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Title:
CAPACITOR, RESONATOR, FILTER DEVICE, COMMUNICATION DEVICE AND ELECTRIC CIRCUIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149622
Kind Code:
A1
Abstract:
A capacitor is provided with a first electrode (2) to which a direct current voltage is applied; a dielectric layer (3), which is arranged on the first electrode (2) and is composed of an oxide dielectric material; and a second electrode (4), which is arranged on the dielectric layer, has a first portion (41) where at least a part in contact with the dielectric layer (3) is composed of a conductive oxide material having oxidizing property, and has a direct current voltage lower than that applied to the first electrode (2) applied.

Inventors:
KURIOKA HIDEHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058140
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
April 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
KURIOKA HIDEHARU (JP)
International Classes:
H01G4/33; H01G4/008; H01G4/12; H01G4/40; H01G7/06; H01L21/314; H01L21/822; H01L27/04; H03H5/12; H03H7/075
Foreign References:
JP2006310744A2006-11-09
JP2006196871A2006-07-27
JPH07245237A1995-09-19
JPH11251523A1999-09-17
JP2006222227A2006-08-24
Other References:
See also references of EP 2166549A4
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Claims:
直流電圧が印加される第1電極と、
該第1電極上に配置され、酸化物誘電体からなる誘電体層と、
該誘電体層上に配置され、前記誘電体層に対して酸化性を有する酸化物導電性材料からなる第1部位を有し、且つ前記第1電極に印加される直流電圧より低い直流電圧が印加される第2電極と、を有するキャパシタ。
前記誘電体層は、ペロブスカイト型酸化物結晶からなる請求項1に記載のキャパシタ。
前記酸化物導電性材料が酸化イリジウムである請求項2に記載のキャパシタ。
前記第2電極は、前記誘電体層側から順に酸化イリジウム層,イリジウム層が積層された積層構造を有する請求項3に記載のキャパシタ。
前記誘電体層は、前記直流電圧の印加により誘電率が変化する材料からなる請求項1乃至4のいずれかに記載のキャパシタ。
前記第2電極は、その断面形状が、前記誘電体層側が幅広の略台形状をなしている請求項1記載のキャパシタ。
前記請求項1乃至6に記載のキャパシタと、インダクタ成分を有し、且つ前記キャパシタに接続されるインピーダンス素子とを備えた共振器。
前記請求項7に記載の共振器を備えたフィルタ装置。
請求項8に記載のフィルタ装置を含む受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えた通信装置。
第1電極と、該第1電極上に配置され、酸化物誘電体からなる誘電体層と、該誘電体層上に配置され、前記誘電体層に対して酸化性を有する酸化物導電性材料からなる第1部位を有し、且つ前記第1電極に印加される直流電圧より低い直流電圧が印加される第2電極と、を有するキャパシタ素子を、前記誘電体層に直流電圧を印加するためのバイアス回路に、前記第1電極に比べて前記第1電極に印加される前記直流電圧の電位が小さくなるように接続した電気回路。
Description:
キャパシタ,共振器、フィルタ装 置,通信装置、並びに電気回路

 本発明は、酸化物誘電体薄膜を用いたキ パシタ、同キャパシタを用いた、共振器、 ィルタ装置,および通信装置、並びに電気回 路に関するものである。

 常誘電体であるチタン酸ストロンチウム(SrT iO 3 、以下STO)薄膜や、強誘電体であるチタン酸 リウムストロンチウム((Ba,Sr)TiO 3 、以下BST)薄膜といったペロブスカイト型酸 物誘電体は、IC用誘電体薄膜キャパシタとし て従来より使われている酸化珪素(SiO 2 )薄膜,窒化珪素(Si 3 N 4 )薄膜,酸化タリウム(Ta 2 O 5 )薄膜に比べ誘電率が高く、IC用誘電体薄膜キ ャパシタの小面積化に好適な誘電体材料とし て期待されている。

 これらペロブスカイト型酸化物誘電体薄 のような酸化物誘電体を形成する方法とし 、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposit ion)法などがあるが、高誘電率を得るために 、いずれの方法においても、酸素を含む高 の雰囲気中で酸化、結晶化する必要がある 従って、これら誘電体薄膜を狭持する下部 極、上部電極材料として、耐熱性が高く、 つ酸化されにくい材料、もしくは酸化され も導電性を有する酸化物導電体材料が用い れてきた。例えば、Pt、Ir、Ruなどである。

 その中でも、Ptは耐熱性が高く、ほとん 酸化されないことから最も広く一般的に電 材料として用いられている。しかしながら Ptは還元反応に対する触媒能が高いため、ペ ロブスカイト型酸化物誘電体が、キャパシタ 作製プロセス中に還元され、特性が劣化する ことが問題となっている。特に、上部電極に Ptを用いた場合には、その影響が顕著であり 特性劣化を引き起こさない上部電極材料が められている。

 そこで、Ptに代わる上部電極材料として 酸素を含む電極、あるいは酸化物導電性材 である酸化イリジウムなどを用いたキャパ タが、特に強誘電体メモリを中心に提案さ ている。

