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Title:
BUBBLE-COLUMN-TYPE HYDROCARBON SYNTHESIS REACTOR, AND HYDROCARBON SYNTHESIS REACTION SYSTEM HAVING THE REACTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041604
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a bubble-column-type hydrocarbon synthesis reactor for synthesizing a hydrocarbon compound through the chemical reaction between a synthetic gas mainly composed of hydrogen and carbon monoxide with a slurry comprising a solid catalyst particle suspended in a liquid. The bubble-column-type hydrocarbon synthesis reactor comprises: a reactor main body for containing the slurry therein; a synthetic gas supply unit for supplying the synthetic gas to the slurry; and an introduction unit for introducing a cooling fluid having a temperature lower than that of the slurry into the interior of the reactor main body.

Inventors:
ONISHI YASUHIRO (JP)
KATO YUZURU (JP)
YAMADA EIICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067469
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL ENG CO LTD (JP)
JAPAN OIL GAS & METALS JOGMEC (JP)
INPEX CORP (JP)
NIPPON OIL CORP (JP)
JAPAN PETROLEUM EXPLORATION CO (JP)
COSMO OIL CO LTD (JP)
ONISHI YASUHIRO (JP)
KATO YUZURU (JP)
YAMADA EIICHI (JP)
International Classes:
C10G2/00; B01J8/22
Foreign References:
JP2004511619A2004-04-15
JP2000506061A2000-05-23
JP2001517645A2001-10-09
JP2007252521A2007-10-04
Other References:
See also references of EP 2199368A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 水素及び一酸化炭素を主成分とする合成ガスと、液体中に固体の触媒粒子を懸濁させてなるスラリーとの化学反応によって炭化水素化合物を合成する気泡塔型炭化水素合成反応器であって、
 前記スラリーを収容する反応器本体と、
 前記合成ガスを前記スラリーに供給する合成ガス供給部と、
 前記反応器本体の内部に、前記スラリーよりも低温の冷却用流体を導入する導入部とを備える気泡塔型炭化水素合成反応器。
 前記反応器本体が円筒状に形成され、
 前記導入部が、前記反応容器本体の内周面に開口する導入開口部と、前記冷却用流体が前記導入開口部から少なくとも前記内周面の周方向に沿って流れるように、前記冷却用流体を前記導入開口部まで導く導入流路部と、を備える請求項1に記載の気泡塔型炭化水素合成反応器。
 前記導入開口部が、前記内周面の周方向に間隔を空けて複数設けられ、
 前記導入流路部が、前記複数の導入開口部から前記反応器本体の内部に供給された前記冷却用流体の流れの勢いを相殺しないように設けられている請求項2に記載の気泡塔型炭化水素合成反応器。
 前記導入部が、前記反応器本体の軸線方向に間隔を空けて複数設けられている請求項2又は請求項3に記載の気泡塔型炭化水素合成反応器。
 前記複数の導入部のうち、一の導入部から前記反応器本体の内部に導入される前記冷却用流体の流れの方向が、前記一の導入部に隣り合う他の導入部から前記反応器本体の内部に導入される前記冷却用流体の流れの方向と異なる請求項4に記載の気泡塔型炭化水素合成反応器。
 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の気泡塔型炭化水素合成反応器と、前記導入部を通じて前記冷却用流体を前記反応器本体の内部に供給する冷却流体供給手段と、を備える炭化水素合成反応システム。
 前記冷却流体供給手段が、前記反応器本体に収容された前記スラリーよりも高い圧力の状態で前記冷却用流体を保持可能な圧力容器と、前記圧力容器から前記導入部を通じて前記反応器本体の内部に向かう流路に設けられて該流路を開閉可能とする開閉バルブと、を備える請求項6に記載の炭化水素合成反応システム。
 前記冷却流体供給手段が、前記冷却用流体を前記炭化水素化合物に含まれるワックス留分の析出温度よりも高温、かつ、前記反応器本体に収容された前記スラリーよりも低温に調整する温度調整器を備える請求項6又は請求項7に記載の炭化水素合成反応システム。
 前記冷却用流体が、前記反応器本体から取り出された前記炭化水素化合物からなる請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の炭化水素合成反応システム。
Description:
気泡塔型炭化水素合成反応器及 これを備える炭化水素合成反応システム

 本発明は、一酸化炭素ガス及び水素ガスを 成分とする合成ガスを液体炭化水素中に固 の触媒粒子を懸濁させたスラリー中に吹き んで炭化水素化合物を合成する気泡塔型炭 水素合成反応器及びこれを備える炭化水素 成反応システムに関する。
 本願は、2007年9月27日に出願された特願2007-2 52521について優先権を主張し、その内容をこ に援用する。

 水素と一酸化炭素を主成分とする合成ガ から炭化水素化合物と水とを生成するフィ シャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合 反応」という)の反応システムの1つとして 液体炭化水素中に固体の触媒粒子を懸濁さ たスラリー中に合成ガスを吹き込んでFT合成 反応を行わせる気泡塔型スラリー床FT合成反 システムがある(例えば、下記の特許文献1,2 参照)。なお、FT合成反応により合成された炭 化水素化合物は、ナフサ(粗ガソリン)・灯油 軽油等の液体燃料製品の原料として利用さ る。

 従来、この気泡塔型スラリー床FT合成反応 ステムに供するFT合成反応器は、スラリーを 収容する反応器本体と、合成ガスを反応器本 体の底部に吹き込むガス供給部とを備えてい る。また、反応器本体内には、FT合成反応の 応熱によって加熱されたスラリーを冷却す 冷却管(熱交換器)が設けられている。すな ち、反応熱によって加熱されたスラリーは 水等の冷媒を冷却管内に供給してスラリー 水との間の熱交換により冷却される。

米国特許出願公開2006/0272986号明細書

 ところで、停電等の外部要因によって炭化 素合成反応システムの一部の機能が停止又 低下した場合には、スラリー中への合成ガ の供給流量が不安定になるため、FT合成反 に基づく反応器本体内の物質バランス及び バランスが崩れて、反応器本体内の温度が 上昇することがある。
 しかしながら、前述した従来の冷却管では 予期せぬ急激な温度上昇を抑えることがで ない場合がある。このとき、熱による触媒 のダメージが大きくなり、触媒の粉化促進 寿命短縮に繋がり得る、という問題がある この場合、触媒をある一定量以上交換する 要があり、その交換頻度が多くなると、合 反応システムの運転又はメンテナンス等の 用が高くなってしまう。

