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Title:
CAPACITY CONTROL SYSTEM FOR VARIABLE CAPACITY COMPRESSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081754
Kind Code:
A1
Abstract:
A capacity control system for a variable capacity compressor comprises: an evaporator temperature sensor for detecting an evaporator exit air temperature; an electromagnetic control valve capable of adjusting control pressure by open/close operation; and a control device for calculating a discharge capacity control signal from an evaporator target exit air temperature by using a calculation equation and supplying a control current corresponding to the discharge capacity control signal to the electromagnetic control valve. The control device, only when criteria are satisfied, corrects the calculation equation according to the deviation between the evaporator exit air temperature detected by the evaporator temperature sensor and the evaporator target exit air temperature. The criteria include a condition that the discharge capacity of the variable capacity compressor continues to be less than the maximum discharge capacity for a threshold time or more.

Inventors:
TAGUCHI YUKIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072556
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SANDEN CORP (JP)
TAGUCHI YUKIHIKO (JP)
International Classes:
F04B49/06; F04B27/14
Foreign References:
JPH0439120A1992-02-10
JP2001173571A2001-06-26
JP2008128051A2008-06-05
Attorney, Agent or Firm:
NAGATO, Kanji (8-1 Shinbashi 5-chome, Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 空調システムの冷凍サイクルを構成すべく冷媒が循環する循環路に放熱器、膨張器及び蒸発器とともに介挿される可変容量圧縮機に適用され、前記空調システムの制御量が目標値に近付くように、前記可変容量圧縮機の吐出容量を制御圧力の調整により制御する容量制御システムにおいて、
 前記制御量を検知する制御対象検知手段と、
 開閉作動によって前記制御圧力を調整可能な電磁制御弁と、
 演算式に基づいて前記目標値から吐出容量制御信号を演算し、前記吐出容量制御信号に対応した制御電流を前記電磁制御弁に供給する制御装置とを具備し、
 前記制御装置は、判定基準が満たされたときのみ前記制御対象検知手段によって検知された制御量と前記目標値との偏差に基づいて前記演算式を補正し、
 前記判定基準は、前記可変容量圧縮機の吐出容量が最大吐出容量よりも閾値時間以上の間連続して小さいという条件を含む
ことを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記判定基準は、前記制御対象検知手段で検知される制御量の前記閾値時間の間における平均変化率が上限値以下であるという条件を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記蒸発器に対する送風量を検知する蒸発器送風量検知手段を更に具備し、
 前記判定基準は、前記蒸発器送風量検知手段で検知される蒸発器の送風量が上限値以下であるという条件を更に含む
ことを特徴とする請求項2に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記判定基準は、前記制御目標設定手段で設定された目標値と、前記制御対象検知手段で検知された制御量との偏差の前記閾値時間における平均値が下限値以上であるという条件を更に含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記冷凍サイクルの熱負荷を検知する熱負荷検知手段を更に備え、
 前記制御装置は、
 前記目標値及び前記熱負荷検知手段で検知された熱負荷に基づいて、吸入圧力の目標である目標吸入圧力を設定する目標吸入圧力設定手段と、
 前記目標吸入圧力設定手段で設定された目標吸入圧力から前記吐出容量制御信号を演算するための演算式を前記演算式として記憶した記憶手段と、
 前記制御対象検知手段によって検知された制御量に基づいて前記記憶手段に記憶されている演算式を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記可変容量圧縮機の回転数に相当する物理量を検知する回転数検知手段を更に備え、
 前記目標吸入圧力設定手段は、前記目標値、前記熱負荷、及び、前記回転数検知手段で検知された物理量に基づいて前記目標吸入圧力を設定する
ることを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記記憶手段に記憶されている演算式は、前記補正手段によって補正された演算式によって更新されることを特徴とする請求項5又は6に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記閾値時間は、前記演算式が補正される毎に増大されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記補正手段による前記演算式の補正量は、最初の演算式を基準として設定される範囲内に制限されることを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記電磁制御弁は、吸入圧力に応答して前記制御圧力を機械的に制御する感圧器を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
 前記電磁制御弁は、吐出圧力が吸入圧力及びソレノイドユニットの電磁力に対して対抗する方向に作用する弁体を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
Description:
可変容量圧縮機の容量制御シス ム

 本発明は、空調システムに適用される可 容量圧縮機の容量制御システムに関する。

 可変容量圧縮機の吐出容量制御には、フィ ドバック制御、又は、フィードバック制御 フィードフォワード制御とを組み合わせた のがあるが、通常、吐出容量制御の安定化 ために後者が選択される。
 フィードバック制御はPI制御あるいはPID制 によって代表され、フィードバック制御で 、例えば蒸発器の出口空気温度等の制御量 設定された目標値に近付くように、制御量 目標値との偏差に基づいて容量制御弁に供 される制御電流(制御出力値)が演算される。
 また、フィードフォワード制御では、制御 が設定された目標値に近付くように、目標 とその他のパラメータから制御出力値が演 される。

 より詳しくは、フィードバック制御とフィ ドフォワード制御とを組み合わせた制御と て、例えば文献1(特開平1-121572号公報)が開 する可変容量圧縮機の制御方法が知られて る。当該制御方法によれば、蒸発器の風量 定手段の切換設定時又は吹き出し温度設定 段の切換設定時には、これらの切換設定に 動してデューティ比制御量に切換補償量が 算される。
 可変容量圧縮機の吐出容量のフィードバッ 制御は、制御量を検知してから、検知した 御量に基づいて容量制御弁に供給される制 電流を操作して、制御量を目標値に近付け ものである。このためフィードバック制御 は、制御を乱す外的要因(外乱)が発生して 、その影響が制御量に現れてからでなけれ 、外乱に対応して制御出力値を調整若しく 修正することができない。

 そして、フィードバック制御においては、 在化した外乱の影響を修正すべく制御出力 を操作することによって、制御出力値が変 して収束しない状態、いわゆるハンチング 態が発生することがある。かくしてフィー バック制御においては、外乱によって、吐 容量の制御が不安定になることがある。
 なお、たとえフィードバック制御とフィー フォワード制御とを組み合わせても、フィ ドバック制御を行っている以上、外乱によ て吐出容量の制御は不安定になってしまう

 本発明の目的は、フィードバック制御の頻 を最小化し、吐出容量が安定に制御される 変容量圧縮機の容量制御システムを提供す ことにある。
 上記の目的を達成するべく、本発明の一態 によれば、空調システムの冷凍サイクルを 成すべく冷媒が循環する循環路に放熱器、 張器及び蒸発器とともに介挿される可変容 圧縮機に適用され、前記空調システムの制 量が目標値に近付くように、前記可変容量 縮機の吐出容量を制御圧力の調整により制 する容量制御システムにおいて、前記制御 を検知する制御対象検知手段と、開閉作動 よって前記制御圧力を調整可能な電磁制御 と、演算式に基づいて前記目標値から吐出 量制御信号を演算し、前記吐出容量制御信 に対応した制御電流を前記電磁制御弁に供 する制御装置とを具備し、前記制御装置は 判定基準が満たされたときのみ前記制御対 検知手段によって検知された制御量と前記 標値との偏差に基づいて前記演算式を補正 、前記判定基準は、前記可変容量圧縮機の 出容量が最大吐出容量よりも閾値時間以上 間連続して小さいという条件を含むことを 徴とする可変容量圧縮機の容量制御システ が提供される。

 本発明の一態様の可変容量圧縮機の容量制 システムでは、制御装置が、可変容量圧縮 の吐出容量が最大吐出容量よりも閾値時間 上の間連続して小さいときに、制御対象検 手段によって検知された制御量と目標値と 偏差に基づいて演算式を補正する。つまり 所定の条件が満たされたときのみ吐出容量 フィードバック制御され、フィードバック 御の頻度が低減される。この結果として、 の容量制御システムによれば、吐出容量の 安定化が抑制され、吐出容量が安定に制御 れる。
 また、吐出容量が最大吐出容量よりも閾値 間以上の間連続して小さいときは、吐出容 は比較的安定に制御されている。このとき 検知した制御量と目標値との偏差に基づい 制御電流を調整すれば、制御量と目標値と 偏差が低減され、容量制御の精度が向上す 。

 好ましくは、前記判定基準は、前記制御対 検知手段で検知される制御量の前記閾値時 の間における平均変化率が上限値以下であ という条件を更に含む。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、判定基準が、制御対象検知手 で検知される制御量の閾値時間における平 変化率が上限値以下であるという条件を更 含む。このため、更に限定された条件下で み吐出容量がフィードバック制御され、フ ードバック制御の頻度がより一層低減され 。この結果として、この容量制御システム よれば、吐出容量の不安定化が更に抑制さ 、吐出容量がより一層安定に制御される。
 また、制御量の閾値時間における平均変化 が上限値以下のときも、吐出容量は比較的 定に制御されている。このときに検知した 御量と目標値との偏差に基づいて制御電流 調整すれば、制御量と目標値との偏差が低 され、容量制御の精度が向上する。

