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Title:
CARBON CATALYST, METHOD FOR PRODUCING CARBON CATALYST, FUEL CELL, ELECTRICITY STORAGE DEVICE, AND USE OF CARBON CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/148115
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a high-performance carbon catalyst exhibiting sufficiently high catalytic activity. In the carbon catalyst wherein nitrogen is introduced, the introduced nitrogen has an energy peak area ratio between a first nitrogen atom having a binding energy of an electron in the 1s orbital of 398.5 ± 1.0 eV and a second nitrogen atom having a binding energy of an electron in the 1s orbital of 401 ± 1.0 eV, namely (first nitrogen atom)/(second nitrogen atom) of not more than 1.2.

Inventors:
MIYATA SEIZO (JP)
OSHIMA MASAHARU (JP)
OZAKI JUN-ICHI (JP)
SAITO KAZUO (JP)
MORIYA SHOGO (JP)
IIDA KYOSUKE (JP)
KISHIMOTO TAKEAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060245
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
June 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MYATA SEIZO (JP)
OSHIMA MASAHARU (JP)
UNIV GUNMA NAT UNIV CORP (JP)
NISSHINBO HOLDINGS INC (JP)
OZAKI JUN-ICHI (JP)
SAITO KAZUO (JP)
MORIYA SHOGO (JP)
IIDA KYOSUKE (JP)
KISHIMOTO TAKEAKI (JP)
International Classes:
B01J21/18; B01J23/75; B01J37/04; B01J37/08; C01B31/02; H01G11/22; H01G11/32; H01G11/34; H01G11/44; H01G11/78; H01M4/587; H01M4/88; H01M4/90; H01M8/10
Foreign References:
JP2004330181A2004-11-25
JP2007207662A2007-08-16
JPS4721388U1972-11-10
JPS4721338A
JP2004330181A2004-11-25
JP2006331846A2006-12-07
JP2007207662A2007-08-16
Other References:
WU GANG ET AL.: "Well-Dispersed High-Loading Pt Nanoparticles Supported by Shell-Core Nanostructured Carbon for Methanol Electrooxidation", LANGMUIR, vol. 24, no. 7, 1 April 2008 (2008-04-01), pages 3566 - 3575, XP008139009
CHOI BAECK ET AL.: "Highly dispersed Pt nanoparticles on nitrogen-doped magnetic carbon nanoparticles and their enhanced activity for methanol oxidation", CARBON, vol. 45, no. 13, 2007, pages 2496 - 2501, XP022308231
ERIKO KOBAYASHI ET AL.: "Kobunshi Kinzoku Sakutai o Mochiita Nenryo Denchi Cathode Shokubai no Chosei", THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN DAI 75 KAI TAIKAI KOEN YOSHISHU, 29 March 2008 (2008-03-29), pages 455, XP008139091
See also references of EP 2298443A4
Attorney, Agent or Firm:
Shin-yu International Patent Firm (JP)
Patent business corporation Nobutomo international patent firm (JP)
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Claims:
 窒素が導入されている炭素触媒であって、
 導入されている前記窒素は、1s軌道の電子の結合エネルギーが398.5±1.0eVである第1の窒素原子と、1s軌道の電子の結合エネルギーが401±1.0eVである第2の窒素原子との、各エネルギーにおけるピークの面積の比、前記第1の窒素原子/前記第2の窒素原子の値が1.2以下である
 炭素触媒。
 前記第1の窒素原子がピリジン型であり、前記第2の窒素原子がピロール型、ピリドン型、又は、グラフェン置換型である、請求項1に記載の炭素触媒。
 表面の窒素原子の含有量が、表面の炭素原子に対して、原子比で0.01以上0.3以下である、請求項1又は請求項2に記載の炭素触媒。
 金属又は金属の化合物が含まれている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の炭素触媒。
 遷移金属又は遷移金属の化合物が含まれている、請求項4に記載の炭素触媒。
 窒素を含有する炭素前駆体高分子を調製する工程と、
 前記炭素前駆体高分子を炭素化する工程とを有する
 炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程において、金属原子を含む炭素前駆体高分子を調製する、請求項6に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程の後に、前記炭素前駆体高分子に金属又は金属の化合物を混合する工程を行い、前記金属又は前記金属の化合物と前記炭素前駆体高分子との混合物を炭素化する、請求項6又は請求項7に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程の後に、前記炭素前駆体高分子に遷移金属又は遷移金属の化合物を混合する工程を行い、前記遷移金属又は前記遷移金属の化合物と前記炭素前駆体高分子との混合物を炭素化する、請求項6又は請求項7に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素化を300℃以上1500℃以下で行う、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
 炭素前駆体高分子を調製する工程と、
 前記炭素前駆体高分子を炭素化する工程と、
 炭素化した前記炭素前駆体高分子に、窒素を付加する工程とを有する
 炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程において、金属原子を含む炭素前駆体高分子を調製する、請求項11に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程の後に、前記炭素前駆体高分子に金属又は金属の化合物を混合する工程を行い、前記金属又は前記金属の化合物と前記炭素前駆体高分子との混合物を炭素化する、請求項11又は請求項12に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素前駆体高分子を調製する工程の後に、前記炭素前駆体高分子に遷移金属又は遷移金属の化合物を混合する工程を行い、前記遷移金属又は前記遷移金属の化合物と前記炭素前駆体高分子との混合物を炭素化する、請求項11又は請求項12に記載の炭素触媒の製造方法。
 前記炭素化を300℃以上1500℃以下で行う、請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の炭素触媒の製造方法。
 固体電解質と、
 前記固体電解質を挟んで対向配置された電極とを含み、
 前記電極の少なくとも一方に、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の炭素触媒を有する
 燃料電池。
 電極材と、
 電解質とを含み、
 前記電極材が、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の炭素触媒を備えている
 蓄電装置。
 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の炭素触媒を使用して、
 前記炭素触媒の触媒作用によって化学反応を促進させる、
 炭素触媒の使用方法。
Description:
炭素触媒及び炭素触媒の製造方 、燃料電池、蓄電装置、炭素触媒の使用方