 本発明の目的は、このような問題に鑑み なされたもので、FT合成反応を実施する気 塔型炭化水素合成反応器及びこれを備える 化水素合成反応システムにおいて、その一 の機能の停止時又は低下時における触媒へ ダメージを軽減又は抑制することを目的と る。

 本発明の気泡塔型炭化水素合成反応器は 水素及び一酸化炭素を主成分とする合成ガ と、液体中に固体の触媒粒子を懸濁させて るスラリーとの化学反応によって炭化水素 合物を合成する気泡塔型炭化水素合成反応 であって、前記スラリーを収容する反応器 体と、前記合成ガスを前記スラリーに供給 る合成ガス供給部と、前記反応器本体の内 に、前記スラリーよりも低温の冷却用流体 導入する導入部と、を備える。

 また、本発明の炭化水素合成反応システ は、前記気泡塔型炭化水素合成反応器と、 記導入部を通じて前記冷却用流体を前記反 器本体の内部に供給する冷却流体供給手段 、を備える。

 本発明の気泡塔型炭化水素合成反応器及 これを備える炭化水素合成反応システムに れば、停電等の外部要因によってスラリー の合成ガスの供給や反応器本体の内部での ラリーの流動が停止又は低下する等不安定 なった際に、冷却流体供給手段により冷却 流体を直接反応器本体の内部に供給するこ で、冷却用流体により上記スラリーを直接 却することができる。

 また、前記気泡塔型炭化水素合成反応器に いては、前記反応器本体が円筒状に形成さ 、前記導入部が、前記反応容器本体の内周 に開口する導入開口部と、前記冷却用流体 前記導入開口部から少なくとも前記内周面 周方向に沿って流れるように、前記冷却用 体を前記導入開口部まで導く導入流路部と を備えていてもよい。
 この場合には、反応器本体の内部において 却用流体が圧力損失の少ない内周面に沿っ 周方向に流れるため、冷却用流体を効率よ スラリー中に拡散させることができる。し がって、冷却用流体によるスラリーの冷却 果をさらに向上することができる。すなわ 、この場合には、スラリーと冷却用流体と 温度差に基づく自然対流のみの冷却速度よ もさらに急速に冷却することが可能となる

 さらに、前記気泡塔型炭化水素合成反応器 おいては、前記導入開口部が、前記内周面 周方向に間隔を空けて複数設けられ、前記 入流路部が、前記複数の導入開口部から前 反応器本体の内部に供給された前記冷却用 体の流れの勢いを相殺しないように設けら ていてもよい。
 また、前記気泡塔型炭化水素合成反応器に いては、前記導入部が、前記反応器本体の 線方向に間隔を空けて複数設けられていて よい。

 これらの場合には、反応器本体の内周面 周方向や軸線方向にわたって冷却用流体を 等に流すことが可能となる。すなわち、冷 用流体を容易に反応器本体内部のスラリー 体に拡散させることができるため、スラリ の温度分布に偏りが生じることを防止しな ら、スラリーをさらに速やかに冷却するこ が可能となる。

 さらに、前記気泡塔型炭化水素合成反応器 おいては、前記複数の導入部のうち、一の 入部から前記反応器本体の内部に導入され 前記冷却用流体の流れの方向が、前記一の 入部に隣り合う他の導入部から前記反応器 体の内部に導入される前記冷却用流体の流 の方向と異なっていてもよい。
 この場合には、上述した冷却用流体の流れ よって反応器本体内部のスラリーを効率よ 攪拌することができ、スラリーの冷却効果 さらに高めることが可能となる。

 さらに、前記炭化水素合成反応システム おいては、前記冷却流体供給手段が、前記 応器本体に収容された前記スラリーよりも い圧力の状態で前記冷却用流体を保持可能 圧力容器と、前記圧力容器から前記導入部 通じて前記反応器本体の内部に向かう流路 設けられて該流路を開閉可能とする開閉バ ブと、を備えていてもよい。

 この構成の場合には、予め、開閉バルブ 閉じておくと共に、冷却用流体を反応器本 内部の圧力よりも高圧の状態で圧力容器の 部に保持していてもよい。そして、停電等 外部要因によって炭化水素合成反応システ の一部の機能が停止または低下した場合に 、開閉バルブを開状態とするだけで、反応 本体内との圧力差に基づいて圧力容器内の 却用流体を反応器本体内に流し込むことが きる。すなわち、冷却用流体を駆動する外 の動力が不要となるため、停電等の緊急時 おいても冷却用流体の供給を容易に行うこ が可能となる。

 また、前記炭化水素合成反応システムにお ては、前記冷却流体供給手段が、前記冷却 流体を前記炭化水素化合物に含まれるワッ ス留分の析出温度よりも高温、かつ、前記 応器本体に収容された前記スラリーよりも 温に調整する温度調整器を備えていてもよ 。
 この場合には、反応器本体内に供給する冷 用流体を所定温度に設定することができる め、反応器本体内のスラリーの冷却温度を 易に制御することが可能となる。特に、冷 用流体の温度をワックス留分の析出温度よ も高く設定しておくことで、スラリーを冷 した際にワックス留分が析出してしまうこ を容易に防止できる。

 さらに、前記炭化水素合成反応システムに いては、前記冷却用流体が、前記反応器本 から取り出された前記炭化水素化合物から っていてもよい。
 この場合には、冷却用流体が反応器本体内 おける前記化学反応に影響を与えることを 実に防止できる。また、冷却用流体を別途 意する必要がないため、合成反応システム ランニングコストの削減を図ることができ 。

 本発明によれば、炭化水素合成反応シス ムが外部要因によってその一部の機能が停 又は低下して、スラリー中への合成ガスの 給流量が不安定になっても、冷却用流体に り反応器本体内のスラリーを直接冷却する とができるため、スラリーに含まれる触媒 のダメージを軽減又は抑制することができ 。したがって、触媒の交換頻度を計画より 増大させる必要が無く、気泡塔型炭化水素 成反応器のメンテナンス費用の増大を抑制 ることが可能となる。