 好ましくは、前記蒸発器に対する送風量を 知する蒸発器送風量検知手段を更に具備し 前記判定基準は、前記蒸発器送風量検知手 で検知される蒸発器の送風量が上限値以下 あるという条件を更に含む。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、判定基準が、蒸発器送風量検 手段で検知される蒸発器への送風量が上限 以下であるという条件を更に含む。従って 更に限定された条件下でのみ吐出容量がフ ードバック制御され、フィードバック制御 頻度がより一層低減される。この結果とし 、この容量制御システムによれば、吐出容 の不安定化が更に抑制され、吐出容量がよ 一層安定に制御される。

 また、蒸発器への送風量が上限値以下のと は、制御量が目標値に十分に近付いたとき あり、吐出容量は比較的安定に制御されて る。このときに検知した制御量と目標値と 偏差に基づいて制御電流を調整すれば、制 量と目標値との偏差が低減され、容量制御 精度が向上する。
 好ましくは、前記判定基準は、前記制御目 設定手段で設定された目標値と、前記制御 象検知手段で検知された制御量との偏差の 記閾値時間における平均値が下限値以上で るという条件を更に含む。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、判定基準が、目標値と制御量 の偏差の閾値時間における平均値が下限値 上であるという条件を更に含む。このため 更に限定された条件下でのみ吐出容量がフ ードバック制御され、フィードバック制御 頻度がより一層低減される。この結果とし 、この容量制御システムによれば、吐出容 の不安定化が更に抑制され、吐出容量がよ 一層安定に制御される。

 また、目標値と制御量との偏差の閾値時間 おける平均値が下限値を下回っているとき フィードバック制御を行わないことで、偏 をそれ以上小さくしようとして却って吐出 量が不安定になるという事態が回避される この結果としても、この容量制御システム よれば、吐出容量の不安定化が抑制され、 出容量が安定に制御される。
 好ましくは、前記冷凍サイクルの熱負荷を 知する熱負荷検知手段を更に備え、前記制 装置は、前記目標値及び前記熱負荷検知手 で検知された熱負荷に基づいて、吸入圧力 目標である目標吸入圧力を設定する目標吸 圧力設定手段と、前記目標吸入圧力設定手 で設定された目標吸入圧力から前記吐出容 制御信号を演算するための演算式を前記演 式として記憶した記憶手段と、前記制御対 検知手段によって検知された制御量に基づ て前記記憶手段に記憶されている演算式を 正する補正手段とを備える。

 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムは、目標吸入圧力に吸入圧力が近付 ように吐出容量を制御する吸入圧力制御方 を採用しているけれども、目標値及び冷凍 イクルにかかる熱負荷に基づいて目標吸入 力が設定されている。このため、フィード ック制御の頻度が少なくても、目標吸入圧 が吸入圧力に近付くことにより、制御量が 標値に確実に近付く。
 好ましくは、前記可変容量圧縮機の回転数 相当する物理量を検知する回転数検知手段 更に備え、前記目標吸入圧力設定手段は、 記目標値、前記熱負荷、及び、前記回転数 知手段で検知された物理量に基づいて前記 標吸入圧力を設定する。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、目標値、熱負荷、及び、可変 量圧縮機の回転数に相当する物理量に基づ て目標吸入圧力が的確に設定される結果、 御量と目標値の偏差が一層低減される。

 好ましくは、前記記憶手段に記憶されてい 演算式は、前記補正手段によって補正され 演算式によって更新される。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、演算式が補正される毎に更新 れることによって、フィードバック制御の 度が少なくても、偏差が確実に低減される
 好ましくは、前記閾値時間は、前記演算式 補正される毎に増大される。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、演算式が補正される毎に閾値 間が長くなる。この結果として、この容量 御システムによれば、フィードバック制御 頻度が更に低減され、吐出容量がより一層 定に制御される。
 好ましくは、前記補正手段による前記演算 の補正量は、最初の演算式を基準として設 される範囲内に制限される。

 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、演算式の補正量が制限される とによって、例えば容量制御システムに何 かの異常が発生したとしても、演算式が初 のものから大きく変更されることが防止さ る。
 好ましくは、前記電磁制御弁は、吸入圧力 応答して前記制御圧力を機械的に制御する 圧器を有する。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムでは、制御装置によるフィードバッ 制御の頻度が低減されるけれども、感圧器 よって吐出容量が機械的にフィードバック 御されることで、制御量と目標値の偏差が 実に低減される。
 好ましくは、前記電磁制御弁は、吐出圧力 吸入圧力及びソレノイドユニットの電磁力 対して対抗する方向に作用する弁体を有す 。
 好ましい態様の可変容量圧縮機の容量制御 ステムによれば、吸入圧力についてみたと に広い範囲に渡って、吐出容量が安定に制 される。

 本発明は、以下の詳細な説明及び添付の 面によってより十分に理解されるけれども 図面は一例であって本発明を限定するもの はない。

第1実施形態の容量制御システムを適用 した車両用空調システムの冷凍サイクルの概 略構成を可変容量縮機の縦断面とともに示す 図であり、 図1の冷凍サイクルに用いられた容量制 御弁の概略構成を、圧縮機における容量制御 弁の接続状態とともに説明するための図であ り、 図1の冷凍サイクルにおける、容量制御 弁の制御電流と目標吸入圧力との関係を示す グラフであり、 第1実施形態の容量制御システムの概略 構成を示すブロック図であり、 図1の冷凍サイクルにおける、熱負荷と 目標吸入圧力との関係を示すグラフであり、 図4中のソレノイド駆動手段の詳細を示 すブロック図であり、 図4の容量制御システムが実行するメイ ンルーチンを示す制御フローチャートであり 、 図7のメインルーチンに含まれる目標吸 入圧力演算ルーチンの制御フローチャートで あり、 第2実施形態の容量制御システムに用い られる容量制御弁の概略構成を、圧縮機にお ける容量制御弁の接続状態とともに説明する ための図であり、 図9の容量制御弁における、制御電流 目標吸入圧力及び吐出圧力の関係を示すグ フであり、 第2実施形態の容量制御システムの概 構成を示すブロック図であり、そして、 図11の容量制御システムが実行するメ ンルーチンを示す制御フローチャートであ 。

<符号の説明>
 254  コイル
 400A 制御装置
 402  蒸発器温度センサ(制御対象検知手段)

 以下、本発明の第1実施形態の可変容量圧縮 機の容量制御システムAについて説明する。
 図1は、容量制御システムAが適用された車 用空調システムの冷凍サイクル10を示し、冷 凍サイクル10は、作動流体としての冷媒が循 する循環路12を備える。循環路12には、冷媒 の流動方向でみて、圧縮機100、放熱器(凝縮 又はガスクーラ)14、膨張器16及び蒸発器18が 次介挿され、圧縮機100が作動すると、圧縮 100の吐出容量に応じて循環路12を冷媒が循 する。
 すなわち、圧縮機100は、冷媒の吸入工程、 入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の 出工程からなる一連のプロセスを行う。

 放熱器14は、圧縮機100から吐出された冷媒 冷却する機能を有し、冷却された冷媒は、 張器16を通過することによって膨張させられ る。膨張した冷媒は蒸発器18内で気化し、気 した冷媒は圧縮機100に吸入される。
 蒸発器18は、車両用空調システムの空気回 の一部も構成しており、蒸発器18を通過する 空気流は、蒸発器18内の冷媒によって気化熱 奪われることによって冷却される。気化し 冷媒は、蒸発器18の出口において過熱度を するが、過熱度は膨張器16によって所定値に 略保たれる。

 容量制御システムAが適用される圧縮機100は 可変容量圧縮機であり、例えば斜板式のクラ ッチレス圧縮機である。圧縮機100はシリンダ ーブロック101を備え、シリンダーブロック101 には、複数のシリンダボア101aが形成されて る。シリンダーブロック101の一端にはフロ トハウジング102が連結され、シリンダーブ ック101の他端には、バルブプレート103を介 てリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結 されている。
 シリンダーブロック101及びフロントハウジ グ102はクランク室105を規定し、クランク室1 05内を縦断して駆動軸106が延びている。駆動 106は、クランク室105内に配置された環形状 斜板107を貫通し、斜板107は、駆動軸106に固 されたロータ108と連結部109を介してヒンジ 合されている。従って、斜板107は、駆動軸1 06に沿って移動しながら傾動可能である。

 ロータ108と斜板107との間を延びる駆動軸106 部分には、斜板107を最小傾角に向けて付勢 るコイルばね110が装着されている。斜板107 挟んで反対側の駆動軸106の部分、即ち斜板1 07とシリンダーブロック101との間を延びる駆 軸106の部分には、斜板107を最大傾角に向け 付勢するコイルばね111が装着されている。
 駆動軸106は、フロントハウジング102の外側 突出したボス部102a内を貫通し、駆動軸106の 外端には、動力伝達装置としてのプーリ112に 連結されている。プーリ112は、ボール軸受113 を介してボス部102aによって回転自在に支持 れ、外部駆動源としてのエンジン114のプー との間にベルト115が架け回される。

