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Patent Searching and Data


Title:
BRASS ALLOY POWDER, BRASS ALLOY EXTRUDED MATERIAL AND METHOD FOR PRODUCING THE BRASS ALLOY EXTRUDED MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136552
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a brass alloy powder which has a brass composition composed of a mixed phase of an α-phase and a β-phase, and contains 0.5-5.0% by mass of chromium. The chromium contains a component solid-solved in the brass matrix and a component deposited at crystal grain boundaries.

Inventors:
KONDOH, Katsuyoshi (1-1 Yamadaoka, Suita-sh, Osaka 71, 56508, JP)
近藤 勝義 (〒71 大阪府吹田市山田丘1番1号 国立大学法人大阪大学内 Osaka, 56508, JP)
KATANO, Gen (A-305, Misasagitayama-cho 19 Yamashina-ku, Kyoto-sh, Kyoto 05, 60784, JP)
片野 元 (〒05 京都府京都市山科区御陵田山町19 A-305 Kyoto, 60784, JP)
IMAI, Hisashi (1-1 Yamadaoka, Suita-sh, Osaka 71, 56508, JP)
Application Number:
JP2009/058142
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
April 24, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE AND TECHNOLOGY AGENCY (1-8 Honcho 4-chome, Kawaguchi-shi Saitama, 12, 33200, JP)
独立行政法人科学技術振興機構 (〒12 埼玉県川口市本町4丁目1番8号 Saitama, 33200, JP)
OSAKA UNIVERSITY (1-1 Yamadaoka, Suita-shi Osaka, 71, 56508, JP)
国立大学法人大阪大学 (〒71 大阪府吹田市山田丘1番1号 Osaka, 56508, JP)
SAN-ETSU METALS Co., Ltd. (4-1 Yoshihisa 1-chome, Takaoka-shi Toyama, 02, 93300, JP)
サンエツ金属株式会社 (〒02 富山県高岡市吉久1丁目4番1号 Toyama, 93300, JP)
KONDOH, Katsuyoshi (1-1 Yamadaoka, Suita-sh, Osaka 71, 56508, JP)
近藤 勝義 (〒71 大阪府吹田市山田丘1番1号 国立大学法人大阪大学内 Osaka, 56508, JP)
International Classes:
C22C9/04; B21C23/00; B21C23/01; B22F1/00; B22F3/20; B22F9/08; C22C1/04; C22F1/08; C22F1/00
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (IMY INTERNATIONAL PATENT OFFICE, Oriental Sakaisuji Bldg.21-19, Shimanouchi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 82, 54200, JP)
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Claims:
α相とβ相の混合相からなる黄銅組成を有する黄銅合金粉末であって、
 クロムを0.5~5.0質量%含有し、
 前記クロムは、黄銅の母相中に固溶する成分と、結晶粒界に析出する成分とを含む、黄銅合金粉末。
前記黄銅の母相中に固溶する成分は、母相中に固溶して分散する成分と、母相中に析出物として分散する成分とを含む、請求項1に記載の黄銅合金粉末。
前記クロムの含有量は、1.0~2.4質量%である、請求項1に記載の黄銅合金粉末。
前記粉末中に、ニッケル、マンガン、ジルコニウム、バナジウム、チタン、シリコン、アルミニウムおよびスズからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含む、請求項1に記載の黄銅合金粉末。
前記粉末は、急冷凝固粉末である、請求項1に記載の黄銅合金粉末。
前記急冷凝固粉末は、水アトマイズ法によって急冷凝固させた粉末である、請求項5に記載の黄銅合金粉末。
α相とβ相の混合相からなる黄銅組成を有し、クロムを0.5~5.0質量%含有し、前記クロムが黄銅の母相中に固溶する成分と、結晶粒界に析出する成分とを含む黄銅合金粉末の集合体を押出加工することによって得られる、黄銅合金押出材。
0.2%耐力値が300MPa以上である、請求項7に記載の黄銅合金押出材。
引張強度が500MPa以上である、請求項7に記載の黄銅合金押出材。
前記黄銅合金粉末に対して0.2~2.0重量%の黒鉛粒子を添加して混合した後に、この混合粉末集合体を押出加工することによって得られる、請求項7に記載の黄銅合金押出材。
前記添加黒鉛粒子の粒子径は、1μm~100μmの範囲内にある、請求項10に記載の黄銅合金押出材。
α相とβ相の混合相からなる黄銅組成を有し、クロムを0.5~5.0質量%含有し、さらにニッケル、マンガン、ジルコニウム、バナジウム、チタン、シリコン、アルミニウムおよびスズからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素を含み、前記クロムが黄銅の母相中に固溶する成分と、結晶粒界に析出する成分とを含む、黄銅合金部材。
黒鉛粒子をさらに含む、請求項12に記載の黄銅合金部材。
α相とβ相の混合相からなる黄銅組成を有し、クロムを0.5~5.0質量%含有する黄銅合金粉末を急冷凝固法によって作製する工程と、
 前記急冷凝固した黄銅合金粉末の集合体を押出加工する工程とを備える、黄銅合金押出材の製造方法。
前記急冷凝固法は、水アトマイズ法である、請求項14に記載の黄銅合金押出材の製造方法。
前記押出加工時の加熱温度は650℃以下である、請求項14に記載の黄銅合金押出材の製造方法。
前記押出加工に先立ち、前記黄銅合金粉末に対して0.2~2.0重量%の黒鉛粒子を添加して混合する工程を備える、請求項14に記載の黄銅合金押出材の製造方法。
 
 
Description:
黄銅合金粉末、黄銅合金押出材 よびその製造方法

 本発明は、高強度黄銅合金に関するもの あり、特に環境や人体に有害な鉛を含有し い黄銅合金粉末および黄銅合金押出材に関 るものである。

 近年、環境問題が大きくクローズアップ れており、合金開発においてもこの点の注 が必要である。6/4黄銅は、適度な強度およ 良好な機械的特性を有し、さらに非磁性で ることから、機械部品として利用されるの ならず、ガス配管、水道配管、バルブなど 範囲に亘って利用されている。

 6/4黄銅からなる部材の加工性を上げるた に、通常、合金組成中に数%の鉛を含有させ ている。この鉛含有黄銅部材を水道配管に使 用したとき、鉛が上水道中に溶け出すおそれ がある。

