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Title:
CARBON NANOFIBER, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND USE OF THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149792
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is (1) a carbon nanofiber containing not more than 6% by mass of Fe and not more than 3% by mass of V as metal impurities other than carbon, which does not substantially contain a metal element other than Fe and V. Also disclosed is (2) a method for producing such a carbon nanofiber, which is characterized in that a catalyst, which is obtained by loading a carbon carrier with Fe and V, and a carbon-containing compound are brought into contact with each other at a high temperature. Further disclosed are (3) a resin composite body obtained by blending such a carbon nanofiber and (4) use of such a resin composite body. The present invention enables to obtain a low-cost carbon fiber filler containing only a few metal impurities. Only a few amount of this carbon fiber filler enables to exhibit electrical conductivity.

Inventors:
ORIJI GAKU (JP)
KAMBARA EIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059985
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
International Classes:
D01F9/127; B01J23/847; C01B31/02; H01B1/04; H01B1/24
Domestic Patent References:
WO2004007820A12004-01-22
WO2004035882A22004-04-29
Foreign References:
JP2003306835A2003-10-31
JP2006089710A2006-04-06
JP2004267926A2004-09-30
JP2006502953A2006-01-26
JP2006015345A2006-01-19
JP2007268319A2007-10-18
JP2006502853A2006-01-26
Other References:
APPLIED CATALYSIS, vol. A, no. 283, 2005, pages 137
See also references of EP 2159308A4
Attorney, Agent or Firm:
OHIE, Kunihisa et al. (Selva-Ningyocho 6F14-6, Nihonbashi-Ningyocho 2-chome,Chuo-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 炭素以外の金属元素として鉄(Fe)を6質量%以下、バナジウム(V)を3質量%以下含有し、FeとV以外の金属元素を実質的に含まないことを特徴とするカーボンナノファイバー。
 炭素担体にFeとVを担持した触媒と炭素含有化合物とを400~1100℃で接触させることを特徴とするカーボンナノファイバーの製造方法。
 炭素担体の比表面積が、30~500m 2 /gである請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 炭素担体が、比表面積500m 2 /g以上のカーボンブラックを2000~3000℃で熱処理したものである請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 触媒中の鉄濃度が、
で計算したときに、5~30質量%である触媒を使用する請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 触媒中のバナジウム濃度が、鉄のモル数に対して20~100mol%である触媒を使用する請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 炭素含有化合物が、CO、CO 2 、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選択される少なくとも1種である請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 炭素含有化合物がエチレンである請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 炭素含有化合物のほかにキャリアーガスを使用する請求項2に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 キャリアーガスが水素を含有するガスである請求項9に記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
 請求項2~10のいずれかに記載の方法により得られたカーボンナノファイバー。
 請求項1または11に記載のカーボンナノファイバーを樹脂に配合してなるカーボンナノファイバー・樹脂複合体。
 請求項12に記載のカーボンナノファイバー・樹脂複合体を用いた電気・電子部品容器。
 請求項12に記載のカーボンナノファイバー・樹脂複合体を用いた導電性摺動用部材。
 請求項12に記載のカーボンナノファイバー・樹脂複合体を用いた導電性熱伝導性部材。
Description:
カーボンナノファイバー、その 造方法及び用途 関連出願の相互参照

 本明細書には2007年5月31日に提出した日本 国出願(特願2007-145255)の明細書、図面及び要 書に開示する内容を全て組み込まれる。

 本発明は導電性フィラーとして好適なカ ボンナノファイバーとその製造方法及び用 に関する。

 従来、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの トリクス樹脂に、カーボンブラック、カー ン繊維または金属粉等の導電性フィラーを- 配合し、導電性を付与した導電性樹脂複合材 を得ることが知られている。
 しかし、この種の複合材料に高導電性(特に 望ましくは、体積抵抗率1×10 6 ω・cm以下)を付与するには、相当な量の導電 フィラーを添加する必要がある。だがその とがマトリクス樹脂の物性に悪影響を及ぼ 、調製された複合材料に樹脂本来の特性が 映されなくなるという欠点があった。
 そのため、少量の配合量でも、十分に高い 電性を発現することが可能なフィラー材料 望まれていた。

 特開2004-360099号公報(特許文献1)には、こ ような導電性のフィラー材料として、樹脂 の混練性に優れ、また導電性に優れるフィ シュボーン型の炭素質微細繊維状体が開示 れている。

 前記フィッシュボーン型の炭素繊維とは、 維軸に対し黒鉛網面が傾いている構造のも をさすが、それ以外にも黒鉛網面が繊維軸 対してほぼ直角なもの、また、中空でない 素繊維も知られており、それらの総称とし カーボンナノファイバーという表現が一般 に用いられる。
 一方、繊維軸に対し黒鉛網面が略平行であ 構造のカーボンナノチューブも広く研究さ ている。

