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Title:
BRANCHED DEXTRIN, PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF, AND FOOD OR BEVERAGE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113652
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a branched dextrin which is insusceptible to digestion and has a low osmotic pressure. Also disclosed is a process for producing the branched dextrin. The branched dextrin is characterized by having such a structure that glucose or isomaltooligosaccharide is bound to a non-reducing terminal of dextrin via an α-1,6-glucoside bond and having a DE value of 10 to 52. The process is characterized by comprising allowing maltose-producing amylase and transglucosidase to act on an aqueous dextrin solution to produce the branched dextrin, wherein maltose-producing amylase and transglucosidase are allowed to act at an enzymatic unit ratio of 2:1 to 44:1.

Inventors:
SHIMADA KENSAKU (JP)
UEHARA YUKO (JP)
YOSHIKAWA YUKO (JP)
MATSUDA ISAO (JP)
YAMADA TAKAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054852
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 13, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MATSUTANI KAGAKU KOGYO KK (JP)
SHIMADA KENSAKU (JP)
UEHARA YUKO (JP)
YOSHIKAWA YUKO (JP)
MATSUDA ISAO (JP)
YAMADA TAKAKO (JP)
International Classes:
C08B30/18; A23L1/30; A23L2/52; A23L33/20; C12P19/22
Foreign References:
JPH08173113A1996-07-09
JP2006525802A2006-11-16
JPS61219345A1986-09-29
Other References:
OKUMA K. ET AL.: "Baisho Dextrin Karano Nanshokasei Dextrin no Chosei", JOURNAL OF APPLIED GLYCOSCIENCE, vol. 50, 2003, pages 389 - 394
AO ZIHUA. ET AL.: "Starch with a Slow Digestion Property Produced by Altering Its Chain Length, Branch Density, and Crystalline Structure", JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY, vol. 55, 2007, pages 4540 - 4547
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (JP)
Sadao Kumakura (JP)
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Claims:
 デキストリンの非還元末端に、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且つDEが10-52であることを特徴とする分岐デキストリン。
 10質量%水溶液の浸透圧が70~300mOSMOL/kgである請求項1記載の分岐デキストリン。
 請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する飲食品。
 ダイエット食品、エネルギー補給飲料、エネルギー持続食品又は栄養補助食品である請求項3記載の飲食品。
 請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する栄養補給剤。
 請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有するエネルギー持続剤。
 請求項1又は2に記載の分岐デキストリンを含有する腹持ち剤。
 デキストリンの水溶液にマルトース生成アミラーゼ及びトランスグルコシダーゼを作用させて分岐デキストリンを製造する方法において、マルトース生成アミラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素単位比を2:1~44:1に調整して作用させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分岐デキストリンの製造方法。
 マルトース生成アミラーゼがα-マルトース生成アミラーゼである、請求項8に記載の分岐デキストリンの製造方法。
 デキストリンのDEが2~20である、請求項8又は9に記載の分岐デキストリンの製造方法。
 デキストリンの濃度が20~50質量%である、請求項8~10のいずれか1項に記載の分岐デキストリンの製造方法。
 デキストリンが澱粉の酸加水分解物である、請求項8~11のいずれか1項に記載の分岐デキストリンの製造方法。
Description:
分岐デキストリン、その製造方 及び飲食品

 本発明は、消化を受けにくく、しかも浸 圧が低い分岐デキストリン及びその製造方 に関する。本発明はまたこの方法により得 れた分岐デキストリンを含有する飲食品、 養補給剤に関する。

 近年、糖尿病患者が急速に増加している とが知られている。糖尿病はインスリンの き、もしくは生産が低下する病気であり、 質を摂取した糖尿病患者は血中糖濃度の上 つまり高血糖を抑制することができない。 血糖が続くと人体に悪影響が及ぼされるた 、糖尿病患者の栄養補給剤に使用される糖 としては、消化を受けにくく、血糖値の上 を抑制するものが求められている。加えて 栄養補給剤に使用される糖質としては、グ コースや砂糖などでは浸透圧が高く、浸透 性の下痢を誘発するため、澱粉を酸または 素で加水分解して得られるデキストリンな 浸透圧の低いものが求められている。よっ 、糖尿病患者にとって、消化を受けにくく しかも浸透圧が低い糖質の開発は極めて有 である。また、消化を受けにくく、しかも 透圧が低い糖質は、ダイエット食品、エネ ギー補給飲料、及び栄養補助食品などの糖 源としても利用が可能であり、開発する意 はきわめて大きい。

 デキストリンはグルコースを構成単位とし 、α-1,4グルコシド結合の直鎖構造を形成す 成分と、α-1,6グルコシド結合を含む分岐構 を形成する成分からなっている。そのうち α-1,6グルコシド結合を含む分岐構造はアミ ーゼなどの消化酵素により消化(分解)を受 にくい構造である。このため、この分岐構 の割合が高い、いわゆる分岐デキストリン 消化を受けにくいことがこれまでの研究で らかにされている(特許文献1、2、3、4、非特 許文献1)。
 このような研究において、消化を受けにく デキストリンを得ることを目的とした分岐 キストリンの製造方法には大別して2つの方 法がある。すなわち、「澱粉が本来有する分 岐構造を含む成分を分離、採取して分岐デキ ストリンを得る方法」及び「酵素の転移反応 によりα-1,6グルコシド結合を合成して分岐デ キストリンを得る方法」である。