 本発明は、炭素触媒及び炭素触媒の製造方 に係わる。
 また、本発明は、炭素触媒を使用した燃料 池、蓄電装置、並びに、炭素触媒の使用方 に係わる。

 白金等の貴金属系触媒は、現在、産業活動 大量に使用されている。
 特に、燃料電池においては、多量の白金触 を必要とするが、その白金触媒が高コスト なり、その普及の足かせとなっている。
 そのため、白金を使用せずに触媒を形成す 技術の開発が進められている。

 燃料電池に使用する触媒のうち、酸素還 活性に関しては、古くより窒素を含む炭素 材が研究されている(例えば、特許文献1~特 文献4を参照)。

特開昭47-21388号公報

特開2004-330181号公報

特開2006-331846号公報

特開2007-207662号公報

 前記特許文献1~特許文献4においては、窒素 含む炭素素材が酸素還元活性を有すること 開示されているが、その素材の実用化のた には、高い触媒活性を有することが必要と る。
 そのため、窒素含有量についても検討され いるが、充分に高い触媒活性を有する所ま には至っていない。

 また、前記特許文献2においては、1s軌道 電子の結合エネルギーが398.5±0.5eVである窒 原子と、1s軌道の電子の結合エネルギーが40 1±0.5eVである窒素原子の存在に言及している のの、その存在比を特定していないため、 能の高い触媒を得ることができない。

 従って、炭素素材を用いて、高い触媒性 を実現する構成が要望されている。

 上述した問題の解決のために、本発明にお ては、充分に高い触媒活性を有し、性能の い触媒を実現する、炭素触媒及び炭素触媒 製造方法を提供するものである。
 また、この炭素触媒を使用した燃料電池、 電装置、並びに、炭素触媒の使用方法を提 するものである。

 本発明の炭素触媒は、窒素が導入されて る炭素触媒であって、導入されている窒素 、1s軌道の電子の結合エネルギーが398.5±1.0e Vである第1の窒素原子と、1s軌道の電子の結 エネルギーが401±1.0eVである第2の窒素原子と の、各エネルギーにおけるピークの面積の比 、第1の窒素原子/第2の窒素原子の値が1.2以下 であるものである。

 上述の本発明の炭素触媒において、第1の窒 素原子がピリジン型であり、第2の窒素原子 ピロール型、ピリドン型、又は、グラフェ 置換型である構成とすることも可能である
 また、さらに、表面の窒素原子の含有量が 表面の炭素原子に対して、原子比で0.01以上 0.3以下である構成とすることも可能である。
 また、金属又は金属の化合物が含まれてい 構成とすることや、遷移金属又は遷移金属 化合物が含まれている構成とすることも可 である。

 本発明の一の炭素触媒の製造方法は、窒 を含有する炭素前駆体高分子を調製する工 と、炭素前駆体高分子を炭素化する工程と 有する。

 本発明の他の炭素触媒の製造方法は、炭 前駆体高分子を調製する工程と、炭素前駆 高分子を炭素化する工程と、炭素化した炭 前駆体高分子に窒素を付加する工程とを有 る。

 なお、本発明の一の炭素触媒の製造方法 、本発明の他の炭素触媒の製造方法とを組 合わせて、窒素を含有する炭素前駆体高分 を調製すると共に、炭素化後に窒素を付加 る工程を行うことも可能である。

 上述した、本発明の一の炭素触媒の製造方 、及び、本発明の他の炭素触媒の製造方法 おいて、さらに、炭素前駆体高分子を調製 る工程で、金属原子を含む炭素前駆体高分 を調製することも可能である。
 また、炭素前駆体高分子を調製する工程の に、炭素前駆体高分子に金属又は金属の化 物を混合する工程を行い、金属又は金属の 合物と炭素前駆体高分子との混合物を炭素 することも可能である。
 また、炭素前駆体高分子を調製する工程の に、炭素前駆体高分子に遷移金属又は遷移 属の化合物を混合する工程を行い、遷移金 又は遷移金属の化合物と炭素前駆体高分子 の混合物を炭素化することも可能である。
 さらにまた、炭素化を300℃以上1500℃以下で 行うことも可能である。

 本発明の燃料電池は、固体電解質と、この 体電解質を挟んで対向配置された電極とを み、この電極の少なくとも一方に、上述し 本発明の炭素触媒を有するものである。
 本発明の蓄電装置は、電極材と、電解質と 含み、電極材が、上述した本発明の炭素触 を備えているものである。
 本発明の炭素触媒の使用方法は、上述した 発明の炭素触媒を使用して、炭素触媒の触 作用によって化学反応を促進させる。