 ボス部102aの内側には軸封装置116が配置され 、軸封装置116は、フロントハウジング102の内 部と外部とを遮断している。駆動軸106はラジ アル方向及びスラスト方向にベアリング117,11 8,119,120によって回転自在に支持され、エンジ ン114からの動力がプーリ112に伝達され、プー リ112の回転と同期して回転可能である。
 シリンダボア101a内にはピストン130が配置さ れ、ピストン130には、クランク室105内に突出 したテール部が一体に形成されている。テー ル部に形成された凹所130a内には一対のシュ 132が配置され、シュー132は斜板107の外周部 対し挟み込むように摺接している。従って シュー132を介して、ピストン130と斜板107と 互いに連動し、駆動軸106の回転によりピス ン130がシリンダボア101a内を往復動する。

 リアハウジング104の内部には、吸入室140及 吐出室142が区画形成され、吸入室140は、バ ブプレート103に設けられた吸入孔103aを介し てシリンダボア101aと連通可能である。吐出 142は、バルブプレート103に設けられた吐出 103bを介してシリンダボア101aと連通可能であ る。なお、吸入孔103a及び吐出孔103bは、図示 ない吸入弁及び吐出弁によってそれぞれ開 される。
 シリンダーブロック101の外側にはマフラ150 設けられ、マフラケーシング152は、シリン ーブロック101に一体に形成されたマフラベ ス101bに図示しないシール部材を介して接合 されている。マフラケーシング152及びマフラ ベース101bはマフラ空間154を規定し、マフラ 間154は、リアハウジング104、バルブプレー 103及びマフラベース101bを貫通する吐出通路1 56を介して吐出室142と連通している。

 マフラケーシング152には吐出ポート152aが形 成され、マフラ空間154には、吐出通路156と吐 出ポート152aとの間を遮るように逆止弁170が 置されている。逆止弁170は、吐出通路156側 圧力とマフラ空間154側の圧力との圧力差に じて開閉する。具体的には、逆止弁170は、 力差が所定値より小さい場合閉作動し、圧 差が所定値より大きい場合開作動する。
 したがって吐出室142は、吐出通路156、マフ 空間154及び吐出ポート152aを介して循環路12 往路部分と連通可能であり、マフラ空間154 逆止弁170によって断続される。一方、吸入 140は、リアハウジング104に形成された吸入 ート104aを介して循環路12の復路部分と連通 ている。

 リアハウジング104には、容量制御弁(電磁制 御弁)200が収容され、容量制御弁200は給気通 160に介挿されている。給気通路160は、吐出 142とクランク室105との間を連通するように アハウジング104からバルブプレート103を経 シリンダーブロック101にまで亘っている。
 一方、吸入室140は、クランク室105と抽気通 162を介して連通している。抽気通路162は、 動軸106とベアリング119,120との隙間、空間164 及びバルブプレート103に形成された固定オリ フィス103cからなる。

 また、吸入室140は、リアハウジング104に形 された感圧通路166を通じて、給気通路160と 独立して容量制御弁200に接続されている。
 より詳しくは、図2に示すように、容量制御 弁200は、弁ユニットとソレノイドユニットと からなる。弁ユニットは、略円筒形状の弁ハ ウジング202を有し、弁ハウジング202の内部に は弁孔204が形成されている。弁孔204は、弁ハ ウジング202の軸線方向に延び、弁孔204の一端 は出口ポート206に繋がっている。出口ポート 206は、弁ハウジング202を径方向に貫通してお り、弁孔204は出口ポート206及び給気通路160の 下流側部分を介してクランク室105と連通して いる。

 弁ハウジング202のソレノイドユニット側に 弁室208が区画され、弁孔204の他端は弁室208 端壁にて開口している。弁室208内には、略 柱形状の弁体210が収容され、弁体210は、弁 208内を弁ハウジング202の軸線方向に移動可 である。弁体210の一端が弁室208の端壁に当 することにより、弁体210は弁孔204を閉塞可 であり、弁室208の端壁は弁座として機能す 。
 また、弁ハウジング202には入口ポート212が 成され、入口ポート212も弁ハウジング202を 方向に貫通している。入口ポート212は、給 通路160の上流側部分を介して吐出室142と連 している。入口ポート212は、弁室208の周壁 て開口しており、入口ポート212、弁室208、 孔204及び出口ポート206を通じて、吐出室142 クランク室105とは連通可能となっている。

 更に、弁ハウジング202には、ソレノイドユ ットと反対側に感圧室214が区画され、感圧 214の周壁には感圧ポート216が形成されてい 。感圧ポート216及び感圧通路166を通じて、 圧室214は吸入室140と連通している。また、 圧室214と弁孔204との間には軸方向孔218が設 られ、軸方向孔218は、弁孔204と同軸上を延 ている。
 弁体210の他端には、感圧ロッド220が一体且 同軸に連結されている。感圧ロッド220は、 孔204及び軸方向孔218内を延び、感圧ロッド2 20の先端部は、感圧室214内に突出している。 圧ロッド220は先端側に大径部を有しており 感圧ロッド220の大径部は、軸方向孔218の内 面によって摺動可能に支持されている。従 て、感圧ロッド220の大径部によって、感圧 214と弁孔204との間の気密性が確保されてい 。

 感圧室214の端壁は、弁ハウジング202の端部 圧入されたキャップ222により形成され、キ ップ222は段付きの有底円筒形状をなす。キ ップ222の小径部には、支持部材224の筒部が 動自在に嵌合され、キャップ222の底壁と支 部材224との間には強制開放ばね226が配置さ ている。
 感圧室214内には感圧器228が収容され、感圧 228の一端が支持部材224に固定されている。 って、キャップ222は、支持部材224を介して 圧器228を支持している。

 感圧器228はベローズ230を有し、ベローズ230 、弁ハウジング202の軸線方向に伸縮可能で る。ベローズ230の両端はキャップ232,234によ って気密に閉塞され、ベローズ230の内部は、 真空状態(減圧状態)に保たれている。また、 ローズ230の内部には、圧縮コイルばね236が 置され、圧縮コイルばね236は、ベローズ230 伸長するように、キャップ232,234を相互に離 間する方向に付勢している。
 感圧器228のキャップ234は、アダプタ238を介 て感圧ロッド220に当接可能であり、感圧室2 14内の圧力が低下して感圧器228が伸長した場 、感圧ロッド220を介して弁体210が開弁方向 付勢される。
 なお、弁ハウジング202に対するキャップ222 圧入量は、容量制御弁200が所定の動作をす ように調整される。

 一方、ソレノイドユニットは、弁ハウジン 202に同軸的に連結された略円筒形状のソレ イドハウジング240を有し、ソレノイドハウ ング240内には、同心上に略円筒形状の固定 ア242が配置されている。固定コア242の一端 は、弁ハウジング202の端部に嵌合して弁室2 08を区画するとともに、弁体210を摺動自在に 持している。
 固定コア242の中央部から他端部に亘る部分 は、有底のスリーブ244が嵌合されている。 リーブ244の底壁と固定コア242の他端との間 は、コア収容空間246が区画され、コア収容 間246には可動コア248が配置されている。可 コア248は、スリーブ244によって摺動自在に 持され、ソレノイドハウジング240の軸線方 に往復動可能である。

 弁体210の他端には、固定コア242内を延びる レノイドロッド250の一端が当接し、ソレノ ドロッド250の他端部は、可動コア248と一体 固定されている。従って、弁体210は、可動 ア248に連動して閉弁方向に移動する。可動 ア248とスリーブ244の底壁との間には、圧縮 イルばね252が配置され、圧縮コイルばね252 、可動コア248及びソレノイドロッド250を介 て弁体210を閉弁方向に常時付勢する。
 スリーブ244の周囲には、ボビン253に巻回さ た状態で円筒形のコイル(ソレノイドコイル )254が配置され、ボビン253及びコイル254は、 体に成型された樹脂部材255によって囲まれ いる。ソレノイドハウジング240、固定コア24 2及び可動コア248はいずれも磁性材料で形成 れて磁気回路を構成し、一方、スリーブ244 非磁性のステンレス系材料で形成されてい 。

 ここで、固定コア242の先端部の根元には、 方向孔256が形成され、弁ハウジング202には 径方向孔256と感圧室214とを連通する連通孔2 58が形成されている。また、固定コア242の中 部及び他端部の内径は、弁体210及びソレノ ドロッド250の外径よりも大きく、感圧室214 コア収容空間246との間は、固定コア242の中 部及び他端部の内側、径方向孔256及び連通 258を介して連通している。
 従って、弁体210の一端面には、クランク室1 05の圧力(クランク圧力Pc)が開弁方向の力とし て作用し、一方、弁体210の他端面には吸入室 140の圧力(吸入圧力Ps)が閉弁方向の力として 用する。

