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Title:
CANCER REMEDY CONTAINING MORTALIN siRNA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156012
Kind Code:
A1
Abstract:
An siRNA or shRNA the target sequence of which is a base sequence represented by one of SEQ ID NOS:1 to 6. Thus, an anticancer agent using mortalin shRNA can be provided.

Inventors:
WADHWA RENU (JP)
KAUL SUNIL (JP)
YUN CHAE-OK (KR)
Application Number:
PCT/JP2008/060599
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
YONSEI UNIVERSITY INDUSTRY ACA (KR)
WADHWA RENU (JP)
KAUL SUNIL (JP)
YUN CHAE-OK (KR)
International Classes:
C12N15/00; A61K31/7105; A61K31/711; A61K35/76; A61K48/00; A61P35/00; C12N15/09
Foreign References:
JP2006089471A2006-04-06
Other References:
KIM E. ET AL.: "Ad-mTERT-delta19, a Conditional Replication-Competent Adenovirus Driven by the Human Telomerase Promoter, Selectively Replicates in an Elicits Cytopathic Effect in a Cancer Cell-Specific Manner", HUMAN GENE THERAPY, vol. 14, 2003, pages 1415 - 1428, XP008057972
MIYAGISHI M. ET AL.: "U6 promoter-driven siRNAs with four uridine 3' overhangs efficiently suppress targeted gene expression in mammalian cells", NATURE BIOTECHNOLOGY, vol. 19, no. 5, 2002, pages 497 - 500, XP001153719
Attorney, Agent or Firm:
SIKs & Co. (Kyobashi-Nisshoku Bldg. 8-7, Kyobashi1-chome, Chuo-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
配列番号1から6の何れかに記載の塩基配列を標的配列とするsiRNA又はshRNA。
以下のセンスオリゴヌクレオチドとアンチセンスオリゴヌクレオチドの組み合わせからなるDNA。
(1)配列番号7の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号8の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(2)配列番号9の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号10の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(3)配列番号11の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号12の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(1)配列番号13の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号14の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(2)配列番号15の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号16の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;又は
(3)配列番号17の塩基配列からなるセンスオリゴヌクレオチド及び配列番号18の塩基配列からなるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
請求項2に記載のDNAを発現させることにより得られる、配列番号1から6の何れかに記載の塩基配列を標的配列とするsiRNA又はshRNA。
請求項1又は3に記載のsiRNA又はshRNA、又は請求項2に記載のDNAを有効成分として含有する、抗癌剤。
請求項2に記載のDNAを含む、請求項1に記載のsiRNA又はshRNAを発現できる組み換え発現ベクター。
アデノウイルスベクターに、請求項2に記載のDNAを組み込むことによって得られる、請求項5に記載の組み換え発現ベクター。
U6プロモーターを含むベクターに、請求項2に記載のDNAを組み込むことによって得られる、請求項5に記載の組み換え発現ベクター。
請求項5から7の何れかに記載の組み換え発現ベクターを有効成分として含有する、抗癌剤。
Description:
モータリン siRNAを含む癌治療剤

 本発明は、モータリン siRNAを含む癌治療 剤に関する。なお、関連出願の相互参照とし て、本出願は、2007年6月20日出願の日本特願20 07-162029号の優先権を主張し、その全記載は、 ここに特に開示として援用される。