 上述の本発明の炭素触媒によれば、第1の 窒素原子と、1s軌道の電子の結合エネルギー 401±1.0eVである第2の窒素原子との、各エネ ギーにおけるピークの面積の比、第1の窒素 子/第2の窒素原子の値が1.2以下であること より、高い活性を有する炭素触媒を実現す ことができる。

 上述の本発明の一の炭素触媒の製造方法に れば、窒素を含有する炭素前駆体高分子を 製し、この炭素前駆体高分子を炭素化する で、窒素が導入された、高い活性を有する 素触媒を製造することができる。
 上述の本発明の他の炭素触媒の製造方法に れば、炭素化した炭素前駆体高分子に窒素 付加する工程を有するので、窒素が導入さ た、高い活性を有する炭素触媒を製造する とができる。

 そして、本発明の炭素触媒によれば、高い 性を有する炭素触媒を実現することができ ため、資源量に限界のある白金等の高価な 金属系触媒を用いることなく、資源量の豊 な低コストの炭素触媒によって、酸化還元 応等の化学反応を促進することが可能にな 。
 また、劣質石化資源を利用・活用すること 可能になる。例えば、産出した石炭のうち 価値の低いものでも、本発明を適用して窒 を導入することにより、炭素触媒として活 することが可能になる。

 本発明の燃料電池又は本発明の蓄電装置 よれば、電極用の触媒や電極材料として本 明の炭素触媒を使用するので、高性能を有 る燃料電池や蓄電装置を、比較的低いコス で実現することが可能になる。

A、B 炭素触媒に導入された窒素原子の 1s軌道の電子の結合エネルギーのスペクトル 示す図である。 図1にスペクトルを示した各炭素触媒の 酸素還元活性を比較して示す図である。 本発明の燃料電池の一実施の形態の概 構成図である。 本発明の蓄電装置の一実施の形態の電 二重層キャパシタの概略構成図である。

 本発明の炭素触媒は、窒素が導入されてい 炭素触媒である。
 さらに、導入されている窒素は、1s軌道の 子の結合エネルギーが398.5±1.0eVである第1の 素原子と、1s軌道の電子の結合エネルギー 401±1.0eVである第2の窒素原子との、各エネル ギーにおけるピークの面積の比、第1の窒素 子/第2の窒素原子の値が1.2以下であるもので ある。

 本発明の炭素触媒は、炭素がsp 2 混成軌道により化学結合し、二次元に広がっ た六角網面構造を持つ炭素原子の集合体であ るグラフェンが存在する。
 そして、この六角網面構造に窒素原子が導 されると、ピロール型、グラフェン置換型 ピリジン型、ピリドン型の構造をとり、こ によって触媒活性を示す、とされている。
 ピロール型は、グラフェンの六角形から、 素原子を含む五角形に変化したものである
 グラフェン置換型は、グラフェンの網目の 接する六角形の境界部にある1つの炭素原子 がそのまま窒素原子に置換されたものであり 、窒素原子が3つの炭素原子と結合している
 ピリジン型は、グラフェンの網目の六角形 境界部でない1つの炭素原子(主として分子 外周部にある)が窒素原子に置換されたもの あり、窒素原子が2つの炭素原子と結合して 、六角形を構成している。
 ピリドン型は、窒素原子が2つの炭素原子と 結合して、六角形を構成すると共に、窒素原 子と結合している1つの炭素原子に、OH基又は Oが結合している。

 1s軌道の電子の結合エネルギーが398.5±1.0eV ある第1の窒素原子としては、ピリジン型が まれる。
 また、1s軌道の電子の結合エネルギーが401± 1.0eVである第2の窒素原子としては、ピロール 型、グラフェン置換型、ピリドン型が含まれ る。

 各結合エネルギーの量比をXPS(X線光電子分 観察)によって測定することにより、各エネ ギーにおけるピークの面積比を計算するこ ができる。
 そして、第1の窒素原子/第2の窒素原子の比 値が1.2以下のときに、炭素触媒は高い活性 示す。より好ましくは、1.1以下である。1.2 のときは、活性が著しく低くなる。

 このことについて、図1~図2を参照して、以 に補足説明する。
 図1A及び図1Bは、窒素を導入した炭素触媒の 、XPSの測定により得られる、窒素原子の1s軌 の電子の結合エネルギーのスペクトルを示 ものである。
 図1Aは、低活性型炭素触媒の場合(従来提案 れている、窒素原子を導入した炭素触媒)を 示しており、図1Bは、高活性型炭素触媒の場 (本発明の炭素触媒)を示している。
 本発明では、結合エネルギーが398.5±1.0eVで る範囲を第1の窒素原子とし、結合エネルギ ーが401.0±1.0eVである範囲を第2の窒素原子と 義している。

 第1の窒素原子は、主に図1A及び図1Bに太い 線で示す。
 また、第2の窒素原子は、主に図1A及び図1B 太い実線で示す。
 なお、その他のピークとして、細い実線で す402.7eV付近のピークがある。

 図1Aと図1Bとを比較してわかるように、低 活性型炭素触媒の場合には、第1の窒素原子 ある程度多く存在しているが、高活性型炭 触媒の場合には、第1の窒素原子が少なくな 、第1の窒素原子/第2の窒素原子の比が小さ なっている。