 このようなカーボンナノファイバーの製 方法としては、化学気相成長法(以下、CVD法 という。)による方法が知られており、触媒 属を担体に担持して用いる方法と、担体を いず、有機金属錯体などを触媒として用い 反応系内で触媒金属を気相中に生成させる 法が知られている。

特開2004-360099号公報

特開2004-29227号公報

特表2006-502953号公報

特開2004-26626号公報 Applied Catalysis A: 283 (2005) 137 Chemical Physics Letters 374(2003)22-228

 特開2004-360099号公報(特許文献1)に示され 炭素繊維は、同公報に記載されている実施 から計算すると、触媒成分の残留物が多い このように樹脂複合材中の不純物量が多い 合には、不純物が成形加工時に樹脂の分解 促進するため、強度をはじめとした複合材 の機械的物性が著しく低下してしまうとい 問題点がある。

 前述したCVD法のうち、後者の有機金属錯 などを触媒として使用する方法では、グラ ァイト層の欠陥が多く、高温での熱処理を 施しないと導電性フィラーとして添加した 合に導電性が発現しない場合があり、安価 製造することは困難であった。前者の触媒 体を用いる方法は、(i)担体として基板を用 る方法と、(ii)粉末状の担体を用いる方法に 大別できる。(i)の基板を用いる方法は、さま ざまな製膜技術を応用して、触媒金属の大き さをコントロールできるため、実験室レベル での研究においては、多用されている。例え ば、Chemical Physics Letters 374(2003)22-228(非特許 献2)では、シリコン基板上に10nmのアルミニ ム膜、1nmの鉄膜、0.2nmモリブデン膜を生成 せた基板を用いて、10~20nm程度の繊維径をも たチューブ状の多層ナノチューブや2層ナノ チューブが得られることが開示されている。 この方法で得られたカーボンナノチューブを 樹脂複合材料として使用するためには、基板 から分離し、カーボンナノチューブとして回 収する必要がある。こうして回収されたカー ボンナノチューブは実質的には触媒金属成分 のみを不純物として含有するが、カーボンナ ノチューブの生成効率が芳しくなく触媒金属 成分が多量に残留することが多い。さらに、 この方法を産業的に利用しようとすると、た くさんの基板を並べないと、基板表面積を稼 げないため、装置効率が低いだけでなく、基 板への触媒金属の担持、カーボンナノチュー ブの合成、基板からのカーボンナノチューブ の回収など多くの工程が必要となるため、経 済的でなく、実用化には至っていない。

 一方、(ii)粉末状の担体を用いる方法では 、基板を用いる方法と比較して、比表面積が 大きいため、装置効率が良いだけでなく、さ まざまな化学合成に用いられる反応装置が使 用可能で、基板法のようなバッチ処理を前提 とした生産方式だけでなく、連続的反応が可 能になるという利点を有する。しかしながら 、この方法ではその合成方法の特徴から、製 品に触媒担体が混入してしまい、高純度の炭 素繊維を得ることが難しい。

 そこで、これらの不純物量を低減させる 法としては、(1)高温での熱処理をする方法 (2)酸やアルカリなどで洗浄除去する方法な が知られているが、いずれの方法も工程が 雑であるために経済的でない。特に、酸や ルカリで洗浄除去する場合、カーボンナノ ューブ中の触媒担体や触媒金属は、炭素皮 に覆われていることが多いため、酸化力の る硝酸などの酸を用いるか、部分酸化を行 かして、この炭素皮膜を除去しないと、完 な不純物の除去が困難である場合が多い。 かしながら、このような酸化力のある酸を いた場合には、担体や、触媒表面の炭素皮 だけでなく、カーボンナノチューブ自体に ダメージや、欠陥を生じさせる場合があり このため、導電性や強度の劣化をもたらす 合もあった。

 さらに、触媒担体由来の不純物を低減させ 方法として、炭素、例えば、市販のグラフ イトや活性炭を担体として用いることが知 れている(例えば、特開2004-29227号公報;特許 献2)。しかしながらこの場合には炭素生成 が少ないため、触媒金属由来の不純物が多 なり、高純度の炭素繊維は得られない。
 そこで、炭素繊維生成量を向上させるため 、事前に過酸化水素や硝酸を用いて炭素担 を酸化処理する方法が開示されている(Applie d Catalysis A: 283 (2005) 137;非特許文献1)。し し、この場合も工程が複雑になり経済的で く、また不純物の低減も充分とは言えなか た。

 また、特表2006-502853号公報(特許文献3;WO200 4/035882)には、総酸素量が10質量%以上である特 殊なカーボンブラックを担体とすることによ り、炭素含有量が95質量%以上のカーボンナノ ファイバーが得られることが開示されている 。だが、本発明者らが後述の比較例で示す通 り、このような特殊な炭素担体を用いて調製 したフィラーを樹脂複合材に添加した場合に は、充分な導電性が発現しない。