 上記の問題を解消するために、鉛レスの 銅素材の開発が進められている。従来の開 例として、鉛の代わりにビスマスを添加し もの、特開2000-309835号公報(特許文献1)や国 公開公報WO98/10106(特許文献2)に開示されてい ようにスズを添加することによってγ相を 出させたもの、シリコンの微粒子を分散さ たもの等がある。これらの開発技術の中に 、鉛レスを実現するだけでなく、黄銅その のの強度を同時に向上させて、応用範囲の 大を図ったものもある。

 しかしながら、ビスマスの添加は、鉛の 加と同程度の強度しか得られていないのが 状である。ビスマスおよび鉛は、共に、添 されることによって黄銅の強度を下げる元 であり、黄銅部材の強度向上には寄与しな 。特開2000-309835号公報(特許文献1)や国際公 公報WO98/10106(特許文献2)に開示されているよ にスズの添加によってγ相を析出させる方 は、黄銅部材の耐力値や引張強度などを向 させるが、黄銅部材の変形能が大きく低下 て加工性に劣るようになる。それに加えて γ相が起点となり脆性破壊するといった問題 も生じてくる。シリコンの微粒子を分散させ る方法は、黄銅合金部材の機械的強度の向上 には寄与するが、部材の切削性が劣るように なるという欠点を有する。

 第46回銅及び銅合金技術研究会講演大会 演概要集(2006)、pp.153-154、近藤勝義ほか(非特 許文献1)には、「粉体プロセスによる完全鉛 リー快削性黄銅合金の特性」と題して、粉 冶金法を基調とした黒鉛粒子分散型快削性 銅合金の作製法が開示されている。黒鉛添 のメリットは、完全鉛フリーにすることが きるということと、リサイクルの際に溶融 た黄銅上に黒鉛が浮くので分離が容易であ ということにある。他方、添加した黒鉛に る黄銅部材の強度向上は見込めない。そこ 、黒鉛を添加するにあたっては、粉末冶金 を利用した黄銅部材の強度向上技術も考慮 べきである。

 一般に、低融点金属を高温化で高融点金 中に溶融させようとすると、低融点金属の 気圧が高いために溶融中に急速に低融点金 が蒸発してしまい、所望の合金組成となる うに制御することが困難である。

 黄銅は、銅と亜鉛の合金である。この黄 に高融点金属を添加すれば強度の向上が見 める可能性がある。しかしながら、亜鉛の 点は907℃と低く、融点が1907℃のクロムや、 融点が1902℃のバナジウムなどを添加するの 容易ではない。液相状態の黄銅の温度を上 させて行けば必然的に亜鉛の蒸発量が増大 、急激に合金組成が銅リッチの方向へと変 してしまう。

 高融点金属の溶融法としては、電子ビー 溶解法や水素プラズマアーク溶解法などが るが、これらの方法は、大量生産に適した 法ではなく、希少金属の少量バッチ処理に いられている。しかも、これらの方法では 低融点金属の蒸発を防ぐことはできない。

 低融点金属中に、溶融した高融点金属を 加する方法も考えられるが、高融点金属を の融点まで加熱して溶解させるのは、工業 にみて、コスト的に見合わず、量産が困難 ある。そのため、一般的には、酸化物のテ ミット反応を利用した方法や、より融点の い母合金の添加などの方法が行なわれる。

 特開平10-168533号公報(特許文献3)には、亜鉛 に合金成分を添加する方法が開示されてい 。この公報には、クロムの添加には母合金 使用したと記載されているが、Zn-Crの熱平 状態図を見ると、クロムは亜鉛にほとんど 溶しないことがわかる。言い換えれば、亜 のマトリクス中に、化合物としてのZn 17 CrまたはZn 13 Crが分散した状態になることが理解できる。 の母合金を亜鉛に添加した場合、亜鉛の成 比率が増えるだけで、クロム化合物に変化 起こらない。このように、非固溶元素でか 高融点の金属を低融点金属中に溶解させる とは、非常に困難であり、他の手法を開発 る必要がある。

 銅中へのクロムの添加は、亜鉛含有合金 比べて進んでいる。代表的なものとして、 開平11-209835号公報(特許文献4)や特開2006-12483 5号公報(特許文献5)に開示された手法がある これらの公報に開示された方法では、銅中 クロム、ジルコニウム、テルル、イオウ、 、シリコン、チタンまたはリンの含有を行 っている。いずれも析出型の銅合金であり 強化相として銅・ジルコニウム化合物等の 出を行うものであるが、亜鉛含有の合金と なり、高温でも合金化が可能であるので、 れらの材料作製を容易にしている。

 鉛レス黄銅の開発過程で、黒鉛を添加す 手法として粉末冶金法を適用することが有 であることが知られている。これは、黒鉛 黄銅の混合が、粉末を使うことによって可 となったことが大きな理由である。通常の 製法で黒鉛添加を試みたとしても、両者の 重の違いから、黒鉛は、黄銅の溶湯上に浮 てしまい、黄銅中に分散させることができ い。

特開2000-309835号公報

国際公開公報WO98/10106

特開平10-168533号公報

特開平11-209835号公報

特開2006-124835号公報

第46回銅及び銅合金技術研究会講演大会 演概要集(2006)、pp.153-154、近藤勝義ほか

 本願発明の発明者らは、鉛レス黄銅合金 開発の一環として、黒鉛を添加した黄銅の 発に取り組んできた。しかし、黒鉛粒子分 型鉛フリー快削性黄銅合金は、その強度が 入り快削性黄銅合金と同等程度であり、飛 的に強度が向上しているわけではない。

 本発明の目的は、黄銅合金部材の強度向 に寄与する黄銅合金粉末を提供することで る。

 本発明の他の目的は、優れた機械的強度 有する黄銅合金押出材を提供することであ 。

 本発明のさらに他の目的は、優れた機械 強度を有する黄銅合金部材を提供すること ある。

 本発明のさらに他の目的は、優れた機械 強度を有する黄銅合金押出材の製造方法を 供することである。

 本発明に従った黄銅合金粉末は、α相とβ 相の混合相からなる黄銅組成を有し、クロム を0.5~5.0質量%含有する。上記クロムは、黄銅 母相中に固溶する成分と、結晶粒界に析出 る成分とを含む。

