MATSUZAKI MITSUTAKA (JP)
YAMAMOTO TORU (JP)
TAKAHASHI YOSHITAKE (JP)
MATSUZAKI MITSUTAKA (JP)
YAMAMOTO TORU (JP)
US6498229B1 | 2002-12-24 | |||
JPH04213320A | 1992-08-04 | |||
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JP3712849B2 | 2005-11-02 | |||
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グリコリド単位及びε-カプロラクトン単位をモル比70:30~80:20の範囲で含むグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体であって、該共重合体の 1 H-NMR(溶媒:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール)におけるδ4.09~4.17のシグナル(A)とδ4.20~4.30のシグナル(B)の積分比(B/A)が1~10であり、グリコリド単位及びε-カプロラクトン単位の合計モル量に対して炭素数5以下のジオール化合物を0.1~0.4mol%の範囲で含有することを特徴とする共重合体。 |
請求項1に記載のグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体を溶融紡糸して得られる縫合糸。 |
縫合糸を結紮引張強度の70%の強度で単結節した後、37℃、pH7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)で、1週間浸漬した後の結び目の大きさが、結紮直後の結び目の大きさに対して1.2倍以下である請求項2に記載の縫合糸。 |
縫合糸がモノフィラメントであり、直線的引張強度が400MPa以上、結紮引張強度が200MPa以上であり、ヤング率が2.0GPa以下である請求項2に記載の縫合糸。 |
オクチル酸スズ及び炭素数5以下のジオール化合物の存在下、グリコリド及びε-カプロラクトンをモル比70:30~80:20の範囲で反応させてグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体を製造する方法であって、該炭素数5以下のジオール化合物をグリコリド及びε-カプロラクトンの合計モル量に対して0.1~0.4mol%用いることを特徴とする製造方法。 |
前記請求項5に記載の製造方法により得られるグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体。 |
グリコリド/ε-カプロラクトン共重合体からなる縫合糸を製造する方法であって、 (1)オクチル酸スズ及び炭素数5以下のジオール化合物の存在下、グリコリド及びε-カプロラクトンをモル比70:30~80:20の範囲で反応させてグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体を製造し(該炭素数5以下のジオール化合物をグリコリド及びε-カプロラクトンの合計モル量に対して0.1~0.4mol%用いる)、及び (2)得られた共重合体を溶融紡糸した後、延伸して縫合糸を得る、 ことを特徴とする製造方法。 |
本発明は、強度と結紮安定性に優れたグ コリド/ε-カプロラクトン共重合体からなる 縫合糸に関するものである。
グリコリド/ε-カプロラクトン共重合体は 、グリコリドとε-カプロラクトンとの開環重 合により得られ、生体吸収性高分子として注 目されている。そのため、外科用物品、特に モノフィラメント縫合糸として有用である。
特許文献1には、強度及び柔軟性を両立す るため、1,6-ヘキサンジオールの存在下、1段 重合法を用いてグリコリド/ε-カプロラクト ン共重合体(GA/CL=80/20~65/35)を製造する方法、 び2段階重合法を用いてグリコリド/ε-カプロ ラクトン共重合体(GA/CL=80/20~65/35)を製造する 法が記載されている。しかし、これらの方 で得られる共重合体からなる縫合糸は、生 的食塩水に一定時間浸漬した後(即ち、加水 解後)の結紮安定性が低いため、術後に結紮 部分(結節点)が緩んでしまうという問題があ 。