 例えば特許文献1には、チタン酸ジルコン酸 鉛(PZT)などの酸化物誘電体膜上に10 20 atm/cm 3 以上の酸素が含まれているプラチナ、イリジ ウム、ルテニウムからなる上部電極を形成し た例が示されている。

 また特許文献2には、上部電極が第1の導電 である酸化イリジウムと、第2の導電膜であ PtあるいはIrとの積層構造を有する強誘電体 キャパシタが提示されている。

特開平11-251523号公報

特開2006-222227号公報

 上述のように、プロセスダメージの低減 ために上部電極に酸化イリジウムなどの導 性酸化物を用いるキャパシタについては、 の用途が強誘電体メモリである場合が殆ど ある。一般に強誘電体メモリを動作させる 合、極性の異なる電圧を印加する。例えば “0”の状態を書き込む場合の電圧をプラス とした場合、“1”の状態を書き込む場合の 圧は、逆極性のマイナスの電圧となる。

 一方で、酸化物誘電体は、強誘電体メモ だけではなく、デカップリングキャパシタ への利用が考えられる。そのような用途に 用する場合は、同じ極性の電圧が印加され けることが想定されるため、同じ極性の電 が印加され続けた場合の長期信頼性の確保 重要である。

 しかしながら、強誘電体メモリに用いる ャパシタには同じ極性の電圧が印加され続 ることはないので、デカップリングキャパ タなどのキャパシタに求められる、同じ極 の電圧が印加され続けた場合の長期信頼性 対する導電性酸化物材料の効果についての 見はなく、また、そのような信頼性を考慮 て回路上に配置されたキャパシタもなかっ 。

 そこで本件発明者は、上部電極に導電性 化物材料を用いたキャパシタについて、同 極性の電圧を印加し続けた場合の長期信頼 について鋭意調査した結果、長期信頼性は 印加する電圧の極性に大きく依存すること 見出し、本願発明に想到した。

 すなわち、本発明の目的は、同じ極性の 圧を印加し続けた場合に信頼性を向上させ ことのできるキャパシタを提供することに る。

 本発明のキャパシタは、直流電圧が印加 れる第1電極と、該第1電極上に配置され、 化物誘電体からなる誘電体層と、該誘電体 上に配置され、前記誘電体層に対して酸化 を有する酸化物導電性材料からなる第1部位 有し、且つ前記第1電極に印加される直流電 圧より低い直流電圧が印加される第2電極と を有するものである。

 また上記のキャパシタは、前記誘電体層 、ペロブスカイト型酸化物結晶からなるこ が好ましい。

 また上記のキャパシタは、前記第2電極の 前記誘電体層と接する部分が酸化イリジウム からなることが好ましい。

 また上記のキャパシタは、前記第2電極が 、前記誘電体層側から順に酸化イリジウム層 ,イリジウム層が積層された積層構造を有す ことが好ましい。

 また上記のキャパシタは、前記誘電体層 、前記直流電圧の印加により誘電率が変化 る材料からなることが好ましい。

 また本発明の共振器は、上記のキャパシ とインダクタ成分を有するインピーダンス 子とを接続してなる。

 また本発明のフィルタ装置は、上記の共 器を備えたものである。

 また本発明の通信装置は、上記フィルタ 置と、受信回路および送信回路の少なくと 一方とを備えたものである。

 また本発明の電気回路は、第1電極と、該 第1電極上に配置され、酸化物誘電体からな 誘電体層と、該誘電体層上に配置され、前 誘電体層に対して酸化性を有する酸化物導 性材料からなる第1部位を有し、且つ前記第1 電極に印加される直流電圧より低い直流電圧 が印加される第2電極と、を有するキャパシ 素子を、前記誘電体層に直流電圧を印加す ためのバイアス回路に、前記第1電極に比べ 前記第1電極に印加される前記直流電圧の電 位が小さくなるように接続したものである。

 本発明のキャパシタによれば、同極性の 流電圧を印加し続けた場合に、時間の経過 よるキャパシタのリーク電流の増大が抑制 れ、電気的特性が長期にわたり安定化させ ことができ、キャパシタの信頼性が向上す 。またこのキャパシタを用いて、共振器、 ィルタ装置、通信装置を構成することによ て、それらの信頼性も向上させることがで る。

(a),(b)はそれぞれ本発明のキャパシタの 実施の形態の一例を示す平面図および(a)のA-A ’線断面図である。 図1に示すキャパシタとバイアス回路を 接続した電子回路の等価回路図である。 本発明の共振回路の一例を示す等価回 図である。 本発明のフィルタ装置の一例を示す等 回路図である。 本発明の通信装置の一例を示すブロッ 図である。 本発明のキャパシタに対するリーク電 値の時間経過を示すグラフである。 比較例1のキャパシタに対するリーク電 流値の時間経過を示すグラフである。 比較例2のキャパシタに対するリーク電 流値の時間経過を示すグラフである。 比較例3のキャパシタに対するリーク電 流値の時間経過を示すグラフである。 本発明にかかるキャパシタの一実施形 態の変形例を示す平面図である。