 上記の黄銅合金粉末の集合体を押出加工 れば、機械的強度に優れた黄銅合金押出材 得られる。所望の機械的強度を得るには、 ロムの含有量を0.5質量%以上にする必要があ る。最終的に得られる黄銅合金押出材の機械 的強度をより高めるには、黄銅合金粉末中の クロムの含有量を高めればよいが、現時点で の製造上の観点から5.0質量%が限界である。 り好ましいクロムの含有量は、1.0~2.4質量%で ある。

 黄銅の母相中に強制固溶されるクロム成 は、結晶中の転位運動を抑制して耐力値の 上に寄与する。一方、結晶粒界に析出した ロム成分は、粒界すべりを抑制して極度の 工硬化を引き起こし、引張強度の向上に寄 する。黄銅の母相中に固溶する成分は、母 中に固溶して分散する成分と、母相中に析 物として分散する成分とを含む。

 黄銅合金粉末中に、ニッケル、マンガン ジルコニウム、バナジウム、チタン、シリ ン、アルミニウムおよびスズからなる群か 選ばれた少なくとも一つの元素を含むよう してもよい。

 好ましくは、上記の黄銅合金粉末は、急 凝固粉末であり、より好ましくは、水アト イズ法によって急冷凝固させた粉末である

 この発明に従った黄銅合金押出材は、α とβ相の混合相からなる黄銅組成を有し、ク ロムを0.5~5.0質量%含有し、上記クロムが黄銅 母相中に固溶する成分と、結晶粒界に析出 る成分とを含む黄銅合金粉末の集合体を押 加工することによって得られる。

 一つの実施形態では、黄銅合金押出材の0 .2%耐力値が300MPa以上である。また、引張強度 が500MPa以上である。

 黄銅合金押出材の切削性を向上させるた に、一つの実施形態では、黄銅合金押出材 、黄銅合金粉末に対して0.2~2.0重量%の黒鉛 子を添加して混合した後に、この混合粉末 合体を押出加工することによって得られる 添加する黒鉛粒子の粒子径は、好ましくは 1μm~100μmの範囲内にある。

 この発明に従った黄銅合金部材は、α相 β相の混合相からなる黄銅組成を有し、クロ ムを0.5~5.0質量%含有し、さらにニッケル、マ ガン、ジルコニウム、バナジウム、チタン シリコン、アルミニウムおよびスズからな 群から選ばれた少なくとも一つの元素を含 。クロムは、黄銅の母相中に固溶する成分 、結晶粒界に析出する成分とを含む。

 黄銅合金部材の切削性を向上させるため 、一つの実施形態では、黄銅合金部材は、 鉛粒子をさらに含む。

 この発明に従った黄銅合金押出材の製造 法は、α相とβ相の混合相からなる黄銅組成 を有し、クロムを0.5~5.0質量%含有する黄銅合 粉末を急冷凝固法によって作製する工程と 上記の急冷凝固した黄銅合金粉末の集合体 押出加工する工程とを備える。

 好ましくは、急冷凝固法は、水アトマイ 法である。押出加工時の加熱温度は650℃以 が好ましい。

 一つの実施形態における製造方法は、押 加工に先立ち、黄銅合金粉末に対して0.2~2.0 重量%の黒鉛粒子を添加して混合する工程を える。

 上記の記載事項を含めて、本発明の構成 よってもたらされる作用効果等については 以下の項目で詳しく説明する。

水アトマイズ法によって作製した粉末 示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真であり、(a) Cr無添加の6/4黄銅合金粉末、(b)は0.5質量%Cr添 加の6/4黄銅合金粉末、(c)は1.0質量%Cr添加の6/4 黄銅合金粉末を示す。 作製した水アトマイズ粉末のX線回折結 果を示す図である。 押出材の応力-ひずみ曲線を示す図であ る。 押出材の光学顕微鏡による組織写真を す図であり、(a)は1質量%Cr添加の黄銅合金圧 粉体ビレットの押出材、(b)は0.5質量%Cr添加の 黄銅合金圧粉体ビレットの押出材、(c)はCr無 加の黄銅合金圧粉体ビレットの押出材、(d) Cr無添加の黄銅合金溶製ビレットの押出材 示す。 1.0質量%Cr添加の黄銅合金圧粉体ビレッ の押出材のSEM像を示す写真である。 黄銅の母相中に固溶するクロム成分の 度と耐力値との関係を示す図である。 黒鉛粒子添加量と切削性との関係を示 図である。

 [新規な黄銅合金粉末作製方法]
 本願発明の発明者らは、基材となる黄銅そ ものの強度を上げることによって、従来に ない高強度の快削性黄銅部材を作る方法に いて検討した。黄銅の強度を上げる方法と て、一般的には、種々の添加物を加える方 が採用される。例えば、高力黄銅は、銅亜 合金に、鉄、アルミニウム、マンガンなど 添加したものであり、その引張強さが460MPa 高く、耐食性も良好なため、船舶用プロペ 等に応用されている。しかしながら、この 力黄銅は、その伸びが15%程度しか保証され 、決して加工性が良いとはいえない。

 黒鉛添加を視野に入れた合金開発を行な ためには、今までにない新規な黄銅合金粉 を作製し、この粉末の集合体を押出加工し 強度を向上させる必要がある。従来、黄銅 生産には溶製法が採用されていたが、本発 者らは、溶製法に代えて、粉末冶金法によ て新しい合金組成の黄銅合金の作製を試み 。

 急冷凝固法の一種である水アトマイズ法 よれば、溶湯を非常に高速で急冷凝固して 末を作製するものであるので、粉末中に非 衡相が出現するだけでなく、微細な結晶粒 得られるといった特徴がある。本発明者ら 、新たな試みとして、α相とβ相の混合相か らなる黄銅合金に、第三元素としてクロム(Cr )を微量添加することによって、従来の黄銅 末とは性質の異なる粉末を製造し、この粉 の集合体を熱間押出法で押出して固化する とによって新しい素材を得た。

