下田 陽一朗 (〒31 愛知県豊川市一宮町宮前149オーエスジー株式会社内 Aichi, 4411231, JP)
オーエスジー株式会社 (〒05 愛知県豊川市本野ヶ原三丁目22番地 Aichi, 4420005, JP)
SHIMODA, Youichiroh (Ichinomiya-cho Toyokawa-shi Aichi, 31, 4411231, JP)
| 切削加工するための超硬回転工具であって、棒状の支持部と、当該支持部の先端に接合された刃部とからなり、何れか一方を超硬合金製の焼結体とし、他方を前記焼結体の焼結温度よりも低い温度で予備焼結された超硬合金製の予備焼結体とし、前記焼結体と前記予備焼結体とを接合する態様で一体焼結して成ることを特徴とする超硬回転工具。 |
| 前記超硬回転工具は、棒状のシャンクの先端に着脱可能に取り付けられるインデキサブル式の超硬回転工具であって、前記支持部は、前記刃部に接合されると共に、前記シャンクの前記先端に着脱可能に取り付けられる棒状の取り付け部であることを特徴とするインデキサブル式の請求項1に記載の超硬回転工具。 |
| 前記取り付け部を前記焼結体とし、前記刃部を前記予備焼結体とし、前記刃部には凹部が設けられ、当該凹部に前記取り付け部の前記先端が差し込まれて接合する態様で一体焼結して成ることを特徴とするインデキサブル式の請求項2に記載の超硬回転工具。 |
本発明は、超硬回転工具に関し、詳細に 、超硬合金を材質とする超硬回転工具に関 る。
従来から、ロッドの先端に、刃部を有する
ップを着脱可能に取り付けできる所謂「ス
ーアウェイ式」の工具が知られている。こ
工具では、チップが摩耗した場合はチップ
けを交換すればよく、ロッドの再利用が可
であるのでコストを大幅に節約できる。例
ば、ロッドの先端に設けられた雌ねじに、
ールビット(チップ)の底部に設けられたね
杵を螺着させるタングステン鋼切削ブレー
構造が知られている(例えば、特許文献1参照
)。このような構造を有する工具において、
えば、超硬合金製のツールビットを作製す
場合、超硬合金のムク(ソリッド)から刃部と
ねじ杵とを研削して作製することになる。
しかしながら、超硬合金のムクから作製 れたねじ杵はじん性が弱く、特にそのねじ り開始位置付近は細く折れやすい。そのた 、差し込み時又は切削時において破損する それがあった。そこで、刃部とねじ杵とを なる硬度で別々に作製した後で互いにロウ けする方法が考えられる。ところが、両者 硬度が異なると結合密度が低下すると共に 硬度が異なることに起因して加工時の安定 や精密性が低下するおそれがあった。また ロウ付けは熟練した技術が必要であるため 製造工程の短縮化および簡素化が要望され いる現状では好ましくなかった。
本開示は、上記問題点を解決するために されたものであり、超硬合金同士を強固に 合できる超硬回転工具を提供することを目 とする。
本開示は、切削加工するための超硬回転 具であって、棒状の支持部と、当該支持部 先端に接合された刃部とからなり、何れか 方を超硬合金製の焼結体とし、他方を前記 結体の焼結温度よりも低い温度で予備焼結 れた超硬合金製の予備焼結体とし、前記焼 体と前記予備焼結体とを接合する態様で一 焼結して成ることを特徴とする超硬回転工 を提供できる。
以下、本開示の一実施形態である超硬エ ドミル1について、図面を参照して説明する 。なお、以下説明において、「超硬」とは「 超硬合金」の略であり、炭化タングステンと コバルトとを粉末冶金(焼き固めて造ること) た合金のことをいう。一般的には、コバル の混ざる比率が少ないほど硬くなり、耐摩 性が高くなるが、じん性が低くなってもろ なる。その逆に、コバルトの混ざる比率が いほど、じん性が高くなって折れにくくな が、耐摩耗性は低くなる性質を有する。
