Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
CARBON-FIBER ROVING, LONG-FIBER PELLET CONTAINING THE SAME, AND FIBER-REINFORCED RESIN MOLDING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105225
Kind Code:
A1
Abstract:
A carbon-fiber roving in which rigid carbon fibers are inhibited from being damaged or broken during production and which enables long-fiber pellets containing long carbon fibers to be industrially produced continuously. Also provided are: long-fiber pellets suitable for use in producing a fiber-reinforced resin molding which has mechanical strength characteristic of long carbon fibers and is excellent in electrical conductivity, thermal conductivity, and electromagnetic-wave-shielding properties; and a fiber-reinforced resin molding obtained from the pellets. The carbon-fiber roving is one comprising rigid carbon fibers and flexible fibers, wherein the flexible fibers have a Young's modulus 0.0005-0.5 times that of the rigid carbon fibers. The long-fiber pellets comprise the carbon-fiber roving and a resin for pellet formation with which the roving has been impregnated or coated.

Inventors:
NAKAMURA AKINOBU (JP)
IJI MASATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052062
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NEC CORP (JP)
NAKAMURA AKINOBU (JP)
IJI MASATOSHI (JP)
International Classes:
D02G3/04; B29B15/14; C08J5/04
Foreign References:
JPH09324331A1997-12-16
JPH05287617A1993-11-02
JP2005089877A2005-04-07
JP2004003047A2004-01-08
JP2002115173A2002-04-19
JPS60209033A1985-10-21
JP2005179829A2005-07-07
JPH07243140A1995-09-19
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (16th Kowa Bldg. 9-20, Akasaka 1-chomeMinato-k, Tokyo 52, JP)
Download PDF:
Claims:
 剛直な炭素繊維と柔軟な繊維とで構成される炭素繊維ロービングであって、柔軟な繊維が剛直な炭素繊維のヤング率に対し、0.0005倍以上0.5倍以下のヤング率を有することを特徴とする炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維が、500GPa以上2000GPa以下のヤング率を有することを特徴とする請求項1記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維が、1μm以上20μm以下の平均直径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維が、1000本以上20000本以下のフィラメントからなるマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維が、繊維長方向に対して100W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維が、黒鉛化処理されたピッチ系炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。 
 柔軟な繊維が、0.1GPa以上250GPa以下のヤング率を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維が、5μm以上30μm以下の平均直径を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維が、100本以上10000本以下のフィラメントからなるマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維が、炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維が、ケナフ、麻、セルロース系の植物繊維のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維が、熱可塑性樹脂繊維を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 柔軟な繊維の総断面積に対する剛直な炭素繊維の総断面積比が0.5以上5以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維の総断面積と柔軟な繊維の総断面積の和として1mm 2 以上20mm 2 以下の断面積を有することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 有機化合物を含浸したものであることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 有機化合物が、60℃以上、かつ適用する樹脂の融点以下の融点を有することを特徴とする請求項15記載の炭素繊維ロービング。
 有機化合物の含浸量が、有機化合物と、剛直な炭素繊維と、柔軟な繊維との合計の質量に対して1質量%以上30質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項15又は16記載の炭素繊維ロービング。
 剛直な炭素繊維と柔軟な繊維とを、重合せ、撚糸、又は編糸のいずれか1種又は2種により作製することを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の炭素繊維ロービング。
 請求項1から18のいずれかに記載の炭素繊維ロービングに、ペレット成形用樹脂が含浸又は被覆されていることを特徴とする長繊維ペレット。
 ペレット成形用樹脂が、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロース、澱粉樹脂のバイオマス由来樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項19に記載の長繊維ペレット。
 全長が5mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項19又は20に記載の長繊維ペレット。
 請求項19から21のいずれかに記載の長繊維ペレットを用いて成形したことを特徴とする繊維強化樹脂成形体。
Description:
炭素繊維ロービング、これを用 た長繊維ペレット及び繊維強化樹脂成形体

 本発明は、剛直で長繊維の炭素繊維を含 、炭素繊維の破損や切断を抑制し容易に形 することができる炭素繊維ロービングや、 れを用いた長繊維ペレット及び繊維強化樹 成形体に関し、特に、優れた導電性、熱伝 性、電磁波シールド性を有すると、同時に 機械的強度を有する繊維強化樹脂成形体の 形に好適な炭素繊維ロービングや、長繊維 レット、繊維強化樹脂成形体に関する。

 材料樹脂は、優れた成形性、軽量性、耐 性等を有することから、電子部品、機械部 、自動車用部品、事務用品、家庭用の食器 電化製品の内・外装材等、産業分野で種々 重要な材料として利用されている。特に、 可塑性樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含 させた繊維強化熱可塑性樹脂(以下、FRTPと う。)は、軽量でありながら機械的特性や耐 性、成形性に優れているため、自動車部品 建材等の耐久材にも応用されている。

 このようなFRTPの機械的特性は、成形体中 での強化繊維の繊維長が大きく寄与すること が知られている。すなわち、繊維長が長いほ ど機械的強度が得られやすいため、ペレット 長とほぼ同じ長さの強化繊維を一方向に揃え て樹脂に含浸させた長繊維ペレットを成形に 用いる方法が考案されている。

 例えば、長繊維ペレットの作製方法とし 、連続した強化繊維束(以下、ロービングと いう)を樹脂に含浸し被覆する方法(特許文献1 )が報告されている。この方法によれば、溶 した樹脂に、ロービングを含浸し、ワイヤ コーティングの要領でロービングを緊張下 引き取ることにより、任意の長さの強化繊 を内包したストランド状の樹脂が得られる これを所定の長さにカットすることにより ペレットと同じ長さの強化繊維を含んだ長 維ペレットが作製できる。