 なお、弁孔204の面積と、固定コア242の先端 に支持される弁体210の部分の断面積とを同 に設定することによって、弁体210の開閉動 には、弁室208内の圧力、換言すれば、吐出 142の圧力(吐出圧力Pd)は関与しない。この場 合、容量制御弁200の吸入圧力制御特性は、吐 出圧力Pdの影響を受けない。
 また、弁孔204の面積と、軸方向孔218と摺動 る感圧ロッド220の部分の断面積とを同等に 定することによって、弁体210の開閉動作に 、弁孔204内の圧力、換言すれば、クランク 105の圧力(クランク圧力Pc)は関与しない。
 これらの結果として、容量制御弁200の吸入 力制御特性は、吐出圧力Pd及びクランク圧 Pcの影響を実質的に受けない。このため、図 3、式(1)及び式(2)に示すように、コイル254に 給する電流(制御電流I)に基づいて、制御対 となる吸入圧力Psの目標値(目標吸入圧力Pss) 一義的に決定される。

 なお、式(1)中のF(I)は、コイル254に通電する ことによって可動コア248に作用する電磁力で あり、Sbは、ベローズ230の有効面積である。 た、fs1は圧縮コイルばね252の付勢力であり fs2は、感圧器228の圧縮コイルばね236の付勢 である。F(I)=A・I(ただし、Aは定数である。) と表すことができ、この関係を考慮して式(1) を変形すると式(2)が得られる。
 コイル254には圧縮機100の外部に設けられた 御装置400Aが接続され、制御装置400Aからコ ル254に制御電流Iが供給されると、可動コア2 48に電磁力F(I)が作用する。電磁力F(I)によっ 、可動コア248は固定コア242に向けて吸引さ 、これにより弁体210が閉弁方向に付勢され 。
 図4は、制御装置400Aを含む容量制御システ Aの概略構成を示したブロック図である。

 容量制御システムAは、1つ以上の外部情報 検知する外部情報検知手段を有し、外部情 検知手段は、蒸発器目標温度設定手段401及 蒸発器出口空気温度検知手段としての蒸発 温度センサ402を含む。
 蒸発器目標温度設定手段401は、車室内温度 定を含む種々の外部情報に基づいて、空気 路における蒸発器18の出口での空気の温度( 発器出口空気温度Te)の目標値(蒸発器目標出 口空気温度Tes)を設定する。蒸発器出口空気 度Teは、車両用空調システムの制御対象(制 量)であり、蒸発器温度センサ402は制御対象 検知する手段(制御対象検知手段)である。

 蒸発器目標出口空気温度Tesは、車両用空調 ステムの目標値であり、容量制御システムA の最終的な目標値でもある。蒸発器目標温度 設定手段401は、設定した蒸発器目標出口空気 温度Tesを外部情報の1つとして制御装置400Aに 力する。
 蒸発器温度センサ402は、空気回路における 発器18の出口に設置され(図1参照)、蒸発器 口空気温度Teを検知する。検知された蒸発器 出口空気温度Teは、外部情報の1つとして制御 装置400Aに入力される。
 また、外部情報検知手段は、冷凍サイクル1 0にかかる熱負荷を検知するための熱負荷検 手段を含み、熱負荷検知手段は、外気温度 ンサ403、日射センサ404及び蒸発器ファン電 検知手段405を有する。

 外気温度センサ403は、車両の外気取り入れ に配置され、車両用空調システムの空気回 に導入される外気の温度Taを検知する。
 日射センサ404は、車室内のダッシュボード に配置され、車両のフロントガラスを透過 る日射量Wsを検知する。
 蒸発器ファン電圧検知手段405は、空気回路 おける空気の流れを生成するファンに供給 れる電圧(ファン電圧)VLを検知する。ファン 電圧VLは、蒸発器18に対する送風量に対応す 物理量であり、ファン電圧VLに基づいて、蒸 発器18に対するファン送風量が間接的に検知 れる。

 更に、外部情報検知手段は、車両の運転状 を検知するための車両運転状態検知手段を み、車両運転状態検知手段は、車速センサ4 06を有する。車速センサ406は、車両の走行速 VSを検知する。なお車速センサ406によれば エンジン114の回転数又は圧縮機100の回転数 検知することができ、車速センサ406は、熱 荷検知手段としても機能する。
 制御装置400Aは、例えば独立したECU(電子制 ユニット)等の電気回路によって構成され、 標吸入圧力設定手段410、制御信号演算手段4 11及びソレノイド駆動手段412を有する。
 目標吸入圧力設定手段410は目標吸入圧力Pss 演算して設定する。目標吸入圧力Pssは、制 目標となる吸入圧力Psの目標値である。

 本実施形態では、目標吸入圧力設定手段410 、蒸発器目標温度設定手段401によって設定 れた蒸発器目標出口空気温度Tesと、外気温 センサ403で検知された外気温度Taと、日射 ンサ404で検知された日射量Wsと、蒸発器ファ ン電圧検知手段で検知されたファン電圧VLと 車速センサ406で検知された車両の走行速度V Sとに基づいて、目標吸入圧力Pssを設定する
 具体的には、目標吸入圧力Pssは、基準圧力P eから第1補正量P1を減算するとともに後述す 第2補正量P2を加算することにより演算され 。つまり、目標吸入圧力Pssは、演算式:Pss=Pe P1+P2によって演算される。

 ここで基準圧力Peは、蒸発器目標出口空気 度Tesを変数として含む関数:Pe=f(Tes)によって 算される。より詳しくは、基準圧力Peは、 発器目標出口空気温度Tesでの冷媒の飽和圧 に等しくなるように設定される。
 第1補正量P1は、冷凍サイクル10にかかる熱 荷に基づいて決定される。すなわち、第1補 量P1は、外気温度Ta、日射量Ws、ファン電圧V L及び車両の走行速度VSを変数として含む関数 :P1=g(Ta,Ws,VL,VS)によって演算される。
 図5に示したように、熱負荷が大きければ第 1補正量P1も大きく、熱負荷が小さければ第1 正量P1はゼロに設定される。従って、熱負荷 が小さく第1補正量P1がゼロのときには、目標 吸入圧力Pssは、基準圧力Peに第2補正量P2を加 た値に等しくなる。

 制御信号演算手段411は、目標吸入圧力設定 段410で設定された目標吸入圧力Pssを上述し 式(2)に代入することによって、制御電流Iを 演算する。演算された制御電流Iは、吐出容 制御信号として、ソレノイド駆動手段412に 力される。
 ソレノイド駆動手段412は、制御信号演算手 411で演算された制御電流Iに等しくなるよう 、容量制御弁200のコイル254に供給される電流 を調整する。制御電流Iの調整は、所定の駆 周波数(例えば400~500Hz)のPWM(パルス幅変調)に いて、デューティ比を変更することにより われる。
 図6は、ソレノイド駆動手段412の構成を示す 。ソレノイド駆動手段412は、スイッチング素 子430を有し、スイッチング素子430は、電源450 とアースとの間を延びる電源ラインに、容量 制御弁200のコイル254と直列に介挿されている 。スイッチング素子430は、電源ラインを電気 的に断続可能であり、スイッチング素子430の 動作によって、所定の駆動周波数のPWMにてコ イル254に制御電流Iが供給される。

 なお、フライホイール回路を形成すべく、 イル254と並列にダイオード432が接続される
 スイッチング素子430には、制御信号発生手 434から所定の駆動信号が入力され、この信 に対応して、PWMにおけるデューティ比が変 される。
 また、電源ラインには、電流センサ436が介 され、電流センサ436は、コイル254を流れる 御電流Iを検知する。
 電流センサ436は、制御電流比較判定手段438 検知した制御電流Iを入力し、制御電流比較 判定手段438は、制御信号演算手段411から吐出 容量制御信号として入力された制御電流Iと 電流センサ436によって検知された制御電流I を比較する。そして、制御電流比較判定手 438は、比較結果に基づいて、検知された制 電流Iが入力された制御電流Iに近付くよう 、制御信号発生手段434が発生する駆動信号 変更する。

 なお、ソレノイド駆動手段412がデューティ で制御電流Iを調整する場合、制御信号演算 手段411は、制御電流Iと関連を有するパラメ タとしてデューティ比を演算してもよく、 の場合、制御信号演算手段411によって生成 れる吐出容量制御信号は、ソレノイド駆動 段412に所定のデューティ比で制御電流Iを供 させるための信号である。
 つまり、吐出容量制御信号は、制御電流Iに 対応する信号であってもよいし、制御電流I 関連のあるデューティ比等のパラメータに 応する信号であってもよい。
 再び図4を参照すると、制御装置400Aは、記 手段413を有し、記憶手段413は、目標吸入圧 設定手段410が目標吸入圧力Pssを演算するた に使用する演算式、並びに、基準圧力Pe及び 第1補正量P1を演算するために使用する演算式 をそれぞれ記憶している。目標吸入圧力設定 手段410は、目標吸入圧力Pssを演算するたびに 、記憶手段413に記憶された演算式を読み込む 。

