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Title:
CARBON FIBER REINFORCED PREPREG HAVING GAS BARRIER PROPERTIES AND CARBON FIBER REINFORCED PLASTIC, AND PROCESSES FOR PRODUCING THEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060747
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a carbon fiber reinforced prepreg having gas barrier properties comprising a sheet-shaped carbon fiber reinforcing material and a matrix resin, wherein the carbon fiber reinforced prepreg comprises a gas barrier layer, in which a clay mineral having a plate-like crystal structure is unidirectionally aligned and densely stacked, provided within the prepreg, and a carbon fiber reinforced plastic produced from the carbon fiber reinforced prepreg. The prepreg is produced, for example, by placing a film having gas barrier properties, in which a clay mineral having a plate-like crystal structure is unidirectionally aligned and densely stacked, in at least one interlayer part in a laminate of a carbon fiber reinforced prepreg comprising sheet-shaped carbon fiber reinforced material and matrix resin and then heating and/or pressing the laminate. The carbon fiber reinforced composite material has a high level of gas barrier properties, particularly hydrogen gas barrier properties.

Inventors:
YONEMOTO KOICHI (JP)
EBINA TAKEO (JP)
MIZUKAMI FUJIO (JP)
OKUYAMA KEIICHI (JP)
KAMIYA SHOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069459
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
October 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYUSHU INST TECHNOLOGY (JP)
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
INST NAT COLLEGES TECH JAPAN (JP)
KAWASAKI HEAVY IND LTD (JP)
YONEMOTO KOICHI (JP)
EBINA TAKEO (JP)
MIZUKAMI FUJIO (JP)
OKUYAMA KEIICHI (JP)
KAMIYA SHOJI (JP)
International Classes:
C08J5/24; B32B5/30; C08K7/00; C08L101/00
Foreign References:
JP2005264052A2005-09-29
JPS62151337A1987-07-06
JP2007277078A2007-10-25
JP2006188645A2006-07-20
JP2002104297A2002-04-10
JPH09280496A1997-10-31
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Sumihiro (Arahata Tokorozawa-sh, Saitama 33, JP)
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Claims:
シート状の炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化プリプレグであって、該プリプレグの内部に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア層を有することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグ。
ガスバリア層が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項1記載のガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグ。
シート状の炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化プリプレグの積層体の少なくとも一つの層間に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア性のフィルム状物を配置し、その後、該積層体を加熱及び/又は加圧することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグの製造方法。
ガスバリア性のフィルム状物が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項3記載のガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグの製造方法。
シート状の炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化プリプレグの表面に、粘土鉱物の分散液を塗布又は含浸させ、該プリプレグの表面に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア層を形成させ、その後、該
ガスバリア層が形成されたプリプレグを加熱及び/又は加圧するか、あるいは更に、該ガスバリア層の表面にマトリックス樹脂層又は前記炭素繊維強化プリプレグを配置した積層体とした後、該積層体を加熱及び/又は加圧することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグの製造方法。
粘土鉱物の分散液が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項5記載のガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグの製造方法。
炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる繊維強化プラスチックであって、その内部に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア層を有することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プラスチック。
ガスバリア層が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項7記載のガスバリア性の炭素繊維強化プラスチック。
成形型に敷設された炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化プリプレグの積層体の少なくとも一つの層間に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア性のフィルム状物を配置し、その後、成形型を型締めし、加熱及び/又は加圧して成形することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
ガスバリア性のフィルム状物が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項9記載のガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
成形型に敷設されたシート状の炭素繊維強化材の積層体の少なくとも一つの層間に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア性のフィルム状物を配置し、その後、樹脂トランスファー成形法又は樹脂フィルムインフュージョン成形法で成形することを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
ガスバリア性のフィルム状物が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項11記載のガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
フィラメントワインディング成形法において、マンドレルに炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とからなる複合材を巻回・積層するに際し、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア性のフィルム状物を、巻回途中の層中に配置し、その後、マトリックス樹脂を加熱硬化させることを特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
ガスバリア性のフィルム状物が、粘土鉱物に対して3~30質量%の有機添加物を含むことを特徴とする請求項13記載のガスバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製造方法。
 