 「澱粉が本来有する分岐構造を含む成分を 離、採取して分岐デキストリンを得る方法 では、例えば、澱粉をα-アミラーゼ又は酸 分解し、この分解物をさらにβ-アミラーゼ るいはα-アミラーゼとβ-アミラーゼの混合 で分解し、α-1,6グルコシド結合の割合の高 高分岐デキストリンを採取することを特徴 する高分岐デキストリンの製造方法(特許文 献1)が知られている。しかし、この製造方法 得られる高分岐デキストリンの収率は僅か2 0%程度であり、効率的な製造方法とは言い難 ものであった。
 一方、「酵素の転移反応によりα-1,6グルコ ド結合を合成して分岐デキストリンを得る 法」では、分岐酵素を用いる方法とα-グル シダーゼを用いる方法が知られている。

 前者の分岐酵素を用いる方法としては、例 ば、デキストリンに分岐酵素を作用させ、 の後引き続いてβ-アミラーゼを作用させ、 分子画分を回収するための分取を行うこと 特徴とする分岐デキストリンの製造方法(特 許文献2)が知られている。しかし、この製造 法は操作が煩雑であり、効率的な製造方法 は言い難いものであった。
 後者のα-グルコシダーゼを用いる方法とし は、例えば、少なくとも70質量%のデキスト ン溶液を、少なくとも40℃に加熱し、α-グ コシダーゼを含むグルコシド結合の切断ま は生成を促進する酵素を作用させて分岐オ ゴ糖を生成させる方法(特許文献3)が知られ いる。しかし、この方法は基質濃度が70質量 %以上という制限があり、さらに、生成する 岐オリゴ糖は浸透圧が高く、そのままでは 養補給剤への使用が制限される場合があっ 。

 また、例えば、糊化した澱粉にβ-アミラ ゼを乾燥質量当たり0.64%、α-グルコシダー の一種であるトランスグルコシダーゼを乾 質量当たり0.6%(本発明で定める酵素単位で表 すと、添加した2つの酵素単位比は660:1になる )になるよう同時に添加して作用させ、当量 エタノールを加えて遠心分離することで沈 物を得ることを特徴とする分岐澱粉の製造 (非特許文献1)が知られている。しかし、こ 製造方法は基質濃度が僅か4%程度の糊化澱粉 であるのに加えて、エタノール沈殿操作が必 要であるなど、効率的な製造方法とは言い難 いものであった。

 また、例えば、固形分濃度が20%以上のデ ストリン溶液にβ-アミラーゼを0.3~1.2質量% α-グルコシダーゼの一種であるトランスグ コシダーゼを0.02~0.4IU/g(本発明で定める酵素 位で表すと、添加した2つの酵素単位比は103 :1~8241:1になる)になるよう同時に添加して作 させ、分岐オリゴ糖を生成させることを特 とする製造方法(特許文献4)が知られている しかし、この製造方法によって生成する分 オリゴ糖は浸透圧が高く、そのままでは栄 補給剤への使用が制限されるものであった 事実、この製造方法で製造されているイソ ルトオリゴ糖は、現在産業レベルで製造さ ているにも関わらず、栄養補給剤のエネル ー源として使用された実績はない。

特開2001-11101

特開2005-213496

US2007/0172931

特開昭61-219345 J.Agric.Food Chem.2007,55,4540-4547

 本発明の目的は、このような状況に鑑み、 化を受けにくく、しかも浸透圧が低い分岐 キストリン及びその効率的な製造方法を提 することである。
 本発明の他の目的は、上記分岐デキストリ を含有する、栄養補給剤、ダイエット食品 エネルギー補給飲料、栄養補助食品等の飲 品を提供することである。
 さらに、本発明の他の目的は、上記分岐デ ストリンを含有するエネルギー持続剤及び 持ち剤を提供することである。

 本発明者らは、消化を受けにくく、しかも 透圧が低い分岐デキストリンの製造方法に いて鋭意研究した結果、デキストリン溶液 β-アミラーゼ及びトランスグルコシダーゼ 同時に作用させて分岐デキストリンを製造 るという、いわゆるイソマルトオリゴ糖の 造において、特に添加する2つの酵素の単位 比に着目した。
 なお、本明細書では、学会出版センター発 の「アミラーゼ」(監修:中村道徳、編集:大 正健ら三名、1986年発行)に記載の定義に従 、マルトース生成アミラーゼの内、α-マル ースを生成するアミラーゼをα-マルトース 成アミラーゼと称し、β-マルトースを生成 るアミラーゼをβ-アミラーゼ又はβ-マルト ス生成アミラーゼと称する。
 従来のイソマルトオリゴ糖を製造する酵素 位比で得られる分岐デキストリンは、消化 受けにくいが浸透圧が高く、そのままでは 用が制限されるものであった。本発明者ら 、添加する2つの酵素単位比を従来にない特 定の範囲とすることにより、意外にも、消化 を受けにくく、しかも浸透圧が低いという2 の性質を兼ね備えた分岐デキストリンを製 できることを見出した。すなわち、固形分 度が好ましくは20質量%以上のデキストリン 液に、マルトース生成アミラーゼとトラン グルコシダーゼを酵素単位比で2:1~44:1となる ように調整して作用させると、消化を受けに くく、しかも浸透圧が低い分岐デキストリン を製造できることを見出し、本発明を完成す るに至った。