 また、炭素繊維生成量の向上のためには、 般的には触媒として鉄、ニッケル、コバル などの元素が用いられるが、それに加え、 触媒として他の繊維金属を添加する方法も 数多く研究されている(例えば、特開2004-2662 6号公報;特許文献4など)。
 しかしながら、主触媒・助触媒・触媒担体 組合せ、炭素源として用いられる炭化水素 さらには反応条件によって、炭素繊維の生 効率やフィラーとしての特性は大きく変化 るため、その各々の組み合わせについては 分な開示がなされていないのが現状である

 すなわち、これまでに不純物としての金 元素(すなわち、Fe及びV以外の金属元素)を 質的に含まず、樹脂複合材中に少量添加す ことにより導電性を発現させることが可能 、安価な炭素繊維フィラーは存在しなかっ 。

 従って、本発明の課題は、不純物として 金属元素(Fe及びV以外の金属元素)を実質的 含まず、少量の添加で導電性が発現できる 価な炭素繊維フィラー材を提供することに る。

 本発明者は上記の課題を解決するため鋭 検討した結果、高性能導電性フィラーとし のカーボンナノファイバー及びその製造方 を見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、例えば、以下のカー ンナノファイバー、その製造方法、及び用 に関する。
1.炭素以外の金属元素として鉄(Fe)を6質量%以 、バナジウム(V)を3質量%以下含有し、FeとV 外の金属元素を実質的に含まないことを特 とするカーボンナノファイバー。
2.炭素担体にFeとVを担持した触媒と炭素含有 合物とを400~1100℃で接触させることを特徴 するカーボンナノファイバーの製造方法。
3.炭素担体の比表面積が、30~500m 2 /gである前記2に記載のカーボンナノファイバ ーの製造方法。
4.炭素担体が、比表面積500m 2 /g以上のカーボンブラックを2000~3000℃で熱処 したものを使用する前記2に記載のカーボン ナノファイバーの製造方法。
5.触媒中の鉄濃度が、
で計算したときに、5~30質量%である触媒を使 する前記2に記載のカーボンナノファイバー の製造方法。
6.触媒中のバナジウム濃度が、鉄のモル数に して20~100mol%である触媒を使用する前記2に 載のカーボンナノファイバーの製造方法。
7.炭素含有化合物が、CO、CO 2 、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素から選 択される少なくとも1種である前記2に記載の ーボンナノファイバーの製造方法。
8.炭素含有化合物がエチレンである前記2に記 載のカーボンナノファイバーの製造方法。
9.炭素含有化合物のほかにキャリアーガスを 用する前記2に記載のカーボンナノファイバ ーの製造方法。
10.キャリアーガスが水素を含有するガスであ る前記9に記載のカーボンナノファイバーの 造方法。
11.前記2~10のいずれかに記載の方法により得 れたカーボンナノファイバー。
12.前記1または11に記載のカーボンナノファイ バーを樹脂に配合してなるカーボンナノファ イバー・樹脂複合体。
13.前記12に記載のカーボンナノファイバー・ 脂複合体を用いた電気・電子部品容器。
14.前記12に記載のカーボンナノファイバー・ 脂複合体を用いた導電性摺動用部材。
15.前記12に記載のカーボンナノファイバー・ 脂複合体を用いた導電性熱伝導性部材。

 本発明によれば、導電性樹脂用のフィラ として好適なカーボンナノファイバーが得 れる。本発明の好ましい実施態様における ーボンナノファイバーは、従来よりも少量 添加量で、高い導電性を樹脂に付与するこ ができるため、不純物金属元素量が少ない 電性樹脂複合材を安価に得ることができる

 本発明の好ましい実施態様におけるカー ンナノファイバーは、繊維軸に対し、黒鉛 面が傾いている。繊維軸と黒鉛平面のなす 度θは透過電子顕微鏡(TEM)像から測定される (図1参照)。角度θについては特に限定されな が、15~90度が好ましく、30~70度がさらに好ま しい。

 このように、繊維軸に対して黒鉛平面が傾 ていることにより、θがほぼ0度であるチュ ラー状の繊維と比較して、その表面に活性 が多く存在するために、樹脂フィラーとし 使用した場合に、樹脂との相互作用が強ま 、分散性や密着性の向上が期待され、分散 が良くなったり、樹脂との界面強度が向上 たりする。その結果、複合材料にした場合 、少量の添加量でも、十分な特性の向上が 待できるので、経済的である。
 繊維中央部は中空であっても良いし、所々 がっていても、あるいは全体的に繋がって て、中空部を有しなくても良い。

 前記カーボンナノファイバー中には、金 元素として鉄を6質量%以下、好ましくは3質 %以下、さらに好ましくは1質量%以下と、バ ジウムを3質量%以下、好ましくは2質量%以下 、さらに好ましくは1質量%以下含有する以外 は、他の不純物としての金属元素(すなわち 、Fe及びV以外の金属元素)を実質的に含有し いことを特徴とする。ここでいう金属元素 、周期律表でいうとH、N、O、S、F、Cl、Br、I He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn及び炭素を除く全ての 素を意味している。