 次に、これら、図1A及び図1Bに示す、各炭素 触媒について、それぞれ酸素還元活性を測定 した結果を、図2に示す。図2の縦軸は電流密 を示し、図2の横軸は標準水素電極(NHE)に対 る電圧Vを示している。
 図2より、高活性型は、低活性型と比較して 、電圧の変化による電流密度の変化が大きく 、酸素還元活性が大きいことがわかる。

 なお、第1の窒素原子がほとんど存在せず、 第2の窒素原子がほとんどである場合には、 1の窒素原子/第2の窒素原子の比の値が0に近 なるが、その場合も高い活性が得られると えられる。
 本発明の炭素触媒は、そのような第2の窒素 原子がほとんどである場合も含むものである 。

 さらに、本発明の炭素触媒において、炭 触媒中の表面窒素原子の含有量は表面の炭 に対して原子比で0.01以上0.3以下であること がより好ましい。窒素原子の含有量が0.01以 だと触媒活性が低く、また、0.3以上でも触 活性が低い。

 本発明の炭素触媒には、金属又は金属の化 物が含まれていても良い。金属は炭素触媒 活性を阻害しない限り種類が限定されるも ではないが、より好ましくは遷移金属であ 、更に好ましくは、周期律表の3族から12族 第4周期に属する元素が挙げられる。このよ うな遷移金属としてコバルト(Co)、鉄(Fe)、マ ガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、 クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タン タル(Ta)等が挙げられる。
 なお、本発明においては、前記範囲内であ ば、遷移金属以外の元素(例えば、ホウ素B )が含まれていても良い。

 本発明の炭素触媒は、窒素を導入すること 並びに、炭素前駆体高分子を炭素化するこ により、製造することができる。
 窒素を導入する方法としては、窒素原子を 成元素として含む炭素前駆体高分子を用い も良いし、窒素原子を構成元素として含む 素前駆体化合物を窒素を含まない炭素前駆 化合物に加えても良いし、炭素化後に窒素 子を導入しても良い。
 また、これらの窒素を導入する方法の複数 類を組み合わせて行っても良い。

 上述のようにして炭素触媒を製造すること より、高い濃度で窒素原子を含有する炭素 媒が得られる。
 形成された炭素触媒中の表面窒素原子の含 量は、前述したように、表面の炭素に対し 原子比で0.01以上0.3以下が好ましい。窒素原 子の含有量が0.01以下だと触媒活性が低く、 た、0.3以上でも触媒活性が低い。
 ここで、表面の原子含有率を測定する方法 して、XPS(X線光電子分光観察)等が挙げられ 。

 次に、本発明の炭素触媒の製造方法につ て、以下に詳細に説明する。

 まず、炭素触媒を製造するための炭素前駆 高分子については、熱硬化によって炭素化 可能な高分子材料であれば、特に限定され ものではない。
 例えば、ポリアクリロニトリル、キレート 脂、セルロース、カルボキシメチルセルロ ス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル 、ポリフルフリルアルコール、フラン樹脂 フェノール樹脂、フェノールホルムアルデ ド樹脂、ポリイミダゾール、メラミン樹脂 ピッチ、褐炭、ポリ塩化ビニリデン、ポリ ルボジイミド、リグニン、石炭、バイオマ 、タンパク質、フミン酸、ポリイミド、ポ アニリン、ポリピロール、ポリベンゾイミ ゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド等 用いることができる。

 なお、炭素前駆体高分子には、熱硬化によ て炭素化可能な高分子材料であれば、金属 子を含んでいても良い。
 例えば、含窒素配位子重合物や、金属配位 合物等が挙げられる。
 また、炭素化に不適な高分子材料であって 、架橋を促す高分子材料を混合又は共重合 せることにより、本発明の炭素触媒の製造 適した炭素前駆体高分子を調製することが きる。

 また、窒素原子を構成元素として含む炭素 駆体化合物を加えても良く、このような炭 前駆体化合物は、炭素化可能な化合物であ ば、限定されるものではない。
 例えば、アクリロニトリル、アクリルアミ 、メタクリルアミド、メラミン、ピリジン 尿素、アミノ酸、イミダゾール、ピロール インドール、キノリン、キノキサリン、ア リジン、ピリダジン、シンノリン、オキサ ール、モルホリン、カルボジイミド等を用 ることができる。

 さらにまた、炭素前駆体高分子に金属又は 属の化合物を混合してもよい。金属は、炭 触媒の活性を阻害しない限り限定するもの はないが、より好ましくは遷移金属であり 更に好ましくは周期律表の3族~12族の第4周 に属する元素が挙げられる。このような遷 金属としてコバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn )、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(C r)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta) が挙げられる。
 また、金属の化合物としては、金属塩、水 化物、酸化物、窒化物、硫化物、炭素化物 錯体等を用いることができ、より好ましく 塩化物、酸化物、錯体である。

 炭素前駆体高分子、又は炭素前駆体高分子- 金属間化合物の形状は、炭素触媒の活性を有 する限り特に限定はされない。
 例えば、シート状、繊維状、ブロック状、 子状等が挙げられる。