 すなわち、本発明は下記に示す分岐デキス リン及びその製造方法を提供するものであ 。
1.デキストリンの非還元末端に、グルコース はイソマルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結 で結合した構造を有し、且つDEが10-52である ことを特徴とする分岐デキストリン。
2.10質量%水溶液の浸透圧が70~300mOSMOL/kgである 記1記載の分岐デキストリン。
3.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含 する飲食品。
4.ダイエット食品、エネルギー補給飲料、エ ルギー持続食品又は栄養補助食品である上 3記載の飲食品。
5.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含 する栄養補給剤。
6.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含 するエネルギー持続剤。
7.上記1又は2に記載の分岐デキストリンを含 する腹持ち剤。
8.デキストリンの水溶液にマルトース生成ア ラーゼ及びトランスグルコシダーゼを作用 せて分岐デキストリンを製造する方法にお て、マルトース生成アミラーゼとトランス ルコシダーゼの酵素単位比を2:1~44:1に調整 て作用させることを特徴とする、上記1又は2 に記載の分岐デキストリンの製造方法。
9.マルトース生成アミラーゼがα-マルトース 成アミラーゼである、上記8に記載の分岐デ キストリンの製造方法。
10.デキストリンのDEが2~20である、上記8又は9 記載の分岐デキストリンの製造方法。
11.デキストリンの濃度が20~50質量%である、上 記8~10のいずれか1項に記載の分岐デキストリ の製造方法。
12.デキストリンが澱粉の酸加水分解物である 、上記8~11のいずれか1項に記載の分岐デキス リンの製造方法。

 本発明によれば、消化を受けにくく、従っ 低グリセミックインデックス(低GI)の、しか も浸透圧が低い分岐デキストリンを効率的に 得ることができる。本発明の分岐デキストリ ンの製造方法は、通常のデキストリンの製造 工程に酵素処理という1ステップを加えるだ でよいという点、また、使用する酵素は市 品が入手可能であり、添加する酵素の単位 を調節するだけで所望の分岐デキストリン 得られるという点において非常に簡便且つ 率的である。
 本発明の方法により得られる分岐デキスト ンは、摂取後の血糖値の上昇が緩慢である で、糖尿病対応栄養補給剤、ダイエット食 、エネルギー補給食品、特に持続型エネル ー補給食品及び栄養補助食品の糖質源など 範な医療食品及び食品分野への応用が期待 きる。

 この明細書において、「分岐デキストリン とは、通常の澱粉を公知の方法で加水分解 て得られる、いわゆる通常のデキストリン 比べて、α-1,6グルコシド結合からなる分岐 造の割合が高いデキストリンを指す。
 本発明における「マルトース生成アミラー の酵素単位」とは、5質量%デキストリン(PDx# 2(DE=11、数平均分子量=1700、平均重合度=10):松 化学工業社製)水溶液を基質として、pH5.5、 応温度55℃の反応条件下において、1分間に1 μmolのマルトースを生成する酵素力を1単位と したものである。また、「トランスグルコシ ダーゼの酵素単位」とは、1質量%メチル-α-D- ルコピラノシド水溶液を基質として、pH5.5 反応温度55℃の反応条件下において、1分間 1μmolのグルコースを生成する酵素力を1単位 したものである。

 本発明における浸透圧とは、Brix10%に調整し た水溶液を氷点降下法により、浸透圧計測器 (VOGEL OM802-D)を用いて測定した値である。本 明の分岐デキストリンの浸透圧は好ましく 90~300mOSMOL/kg程度、より好ましくは100~200mOSMOL/ kgである。
 この明細書において、DEとは、「〔(直接還 糖(ブドウ糖として表示)の質量)/(固形分の 量)〕×100」の式で表される値で、ウイルシ テッターシューデル法による分析値である 本発明の分岐デキストリンのDEは10-52、好ま くは10-40である。

 本発明の分岐デキストリンは、澱粉を公知 方法で加水分解して得たデキストリンにマ トース生成アミラーゼとα-グルコシダーゼ 一種であるトランスグルコシダーゼを酵素 位比で2:1~44:1程度、好ましくは10:1~30:1にな よう調整したものを同時に添加して作用さ ることで調製することができる。酵素単位 が2:1~44:1の範囲から外れると、消化を受けに くく、しかも浸透圧が低いという2つの性質 兼ね備えた分岐デキストリンを調製するこ が困難になる。
 具体的には、まず、澱粉を公知の方法で加 分解してデキストリンを得る。原料となる 粉は、例えば、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、 鈴薯澱粉などの地下澱粉、あるいはコーン ターチ、ワキシコーンスターチ、米澱粉、 どの地上澱粉などを利用することができる デキストリンのDEは好ましくは2~20程度、さ に好ましくは5~12程度がよい。DEが低すぎる 溶液状態で保存した時に白濁する(老化する )要因となり、反対に高すぎると最終製品の 透圧が高くなる要因となる。
 澱粉の加水分解の方法としては、α-アミラ ゼ等による酵素分解、酸分解及びそれらの み合わせがあり、いずれの方法も使用でき が、工程の短縮化及び生成する分岐デキス リンの低粘度化という点で酸分解が好まし 。酸としては、シュウ酸、塩酸、等が使用 きるが、シュウ酸が好ましい。例えば、タ オカ澱粉の30質量%水溶液に粉末シュウ酸を えてpH1.8~2.0に調整し、100~130℃で40~80分程度 理すれば良い。