 本発明の好ましい実施態様においては、 下に述べるような特定の粉末状の炭素担体 金属触媒として、FeとVを担持した粉末状の 媒を用いる。生成した炭素繊維中には、鉄 バナジウムの金属元素以外に、炭素担体を 有しても良い。

 カーボンナノファイバーをフィラーとし 樹脂に添加する場合、樹脂の種類や成形方 によっては、樹脂との混練、成形、硬化な の際に、高温下にさらされる場合があり、 の場合には、残存した金属不純物によって 樹脂の劣化や、硬化不良などが生じる場合 ある。また、成形後の製品を使用している に、残存した金属不純物によって経時での 度や特性が低減したり、該金属不純物がイ ン不純物として溶け出すなどするため、カ ボンナノファイバー中の不純物は極力低く えることが望まれている。

 一方で、炭素担体はその残存量が少なか たり、生成した炭素繊維と類似の特性を持 場合が多いため、他の金属元素のような影 を与えることはほとんどない。

 金属元素の分析方法については特に限定 れないが、好ましくはICP-AES(誘導結合プラ マ-原子発光分析)分析を採用する。サンプル の前処理方法は特に限定されないが、カーボ ンナノファイバーを硫酸及び硝酸で分解した ものにさらにリン酸を加えて溶解させるとよ い。なお、実質的に他の金属元素を含まない とは、通常は100ppm未満であることを意味する 。

[カーボンナノファイバーの合成方法]
触媒:
 主触媒として鉄、助触媒元素としてバナジ ム、担体として炭素を用いることが好まし 。
 鉄とバナジウムの炭素担体への担持方法は に限定されない。例えば、鉄やバナジウム 塩を溶解させた非水溶液中(例えば、メタノ ール溶液)または水溶液中に担体を含浸し、 分に分散混合した後に乾燥させることによ て、担体に金属の酸化物や塩を担持するこ ができる。あるいは、鉄とバナジウムを別 の溶液で作り、別々に含浸担持しても良い 鉄やバナジウムを含む溶液から沈殿を形成 、担体上に沈着させても良い。

 ここで用いる鉄原料は特に限定されない 、上述の方法で用いる金属塩溶液の調製の やすさから、硝酸鉄、酢酸鉄、硫酸鉄、ミ ウバンなどの無機酸塩、アセチルアセトナ ト錯体などの錯塩、塩化鉄、臭化鉄、フッ 鉄などのハロゲン化物、及びシュウ酸鉄、 テアリン酸鉄などの有機酸塩が好適に用い れる。

 ここで用いるバナジウム原料は特に限定 れないが、上述の方法で用いる金属塩溶液 調製しやすさ及び価格から、バナジン酸塩 バナジル塩などの酸化物塩、塩化バナジウ などの塩化物、酸化バナジウムなどの酸化 、アセチルアセトナート錯体類縁物などの 塩などが好適に用いられる。

 炭素担体として好適な一例を挙げると、そ 比表面積が30~500m 2 /gであるのが好ましく、60~500m 2 /gであるのがさらに好ましく、100~300m 2 /gであるのが最も好ましい。比表面積が大き ものを用いると、鉄を細かくたくさん担持 ることができるため、収量を増やすことが き好ましい。しかしながら、比表面積があ り大きすぎると、樹脂複合材にしたときの 気伝導性が低くなる傾向がある。

 さらに別の好ましい炭素担体の一例を挙 ると、黒鉛質の表面を持つものが好ましい 酸素含有量が多く、表面官能基を有するよ な炭素担体よりも、表面官能基の少ない黒 質の表面を持つ炭素担体が好ましい。

 より具体的な一例としては、高比表面積の ーボンブラックなどの炭素材料や、炭素材 を不活性ガス中で2000~3000℃で熱処理したも 、さらには黒鉛電極の切削滓などが好まし 、比表面積500m 2 /g以上のカーボンブラックを2000~3000℃で熱処 したものが最も好ましい。ここで、カーボ ブラックとは、アセチレン法、サーマル法 どの熱分解法によるもの、ファーネスブラ クを代表例とする不完全燃焼法によるもの ケッチェンブラックなどを含む、微粒子状 炭素粉末およびその凝集体の総称として用 ている。

 従来は活性炭のような非常に大きな比表 積を有した高活性な担体や、さらにその表 を修飾するなどした、一般的に見れば高活 な担体を用いるのが主であった。本発明に いては、表面活性の高くない、中程度の比 面積を有した炭素担体や、表面官能基をほ んど有しない黒鉛質の表面を有した担体を いることが可能である。このような活性の くない担体を使用した場合、炭素繊維の生 が芳しくないのが一般的であるが、本発明 は、このような担体にFeとVというある特定 触媒金属成分を選択することで、触媒活性 高めることに成功した。

