UEHARA YUKO (JP)
YOSHIKAWA YUKO (JP)
MATSUDA ISAO (JP)
YAMADA TAKAKO (JP)
SHIMADA KENSAKU (JP)
UEHARA YUKO (JP)
YOSHIKAWA YUKO (JP)
MATSUDA ISAO (JP)
YAMADA TAKAKO (JP)
JPH08173113A | 1996-07-09 | |||
JP2006525802A | 2006-11-16 | |||
JPS61219345A | 1986-09-29 |
AO ZIHUA. ET AL.: "Starch with a Slow Digestion Property Produced by Altering Its Chain Length, Branch Density, and Crystalline Structure", JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY, vol. 55, 2007, pages 4540 - 4547
Sadao Kumakura (JP)
デキストリンの非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10-52であることを特徴とする分岐デキストリン。 |
10質量%水溶液の浸透圧が70~300mOSMOL/kgである請求項1記載の分岐デキストリン。 |
請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する飲食品。 |
ダイエット食品、エネルギー補給飲料、エネルギー持続食品又は栄養補助食品である請求項3記載の飲食品。 |
請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する栄養補給剤。 |
請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有するエネルギー持続剤。 |
請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する腹持ち剤。 |
デキストリンの水溶液にマルトース生成アミラーゼ及びトランスグルコシダーゼを作用させて分岐デキストリンを製造する方法において、マルトース生成アミラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素単位比を2:1~44:1に調整して作用させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分岐デキストリンの製造方法。 |
マルトース生成アミラーゼがα-マルトース生成アミラーゼである、請求項8に記載の分岐デキストリンの製造方法。 |
デキストリンのDEが2~20である、請求項8又は9に記載の分岐デキストリンの製造方法。 |
デキストリンの濃度が20~50質量%である、請求項8~10のいずれか1項に記載の分岐デキストリンの製造方法。 |
デキストリンが澱粉の酸加水分解物である、請求項8~11のいずれか1項に記載の分岐デキストリンの製造方法。 |
本発明は、消化を受けにくく、しかも浸 圧が低い分岐デキストリン及びその製造方 に関する。本発明はまたこの方法により得 れた分岐デキストリンを含有する飲食品、 養補給剤に関する。
近年、糖尿病患者が急速に増加している とが知られている。糖尿病はインスリンの き、もしくは生産が低下する病気であり、 質を摂取した糖尿病患者は血中糖濃度の上 つまり高血糖を抑制することができない。 血糖が続くと人体に悪影響が及ぼされるた 、糖尿病患者の栄養補給剤に使用される糖 としては、消化を受けにくく、血糖値の上 を抑制するものが求められている。加えて 栄養補給剤に使用される糖質としては、グ コースや砂糖などでは浸透圧が高く、浸透 性の下痢を誘発するため、澱粉を酸または 素で加水分解して得られるデキストリンな 浸透圧の低いものが求められている。よっ 、糖尿病患者にとって、消化を受けにくく しかも浸透圧が低い糖質の開発は極めて有 である。また、消化を受けにくく、しかも 透圧が低い糖質は、ダイエット食品、エネ ギー補給飲料、及び栄養補助食品などの糖 源としても利用が可能であり、開発する意 はきわめて大きい。
デキストリンはグルコースを構成単位とし
、α-1,4グルコシド結合の直鎖構造を形成す
成分と、α-1,6グルコシド結合を含む分岐構
を形成する成分からなっている。そのうち
α-1,6グルコシド結合を含む分岐構造はアミ
ーゼなどの消化酵素により消化(分解)を受
にくい構造である。このため、この分岐構
の割合が高い、いわゆる分岐デキストリン
消化を受けにくいことがこれまでの研究で
らかにされている(特許文献1、2、3、4、非特
許文献1)。
このような研究において、消化を受けにく
デキストリンを得ることを目的とした分岐
キストリンの製造方法には大別して2つの方
法がある。すなわち、「澱粉が本来有する分
岐構造を含む成分を分離、採取して分岐デキ
ストリンを得る方法」及び「酵素の転移反応
によりα-1,6グルコシド結合を合成して分岐デ
キストリンを得る方法」である。
「澱粉が本来有する分岐構造を含む成分を
離、採取して分岐デキストリンを得る方法
では、例えば、澱粉をα-アミラーゼ又は酸
分解し、この分解物をさらにβ-アミラーゼ
るいはα-アミラーゼとβ-アミラーゼの混合
で分解し、α-1,6グルコシド結合の割合の高
高分岐デキストリンを採取することを特徴
する高分岐デキストリンの製造方法(特許文
献1)が知られている。しかし、この製造方法
得られる高分岐デキストリンの収率は僅か2
0%程度であり、効率的な製造方法とは言い難
ものであった。
一方、「酵素の転移反応によりα-1,6グルコ
ド結合を合成して分岐デキストリンを得る
法」では、分岐酵素を用いる方法とα-グル
シダーゼを用いる方法が知られている。
前者の分岐酵素を用いる方法としては、例
ば、デキストリンに分岐酵素を作用させ、
の後引き続いてβ-アミラーゼを作用させ、
