとして、 本発明の巳1\1凝集粉末とアルミナ等の球状フ イラー とを併用する場合、 本発明の組成物中の本発明の巳 !\1凝集粉末と球状フイラ 一との含有量比は特に限定されないが、 重量比で 9 0 : 1 0〜 1 0 : 9 0で 〇 2020/175377 36 卩(:170? 2020 /007124

あることが好ましく、 8 0 : 2 0 ~ 2 0 : 8 0であることが好ましい。

[0168] 本発明の巳 1\1凝集粉末を用いることによる効果を有効に 得る上で、 用いる 無機フイラー中の 3 0重量%以上、 特に 4 0重量%以上は本発明の巳 1\1凝集 粉末であることが好ましい。 本発明においては、 無機フイラーとして、 本発 明の巳 1\1凝集粉末のみ又は、 本発明の巳 1\1凝集粉末と上記の球状フイラーの みを用いることが好ましい。

[0169] <本発明の組成物の製造方法>

本発明の組成物は、 本発明の巳 !\1凝集粉末を含む無機フイラー、 熱硬化性 樹脂等の樹脂成分、 および必要に応じて添加されるその他の成分 を撹拌や混 練によって均一に混合することによって得る ことができる。 混合には、 例え ば、 ミキサー、 二ーダー、 単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置を 用い ることができる。 混合に際しては、 必要に応じて加熱してもよい。

[0170] 各配合成分の混合順序も、 反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がな い 限り任意であるが、 例えば熱硬化性樹脂成分を有機溶剤 (例えば、 メチルェ チルケトン) に混合 ·溶解させて樹脂液を作成し、 得られた樹脂液に、 無機 フイラー、 その他の成分を十分混合したものを加えて混 合し、 その後、 粘度 調整用として更に有機溶剤を加えて混合した 後に、 更に、 硬化剤や硬化促進 剤、 或いは、 分散剤等の添加剤を加えて混合する方法が挙 げられる。

[0171 ] 〔放熱シート〕

本発明の組成物を用いてシート状硬化物とし て本発明の放熱シートを製造 する方法を以下に説明する。

シート状硬化物は通常用いられる方法により 製造することができる。 例え ば、 本発明の組成物をシート状に成形して硬化さ せることにより得ることが できる。

[0172] 本発明の組成物を、 シート状に成形する方法は一般に用いられる 方法を用 いることができる。

例えば、 本発明の組成物が可塑性や流動性を有する場 合、 該組成物を所望 の形状で、 例えば型へ収容した状態で硬化させることに よって成形すること 〇 2020/175377 37 卩(:170? 2020 /007124

ができる。 この場合、 射出成形、 射出圧縮成形、 押出成形、 圧縮成形、 真空 圧縮成形を利用することができる。

[0173] 本発明の組成物中の溶剤は、 ホッ トプレート、 熱風炉、 丨 加熱炉、 真空 乾燥機、 高周波加熱機など公知の加熱方法で除去する ことができる。

また、 シート状硬化物は、 本発明の組成物の硬化物を所望の形状に削り 出 すことによっても得ることができる。

[0174] シート状硬化物はまた、 本発明の組成物のスラリー (以下 「シート用スラ リー」 と称す。 ) をドクターブレード法、 溶剤キャスト法又は押し出し成膜 法等の方法でシート状に成形することにより 得ることもできる。

[0175] 以下に、 このシート用スラリーを用いたシート状硬化 物の製造方法の一例 について説明する。

[0176] <塗布工程>

まず基材の表面に、 シート用スラリーで塗膜を形成する。

即ち、 シート用スラリーを用いて、 ディップ法、 スピンコート法、 スプレ —コート法、 ブレード法、 その他の任意の方法で基材上に塗膜を形成す る。 シート用スラリーの塗布には、 スピンコーター、 スリッ トコーター、 ダイコ —夕一、 ブレードコーターなどの塗布装置を用いるこ とができる。 これらの 装置により、 基材上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成する ことが可能である