 さらに、従来のような高活性な炭素担体 用いる場合には、炭素表面での炭化水素の 解や、中間体の生成が促進されるためか、 成するカーボンナノファイバーに炭素粒子 どの不純物や、繊維表面や繊維間へのアモ ファス炭素の堆積が生じやすく、樹脂フィ ーとして使用した場合、分散性が悪かった 、繊維そのものの特性が低いためか、所望 特性を得るためには、フィラーの添加量を 加させなければならない場合が多かった。

 本発明の好ましい実施態様においては、 性のあまり高くない担体を用いることで、 のような副生炭素種によるカーボンナノフ イバーやカーボンナノファイバー含有材料 機能低下を生じないようにすることも可能 ある。

 さらに、本発明のような触媒の調整方法 用いると、触媒金属は反応開始前ではその 駆体である金属塩や錯体、あるいは酸化物 して存在している場合が多いため、一般的 は反応開始前に還元処理などを実施するこ で、触媒金属に還元してから炭化水素との 応を開始する。ところが、従来技術で使用 れるような活性な炭素面を持つような炭素 体は、炭素自体の還元作用によって、触媒 駆体などが還元されることが多いため、特 意図的な還元処理を実施しなくとも、触媒 属への還元が生じる場合がある。そのため 適切な炭素源と反応条件を組み合わせるこ によって、微細な金属触媒粒子から炭素繊 の生成が可能となる。

 一方、触媒金属粒子の大きさは生成する 素繊維の生成機構に大きな影響を及ぼす場 がある。微細な炭素繊維では前述したθが ぼ0度であるチュブラー状のカーボンナノチ ーブが生成しやすく、より大きな触媒金属 子からは、繊維軸に対して黒鉛層が傾いた 維や、垂直になった繊維が生成しやすい。 らに、炭素源と反応条件の組み合わせによ ては、反応温度よりも低温域で金属触媒粒 の還元が起こる場合があり、この場合には 活性な金属触媒粒子同士の凝集成長が進行 すぎて、カーボンナノファイバーの生成触 として機能しなくなり、炭素分がほとんど 成しなかったり、アモルファス炭素などの 維以外の炭素しか生成しない傾向があった

 従って、上述のような活性な炭素面をも ような炭素担体を用いると微細な金属触媒 子から炭素繊維が生成するため、チュブラ タイプの繊維が生成する場合が多い。本発 の好ましい実施態様である繊維軸に対して 鉛層が傾いたカーボンナノファイバーは、 のようなチュブラータイプの炭素繊維と比 して、フィラー材として使用した場合に樹 との相互作用が高く、樹脂の物性を向上さ ることも可能である。

 このように、本発明においては、バナジ ムを添加し、適切な炭素担体を選定するこ で、触媒金属粒子の大きさが適切に調整さ るため、結果として、繊維軸に対して黒鉛 が傾いた繊維が生成しやすいものと推定し いる。

 本発明において、カーボンナノファイバー 製造するための触媒中の鉄濃度は、
で計算したときに、5質量%以上であり、好ま くは5~30質量%で、5~20質量%が最も好ましい。 鉄濃度が5質量%未満では、収率が極めて低く る傾向がある。一方、鉄濃度を高くしすぎ も、どこまでも収量が上がるというわけで なく、限界があるので、それ以上は製品中 不純物濃度を高めてしまう結果となる傾向 ある。

 好適なバナジウムの添加量は、鉄の物質 に対して、20~100mol%であり、好ましくは20~80m ol%で、最も好ましい範囲は40~80mol%である。バ ナジウムの添加量が20mol%より低いと、樹脂に 添加した際の導電率が低下する傾向がある。 100mol%より高いとカーボンナノファイバーの 成量が減少する傾向がある。

[炭素含有化合物]
 本発明において、炭素含有化合物は特に限 されない。この炭素化合物としては、CCl 4 、CHCl 3 、CH 2 Cl 2 、CH 3 Cl、CO、CO 2 、CS 2 等のほか有機化合物全般が使用可能である。 特に有用性の高い化合物としては、CO、CO 2 、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を挙げ ることができる。また、これらの他、窒素、 リン、酸素、硫黄、弗素、塩素、臭素、沃素 等の元素を含んだ炭素化合物も使用すること ができる。

 好ましい炭素化合物の例を挙げると、CO、CO 2 等の無機ガス、メタン、エタン、プロパン、 ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ クタン等のアルカン類、エチレン、プロピレ ン、ブタジエン等のアルケン類、アセチレン 等のアルキン類、ベンゼン、トルエン、キシ レン、スチレン等の単環式芳香族炭化水素、 インデン、ナフタリン、アントラセン、フェ ナントレン等の縮合環を有する多環式化合物 、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロ ヘキサン等のシクロパラフィン類、シクロペ ンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエ ン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフ ィン類、ステロイド等の縮合環を有する脂環 式炭化水素化合物等がある。さらに、これら の炭化水素に酸素、窒素、硫黄、リン、ハロ ゲン等が含まれた誘導体、例えば、メタノー ル、エタノール、プロパノール、ブタノール 等の含酸素化合物、メチルチオール、メチル エチルスルフィド、ジメチルチオケトン等の 含硫黄脂肪族化合物、フェニルチオール、ジ フェニルスルフィド等の含硫黄芳香族化合物 、ピリジン、キノリン、ベンゾチオフェン、 チオフェン等の含硫黄または含窒素複素環式 化合物、クロロホルム、四塩化炭素、クロル エタン、トリクロルエチレン等のハロゲン化 炭化水素、また単体ではないが天然ガス、ガ ソリン、灯油、重油、クレオソート油、ケロ シン、テレピン油、樟脳油、松根油、ギヤー 油、シリンダ油等も使用することができる。 これらの混合物を用いることも可能である。