 モータリンは当初、CD1 ICRマウス由来の正 線維芽細胞の細胞質画分に存在し、不死化 維芽細胞のそれでは検出されないhsp70ファミ リーの1つとしてクローニングされた(非特許 献1及び2)。現在では、モータリンは動的な ンパク質であることが判明し、すなわち、 の細胞内局在が正常細胞と不死化細胞でこ なることや、様々な細胞内小器官への分布 種々のタンパク質と結合能、強力ながん抑 因子であるp53の抑制、タンパク質分解、細 内分子輸送、ミトコンドリア膜インポート そしてエネルギー産生に機能する(非特許文 献3~7)。モータリン遺伝子mot-2(マウス)またはh mot-2(ヒト)の大量発現によって正常ヒト線維 細胞の分裂寿命延長(非特許文献5及び8)、線 の寿命延長(非特許文献9)、マウス不死化細 の悪性腫瘍化(非特許文献10)が引き起こされ る。マウスのmot-1タンパク質は、C末端側にあ る2つのアミノ酸がmot-2と異なり、分子シャペ ロン能の欠落と不死化細胞に対する細胞老化 様表現型の誘導という機能の差が生じる(非 許文献2及び11)。ヒトのモータリンはマウス 違ってたった1つで、活性がマウスmot-2に近 ためhmot-2と呼ばれている (非特許文献10)。 トレス応答、細胞内分子輸送、抗原提示、 胞分裂制御、腎毒性、分化、がん化という 広い多機能性から(非特許文献6及び15)、PBP74 (非特許文献12), mtHSP70(非特許文献13), GRP75(非 特許文献14)という呼び名でも報告されている 。最近の研究で、Mot-2はがん抑制タンパク質p 53と結合し、その転写活性を抑制することが されている(非特許文献16~20)。Mot-2によるp53 抑制はNIH3T3の悪性腫瘍化(非特許文献10)やヒ ト正常線維芽細胞の分裂寿命延長(非特許文 5)という現象を引きおこすため、モータリン はそれらの一因になると考えられている(非 許文献10)。また、Mot-2はテロメラーゼと協同 で作用してヒト包皮線維芽細胞を不死化させ る(非特許文献8)。そして、アンチセンスやリ ボザイムでモータリンをノックダウンすると 、ヒトがん細胞に対してすみやかに増殖阻害 を引き起こすことも明らかになった(非特許 献21~24)。
Wadhwa, R., Kaul, S. C., Ikawa, Y., and Sugimo to, Y. (1993) J Biol Chem 268, 6615-6621 Wadhwa, R., Kaul, S. C., Sugimoto, Y., and Mit sui, Y. (1993) J Biol Chem 268, 22239-22242 Wadhwa, R., Kaul, S. C., Mitsui, Y., and Sugim oto, Y. (1993) Exp Cell Res 207, 442-448 Ran, Q., Wadhwa, R., Kawai, R., Kaul, S. C.,  Sifers, R. N., Bick, R. J., Smith, J. R., and Pere ira-Smith, O. M. (2000) Biochem Biophys Res Commun 2 75, 174-179 Kaul, S. C., Reddelb, R. R., Sugiharac, T., Mi tsuia, Y., and Wadhwac, R. (2000) FEBS Lett 474, 15 9-164 Wadhwa, R., Taira, K., and Kaul, S. C. (2002) Cell Stress Chaperones 7, 309-316 Liu, Y., Liu, W., Song, X. D., and Zuo, J. ( 2005) Mol Cell Biochem 268, 45-51 Kaul, S. C., Yaguchi, T., Taira, K., Reddel, R . R., and Wadhwa, R. (2003) Exp Cell Res 286, 96-1 01 Yokoyama, K., Fukumoto, K., Murakami, T., Harada , S., Hosono, R., Wadhwa, R., Mitsui, Y., and Ohkum a, S. (2002) FEBS Lett 516, 53-57 Kaul, S. C., Duncan, E. L., Englezou, A., Taka no, S., Reddel, R. R., Mitsui, Y., and Wadhwa, R.  (1998) Oncogene 17, 907-911 Kaul, S. C., Aida, S., Yaguchi, T., Kaur, K., and Wadhwa, R. (2005) J Biol Chem 280, 39373-39379 Domanico, S. Z., DeNagel, D. C., Dahlseid, J.  N., Green, J. M., and Pierce, S. K. (1993) Mol Cel l Biol 13, 3598-3610 Webster, T. J., Naylor, D. J., Hartman, D. J.,  Hoj, P. B., and Hoogenraad, N. J. (1994) DNA Cell  Biol 13, 1213-1220 Merrick, B. A., Walker, V. R., He, C., Patters on, R. M., and Selkirk, J. K. (1997) Cancer Lett 1 19, 185-190 Wadhwa, R., Taira, K., and Kaul, S. C. (2002) Histol Histopathol 17, 1173-1177 Wadhwa, R., Takano, S., Robert, M., Yoshida, A. , Nomura, H., Reddel, R. R., Mitsui, Y., and Kaul, S. C. (1998) J Biol Chem 273, 29586-29591 Kaul, S. C., Reddel, R. R., Mitsui, Y., and W adhwa, R. (2001) Neoplasia 3, 110-114 Wadhwa, R., Yaguchi, T., Hasan, M. K., Mitsui, Y., Reddel, R. R., and Kaul, S. C. (2002) Exp Cel l Res 274, 246-253 Ma, Z., Izumi, H., Kanai, M., Kabuyama, Y., Ah n, N. G., and Fukasawa, K. (2006) Oncogene Walker, C., Bottger, S., and Low, B. (2006) Am  J Pathol 168, 1526-1530 Wadhwa, R., Takano, S., Taira, K., and Kaul, S . C. (2004) J Gene Med 6, 439-444 Wadhwa, R., Ando, H., Kawasaki, H., Taira, K., and Kaul, S. C. (2003) EMBO Rep 4, 595-601 Pizzatti, L., Sa, L. A., de Souza, J. M., Bis ch, P. M., and Abdelhay, E. (2006) Biochim Biophys  Acta Shin, B. K., Wang, H., Yim, A. M., Le Naour, F., Brichory, F., Jang, J. H., Zhao, R., Puravs, E ., Tra, J., Michael, C. W., Misek, D. E., and Hana sh, S. M. (2003) J Biol Chem 278, 7607-7616