 また、長繊維ペレットの樹脂の含浸性や 射出成形して得られる成形体中での繊維の 散性を向上させる方法(特許文献2)が報告さ ている。この方法によれば、ロービングに 粘度のフェノール樹脂を含浸させ、その外 に熱可塑性樹脂を被覆することにより芯鞘 造の長繊維ペレットが得られる。特許文献2 には、このようにして作製したペレットは、 芯部のフェノール樹脂が成形時に高流動化し て繊維束が開繊しやくなるため、成形体中で の繊維の分散性が向上すると記されている。 また、その含浸方法についても、溶融樹脂を 格納したダイボックスにロービングを通過さ せるプルトルージョン法を利用することによ り、樹脂の含浸性が高められ、ペレットのク ラック発生やロービングの遊離、繊維抜け等 の問題を改善できることが記されている。

 さらに、長繊維ペレットは、通常のペレ トに比べて繊維の毛羽立ちや破損の問題が るため、生産工程では様々なトラブルが生 る場合があり、その作業性や生産性を改善 るための方法がいくつか提案されている。

 例えば、樹脂を含浸させたロービングに りを掛けて引き取り、硬化後に再加熱し撚 を戻して長繊維ペレットを作製する方法(特 許文献3)が報告されている。これにより、ロ ビング引き取り時の摩擦抵抗が低減され、 羽立ちによる装置詰まりの問題が改善でき 。弾性材料でロービングを被覆しておくこ で、混練成形時の繊維破損を抑制する方法( 特許文献4)が記されている。

 更に、異なる素材よりなる2種以上の長繊 維の強化繊維を樹脂に含浸させ、その成形品 に機械的特性や電磁波シールド性を付与する ペレット(特許文献5)が報告されている。

 ところで、炭素繊維は、高導電性や高熱 導性を有し、剛直であり、樹脂に、強度と に、導電性や磁気シールド性、熱伝導性な を効率的に付与できる機能性材料として開 されている。

 しかしながら、炭素繊維は脆性が高く破 し易いため、上記の長繊維ペレットの作製 法は適用できないという問題がある。何故 ら、炭素繊維のロービングを装置に投入あ いは引き取る段階で、ローラーやガイドか の衝撃や曲げにより繊維が容易に破断し、 置の可動が不可能になる。したがって、炭 繊維は、従来、短繊維の状態で樹脂に混練 て配合するのが一般的であった。

 しかし、近年、樹脂材料に非常に高いレベ の特性が求められるようになり、特に小型 や薄型化が重要な電子機器用においては、 械的強度の向上に加えて、導電性や熱伝導 等の機能性付与が求められるようになり、 の需要が急速に高まっている。即ち、剛直 炭素繊維が有する優れた導電性や熱伝導性 の機能を樹脂材料に付与すると共に、その 維の破損及び短尺化を抑制して、長繊維特 の機械的補強効果を同時に有する樹脂材料 具体的には、剛直な炭素繊維を長繊維の状 で含有した長繊維ペレットを射出成形によ 量産可能な新しい長繊維ペレットが求めら ている。

特開昭59-62114号公報

特開2006-175787号公報

特開平6-254849号公報

特開平6-270142号公報

特開平6-285855号公報

 本発明の課題は、製造過程における剛直 炭素繊維の破損や切断を抑制し、長繊維の 素繊維を含む長繊維ペレットを工業的に連 して製造することができる炭素繊維ロービ グを提供することにある。また、長繊維の 素繊維特有の機械的強度を有し、優れた導 性、熱伝導性、電磁波シールド性を有する 維強化樹脂成形体の成形に好適な長繊維ペ ットを提供し、これを用いた繊維強化樹脂 形体を提供することにある。

 本発明者らは、剛直な炭素繊維と、これ 特定のヤング率を有する柔軟な繊維とをロ ビングして炭素繊維ロービングを形成し、 れに樹脂を含浸又は被覆して長繊維ペレッ を成形することにより、炭素繊維の曲げに る切断、破損に対する耐性を大幅に向上で ることを見い出した。さらに、炭素繊維ロ ビングに、特定の分子構造を有する有機化 物を含浸させることにより、剛直な炭素繊 の毛羽立ちや破損の問題を大幅に改善でき ことの知見を得た。このような炭素繊維ロ ビングをペレット成形用樹脂に含浸又は被 して長繊維ペレットを成形することにより 長繊維ペレットの製造過程において炭素繊 ロービングに部分的な繊維破損が生じた場 であっても、炭素繊維ロービングは全体の 断には至らず、連続体として装置内を流れ ため、従来不可能であった電線被覆法やプ トルージョン法等の長繊維ペレットの製造 法の適用が可能となり、長繊維ペレットを 続して製造することができることを見出し これらの知見に基づき、本発明を完成する 至った。

 本発明の長繊維ペレットにおけるメカニ ムは、必ずしも明確ではないが、長繊維ペ ットの製造過程において、剛直な炭素繊維 かかる応力が、炭素繊維ロービング中にお て柔軟な繊維により分散され、応力集中が 和されると考えられる。更に、有機化合物 含浸させた炭素繊維ロービングにおいては 有機化合物が、繊維同士あるいは装置との 触による摩擦抵抗を、更に軽減させ、応力 受けた際に生じる繊維間の歪みや応力集中 緩和に有効に作用し、また、剛直な炭素繊 に部分的な破損が生じた場合でも、上記有 化合物の柔軟性と集束作用により、炭素繊 におけるそれ以上の破損の進行や欠損部分 脱落が極力抑制されると考えられる。その め、剛直な炭素長繊維を用いても、射出成 等の適用を可能とし、長繊維ペレットの量 が可能となる。