 さらに好ましい炭素化合物として、CO、 タン、エタン、プロパン、ブタン、エチレ 、プロピレン、ブタジエン、アセチレン、 ンゼン、トルエン、キシレン及びこれらの 合物が挙げられる。

[キャリアーガス]
 本発明のカーボンナノファイバーの製造に いては、これらの炭素化合物に加えて、キ リアーガスを使用することが推奨される。 ャリアーガスとしては水素、窒素、二酸化 素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ま はこれらの混合ガスを用いることができる しかし、空気等の酸素分子(すなわち、分子 状態の酸素:O 2 )を含有するガスは適さない。本発明で用い 触媒前駆体化合物は酸化状態にある場合が り、こうした場合にはキャリアーガスとし 水素を含有するガスを用いることが好まし 。従って、好ましいキャリアーガスとして 水素を1vol%以上、さらには30vol%以上、最も好 ましくは85vol%以上含んだガスであり、例えば 100vol%水素や水素を窒素で希釈したガスであ 。

 本発明においては、炭素含有ガスを供給す 前に、還元処理を実施するのが好ましい。 元処理は、水素などの還元性ガス中に保持 ることで実現できる。
 このような還元処理を実施する温度、時間 ついては、用いる担体の種類や還元性ガス の接触効率、還元性ガスの種類などによる で、一概に決められないが、還元温度は300~ 1000℃、還元時間は10分~5時間が良く、低温で 還元の場合には、還元時間を長めにとる方 良い。さらに、好ましい還元温度は500~700℃ であり、還元時間は10~60分がよい。

 この還元処理については、還元しすぎて 、還元が足りなくても触媒金属粒子が適切 大きさを保てなくなる場合がある。好まし 金属触媒粒子の大きさは生成した繊維の先 部分に残存している金属粒子の大きさをTEM などから観測することで、求めることがで る(図2参照)。一般的には5~100nm程度が好まし く、5~50nm程度がさらに好ましく、10~40nmが最 である。

[炭素含有ガス濃度]
 上述の炭素含有化合物は、常温で液体、固 のものは、加熱し気化させてから導入する が好ましい。これら炭素含有ガスの供給量 、使用する触媒、炭素源、反応条件によっ 異なるため、一義的には決められないが、 般的に好ましい範囲は、
が10~90vol%であり、30~70vol%がさらに好ましい。 特に炭素含有物がエチレンの場合は、30~90vol% の範囲が最も好ましい。

 本発明において、カーボンナノファイバ を製造するために触媒と炭素含有化合物を 触させるときの温度は、使用する炭素源な により異なるが、一般的には400~1100℃であ 、好ましくは500~800℃である。エチレンが原 の場合には400~800℃であり、500~640℃が好ま く、520~600℃が最も好ましい。温度が低すぎ り高すぎたりすると、生成量が著しく低く る場合がある。また、カーボンナノファイ ー以外の生成が起こるような高温では、炭 繊維表面に非導電性の物質が付着する傾向 あり、カーボンナノファイバーの樹脂用途 の応用に適さない場合がある。

 本発明の好ましい実施態様におけるカー ンナノファイバー(以下、単に「炭素繊維」 と記載することがある。)は、高温での黒鉛 工程を実施しなくても、フィラーとして使 した場合に充分な電気伝導性を示すことが 徴である。当然、高温での黒鉛化処理を実 することで、さらに電気伝導性を向上させ ことも可能である。

 本発明の好ましい実施態様における炭素 維を樹脂に配合、混練して樹脂配合体を調 することができる。樹脂配合体に用いる炭 繊維の添加量としては、1~30質量%が好まし 。添加量が1質量%未満であると、樹脂配合体 中に十分な導電性、熱伝導性の経路を作るこ とが難しい。一方、添加量が30質量%を超える 高濃度になると樹脂自体の特性が失われやす い。

 本発明の好ましい実施態様における樹脂複 体に用いる樹脂は、特に限定されないが、 硬化性樹脂、光硬化性樹脂もしくは熱可塑 樹脂が好ましい。
 熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリアミ 、ポリエーテル、ポリイミド、ポリスルホ 、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂 フェノール樹脂などを用いることができ、 可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン樹 、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポ エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ アリレート樹脂などを用いることができる