[0177] 基材としては、 後述の銅箔や 巳丁フィルムが一般的に用いられるが、 何 ら限定されるものではない。

[0178] <乾燥工程>

シート用スラリーを塗布することにより形成 された塗膜を、 溶剤や低分子 成分の除去のために、 通常 1 0〜 1 5 0 ° 〇、 好ましくは 2 5〜 1 2 0 ° 〇、 よ り好ましくは 3 0〜 1 1 0 °〇の温度で乾燥する。

乾燥温度が上記上限以下であることで、 スラリー中の熱硬化性樹脂の硬化 が抑制され、 その後のプレスプロセスで樹脂が流れ、 ボイ ドを除去しやすく なる傾向にある。 乾燥温度が上記下限以上であると、 効果的に溶剤を取り除 〇 2020/175377 38 卩(:170? 2020 /007124

くことができる。

[0179] 乾燥時間は、 通常 5分〜 1 0日間、 好ましくは 1 0分〜 3日間、 より好ま しくは 2 0分〜 1 日間、 特に好ましくは 3 0分〜 4時間である。 乾燥時間が 上記下限以上であることで、 十分に溶剤を除去でき、 残留溶剤がシート状硬 化物内のボイ ドとなることを抑制できる傾向にある。 乾燥時間が上記上限以 下であることで、 生産性が向上し、 製造コストを抑制できる傾向にある。

[0180] <加圧工程>

乾燥工程の後には、 無機フイラー同士を接合させヒートパスを形 成する目 的、 シート内のボイ ドや空隙をなくす目的、 基材との密着性を向上させる目 的等から加圧工程を行うことが望ましい。 加圧工程は、 基材上の乾燥膜に 1 まし 好 ましくは より好ましくは

2、 さらに好ましくは 加圧時の加重を上記 上限以下とすることにより、 無機フイラーの二次粒子が破壊することなく 、 シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有 するシートを得ることができる 。 加圧時の加重を上記下限以上とすることによ り、 無機フイラー間の接触が 良好となり、 熱伝導パスを形成しやすくなるため、 高い熱伝導性を有するシ —卜を得ることができる。

[0181 ] 加圧工程では、 基板上の乾燥膜を 2 5 °〇以上で加熱することが望ましい。

この加熱温度は好ましくは 4 0 ° 〇以上、 より好ましくは 5 0 ° 〇以上、 さらに 好ましくは 6 0 °〇以上で、 好ましくは 3 0 0 °〇以下、 より好ましくは 2 5 0 °〇以下、 さらに好ましくは 2 0 0 °〇以下、 特に好ましくは 1 8 0 °〇以下であ る。 この温度範囲で加圧工程を行うことにより、 塗膜中の樹脂の溶融粘度を 低下させることができ、 シート内のボイ ドや空隙をなくすことができる。 カロ 熱温度が上記上限以下であることで、 有機成分が分解する恐れや残留溶剤が 蒸気となり、 ボイ ドを形成する恐れがなく、 好ましい。

[0182] 加圧工程の時間は、 通常 3 0秒以上、 好ましくは 1分以上、 より好ましく 〇 2020/175377 39 卩(:170? 2020 /007124

は 3分以上、 さらに好ましくは 5分以上で、 好ましくは 4時間以下、 より好 ましくは 2時間以下、 さらに好ましくは 1時間以下、 特に好ましくは 4 5分 以下である。 加圧時間が上記上限以下であることで、 シート状硬化物の製造 時間が抑制でき、 生産コストを短縮できる傾向にある。 一方、 加圧時間が上 記下限以上であることで、 シート状硬化物内の空隙やボイ ドを十分に取り除 くことができ、 熱伝達性能や耐電圧特性を向上できる傾向に ある。

[0183] <硬化工程>

完全に硬化反応を行わせる硬化工程は、 加圧下で行ってもよく、 無加圧で 行ってもよいが、 加圧する場合は、 上記と同様の理由から、 上記の加圧工程 と同様の条件で行うことが望ましい。 加圧工程と硬化工程を同時に行っても よい。