 本発明は、モータリン shRNA を利用した 癌剤を提供することを解決すべき課題とし 。

 熱ショックタンパク質70ファミリーのひ つであるモータリンは、細胞内分子輸送、 トコンドリア膜インポート、エネルギー産 、分子シャペロン能、p53活性の抑制など、 々の機能を担う。本発明者らは、抗癌治療 ターゲットとしてモータリンに注目し、モ タリン特異的siRNAを用いることによって癌細 胞を死滅させることができることを実証し、 モータリン特異的siRNAが抗癌剤として有用で ることを見出した。本発明は、これらの知 に基づいて完成したものである。

 即ち、本発明によれば、配列番号1から6の れかに記載の塩基配列を標的配列とするsiRNA 又はshRNAが提供される。
 本発明によればさらに、以下のセンスオリ ヌクレオチドとアンチセンスオリゴヌクレ チドの組み合わせからなるDNAが提供される
(1)配列番号7の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号8の塩基配列から るアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(2)配列番号9の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号10の塩基配列から なるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(3)配列番号11の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号12の塩基配列か なるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(1)配列番号13の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号14の塩基配列か なるアンチセンスオリゴヌクレオチド;
(2)配列番号15の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号16の塩基配列か なるアンチセンスオリゴヌクレオチド;又は
(3)配列番号17の塩基配列からなるセンスオリ ヌクレオチド及び配列番号18の塩基配列か なるアンチセンスオリゴヌクレオチド;

 本発明によればさらに、上記のDNAを発現 せることにより得られる、配列番号1から6 何れかに記載の塩基配列を標的配列とするsi RNA又はshRNAが提供される。

 本発明によればさらに、上記のsiRNA又はsh RNA、又はDNAを有効成分として含有する、抗癌 剤が提供される。

 本発明によればさらに、上記のsiRNA又はsh RNA、又はDNAを有効成分として含有する抗癌剤 を用いた癌の治療又は予防方法が提供される 。

 本発明によればさらに、抗癌剤を製造す ための、上記のsiRNA又はshRNA、又はDNAの使用 が提供される。

 本発明によればさらに、上記のDNAを含む、 記siRNA又はshRNAを発現できる組み換え発現ベ クターが提供される。
 本発明の組み換えベクターは、好ましくは アデノウイルスベクターに、上記のDNAを組 込むことによって得られる。
 本発明の組み換えベクターは、好ましくは U6プロモーターを含むベクターに、上記のDN Aを組み込むことによって得られる。
 本発明によればさらに、上記の組み換え発 ベクターを有効成分として含有する、抗癌 が提供される。