特許文献2には、ラウリルアルコール等の 水酸基化合物を反応系に添加して、グリコリ ドとε-カプロラクトンから分子量の制御され たグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体を 造する方法が記載されている。しかし、ラ リルアルコールに代表される直鎖状飽和脂 族アルコールは一官能性であるため、反応 に片末端にモノマーが反応されていくため 子量制御には効果があるが、柔軟性制御に 効果がない。また、一官能性アルコールは 常温で固化しやすく扱いやすさに難があり 重合反応物への溶解性も乏しい。
特許文献3には、モノオール化合物又はジ オール化合物の存在下、ε-カプロラクトン及 びグリコリドを順に開環重合して、ポリ(ε- プロラクトン)セグメント(A)及びポリグリコ ル酸セグメント(B)からなるブロック共重合 (GA/CL=50/50~95/5)を、溶融紡糸した後、延伸し モノフィラメントが得られることが記載さ ている。このモノフィラメントは、引張強 、柔軟性、結紮安定性に優れることが記載 れている。しかし、創傷治癒など治癒に必 な期間、強度を保持し、治癒終了後は速や に縫合糸が体内に吸収すべきであるが、こ モノフィラメントは分解性が低いため吸収 間が長くなり創傷治癒後も長期に体内に残 するため、異物反応や炎症反応を引き起こ 可能性がある。
特許文献4には、モノフィラメント縫合糸 の結紮安定性を向上させるため、ジエチレン グリコールの存在下、グリコリド/ε-カプロ クトン(GA/CL=70/30~30/70)のプレポリマーを製造 、これをグリコリドと重合させて(二段階重 合)、グリコリド/ε-カプロラクトンの結晶性 重合体を製造する方法が記載されている。
また、特許文献5には、一官能性重合開始 剤(ドデカノール等)及び二官能性重合開始剤( ジエチレングリコール等)を用いて、p-ジオキ サノンを用いる第1段の単独重合と、グリコ ドを用いる第2段のブロック共重合により(2 階重合)、結晶化速度の速いポリラクトン共 合体を製造することが記載されている。
確かに、特許文献4及び5の二段階重合で 、各段階で加えるモノマー種、量により、 リマーのブロック性を制御することが可能 ある。しかしながら、この方法で得られた リコリドカプロラクトン共重合体は結紮保 性が低く、緩みやすい性質を有している。
このように、従来のグリコリド/ε-カプロラ
クトン共重合体を縫合糸として使用した場合
、必ずしも柔軟性、結紮安定性を得ることが
できないのが現状である。
本発明は、強度と柔軟性に優れ、縫合糸 した時の結節点がタイトになりほどけにく (結紮安定性に優れた)グリコリド/ε-カプロ クトン共重合体、及びその製法を提供する とを目的とする。また、該共重合体を用い 縫合糸を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため 意研究をおこなった結果、グリコリドとε- プロラクトンの重合時の開始剤(例えば、ジ エチレングリコール)を所定量に制御するこ により、ポリマー分子の配列及び縫合糸の 軟性を制御できることを見いだした。具体 には、開始剤の量をグリコリドとε-カプロ クトンの合計モル量に対し、0.1~0.4mol%にする ことで、優れた強度と柔軟性を実現できるこ とを見いだした。これにより、この縫合糸の 結節点はタイトとなりほどけにくいものとな り結紮安定性が大幅に向上した。かかる知見 に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成 するに至った。
即ち、本発明は下記のグリコリド/ε-カプ ロラクトン共重合体、その製法、及び縫合糸 に関する。