 
Description:
ガスバリア性の炭素繊維強化プ プレグ及び炭素繊維強化プラスチック並び それらの製造方法

本発明はガスバリア性能を有する、特に、 水素ガスバリア性に優れた炭素繊維強化プリ プレグ及び炭素繊維強化プラスチック、並び にそれらの製造方法又は成形方法に関する。

繊維強化プラスチック(FRP)は、不飽和ポリ ステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹 等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリ ロピレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポ エーテルスルホン、ポリエーテルエーテル トン等の熱可塑性樹脂のマトリックス樹脂 、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等 繊維強化材とからなる複合材料である。こ らの複合材料は、例えば、繊維強化材にマ リックス樹脂が含浸された中間製品である リプレグから、加熱・加圧といった成形・ 工工程を経て成形される。特に、炭素繊維 繊維強化材として用いた複合材料は、軽く 高強度等の優れた機械的特性を有するので 近年、航空機、自動車等の部材として多く いられるようになって来ている。

ところで、炭化水素燃料に替えてクリーン な燃料である水素を利用する時代、いわゆる 水素エネルギー社会が到来しつつある状況下 では、取り扱いの容易さを考えて、水素の貯 蔵容器の軽量化が一層求められると予想され る。そして、そのためには、従来から用いら れてきたステンレスやアルミニウム等の金属 材料よりも比強度に優れた、炭素繊維強化プ ラスチックを用いることが有効であると考え られる。しかしながら、有機系のプラスチッ クは一般的にガスバリア性が低く、特に水素 ガスは容易に通してしまうという性質がある ため、従来の方法で製作される炭素繊維強化 プラスチックも、そのまま水素用の容器とし て使用することは殆ど不可能である。

従って、炭素繊維強化プラスチックを利用す る場合には、何らかの方法でこれにガスバリ ア性、特に水素ガスバリア性を付与すること が必要となる。従来、炭素繊維強化プラスチ ックを、例えば、水素タンク用の構造材料と して使用する場合、プラスチックにアルミニ ウム板からなるライナーを貼り付けたり、あ るいはアルミ箔を接着したりして、水素ガス バリア性を付与することが多く試みられてき た。しかし、これらの方法では、熱膨張率の 差によって接着面が剥離する等の問題があり 実用化が阻まれている。かかる方法とは別に 、水素タンクの表面を有機系のフィルムで覆 うことも試みられているが、この方法による 場合は、ある程度水素透過率は下がるものの 、実用化に耐えられる十分な水素ガスバリア 性は、必ずしも得られていないのが現状であ る(例えば、特許文献1)。

特開2005-126651号公報

一方、最近、粘土鉱物で出来た耐熱性のガス バリア材料が開発されている(特許文献2参照) 。これは、層状の結晶構造を持つ珪酸塩等の 粘土鉱物であって、一方向に高配向し、且つ 、緻密な層を、少量の有機系バインダによっ て結合させ、単独で耐熱性と高いガスバリア 性を有する柔軟なフィルム等に加工したもの である。これまでFRPのガスバリア性能の向上 には、フィラーとしての層状の珪酸塩(粘土) 添加物の形で用いることが行われてきた。 して、ある程度その効果は認められたもの 、プラスチック自体の成形性が悪くなるた 添加量には限界があった。特許文献2の技術 は、従来、フィラーとして用いられていた粘 土鉱物を膜にすると、飛躍的に耐熱性とガス バリア性が向上したフィルムが得られること を見出した画期的な技術であると考えられる 。

特開2006-188645号公報

本発明者らは、前記特許文献2の技術と炭 繊維強化プラスチックの技術を有機的に結 することによって、従来得られなかった高 ガスバリア性、特に水素ガスバリア性を有 る複合材料を開発することを目的として、 意検討の結果本発明に至ったものである。

本発明の課題は、高いガスバリア性、特に 水素ガスバリア性を有する炭素繊維強化複合 材料を提供することである。

本発明の請求項1に記載された発明は、シ ト状の炭素繊維強化材とマトリックス樹脂 からなる炭素繊維強化プリプレグであって 該プリプレグの内部に、板状の結晶構造を つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に 層したガスバリア層を有することを特徴と るガスバリア性の炭素繊維強化プリプレグ ある。