まず、超硬エンドミル1の構造について説 明する。図1に示すように、超硬エンドミル1 、円柱状のシャンク10と、当該シャンク10の 先端に螺着される超硬チップ20とを備えてい 。即ち、超硬チップ20はシャンク10の先端に おいて交換可能なインデキサブル式の工具で ある。また、シャンク10は鉄ベースの合金で るハイス(高速度鋼)により一体成型されて る。シャンク10の先端には軸心に沿ってねじ 穴11が形成され、その先端側には雌ねじが刻 されていない内周面12が形成されている。
他方、超硬チップ20は超硬合金を材質と ている。超硬チップ20は、後述する製造工程 によって製造される。図2に示すように、超 チップ20は、先端が球状に形成された短円柱 状の刃部21と、当該刃部21の円形状の底面の 心から突出する棒状の支持部22とを備えてい る。刃部21の先端の外表面には切り刃23が刻 されている。
また、支持部22の外周面の後端側には、 ャンク10のねじ穴11に螺合する雄ねじ24が形 されている。従って、超硬チップ20の支持部 22を、シャンク10のねじ穴11にねじ込むことに よって、支持部22の雄ねじ24が、ねじ穴11の奥 側のねじ山に螺合し、支持部22の雄ねじ24よ も先端側の外周面25が、ねじ穴11の先端側の 周面12に摺接する。こうして、シャンク10の 先端に超硬チップ20が強固に取り付けられる
次に、超硬チップ20の製造工程について 明する。図3に示すように、超硬チップ製造 程では、まず、刃部21の予備焼結体である 部中間体30(図4参照)を製造する刃部中間体製 造工程(S11~S14)と、支持部22の本焼結体である 持部中間体40(図4参照)を製造する支持部中 体製造工程(S21~S24)とが別々に行われる。次 で、刃部中間体30に形成された後述する挿入 穴31(図4参照)に対して、支持部中間体40の先 部を挿入する挿入工程(S31)が行われる。その 後、刃部中間体30と支持部中間体40とが一体 なったチップ中間体50(図5参照)を焼結する最 終本焼結工程(S32)が行われる。最後に、本焼 されたチップ中間体50を加工する加工工程(S 33)が行われ、超硬チップ20の製品が出来上が 。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、刃部中間体製造工程について説明 る。図3に示すように、刃部中間体製造工程 は、超硬の原料粉末を混ぜ合わせる粉砕・混 合工程(S11)と、混合された材料を加圧して所 の形状を作る加圧工程(S12)と、加圧された 状品の予備焼結を行う予備焼結工程(S13)と、 予備焼結された形状品の成型を行う成形工程 (S14)とからなる。これら一連の工程を経るこ によって、予備焼結体である円柱状の刃部 間体30が製造される。
粉砕・混合工程(S11)について説明する。 砕・混合工程(S11)では、原料粉末として、例 えば、炭化タングステン、コバルト、炭化チ タン、炭化タンタル等が使用される。これら の粉末を所定の組成に配合し、通常はボール ミル等により湿式で数時間~数日間粉砕・混 する。このとき、炭化物を所定の粒度に粉 すると同時に、各成分が均一になるように 分混合する。湿式粉砕・混合の溶媒として 、原料粉末の混合性の向上及び酸化防止の 的から、アセトン、アルコール、ベンゼン 四塩化炭素等の有機溶剤が使用される。ボ ルミルの場合の条件として、原料粉末とボ ルとの比率が1:1から1:3で、溶媒の量が原料 末1kg当たり200~300mlとなるように調整する。 た、後の加圧工程での成型性を持たせる為 潤滑剤の添加・混合も行われる。なお、本 施形態では、刃部中間体30のコバルト含有量 が9%となるように調整されている。
加圧工程(S12)について説明する。加圧工 (S12)では、粉砕・混合工程(S11)で混合された 料粉末に対して20~300MPa程度の圧力で加圧し 、図4に示す円柱状の刃部中間体30を作製す 。