項1.グリコリド単位及びε-カプロラクトン 位をモル比70:30~80:20の範囲で含むグリコリド /ε-カプロラクトン共重合体であって、該共 合体の 1 H-NMR(溶媒:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロ ノール)におけるδ4.09~4.17のシグナル(A)とδ4.2 0~4.30のシグナル(B)の積分比(B/A)が1~10であり、 グリコリド単位及びε-カプロラクトン単位の 合計モル量に対して炭素数5以下のジオール 合物を0.1~0.4mol%の範囲で含有することを特徴 とする共重合体。
項2.項1に記載のグリコリド/ε-カプロラク トン共重合体を溶融紡糸して得られる縫合糸 。
項3.縫合糸を結紮引張強度の70%の強度で 結節した後、37℃、pH7.4のリン酸緩衝食塩水( PBS)で、1週間浸漬した後の結び目の大きさが 結紮直後の結び目の大きさに対して1.2倍以 である項2に記載の縫合糸。
項4.縫合糸がモノフィラメントであり、 線的引張強度が400MPa以上、結紮引張強度が20 0MPa以上であり、ヤング率が2.0GPa以下である 2に記載の縫合糸。
項5.オクチル酸スズ及び炭素数5以下のジ ール化合物の存在下、グリコリド及びε-カ ロラクトンをモル比70:30~80:20の範囲で反応 せてグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体 製造する方法であって、該炭素数5以下のジ オール化合物をグリコリド及びε-カプロラク トンの合計モル量に対して0.1~0.4mol%用いるこ を特徴とする製造方法。
項6.前記項5に記載の製造方法により得ら るグリコリド/ε-カプロラクトン共重合体。
項7.グリコリド/ε-カプロラクトン共重合体
らなる縫合糸を製造する方法であって、
(1)オクチル酸スズ及び炭素数5以下のジオー
化合物の存在下、グリコリド及びε-カプロ
クトンをモル比70:30~80:20の範囲で反応させて
グリコリド/ε-カプロラクトン共重合体を製
し(該炭素数5以下のジオール化合物をグリコ
リド及びε-カプロラクトンの合計モル量に対
して0.1~0.4mol%用いる)、及び
(2)得られた共重合体を溶融紡糸した後、延伸
して縫合糸を得る、
ことを特徴とする製造方法。
本発明のグリコリド/ε-カプロラクトン共 重合体からなる縫合糸は、強度と柔軟性に優 れしかも結紮安定性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のグリコリド/ε-カプロラクトン共重 合体は、グリコリド単位及びε-カプロラクト ン単位をモル比70:30~80:20の範囲で含み、該共 合体の 1 H-NMR(溶媒:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロ ノール)におけるδ4.09~4.17のシグナル(A)とδ4.2 0~4.30のシグナル(B)の積分比(B/A)が1~10であるこ とを特徴とする。
ここで、δ4.09~4.17のシグナル(A)は、ε-カ ロラクトンがブロック的に開環重合した構 におけるカルボニル炭素のγ位の炭素上のプ ロトンとして帰属される。δ4.20~4.30のシグナ (B)は、ε-カプロラクトンとグリコリドがラ ダム的に開環重合した構造におけるカルボ ル炭素のγ位の炭素上のプロトンとして帰 される。具体的には、実施例1を参照。
上記シグナルAとシグナルBの積分比(B/A)は 、好ましくは2~8であり、より好ましくは3~7で ある。
本発明のグリコリド/ε-カプロラクトン共 重合体は、オクチル酸スズ及び炭素数5以下 ジオール化合物の存在下、グリコリド及びε -カプロラクトンをモル比70:30~80:20の範囲で反 応させてグリコリド/ε-カプロラクトン共重 体を製造する方法であり、該ジオール化合 をグリコリド及びε-カプロラクトンの合計 ル量に対して0.1~0.4mol%用いることを特徴とす る。
グリコリド及びε-カプロラクトンをモル は、好ましくは70/30~80/20、より好ましくは72 .5/27.5~77.5/22.5である。グリコリドが70mol%未満 あると縫合糸の強度が低くなり、80mol%を越 ると縫合糸の柔軟性が乏しくなるため好ま くない。
本反応で用いる触媒としては、オクチル スズが好適である。オクチル酸スズの使用 は、仕込みモノマー全量に対して、10~200ppm 度(スズ金属換算で3~59ppm程度)、好ましくは2 5~100ppm程度(スズ金属換算で7~29ppm程度)である