 次に、デキストリン濃度を好ましくは20~50 量%、より好ましくは20~40質量%、pHを好まし は4.0~7.0、より好ましくは5.5程度に調整する これに、マルトース生成アミラーゼとトラ スグルコシダーゼの酵素単位比が2:1~44:1程 、好ましくは10:1~30:1になるよう調整したも を適量、例えば、デキストリン水溶液100質 部に対して好ましくは0.1~1.0質量部程度添加 、好ましくは50~60℃、さらに好ましくは55℃ 程度で酵素反応を好ましくは0.25~44時間、さ に好ましくは0.5~3.0時間行う。
 次いで、反応混合物中の酵素の失活処理を う。例えば、95℃で30分間処理するか、酸を 用いてpHを3.5以下に調整してマルトース生成 ミラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素 応を終了させる。

 マルトース生成アミラーゼとしては市販品 使用でき、例えばビオザイムML(アマノエン イム社製)やβ-アミラーゼ#1500S(ナガセケム ックス社製)はβ-マルトース生成アミラーゼ( β-アミラーゼ)であり、ビオザイムL(アマノエ ンザイム社製)はα-マルトース生成アミラー である。この内、ビオザイムLは老化安定性 優れた分岐デキストリンを生成するという で好ましい。また、トランスグルコシダー としては同様に市販品が使用でき、トラン グルコシダーゼL「アマノ」(アマノエンザ ム社製)やトランスグルコシダーゼL-500(ジェ ンコア協和社製)などがある。
 以上の酵素反応では、必要に応じてα-アミ ーゼを同時に添加して作用させてもよいし 反応終了後に作用させてもよい。また、こ らの酵素反応は遊離の酵素であっても、固 化された酵素であってもよい。固定化酵素 場合、反応方法はバッチ式及び連続式のい れでもよい。固定化方法としては、担体結 法、包括法あるいは架橋法など、公知の方 を利用することができる。

 最後に、活性炭処理、珪藻土ろ過、イオ 交換樹脂等を用いた公知の方法で脱塩し、 縮後噴霧乾燥により粉末品とするか、70質 %程度に濃縮して液状品とする。さらに、上 酵素反応液をクロマト分離装置や膜分離装 を用いて分画処理を行ない、浸透圧を上昇 せる低分子成分を必要最小限になるまで分 除去してもよい。

 このようにして得られる分岐デキストリン 、分子内に分岐構造及び/又は直鎖構造を有 する澱粉分解物(デキストリン)の非還元末端 、グルコース又はイソマルトオリゴ糖がα-1 ,6グルコシド結合で結合した構造を有し、且 DEが10-52である。そして、浸透圧が、好まし くは70~300mOSMOL/kg程度、より好ましくは100~200mO SMOL/kgである。
 さらに、非還元末端にグルコース又はイソ ルトオリゴ糖がα-1,6グルコシド結合で結合 たグルコース、すなわち「→6)-Glcp-(1→」の 割合が、好ましくは5質量%以上、さらに好ま くは8質量%以上、特に好ましくは10~30質量% あり、内部の分岐構造を有するグルコース すなわち「→4,6)-Glcp-(1→」の割合が、好ま くは5~13質量%、さらに好ましくは6~10質量%で る。
 これらの結合の割合は、Hakomoriのメチル化 を改変したCiucanuらの方法(Carbohydr. Res., 1984,  131, 209-217)により、確認できる。
 この分岐デキストリンは、消化吸収が緩や で、従って低GIであり、しかも浸透圧が低 ので、糖尿病対応栄養補給剤、ダイエット 品、エネルギー補給食品及び栄養補助食品 糖質源など、広範な医療食品及び食品分野 の応用が期待できる。
 本発明の分岐デキストリンは、そのままの 態で上記栄養補給剤、食品として使用でき が、好ましくは、経腸栄養剤、食事代替飲 、持続型エネルギー補給剤、ゼリー等に好 しくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質 %程度含有させることが適当である。
 また、本発明の分岐デキストリンを経腸栄 剤、食事代替飲料、持続型エネルギー補給 、ゼリー等の前記飲食品、栄養補給剤に使 する場合、他の機能性食品素材、例えば難 化性デキストリンと併用すれば、その効果 一層高めることが期待できる。

 以下に実施例及び試験例を挙げて本発明を 体的に説明するが、本発明は以下の実施例 限定されるものではない。
 まず、β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質、す わち、消化を受けにくく、しかも浸透圧が いという性質に及ぼす影響を調べるため、 施例1~3及び比較例1~4では、表1に示した酵素 単位比で分岐デキストリンを調製した。

実施例1(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)95単位およびトランスグルコシダ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」:ア マノエンザイム社製)45単位を同時に添加して 酵素単位比が2:1の条件とし、55℃で反応を開 させた。反応開始から90分後及び180分後に 部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分間 持して反応を停止させた。それぞれ珪藻土 過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製) 用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ108mOSMOL/kg び181mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは れぞれ15.3及び24.9)。