 本発明による好ましい実施態様における炭 繊維を配合した樹脂複合体は、耐衝撃性と に、導電性や帯電防止性が要求される製品 例えばOA機器、電子機器、導電性包装用部 、導電性摺動用部材、導電性熱伝導性部材 帯電防止性包装用部品、静電塗装が適用さ る自動車部品などの成形材料として好適に 用できる。これら製品を製造する際には、 来から知られている導電性樹脂組成物の成 法によることができる。成形法としては、 えば、射出成形法、中空成形法、押出成形 、シート成形法、熱成形法、回転成形法、 層成形法、トランスファー成形法などが挙 られる。
 また、本発明による炭素繊維を、電池やコ デンサ用電極材料への添加剤、各種触媒の 持体としても活用可能である。

 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明 具体的に説明するが、下記の実施例は例示 ために示すものであって、いかなる意味に いても、本発明を限定的に解釈するもので ない。

[試薬]
 以下の例において使用した試薬は下記の通 である。
 硝酸鉄9水和物(純正化学(株)製特級試薬)、 タバナジン酸アンモニウム(関東化学(株)製 級試薬)、タングステン酸アンモニウムパラ5 水和物(和光純薬工業(株)製)、硝酸クロム9水 物(和光純薬工業(株)製)、モリブデン酸アン モニウム(和光純薬工業(株)製)、カーボンブ ック・ショウブラック・MAF(キャボットジャ ン(株)製)、カーボンブラック BP-2000(キャボ ット社製)、カーボンブラック #3050(三菱化学 (株)製)、ケッチェンブラック EC-300J(ケッチ ンブラックインターナショナル(株)製)、UF-G5 (昭和電工(株)製)、VGCF(登録商標;昭和電工(株) 製)、活性炭 ダルコG60(和光純薬工業(株)製試 薬)、デンカブラック(電気化学工業(株)製)、 タノール(純正化学(株)製特級試薬)。

[触媒担体の熱処理]
 所定量の炭素材料を黒鉛製ルツボに充填し アルゴンガス中2800℃で30分間熱処理した。 られたサンプルを解砕後、触媒調製に使用 た。

[触媒の調製]
 所定量の硝酸鉄9水和物をメタノールに溶解 し、メタバナジン酸アンモニウムを所定量溶 解した。これを、担体上に滴下して混練し、 ペーストを得た。これを100℃で4時間、減圧 燥したものを粉砕することにより、触媒を た。
 なお、ここでいう硝酸鉄の所定量(添加量) 、担体質量に対して
となるように算出したものであり、メタバナ ジン酸アンモニウムの所定量(添加量)は上記 鉄質量とモル数から、必要量を算出してい 。

[カーボンナノファイバーの合成]
 内径3.2cmの石英管(長さ1m)の中央部に約40cmの 横型反応炉を設置し、触媒を乗せた石英ボー ト(幅2cm)10個を配設し、窒素を500ml/分で流通 せた。石英管を電気炉中に設置して、中心 度を1時間かけて所定温度に加熱した。その 30分間、所定温度で保持した。その後、ガ を水素500ml/分に切り替え、さらに30分間保持 した。続いて、ガスを、250ml/分のエチレン、 250ml/分の水素(エチレン濃度50vol%の場合)に切 替え、所定時間保持後、さらにガスを500ml/ の水素に切り替え、室温まで冷却した。

[熱硬化性樹脂複合体の作成]
 2gのカーボンナノファイバーと昭和高分子( )製リポキシ樹脂B-806合計50gと、シグマアル リッチジャパン(株)製過酸化ベンゾイル(35 量%混合物)2.5gを(株)シンキー製あわとり練太 郎(商品名)に秤量し、撹拌モード(2000rpm)で3分 間、脱泡モード(2200rpm)で3分間混合した。得 れた混合物をステンレス製の型枠(100×100×2mm 厚)に入れて、150℃のオーブンで3時間硬化さ 、平板上のカーボンナノファイバー含有熱 化性樹脂複合材を得た。

[表面抵抗値の測定]
 三菱化学(株)製 抵抗率計 ロレスタGP(低抵 率)及びハイレスタUP(高抵抗率)を用い、表 抵抗値を測定した。

実施例1:
 ケッチェンブラックEC-300Jを2800℃で熱処理 た担体に鉄を20質量%、及びバナジウムを鉄 対して80mol%を担持させた触媒を用い、エチ ンを原料として540℃で1時間反応させた。得 れた生成物をTEMで観察したところ、直径20~5 0nmの、ヘリンボーン型の構造を持つカーボン ナノファイバーが得られた(図1、図2参照)。IC P-AESで分析した結果、Fe:0.7質量%、V:0.3質量%が 検出されたが、Fe、V以外の金属元素は100ppm未 満であった。
 得られた炭素繊維と熱硬化性樹脂(昭和高分 子(株)製リポキシ樹脂B-806)を用いて、カーボ ナノファイバーを4質量%含有する樹脂複合 を作成した。得られた樹脂複合材の特性(表 抵抗値)は3×10 5 ω/gであった(表1参照)。4質量%という少量のカ ーボンナノファイバーの添加で導電性が発現 した。