炭素数5以下のジオール化合物としては、 本反応の環状エステルの開環重合の反応性が 高く、減圧下でも揮発しない比較的沸点の高 い溶液が選択される。具体的には、ジエチレ ングリコール、(1,2-又は1,3-)プロピレングリ ール、1,4-ブタンジオール、1, 3-ブタンジオ ル、2, 3-ブタンジオール、1, 5-ペンタンジ ール、1, 2-ペンタンジオール等が例示され 。好ましくは、ジエチレングリコールであ 。なお、炭素数6を越えると固体となるため 添加量の調整が容易でなく、また得られる縫 合糸の結紮保持性が低下する傾向にあるため 好ましくない(例えば、比較例5,7)。
炭素数5以下のジオール化合物の使用量は 、グリコリド及びε-カプロラクトンの合計モ ル量に対して、0.1~0.4 mol%、好ましくは0.15~0.3 5 mol%である。炭素数5以下のジオール化合物 、上記の範囲から選択されるが、該ジオー 化合物の増加とともに共重合体の分子配列 ランダム性が増加し、それに伴い融点も低 する。例えば、0.1 mol%未満の場合は縫合糸 した場合に固くて結紮性に乏しくなり、0.4 mol%を越えると柔軟性が高すぎてゴム状とな 所望の引張及び結節強度、引張及び結節弾 率等が得られない。
また、炭素数5以下のジオール化合物を用 いないか或いは使用量が少ない場合は、グリ コリド/ε-カプロラクトンの仕込み比に対し 、得られる共重合体の重合比が一致せず、 望の重合比の共重合体を製造することが困 であった。しかし、上記の範囲で該ジオー 化合物を用いることにより、原料の仕込み と共重合体の重合比がほぼ同一となり、重 比の制御が容易になる。なお、重合の際添 する該ジオール化合物はほぼ全量反応し、 重合体中に残る。
本反応の反応温度は、通常150~190℃、好ま しくは160~180℃である。温度が低いほど重合 の着色が抑えられ、重合組成比を制御しや いため好ましい。反応圧力は、不活性ガス 囲気下であれば減圧でも常圧でもよい。反 時間は、24~240時間、好ましくは72~168時間で る。
本反応は、1段階の重合反応からなり、2 階重合反応で得られる共重合体(縫合糸)と比 較して、結紮保持性が大きく向上する(例え 実施例1~3と比較例6,7を参照)。
得られた重合体は、溶融状態のまま減圧 て、又は、冷却、粉砕した後、減圧下で加 することにより未反応モノマーを除去する とが好ましい。
モノフィラメント縫合糸は、得られた重 体を溶融紡糸してフィラメント状にした後 伸する。溶融紡糸は、220~270℃の温度範囲で 行うことができる。溶融紡糸の際、紡糸ノズ ルから吐出されたフィラメントを、吐出後お よそ1~30秒以内に、-50~50℃の冷却媒体中に浸 して冷却することが好ましい。冷却媒体に 、水、炭化水素化合物類、アルコール類、 気、窒素ガス、アルゴン等の不活性ガス等 知のものを使用できる。
紡糸により得られた未延伸フィラメント 、およそ20~80℃の温度にて3~10倍に延伸する とができる。また、モノフィラメントの経 的な収縮を抑制する目的で、100~150℃にてア ニーリングをすることができる。
モノフィラメントの太さには特に制限は いが、通常、直径が0.005~2mmである。好まし は0.02~1mmである。
本発明のモノフィラメント縫合糸は、優 た機械的強度及び柔軟性を有し、適度の加 分解性を有し、かつ結紮安定性の高い、外 用吸収性縫合糸として好適である。モノフ ラメントは、少なくとも400 MPa(好ましくは4 00~1000 MPa)の直線的引張強度、少なくとも200 MPa(好ましくは200~600 MPa)の結紮引張強度を示 、優れた強度を有する。ヤング率は、2.0 GP a以下(好ましくは0.2~2.0 GPa)であり、十分な柔 軟性を有する。加水分解性、すなわち、37 、pH 7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)中に1週間浸 した後の直線的引張強度の残率(元の引張強 度に対する割合)は、50~90 %であり、さらに好 ましくは60~80 %である。また、同加水分解試 での結紮強度の残率は、30~70 %、さらに好 しくは40~60 %である。本モノフィラメント縫 合糸は、身体の種々の部位に適用することが 可能である。