 以下、本発明のキャパシタについて、図 を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下 図面においても同様であるが、同様の箇所 は同一の符号を付し、重複する説明を省略 るものとする。

 図1(a),(b)は本発明のキャパシタの実施の 態の一例を示すものであり、(a)は透視状態 示す平面図であり、(b)は(a)のA-A’線におけ 線断面図である。

 図1において、1は支持基板,2は第1電極(以 、下部電極ともいう),3は誘電体,4は第2電極( 以下、上部電極ともいう)であり、5a,5bは外部 回路との接続層である。上部電極4は、誘電 3側に位置する酸化性を有する酸化物導電性 料からなる第1部分41とその上に積層された 2部位42より構成されている。

 図1に示すキャパシタは、接続層5a、5bを して高周波信号及び直流電圧が印加されて 能する。即ち、高周波信号の入出力端子と 流電圧の入出力端子が共用されているもの ある。そして、平面視で下部電極2,誘電体3, 部電極4が重なる部位が容量形成部となる。 ここで、接続層5aには接続層5bに比べて低い 位が供給されることとなる。

 支持基板1は、アルミナ等のセラミック基 板,サファイア,シリコンなどの単結晶基板等 ある。なお、シリコンなどの半導体基板を いる場合には、表面に酸化ケイ素膜が300nm 度形成された基板を用いるのが一般的であ 。

 支持基板1の上に、下部電極2,誘電体3およ び上部電極4(41,42)を順次、支持基板1のほぼ全 面に成膜する。これら各層の成膜終了後、上 部電極4(41,42),誘電体3及び下部電極2を順次、 定の形状にエッチングする。その後、接続 5a、5bを支持基板1のほぼ全面に成膜し、所 の形状にエッチングする。なお、外部回路 の接続層である5a,5bについては、上述のよう に、上部電極4(41,42),誘電体3及び下部電極2を 次、所定の形状にエッチングした後に、改 て成膜し、所定の形状にエッチングして形 してもよいし、上部電極4(41,42)を支持基板1 ほぼ全面に成膜した後、引き続き支持基板1 上に全面に成膜して、所定の形状にエッチン グして形成してもよい。この場合、下部電極 2の延在部上の第1接続層5bはなくなるが、下 電極2の延在部を直接外部回路と接続する第1 バイアス端子とすればよいので、キャパシタ の特性上、差し支えない。

 下部電極2,誘電体3,及び上部電極4(41,42)の 膜に際しては、下部電極2と誘電体3との間 並びに誘電体3と上部電極4(41)との間に、パ ティクル等のキャパシタの特性を劣化させ 要因となりうる不純物の混入を最低限に抑 することが望ましい。従って、これら下部 極2の成膜と誘電体3の成膜との間、及び誘電 体3の成膜と上部電極4(41)の成膜との間には、 エッチング工程を挟まないことが望ましい。

 下部電極2は、ペロブスカイト型酸化物誘 電体等からなる酸化物誘電体である誘電体3 形成に高温プロセスが必要となるため、そ 高温に耐えられるように高融点であること 必要である。具体的には、Pt,Pd,Ir,Ru等の金属 材料からなるものである。Ir,Ruなどは、誘電 3の成膜時にその表面が酸化される可能性が 高いが、各々の酸化物は導電性を有するので 、酸化物が導電性となる金属材料でも、高融 点なら使用することが可能である。更には、 ペロブスカイト型酸化物導電材料であるSROな ども使用可能である。特に、誘電体3にペロ スカイト型酸化物誘電体を用いた場合、下 電極2にSROを用いれば、下部電極2と誘電体3 ともにペロブスカイト型構造となるため、 子整合がとりやすく、誘電体3の誘電率が増 することが期待できる。

 下部電極2の成膜方法は、スパッタリング 法が好適に用いられる。さらに上記の金属材 料を用いた場合には、誘電体3の形成温度で る700℃~900℃へ加熱され、誘電体3の形成開始 まで一定時間保持することにより、平坦な層 とすることが好ましい。

 下部電極2の厚みは、下部電極2自身の抵 成分や膜の連続性を考慮した場合には厚い が望ましいが、支持基板1との密着性を考慮 た場合には相対的に薄い方が望ましく、両 の要素を考慮して決定される。具体的には 30nm~5μmである。下部電極2の厚みを30nm以上 することで、下部電極2の連続性を確保でき 。一方、下部電極の厚みを5μm以下とするこ とで、支持基板1との密着性が良好な状態を 持でき、支持基板1の反りを小さくすること できる。

 下部電極2の成膜に先立って、支持基板1上 は密着層7を形成することが望ましい。密着 7は、支持基板1と下部電極2との密着性を向 させる役割があるが、同時に、下部電極2以 降の工程に対する耐性も必要である。密着層 7の材料としては、例えばTiO 2 が好適に用いられる。また、密着層7の厚み 、例えば5nm~30nmである。