分子画分を回収するための分取を行うこと
特徴とする分岐デキストリンの製造方法(特
許文献2)が知られている。しかし、この製造
法は操作が煩雑であり、効率的な製造方法
は言い難いものであった。
後者のα-グルコシダーゼを用いる方法とし
は、例えば、少なくとも70質量%のデキスト
ン溶液を、少なくとも40℃に加熱し、α-グ
コシダーゼを含むグルコシド結合の切断ま
は生成を促進する酵素を作用させて分岐オ
ゴ糖を生成させる方法(特許文献3)が知られ
いる。しかし、この方法は基質濃度が70質量
%以上という制限があり、さらに、生成する
岐オリゴ糖は浸透圧が高く、そのままでは
養補給剤への使用が制限される場合があっ
。
また、例えば、糊化した澱粉にβ-アミラ ゼを乾燥質量当たり0.64%、α-グルコシダー の一種であるトランスグルコシダーゼを乾 質量当たり0.6%(本発明で定める酵素単位で表 すと、添加した2つの酵素単位比は660:1になる )になるよう同時に添加して作用させ、当量 エタノールを加えて遠心分離することで沈 物を得ることを特徴とする分岐澱粉の製造 (非特許文献1)が知られている。しかし、こ 製造方法は基質濃度が僅か4%程度の糊化澱粉 であるのに加えて、エタノール沈殿操作が必 要であるなど、効率的な製造方法とは言い難 いものであった。
また、例えば、固形分濃度が20%以上のデ ストリン溶液にβ-アミラーゼを0.3~1.2質量% α-グルコシダーゼの一種であるトランスグ コシダーゼを0.02~0.4IU/g(本発明で定める酵素 位で表すと、添加した2つの酵素単位比は103 :1~8241:1になる)になるよう同時に添加して作 させ、分岐オリゴ糖を生成させることを特 とする製造方法(特許文献4)が知られている しかし、この製造方法によって生成する分 オリゴ糖は浸透圧が高く、そのままでは栄 補給剤への使用が制限されるものであった 事実、この製造方法で製造されているイソ ルトオリゴ糖は、現在産業レベルで製造さ ているにも関わらず、栄養補給剤のエネル ー源として使用された実績はない。
本発明の目的は、このような状況に鑑み、
化を受けにくく、しかも浸透圧が低い分岐
キストリン及びその効率的な製造方法を提
することである。
本発明の他の目的は、上記分岐デキストリ
を含有する、栄養補給剤、ダイエット食品
エネルギー補給飲料、栄養補助食品等の飲
品を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、上記分岐デ
ストリンを含有するエネルギー持続剤及び
持ち剤を提供することである。
本発明者らは、消化を受けにくく、しかも
透圧が低い分岐デキストリンの製造方法に
いて鋭意研究した結果、デキストリン溶液
β-アミラーゼ及びトランスグルコシダーゼ
同時に作用させて分岐デキストリンを製造
るという、いわゆるイソマルトオリゴ糖の
造において、特に添加する2つの酵素の単位
比に着目した。
なお、本明細書では、学会出版センター発
の「アミラーゼ」(監修:中村道徳、編集:大
正健ら三名、1986年発行)に記載の定義に従
、マルトース生成アミラーゼの内、α-マル
ースを生成するアミラーゼをα-マルトース
成アミラーゼと称し、β-マルトースを生成
るアミラーゼをβ-アミラーゼ又はβ-マルト
ス生成アミラーゼと称する。
従来のイソマルトオリゴ糖を製造する酵素
位比で得られる分岐デキストリンは、消化
受けにくいが浸透圧が高く、そのままでは
用が制限されるものであった。本発明者ら
、添加する2つの酵素単位比を従来にない特
定の範囲とすることにより、意外にも、消化
を受けにくく、しかも浸透圧が低いという2
の性質を兼ね備えた分岐デキストリンを製
できることを見出した。すなわち、固形分
度が好ましくは20質量%以上のデキストリン
液に、マルトース生成アミラーゼとトラン
グルコシダーゼを酵素単位比で2:1~44:1となる
ように調整して作用させると、消化を受けに
くく、しかも浸透圧が低い分岐デキストリン
を製造できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
すなわち、本発明は下記に示す分岐デキス
リン及びその製造方法を提供するものであ
。
1.デキストリンの非還元末端に、グルコース
はイソマルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結
で結合した構造を有し、且つDEが10-52である
ことを特徴とする分岐デキストリン。
2.10質量%水溶液の浸透圧が70~300mOSMOL/kgである
記1記載の分岐デキストリン。
3.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含
する飲食品。
4.ダイエット食品、エネルギー補給飲料、エ
ルギー持続食品又は栄養補助食品である上
3記載の飲食品。
5.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含
する栄養補給剤。
6.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含
するエネルギー持続剤。
7.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含
する腹持ち剤。
8.デキストリンの水溶液にマルトース生成ア
ラーゼ及びトランスグルコシダーゼを作用
せて分岐デキストリンを製造する方法にお
て、マルトース生成アミラーゼとトランス
ルコシダーゼの酵素単位比を2:1~44:1に調整
て作用させることを特徴とする、上記1又は2
に記載の分岐デキストリンの製造方法。
9.マルトース生成アミラーゼがα-マルトース
成アミラーゼである、上記8に記載の分岐デ
キストリンの製造方法。
10.デキストリンのDEが2~20である、上記8又は9
記載の分岐デキストリンの製造方法。
11.デキストリンの濃度が20~50質量%である、上
記8~10のいずれか1項に記載の分岐デキストリ
の製造方法。
12.デキストリンが澱粉の酸加水分解物である