図1は、この発明の一実施形態に係る液 体燃料合成システムの全体構成を示す概略図 である。 図2は、図1の液体燃料合成システムを 成する反応器を示す縦断面図である。 図3は、図2のA-A矢視断面図である。 図4は、図2のB-B矢視断面図である。

符号の説明

1…液体燃料合成システム(炭化水素合成反応 ステム)、
30…気泡塔型反応器(気泡塔型炭化水素合成反 応器)、
80…反応器本体、
80a…内周面、
82…スラリー、
84…ディストリビュータ(合成ガス供給部)、
88,89…導入部、
88a,89a…導入開口部、
88b,89b…導入流路部、
90…冷却流体供給手段、
92…温度調整器、
94…貯留タンク、
95…第2開閉バルブ、
96…移送用ポンプ、
98…圧力容器、
99…第1開閉バルブ、
822…液体炭化水素(炭化水素化合物)、
O…軸線

 以下、図1から図4を参照して本発明の好適 実施形態について説明する。
 図1に示すように、本実施形態にかかる液体 燃料合成システム(炭化水素合成反応システ )1は、天然ガス等の炭化水素原料を液体燃料 に転換するGTLプロセスを実行するプラント設 備である。この液体燃料合成システム1は、 成ガス生成ユニット3と、FT合成ユニット5と 製品精製ユニット7とから構成される。合成 ガス生成ユニット3は、炭化水素原料である 然ガスを改質して一酸化炭素ガスと水素ガ を含む合成ガスを生成する。FT合成ユニット 5は、生成された合成ガスからフィッシャー トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」 いう。)により液体炭化水素を生成する。製 精製ユニット7は、FT合成反応により生成さ た液体炭化水素を水素化・精製して液体燃 製品(ナフサ、灯油、軽油、ワックス等)を 造する。以下、これら各ユニットの構成要 について説明する。

 合成ガス生成ユニット3は、例えば、脱硫反 応器10と、改質器12と、排熱ボイラー14と、気 液分離器16および18と、脱炭酸装置20と、水素 分離装置26とを主に備える。脱硫反応器10は 水添脱硫装置等で構成され、原料である天 ガスから硫黄成分を除去する。改質器12は、 脱硫反応器10から供給された天然ガスを改質 て、一酸化炭素ガス(CO)と水素ガス(H 2 )とを主成分として含む合成ガスを生成する 排熱ボイラー14は、改質器12にて生成した合 ガスの排熱を回収して高圧スチームを発生 る。気液分離器16は、排熱ボイラー14におい て合成ガスとの熱交換により加熱された水を 気体(高圧スチーム)と液体とに分離する。気 分離器18は、排熱ボイラー14にて冷却された 合成ガスから凝縮分を除去し気体分を脱炭酸 装置20に供給する。脱炭酸装置20は、気液分 器18から供給された合成ガスから吸収液を用 いて炭酸ガスを除去する吸収塔22と、当該炭 ガスを含む吸収液から炭酸ガスを放散させ 再生する再生塔24とを有する。水素分離装 26は、脱炭酸装置20により炭酸ガスが分離さ た合成ガスから、当該合成ガスに含まれる 素ガスの一部を分離する。ただし、上記脱 酸装置20は場合によっては設ける必要がな こともある。

 このうち、改質器12は、例えば、下記の 学反応式(1)、(2)で表される水蒸気・炭酸ガ 改質法により、二酸化炭素と水蒸気とを用 て天然ガスを改質して、一酸化炭素ガスと 素ガスとを主成分とする高温の合成ガスを 成する。なお、この改質器12における改質法 は、上記水蒸気・炭酸ガス改質法の例に限定 されず、例えば、水蒸気改質法、酸素を用い た部分酸化改質法(POX)、部分酸化改質法と水 気改質法の組合せである自己熱改質法(ATR) 炭酸ガス改質法などを利用することもでき 。

 CH 4 +H 2 O→CO+3H 2  ・・・(1)
 CH 4 +CO 2 →2CO+2H 2  ・・・(2)

 また、水素分離装置26は、脱炭酸装置20又 は気液分離器18と気泡塔型反応器30とを接続 る主配管から分岐した分岐ラインに設けら る。この水素分離装置26は、例えば、圧力差 を利用して水素の吸着と脱着を行う水素PSA(Pr essure Swing Adsorption:圧力変動吸着)装置などで 構成できる。この水素PSA装置は、並列配置さ れた複数の吸着塔(図示せず。)内に吸着剤(ゼ オライト系吸着剤、活性炭、アルミナ、シリ カゲル等)を有しており、各吸着塔で水素の 圧、吸着、脱着(減圧)、パージの各工程を順 番に繰り返すことで、合成ガスから分離した 純度の高い水素ガス(例えば99.999%程度)を、連 続して反応器へ供給することができる。

 なお、水素分離装置26における水素ガス 離方法としては、上記水素PSA装置のような 力変動吸着法の例に限定されず、例えば、 素吸蔵合金吸着法、膜分離法、或いはこれ の組合せなどであってもよい。

 次に、FT合成ユニット5について説明する FT合成ユニット5は、例えば、気泡塔型反応 (気泡塔型炭化水素合成反応器)30と、気液分 離器34と、分離器36と、気液分離器38と、第1 留塔40と、冷却流体供給手段90とを主に備え 。気泡塔型反応器30は、合成ガスを液体炭 水素に合成する反応器の一例であり、FT合成 反応により合成ガスから液体炭化水素を合成 するFT合成用反応器として機能する。この気 塔型反応器30は、図2に示すように、反応器 体80と、ディストリビュータ84と、冷却管86 を主に備える。

 反応器本体80は略円筒型の金属製の容器 あって、その直径は1~20m程度、好ましくは2~1 0m程度である。反応器本体80の高さは10~50m程 、好ましくは15~45m程度である。反応器本体80 の内部には、液体炭化水素(FT合成反応の生成 物)822中に固体の触媒粒子824を懸濁させたス リー82が収容される。この反応器本体80には その上部からスラリー82の一部を分離器36に 流出させるスラリー流出口802、触媒粒子824を 多く含むスラリー82を分離器36から反応器本 80の下部に流入させるスラリー流入口804、及 び、未反応の合成ガス等を反応器本体80の塔 から気液分離器38に供給する未反応ガス出 806が形成されている。