 本発明によれば、モータリンshRNAは癌細 を死滅させる効果が確認された。即ち、本 明により、モータリン siRNAを含む癌治療剤 提供される。

 以下、本発明の実施の形態について詳細に 明する。
 RNAi(RNA interference)は、細胞に導入された2本 RNAが、同じ配列を持つ遺伝子の発現を抑制 る現象を言う。RNAiによりモータリンの発現 を阻害する物質の具体例としては、下記に説 明するようなsiRNA又はshRNA等が挙げられる。

 siRNA とはshort interfering RNAの略称であり 約21~23塩基程度の長さの二本鎖RNAをいう。si RNAはRNAiを引き起こすことができる限り、ど ような形態のものでもよく、例えば、化学 成もしくは生化学的合成、又は生物体内の 成で得られたsiRNA、あるいは約40塩基以上の 本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対 上の短鎖二本鎖RNA等であればよい。siRNA の 列と、モータリンmRNAの部分配列とは100%一 することが好ましいが、必ずしも100%一致し いなくてもよい。

 siRNAの塩基配列と、モータリン遺伝子の 基配列との間で相同性のある領域は、モー リン遺伝子の翻訳開始領域を含まないこと 好ましい。相同性を有する配列は、モータ ン遺伝子の翻訳開始領域から20塩基離れてい ることが好ましく、70塩基離れていることが り好ましい。相同性を有する配列としては 例えば、モータリン遺伝子の3'末端付近の 列でもよい。

 RNAiによりモータリンの発現を阻害する物 質としては、siRNA を生成する約40塩基以上の dsRNA等を用いてもよい。例えば、モータリン 伝子の核酸配列の一部に対して約70%以上、 ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、 り好ましくは85%以上、さらに好ましくは90% 上、特に好ましくは95%以上、最も好ましく 100%の相同性を有する配列を含む、二本鎖部 分を含むRNA又はその改変体を使用することが できる。相同性を有する配列部分は、通常は 、少なくとも15ヌクレオチド以上であり、好 しくは約19ヌクレオチド以上であり、より ましくは少なくとも20ヌクレオチド以上であ り、さらに好ましくは21ヌクレオチド以上で る。

 RNAiによりモータリンの発現を阻害する物 質としては、3'末端に突出部を有する短いヘ ピン構造から成るshRNA(short hairpin RNA)を使 することもできる。shRNAとは、一本鎖RNAで部 分的に回文状の塩基配列を含むことにより、 分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのよう な構造となる約20塩基対以上の分子のことで る。また、shRNAとしては3'突出末端を有する のが好ましい。二本鎖部分の長さは特に限定 されないが、好ましくは10ヌクレオチド以上 あり、より好ましくは20ヌクレオチド以上 ある。ここで、3'突出末端は、好ましくはDNA であり、より好ましくは少なくとも2ヌクレ チド以上のDNAであり、さらに好ましくは2~4 クレオチドのDNAである。

 RNAiによりモータリンの発現を阻害する物 質は、人工的に化学合成してもよいし、セン ス鎖及びアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに 連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラ ゼによってインビトロでRNAを合成すること よって作製してもよい。インビトロで合成 る場合は、T7 RNAポリメラーゼ及びT7プロモ ターを用いて、鋳型DNAからアンチセンス及 センスのRNAを合成することができる。これ をインビトロでアニーリングした後、細胞 導入すると、RNAiが引き起こされ、モータリ の発現が抑制される。細胞への導入は、例 ば、リン酸カルシウム法、又は各種のトラ スフェクション試薬(例えば、oligofectamine、L ipofectamine及びlipofection等)を用いた方法等によ り行うことができる。

 RNAiによりモータリンの発現を阻害する物 質としては上述のsiRNA又はshRNAをコードする 酸配列を含む発現ベクターを用いてもよい さらに該発現ベクターを含む細胞を用いて よい。上記した発現ベクターや細胞の種類 特に限定されないが、既に医薬として用い れている発現ベクターや細胞が好ましい。

 本発明では、配列番号1から6の何れかに 載の塩基配列を標的配列とするsiRNA又はshRNA 用いることができる。具体的には、例えば 以下のセンスオリゴヌクレオチドとアンチ ンスオリゴヌクレオチドの組み合わせから るDNAを発現させることにより得られる、配 番号1から6の何れかに記載の塩基配列を標 配列とするsiRNA又はshRNAを用いることができ 。