特に加圧工程と硬化工程を経るシート化工程 においては、 上記の範囲の加 重をかけて、 加圧、 硬化を行うことが好ましい。

[0184] このようにして形成されるシート状硬化物で ある本発明の放熱シートの厚 さについては特に制限はないが、 好ましくは 5 0 以上、 より好ましくは 1 0 0 以上で、 好ましくは 4 0 0 以下、 より好ましくは 3 0 0 以下である。 放熱シートの厚さが上記下限以上であること で、 耐電圧特性が 得られ、 絶縁破壊電圧が向上する傾向にある。 放熱シートの厚さが上記上限 以下であることで、 デバイスの小型化や薄型化が達成でき、 得られる放熱シ -卜の熱抵抗を抑制できる傾向にある。

[0185] 〔複合成形体〕

本発明の放熱シートは、 本発明の放熱シートと金属部とを積層 _ 体化した 複合成形体として用いることができる。 この場合、 金属部は、 本発明の放熱 シートの一つの面にのみ設けられていてもよ く、 2以上の面に設けられても よい。 例えば、 本発明の放熱シートの一方の面にのみ金属部 を有するもので あってもよく、 両面に金属部を有するものであってもよい。 また、 金属部は 、 パターニングされていてもよい。

[0186] このような複合成形体は、 金属部を上記基材として用い、 この基材上に、 〇 2020/175377 40 卩(:170? 2020 /007124

上記の方法に従って、 本発明の組成物よりなるシート状物を形成す ることで 製造することができる。

[0187] 複合成形体はまた、 金属部とは別の基材上に形成したシート状物 を基材か ら剥した後、 金属部となる金属部材上に加熱圧着すること により製造するこ ともできる。

この場合は、 剥離剤により処理されていてもよい 巳丁等の基材上に塗布 すること以外は上記と同様にして本発明の組 成物よりなるシート状物を形成 した後、 このシート状物を基材から剥し取り、 このシート状物を別の金属板 上に載置し、 或いは 2枚の金属板間に挟んだ状態で、 プレスすることにより _体化すればよい。

[0188] 金属板としては、 銅、 アルミニウム、 ニッケルメッキされた金属等よりな る厚さ 1 〇〜 1 0 0 0 0 程度の金属板を用いることができる。 また金属 板の表面は物理的に粗化処理がなされていて もよいし、 化学的に表面処理剤 等で処理されていてもよい。 樹脂組成物と金属板の密着の観点から、 これら の処理がなされていることがより好ましい。

[0189] 〔半導体デバイス〕

本発明の半導体デバイスは、 本発明の放熱シートが放熱基板として実装さ れたものであり、 その高い熱伝導性による放熱効果と耐電圧特 性で、 高い信 頼性のもとに、 高出力、 高密度化が可能である。 半導体デバイスにおいて、 本発明の放熱シート以外のアルミ配線、 封止材、 パッケージ材、 ヒートシン ク、 サーマルべースト、 はんだというような部材は従来公知の部材を 適宜採 用できる。

実施例

[0190] 以下、 実施例により本発明を更に詳細に説明するが 、 本発明はその要旨を 超えない限り以下の実施例に限定されるもの ではない。

下記の実施例における各種の条件や評価結果 の値は、 本発明の実施態様に おける好ましい範囲同様に、 本願発明の好ましい範囲を示すものである。 本 発明の好ましい範囲は前記した実施態様にお ける好ましい範囲と下記実施例 の値または実施例同士の値の組合せにより示 される範囲を勘案して決めるこ とができる。

[0191] [測定条件]

以下の実施例及び比較例における各種特性や 物性は以下に記載の方法で測 定した。

[0192] <BN凝集粉末の体積平均粒子径 (D 5Q ) >

Ma l v e r n社製 「Mo r p h o l o g i」 を用いて B N凝集粉末の D 5 〇 (M m) を測定した。

[0193] <BN凝集粉末のタップ密度 >

加熱焼成後の試料を風力分級し、 体積平均粒子径で 1 00 Mm未満の粉末 試料を準備した。 この試料を 1 Om I メスシリンダーに入れ、 試料体積が一 定になるまで、 手動にてタッピングを行い、 試料の重量をタッピング後の体 積で除すことにより、 タップ密度を算出した。 上記方法は 1 Om I メスシリ ンダーを用いる以外は J 丨 S R 1 628に準じる方法で行った。