 すなわち、本発明は、剛直な炭素繊維と 軟な繊維とで構成される炭素繊維ロービン であって、柔軟な繊維が剛直な炭素繊維の ング率に対し、0.0005倍以上0.5倍以下のヤン 率を有することを特徴とする炭素繊維ロー ングに関する。

 また、本発明は、上記炭素繊維ロービン に、ペレット成形用樹脂が含浸又は被覆さ ていることを特徴とする長繊維ペレットや この長繊維ペレットを用いて成形したこと 特徴とする繊維強化樹脂成形体に関する。

 本発明の炭素繊維ロービングは、製造過 における剛直な炭素繊維の破損や切断を抑 し、長繊維の炭素繊維を含む長繊維ペレッ を工業的に連続して製造することができる また、本発明の長繊維ペレットは、長繊維 炭素繊維特有の機械的強度を有し、優れた 電性、熱伝導性、電磁波シールド性を有す 繊維強化樹脂成形体の成形に好適である。

 本発明の炭素繊維ロービングは、剛直な 素繊維と柔軟な繊維とで構成される炭素繊 ロービングであって、柔軟な繊維が剛直な 素繊維のヤング率に対し、0.0005以上0.5以下 ヤング率を有することを特徴とする。

 本発明の炭素繊維ロービングは、剛直な 素繊維と柔軟な繊維とにより構成される。 素繊維ロービングを構成する剛直な炭素繊 としては、例えば、ピッチ系炭素繊維、PAN 炭素繊維、気相法により製造された炭素繊 や、カーボンナノチューブ(CNT)等の短繊維 炭素繊維を紡糸して繊維とした炭素繊維等 用いることができる。成形する成形体に求 られる特性により適宜その特性を有する種 の炭素繊維を選択することができる。具体 には、ピッチ系炭素繊維は、グラファイト 造が異方的に発達したものが多くあり、こ ため、繊維長方向の導電性や熱伝導性が非 に優れており、導電性、電磁波シールド性 熱伝導性等が要請される成形体用として好 である。また、これらを熱処理して黒鉛化 た炭素繊維は、金属並みの導電性や熱伝導 を持つものであり、より好ましい。

 上記炭素繊維ロービングを構成する剛直 炭素繊維としては、1本の長繊維のフィラメ ント、複数のフィラメントからなるマルチフ ィラメント、また、短繊維を紡糸した繊維と して用いることができるが、フィラメント100 0本以上20000本以下のマルチフィラメントとし て用いることが、製造過程における破損、切 断等を抑制する強度を有し、作業性に優れ、 成形体に充分な強度を付与できることから好 ましい。マルチフィラメントを構成するフィ ラメント数が2万本以下であれば、集合体と て柔軟性を維持することができることから 好ましい。剛直な炭素繊維のフィラメント しては、直径が1μm以上20μm以下であること 好ましい。剛直な炭素繊維のフィラメント 直径が1μm以上であれば、取り扱いやすく作 性に優れ、20μm以下であれば、炭素繊維ロ ビングを形成する際、炭素繊維ロービング ら長繊維ペレットを形成する際、破損や切 を抑制することができる。

 このような炭素繊維は剛性を有するもの ある。具体的には、炭素繊維ロービングを 成する剛直な炭素繊維のヤング率が500GPa以 、2000GPa以下であることが好ましい。剛直な 炭素繊維のヤング率が500GPa以上であれば、こ の種の炭素繊維は概して導電性や熱伝導性が 高く、用いる成形体にこれらの特性を付与す るに適している。また、2000GPa以下であれば 製造過程において、炭素繊維ロービング中 破損や切断が抑制される。

 ヤング率は引張試験法(JIS R-7601、R-7606、L -2510、R-2511)の他、超音波法、共鳴振動法等の 非破壊試験法による測定値を採用することが できる。上記引張試験法においては、引張試 験機の上下のチャックに試料を把持し、チャ ックの移動量の測定によって伸びを、ロード セルによって荷重を測定し、歪、応力から、 ヤング率を換算することができる。

 上記剛直な炭素繊維は、繊維長方向の電気 導率が1×10 5 ω -1 ・m -1 以上であることが好ましい。このような電気 伝導率を有する炭素繊維は、剛直性が高く、 製造過程における破損、切断を抑制すること ができ、成形体に機械的強度、電気伝導性、 熱伝導性を付与することができる。

 電気伝導率は、炭素繊維試験方法(JIS R-76 01)等により測定される電気抵抗率の逆数とし て算出することができる。

 上記剛直な炭素繊維は、繊維長方向の熱 導率が100W/m・K以上であることが好ましい。 このような熱伝導率を有する炭素繊維は、剛 直性が高く、製造過程における破損、切断を 抑制することができ、成形体に機械的強度、 電気伝導性、熱伝導性を付与することができ る。ここで、熱伝導率については、レーザー フラッシュ法、平板熱流計法、温度波熱分析 法(TWA法)、温度傾斜法(平板比較法)、周期加 法(3ω法)、カロリメトリ法等の測定法による 実測値、あるいは実測が困難な場合は、熱伝 導率以外の物性値及び炭素材料の統計的デー タから外挿法により推定される試算値であっ てもよい。