 次に、炭素前駆体として、熱硬化性に乏し 高分子材料を用いる場合、不融化を行うこ ができる。
 この不融化の操作により、炭素前駆体の融 又は軟化点以上の温度であっても、樹脂の 造を維持することができる。不融化の処理 、公知の方法により行うことができる。

 炭素前駆体は、300℃以上1500℃以下、好まし くは400℃以上1200℃以下において、5分から180 、好ましくは20分から120分間保持して炭素 する。
 このとき、窒素等の不活性ガス流通下で炭 化しても良い。炭素化温度が300℃未満であ と炭素前駆体高分子の炭素化が不充分であ 、また、1500℃を超えると炭素化が進み触媒 活性が著しく低下する。
 また、保持時間が5分未満では、炭素前駆体 を均一に熱処理することができない。また、 保持時間が180分を超えると、触媒活性が著し く低下する。

 また、炭素化後に窒素原子を導入すること できる。
 このとき、窒素原子を導入する方法として 、アンモオキシデーション法、液相ドープ 、気相ドープ法、又は、気相-液相ドープ法 を用いて行うことができる。例えば、炭素触 媒に窒素源であるアンモニア、メラミン、ア セトニトリル等を混合し、窒素、アルゴン、 ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で550℃以上 1200℃以下、5分以上180分以下保持することに り、熱処理して、炭素触媒の表面に窒素原 を導入することができる。

 炭素触媒に金属が含まれている場合、必要 応じて酸又は電解処理等によって除去する ともできる。
 炭素化後、金属は不要となる場合がある。 のような場合、必要に応じて炭素触媒を酸 は電解処理等によって除去する。特に、燃 電池用カソード触媒として用いる場合、金 が溶出し、酸素還元活性の低下と固体高分 膜を劣化させるため、使用前に除去する必 がある。

 このようにして作られた炭素触媒は、0.65Vvs .NHE(電流密度-10μA/cm 2 のとき)以上の触媒活性を有する。

 本発明の炭素触媒は、様々な用途に使用す ことが可能である。
 例えば、燃料電池や蓄電装置(電池、電気二 重層キャパシタ等)を構成したり、化学反応 般用の触媒として使用したりすることが可 である。

 本発明の炭素触媒を使用して、燃料電池 構成する場合には、固体電解質と、その固 電解質を挟んで対向配置された2つ(一対)の 極触媒とから燃料電池を構成して、2つ(一 )の電極触媒のうち少なくとも一方に本発明 炭素触媒を使用する。

 本発明の炭素触媒を使用して、蓄電装置 構成する場合には、電極材と電解質とを含 で蓄電装置を構成して、電極材に本発明の 素触媒を使用する。

 ここで、本発明の炭素触媒を使用した燃料 池の一実施の形態の概略構成図を、図3に示 す。
 この燃料電池10は、固体高分子電解質1を挟 ように、対向配置された一対の電極触媒層2 ,3を有し、これら電極触媒層2,3のさらに外側 、それぞれ電極触媒層2,3を支持するための 持体4,5を有している。所謂、固体高分子形 料電池(PFEC)と呼ばれている構成である。
 図中左側の電極触媒層2は、アノード電極触 媒層(燃料極)である。
 図中右側の電極触媒層3は、カソード電極触 媒層(酸化剤極)である。

 これら一対の電極触媒層2,3のうち、いず か一方又は両方に、本発明の炭素触媒を使 して、燃料電池10を構成することができる

 固体高分子電解質1としては、パーフルオ ロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽 イオン交換樹脂膜を用いることができる。

 支持体4,5は、アノード電極触媒層2及びカソ ード電極触媒層3を支持すると共に、燃料ガ H 2 や酸化剤ガスO 2 等の反応ガスの供給・排出を行うものである 。

 なお、支持体4,5は、通常、外側のセパレー 及び内側(電解質側)のガス拡散層により構 されるが、炭素触媒の性状によっては、ガ 拡散層を不要としてセパレータのみにより 持体を構成することが可能になる。例えば 比表面積が大きく、さらに、気体の拡散性 高い炭素触媒を電極触媒層に使用すること より、触媒層がガス拡散層の機能をも兼ね ため、ガス拡散層を省略することが可能に る。
 セパレータは、例えば、反応ガスを通すた の溝を形成した樹脂により、構成すること できる。
 ガス拡散層は、例えば、多孔質のシート(例 えば、カーボンペーパー)により、構成する とができる。このガス拡散層は、集電体と ての機能も有している。

 本実施の形態の燃料電池10は、上述のよう 構成されているので、以下に説明するよう 動作する。
 アノード電極触媒層2及びカソード電極触媒 層3にそれぞれ反応ガス(燃料ガスH 2 、酸化剤ガスO 2 )が供給されると、両電極触媒層2,3に備えら た炭素触媒と固体高分子電解質1との境界に いて、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電 質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面 形成される。
 このとき、電気化学反応を生じさせること よって、直流電力が発生する。

 上記電気化学反応において、
 アノード側:H 2 →2H + +2e -
 カソード側:O 2 +4H + +4e - →2H 2 O
の反応が起こり、アノード側で生成されたH + イオンは固体高分子電解質1中をカソード側 向かって移動し、e - (電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移 する。
 一方、カソード側では酸化剤ガス中に含ま る酸素と、アノード側から移動してきたH + イオン及びe - とが反応して水が生成される。
 この結果、燃料電池10は、水素と酸素とか 直流電力を発生し、水を生成することにな 。