試験例1(in vitro消化性試験)
 得られた分岐デキストリンに対してin vitro 化性試験を行った。
 本発明におけるin vitro消化性試験とは、生 内における糖質消化性の模擬試験であり、E nglystら(European Journal of Clinical Nutrition、1992 46S33~S50)の方法に基づいた変法で、糖質(本 明ではデキストリン)が酵素混合溶液(ブタ膵 臓アミラーゼおよびラット小腸粘膜酵素)に って分解を受けて放出されるグルコース量 経時的に測定する試験である。
 使用するブタ膵臓アミラーゼはRoche社製(1923 0U/ml)を用いた。また、ラット小腸粘膜酵素は Sigma社製のラット小腸アセトンパウダーを以 の通りに調製して用いた。すなわち、ラッ 小腸アセトンパウダー1.2gを45mM Bis-Tris・Cl  Buffer(pH6.6)/0.9mMCaCl 2  15mlで懸濁し、ホモジナイズした後、3000rpm 10分遠心分離し、その上清をラット小腸粘膜 酵素の粗酵素液とした。粗酵素液の活性は26m Mマルトース溶液において1分間に1mmolのマル ースを分解する活性を1Uとして算出した。

 被検物質を緩衝溶液(45mM Bis-Tris・Cl Buffer(pH 6.6)/0.9mMCaCl 2 )に溶解し、0.24質量%の被検物質溶液を調製し た。被検物質は、コントロールとして一般的 なデキストリン(TK-16:松谷化学工業社製/DE=18) 実施例1で得られた浸透圧が108mOSMOL/kgと181mOS MOL/kgの分岐デキストリンを使用した。これら の被検物質溶液2.5mlをそれぞれ試験管にとり 37℃の恒温槽で10分間加温したのち、酵素混 合溶液(ブタ膵臓アミラーゼ(384.6U/ml)50μl+ラッ ト小腸粘膜酵素(6.0U/ml)140μl+緩衝溶液310μl)0.5m lをそれぞれ添加し、よく混合して反応を開 した。反応開始後15秒、10分、30分、1時間、1 .5時間、2時間、3時間、4時間、6時間後に反応 溶液200μlと0.5M過塩素酸50μlをそれぞれ混合し て反応を停止した。これらの反応停止溶液の グルコース濃度を、グルコースCIIテストワコ ー(和光純薬工業社製)を用いて定量した。図1 に示す結果から、実施例1で得られた分岐デ ストリンは2品共にTK-16に比べ、ブタ膵臓ア ラーゼとラット小腸粘膜酵素によって分解 受けにくく、ゆっくり消化されることが確 された。

実施例2(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)950単位およびトランスグルコシ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」: マノエンザイム社製)45単位を同時に添加し 酵素単位比が21:1の条件とし、55℃で反応を 始させた。反応開始から30分後及び180分後に 一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分 保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻 濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製) を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ105mOSMOL/kg 及び189mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは それぞれ14.9及び26.9)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図2に す結果から、実施例2で得られた分岐デキス リンは2品共にTK-16に比べ、ブタ膵臓アミラ ゼとラット小腸粘膜酵素によって分解を受 にくく、ゆっくり消化されることが確認さ た。

実施例3(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)1782単位およびトランスグルコシ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」: マノエンザイム社製)40.5単位を同時に添加 て酵素単位比が44:1の条件とし、55℃で反応 開始させた。反応開始から15分後及び90分後 一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分 間保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻 土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社 )を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ103mOSMOL/ kg及び178mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DE それぞれ13.1及び23.8)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図3に す結果から、実施例3で反応90分後に得られ 浸透圧178mOSMOL/kgの分岐デキストリンはTK-16に 比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘膜 酵素によって分解を受けにくく、ゆっくり消 化されることが確認された。一方、浸透圧103 mOSMOL/kgの分岐デキストリンはコントロールで あるTK-16とほぼ同様であった。

比較例1(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、トランスグルコシダーゼ(トランスグル コシダーゼL「アマノ」:アマノエンザイム社 )のみを54単位添加し、55℃で反応を開始さ た。反応開始から60分後及び480分後に一部を サンプリングし、それぞれ95℃で15分間保持 て反応を停止させた。それぞれ珪藻土濾過 び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用い て脱塩し、浸透圧が106mOSMOL/kgと179mOSMOL/kgの分 岐デキストリンを得た(DEはそれぞれ14.6及び26 .8)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図4に す結果から、比較例1で得られた分岐デキス リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様 あることが確認された。

比較例2(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)2970単位およびトランスグルコシ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」: マノエンザイム社製)22.5単位を同時に添加 て酵素単位比が132:1の条件とし、55℃で反応 開始させた。反応開始から15分後及び60分後 に一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15 間保持して反応を停止させた。それぞれ珪 土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社 )を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ124mOSMOL /kg及び184mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DE はそれぞれ17.1及び26.1)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図5に す結果から、比較例2で得られた分岐デキス リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様 あることが確認された。

比較例3(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)2970単位およびトランスグルコシ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」: マノエンザイム社製)9単位を同時に添加し 酵素単位比が330:1の条件とし、55℃で反応を 始させた。反応開始から15分後及び75分後に 一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15分 保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻 濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社製) を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ125mOSMOL/kg 及び191mOSMOL/kgの分岐デキストリンを得た(DEは それぞれ17.0及び27.4)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図6に す結果から、比較例3で得られた分岐デキス リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様 あることが確認された。