本発明において炭素繊維強化プリプレグと は、炭素繊維強化材に樹脂を含浸させ、流動 性や粘着性を調節して取り扱い性を良くした シート状の成形中間体を意味する。

請求項3に記載された発明は、シート状の 素繊維強化材とマトリックス樹脂とからな 炭素繊維強化プリプレグの積層体の少なく も一つの層間に、板状の結晶構造を持つ粘 鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層し ガスバリア性のフィルム状物を配置し、そ 後、該積層体を加熱及び/又は加圧すること 特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プ プレグの製造方法である。

請求項5に記載された発明は、シート状の 素繊維強化材とマトリックス樹脂とからな 炭素繊維強化プリプレグの表面に、粘土鉱 の分散液を塗布又は含浸させ、該プリプレ の表面に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物 、一方向に配向し且つ緻密に積層したガス リア層を形成させ、その後、該ガスバリア が形成されたプリプレグを加熱及び/又は加 するか、あるいは更に、該ガスバリア層の 面にマトリックス樹脂層又は前記炭素繊維 化プリプレグを配置した積層体とした後、 積層体を加熱及び/又は加圧することを特徴 とするガスバリア性の炭素繊維強化プリプレ グの製造方法である。

請求項7に記載された発明は、炭素繊維強 材とマトリックス樹脂とからなる繊維強化 ラスチックであって、その内部に、板状の 晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し つ緻密に積層したガスバリア層を有するこ を特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化 ラスチックである。

本発明において炭素繊維強化プラスチック とは、炭素繊維強化材とマトリックス樹脂を 用いて、各種の成形方法で成形加工して得ら れた成形品(完成品又は部品)を意味する。

請求項9に記載された発明は、成形型に敷 された炭素繊維強化材とマトリックス樹脂 からなる炭素繊維強化プリプレグの積層体 少なくとも一つの層間に、板状の結晶構造 持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密 積層したガスバリア性のフィルム状物を配 し、その後、成形型を型締めし、加熱及び/ は加圧して成形することを特徴とするガス リア性の炭素繊維強化プラスチックの製造 法である。

請求項11に記載された発明は、成形型に敷 されたシート状の炭素繊維強化材の積層体 少なくとも一つの層間に、板状の結晶構造 持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密 積層したガスバリア性のフィルム状物を配 し、その後、樹脂トランスファー成形法又 樹脂フィルムインフュージョン成形法で成 することを特徴とするガスバリア性の炭素 維強化プラスチックの製造方法である。

請求項13に記載された発明は、フィラメン ワインディング成形法において、マンドレ に炭素繊維強化材とマトリックス樹脂とか なる複合材を巻回・積層するに際し、板状 結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向 且つ緻密に積層したガスバリア性のフィル 状物を、巻回途中の層中に配置し、その後 マトリックス樹脂を加熱硬化させることを 徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プラ チックの製造方法である。

前記いずれの発明の場合にも、粘土鉱物と 共に、粘土鉱物に対して3~30質量%、好ましく 4~20質量%の有機添加物を、バインダーとし 用いるのが好ましい。有機添加物としては に限定されるものではないが、マトリック 樹脂と同一又は同種の成分を含むものが好 に用いられる。

本発明によると、従来得られなかった高い ガスバリア性、特に水素ガスバリア性を有す る炭素繊維強化複合材料(中間材料を含む)が られる。そして、かかる複合材料は、ステ レスやアルミニウム等の金属材料に代わっ 軽量化を図ろうとする、例えば、水素タン あるいは水素貯蔵設備等の容器材料に利用 ることができる。

炭素繊維強化プリプレグと粘土膜(ガス バリア性のフィルム状物)を積層し、ホット レスにより高温硬化させて成形する方法を す図である。図1において、1は炭素繊維強化 プリプレグ、2は粘土膜、3は成形型、4はホッ トプレスを示している。

本発明における「板状の結晶構造を持つ粘 土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層し たガスバリア層又はフィルム状物」は、特許 文献2に開示されているが、その製法と特性 ついて以下に説明する。