 ディストリビュータ84は、本実施形態に る合成ガス供給部の一例であり、反応器本 80内部の下位に配設され、水素および一酸化 炭素を主成分とする合成ガスをスラリー82中 供給する。このディストリビュータ84は、 成ガス供給管842と、合成ガス供給管842の先 部に取り付けられたノズルヘッダー844と、 ズルヘッダー844の側部に設けられた複数の 成ガス供給ノズル846とからなる。

 外部から合成ガス供給管842を通じて供給さ た合成ガスは、ノズルヘッダー844の内部を 過し、合成ガス供給ノズル846の下部(反応器 本体80の底部側)に設けられた合成ガス供給口 (図示せず)から、反応器本体80内部のスラリ 82中に噴射される。なお、本実施形態では、 合成ガスが反応器本体80の下方(図の細矢印で 示した方向)に向けて噴射されるが、合成ガ が反応器本体80の上方に向けて噴射されても よい。
 このようにしてディストリビュータ84から ラリー82中に吹き込まれた合成ガスは、気泡 828となってスラリー82中を反応器本体80の高 方向(鉛直方向)下方から上方へ向かって流れ る。その過程で、合成ガスは液体炭化水素822 中に溶解し、触媒粒子824と接触する接触反応 により、液体炭化水素の合成反応(FT合成反応 )が行われる。具体的には、下記化学反応式(3 )に示すように水素ガスと一酸化炭素ガスと 合成反応を起こす。

 2nH 2 +nCO→(-CH 2 -)n+nH 2 O ・・・(3)
(ただし、nは正の整数である。)

 また、合成ガスが反応器本体80内部の下 に配設されたディストリビュータ84からスラ リー82中に吹き込まれ、吹き込まれた合成ガ が気泡828となって反応器本体80内を上昇す ことにより、反応器本体80の内部においては 、反応器本体80内部の中央およびその付近(反 応器本体80の中心軸付近)にスラリー82の上昇 (エアリフト)が生じ、反応器本体80の内壁付 近(円周部付近)にはスラリー82の下降流が生 る。これにより、図2に太矢印で示したよう 、反応器本体80内部に、スラリー82の循環流 が生じる。

 冷却管86は、反応器本体80の内部に、反応 器本体80の高さ方向に沿って設けられ、FT合 反応により発生する熱によって温度が上昇 たスラリー82を冷却する。この冷却管86は、 えば、図2に示すように、1本の管を屈曲し 鉛直方向に沿って上下に複数回往復(例えば 図2では2往復)するように形成されていても い。ただし、冷却管の形状および本数は上 形状および本数に限られるわけではなく、 応器本体80内部に均等に配置されて、スラ ー82を均等に冷却することに寄与できるもの であればよい。例えば、バイヨネット型と呼 ばれる二重管構造の冷却管を反応器本体80の 部に複数配置してもよい。

 この冷却管86内には、冷却管入口862から導 された冷却水(例えば、反応器本体80内の温 との差が-50~0℃程度の水)が流通している。 の冷却水が、冷却管86内を流通する過程で、 スラリー82と冷却管86の管壁を介して熱交換 ることにより、反応器本体80内部のスラリー 82が冷却される。冷却水の一部は、水蒸気と って冷却管出口864から、図1に示すように、 気液分離器34に排出され、中圧スチームとし 回収できるようになっている。なお、スラ ー82を冷却するための媒体としては、上記 ような冷却水に限られず、例えば、C 4 ~C 10 の直鎖、分岐鎖状のパラフィン、ナフテン、 オレフィン、低分子量シラン、シリルエーテ ル、シリコンオイルなどを使用することがで きる。

 また、図2~4に示すように、反応器本体80の 部及び下部には、反応器本体80の内部にスラ リー82よりも低温の冷却用流体を導入する2つ の導入部88,89が設けられている。すなわち、2 つの導入部88,89は、反応器本体80の軸線O方向 間隔を空けて設けられている。
 反応器本体80上部の導入部88は、図2,3に示す ように、反応器本体80の内周面80aに開口する 数(図示例では4つ)の導入開口部88aと、各導 開口部88aに接続された導入流路部88bと、を えている。

 これら複数の導入開口部88aは、反応器本 80の軸線Oに直交する同一の面内に配されて り、内周面80aの周方向に均等な間隔を空け 設けられている。また、導入流路部88bは、 却用流体が各導入開口部88aから内周面80aの 方向に沿って流れるように冷却用流体を導 開口部88aまで導く管路をなしている。そし 、各導入部88を構成する導入流路部88bは、 数の導入開口部88aから反応器本体80内に供給 された冷却用流体が内周面80aに沿って同一方 向に流れるように設けられている。具体的に 、導入流路部88bは、反応器本体80の上方から て、冷却用流体が各導入開口部88aから内周 80aに沿って時計回りの方向に流れるように けられている。これにより、複数の導入開 部88aから反応器本体80内に供給された冷却 流体の勢いが相殺されない。

 一方、反応器本体80下部の導入部89も、上部 の導入部88とほぼ同様の構成となっている。 なわち、下部の導入部89も、反応器本体80の 内周面80aに開口する複数(図示例では4つ)の導 入開口部89aと、冷却用流体を導入開口部89aま で導く管路をなす導入流路部89bと、を備えて いる。そして、複数の導入開口部89aは、軸線 Oに直交する同一の面内に配され、内周面80a 周方向に均等な間隔を空けて設けられてい 。また、下部の導入部89をなす導入流路部89b は、上部の導入部88と同様に、複数の導入開 部89aから反応器本体80内に供給された冷却 流体が内周面80aに沿って同一方向に流れる うに設けられており、複数の導入開口部88a,8 9aから反応器本体80内に供給された冷却用流 の勢いは相殺されない。
 ただし、下部の導入部89をなす導入流路部89 bは、反応器本体80の上方から見て、冷却用流 体が各導入開口部89aから内周面80aに沿って反 時計回りの方向に流れるように設けられてい る。すなわち、反応器本体80の上部と下部と は、周方向に関する冷却用流体の流入の向 が相互に逆向きとなる。