 誘電体3は、酸化物誘電体であれば特に限定 はなく、SiO 2 ,Ta 2 O 5 等を用いることができるが、ペロブスカイト 型酸化物結晶誘電体は高誘電率を有し、ある 所望の容量のキャパシタを形成する場合に、 SiO 2 やTa 2 O 5 を用いる場合と比較して、容量形成部の面積 を小さくできるので好ましい。中でも、チタ ン酸バリウムストロンチウム(BST)を用いるこ により、誘電損失が小さく、かつバリウム ストロンチウムの比により、誘電体の温度 性を制御や、電圧の印加による誘電率の変 率を制御できる。

 この誘電体3は、下部電極2の表面(上面)に 形成されている。例えば、ペロブスカイト型 酸化物結晶材料をターゲットとして、スパッ タリング法による成膜を所望の厚みになる時 間まで行う。この時、基板温度を高く、例え ば800℃として高温スパッタリングを行うこと により、高誘電率の誘電体3を得ることがで る。また、誘電体3は、一度に成膜せず、成 条件を変えて複数回に分けて成膜してもよ 。それにより、誘電体3の細かな特性調整が 可能となる。

 次に、上部電極4は、誘電体3と接する部 において酸化性を有する酸化物導電性材料 有していれば、1層でもよいし、図1に示すよ うに2層の積層構造としてもよいし、それ以 の積層構造としてもよい。また、1層の中に 化物導電性材料を含む部分と含まない部分 が明瞭に分離することなく混在しているも でもよい。例えば、酸素の含有量が厚み方 で徐々に変化していくようなものでもよい ここで、酸化性を有する酸化物導電性材料 は、誘電体3を酸化し自身を還元する材料で あるとともに、酸素を含有している材料で、 例えば誘電体3としてBSTなどのペロブスカイ 型酸化物結晶誘電体を用いた場合には、酸 イリジウム、酸化ルテニウム等を用いるこ ができる。

 ここで、図1に示すように誘電体3と接す 上部電極層4(41)が酸化イリジウムから成る場 合には以下のように形成する。酸化イリジウ ムは、イリジウムをターゲットとして、酸素 を含む成膜ガスを用いた反応性スパッタリン グにより成膜することができる。成膜ガス中 の酸素の含有率は例えば20%から70%とすること が好ましい。酸素含有率を20%以上とすること で、酸素と反応していないIrが膜中に残存す のを抑制することができる。一方、酸素の 有率を70%以内にすることで、成膜速度が大 く低下することがないため、キャパシタの 産性に与える影響を少なくすることができ 。さらに、上部電極層4(41)は通常、真空、 つ誘電体3との密着性を考慮して250℃以上の 較的高温で成膜されることが多い。このよ に本実施形態においては、上部電極4(41)を 化イリジウム等の酸化性を有する酸化物導 性材料を用いて形成しており、その成膜時 酸素が誘電体3にも供給されるため、誘電体3 中での酸素空孔(oxygen vacancy)の生成が抑制さ 、上部電極4(41)の成膜による誘電体3の特性 低下を抑制することができる。

 さらには、酸化イリジウムは、還元反応 対する触媒能が非常に低いので、キャパシ のパターニング用フォトレジストのアッシ グ(ashing)除去の工程での誘電体3の還元が抑 される。

 図1において、上部電極4の第1部位41上に 、さらに第2部位42が形成されている。第2部 は、外部回路との第2接続層である5aと第1部 位41との密着性を確保して、接続信頼性を向 させるほか、第1部位41を保護する役割を有 る。特に、第1部位41として酸化イリジウム 用い、第2部位としてIrを用いた場合には、I rの酸素透過性が低いので、第1部位41を通っ 誘電体層3からの酸素抜けを抑制し、キャパ タの特性を安定化させる役割がある。

 また上部電極4は、誘電体層3と接触する の主面がその主面と反対側の主面よりも大 くなっていることが好ましく、例えば、上 電極4の断面形状が概略台形状となっている 上部電極4をこのような形状とすることによ り、誘電体層3のリーク電流の発生をより少 くすることができる。

 接続層5a,5bは、外部回路との接続信頼性 高めるために設けた層であり、材料として 、Au,Cuなどの低抵抗金属が好適に用いられる 。この接続層5a,5bにより、上部電極4,下部電 2の外部回路との接続が良好となる。

 接続層5a,5bの膜厚は、外部回路との接続 確保できる範囲であれば、特に限定はない 、上部電極4(41,42)の膜厚に対して十分に厚く 、例えば5倍以上とし、下部電極2上の第1接続 層5bも同時に形成することにより、上部電極4 上の第2接続層5aと下部電極2上の第1接続層5b 高さは概ね同じになるので、回路への接続 容易となる。

 上述のように各層を成膜した後、上部電 4,誘電体3および下部電極2を、上に位置する 層から順次、所定の形状にエッチングする。 エッチングは、レジストをスピンコーティン グ法等により全面に均一に塗布し、フォトリ ソグラフィ法によりレジストを所定の形状に パターニングした後、ウェットエッチングも しくはドライエッチングにより行なう。接続 層5a,5bにAuやCuが用いられた場合には、ウェッ トエッチングが好適に用いられる。一方、上 部電極4(41、42)は、基本的にはドライエッチ グが用いられる。ドライエッチングは、例 ば電子サイクロトロン共鳴装置(ECR装置)を用 い、アルゴンプラズマをエッチャントとして 行なうことができる。