本発明のガスバリア層又はガスバリア性の フィルム状物は、主体が粘土層からなり、そ の基本構成は、層厚約1nm、粒子径約1μm、ア ペクト比約300程度の天然又は合成の膨潤性 土、あるいは膨潤性粘土を有機化処理した 機化粘土が約70質量%以上と、分子の大きさ nm以下の天然又は合成の低分子・高分子の有 機添加物が約30質量%以下の構成からなる。こ こで有機化処理とは、シリル化処理あるいは 有機イオン交換処理を意味し、本発明におい ては、かくして得られたものも粘土鉱物に含 むものとする。

この粘土層は、層状結晶を、同じ向きに配向 させて重ねて緻密に積層することで作製され る。得られた粘土層は、粘土層の膜厚が3~100 mであり、ガスバリア性能は、粘土層の厚さ3 0μmで酸素透過度0.1cc/m 2 /24hr/atm未満、水素透過度0.1cc/m 2 /24hr/atm未満であり、面積は100×40cm以上に大面 積化することが可能であり、粘土層に対して 、垂直方向の直流電気抵抗は1メガω以上であ る。

粘土又は粘土鉱物としては、雲母、バーミ キュライト、スメクタイト、タルク等の鉱物 があるが、中でもスメクタイトは、製膜性に 優れ、膨潤性があり、水に分散しやすく、水 をゲル化させやすいという特徴がある。スメ クタイトは、天然にはベントナイトと呼ばれ る鉱物に30~70質量%程度含まれている。合成の スメクタイトも製造されている。スメクタイ トには、モンモリロナイトのほか、鉄モンモ リロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘ クトライト、スチーブンサイト及びノントロ ナイト等の鉱物があり、類似の結晶構造及び 特性を示す。本発明においては、前記粘土又 は粘土鉱物を用いることができるが、好まし いのは、天然スメクタイト及び合成スメクタ イトの何れか、あるいは有機化粘土又はそれ らの混合物である。粘土又は粘土鉱物は、こ れを溶媒に加えて希薄で均一な分散液を調整 する。分散液の濃度は、好適には0.5~15質量% より好ましくは、1~10質量%である。

次に、固体状又は液体状の有機添加物を、 粘土分散液に加え、均一な分散液を調製する 。有機添加物としては、粘着粘土膜のフレキ シビリティー、あるいは機械的強度を向上さ せる、粘土と均一に混合するものであれば、 特に限定されないが、例えば、エチレングリ コール、グリセリン、イプシロンカプロラク タム等の低分子化合物、デキストリン、澱粉 、ゼラチン、寒天、小麦粉、グルテン等の天 然物、後述のマトリックス樹脂として用いら れる熱硬化性や熱可塑性樹脂を用いることが できる。特に、アルキド樹脂、ポリウレタン 樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル 樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポ リアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミ ド樹脂、ポリビニル樹脂、シリコン樹脂が好 ましい。有機添加物の添加の割合は、粘土鉱 物に対して3~30質量%、好ましくは4~20質量%で る。粘土分散液と有機添加物を混合する順 は、溶剤に粘土を加えた後に有機添加物を えることも可能であり、その逆も可能であ 。また、粘土分散液と有機添加物溶液を別 に作製しておき、両者を混合することも可 である。

粘土層の作製方法としては、例えば、分散 液である液体を基材の上でゆっくりと蒸発さ せ、膜状に成形する。乾燥は、例えば、強制 送風式オーブン中で30~100℃の温度条件下、好 ましくは30~50℃の温度条件下で、10分間~半日 程度、好ましくは10分間~5時間、乾燥して粘 土層が得られる。

次に、粘土層をフィルム状物として得る場 合には、前記のごとくして得られた粘土層を 基材から剥離する。かくして自立膜として用 いることのできるフィルム状物が得られる。

本発明において、シート状の炭素繊維強化 材とは、炭素繊維の織編物、多軸織物、スト ランドの一方向配列シート状物等の平面状の 形態のものを意味する。チョップトストラン ドを用いて作成された炭素繊維ペーパーであ っても良い。なお、多軸織物とは、一般に、 一方向に引き揃えた繊維強化材の束をシート 状にして角度を変えて積層したもの(多軸織 基材)を、ナイロン糸、ポリエステル糸、ガ ス繊維糸等のステッチ糸で、この積層体を さ方向に貫通して、積層体の表面と裏面の を表面方向に沿って往復しステッチした織 をいう。 