 更に、制御装置400Aは、吐出容量判定手段414 及び補正手段415を有する。
 吐出容量判定手段414は、圧縮機100の吐出容 が最大吐出容量であるか、最大吐出容量よ も小さいかを判定し、判定結果を補正手段4 15に入力する。
 吐出容量の判定は、蒸発器目標出口空気温 Tes、外気温度Ta、日射量Ws、ファン電圧VL及 車両の走行速度VSを入力値として、予め準 されているマップと照合することによって われる。
 なお、吐出容量が最大吐出容量のときは、 常、コイル254には過大な制御電流Iが供給さ れており、制御電流Iと吐出容量との間に相 がない。このため、吐出容量が最大吐出容 であるときには、実質的には吐出容量が制 されているとはいえない。従って、吐出容 判定手段が、圧縮機100の吐出容量が最大吐 容量であるか、最大吐出容量よりも小さい を判定するということは、吐出容量が制御 態にないか、制御状態にあるかを判定する いうことである。

 補正手段415は、蒸発器目標温度設定手段401 設定された蒸発器目標出口空気温度Tesと蒸 器温度センサ402で検知された蒸発器出口空 温度Teとの温度偏差δTを演算し、そして、 定の閾値時間taの間における温度偏差δTの平 均値(平均温度偏差δTm)を演算する。
 また、補正手段415は、閾値時間taの間にお る、蒸発器温度センサ402で検知された蒸発 出口空気温度Teの平均変化率αを演算する。 の平均変化率αとは、閾値時間taの間におけ る蒸発器出口空気温度Teの変化量δTeを閾値時 間taで除した値である。

 一方、補正手段415には、吐出容量判定手段4 14の判定結果が入力されている。
 補正手段415は、所定の判定基準が満たされ ときにのみ、記憶手段413に記憶された目標 入圧力Pssの演算式を補正して更新する。具 的には、所定の判定基準が満たされたとき のみ、演算式に含まれる第2補正量P2を変更 δP2だけ変更する。変更量δP2は、偏差δT若 くは平均温度偏差δTmが縮小するように決定 れ、例えば、平均温度偏差δTmを変数として 含む関数:δP2=h(δTm)により演算される。この 数:δP2=h(δTm)は、予め求めておくことができ 。

 判定基準には、以下の(i)~(iii)の3つの条件が 含まれる。
(i)吐出容量判定手段414の判定の結果、閾値時 間ta以上の間、継続して吐出容量が最大吐出 量よりも小さい。
(ii)閾値時間taの間における蒸発器出口空気温 度Teの平均変化率αが所定の上限値β以下であ る。
(iii)閾値時間taの間における平均温度偏差δTm 所定の下限値γ以上である。
 これら(i)~(iii)の条件が全て満たされたとき のみ、変更量δP2だけ第2補正量P2が変更され ることにより、目標吸入圧力Pssの演算式が補 正及び更新される。

 更新とは、記憶手段413に記憶されている演 式が、補正されるごとに補正後の演算式に き換えられることである。つまり、第2補正 量P2を変更量δP2で変更した後の値が、最新の 第2補正量P2として記憶される。
 なお第2補正量P2の絶対値は、所定の上限値 以下に制限される。上限値σは、例えば、第 2補正量P2がゼロであるときの目標吸入圧力Pss を基準として設定される。
 上記、補正された演算式は、例えば補正が2 回行われ、それぞれの変更量がδP2 1 、δP2 2 であったとすると、Pss=Pe―P1+δP2 1 +δP2 2 と表すことができる。従って、演算式は次式 (3)のように表すこともできる。なお、第2補 量P2の初期値はゼロであり、式(3)における変 更量δP2の初期値δP2 0 も0である。

 式(3)からわかるように、第2補正量P2は、各 正の変更量δP2の総和として規定することが できる。
 以下、上述した車両用空調システムの動作( 使用方法)を説明する。
 図7は、制御装置400Aが実行するプログラム メインルーチンを示している。メインルー ンは、例えば車両のエンジンキーがオン状 になると起動され、オフ状態になると停止 れる。
 メインルーチンのフローに則して説明する 、メインルーチンが起動すると先ず、初期 件が設定される(S10)。具体的には、フラグF ゼロに設定され、コイル254に供給されるべ 制御電流Iが、初期値I 0 に設定される。初期値I 0 が供給されている間、容量制御弁200は開いた 状態にあり、圧縮機100の容量は、機械的に決 定される最小容量になる。初期値I 0 はゼロであってもよい。

 なお、圧縮機100の容量が最小であるとき、 止弁170の前後の圧力差は所定値よりも低く 圧縮機100は冷凍サイクル10に冷媒を吐出す ことができない。このため、最小の吐出容 でシリンダボア101aから吐出室142に吐出され 冷媒は、吐出室142から給気経路160を経てク ンク室105に流入し、次いで、クランク室105 ら抽気通路162を経て吸入室140に戻る。つま 、圧縮機100の容量が最小であるとき、冷媒 圧縮機100の内部を循環する。
 S10の後、車両用空調システムのエアコンス ッチ(A/Cスイッチ)がオンであるか否かが判 される(S12)。即ち、乗員が、車室の冷房又は 除湿を要求しているか否かが判定される。エ アコンスイッチがオンの場合(Yesの場合)、外 情報検知手段によって検知された外部情報 読み込まれる(S14)。則ち、蒸発器目標温度 定手段401で設定された蒸発器目標出口空気 度Tes、蒸発器温度センサ402で検知された蒸 器出口空気温度Te、外気温度センサ403で検知 された外気温度Ta、日射センサ404で検知され 日射量Ws、蒸発器ファン電圧検知手段405に って検知されたファン電圧VL、及び、車速セ ンサ406によって検知された車速VSが読み込ま る。

 S14で読み込まれた外部情報に基づいて、目 吸入圧力設定手段410は、基準圧力Pe及び第1 正量P1を演算し(S16)、この後、目標吸入圧力 演算ルーチンS18を実行して目標吸入圧力Pssを 演算する。
 目標吸入圧力演算ルーチンS18で演算された 標吸入圧力Pssに基づいて、制御信号演算手 411は、コイル254に供給されるべき制御電流I を演算する(S20)。そして、制御信号演算手段4 11は、演算した制御電流Iが所定の下限値Imin 上であるか否か比較・判定する(S22)。制御電 流Iが下限値Iminよりも小さい場合、制御信号 算手段411は、下限値Iminを制御電流Iとして み込み(S24)、下限値Iminを制御電流Iとして出 する(S26)。S26で出力された制御電流Iは、ソ ノイド駆動手段412に入力され、ソレノイド 動手段412によって、コイル254に供給される 御電流Iが調整される。

 一方、S22の判定結果において、演算された 御電流Iが下限値Imin以上である場合、制御 号演算手段411は、演算した制御電流Iが所定 上限値Imax以下であるか否か比較・判定する (S28)。制御電流Iが上限値Imaxを超えている場 、制御信号演算手段411は、上限値Imaxを制御 流Iとして読み込み(S30)、上限値Imaxを制御電 流Iとして出力する(S26)。
 S28の判定結果において、演算された制御電 Iが上限値Imax以下である場合、制御信号演 手段411は、S20で演算された制御電流Iを出力 る(S26)。
 S26の後、フローはS12に戻るが、S12でエアコ スイッチがオフの場合(Noの場合)、フラグF 1であるか否か判定される(S32)。S32でフラグF 1である場合、フラグFがゼロに設定される ともに、タイマがリセットされる(S34)。また 、S32でフラグFが1である場合、制御電流Iとし て初期値I 0 が再び読み込まれ(S36)、初期値I 0 が制御電流Iとして出力される(S26)。

 一方、S32でフラグFが1ではなくゼロである 合には、制御電流Iは初期値I 0 のままであり、初期値I 0 が制御電流Iとして出力される(S26)。
 図8は、目標吸入圧力演算ルーチンS18の詳細 を示すフローチャートである。
 目標吸入圧力演算ルーチンS18では、まずフ グFが1であるか否か判定される(S100)。フラ Fの初期値はゼロであるため、1回目のS100の 定結果は必ずNoとなる。S100の判定結果がNoの 場合、タイマがスタートされて経過時間tが 測され(S102)、フラグFが1に設定される(S104)。
 この後、蒸発器目標温度設定手段401で設定 れた蒸発器目標出口空気温度Tesと蒸発器温 センサ402で検知された蒸発器出口空気温度T eとの差(温度偏差δT)が演算される(S106)。また 、吐出容量判定手段414によって、圧縮機100の 吐出容量が最大吐出容量であるか否か判定さ れる(S108)。