 本発明のモータリン siRNAを含む抗癌剤の 投与経路は特に限定されず、経口投与又は非 経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与 皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投 、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与 )のいずれの投与経路により投与してもよい 経口投与に適する製剤形態としては、固形 は液体の形態が挙げられ、非経口投与に適 る製剤形態としては、注射剤、点滴剤、坐 、外用剤、点眼剤、点鼻剤等の形態が挙げ れる。本発明の抗癌剤は、その製剤形態に り必要に応じて薬学的に許容可能な添加剤 加えられていてもよい。薬学的に許容可能 添加剤の具体例としては、例えば、賦形剤 結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、保存 、安定化剤、等張化剤、着色剤、矯味剤、 釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー 増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、 ャリア、賦形剤及び/又は薬学的アジュバン ト等が挙げられる。

 経口用の固形製剤形態の本発明の抗癌剤 、例えば、有効成分であるモータリン siRNA に賦形剤を加え、さらに必要に応じて結合剤 、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、又は矯味剤など の製剤用添加物を加えた後、常法により錠剤 、顆粒剤、散剤、カプセル剤として調製する ことができる。経口用の液体製剤形態の本発 明の抗癌剤は、有効成分であるモータリン s iRNAに矯味剤、安定化剤、又は保存剤など製 用添加物の1種又は2種以上を加え、常法によ り内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等と して調製することができる。

 本発明の抗癌剤を液体製剤として処方す ために使用される溶媒は、水性又は非水性 いずれでもよい。液体製剤は当該分野にお て周知の方法により調製することができる 例えば、注射剤は、生理食塩水、PBSのよう 緩衝液、滅菌水等の溶剤に溶解した後、フ ルター等で濾過滅菌し、次いで無菌容器(例 えば、アンプル等)に充填することにより調 することができる。この注射剤には、必要 応じて、慣用の薬学的キャリアを含めても い。また、非侵襲的なカテーテルを用いる 与方法を用いてもよい。本発明で用いるこ ができるキャリアとしては、中性緩衝化生 食塩水、又は血清アルブミンを含む生理食 水等が挙げられる。

 モータリンのsiRNAまたはsiRNA発現ベクター など遺伝子送達の種類に関しては、適用され る細胞内でモータリンのsiRNAをコードするRNA たはsiRNA発現ベクターの発現を得る限り特 方法は限定されるものではなく、例えば、 イルスベクター、リポソームを用いた遺伝 導入を用いる事が可能である。ウイルスベ ターとしては、例えば、レトロウイルス、 クシニアウイルス、アデノウイルス、シン ンセムリキウイルス等の動物ウイルスが挙 られる。

 RNAiによりモータリンの発現を阻害する物 質は、細胞に直接注入してもよい。

 本発明の抗癌剤の投与量は、使用目的、 患の重篤度、患者の年齢、体重、性別、既 歴、又は有効成分として用いる物質の種類 を考慮して、当業者が決定することができ 。本発明の抗癌剤の投与量は、例えば、有 成分量として、成人一人当たり、約0.1 ng~ 100 mg/kg、好ましくは約1 ng~約10 mgであり、 イルスベクター又は非ウイルスベクターと て投与される場合は、通常、0.0001~100 mg、 ましくは0.001~10 mg、より好ましくは0.01~1 mg ある。本発明の抗癌剤の投与頻度は、例え 、一日一回~数ヶ月に1回であればよい。

 本発明を以下の実施例でさらに詳しく説 するが、本発明はこれに限定されない。種 の変更、修飾が当業者には可能であり、こ らの変更、修飾も本発明に含まれる。

(1)実験材料および方法
(a)細胞培養、トランスフェクション、ウィル ス感染
 ヒト由来の正常上皮細胞(TIG-1、WI-38)、骨肉 細胞(U2OS、mortalin過剰発現株U2OS)、繊維肉腫 胞(HT1080)は10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン 、ストレプトマイシン、ファンギゾン(Life Te chnologies, Inc.)を添加したDulbecco's modified Eagle 's minimal essential medium (DMEM)を培地とし、二 化炭素濃度5%、湿度95%、37度のインキュベー ター内で培養した。

 mortalinを標的としたshRNA発現プラスミドの トランスフェクションにはFugene(Roche Applied S cinece)を用いた。通常は6cmの培養デッシュ60% ンフルエント程度の細胞に3μgのプラスミドD NAをトランスフェクションした。その後puromyc in(2μg/ml)を添加した培地で48時間選択を行っ 。免疫染色ではトランスフェクション後24時 間カバーガラス上で培養し、抗mortalin抗体で 色した。細胞増殖速度の検討は顕微鏡観察 よる増殖アッセイ、コロニー形成実験を行 た。