本発明において用いられるマトリックス樹 脂のうち熱硬化性のマトリックス樹脂は、特 に限定されないが、具体例として、エポキシ 樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール 樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステ ル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノ キシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マ レイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備 重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン 末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイ ミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミ ド樹脂等を挙げることができる。これらは1 又は2種以上の混合物として用いることもで る。中でも、耐熱性、弾性率、耐薬品性に れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が 特に好ましい。これらの熱硬化性樹脂には 硬化剤、硬化促進剤以外に、通常用いられ 着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよ 。

また、本発明において用いられるマトリッ クス樹脂のうち熱可塑性樹脂としては、例え ば、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエ ーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリ エーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド 、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネ ート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエ ーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱 可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ ブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレ フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ リエチレン、アクリロニトリルブタジエンス チレン、ポリ乳酸なる群から選ばれた1種若 くは2種以上の樹脂が挙げられる。また、用 によっては、一部熱硬化性樹脂と混合して いることもできる。中でも、耐熱性、弾性 、耐薬品性に優れたポリアミド樹脂やアク ロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂が 特に好ましい。これらの熱可塑性樹脂には 通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含 れていても良い。

本発明のプリプレグの製造法は特に限定さ れないが、公知の方法、例えば、シート状の 炭素繊維強化材に、溶融した熱可塑性樹脂を 含浸させる方法(溶融含浸法)、パウダー化し 熱可塑性樹脂を流動床法や懸濁法によって 布・融着させる方法、熱可塑性樹の溶液を 維強化材に含浸させた後、溶媒を除去する 法を採用することができる。好ましいのは 溶融含浸法であり、中でも、フィルム状の 脂と繊維強化材を重ね合わせて供給し、連 的にベルトの間で加熱・加圧して樹脂を溶 すると共に強化繊維に含浸させる方法であ 。これらの熱可塑性樹脂は、プリプレグ中 樹脂含量として10~90質量%、より好ましくは2 0~60質量%の範囲で用いられる。

本発明のガスバリア性の炭素繊維強化プリ プレグは、好ましくは、下記の方法で製造さ れる。

第1の方法は、前記のようにして得られた ート状の炭素繊維強化材とマトリックス樹 とからなる炭素繊維強化プリプレグを用い その積層体の少なくとも一つの層間に、こ も前記のようにして得られた、板状の結晶 造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且つ 密に積層したガスバリア性のフィルム状物 配置し、その後、この積層体を加熱及び/又 加圧する方法である。

加熱及び/又は加圧の方法・手段としては 例えば、この積層体をスチールベルトで挟 、スチールベルトごと熱ロール間に通すこ によって加熱・加圧して、あるいは間欠プ スすることによって、マトリックス樹脂を 化あるいは溶融させて積層体を一体化する 法がある。あるいは、ベルトプレスにより 積層体の加熱冷却を連続して行う方法、ま 、積層体を遠赤外線ヒータによって予熱し 後、コールドプレスする方法、又は、加熱 却プレスを用いるバッチ方式などがある。 熱温度はマトリックス樹脂の軟化点あるい 溶融点以上、加圧は0.1~10MPa程度が好ましい

第2の方法は、シート状の炭素繊維強化材 マトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化 リプレグの表面に、粘土鉱物の分散液を塗 又は含浸させ、このプリプレグの表面に、 状の結晶構造を持つ珪酸塩を主成分とする 土鉱物が、一方向に配向し且つ緻密に積層 たガスバリア層を形成させ、その後、この スバリア層が形成されたプリプレグを加熱 び/又は加圧するか、あるいは更に、このガ バリア層の表面にマトリックス樹脂層又は 素繊維強化プリプレグを配置した積層体と た後、この積層体を加熱及び/又は加圧する 方法である。かかる方法においては、プレプ レグ中の樹脂成分が完全には固化していない 状態で、その表面に粘土鉱物の分散液を塗布 又は含浸させ、ガスバリア層を形成させるの が好ましい。例えば、マトリックス樹脂の溶 液を繊維強化材に含浸させる方法の場合には 、溶媒が完全に除去される前で樹脂が流動性 を保持している間に、繊維強化材表面に粘土 鉱物の分散液を塗布又は含浸させると、プリ プレグとガスバリア層の接着がより強固なも のが得られる。