予備焼結工程(S13)について説明する。予 焼結工程(S13)では、加圧工程(S12)で加圧され 作製された刃部中間体30の予備焼結を行う 予備焼結の温度は、600~1000℃で行われる。予 備焼結では、加圧工程(S12)に有用であった潤 剤の除去と共に、コバルト粒子の焼結が若 進行する。これにより、刃部中間体30は白 程度の強度となる。
成形工程(S14)について説明する。成形工 (S14)では、予備焼結工程(S13)にて得られた刃 中間体30への成形加工を行う。旋削、切削 工等により、刃部中間体30一端面の中心に、 円形状の挿入穴31を成形する。この挿入穴31 は、後述する指示部中間体40の一端部が挿入 されるようになっている。こうして刃部中間 体製造工程の一連の作業が終了する。
次に、支持部中間体製造工程について説 する。図3に示すように、支持部中間体製造 工程は、途中までは上述した刃部中間体製造 工程の流れと類似している。支持部中間体製 造工程は、超硬の原料粉末を混ぜ合わせる粉 砕・混合工程(S21)と、混合された材料を加圧 て形状を作る加圧工程(S22)と、加圧成型さ た支持部中間体40の本焼結を行う本焼結工程 (S23)と、本焼結後に外周面を整える研削工程( S24)からなる。これら一連の工程を経ること よって、本焼結体である支持部中間体40が製 造される。
ここで、刃部中間体製造工程と異なる点 ついて説明する。まず、粉砕・混合工程(S21 )では、支持部中間体40のコバルト含有量が10% となるように調整される。つまり、刃部中間 体30のコバルト含有量(9%)に比べて高く調整さ れる。これは、後述する最終本焼結工程(S32) 行った後に、後述する加工工程(S33)におい 、支持部22の外周面に雄ねじ24(図2参照)を加 し易く、また適度なじん性を持たせるため ある。
また、加圧工程(S22)では、刃部中間体製 工程の加圧工程(S12)と同条件で加圧される。 そして、加圧工程(S22)では、図4に示すように 、長尺の円柱状の支持部中間体40を作製する なお、支持部中間体40の外径は、上述した 部中間体30の一端面に形成された挿入穴31の 終本焼結後の内径よりも若干太く調整され 。
そして、その加圧工程(S22)の後に、本焼 工程(S23)が行われる。本焼結の温度は、予備 焼結の温度よりも高く、1350~1550℃で行われる 。本焼結では、コバルト粒子が液相化する「 液相焼結」が行われ、組織の緻密化がさらに 進行する。これにより、支持部中間体40の体 は20~30%程度収縮する。
次に、研削工程(S24)について説明する。 述する挿入工程(S31)で挿入穴31との密着性を るために、支持部中間体40へセンタレスな による外周研削を行う。これにより、支持 中間体製造工程の一連の作業が終了する。
次に、挿入工程(S31)について説明する。 入工程(S31)では、図4に示すように、刃部中 体製造工程で製造された刃部中間体30と、支 持部中間体製造工程で製造された支持部中間 体40とを組み合わせて一体化させる工程であ 。詳細には、円柱状の刃部中間体30の一端 に形成された挿入穴31に対して、円柱状の支 持部中間体40の先端部を挿入して、チップ中 体50を作製する。ここで、挿入穴31の内径と 、支持部中間体40の外径とは最終本焼結後、 干締まる関係に調整された状態で挿入され 。
次に、最終本焼結工程(S32)について説明 る。最終本焼結工程(S32)では、図4に示すよ に、挿入工程(S31)で作製されたチップ中間体 50の本焼結を行う。本焼結の温度は、上述し 本焼結工程(S25)と同じであり、1350~1550℃が ましい。このとき、刃部中間体30及び支持部 中間体40においては、以下の様な現象が起き 。