 なお、誘電体3のエッチングはウェットエ ッチングおよびドライエッチングのどちらに より行なってもよい。また、下部電極2のエ チングは、ウェットエッチングおよびドラ エッチングのどちらを用いてもよいが、下 電極2の厚みが厚い場合には、パターニング 度の観点から、上部電極4(41,42)と同様にド イエッチングにより行なうことが望ましい

 キャパシタを表面実装させるために、接 層5a、5b上には半田バンプ10が形成されてい 。図1に示す例では、接続層5a、5bの上面の 部が露出するように熱硬化性樹脂等で保護 11を形成した後、露出した接続層5a,5bの上面 Niなどの半田拡散防止層12を設け、半田ペー ストを所望の位置、形状に印刷した後、リフ ローを行うことによって半田バンプ10を形成 ることができる。この半田バンプ10によっ キャパシタが他の回路基板などに実装され とともに、半田バンプ10を介してキャパシタ が外部の回路と電気的に接続されることとな る。なおキャパシタを外部回路と電気的に接 続するには、半田バンプ10を設けずに、接続 5a、5bと他の回路基板に設けられたパッドと を金属細線でつなぐようにしてもよい。

 以上述べた本実施形態にかかるキャパシ によれば、同極性の直流電圧を印加し続け 場合に、時間の経過によるキャパシタのリ ク電流の増大が抑制され、電気的特性が長 にわたり安定化させることができ、キャパ タの信頼性が向上する。

 その理由は明らかでないが、以下のよう 推測される。

 一般に、キャパシタに同じ極性の直流電 を印加し続けた場合、時間の経過とともに ーク電流が増加し、最終的にはキャパシタ 絶縁破壊に至る。このリーク電流が増加す 原因は、一般的には、酸化物誘電体内に存 する酸素空孔が、印加される直流電圧の電 によってカソード側へのマイグレーション 起こし、粒界や電極と誘電体との界面に蓄 され、それらの部分の障壁が低下するため あると考えられており、これにより最終的 は絶縁破壊に至ると考えられている。特に 膜誘電体を用いたキャパシタの場合には、 極と誘電体との界面に障壁が形成されるこ でリーク電流を抑制している場合が多いが 直流電圧を印加し続けた場合には、カソー (負)電極と誘電体との界面に酸素空孔が蓄 され、その結果、電極と誘電体との界面に る障壁が低下するために、電子が障壁(barrier )を越えることで、リーク電流が増大するも と思われる。なお、誘電体を挟持する一対 電極において、第1バイアス端子が接続され 側(電位の高い側)がアノード(正)電極となり 、第2バイアス端子が接続される側(電位の低 側)がカソード電極となる。

 誘電体内の酸素空孔は、誘電体形成時に 成する場合のほか、キャパシタ作製時のプ セスダメージにより生じるが、特にペロブ カイト型酸化物誘電体の場合には、酸素空 が生じやすいことが知られている。

 本実施形態にかかるキャパシタは、上部 極は、誘電体層と接する部分が酸化性(oxidiz able)を有する酸化物導電性材料からなってお 、且つこの上部電極がカソード電極となっ いる。従って、直流電圧を印加し続けた場 、酸素空孔がこの上部電極側へとマイグレ ションしてくるが、上部電極の酸化性を有 る酸化物導電性材料により、マイグレーシ ンしてきた酸素空孔は、上部電極と誘電体 の界面に蓄積することなく、酸化性を有す 酸化物導電性材料中へとマイグレーション ていくと推測される。その結果、上部電極 誘電体との界面の障壁の低下が大きく抑制 れるために、リーク電流の増大が抑制され キャパシタの信頼性が向上するものと推測 れる。

 さらに、上部電極は、誘電体層と接する 分に酸化物導電性材料が被着していること ら、この酸化物導電性材料形成プロセスに いて誘電体に酸素が供給されるので、誘電 において、キャパシタ作製プロセス工程に る酸素空孔の生成を抑制することができる

 また、図1に示すキャパシタにおいて、誘 電体がペロブスカイト型結晶である場合には 、特に酸素空孔が生じやすいため、上部電極 の誘電体と接する部位に酸化性を有する酸化 物導電性材料を用いるとともに上部電極をカ ソード電極とすることで、著しく信頼性を向 上させることができる。また、上部電極の誘 電体と接する部位に酸化物導電性材料を用い ることで、キャパシタ作製プロセス工程にお いて酸素空孔が生成することを抑制すること ができるので、さらに信頼性の高いものとす ることができる。

 また、図1のキャパシタにおいて、酸化性 を有する酸化物導電性材料を酸化イリジウム とした場合には、酸化イリジウムが比較的還 元されやすいことから、上部電極側にマイグ レーションしてきた酸素空孔を効率的に取り 込むことができ、信頼性の高いものとするこ とができる。