 上記炭素繊維ロービングを構成する柔軟 繊維は、剛直な炭素繊維に付加される応力 分散、吸収し、その破損、切断を抑制する のである。炭素繊維ロービングを構成する 軟な繊維としては、フィラメント、マルチ ィラメント、短繊維を紡糸した繊維等を用 ることができるが、フィラメント100本以上1 0000本以下のマルチフィラメントを用いるこ が好ましい。柔軟な繊維がフィラメント100 以上のマルチフィラメントであれば、取り いが容易で作業性に優れると共に、炭素繊 ロービング中において充分な機械的強度を し、10000本以下のマルチフィラメントであれ ば、成形体中において剛直な炭素繊維の分散 性が低下するのを抑制することができる。炭 素繊維ロービングを構成する柔軟な繊維のフ ィラメントとしては、直径が5μm以上30μm以下 であることが好ましい。柔軟な繊維のフィラ メントの直径が5μm以上であれば、剛直な炭 繊維に対し、充分な機械的特性を有し、30μm 以下であれば、炭素繊維ロービングの表面に 凹凸が生じるのを抑制し、柔軟な繊維の局在 化による破損を抑制することができる。

 上記炭素繊維ロービングを構成する柔軟 繊維は、炭素繊維ロービングを構成する剛 な炭素繊維のヤング率に対し、0.0005倍以上0 .5倍以下のヤング率を有する。柔軟な繊維が 直な炭素繊維に対し、このようなヤング率 を有することにより、剛直な炭素繊維に負 される応力の緩和を図り、製造過程におけ 破損、切断を抑制することができる。上記 素繊維ロービングを構成する柔軟な繊維と てのマルチフィラメントは、通常単一種の ィラメントを用いて構成されるが、複数種 フィラメントから構成されるマルチフィラ ントを用いる場合は、各マルチフィラメン を構成するそれぞれのフィラメントのヤン 率の平均値を柔軟な繊維のヤング率とする 上記炭素繊維ロービングを構成する柔軟な 維のヤング率としては、具体的には、0.1GPa 上250GPa以下であることが好ましい。柔軟な 維のヤング率が0.1GPa以上であれば、高い柔 性と共に、炭素繊維ロービング中において 分な機械的強度を有し、250GPa以下であれば 剛直な炭素繊維に負荷される応力を分散さ 得る柔軟性を有する。

 上記柔軟な繊維は柔軟な種々の繊維を適 することができる。例えば、柔軟な炭素繊 、ガラス繊維等の無機繊維、ポリアミド系 ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリビ ルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、 リ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル系 ポリエチレン系、ポリプロピレン系、その フェノール系等の合成繊維や、セルロール 、タンパク質系等の半合成繊維や、セルロ ス系等の再生繊維などの有機繊維、木綿、 、ケナフ等の植物繊維や、絹、羊毛等の動 繊維などの天然繊維などを挙げることがで る。これらを1種又は2種以上組み合わせて いることができる。これらは用いる成形体 おいて要求される特性等により、適宜選択 て用いることができ、例えば、軽量で柔軟 に富み、毛羽立ちが少なく、伸縮性が要求 れる場合は、有機繊維を選択することがで る。

 上記有機繊維としては、熱可塑性樹脂繊 を適用することができる。例えば、ナイロ やアラミド等のポリアミド系繊維、ポリエ レンテレフタレートやポリブチレンテレフ レート、ポリ乳酸等のポリエステル系繊維 ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維 ビニロン等のポリビニルアルコール系繊維 ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオ フィン系繊維、アセテートトリアセテート のセルロース系繊維、ポリスチレン系繊維 ポリイミド系繊維、ポリフェニレンサルフ イド繊維、変性ポリフェニレンエーテル繊 、及びこれらを変性して得られる繊維等を いることができる。さらに、この中で、生 解性樹脂として知られるポリ乳酸やポリエ レンテレフタレート等のポリエステル系繊 、ビニロン等のポリビニルアルコール系繊 は、材料自体に内在する環境負荷を低減で る効果があり、特にバイオマスを原料とし 作られるポリ乳酸等は、その環境適合性の で非常に有効な材料である。

 上記熱可塑性樹脂繊維は、80℃以上でか 適用する樹脂の融点以下の融点を有するこ が好ましい。特に、後述するペレットに成 する場合は、使用するペレット成形用樹脂( 下、ペレット成形用樹脂という。)の融点以 下の融点を有することが好ましい。このよう な融点を有する有機繊維は、室温下における 取り扱いが容易であり、作業性に優れる利点 がある。このような熱可塑性樹脂繊維を用い ることにより、炭素繊維ロービングを樹脂に 適用する際、熱可塑性樹脂繊維が部分的であ っても溶融し、剛直な炭素繊維間に浸透し、 成形体の成形において炭素繊維の樹脂への分 散性を向上させることができる。なお、融点 は、物質によっては不明確な場合があるが、 測定法JIS K7206の軟化点測定に準じた測定方 による測定値を採用することができる。

 上記有機繊維としては、ペレット成形用 脂に相溶な樹脂製であることが好ましい。 のような有機繊維を用いることにより、長 維ペレットの作製時及びこれを用いた成形 の成形時において、有機繊維がペレット成 用樹脂に相溶し、溶融粘度の増加が抑制さ 、剛直な炭素繊維の分散が阻害されること ない。なお、ここでいう相溶とは、完全相 に加えて部分相溶あるいはミクロンレベル 下の分散状態も含めている。