まず、予備焼結された刃部中間体30は本 結されていないため、刃部中間体30の原料粉 末であるコバルト粒子が液相化する液相焼結 が起きる。一方、支持部中間体40は既に本焼 されているので、刃部中間体30だけが収縮 る。従って、刃部中間体30の挿入穴31に挿入 れた支持部中間体40の先端部は、刃部中間 30の収縮によって締め付けられる。さらに、 刃部中間体30の挿入穴31の内周面と、支持部 間体40の先端部の外周面との境界部分におい てもコバルト粒子の液相焼結が起きる。つま り、刃部中間体30のコバルト粒子と、支持部 間体40のコバルト粒子との液相焼結が起き のである。
ここで、刃部中間体30と支持部中間体40と の境界部分における接合度合を調査するため 、本焼結後の境界部分を電子顕微鏡での確認 を行った。電子顕微鏡は、走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope:SEM)を用いた。
図6,図7に示すように、刃部中間体30の粒 構造と、支持部中間体40の粒子構造とは全く 同じである。そして、刃部中間体30の挿入穴3 1の内周面と、支持部中間体40の先端部の外周 面との境界が完全に無くなっていた。これに より、刃部中間体30と支持部中間体40とが確 に一体化されたことが確認された。従って 従来のロウ付け法に比較してはるかに強固 接合が可能であることが証明された。
最後に、加工工程(S33)について説明する 加工工程(S33)では、最終本焼結工程(S32)で作 された本焼結済みの超硬チップ中間体50に して製品としての最終加工を行う。つまり 支持部22の先端表面に切り刃23を刻設すると に、支持部22の後端側の外周面への雄ねじ 工等を行う。こうして、超硬チップ製造工 の一連の作業が終了し、刃部21と支持部22と 一体となった超硬チップ20の製品が出来上 る。
以上説明したように、本実施形態の超硬 ップ20は、円柱状のシャンク10の先端に螺着 されるものである。超硬チップ20は超硬合金 材質とする。超硬チップ20は、先端が球状 形成された短円柱状の刃部21と、当該刃部21 底面の中心から突出する棒状の支持部22と 備えている。このような超硬チップ20を製造 するための超硬チップ製造工程では、まず、 刃部21の半焼結体である刃部中間体30を製造 る刃部中間体製造工程と、支持部22の本焼結 体である支持部中間体40を製造する支持部中 体製造工程とが別々に行われる。そして、 部中間体30に形成された挿入穴31に対して、 支持部中間体40の先端部が挿入される。さら 、刃部中間体30と支持部中間体40とが一体と なったチップ中間体50が本焼結される。
ここで、刃部中間体30は本焼結されてい いため、刃部中間体30の原料粉末であるコバ ルト粒子が液相化する液相焼結が起きる。一 方、支持部中間体40は既に本焼結されている で、刃部中間体30だけが収縮する。従って 刃部中間体30の挿入穴31に挿入された支持部 間体40の先端部は、刃部中間体30の収縮によ って締め付けられる。さらに、刃部中間体30 挿入穴31の内周面と、支持部中間体40の先端 部の外周面との境界部分においてもコバルト 粒子の液相焼結が起きる。これにより、刃部 中間体30と支持部中間体40とを強固に接合す ことができる。
なお、本開示は各種の変形が可能なこと いうまでもない。例えば、図2に示す超硬チ ップ20の寸法は一例であって、上記実施形態 異なる寸法であってもよい。また、上記実 形態で示した超硬チップ20の原料粉末の組 についても一例であって、これ以外の粉末 混合させてもよい。
また、上記実施形態の製造工程では、最 本焼結工程(S32)において、予備焼結された 部中間体30の収縮と液相化現象を利用した接 合であり、その接合強度を得るために支持部 中間体40は研削面に、また穴と軸の関係は0.2 度の締まりの関係とした。
本開示の超硬回転工具は、ロッドの先端 螺着されるインデキサブル式の工具に限ら 、ロッドと一体化されて製造される工具に 適用可能である。