[0194] <B N凝集粉末の粒子間隙容積, B N凝集粒子の粒子内空隙率 >

水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入測定か ら求めた。 マイクロメリテッ クス社製 ·オートポア IVを用いて、 試料を減圧下 (50 1 ~ 19以下) で1 0分間減圧処理をした後、 粉密度、 全細孔容積を求め、 また、 水銀圧入退出 曲線を測定した。 細孔を円筒と仮定して、 その細孔径 2. 0 Mm以上の領域 (分割径) の細孔容積を粒子間隙容積として算出した。

全細孔容積から粒子間隙容積を差し引いて粒 子内細孔容積を求め、 粉の体 積 ( 1 /粉密度) に対する粒子内細孔容積の割合を粒子内空隙 率とした。 なお、 水銀圧入測定は J 丨 S R 1 655に準拠した方法で実施し、 BN の表面張力 485 d y n/c m 2 、 接触角 1 40° 、 測定温度は 23〜 26 °C とした。

[0195] <BN凝集粉末の圧縮破壊強度 >

株式会社島津社製 島津微小圧縮試験機 MCT— 5 1 0を使用し、 室温 (2 〇〜 30°C) において、 試験力 98m N、 負荷速度 4. 84mN/s e c、 〇 2020/175377 42 卩(:170? 2020 /007124

上部加圧圧子に平面 0 1 〇〇 を使用して行った。 粒子径 5 0 前後の 巳 1\1凝集粒子 1粒を選別して試験を行い、 これを 5回実施し、 5回の平均値 で圧縮破壊強度を求めた。 破壊強度は下記の式を用いて算出した。

0 3 = 2 . 4 8 / 71 6 2

〇 3 :圧縮破壊強度

:破壊試験力 (1\1)

:粒子径 (01 01)

[0196] <シ_卜状成形体の厚み方向熱伝導率>

放熱シートの熱伝導率は、 以下の装置と条件で、 厚みの異なる 4つのシー 卜の熱抵抗値を測定し、 シートの厚みに対する熱抵抗値で表される傾 きから 、 定常法での熱伝導率を測定した (八3丁1\/1 0 5 4 7 0準拠) 。

丁 丨 IV!を用いた際のプレス圧力を 3 4 0 0 1< 3としたときの厚み ( )

( 2) 測定面積 丁3 3 ㊀ 「—口

V n I I IV!を用いた際の、 熱を伝達する部分の面積 (〇 2

( 3) 熱抵抗値 丁3 3 ㊀ 「—口

V n I I IV!を用いて、 プレス圧力 3 4 0 0 1< 3で押したときの熱抵抗値 (

(4) 熱伝導率:厚みの異なる 4つのシートの熱抵抗値を測定し、 下記の式 から熱伝導率 ( / [<) を算出した。

式:熱伝導率 ( / [<) = 1 / ( (傾き (熱抵抗値/厚み) /

〇1) ) X (面積: 〇〇! 2 ) ) X I 0 ~ 2

[0197] <シ_卜状成形体の耐電圧特性>

厚さ 1 5 0 のシート状成形体について、 絶縁油中にて、 1分ごとに 5 0 0 Vずつ昇圧していき、 サンプルが破壊される電圧を求めた。

[0198] [巳 1\1スラリーからの巳 1\1凝集粉末の作製 ·評価]

以下の実施例及び比較例で用いた巳 1\1凝集粒子は以下の方法で作製し、 評 価した。 〇 2020/175377 43 卩(:170? 2020 /007124

[0199] <巳1\1スラリーの調製>

(原料)

原料 _巳1\1粉末 (粉末 X線回折測定により得られる (002) 面ピーク の半値幅が 20 = 0. 67° 、 全酸素濃度 =7. 5重量%、 比表面積 1 1 6 2/ 9 、 全細孔容積〇. 754〇〇1 3 /9) : 1 00009