本発明のもう一つの態様は、炭素繊維強化 材とマトリックス樹脂とからなる繊維強化プ ラスチックであって、その内部に、板状の結 晶構造を持つ粘土鉱物が、一方向に配向し且 つ緻密に積層したガスバリア層を有すること を特徴とするガスバリア性の炭素繊維強化プ ラスチック、即ち、成形品(部品も含む)であ 。かかる成形品を成形するには以下のよう 方法が好ましい。

例えば、かかる炭素繊維強化プラスチック 成形品(部品も含む)は、前記のような方法で られた本発明のシート状の炭素繊維強化プ プレグを、成形型に1枚あるいは複数枚積層 ・配置し、その後、成形型を型締めし、加熱 及び/又は加圧して得られる。具体的には、 型プレス法、オートクレーブ法、加熱・冷 プレス法等で成形して炭素繊維強化プラス ックの成形品が得られる。この際、成形品 の繊維体積分率(Vf)、樹脂含量、あるいはガ バリア性能を調整するために、必要に応じ 、繊維強化材、樹脂、あるいは粘土鉱物か なるガスバリア性のフィルム状物を追加積 することもできる。成形品中の樹脂の含有 は、通常、10~90質量%、好ましくは30~70質量% 適当である。

本発明のシート状の炭素繊維強化プリプレ グの積層状態は、目的とする成形品の構造上 の要求に基づいて、適宜設定することができ る。例えば、成形品がタンクのような薄肉円 筒の場合、大きな応力は円周方向に発生する 。この場合、プリプレグの繊維方向は、この 応力に耐荷できるように円周方向を主とする 。また、成形品内部の主たる応力方向を定め ることができない、あるいはほぼ均一である 場合には、例えば、プリプレグの積層方向を 0°/45°/90°/45°/0°のようにし、強度や弾性係 が等方的な値を持つようにすれば良い。成 装置としては特に制限はなく、例えば、ホ トプレス、オートクレーブを用いることが きる。

あるいは、前記炭素繊維強化プラスチック の成形品は、中間素材としての本発明のガス バリア層を有するプリプレグを経ることなく 、以下の様な方法で製造することもできる。

例えば、成形型に敷設された炭素繊維強化 材とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強 化プリプレグの積層体の少なくとも一つの層 間に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一 方向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア 性のフィルム状物を配置し、その後、成形型 を型締めし、加熱及び/又は加圧するとガス リア性の炭素繊維強化プラスチックが得ら る(請求項9の発明)。成形型の種類や加熱と 圧の手段は、何ら制限されず、例えば、ホ トプレス成形法、オートクレーブ成形法、 空バッグ成形法を用いることができる。

また、成形型に敷設されたシート状の炭素 繊維強化材の積層体の少なくとも一つの層間 に、板状の結晶構造を持つ粘土鉱物が、一方 向に配向し且つ緻密に積層したガスバリア性 のフィルム状物を配置し、その後、樹脂トラ ンスファー成形法又は樹脂フィルムインフュ ージョン成形法で成形することによってガス バリア性の炭素繊維強化プラスチックが得ら れる(請求項11の発明)。

シート状に加工した繊維強化材を使用した 繊維強化プラスチック成形品は、樹脂トラン スファー成形法(RTM法)又は樹脂フィルムイン ュージョン成形法(RFI法)を用いて成形され ものがある。RTM法においては、繊維強化材 型に敷設した後、型のキャビティーに樹脂 注入して繊維強化材に樹脂を含浸させ、硬 させることにより繊維強化プラスチック成 品を得る。一方、RFI法においては、繊維強 材と共に樹脂フィルムを型に敷設して、加 することにより繊維強化材に樹脂を含浸さ 、硬化させることにより成形品を得る。