比較例4(β-アミラーゼとトランスグルコシダ ゼの単位比が分岐デキストリンの性質に及 す影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)150 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))150gに溶 し、β-アミラーゼ(ビオザイムML:アマノエン ザイム社製)4930.2単位およびトランスグルコ ダーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」 :アマノエンザイム社製)7.47単位を同時に添加 して酵素単位比が660:1の条件とし、55℃で反 を開始させた。反応開始から15分後及び45分 に一部をサンプリングし、それぞれ95℃で15 分間保持して反応を停止させた。それぞれ珪 藻土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ 製)を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ143mOSM OL/kg及び194mOSMOL/kgの分岐デキストリン液状品 得た(DEはそれぞれ19.9及び29.6)。
 得られた分岐デキストリンに対して試験例1 と同様のin vitro消化性試験を行った。図7に す結果から、比較例4で得られた分岐デキス リンはコントロールであるTK-16とほぼ同様 あることが確認された。
 以上の実施例1~3及び比較例1~4で得られた分 デキストリンについて行ったin vitro消化性 験より得られた消化性の評価結果を表2にま とめた。

*:β-アミラーゼ **:トランスグルコシダーゼ
 表2より、β-アミラーゼとトランスグルコシ ダーゼの酵素単位比が2:1~44:1の範囲では、消 を受けにくく、しかも浸透圧が低いという2 つの性質を兼ね備えた分岐デキストリンを得 ることができるが、酵素単位比が2:1~44:1の範 外では同様の分岐デキストリンを得ること できないことが確認された。

実施例4(基質濃度が分岐デキストリンの性質 及ぼす影響および反応効率に及ぼす影響)
 基質となるデキストリン(PDX#1:松谷化学工業 社製/DE=8)150gを、それぞれ基質濃度が20質量% 30質量%、40質量%、50質量%、60質量%になるよ に緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))を用い 溶解し、それぞれにβ-アミラーゼ(ビオザイ ML:アマノエンザイム社製)950単位およびトラ ンスグルコシダーゼ(トランスグルコシダー L「アマノ」:アマノエンザイム社製)45単位を 同時に添加して酵素単位比が21:1の条件とし 55℃で反応を開始した。各基質濃度における 反応時間と得られた分岐デキストリンの浸透 圧及びDEを表3に示す。

 表3に示す条件で得られた分岐デキストリン に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験 行った。図8に示す結果から、得られた分岐 キストリンは何れの基質濃度条件であって 、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラッ 小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく、 じ程度にゆっくり消化されることが確認さ た。
 表3と図8の結果より、何れの基質濃度にお ても、消化を受けにくく、しかも浸透圧が いという2つの性質を兼ね備えた分岐デキス リンを製造できることが確認された。また 基質濃度が低いほど、反応時間が短く、反 効率が良いことが確認された。

実施例5(酵素添加量が分岐デキストリンの性 に及ぼす影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)125 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液(pH5.5))125gに溶解 し、表4の条件1、2に示した単位の酵素(β-ア ラーゼとトランスグルコシダーゼの酵素単 比はいずれも21:1であるが添加量が違う)をそ れぞれ同時に添加し、55℃で反応を開始させ 。条件1は反応開始から44時間後及び条件2は 反応開始から2.5時間後に一部をサンプリング し、それぞれ95℃で15分間保持して反応を停 させた。それぞれ珪藻土濾過及び両性イオ 交換樹脂(オルガノ社製)を用いて脱塩し、浸 透圧がそれぞれ188mOSMOL/kgと193mOSMOL/kgの分岐デ キストリン液状品を得た(DEはそれぞれ27.6及 28.3)。

*:ビオザイムML:アマノエンザイム社製
**:トランスグルコシダーゼL「アマノ」:アマ エンザイム社製

 表4に示す反応条件で得られた分岐デキスト リンに対して試験例1と同様のin vitro消化性 験を行った。図9に示す結果から、得られた 岐デキストリンは何れの酵素添加量であっ も、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラ ト小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく 同じ程度にゆっくり消化されることが確認 れた。
 しかし、酵素単位比を同じにして酵素添加 を減らすと、所望の浸透圧の分岐デキスト ンの生成に要する時間が増加することが確 された。

実施例6(マルトース生成アミラーゼの種類が 岐デキストリンの性質に及ぼす影響)
 デキストリン(PDX#1:松谷化学工業社製/DE=8)125 gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))125gに溶 し、表5の条件1、2に示した酵素(マルトース 生成アミラーゼは950単位、トランスグルコシ ダーゼは45単位、すなわちそれぞれの単位比 21:1になるように)を同時に添加し、55℃で反 応を開始させた。条件1、2共に反応開始から1 .5時間後、それぞれ95℃で15分間保持して反応 を停止させた。それぞれ珪藻土濾過及び両性 イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用いて脱塩 、浸透圧がそれぞれ143mOSMOL/kgと145mOSMOL/kgの 岐デキストリン液状品を得た(DEはそれぞれ2 1.2及び21.2)。

*ビオザイムML(アマノエンザイム社製)
**ビオザイムL(アマノエンザイム社製)
***トランスグルコシダーゼL「アマノ」(アマ エンザイム社製)
 表5の反応条件で得られた分岐デキストリン に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験 行った。図10に示す結果から、得られた分岐 デキストリンは何れの条件であっても、TK-16 比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘 酵素によって分解を受けにくく、同じ程度 ゆっくり消化されることが確認された。