 図1,2に示すように、気液分離器34は、気 塔型反応器30内に配設された冷却管86内を流 して加熱された水を、水蒸気(中圧スチーム )と液体とに分離する。分離器36は、気泡塔型 反応器30のスラリー流出口802に接続され、ス リー82の液体炭化水素822と触媒粒子824とを 離処理する。また、分離器36は、気泡塔型反 応器30のスラリー流入口804にも接続されてお 、触媒粒子824を多く含むスラリー82が分離 36から気泡塔型反応器30内に流入する。気液 離器38は、気泡塔型反応器30の未反応ガス出 口806に接続され、未反応合成ガス及び気体炭 化水素を冷却処理する。第1精留塔40は、気泡 塔型反応器30から分離器36、気液分離器38を介 して供給された液体炭化水素を蒸留し、沸点 に応じて各製品留分に分離・精製する。

 冷却流体供給手段90は、前述した導入部88,89 を通じて冷却用流体を気泡塔型反応器30の反 器本体80内に供給するものであり、温度調 器92と、貯留タンク94と、移送用ポンプ96と 圧力容器98と、を主に備える。
 温度調整器92は、気液分離器38と第1精留塔40 とを接続する主配管から分岐した分岐ライン に設けられる。この温度調整器92は、気泡塔 反応器30から取り出されて分離器36において スラリー82から分離された液体炭化水素822を む液体を加熱あるいは冷却し、これを気泡 型反応器30の反応器本体80内に供給する冷却 用流体とする。そして、この温度調整器92に いては、冷却用流体を反応器本体80内のス リー82よりも低温、かつ、液体炭化水素822に 含まれるワックス留分の析出温度よりも高温 に調整できるようになっている。これにより 、冷却用流体自体、あるいは、冷却用流体に よって冷却された反応器本体80内のスラリー8 2に含まれるワックス留分の析出を防止する とができる。

 貯留タンク94は、上記温度調整器92に接続さ れており、温度調整器92から導入された冷却 流体を多量に貯留できるようになっている 圧力容器98は、貯留タンク94及び反応器本体 80に接続されており、反応器本体80内におけ スラリー82の圧力よりも高い圧力の状態で冷 却用流体を保持できるように構成されている 。なお、本実施形態においては、圧力容器98 ら反応器本体80に向かう冷却用流体の流路 分岐されており、分岐した流路が図2~4に示 反応器本体80の各導入流路部88b,89bに各々接 されている。
 移送用ポンプ96は、貯留タンク94と圧力容器 98との間に設けられており、冷却用流体を強 的に貯留タンク94から圧力容器98に移送する ものである。そして、圧力容器98から導入部8 8,89を通じて反応器本体80に向かう流路には、 この流路を開閉可能とする第1開閉バルブ99が 設けられている。したがって、第1開閉バル 99を閉じた状態で、移送用ポンプ96により冷 用流体を圧力容器98に移送することで、圧 容器98内における冷却用流体の圧力が上昇す る。

 また、貯留タンク94から移送用ポンプ96に 向かう流路には、これを開閉可能とする第2 閉バルブ95が設けられている。したがって、 前述のように冷却用流体を圧力容器98に移送 た後に、この第2開閉バルブ95を閉じておく とで、移送用ポンプ96を停止しても圧力容 98内における冷却用流体の圧力が低下するこ とを防止でき、冷却用流体が高い圧力の状態 で圧力容器98内に保持される。そして、この 持状態において第1開閉バルブ99を開くこと 、圧力容器98内と反応器本体80内との圧力差 により、冷却用流体を反応器本体80内に供給 ることができる。

 最後に、製品精製ユニット7について説明 する。製品精製ユニット7は、例えば、WAX分 素化分解反応器50と、灯油・軽油留分水素化 精製反応器52と、ナフサ留分水素化精製反応 54と、気液分離器56,58,60と、第2精留塔70と、 ナフサ・スタビライザー72とを備える。WAX分 素化分解反応器50は、第1精留塔40の下部に 続されている。灯油・軽油留分水素化精製 応器52は、第1精留塔40の中央部に接続されて いる。ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1 精留塔40の上部に接続されている。気液分離 56,58,60は、これら水素化反応器50,52,54のそれ ぞれに対応して設けられている。第2精留塔70 は、気液分離器56,58から供給された液体炭化 素を沸点に応じて分離・精製する。ナフサ スタビライザー72は、気液分離器60及び第2 留塔70から供給されたナフサ留分の液体炭化 水素を精留して、ブタンより軽い成分はフレ アガス(排ガス)側へ排出し、炭素数が5以上の 成分は製品のナフサとして分離・回収する。

 次に、以上のような構成の液体燃料合成 ステム1により、天然ガスから液体燃料を合 成する工程(GTLプロセス)について説明する。

 液体燃料合成システム1には、天然ガス田ま たは天然ガスプラントなどの外部の天然ガス 供給源(図示せず。)から、炭化水素原料とし の天然ガス(主成分がCH 4 )が供給される。上記合成ガス生成ユニット3 、この天然ガスを改質して合成ガス(一酸化 炭素ガスと水素ガスを主成分とする混合ガス )を製造する。

 具体的には、まず、上記天然ガスは、水 分離装置26によって分離された水素ガスと もに脱硫反応器10に供給される。脱硫反応器 10は、当該水素ガスを用いて天然ガスに含ま る硫黄分を例えばZnO触媒で水添脱硫する。 のようにして天然ガスを予め脱硫しておく とにより、改質器12及び気泡塔型反応器30等 で用いられる触媒の活性が硫黄により低下す ることを防止できる。

 このようにして脱硫された天然ガス(二酸化 炭素を含んでもよい。)は、二酸化炭素供給 (図示せず。)から供給される二酸化炭素(CO 2 )ガスと、排熱ボイラー14で発生した水蒸気と が混合された後で、改質器12に供給される。 質器12は、例えば、上述した水蒸気・炭酸 ス改質法により、二酸化炭素と水蒸気とを いて天然ガスを改質して、一酸化炭素ガス 水素ガスとを主成分とする高温の合成ガス 生成する。このとき、改質器12には、例えば 、改質器12が備えるバーナー用の燃料ガスと 気とが供給されており、当該バーナーにお る燃料ガスの燃焼熱および改質器12の炉内 輻射熱により、吸熱反応である上記水蒸気 CO 2 改質反応に必要な反応熱がまかなわれている 。