 本発明の炭素繊維ロービング中において、 軟な繊維の総断面積に対する剛直な炭素繊 の総断面積比(炭素繊維総断面積/柔軟な繊 総断面積)が0.5以上5以下であることが好まし い。このような割合で炭素繊維と柔軟な繊維 を含有することにより、炭素繊維の破損、切 断を抑制し、且つ、成形体中の炭素繊維の分 散性を優れたものとできる。ロービングの総 断面積として、具体的には、炭素繊維の総断 面積と柔軟な繊維の総断面積との和として、 1mm 2 以上20mm 2 以下であることが好ましい。このような総断 面積を有するロービングは、長繊維ペレット の連続生産に耐え得る強度を持つと共に、集 合体としての柔軟性を維持できる。

 上記炭素繊維ロービングは、有機化合物 含浸させたものが、炭素繊維間、炭素繊維 装置間の接触を抑制し、摩擦抵抗が軽減さ 、摩擦による炭素繊維の歪が軽減され、炭 繊維の毛羽立ちや破損、切断を大幅に抑制 ることができることから好ましい。かかる 機化合物としては、融点が60℃以上、且つ 適用する樹脂の融点以下の融点を有するこ が好ましい。特に、ペレットに成形する場 は、使用するペレット成形用樹脂の融点以 の融点を有することが好ましい。有機化合 の融点が60℃以上であれば、室温で固体であ り取扱いが容易であり、電子機器等の発熱を 伴う製品や部品、筐体等の成形体に用いた場 合に、成形体が熱で軟化したり、有機化合物 が溶出したりするのを抑制することができる 。また、有機化合物の融点が、適用する樹脂 の融点以下、ペレットに成形する場合は、ペ レット成形用樹脂の融点以下であれば、ペレ ットの作製や成形体の成形の過程で溶融し、 剛直な炭素繊維の分散性の阻害を抑制するこ とができる。

 上記有機化合物は、適用する樹脂、ペレ トを成形する場合はペレット成形用樹脂の 形温度における溶融粘度が、0.1P以上500P以 であることが好ましい。このような溶融粘 の有機化合物を用いることにより、長繊維 レットを用いた成形体中での繊維の分散性 向上させることができる。上記成形温度に いて、有機化合物が溶融して高流動化する に伴い、繊維が分散しやすくなる。

 更に、上記有機化合物は、剛直な炭素繊 あるいは柔軟な繊維の少なくとも一方の表 に対し、物理化学的結合を形成するもので ることが好ましい。ここでいう物理化学的 合とは、水素結合や配位結合等の化学結合 加え、物理吸着、静電吸着、疎水性相互作 、磁性吸着、幾何学的要因による接合等の ずれか1種又は2種以上の結合を有するもの いう。このような結合を形成する有機化合 を用いることにより、製造過程における炭 繊維ロービングの破損や切断を抑制するこ ができる。これは、有機化合物と繊維との 合作用及び有機化合物自体の集束効果によ 、炭素繊維に部分的な破損が生じた場合で 、破損の進行や欠損部分の脱落を極力抑制 きるからである。

 前記有機化合物は、エステル化合物、オ フィン化合物、カーボネート化合物、アミ 化合物、水素添加油脂、又はワックスであ て、分子量が2000以下の低分子化合物のいず れか1種又は2種以上であることが好ましい。 の種の有機化合物は、加水分解やエステル 換反応等により分子量が低下するという問 が生じ難く、溶融粘度も低いため、樹脂に 易に微分散するという利点がある。

 更に、好適な有機化合物として、ワック 類を挙げることができる。ワックス類は、 融粘度が非常に低く、樹脂に容易に微分散 、また、ポリエステル樹脂等に対して、加 分解やエステル交換反応等により分子量を 下させるという問題が生じ難いという利点 ある。

 上記ワックス類としては、動物由来あるい 植物由来のワックス、鉱物系ワックス、石 系ワックス等に代表される天然ワックス類 フィッシャートロプシュワックス、ポリエ レンワックス、油脂系合成ワックス、水素 ワックス等に代表される合成ワックス類、 工・変性ワックス等を挙げることができる 具体的には、動物由来ワックスとして、蜜 やウールワックス、植物由来ワックスとし 、カルナバワックス、キャンデリラワック 、木蝋、ライスワックス、鉱物系ワックス して、モンタンワックス、オゾケライト、 レシン、オイルシェル、石油系ワックスと て、パラフィンワックス、マイクロクリス リンワックス、ペトロラタム等を例示する とができる。また、高級脂肪酸エステル、 肪酸アミド、ケトン類、アミン類、水素硬 油の常温固形物も上記ワックス類として用 ることができる。 
 上記ワックス類のうち、分子構造の主鎖の 素数が8~44であり、分子量が200~1500、より好 しくは300~1000である脂肪族カルボン酸アミ 、芳香族カルボン酸アミド、脂肪族カルボ 酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等 結晶性の有機化合物を好ましいものとして げることができる。これらは1種又は2種以上 を組み合わせて用いることができる。このよ うな炭素数と分子量を持つ結晶性の有機化合 物は、植物性油脂や動物性油脂などの天然油 脂から合成できるものが多く、取り扱いが容 易であることに加えて、安価で得られること が多い。炭素繊維ロービングが適用される樹 脂や、ペレット成形用樹脂が結晶性樹脂の場 合には、これらは結晶核剤として作用し、成 形サイクルを大幅に短縮できる効果が得られ る。上記脂肪族カルボン酸アミド、芳香族カ ルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸エステル 、芳香族カルボン酸エステルは分子中に1つ るいは2つ以上の極性基が導入されたものが ましい。かかる極性基としては、例えば、 酸基やカルボキシル基、グリシジル基等の 素含有基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基 イソシアネート基等の窒素含有基、フッ素 有基等を挙げることができる。これらの極 基が部分的に導入された上記化合物は、炭 繊維と相互作用を持ちつつ、炭素繊維ロー ングが適用される樹脂や、ペレット成形用 脂に対しては水素結合等の物理化学的作用 持つため、樹脂と炭素繊維の双方に対して れぞれの相互作用を強化するバインダー的 効果が発現し、機械的強度が向上する。