 なお、S108での吐出容量の判定ついては、吐 出容量判定手段414が、自身に入力された蒸発 器目標出口空気温度Tes、外気温度Ta、日射量W s、蒸発器ファン電圧VL及び車速VSを、マップ 照合することによって行う。
 それから、S102のタイマのスタートからの経 過時間tが所定の閾値時間ta未満であるか否か 、即ちタイムアップしたか否かが判定され(S1 10)、経過時間tが閾値時間ta未満である場合、 目標吸入圧力Pssが所定の演算式:Pss=Pe―P1+P2に よって演算される(S112)。なお、第2補正量P2の 初期値はゼロである。S112で目標吸入圧力Pss 演算されると、フローは、目標吸入圧力演 ルーチンS18からメインルーチンのS20に戻る

 一方、S110において、経過時間tが閾値時間ta 以上でありタイムアップしている場合、タイ マがリセットされる(S113)とともに、フラグF ゼロに設定される(S114)。また、閾値時間taの 間における温度偏差δTの平均値として、平均 温度偏差δTmが演算されるとともに(S116)、閾 時間taの間における蒸発器出口空気温度Teの 均変化率αが演算される(S118)。
 より詳しくは、目標吸入圧力演算ルーチンS 18が繰り返し実行され、その度にS106で温度偏 差δTが演算される。平均温度偏差δTmは、閾 時間taの間に繰り返し演算された温度偏差δT の相加平均である。

 一方、平均変化率αは、S102のタイマスター の直前にS12で読み込まれた蒸発器出口空気 度Teと、S110でタイムアップする直前にS12で み込まれた蒸発器出口空気温度Teとの差を 閾値時間taで除して得られる値である。
 S118の後、目標吸入圧力Pssの演算式を補正す るか否かが判定される(S120)。本実施形態では 、判定基準が満たされたとき、則ち前述の(i) ~(iii)の3つの条件が全て揃ったときにのみ、 算式が補正される。
 S120で目標吸入圧力Pssの演算式を補正するこ とが決定されると、補正手段415は、演算式中 の第2補正量P2の変更量δP2を演算する(S122)。 体的には、補正手段415は、平均温度偏差δTm 縮小するように、平均温度偏差δTmを変数と して含む関数:δP2=h(δTm)に基づいて変更量δP2 演算する。

 そして、補正手段415は、好ましくは、記憶 段413に記憶されている現在の第2補正量P2に 更量δP2を足した暫定値が、所定の下限値-σ 未満であるか、所定の上限値σを超えている 、下限値―σ以上上限値σ以下であるか判定 する(S124)。S124の判定の結果、暫定値が下限 ―σ以上で且つ上限値σ以下である場合、記 手段413に記憶されている第2補正量P2が、S122 で演算された暫定値へと更新され(S126)、更新 後の演算式に基づいて目標吸入圧力Pssが演算 される(S112)。
 一方、S124の判定の結果、暫定値が下限値-σ 未満の場合には、記憶手段413に記憶されてい る第2補正量P2が下限値-σへと更新され(S128)、 暫定値が上限値σを超えている場合には記憶 段413に記憶されている第2補正量P2が上限値 へと更新される(S130)。

 つまり、第2補正量P2は下限値-σ以上且つ上 値σ以下の範囲内に制限されるのが好まし 。ここで、上限値σのσは正の値であり、好 しくは、基準圧力Peと第1補正量P1との和に づいて設定される。
 なお、更新された第2補正量P2は、制御装置4 00Aの電源がオフ状態にされてメインルーチン が停止されても記憶手段413にて維持され、メ インルーチンが再開されたときに用いられる 。

 以下、本発明の第2実施形態の容量制御シス テムBについて説明する。
 容量制御システムBは、容量制御弁200に代え て、図9に示された容量制御弁300を用いて圧 機100の吐出容量を制御する。
 より詳しくは、容量制御弁300は、弁ユニッ と弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニッ とからなる。弁ユニットは、略円筒形状の ハウジング301を有し、弁ハウジング301の一 には入口ポート(弁孔301a)が形成されている 弁孔301aは、給気通路160の上流側部分を介し て吐出室142と連通し、且つ、弁ハウジング301 の内部に区画された弁室303に開口している。
 弁室303内には、円柱形状の弁体304が収容さ ている。弁体304は、弁室303内を弁ハウジン 301の軸線方向に移動可能であり、弁ハウジ グ301の端面に当接することで弁孔301aを閉塞 可能である。すなわち、弁ハウジング301の端 面は弁座として機能する。

 また、弁ハウジング301の外周面には出口ポ ト301bが形成され、出口ポート301bは、給気 路160の下流側部分を介してクランク室105と 通する。出口ポート301bも弁室303に開口して り、弁孔301a、弁室303及び出口ポート301bを じて、吐出室142とクランク室105とは連通可 である。
 駆動ユニットは略円筒形状のソレノイドハ ジング310を有し、ソレノイドハウジング310 弁ハウジング301の他端に同軸的に連結され いる。ソレノイドハウジング310の開口端は エンドキャップ312によって閉塞され、ソレ イドハウジング310内には、ボビン314に巻回 れた円筒形のコイル(ソレノイドコイル)316 収容されている。

 またソレノイドハウジング310内には、同心 に円筒状の固定コア318が収容され、固定コ 318は、弁ハウジング301からエンドキャップ3 12に向けてコイル316の中央まで延びている。 定コア318のエンドキャップ312側はスリーブ3 20によって囲まれ、スリーブ320は、エンドキ ップ312側に閉塞端を有する。
 固定コア318は、中央に挿通孔318aを有し、挿 通孔318aの一端は弁室303に開口している。ま 、固定コア318とスリーブ320の閉塞端との間 は、略円筒形状の可動コア322を収容する可 コア収容空間324が規定され、挿通孔318aの他 は、可動コア収容空間324に開口している。

 挿通孔318aには、ソレノイドロッド326が摺動 可能に挿通され、ソレノイドロッド326の一端 に弁体304が一体且つ同軸的に連結されている 。ソレノイドロッド326の他端は可動コア収容 空間324内に突出し、ソレノイドロッド326の他 端部は、可動コア322に形成された貫通孔に嵌 合され、ソレノイドロッド326と可動コア322と は一体化されている。また、可動コア322の段 差面と固定コア318の端面との間には、開放ば ね328が配置され、可動コア322と固定コア318と の間には所定の隙間が確保されている。
 可動コア322、固定コア318、ソレノイドハウ ング310及びエンドキャップ312は磁性材料で 成され、磁気回路を構成する。スリーブ320 非磁性材料のステンレス系材料で形成され いる。

 ソレノイドハウジング310には感圧ポート310a が形成され、感圧ポート310aには、感圧通路16 6を介して吸入室140が接続されている。固定 ア318の外周面には、軸線方向に延びる感圧 318bが形成され、感圧ポート310aと感圧溝318b は互いに連通している。従って、感圧ポー 310a及び感圧溝318bを通じて、吸入室140と可動 コア収容空間324とが連通し、ソレノイドロッ ド326を介して、弁体304の背面側には、閉弁方 向に吸入室140の圧力、則ち吸入圧力Psが作用 る。
 コイル316には、圧縮機100の外部に設けられ 制御装置400Bが接続され、制御装置400Bから 御電流Iが供給されると、コイル316は電磁力G (I)を発生する。コイル316の電磁力G(I)は、可 コア322を固定コア318に向けて吸引し、弁体30 4に対して閉弁方向に作用する。

 容量制御弁300にあっては、好ましくは、弁 304が弁孔301aを閉じた時に吐出室142の圧力、 則ち吐出圧力Pdが作用する弁体304の受圧面積( シール面積Svと呼ぶ)と、吸入圧力Psが作用す 弁体304の面積、即ちソレノイドロッド326の 面積とが同等に形成される。
 この場合、弁体304には、開閉方向にクラン 室105の圧力、則ちクランク圧力Pcは、実質 にほとんど作用しない。従って、弁体304に 用する力は、吐出圧力Pdと、吸入圧力Psと、 イル316の電磁力G(I)と、開放ばね328の付勢力 fs3であり、吐出圧力Pd及び開放ばね328の付勢 fs3は開弁方向、それ以外の吸入圧力Ps及び イル316の電磁力G(I)は、開弁方向とは対抗す 閉弁方向に作用する。
 この関係は、式(4)で示され、式(4)を変形す と式(5)となる。これらの式(4)、(5)から、吐 圧力Pdと、電磁力G(I)即ち制御電流Iが決まれ ば、吸入圧力Psが決まることがわかる。なお G(I)=B・I(ただし、Bは定数)とした。

 このような関係に基づけば、図10及び式(6) 示したように、吸入圧力Psの目標値として目 標吸入圧力Pssを予め決定し、変動する吐出圧 力Pdの情報がわかれば、発生させるべき電磁 G(I)つまり制御電流Iを演算できる。そして コイル316に供給される制御電流Iをこの演算 れた制御電流Iに等しくなるよう調整すれば 、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssに近付くよう 弁体304が動作し、クランク圧力Pcが調整さ る。すなわち、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pss に近付くように吐出容量が制御される。
 このように吸入圧力Psを目標吸入圧力Pssに 付けるような制御では、図10を参照すれば、 最小の吐出圧力Pdminから最大の吐出圧力Pdmax 渡る吐出圧力Pdの高低に応じて、目標吸入圧 力Pssの設定範囲、換言すれば吸入圧力Psの制 範囲を高低スライド可能である。すなわち 任意の吐出圧力Pd1のときの吸入圧力Psの制 範囲は、吐出圧力Pd1よりも低い吐出圧力Pd2 ときの吸入圧力Psの制御範囲よりも高圧側に スライドさせられる。このため容量制御シス テムBによれば、熱負荷が高い領域であって 、吐出容量制御が可能となる。