 このようにして改質器12で生成された高 の合成ガス(例えば、900℃、2.0MPaG)は、排熱 イラー14に供給され、排熱ボイラー14内を流 する水との熱交換により冷却(例えば400℃) れて、排熱回収される。このとき、排熱ボ ラー14において合成ガスにより加熱された水 は気液分離器16に供給され、この気液分離器1 6から気体分が高圧スチーム(例えば3.4~10.0MPaG) として改質器12または他の外部装置に供給さ 、液体分の水が排熱ボイラー14に戻される

 一方、排熱ボイラー14において冷却され 合成ガスは、凝縮液分が気液分離器18におい て分離・除去された後、脱炭酸装置20の吸収 22、又は気泡塔型反応器30に供給される。吸 収塔22は、貯留している吸収液内に、合成ガ に含まれる炭酸ガスを吸収することで、当 合成ガスから炭酸ガスを分離する。この吸 塔22内の炭酸ガスを含む吸収液は、再生塔24 に導入され、当該炭酸ガスを含む吸収液は例 えばスチームで加熱されてストリッピング処 理され、放散された炭酸ガスは、再生塔24か 改質器12に送られて、上記改質反応に再利 される。

 このようにして、合成ガス生成ユニット3で 生成された合成ガスは、上記FT合成ユニット5 の気泡塔型反応器30に供給される。このとき 気泡塔型反応器30に供給される合成ガスの 成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば H 2 :CO=2:1(モル比))に調整されている。なお、気 塔型反応器30に供給される合成ガスは、脱炭 酸装置20と気泡塔型反応器30とを接続する配 に設けられた圧縮機(図示せず。)により、FT 成反応に適切な圧力(例えば3.6MPaG)まで昇圧 れる。ただし、上記圧縮機は、設ける必要 ない場合もある。

 また、上記脱炭酸装置20により炭酸ガス 分離された合成ガスの一部は、水素分離装 26にも供給される。水素分離装置26は、上記 ように圧力差を利用した吸着、脱着(水素PSA )により、合成ガスに含まれる水素ガスを分 する。当該分離された水素は、ガスホルダ (図示せず。)等から圧縮機(図示せず。)を介 て、液体燃料合成システム1内において水素 を利用して所定反応を行う各種の水素利用反 応装置(例えば、脱硫反応器10、WAX分水素化分 解反応器50、灯油・軽油留分水素化精製反応 52、ナフサ留分水素化精製反応器54など)に 連続して供給される。

 次いで、上記FT合成ユニット5は、上記合 ガス生成ユニット3によって生成された合成 ガスから、FT合成反応により、液体炭化水素 合成する。

 具体的には、上記合成ガス生成ユニット3 によって生成された合成ガスは、気泡塔型反 応器30を構成する反応器本体80の底部から流 されて、反応器本体80内に貯留されたスラリ ー82内を上昇する。この際、反応器本体80内 は、上述したFT合成反応により、当該合成ガ スに含まれる一酸化炭素と水素ガスとが反応 して、炭化水素が生成される。さらに、この 合成反応時には、冷却管86内に水を流通させ ことで、FT合成反応の反応熱を除去し、こ 熱交換により加熱された水が気化して水蒸 となる。この水蒸気は、気液分離器34で液化 した水が冷却管86に戻されて、気体分が中圧 チーム(例えば1.0~2.5MPaG)として外部装置に供 給される。

 このようにして、気泡塔型反応器30で合成 れた液体炭化水素822は、スラリー82として気 泡塔型反応器30から取り出されて、分離器36 導入される。分離器36は、取り出されたスラ リー82を触媒粒子824等の固形分と、液体炭化 素822を含んだ液体分とに分離する。分離さ た触媒粒子824等の固形分は、その一部を気 塔型反応器30に戻され、液体分は第1精留塔4 0に供給される。また、気泡塔型反応器30の未 反応ガス出口806からは、未反応の合成ガスと 、合成された炭化水素のガス分とが気液分離 器38に導入される。気液分離器38は、これら ガスを冷却して、一部の凝縮分の液体炭化 素を分離して第1精留塔40に導入する。一方 気液分離器38で分離されたガス分については 、未反応の合成ガス(COとH 2 )は、気泡塔型反応器30の底部に再投入されて FT合成反応に再利用される。また、製品対象 である炭素数が少ない(C 4 以下)炭化水素ガスを主成分とする排ガス(フ アガス)は、外部の燃焼設備(図示せず。)に 入されて、燃焼された後に大気放出される

 次いで、第1精留塔40は、上記のようにして 泡塔型反応器30から分離器36、気液分離器38 介して供給された液体炭化水素(炭素数は多 様)を加熱して、沸点の違いを利用して分留 、ナフサ留分(沸点が約150℃未満)と、灯油・ 軽油留分(沸点が約150~350℃)と、WAX分(沸点が 350℃より大)とに分離・精製する。この第1精 留塔40の底部から取り出されるWAX分の液体炭 水素(主としてC 21 以上)は、WAX分水素化分解反応器50に移送され 、第1精留塔40の中央部から取り出される灯油 ・軽油留分の液体炭化水素(主としてC 11 ~C 20 )は、灯油・軽油留分水素化精製反応器52に移 送され、第1精留塔40の上部から取り出される ナフサ留分の液体炭化水素(主としてC 5 ~C 10 )は、ナフサ留分水素化精製反応器54に移送さ れる。

 WAX分水素化分解反応器50は、第1精留塔40の 部から供給された炭素数の多いWAX分の液体 化水素(概ねC 21 以上)を、上記水素分離装置26から供給された 水素ガスを利用して水素化分解して、炭素数 をC 20 以下に低減する。この水素化分解反応では、 触媒と熱を利用して、炭素数の多い炭化水素 のC-C結合を切断して、炭素数の少ない低分子 量の炭化水素を生成する。このWAX分水素化分 解反応器50により、水素化分解された液体炭 水素を含む生成物は、気液分離器56で気体 液体とに分離され、そのうち液体炭化水素 、第2精留塔70に移送され、気体分(水素ガス 含む。)は、灯油・軽油留分水素化精製反応 器52及びナフサ留分水素化精製反応器54に移 される。