 上記化合物としては、具体的に、リシノー 酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸 ミド、アラキン酸アミド、ラウリン酸アミ 、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、N- レイルパルミチン酸アミド、N-オレイルオレ イン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミ 、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-ステア リルステアリン酸アミド、N-ステアリルエル 酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミ 、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレ ビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレ ン酸アミド、エチレンビスステアリン酸ア ド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレ ビスイソステアリン酸アミド、ブチレンビ ステアリン酸アミド、p-キシリレンビスス アリン酸アミド等のカルボン酸アミド及び れらの分子中の一部に極性基が導入された 合物、また、ラウリン酸エステル、パルミ ン酸エステル、オレイン酸エステル、ステ リン酸エステル、エルカ酸エステル、N-オレ イルパルミチン酸エステル、N-オレイルオレ ン酸エステル、N-オレイルステアリン酸エ テル、N-ステアリルオレイン酸エステル、N- テアリルステアリン酸エステル、N-ステア ルエルカ酸エステル、メチレンビスステア ン酸エステル、エチレンビスラウリン酸エ テル、エチレンビスカプリン酸エステル、 チレンビスオレイン酸エステル、エチレン スステアリン酸エステル、エチレンビスエ カ酸エステル、エチレンビスイソステアリ 酸エステル、ブチレンビスステアリン酸エ テル、p-キシリレンビスステアリン酸エステ ル等のカルボン酸エステル及びこれらの分子 中の一部に極性基が導入された化合物等を挙 げることができる。これらは1種又は2種以上 組み合わせて使用することができる。 
 上記化合物のうち、特にひまし油から誘導 れたカルボン酸アミド化合物が好ましい。 体的には、リシノール酸アミド、ステアリ 酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン アミド、リノール酸アミド、リノレン酸ア ド、アラキン酸アミド、及びこれらの誘導 を挙げることができる。これらは、バイオ ス由来であることから環境適合性に優れ、 全性、生産性、コスト性、生体親和性を有 、更に、ポリエステル樹脂に対して分散制 性に優れ、結晶核剤として作用し、炭素繊 と相互作用を持つことができる。

 上記有機化合物は、有機化合物と、剛直 炭素繊維と、柔軟な繊維との合計の質量に して1~30質量%で含浸させることが好ましい 有機化合物の含浸量が繊維との合計質量に し1質量%以上であれば、ロービングを集束す る効果を得ることができ、30質量%以下であれ ば、作業性に優れ、長繊維ペレットに形成し たとき、ペレット成形用樹脂の特性を阻害す ることがなく、用いた成形体において表面状 態の不均一による外観不良や塗装不良の発生 を抑制することができる。

 本発明の炭素繊維ロービングの製造は、 直な炭素繊維と柔軟な繊維とを、重合せ、 糸、又は編糸のいずれか1種又は2種により ービングを作成して行うことができる。

 ロービングの作成は、剛直な炭素繊維に して、柔軟な繊維を重ね合わせて合糸し、 理的に統合して束とする方法や、更に、得 れた合糸に撚りを掛け撚糸とする方法を使 することができる。また、マルチフィラメ トを使用する場合は、これらを開繊し、各 の繊維を規則的又は不規則的に撚り合わせ 糸とする方法、若しくは、開繊したフィラ ントを編み合わせ編糸とする方法、更に、 れらの方法を組み合わせた方法等を用いる とができる。その後、必要に応じて、ロー ングを有機化合物液に含浸し、ロービング 繊維間に有機化合物を含有させ、乾燥する

 本発明の炭素繊維ロービングは、成形体 成形する樹脂に直接適用することもできる 、この炭素繊維ロービングに、ペレット成 用樹脂を含浸又は被覆した長繊維ペレット して、樹脂に適用し、成形体を成形するこ ができる。本発明の長繊維ペレットは、炭 繊維ロービングに、ペレット成形用樹脂が 浸又は被覆されていることを特徴とする。

 本発明の長繊維ペレットは、上記の炭素 維ロービングを含み、これを複数含むもの あってもよい。複数の炭素繊維ロービング 含む場合、これらは同種の剛直な炭素繊維 柔軟な繊維に限らず、異種のものを含むこ もでき、また、同一種類のものであっても フィラメント数が異なるものを用いること できる。

 上記ペレット成形用樹脂としては、成形 野で使用される種々の熱可塑性樹脂を適用 ることができるが、上記炭素繊維ロービン に用いる柔軟な繊維として熱可塑性樹脂を いる場合は、これと同種の樹脂を用いるこ が好ましい。柔軟な繊維と同種の樹脂を用 ることにより、長繊維ペレットの作製及び れを用いた成形体の成形において、ペレッ 成形用樹脂に柔軟な繊維が溶解し、剛直な 素繊維の流動性や分散性が向上する。また 同種の樹脂を使用することにより、繊維と レット成形用樹脂間での特性が阻害される とがないという効果が得られる。