 さらに、図1に示すキャパシタおいて、上 部電極が、誘電体層と接する層より順に、酸 化イリジウム、イリジウムが積層された積層 構造となっているときには、キャパシタ作成 時、特に上部電極層形成後の保護膜形成工程 時に、酸化イリジウムを通っての誘電体から の酸素抜けが、イリジウムによって抑制され るので、キャパシタの信頼性がさらに向上す る。

 なお、図1においては、高周波信号の入出 力端子と直流電圧との入出力端子を共通とし た例について説明したが、図10に示すように 周波信号の入出力端子と直流電圧の入出力 子とを個別に設ける構造としてもよい。そ 場合には、高周波信号の入出力端子となる 続層5a、5bの他に直流電圧の入出力端子とな る第1バイアス接続層13aおよび第2バイアス接 層13bを更に設ける。図1の場合には、外部回 路に直流成分と高周波成分を分離するための 回路を設ける必要があるが、図10に示す構造 場合はそれが不要となる。また、この場合 第1バイアス接続層13aと下部電極2との間及 第2バイアス接続層13bと上部電極4との間に、 1/4波長のインダクタや伝搬する高周波信号に 対して大きい抵抗値を有する抵抗体8を介在 せることで、直流電圧を誘電体3に印加する とができる。

 次に、このようなキャパシタについて回 図を用いて説明する。図2は、本発明の一実 施形態にかかる電気回路の等価回路図である 。

 図2において、Cは図1に示した構造からな キャパシタ,S1は高周波信号の第1端子,S2は高 周波信号の第2端子,V1は第1バイアス端子,V2は 2バイアス端子,L1,L2はインダクタ成分を有す るインピーダンス素子であるインダクタであ る。インダクタとしては、例えば直流電圧( イアス信号)を供給するためのRF阻止用イン クタンス成分を含むチョークコイルを用い ことができる。キャパシタCは図1における支 持基板1,下部電極2,誘電体3,上部電極4を有し なり、その下部電極2が第1接続層5bを介して 1端子S1と電気的に接続され,上部電極4が第2 続層5aを介して第2端子S2と電気的に接続さ ている。ここで第1,2端子S1,S2は高周波信号の 入出力端子となる。また、第1バイアス端子V1 はインダクタL1を介してキャパシタCの接続層 5bと,第2バイアス端子V2はインダクタL2を介し キャパシタCの接続層5aとそれぞれ電気的に 続されている。ここで、第1,第2バイアス端 V1,V2とインダクタL1,L2とでバイアス回路を構 成する。また、図2において第2バイアス端子V 2が接地電位(基準電位)となっているように、 第1バイアス端子V1に印加される直流電圧の電 位は、第2バイアス端子V2に印加される電位に 比べて高くなっている。すなわち、接続層5b は、接続層5aよりも高い直流電圧が印加さ ることになる。

 なお、図2に示す例では、バイアス回路に インダクタ成分を用いた例について説明した が、高周波信号がバイアス回路に漏れること を防ぐことができればよく、インダクタ成分 に代えて抵抗成分を用いてもよい。

 次に、上述したキャパシタを用いて共振 を構成した例を示す。図3は、図1に示す構 を有するキャパシタを共振器に用いて共振 路を構成した場合の等価回路図であり、LC直 列共振回路を示している。

 図3に示す等価回路図において、符号L3は インダクタ成分を有するインピーダンス素 であり、Cは図1に示した構造からなるキャ シタであり、Sa,SbはRF信号(高周波信号)端子 ある。これにより、共振回路Rを構成してい 。なお、インダクタL3と、第1バイアス端子V 1及びキャパシタCの接続点との間に設ける直 制限容量素子は省略してある。

 図1に示す構成を有するキャパシタCを共 回路の容量素子として使用することによっ 、長期に電気的特性が安定した、信頼性の い共振回路を提供することができる。

 さらに、図3の等価回路図において、キャパ シタCを構成する誘電体が直流電圧の印加に じて誘電率が変化する材料を用いている場 には、印加電圧に応じて容量値を変化させ ことができる。このため、共振回路の共振 波数を所望の値に設定することができる。 えば、キャパシタCの初期容量値をCt1とし、 ンダクタL1のインダクタンスの値をL1とする と、直流電圧を初期値(基準値)とした状態で 共振周波数f1は、f1=1/(2π(L1・Ct1) 1/2 )となる。そこで、キャパシタCに印加する電 を変化させ、容量値をCt2にすると、共振周 数f2は、f2=1/(2π(L1・Ct2) 1/2 )となる。つまり、印加電圧によりキャパシ Cの容量値を調整するだけで、共振回路Rの共 振周波数を所望の値に調整することができ、 すなわち可変共振回路が形成できる。

 なお、図3では共振回路について説明した が、同様に本発明のキャパシタを整合回路, 相回路,減衰回路に用いることで、信頼性の い回路モジュールを提供することができる また、キャパシタを構成する誘電体として 流電圧の印加に応じて誘電率が変化する材 を用いている場合には、所望の特性になる うに調整することのできる、可変整合回路, 可変移相回路,可変減衰回路などの回路モジ ールとなる。