、上記8~11のいずれか1項に記載の分岐デキス
リンの製造方法。
本発明によれば、消化を受けにくく、従っ
低グリセミックインデックス(低GI)の、しか
も浸透圧が低い分岐デキストリンを効率的に
得ることができる。本発明の分岐デキストリ
ンの製造方法は、通常のデキストリンの製造
工程に酵素処理という1ステップを加えるだ
でよいという点、また、使用する酵素は市
品が入手可能であり、添加する酵素の単位
を調節するだけで所望の分岐デキストリン
得られるという点において非常に簡便且つ
率的である。
本発明の方法により得られる分岐デキスト
ンは、摂取後の血糖値の上昇が緩慢である
で、糖尿病対応栄養補給剤、ダイエット食
、エネルギー補給食品、特に持続型エネル
ー補給食品及び栄養補助食品の糖質源など
範な医療食品及び食品分野への応用が期待
きる。
この明細書において、「分岐デキストリン
とは、通常の澱粉を公知の方法で加水分解
て得られる、いわゆる通常のデキストリン
比べて、α-1,6グルコシド結合からなる分岐
造の割合が高いデキストリンを指す。
本発明における「マルトース生成アミラー
の酵素単位」とは、5質量%デキストリン(PDx#
2(DE=11、数平均分子量=1700、平均重合度=10):松
化学工業社製)水溶液を基質として、pH5.5、
応温度55℃の反応条件下において、1分間に1
μmolのマルトースを生成する酵素力を1単位と
したものである。また、「トランスグルコシ
ダーゼの酵素単位」とは、1質量%メチル-α-D-
ルコピラノシド水溶液を基質として、pH5.5
反応温度55℃の反応条件下において、1分間
1μmolのグルコースを生成する酵素力を1単位
したものである。
本発明における浸透圧とは、Brix10%に調整し
た水溶液を氷点降下法により、浸透圧計測器
(VOGEL OM802-D)を用いて測定した値である。本
明の分岐デキストリンの浸透圧は好ましく
90~300mOSMOL/kg程度、より好ましくは100~200mOSMOL/
kgである。
この明細書において、DEとは、「〔(直接還
糖(ブドウ糖として表示)の質量)/(固形分の
量)〕×100」の式で表される値で、ウイルシ
テッターシューデル法による分析値である
本発明の分岐デキストリンのDEは10-52、好ま
くは10-40である。
本発明の分岐デキストリンは、澱粉を公知
方法で加水分解して得たデキストリンにマ
トース生成アミラーゼとα-グルコシダーゼ
一種であるトランスグルコシダーゼを酵素
位比で2:1~44:1程度、好ましくは10:1~30:1にな
よう調整したものを同時に添加して作用さ
ることで調製することができる。酵素単位
が2:1~44:1の範囲から外れると、消化を受けに
くく、しかも浸透圧が低いという2つの性質
兼ね備えた分岐デキストリンを調製するこ
が困難になる。
具体的には、まず、澱粉を公知の方法で加
分解してデキストリンを得る。原料となる
粉は、例えば、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、
鈴薯澱粉などの地下澱粉、あるいはコーン
ターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、
どの地上澱粉などを利用することができる
デキストリンのDEは好ましくは2~20程度、さ
に好ましくは5~12程度がよい。DEが低すぎる
溶液状態で保存した時に白濁する(老化する
)要因となり、反対に高すぎると最終製品の
透圧が高くなる要因となる。
澱粉の加水分解の方法としては、α-アミラ
ゼ等による酵素分解、酸分解及びそれらの
み合わせがあり、いずれの方法も使用でき
が、工程の短縮化及び生成する分岐デキス
リンの低粘度化という点で酸分解が好まし
。酸としては、シュウ酸、塩酸、等が使用
きるが、シュウ酸が好ましい。例えば、タ
オカ澱粉の30質量%水溶液に粉末シュウ酸を
えてpH1.8~2.0に調整し、100~130℃で40~80分程度
理すれば良い。
次に、デキストリン濃度を好ましくは20~50
量%、より好ましくは20~40質量%、pHを好まし
は4.0~7.0、より好ましくは5.5程度に調整する
これに、マルトース生成アミラーゼとトラ
スグルコシダーゼの酵素単位比が2:1~44:1程
、好ましくは10:1~30:1になるよう調整したも
を適量、例えば、デキストリン水溶液100質
部に対して好ましくは0.1~1.0質量部程度添加
、好ましくは50~60℃、さらに好ましくは55℃
程度で酵素反応を好ましくは0.25~44時間、さ
に好ましくは0.5~3.0時間行う。
次いで、反応混合物中の酵素の失活処理を
う。例えば、95℃で30分間処理するか、酸を
用いてpHを3.5以下に調整してマルトース生成
ミラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素
応を終了させる。
マルトース生成アミラーゼとしては市販品
使用でき、例えばビオザイムML(アマノエン
イム社製)やβ-アミラーゼ#1500S(ナガセケム
ックス社製)はβ-マルトース生成アミラーゼ(
β-アミラーゼ)であり、ビオザイムL(アマノエ
ンザイム社製)はα-マルトース生成アミラー
である。この内、ビオザイムLは老化安定性
優れた分岐デキストリンを生成するという
で好ましい。また、トランスグルコシダー
としては同様に市販品が使用でき、トラン
グルコシダーゼL「アマノ」(アマノエンザ
ム社製)やトランスグルコシダーゼL-500(ジェ
ンコア協和社製)などがある。
以上の酵素反応では、必要に応じてα-アミ
ーゼを同時に添加して作用させてもよいし
反応終了後に作用させてもよい。また、こ
らの酵素反応は遊離の酵素であっても、固
化された酵素であってもよい。固定化酵素
場合、反応方法はバッチ式及び連続式のい
れでもよい。固定化方法としては、担体結
法、包括法あるいは架橋法など、公知の方
を利用することができる。