(老化安定性試験)
 次に、実施例6で得られた表5の分岐デキス リン溶液に対して「老化安定性試験」を行 た。本発明における「老化安定性試験」と 、Brix50%に調整した溶液を-20度にて冷凍した 、室温で解凍し、Brix30に調整した後、分光 度計にて溶液の濁度(OD720nm、1cmセル換算)を 定する。この操作を、溶液の濁度が上昇す まで、あるいは5回繰り返して溶液の濁度を 測定する方法である。この方法では、老化安 定性が悪いデキストリンは5回繰り返す前に 液の濁度が上昇するが、老化安定性が良い キストリンは5回繰り返しても溶液の濁度は 昇しないことで評価される。老化安定性試 の結果を表6に示した。表6の結果より、条 2のα‐マルトース生成アミラーゼを作用さ て得られた分岐デキストリンの方が老化安 性に優れていることが確認された。

実施例7(原料となるデキストリンのDEが分岐 キストリンの性質に及ぼす影響)
 タピオカ澱粉を表7に示す公知の分解方法で 分解し、表7に示すDEまで分解したデキストリ ン125gを緩衝溶液(0.1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))125g 溶解し、それぞれにα-マルトース生成アミ ーゼ(ビオザイムL:アマノエンザイム社製)950 単位およびトランスグルコシダーゼ(トラン グルコシダーゼL「アマノ」:アマノエンザイ ム社製)45単位、すなわち酵素単位比が21:1に るように調製したものを同時に添加し、表7 示した時間作用させ、95℃で15分間保持して 反応を停止させた。それぞれ珪藻土濾過及び 両性イオン交換樹脂(オルガノ社製)を用いて 塩し、表7に示した浸透圧の分岐デキストリ ン液状品を得た。

 表7に示す条件で得られた分岐デキストリン に対して試験例1と同様のin vitro消化性試験 行った。図11に示す結果から、得られた分岐 デキストリンは何れの条件であっても、TK-16 比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット小腸粘 酵素によって分解を受けにくく、同じ程度 ゆっくり消化されることが確認された。
 次に、得られた表7の分岐デキストリン溶液 に対して実施例6と同様の老化安定性試験を った。表8の結果より、いずれの条件であっ も分岐デキストリンの老化安定性は良いこ が確認された。

(粘度測定)
 実施例7で得られた表7の分岐デキストリン 液に対して「粘度」を測定した。本発明に ける「粘度」とは、VISCOMETER MODEL BMにより 下の条件で測定する。濃度:30質量%、測定温 :30℃、回転数:60rpm、ホールド時間:30秒。
 表9の結果より、条件4でDE11.9まで分解した 料を用いて得られた分岐デキストリンが最 粘度が低いことが確認された。

実施例8(低DEの分岐デキストリンの調製及び の性質)
 タピオカ澱粉を公知の分解方法で分解して られたDE=5.2のデキストリン135gを緩衝溶液(0. 1Mリン酸緩衝液 (pH5.5))265gに溶解し、α-マル ース生成アミラーゼ(ビオザイムL:アマノエ ザイム社製)210単位およびトランスグルコシ ーゼ(トランスグルコシダーゼL「アマノ」: マノエンザイム社製)10単位、すなわち酵素 位比が21:1になるように調製したものを同時 に添加して反応を開始させた。15、30、45、90 び135分後、それぞれ50gを採取して95℃で15分 間保持して反応を停止させた。それぞれ珪藻 土濾過及び両性イオン交換樹脂(オルガノ社 )を用いて脱塩し、浸透圧がそれぞれ53、61、 73、101及び141mOSMOL/kgの分岐デキストリン液状 を得た(DEはそれぞれ8.3、9.5、10.9、14.4及び20 .0)。
得られた分岐デキストリンに対して試験例1 同様のin vitro消化性試験を行った。図12に示 す結果から、DE=10.9以上の分岐デキストリン 、TK-16に比べ、ブタ膵臓アミラーゼとラット 小腸粘膜酵素によって分解を受けにくく、ゆ っくり消化されることが確認された。一方、 DE=9.5以下の分岐デキストリンはコントロール であるTK-16とほぼ同様であることが確認され 。

実施例9(分岐デキストリンの分岐度分析)
 本発明により製造したデキストリンの結合 式を測定するため、Ciucanuらの方法に従って メチル化分析を行った。実施例7の条件4で調 した浸透圧が140mOSMOL/kgの分岐デキストリン( DE=20.7)、同条件で18時間反応させて調製した24 4mOSMOL/kgの分岐デキストリン(DE=37.2)、及びデ ストリン(TK-16:松谷化学工業社製/DE=18)のメチ ル化分析の結果を表10に示す。この結果より 本発明の製造方法で調製された分岐デキス リンはデキストリンに対し、分岐構造であ 1→6結合を持つグルコース「→6)-Glcp-(1→」 び「→4,6)-Glcp-(1→」の内、「→4,6)-Glcp-(1→ の割合が増加していた。さらに、デキスト ンには全く含まれない「→6)-Glcp-(1→」(非 元末端に1,6結合で結合したグルコース)が新 に形成されていた。