 次に、本発明のフィルタ装置について説 する。

 図4は、本発明のフィルタ装置の一実施形 態を示す等価回路図である。

 図4に示すフィルタ装置は、入力端子Inと 力端子Outとの間に共振器100aが配置され、共 振器100aと出力端子Outとの接続線と基準電位 子との間100bが配置された構成を有している 共振器100a、100bはそれぞれ図3に示す共振回 を備えている。なお、図4に示す例では、基 準電位を接地電位としている。

 また、入力端子Inと出力端子Outとをつな 入出力ラインと基準電位端子との間のみに 本発明の共振器100bを接続したり、入出力ラ ン上のみに、共振器100aを接続したりしても よい。

 このようにしてラダー型のフィルタを形 してもよいし、非平衡入力―平衡出力等の ランス型のフィルタを形成してもよい。

 次に、本発明の通信装置について説明す 。

 図5は、本発明の通信装置の一実施形態の 通信装置を示すブロック図である。

 図5において、アンテナ140に送信回路Txと 信回路Rxが分波器150を介して接続されてい 。送信される高周波信号は、フィルタ210に りその不要信号が除去され、パワーアンプ22 0で増幅された後、アイソレータ230と分波器15 0を通り、アンテナ140から放射される。また アンテナ140で受信された高周波信号は、分 器150を通りローノイズアンプ160で増幅され ィルタ170でその不要信号を除去された後、 ンプ180で再増幅されミキサ190で低周波信号 変換される。

 図5において、分波器150,フィルタ170,フィ タ210のいずれかに、本発明のフィルタ装置 用いれば、Q値の高い通信装置とすることが できる。

 なお、図5では送信回路Txと受信回路Rxと 有する通信装置について説明したが、送信 路Txまたは受信回路Rxのいずれか一方を有す 通信装置としてもよい。

 図5に示す通信装置によれば、フィルタ装 置に設けられるキャパシタは電気的特性が長 期にわたって安定しているため、通信装置の 電気的特性も長期にわたり安定化させること ができる。このように信頼性の高い通信装置 は、携帯電話,パーソナルハンディホン(PHS), マチュア無線用ポータブルトランシーバ,IC ード等の携帯通信端末、パームトップコン ュータ等の電子情報処理端末または車載用 カーナビケーションシステムおよびETC(エレ トロニック・トール・コレクション・シス ム)車載端末等に好適に使用することができ る。

 本発明は以上の実施の形態の例に限定さ るものではなく、本発明の要旨を逸脱しな 範囲で種々の変更を加えることは何ら差し えない。

 例えば、上部電極第2部位までの形状を形成 した後、SiO 2 などの保護膜を、上部電極第2部位及び下部 極層2の上面の一部が露出するように形成し のち、さらに密着層と接続層5a、5bを形成し てもよい。これにより、キャパシタの耐湿性 が向上する。

 また、図3では共振回路Rについて示した 、目的に応じて共振回路Rの構成を、例えばL C並列構成や多段構成等のように変形して用 ることができる。また、インダクタ成分を するインピーダンス素子として、伝送線路 λ/4共振器等を用いることもできる。

 次に、本発明をより具体化した実施例に いて説明する。実施例として、図1に示すキ ャパシタを、図3に示す共振回路に配置した について説明する。

 まず、表面に厚み300nmのSiO 2 膜が熱酸化により形成されているシリコン基 板からなる支持基板1上に、密着層として、Ti O 2 膜を30nm形成した。TiO 2 膜は、Tiを660℃にて熱酸化することにより作 した。

 次に、下部電極2としてPtを、基板温度400 でスパッタリング法にて成膜した。その後 誘電体3を成膜するためのスパッタリング装 置に基板を導入し、誘電体3の成膜に先立っ 、真空中750℃で30分熱処理を行い、表面を平 坦化した。

 引き続き、Arガスをチャンバー内に導入し 基板温度を750℃として、Arガスのみの成膜ガ スにて、BSTを5nm成膜した。次に、同チャンバ ーに酸素ガスを、ArとO 2 の比率を6:1となるように(以下、Ar/O 2 =6/1のように記載する)導入し、BST膜の熱処理 行った。引き続いて、Ar/O 2 =6/1の成膜ガスにてBSTを95nm成膜した。ターゲ トとして(Ba 0.5 Sr 0.5 )TiO 3 からなるターゲットを用いた。このようにし て誘電体3を作製した。

 次に、誘電体3上に酸化イリジウムからなる 第1部位41及びイリジウムからなる第2部位42か ら成る上部電極4をスパッタリング法にて以 のように成膜した。イリジウムをターゲッ として用い、基板温度を250℃とし、Ar/O 2 =1/1の成膜ガス中にて100nmの酸化イリジウムか らなる第1部位41を成膜した。引き続いて、成 膜ガスをArのみとして、30nmのイリジウムより なる第2部位42を成膜した。