最後に、活性炭処理、珪藻土ろ過、イオ 交換樹脂等を用いた公知の方法で脱塩し、 縮後噴霧乾燥により粉末品とするか、70質 %程度に濃縮して液状品とする。さらに、上 酵素反応液をクロマト分離装置や膜分離装 を用いて分画処理を行ない、浸透圧を上昇 せる低分子成分を必要最小限になるまで分 除去してもよい。
このようにして得られる分岐デキストリン
、分子内に分岐構造及び/又は直鎖構造を有
する澱粉分解物(デキストリン)の非還元末端
、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα-1
,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且
DEが10-52である。そして、浸透圧が、好まし
くは70~300mOSMOL/kg程度、より好ましくは100~200mO
SMOL/kgである。
さらに、非還元末端にグルコース又はイソ
ルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結合で結合
たグルコース、すなわち「→6)-Glcp-(1→」の
割合が、好ましくは5質量%以上、さらに好ま
くは8質量%以上、特に好ましくは10~30質量%
あり、内部の分岐構造を有するグルコース
すなわち「→4,6)-Glcp-(1→」の割合が、好ま
くは5~13質量%、さらに好ましくは6~10質量%で
る。
これらの結合の割合は、Hakomoriのメチル化
を改変したCiucanuらの方法(Carbohydr. Res., 1984,
131, 209-217)により、確認できる。
この分岐デキストリンは、消化吸収が緩や
で、従って低GIであり、しかも浸透圧が低
ので、糖尿病対応栄養補給剤、ダイエット
品、エネルギー補給食品及び栄養補助食品
糖質源など、広範な医療食品及び食品分野
の応用が期待できる。
本発明の分岐デキストリンは、そのままの
態で上記栄養補給剤、食品として使用でき
が、好ましくは、経腸栄養剤、食事代替飲
、持続型エネルギー補給剤、ゼリー等に好
しくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質
%程度含有させることが適当である。
また、本発明の分岐デキストリンを経腸栄
剤、食事代替飲料、持続型エネルギー補給
、ゼリー等の前記飲食品、栄養補給剤に使
する場合、他の機能性食品素材、例えば難
化性デキストリンと併用すれば、その効果
一層高めることが期待できる。
以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を
体的に説明するが、本発明は以下の実施例
限定されるものではない。
まず、β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質、す
わち、消化を受けにくく、しかも浸透圧が
いという性質に及ぼす影響を調べるため、
施例1~3及び比較例1~4では、表1に示した酵素
単位比で分岐デキストリンを調製した。
実施例1(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)95単位およびトランスグルコシダ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:ア
マノエンザイム社製)45単位を同時に添加して
酵素単位比が2:1の条件とし、55℃で反応を開
させた。反応開始から90分後及び180分後に
部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分間
持して反応を停止させた。それぞれ珪藻土
過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)
用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ108mOSMOL/kg
び181mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは
れぞれ15.3及び24.9)。
試験例1(in vitro消化性試験)
得られた分岐デキストリンに対してin vitro
化性試験を行った。
本発明におけるin vitro消化性試験とは、生
内における糖質消化性の模擬試験であり、E
nglystら(European Journal of Clinical Nutrition、1992
46S33~S50)の方法に基づいた変法で、糖質(本
明ではデキストリン)が酵素混合溶液(ブタ膵
臓アミラーゼおよびラット小腸粘膜酵素)に
って分解を受けて放出されるグルコース量
経時的に測定する試験である。
使用するブタ膵臓アミラーゼはRoche社製(1923
0U/ml)を用いた。また、ラット小腸粘膜酵素は
Sigma社製のラット小腸アセトンパウダーを以
の通りに調製して用いた。すなわち、ラッ
小腸アセトンパウダー1.2gを45mM Bis-Tris・Cl
Buffer(pH6.6)/0.9mMCaCl 2
15mlで懸濁し、ホモジナイズした後、3000rpm
10分遠心分離し、その上清をラット小腸粘膜
酵素の粗酵素液とした。粗酵素液の活性は26m
Mマルトース溶液において1分間に1mmolのマル
ースを分解する活性を1Uとして算出した。
被検物質を緩衝溶液(45mM Bis-Tris・Cl Buffer(pH 6.6)/0.9mMCaCl 2 )に溶解し、0.24質量%の被検物質溶液を調製し た。被検物質は、コントロールとして一般的 なデキストリン(TK-16:松谷化学工業社製/DE=18) 実施例1で得られた浸透圧が108mOSMOL/kgと181mOS MOL/kgの分岐デキストリンを使用した。これら の被検物質溶液2.5mlをそれぞれ試験管にとり 37℃の恒温槽で10分間加温したのち、酵素混 合溶液(ブタ膵臓アミラーゼ(384.6U/ml)50μl+ラッ ト小腸粘膜酵素(6.0U/ml)140μl+緩衝溶液310μl)0.5m lをそれぞれ添加し、よく混合して反応を開 した。反応開始後15秒、10分、30分、1時間、1 .5時間、2時間、3時間、4時間、6時間後に反応 溶液200μlと0.5M過塩素酸50μlをそれぞれ混合し て反応を停止した。これらの反応停止溶液の グルコース濃度を、グルコースCIIテストワコ ー(和光純薬工業社製)を用いて定量した。図1 に示す結果から、実施例1で得られた分岐デ ストリンは2品共にTK-16に比べ、ブタ膵臓ア ラーゼとラット小腸粘膜酵素によって分解 受けにくく、ゆっくり消化されることが確 された。