本発明の分解性モノフィラメント縫合糸 結紮安定性が良好で、一度作った結紮の結 目が緩くなることがない。従来知られてい モノフィラメント縫合糸はいずれも結び目 大きくなりやすく、結び目の安定性(結紮安 定性)が乏しいため、手術者は縫合糸に多数 の結び目を作る必要があった。本発明のモ フィラメントは、小さく安定し易い結び目 作ることが容易であり、1回の結び目を作る けで十分結紮は安定する。
さらに、一般的に、結び目を作ったフィ メントは、結び目を作る前よりも引張強度 低下する。従来知られているモノフィラメ トは、結び目を作らない時の引張強度(直線 的引張強度)に比べて、結び目を作った時の 張強度(結紮引張強度)は約3~5割程度に低下す ることが知られている。この傾向は結び目の 回数が多くなるほど顕著になる。
これに対し、本発明のモノフィラメント 結紮強度は、直線的引張強度の5~6割程度の 下に過ぎない上、上述のとおり、従来のモ フィラメントに比べて少ない結び目で、結 を安定させることが可能なので、実際の手 に使用した場合、十分な結紮強度を保証す ことができ、手術の安全保証の点から、極 て有効である。
本発明の分解性モノフィラメントは、公知
方法により医療用成形物に成形加工される
医療用成形物として、モノフィラメント状
合糸、骨補強用板、外科用網状体、徐放性
剤、再生医療用足場材料等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細 説明するが、本発明はこれら実施例に限定 れるものではない。
本明細書に記載の下記の評価は、次のよう
して行った。
<共重合体のブロック性及びランダム性の
価>
共重合体のブロック性及びランダム性は、
1のNMRチャートにおけるシグナルAとシグナ
Bの比の積分比(B/A)として評価した。この数
が大きくなるほどランダム性が大きくなる
とを示す。
(4.20~4.30ppm積分値(シグナルB))/(4.09~4.17ppm積分
値(シグナルA))
<共重合体の重合比の評価>
共重合体の重合比は、図1のNMRチャートにお
ける4.75~5.1ppm積分値と1.7ppm積分値との比から
価した。
グリコリド/ε-カプロラクトン=(4.75~5.1ppm積
値)/(1.7ppm積分値)
<結紮強度>
モノフィラメント縫合糸を結紮引張強度の7
0%の力で単結節、即ち結び目を1つ形成する。
その後、引張試験機のチャックに対してチャ
ック間距離10 cmで縫合糸の両端を固定する。
試験速度100 mm/minで引張試験を実施し、縫合
が結紮点で破断した際の強度を結紮引張強
とする。
<柔軟性の評価>
縫合糸の直線的引張試験におけるひずみ0.1%
と0.2%に対応する引張強度を、それぞれσ 1
、σ 2
としたとき。引張強度の差(σ 2
-σ 1
)をひずみの差で除したときに算出される引
弾性率から柔軟性を評価する。
引張弾性率(柔軟性, MPa)=(σ 2
-σ 1
)/(0.2-0.1)
<結紮安定性の評価>
モノフィラメント縫合糸を結紮引張強度の7
0%の強度で単結節した後、37℃、pH7.4のリン酸
緩衝食塩水(PBS)中に1週間浸漬した後の結紮安
定性、即ち、結節直後とPBS処理後の結び目の
大きさの変化を以下の基準で評価した。
ここで、結び目の大きさとは、形成した び目部分について、軸を中心として60゜ず 回転させ、垂直な方向から見た結び目の輪 で囲まれた部分(図4、図5参照)の面積をそれ れ測定し、得られた6つの面積の平均値を意 味する。
ランクA: 結び目に緩みがなく、切れにく い。結び目の大きさは結紮直後の大きさに比 較して1.2倍以下である。
ランクB: 結び目に緩みはないが、切れや すい。結び目の大きさは結紮直後の大きさに 比較して1.2倍以下である。
ランクC: 結び目に緩みが大きく、結び目 の間に空間が容易に見られる。結び目の大き さは結紮直後の大きさに比較して1.2倍以上で ある。
実施例1