 ペレット成形用樹脂としては、具体的に 、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂や、耐熱 、耐摩耗性、耐薬品性、加工性等実用面で れる上、種々のフィラーや他の樹脂との配 を容易に行えるポリエステル樹脂を挙げる とができる。さらに、生分解性のポリエス ル樹脂としてバイオマス由来系樹脂及びこ らの誘導体を用いることが、環境負荷を大 に削減できることから、好ましい。バイオ ス由来系樹脂とは、バイオマスを原料とし 作られる樹脂を主成分に含む樹脂のことを い、その誘導体とは、分子構造の一部が、 の化合物や官能基で置換あるいは変性され ものを指す。具体的には、ポリ乳酸(PLA)、 リカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸 (PHB)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、 リブチレンサクシネート(PBS)、酢酸セルロー ス、澱粉樹脂等を挙げることができ、これら は、1種又は2種以上を組み合わせて使用する とができ、鉱油由来、合成等による熱可塑 樹脂と任意に混合して用いることができる

 上記ペレット成形用樹脂には、ペレット 形用樹脂や炭素繊維ロービングの機能を阻 しない範囲で、必要に応じて、種々の添加 を添加することができる。添加剤としては 例えば、補強剤、難燃剤、発泡剤、劣化防 剤、結晶核剤、着色剤、酸化防止剤、耐熱 向上剤、耐光剤、加工安定剤、抗菌剤、防 び剤、可塑剤等を挙げることができる。補 剤としては、マイカやタルク等の充填剤、 ラミドやポリアリレート等の有機繊維やガ ス繊維、さらにケナフのような植物繊維を 用することができる。また、難燃剤として 、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウ 等の金属水酸化物、メラミンやイソシアヌ 酸化合物等の窒素系難燃剤、リン酸化合物 のリン系難燃剤などを挙げることができる また、種々の無機系あるいは有機系結晶核 、酸化チタン等の着色剤、ラジカルトラッ 剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤等の安定 、銀イオン等の抗菌剤を、適宜、配合する とができる。

 上記ペレット成形用樹脂の使用量として 、長繊維ペレットの総質量に対し、10質量% 上90質量%以下であることが好ましく、より ましくは、20質量%以上80質量%以下である。 レットの直径が、例えば、0.5~4mm程度である と、このサイズにおいてペレット成形用樹脂 の含有量が10質量%以上であれば、炭素繊維ロ ービングの被覆又は含浸量が充分となり、繊 維が露出した状態となることを抑制すること ができ、剛直な炭素繊維の破損を充分に抑制 することができる。また、ペレット成形用樹 脂の含有量が90質量%以下であれば、ペレット 中の繊維の集合体が充分な強度を有すること により、繊維の破損が抑制される。

 本発明の長繊維ペレットは、ペレット長 5~30mmであることが好ましい。長繊維ペレッ に内包された剛直な炭素繊維は、これとほ 同じ繊維長になっており、炭素繊維が5mm以 であれば、これを用いて成形した成形体に して長繊維の補強効果を充分に付与するこ ができ、30mm以下であれば、射出成形時の成 形機のホッパー内でのペレット詰まりやノズ ルでの繊維詰まり等の発生を抑制することが でき、公知の装置を用いて成形体を成形する ことができる。

 本発明の長繊維ペレットの製造は、炭素 維ロービングにペレット成形用樹脂を含浸 は被覆して行うことができる。炭素繊維ロ ビングにペレット成形用樹脂を含浸又は被 するには、電線被覆法やプルトルージョン 等を用いることができる。電線被覆法やプ トルージョン法には、公知の装置を適用す ことができる。その後、必要に応じて、例 ば、5~30mm等に切断し、ペレットを得る。

 本発明の繊維強化樹脂成形体は、上記長 維ペレットを用いて成形したことを特徴と る。

 本発明の繊維強化樹脂成形体は、上記長 維ペレットと共に、上記炭素繊維ロービン を含まない樹脂のペレットを併用し、成形 中の長繊維の含有量や特性を高度に制御し ものとしてもよい。また、短繊維やフィラ 、添加剤等を配合したペレットを併用し、 様な特性を有する成形体としてもよい。か る添加剤としては、上記ペレット成形用樹 の添加剤として例示したものと同様のもの 具体的に挙げることができる。また、製造 制限を受ける長繊維ペレットに同時に配合 せることが困難な成分、流動性が低下して 形が困難になる成分が配合されたペレット 用いることにより、これらを含有する成形 とすることができる。

 上記繊維強化樹脂成形体の製造方法とし は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形法 、熱可塑性樹脂の成形に用いられる方法を 用することができ、上記長繊維ペレットを いることにより、これらの方法には公知の 置を適用することができる。これらの溶融 合や成形時における温度については、ペレ ト成形用樹脂の融点以上で、かつ添加され それぞれの成分が劣化しない範囲で行うこ ができる。

 以下に、本発明の炭素繊維ロービング及び 繊維ペレットを具体的に詳細に説明するが 本発明の技術的範囲はこれらに限定される のではない。
[実施例1]
 剛直な炭素繊維(XN90-60S:日本グラファイトフ ァイバー製)(熱伝導率500W/mK)と柔軟な繊維(XN20 -60S:日本グラファイトファイバー製)を、表1 示すフィラメント数を束ねた状態で撚り合 せ、炭素繊維ロービングを作製した。剛直 炭素繊維、柔軟な繊維の各フィラメントの ング率を表1に示す。エチレンビスオレイル ミドを20質量%で溶解したトルエン溶液に、 ービングを通過させ乾燥させ、ロービング 、エチレンビスオレイルアミド(融点114℃) 炭素繊維合計の質量に対し、5~10質量%になる ように含浸させた。

 次に、電線被覆法を用い、炭素繊維ロービ グを180~190℃で溶融したポリ乳酸(ユニチカ  テラマック TE-4000、融点約170℃)とエチレ ビスオレイルアミドの混合樹脂(質量比で20:1 )に含浸して被覆し、ストランド状にした後 15mmの長さにカットして長繊維ペレットを作 した。