バインダー (多木化学 (株) 製 「タキセラム IV! 1 60 !_」 、 固形分濃度 2 1重量%) : 1 1 4969

界面活性剤 (花王 (株) 製界面活性剤 「アンモニウムラウリルサルフエー 卜」 、 固形分濃度 1 4重量%) : 250 9

[0200] (スラリーの調製)

原料 _巳 1\!粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、 次いでバインダーを 所定量添加した。 さらに、 界面活性剤を所定量添加した後、 ジルコニア製の セラミックボールを添加して、 ポッ トミル回転台で 1時間撹拌し、 スラリー を調製した。

[0201] <造粒>

巳 1\1スラリーからの造粒は、 株式会社ブリス社製スプレードライヤー 2 60を用いて、 ディスク回転数 1 5000〜 20000 「 、 乾燥温度 8 5 °〇で実施した。

[0202] <巳1\1凝集粒子の作製>

上記巳 1\1造粒粉末を、 蓋付き黒鉛ルツボに入れ、 窒素ガスを導入しながら 2000°〇まで 63°〇/時で昇温し、 2000°〇到達後、 そのままの温度を 維持し、 窒素ガスを導入しながら 5時間保持した。 その後、 室温まで冷却し 、 加熱処理済みの試料を得た。

黒鉛ルツボ内の加熱済み試料を、 黒鉛ルツボ内壁面側 (上層、 側周層、 下 層) から、 1 の外部分をサンプル (八) 、 サンプル (八) 部分よりも 1 〇 01内層部分をサンプル (巳) 、 サンプル (巳) 部分からさらに 層部分をサンプル (<3) として、 それぞれを分割して取り分けた。 サンプル (〇) は、 黒鉛ルツボ内壁面側 (上層、 側周層、 下層) から 2 内側の部 〇 2020/175377 44 卩(:170? 2020 /007124

分である。

[0203] く分級 ñ

上記分割して取り分けた加熱処理済みの巳 1\1凝集粉末を、 風力分級した。 風力分級は、 日清エンジニアリング (株) 製八〇_ 1 5を用いて行い、 各分 割サンプル (八) , (巳) 、 (〇 それぞれについて、 1 0 0 未満の粒 子と 1 0 0 以上の粒子に分級した。

[0204] <評価>

分級後、 1 0 0 未満の粒子について、 上記方法に従い、 タップ密度、 粒子間隙容積、 粒子内空隙率及び圧縮破壊強度の測定を行っ た。 また、 平均 粒子径を測定した。 各分割サンプル (八) , (巳) 、 (〇 をそれぞれサン プル N 0 . (八) 一 1〜 (八) 一2、 (巳) 一 1、 (〇 — 1〜 (〇) - 5 とし、 測定結果を表 1 に示す。

[0205] [表 1 ]

[0206] なお、 サンプル 1\1〇. (八) _ 1〜 (八) _ 2、 (巳) _ 1及び (〇) 一

1〜 (〇 _ 5の巳1\1凝集粉末は、 いずれも力ードハウス構造を有すること を、 3巳 IV!観察により確認した。

[0207] [シート状成形体の作製と評価]

以下の実施例及び比較例では、 上記で得られた ( ) _ 1〜 ( ) _ 2、 〇 2020/175377 45 卩(:170? 2020 /007124

(巳) _ 1、 (〇 _ 1〜 (〇 _ 5の巳 1\1凝集粉末をそれぞれ無機フィラ 一として用いて、 以下の方法で巳 !\1凝集粉末含有樹脂組成物を調製し、 シー 卜状成形体を製造した。

[0208] <巳 !\1凝集粉末含有樹脂組成物の調製>

用いた原材料は以下の通りである。

[0209] <熱硬化性樹脂成分>

樹脂成分 1 :特開 2006 _ 1 76658号公報の実施例に開示されるエポ キシ樹脂の製造方法に準拠して製造した、 構造 (2) ( =構造 (4) ) お よび構造 (3) を有する特定エポキシ樹 脂