 複製可能な発癌性アデノウィルス(Adonco v iruses)は既に報告されている方法を用いて作 した(Kim, E., Kim, J. H., Shin, H. Y., Lee, H., Yang, J. M., Kim, J., Sohn, J. H., Kim, H., and  Yun, C. O. (2003) Hum Gene Ther 14, 1415-1428)。  ータリンを標的としたshRNAを作るために、 トモータリンを標的としたshRNAの発現のため のDNA断片をセンスオリゴヌクレオチドとアン チセンスオリゴヌクレオチドをアニーリング することによって作製した。

No.1(標的配列:gcgtctcatt ggccggcgat a(配列番号1))
センスオリゴヌクレオチド:
caccgcgtcttattggtcggtgatacgtgtgctgtccgttcttctttcagcttgttgctt ttt(配列番号7)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagcgtctcattggccggcgatagaacggacagcacacgttcttctttcaact tatcgc (配列番号8)

No.2(標的配列:gatgctggcc agatatctgg a (配列番号2) )
センスオリゴヌクレオチド:
caccgatgctggtcagatatctggacgtgtgctgtccgttcttctttcagcttgttgctt ttt (配列番号9)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagatgctggccagatatctggagaacggacagcacacgttcttctttcaact tatcgc(配列番号10)

No.3(標的配列:gactttgacc aggccttgct a (配列番号3) )
センスオリゴヌクレオチド:
caccgactttgatcaggtcttgctacgtgtgctgtccgttcttctttcagcttgttgctt ttt(配列番号11)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagactttgaccaggccttgctagaacggacagcacacgttcttctttcaact tatcgc(配列番号12)

No.4(標的配列:gcaacaagct gaaagaaga(配列番号4))
センスオリゴヌクレオチド:
caccgcgataagttgaaagaagaacgtgtgctgtccgttcttctttcagcttgttgcttt tt (配列番号13)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagcaacaagctgaaagaagaacggacagcacacgttcttctttcaacttatc gc (配列番号14)

No.5(標的配列:gccagaagga caacatatg(配列番号5))
センスオリゴヌクレオチド:
caccgctagaaggataacgtataacgtgtgctgtccgttatatgttgtccttctggcttt tt (配列番号15)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagccagaaggacaacatataacggacagcacacgttatacgttatccttcta gc (配列番号16)

No.6(標的配列:gaatgaggct agaccttta (配列番号6))
センスオリゴヌクレオチド:
caccgagtgaggttagatctttaacgtgtgctgtccgttaaaggtctagcctcattcttt tt (配列番号17)
アンチセンスオリゴヌクレオチ:
gcataaaaagaatgaggctagacctttaacggacagcacacgttaaagatctaacctcac tc (配列番号18)

 その断片を、アデノウイルスpSP72-E3シャト ベクター(Cancer Gene Therapy, 12, p61-71, 2005)の BamH1とHindIIIサイトに組み込みpSP72-E3-shMotを作 出した。モータリンに特異的なshRNAを発現 る殺腫瘍アデノウイルスを作製するために SP72δE3-shMotシャトルベクターをXmnIで直線化 た。その後、SpeI-処理したE1A- 、 E1B-  ダ ル変異にした複製全アデノウイルスベクタ pdl-δB7を用いて大腸菌BJ5183に同時に形質転換 して相同組み換えを行い、pδB7-shMoアデノウ ルスベクターを作成した。相同組み換えを 認するために、プラスミドDNAは一晩の大腸 培養物から精製し、HindIIIで切断し、切断パ ーンを分析した。適切な相同組み換えAdプ スミドDNAをPacIで切断し、293細胞にトランス ェクションしてアデノウイルスAd-δB7-shMotを 作製した。E1を欠失した複製インコンピテン Ad (Ad-δE1、Adゲノム1341-3535の塩基配列の欠 ;Int. J. Cancer, 88 p454-463, 2000)と、E1A、E1Bの ブル突然変異に置き換えた複製アデノウイ ス(Ad-δB7)を調製した。すべてのウイルスは 293細胞で増殖させ、CsCl密度遠心法により精 製し、10mMのトリスと4%のシュークロース、2mM のMgCl2の保存溶解液中で、-80℃で保存した。 イルス粒子数は260nmのOD260の吸光度で測定し た。1吸光ユニットは10 12 /mlのウイルスに相当した。また、感染のタイ ターは(プラーク形成単位/ml)は293細胞の限界 釈法による決定した。MOIは感染効率から計 した。ウィルス感染は細胞を48ウェルプレ トに準備しMOIを10-300で感染させた。ウィル 感染による細胞増殖速度の解析は上述の方 で行った。