実施例2(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)950単位およびトランスグルコシ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:
マノエンザイム社製)45単位を同時に添加し
酵素単位比が21:1の条件とし、55℃で反応を
始させた。反応開始から30分後及び180分後に
一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分
保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻
濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)
を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ105mOSMOL/kg
及び189mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは
それぞれ14.9及び26.9)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図2に
す結果から、実施例2で得られた分岐デキス
リンは2品共にTK-16に比べ、ブタ膵臓アミラ
ゼとラット小腸粘膜酵素によって分解を受
にくく、ゆっくり消化されることが確認さ
た。
実施例3(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)1782単位およびトランスグルコシ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:
マノエンザイム社製)40.5単位を同時に添加
て酵素単位比が44:1の条件とし、55℃で反応
開始させた。反応開始から15分後及び90分後
一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分
間保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻
土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社
)を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ103mOSMOL/
kg及び178mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DE
それぞれ13.1及び23.8)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図3に
す結果から、実施例3で反応90分後に得られ
浸透圧178mOSMOL/kgの分岐デキストリンはTK-16に
比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘膜
酵素によって分解を受けにくく、ゆっくり消
化されることが確認された。一方、浸透圧103
mOSMOL/kgの分岐デキストリンはコントロールで
あるTK-16とほぼ同様であった。
比較例1(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、トランスグルコシダーゼ(トランスグル
コシダーゼL「アマノ」:アマノエンザイム社
)のみを54単位添加し、55℃で反応を開始さ
た。反応開始から60分後及び480分後に一部を
サンプリングし、それぞれ95℃で15分間保持
て反応を停止させた。それぞれ珪藻土濾過
び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用い
て脱塩し、浸透圧が106mOSMOL/kgと179mOSMOL/kgの分
岐デキストリンを得た(DEはそれぞれ14.6及び26
.8)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図4に
す結果から、比較例1で得られた分岐デキス
リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様
あることが確認された。
比較例2(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)2970単位およびトランスグルコシ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:
マノエンザイム社製)22.5単位を同時に添加
て酵素単位比が132:1の条件とし、55℃で反応
開始させた。反応開始から15分後及び60分後
に一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15
間保持して反応を停止させた。それぞれ珪
土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社
)を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ124mOSMOL
/kg及び184mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DE
はそれぞれ17.1及び26.1)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図5に
す結果から、比較例2で得られた分岐デキス
リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様
あることが確認された。
比較例3(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)2970単位およびトランスグルコシ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:
マノエンザイム社製)9単位を同時に添加し
酵素単位比が330:1の条件とし、55℃で反応を
始させた。反応開始から15分後及び75分後に
一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分
保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻
濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)
を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ125mOSMOL/kg
及び191mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは
それぞれ17.0及び27.4)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図6に
す結果から、比較例3で得られた分岐デキス
リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様
あることが確認された。
比較例4(β-アミラーゼとトランスグルコシダ
ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及
す影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶
し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン
ザイム社製)4930.2単位およびトランスグルコ
ダーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」
:アマノエンザイム社製)7.47単位を同時に添加
して酵素単位比が660:1の条件とし、55℃で反
を開始させた。反応開始から15分後及び45分
に一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15
分間保持して反応を停止させた。それぞれ珪
藻土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ
製)を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ143mOSM
OL/kg及び194mOSMOL/kgの分岐デキストリン液状品
得た(DEはそれぞれ19.9及び29.6)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
と同様のin vitro消化性試験を行った。図7に
す結果から、比較例4で得られた分岐デキス
リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様
あることが確認された。
以上の実施例1~3及び比較例1~4で得られた分
デキストリンについて行ったin vitro消化性
験より得られた消化性の評価結果を表2にま
とめた。
表2より、β-アミラーゼとトランスグルコシ
ダーゼの酵素単位比が2:1~44:1の範囲では、消
を受けにくく、しかも浸透圧が低いという2
つの性質を兼ね備えた分岐デキストリンを得
ることができるが、酵素単位比が2:1~44:1の範
外では同様の分岐デキストリンを得ること
できないことが確認された。
実施例4(基質濃度が分岐デキストリンの性質
及ぼす影響および反応効率に及ぼす影響)
基質となるデキストリン(PDX#1:松谷化学工業
社製/DE=8)150gを、それぞれ基質濃度が20質量%
30質量%、40質量%、50質量%、60質量%になるよ
に緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))を用い
溶解し、それぞれにβ-アミラーゼ(ビオザイ
ML:アマノエンザイム社製)950単位およびトラ
ンスグルコシダーゼ(トランスグルコシダー
L「アマノ」:アマノエンザイム社製)45単位を
同時に添加して酵素単位比が21:1の条件とし
55℃で反応を開始した。各基質濃度における
反応時間と得られた分岐デキストリンの浸透
圧及びDEを表3に示す。
表3に示す条件で得られた分岐デキストリン
に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験
行った。図8に示す結果から、得られた分岐
キストリンは何れの基質濃度条件であって
、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラッ
小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく、
じ程度にゆっくり消化されることが確認さ
た。
表3と図8の結果より、何れの基質濃度にお
ても、消化を受けにくく、しかも浸透圧が
いという2つの性質を兼ね備えた分岐デキス
リンを製造できることが確認された。また
基質濃度が低いほど、反応時間が短く、反
効率が良いことが確認された。
実施例5(酵素添加量が分岐デキストリンの性
に及ぼす影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)125
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液(pH5.5))125gに溶解
し、表4の条件1、2に示した単位の酵素(β-ア
ラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素単