 本実施の形態の燃料電池10は、従来公知の 体高分子形燃料電池(PFEC)と同様にして、製 することができる。
 例えば、本発明の炭素触媒を、アノード電 触媒層2及びカソード電極触媒層3として固 高分子電解質1の両主面に形成して、固体高 子電解質1の両主面にホットプレスにより密 着させることにより、MEA(Membrane Electrode Assem bly)として一体化させることが可能である。

 上述の実施の形態の燃料電池10の構成に れば、アノード電極触媒層2及びカソード電 触媒層3の少なくとも一方に、高い活性を有 する本発明の炭素触媒を使用するので、高い 性能を有する燃料電池10を、白金触媒を使用 た場合よりも充分に安いコストで実現する とが可能になる。

 上述の実施の形態の燃料電池10は、本発明 燃料電池を固体高分子形燃料電池(PFEC)に適 した場合であった。
 本発明の燃料電池は、炭素触媒を使用する とが可能な燃料電池であれば、固体高分子 燃料電池(PFEC)に限らず、その他の種類の燃 電池にも適用することが可能である。

 次に、本発明の炭素触媒を使用した蓄電装 の一実施の形態として、電気二重層キャパ タの概略構成図を、図4に示す。
 この電気二重層キャパシタ20は、セパレー 23を介して、分極性電極である第1の電極21及 び第2の電極22が対向し、外装蓋24aと外装ケー ス24bの中に収容されて成る。
 第1の電極21及び第2の電極22は、それぞれ集 体25を介して、外装蓋24aと外装ケース24bに 続されている。
 また、セパレータ23には、電解液が含浸さ ている。
 そして、ガスケット26を介して電気的に絶 させた状態で、外装蓋24aと外装ケース24bと かしめられることによって、内部が密封さ ている。

 本実施の形態の電気二重層キャパシタ20 おいて、本発明の炭素触媒を、第1の電極21 び/又は第2の電極22に適用することができる そして、電極材に炭素触媒が適用された電 二重層キャパシタを構成することができる

 本発明の炭素触媒は、電解液に対して電気 学的に不活性であり、適度な電気導電性を する。
 このため、キャパシタの電極として適用す ことにより、電極の単位体積当たりの静電 量を向上させることができる。

 また、上述の実施の形態の電気二重層キ パシタ20と同様に、例えば、リチウムイオ 二次電池の負極材等のように、炭素材料か 構成される電極材として、本発明の炭素触 を使用することができる。

 次に、本発明の炭素触媒を、白金等の貴金 を含む環境触媒の代替品として使用する場 について、説明する。
 汚染空気に含まれる汚染物質を(主にガス状 物質)等を分解処理により除去するための排 ス浄化用触媒として、白金等の貴金属系の 料が単独又は複合化物とされて構成された 媒材料による環境触媒が用いられている。
 これらの白金等の貴金属を含む排ガス浄化 触媒の代替品として、本発明の炭素触媒を 用することができる。
 これにより、白金等の高価な貴金属類を使 する必要がないため、低コストの環境触媒 提供することができる。また、比表面積が きいことにより、単位体積あたりの被処理 質を分解する処理面積を大きくすることが き、単位体積当たりの分解機能が優れた環 触媒を構成できる。

 なお、本発明の炭素触媒を担体として、従 の環境触媒に使用されている白金等の貴金 系の材料が単独又は複合化物を担持させる とにより、より分解機能等の触媒作用に優 た環境触媒を構成することができる。
 なお、本発明の炭素触媒を備える環境触媒 、上述の排ガス浄化用触媒だけでなく、水 理用の浄化触媒として用いることもできる

 本発明の炭素触媒は、広く一般の化学反応 の触媒としても使用することができる。
 特に、白金等の貴金属を含む、化学工業用 一般的なプロセス触媒の代替品としても使 することができる。

 本発明は、上述の実施の形態に限定され ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない 囲でその他様々な構成が取り得る。

<実施例>
 窒素が導入された炭素触媒を、実際に作製 て、その特性を調べた。

(実施例1)
〔窒素化合物及びコバルト化合物添加ポリア クリロニトリル-ポリメタクリル酸共重合体(P AN-co-PMA)の調製〕
 ポリアクリロニトリル-ポリメタクリル酸共 重合体(以下、PAN-co-PMAとする)1.5gを、ジメチ ホルムアミド20gに溶解させた。その後、塩 コバルト六水和物1.5gと、2-メチルイミダゾ ル1.5gとを加え、2時間攪拌して青色溶液を得 た。
 次に、この青色溶液を60℃で真空乾燥して 窒素化合物及びコバルト化合物添加PAN-co-PMA 得た。

〔不融化処理〕
 次に、不融化処理を行った。
 まず、得られた窒素化合物及びコバルト化 物添加PAN-co-PMAを、強制循環式乾燥機内にセ ットした。
 そして、空気雰囲気下で、30分間で室温か 150℃まで昇温し、続いて2時間かけて150℃か 220℃まで昇温した。その後、220℃でそのま 3時間保持した。
 このようにして、不融化処理を行った。