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド2,000 g(17.23 mol)、ε-カプロラクトン
636.5 mL(5.74 mol)、ジエチレングリコール5.5 mL
(グリコリドとカプロラクトンの合計モル量
対し0.25 mol%)加えた。常温にて12時間真空脱
した後、窒素置換を行い、オクチル酸スズ
0.212 g(0.52 mmol)加えた。数時間真空脱気後
窒素置換を行い、160℃のオイルバス中で撹
しながら窒素気流下で重合を行った。系内
粘性が上昇したら撹拌を停止し、継続して16
0℃にて7日間重合を実施した。重合終了後、
リマーを粉砕してペレットとし、乾燥ペレ
トを用いてポリマー物性及び縫合糸物性を
定した。その結果を表1に示す。
柔軟性の高いポリマーが得られた。ポリ ーを紡糸して得られたモノフィラメント縫 糸は、結紮安定性に優れ(Aランク)、強度も かった。
実施例2及び3
実施例1と同様の重合方法にて、重合開始剤
を以下のように変更し、160℃、7日間重合を
った。なお、重合開始剤のmol%は、グリコリ
とε-カプロラクトンの合計モル量に対する
である。以下同じ。
実施例2 重合開始剤:プロピレングリコール
0.25 mol%
実施例3 重合開始剤:1,4-ブタンジオール 0.2
5 mol%
上記2種につき、それぞれ柔軟性の高いポリ
マーが得られた。ポリマーを紡糸して得られ
たモノフィラメント縫合糸は、結紮安定性に
優れ(Aランク)、結紮引張強度は高かった。そ
の結果を表1に示す。なお、GLはグリコリドを
、CLはε-カプロラクトンを表す。
比較例1及び2
実施例1と同様の重合方法にて、重合開始剤
(ジエチレングリコール)の量を以下のように
更し、160 ℃、7日間重合を行った。
比較例1 重合開始剤:ジエチレングリコール
0.05 mol%
仕込み比と重合比が一致せず、柔軟性の低
、硬いポリマーが得られた。ポリマーを紡
して得られたモノフィラメント縫合糸は、
紮安定性(加水分解後)に乏しく(Bランク)、
紮引張強度は低かった。その結果を表2に示
。
比較例2 重合開始剤:ジエチレングリコール
5.0 mol%
仕込み比と重合比はほぼ一致したが、柔軟
の高い、ゴム状のポリマーが得られた。ポ
マーは紡糸試験にて糸の形状として加工す
ことができなかった。
比較例3
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド2,000 g(17.23 mol)、ε-カプロラクトン
636.5 mL(5.74 mol)加えた。常温にて12時間真空
気した後、窒素置換を行い、オクチル酸ス
を0.795 g(1.95 mmol)加えた。その後の操作は実
施例1と同様にし、160 ℃、7日間窒素気流下
重合を実施し、ポリマー物性を測定した。
の結果を表2に示す。
仕込み比と重合比が一致せず、柔軟性の しい、硬いポリマーが得られた。ポリマー 紡糸して得られたモノフィラメント縫合糸 、引張及び結紮引張強度が低く、加水分解 の結紮安定性も乏しかった(Bランク)。
比較例4
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド2,000 g(17.23 mol)、ε-カプロラクトン
636.5 mL(5.74 mol)加えた。常温にて12時間真空
気した後、窒素置換を行い、オクチル酸ス
を0.212 g(0.52 mmol)加えた。その後の操作につ
いては実施例1と同様にし、200 ℃、7日間重
窒素気流下で重合を実施し、ポリマー物性
測定した。その結果を表2に示す。
仕込み比と重合比が一致せず、柔軟性の しい、硬いポリマーが得られた。ポリマー 紡糸して得られたモノフィラメント縫合糸 、引張及び結紮引張強度が低く、加水分解 の結紮安定性も乏しかった(Bランク)。
比較例5
(特許文献1の実施例1(1段階重合)の追試)
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド2,000 g(17.23mol)、ε-カプロラクトン63
6.5 mL(5.74 mol)、1, 6-ヘキサンジオール2.72 g(0
.1 mol%)及びオクタン酸第一スズ(0.33 mol溶液1.