比較例1~3:
 バナジウムの代わりに、モリブデン(モリブ デン酸アンモニウム)、クロム(硝酸クロム)、 タングステン(タングステン酸アンモニウム) 使用したこと以外は実施例1と同様に実施し た。結果を表2に示した。
 表2から明らかなように、Fe-Mo、Fe-Cr、Fe-Wを 持したケッチェンブラックEC-300Jの黒鉛化処 理品では実施例1のような導電性は発現され かった。

実施例2~7及び比較例4~5:
 炭素担体として表3に示したもの(実施例2:カ ーボンブラック・ショウブラック・MAF(キャ ットジャパン(株)製)、実施例3:デンカブラッ ク(電気化学工業(株)製)、実施例4:カーボンブ ラック BP-2000(キャボット社製)の2800℃熱処理 品、実施例5:ケッチェンブラック EC-300J(ケッ チェンブラックインターナショナル(株)製)の 2800℃熱処理品、実施例6:UF-G5(昭和電工(株)製, 3000℃で熱処理した高品位人造黒鉛微粉末)、 施例7:VGCF(登録商標;昭和電工(株)製,2800℃熱 理による黒鉛化品)、比較例4:ケッチェンブ ック EC-300J(ケッチェンブラックインターナ ショナル(株)製)及び比較例5:活性炭 ダルコG6 0(和光純薬工業(株)製試薬))を使用したこと以 外は、実施例1と同様にカーボンナノファイ ーを合成し、これらを用いて熱硬化性樹脂 合材を調製し、その特性(表面抵抗)を評価し た。結果を表3に示した。
 特定の比表面積を持つ担体(13~190m 2 /g)や、2800℃での熱処理を実施したものを担 として使用すること(実施例4~7)により、高純 度で、高電気伝導性を示す樹脂複合材料が得 られた。一方、担体の比表面積が大きすぎる と電気伝導性が低下した(比較例4~5)。
 なお、これら表中に記載の触媒担体の比表 積は、BET比表面積測定装置(ユアサアイオニ クス(株)製NOVA1200)を用い、300℃20分間真空脱 後に測定した値である。

比較例6:
 特表2006-502953号公報(特許文献3)中の実施例1 同様に、カーボンブラック#3050(三菱化学(株 )製)を担体として、Fe、Niを担持した触媒を調 製して実施した。結果は表3に示したように 電気伝導性が低下することが明らかとなっ 。

実施例8~10及び比較例7~8:
 反応温度を440~690℃としたこと以外はカーボ ンブラック・ショウブラック・MAF(キャボッ ジャパン(株)製)にFeとVとを担持した触媒を いた実施例2と同様にカーボンナノファイバ を合成し、熱硬化性樹脂複合材を調製し、 の特性(表面抵抗)を評価し、結果を表4に示 た。
 エチレンを炭素源とする反応では、反応温 440℃では、ほとんどカーボンナノファイバ は生成しなかった。また、反応温度が高温 なると電気伝導性が低下した(690℃;比較例8) 。

実施例11~13及び比較例9~10:
 エチレン濃度を10~98vol%と変化させたこと以 は実施例2と同様にカーボンナノファイバー を合成し、熱硬化性樹脂複合材を調製し、そ の特性(表面抵抗)を評価した。結果を表5に示 した。
 エチレン濃度が30~90vol%の場合には、熱硬化 樹脂複合材は7×10 3 ~2×10 5 ω/□と高い導電性を示したが、この範囲外の 10vol%及び98vol%では電気伝導性は低下した(比 例9~10)。

実施例14~17及び比較例11:
 鉄の担持量を1~40質量%とした触媒を用いた と以外は実施例2と同様に、カーボンナノフ イバーを合成し、熱硬化性樹脂複合材を調 し、その特性(表面抵抗)を評価した。結果 表6に示した。
 鉄の担持量が5~40質量%の触媒を用いた場合 は、4×10 3 ~8×10 5 ω/□と高い導電性を示したが、1vol%の担持量 は電気伝導性は低下した(比較例11;5×10 9 ω/□)。

実施例18~21及び比較例12~13:
 バナジウム添加量を鉄に対して10~150mol%とし た触媒を用いたこと以外は実施例15と同様に ーボンナノファイバーを合成し、熱硬化性 脂複合材を調製し、その特性(表面抵抗)を 価した。結果を表7に示した。
 鉄に対してバナジウム添加量を20~100mol%とし たとき、熱硬化性樹脂複合材の表面抵抗は3× 10 3 ~10 5 ω/□の導電性を示したが、この範囲外の10mol% (比較例12)及び150mol%(比較例13)では低い電気伝 導性を示した。

実施例1で得られた生成物を透過電子顕 微鏡(TEM)で観察した写真である。 実施例1で得られた生成物中の触媒部分 を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した写真である