また、フィラメントワインディング成形法 において、マンドレルに炭素繊維強化材とマ トリックス樹脂とからなる複合材を巻回・積 層するに際し、板状の結晶構造を持つ粘土鉱 物が、一方向に配向し且つ緻密に積層したガ スバリア性のフィルム状物を、巻回途中の層 中に配置し、その後、マトリックス樹脂を加 熱硬化させることによってガスバリア性の炭 素繊維強化プラスチックが得られる(請求項13 の発明)。

フィラメントワインディング成形法も公知 の成形方法であり、回転しているマンドレル の上に、マトリックス樹脂を含浸させた繊維 強化材(フィラメント、ロービング、テープ 物)を巻回して所定の肉厚にした後、硬化し 型する成形方法である。フィラメントワイ ディング成形法でタンクやホースを成形す ことができる。

以下実施例により本発明を具体的に説明す る。

(1)粘土膜Sの製造
粘土として、2gの天然モンモリロナイト(クニ ピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60ccの蒸 留水に加え、プラスチック製密封容器に、テ フロン(デュポン社登録商標)製回転子と共に れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た 次に、真空脱泡装置により、この粘土分散 の脱気を行った。この分散液を、長さ約30cm 、幅20cmの真鍮製板の上に、厚さ約2mmで塗布 、これを水平に静置し、強制送風式オーブ 中で60℃の温度条件下で30分乾燥し、厚さ約4 0μmの粘土層を得、これを真鍮製板から剥離 、粘土自立膜を得た。その後、送風定温恒 器中で、110℃で30分熱処理して粘土膜を得た (粘土膜S)。

(2)粘土膜Hの製造
粘土として、2.7gの天然モンモリロナイト(ク ピアP、クニミネ工業株式会社製)と0.72gの合 成雲母(ソマシフME-100、コープケミカル株式 社製)とを、100ccの蒸留水に加え、プラスチ ク製密封容器に、テフロン(デュポン社登録 標)回転子と共に入れ、25℃で2時間激しく振 とうし、均一な分散液を得た。この分散液に 、有機添加物としてイプシロンカプロラクタ ムを0.18g加え、更に振とうし、粘土分散液を た。これを徐々に乾燥させ、粘土ペースト 得た。

次に、真空脱泡装置により、この粘土ペー ストの脱気を行った。そして、この粘土ペー ストを、真鍮製トレイに塗布した。塗布には 、ステンレス製スクレーパー(scraper)を用いた 。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚 の粘土ペースト膜を成形した。ここでペース トの厚みを2mmとした。このトレイを強制送風 式オーブン中において、60℃の温度条件下で1 時間乾燥することにより、厚さ約40μmの均一 有機添加物複合粘土膜を得た。生成した粘 膜をトレイから剥離して、自立した、フレ シビリティーに優れた粘土膜を得た(粘土膜 H)。

(3)本発明の炭素繊維強化プリプレグの製造
図1に示したように、炭素繊維強化プリプレ に上記で得られた粘土膜S又はHを挟み込んで 積層し、ホットプレスにより高温硬化させて 成形する方法を試みた。炭素繊維強化プリプ レグとしては、三菱レイヨン株式会社のPYROFI L#380(製品名)を用いた(PAN系の炭素繊維を用い 弾性率24tonのクロスに、ビスフェノールA型 状エポキシ樹脂を主成分とした樹脂を含浸 せた常温タイプのプリプレグ)。

このプリプレグを、150×100mmの大きさに切 したものを3枚積層し、その上に同じ大きさ 前記粘土膜S又はHを1枚重ね、更に同じ大き のプリプレグを3枚積層した。得られた積層 体を、ホットプレス(USAホットプレス、型番#P E1645)で130℃で90分間、約900kgfで加圧して試験 の成形体を得た(昇温速度3℃/分)。

(4)試験体の水素透過率の測定
前記で得られた、成形体から半径29mmの円盤 切り取った。そして、一方向の長さが55mmに るように端部を切断して試験片を作成した 試験片の厚みは、ほぼ1.1~1.2mmであった。か して得られた試験片を、常温ガス透過試験 置を用いて水素ガスの透過率を測定した(試 験体の面積が1521mm 2 、一次側圧力が93~209kPa、二次側圧力が真空状 態、温度が23.8~24.6℃で測定)。