 黄銅に様々な添加物を加えて性質を改善 ようとする試みは、従来から多数行なわれ いるが、水アトマイズ法で6/4黄銅に遷移元 を積極的に添加したという前例は見当たら い。

 本発明者らは、6/4黄銅に、高融点金属で るクロムを添加するための新しい方法を提 するものである。前述したように、黄銅を 解して、そこにクロムを溶かし込むために 、溶湯をクロムの融点まで加熱しなければ らないが、そのような加熱温度は亜鉛の沸 を超えている。そのため、現実的には、亜 の蒸気圧の高さを考慮すると、液体の黄銅 クロムの融点まで昇温させることは不可能 いってもよい。

 黄銅にクロムを添加するための別の方法 して、クロムを含む母合金を使用すること 考えられる。しかしながら、銅クロムの母 金もその融点が高いので、これを融解した のに黄銅を加える方法では、やはり亜鉛が 発してしまい、所定の組成を保つことがで ない。

 本発明者らは、市販のCu-10%Cr母合金を用 た黄銅合金作製法を開発した。母合金中で 、クロムは10~50μm程度の大きさの粒として分 散しており、銅に固溶しているわけではない 。この母合金をまず1200℃程度で溶解する。 の温度では、母合金に含有されているクロ は溶解しないので、固相のまま銅の液相中 浮遊している。この状態で、銅を加えてゆ 、クロムの濃度が薄くなるように調節する すると、クロム濃度が4%程度になったところ で、状態図上での固液相線を越えて液相の一 相状態になる。このようにして、高融点金属 であるクロムを銅との混合液相にすることが できた。この状態で所定量の亜鉛を添加し、 水アトマイズ法で急冷凝固すると、黄銅中に クロムが強制固溶した非平衡相をもつ粉末を 得ることができた。

 上記と同様の方法で、黄銅中にバナジウ を強制固溶させることも可能である。ただ 、バナジウムと銅との二元状態図では、固 相線はバナジウム濃度が約0.5%のところにあ るため、添加バナジウム量は非常に微量とな る。従って、現実的には、黄銅中へのバナジ ウムの添加は技術的に難易度が高いだけでな く、その添加効果を大きくすることが困難で ある。

 本発明者らが開発した方法によれば、添 する亜鉛を極力蒸発させることなく、合金 組成制御を適切に行なうことができる。6/4 銅においては、亜鉛成分の微妙な量の違い よって、α相とβ相の比率が変化することが 知られている。また、α相とβ相の比率の違 が、黄銅合金の機械的性質にも影響を及ぼ ことも知られている。

 従って、本発明者らが開発した上記の粉 生成方法が、黄銅合金の組成制御という観 から見ても、黄銅に高融点金属を添加する めの有利な手法であることがわかる。これ 加え、比較的融点の低いニッケルおよびマ ガンを添加すれば、より強度を向上させ得 粉末としてその利用価値が高まる。さらに このようにして得られた黄銅合金粉末に黒 を添加して押出加工すれば、強度および快 性に優れた鉛レス快削性黄銅合金が得られ 。以上のように本発明の応用範囲は広いの 、本発明者らは、様々な機械的特性を持つ 品種の鉛レス黄銅の開発への道を開いたと うことができる。

 従来の典型的な結晶粒微細化の方法は、 材に対して塑性加工と熱処理を繰り返して なうことであったが、本発明のように粉末 金法を用いれば既に出発原料として微細化 れた結晶組織を持つ粉末が準備されている で、微細化のための特別なプロセスを必要 しない。また、粉末の状態で、既に材料組 が決まっているので、最終製品の組成をこ 段階で把握できる。このような生産工程上 優位性に加えて、本発明に係る材料には、 下に記載する幾つかの優れた特徴がある。

 [第三元素添加の効果]
 通常、クロムは、黄銅にほとんど固溶しな 。しかし、水アトマイズ法のような急冷凝 法を採用することにより、液相状態で溶解 ているクロムは、ある一定量だけ、黄銅の 相中に強制固溶される。また、凝固の過程 おける結晶の成長に伴い、クロムの一部は 結晶粒界に凝縮して微細結晶粒として析出 る。黄銅の母相中に固溶する成分は、厳密 言えば、母相中に固溶して分散する成分と 母相中に析出物として分散する成分とを含 。母相中に強制固溶したクロム成分と、結 粒界に析出したクロム成分とは、加えられ 応力に対して異なった作用を呈する。すな ち、母相中に強制固溶したクロム成分は、 晶中の転位運動を抑制して黄銅合金部材の 力値の向上に寄与する。他方、結晶粒界に 出したクロム成分は、粒界すべりを抑制し 極度の加工硬化を引き起こし、引張強度の 上に大きく寄与する。

 マンガンを添加した場合の効果は、以下 通りである。マンガンは、クロムと異なり 基本的に黄銅に固溶する。従って、マンガ は、粒界析出物を作ることはなく、極端な 工硬化を引き起こさないが、耐力値および 張強度を共にバランスよく向上させるよう 作用する。その理由は、母相中に固溶した ンガンが転位をピンニングするからと思わ る。

 ニッケルを添加した場合の効果は、以下 通りである。ニッケルも黄銅中に完全に固 するが、黄銅合金の熱間押出の過程でβ相 らα相への変態を促し、結晶中に微細なα相 形成して耐力の向上に大きく寄与する。た し、ニッケルは加工硬化に寄与しないため 最大引張応力に関しては、ニッケルを添加 ない粉末押出材と大差はない。

 クロム、マンガンおよびニッケルは、周 表の第4周期に現れる遷移元素であるが、上 記のように黄銅に添加した場合の効果がそれ ぞれ異なっており、それらは全く異なった挙 動を示す。その理由は、各遷移元素が異なる 機構で黄銅を強化しているからである。従っ て、添加する元素を2種類以上とすれば、そ ぞれの効果が発現するものと考えられる。

 さらに、上記の研究結果から、他の元素 添加した場合の挙動についても、推察が可 になった。周期表の第4周期の遷移元素であ るバナジウムは、クロムとよく似た平衡状態 図を持っている。従って、クロムの添加と同 様の方法でバナジウムを添加してアトマイズ 粉末を作れば、母相中に強制固溶するバナジ ウム成分と、結晶粒界に析出するバナジウム 成分とが現れ、クロムと同様の強化機構で黄 銅の性能を向上させることができる。