ポリスチレン換算の重量平均分子量: 30 , 000

エポキシ当量: 9, 0009/当量

樹脂成分 2 :三菱ケミカル社製 ビスフエノール 型固形エポキシ樹脂

ポリスチレン換算の重量平均分子量: 60 , 000

樹脂成分 3 :三菱ケミカル社製 ビスフエノール 型液状エポキシ樹脂 樹脂成分 4 :ナガセケムテックス社製 一分子当たりグリシジル基を 4個以 上有する構造を含む多官能エポキシ樹脂

樹脂成分 5 :三菱ケミカル社製 水添ビスフエノール 型液状エポキシ樹脂 樹脂成分 6 :三菱ケミカル社製 _アミノフエノール型液状エポキシ樹脂 [0210] <硬化剤成分>

硬化剤 1 :明和化成社製 「ME H-8000 H」

フエノール樹脂系硬化剤

[0211] <硬化触媒成分>

硬化触媒 1 :四国化成社製 「2巳41\/12_八」

2, 4—ジアミノー 6— [2, ーエチルー 4, ーメチルイミダ ゾリルー (1 7, ) ] —エチルー トリアジン

(窒素原子を含有する複素環構造としてトリ アジン環を有する 化合物) 〇 2020/175377 46 卩(:170? 2020 /007124

分子量 = 247

硬化触媒 2 :四国化成社製 「01 1 一〇 」

1 —シアノエチルー 2—ウンデシルイミダゾール

分子量 = 275

[0212] <無機フィラー成分 >

無機フィラー 1 : 巳!\1凝集粉末 (〇 _ 1〜 (〇 _5

無機フィラー 2 : 巳!\1凝集粉末 (巳) _ 1

無機フィラー 3 : 巳!\1凝集粉末 ( ) _ 1〜 ( ) _2

無機フィラー 4 : アドマテックス社製、 球状アルミナ粒子

新モース硬度: 9

体積平均粒子径: 6. 5

熱伝導率

[0213] <実施例 1 >

自転公転式撹拌装置を用いて、 樹脂成分 1 : 7. 02重量%、 樹脂成分 3 : 7. 02重量%、 樹脂成分 4 : 6. 67重量%、 硬化剤 1 : 7. 37重量 %、 硬化触媒 1 : 〇. 42重量%、 無機フィラー 1 = 5 1. 1 4重量%、 無 機フィラー 4 = 20. 35重量%となるように混合物を調製した。 また上記 混合物を調製する際、 上記混合物が塗布スラリーのうち、 62. 8重量% ( 固形分濃度) となるように、 メチルエチルケトンとシクロへキサノンを各 1 8. 6重量%ずつ用いた。

得られた塗布スラリー (シート用スラリー) をドクターブレード法で 巳 丁製基材に塗布し、 60°〇で 1 20分間加熱乾燥を行った後に、 42°〇、 1 500 レスを行い、 厚さ 1 50 /X のシート状成 形体を得た。 シート状成形体中のメチルエチルケトンおよ びシクロへキサノ ンの合計の含有量は 1重量%以下であった。

[0214] 得られたシート状成形体の熱伝導率と耐電圧 特性を測定し、 結果を表 2に ^した。

[0215] <実施例 2〜 6、 比較例·!〜 2> \¥0 2020/175377 47 卩(:17 2020 /007124 実施例 1の方法に準拠し、 表 2に示す組成にて、 それぞれシート状成形体 を作製し、 その評価を行った。 結果を表 2に示した。

[0216]

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有機溶媒を除く

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粉末を用いることにより、 熱伝導性と耐電圧特性に優れた放熱シートを 実現 できることが分かる。

[0218] 本発明を特定の態様を用いて詳細に説明した が、 本発明の意図と範囲を離 れることなく様々な変更が可能であることは 当業者に明らかである。

本出願は、 2 0 1 9年 2月 2 7日付で出願された日本特許出願 2 0 1 9— 0 3 4 5 1 8に基づいており、 その全体が引用により援用される。