〔炭素化処理〕
 次に、炭素化処理を行った。
 まず、不融化処理した窒素化合物及びコバ ト化合物添加PAN-co-PMAを石英管に入れ、楕円 面反射型赤外線ゴールドイメージ炉にて、20 間窒素パージし、1.5時間かけて室温から900 まで昇温した。
 その後、900℃で1時間保持した。
 このようにして、窒素化合物及びコバルト 合物添加PAN-co-PMAの炭素化処理を行った。

〔粉砕処理〕
 炭素化処理を行った後に、粉砕処理を行っ 。
 まず、炭素化処理を行った窒素化合物及び バルト化合物添加PAN-co-PMAを、遊星ボールミ ル(フリッチュ製;P-7)内に1.5mmφのジルコニア ールと共にセットした。
 そして、回転速度800rpmで、5分間粉砕処理を 行った。
 その後、遊星ボールミルから取り出して、 開き105μmの篩にかけた。この篩を通過した のを、実施例1の試料とした。

(実施例2)
 PAN-co-PMA1.5gを、ジメチルホルムアミド20gに 解させた。その後、塩化コバルト六水和物0. 75gと、2-メチルイミダゾール0.75gとを加え、2 間攪拌して青色溶液を得た。
 次に、この青色溶液を60℃で真空乾燥して 窒素化合物及びコバルト化合物添加PAN-co-PMA 得た。
 得られた窒素化合物及びコバルト化合物添 PAN-co-PMAに対して、不融化処理以降の工程を 実施例1と同様に行い、炭素触媒を得て、実 例2の試料とした。

(実施例3)
 PAN-co-PMA1.5gを、ジメチルホルムアミド20gに 解させた。その後、塩化コバルト六水和物1. 5gと、2-メチルイミダゾール0.75gとを加え、2 間攪拌して青色溶液を得た。
 次に、この青色溶液を60℃で真空乾燥して 窒素化合物及びコバルト化合物添加PAN-co-PMA 得た。
 得られた窒素化合物及びコバルト化合物添 PAN-co-PMAに対して、不融化処理以降の工程を 実施例1と同様に行い、炭素触媒を得て、実 例3の試料とした。

(実施例4)
〔コバルト化合物添加ポリベンゾイミダゾー ルの調製〕
 ポリベンゾイミダゾール1.5gを、ジメチルア セトアミド20gに溶解させた。その後、塩化コ バルト六水和物1.5gを加え、2時間攪拌して青 溶液を得た。
 次に、この青色溶液を60℃で真空乾燥して コバルト化合物添加ポリベンゾイミダゾー を得た。

〔不融化処理〕
 次に、不融化処理を行った。
 まず、得られたコバルト化合物添加ポリベ ゾイミダゾールを、強制循環式乾燥機内に ットした。
 そして、空気雰囲気下で、30分間で室温か 150℃まで昇温し、続いて2時間かけて150℃か 220℃まで昇温した。その後、220℃でそのま 3時間保持した。

〔炭素化処理〕
 次に、炭素化処理を行った。
 まず、不融化処理したコバルト化合物添加 リベンゾイミダゾールを石英管に入れ、楕 面反射型赤外線ゴールドイメージ炉にて、2 0分間窒素パージし、1.5時間かけて室温から90 0℃まで昇温した。
 その後、900℃で1時間保持した。
 このようにして、コバルト化合物添加ポリ ンゾイミダゾールの炭素化処理を行って、 素触媒を得た。

〔窒素導入処理〕
 炭素化処理して得られた炭素触媒を石英管 入れ、楕円面反射型赤外線ゴールドイメー 炉にて、20分間窒素ガスをパージし、20分間 かけて室温から600℃まで昇温した後、アンモ ニアガス:Airガス=7:3の混合ガスに置換し600℃ そのまま2時間保持し、窒素を導入した。

〔粉砕処理〕
 窒素導入処理を行った後に、粉砕処理を行 た。
 まず、炭素化処理を行ったコバルト化合物 加ポリベンゾイミダゾールを、遊星ボール ル(フリッチュ製;P-7)内に1.5mmφのジルコニア ボールと共にセットした。
 そして、回転速度800rpmで、5分間粉砕処理を 行った。
 その後、遊星ボールミルから取り出して、 開き105μmの篩にかけた。この篩を通過した のを、実施例4の試料とした。

(比較例1)
 フルフリルアルコール(和光純薬工業(株)製) 10gにメタノール(和光純薬工業(株)製)100mlを混 合して混合溶液を調製し、この混合溶液に、 コバルトフタロシアニン錯体(和光純薬工業( )製)2.090gと、メラミン(和光純薬工業(株)製)7 .499gを加え、常温下でマグネチックスターラ 用いて1時間撹拌した。
 この混合物に、超音波を照射しながらロー リエバポレータを用いて60℃で溶媒を除去 た。
 その後、シャーレに移して、圧力0.1MPa及び 度80℃の窒素ガス雰囲気中に24時間保持して 重合反応させて、コバルトフタロシアニン錯 体及びメラミンを含有するポリフルフリルア ルコール(炭素前駆体高分子)を合成した。
 得られた炭素前駆体高分子に対して、炭素 処理以降の工程を実施例1と同様に行い、炭 素触媒を得て、比較例1の試料とした。