 上記の元素以外に、一般的に黄銅の強化 素として知られているチタン、シリコン、 ルミニウム、スズなども、補助的な添加元 としてクロム添加黄銅の強化に有効に働く とが期待される。

 [急冷凝固法]
 本発明の効果が顕著に現れる要因は、急冷 固法によって黄銅合金粉末を作製すること よって、非平衡相および微細な結晶粒を生 することに加えて、クロムの粒界析出を利 した加工硬化を引き起こしたことにある。 発明者らは、急冷凝固法の一例として、水 トマイズ法を利用した。6/4黄銅組成の水ア マイズ粉末の特徴は、非平衡相のβ相にな ことである。より具体的に説明する。6/4黄 合金の急冷凝固過程において、固液相線を えたところはβ相領域であるので、粉末はβ として凝固する。そのままゆっくりと冷却 れば、相変態してα相とβ相の混合相になる はずであるが、急冷度が高いためにこの相変 態はほとんど起こらない。このβ相粉末を熱 加工する過程で昇温したとき、β相からα相 への相変態が起こり、混合相となる。

 ある種類の添加元素は、β相を安定に保 効果を発揮する。クロムおよびマンガンに 、α相への変態を遅らせる効果が認められた 。これは、結晶粒内での原子拡散を抑制して いる効果であり、急冷凝固で形成された非平 衡相を保持する効果が高いと考えられる。

 本発明では、凝固過程における粒界析出 が粒界すべりを抑制することによって、加 硬化現象を顕著に発現している。好ましく 、粒界析出物の大きさを、100nm~500nm程度の イズ(最大長さ)に制御する。また、析出物の 分散状態も重要なファクターであり、組織中 で析出物が均一に分散していることが理想な ので、原料粉末が均質であることが望ましい 。粉末作製法として、アトマイズ法であれば 、凝固速度とそれに伴う粉末粒径の制御が容 易である。

 [押出加工]
 黄銅合金押出材の強度の向上には、押出温 が非常に重要な因子となる。押出温度は、 いほど望ましい。粉末の集合体を押出加工 るには、粉末を加熱する必要がある。この 熱温度が高ければ、原子拡散が早くなり、 冷凝固で作られた非平衡相が熱平衡状態に づいてしまう。従って、黄銅合金粉末集合 を、押出加工が可能な最低温度で押出すこ が重要である。好ましい押出温度は650℃以 である。押出温度の下限値を決定すること 困難である。なぜなら、下限温度は、押出 レットの大きさ、押出比、装置の押出最大 重等によって決まるからである。500℃での 出が可能であればその温度が適切な条件で るといえるが、実際には、押出加工を行な には550℃以上が必要になると思われる。

 押出の際には、ビレットの放熱による温 降下、および押出圧力による温度上昇の二 のファクターが影響して実際の押出温度が まる。従って、押出温度を規定することは 実的ではなく、ビレットの加熱温度を管理 るのが実用的である。黄銅の押出実験では ビレットの加熱管理温度を650℃にしたとき 押出開始までに48秒を要したことがある。 擬実験で得たデータと照らし合わせると、 のときの押出開始温度は577℃になる。

 本発明者らは、クロム含有黄銅合金粉末 合体を押出加工する際の押出速度を制御す ことで、より高強度の材料が得られること 見出した。より高強度の材料を得るための 出条件としては、低温での押出が効果的で り、さらに押出速度を低速にすることでよ 強度の向上が見込まれる。この点について 、実験結果に基いて後述する。

 黄銅合金押出材の切削性を向上させるた に、クロム含有黄銅合金粉末に黒鉛粒子を 加して混合し、この混合粉末集合体を押出 工するようにしても良い。切削性向上効果 発現するには、クロム含有黄銅合金粉末に して0.2~2.0重量%の黒鉛粒子を添加する必要 ある。添加黒鉛粒子の粒子径は、好ましく 、1μm~100μmの範囲内である。

 [元素の添加量]
 第三元素の添加量については、各種元素に り適量がある。

 クロムについては、0.5質量%の添加で耐力 値の向上が認められた。さらにクロムの添加 量を増して1質量%にすると、耐力値には差が められなかったものの、引張強度が非常に い値を示した。従って、クロムの添加量は0 .5質量%以上が好ましく、より好ましくは1.0質 量%以上である。

 クロム含有量の上限値は、5.0質量%である 。粉末製造段階での制限により、銅-クロム 液相状態でクロムの濃度の上限は4%となる。 ここで亜鉛を添加した場合に、クロム含有量 は2.4質量%となる。銅-クロムの溶解温度を上 ることで、クロムの含有量を増やすことは 能である。例えば、溶解温度を1300℃まで上 げると、クロムを8%の濃度まで溶解可能であ 、ここで亜鉛を添加した場合のクロム含有 は5.0質量%となる。しかしながら、この温度 では、亜鉛の蒸気圧が高くなりすぎて、組成 制御が困難となる。従って、より好ましいク ロム含有量の上限値は、2.4質量%である。

 バナジウムは、極微量であっても、粒界 出が起こる。銅-バナジウムの液相状態での バナジウムの濃度の上限値が0.5%であること 考慮すると、バナジウムの効果を最大限に かすためには上限値近くまでバナジウムを 加すべきである。その場合、亜鉛添加によ 、バナジウムの濃度は、0.3質量%となる。バ ジウムの濃度をこの値よりも大きくするた には、溶解温度を上げる必要がある。しか 、1200℃以上の温度になると亜鉛の蒸気圧が 非常に高くなりすぎるため、最適の組成で粉 末を作ることが困難になる。従って、バナジ ウム添加の効果は限定的にならざるを得ず、 他元素との組合せでの強化が必要になる。

 黄銅にマンガンを添加することによって られる効果については、既に多くの研究例 あり、高マンガン黄銅として実用化もされ いる。本発明においては、上記のクロム添 、またはクロムおよびバナジウム添加と組 合わせて、マンガンを補助的に添加するこ により、黄銅合金をより高強度化すること できる。マンガン添加量としては、0.5質量% で十分な効果が得られることを確認した。従 来の研究例によると、マンガンの添加量を増 大すると材料の加工性を著しく低下させるこ とも認められているので、マンガン添加量の 好ましい上限値は、化合物を作らない範囲で ある7質量%以下である。より好ましいマンガ の添加量は、1~3質量%であり、この量を超え ると伸びが低下して、黄銅の加工性の低下を きたすおそれがある。