 図1は、本実施例で用たアデノウイルスベ クターの図を示す。 示したすべてのアデノ イルスベクターは全長アデノウイルス遺伝 を用い、大腸菌プラスミドに組替え操作し 。Ad- δ E1 はすべての E1 領域を削除した 。; Ad- δ B7はretinoblastoma (RB)結合部位の変 を持つE1Aと E1B 領域を失ったものである。A d- δ B7- shMot は U6 プロモーターによって 御されたmortalin 特異的なshRNAを働かせる。 E1A 、δ E1B とδ E3 はそれぞれ E1A 、 E1B と E3 遺伝子の削除を示す。 ITR = inverted  terminal repeat;ψ = パッケージシグナル;IX= タ ンパク質IX。 アスタリスクは E1A のRb タン パク質結合部位の変異を示す。

(b)siRNA発現ベクターの構築
 siRNA発現ベクターの構築のために、テトラ イクリンによる誘導が可能なU6プロモーター を持つベクターを用いた(Miyagishi, M., and Tair a, K. (2002) Nat Biotechnol 20, 497-500)(Miyagishi, M ., Sumimoto, H., Miyoshi, H., Kawakami, Y., and Tair a, K. (2004) J Gene Med 6, 715-723)。siRNAの標的 位はアルゴリズムを用いて設計した(http://ww w.igene-therapeutics.co.jp)。siRNAの標的となるmortali nの配列を表1に示す。

 siRNA構築物の典型例では、センス配列オリ (5'-cacc GttGCtCACTtCAAGAGAG gtgtgctgtcc CTCTCTTGGAGTGGGCGGC tttttt-3')及びアンチセンス配列オリゴ(5'-GCATaaa aaa GCCGCCCACTCCAAGAGAG ggacagcacac CTCTCTTGaAGTGaGCaaC -3')を作製した。下線部分は、標的部位の配 を示す。CからT、及びGからAへの変異をセン 配列のみに挿入した。100μMのセンス及びア チセンスのオリゴヌクレオチド5μlを混合し て、100-150mMのNaCl中で最終容量(20μl)でサーマ サイクラー(99℃2分、2時間かけて72℃から4 まで低下)を用いてアニーリングさせた。ア ーリングしたオリゴヌクレオチドを希釈し( 1:200)、そのうち2μlを、BspM I で切断して精 したpciPurベクターにハイ・ライゲーション ット(タカラ)を用いてライゲーションした。 形質転換した細菌から調製したプラスミドDNA の配列をアンチセンスベクタープライマー ( CAGGAAACAGCTATGAC)(配列番号19)を用いて決定し、 ローニングされたDNA断片を確認した。

(2)結果
 モータリンは発癌において発現が増加し、 性の癌細胞に関与している(Wadhwa, R., Takano,  S., Kaur, K., Deocaris, C. C., Pereira-Smith, O. M ., Reddel, R. R., and Kaul, S. C. (2006) Int J Ca ncer;及び、Dundas, S. R., Lawrie, L. C., Rooney, P . H., and Murray, G. I. (2005) J Pathol 205, 74-81 )(特開2006-89471号公報)。本発明者らは、モー リン発現siRNAを構築し、ヒト癌細胞に対する 効果を検討した。(i) U6プロモーター (Miyagish i, M., and Taira, K. (2002) Nat Biotechnol 20, 497- 500)、 (ii)アデノ腫瘍退縮性ウイルス(Adonoc-mot shRNAs) (Kim, E., Kim, J. H., Shin, H. Y., Lee, H. , Yang, J. M., Kim, J., Sohn, J. H., Kim, H., and  Yun, C. O. (2003) Hum Gene Ther 14, 1415-1428)  用いた2種類のsiRNAを作製した。テトラサイ リン誘導性U6プロモーターを用いたモータリ ンshRNA (596, 696 ,906)および恒常性Adonoc-motshRNA s (7, 8 ,9)を構築した(表1、図1)。以下に示す データにおいて、モータリンshRNAは癌細胞を 滅させる効果があり、癌治療に用いること できることが実証された。