 また式(5)から、シール面積Svを小さく設定 れば、小さな電磁力G(I)で、任意の吐出圧力P dにおける目標吸入圧力Pssの制御範囲を拡大 能であることがわかる。上記目標吸入圧力Ps sの制御範囲のスライドと、この制御範囲の 大との相乗効果を発揮させれば、目標吸入 力Pssの制御範囲が大幅に拡大される。この め容量制御システムBによれば、熱負荷が高 領域であっても、圧縮機100の起動直後から 出容量制御が可能となる。
 なお、コイル316への通電量を増加させると 吸入圧力Psを低下させることができる。一 、コイル316への通電量をゼロとすれば、開 ばね328の付勢力fs3により弁体304が離間して 孔301aが強制開放される。これにより吐出室1 42からクランク室105に冷媒が導入され、吐出 量は最小に維持される。

 図11は、制御装置400Bを含む容量制御システ Bの概略構成を示したブロック図である。
 容量制御システムBは、圧力センサ451及び圧 力補正手段452を有し、且つ、制御信号演算手 段411に代えて制御信号演算手段453を有する点 において、容量制御システムAとは異なる。 って、以下では、圧力センサ451、圧力補正 段452及び制御信号演算手段453について説明 る。
 容量制御システムBでは、外部情報検知手段 が吐出圧力検知手段を含み、吐出圧力検知手 段は、その一部を構成する圧力センサ451を有 する。吐出圧力検知手段は、吐出室142の冷媒 の圧力である吐出圧力Pdを検知するための手 である。圧力センサ451は、放熱器14の入口 に装着され(図1参照)、当該部位における冷 の圧力(以下、検知圧力Phという)を検知し、 御装置400Bの圧力補正手段452に入力する。

 なお、吐出圧力Pd及び検知圧力Phは、冷凍サ イクル10の吐出圧力領域の圧力という一般的 意味においては、いずれも吐出圧力である 冷凍サイクル10の吐出圧力領域とは、吐出 142から放熱器14の入口までの領域をさす。ま た、冷凍サイクル10の高圧領域とは、吐出室1 42から膨張器16の入口までの領域をさす。圧 センサ451は、高圧領域のいずれかの部位で 媒の圧力を検知することができればよい。
 これに対し、冷凍サイクル10の吸入圧力領 とは、蒸発器18の出口から吸入室140に亘る領 域をさす。また、吐出圧力領域及び高圧領域 には、圧縮工程にあるシリンダボア101aも含 れ、吸入圧力領域には、吸入工程にあるシ ンダボア101aも含まれる。

 圧力補正手段452は、圧力センサ451とともに 出圧力検知手段を構成しており、圧力セン 451によって検知された検知圧力Phを補正す ことにより、吐出圧力Pdを演算により求める 。そして、圧力補正手段452は、演算した吐出 圧力Pdを制御信号演算手段453に入力する。
 このように検知圧力Phを補正するのは、吐 室142と放熱器14の入口との間では、同じ吐出 圧力領域であっても、特に熱負荷が大きいと きには、冷媒の圧力に差が生じるためである 。吐出圧力Pdは、検知圧力Phを変数とする関 Pd=j(Ph)によって演算することができる。関数 j(Ph)は予め求めておくことができる。

 制御信号演算手段453は、目標吸入圧力設定 段410によって設定された目標吸入圧力Pssと 圧力補正手段452によって演算された吐出圧 Pdとに基づいて、制御電流Iを演算する。こ とき制御信号演算手段453は、前述した式(6) 基づいて、制御電流Iを演算することができ る。
 図12は、容量制御システムBが実行するメイ ルーチンを示している。容量制御システムB のメインルーチンにおいて、容量制御システ ムAのメインルーチンと同一のステップにつ ては、目標吸入圧力演算ルーチンS18を含め 同じ符号を付して説明を省略する。

 容量制御システムBのメインルーチンでは、 センサ入力等読込ステップS37において、圧力 センサ451で検知された検知圧力Phが更に読み まれる。そして、圧力補正手段452が検知圧 Phから吐出圧力Pdを演算する(S38)。なお、吐 圧力演算ステップ(S38)は、センサ入力等読 ステップS37と制御電流演算ステップS44との に実行されればよい。
 また、容量制御システムBのメインルーチン では、目標吸入圧力演算ルーチンS18で演算さ れた目標吸入圧力Pssが、所定の下限値PssL以 であるか否か比較・判定される(S40)。目標吸 入圧力Pssが下限値PssL未満の場合、下限値PssL 目標吸入圧力Pssとして読み込まれ(S42)、制 信号演算手段453が、目標吸入圧力Pss及び吐 圧力Pdを演算式に代入して制御電流Iを演算 る(S44)。

 S40において、目標吸入圧力演算ルーチンS18 演算された目標吸入圧力Pssが下限値PssL以上 の場合、演算された目標吸入圧力Pssが所定の 上限値PssH以下であるか否か比較・判定され (S46)。S46において、目標吸入圧力Pssが上限値 PssHを超えている場合、上限値PssHが目標吸入 力Pssとして読み込まれ(S48)、制御信号演算 段453が、目標吸入圧力Pss及び吐出圧力Pdを演 算式に代入して制御電流Iを演算する(S44)。
 またS46において、目標吸入圧力演算ルーチ S18で演算された目標吸入圧力Pssが上限値PssH 以下の場合、目標吸入圧力演算ルーチンS18で 演算された目標吸入圧力Pss及び吐出圧力演算 ステップS38で演算された吐出圧力Pdを演算式 代入して制御電流Iが演算される(S44)。

 上述した可変容量圧縮機100の容量制御シス ムA,Bでは、制御装置400A,400Bが、判定基準が たされたときのみ、蒸発器温度センサ402に って検知された蒸発器出口空気温度Teに基 いて目標吸入圧力Pssの演算式を補正する。 まり、吐出容量は、基本的にはフィードフ ワード制御され、判定基準が満たされたと のみフィードバック制御される。
 この結果として、容量制御システムA,Bによ ば、フィードバック制御の頻度が低減され 吐出容量の不安定化が抑制され、吐出容量 安定に制御される。

 また、判定基準に含まれる1つの条件(i)とし て、吐出容量が最大吐出容量よりも閾値時間 ta以上の間連続して小さいときは、吐出容量 比較的安定に制御されている。このときに 知した蒸発器出口空気温度Teと蒸発器目標 口空気温度Tesとの偏差δTに基づいて制御電 Iを調整すれば、偏差δTが低減され、容量制 の精度が向上する。
 上述した容量制御システムA,Bでは、判定基 が、蒸発器温度センサ402で検知される蒸発 出口空気温度Teの閾値時間taにおける平均変 化率αが上限値以下であるという条件(ii)を更 に含む。このため、判定基準が1つの条件(i) みを含むときに比べ、更に限定された条件 でのみ吐出容量がフィードバック制御され フィードバック制御の頻度がより一層低減 れる。

 この結果として、容量制御システムA,Bによ ば、吐出容量の不安定化が更に抑制され、 出容量がより一層安定に制御される。
 また、蒸発器出口空気温度Teの閾値時間taに おける平均変化率αが上限値β以下のときも 吐出容量は比較的安定に制御されている。 のときに検知した蒸発器出口空気温度Teと蒸 発器目標出口空気温度Tesとの偏差δTに基づい て制御電流Iを調整すれば、偏差δTが低減さ 、容量制御の精度が向上する。
 上述した容量制御システムA,Bでは、判定基 が、蒸発器目標出口空気温度Tesと蒸発器出 空気温度Teとの偏差δの閾値時間taにおける 均値δTmが下限値γ以上であるという条件(iii )を更に含む。このため、更に限定された条 下でのみ吐出容量がフィードバック制御さ 、フィードバック制御の頻度がより一層低 される。

 この結果として、容量制御システムA,Bによ ば、吐出容量の不安定化が更に抑制され、 出容量がより一層安定に制御される。
 また、偏差δTの閾値時間taにおける平均値 則ち平均温度偏差δTmが下限値γを下回って るときにフィードバック制御を行わないこ で、偏差δTをそれ以上小さくしようとして って吐出容量が不安定になるという事態が 避される。この結果としても、容量制御シ テムA,Bによれば、吐出容量の不安定化が抑 され、吐出容量が安定に制御される。