 ニッケルは、銅に対して全率固溶するの 、Cu-Zn-Ni系においては任意の量を添加して 金化することが可能である。従って、本発 において、ニッケルの添加量については特 上限はない。ニッケルの添加は、耐力値の を引き上げるという特殊な効果をもたらす のであり、1質量%の添加量で300MPaを超える耐 力値を実現できる。

 合金部材の実用上の見地からすれば、引 強度よりも耐力値の方が重要であることは うまでも無い。本発明にとっての最大の効 は6/4黄銅に所定量のクロムを含有させたこ にあるが、ニッケルをさらに添加すること よってより多くの利点が得られる。クロム 高融点であるがゆえに、微量であっても添 させることが容易ではない。これを克服す 手法として、冶金学における熱平衡状態を 用することを既に説明した。クロムとニッ ルの効果を同時に発現させるためには、当 両方の元素を添加することになる。この場 の添加方法として、より容易な方法がある すなわち、クロムのみを添加するためには 前述したようなプロセスを取ることになる 、同時にニッケルも添加するためには、母 金に最初からクロムとニッケルが含まれて ることが好ましい。

 ニッケルクロム合金は市販されており、 金化することでその融点は下がり、1345℃に なる。この合金と銅とを高周波炉を使って溶 解することは可能である。ニッケルとクロム との混合比は1:1になるが、銅-クロム母合金 使って製造するよりもはるかに容易に溶湯 作ることができる。この方法を使ってニッ ルを添加することを実施するならば、ニッ ル添加量の好ましい上限値は、クロムと同 く、2.4質量%となる。

 ニッケルとクロムの母合金での混合比率 変えることにより、ニッケル添加量を増や ことが可能である。母合金でクロム添加量 増やすことは急激に融点を高めてしまうの 、粉末製造の難易度が上がるが、ニッケル 比率を上げても融点はあまり上がらず、ニ ケルの融点を超えることは無い。従って、 ッケルリッチの粉末を作ることは可能であ 、ニッケルの添加量を増やすことは可能で る。ニッケルの添加量の上限値については に制限されないが、黄銅としての特性を損 わない範囲として、5質量%以下の添加に留 ておくのが望ましい。ニッケルの含有量を の範囲にしておけば、所望の機械的特性を った合金を作ることが可能であり、広い応 範囲に適用可能となる。

 その他の添加元素に関しては、概ね数%程 度、少なくとも0.1%以上で添加効果を発現す 。各種元素の適量、組合せについては、求 る機械的性質によって異なってくる。強度 上の観点から見れば、ジルコニウムは結晶 微細化効果を発現するので、0.1%の添加でも 分にその効果が認められ、ホールペッチの 験則から明確な強化元素であるといえる。

 チタンやアルミニウムなどは、固溶強化 より母相の強度を上げるので、1%以下の微 添加でもその効果を発現する。

 シリコンは、通常、分散強化に用いられ 元素であり、3%程度の添加が適量である。 かしながら、他の元素との兼ね合いから、 加が必ずしも強化につながらない場合もあ 。特に、本発明の合金系では、クロムの析 サイトとシリコンの分散サイトとが同一箇 になってしまうと、強化効果が得られなく る。従って、クロムの添加量によってシリ ンの添加量は制限される関係にあり、クロ とシリコンとを合わせて3%以下にするのが好 適といえる。

 スズは、0.3%程度で固溶して強化元素とし ての効果を発現するが、添加量を増やすとγ が出現するため、脆化の原因となり、多量 加は好ましくなく、0.1%~0.5%の範囲が好適と える。

 [粉末の作製]
 Cu-40%Znの黄銅素材より、水アトマイズ法に って、Cr無添加の黄銅粉末、0.5質量%Cr添加の 黄銅粉末、および1.0質量%Cr添加の黄銅粉末を 作製した。粉末の化学組成を表1に示し、粉 の外観のSEM(Scanning Electron Microscope)写真を図 1に示す。図1の(a)はCrを添加していない6/4黄 合金粉末を示し、(b)は0.5質量%Crを添加した6/ 4黄銅合金粉末を示し、(c)は1.0質量%Crを添加 た6/4黄銅合金粉末を示す。

 作製した粉末のX線回折結果を図2に示す Cr無添加の黄銅合金粉末および0.5質量%Crを添 加した黄銅合金粉末では、β相のみが検出さ た。1.0質量%Crを添加した黄銅合金粉末では α相とβ相の2相が検出された。6/4黄銅組成 場合、液相から固液相線を越えるとβ相にな り、急冷凝固粉末は一般的にα変態せずに冷 される。1.0質量%Cr添加の黄銅合金粉末を詳 に調査した結果、α相粉末とβ相粉末の混合 状態であった。アトマイズの過程で個々の粉 末に冷却速度差が生じ、α変態した粉末が生 したものと考えられる。なお、Crは微細粒 として存在するため、X線回折では明瞭な回 ピークは検出されなかった。

 [1.0質量%Cr添加の黄銅合金粉末の押出]
 水アトマイズ法で作製された組成59%Cu-40%Zn-1 %Crの粉末を600MPaで圧粉して押出用ビレットと した。このビレットを電気炉で加熱して押出 加工を行なった。加熱用電気炉の温度条件を 、650℃、700℃、750℃、780℃の4種類とした。 レットを、押出機によって押出速度3mm/s、押 出比37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行い、0.2% 力値および最大引張強度を測定した。その 果を表2に示す。

 表2の結果から明らかなように、ビレット を650℃の温度に加熱して押出したものが、最 大引張強度および0.2%耐力値において高い数 を示した。加熱温度を上げていくと、これ の機械的強度は低下する傾向にあった。従 て、押出前のビレットの加熱温度は、650℃ 下が望ましい。