※例えば、「→4)-Glcp-(1→」は1,4位でグルコ ド結合していたグルコースを示す。

実施例10(分岐デキストリンのヒトにおける消 化性試験)
 健常成人男女11名(平均年齢34.3±1.1歳)には試 験前日午後9時以降水以外の飲食を禁止した 実施例7の条件4で調製した浸透圧が140mOSMOL/kg の分岐デキストリン又はデキストリン(グリ ターP:松谷化学工業社製/DE=15)各50gを水200mLに 溶解して試料とし、試験当日午前9時に摂取 せた。試料摂取前、摂取30、60、90、及び120 後にそれぞれ指先からヘマトクリット管へ 血し、血清グルコース濃度を測定した。
 試料摂取前の血糖値を0として、摂取後の血 糖値の上昇量を図13に示し、その曲線下面積( AUC)を図14に示した。分岐デキストリン摂取後 の血糖値上昇量はデキストリンに比べて少な い傾向にあった。分岐デキストリンのAUCは、 t検定においてデキストリンより有意に低く デキストリンのAUCを100とした場合の分岐デ ストリンのAUC、すなわちグリセミックイン ックス(GI)は78であった。これより分岐デキ トリンはデキストリンよりもヒトでの消化 収が緩やかであることが明らかとなった。 の結果より、分岐デキストリンは低GIが求め られる食品(糖尿病患者の栄養補給剤、ダイ ット食品、エネルギー補給飲料、栄養補助 品など)への利用が可能であると考えられた また、消化吸収が緩やかであることから、 ネルギー持続型食品(ダイエット食品、スポ ーツドリンクなど)への利用が可能であると えられた。

実施例11(腹持ち試験)
 被験者は健常成人男女10名(平均年齢33.8±1.1 )とし、試験前日午後9時以降水以外の飲食 禁止した。試験当日、被験者は朝食を摂ら い状態で安静の保てる試験室に集合させた 実施例7の条件4で調製した浸透圧が140mOSMOL/kg の分岐デキストリンまたはデキストリン(グ スターP:松谷化学工業社製/DE=15)各50gを水200mL に溶解し、午前9時に被験者に摂取させた。 取前、および摂取3時間後まで30分おきに空 感を以下の5段階にて評価させた。
スコア5:空腹感を感じない
スコア4:少し空腹感を感じる
スコア3:空腹を感じる
スコア2:強く空腹を感じる
スコア1:空腹で耐えられない
 空腹感の評価結果を図15に示した。図15より 、分岐デキストリンはデキストリンよりも長 い時間空腹感が少なく、腹持ちが良いという 結果が得られた。これより、分岐デキストリ ンは腹持ち感やエネルギー持続が求められる 食品(糖尿病患者の栄養補給剤、ダイエット 品、エネルギー補給飲料、栄養補助食品な )への利用が可能である。

実施例12(経腸栄養剤の調製)
 表11の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM OL/kgの分岐デキストリンを含む経腸栄養剤を 製し、良好な製品を得た。

実施例13(食事代替飲料の調製)
 表12の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM OL/kgの分岐デキストリンを含む食事代替用の 料を調製し、良好な製品を得た。

*1 築野食品工業株式会社製
*2 旭化成株式会社製(アビセルCL‐611S)
*3 三菱化学フーズ株式会社製(シュガーエス ルP‐1670)
*4 武田薬品工業株式会社製(新バイリッチWS 7L)
*5 高田香料株式会社製(カスタードバニラエ センスT‐484)

実施例14(エネルギー飲料の調製)
 表13の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM OL/kgの分岐デキストリンを含むエネルギー飲 を調製し、良好な製品を得た。

* 高田香料株式会社製(グレープフルーツエ センス#2261)

実施例15(ゼリーの調製)
 表14の処方に従って実施例2の浸透圧が105mOSM OL/kgの分岐デキストリンを含むゼリーを調製 、良好な製品を得た。

*1 大日本製薬株式会社製(ケルコゲル)
*2 雄山商事株式会社製
*3 高田香料株式会社製(マスカットエッセン #50631)

β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が2:1の条件で得られた分岐デキス リンのin vitro消化性試験結果を示す。 β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が21:1の条件で得られた分岐デキス トリンのin vitro消化性試験結果を示す。 β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が44:1の条件で得られた分岐デキス トリンのin vitro消化性試験結果を示す。 トランスグルコシダーゼのみの条件で られた分岐デキストリンのin vitro消化性試 結果を示す。 β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が132:1の条件で得られた分岐デキ トリンのin vitro消化性試験結果を示す。 β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が330:1の条件で得られた分岐デキ トリンのin vitro消化性試験結果を示す。 β-アミラーゼとトランスグルコシダー の単位比が660:1の条件で得られた分岐デキ トリンのin vitro消化性試験結果を示す。 基質濃度を変えて得られた分岐デキス リンのin vitro消化性試験結果を示す。 添加する酵素濃度を変えて得られた分 デキストリンのin vitro消化性試験結果を示 。 マルトース生成アミラーゼの種類を変 えて得られた分岐デキストリンのin vitro消化 性試験結果である。 原料となるデキストリンのDEを変えて られた分岐デキストリンのin vitro消化性試 結果である。 低DEの分岐デキストリンのin vitro消化 試験結果である。 試料摂取前の血糖値を0として、摂取 の血糖値の上昇量を示す。 図13の曲線下面積(AUC)を示す。 実施例10の空腹感の評価結果を示す。