その結果、粘土膜Sを用いた場合の試験体の 素透過率は、0.0078×10 -16 mol・m/m 2 ・s・Pa(試験体の厚さは1.176mm)、粘土膜Hを用 た場合の試験体の水素透過率は、0.0035×10 -16 mol・m/m 2 ・s・Pa(試験体の厚さは1.174mm)であった。従っ て、本発明のガスバリア性の炭素繊維強化プ リプレグは、以下に述べる比較例のものに比 べて、水素透過率は2~3桁下がり、極めて高い 水素ガスバリア性を有するものであることが わる。

(5)比較例(公知例)
代表的な複合材であるガラス繊維強化プラス チック及び炭素繊維強化プラスチックの水素 透過率は、凡そ0.5~5×10 -16 mol・m/m 2 ・s・Pa程度である。水素透過率は大きく、即 ち、水素ガスバリア性が殆どないために、こ のままでは水素タンクの構造材料として使う ことはできない。

これまで炭素繊維強化プラスチックを水素タ ンク用の構造材料として使う場合、プラスチ ックにアルミニウム板からなるライナーを貼 り付けたり、あるいはアルミ箔を接着したり して、高い水素ガスバリア性を持たせること が試みられてきた。具体的には、本発明者の 実験では、ガラス繊維強化プラスチックに25 mのアルミ箔を貼り付ける場合、水素透過率 0.0002~0.01×10 -16 mol・m/m 2 ・s・Pa程度まで下がることが分かった。

しかし、炭素繊維強化プラスチック等への 適用は、その熱膨張率の差によってプラスチ ックとアルミ箔の接着面が剥離するなど、実 用化を阻んでいるのが実情である。このよう にアルミニウム材料を使う試みとは別に、水 素タンクの表面を有機系のフィルムで覆うこ とも考えられている。この方法によって水素 透過率は下がるが、実用化に耐えられる十分 な水素ガスバリア性は得られていない。

本実施例では円筒形粘土膜の作製について 説明する。

(1)粘土ペーストの作製
粘土として、30.4gの天然モンモリロナイト(ク ニピアP、クニミネ工業株式会社製)と8.1gの合 成雲母(ソマシフME-100、コープケミカル株式 社製)を、859.5ccの蒸留水に加え、プラスチッ ク製密封容器に、テフロン(デュポン社登録 標)回転子と共に入れ、25℃で2時間激しく振 うし、均一な分散液を得た。この分散液に 機添加物としてイプシロンカプロラクタム2 .0gを加え、さらに振とうし、固形成分が4.5質 量%の粘土分散液を得た。これを徐々に乾燥 せ固形成分が9質量%の粘土ペーストを作製し た。

(2)円筒形粘土膜の作製
金属ペール缶の内壁に幅10mm×厚さ2mmのテフロ ン(デュポン社登録商標)製の細板を、リング に2カ所(間隔約110mm)に設置し製膜エリアと た。金属ペール缶を20rpmの速度で回転させ、 粘土ペーストを製膜エリアに塗布した。塗布 には、テフロンリングをガイドに、ステンレ ス製スクレーパーで厚さが2mmの均一な粘土膜 を成形した。成形後、金属ペール缶をそのま ま強制送風式オーブンに入れ、60℃の温度条 下で10時間以上乾燥した。なお、金属ペー 缶としては、内寸法φ285×330mm(JIS・Z1620)の20 ットル缶を用いた。

その後、金属ペール缶内のテフロンリングを 取り外し、粘土膜を剥離して自立した円筒形 粘土膜を得た。得られた円筒形粘土膜は、約 φ280×110mmで、平均厚さ寸法が0.223mm(R=0.192~0.253 )であった。かかる円筒形粘土膜は、本発明
フィラメントワインディング成形法によるガ スバリア性の炭素繊維強化プラスチックの製 造方法に、好適に用いることができる。

水素ガスバリア性能を有する炭素繊維強化プ ラスチックの利用分野は、あらゆる産業分野 にわたっており、ステンレスやアルミニウム 等の金属材料に代わって軽量化を図ろうとす る、例えば、水素タンクあるいは水素貯蔵設 備等の容器材料が対象になる。