 [0.5質量%Cr添加の黄銅合金粉末の押出]
 水アトマイズ法で作製された組成59.5%Cu-40%Zn -0.5%Crの粉末を600MPaで圧粉して押出用ビレッ とした。このビレットを電気炉で加熱して 出加工を行なった。加熱用電気炉の温度条 を、650℃、700℃、750℃、780℃の4種類とした ビレットを、押出機によって押出速度3mm/s 押出比37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行い、0.2% 力値および最大引張強度を測定した。その 果を表3に示す。

 表3の結果から明らかなように、ビレット を650℃の温度に加熱して押出したものが、最 大引張強度および0.2%耐力値において高い数 を示した。加熱温度を上げていくと、これ の機械的強度は低下する傾向にあった。従 て、押出前のビレットの加熱温度は、650℃ 下が望ましい。

 また、表2の結果と比較すればわかるよう に、0.2%耐力値に関しては、0.5%Cr添加のもの 、1.0%Cr添加のものとでほぼ同じ値を示した 従って、添加するクロム量が少なくても耐 値は維持されることが認められた。しかし 最大引張強度はクロム量が少なくなると低 している。このことは、耐力値が強制固溶 たクロム量によって決まるのに対し、最大 張応力は余剰なクロムが粒界に析出するこ によって加工硬化度が上昇していることの 付けとなっている。

 [1.0質量%Ni添加の黄銅合金粉末の押出]
 水アトマイズ法で作製された組成59%Cu-40%Zn-1 .0%Niの粉末を600MPaで圧粉して押出用ビレット した。このビレットを電気炉で加熱して押 加工を行なった。加熱用電気炉の温度条件 、650℃、700℃、750℃、780℃の4種類とした。 ビレットを、押出機によって押出速度3mm/s、 出比37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行い、0.2% 力値および最大引張強度を測定した。その 果、ビレットを650℃で加熱して押出したも は、その0.2%耐力値が311MPaで、最大引張強度 479MPaであった。加熱温度を上げていくと、 れらの機械的強度は低下する傾向にあった 従って、押出前のビレットの加熱温度は、6 50℃以下が望ましい。

 [0.7質量%Mn添加の黄銅合金粉末の押出]
 水アトマイズ法で作製された組成59%Cu-40%Zn-0 .7%%Mnの粉末を600MPaで圧粉して押出用ビレット とした。このビレットを電気炉で加熱して押 出加工を行なった。加熱用電気炉の温度条件 を、650℃、700℃、750℃、780℃の4種類とした ビレットを、押出機によって押出速度3mm/s、 押出比37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行い、0.2% 力値および最大引張強度を測定した。その 果、ビレットを650℃で加熱して押出したも は、その0.2%耐力値が291MPaで、最大引張強度 503MPaであった。加熱温度を上げていくと、 れらの機械的強度は低下する傾向にあった 従って、押出前のビレットの加熱温度は、6 50℃以下が望ましい。

 [Cr無添加の黄銅合金粉末の押出]
 水アトマイズ法で作製された組成60%Cu-40%Zn 粉末を600MPaで圧粉して押出用ビレットとし 。このビレットを電気炉で加熱して押出加 を行なった。加熱用電気炉の温度条件を、65 0℃、700℃、750℃、780℃の4種類とした。ビレ トを、押出機によって押出速度3mm/s、押出 37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行い、0.2% 力値および最大引張強度を測定した。その 果を表4に示す。

 表4の結果から明らかなように、ビレット を650℃の温度に加熱して押出したものが、最 大引張強度および0.2%耐力値において高い数 を示した。加熱温度を上げていくと、これ の機械的強度は低下する傾向にあった。従 て、押出前のビレットの加熱温度は、650℃ 下が望ましい。

 [Cr無添加の黄銅合金の溶製材ビレットの押 ]
 組成60%Cu-40%Znの溶製材ビレットを電気炉で 熱して押出加工を行なった。加熱電気炉の 度条件を650℃、700℃、750℃、780℃の4種類と た。ビレットを、押出機によって押出速度3 mm/s、押出比37の条件で加工し、棒材を得た。

 棒材から評点間距離10mm、胴回り3mmの引張 試験片を切り出して、引張試験を行なった。 その結果、ビレットを650℃で加熱して押出し たものは、その0.2%耐力値が226MPaで、最大引 強度が442MPaであった。

 [最大引張強度および0.2%耐力値の比較]
 各種ビレットを650℃の温度に加熱して押出 工した黄銅合金押出材の最大引張強度およ 0.2%耐力値を比較し、それを表5に示した。 た、押出材の応力-ひずみ曲線を図3に示す。 比較したビレットは、Cr無添加の黄銅合金の 製ビレット、Cr無添加の黄銅合金圧粉体ビ ット、0.5%Cr添加の黄銅合金圧粉体ビレット 1.0%Cr添加の黄銅合金圧粉体ビレットの4種類 ある。

 図3および表5から、次のことを理解でき 。まず、Cr無添加の黄銅合金ビレットの2種 を比較すると、溶製ビレットよりも圧粉体 レットの方が、最大引張強度および0.2%耐力 の両者において高い数値を示している。具 的には、圧粉体ビレットにすることによっ 、最大引張強度が5.4%向上し、0.2%耐力値が20 .7%向上している。この点からだけでも、粉末 冶金法の優位性は明らかである。

 さらにクロムを1.0質量%添加した圧粉体ビ レットと、Cr無添加の溶製ビレットとを比較 ると、1.0質量%のCrを添加した圧粉体ビレッ の押出材は、その最大引張強度が27.8%向上 、0.2%耐力値が40.2%向上している。0.2%耐力値 大きく向上しているのは、強制固溶してい クロムによる固溶強化であると考えられる

 また、Cr無添加の圧粉体ビレットに比較 て、Cr添加の圧粉体ビレットの最大引張強度 が大きく向上していることが認められる。こ れは、粉末製造工程の凝固過程において、固 溶しきれなかったクロムが結晶粒界で濃化す ることによってクロムの粒界偏析が起こり、 100nm~500nm程度の直径を持った球状の析出物が に粒界三重点や粒界上に存在していること 原因として考えられる。こうした微細析出 は、塑性変形時の粒界すべりに対して大き 抵抗力として働き、結果として高い加工硬 度を示した。