15 mL)を仕込んだ。フラスコ内の圧力を低下
せてトルエンを蒸発させ、フラスコ内を窒
置換と真空脱気した後、乾燥窒素にて系内
力を大気圧の3/4に調節した。系内圧力が変
しないように封を行い、反応容器を100 ℃に
予熱したオイルバス中に浸漬して15分間撹拌
た。その後、温度を150 ℃に上げて15分間加
熱し、さらにオイルバスを190 ℃に上げて18
間重合を続けた。重合したポリマーを単離
て冷却し、粉砕後減圧下で16時間加熱するこ
とによって、未反応モノマーを除去し、精製
ポリマーを得た。その結果を表2に示す。
ポリマーは着色が多く、加熱劣化してい 。縫合糸は柔軟(弾性率が低い)であるが、 水分解後の結紮安定性はBランクであった。
比較例6
(特許文献1の実施例4(2段階重合)の追試)
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド156.5 g(1.35 mol)、ε-カプロラクトン3
49 mL(3.15 mol)、グリコール酸0.441 g(5.80 mmol)
びオクタン酸第一スズ(0.33 M溶液1.10 mL)を仕
込んだ。フラスコ内の圧力を低下させてトル
エンを蒸発させ、反応容器内を窒素置換と真
空脱気した後、乾燥窒素にて系内圧力を1気
に調節した。反応容器をオイルバス中120 ℃
に加熱し、10分保持した。その後、30分かけ
オイルバスを200 ℃まで加熱し、200 ℃到達
20分反応させた。オイルバスを150 ℃まで放
冷し、撹拌を中止して反応容器をオイルバス
から取り出した。次いで、反応容器にグリコ
リド928.0 g(8.00 mol)、ε-カプロラクトン228 g(2
.00 mol)を加えて、再度120 ℃にて10分間撹拌
た。その後、15分間かけてオイルバス温度を
205 ℃まで上昇し、205 ℃にて4時間重合した
その結果を表2に示す。
この場合、縫合糸は柔軟(弾性率が低い) あるが、結紮安定性は乏しく、Cランクであ た。
比較例7
(特許文献1の実施例7(2段階重合)の追試)
撹拌羽を付属した3Lセパラブルフラスコに
リコリド150 g(1.29 mol)、ε-カプロラクトン342
g(3.0 mol)、1, 6-ヘキサンジオール0.51 g(4.29
mmol)及びオクタン酸第一スズ(0.33 M溶液3.24 mL
)を仕込んだ。反応容器内の圧力を低下させ
トルエンを蒸発させ、反応容器内を窒素置
と真空脱気した後、乾燥窒素にて系内圧力
1気圧に調節した。反応容器をオイルバス中1
90 ℃に加熱し、35分保持した。その後、30分
けてオイルバスを120 ℃まで放冷し、次い
フラスコ反応容器にグリコリド865.5 g(7.71 mo
l)、ε-カプロラクトン97.5 g(0.855 mol)を加えた
。120 ℃にて40分間撹拌した後、15分間かけて
オイルバス温度を190 ℃まで上昇し、190 ℃
て2.5時間重合した。その結果を表2に示す。
得られたポリマーを加工したモノフィラ ント縫合糸の引張強度及び結紮引張強度は いが、弾性率が高く、硬い物性である。ま 、加水分解後の結紮安定性も乏しかった(C ンク)。
Next Patent: ALKYLSULFONE DERIVATIVE