 灯油・軽油留分水素化精製反応器52は、第1 留塔40の中央部から供給された炭素数が中 度である灯油・軽油留分の液体炭化水素(概 C 11 ~C 20 )を、水素分離装置26からWAX分水素化分解反応 器50を介して供給された水素ガスを用いて、 素化精製する。この水素化精製反応は、上 液体炭化水素の異性化及び不飽和結合に水 を付加して飽和させ、主に側鎖状飽和炭化 素を生成する反応である。この結果、水素 精製された液体炭化水素を含む生成物は、 液分離器58で気体と液体に分離され、その ち液体炭化水素は、第2精留塔70に移送され 気体分(水素ガスを含む。)は、上記水素化反 応に再利用される。

 ナフサ留分水素化精製反応器54は、第1精留 40の上部から供給された炭素数が少ないナ サ留分の液体炭化水素(概ねC 10 以下)を、水素分離装置26からWAX分水素化分解 反応器50を介して供給された水素ガスを用い 、水素化精製する。この結果、水素化精製 れた液体炭化水素を含む生成物は、気液分 器60で気体と液体に分離され、そのうち液 炭化水素は、ナフサ・スタビライザー72に移 送され、気体分(水素ガスを含む。)は、上記 素化反応に再利用される。

 次いで、第2精留塔70は、上記のようにしてW AX分水素化分解反応器50及び灯油・軽油留分 素化精製反応器52から供給された液体炭化水 素を蒸留して、炭素数がC 10 以下の炭化水素(沸点が約150℃未満)と、灯油( 沸点が約150~250℃)と、軽油(沸点が約250~350℃) 、WAX分水素化分解反応器50からの未分解WAX (沸点約350℃とに分離・精製する。第2精留塔 70の下部からは軽油が取り出され、中央部か は灯油が取り出される。一方、第2精留塔70 塔頂からは、炭素数がC 10 以下の炭化水素ガスが取り出されて、ナフサ ・スタビライザー72に供給される。

 さらに、ナフサ・スタビライザー72では、 記ナフサ留分水素化精製反応器54及び第2精 塔70から供給された炭素数がC 10 以下の炭化水素を蒸留して、製品としてのナ フサ(C 5 ~C 10 )を分離・精製する。これにより、ナフサ・ タビライザー72の下部からは、高純度のナフ サが取り出される。一方、ナフサ・スタビラ イザー72の塔頂からは、製品対象外である炭 数が所定数以下(C 4 以下)の炭化水素を主成分とする排ガス(フレ ガス)が排出される。この排ガスは、外部の 燃焼設備(図示せず。)に導入されて、燃焼さ た後に大気放出される。

 以上、液体燃料合成システム1の工程(GTL ロセス)について説明した。ところで、停電 の外部要因によって液体燃料合成システム1 の一部の機能が停止又は低下する等して上述 したGTLプロセスが停止又は低下した際には、 すなわち、反応器本体80内のスラリー82への 成ガスの供給や反応器本体80内でのスラリー 82の対流が停止又は低下して不安定となった には、反応器本体80内のスラリー82の温度が 急上昇してしまうことがある。そこで、GTLプ ロセスの停止時には冷却流体供給手段90によ このスラリー82を冷却する。以下、冷却流 供給手段90による反応器本体80内のスラリー8 2の冷却方法について述べる。

 この冷却方法においては、GTLプロセスが 施されている間に、予め冷却用流体として 液体炭化水素を高い圧力の状態で圧力容器 に保持しておく。具体的には、冷却流体供 手段90の第1開閉バルブ99を閉じておき、分 器36や気液分離器38から取り出された液体炭 水素の一部を温度調整器92に供給する。こ 際、温度調整器92に供給された液体炭化水素 は、FT合成反応を生じている反応器本体80内 スラリー82よりも低温、かつ、液体炭化水素 に含まれるワックス留分の析出温度よりも高 温に調整される。そして、温度調整された液 体炭化水素は、温度調整器92から貯留タンク9 4に導入される。

 さらに、GTLプロセスが実施されている間に 、第2開閉バルブ95を開いた状態で移送用ポ プ96により液体炭化水素を貯留タンク94内か ら圧力容器98内に移送し、圧力容器98内にお る液体炭化水素の圧力を上昇させる。なお 圧力容器98内における液体炭化水素の圧力が 所定圧力に到達した際には、移送用ポンプ96 停止すると共に第2開閉バルブ95を閉じれば い。
 これにより、圧力容器98内における液体炭 水素の圧力が所定圧力に保持されることに る。なお、前述した所定圧力は、少なくと 液体炭化水素を反応器本体80内に流し込んで 反応器本体80のスラリー82中に行き渡らせる とができる程度の圧力となっていればよい

 そして、GTLプロセスが停止して反応器本 80内のスラリー82への合成ガスの供給や反応 器本体80内でのスラリー82の対流が停止した には、冷却流体供給手段90の第1開閉バルブ99 を開状態とする、これにより、圧力容器98内 反応器本体80内との圧力差に基づいて、圧 容器98内の液体炭化水素が各導入部88,89を通 て反応器本体80内に流入し、この液体炭化 素により反応器本体80内のスラリー82を直接 却することができる。なお、冷却用流体を す液体炭化水素は、反応器本体80内のスラ ー82よりも低温、かつ、反応器本体80内の液 炭化水素822に含まれるワックス留分の析出 度よりも高温に設定されているため、スラ ー82を冷却しながらも、反応器本体80内でワ ックス留分が析出してしまうことを防止でき る。

 本実施形態に係る液体燃料合成システム1 及びこれを備える気泡塔型反応器30によれば GTLプロセスが停止しても、冷却用流体によ 反応器本体80内のスラリー82を直接冷却する ことができるため、スラリー82に含まれる触 粒子824へのダメージを軽減又は抑制するこ ができる。したがって、触媒粒子824の交換 度を計画よりも増大させる必要が無く、気 塔型反応器30のメンテナンス費用の増大を 制することが可能となる。

 また、反応器本体80内に流入した冷却用 体は、図3,4に示すように、圧力損失の少な 内周面80aに沿って周方向に流れる。さらに 反応器本体80内の上部と下部とで冷却用流体 が相互に逆向きに流れるため、反応器本体80 のスラリー82を効率よく攪拌することがで る。したがって、冷却用流体を効率よく反 器本体80内のスラリー82全体に拡散させるこ ができ、スラリー82の温度分布に偏りが生 ることを防止しながら、冷却用流体による ラリー82の冷却効果を高めることができる。 すなわち、冷却用流体とスラリー82との温度 に基づく自然対流のみの冷却速度よりも速 かに冷却することが可能となる。