 次に、フォトレジストを塗布し、フォト ソグラフィの手法によりフォトレジストを 定の形状に加工した後、ECR装置により上部 極層4(41,42)をドライエッチングにて所望の 状に加工した。その後、同様にフォトリソ ラフィの手法を用い、誘電体3,下部電極2に いてもエッチングを行い、所望の形状に加 した。

 次に、膜厚1200nmのAuを、基板温度を250℃ して、基板全面にスパッタリング法により 膜した後、フォトリソグラフィの手法によ フォトレジストを所定の形状に加工した後 ウェットエッチングによりパターニングし 、接続層5a、5bを形成した。

 最後に、上記のキャパシタを、空気中に 500℃、1hr熱処理を行った。

 以上のようにして作製したキャパシタを いて、図3に示すような共振回路を構成した 。バイアス端子V1には接続層5bが接続され、 イアス端子V2(接地)には接続層5aが接続され いる。バイアス端子V1から5Vを125℃にて印加 続けた際のリーク電流を測定した。結果を 6に示す。

 図6において、横軸は電圧の印加時間、縦軸 はリーク電流値を示している。また、図中の 1E-9[A]は10 -9 [A]を、すなわち1n[A]を表す。

 図6から明らかなように、リーク電流値は 時間が経過してもほとんど変化なく、リーク 電流値の増大は見られない。つまり、信頼性 の高いキャパシタが形成されていることがわ かった。

 さらに、本実施例のキャパシタについて バイアス無印加時の容量値は1.9nFであり、 イアス3V印加時の容量値1.4nFであった。つま バイアス印加により容量値は約26%変化して り、電圧を印加することにより、容量値を 整することが可能である、すなわち、共振 路の共振周波数を調整することが可能であ ことが確認された。

 次に、第1の比較例として、実施例と同様 の方法にて作製したキャパシタについて、接 続層5aを図3におけるバイアス端子V1に接続し 接続層5bをバイアス端子V2に接続して共振回 路を構成し、同様にバイアス端子V1から5Vを12 5℃にて印加し続けた際のリーク電流を測定 た。結果を図7に示す。

 図7において、図6の場合と同様、横軸は電 の印加時間、縦軸はリーク電流値を示して る。また、図中の1E-9[A]は10 -9 [A]を、すなわち1n[A]を表す。

 図7から明らかなように、この場合は、100 hrを経過する頃からリーク電流値が増加し始 ており200Hrで故障し、高い信頼性は得られ かった。

 さらに、第2の比較例として、上部電極層 4をPtとしたキャパシタを作製し、図3に示す うな共振回路を構成した。バイアス端子V1に は接続層5bを接続し、バイアス端子V2(接地)に は接続層5aを接続し、バイアス端子V1から5Vを 125℃にて印加し続けた際のリーク電流を測定 した。結果を図8に示す。

 図8において、図6の場合と同様、横軸は電 の印加時間、縦軸はリーク電流値を示して る。また、図中の1E-9[A]は10 -9 [A]を、すなわち1n[A]を表す。

 図8から明らかなように、この場合も、100 hrを経過する頃からリーク電流値が増加し始 ており、高い信頼性は得られなかった。

 さらに、第3の比較例として、下部電極2 Ir、上部電極4をPtとしたキャパシタを作製し 、図3に示すような共振回路を構成した。バ アス端子V1には接続層5aを接続し、バイアス 子V2(接地)には接続層5bを接続し、バイアス 子V1から5Vを125℃にて印加し続けた際のリー ク電流を測定した。結果を図9に示す。

 尚、下部電極2にIrを用いた場合、下部電 2は誘電体3の成膜時にその表面から10nmから2 0nmの深さまで酸化され、誘電体3と接する面 は酸化イリジウムが形成されている。よっ 、下部電極2は、実質、誘電体3と接する側か ら酸化イリジウム、イリジウムの積層構造と なっており、本発明のキャパシタの上部電極 構造を下部電極に適用した形となっている。 尚、下部電極2として直接酸化イリジウムを 成した場合、誘電体3の成膜時に酸化イリジ ムからの酸素抜けが起こり、下部電極2の表 面が大きく荒れる可能性があるため、本例に おいては、下部電極2として直接酸化イリジ ムを形成することはしていない。

 図9において、図6の場合と同様、横軸は電 の印加時間、縦軸はリーク電流値を示して る。また、図中の1E-9[A]は10 -9 [A]を、すなわち1n[A]を表す。

 図9から明らかなように、この場合は電圧 印加後1hrを経過する頃からリーク電流値が増 加し始めており300Hr経過前に故障し、高い信 性は得られなかった。

 すなわち、酸化イリジウムを下部電極2に 用いた場合には、下部電極2の電位を低くし も高い信頼性は得られず、実施例に示すよ に、酸化イリジウムは上部電極層4に用い、 つ上部電極層4の電位を低くすることが、高 い信頼性を得るためには必要であることがわ かった。

 以上より、本発明のキャパシタによれば 同極性の直流電圧を印加し続けた場合に、 間の経過によるキャパシタのリーク電流の 大が抑制された信頼性に優れたキャパシタ 実現できることが明らかとなった。