 図2においては、表示したモータリンshRNA ヒト骨肉腫細胞にトランスフェクションし 。トランスフェクト細胞はピューロマイシ (2 ug/ul)を添加した培地で48~96時間培養し、 択した。テトラサイクリン誘導性構築物は 地にドキシサイクリン(1μg/ml)を加え誘導さ た。

 図2Aは、モータリンshRNAトランスフェクトお よびコントロール細胞におけるモータリンの 免疫染色を示す。モータリンshRNAトランスフ クト細胞の約60%で非常に弱い染色が示され 。
 図2Bでは、ベクタートランスフェクト細胞 健常であるが、モータリンshRNAトランスフェ クト細胞は死滅した。
 図2Cでは、ピューロマイシン選択細胞を低 度(2000 個/10cm ディッシュ)で蒔き、15日間、 コロニー形成の観察を行った。コロニー形成 率の大幅な低下が示された。

 図3では、既に示したようにモータリンshR NA発現アデノ腫瘍退縮性ウイルスを作製した( Kim, E., Kim, J. H., Shin, H. Y., Lee, H., Yang,  J. M., Kim, J., Sohn, J. H., Kim, H., and Yun, C.  O. (2003) Hum Gene Ther 14, 1415-1428)。これら ウイルスはヒト癌細胞において選択的複製 示す。これらをMOI100で正常および癌細胞に イルス感染させた。

 図3Aは、Adonco-motshRNAウイルス感染細胞の リスタルバイオレット染色を示す。正常細 (TIG-1とWI38)は感染48-60時間後においても効果 示さないが、癌細胞(U2OSとHT1080)は各6種のshR NAにおいて顕著な死滅が示された。

 図3Bでは、感染後36-48時間における細胞生 存率を検討した。癌細胞は非常に低い生存率 を示したが、正常細胞では6種いずれのshRNAに おいても著しい効果が見られなかった。

 図4には、MOI 0-300でAdonco-motshRNA およびコ ントロールを感染させたU2OS細胞の増殖の結 を示す。MOI 25において、#7および#9細胞が死 に始め、MOI 300で100%の細胞が死滅した。#8お びコントロールウイルス細胞は大量感染(MOI  200-500の感染領域)で死滅を引き起こした。

 図5では、Adonco-motshRNAを感染させたヒト正 常繊維芽細胞についても図4で示した癌細胞 並行して、感染後36-48時間での増殖を検討し た。細胞死滅は各6種の感染癌細胞にほぼ選 的に見られた。

 図6では、既に示したようにレトロウイル スによりU2OS細胞内でモータリンを過剰発現 せた(Wadhwa, R., Takano, S., Kaur, K., Deocaris, C . C., Pereira-Smith, O. M., Reddel, R. R., and Kaul , S. C. (2006) Int J Cancer)。コントロールお びモータリン過剰発現細胞を元のU2OS細胞と 様に6種のAdonco-motshRNAで感染させた。モータ リン過剰発現U2OS細胞は残存したが、元のU2OS 胞は各6種のAdonco-motshRNAにより効果的に死滅 した。この結果はshRNAによるモータリンのノ クダウンが癌細胞の死滅を導くことを示し いる。

図1は、本研究で用いられたアデノウイ ルスベクターの図を示す。 図2は、モータリンshRNAをヒト骨肉腫細 にトランスフェクションした結果を示す。 図3は、モータリンshRNA発現アデノ腫瘍 縮性ウイルスを正常細胞および癌細胞に感 させた結果を示す。 図4は、Adonco-motshRNA およびコントロー を感染させたU2OS細胞の増殖を示す。 図5は、Adonco-motshRNAを感染させたヒト正 常繊維芽細胞についても図4で示した癌細胞 並行して、感染後36-48時間での増殖を検討し た結果を示す。 図6は、コントロールおよびモータリン 過剰発現細胞を、元のU2OS細胞と同様に6種のA donco-motshRNAで感染させた結果を示す。