(比較例2)
 比較例1の炭素触媒を用いて、さらに、アン モオキシデーション法により窒素を導入した 。
 比較例1の炭素触媒を石英管に入れ、楕円面 反射型赤外線ゴールドイメージ炉にて、20分 窒素ガスをパージし、20分間かけて室温か 600℃まで昇温した後、アンモニアガス:Airガ =7:3の混合ガスに置換し600℃でそのまま2時 保持した。
 このようにして、得られた炭素触媒を、比 例2の試料とした。

(比較例3)
 導電性の高い炭素材料である、ケッチェン ラックEC600JD(ライオン社製)を用いて、これ 比較例3の試料とした。

(比較例4)
 ケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)を いて、アンモオキシデーション法により窒 を導入した。
 即ち、ケッチェンブラックEC600JDを石英管に 入れ、楕円面反射型赤外線ゴールドイメージ 炉にて、20分間窒素ガスをパージし、20分間 けて室温から600℃まで昇温した後、アンモ アガス:Airガス=7:3の混合ガスに置換し600℃で そのまま2時間保持した。
 このようにして、比較例4の試料を作製した 。

(比較例5)
 導電性の高い炭素材料である、バルカンXC-7 2R(エレクトロケム社製)を用いて、これを比 例5の試料とした。

(比較例6)
 バルカンXC-72R(エレクトロケム社製)を用い 、アンモオキシデーション法により窒素を 入した。
 即ち、バルカンXC-72Rを石英管に入れ、楕円 反射型赤外線ゴールドイメージ炉にて、20 間窒素ガスをパージし、20分間かけて室温か ら600℃まで昇温した後、アンモニアガス:Air ス=7:3の混合ガスに置換し600℃でそのまま2時 間保持した。
 このようにして、比較例6の試料を作製した 。

<特性の評価>
 作製した各実施例及び各比較例の試料につ て、以下に説明するようにして、特性の測 を行った。

(X線光電子分光観察(XPS))
 Perkin Elmer社製ESCA5600を用いて、各試料につ てXPS測定を行った。

(表面の窒素原子の炭素原子に対する比)
 XPS測定により得られたスペクトルの各ピー の面積と検出感度係数から、窒素、炭素、 素の表面元素濃度を求めて、これにより、 面の窒素原子の炭素原子に対する比(窒素/ 素)の値を算出した。

(第1の窒素原子/第2の窒素原子)
 XPS測定により得られたスペクトルの各ピー の面積から、ピークの面積比(第1の窒素原 /第2の窒素原子)を算出した。

(酸素還元に関する電極活性試験)
 酸素還元に関する電極活性を、3極回転電極 セルを用いて測定した。
 さらに、測定して得られた電極活性から、 ルタモグラム(図2に示したような、電圧と 流密度の関係)を作成した。
 そして、このボルタモグラムから、電流密 が-10 -2 mA/cm 2 の電圧を求めて、この電圧をEo2とし、電圧が 0.7Vvs.NHEのときの還元電流密度を求めて、こ 還元電流密度を酸素還元活性値とした。

 各試料の測定結果として、Eo2、酸素還元 性値、表面の窒素原子と炭素原子との比、 1の窒素原子の第2の窒素原子に対する比を それぞれ表1に示す。

 図2からもわかるように、高活性型炭素触 媒は、低活性型炭素触媒と比較して、Eo2が大 きく、また、酸素還元活性値(ある電圧にお る電流密度の絶対値)も大きくなる。

 表1より、実施例1~実施例4の試料は、各比較 例の試料よりも、Eo2及び酸素還元活性値が大 きくなっており、活性が高いことがわかる。
 そして、表1より、実施例1の試料は、表面 窒素原子と炭素原子との比が大きいだけで く、第1の窒素原子の第2の窒素原子に対する 比が0.65と、各比較例の試料よりも充分に小 くなっている。
 また、実施例2、実施例3及び実施例4の試料 、表面の窒素原子と炭素原子との比が大き だけでなく、第1の窒素原子の第2の窒素原 に対する比が1.11、0.82及び1.16と、各比較例 試料よりも小さくなっている。
 さらに、実施例1~実施例3は出発材料の窒素 みで触媒としており、実施例4は炭素化後に さらに窒素を導入しているが、共に高い窒素 含有量と活性が得られている。

 一方、比較例3及び比較例5の結果から、窒 を導入していないと活性が低いことがわか 。
 また、比較例2、比較例4、比較例6の結果か 、窒素を導入すると、導入していないもの 比較して活性が向上するが、単に導入した けでは、実施例1のような高い活性は得られ ていないことがわかる。
 比較例6の試料は、表面の窒素原子と炭素原 子との比が大きいが、第1の窒素原子の第2の 素原子に対する比が1.42と大きくなっており 、Eo2及び酸素還元活性値が、実施例1の試料 比較して遥かに小さくなっている。
 即ち、単に導入する窒素原子を多くするだ では、活性の向上につながるとは限らない ということである。

 従って、各実施例の試料のように、表面 窒素原子と炭素原子との比が大きいだけで く、第1の窒素原子の第2の窒素原子に対す 比が小さい構成とすることにより、高い活 が得られることがわかる。

 1 固体高分子電解質、2 アノード電極触 層(燃料極)、3 カソード電極触媒層(酸化剤 )、4,5 支持体、10 燃料電池、20 電気二重 キャパシタ、21 第1の電極、22 第2の電極、2 3 セパレータ、24a 外装蓋、24b 外装ケース 25 集電体、26 ガスケット