 [組織観察結果]
 ビレットの加熱温度を650℃にして押出加工 た押出材の光学顕微鏡による組織観察結果 図4に示す。図4の(a)は1質量%Cr添加の黄銅合 圧粉体ビレットの押出材、(b)は0.5質量%Cr添 の黄銅合金圧粉体ビレットの押出材、(c)はC r無添加の黄銅合金圧粉体ビレットの押出材 (d)はCr無添加の黄銅合金溶製ビレットの押出 材を示す。

 図4の写真を比較観察すれば明らかなよう に、溶製ビレット押出材に比べて、圧粉体ビ レット押出材はより微細な結晶粒を有してい る。黄銅合金溶製ビレット押出材の場合、結 晶粒サイズは3~10μmであるのに対し、Cr無添加 の黄銅合金圧粉体ビレット押出材の結晶粒サ イズは1~6μmと微細になっている。また、Cr添 の黄銅合金圧粉体ビレット押出材になると 結晶粒サイズがサブミクロン~5μmと更なる 細化が進行していることが認められる。

 結晶粒微細化に伴い、耐力値はホールペ チ(Hall-Petch)の経験則に従って増加した。Cr 加材の組織には、黒点状の1μm以下の微細な 出物が結晶粒界に観察された。EDS分析を行 った結果、これらの析出物はCrであること 同定した。

 図5は、1質量%Cr添加の黄銅合金圧粉体ビ ットの押出材のSEM像を示している。

 なお、以上の説明では、黄銅合金粉末ま は黄銅合金粉末押出材を中心に記載したが 本発明は、黄銅合金部材にも適用可能であ 。すなわち、黄銅合金部材は、α相とβ相の 混合相からなる黄銅組成を有し、クロムを0.5 ~5.0質量%含有し、さらにニッケル、マンガン ジルコニウム、バナジウム、チタン、シリ ン、アルミニウムおよびスズからなる群か 選ばれた少なくとも一つの元素を含む。

 [降伏応力(YS)の増大]
 クロムを添加することによって黄銅合金部 の降伏応力が増大することが認められるが この降伏応力増大に寄与するのは、クロム うち、特に、黄銅の母相中に固溶して分散 るクロム成分である。組織解析の結果を利 し、析出物を定量化することで添加したク ムの量から母相中に固溶したクロムの量を 出した。

 クロム無添加の黄銅合金部材の降伏応力 クロム添加の黄銅合金部材の降伏応力との を縦軸で表し、母相中に固溶したクロム成 の濃度(%)を横軸に表したのが図6である。ク ロム固溶量が0.22%のとき降伏応力の増加量は3 4MPaで、クロム固溶量が0.35%のとき降伏応力の 増加量は54MPaであった。このように、黄銅の 相中に固溶するクロムの濃度に比例して降 応力が増大していることが認められた。

 [黒鉛粒子添加による快削性の向上]
 粉末押出による黄銅合金押出材の作製にお ては、黒鉛粒子を添加することにより、鉛 リーにして環境への悪影響を抑制すること できる。一般の黄銅に対して黒鉛を添加す ことは過去になされたことがあるが、クロ を添加して強度を向上させた黄銅合金に対 て黒鉛を添加した前例は無い。そこで、ク ム添加により強度を向上させた黄銅への黒 添加を行い、切削性の向上を試みた。

 使用した黒鉛粒子の平均粒子径は5μmであ った。水アトマイズ法で作製したクロム含有 黄銅粉末と、黒鉛粒子とを機械的撹拌法で混 合した。この混合粉末を前述の方法と同様に 圧粉体ビレットとし、熱間押出加工を施して 棒材を得た。添加する黒鉛粒子の量としては 、クロム含有黄銅合金粉末に対して0.5重量% 0.75重量%および1.0重量%の3種類とした。

 図7は、黒鉛粒子添加量と切削性との関係 を示す図である。クロム含有黄銅合金粉末に 黒鉛粒子を添加して押出加工すれば、切削性 が飛躍的に向上することが認められた。切削 性の評価は、ドリルによる貫通試験の試験時 間を計測することで行った。試験片は5cmの長 さに切断した丸棒であり、これにドリル径4.5 mmで貫通試験を行った。ドリルには1.3kgfの荷 を与え、主軸回転数を900rpmとした。10回の 験を行い、貫通に要する時間を平均したも を図7のグラフに表示した。

 黒鉛を全く添加していない試験片では、1 80秒以上の切削を行ってもドリルは全く貫通 なかった。ドリルの切削進行が止まってい ように見られたため、180秒で貫通しないも に関してはそこで試験を中止することにし 。

 黒鉛添加量と、ドリル貫通に要する時間 の関係を調べた。0.5%クロム含有黄銅合金で は、黒鉛無添加の場合に180秒以上であったも のが、0.5%の黒鉛添加量で平均28秒の時間でド リルが貫通した。0.75%以上の黒鉛添加量では 貫通時間が20秒以下となり、切削性の飛躍 な向上が認められた。したがって、0.5%クロ 含有黄銅合金の場合においては、0.75%以上 黒鉛添加が切削性を大幅に向上させるのに 適な条件であるということができる。

 1.0%クロム含有黄銅合金では、黒鉛を0.5% 加しても貫通時間は180秒以上であった。黒 添加量を0.75%に増加させると、平均38秒でド ルが貫通した。また、黒鉛添加量を1.0%にす ると、貫通時間は20秒以下となった。したが て、1.0%クロム含有黄銅合金の場合において は、1.0%以上の黒鉛添加が切削性を大幅に向 させるのに好適な条件であるということが きる。

 [低速押出による強度の向上]
 本発明者らは、クロム含有黄銅合金の押出 度を制御することで、より高強度の材料が られることを見出した。高強度材を得るた の押出条件としては、低温での押出が効果 であるが、さらに押出速度を低速にするこ により、より強度を向上させることができ 。実測値を記載すると、1.0%クロム含有黄銅 合金の場合、通常の押出速度(ラム速度3mm/s) 押出を行ったときの耐力値は317MPaで、最大 張強度は565MPaであったが、この押出速度を 分の一(ラム速度0.3mm/s)に減じて押出加工を ったところ、耐力値は467MPaまで向上し、最 引張強度は632MPaまで向上した。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 本発明は、優れた機械的特性を有する6/4 銅合金部材の製造に有利に利用され得る。