比はいずれも21:1であるが添加量が違う)をそ
れぞれ同時に添加し、55℃で反応を開始させ
。条件1は反応開始から44時間後及び条件2は
反応開始から2.5時間後に一部をサンプリング
し、それぞれ95℃で15分間保持して反応を停
させた。それぞれ珪藻土濾過及び両性イオ
交換樹脂(オルガノ社製)を用いて脱塩し、浸
透圧がそれぞれ188mOSMOL/kgと193mOSMOL/kgの分岐デ
キストリン液状品を得た(DEはそれぞれ27.6及
28.3)。
**:トランスグルコシダーゼL「アマノ」:アマ
エンザイム社製
表4に示す反応条件で得られた分岐デキスト
リンに対して試験例1と同様のin vitro消化性
験を行った。図9に示す結果から、得られた
岐デキストリンは何れの酵素添加量であっ
も、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラ
ト小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく
同じ程度にゆっくり消化されることが確認
れた。
しかし、酵素単位比を同じにして酵素添加
を減らすと、所望の浸透圧の分岐デキスト
ンの生成に要する時間が増加することが確
された。
実施例6(マルトース生成アミラーゼの種類が
岐デキストリンの性質に及ぼす影響)
デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)125
gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))125gに溶
し、表5の条件1、2に示した酵素(マルトース
生成アミラーゼは950単位、トランスグルコシ
ダーゼは45単位、すなわちそれぞれの単位比
21:1になるように)を同時に添加し、55℃で反
応を開始させた。条件1、2共に反応開始から1
.5時間後、それぞれ95℃で15分間保持して反応
を停止させた。それぞれ珪藻土濾過及び両性
イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用いて脱塩
、浸透圧がそれぞれ143mOSMOL/kgと145mOSMOL/kgの
岐デキストリン液状品を得た(DEはそれぞれ2
1.2及び21.2)。
**ビオザイムL(アマノエンザイム社製)
***トランスグルコシダーゼL「アマノ」(アマ
エンザイム社製)
表5の反応条件で得られた分岐デキストリン
に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験
行った。図10に示す結果から、得られた分岐
デキストリンは何れの条件であっても、TK-16
比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘
酵素によって分解を受けにくく、同じ程度
ゆっくり消化されることが確認された。
(老化安定性試験)
次に、実施例6で得られた表5の分岐デキス
リン溶液に対して「老化安定性試験」を行
た。本発明における「老化安定性試験」と
、Brix50%に調整した溶液を-20度にて冷凍した
、室温で解凍し、Brix30に調整した後、分光
度計にて溶液の濁度(OD720nm、1cmセル換算)を
定する。この操作を、溶液の濁度が上昇す
まで、あるいは5回繰り返して溶液の濁度を
測定する方法である。この方法では、老化安
定性が悪いデキストリンは5回繰り返す前に
液の濁度が上昇するが、老化安定性が良い
キストリンは5回繰り返しても溶液の濁度は
昇しないことで評価される。老化安定性試
の結果を表6に示した。表6の結果より、条
2のα‐マルトース生成アミラーゼを作用さ
て得られた分岐デキストリンの方が老化安
性に優れていることが確認された。
実施例7(原料となるデキストリンのDEが分岐
キストリンの性質に及ぼす影響)
タピオカ澱粉を表7に示す公知の分解方法で
分解し、表7に示すDEまで分解したデキストリ
ン125gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))125g
溶解し、それぞれにα-マルトース生成アミ
ーゼ(ビオザイムL:アマノエンザイム社製)950
単位およびトランスグルコシダーゼ(トラン
グルコシダーゼL「アマノ」:アマノエンザイ
ム社製)45単位、すなわち酵素単位比が21:1に
るように調製したものを同時に添加し、表7
示した時間作用させ、95℃で15分間保持して
反応を停止させた。それぞれ珪藻土濾過及び
両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用いて
塩し、表7に示した浸透圧の分岐デキストリ
ン液状品を得た。
表7に示す条件で得られた分岐デキストリン
に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験
行った。図11に示す結果から、得られた分岐
デキストリンは何れの条件であっても、TK-16
比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘
酵素によって分解を受けにくく、同じ程度
ゆっくり消化されることが確認された。
次に、得られた表7の分岐デキストリン溶液
に対して実施例6と同様の老化安定性試験を
った。表8の結果より、いずれの条件であっ
も分岐デキストリンの老化安定性は良いこ
が確認された。
(粘度測定)
実施例7で得られた表7の分岐デキストリン
液に対して「粘度」を測定した。本発明に
ける「粘度」とは、VISCOMETER MODEL BMにより
下の条件で測定する。濃度:30質量%、測定温
:30℃、回転数:60rpm、ホールド時間:30秒。
表9の結果より、条件4でDE11.9まで分解した
料を用いて得られた分岐デキストリンが最
粘度が低いことが確認された。
実施例8(低DEの分岐デキストリンの調製及び
の性質)
タピオカ澱粉を公知の分解方法で分解して
られたDE=5.2のデキストリン135gを緩衝溶液(0.