 得られた長繊維ペレット中の炭素繊維の状 を確認するため、ペレットをクロロホルム 一昼夜浸漬し、樹脂分を全て溶解させた後 残った炭素繊維を観察した。その結果、炭 繊維の9割以上がペレット長と同じ約15mmの さを維持しており、繊維の短尺化が抑制さ たことが確認できた。また、ペレット中の 素繊維の総重量は約50質量%(うち剛直な炭素 維は約25質量%)であった。 
 上記長繊維ペレットを、別途作製した炭素 維を含まない混合樹脂のみのペレットと質 比5:3で混ぜ、簡易型射出成形機(井元製作所 製)を用いて70mm×13mm×3.2mmの試験片を作製した 。試験片について、機械的強度と熱伝導性を 、以下の方法により評価した。
機械的強度:JIS規格(K7203)に基づき、万能試験 (インストロン製 5567)を用いて曲げ強度試 を行った。
熱伝導性:試験片を支持台に固定し、予め80℃ に加熱したラバーヒーターで試験片の一部に 定常熱を負荷した。ラバーヒーターとの接触 部分から試験片全体に熱が拡散していく様子 を赤外線サーモトレーサー(NEC三栄製 サーモ スキャナTS5304)で観察し、そのサーモグラフ 解析から熱伝導性を評価した。

 その結果、上記試験片は、ポリ乳酸(曲げ強 さ:98MPa、破断歪み:3.1%、ヤング率:3.3GPa)に比 、より優れた機械的強度(曲げ強さ:101MPa、破 断歪み:3.3%、ヤング率:7.6GPa)とステンレス並 の熱伝導性を示した。
[実施例2~13]
 表2~4に示す剛直な炭素繊維A~C、柔軟繊維a~j ペレット成形用樹脂I~IVを、それぞれ表5~7に 示す組み合わせで使用した他は、実施例1と 様の方法により、炭素繊維ロービングを作 した。

 得られた炭素繊維ロービングについて、曲 約50m -1 までゆっくりと手で変形させ、その時の剛直 な炭素繊維の破断程度を、以下の基準により 評価した。結果を表5~7に示す。
◎・・・剛直な炭素繊維の破断割合(本数)は 剛直な炭素繊維全体の10%未満
○・・・剛直な炭素繊維の破断割合(本数)は 剛直な炭素繊維全体の10%以上30%未満
△・・・剛直な炭素繊維の破断割合(本数)は 剛直な炭素繊維全体の30%以上60%未満
×・・・剛直な炭素繊維の破断割合(本数)は 剛直な炭素繊維全体の60%以上。
[比較例1~3]
 剛直な炭素繊維A~Cを合糸加工することなく それぞれ単品のまま使用して、破断評価し 。結果を表7に示す。

[実施例14~20]
 表2~4に示す剛直な炭素繊維A~C、柔軟繊維a~j ペレット成形用樹脂I~IVを、それぞれ表8、9 示す組み合わせで使用した他は、実施例1と 同様の方法により、炭素繊維ロービングを作 製し、長さ6mmの長繊維ペレットを作製した。 得られた長繊維ペレットを用いて、実施例1 同様の方法で試験片を作製し、熱伝導性を 下の基準により評価した。結果を表8、9に示 す。

 ◎・・・樹脂単独に比べ、サーモグラフィ 観察される温度の拡散速度が10倍以上
○・・・樹脂単独に比べ、サーモグラフィで 観察される温度の拡散速度が5倍以上10倍未満
 △・・・樹脂単独に比べ、サーモグラフィ 観察される温度の拡散速度が2倍以上5倍未
 ×・・・樹脂単独に比べ、サーモグラフィ 観察される温度の拡散速度が2倍未満
[比較例4~6]
 比較例1~3で用いた剛直な炭素繊維を、予め6 mmの長さにカットし、従来の溶融混錬法に従 、ポリ乳酸と共に2軸混練機(栗本鉄工所製  S1ニーダー)を用いて混錬しペレット(長さ3mm) 作製した。得られたペレットを用いて、上 同様、試験片を作製し、熱伝導性を評価し 。結果を表9に示す。

 実施例1~13の炭素繊維ロービングは、いず れも曲げに対する強度的耐性が向上し、十分 な破断防止効果が得られた。一方、比較例1~3 の剛直な炭素繊維を単独に使用した場合には 、いずれも曲げにより大半の繊維の破断が生 じた。

 また、これらのロービングを用いて作製 た実施例14~20の長繊維ペレットの成形体は いずれも高い熱伝導性を示し、長繊維の炭 繊維本来の優れた熱伝導性付与効果が得ら た。一方、従来の混練方法により剛直な炭 繊維をペレット化して作製した成形体では いずれも熱伝導性の向上効果は低かった。 れは、本発明の実施例14~20では、剛直な炭素 繊維が十分に破断防止できているのに対し、 従来の方法を用いた比較例4~6では、炭素繊維 が破断し短尺化が生じたためである。

 本発明の炭素繊維ロービングを用いて形 される長繊維ペレットは、樹脂に、強度と に、導電性や磁気シールド性、熱伝導性な を効率的に付与できる機能性材料として好 に使用することができ、電子部品、機械部 、自動車用部品、事務用品、家庭用の食器 電化製品の内・外装材等、種々の産業分野 おいて非常に有用である。

 本発明は、2007年2月27日出願の特願2007-0469 20に基づき優先権を主張するものであり、基 出願において開示する総ての内容を含むも である。