 さらに、この実施形態の液体燃料合成シス ム1によれば、シャットダウン時に第1開閉 ルブ99を開くだけで冷却用流体を反応器本体 80内に流し込むことができるため、ポンプ等 ように冷却用流体を駆動する外部の動力が 要となり、冷却用流体の供給を容易に行う とができる。
 また、冷却流体供給手段90が温度調整器92を 備えることで、反応器本体80内に供給する冷 用流体を所定温度に設定することができる め、反応器本体80内のスラリーの冷却温度 容易に制御することが可能となる。特に、 却用流体の温度をワックス留分の析出温度 りも高く設定しておくことで、スラリー82を 冷却した際にワックス留分が析出してしまう ことを容易に防止できる。
 さらに、スラリー82の冷却用流体が反応器 体80から取り出された液体炭化水素からなる ため、反応器本体80内において生じるFT合成 応に影響することを確実に防止できる。ま 、冷却用流体を別途用意する必要もないた 、液体燃料合成システム1のランニングコス の削減を図ることができる。

 なお、上記実施形態において、各導入部88,8 9を構成する導入流路部88b,89bは、反応器本体8 0の内周面80aの周方向に沿って冷却用流体が れるように設けられるとしたが、少なくと 周方向に沿って流れるように設けられてい ばよい。すなわち、導入流路部88b,89bは、例 ば内周面80aに沿う周方向成分及び軸方向成 の両方を含む方向に冷却用流体が流れるよ に、すなわち、反応器本体80内に旋回流が じるように、設けられていてもよい。
 また、2つの導入部88,89は、冷却用流体を相 に逆向きに流入させるように構成されると たが、少なくとも相互に異なる方向に流入 せるように構成されていればよい。

 さらに、導入部88,89は、反応器本体80の上部 及び下部に間隔を空けて2つ設けられるとし が、軸方向に間隔を空けて3つ以上設けられ もよいし、軸方向の1箇所のみに設けられて もよい。なお、導入部が3つ以上設けられる 合には、全ての導入部が相互に異なる方向 冷却用流体を流入するように構成されても いし、軸方向に相互に隣り合う導入部のみ 相互に異なる方向に冷却用流体を流入する うに構成されていてもよい。
 また、各導入部88,89を構成する複数の導入 口部88a,89aは、少なくとも内周面80aの周方向 間隔を空けて配されていればよく、周方向 均等配置しなくても構わない。さらに、各 入部88,89を構成する複数の導入開口部88a,89a 、軸方向に直交する同一面内に配されると たが、少なくとも軸方向に交差する同一面 に配されていればよい。

 また、導入部88,89は、導入開口部88a,89aを複 備えるとしたが、例えば1つだけ備えるとし てもよい。
 さらに、導入部88,89は、導入開口部88a,89a及 導入流路部88b,89bを備えた構造に限らず、少 なくとも冷却用流体を反応器本体80内に導入 る構造となっていればよい。したがて、導 部は、例えば上記実施形態のディストリビ ータ84と同様に、反応器本体80の径方向の中 央部に直接流入する構造であってもよい。

 また、冷却用流体は、分離器36において分 された液体炭化水素822を含む液体に限らず 例えば第1精留塔40において分離・精製され 液体炭化水素の各製品留分であってもよい 、水素化反応器50,52,54において水素化分解・ 水素化精製された液体炭化水素を含む生成物 、気液分離器56,58,60において分離された液体 化水素、第2精留塔70において分離・精製さ た灯油・軽油等の液体燃料製品であっても い。
 さらに、冷却用流体は、液体燃料合成シス ム1において精製されたものに限らず、少な くともFT合成反応に影響しない気体や液体で ればよい。なお、FT合成反応に影響しない 体には、例えば窒素・アルゴン等の不活性 スが挙げられる。

 また、温度調整器92は、冷却用流体を貯留 ンク94内に導入する手前に限らず、例えば貯 留タンク94と圧力容器98との間に配されても いし、貯留タンク94や圧力容器98自体に設け れてもよい。
 さらに、冷却流体供給手段90は上記実施形 の構成に限らず、少なくとも液体燃料合成 ステム1のシャットダウン時に冷却用流体を 応器本体80内に流入するように構成されて ればよい。したがって、冷却流体供給手段 、例えばシャットダウン時に移送用ポンプ により冷却用流体を駆動して反応器本体80内 に流し込むように構成されてもよい。

 また、上記実施形態においては、液体燃料 成システム1に供給される炭化水素原料に天 然ガスを用いたが、例えば、アスファルト、 残油など、その他の炭化水素原料を用いても よい。
 さらに、上記実施形態においては、液体燃 合成システム1について述べたが、本発明は 少なくとも水素及び一酸化炭素を主成分とす る合成ガスとスラリーとの化学反応によって 炭化水素化合物を合成する炭化水素合成反応 システムに適用することができる。なお、炭 化水素合成反応システムは、例えばFT合成ユ ット5を主たる構成としたものであってもよ いし、気泡塔型反応器30及び冷却流体供給手 90を主に備えたものであってもよい。

 以上、本発明の好ましい実施形態を説明 たが、本発明は上記の実施形態に限定され ことはない。本発明の趣旨を逸脱しない範 で、構成の付加、省略、置換、およびその の変更が可能である。本発明は前述した説 によって限定されることはなく、添付のク ームの範囲によってのみ限定される。

 本発明は、水素及び一酸化炭素を主成分と る合成ガスと、液体中に固体の触媒粒子を 濁させてなるスラリーとの化学反応によっ 炭化水素化合物を合成する気泡塔型炭化水 合成反応器であって、前記スラリーを収容 る反応器本体と、前記合成ガスを前記スラ ーに供給する合成ガス供給部と、前記反応 本体の内部に、前記スラリーよりも低温の 却用流体を導入する導入部と、を備える気 塔型炭化水素合成反応器に関する。
 本発明の気泡塔型炭化水素合成反応器によ ば、気泡塔型炭化水素合成反応器のメンテ ンス費用の増大を抑制することが可能とな 。