1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))265gに溶解し、α-マル
ース生成アミラーゼ(ビオザイムL:アマノエ
ザイム社製)210単位およびトランスグルコシ
ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:
マノエンザイム社製)10単位、すなわち酵素
位比が21:1になるように調製したものを同時
に添加して反応を開始させた。15、30、45、90
び135分後、それぞれ50gを採取して95℃で15分
間保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻
土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社
)を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ53、61、
73、101及び141mOSMOL/kgの分岐デキストリン液状
を得た(DEはそれぞれ8.3、9.5、10.9、14.4及び20
.0)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1
同様のin vitro消化性試験を行った。図12に示
す結果から、DE=10.9以上の分岐デキストリン
、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット
小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく、ゆ
っくり消化されることが確認された。一方、
DE=9.5以下の分岐デキストリンはコントロール
であるTK-16とほぼ同様であることが確認され
。
実施例9(分岐デキストリンの分岐度分析)
本発明により製造したデキストリンの結合
式を測定するため、Ciucanuらの方法に従って
メチル化分析を行った。実施例7の条件4で調
した浸透圧が140mOSMOL/kgの分岐デキストリン(
DE=20.7)、同条件で18時間反応させて調製した24
4mOSMOL/kgの分岐デキストリン(DE=37.2)、及びデ
ストリン(TK-16:松谷化学工業社製/DE=18)のメチ
ル化分析の結果を表10に示す。この結果より
本発明の製造方法で調製された分岐デキス
リンはデキストリンに対し、分岐構造であ
1→6結合を持つグルコース「→6)-Glcp-(1→」
び「→4,6)-Glcp-(1→」の内、「→4,6)-Glcp-(1→
の割合が増加していた。さらに、デキスト
ンには全く含まれない「→6)-Glcp-(1→」(非
元末端に1,6結合で結合したグルコース)が新
に形成されていた。
実施例10(分岐デキストリンのヒトにおける消
化性試験)
健常成人男女11名(平均年齢34.3±1.1歳)には試
験前日午後9時以降水以外の飲食を禁止した
実施例7の条件4で調製した浸透圧が140mOSMOL/kg
の分岐デキストリン又はデキストリン(グリ
ターP:松谷化学工業社製/DE=15)各50gを水200mLに
溶解して試料とし、試験当日午前9時に摂取
せた。試料摂取前、摂取30、60、90、及び120
後にそれぞれ指先からヘマトクリット管へ
血し、血清グルコース濃度を測定した。
試料摂取前の血糖値を0として、摂取後の血
糖値の上昇量を図13に示し、その曲線下面積(
AUC)を図14に示した。分岐デキストリン摂取後
の血糖値上昇量はデキストリンに比べて少な
い傾向にあった。分岐デキストリンのAUCは、
t検定においてデキストリンより有意に低く
デキストリンのAUCを100とした場合の分岐デ
ストリンのAUC、すなわちグリセミックイン
ックス(GI)は78であった。これより分岐デキ
トリンはデキストリンよりもヒトでの消化
収が緩やかであることが明らかとなった。
の結果より、分岐デキストリンは低GIが求め
られる食品(糖尿病患者の栄養補給剤、ダイ
ット食品、エネルギー補給飲料、栄養補助
品など)への利用が可能であると考えられた
また、消化吸収が緩やかであることから、
ネルギー持続型食品(ダイエット食品、スポ
ーツドリンクなど)への利用が可能であると
えられた。
実施例11(腹持ち試験)
被験者は健常成人男女10名(平均年齢33.8±1.1
)とし、試験前日午後9時以降水以外の飲食
禁止した。試験当日、被験者は朝食を摂ら
い状態で安静の保てる試験室に集合させた
実施例7の条件4で調製した浸透圧が140mOSMOL/kg
の分岐デキストリンまたはデキストリン(グ
スターP:松谷化学工業社製/DE=15)各50gを水200mL
に溶解し、午前9時に被験者に摂取させた。
取前、および摂取3時間後まで30分おきに空
感を以下の5段階にて評価させた。
スコア5:空腹感を感じない
スコア4:少し空腹感を感じる
スコア3:空腹を感じる
スコア2:強く空腹を感じる
スコア1:空腹で耐えられない
空腹感の評価結果を図15に示した。図15より
、分岐デキストリンはデキストリンよりも長
い時間空腹感が少なく、腹持ちが良いという
結果が得られた。これより、分岐デキストリ
ンは腹持ち感やエネルギー持続が求められる
食品(糖尿病患者の栄養補給剤、ダイエット
品、エネルギー補給飲料、栄養補助食品な
)への利用が可能である。
実施例12(経腸栄養剤の調製)
表11の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM
OL/kgの分岐デキストリンを含む経腸栄養剤を
製し、良好な製品を得た。
実施例13(食事代替飲料の調製)
表12の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM
OL/kgの分岐デキストリンを含む食事代替用の
料を調製し、良好な製品を得た。
*2 旭化成株式会社製(アビセルCL‐611S)
*3 三菱化学フーズ株式会社製(シュガーエス
ルP‐1670)
*4 武田薬品工業株式会社製(新バイリッチWS
7L)
*5 高田香料株式会社製(カスタードバニラエ
センスT‐484)
実施例14(エネルギー飲料の調製)
表13の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM
OL/kgの分岐デキストリンを含むエネルギー飲
を調製し、良好な製品を得た。
実施例15(ゼリーの調製)
表14の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM
OL/kgの分岐デキストリンを含むゼリーを調製
、良好な製品を得た。
*2 雄山商事株式会社製
*3 高田香料株式会社製(マスカットエッセン
#50631)
Next Patent: WO/2009/113679