 上述した容量制御システムA,Bは、目標吸入 力Pssに吸入圧力Psが近付くように吐出容量 制御する吸入圧力制御方式を採用している れども、蒸発器目標出口空気温度Tes及び冷 サイクル10にかかる熱負荷に基づいて目標吸 入圧力Pssが設定されている。このため、フィ ードバック制御の頻度が少なくても、目標吸 入圧力Pssが吸入圧力Psに近付くことにより、 発器出口空気温度Teが蒸発器目標出口空気 度Tesに確実に近付く。
 また、容量制御システムA,Bでは、蒸発器目 出口空気温度Tes及び冷凍サイクル10にかか 熱負荷に加えて、圧縮機100の回転数に相当 る物理量としての車速VSにも基づいて目標吸 入圧力Pssが的確に設定されている。この結果 として、偏差δTが一層低減される。

 上述した容量制御システムA,Bでは、演算式 補正される毎に更新されることによって、 ィードバック制御の頻度が少なくても、偏 δTが確実に低減される。
 上述した容量制御システムA,Bでは、第2補正 量P2が所定の範囲内に制限されることによっ 、例えば容量制御システムA,Bに何らかの異 が発生したとしても、演算式が初期のもの ら大きく変更されることが防止される。
 上述した容量制御システムAでは、フィード バック制御の頻度が低減されるけれども、感 圧器228によって吐出容量が機械的にフィード バック制御されることで、偏差δTが確実に低 減される。

 上述した容量制御システムBによれば、吸入 圧力Psについてみたときに広い範囲に渡って 吐出容量が安定に制御される。すなわち、 量制御システムBでは、弁体304に作用する吐 出圧力Pdに対し、吸入圧力Psとコイル316の電 力G(I)とが対抗する方向に作用するため、吸 圧力Psの制御範囲が広い。
 本発明は、上述した第1実施形態及び第2実 形態に限定されることはなく、種々の変形 可能である。
 第1実施形態及び第2実施形態では、目標吸 圧力演算ルーチンS18の演算式更新判定ステ プS120において、演算式を更新するか否かの 定基準に、前述の(i)~(iii)の条件が含まれて たが、少なくとも(i)の条件が含まれていれ よい。

 従って、判定基準には、(i)単独、(i)と(ii)と の組み合わせ、(i)と(iii)との組み合わせ、及 、(i)と(ii)と(iii)との組み合わせの4通りがあ る。これら4通りの判定基準のそれぞれに、 に、蒸発器ファン電圧検知手段405で検知さ たファン電圧VLが所定の上限値以下であると いう条件を含ませてもよい。
 蒸発器ファン電圧VLが上限値以下であると う条件は、蒸発器18への送風量が上限値以下 、若しくは少ないときという条件と同じであ り、蒸発器18への送風量が上限値以下である いう条件を判定基準に含ませてもよい。蒸 器18への送風量が少ないときは、冷凍サイ ル10に対する熱負荷が小さく、第1補正量P1の 演算誤差も小さくなる。このため、第2補正 P2を更新することによって目標吸入圧力Pssに 吸入圧力Psを的確に近付けることができる。

 第1実施形態及び第2実施形態では、目標吸 圧力Pssの演算式を更新するか否かは、所定 閾値時間ta毎に判定されるが、演算式が更新 されるたびに、閾値時間taを長くしてもよい 演算式を更新することにより、目標値であ 蒸発器目標出口空気温度Tesと制御対象であ 蒸発器出口空気温度Teとのオフセットが縮 され、蒸発器目標出口空気温度Tesに蒸発器 口空気温度Teが良く一致するようになる。こ のため、頻繁に更新の判定を行う必要がなく 、閾値時間taを長くしてフィードバック制御 頻度を更に減少させることで、吐出容量が り一層安定する。
 第1実施形態及び第2実施形態では、制御対 が蒸発器出口空気温度Teであったけれども、 制御対象はこれに限定されることはない。例 えば、制御対象を、冷凍回路10の高圧領域の 媒の圧力、高圧領域の冷媒の温度、圧縮機1 00のシリンダーブロック101、フロントハウジ グ102又はリアハウジング104の温度(ハウジン グ温度)、圧縮機100の駆動トルクとしてもよ 。

 第1実施形態及び第2実施形態では、冷凍サ クル10にかかる熱負荷についての情報(熱負 情報)として、外気温度Ta、日射量Ws及び蒸発 器ファン電圧VLを検知したけれども、熱負荷 報はこれらに限定されない。
 例えば、熱負荷情報として、外気湿度、車 用空調システムの各種設定(内外気切換ドア 位置、車内温度設定、吹き出し口位置、エア ミックスドア位置)、車内温度、車内湿度、 発器入口空気温度、蒸発器入口空気湿度、 室内各部表面温度、高圧領域又は低圧領域 圧力又は湿度、車両の乗員数等を検知して よい。ただし、熱負荷を精度良く検知する めに、熱負荷検知手段は、外気温度センサ40 3と蒸発器ファン電圧検知手段405とを少なく も有するのが好ましい。

 第1実施形態及び第2実施形態では、エンジ 114又は圧縮機100の回転数を検知する手段と て車速センサ406を使用したが、エンジン114 は圧縮機100の回転数を直接検知する手段を いてもよい。
 第1実施形態及び第2実施形態において、ソ ノイド駆動手段412は、コイル254,316に供給さ ている制御電流Iを検知すべく、電流センサ 436を有していたが、電流センサ436の配置は、 制御電流Iを検知可能であれば特に限定され い。また、制御電流Iを検知可能であれば、 流センサ436に代えて、電圧計等の他の手段 用いてもよい。

 また、ソレノイド駆動手段412は、制御電流I を検知するための手段を有していなくてもよ い。この場合、目標吸入圧力Pss又は制御電流 Iとスイッチング素子430を駆動するデューテ 比との相関を予め求めておけばよい。そし 、当該相関に基づいて、制御信号演算手段41 1が目標吸入圧力Pss又は制御電流Iからデュー ィ比を演算し、演算したデューティ比をソ ノイド駆動手段412に入力すればよい。
 第1実施形態及び第2実施形態では、容量制 システムA,Bの制御装置400A,Bが独立していた れども、制御装置400A,Bを、空調システム全 の動作を制御するエアコン用ECUの一部とし 構成してもよい。

 第1実施形態では、容量制御弁200の弁体210に 対して開閉方向に吐出圧力Pd及びクランク圧 Pcが作用していなかったが、弁体に対して 閉方向に吐出圧力Pd又はクランク圧力Pcが作 する容量制御弁を用いてもよい。
 第2実施形態では、容量制御弁300の弁体304に 対して開閉方向に吐出圧力Pd及び吸入圧力Ps 作用していたが、弁体に対して更にクラン 圧力Pcが作用する容量制御弁を用いてもよい 。
 第1及び第2実施形態の容量制御システムA,B 適用された圧縮機100は、クラッチレス圧縮 であったが、容量制御システムA,Bは、電磁 ラッチを装着した圧縮機にも適用可能であ 。圧縮機100は斜板式の往復動圧縮機であっ けれども、揺動板式の往復動圧縮機であっ もよい。揺動板式の圧縮機は、揺動板を揺 させるための要素を有し、斜板107及びこの 素をまとめて斜板要素という。圧縮機100は 電動モータで駆動されるものであってもよ 。

 更に、容量制御システムA,Bは、スクロール やベーン式の可変容量圧縮機にも適用可能 ある。すなわち、弁体にソレノイドユニッ の電磁力が作用する容量制御弁を用いて、 出容量を変化させるための制御圧力を容量 御弁の弁開度によって変化させることがで れば、あらゆる可変容量圧縮機に適用可能 ある。
 なお、制御圧力とは、往復動圧縮機の場合 は、クランク室の圧力(クランク圧力Pc)であ る。

 第1及び第2実施形態の容量制御システムA,B 適用された圧縮機100では、抽気通路162の流 を規制してクランク圧力Pcを昇圧するために 、抽気通路162に絞り要素として固定オリフィ ス103cを配置したが、絞り要素として、流量 変の絞りを用いてもよく、また、弁を配置 て弁開度を調整してもよい。
 第1及び第2実施形態の容量制御システムA,B は、容量制御弁200,300は、吐出室142とクラン 室105との間を繋ぐ給気通路160に配置されて たけれども、圧縮機100が斜板式又は揺動板 の場合、給気通路160に容量制御弁200,300を配 置せずに、クランク室105と吸入室140との間を 繋ぐ抽気通路162に容量制御弁を配置してもよ い。即ち、給気通路160の開度を制御する入口 制御に限定されず、抽気通路162の開度を制御 する出口制御であってもよい。

 第1及び第2実施形態の容量制御システムA,B 適用される冷凍サイクル10では、冷媒はR134a 二酸化炭素に限定されず、その他の新冷媒 使用してもよい。つまり、容量制御システ A,Bは、従来の空調システムにも適用可能で る。
 最後に、本発明に係る可変容量圧縮機の容 制御システムは、車両用空調システム以外 室内用空調システム等、空調システム全般 適用可能である。